パターン形成方法、配線形成方法、半導体装置、TFTデバイス、電気光学装置および電子機器
【課題】 基板の表面へ配線となる微細なパターンが形成できるパターン形成方法、配線形成方法、半導体装置、TFTデバイス、電気光学装置および電子機器を提供する。
【解決手段】 液滴吐出装置40を用いて形成するTFT1のゲート配線3およびゲート電極5は、Mnからなるゲート中間層10と、Agからなるゲート導電層11と、Niからなるゲート被覆層12とを有する。配線の形成工程は、TFT基板2との密着性を有し、且つゲート導電層11を形成する液滴32に対して親液性を有する中間層を設けるために、ゲート配線領域3aおよびゲート電極領域5aに対して中間層形成機能液の液滴31を吐出する工程と、ゲート中間層10に重ねてゲート導電層11を形成するために、ゲート配線領域3aに対して液滴32を吐出する工程と、液滴32をゲート中間層10との親液性によってゲート電極領域5aへ自己流動させる工程とを有することを特徴とする。
【解決手段】 液滴吐出装置40を用いて形成するTFT1のゲート配線3およびゲート電極5は、Mnからなるゲート中間層10と、Agからなるゲート導電層11と、Niからなるゲート被覆層12とを有する。配線の形成工程は、TFT基板2との密着性を有し、且つゲート導電層11を形成する液滴32に対して親液性を有する中間層を設けるために、ゲート配線領域3aおよびゲート電極領域5aに対して中間層形成機能液の液滴31を吐出する工程と、ゲート中間層10に重ねてゲート導電層11を形成するために、ゲート配線領域3aに対して液滴32を吐出する工程と、液滴32をゲート中間層10との親液性によってゲート電極領域5aへ自己流動させる工程とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出方式により微細なパターンを形成するパターン形成方法、配線形成方法、半導体装置、TFTデバイス、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液滴吐出方式によって、基板の表面に対して密着性を有し、且つ細線化された配線を形成する方法として、特許文献1に開示されている方法がある。この方法によれば、基板へ導電性機能液を吐出して配線を形成する前に、まず、基板の表面を撥液化処理する。次いで、基板の表面へ、基板および導電性機能液に対して密着性を有する中間層を形成するための材料液を吐出する。材料液は、基板が撥液性のため、吐出後の広がりを抑えることができ、細線の形成が可能である。こうして形成された中間層の上に導電性機能液を吐出すれば、基板との密着性の良い細線の配線が形成できる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−315813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、基板の撥液性によって材料液の広がりを抑えて、配線の細線化を図っている。そのため、さらなる細線化を図るために、基板の撥液性を高めると、材料液と基板との密着性が低下する。また、基板の撥液性に頼った配線の形成は、細線化に限界があるとともに、配線幅のバラツキを抑えた形成が困難である。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされており、基板の表面へ配線となるより微細なパターンが形成できるパターン形成方法、配線形成方法、半導体装置、TFTデバイス、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパターン形成方法は、液滴吐出装置を用いて機能液の液滴を吐出する方法により、基板表面に機能層のパターンを形成するパターン形成方法であって、前記パターンが形成されるパターン領域は境界層によって縁取られていて、第一の領域と、前記第一の領域に連続し前記第一の領域より狭い幅を有する第二の領域とを有しており、前記第一の領域および前記第二の領域に、前記基板との密着性を有すると共に前記機能液に対して親液性を有する中間層を形成する工程と、前記第一の領域に対して前記機能液の液滴を吐出する工程と、前記第一の領域へ吐出された前記機能液の液滴を、前記中間層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程とを有することを特徴とする。
【0007】
このパターン形成方法によれば、基板表面に境界層によって形成されている第一の領域と、第一の領域に連続し第一の領域より幅の狭い第二の領域とへ、機能層を形成するために、まず、基板との密着性を有し、且つ機能層を形成する機能液に対して親液性を有する中間層を形成する。次に、液滴吐出装置を用いて、中間層に重ねて、機能液の液滴を第二の領域に連続する第一の領域部分に対してのみ吐出し、第二の領域へは機能液を吐出しない。第一領域へ吐出された機能液の液滴は、中間層との親液性により第一の領域から第二の領域へ濡れ広がる。従って、第二の領域へ機能液の液滴を吐出することなく、細い幅の第二の領域へ機能液を自己流動させて機能層を形成できる。このように、第二の領域のような狭い幅を有し、第二の領域の幅より小さな液滴の吐出が困難な領域に対して、直接、液滴を吐出せずに機能層を形成できる有効なパターン形成方法である。通常、第二の領域へ大きな径の機能液の液滴を吐出すると、境界層へ液滴が掛かって機能液の残渣が生じやすい。このような機能液の残渣は、他層へ拡散して機能不良等を生じさせる場合があり、残渣であっても所定領域以外に残らないようにする必要がある。本発明のパターン形成方法は、このような場合に有効な機能層の形成方法である。一方、中間層は、機能層との密着性および親液性を考慮すればよく、拡散等が生じない材料の選択ができ、境界層へ残渣が残っても機能等への影響がない。従って、種々の形成方法が適用できる。
【0008】
本発明の配線形成方法は、液滴吐出装置を用いて機能液の液滴を吐出する方法により、基板表面に導電性機能液によって形成される導電層を含む配線を形成する配線形成方法であって、前記配線が形成される領域は境界層によって縁取られていて、第一の領域と、前記第一の領域に連続し前記第一の領域より狭い幅を有する第二の領域とを有しており、前記第一の領域および前記第二の領域に、前記基板との密着性を有すると共に前記導電性機能液に対して親液性を有する中間層を形成する工程と、前記第一の領域に対して前記導電性機能液の液滴を吐出する工程と、前記第一の領域へ吐出された前記導電性機能液の液滴を、前記中間層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程と、前記導電層の全面を覆うように被覆層を形成する工程とを有することを特徴とする。また、望ましい前記中間層を形成する工程は、前記基板との密着性を有すると共に前記導電性機能液に対して親液性を有する中間層形成機能液の液滴を、前記第一の領域および前記第二の領域に対して吐出する工程であり、望ましい前記被覆層を形成する工程は、前記第一の領域に対して被覆層形成機能液の液滴を吐出する工程と、前記第一の領域へ吐出された前記被覆層形成機能液の液滴を、前記導電層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程とを有することを特徴とする。
【0009】
