説明

HIV−1キャプシド構築の低分子阻害剤

本発明は、化学ライブラリー(DIVERSet登録商標ライブラリー)により同定される低分子阻害剤を使用するHIV感染の新規な治療方法を提供する。これらの低分子阻害剤は特異的にHIV-1キャプシドタンパク質に結合し、それによりキャプシド構築を阻害することができる。本発明の低分子阻害剤はHIV感染の治療の薬剤標的となる可能性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
本発明は国立衛生研究所により助成を受け、これに関する権利を、助成金番号NIH AI44626の下、アメリカ合衆国政府が有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は米国特許出願第60/728,797に基づく優先権を主張し、その全ての内容をここに引用する。
【0003】
本発明の技術分野
本発明は概して、ヒトを含む哺乳動物のHIV感染の治療方法に関する。より具体的には、本発明は、対象における、本明細書において”低分子阻害剤”と呼ばれる化合物の使用に関するもので、これがHIV-Iキャプシド構築を阻害することで、HIV感染を治療する。
【背景技術】
【0004】
AIDSが初めて言及されて以来、25年間にHIV-媒介疾患の影響およびそれを治療するために使用される薬剤について多くのことが分かってきている。いまだ治療法はないが、最新の抗レトロウイルス薬は、重大な、時には致命的な副作用を引き起こす。将来的には効果的なワクチンが現れるであろう。構築阻害剤は、HIV/AIDSの治療のための治療剤へのいくつかの新しい薬剤アプローチの一つである。
【0005】
研究者および製薬業者は、逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤を組み合わせた治療的使用を用いることで、HIV/AIDS患者を治療するための効果的な方法開発してきた。このような治療は、HAART(高活性抗レトロウイルス療法)として知られる。HAARTの使用により、AIDSによる死亡者数は効果的に減少したが、これ単独では、該ウイルスを無期限に抑えることはできない。さらに、新たなHAART-関連内科的合併症がHIV/AIDS 患者で報告されている。該合併症には、悪心、嘔吐、赤血球または白血球の減少、および脂肪分布異常、脂質およびグルコース代謝異常および骨量減少などの代謝変化、末梢神経障害、およびミトコンドリア毒性がある。例えば、HIV Infection and AIDSを参照: 概説は、NIAIDウェブサイトniaid.nih.gov/factsheets/hivinf.htmにてオンラインで利用できる。
【0006】
上記合併症の傍ら、さらなるウイルス感染により、薬剤耐性変異体および持続感染の潜在的形態が容易に生じる。これらの耐性変異体は現在の薬剤の影響を受け易くない箇所で維持される。事実、患者の50%近くが、主に耐性問題および現在の薬剤レジメンの忍容性/コンプライアンスのために、治療においてウイルス複製を効果的に抑えることができない。さらに、現在の薬剤レジメンは高価で、投与ガイドラインは複雑で従えない。よって、更なるHIV療法が緊急に必要とされている。
【0007】
本発明の概要
本発明の特徴は、HIV-1キャプシド構築および成熟に関与する細胞およびウイルス成分を標的することによって、HIV複製を阻害するアプローチを提供する。ウイルスGagタンパク質成分間の機能および相互作用を阻害することによって、該ウイルス粒子は正確に構築および成熟することができず、それらは未熟で非感染性のままである。本発明には、HIV-1キャプシド構築の形成を阻害する低分子阻害剤の治療上有効量を投与するための方法の発見が含まれる。
【0008】
本発明に従って、低分子阻害剤の化合物、医薬的に許容されるその塩、または医薬的に有効なそのプロドラッグの治療上有効量、および医薬的に許容される担体を含むHIV感染の治療のための医薬組成物も提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、HIV感染の治療において、HIV-1キャプシド構築の形成を阻害する低分子阻害剤の治療上有効量を投与する方法に関する。
【0010】
本方法は、HIV感染に罹患するヒトを治療するために、医薬的に有効な量の低分子阻害剤および医薬的に許容される担体を投与することを含む。本発明に従って、低分子阻害剤は治療的特性を示し、HIV感染の治療に有用である。
【0011】
本発明に従って、低分子阻害剤を化学療法剤、抗レトロウイルス阻害剤、サイトカイン、ヒドロキシウレア、GAGタンパク質に結合するモノクローナル抗体からなる群から選択される治療的に有効な薬剤と組み合わせて投与することを含む、HIV感染を治療するための方法を提供する。
【0012】
本発明の詳細な説明
本発明は本明細書に記載された所定の手順、プロトコル、および試薬などに制限されるものでなく、異なりうると理解すべきである。本明細書で使用される専門用語は特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、本発明の範囲を制限することを意図するものでなく、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲で使用される単数形“a”“an”および“the”には、文脈に明確な断りがない限り、複数形の言及が含まれる。従って、例えば、賦形剤への言及は、当業者に知られるその同等物を含めた1個以上の該賦形剤への言及である。実施例または断りがある以外は、本明細書で使用される成分または反応条件の数量を示す全ての数字は、全ての場合に用語“約”によって修正されるものと理解されるべきである。用語“約”は、パーセンテージに関連して使用される場合は、±1%を意味しうる。
【0014】
特定された全ての特許および他の公開は、例えば、該公開に記載された本発明に関連して用いられうる手順を言及および開示する目的で、その全てがここに引用されるが、本明細書に記載のものと矛盾する用語の定義を提供するものではない。これらの公開は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためのみに提供される。ただし、そのことから、該発明者が、先発明または他の理由により、それらの開示に先行する権利がないことを承認するものと解釈されるものではない。これらの文書の内容に関するデータまたは説明に関する記述は、該出願人が利用できる情報に基づくものであり、これらの資料のデータまたは内容の正確さに関して承認するものではない。
【0015】
他に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野の当業者に通常理解されるものと同一の意味を有する。
【0016】
HIV-1(および概してレトロウイルス)は、制御されたGagポリタンパク質の重合により構築する。Gagポリタンパク質は細胞膜に輸送され、構築が生じる範囲内でパッチを形成する(Weldon, R. A., Jr., and E. Hunter. 1997., Molecular Requirements for Retrovirus Assembly, in Structural Biology of Viruses, Oxford University Press, New York, 1997, pp. 381-410)。細胞膜への輸送はGagタンパク質を集結するために作用するが、Gagタンパク質が十分に高レベルで発現しており細胞質構築が可能であるときは必須ではないようである(BoulangerおよびJones, Curr. Topics Microbiol. Immunol., 214:237-260, 1996)。構築の間、該パッチは増大し、外部に出芽し、最後には該細胞からくびれ切れる。出芽の間に、該ビリオンは受容体結合に必要なエンベロープタンパク質、ならびに脂質エンベロープを獲得する。
【0017】
形態学的に、該放出された未熟ビリオンは、エンベロープを持った粒子として出現し、直径でおよそ100nmであり、球状の未熟コアを含有する(Nermut and Hockley, Curr. Topics Microbiol. Immunol., 214:1-24, 1996)。該ウイルスプロテアーゼは、Gag-Pol融合タンパク質の一部として該ビリオンに組み込まれており、マイナス1(-1)-翻訳フレームシフトから生じる。出芽は該プロテアーゼを活性化して、Gagポリタンパク質をマトリクス(MA)、キャプシド(CA)、およびヌクレオキャプシド(NC)領域、ならびに”スペーサー”ペプチドP2、P1、およびC-末端P6領域に切断する。該未熟ビリオンは準安定であり、該ポリタンパク質の切断はビリオンの著明な形態学的変化に関与する(Vogt, Curr. Topics Microbiol. Immunol., 214:95-131, 1996)。該マトリクス領域は膜エンベロープとの関与を維持し、該キャプシド領域は円錐状コアを形成するために崩壊し、および該ヌクレオキャプシド領域は、該ウイルスRNAと共に円錐状キャプシドコアの中心に凝集する(成熟ビリオン)。該構造的再配列は、現存する領域間の接触を破壊して新しいものを形成することから必ず生じる。
【0018】
成熟ウイルスコアの形成は該ウイルスのライフサイクルにおいて重要なステップである。多くの突然変異がコアの形成をブロックしまたは引き起こし、ウイルス感染性を阻害することが報告されている。該キャプシドは、いくつかのタンパク質のホモ-またはヘテロ-ポリマーを形成する、多くのサブユニットから構成される。ウイルス構築におけるキャプソメア間の非共有結合は、折り畳みタンパク質領域を安定化する。2つのサブユニット間の界面は単一領域に似ており、他方と密接に固められたアミノ酸側鎖を有する。分析されたウイルス構造の大部分に共通する特徴は、一つのサブユニットからのポリペプチド鎖が隣接するサブユニットの領域の下または上に伸長することができる途があることである。これらの伸長されたポリペプチドアームが別のポリペプチドアームと絡みあい、疎水性相互作用、水素結合、および塩橋をイニシエートすることによって、該キャプシドを安定化するのを補助する。個々のユニット間の接触、およびいくつかのウイルスにおいてはコアタンパク質との接触が、全体のキャプシド構造を決定する。接触の繰り返しが頻繁に起こり、生じた構造は対称的である。
【0019】
ウイルスの自己構築は、会合に有利な条件下でのタンパク質サブユニット間の相互作用の安定性により決定される。多くのウイルスのキャプシドはタンパク質組成が異なるが、一般的なウイルス構造デザインは、いくつかのタンパク質のホモ-またはヘテロ-ポリマーから構成される重合サブユニットを特徴として進化してきた。ヌクレオキャプシドは対称的であり、長さ約100nm、幅は広いフリーの端は約40〜60nm、および狭い方の端は約20nmである。各成熟ビリオン内のヌクレオキャプシドは、Gag前駆体ポリペプチドからタンパク質分解性にプロセシングされたタンパク質により被包されたウイルス一本鎖RNAゲノムの2分子から構成される。ウイルスコードプロテアーゼ(PR)によるgag遺伝子ポリタンパク質の切断により、成熟キャプシドタンパク質が産出される。これらのgag遺伝子産物は、ヌクレオキャプシドとビリオンエンベロープの間に位置すると考えられる該マトリクスタンパク質(p17); キャプシド殻を形成する主キャプシドタンパク質(p24); および該ウイルスRNAゲノムに結合するヌクレオキャプシドタンパク質(p9)である。この感染細胞におけるタンパク質分解性プロセシングは、ビリオン形態形成に関連する。
【0020】
主キャプシドタンパク質p24(CAとも称される)は約240個のアミノ酸を含み、分子量24〜27kDを示す。タンパク質p24は自己会合し、2量体および12量体と同じ大きさのオリゴマー複合体を形成する。HIV-1Gagポリタンパク質の突然変異の遺伝学研究により、p24タンパク質のC末端を含む該分子の半分中にいくつかの機能領域、および種々のレトロウイルスのp24タンパク質中で保存されている20アミノ酸に広がる主ホモロジー領域(MHR)が同定された。これらの突然変異は前駆体ヌクレオキャプシド構築に影響すると見られる。
【0021】
プロテアーゼの接近、成熟、および脱殻に必要とされるビリオン内での該大規模運動の性質は、十分に特徴付けられていない。これがそうである2つの理由がある: ビリオンはエンベロープを有し、非20面体であり、多形性である性質のため、そのままのビリオンの結晶学的分析はほとんど不可能であり、大きいタンパク質複合体の動力学を研究する技術は容易に入手できない。
【0022】
Gagポリタンパク質の種々の領域間の構造、安定性、およびサブユニット間の界面をさらに理解するために、本発明者は、Gag領域の水素重水素交換特性を測定する高分解能質量分光測定を開発した。それにより、Gagタンパク質の異なる形態学的なフォームの変化率を比較することができる(例えば、単量体および二量体キャプシドタンパク質、球状および円筒形キャプシドポリマー、RNAを有するCA-NCモノマーおよびCA-NCポリマーならびに個々のGag領域を、インタクトなポリタンパク質と比較した)。米国仮出願第60/186,981(2000年3月6日出願)に基づく優先権を主張する、米国特許出願公開第2001/0036627 A1号,(第09/800,240号、2001年3月6日出願)を参照する。これらの出願の全ての内容は、明細書、クレームおよび図面を含め、本明細書にその全てが記載されているものとしてここに引用する。
【0023】
該CAタンパク質は互いに連結した湾曲したシート状の六量体ユニットに構築することができる。構築したキャプシドの六量体環はN領域の反復的な相互作用によって形成され、そして、互いにC領域で縛られる。該CA分子は、ホモタイプのC領域相互作用を介して二量体になることができる。しかし、C末端領域は、生物学的に不活性なヘテロ二量体の形成により、構築を阻害することができる(Lanman, J. et al., J. Virol., 76: 6900-6908, 2002; Prevelige, P., 米国特許出願公開第2001/0036627 A1)。従って、CA構築の研究から得られたデータは抗ウイルス薬のスクリーニングに用いられることができ、およびHIV感染を治療するためのウイルス構築阻害剤の開発への洞察を提供する。
【0024】
いったん細胞内へ入ると、HIVは、生存のために特異的酵素(例えば、逆転写酵素、プロテアーゼ、およびインテグラーゼ)を使用する。FDAはこれまでにこれらの酵素を使用する該ウイルスの能力を妨害する多くの抗レトロウイルス薬の使用を認可してきた。これらの薬剤には、逆転写酵素(RT)阻害剤、プロテアーゼ阻害剤(PI)および融合阻害剤がある。RT阻害剤は、HIVが自己をコピーするのに必要な逆転写酵素を妨害する。RT阻害剤には主に2つのタイプがある:(i)ヌクレオシド/ヌクレオチドRT阻害剤; ブロックを創って、該ウイルスが自己のコピーを作成するのに用いるDNA鎖を中止する欠陥DNAを提供する (ii)非ヌクレオシドRT阻害剤; RTに結合して該ウイルスがその複製機能を実行するのを防ぐ。他方、プロテアーゼ阻害剤はHIVが感染性ウイルス粒子を産出するために使用するプロテアーゼ酵素を妨害する。融合阻害剤機能は、HIVを囲むgp41エンベロープタンパク質の形状を変化することによって、宿主細胞と融合して中に入る該ウイルスの能力を妨害することができる。インテグラーゼ阻害剤もまた他のウイルス阻害剤と同様に研究されている(例えば、TatおよびRev阻害剤)。しかし、前記したように、現在の抗レトロウイルス薬レジメンの効果は充分でなく、抗レトロウイルス療法への更なるアプローチは依然必要とされている。
【0025】
用語“治療”または“治療している”は、予防、緩和、または臨床症状の処置を含めた、HIV感染の治療を意味する。
【0026】
HIVのライフサイクルは図1に示される。受容体相互作用において、HIVは宿主膜とウイルス膜を融合させて、細胞質中に入る。ウイルス脂質エンベロープは、宿主の脂質二重層に残され、ウイルスキャプシドは細胞内に放出される。侵入後直ちに、逆転写酵素はウイルスゲノムをcDNAに転写する。逆転写酵素活性により、ウイルスRNA鋳型は分解され、cDNAは核に輸送される。ウイルスインテグラーゼタンパク質は、該ウイルスゲノムを宿主の染色体DNAに挿入し、細胞因子がウイルス転写因子の転写を媒介する。転写において、制御タンパク質がRNAの特異的部位に結合し、核からの搬出を媒介する。ポリタンパク質は細胞膜に輸送され、構築が生じる範囲内でパッチを形成する。構築の間、該パッチは増大し該細胞から外に出芽する。成熟ビリオンの形成は、円錐状キャプシドコアの構造的再配列後に生じる。
【0027】
本発明はHIV-1キャプシド構築および成熟に関連する細胞およびウイルス成分を阻害すると認められる、特定の化合物、低分子阻害剤の使用に関する。HIVライフサイクルにおける阻害の標的は、図2に示される。図3に示されるように、HIVは細胞膜でGAGポリタンパク質の重合により構築する。該Gagポリタンパク質はMA、CA、およびNC領域、ならびにP2、P1、およびP6部位からなる。構築の後、ウイルス粒子は該細胞から出芽し、未熟ウイルス粒子を形成する。出芽の間、ウイルスプロテアーゼが活性化され、Gagタンパク質をその各領域に切断する。この切断により、著明な形態学的変化が起こり、該CAタンパク質はMAタンパク質から離れて崩壊し、円錐状コアを形成する。該MAは該膜との関連を維持し、NCは該ウイルスゲノムと共に凝集する。この成熟過程はウイルス感染性に必要であり、プロテアーゼ阻害剤として知られる抗ウイルス薬の標的である。成熟過程自体が魅力的な標的であるが、それらは多形性(pleimorphic)で非二十面体であるため、該ウイルス粒子の構造を決定するためにクリオ-EMおよびX-線結晶学などの従来の構造的技術を使用することはできない。
【0028】
クリオ-EM法は、未熟ビリオン中のおよびウイルス様粒子中のGagポリタンパク質の構造を研究するために使用されてきた。図4は未熟ビリオンの球状CA殻は成熟ビリオンで適当なコア形成を形成するために凝縮することを示す。図5に示されるように光学濃度を検出することによって、該重合を速度論的にモニターすることができる。図6は該チューブCAを観察するための薄切片EMの例である。側面および端からのCAの該チューブが図6に示される。少量の円錐状コアがこれらの構築反応で形成されているため、これらのチューブにおける相互作用は該ウイルス中で形成された円錐状コアで認められたものと同様であると考えられている。薄切片TEMは、重合キャプシドタンパク質は先に観察されたものと同様の円柱を形成していることを示した。該挿入図は直径およそ33nmのチューブの観察図の端を示す。従って、高塩への希釈は生物学的に関連ある構造を産出する。
【0029】
図7の左図はCAチューブのクリオ-EM再構築である。該チューブのクリオ-EM密度は六量体サブユニットが六量体ローブの端で密度を介して隣接した六量体につながっていることを明らかにした。該相互作用が広がり、六量体格子を形成し、それが包み込んでチューブを形成する。N-領域構造は、六量体ローブの密度に合わせられる。該ループは、六量体の外に配向し、らせん体1および2は、六量体の中央に位置する。構築の間には、3つの相互作用の結合部位がある(図8)。構築されたキャプシドの六量体環は、N:N領域、N:C領域、およびC:C領域の反復的な相互作用により形成される。図9に示されるように、ホモタイプのC領域相互作用により、該CA分子は二量体になることができる。該C-末端領域は生物学的に不活性なヘテロ二量体を形成することにより、構築を阻害することができる。図10は、HIV-1キャプシドのC-末端領域を構築反応に添加することで、構築が阻害されることを示す。これにより構築の阻害剤を検出するためのこのアッセイの能力の原理の証明が提供される。速度論は、分光光度計を用いた濁度の増加をモニターすることによって行うことができる。試験した化合物のIC50を滴定により測定した。CA-C-領域ヘテロ2量体が形成されることによって、C-領域はキャプシド構築を阻害するので、添加したC-末端領域の構築率への影響を、C-末端領域濃度に対する構築率をプロットすることによって評価した。
【0030】
本発明は式IおよびIIの低分子阻害剤の有効量を細胞に投与することを含む、細胞中のHIV複製を阻害するための方法に関する。本発明はまた、HIV感染の治療において、HIV-1キャプシド構築の形成を阻害するために、治療上有効量の低分子阻害剤を投与してHIVを治療する方法、またはその使用に関する。所定の低分子がキャプシド構築の間のHIV-1キャプシドコア粒子の形成における分子間のCA-CA相互作用に作用することによっておよび/またはウイルス出芽を阻止することによって、キャプシド構築を阻害することが発見された。用語”阻害”は該症状を遅くし、中断し、抑止しまたは止めることをいい、必ずしも該症状の完全な除去を示すものではない。患者の生存を延ばすことは、有意に有効であるという以上に、該症状がある程度有利にコントロールされたことを示すと考えられる。用語IC50は、一般に認められた阻害の測定であり、競合的結合試験における阻害性50%の濃度をいい、このことは当該技術分野でよく理解されている。

