シリーズハイブリット型自動車
【課題】本発明は,電気自動車モードとハイブリッド自動車モードとを備えたシリーズハイブリット型自動車を提供する。
【解決手段】本発明は,蓄電池5,走行用電動機3,発電機2を備えたディーゼルエンジン1,及びそれらを制御する制御装置4を有する。制御装置4は,ハイブリッド自動車モードの必要電力が発電機2からの発電電力を優先的に用いて不足分のみ蓄電池5から補充すると共に,発電機2の発電電力が過大のときには蓄電池5に充電し且つディーゼルエンジン1の排気温度を一定にするため発電機2の回転速度を変化させるように制御する。ディーゼルエンジン1からの排気ガスを,軽油を還元剤に用いたNOX 還元触媒とDPFを構成する排気ガス浄化装置23で浄化する。
【解決手段】本発明は,蓄電池5,走行用電動機3,発電機2を備えたディーゼルエンジン1,及びそれらを制御する制御装置4を有する。制御装置4は,ハイブリッド自動車モードの必要電力が発電機2からの発電電力を優先的に用いて不足分のみ蓄電池5から補充すると共に,発電機2の発電電力が過大のときには蓄電池5に充電し且つディーゼルエンジン1の排気温度を一定にするため発電機2の回転速度を変化させるように制御する。ディーゼルエンジン1からの排気ガスを,軽油を還元剤に用いたNOX 還元触媒とDPFを構成する排気ガス浄化装置23で浄化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,電気自動車モードとハイブリット自動車モードとから構成された排気ガス浄化装置を備えたシリーズハイブリット型自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に,電気自動車は二酸化炭素の排出量の低減効果が極めて大きく,ガソリンエンジンに比較して75%削減が可能である。この理由により各自動車メーカーより電気自動車の開発が相次いでいる。しかしながら,現在の電気自動車は,高額なリチウムイオン電池を大量に搭載しているにもかかわらず,その航続距離は同クラスのガソリンエンジン車両に比較して1/3程度であり,また,燃料代が1/4〜1/8になるが,車両価格は3倍以上であり,車両価格差を埋めるには数十万キロを走行する必要があり,実用化できるには多くの問題を有している。また,電気自動車に必要な高速充電設備等のインフラ整備もこれからであり,蓄電池への充電に問題がある状況である。電池の性能改善は急速に進んではいるが,経済産業省が電気自動車に見合う電池の性能と目標設定した2030年に出力密度7倍,価格1/40はまだ見通しは得られていない状況である。これらの理由から本格的に電気自動車が普及し,省エネルギーに貢献できるには相当の日数がかかる現状である。
【0003】
従来,発電量を極力維持しつつ,各部の温度条件を満たすことができる運転点に発電機と発電機駆動用エンジンを制御する電気自動車の発電制御装置が知られている。該電気自動車の発電制御装置は,発電要求があると,発電要求量が得られ,最良燃費が得られる基本運転点が設定され,触媒温度が設定点より低い場合は基本運転点を発電要求量を維持しつつ排気温度を増大できる運転点に変更し,各部温度が設定値より高い場合は,発電要求量を維持しつつ排気温度を低減できる運転点に変更し,それでも各部温度が設定値より高い場合には,排気温度を効果的に低減できる運転点に変更する。これにより,発電量を維持しつつ,各部の温度条件を満たすことができ,以って動力性能を維持しながら,例えば燃費性能,排気性能の低下,備品劣化を抑制する(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,有害ガスの発生量を減少させるハイブリット車のエンジン駆動発電機の制御装置が知られている。該制御装置は,ECUは,エンジンを始動し発電機によって発電した電力をバッテリ,又はモータの少なくとも一方に供給する。エンジン始動の際に,ECUはエンジンコントローラ及び発電制御コントローラを制御して,エンジンの回転数及び発電機の界磁電流を所定値に設定する。これによってエンジンの負荷を所定のものとして,エンジン出力及び回転数を所定のものに設定した状態でエンジンを運転できる。そこで,排気温度及び排気量を適切なものにでき,エンジンの暖機運転時間を減少することができ,トータルとしての有害ガス発生量を減少する(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,シリーズ式ハイブリット型電気自動車のエンジンから大気中に放出されるNOX の量を低減可能なハイブリット電気自動車の排気浄化装置が知られている。該ハイブリット電気自動車の排気浄化装置は,エンジンの排気通路にアンモニア選択還元型NOX 触媒を介装し,その上流側の排気中に尿素水を供給する尿素水インジェクタを設ける。バッテリの充電状態に応じてエンジンを始動後,排気温度が所定温度に達するまでは尿素水供給を停止すると共に,比較的大きなEGR率として燃料噴射時期を遅角させた第1運転モードでエンジンを運転することによりエンジン本体からのNOX の排出を抑制し,排気温度が所定温度に達するとエンジンをEGR率及び燃料噴射時期の遅角量が低減された第2運転モードで運転すると共に,尿素水を供給してアンモニア選択還元型NOX 触媒でNOX の選択還元を行う(例えば,特許文献3参照)。
【0006】
また,シリーズ式ハイブリット型電気自動車のエンジンの始動時に,アンモニアスリップを生じることなく,アンモニア選択還元型NOX 触媒の排気浄化効率を向上させるハイブリット電気自動車の排気浄化装置が知られている。該ハイブリット電気自動車の排気浄化装置は,エンジンの排気通路にアンモニア選択還元型NOX 触媒を介装し,その上流側の排気中に尿素水を供給する尿素水インジェクタを設ける。バッテリの充電状態に応じてエンジンを始動又は停止させると共に,エンジンの運転状態に応じて尿素水インジェクタを制御し,エンジンを停止させる場合には,停止前の所定期間にわたり,アンモニア選択還元型NOX 触媒へのアンモニア吸着量を増大させる吸着量増大運転を行う。再びエンジンを始動した場合には,エンジンの回転数及び負荷を除々に目標値に近づけることにより,エンジンの排気温度の上昇度合いを緩やかにする(例えば,特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−82093号公報
【特許文献2】特開平5−328528号公報
【特許文献3】特開2009−115050号公報
【特許文献4】特開2009−113581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気自動車については,上記の理由により,エンジンと電動機を用いたハイブリットエンジンが実用化され,また,蓄電池の搭載量を増やして短距離ならば,エンジンを駆動させずに,搭載蓄電池のエネルギーのみを用いたプラグインハイブリット車の発売も計画されているが,搭載蓄電池による走行距離は20km程度と短く,十分でないのが現状である。また,搭載エンジンは,熱効率から考えれば,ディーゼルエンジンが好ましいが,ディーゼルエンジン本体が高価であること,NOX 及び粒子状物質(以下,PMと記載)の排気ガス浄化に対する問題解決と高コストの問題解決が克服できていないことを理由に実用化にいたっていないのが現状である。そこで,安価で小型のディーゼルエンジンを発電用に搭載できれば,燃費が安価で走行距離を延ばすことが考えられる。
【0009】
しかしながら,ディーゼルエンジンをハイブリット自動車に用いる場合に,ディーゼルエンジンから放出される排気ガスに含まれるNOX 及びPMを浄化するという規制に適合する必要があり,環境に優しいディーゼルエンジンを提供することが重要である。排気ガス中のNOX の削減は,尿素を還元剤として用いるNOX 選択還元触媒(尿素SCR)等を用いて,NOX をN2 に還元して無害化することが必要である。また,排気ガスの浄化に尿素触媒を有効に活用するためには尿素触媒の上流に酸化触媒を配置して排気ガス中のNOの一部をNO2 に酸化することで,NOX 浄化率が高くなることが知られている。更に,尿素を供給するインフラの整備が必要であり,また,PMを捕集再生するためにディーゼルパティキュレートフイルタ(以下,DPF)が必要となり,これらを小型ディーゼルエンジンの後処理に用いるためには,車両への搭載上も問題であり,コストの問題を解決する必要があり,実用化に至っていないのが現状である。
【0010】