この配線形成方法によれば、基板表面に境界層によって形成されている第一の領域と、第一の領域に連続し第一の領域より幅の狭い第二の領域とへ、導電性の導電層を含む配線を形成するために、まず、基板との密着性を有し、且つ導電層を形成する導電性機能液に対して親液性を有する中間層を形成する。中間層は、基板表面の第一の領域および第二の領域へ、液滴吐出装置によって中間層形成機能液の液滴を吐出して形成されることが望ましい。次に、中間層に重ねて、導電性機能液の液滴を、第二の領域に連続する第一の領域部分に対して吐出し、第二の領域へは、導電性機能液を吐出しない。第一の領域へ吐出された導電性機能液の液滴は、中間層との親液性により第二の領域へ濡れ広がる。第二の領域へ導電性機能液の液滴を吐出することなく、細い幅の第二の領域へ液滴を自己流動させて、導電層を形成することができる。このように、第二の領域のような狭い幅を有し、第二の領域の幅より小さな液滴の吐出が困難な領域に対して、直接、液滴を吐出することなく、導電層を形成できる配線形成方法である。そして、導電層にさらに重ねて被覆層を形成する望ましい方法として、導電層との密着性を有し、且つ導電層に対して親液性を有する被覆層形成機能液の液滴を、液滴吐出装置によって吐出する。被覆層形成機能液の液滴は、導電性機能液の液滴と同様に、第二の領域に連続する第一の領域部分に対して吐出される。このとき、第二の領域へは被覆層形成機能液が吐出されないが、第一の領域へ吐出された被覆層形成機能液の液滴は、導電層との親液性により第二の領域へも濡れ広がり被覆層を形成する。このように、導電層と同様に被覆層を形成することができる。通常、第二の領域へ大きな径の導電性機能液の液滴を吐出すると、境界層へ液滴が掛かって導電性機能液の残渣が生じやすい。このような導電性の残渣は、他層へ拡散して機能不良等を生じさせる場合があり、残渣であっても所定領域以外に残らないようにする必要がある。一方、中間層は、導電性を考慮することなく拡散等を生じさせない材料の選択ができ、境界層へ残渣が残っても機能等への影響がない。さらに、被覆層が導電層を覆うことにより導電層の保護および導電層のさらなる拡散防止が図れる。
【0010】
この場合、前記中間層に対する前記導電性機能液の液滴の接触角および前記導電層に対する前記被覆層形成機能液の液滴の接触角は、それぞれ20度以下であることことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、導電性機能液および被覆層形成機能液は、第一の領域にのみ吐出され、吐出後にそれぞれ中間層および導電層の上を濡れ広がり、第二の領域まで広がる。導電性機能液および被覆層形成機能液が、第一の領域から第二の領域まで確実に濡れ広がるためには、それぞれの中間層および導電層に対する接触角が20度以下であれば良い。このような組み合わせを選択することにより、液滴の吐出が困難な細い領域に対しても、所定領域にのみ中間層および被覆層を形成できる。
【0012】
この場合、前記液滴に対して、前記基板は親液性を有し、前記境界層は撥液性を有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、特に中間層を形成する際に、中間層形成機能液の液滴が境界層の部分へかかって吐出された場合でも、液滴は基板の親液性により基盤側へ引き寄せられ、さらに、境界層の撥液性により境界層に残渣として残り難くなる。
【0014】
この場合、前記中間層形成機能液の液滴はマンガンまたはマンガンの合金の微粒子を含有していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、中間層形成機能液の液滴は、マンガンまたはマンガンの合金の微粒子を含有している。マンガンまたはマンガンの合金によって形成される中間層は、基板に使用されるガラス等との密着性を有し、且つ導電性機能液の液滴に対して親液性を有する特性を有する。導電性機能液の液滴は、中間層へ吐出されると、中間層との親液性により、中間層の表面を広く濡れ広がることができ、中間層と密着性の良い導電層を形成する。このように、マンガンまたはマンガンの合金は、基板に対して密着性の劣る導電層であっても、基板表面へ間接的に密着性良く形成するための中間層として適している。さらに、マンガンまたはマンガンの合金は、いわゆるキャップメタルとしての特性を有し、基板表面の多少の残渣等をキャップして、残渣による基板不良を防止できる。
【0016】
この場合、前記導電性材料液の液滴は、銀または銀の合金の微粒子を含有していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、導電層を形成する導電材料として、銀または銀の合金を用いる。銀または銀の合金の微粒子を含有する液滴は、液の取り扱いおよび液滴吐出が容易であり、しかも比較的低温で焼成等ができるため、液滴吐出法を利用して導電層を形成するには、望ましい材料である。
【0018】
この場合、前記被覆層形成機能液の液滴は、ニッケルまたはニッケルの合金の微粒子を含有していることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、導電層を形成する銀または銀の合金は、導電層に接して形成される窒化シリコン(SiN)などの材料と拡散等の反応を生じることがある。このような反応を防ぐために、導電層を覆うように被覆層を形成する。被覆層は、特性の安定したニッケルまたはニッケルの合金によって形成されるのが好ましい。
【0020】
この場合、前記液滴は前記液滴吐出装置からそれぞれ吐出された後、少なくとも乾燥あるいは焼成されてそれぞれが対応する中間層、導電層、被覆層を形成することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、液滴吐出装置から吐出された液滴は、吐出された基板、中間層あるいは導電層の表面でそれぞれ液状の層をなし、これら液状の層を乾燥、焼成の両工程あるいはどちらかを実施して中間層、導電層、被覆層を形成する。具体的には、液状の層からマンガン、銀、ニッケルあるいはそれらの合金の微粒子を分散する分散媒を除去して、マンガン、銀、ニッケルあるいはそれらの合金である中間層、導電層、被覆層を形成する。
【0022】
本発明の半導体装置は、本発明の配線形成方法で形成された配線を有することを特徴とする。
【0023】
この半導体装置によれば、本発明の配線形成方法による配線を用いることにより、より小型化、高密度化が図れ、コンパクトで高性能な半導体装置を提供できる。
【0024】
本発明のTFTデバイスは、本発明の配線形成方法を用いて形成され、前記TFTデバイスのゲート配線領域は前記第一の領域であり、ゲート電極領域は前記第二の領域であることを特徴とする。
【0025】
このTFTデバイスによれば、TFTデバイスのゲート配線とゲート電極とが形成される各領域は、それぞれ本発明の配線形成方法によって形成される第一の領域と第二の領域とに相当する。幅の狭いゲート電極は、第二の領域に中間層、導電層、被覆層の3層からなる配線を形成する方法と同様な方法で、TFT基板の表面に形成される。従って、TFTデバイスのゲート電極が微小幅であっても、中間層、導電層、被覆層をゲート電極へ効率良く形成できる。
【0026】
本発明の電気光学装置は、本発明の配線形成方法によって形成された配線、半導体装置あるいはTFTデバイスを用いたことを特徴とする。
【0027】
この電気光学装置によれば、本発明の配線形成方法によって形成された微細な配線および高密度な半導体装置を用いて高精度な実装が可能である。また、TFTデバイスに配線形成方法を適用すれば、幅の狭いゲート電極を容易に形成できる。これらの微細な配線、半導体装置およびTFTデバイスを用いた電気光学装置は、基盤との密着性を有し配線不良が起き難く、しかも小型化が可能である。なお、電気光学装置としては、液晶表示装置などが挙げられる。
【0028】
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0029】
この電子機器によれば、信頼性の高い配線、半導体装置およびTFTデバイスで構成される電気光学装置を搭載しており、高品質な電子機器を提供できる。電子機器としては、携帯電話、PC(パーソナルコンピュータ)、電子時計などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、半導体装置としてのTFT(Thin Film Transistor薄膜トランジスタ)デバイスの製造における配線形成を例に説明する。この場合、配線のパターン形成は、液滴吐出法により、液滴吐出ヘッドからパターン形成用の導電性機能液(機能液)等の液滴を吐出して、基板上に形成される。
【0031】
