説明

オートマチック車(AT車)を安全に発進させるためのシステム及びその方法

本発明は、事前に急発進事故の発生を防止する、AT車を安全に発進させるシステム及びその方法に関するものである。 該システムは下記を具備する。 エンジンの現回転数を検出するエンジン回転数検出ユニット10と、 フットブレーキが作動状態であるかどうかを検出するフットブレーキ入力検出ユニット20と、 シフトレバーがニュートラル(N)位置にあるどうかを検出するギア位置検出ユニット30と、 該フットブレーキ入力検出ユニットと並行して作動され、車両速度を感知する車両速度センサーユニット40と、 エンジン始動段階で、該フットブレーキが作動状態でなく、該シフトレバーがニュートラル位置になっていないときにはエンジンを始動させず、同時に、上記条件が満たされるようになっても、エンジン始動後にエンジン回転数が基準値未満に下がるまでは、該シフトレバーをニュートラル位置にシフトさせない制御装置100と、 該制御装置の制御下でエンジンを始動させる始動装置60と、 Hydro-vac内の空気を吸入し、該Hydro-vacを真空状態にするために、該制御装置100の制御下で作動される真空装置70。 エンジン始動段階では、該シフトレバーがニュートラル位置になく、該フットブレーキが非作動状態であるために安定した制動機能が無効になると、該エンジンは始動することが許されない。 エンジン始動後、上記条件が満たされた時に、該シフトレバーは、該エンジン回転数が基準値未満に下がるまで、ニュートラル位置から他の位置へシフトすることが許されず、それによって急発進が防止される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全に、トランスミッションの動作を自動化する自動車(以下、AT車と呼ぶ)発進システム及びその方法に関するものであって、より具体的には、事後措置としての機能を果たすものではなく、急発進事故が起こり得ないような構造に変換することによって事前に事故を防止する、AT車を安全に発進させるシステム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、AT車の急発進事故が頻繁に発生しており、多数の被害者を出しているが、急発進の原因はこれまでに明らかに究明されていない。
【0003】
ほとんどの急発進事故(以下、急発進と呼ぶ)が発生するのは、運転中ではなくて、エンジン始動の時点である。 これに対する補助措置として、種々の急発進事故防止装置が開発されているが、それらすべての装置は、急発進発生後に、急発進を急速に止めるような構成になっている。
【0004】
しかも、現在一般に使用されている自動車のフットブレーキは、基本的に自動車がエンジンによって動いている状態において該自動車を制動させるときのみに該フットブレーキが必要とされるものであって、エンジン停止状態では不必要であるという観点から設計されている。したがって、該フットブレーキは、エンジン始動後の所定時間後に作動するHydro−vacTMの圧力によって作動するように作られている。 実際に、油圧フットブレーキ操作を目的としてフットブレーキペダルが踏み込まれると、Hydro-vacと呼ばれる部品によって増幅される圧力がブレーキオイルに掛かり、該ブレーキオイルが各車輪に装着されたフットブレーキ装置シリンダーに送り出されて、該シリンダーに連結する摩擦パッドによって制動動作が実施される。該Hydro-vacの増幅動作により、該Hydro-vacは、エンジン始動時に排気、吸気及びストローク工程が行われるときに、該Hydro-vac内に空気を吸入すること、及び該Hydro-vacを真空状態に維持することによって、作動状態となることができる。 このため、該エンジン始動後に、該Hydro-vacが完全に真空状態になるまでには所定時間が掛かることになる。
【0005】
よって、たとえドライバーが、急発進事故の発生直後に該フットブレーキを踏み込んでも、該フットブレーキは前述の所定時間後にしか作動しないので、 その所定時間中に突然加速された自動車は、その加速された速度で所定距離ほども動いてしまうため、障害物や人が近くにいる場合には、該フットブレーキが作動状態になるまでには、器物の損傷や被害者を生じ得る。
【0006】