HIV-1キャプシド構築の低分子阻害剤
【0031】
本発明に有用な低分子阻害剤は、下記の構造式より記載されるそれらの化合物である。式I、II、およびIIIの低分子阻害剤は、HIV-1キャプシド構築の効果的な阻害剤である。該化合物は標準的な有機合成により調製することができる。該化合物はまた、ChemBridge Corp.(San Diego、CA)から市販されおり、それらは低分子量化合物のDIVERSet登録商標 ライブラリーに属する。該化合物はHIVキャプシド(CA)タンパク質に結合し、そしてCAタンパク質の構築を阻害する。適当な製剤形で投与された場合、下記の低分子阻害剤はHIV感染の治療に有用である。該DIVERSet登録商標ライブラリーは化合物の収集であり、興味ある特性について、同時に(または必要なら連続して)スクリーニングすることができる。下記に示された式のとおり、HIV-1キャプシドを阻害すると認められた該化合物は、構造におよび/または機能に関係がある。
【0032】
式I、II、およびIIIの化合物について、当該技術分野で既知であるように、ヒドロカルビル鎖(例えばアルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニルなど)、またはアルコキシ基の炭素鎖は、直鎖または分岐鎖であり得る。例えば、C1〜C6アルキル基には、これらに制限されはないが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、neo-ペンチル、ヘキシルなどがある。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシなどがある。
【0033】
炭素環は3〜12個の炭素原子の環状炭化水素基を指し、飽和、不飽和でありうる。炭素環は単環構造に制限されず、多環構造(例えば、二環、または三環状構造)であってもよい。例えば、(C3-7)シクロアルキルは、単独でまたは別のラジカルと組み合わせて、3〜7個の炭素原子を含有するシクロアルキルラジカルを意味する。代表的な炭素環には、それらに制限されるものではないが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキシル、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプチル、シクロオクチル、ボルナン、ボルネン、ノルボルナン、ノルピナン、アダマンタンなどがある。
【0034】
用語“アリール”または“Ar”は、6〜10個の炭素原子の芳香族炭化水素基をいう。例えばフェニルは、単独でまたは別のラジカルと組み合わせて、6個からの炭素原子を含有するアリールラジカルを意味する。代表的なアリール基には、それらに制限されるものではないが、フェニル、ナフチル、またはアントラセン、フェニレン、フェナントレン、ペンタレン、アズレン、インダセンおよび他の縮合環構造から生じるものがある。
【0035】
用語“複素環”または“ヘテロ”は、単独でまたは別のラジカルと組み合わせて、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、5、6、または7員の飽和または不飽和(芳香族を含む)複素環から水素を除去することによって誘導された一価のラジカルを意味する。さらに本明細書で使用される”ヘテロ”は、1個以上の他の環状構造に縮合して複素環または他の環状構造となる上記の複素環を意味する。適当な複素環およびヘテロアリールの例には、それらに制限されるものではないが ピロリジン、フラン、ピラン、クロメン、キサンテン、チアゾリジン、ピロール、チオフェン、ジアゼピン、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、チアゾール、テトラゾール、ピペリジン、1,4-ジオキサン、4-モルホリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、チアゾロ[4,5-b]-ピリジン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、プリン、インドール、イソインドール、インダゾールなどがある。
【0036】
用語”ハライド”または”ハロゲン”はフッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物をいう。
【0037】
式I、II、およびIII中の種々の置換基は、任意の数の置換基または官能基で置換されていてもよい。概して、用語“置換”は、所定の構造中の水素ラジカルを特定の置換基のラジカルと置き換えることをいう。所定の構造の2個以上の位置が特定の群から選択される2個以上の置換基で置換される場合、該置換基は、全ての位置で同一でも異なっていてもよい。用語“置換された”は、許容される全ての有機化合物の置換基を含むことを意図する。明白な態様において、許容される置換基には、有機化合物の、非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環および複素環、芳香族および非芳香族、炭素およびヘテロ原子置換基がある。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、該ヘテロ原子の原子価を充足する水素置換基および/または本明細書に記載される許容される有機化合物の置換基を有しうる。さらに、本発明は有機化合物の許容される置換基によっていかなる方法において制限されることを意図するものではない。置換基の組み合わせおよび本発明により想定される可変は、好ましくは。例えば概して上記の疾患の治療および予防に有用である、安定な化合物の形成をもたらすものである。置換基の例にはそれらに制限されるものではないが、ハロ置換基(例えば F; Cl; Br;またはI); ヒドロキシル基; C1〜C6アルコキシ基(例えば、-OCH3、-OCH2CH3、または-OCH(CH3)2); C1〜C6ハロアルキル基(例えば、-CF3; -CH2CF3;または -CHCl2); C1〜C6アルキルチオ; アミノ; モノおよびジアルキルアミノ基; -NO2; -CN; =O; =S; 硫酸基などがある。概して適当な置換基の更なる例は、開示される特定の化合物よって説明される。
【0038】
本発明に従ってHIV構築の低分子阻害剤として用いられる化合物には、式I:
【化1】

の化合物または医薬的に許容されるその塩が含まれる。
【0039】
種々の置換基および式Iの化合物の変形体は下記に定義される:
【0040】
式(I)中、UはCR1またはNであり、およびVはCR1またはNである。好ましい実施形態において、UおよびVは共にCR1であるか、またはUおよびVは共にNである。より好ましくは、UおよびVは共にCHであるか、またはUおよびVは共にNである。
【0041】
R1およびR2は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、ニトロ、-NH2、-NHR6、-NR6R7、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C2〜C6アルケニル、および置換もしくは非置換C2〜C6アルキニル、置換もしくは非置換C1〜C6アルコキシル基、UおよびVを含有する環上に置換もしくは非置換の第2の環を形成するC3〜C7アルキレン、またはフェニル環上に置換もしくは非置換の第2の環を形成するC1〜C4アミド基、置換もしくは非置換C3〜C8シクロアルキル、置換もしくは非置換C5〜C8シクロアルケニルおよびアリールからなる群から選択される脂肪族もしくは芳香環置換基(該脂肪族もしくは芳香環置換基は、1個以上の5または6員の芳香族または脂肪族複素環基で置換されていてもよい)である。
【0042】
1は1、2、または3である。
【0043】
R6およびR7は独立して、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C4〜C6シクロアルキル、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキレン-C4〜C6シクロアルキルである。
【0044】
R3は、水素、ヒドロキシル、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、Xが窒素であるときXと共に二重結合を形成する結合、YおよびR1もしくはR2と一緒になって5〜11員の置換もしくは非置換複素環を形成し;またはYおよびR8と一緒になって5〜11員の置換もしくは非置換複素環を形成する。該複素環は飽和、不飽和または芳香族であることができ、炭素原子、およびN、NH、OおよびSからなる群から独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を含む。それはまた多環または縮合環構造であり得る。該窒素および硫黄ヘテロ原子は適宜酸化していてもよい。該複素環は、安定な構造となるようヘテロ原子または炭素原子で結合しうる。好ましくは、R3は水素、ヒドロキシル基、適宜置換されたC1〜C6アルキル、またはXが窒素であるときXと共に二重結合を形成する結合から選択される。最も好ましくは、R3が水素、メチル、またはXが窒素であるときXと共に二重結合を形成する結合である。
【0045】
nは0、1、2、3、4、5、6、7、または8である。
【0046】
mは0または1である。
【0047】
pは0または1である。
【0048】
XはSO2、C=O、N、またはNHである。
【0049】
YはNH、N、O、S、NC=O、または置換もしくは非置換フェニレンである。
【0050】
ZはO、SO2、C=O、NH、またはS(O)2NHである。
【0051】
R4およびR5は独立して、H、OH、SH、カルボキシルであるか、または一緒になってC3〜C11炭素環系、C3〜C11複素環系、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される置換もしくは非置換環系を形成する。好ましくは、R4およびR5は一緒になって、フェニル、ピリジル、モルホリニル、イミダゾリル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル、およびアダマンチルから選択される置換または非置換環系を形成する。これらの環系の好ましい置換基には、ヒドロキシル、ブロモ、メトキシ、ジエチルアミノ、カルボキシル、ニトロおよびその組み合わせがある。図13にリストされる該化合物により示されるように、該環は好ましくは2、3、または4個の該置換基を有する。
【0052】
R8はH、OH、SH、カルボキシル、置換もしくは非置換C1〜C6アルキルであるか、またはC3〜C11炭素環系、C3〜C11複素環系、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される置換もしくは非置換環系である。
【0053】
本発明において使用されうる低分子阻害剤の好ましい基には、
式IIの化合物:
【化2】

がある。
【0054】
式IIにおいて、Arはフェニル基またはピリジニル基であり、置換基R9を有す。R9−Arの構造式は下式:
【化3】

である。
【0055】
R9は独立して水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、カルボキシル、ニトロ酸化物、C1〜C6アルコキシル基、Ar上に第2の環を形成するC3〜C7アルキレン基、またはAr上に第2の環を形成するC1〜C4アミド基である。整数 “q”は、Ar上のR基の数を示し、1、2、3、4、または5である。
【0056】
R10は独立して水素または分岐もしくは非分岐C1〜C5アルキル基である。式IIの該基Qは
【化4】