図1は、TFT(TFTデバイス)が形成されるTFT基板の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、TFT1を有するTFT基板2の表面には、配線のパターンであるゲート配線3と、ソース配線4とが、それぞれ碁盤の目のように配置されている。ゲート配線3は、X軸方向に延在して形成されており、その側部からY軸方向に延びるようにゲート電極5が形成されている。なお、ゲート電極5は、袋小路状になっていて、その幅W1は、ゲート配線3の幅W2よりも狭くなっている。また、Y軸方向に延びるように形成されたソース配線4の側部から、X軸方向へ延びるソース電極6が、袋小路状に形成されている。ソース電極6は、その一部がゲート電極5と平面的に重なるように形成されている。さらに、ゲート電極5の幅W1の中心を通るY軸線に対して、ソース電極6と対称にドレイン電極7が形成され、ドレイン電極7に電気的に接続して画素電極8が形成されている。このような構成の配線のうち、特にゲート配線3と連続する微小な幅W1のゲート電極5が、本実施形態の配線形成方法で効果的に形成される。
【0032】
次に、TFT1の構成について説明する。図2は、TFTの構成を示す断面図である。図2は、図1におけるTFT1のA−A’断面であり、TFT基板2の表面にゲート電極5と、ソース配線4と、ソース電極6と、ドレイン電極7と、画素電極8とが積層されている部分を表している。
【0033】
TFT1の構成は、まず、TFT基板2の表面に形成されている一層目バンク(境界層)9と、一層目バンク9によって形成されている袋小路状の溝部に設けられているゲート電極5とを有する。ゲート電極5は、Mn(マンガン)あるいはMnの合金からなるゲート中間層10と、Ag(銀)あるいはAgの合金からなり信号を伝達するゲート導電層11と、Ni(ニッケル)あるいはNiの合金からなるゲート被覆層12とを有する。ゲート電極5の各層は、それぞれゲート配線3と連続して形成されている。そして、ゲート電極5および一層目バンク9の上を覆ってゲート絶縁層13が形成されている。ゲート絶縁層13は、窒化シリコン(SiN)からなる。以降の記載では、Mn、AgおよびNiの表記は、それぞれの合金を包含した意味を有する。
【0034】
ゲート中間層10を形成するMnは、TFT基板2およびゲート導電層11を形成するAgとの密着性を有し、且つAgを含有する液滴に対して親液性を有する。従って、液滴吐出法により吐出されるAgを含有する液滴は、ゲート中間層10との親液性により、ゲート中間層10の面を覆うように濡れ広がりやすい。同様に、ゲート被覆層12を形成するNiを含有する液滴は、ゲート導電層11との親液性により、ゲート導電層11の面を覆うように濡れ広がる。また、ゲート中間層10を形成するMnは、ゲート導電層11、ゲート被覆層12およびゲート絶縁層13と拡散等をせず、拡散等に起因するTFT1の機能低下を生じさせることがない。
【0035】
一方、ゲート導電層11を形成するAgは、SiNと拡散する。そのため、SiNで形成されているゲート絶縁層13とゲート導電層11とを隔離する目的でゲート被覆層12が形成されている。ゲート導電層11にAgを使用するとゲート被覆層12が必要となるが、Agを含有する液滴は、比較的低温で焼成等ができ、しかも液の取り扱いおよび液滴吐出が容易であるため、液滴吐出法を利用してゲート導電層11を形成する場合には、望ましい材料である。
【0036】
さらに、TFT1は、ゲート絶縁層13の上に形成されている二層目バンク14と、二層目バンク14によって形成されている溝部に、ゲート絶縁層13を介してゲート電極5の位置と対向するように形成されているアモルファスシリコンの薄膜からなる半導体層15と、半導体層15の上に所定の隙間をもって形成されているn+型アモルファスシリコンの薄膜からなる接合層16a、16bとを有する。
【0037】
半導体層15および接合層16a、16bは、それぞれCVD(蒸着Chemical Vapor Deposition)によって設けられ、蒸着後、フォトリソグラフィ法でパターン形成される。ゲート絶縁層13もCVDによって形成される。なお、接合層16aは、ソース電極6が設けられる部分に位置し、接合層16bは、ドレイン電極7が設けられる部分に位置する。また、ゲート電極5の位置と対向する半導体層15はチャネル領域と称される。
【0038】
さらに、TFT1は、チャネル領域を避けて接合層16a、16bおよびゲート絶縁層13を順に覆うNiからなる第一ソース薄膜層17aおよび第一ドレイン薄膜層17bと、Agからなる第二ソース薄膜層18aおよび第二ドレイン薄膜層18bと、Niからなる第三ソース薄膜層19aおよび第三ドレイン薄膜層19bとを有する。第一ソース薄膜層17a、第二ソース薄膜層18aおよび第三ソース薄膜層19aは、接合続層16aの上を覆いX軸の正方向へ延在してソース電極6を構成し、さらに連続してソース配線4を構成する。また、第一ドレイン薄膜層17b、第二ドレイン薄膜層18bおよび第三ドレイン薄膜層19bは、接合層16bの上を覆いX軸の負方向へ延在してドレイン電極7を構成する。そして、TFT1は、ソース配線4、ソース電極6、チャネル領域およびドレイン電極7を覆うソース絶縁層20と、第二ドレイン薄膜層18bからソース絶縁層20の上面までを貫通する導電ホール21とを有する。
【0039】
第一ソース薄膜層17a、第二ソース薄膜層18aおよび第三ソース薄膜層19aは、液滴吐出法により、それぞれNi、Ag、Niを含有する液滴を吐出して、吐出後に乾燥、焼成することにより形成される。その際、チャネル領域にチャネルバンク22を形成することにより、チャネル領域へ液滴が塗布されることを防ぐ。同様にして、第一ドレイン薄膜層17b、第二ドレイン薄膜層18bおよび第三ドレイン薄膜層19bも形成される。その後、チャネルバンク22を除去し、ソース配線4、ソース電極6、チャネル領域およびドレイン電極7を覆うソース絶縁層20を形成する。ソース絶縁層20の上面は、二層目バンク14の上面と面一な状態である。ソース絶縁層20を形成するときに、第二ドレイン薄膜層18bへ画素電極8が導通するための導電ホール21を形成する。
【0040】
そして、TFT1は、二層目バンク14およびソース絶縁層20の上にITO(インジュウム錫酸化物Indium Tin Oxide)からなる画素電極8を有する。この画素電極8は、ITOで充填された導電ホール21を介して、ドレイン電極7の第二ドレイン薄膜層18bと導通している。画素電極8は、CVDとフォトリソグラフィ法とにより所定のパターンに形成される。
【0041】
次に、本発明の配線形成方法(パターン形成方法)について図3、図4、図5および図6を用いて説明する。図3は、配線のパターン形成方法を示すフローチャートである。本実施形態に係るゲート配線3およびゲート電極5の形成方法は、上述した配線のパターン形成用の各液滴を基板上に配置し、基板上に配線のパターンを形成するものである。形成方法は、基板上に配線のパターンに応じたバンクを突設するバンク形成工程(工程1)と、基板に親液性を付与する親液化処理工程(工程2)と、バンクに撥液性を付与する撥液化処理工程(工程3)と、撥液性を付与されたバンク間に中間層を形成する中間層形成機能液の液滴を配置する中間層材料配置工程(工程4)と、配置された液滴の液体成分の少なくとも一部を除去する中間乾燥工程(工程5)および焼成工程(工程6)とを有している。さらに、中間層に重ねて導電層を形成する導電性機能液の液滴を配置する導電層材料配置工程(工程7)と、配置された液滴の液体成分の少なくとも一部を除去する中間乾燥工程(工程8)および焼成工程(工程9)と、導電層に重ねて被覆層を形成する被覆層形成機能液の液滴を配置する被覆層材料配置工程(工程10)と、配置された液滴の液体成分の少なくとも一部を除去する中間乾燥工程(工程11)および焼成工程(工程12)とを有している。
【0042】
以下、工程毎に詳細に説明する。説明に用いる図4は、ゲート配線およびゲート電極の製造工程を断面で順に示す工程図、図5は、ゲート配線およびゲート電極の製造工程を平面で順に示す工程図、図6は、ゲート電極のゲート被覆層の形成方法を示す断面図である。図4の(a)、(b)、(c)、(d)の各断面図と、図5の(a)、(b)、(c)、(d)の各平面図とは、同じ状態時を断面と平面とでそれぞれ表している図である。なお、本実施形態ではTFT基板2としてガラス基板が用いられる。各工程の説明は、ゲート中間層10の形成を例に説明する。
【0043】
<バンク形成工程(工程1)>
まず、TFT基板2に対して、表面改質処理としてHMDS処理が施される。HMDS処理は、ヘキサメチルジシラサン((CH3)3SiNHSi(CH3)3)を蒸気状にして塗布する方法である。これにより、一層目バンク9とTFT基板2との密着性を向上させることができる。