この発明の目的は,上記の問題を解決することであり,例えば,プラグインハイブリット形自動車としながら,電気エネルギーを有効に活用すると共に,発電用ディーゼルエンジンを厳しい排気ガス浄化の規制に適合させながら,ディーゼルエンジンをトータルとして安価に作ることによって,ディーゼルハイブリット車を完成させることができ,省エネルギーに貢献すると共に,低CO2 排出に貢献できることを可能にし,電気自動車モード又はハイブリット自動車モードで車両を走行させることができるシリーズハイブリット型自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は,蓄電池,走行用電動機,発電機を備えたエンジン,並びに前記走行用電動機,前記発電機及び前記エンジンを制御する制御装置を車両に搭載しており,前記蓄電池の電気エネルギーのみを用いて走行する電気自動車モードと,前記発電機で発電する発電エネルギー及び前記蓄電池に蓄積された前記電気エネルギーを用いて走行するハイブリッド自動車モードとを備えていることから成るハイブリット自動車において,
前記制御装置は,前記ハイブリッド自動車モードに切り換えたときに,前記ハイブリッド自動車モードに必要な電力を前記発電機からの発電電力を優先的に用いて不足分の電力を前記蓄電池から補充し,前記発電機の発電電力が過大であるときに前記必要な電力との差分を前記蓄電池に充電する制御をし,且つ前記エンジンの排気温度が予め決められた所定の温度範囲になるように前記発電機の回転速度を変化させて前記必要な発電電力を確保するように制御し,前記エンジンとして燃料が軽油であるディーゼルエンジンを用い,前記ディーゼルエンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路の下流に前記軽油を還元剤に用いたNOX 還元触媒とDPFとから成る排気ガス浄化装置を装着していることを特徴とするシリーズハイブリット型自動車に関する。
【0012】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,前記予め決められた所定の温度範囲に制御される前記排気温度は,前記NOX 還元触媒が活性化する温度と前記排気ガスに含まれるPMの燃焼反応の活性化する温度で決定されている。また,前記制御装置は,前記ディーゼルエンジンの回転速度を前記発電機の発電電力に応じて制御するものである。
【0013】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,前記NOX 還元触媒と前記DPFは,金網を稜線と溝とから屈折路に折り曲げ成形した波板帯体を重ねた柱状体から一体構造に構成され,前記金網の表面には前記NOX 還元触媒が担持されているものである。或いは,前記NOX 還元触媒と前記DPFは,セラミックスから成るウォールフロータイプのハニカムから一体構造に構成され,前記セラミックスの表面に前記NOX 還元触媒が担持されているものである。
【0014】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,前記エンジンの前記排気温度は,前記制御装置によって前記エンジンへ供給する燃料の供給量を制御して370℃〜430℃になるように制御されるものである。
【0015】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,前記エンジンは予混合圧縮着火ディーゼルエンジンである。また,前記還元剤に用いる前記軽油は,前記NOX 還元触媒の上流側の前記排気ガス通路に配設した還元用軽油噴射弁から供給され,前記排気ガス中に含まれるNOX をN2 に変換して前記排気ガスを浄化するものである。
【発明の効果】
【0016】
このシリーズハイブリット型自動車は,上記のように,発電用ディーゼルエンジンには排気ガス浄化装置が設けられているので,ディーゼルエンジンから排出されるNOX 及び粒子状物質やSOF(可溶有機成分)のPMの有害成分を消失させることができ,特に,ディーゼルエンジンの駆動状態を予め決められた所定の排気温度の範囲内に制御するので,NOX 還元触媒等の触媒を活性化させると共に,PMの燃焼反応を活性化させることができ,有害成分を効果的に浄化して消失させることができ,環境に優しく構成でき,また,発電用発電機の発電量をディーゼルエンジンの排気温度で常時制御するので,NOX 還元触媒や酸化触媒等が長寿命となって耐久性をアップし,燃料の軽油を還元剤として用いるので,供給パイプを要するのみで触媒用のタンク等を不用にし,更に,排気温度を適正な温度に制御するので,ディーゼルエンジンや発電機を小形化でき,装置全体として小形化することができ,安価に低燃費車を製造することができるシリーズハイブリット型自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明によるシリーズハイブリット型自動車の基本概念を示す概略説明図である。
【図2】NOX 還元触媒における排気温度に対するNOX 浄化率の関係を示すグラフである。
【図3】NOX 還元触媒上における排気温度とPM(煤とSOF)の燃焼割合の関係を示すグラフである。
【図4】この発明によるシリーズハイブリット型自動車の実施例を示す概略機構図である。
【図5】図4のシリーズハイブリット型自動車の基本構成を示すブロック概略図である。
【図6】図4のシリーズハイブリット型自動車に組み込まれる排気ガス浄化装置を備えたシステムを示す概略説明図である。
【図7】図4のシリーズハイブリット型自動車に組み込まれる排気ガス浄化装置の別の実施例を示す概略説明図である。
【図8】図6のシリーズハイブリット型自動車に組み込まれた排気ガス浄化装置におけるフイルタの一例を示し,Aは多孔質セラミックスを示し,Bはセラミックスの表面にNOX 還元触媒を付着した状態を示す概略説明図である。
【図9】図6のシリーズハイブリット型自動車に組み込まれた排気ガス浄化装置におけるフイルタの金網タイプを示し,波板帯体による柱状体の一例を示す概略斜視図である。
【図10】図9金網タイプのフイルタを示し,波板帯体を重ねた柱状体を示す正面図である。
【図11】図9金網タイプのフイルタを示し,波板帯体を重ねた柱状体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,図面を参照して,この発明によるシリーズハイブリット型自動車の実施例について説明する。図1は,この発明によるシリーズハイブリット型自動車の基本概念を示す概略説明図である。この発明によるシリーズハイブリット型自動車は,例えば,軽自動車クラスを用いた車両28であり,主に首都圏での使用を念頭にいれたものであり,週末には走行用電動機3によって長距離も走行可能とすることによって幅広く活用できる汎用型であり,現状のガソリンエンジン車に比較して最小限の価格で提供させて普及させることにより,省エネルギーに貢献することを目指した自動車30である。そのため,自動車30は,ディーゼルエンジン1に燃料の軽油を供給するための燃料タンク22を備えており,車両28に搭載する蓄電池5を最少即ち小型に構成し,その代わりに,発電機2を発電させる超小型のクリーンディーゼルエンジン1を搭載し,発電機2で発電した電気エネルギーによって蓄電池5の不足分を補填するシステムに構成されている。ディーゼルエンジン1には,燃料タンク22の軽油が燃料加圧ポンプ14で加圧されて供給パイプ37を通じて燃料噴射ノズル13から燃焼室に供給される。蓄電池5は,例えば,家庭用100V電源で一晩に充電でき,かつユーザーが1日に走行する距離をほぼカバーできる最小限のリチウムイオン電池で構成されている。
【0019】
このシリーズハイブリット型自動車は,車両28に搭載する蓄電池5を最小のものとするため,電気エネルギーの補填としてディーゼルエンジン1を駆動して発電機2で発電させると共に,ディーゼルエンジン1から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置23を備えており,低コストで且つコンパクトで実施できるように構成されており,それによって発電走行時に高い省エネルギーを得ることができる。排気ガス浄化装置23として,NOX 還元触媒とDPF(ディーゼルパティキュレートフイルタ)とを兼ねたタイプの排気ガス浄化装置を用いると,装置そのものを更に小形化できる。ディーゼルエンジン1は,発電用の超小型であり,発電機2は,必要に応じてディーゼルエンジン1を駆動して発電するように制御装置4でコントロールされている。ディーゼルエンジン1は,特に,作動時の負荷が常時予め決められた範囲内に設定されており,排気温度をNOX とPMの浄化に最適な温度域に保持しつつ,その領域で高い熱効率を得るようにエンジン仕様が決められている。また,ディーゼルエンジン1からの排気ガスを排出する排気ガス通路24には,排気ガス浄化装置23が配設されている。排気ガス浄化装置23は,ここでは,詳細を記載していないが,DPFとHC―SCR(軽油を還元剤とした窒素酸化物還元装置)との機能を併せ持つタイプであり,排気ガスを効果的に浄化するように構成されている。即ち,ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス中には,NOX ,煤や可溶有機成分(SOF)等の粒子状物質(PM)が含まれているので,自動車30として実用化するためには,エンジン1から排出される排気ガスの浄化が重要なことになる。