加えて、急発進事故を防止するために従来提案された装置にも、突然加速の発生後に急ブレーキを掛けることが不可能であり、事故発生の余地があるという点で問題がある。
【0007】
さらに、従来の自動車運転システムでは、エンジン始動直後にエンジン回転数(RPM)が、アクセルが踏み込まれているかどうかに拘わらず急激に増加し、次いで所定レベルに落ち、その後、該エンジン回転数は該アクセルの踏み込み度合いに応じて調節される。 したがって、シフトレバーは随時にシフト可能なので、運転者が多忙な場合、パーキング(P)またはニュートラル(N)位置から自動車のエンジンを始動させてから、突然に該シフトレバーを(D)または(R)位置にシフトすることによって急発進は起こり得るのである。 また、シフトレンジ(P)-(R)-(N)-(D)-(1)-(2)(パーキング/リバース/ニュートラル/ドライブ/1速/2速)の配置から、AT車のエンジンを始動させる場合、最初にパーキング(P)位置からリバース(R)位置にシフトし、次いでニュートラル(N)位置にシフトすることになる。 このために、急発進事故が自動車欠陥またはドライバーの未熟な操作などに起因して発生する可能性が存在するのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の問題を解決するためになされたものであって、すでに発生した急発進事故の事後措置としての機能を果たすものではなく、急発進の発生を事前に防止する、AT車を安全に発進させるシステム及びその方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、エンジン始動後にエンジン回転数が基準値未満に下がるまでは該シフトレバーが該ニュートラル位置に切り替わらないように、シフトレバーがニュートラル位置にあり、フットブレーキが、エンジン始動段階及び該シフトレバーのロック段階において正確に作動するときにエンジンを始動させることによって急発進を防止することを特徴とする本発明に係る、AT車のエンジンを安全に始動させる方法が提供される。
【0010】
加えて、上記方法を用いてAT車を安全に発進させるシステムは下記を具備する。エンジンの現回転数を検出するエンジン回転数検出ユニットと、 フットブレーキが作動状態であるかどうかを検出するフットブレーキ入力検出ユニットと、 シフトレバーがニュートラル(N)位置にあるかどうかを検出するギア位置検出ユニットと、該フットブレーキ入力検出ユニットと並行して作動され、車両速度を感知する車両速度センサーユニットと、エンジン始動段階で、該フットブレーキが作動状態でなく、該シフトレバーがニュートラル位置になっていないときにはエンジンを始動させず、同時に、上記条件が満たされるようになっても、エンジン始動後にエンジン回転数が基準値未満に下がるまでは、該シフトレバーをニュートラル位置にシフトさせない制御装置と、 該制御装置の制御下で、該シフトレバーがシフトされないように該シフトレバーを固定し、次いで該シフトレバーのニュートラル及びロック位置を解除するシフトレバーロック装置と、該制御装置の制御下で、エンジンを始動させる始動装置と、 逆止弁を介してHydro-vac内の空気吸入管に連結されており、ACCスイッチがオンにされると、バッテリー電力供給時に作動される真空装置。
【0011】
本発明の好適な実施形態のこれらと他の特徴、態様、及びの利点を添付図面を参照して、以下の詳細な説明においてより完全に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態に係る、AT車を安全に発進させるシステム及びその方法を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る、AT車発進システムの概略構造を説明するための参照図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係るAT車発進システムの概略構造では、真空装置70は逆止弁70aを介してHydro-vac56の空気吸入管58に連結され、該Hydro-vac56への空気の逆流を防止し、該真空装置70の駆動電源は、キースイッチのACCスイッチ接点を介してバッテリー80に連結され、及び油圧センサー46は、該Hydro-vac56の油圧シリンダー36上またはオイルパイプ45上に取り付けられる。
【0014】