【0044】
一層目バンク9は、仕切部材として機能する部材であり、フォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等の所定の方法で、HMDS処理されたTFT基板2の上に、一層目バンク9の高さに合わせて有機系感光性材料を塗布し、その上にレジスト層を塗布する。そして、一層目バンク9の形状に合わせてマスクを施し、レジストを露光・現像することにより一層目バンク9の形状に合わせたレジストを残す。最後にエッチングしてマスク以外の部分の有機系感光性材料を除去する。また、下層が無機物で上層が有機物で構成された2層以上で一層目バンク9を形成してもよい。これにより、図4(a)の断面図に示されるように、ゲート配線3およびゲート電極5の形成予定領域であるゲート配線領域3aおよびゲート電極領域5aの周辺を囲むように一層目バンク9が突設される。図5(a)は、図4(a)の部分の平面図である。B−B’の断面が図4(a)で表されている。
【0045】
一層目バンク9を形成する有機材料としては、各液滴に対して撥液性を示す材料でも良いし、後述するように、プラズマ処理による撥液化(フッ素化)が可能で、TFT基板2との密着性が良く、フォトリソグラフィによるパターニングがし易い絶縁有機材料でも良い。例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料を用いることが可能である。あるいは、無機骨格(シロキサン結合)を主鎖に有機基を持った材料でもよい。
【0046】
TFT基板2上に一層目バンク9が形成されると、フッ酸処理が施される。フッ酸処理は、例えば2.5%フッ酸水溶液でエッチングを施すことで、HMDS処理による層を除去する処理である。フッ酸処理では、一層目バンク9がマスクとして機能し、図4(a)に示すように、一層目バンク9間に形成された溝部の底部34にある有機物であるHMDSの層が除去され、TFT基板2が露出する。
【0047】
<親液化処理工程(工程2)>
次に、一層目バンク9間の底部34(TFT基板2の露出部)に親液性を付与する親液化処理工程が行われる。親液化処理工程としては、紫外線を照射する紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2プラズマ処理等を選択できる。ここではO2プラズマ処理を実施する。
【0048】
O2プラズマ処理は、TFT基板2に対してプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射する。O2プラズマ処理の条件の一例として、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対するTFT基板2の相対移動速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃である。
【0049】
そして、TFT基板2がガラス基板の場合、その表面はゲート中間層10を形成する中間層形成機能液に対して親液性を有しているが、本実施形態のようにO2プラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、一層目バンク9間で露出するTFT基板2の表面(底部34)の親液性を更に高めることができる。ここで、底部34の中間層形成機能液に対する接触角が20度以下となるように、O2プラズマ処理や紫外線照射処理が行われることが好ましい。
【0050】
なお、ここでは、フッ酸処理を行うことでHMDSの層を除去するように説明したが、O2プラズマ処理あるいは紫外線照射処理により底部34のHMDSの層を十分に除去すれば、フッ酸処理は行わなくてもよい。また、ここでは、親液化処理としてO2プラズマ処理又は紫外線照射処理のいずれか一方を行うように説明したが、O2プラズマ処理と紫外線照射処理とを組み合わせてもよい。
【0051】
<撥液化処理工程(工程3)>
続いて、一層目バンク9に対して撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、四フッ化炭素(テトラフルオロメタン)を処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用する。CF4プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50〜1000W、4フッ化炭素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対する基体搬送速度が0.5〜10mm/sec、基体温度が70〜90℃とされる。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタンに限らず、他のフルオロカーボン系のガス、または、SF6、SF5、CF3などのガスも用いることができる。CF4プラズマ処理には、後述するプラズマ処理装置を用いることができる。
【0052】
このような撥液化処理を行うことにより、一層目バンク9には、一層目バンク9を構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのO2プラズマ処理は、一層目バンク9の形成前に行ってもよいが、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等の高分子材料は、O2プラズマによる前処理がなされた方がよりフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、一層目バンク9を形成した後にO2プラズマ処理することが好ましい。
【0053】
なお、一層目バンク9に対する撥液化処理により、先に親液化処理した一層目バンク9間のTFT基板2の露出部(底部34)に対し多少の影響があるものの、特にTFT基板2がガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こらないため、TFT基板2の底部34は、その親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
【0054】
<中間層材料配置工程(工程4)>
次に、液滴吐出装置による液滴吐出法を用いて、ゲート配線3およびゲート電極5を形成する3層の配線のうち、最初にゲート中間層10を形成する。ゲート中間層10の形成は、まず、Mnの微粒子を含有する中間層形成機能液の液滴31が、TFT基板2上の一層目バンク9の間に配置される。中間層形成機能液は、テトラデカンを溶媒(分散媒)としている。材料配置工程では、図4(b)および図5(b)に示すように、液滴吐出装置の液滴吐出ヘッド41から中間層形成機能液を液滴31の状態にして吐出する。中簡層形成機能液の液滴31の大きさは、ゲート配線領域3aの幅W2より小さくゲート電極領域5aの幅W1より大きい。
【0055】
液滴31の配置は、ゲート配線領域3aへ一定の間隔Pをおいて液滴31を順に配置する。この場合、液滴31が吐出されるゲート配線領域3aは、一層目バンク9に囲まれており、液滴31の大きさがゲート配線領域3aの幅W2より小さいため、液滴が一層目バンク9間以外に拡がることを阻止できる。
【0056】
一方、ゲート電極領域5aへ吐出される液滴31は、図6(a)に示すように底部34に向かって吐出され、図6(b)に示すように親液性を有する底部34に引き寄せられて、底部34に濡れ広がる。液滴31は、ゲート電極領域5aの幅W1より大きいため、液滴31の一部が一層目バンク9の上面に留まる。しかし、一層目バンク9が撥液性を有するため、液滴31は、親液性を有する底部34へより強く引き寄せられて、図6(c)に示すように一層目バンク9で形成される溝部へ収容される。Mnは、既に述べたようにSiNなどと拡散しないため、一層目バンク9の上に残渣として残ってもTFT1の性能に影響がない。また、Mnは、いわゆるキャップメタルとしての機能もあるため、一層目バンク9を形成する際に、ゲート電極5等に残った残渣を除去せずに、ゲート中間層10を形成することが可能である。
【0057】
液体材料である中間層形成機能液は、Mnの微粒子を分散媒に分散した分散液からなるものである。分散媒のMn含有は、この場合約1%である。Mnの微粒子の粒径は1nm以上1.0μm以下であることが好ましい。1.0μmより大きいと、後で詳述する液滴吐出ヘッド41の吐出ノズルに目詰まりが生じるおそれがある。