【0020】
このシリーズハイブリット型自動車は,概して,蓄電池5,走行用電動機3,発電機2を備えたエンジン1,並びに,走行用電動機3,発電機2及びエンジン1を制御する制御装置4を車両28に搭載している。このシリーズハイブリット型自動車において,駆動輪31は,図4に示すように,電動機3の作動によって駆動ギア7を通じて駆動軸の車軸6を回転させて作動され,電動機3は,制御装置4の制御に応じて,蓄電池5からの電気エネルギー又はディーゼルエンジン1の駆動によって発電機2が発電した発電エネルギーによって直接作動される。制御装置4には,アクセル信号8及びブレーキ信号9が入力され,制御装置4はそれらの信号に応答して電動機3を作動する。ディーゼルエンジン1には,吸気マニホールド38及び排気マニホールド39を有しており,排気マニホールド39には排気ガス通路24が接続され,排気ガス通路24には排気ガス浄化装置23が設置されている。発電機2は,必要に応じてエンジン1の駆動により発電を行うものである。電動機3は,車両28の走行用に作動するものであり,ブレーキ時にはそのエネルギーは回生されて蓄電池5に蓄電される。
【0021】
制御装置4は,主として,図5に示すように,三相交流35を出力するインバータ10,直流を交流に変換するDC−DCコンバータ11,及びインバータ10とDC−DCコンバータ11とを制御するエレクトロコントロールユニット(ECU)12で構成されている。ECU12は,発電機2及び電動機3による車両駆動について,全体的にコントロールすることができる頭脳である。ディーゼルエンジン1の駆動で発電機2が発電した三相交流35は制御装置4のインバータ10へ入力される。電動機3は,インバータ10からの三相交流35で作動されて駆動ギア7を介して駆動軸の車軸6を回転させ駆動輪31を駆動する。
【0022】
このシリーズハイブリット型自動車は,図6に示されるように,排気ガス浄化装置23を備えており,制御装置4は,排気ガス通路24を流れる排気ガスの温度を検出する温度センサ15からの温度信号,自動車30に設けられた車両速度計(図示せず)からの車速信号,車両28に設けられたアクセルのアクセル信号8及びブレーキからのブレーキ信号9が入力されるように構成されている。また,制御装置4は,エンジン速度,エンジン負荷に応じる発電電力量を発電するように,発電機2の作動を制御するため,ディーゼルエンジン1の駆動を制御している。即ち,制御装置4は,ディーゼルエンジン1の燃焼室に適正な所定量の燃料を供給するため,燃料タンク22から燃料加圧ポンプ14を通じて燃料噴射ノズル13からディーゼルエンジン1の燃焼室へ供給する供給燃料量を制御する。更に,制御装置4は,エンジン1へ噴射する燃料噴射ノズル13からの燃料即ち軽油の噴射量,車両28を走行させる電動機3の出力や回転速度,及び排気ガス通路24に噴射する還元用軽油噴射弁16からの還元剤に用いる軽油の噴射量を制御するように構成されている。このシリーズハイブリット型自動車では,還元剤に用いる軽油は,ディーゼルエンジン1の燃料である燃料タンク22の軽油を用いることができ,還元用軽油加圧ポンプ17で加圧されて供給パイプ36を通じて還元用軽油噴射弁16から排気ガス通路24に設置された排気ガス浄化装置23のNOX 還元触媒20の上流に供給することができ,別途の還元剤用のタンクを不要にしている。
【0023】
このシリーズハイブリット型自動車は,概して,蓄電池5の電気エネルギーで電動機3を駆動して車両を走行させる電気自動車モードと,エンジン1を駆動して発電機2で発電する発電エネルギーで電動機3を直接駆動して車両28を走行させ又は蓄電池5に蓄積された電気エネルギーで電動機3を駆動して車両28を走行させるハイブリッド自動車モードとを備えているものである。ハイブリッド自動車モードで電動機3を駆動して車両28を走行させる時には,制御装置4は,車両28の走行速度,加速,減速等に対するドライバーの意志を,アクセル信号8及びブレーキ信号9から受け取り,電動機3で車両28の車軸6を駆動する。又は,このシリーズハイブリット型自動車は,車両28のブレーキ時には,電動機3が車軸6より駆動されて,電動機3が発電機となってブレーキ負荷を電気エネルギーに回生し,蓄電池5に蓄電する。
【0024】
このシリーズハイブリット型自動車では,車両28を走行させる場合に,電動機3に必要な電気エネルギーは,エンジン1で駆動される発電機2により発電され,その電気エネルギーは車軸6を回転させるために直接消費され,この時には蓄電池5には電気エネルギーは充電されない。発電機2を駆動するエンジン1は,燃料噴射ノズル13からの燃焼室へ軽油でなる燃料の噴射量で制御されるが,この時,温度センサ15によって排気ガス温度即ち排気温度を検出し,該排気温度が予め決められた温度範囲内になるように,制御装置4は,発電機3の発電電力をコントロールするものであり,例えば,目標排気温度より低い場合には,発電機3の発電電力量を増大させ,目標排気温度より高い場合には,発電機3の発電電力量を減少させるように制御する。電動機3に必要な消費電力量MPと,発電機2の発電電力量GPとが等しいことが好ましいが,MPとGPに差があって,GP>MPの時には,その差の電力を蓄電池5に充電し,MP>GPの時には,その差の電力を蓄電池5から電動機3に電力を供給して補填し,それによって,排気ガスの排気温度を予め決められた所定の温度範囲内に保持するように制御する。
【0025】
このシリーズハイブリット型自動車は,排気ガス浄化装置23を搭載しており,特に,ディーゼルエンジン1からの排気ガスを排出する排気ガス通路24の下流に軽油を還元剤に用いたNOX 還元触媒20とDPFから成る排気ガス浄化装置23を装着していることを特徴としている。ディーゼルエンジン1は,燃料が軽油であるので,排気ガス浄化装置23におけるNOX の浄化に用いる還元剤として軽油を使用することによって,還元剤のための還元剤タンク等を不要にし,装置そのものを小形化し,コストを低減させるのに有効である。図2には,NOX 還元触媒における排気温度とNOX 浄化率との関係が示されている。図3には,NOX 還元触媒上におけるガス温度と煤燃焼割合が示されている。図2におけるNOX 浄化率,及び図3における煤燃焼割合によると,次のとおりである。即ち,図2から分かるように,NOX 浄化率は350℃から500℃の温度範囲で,NOX 還元剤が活性化することが分かる。また,図3から分かるように,NOX 還元触媒上に付着させた煤は,およそ300℃から燃焼を始め,約370℃から燃焼が活発になり,600℃ではPMの燃焼が盛んに成る。このことからも排気温度は,375℃以上が好ましいことになる。軽油を還元剤とした選択還元のNOX 還元触媒20は,低温時のNOX 浄化率が低いものの350〜450℃においては90%以上のNOX 浄化率を得ることができる。そこで,排気ガスの排気温度が所定の温度範囲内であることが,NOX 浄化率をアップすることに有効であり,そのため,このシリーズハイブリット型自動車では,所定の排気温度の範囲は,排気ガス浄化装置の有効性を考慮して,350℃〜450℃が好ましいことが分かる。実際には,排気温度と排気ガス浄化装置23における触媒を担持させた担体の温度は,20℃程度遅れるので,排気温度を一定の温度範囲に保持させるため,NOX 還元触媒20等の有効性を考慮すると,370℃〜430℃の範囲が好ましいことになる。
【0026】
このシリーズハイブリット型自動車では,排気ガス浄化装置23を,NOX 還元触媒20をセラミックフィルタや金網フイルタに担持させることによって,PMの浄化とNOX の浄化とを同時に行うことができ,排気ガス浄化装置23を小型化に構成し,低コストなシステムに構成することができる。排気ガス浄化装置23は,図7に示すように,フィルタで捕集したPMを,NOX 還元触媒20の上流に設けた酸化触媒21により排気ガスに含まれるNOをNO2 に変換し,酸化されたNO2 により,PMを低温燃焼させることもでき,その場合にも,酸化触媒21を,小型化することが重要である。酸化触媒21については,例えば,後述するワイヤを立体的に編み込んだ金網を特殊形状に成形することによって,小型化し,低コストでNOX とPMとを同時に低減することを可能にする。