【0057】
Aは独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル基、置換もしくは非置換C1〜C6アルコキシ基、またはAr上に第2の環を形成する置換もしくは非置換C4〜C8アルキレン基である。該フェニル環上の置換基Aの数は整数 “a”により定義され、1、2、3、4、または5である。
【0058】
Dはフェニル、ベンジル、フェニルアミン、トルイジニル、フェナシル、または安息香酸アシルからなる群から選択される置換または非置換の芳香族または複素環式芳香族基である。
【0059】
Wはフェニル、ピリミジニル、トシル、またはピリジニルからなる群から選択される置換または非置換の芳香族または複素環式芳香族基である。
【0060】
本発明はまた、HIVの低分子阻害剤としての式III:
【化5】

の化合物の使用に関する。
【0061】
式(III)において、R10はH、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C4〜C6シクロアルキル、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキレン-C4〜C6シクロアルキルである。好ましくは、R10がHまたは分岐C3〜C5アルキルであり、より好ましくは、Hまたはt-ブチルである。
【0062】
rは1または2である。
【0063】
tは0、1、2、3、4、または5である。好ましくは、tが0または1である。
【0064】
R11はC(O)O-(C1〜C6)アルキルエステルであり、好ましくはC(O)OC2H5である。
【0065】
R12はC3〜C11炭素環系およびC3〜C11複素環系からなる群から選択される置換または非置換環系である。好ましくは、R12は1または2個の=Oおよび=S置換基を有する複素環である。好ましい実施形態において、R12は基:
【化6】

である。
【0066】
1または2個の
R11およびR12はまた一緒になって、C3〜C11炭素環系およびC3〜C11複素環系からなる群から選択される置換または非置換環系を形成しうる。好ましくは、環系は1または2個の=Oおよび=S置換基を有する。例えば、複素環系を形成するために、R11およびR12は好ましくは、
【化7】