加えて、フットブレーキを作動させるためのブレーキペダル51、該Hydro-vac部品の1つであるフットブレーキ操作動力伝達装置52、空気のエンジンへの逆流を防止するための逆止弁53、従来の自動車のように真空状態を維持する吸引装置54、自動車のブレーキパッドが磨耗するにつれてオイル不足が生じないようにオイルを補充するブレーキオイル予備タンク55、該自動車の車輪57なども提供される。
【0015】
図2は、本発明の好適な実施形態に係る、AT車を安全に発進させるシステムのブロック図である。図2に示すように、AT車を安全に発進させるシステムには下記が含まれる。 エンジンの現回転数を検出するエンジン回転数検出ユニット10と、 フットブレーキが作動状態であるかどうかを検出するフットブレーキ入力検出ユニット20と、 シフトレバーがニュートラル(N)位置にあるどうかを検出するギア位置検出ユニット30と、 該フットブレーキ入力検出ユニット20と並行して作動され、車両速度を感知する車両速度センサーユニット40と、 エンジン始動段階で、該フットブレーキが作動状態でなく、該シフトレバーがニュートラル位置になっていないときにはエンジンを始動させず、上記条件が満たされるようになっても、エンジン始動後にエンジン回転数が基準値未満に下がるまでは、ニュートラル位置にシフトさせないように該シフトレバーをロックし、該エンジンが回転すると、真空装置70がオフにされるように該真空装置70を制御する制御装置100と、該制御装置の制御下で、始動時に該エンジン回転数が基準値を超える場合、該シフトレバーをニュートラル位置に固定するシフトレバーロック装置50と、 該制御装置100の制御下でエンジンを始動させる始動装置60と、 該キースイッチがACC状態にあるとき、該制御装置の制御下で、バッテリーから供給される動作電力により駆動されることによってHydro-vac内の空気を吸入する真空装置70。
【0016】
該エンジン回転数検出ユニット10はエンジン回転数(RPM)を検出するセンサーであり、該フットブレーキ入力検出ユニット20は、車輪のそれぞれに配置された車輪シリンダー44に連結された該オイルパイプ45に配置されている該フットブレーキが作動状態であるかどうかを検出し、かつブレーキオイル圧を検出する圧力センサー46である。 つまり、ブレーキオイル圧は制動状態では高いが、非制動状態では低いので、該圧力センサー46によって該フットブレーキの作動状態を検出することが可能である。 また、従来のフットブレーキペダルを踏み込むと、自動車タイプ及び磨耗状態に応じて、該フットブレーキのブレーキクリアランスが発生する。 上記のように、該フットブレーキ入力検出ユニット20により、たとえ個々の自動車のブレーキクリアランスが異なっているとしても、該フットブレーキ圧力を点検することによって自動車が制動されているかどうかを正確に検出することが可能である。
【0017】
該ギア位置検出ユニット30は、該シフトレバーの現在位置を検出するが、その実装は、位置検出センサーを各レンジに取り付けることによって行うことができる。 本発明の実施形態では、ニュートラル位置のみを検出する位置検出センサーが例証されているが、必要に応じて他のレンジにも取り付けることができる。
【0018】
説明されていない参照番号80は、該自動車内部に装着されている、電力を上記の制御装置に供給するバッテリーである。
【0019】
該真空装置70は、該キースイッチがACC状態にあるとき、該制御装置100の制御下で該バッテリーから供給される動作電力によって駆動され、それによって該Hydro-vac56内の空気が吸入される。
【0020】
該Hydro-vac56は、該Hydro-vac56への空気の逆流を防止するために、逆止弁70aを介して該真空装置70を該空気吸入管58に連結し、該真空装置70の駆動電源は、該キースイッチのACCスイッチ接点を介して該バッテリー80に連結される。
【0021】
上記説明において、該始動装置60は始動モーターを参照する。
【0022】
図3は、本発明の好適な実施形態に係るAT車を安全に発進させるシステム内のセンサーの配置図である。 該図に示すように、AT車を安全に発進させるシステム内のセンサーには、車両速度センサーSN1、フットブレーキセンサーSN2及びギア位置センサーSN3が含まれる。 該センサー類は、キースイッチSW、シフトレバーロック装置50及び始動装置60と接続して配設される。該車両速度センサーSN1及び該フットブレーキセンサーSN2は並列に接続される。