【0027】
排気ガス浄化装置23は,例えば,担体がセラミック多孔質29から構成されたウォールフロータイプのハニカムから一体構造に構成されたセラミック製ハニカムの場合に,図8に示すように,ハニカム部材は入口と出口がそれぞれ交互に封止されており,ハニカムセラミックスの表面は,NOX 還元触媒20が担持されている。NOX 還元触媒20では,NOX は,還元用軽油噴射弁16より噴射された還元剤としての軽油により,N2 に還元される。又は,多孔質セラミックス29により捕集されたPMは,NOX 還元触媒20上で,CO2 ,H2 O等に酸化反応されて消失して無害化される。また,図7に示すように,排気ガス浄化装置23の上流に配置されている混合用ベーン19は,還元用軽油噴射弁16より噴射された軽油を排気ガス浄化装置23に均一に分散させてて供給する機能を果たす。排気ガス浄化装置23には,NOX 還元触媒20の上流に酸化触媒21を設けることができ,酸化触媒21は,エンジン1から排出された排気ガス中のPMが多い場合に,酸化触媒21によってNOをNO2 に変換させて,NO2 により金網や多孔質セラミックス29に捕集したPMを,低温で燃焼させて消失される。NOX 還元触媒20は,アルミナ上に銀を担持したものが好ましく,NOX をN2 に還元させることができる。
【0028】
このシリーズハイブリット型自動車は,上記のとおりであり,制御装置4は,ハイブリッド自動車モードに切り換えたときに,ハイブリッド自動車モードの必要電力が発電機3からの発電電力を優先的に用いて不足分のみを蓄電池5から補充すると共に,発電機3の発電電力が過大になったときに,その差分を蓄電池5に充電し且つエンジン1の排気温度が予め決められた所定の温度範囲内になるように発電機2の回転速度を変化させて走行に必要な発電電力量を確保できるように制御している。このシリーズハイブリット型自動車は,エンジン1としては,排気温度を一定範囲に制御して負荷を予め決められた範囲内で自動車30を走行させるため,予混合圧縮着火ディーゼルエンジンを用いている。
【0029】
このシリーズハイブリット型自動車は,排気ガス浄化装置23として,上記のように,DPFをウォールフロータイプのセラミック製ハニカム18で作製することができるが,金網帯体33で構成することができる。金網タイプの排気ガス浄化装置23は,例えば,本発明者が先に開発した特開2008−296210号公報及び特開2009−671号公報に開示されている排気ガス浄化装置を使用することができる。そこで,ここでは,図9,図10及び図11を参照して,金網タイプの排気ガス浄化装置23を簡単に説明する。金網を,金網帯体33に形成し,金網帯体33を,稜線32と溝34から成り且つ稜線32が屈折して屈折路25が形成されるように成形する。次いで,屈折路25を有する波板状の波板帯体26を重ねて又は巻き上げて柱状体27に構成し,これを担体として構成する。この金網タイプでは,屈折路25が主として排気ガスが流れる通路を形成し,排気ガスの流れが抵抗なくスムーズになり,PMの捕集とPMの酸化反応を促進することができる。この金網タイプの排気ガス浄化装置23は,排気ガス浄化用の担体として波板帯体26を構成する金網の表面にNOX 還元触媒20を担持させたものを使用し,NOX の還元反応を促進させる。
【0030】
このシリーズハイブリット型自動車において,制御装置4は,ディーゼルエンジン1の回転速度をディーゼルエンジン1に設けた発電機2の発電電力量によって制御するように構成されている。また,排気ガス浄化装置23については,上記のように,NOX 還元触媒20とDPFは,屈折路25を有する波板状に金網帯体33を折り曲げた波板帯体26を重ねた柱状体27から一体構造に構成され,波板帯体26の表面にはNOX 還元触媒20が担持されている。或いは,NOX 還元触媒とDPFは,セラミックスから成るウォールフロータイプのセラミック製ハニカム18から一体構造に構成され,セラミックスの表面には,NOX 還元触媒20が担持されているものである。
【0031】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,制御装置4は,ディーゼルエンジン1の排気温度が370℃〜430℃に温度範囲内になるように制御するように設定されている。また,排気ガス浄化装置23における還元剤としては,燃料タンク22に貯蔵されている燃料の軽油を用い,NOX 還元触媒20の上流側の排気ガス通路24に配設した還元用軽油噴射弁16から軽油が噴射供給され,排気ガス中に含まれるNOX をN2 に変換して排気ガスを浄化するものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明によるシリーズハイブリット型自動車は,例えば,安価で,低燃費で,しかも有害成分を排出しない環境に優しい自動車に使用して好ましいものである。
【符号の説明】
【0033】
1 エンジン(ディーゼルエンジン)
2 発電機
3 電動機
4 制御装置
5 蓄電池
16 還元用軽油噴射弁
18 セラミック製ハニカム(ウォールフロータイプ)
20 NOX 還元触媒
23 排気ガス浄化装置
24 排気ガス通路
25 屈折路
26 波板帯体
27 柱状体
28 車両
30 自動車
32 稜線
33 金網帯体
34 溝
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,電気自動車モードとハイブリット自動車モードとから構成された排気ガス浄化装置を備えたシリーズハイブリット型自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に,電気自動車は二酸化炭素の排出量の低減効果が極めて大きく,ガソリンエンジンに比較して75%削減が可能である。この理由により各自動車メーカーより電気自動車の開発が相次いでいる。しかしながら,現在の電気自動車は,高額なリチウムイオン電池を大量に搭載しているにもかかわらず,その航続距離は同クラスのガソリンエンジン車両に比較して1/3程度であり,また,燃料代が1/4〜1/8になるが,車両価格は3倍以上であり,車両価格差を埋めるには数十万キロを走行する必要があり,実用化できるには多くの問題を有している。また,電気自動車に必要な高速充電設備等のインフラ整備もこれからであり,蓄電池への充電に問題がある状況である。電池の性能改善は急速に進んではいるが,経済産業省が電気自動車に見合う電池の性能と目標設定した2030年に出力密度7倍,価格1/40はまだ見通しは得られていない状況である。これらの理由から本格的に電気自動車が普及し,省エネルギーに貢献できるには相当の日数がかかる現状である。
【0003】
従来,発電量を極力維持しつつ,各部の温度条件を満たすことができる運転点に発電機と発電機駆動用エンジンを制御する電気自動車の発電制御装置が知られている。該電気自動車の発電制御装置は,発電要求があると,発電要求量が得られ,最良燃費が得られる基本運転点が設定され,触媒温度が設定点より低い場合は基本運転点を発電要求量を維持しつつ排気温度を増大できる運転点に変更し,各部温度が設定値より高い場合は,発電要求量を維持しつつ排気温度を低減できる運転点に変更し,それでも各部温度が設定値より高い場合には,排気温度を効果的に低減できる運転点に変更する。これにより,発電量を維持しつつ,各部の温度条件を満たすことができ,以って動力性能を維持しながら,例えば燃費性能,排気性能の低下,備品劣化を抑制する(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,有害ガスの発生量を減少させるハイブリット車のエンジン駆動発電機の制御装置が知られている。該制御装置は,ECUは,エンジンを始動し発電機によって発電した電力をバッテリ,又はモータの少なくとも一方に供給する。エンジン始動の際に,ECUはエンジンコントローラ及び発電制御コントローラを制御して,エンジンの回転数及び発電機の界磁電流を所定値に設定する。これによってエンジンの負荷を所定のものとして,エンジン出力及び回転数を所定のものに設定した状態でエンジンを運転できる。そこで,排気温度及び排気量を適切なものにでき,エンジンの暖機運転時間を減少することができ,トータルとしての有害ガス発生量を減少する(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,シリーズ式ハイブリット型電気自動車のエンジンから大気中に放出されるNOX の量を低減可能なハイブリット電気自動車の排気浄化装置が知られている。該ハイブリット電気自動車の排気浄化装置は,エンジンの排気通路にアンモニア選択還元型NOX 触媒を介装し,その上流側の排気中に尿素水を供給する尿素水インジェクタを設ける。バッテリの充電状態に応じてエンジンを始動後,排気温度が所定温度に達するまでは尿素水供給を停止すると共に,比較的大きなEGR率として燃料噴射時期を遅角させた第1運転モードでエンジンを運転することによりエンジン本体からのNOX の排出を抑制し,排気温度が所定温度に達するとエンジンをEGR率及び燃料噴射時期の遅角量が低減された第2運転モードで運転すると共に,尿素水を供給してアンモニア選択還元型NOX 触媒でNOX の選択還元を行う(例えば,特許文献3参照)。