である。
【0067】
医薬組成物:
本発明に従って、治療上有効量の式I、IIまたはIIIの化合物、医薬的に許容されるその塩または医薬的に有効なそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体を含むHIV感染の治療のための医薬組成物も提供される。
【0068】
上記のように、式I、II、およびIIIの低分子阻害剤は、それらの中性型または医薬的に許容される塩のフォームで使用されうる。”医薬的に許容される塩”には医薬的に許容される酸および塩基から得られた無毒性のものが含まれる。薬理学的に許容される塩の例には、該塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩などが挙げられる。全ての薬理学的に許容される塩は、従来の方法により調製することができる。Na、K、およびCa++塩はまた、本発明の範囲内であると意図する。適当な塩基の例には コリン、エタノールアミンおよびエチレンジアミンが挙げられる(医薬的に許容される塩の更なる例については、Berge et al., J Pharm. Sci., 66(1):1-19(1977)を参照)。
【0069】
“医薬的に許容されるプロドラッグ”は、適切な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび下等動物の組織に接触する使用に適し、過度の毒性、刺激性アレルギー反応などを有さず、妥当な利点/リスク比に相応し、それらの意図する使用に効果的であり、ならびに本発明の該化合物の、可能であれば両性イオン型である、本発明の該化合物のそれらのプロドラッグを表す。
【0070】
“プロドラッグ”はインビボで、例えば血中での加水分解により、上記式の親化合物に直ちに変換される化合物を表す。十分な議論が、T. Higuchi & V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A. C. S. Symposium Series, and in Edward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design,(Am. Pharma. Assoc. and Pergamon Press 1987)に記載されており、両者の全ての内容はここに引用される。
【0071】
“医薬的に許容される担体”には、いずれかのまたは全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。医薬的に活性な物質についての該媒質および薬剤の使用は、当該技術分野においてよく知られている。従来の媒質または薬剤が該有効成分に不適合である場合を除いて、治療組成物におけるその使用が意図される。補助的な有効成分もまた、該組成物に組み込むことができる。
【0072】
用語”治療上有効量”とは、下記のように、該治療を必要とするほ乳類に投与される場合、治療効果を生じさせるのに十分な式の化合物の量をいう。該治療上有効量は対象および治療する疾患症状、対象の体重および年齢、疾患症状の重症度、投与方法などに依存して異なり、当該技術分野における当業者により容易に決定されることができる。
【0073】
式I、II、またはIIIの低分子阻害剤を含む医薬組成物は、医薬的に有用な組成物の既知の予備的方法に従って、処方することができる。代表的な医薬組成物には、溶媒、可溶化剤、充てん剤、安定剤、結合剤、吸収剤、基剤、緩衝剤、滑沢剤、制御放出ビヒクル、希釈剤、乳化剤、保湿剤、滑沢剤、分散媒、コート剤、抗菌もしくは抗真菌剤、等張剤または医薬的投与に適合する吸収遅延剤を含む、医薬的に許容される担体が含まれる。医薬的に活性な物質についてのこれらの媒体および薬剤の使用は、当該技術分野においてよく知られている。活性薬剤の医薬組成物を調製するための方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0074】
本発明の医薬組成物はその意図する投与ルートに適合するように処方される。投与ルートの例には非経口、静脈内、皮内、皮下、経口、吸入、経皮、局所、経粘膜的、または直腸投与がある。非経口、皮内、または皮下使用に用いられる溶液または懸濁液は、下記成分を含むことができる: 滅菌希釈剤(例えば、注射剤用の水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン); プロピレングリコールまたは他の合成溶媒; 抗菌剤(例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン); 酸化防止剤(例えばアスコルビン酸または重硫酸ナトリウム; キレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸); 緩衝剤(例えば 酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩)、および浸透圧調節剤(例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース)。pHは塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調製することができる。非経口用調製剤はガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与バイアルに封入することができる。
【0075】
注射使用に適する医薬組成物には、無菌注射剤溶液または分散液の即時調製のための、滅菌水溶液(水に可溶性の場合)または分散剤および滅菌粉剤が含まれる。静脈内投与のために、適当な担体には、それらに制限されるものではないが、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL登録商標(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)がある。全てのケースにおいて、該注射用組成物は滅菌され、および容易な注入可能性(syringability)となる程度まで流動性であるべきである。本発明において、該組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定であり、微生物(例えば、細菌及び真菌)の混入する作用から保護される。該担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性は、例えば、コーティング剤(例えば、レチシン)の使用によって、分散液においては必要な粒子サイズを保持することによって、また界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物作用からの保護は、種々の抗微生物剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成することができる。多くの場合、等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。該注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物中に含むことによってもたらされ得る。
【0076】
無菌注射剤溶液は、必要量の低分子阻害剤を上記成分の1つまたはその組み合わせと共に適当な溶媒に組み込み、必要に応じてろ過滅菌して、調製することができる。多くの例において、分散液は、該活性化合物を、基本的な分散媒および他の必要な上記成分を含む滅菌ビヒクルに組み込んで調製することができる。無菌注射剤溶液の調製用の滅菌粉剤の場合は、その調製方法の例としては真空乾燥または凍結乾燥があり、予め滅菌ろ過して調製された有効成分に所望の他の成分を含む溶液から、それらの手段で粉末として得る。
【0077】
経口組成物には、不活性な希釈剤または食用の担体が含まれる。それらは、ゼラチンカプセル中に含む、またはタブレット中に含むことができる。経口治療投与の目的で、該活性化合物は、賦形剤と組み合わせて、タブレット、トローチ、またはカプセルの製剤形で使用することができる。経口組成物はまた、マウスウォッシュとして使用のために、液体担体を用いて調製することができる。該液体担体中の該化合物は、経口使用して、グチュグチュとして、吐き出すまたは飲み込む。医薬的に適合する結合剤および/またはアジュバント物質は、該組成物の一部として含むことができる。タブレット、丸剤、カプセル、トローチなどは、下記成分、または類似の性質の化合物のいずれかを含むことができる;結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、スターチまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、プリモジェル(Primogel)またはコーンスターチ);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステーテス(Stertes);流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);または、香味剤(例えば、ペパーミント、サルチル酸メチルまたはオレンジ香味剤)。
【0078】
全身投与はまた、経粘膜的または経皮的方法であることができる。経粘膜投与または経皮投与のために、浸透させるべきバリアに適する浸透剤を、製剤中に使用することができる。このような浸透剤は、一般に当該技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、スプレー式点鼻薬および坐剤の使用を介して達成することができる。経皮投与について、生物活性剤は、当該技術分野において一般に公知であるように、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲルまたはクリーム中に処方されうる。
【0079】
治療的部分(生物活性化合物を含む)は、該化合物が体内から迅速に排出されることを防ぐ担体と共に調製することができる(例えば、インプラントおよびマイクロカプセル化した送達システムを含む制御放出製剤)。生分解性、生体適合性ポリマー(例えばエチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)を使用することができる。このような製剤の調製方法は、当該技術分野の当業者に明らかであろう。該物質は例えばAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals、Inc. から購入することができる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する、感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、医薬的に許容される担体として使用することができる。
【0080】
経口組成物または非経口組成物は、投与の容易性および投薬量の均一性のために投与単位製剤形に処方される。本明細書で使用される投与単位製剤形には、治療される対象に対する単位投与量として適する、物理的に分離した単位が含まれ; 各単位は、必要な医薬的担体と共同して所望の治療効果を実現するために計算された予め決められた活性化合物を含む。本発明の投与単位製剤形についての詳細は、活性化合物の特有な特徴および達成される特定の治療効果、ならびに個々の治療のためにこのような活性化合物を混合する該技術分野における固有の制限により指示され、および直接に依存する。
【0081】
該化合物の毒性および治療効果は、例えば、LD50(集団の50%に対する致死量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養または実験動物において標準的な医薬的方法により決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比は治療係数であり、それはLD50/ED50の比として示すことができる。多くの実施形態において、大きい治療係数を示す低分子阻害剤が選択される。中毒性副作用を示す低分子阻害剤も使用されうるが、非感染細胞へのダメージを最小限にして、副作用を減少させるため、該化合物を感染組織の部位に導く送達システムの設計には注意を要する。
【0082】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトでの使用の投与量の範囲を処方する際に用いることができる。多くの場合において、該化合物の投与量は、ほとんど毒性を有さないかまたは全く毒性がないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、利用される投与製剤形および使用される投与ルートに依存してこの範囲内で変動しうる。本発明の方法で使用される化合物について、治療的に有効な用量が、細胞培養アッセイより最初に見積もられ得る。細胞培養中で測定されたようなIC50(すなわち、症状の半分最大阻害(half-maximal inhibition)を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために、用量は動物モデルで処方されうる。このような情報はヒトに有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
【0083】