【0023】
したがって、上記のように、該フットブレーキ入力検出ユニット20及び該車両速度センサーユニット40は並列に動作することが可能とされている。該フットブレーキセンサーSN2及び車両速度を感知するための該車両速度センサーSN1を備える該車両速度センサーユニット40を含めた該フットブレーキ入力検出ユニット20。
【0024】
したがって、本発明によれば、該エンジンが高速度運転中に停止したために再始動が試みられる際、該エンジンは、フットブレーキ操作が行われていない状態で該シフトレバーをニュートラル(N)位置に入れることのみによって始動することができる。 つまり、該エンジン動力はオートマチックトランスミッション及び駆動軸を介してその車輪に伝達されないが、該運転車は引き続き加速された速度で運行するので、駆動速度が該車両速度センサーSN1により検出され、フットブレーキ信号と並行して使用される。 すなわち、該自動車が停止しているときは、回路は主にフットブレーキ操作信号によって作動され、そして該自動車が走行しているときには、該回路は主に、スロットルバルブの開口角度に基づいた該車両速度センサーSN1からの信号によって作動される。
【0025】
加えて、運転中ドライバーの不注意から該シフトレバーがドライブ(D)位置からニュートラル(N)位置に変更されるとき、該シフトレバーをシフトするためには、該フットブレーキを作動させる必要があると同時に該エンジン回転数が正常である必要があるという問題は、該車両速度センサーSN1と該フットブレーキセンサーSN2とを並列に連結し、それらを上記のように並列に用いることによって解決される。
【0026】
図4は、本発明の好適な実施形態に係る、AT車を安全に発進させるシステム内のフットブレーキ入力検出を説明するための参照図である。 図4に示すように、該フットブレーキ入力検出のため、該油圧センサー46は、ディスク41の両側からブレーキパッド42を押圧することによって該自動車を制動させる該シリンダー44にオイルを供給する該オイルパイプ45に配置され、車輪と共に回転し、それを該ディスク41に接触させる。 該油圧センサー46によって検出されるブレーキオイル圧が、規定値よりも高いとき、該フットブレーキが作動状態であることが確認される。
【0027】
該フットブレーキ入力検出ユニット20には、該Hydro-vacをその中央に連結する該オイルパイプに取り付けられる圧力センサーと、該各車輪に取り付けられ、ブレーキオイル圧を検出するフットブレーキ操作のための油圧シリンダーとが含まれる。
【0028】
図5は、本発明の好適な実施形態に係る、AT車を安全に発進させるシステム内のシフトレバーロック装置のブロック図である。 図5に示すように、該シフトレバーロック装置50は、溝がシフトレバー31に形成されており、ストッパー32と連動した電子ソレノイド33が電力適用時に作動され、その結果、該ストッパーを該溝に挿入することができ、該ストッパーと連動した該電子ソレノイドの動作軸の逆側がスプリング34によって固定され、したがって電力が供給されていないときには該ストッパーを該溝に挿入できないような方式で構築される。
【0029】
すなわち、該シフトレバーロック装置では、シフトレバー31をロックするための該溝は該シフトレバー31下端部の片側面にくりぬかれており、電子ソレノイド33の動作軸は、該溝に挿入されるように形成されたストッパー32の一端に一体的に連結されており、該電子ソレノイド33は、該シフトレバーがニュートラル(N)位置にあるときに該ストッパー32が該シフトレバー31の溝に挿入できるように配置されており、該スプリング34は、配置されている該電子ソレノイド33の該ストッパー32を有する該動作軸の他端に連結されており、そして該スプリング34は、トランスミッションケーシングの本体35に固定され、したがって該ストッパー32は、該電子ソレノイド33が作動状態でないときには該溝から分離される。
【0030】
よって、本発明のシステムにより、フットブレーキ操作が、エンジン始動前に該ACCスイッチSW1をオンにする段階から開始することが可能になり、ドライバーが該キースイッチSWをオンにして該ACCスイッチSW1がオンにされると、該バッテリー80の電力は該真空装置70に供給されるようになる。該真空装置70は、該逆止弁70aを介して該空気吸入管58に連結され、上記のように、該ACCスイッチSW1がオンにされると、バッテリー電力は該真空装置70に供給される。 その直後、該真空装置70は該Hydro-vac56内の空気を吸入し、該Hydro-vac56を真空状態にする。