【0006】
また,シリーズ式ハイブリット型電気自動車のエンジンの始動時に,アンモニアスリップを生じることなく,アンモニア選択還元型NOX 触媒の排気浄化効率を向上させるハイブリット電気自動車の排気浄化装置が知られている。該ハイブリット電気自動車の排気浄化装置は,エンジンの排気通路にアンモニア選択還元型NOX 触媒を介装し,その上流側の排気中に尿素水を供給する尿素水インジェクタを設ける。バッテリの充電状態に応じてエンジンを始動又は停止させると共に,エンジンの運転状態に応じて尿素水インジェクタを制御し,エンジンを停止させる場合には,停止前の所定期間にわたり,アンモニア選択還元型NOX 触媒へのアンモニア吸着量を増大させる吸着量増大運転を行う。再びエンジンを始動した場合には,エンジンの回転数及び負荷を除々に目標値に近づけることにより,エンジンの排気温度の上昇度合いを緩やかにする(例えば,特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−82093号公報
【特許文献2】特開平5−328528号公報
【特許文献3】特開2009−115050号公報
【特許文献4】特開2009−113581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気自動車については,上記の理由により,エンジンと電動機を用いたハイブリットエンジンが実用化され,また,蓄電池の搭載量を増やして短距離ならば,エンジンを駆動させずに,搭載蓄電池のエネルギーのみを用いたプラグインハイブリット車の発売も計画されているが,搭載蓄電池による走行距離は20km程度と短く,十分でないのが現状である。また,搭載エンジンは,熱効率から考えれば,ディーゼルエンジンが好ましいが,ディーゼルエンジン本体が高価であること,NOX 及び粒子状物質(以下,PMと記載)の排気ガス浄化に対する問題解決と高コストの問題解決が克服できていないことを理由に実用化にいたっていないのが現状である。そこで,安価で小型のディーゼルエンジンを発電用に搭載できれば,燃費が安価で走行距離を延ばすことが考えられる。
【0009】
しかしながら,ディーゼルエンジンをハイブリット自動車に用いる場合に,ディーゼルエンジンから放出される排気ガスに含まれるNOX 及びPMを浄化するという規制に適合する必要があり,環境に優しいディーゼルエンジンを提供することが重要である。排気ガス中のNOX の削減は,尿素を還元剤として用いるNOX 選択還元触媒(尿素SCR)等を用いて,NOX をN2 に還元して無害化することが必要である。また,排気ガスの浄化に尿素触媒を有効に活用するためには尿素触媒の上流に酸化触媒を配置して排気ガス中のNOの一部をNO2 に酸化することで,NOX 浄化率が高くなることが知られている。更に,尿素を供給するインフラの整備が必要であり,また,PMを捕集再生するためにディーゼルパティキュレートフイルタ(以下,DPF)が必要となり,これらを小型ディーゼルエンジンの後処理に用いるためには,車両への搭載上も問題であり,コストの問題を解決する必要があり,実用化に至っていないのが現状である。
【0010】
この発明の目的は,上記の問題を解決することであり,例えば,プラグインハイブリット形自動車としながら,電気エネルギーを有効に活用すると共に,発電用ディーゼルエンジンを厳しい排気ガス浄化の規制に適合させながら,ディーゼルエンジンをトータルとして安価に作ることによって,ディーゼルハイブリット車を完成させることができ,省エネルギーに貢献すると共に,低CO2 排出に貢献できることを可能にし,電気自動車モード又はハイブリット自動車モードで車両を走行させることができるシリーズハイブリット型自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は,蓄電池,走行用電動機,発電機を備えたエンジン,並びに前記走行用電動機,前記発電機及び前記エンジンを制御する制御装置を車両に搭載しており,前記蓄電池の電気エネルギーのみを用いて走行する電気自動車モードと,前記発電機で発電する発電エネルギー及び前記蓄電池に蓄積された前記電気エネルギーを用いて走行するハイブリッド自動車モードとを備えていることから成るハイブリット自動車において,
前記制御装置は,前記ハイブリッド自動車モードに切り換えたときに,前記ハイブリッド自動車モードに必要な電力を前記発電機からの発電電力を優先的に用いて不足分の電力を前記蓄電池から補充し,前記発電機の発電電力が過大であるときに前記必要な電力との差分を前記蓄電池に充電する制御をし,且つ前記エンジンの排気温度が予め決められた所定の温度範囲になるように前記発電機の回転速度を変化させて前記必要な発電電力を確保するように制御し,前記エンジンとして燃料が軽油であるディーゼルエンジンを用い,前記ディーゼルエンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路の下流に前記軽油を還元剤に用いたNOX 還元触媒とDPFとから成る排気ガス浄化装置を装着していることを特徴とするシリーズハイブリット型自動車に関する。
【0012】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,前記予め決められた所定の温度範囲に制御される前記排気温度は,前記NOX 還元触媒が活性化する温度と前記排気ガスに含まれるPMの燃焼反応の活性化する温度で決定されている。また,前記制御装置は,前記ディーゼルエンジンの回転速度を前記発電機の発電電力に応じて制御するものである。
【0013】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,前記NOX 還元触媒と前記DPFは,金網を稜線と溝とから屈折路に折り曲げ成形した波板帯体を重ねた柱状体から一体構造に構成され,前記金網の表面には前記NOX 還元触媒が担持されているものである。或いは,前記NOX 還元触媒と前記DPFは,セラミックスから成るウォールフロータイプのハニカムから一体構造に構成され,前記セラミックスの表面に前記NOX 還元触媒が担持されているものである。
【0014】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,前記エンジンの前記排気温度は,前記制御装置によって前記エンジンへ供給する燃料の供給量を制御して370℃〜430℃になるように制御されるものである。
【0015】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,前記エンジンは予混合圧縮着火ディーゼルエンジンである。また,前記還元剤に用いる前記軽油は,前記NOX 還元触媒の上流側の前記排気ガス通路に配設した還元用軽油噴射弁から供給され,前記排気ガス中に含まれるNOX をN2 に変換して前記排気ガスを浄化するものである。
【発明の効果】
【0016】
このシリーズハイブリット型自動車は,上記のように,発電用ディーゼルエンジンには排気ガス浄化装置が設けられているので,ディーゼルエンジンから排出されるNOX 及び粒子状物質やSOF(可溶有機成分)のPMの有害成分を消失させることができ,特に,ディーゼルエンジンの駆動状態を予め決められた所定の排気温度の範囲内に制御するので,NOX 還元触媒等の触媒を活性化させると共に,PMの燃焼反応を活性化させることができ,有害成分を効果的に浄化して消失させることができ,環境に優しく構成でき,また,発電用発電機の発電量をディーゼルエンジンの排気温度で常時制御するので,NOX 還元触媒や酸化触媒等が長寿命となって耐久性をアップし,燃料の軽油を還元剤として用いるので,供給パイプを要するのみで触媒用のタンク等を不用にし,更に,排気温度を適正な温度に制御するので,ディーゼルエンジンや発電機を小形化でき,装置全体として小形化することができ,安価に低燃費車を製造することができるシリーズハイブリット型自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明によるシリーズハイブリット型自動車の基本概念を示す概略説明図である。