【0058】
分散媒としては、Mnの微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。本実施形態では、乾燥の早いテトラデカンを使用している。
【0059】
上記分散液の表面張力は、0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法により中間層形成機能液を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、中間層形成機能液のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えると、ノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため、吐出量や吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、中間層形成機能液の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0060】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いて、中間層形成機能液を液滴31として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部が中間層形成機能液の流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり、円滑な液滴31の吐出が困難となる。さらに、液滴を吐出する雰囲気は、温度60℃以下、湿度80%以下に設定されていることが好ましい。これにより、液滴吐出ヘッド41の吐出ノズルが目詰まりすることなく、より安定した液滴吐出を行うことができる。
【0061】
TFT基板2としては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板、セラミックなど各種のものを用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜、絶縁膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0062】
<中間乾燥工程(工程5)>
TFT基板2に液滴31を吐出した後、分散媒の除去及び膜厚確保のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えばTFT基板2を加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行なうこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、およびXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。
【0063】
<焼成工程(工程6)>
ゲート中間層10に吐出された中間層形成機能液の乾燥後の乾燥膜を、さらに焼成してゲート中間層10を得る。具体的には、中間層形成機能液の乾燥膜を加熱して、乾燥膜に含まれるMnの微粒子を焼成して固化させる。この加熱は、大気中で行われ、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中、または水素などの還元雰囲気中で行ってもよい。加熱工程の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、ゲート中間層10におけるMnの微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、Mnの微粒子を覆うコーティング材の有無や量、TFT基板2の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
【0064】
本実施形態の焼成工程は、ゲート中間層10を、クリーンオーブンを用いて大気中で室温から200℃以下で加熱することが好ましい。ここでは、ゲート中間層10を180℃で60分間、焼成(加熱)した。表1に、Mnを含有したゲート中間層10を、焼成温度を変えてそれぞれ焼成した場合において、図4(c)に示す次工程でゲート中間層10へ吐出されるAgを含有した導電性機能液の液滴32の着弾径と、液滴32のゲート中間層10に対する接触角とを記載してある。焼成時間は、それぞれ60分である。表1より、接触角は、2.2度から5度であって、Agはゲート中間層10の上を十分に濡れ広がり、幅の細いゲート電極領域5aを満たす。ここで、Agが濡れ広がるための接触角としては、20度以下の条件を満たしていれば良いとの知見が得られた。着弾径は、180℃の場合が最も大きく、温度の低い120℃が小さいという結果である。250℃では、ゲート中間層10に亀裂が生じた。この結果より、焼成条件は、200℃以下が好ましく、180℃での焼成が最も適しているといえる。
【0065】
【表1】
【0066】
<導電層材料配置工程(工程7)>
次に、ゲート中間層10の上にAgを含有するゲート導電層11を形成する。ゲート導電層11を形成する工程は、図4(c)および図5(c)に示すように、ゲート中間層10へ液滴吐出ヘッド41からAgを含有する導電性機能液の液滴32を吐出する。液滴32は、ゲート配線3を形成する部分へ一定の間隔Pをおいて順に配置されている。ゲート中間層10の形成と異なり、ゲート電極領域5aへは、液滴32を吐出しない。その理由として、Agは、SiN等と拡散してTFT1の機能を損なうため、細いゲート電極領域5a内へ確実にAgを配置する必要がある。図6の中間層形成液の液滴31と同じように、ゲート電極領域5aへAgの液滴32を吐出すると、一層目バンク9の上にAgの残渣が残り、SiNからなるゲート絶縁層13へAgが拡散してしまう。
【0067】
このような拡散を防ぎ、ゲート電極領域5aの細線化のため、ゲート配線領域3aに吐出されゲート電極領域5aに直近する液滴32aと、ゲート中間層10との強い親液性を利用して、図5(c)に示すように液滴32をゲート電極領域5aの方向へ流動させる。ゲート電極領域5aは幅が狭いため、毛細管現象の作用が加わり、液滴32は、ゲート電極領域5aの全体へ濡れ広がる。従って、液滴32aは、図5(c)のように、ゲート電極領域5aとゲート配線領域3aとが接続する位置へ、ゲート電極領域5aの幅W1の中心線と液滴32の中心とが一致するように、正確に吐出されることが望ましい。このように、Agを含有する液滴32と強い親液性を有するMnのゲート中間層10を、ゲート電極領域5aおよびゲート配線領域3aへ形成することにより、ゲート電極領域5aへAgを含有する液滴32を直接吐出することなく、ゲート電極領域5aへAgからなるゲート導電層11が形成できる。ゲート電極領域5aの周辺部の一層目バンク9へ、Agの残渣が付着することもない。
【0068】
<中間乾燥工程(工程8)、焼成工程(工程9)>
ゲート導電層11の中間乾燥工程は、ゲート中間層10の場合と同じであるが、焼成工程について簡単に補足する。導電層材料配置工程後、乾燥された導電性機能液の液滴32の乾燥膜は、導電性を得るために加熱処理を行い、有機銀化合物の有機分を除去し、Agの微粒子を残留させる必要がある。加熱処理は、通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中、または水素などの還元雰囲気中で行なうこともできる。加熱処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。本実施形態では、既に形成されているゲート中間層10への影響を加味して、大気中クリーンオーブンにて200℃で300分間の焼成工程が、行われる。これにより、乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保された導電性のゲート導電層11となる。
【0069】
焼成工程は、上記のような加熱工程に代えて、乾燥膜に紫外光を照射する照射工程であってもよい。さらに、焼成工程は、上記のような加熱工程と、紫外光を照射する照射工程とが組み合わせられた工程であってもよい。