本発明は治療上有効量の上記の式IまたはIIの化合物を、単独でまたは他の既知の抗ウイルス薬(特にHIVを治療するために使用されるそれら)と組み合わせて患者に投与することを含む、HIV感染の治療のための方法を意図する。このような態様において、該組成物は、他の治療的に有効な薬剤(例えば、化学療法剤、抗レトロウイルス阻害剤、サイトカイン、ヒドロキシウレア、Gagタンパク質に結合するモノクローナル抗体、または他のレトロウイルス複製の阻害剤)をさらに含みうる。抗レトロウイルス阻害剤の例には、ヌクレオシド/ヌクレオチドおよび非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、および融合阻害剤がある。別の態様において、本発明に従った該化合物の使用は、HIV感染した、ヒトを含むほ乳類の治療および予防的使用に適する。
【0084】
本発明はまた、治療有効量の上記医薬組成物を対象に投与する工程を含む、HIV-1キャプシド構築および/またはウイルス複製を阻害する方法を提供する。1つの態様において、該方法はさらに、抗レトロウイルス阻害剤、サイトカイン、ヒドロキシウレア、Gagタンパク質に結合するモノクローナル抗体、またはレトロウイルス複製の他の阻害剤からなる群から選択される抗ウイルスの治療で補完することを含む。抗レトロウイルス阻害剤の例には、ヌクレオシド/ヌクレオチドおよび非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、および融合阻害剤がある。
【0085】
逆転写酵素阻害剤には、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)および非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)が含まれる。ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤には、それらに制限されるものではないが、アバカビル(ABC; ザイアジェン)、ジダノシン(ジデオキシイノシン(ddI); ヴァイデックス)、ラミブジン(3TC; エピビル)、スタブジン(d4T; ゼリット、ゼリット XR)、ザルシタビン(ジデオキシシチジン(ddC);ハイビッド)、ジドブジン(ZDV、以前はアジドチミジン(AZT)として知られる; レトロビル)、アバカビル、ジドブジン、およびラミブジン(トリジビル)、ジドブジンおよびラミブジン(コンビビル)、およびエムトリシタビン(エムトリバ)が挙げられる。ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤には、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(ビリアード)挙げられる。HIVの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤には、それらに制限されるものではないが、ネビラピン(ビラミューン)、メシル酸デラビルジン(レスクリプター)、およびエファビレンツ(サスティバ)が挙げられる。
【0086】
HIVのプロテアーゼ阻害剤(PI)には、アンプレナビル(アゲネラーゼ)、メシル酸サキナビル(フォートベイス、インビラーゼ)、リトナビル(ノービア)、インジナビル硫酸塩(クリキシバン)、メシル酸ネルフィナビル(ビラセプト)、ロピナビルおよびリトナビル(カレトラ)、アタザナビル(レイアタッツ)、およびホスアンプレナビル(レクシヴァ)が挙げられる。アタザナビルおよびホスアンプレナビル(レクシヴァ)は、新しいプロテアーゼ阻害剤であり、HIV-1感染治療のために米国食品医薬品局(FDA)により最近承認された(Atazanavir(Reyataz) and emtricitabine(Emtriva) for HIV infection(2003), Medical Letter on Drugs and Therapeutics、medletter.comにてオンラインで利用可能; 米国保健社会福祉省(2003)、Guidelines for the Use of Antiretroviral Agents in HIV-Infected Adults and Adolescents、aidsinfo.nih.gov/guidelinesにてオンラインで利用可能を参照)。
【0087】
ヒドロキシウレアは、いくつかの癌および鎌状赤血球貧血の治療に使用される医薬である。それはHIV感染の治療について研究されてきた。ヒドロキシウレアはHIVが自己をコピーする方法を阻止する。1990代の研究により、ヒドロキシウレアに1個以上のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)を足した組み合わせが、ウイルス量を減少し、免疫システムを回復させることが示された(増加したCD4細胞カウントにより測定)。加えて、特定のNRTIに対して通常は耐性であるHIVのいくつかの系は、ヒドロキシウレアに該NRTIをプラスした組み合わせにより死滅する。ヒドロキシウレアにNRTIおよびプロテアーゼ阻害剤(PI)をプラスし、HIV感染の初期段階のヒトに投与した場合、劇的にウイルス量を減少しおよびCD4細胞カウントを増加した。この組み合わせの作用は17箇月間まで続いた。しかしながらいくつかの最近の研究で、ヒドロキシウレアの使用に関する懸念が生じた。ある研究により、ヒドロキシウレアをジダノシン(ddI)と共に使用した場合、膵炎のリスクが増加することが示された。膵炎は重大な健康問題であるため、ヒドロキシウレアとジダノシンの組み合わせは、慎重に使用すべきである。ヒドロキシウレアに関連する他の副作用には、低赤血球細胞カウント(貧血)のおよび低白血球カウント(好中球減少)がある。米国保健社会福祉省、2003、Guidelines for the Use of Antiretroviral Agents in HIV-Infected Adults and Adolescents(aidsinfo.nih.govにてオンラインで利用可能、およびMoore, R.D. et al., AIDS, 15(5):617-620,(2001)を参照。
【0088】
サイトカインは細胞により放出されるタンパク質であり; サイトカインの例にはインターフェロンおよびインターロイキンがある。サイトカインは免疫システムに作用し、それらは、感染と戦うために特定の白血球(T-リンパ球)の生成および活性化に役立ちうる。サイトカインはまた、抗ウイルス性および抗腫瘍性の性質を有する。例えば、インターフェロンは、AIDS関連カポジ肉腫を含む腫瘍を治療するために使用されうる(Krensky, A.L. et al., in J.G. Hardman et al., eds., Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th ed., pp. 1463-1484. New York: McGraw, 2001)。
【0089】
融合阻害剤はヒト免疫不全ウイルス(HIV)と戦うために最近開発された新しいクラスの薬剤である。HIVは対象に侵入したとき、それはCD4細胞(白血球のタイプ)の外側に付着し、それは該細胞に加わり(融合し)、ついで増殖する。融合阻害剤は、ウイルスと該細胞間の融合が生じるのを防ぐ。従って、HIVは該細胞に感染および増殖することができない。HIVの融合阻害剤の例には、エンフビルチド(フューゼオン)(Lalezari, J. P. et al., New England J. Med., 348:2175-2185, 2003.)がある。
【実施例1】
【0090】
化合物のスクリーニングおよびキャプシド構築
化合物.
10,000個の薬剤様分子のライブラリー(分子量は500Da以下であり、5個以下のH-結合供与体であり、10個以下のH-結合受容体であり、および計算log p[オクタノール/水分配係数]は5以下である)をChemBridge Corp.(San Diego、CA)より購入した。平均分子量は347Da(200〜596Da)であり、断りのない限り、後の濃度計算に使用した。該化合物を96-ウェルプレートに入れ、DMSOに5mg/mLで可溶化した。1個以上の下記の試薬を対照抗HIV化合物として、細胞ベースアッセイに使用した: 硫酸インジナビル(プロテアーゼ阻害剤)をNIH AIDS Research and Reference Reagent Programから入手した。抗CA HIV化合物として下記: CAP-1(N-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’-{2-[({5-[(ジメチルアミノ)-メチル]-2-フリル}-メチル)-スルファニル]-エチル}ウレア)化合物およびDSB(3-O-{3’,3’-ジメチルサクシニル}-ベツリン酸)を使用した。
【0091】
高イオン(iconic)強度バッファーに希釈することによって、可溶性HIV-1キャプシドタンパク質をインタクトコアと同様の直径および形態であるチューブへの構築を誘因することができる。構築の速度論は、分光光度計を用いて濁度の増加をモニターすることによって調べることができる(Lanham et al., J. Virol., 76:6900, 2002)。この構築アッセイを96-ウェル、マイクロプレートフォーマットに適応し、Nepeloskan Ascentプレートリーダー(Thermo Electron Corp., UK)中で濁度を測定することにより、化合物のミディアム-スループットスクリーニングを可能にした。10,000個の低分子量の“薬剤様”化合物のDIVERSet登録商標ライブラリーをChemBridge Corp.(San Diego、CA)から購入した。このライブラリーをファーマコフォア多様性分析に基づいて、その可能なバイオアベイラビリティーおよび適応について選択した。該化合物の平均分子量は347g/molであり、範囲は200〜596g/molである。該化合物を96-ウェルプレートに入れ、DMSOに5mg/mLで可溶化した。
【0092】
濁度ベースアッセイ.
化合物の1.5μLアリコートを50mM Na2HPO4、2.52M NaClバッファー、pH8に、光学的にクリアな96-ウェルプレート中で、90倍に希釈した。化合物および塩を含有するプレートを測定して、化合物の溶解性を確認し、および該アッセイのバックグラウンド測定として用いた。構築反応を開始するために、300mM原液(50mM Na2HPO4〈pH8〉中)の組換え型 HIV-1キャプシドタンパク質(CA)(15μL)を、(Lanman et al., J. Virol., 76:6900, 2002)に記載のように精製し、多チャンネル分注器を用いて、96-ウェルプレートの各ウェルに加えた。最終平均化合物濃度は名目上142μMであり、該CA濃度は30μMであり、該NaCl濃度は2.25Mであった。短い時間のスケールの実験ではDMSO(最終実験濃度は1%)の影響はなかったが、非構築CAのDMSOへの長期間の暴露は構築の減少を生じたので、1/3のプレートの反応を同時に始めることが必要であった。さらに、構築反応のハーフタイムは〜5分であるため、該プレートを1/3で測定して初速度データのロスを予防した。従って、CAを該最初の4レーンに加え、該反応を10分間続け、測定を中止し、ついでCAを次の4レーンに加えて、該工程を繰り返した。機器セッティングは以下のとおりである: PMTは500Vの増加、10Vのランプ、および積分時間は60分。該データを特注設計のExcel spreadsheetにエクスポートし、同時に速度曲線をプロットした。
【0093】
スクリーニングした10,000の化合物の約10%がキャプシド構築に対する阻害作用を有することが認められた。該化合物をおおよその阻害の程度に基づいて、強、中または弱阻害剤に分類した。本発明の目的について、“強”は80%より高く、“中”は40%〜80%、および“弱”は40%より低い。
【実施例2】
【0094】
HTSアッセイ
組換え型CAタンパク質を上記のように精製し、300μMで-80℃にて貯蔵した。上記の濁度ベース構築アッセイを96-ウェル、マイクロプレートフォーマットに適応して、Nepheloskan Ascent プレートリーダー(Thermo Electron Corp.、UK)での化合物のミディアムスループットスクリーニングを可能にした。化合物またはDMSOの1.5μLアリコートを光学的にクリアな96-ウェルプレート中で、50mM Na2HPO4、2.25M NaClバッファー(pH8)に90倍に希釈した。該構築反応を開始させるために、組換え型HIV-1キャプシドタンパク質(CA)の300μM原液(50mM Na2HPO4 pH8中)(15μL)を多チャンネル分注器を用いて96-ウェルプレートの各ウェルに加えた。最終平均化合物濃度は名目上142μMであり、該CA濃度は、30μMであり、および該NaCl濃度は2.25Mであった。構築率を減少させる能力について、該化合物を、濁度によるモニターおよび目視でスコア付けして、強阻害性、中阻害性、または弱阻害性クラスに評価した。
【0095】
表1は本発明の化合物の濁度アッセイの結果を要約する。図11A〜Eは、これらの化合物ならびにそれらの分子量、化学構造、本発明に従って同定したIC50データを示す。最初のスクリーニングで用いた名目上142μM濃度から開始しして128倍にわたって該化合物を倍数希釈して、該化合物のIC50を測定した。該イニシャル構築率を比濁度法的に測定し、該化合物濃度に対してプロットした。IC50値の範囲は2〜100μMであり、平均値は22μMである。“強ヒット”はIC50値が40μM以下と定義した。
【表1】