【図2】NOX 還元触媒における排気温度に対するNOX 浄化率の関係を示すグラフである。
【図3】NOX 還元触媒上における排気温度とPM(煤とSOF)の燃焼割合の関係を示すグラフである。
【図4】この発明によるシリーズハイブリット型自動車の実施例を示す概略機構図である。
【図5】図4のシリーズハイブリット型自動車の基本構成を示すブロック概略図である。
【図6】図4のシリーズハイブリット型自動車に組み込まれる排気ガス浄化装置を備えたシステムを示す概略説明図である。
【図7】図4のシリーズハイブリット型自動車に組み込まれる排気ガス浄化装置の別の実施例を示す概略説明図である。
【図8】図6のシリーズハイブリット型自動車に組み込まれた排気ガス浄化装置におけるフイルタの一例を示し,Aは多孔質セラミックスを示し,Bはセラミックスの表面にNOX 還元触媒を付着した状態を示す概略説明図である。
【図9】図6のシリーズハイブリット型自動車に組み込まれた排気ガス浄化装置におけるフイルタの金網タイプを示し,波板帯体による柱状体の一例を示す概略斜視図である。
【図10】図9金網タイプのフイルタを示し,波板帯体を重ねた柱状体を示す正面図である。
【図11】図9金網タイプのフイルタを示し,波板帯体を重ねた柱状体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,図面を参照して,この発明によるシリーズハイブリット型自動車の実施例について説明する。図1は,この発明によるシリーズハイブリット型自動車の基本概念を示す概略説明図である。この発明によるシリーズハイブリット型自動車は,例えば,軽自動車クラスを用いた車両28であり,主に首都圏での使用を念頭にいれたものであり,週末には走行用電動機3によって長距離も走行可能とすることによって幅広く活用できる汎用型であり,現状のガソリンエンジン車に比較して最小限の価格で提供させて普及させることにより,省エネルギーに貢献することを目指した自動車30である。そのため,自動車30は,ディーゼルエンジン1に燃料の軽油を供給するための燃料タンク22を備えており,車両28に搭載する蓄電池5を最少即ち小型に構成し,その代わりに,発電機2を発電させる超小型のクリーンディーゼルエンジン1を搭載し,発電機2で発電した電気エネルギーによって蓄電池5の不足分を補填するシステムに構成されている。ディーゼルエンジン1には,燃料タンク22の軽油が燃料加圧ポンプ14で加圧されて供給パイプ37を通じて燃料噴射ノズル13から燃焼室に供給される。蓄電池5は,例えば,家庭用100V電源で一晩に充電でき,かつユーザーが1日に走行する距離をほぼカバーできる最小限のリチウムイオン電池で構成されている。
【0019】
このシリーズハイブリット型自動車は,車両28に搭載する蓄電池5を最小のものとするため,電気エネルギーの補填としてディーゼルエンジン1を駆動して発電機2で発電させると共に,ディーゼルエンジン1から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置23を備えており,低コストで且つコンパクトで実施できるように構成されており,それによって発電走行時に高い省エネルギーを得ることができる。排気ガス浄化装置23として,NOX 還元触媒とDPF(ディーゼルパティキュレートフイルタ)とを兼ねたタイプの排気ガス浄化装置を用いると,装置そのものを更に小形化できる。ディーゼルエンジン1は,発電用の超小型であり,発電機2は,必要に応じてディーゼルエンジン1を駆動して発電するように制御装置4でコントロールされている。ディーゼルエンジン1は,特に,作動時の負荷が常時予め決められた範囲内に設定されており,排気温度をNOX とPMの浄化に最適な温度域に保持しつつ,その領域で高い熱効率を得るようにエンジン仕様が決められている。また,ディーゼルエンジン1からの排気ガスを排出する排気ガス通路24には,排気ガス浄化装置23が配設されている。排気ガス浄化装置23は,ここでは,詳細を記載していないが,DPFとHC―SCR(軽油を還元剤とした窒素酸化物還元装置)との機能を併せ持つタイプであり,排気ガスを効果的に浄化するように構成されている。即ち,ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス中には,NOX ,煤や可溶有機成分(SOF)等の粒子状物質(PM)が含まれているので,自動車30として実用化するためには,エンジン1から排出される排気ガスの浄化が重要なことになる。
【0020】
このシリーズハイブリット型自動車は,概して,蓄電池5,走行用電動機3,発電機2を備えたエンジン1,並びに,走行用電動機3,発電機2及びエンジン1を制御する制御装置4を車両28に搭載している。このシリーズハイブリット型自動車において,駆動輪31は,図4に示すように,電動機3の作動によって駆動ギア7を通じて駆動軸の車軸6を回転させて作動され,電動機3は,制御装置4の制御に応じて,蓄電池5からの電気エネルギー又はディーゼルエンジン1の駆動によって発電機2が発電した発電エネルギーによって直接作動される。制御装置4には,アクセル信号8及びブレーキ信号9が入力され,制御装置4はそれらの信号に応答して電動機3を作動する。ディーゼルエンジン1には,吸気マニホールド38及び排気マニホールド39を有しており,排気マニホールド39には排気ガス通路24が接続され,排気ガス通路24には排気ガス浄化装置23が設置されている。発電機2は,必要に応じてエンジン1の駆動により発電を行うものである。電動機3は,車両28の走行用に作動するものであり,ブレーキ時にはそのエネルギーは回生されて蓄電池5に蓄電される。
【0021】
制御装置4は,主として,図5に示すように,三相交流35を出力するインバータ10,直流を交流に変換するDC−DCコンバータ11,及びインバータ10とDC−DCコンバータ11とを制御するエレクトロコントロールユニット(ECU)12で構成されている。ECU12は,発電機2及び電動機3による車両駆動について,全体的にコントロールすることができる頭脳である。ディーゼルエンジン1の駆動で発電機2が発電した三相交流35は制御装置4のインバータ10へ入力される。電動機3は,インバータ10からの三相交流35で作動されて駆動ギア7を介して駆動軸の車軸6を回転させ駆動輪31を駆動する。
【0022】
このシリーズハイブリット型自動車は,図6に示されるように,排気ガス浄化装置23を備えており,制御装置4は,排気ガス通路24を流れる排気ガスの温度を検出する温度センサ15からの温度信号,自動車30に設けられた車両速度計(図示せず)からの車速信号,車両28に設けられたアクセルのアクセル信号8及びブレーキからのブレーキ信号9が入力されるように構成されている。また,制御装置4は,エンジン速度,エンジン負荷に応じる発電電力量を発電するように,発電機2の作動を制御するため,ディーゼルエンジン1の駆動を制御している。即ち,制御装置4は,ディーゼルエンジン1の燃焼室に適正な所定量の燃料を供給するため,燃料タンク22から燃料加圧ポンプ14を通じて燃料噴射ノズル13からディーゼルエンジン1の燃焼室へ供給する供給燃料量を制御する。更に,制御装置4は,エンジン1へ噴射する燃料噴射ノズル13からの燃料即ち軽油の噴射量,車両28を走行させる電動機3の出力や回転速度,及び排気ガス通路24に噴射する還元用軽油噴射弁16からの還元剤に用いる軽油の噴射量を制御するように構成されている。このシリーズハイブリット型自動車では,還元剤に用いる軽油は,ディーゼルエンジン1の燃料である燃料タンク22の軽油を用いることができ,還元用軽油加圧ポンプ17で加圧されて供給パイプ36を通じて還元用軽油噴射弁16から排気ガス通路24に設置された排気ガス浄化装置23のNOX 還元触媒20の上流に供給することができ,別途の還元剤用のタンクを不要にしている。
【0023】