【0070】
<被覆層材料配置工程(工程10)>
次に、ゲート導電層11の上にNiを含有するゲート被覆層12を形成する。ゲート被覆層12の形成によって、ゲート導電層11のAgの強度向上および保護と、Agのゲート絶縁層13のSiNとの拡散を防ぐことができる。ゲート被覆層12を形成する工程は図4(d)および図5(d)に示すように、ゲート導電層11へ液滴吐出ヘッド41からNiを含有する被覆層形成機能液の液滴33を吐出する。液滴33は、ゲート配線領域3aへ一定の間隔Pをおいて順に配置され、ゲート導電層11の形成と同様に、ゲート電極領域5aへは、液滴33を吐出しない。
【0071】
しかし、ゲート導電層11のAgの層は、Niの液滴33に対して接触角が20度以下である。従って、ゲート配線領域3aに吐出されゲート電極領域5aに直近する液滴33aと、ゲート中間層10との強い親液性を利用することにより、図5(d)に示すように、液滴33aをゲート電極領域5aの方向へ流動させることができる。ゲート電極領域5aは幅が狭いため、毛細管現象の作用が加わり、液滴33aは、ゲート電極領域5aの全体へ濡れ広がる。このように、Niの液滴33とAgのゲート導電層11との親液性を利用して、ゲート電極領域5aへNiの液滴33を直接吐出することなく、ゲート電極領域5aへゲート被覆層12が形成できる。
【0072】
<中間乾燥工程(工程11)、焼成工程(工程12)>
ゲート被覆層12を形成するための被覆層形成機能液の乾燥および焼成は、ゲート導電層11の処理に準じて行う。
【0073】
以上のような工程により、図4(e)に示すゲート中間層10、ゲート導電層11およびゲート被覆層12からなるゲート配線3およびゲート電極5が、形成できる。なお、各層の厚さは、Agのゲート導電層11が約0.7μm、Mnのゲート中間層10およびNiのゲート被覆層12が共に0.2μmである。
【0074】
次に、本発明に係るデバイスを製造する際に用いられるデバイス製造装置について説明する。このデバイス製造装置としては、液滴吐出ヘッド41からTFT基板2に対して液滴を吐出することによりデバイスを製造する液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられる。
【0075】
図7は液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。液滴吐出装置40は、液滴吐出ヘッド41と、X軸方向駆動軸42と、Y軸方向ガイド軸43と、制御装置44と、ステージ45と、クリーニング機構46と、基台47と、ヒータ48とを備えている。
【0076】
ステージ45は、この液滴吐出装置40により機能液を配置されるTFT基板2を支持するものであって、TFT基板2を基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0077】
液滴吐出ヘッド41は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド41の下面にX軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド41の吐出ノズルからは、ステージ45に支持されているTFT基板2に対して、上述したMn、Ag、Niの微粒子を含む液滴が吐出される。
【0078】
X軸方向駆動軸42にはX軸方向駆動モータ49が接続されている。X軸方向駆動モータ49はステッピングモータ等であり、制御装置44からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸42を回転させる。X軸方向駆動軸42が回転すると、液滴吐出ヘッド41はX軸方向に移動する。
【0079】
Y軸方向ガイド軸43は基台47に対して動かないように固定されている。ステージ45は、Y軸方向駆動モータ50を備えている。Y軸方向駆動モータ50はステッピングモータ等であり、制御装置44からY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ45をY軸方向に移動する。
【0080】
制御装置44は液滴吐出ヘッド41に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。更に、制御装置44は、X軸方向駆動モータ49に対して液滴吐出ヘッド41のX軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給するとともに、Y軸方向駆動モータ50に対してステージ45のY軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0081】
クリーニング機構46は液滴吐出ヘッド41をクリーニングするものであって、図示しないY軸方向駆動モータを備えている。このY軸方向駆動モータの駆動により、クリーニング機構46はY軸方向ガイド軸43に沿って移動する。クリーニング機構46の移動も制御装置44により制御される。
【0082】
ヒータ48はここではランプアニールによりTFT基板2を熱処理する手段であり、TFT基板2上に塗布された液滴に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ48の電源の投入及び遮断も制御装置44により制御される。
【0083】
液滴吐出装置40は、液滴吐出ヘッド41とTFT基板2を支持するステージ45とを相対的に走査しつつTFT基板2に対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、Y軸方向を走査方向、Y軸方向と直交するX軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド41の吐出ノズルは、非走査方向であるX軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図7では、液滴吐出ヘッド41は、TFT基板2の進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド41の角度を調整し、TFT基板2の進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド41の角度を調整することでノズル間のピッチを調節することが出来る。また、TFT基板2とノズル面との距離を任意に調節可能としてもよい。
【0084】
図8は、ピエゾ方式による液滴の吐出原理を示す断面図である。図8において、液滴となる液体材料を収容する液体室51に隣接してピエゾ素子52が設置されている。液体室51には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系53を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子52は駆動回路54に接続されており、この駆動回路54を介してピエゾ素子52に電圧を印加し、ピエゾ素子52を変形させることにより、液体室51が変形し、吐出ノズル55から液滴が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることによりピエゾ素子52の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることによりピエゾ素子52の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0085】
ここで、液滴吐出法のその他の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、吐出する液体材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に液体材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には液体材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると液体材料間に静電的な反発が起こり、液体材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、既に説明したピエゾ方式である。