【実施例3】
【0096】
インビトロ試験
細胞およびウイルス.
HEK-293(ヒト胎児腎臓細胞系)およびTZM-bl(HeLaベース細胞系)を、10%(vol/vol)加熱不活性化したウシ胎仔血清(FBS)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび292μg/ml L-グルタミンを補充したDMEM培地で維持した。5.25.GFP.Luc.M7細胞(Luc-M7)(CEMx174ベース細胞系)を10%(vol/vol)FBS、100U/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、292μg/ml L-グルタミン、1%Hepes、0.5μg/mlピューロマイシン、0.3 mg/mlジェネテシン(G418)および200μg/mlハイグロマイシンBを含有するRPMI 1640中で維持した。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を健常なドナーから入手し、Ficoll-Hypaque法により単離した。293T細胞をpNL43およびpYU2それぞれによりFuGene 6(Roche)を用いて一過性トランスフェクションしてHIV-1NL43およびHIV-1YU2を調製し、トランスフェクション後48〜72時間にウイルス上清を採取した。
【0097】
抗HIVアッセイ(マルチプルラウンド).
HIV-1YU2複製に対する試験化合物の阻害作用を、Bright-Gloアッセイ(Promega)を用いて、感染6日後のルシフェラーゼ発現レベルによって測定した。1ml当たり1.5×104細胞量のLuc-M7(Ned Landauから提供)をHIV-1YU2により感染効率(MOI)が3にて感染させた。HIV-1感染(0〜75μM化合物)または偽感染(0〜300μM化合物)Luc-M7細胞を、20μg/ml DEAEデキストランを含む種々の濃度の化合物(100μL)と共に、3通りに96-ウェル培養プレート(100μL/ウェル)に入れ、37℃、5%CO2、湿度100%にてインキュベートした。6日後、細胞の生存をCell-Titer Gloアッセイ(Promega)により定量した。ついで各該化合物について、50%毒性濃度(TC50)、50%阻害性濃度(IC50)、および治療係数(TI=TC50/IC50)を計算した。HIV-1BALおよびHIV-1NL43ウイルス伝播に対する試験化合物の阻害作用を、5日後のEGFP発現レベルにより測定した。1ml当たりのJLTRG-R5細胞を、384-ウェルプレート中で0〜75μMの化合物の存在下、1通りで、HIV-1BALまたはHIV-1NL43に安定感染したMolt4 細胞/mlと共に共培養した。5日目に細胞の生存を偽感染細胞において測定した。
【0098】
また、HIV-1YU2に感染したPBMCを種々の濃度の試験化合物(0〜75μM化合物)と共に3通りに培養して、抗HIV活性を試験した。HIV-1 p24 酵素免疫測定法(ELISA)(Beckman-Coulter)により判定した培養上清中のp24コア抗原の抑制レベルによって、該活性を評価した。
【0099】
抗HIVアッセイ(シングルラウンド).
種々の濃度の化合物存在下に、一過性にpNL43でトランスフェクトしたHEK-293細胞から産生したp24のレベルを測定することによって、およびTZM-bl細胞に対するウイルスの感染価を測定(titering)することによってウイルス産生および感染性に対する該化合物の阻害作用を測定した。簡潔にいえば、2.5x105HEK-293細胞/mlをFuGene 6を用いてpNL43でトランスフェクトした。トランスフェクションの4時間後、該細胞を種々の濃度の化合物(0〜75μMまたは偽トランスフェクション細胞については0〜300μM)の100μlを含む96-ウェルプレートに3通りに入れた。トランスフェクションの72時間後に、ウイルス上清を集め、分析まで-80℃にて貯蔵した。各化合物濃度にて産生したp24の該レベルを、DMSOのみの存在下で産生したコントロールのレベルと比較して、HIV-1p24酵素免疫測定法(ELISA)(Beckman-Coulter)を用いて測定した。ウイルス産生TZM-bl細胞の感染性を測定するために、1x105細胞/ml(100μL)を96-ウェルプレートに一晩入れた。翌日に、該培地を1%FBS、1×PSGおよび40μg/ml DEAEデキストランを補充したDMEM(75μL)に交換し、該HEK-293細胞のウイルス上清(25μL)を各ウェルに加えた。3時間後、DMEM(7%FBS含有)(100μL)を各ウェルに加えた。感染2日後、該細胞を溶解し、ルシフェラーゼ発現のレベルをBright-Gloアッセイを用いて測定した。
【0100】
図12〜18は本発明に従って使用した化合物の実施例についての抗HIVアッセイを示す。インビトロアッセイの後、細胞の生存および毒性のスクリーニング用として図12〜18の化合物を選択した。スクリーニングアッセイとしてJurkat細胞アッセイを用いた。Jurkat細胞アッセイにおいて、指標細胞としてJLTRG-R5細胞を、NL43およびBALウイルスの生産細胞としてMOLT4細胞を用いた。96個の化合物を75μM〜0μMの7種の異なる濃度にて、3倍希釈系にて、384ウェルプレートに入れた。5日後、GFP発現を測定した。細胞の生存をAlamar Blueアッセイでモニターした。ウイルス複製に対する該化合物の阻害性活性を測定するために、Luc M7アッセイをデザインした。細胞をYU2ウイルスに感染させた後、96-ウェルプレート中に、DMSO中の6種の濃度の化合物の存在下に、細胞を入れた。6日後、ウェル中の細胞数をCell Titer Glo kitで、またはBright Gloキットで、感染した細胞数を計測することにより測定した。293T細胞アッセイを、該毒性を測定するためにデザインした。293T細胞をNL43でトランスフェクトした。4時間後、トランスフェクション細胞をDMSOおよび2μMインジナビルの96-ウェルプレートに入れた。72時間後、ウイルス上清を採取し、JC53BLに蒔いた。ルシフェラーゼ発現を2日後に測定し、p24分析を1:1000および1:2000希釈で行った。
【0101】
低分子阻害剤化合物の例についてのLuc-M7細胞のTI(治療係数)テーブルを表2に要約し、293T細胞のTIを表3に要約する。
【表2】