このシリーズハイブリット型自動車は,概して,蓄電池5の電気エネルギーで電動機3を駆動して車両を走行させる電気自動車モードと,エンジン1を駆動して発電機2で発電する発電エネルギーで電動機3を直接駆動して車両28を走行させ又は蓄電池5に蓄積された電気エネルギーで電動機3を駆動して車両28を走行させるハイブリッド自動車モードとを備えているものである。ハイブリッド自動車モードで電動機3を駆動して車両28を走行させる時には,制御装置4は,車両28の走行速度,加速,減速等に対するドライバーの意志を,アクセル信号8及びブレーキ信号9から受け取り,電動機3で車両28の車軸6を駆動する。又は,このシリーズハイブリット型自動車は,車両28のブレーキ時には,電動機3が車軸6より駆動されて,電動機3が発電機となってブレーキ負荷を電気エネルギーに回生し,蓄電池5に蓄電する。
【0024】
このシリーズハイブリット型自動車では,車両28を走行させる場合に,電動機3に必要な電気エネルギーは,エンジン1で駆動される発電機2により発電され,その電気エネルギーは車軸6を回転させるために直接消費され,この時には蓄電池5には電気エネルギーは充電されない。発電機2を駆動するエンジン1は,燃料噴射ノズル13からの燃焼室へ軽油でなる燃料の噴射量で制御されるが,この時,温度センサ15によって排気ガス温度即ち排気温度を検出し,該排気温度が予め決められた温度範囲内になるように,制御装置4は,発電機3の発電電力をコントロールするものであり,例えば,目標排気温度より低い場合には,発電機3の発電電力量を増大させ,目標排気温度より高い場合には,発電機3の発電電力量を減少させるように制御する。電動機3に必要な消費電力量MPと,発電機2の発電電力量GPとが等しいことが好ましいが,MPとGPに差があって,GP>MPの時には,その差の電力を蓄電池5に充電し,MP>GPの時には,その差の電力を蓄電池5から電動機3に電力を供給して補填し,それによって,排気ガスの排気温度を予め決められた所定の温度範囲内に保持するように制御する。
【0025】
このシリーズハイブリット型自動車は,排気ガス浄化装置23を搭載しており,特に,ディーゼルエンジン1からの排気ガスを排出する排気ガス通路24の下流に軽油を還元剤に用いたNOX 還元触媒20とDPFから成る排気ガス浄化装置23を装着していることを特徴としている。ディーゼルエンジン1は,燃料が軽油であるので,排気ガス浄化装置23におけるNOX の浄化に用いる還元剤として軽油を使用することによって,還元剤のための還元剤タンク等を不要にし,装置そのものを小形化し,コストを低減させるのに有効である。図2には,NOX 還元触媒における排気温度とNOX 浄化率との関係が示されている。図3には,NOX 還元触媒上におけるガス温度と煤燃焼割合が示されている。図2におけるNOX 浄化率,及び図3における煤燃焼割合によると,次のとおりである。即ち,図2から分かるように,NOX 浄化率は350℃から500℃の温度範囲で,NOX 還元剤が活性化することが分かる。また,図3から分かるように,NOX 還元触媒上に付着させた煤は,およそ300℃から燃焼を始め,約370℃から燃焼が活発になり,600℃ではPMの燃焼が盛んに成る。このことからも排気温度は,375℃以上が好ましいことになる。軽油を還元剤とした選択還元のNOX 還元触媒20は,低温時のNOX 浄化率が低いものの350〜450℃においては90%以上のNOX 浄化率を得ることができる。そこで,排気ガスの排気温度が所定の温度範囲内であることが,NOX 浄化率をアップすることに有効であり,そのため,このシリーズハイブリット型自動車では,所定の排気温度の範囲は,排気ガス浄化装置の有効性を考慮して,350℃〜450℃が好ましいことが分かる。実際には,排気温度と排気ガス浄化装置23における触媒を担持させた担体の温度は,20℃程度遅れるので,排気温度を一定の温度範囲に保持させるため,NOX 還元触媒20等の有効性を考慮すると,370℃〜430℃の範囲が好ましいことになる。
【0026】
このシリーズハイブリット型自動車では,排気ガス浄化装置23を,NOX 還元触媒20をセラミックフィルタや金網フイルタに担持させることによって,PMの浄化とNOX の浄化とを同時に行うことができ,排気ガス浄化装置23を小型化に構成し,低コストなシステムに構成することができる。排気ガス浄化装置23は,図7に示すように,フィルタで捕集したPMを,NOX 還元触媒20の上流に設けた酸化触媒21により排気ガスに含まれるNOをNO2 に変換し,酸化されたNO2 により,PMを低温燃焼させることもでき,その場合にも,酸化触媒21を,小型化することが重要である。酸化触媒21については,例えば,後述するワイヤを立体的に編み込んだ金網を特殊形状に成形することによって,小型化し,低コストでNOX とPMとを同時に低減することを可能にする。
【0027】
排気ガス浄化装置23は,例えば,担体がセラミック多孔質29から構成されたウォールフロータイプのハニカムから一体構造に構成されたセラミック製ハニカムの場合に,図8に示すように,ハニカム部材は入口と出口がそれぞれ交互に封止されており,ハニカムセラミックスの表面は,NOX 還元触媒20が担持されている。NOX 還元触媒20では,NOX は,還元用軽油噴射弁16より噴射された還元剤としての軽油により,N2 に還元される。又は,多孔質セラミックス29により捕集されたPMは,NOX 還元触媒20上で,CO2 ,H2 O等に酸化反応されて消失して無害化される。また,図7に示すように,排気ガス浄化装置23の上流に配置されている混合用ベーン19は,還元用軽油噴射弁16より噴射された軽油を排気ガス浄化装置23に均一に分散させてて供給する機能を果たす。排気ガス浄化装置23には,NOX 還元触媒20の上流に酸化触媒21を設けることができ,酸化触媒21は,エンジン1から排出された排気ガス中のPMが多い場合に,酸化触媒21によってNOをNO2 に変換させて,NO2 により金網や多孔質セラミックス29に捕集したPMを,低温で燃焼させて消失される。NOX 還元触媒20は,アルミナ上に銀を担持したものが好ましく,NOX をN2 に還元させることができる。
【0028】
このシリーズハイブリット型自動車は,上記のとおりであり,制御装置4は,ハイブリッド自動車モードに切り換えたときに,ハイブリッド自動車モードの必要電力が発電機3からの発電電力を優先的に用いて不足分のみを蓄電池5から補充すると共に,発電機3の発電電力が過大になったときに,その差分を蓄電池5に充電し且つエンジン1の排気温度が予め決められた所定の温度範囲内になるように発電機2の回転速度を変化させて走行に必要な発電電力量を確保できるように制御している。このシリーズハイブリット型自動車は,エンジン1としては,排気温度を一定範囲に制御して負荷を予め決められた範囲内で自動車30を走行させるため,予混合圧縮着火ディーゼルエンジンを用いている。
【0029】
このシリーズハイブリット型自動車は,排気ガス浄化装置23として,上記のように,DPFをウォールフロータイプのセラミック製ハニカム18で作製することができるが,金網帯体33で構成することができる。金網タイプの排気ガス浄化装置23は,例えば,本発明者が先に開発した特開2008−296210号公報及び特開2009−671号公報に開示されている排気ガス浄化装置を使用することができる。そこで,ここでは,図9,図10及び図11を参照して,金網タイプの排気ガス浄化装置23を簡単に説明する。金網を,金網帯体33に形成し,金網帯体33を,稜線32と溝34から成り且つ稜線32が屈折して屈折路25が形成されるように成形する。次いで,屈折路25を有する波板状の波板帯体26を重ねて又は巻き上げて柱状体27に構成し,これを担体として構成する。この金網タイプでは,屈折路25が主として排気ガスが流れる通路を形成し,排気ガスの流れが抵抗なくスムーズになり,PMの捕集とPMの酸化反応を促進することができる。この金網タイプの排気ガス浄化装置23は,排気ガス浄化用の担体として波板帯体26を構成する金網の表面にNOX 還元触媒20を担持させたものを使用し,NOX の還元反応を促進させる。
【0030】
このシリーズハイブリット型自動車において,制御装置4は,ディーゼルエンジン1の回転速度をディーゼルエンジン1に設けた発電機2の発電電力量によって制御するように構成されている。また,排気ガス浄化装置23については,上記のように,NOX 還元触媒20とDPFは,屈折路25を有する波板状に金網帯体33を折り曲げた波板帯体26を重ねた柱状体27から一体構造に構成され,波板帯体26の表面にはNOX 還元触媒20が担持されている。或いは,NOX 還元触媒とDPFは,セラミックスから成るウォールフロータイプのセラミック製ハニカム18から一体構造に構成され,セラミックスの表面には,NOX 還元触媒20が担持されているものである。
【0031】