【0086】
また、電気熱変換方式は、液体材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、液体材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の液体材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、液体材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに液体材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから液体材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、液体材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の液体材料の液滴を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液滴の一滴の量は例えば1〜300ナノグラムである。
【0087】
次に、図9は、プラズマ処理装置の構成を示す断面図である。図9に示すプラズマ処理装置は、交流電源61に接続された電極62と、接地電極である試料テーブル60とを有している。試料テーブル60は試料であるTFT基板2を支持しつつY軸方向に移動可能となっている。電極62の下面には、移動方向と直交するX軸方向に延在する2本の平行な放電発生部63が突設されているとともに、放電発生部63を囲むように誘電体部材64が設けられている。誘電体部材64は放電発生部63の異常放電を防止するものである。そして、誘電体部材64を含む電極62の下面は略平面状となっており、放電発生部63及び誘電体部材64とTFT基板2との間には僅かな空間(放電ギャップ)が形成されるようになっている。また、電極62の中央にはX軸方向に細長く形成された処理ガス供給部の一部を構成するガス噴出口65が設けられている。ガス噴出口65は、電極内部のガス通路66及び中間チャンバ67を介してガス導入口68に接続している。
【0088】
ガス通路66を通ってガス噴出口65から噴射された処理ガスを含む所定ガスは、前記空間の中を移動方向(Y軸方向)の前方及び後方に分かれて流れ、誘電体部材64の前端及び後端から外部に排気される。これと同時に、交流電源61から電極62に所定の電圧が印加され、放電発生部63と試料テーブル60との間で気体放電が発生する。そして、この気体放電により生成されるプラズマで前記所定ガスの励起活性種が生成され、放電領域を通過するTFT基板2の表面全体が連続的に処理される。
【0089】
本実施形態では、前記所定ガスは、処理ガスである酸素(O2)と、大気圧近傍の圧力下で放電を容易に開始させ且つ安定に維持するためのヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスや窒素(N2)等の不活性ガスとを混合したものである。特に、処理ガスとして酸素を用いることにより、一層目バンク9の底部におけるバンク形成時の有機物(レジストやHMDS)残渣を除去できる。すなわち、一層目バンク9の親液処理工程前のフッ酸処理では、一層目バンク9の底部のHMDS(有機物)が完全に除去されない場合がある。あるいは、一層目バンク9の底部にバンク形成時のレジスト(有機物)が残っている場合もある。そこで、O2プラズマ処理を行うことにより、一層目バンク9の底部の残渣が除去される。
【0090】
以下では、本発明の電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。図10は、本発明に係る液晶表示装置について、液晶表示装置を対向基板側から見た平面図であり、図11は、図10の液晶表示装置のH−H'に沿う断面図である。また、図12は、液晶表示装置の複数の画素における素子、配線等の等価回路図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0091】
図10及び図11において、本実施形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFT基板2と対向基板120とが光硬化性の封止材であるシール材152によって貼り合わされ、このシール材152によって区画された領域内に液晶150が封入、保持されている。シール材152は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されている。
【0092】
シール材152の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り153が形成されている。シール材152の外側の領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFT基板2の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。TFT基板2の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104の間を接続するための複数の配線105が設けられている。また、対向基板120のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFT基板2と対向基板120との間で電気的導通をとるための基板間導通材106が配設されている。
【0093】
なお、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFT基板2の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFT基板2の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶150の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板120において、TFT基板2の各画素電極8に対向する領域に、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0094】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図12に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)1が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線160aがTFT1のソースに電気的に接続されている。データ線160aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線160a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT1のゲートには走査線130a、130bが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線130aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0095】
画素電極8はTFT1のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT1を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線160aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極8を介して液晶150に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図11に示す対向基板120の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極8と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量170が付加されている。例えば、画素電極8の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも長い時間、蓄積容量170により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0096】