【0031】
ここで、空気が含まれている場合には、該Hydro-vac56内圧力は低下するので、該Hydro-vac56は、該フットブレーキペダル51を踏み込むことによって生じる電力を増幅することができない。 本発明では、上記のように該ACC状態が真空状態にされているので、該フットブレーキペダル51の電力を増幅することができる。 この時点では、該自動車をエンジン始動前に安全に制動させることができる。
【0032】
該ACC状態において、電力が該真空装置70に適用され、同時に動作電力が、該フットブレーキ入力検出ユニット20、該エンジン回転数検出ユニット10及び該ギア位置検出ユニット30に供給され、それによって該検出ユニット群のそれぞれが作動される。
【0033】
このように、該検出ユニット群のそれぞれは作動され、かくして検出値が該制御装置100に適用される。 その後、該制御装置100は、該検出ユニット群からの検出値を点検することによって、該シフトレバーロック装置50、該始動装置60及び該真空装置70を制御する。 第一に、該ギア位置検出ユニット30を点検することによって該シフトレバーがニュートラル位置にあること、及び該フットブレーキ入力検出ユニット20からの検出値入力を点検することによって、制動が正確に行われたことが確認されると、該始動装置60は制御されて作動状態になる。 該シフトレバーがニュートラル位置にあると、該始動装置60は作動されて該エンジンを起動し、次いで該シフトレバーロック装置50が作動され、その結果、該エンジン回転数が基準値未満に下がるまで変速が不可能となる。
【0034】
第6図は、本発明の実施形態に係る、AT車のエンジンを安全に始動させる方法のシーケンス図である。 図6に示すように、AT車を安全に発進させるシステムを使用する、AT車のエンジンを安全に始動させる方法は下記の段階からなる。 ACCスイッチをオンにする段階(S100)と、 ブレーキオイルをフットブレーキに提供するHydro-vacを真空状態にする段階(S110)と、 エンジン始動スイッチをオンにする段階(S120)と、 シフトレバー及び該フットブレーキの位置を検出する段階(S130)と、 該検出の結果、シフトレバーの位置及び該フットブレーキの作動状態を確認する段階(S140)と、 該検出の結果、該ギアがニュートラルにあり、該フットブレーキが作動状態である(S160)か、またはそうでない場合にはエンジンを始動させない場合にエンジンを始動させる段階(S150)と、 エンジン回転数を検出する段階(S170)と、 該エンジン回転数の検出後、該エンジンが停止しているかどうかを確認する段階(S172)と、 エンジン停止の確認に応じて、該エンジンが停止していない場合、真空装置70を停止する段階(su74)、または停止している場合、該真空装置の作動を維持することによって、該Hydro-vacを真空状態にする段階に戻る段階(S176)と、 該エンジン回転数が所定の基準値未満かどうか確認する段階(S180)と、 該確認の結果、該エンジン回転数が基準値に下がっている場合を除いて変速機能を無効にする段階(S190)、基準値に下がっている場合に変速機能を有効にする段階(S200a)、車両速度を検出する段階(S200b)及び該エンジンがオン状態である場合でも該フットブレーキ操作を行うことなしに再始動可能な状態にする段階。
【0035】
前述の状態は駆動状態と呼ばれ、該状態では、変速機能が有効であり(S200a)、車両速度が検出され(S200b)、それによって該エンジンがオン状態である場合でも該フットブレーキ操作を行うことなしに再始動可能な状態になる。
【0036】
これは以下の通り、詳細に説明する。
【0037】
一般に、自動車のキースイッチSWは4段階から構成されている。
【0038】