また,このシリーズハイブリット型自動車において,制御装置4は,ディーゼルエンジン1の排気温度が370℃〜430℃に温度範囲内になるように制御するように設定されている。また,排気ガス浄化装置23における還元剤としては,燃料タンク22に貯蔵されている燃料の軽油を用い,NOX 還元触媒20の上流側の排気ガス通路24に配設した還元用軽油噴射弁16から軽油が噴射供給され,排気ガス中に含まれるNOX をN2 に変換して排気ガスを浄化するものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明によるシリーズハイブリット型自動車は,例えば,安価で,低燃費で,しかも有害成分を排出しない環境に優しい自動車に使用して好ましいものである。
【符号の説明】
【0033】
1 エンジン(ディーゼルエンジン)
2 発電機
3 電動機
4 制御装置
5 蓄電池
16 還元用軽油噴射弁
18 セラミック製ハニカム(ウォールフロータイプ)
20 NOX 還元触媒
23 排気ガス浄化装置
24 排気ガス通路
25 屈折路
26 波板帯体
27 柱状体
28 車両
30 自動車
32 稜線
33 金網帯体
34 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池,走行用電動機,発電機を備えたエンジン,並びに前記走行用電動機,前記発電機及び前記エンジンを制御する制御装置を車両に搭載しており,前記蓄電池の電気エネルギーのみを用いて走行する電気自動車モードと,前記発電機で発電する発電エネルギー及び前記蓄電池に蓄積された前記電気エネルギーを用いて走行するハイブリッド自動車モードとを備えていることから成るハイブリット自動車において,
前記制御装置は,前記ハイブリッド自動車モードに切り換えたときに,前記ハイブリッド自動車モードに必要な電力を前記発電機からの発電電力を優先的に用いて不足分の電力を前記蓄電池から補充し,前記発電機の発電電力が過大であるときに前記必要な電力との差分を前記蓄電池に充電する制御をし,且つ前記エンジンの排気温度が予め決められた所定の温度範囲になるように前記発電機の回転速度を変化させて前記必要な発電電力を確保するように制御しており,
前記エンジンとして燃料が軽油であるディーゼルエンジンを用い,前記ディーゼルエンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路の下流に前記軽油を還元剤に用いたNOX 還元触媒とDPFから成る排気ガス浄化装置を装着していることを特徴とするシリーズハイブリット型自動車。
【請求項2】
前記予め決められた所定の温度範囲に制御される前記排気温度は,前記NOX 還元触媒が活性化する温度と前記排気ガスに含まれるPMの燃焼反応の活性化する温度で決定されていることを特徴とする請求項1に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項3】
前記制御装置は,前記ディーゼルエンジンの回転速度を前記発電機の発電電力に応じて制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項4】
前記NOX 還元触媒と前記DPFは,金網を稜線と溝とから屈折路に折り曲げ成形した波板帯体を重ねた柱状体から一体構造に構成され,前記金網の表面には前記NOX 還元触媒が担持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項5】
前記NOX 還元触媒と前記DPFは,セラミックスから成るウォールフロータイプのハニカムから一体構造に構成され,前記セラミックスの表面に前記NOX 還元触媒が担持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項6】
前記エンジンの前記排気温度は,前記制御装置によって前記エンジンへ供給する燃料の供給量を制御して370℃〜430℃になるように制御されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項7】
前記エンジンは予混合圧縮着火ディーゼルエンジンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項8】
前記還元剤に用いる前記軽油は,前記NOX 還元触媒の上流側の前記排気ガス通路に配設した還元用軽油噴射弁から供給され,前記排気ガス中に含まれるNOX をN2 に変換して前記排気ガスを浄化することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項1】
蓄電池,走行用電動機,発電機を備えたエンジン,並びに前記走行用電動機,前記発電機及び前記エンジンを制御する制御装置を車両に搭載しており,前記蓄電池の電気エネルギーのみを用いて走行する電気自動車モードと,前記発電機で発電する発電エネルギー及び前記蓄電池に蓄積された前記電気エネルギーを用いて走行するハイブリッド自動車モードとを備えていることから成るハイブリット自動車において,
前記制御装置は,前記ハイブリッド自動車モードに切り換えたときに,前記ハイブリッド自動車モードに必要な電力を前記発電機からの発電電力を優先的に用いて不足分の電力を前記蓄電池から補充し,前記発電機の発電電力が過大であるときに前記必要な電力との差分を前記蓄電池に充電する制御をし,且つ前記エンジンの排気温度が予め決められた所定の温度範囲になるように前記発電機の回転速度を変化させて前記必要な発電電力を確保するように制御しており,
前記エンジンとして燃料が軽油であるディーゼルエンジンを用い,前記ディーゼルエンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路の下流に前記軽油を還元剤に用いたNOX 還元触媒とDPFから成る排気ガス浄化装置を装着していることを特徴とするシリーズハイブリット型自動車。
【請求項2】
前記予め決められた所定の温度範囲に制御される前記排気温度は,前記NOX 還元触媒が活性化する温度と前記排気ガスに含まれるPMの燃焼反応の活性化する温度で決定されていることを特徴とする請求項1に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項3】
前記制御装置は,前記ディーゼルエンジンの回転速度を前記発電機の発電電力に応じて制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項4】
前記NOX 還元触媒と前記DPFは,金網を稜線と溝とから屈折路に折り曲げ成形した波板帯体を重ねた柱状体から一体構造に構成され,前記金網の表面には前記NOX 還元触媒が担持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項5】
前記NOX 還元触媒と前記DPFは,セラミックスから成るウォールフロータイプのハニカムから一体構造に構成され,前記セラミックスの表面に前記NOX 還元触媒が担持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項6】
前記エンジンの前記排気温度は,前記制御装置によって前記エンジンへ供給する燃料の供給量を制御して370℃〜430℃になるように制御されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項7】
前記エンジンは予混合圧縮着火ディーゼルエンジンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【請求項8】
前記還元剤に用いる前記軽油は,前記NOX 還元触媒の上流側の前記排気ガス通路に配設した還元用軽油噴射弁から供給され,前記排気ガス中に含まれるNOX をN2 に変換して前記排気ガスを浄化することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリーズハイブリット型自動車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−219041(P2011−219041A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92755(P2010−92755)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(509185192)株式会社 ACR (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(509185192)株式会社 ACR (9)
【Fターム(参考)】
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