【表3】

【0102】
化合物26はLuc-M7細胞および293T細胞の双方で優れたTI値を有する。飽和移動差NMR(STD-NMR)実験を該化合物26で行い、CAタンパク質との結合を確認した。STD-NMR分光法は、興味ある標的タンパク質に対して特異的な低分子量(MW)リガンドの結合を検出し同定するための、非常に強力で鋭敏な方法である。それは特に、概して興味ある標的タンパク質のみに、弱い親和性(mM〜μM範囲のKd)で結合する可能性あるリード化合物を同定するのに有用である。この方法は、大きいタンパク質のプロトン磁化のラジオ周波数飽和の、それがタンパク質の結合ポケット内に存在し、それが溶液に放出される前の短い時間における、低MWリガンドへの移動を利用する。それはまた、該相互作用する分子の相関時間の大きな差違を利用する。この飽和移動は、該タンパク質によって認識される該リガンドを標識化するのに役立つ(すなわち、飽和移動により標識されなかった該タンパク質に結合しないリガンド)。
【0103】
図19A〜Dは化合物26のSTD-NMRスペクトルを示す。図19AはBruker 600MHz NMR分光計で記録した化合物26自体の、濃度1mMでの溶液の低フィールド領域の参照1D-NMRスペクトルを示す。2つの大きいピーク(5.5ppmおよび8ppm)は該構造の2つの環に結合するCHプロトンに由来する。図19Bはこの化合物自体のSTD-NMRスペクトルを示す(オン-共鳴条件の-1ppmにおける照射により得た)。予想通り、STD-NMRスペクトルはピークを示さないことが注目される。図19Cは図19Aで使用した試料に微量(0.02mM)のCTDを加えたことを除いて、同一条件で得られたSTD-NMRスペクトルを示す。化合物26のCTD領域への結合は、5.5ppmおよび8ppmの2つのピークにより明確に示される。図19Dは化合物26を含有する溶液にNTD領域を加えたことを除いて、同一条件で得られたSTD-NMRスペクトルを示す。またしても、このスペクトルで5.5ppmおよび8ppmの両ピーク照らし出され、化合物26が同様に該NTD領域に結合することを示す。従って、これらのデータは、化合物26がNTDおよびCTD領域の両方に別々に結合していることを明解に確証する。この方法はCAの両領域によって別々に、および該完全長のCAタンパク質よって認識される、更なる化合物を同定するために用いることができる。
【0104】
本明細書に記載されるいずれの特許または公開も本発明の属する当該技術分野における当業者の技術水準を示す。これらの特許および公開は、個々の公開が具体的に記載されていつのと同様に、その全ての内容をここに引用する。
【0105】
当該技術分野における当業者は、本発明が該目的を実行するのに、および記載される結果および利点、ならびにその中に本来備わっているものを得ることに十分に適合していることを、容易に理解するであろう。本明細書に記載される該方法、手段、治療、分子、および特定の化合物に加えて、実施例は、現在の好ましい実施形態の代表であり、典型であり、および本発明の範囲を制限することを意図するものではない。それらの変更および他の使用は、当該技術分野における当業者が気づくことであり、特許請求の範囲に記載される本発明の精神の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
これらの図は、説明するためのものであり、制限するものではない。
【0107】
【図1】図1はHIVのライフサイクルを示す。
【0108】
【図2】図2は本発明のHIVライフサイクルにおける阻害の標的を示す。
【0109】
【図3】図3は構築および成熟ステージにおけるHIVウイルスの構造を示す。
【0110】
【図4】図4はクリオ-電子顕微鏡法(EM)による、未熟および成熟ビリオンの感染性の写真である。
【0111】
【図5】図5はキャプシド構築の重合を示す光学濃度結果のグラフ表示である。
【0112】
【図6】図6は希釈技術で形成した重合キャプシド(CA)タンパク質の薄切片EM分析を示す。
【0113】
【図7】図7はEMによる球状および円筒形六量体格子を有するキャプシドタンパク質の写真である。
【0114】
【図8】図8は構築の間の3部位相互作用の像を示す。
【0115】
【図9】図9は該キャプシドタンパク質のC:C領域相互作用のグラフ表示を示す。
【0116】
【図10】図10は該C-領域がキャプシド構築を阻害することを示す。
【0117】
【図11】図11A〜Eは本発明に従って同定された、該分子量、該化学構造およびIC50データを有する化合物の例を示す。
【0118】
【図12】図12は該化合物の毒性アッセイ結果示す。該図は異なる細胞系と比較した、該化合物の濃度に対する細胞数の減少を示す。
【0119】
【図13】図13は化合物26の抗HIV有効性および毒性アッセイ:(A)Jurkat細胞アッセイ(B)Luc-M7アッセイおよび(C)293T細胞アッセイを示す。
【0120】
【図14】図14は化合物41の抗HIV有効性および毒性アッセイ:(A)Jurkat細胞アッセイおよび(B)Luc-M7アッセイを示す。
【0121】
【図15】図15は、化合物58の抗HIV有効性および毒性アッセイ:(A)Jurkat細胞アッセイ(B)Luc-M7アッセイおよび(C)293T細胞アッセイを示す。
【0122】
【図16】図16は化合物59の抗HIV有効性および毒性アッセイ:(A)Jurkat細胞アッセイおよび(B)Luc-M7アッセイを示す。
【0123】
【図17】図17は、化合物60の抗HIV有効性および毒性アッセイ:(A)Jurkat細胞アッセイおよび(B)Luc-M7アッセイを示す。
【0124】
【図18】図18は化合物70の抗HIV有効性および毒性アッセイ:(A)Jurkat細胞アッセイ(B)Luc-M7アッセイおよび(C)293T細胞アッセイを示す。
【0125】
【図19】図19は化合物26がCAタンパク質の該N-末端領域ならびにC-末端領域の両方に結合することを示す飽和移動差NMR(STD-NMR)分光法を示す:(A)化合物26の溶液の該低フィールド領域の参照1D-NMRスペクトル;(B)化合物26のSTD-NMRスペクトル;(C)CAタンパク質のC-末端領域を含む化合物26のSTD-NMRスペクトル、および(D)CAタンパク質のN-末端領域を含む化合物26のSTD-NMRスペクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の式I:
【化1】

[式中、
UはCR1またはNであり;
VはCR1またはNであり;
R1およびR2は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、ニトロ、-NH2、-NHR6、-NR6R7、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C2〜C6アルケニル、および置換もしくは非置換C2〜C6アルキニル、置換もしくは非置換C1〜C6アルコキシル基、UおよびVを含有する環上に置換もしくは非置換の第2の環を形成するC3〜C7アルキレン、またはフェニル環上に置換もしくは非置換の第2の環を形成するC1〜C4アミド基、置換もしくは非置換C3〜C8シクロアルキル、置換もしくは非置換C5〜C8シクロアルケニルおよびアリールからなる群から選択される脂肪族もしくは芳香環置換基(該脂肪族もしくは芳香環置換基は1個以上の5または6員の芳香族または脂肪族複素環基で置換されていてもよい)であり;
lは1、2、または3であり;
R6およびR7は独立して、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C4〜C6シクロアルキル、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキレン-C4〜C6シクロアルキルであり;
R3は水素、ヒドロキシル、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、Xが窒素であるときXと共に二重結合を形成する結合であるか、YおよびR1もしくはR2と一緒になって5〜11員の置換もしくは非置換複素環を形成し; またはYおよびR8と一緒になって5〜11員の置換もしくは非置換複素環を形成し;
nは0、1、2、3、4、5、6、7、または8であり;
mは0または1であり;
pは0または1であり;
XはSO2、C=O、N、またはNHであり;
YはNH、N、O、S、NC=O、または置換もしくは非置換フェニレンであり;
ZはO、SO2、C=O、NHまたはS(O)2NHであり;
R4およびR5は独立して、H、OH、SH、カルボキシルであるか、または一緒になってC3〜C11炭素環系、C3〜C11複素環系、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される置換もしくは非置換環系を形成し; および
R8はH、OH、SH、カルボキシル、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、またはC3〜C11炭素環系、C3〜C11複素環系、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される置換もしくは非置換環系である]
の化合物、医薬的に許容されるその塩または医薬的に有効なそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体を含むことを特徴とする、HIV感染の治療のための医薬組成物。
【請求項2】
UおよびVがCR1である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
UおよびVがNである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
YがSであり; lが1、2、または3であり; およびnが整数0、1、または2である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
YがNHである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
YがNである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
YがOである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
式Iの化合物が、
【化2】

【化3】

【化4】

である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
式I:
【化5】

[式中、
UはCR1またはNであり;
VはCR1またはNであり;
R1およびR2は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、ニトロ、-NH2、-NHR6、-NR6R7、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C2〜C6アルケニル、および置換もしくは非置換C2〜C6アルキニル、置換もしくは非置換C1〜C6アルコキシル基、UおよびVを含有する環上に置換もしくは非置換の第2の環を形成するC3〜C7アルキレン、またはフェニル環上に置換もしくは非置換の第2の環を形成するC1〜C4アミド基、置換もしくは非置換C3〜C8シクロアルキル、置換もしくは非置換C5〜C8シクロアルケニルおよびアリールからなる群から選択される脂肪族もしくは芳香環置換基(該脂肪族もしくは芳香環置換基は、1個以上の5または6員の芳香族または脂肪族複素環基で置換されていてもよい)であり;
lは1、2、または3であり;
R6およびR7は独立して、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C4〜C6シクロアルキル、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキレン-C4〜C6シクロアルキルであり;
R3は水素、ヒドロキシル、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、Xが窒素であるときXと共に二重結合を形成する結合であるか、YおよびR1もしくはR2と一緒になって5〜11員の置換もしくは非置換複素環を形成するか; またはYおよびR8と一緒になって5〜11員の置換もしくは非置換複素環を形成し;
nは0、1、2、3、4、5、6、7、または8であり;
mは0または1であり;
pは0または1であり;
XはSO2、C=O、N、またはNHであり;
YはNH、N、O、S、NC=O、または置換もしくは非置換フェニレンであり;
ZはO、SO2、C=O、NHまたはS(O)2NHであり;
R4およびR5は独立して H、OH、SH、カルボキシルであるか、または一緒になってC3〜C11炭素環系、C3〜C11複素環系、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される置換もしくは非置換環系を形成し; および
R8はH、OH、SH、カルボキシル、置換もしくは非置換C1〜C6アルキルであるか、またはC3〜C11炭素環系、C3〜C11複素環系、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される置換もしくは非置換環系である]
の化合物、医薬的に許容されるその塩または医薬的に有効なそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体を含む組成物を該細胞に投与することを特徴とする、細胞中のHIV複製を阻害するための方法。
【請求項10】
該組成物がさらに化学療法剤、抗レトロウイルス阻害剤、サイトカイン、ヒドロキシウレア、GAGタンパク質に結合するモノクローナル抗体、およびその組み合わせからなる群から選択される治療的に有効な薬剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
抗レトロウイルス阻害剤がヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、および融合阻害剤からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式Iの化合物が表2に記載の化合物の群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項13】
治療上有効量の式I:
【化6】