車のキーがキーシリンダーの鍵穴から抜かれている状況はロック状態であり、車のキーがキーシリンダーの鍵穴に挿入されると最初にオンになり、次いでオンになるスイッチは、ラジオ及びルームランプなどの主要電気装置を作動する能力のあるACCスイッチSW1であり、次にオンになるのは、自動車のすべての電気的機能を利用可能にするONスイッチSW3であり、最後にオンになるスイッチは、キーシリンダーを回すとオンになる始動スイッチSW2である。 通常、該始動スイッチSW2は、エンジン始動後にドライバーがキーシリンダーの鍵穴にあるキーから手を離すと自動的にオフになる。
【0039】
先ず第一に、該ACCスイッチSW1がオンにされると、電力は該真空装置70及び該センサー群のそれぞれに供給され、該真空装置70は該Hydro-vac56内の空気を吸入して該Hydro-vac56を真空状態にし、そして該センサー群のそれぞれは該フットブレーキが作動状態にあるかどうかを検出し、エンジン回転数および該シフトレバーがニュートラル位置にあるかどうかを検出する。
【0040】
次に、ドライバーにより、該キースイッチSWを操作することによって種々の該自動車の電気補助装置を作動させる該ONスイッチSW3がオンにされ、次いで該始動スイッチSW2がオンにされ該エンジンが始動される。 そして、該エンジン回転数が基準値未満になる場合、該フットブレーキ検出ユニット20によって制動状態の検出時にオンにされる接点と、該エンジン回転数検出ユニット10によってオンにされる接点とは、かくして、すべてオンにされて電力をリレーに適用し、そのために該リレーは励起されて、該シフトレバーロック装置50の電力線に連続的に連結された該接点をオフにする。
【0041】
次いで、該シフトレバーロック装置50への該電力は切断され、該シフトレバーロック装置50を非作動状態にする。
【0042】
ドライバーの操作によって、該シフトレバーがニュートラル位置から逸脱すると、該ギア位置検出ユニット30によって作動されるが該接点がオンにされ、該リレーの作動状態が維持され、それによって該シフトレバーロック装置50は非作動状態にされる。
【0043】
そして、該ONスイッチSW3がオン状態で、エンジン回転は該エンジン回転数検出ユニット10によって検出され、該真空装置70の動作電力は切断されてその作動を停止する。 その後、真空状態は、従来の自動車のように、該吸引装置54によって連続的に維持される。
【0044】
次に、ドライバーが該始動スイッチSW2をオンにすると、該フットブレーキが制動状態でない場合、または該エンジン回転数が基準値を超える場合、動作電力は該シフトレバーロック装置50に適用され、かくして、該シフトレバーロック装置50を作動させる。
【0045】
電力が該シフトレバーロック装置50に供給されないと、該電子ソレノイド33の動作軸は、該スプリング34の弾性力及び該シフトレバー31の溝から分離された該ストッパーによって該図の左に移動される。 しかし、上記条件が満たされ、動作電力が該電子ソレノイド33に適用される場合、該動作軸は前方方向に移動され、該ストッパー32を該シフトレバー31の溝に挿入する。 結果として、該シフトレバーは、該ストッパーによってロックされ、かくして該変速は不可能にされる。
【0046】
該始動スイッチSW2がオンにされると、該フットブレーキが正常に作動されて制動状態にあり、該シフトレバーがニュートラル位置にある時、電力は該始動装置60に供給されて該エンジンを始動し、そして、該始動スイッチ、該制動状態が該フットブレーキ入力検出ユニット20から検出されるとオンにされる接点、及び該シフトレバーのニュートラル位置が該ギア位置検出ユニット30によって検出されると作動状態にされる該接点は、該始動装置60に適用される該電力線に連続的に連結されている。
【0047】
上記のように、該エンジン回転数がエンジン始動後に安全な状態、つまり、基準値未満(1000RPM)に下がると、該リレーは作動されてギアのロック状態を解除する。 このため、ドライバーは、該シフトレバーをシフトすることによって該自動車を運転することができる。 駆動状態では、該リレーは、該シフトレバーが該ニュートラル位置を除いた他の位置にある該フットブレーキ入力検出ユニット20の接点によって該シフトレバーロック装置50を作動せず、オン状態を保つことに留意されたい。
【0048】
しかも、該車両速度センサーSN1と該フットブレーキセンサーSN2とを並列に連結し、それらを並列に用いることによって、該エンジンが高速度運転中に停止したために再始動が試みられる際、該エンジンは、フットブレーキ操作が行われていない状態で、該シフトレバーをニュートラル(N)位置に入れることによって始動される。 運転中ドライバーの不注意から、該シフトレバーがドライブ(D)位置からニュートラル(N)位置に戻るときに、該シフトレバーはドライブ(D)レンジにシフトされる。
【0049】
本発明は、現時点で好適な実施形態と考慮されるものを参照して説明を行ったが、当然のことながら、本発明は開示した実施形態または拘束に限定されるべきでない。 これに対し、本発明は、種々の修正形態及び同等措置を網羅することを意図する。 ここに開示する本発明は、その種々の要素を例示的な種々の組み合わせ及び形態で示したが、実施形態の多少に拘わらず、他の実施形態を含めた他の組み合わせ及び形態も本発明の趣旨及び範囲内のものであるとする。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る、上記の構造及び動作を有するAT車を安全に発進させるシステム及びその方法には、発生した急発進事故の事後措置としての機能を果たすものではなく、フットブレーキが作動状態にあり、シフトレバーがニュートラル位置にあるときのみにエンジン始動することによって急発進の発生を事前に防止するという優れた効果がある。
【0051】
加えて、該システム及び該方法には、エンジン始動段階における急発進の発生時に該フットブレーキが作動状態でないので、自動車のフットブレーキが、エンジン始動後にではなく、ACCスイッチング前の段階において作動状態となることを可能にすることによって事故がより大きくなることを防止するという別の優れた効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るAT車発進システムの概略構造を説明するための参照図。
【図2】本発明に係る、AT車を安全に発進させるシステムのブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係るAT車を安全に発進させるシステム内のセンサーの配置図。
【図4】本発明の実施形態に係る、AT車を安全に発進させるシステム内のフットブレーキ入力検出を説明するための参照図。
【図5】本発明の実施形態に係る、AT車を安全に発進させるシステム内のシフトレバーロック装置のブロック図。
【図6】本発明の実施形態に係る、AT車安全に発進させる方法のシーケンス図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を具備するAT車を安全に発進させるシステム。 エンジンの現回転数(RPM)を検出するエンジン回転数検出ユニットと、 フットブレーキが作動状態であるかどうかを検出するフットブレーキ入力検出ユニットと、 シフトレバーがニュートラル(N)位置にあるかどうかを検出するギア位置検出ユニットと、 該フットブレーキ入力検出ユニットと並行して作動され、車両速度を感知する車両速度センサーユニットと、 該キースイッチがACC状態にあるとき、バッテリーから供給される動作電力により駆動されることによってHydro-vac内の空気を吸入する真空装置と、 エンジン始動段階で、該フットブレーキが作動状態でなく、該シフトレバーがニュートラル位置になっていないときにはエンジンを始動させず、上記条件が満たされるようになっても、エンジン始動後にエンジン回転数が基準値未満に下がるまでは、ニュートラル位置にシフトさせないように該シフトレバーをロックし、該エンジンが回転すると、真空装置がオフにされるように該真空装置70を制御する制御装置と、 該制御装置の制御下で、始動時に該エンジン回転数が基準値を超える場合、該シフトレバーをニュートラル位置に固定するシフトレバーロック装置と、 該制御装置の制御下で、エンジンを始動させる始動装置。
【請求項2】
該フットブレーキ入力検出ユニット20に、該Hydro-vacをその中央に連結する該オイルパイプに取り付けられる圧力センサーと、該各車輪に取り付けられ、ブレーキオイル圧を検出するフットブレーキ操作のための油圧シリンダーとが含まれることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項3】
該車両速度センサーユニットが車両速度センサーを備えており、該車両速度センサーが該フットブレーキ入力検出ユニットのフットブレーキセンサーに並列に連結されていることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項4】