[式中、
UはCR1またはNであり;
VはCR1またはNであり;
R1およびR2は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、ニトロ、-NH2、-NHR6、-NR6R7、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C2〜C6アルケニル、および置換もしくは非置換C2〜C6アルキニル、置換もしくは非置換C1〜C6アルコキシル基、UおよびVを含有する環上に置換もしくは非置換の第2の環を形成するC3〜C7アルキレン、またはフェニル環上に置換もしくは非置換の第2の環を形成するC1〜C4アミド基、置換もしくは非置換C3〜C8シクロアルキル、置換もしくは非置換C5〜C8シクロアルケニルおよびアリールからなる群から選択される脂肪族もしくは芳香環置換基(該脂肪族もしくは芳香環置換基は、1個以上の5または6員の芳香族または脂肪族複素環基で置換されていてもよい)であり;
lは1、2、または3であり;
R6およびR7は独立して、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C4〜C6シクロアルキル、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキレン-C4〜C6シクロアルキルであり;
R3は水素、ヒドロキシル、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、Xが窒素であるときXと共に二重結合を形成する結合であるか、YおよびR1もしくはR2と一緒になって5〜11員の置換もしくは非置換複素環を形成するか; またはYおよびR8と一緒になって5〜11員の置換もしくは非置換複素環を形成し;
nは0、1、2、3、4、5、6、7、または8であり;
mは0または1であり;
pは0または1であり;
XはSO2、C=O、N、またはNHであり;
YはNH、N、O、S、NC=O、または置換もしくは非置換フェニレンであり;
ZはO、SO2、C=O、NHまたはS(O)2NHであり;
R4およびR5は独立して、H、OH、SH、カルボキシルであるか、または一緒になってC3〜C11炭素環系、C3〜C11複素環系、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される置換もしくは非置換環系を形成し; および
R8はH、OH、SH、カルボキシル、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、またはC3〜C11炭素環系、C3〜C11複素環系、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される置換もしくは非置換環系である]
の化合物を、該治療を必要とするヒトに投与する工程を特徴とする、HIV感染を治療するための式Iの化合物の使用。
【請求項14】
式II:
【化7】

[式中、
Arはフェニル基または ピリジニル基であって、置換基R9を有し;
R9は独立して、水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、カルボキシル、ニトロ酸化物、C1〜C6アルコキシル基、Ar上に第2の環を形成するC3〜C7アルキレン基、またはAr上に第2の環を形成するC1〜C4アミド基であり、
qは1、2、3、4、または5であり;
R10は独立して、水素または分岐もしくは非分岐C1〜C5アルキル基であり;
Qは
【化8】

Aは独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル基、置換もしくは非置換C1〜C6アルコキシ基、またはAr上に第2の環を形成する置換もしくは非置換C4〜C8アルキレン基であり;
aは1、2、3、4、または5であり;
Dはフェニル、ベンジル、フェニルアミン、トルイジニル、フェナシル、および安息香酸アシルからなる群から選択される置換または非置換の芳香族または複素環式芳香族基であり; および
Wはフェニル、ピリミジニル、トシル、およびピリジニルからなる群から選択される置換または非置換の芳香族または複素環式芳香族基である]
の化合物の有効量、医薬的に許容されるその塩または医薬的に有効なそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体を含むことを特徴とする、HIV感染の治療のための医薬組成物。
【請求項15】
式IIのR9−Arが、
【化9】

である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
式II:
【化10】

[式中、
Arはフェニル基またはピリジニル基であって、置換基R9を有し;
R9は独立して、水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、カルボキシル、ニトロ酸化物、C1〜C6アルコキシル基、Ar上に第2の環を形成するC3〜C7アルキレン基、またはAr上に第2の環を形成するC1〜C4アミド基であり;
qは1、2、3、4、または5であり;
R10は独立して、水素または分岐もしくは非分岐C1〜C5アルキル基であり;
Qは
【化11】

Aは独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル基、置換もしくは非置換C1〜C6アルコキシ基、またはAr上に第2の環を形成する置換もしくは非置換C4〜C8アルキレン基であり;
aは1、2、3、4、または5であり;
Dはフェニル、ベンジル、フェニルアミン、トルイジニル、フェナシル、および安息香酸アシルからなる群から選択される置換または非置換の芳香族または複素環式芳香族基であり; および
Wはフェニル、ピリミジニル、トシル、およびピリジニルからなる群から選択される置換または非置換の芳香族または複素環式芳香族基である]
の化合物、医薬的に許容されるその塩または医薬的に有効なそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体を含む組成物を該細胞に投与することを特徴とする、細胞中のHIV複製を阻害するための方法。
【請求項17】
該治療を必要とするヒトに治療上有効量の式II:
【化12】

[式中、
Arはフェニル基またはピリジニル基であって、置換基R9を有し;
R9は独立して、水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、カルボキシル、ニトロ酸化物、C1〜C6アルコキシル基、Ar上に第2の環を形成するC3〜C7アルキレン基、またはAr上に第2の環を形成するC1〜C4アミド基であり、
qは1、2、3、4、または5であり;
R10は独立して、水素または分岐もしくは非分岐C1〜C5アルキル基であり;
Qは
【化13】

Aは独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル基、置換もしくは非置換C1〜C6アルコキシ基、またはAr上に第2の環を形成する置換もしくは非置換C4〜C8アルキレン基であり;
aは1、2、3、4、または5であり;
Dはフェニル、ベンジル、フェニルアミン、トルイジニル、フェナシル、および安息香酸アシルからなる群から選択される置換または非置換の芳香族または複素環式芳香族基であり; および
Wはフェニル、ピリミジニル、トシル、およびピリジニルからなる群から選択される置換または非置換の芳香族または複素環式芳香族基である]
の化合物を投与する工程を特徴とする、HIV感染を治療するための式IIの化合物の使用。
【請求項18】
有効量の式III:
【化14】

[式中、
R10はH、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C4〜C6シクロアルキル、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキレン-C4〜C6シクロアルキルであり;
rは1または2であり;
tは0、1、2、3、4、または5であり; および
R11はC(O)O-(C1〜C6)アルキルエステルであり; R12は、C3〜C11炭素環系およびC3〜C11複素環系からなる群から選択される置換もしくは非置換環系であるか; または、R11とR12が一緒になって、C3〜C11炭素環系およびC3〜C11複素環系からなる群から選択される置換もしくは非置換環系を形成する]
の化合物、医薬的に許容されるその塩または医薬的に有効なそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体を含むことを特徴とする、HIV感染の治療のための医薬組成物。
【請求項19】
R10がHまたは分岐C3〜C5アルキルである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
R10がHまたはt-ブチルである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
tが0または1である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項22】
R11がC(O)O-C2H5である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項23】
R12が1もしくは2個の酸素原子および/または1もしくは2個の硫黄原子を有する複素環系である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項24】
R12
【化15】

である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項25】
式IIIの化合物が
【化16】

である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項26】
式III:
【化17】

[式中、
R10はH、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C4〜C6シクロアルキル、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキレン-C4〜C6シクロアルキルであり;
rは1または2であり;
tは0、1、2、3、4、または5であり; および
R11はC(O)O-(C1〜C6)アルキルエステルであり; R12はC3〜C11炭素環系およびC3〜C11複素環系からなる群から選択される置換もしくは非置換環系であるか; または、R11とR12が一緒になって、C3〜C11炭素環系およびC3〜C11複素環系からなる群から選択される置換もしくは非置換環系を形成する]
の化合物、医薬的に許容されるその塩または医薬的に有効なそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体を含む組成物を該細胞に投与することを特徴とする、細胞中のHIV複製を阻害するための方法。
【請求項27】
治療上有効量の式III:
【化18】

[式中、
R10はH、置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、置換もしくは非置換C4〜C6シクロアルキル、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキレン-C4〜C6シクロアルキルであり;
rは1または2であり;
tは0、1、2、3、4、または5であり; および
R11はC(O)O-(C1〜C6)アルキルエステルであり; R12は、C3〜C11炭素環系およびC3〜C11複素環系からなる群から選択される置換もしくは非置換環系であるか; または、R11とR12が一緒になって、C3〜C11炭素環系およびC3〜C11複素環系からなる群から選択される置換もしくは非置換環系を形成する]
の化合物を、該治療を必要とするヒトに投与する工程を特徴とする、HIV感染を治療するための式IIIの化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19】
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【公表番号】特表2009−512716(P2009−512716A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536867(P2008−536867)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/041284
【国際公開番号】WO2007/048042
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508121588)ユニバーシティ・オブ・アラバマ・アット・バーミンガム (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF ALABAMA AT BIRMINGHAM
【Fターム(参考)】