該シフトレバーロック装置が、溝がシフトレバーに形成されており、ストッパーと連動した電子ソレノイドが電力適用時に作動され、その結果、該ストッパーを該溝に挿入することができ、該ストッパーと連動した該電子ソレノイドの動作軸の逆側がスプリングによって固定され、したがって電力が供給されていないときには該ストッパーを該溝に挿入できないような方式で構築されることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項5】
該Hydro-vacが、該Hydro-vacへの空気の逆流を防止する該逆止弁を介して該真空装置に連結され、油圧センサーが、油圧を検出するための該Hydro-vacの油圧式シリンダー取り付けられていることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項6】
該油圧センサーが該Hydro-vacのオイルパイプに取り付けられていることを特徴とする請求項5のシステム。
【請求項7】
エンジン回転数検出ユニット、ブレーキが作動状態であるかどうかを検出するフットブレーキ入力検出ユニットフット、ギア位置検出ユニット、車両速度センサーユニット、制御装置、該制御装置の制御下で該シフトレバーを固定するシフトレバーロック装置、エンジンを始動させる始動装置及び該キースイッチがACC状態にあるとき、バッテリーから適用される動作電力により駆動されることによってHydro-vac内の空気を吸入する真空装置、を具備するAT車を安全に発進させるシステムを使用し、下記の段階からなるAT車のエンジンを安全に始動させる方法。ACCスイッチをオンにする段階(S100)と、 ブレーキオイルをフットブレーキに提供するHydro-vacを真空状態にする段階(S110)と、 エンジン始動スイッチをオンにする段階(S120)と、 シフトレバー及び該フットブレーキの位置を検出する段階(S130)と、 該検出の結果、シフトレバーの位置及び該フットブレーキの作動状態を確認する段階(S140)と、 該検出の結果、該シフトレバーがニュートラル位置にあり、該フットブレーキが作動状態である(S160)か、またはそうでない場合にはエンジンを始動させない場合にエンジンを始動させる段階(S150)と、 エンジン回転数を検出する段階(S170)と、 該エンジン回転数が所定の基準値未満かどうか確認する段階(S180)と、 該確認の結果、該エンジン回転数が基準値に下がっている場合を除いて変速機能を無効にする段階(S190)、基準値に下がっている場合に該変速機能を有効にする段階(S200a)、車両速度を検出する段階(S200b)及び該エンジンがオン状態である場合でも該フットブレーキ操作を行うことなしに再始動可能な状態にする段階。
【請求項8】
請求項7の方法であって、該方法に下記の段階がさらに含まれることを特徴とする方法。 エンジン回転数を検出する段階(S170)後、該エンジン回転数の検出後に該エンジンが停止しているかどうかを確認する段階(S172)と、 エンジン停止の確認に応じて、該エンジンが停止していない場合、真空装置70を停止する段階(S174)、または停止している場合、該真空装置の作動を維持することによって、該Hydro-vacを真空状態にする段階に戻る段階(su76)と、 9. 該フットブレーキ入力検出ユニットにフットブレーキセンサーSN2が含まれ、該車両速度センサーユニットが車両速度を感知する車両速度センサーSN1を有し、該車両速度センサーSN1及び該フットブレーキセンサーSN2が、並列に作動するように並列に連結されていることを特徴とする請求項7の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−518611(P2007−518611A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504596(P2005−504596)
【出願日】平成15年7月30日(2003.7.30)
【国際出願番号】PCT/KR2003/001520
【国際公開番号】WO2005/009778
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506027170)
【Fターム(参考)】