なお、上記実施形態では、TFT1を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT1を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する液体材料を液滴とし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
【0097】
なお、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子(FED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display))等にも適用可能である。
【0098】
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。図13(a)は携帯電話の一例を示した斜視図である。図13(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。図13(b)はワープロ、PC(パーソナルコンピュータ)などの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図13(b)において、700はPC、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理部、702は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。 図13(c)は腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図13(c)において、800は電子時計を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。図13(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置を備えたものであり、良好に細線化された配線のパターンを有している。なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。電子機器として、さらに電子辞書、携帯ゲーム機、電卓、小型テレビ、ナビゲーション装置、POS端末などが挙げられる。
【0099】
以下、実施形態の効果についてまとめて記載する。
【0100】
(1)TFT1のゲート配線領域3aと連続する微小幅のゲート電極領域5aへ、配線の主要部であるAgのゲート導電層11を形成するために、Agを含有する導電性機能液の液滴32との親液性を有するMnからなるゲート中間層10を、ゲート導電層11の下地として形成する。次に、ゲート配線領域3aのゲート電極領域5a近傍へ、液滴32を液滴吐出装置40により吐出する。液滴32は、ゲート中間層10との親液性によってゲート電極領域5aへ自己流動して、ゲート導電層11を形成する。このように、ゲート電極領域5aの幅より小さな液滴32の吐出が困難な微小幅のゲート電極領域5aに対して、ゲート電極領域5aへ直接液滴32を吐出することなく、ゲート導電層11が形成できる。従って、ゲート電極領域5aの周辺に、ゲート絶縁層13へ拡散しやすいAgの残渣を生じさせることがない。
【0101】
(2)同様に、ゲート導電層11の形成に準じて、ゲート導電層11に重ねて、ゲート配線領域3aへNiを含有する被覆層形成機能液の液滴33を吐出する。液滴33をゲート電極領域5aへ自己流動させて、ゲート電極領域5aへゲート被覆層12を形成する。ゲート電極領域5aの幅より小さな液滴33の吐出が困難な微小幅のゲート電極領域5aに対して、ゲート電極領域5aへ直接液滴33を吐出することなくゲート被覆層12が形成できる。
【0102】
(3)TFT基板2の表面である一層目バンク9間の底部34が親液性を有し、一層目バンク9自体が撥液性を有しているため、Mnを含有しゲート電極領域5aの幅W1より大きい直径の液滴31でも、ゲート電極領域5aを形成する一層目バンク9上に留まることなく、底部34へ強く引き寄せられ、一層目バンク9の間へ収容される。このようにして、ゲート電極領域5aへMnのゲート中間層10が形成できる。Mnは、一層目バンク9に残渣として残っても拡散等の反応をせず、従って、直接ゲート電極領域5aへ液滴31を吐出することができる。
【0103】
(4)ゲート導電層11を形成する導電性機能液として、銀または銀の合金を含有する導電性機能液を用いる。銀または銀の合金の微粒子を含有する導電性機能液は、液の取り扱いおよび液滴吐出が容易であり、しかも比較的低温で焼成等ができるため、液滴吐出法を利用して導電層を形成には、望ましい材料である。
【0104】
(5)ゲート導電層11を形成する銀または銀の合金は、ゲート絶縁層13のSiNへ拡散する。このような拡散を防ぐために、ゲート導電層11を覆うようにNiのゲート被覆層12を形成する。ニッケルまたはニッケルの合金は、安定した特性を保有しており、ゲート被覆層12の形成にとって好ましい。
【0105】
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、次のような変形例が挙げられる。
【0106】
(変形例1)中間層材料配置工程において、Mnのゲート中間層10をゲート電極領域5aおよびゲート配線領域3のa全面に形成せずに、ゲート電極領域5a全面と、ゲート電極領域5aに直近する液滴32aが配置されるゲート配線領域3aの一部分とにのみ、Mnのゲート中間層10を形成しても良い。ゲート中間層10の形成時間が短縮できる。
【0107】
(変形例2)配線の主要部であるゲート導電層11を、液滴吐出装置40によって形成し、他のゲート中間層10およびゲート被覆層12を、既存方法のCVDによって形成しても良い。こうすれば、既存方法も併行して活用することができる。
【0108】
(変形例3)液滴31、32、33の配置間隔Pは、一定間隔に限定されず、間隔Pをあけずに配置しても良い。ゲート中間層10、ゲート導電層11、ゲート被覆層12の機能を維持して、各層の厚さを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】TFTが形成されるTFT基板の概略構成を示す平面図。
【図2】TFTの構成を示す断面図。
【図3】配線パターンの形成方法を示すフローチャート。
【図4】ゲート配線およびゲート電極の製造工程を断面で順に示す工程図。
【図5】ゲート配線およびゲート電極の製造工程を平面で順に示す工程図。
【図6】ゲート電極のゲート被覆層の形成方法を示す断面図。
【図7】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図8】ピエゾ方式による機能液の吐出原理を示す断面図。
【図9】プラズマ処理装置の構成を示す断面図。
【図10】液晶表示装置を対向基板側から見た平面図。
【図11】図10の液晶表示装置のH−H'に沿う断面図。
【図12】液晶表示装置の複数の画素における素子、配線等の等価回路図。
【図13】電子機器の一例である携帯電話、携帯型情報処理装置、腕時計の斜視図。
【符号の説明】
【0110】
1…TFTデバイスとしてのTFT、2…TFT基板、3…ゲート配線、3a…ゲート配線領域、4…ソース配線、5…ゲート電極、5a…ゲート電極領域、6…ソース電極、7…ドレイン電極、8…画素電極、9…一層目バンク、10…ゲート中間層、11…ゲート導電層、12…ゲート被覆層、13…ゲート絶縁層、14…二層目バンク、31…中間層形成機能液の液滴、32…導電性機能液の液滴、33…被覆層形成機能液の液滴、34…底部、40…液滴吐出装置、41…液滴吐出ヘッド、55…吐出ノズル、60…プラズマ処理装置、100…電気光学装置としての液晶表示装置、600…電子機器としての携帯電話、700…電子機器としてのPC、800…電子機器としての電子時計。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出方式により微細なパターンを形成するパターン形成方法、配線形成方法、半導体装置、TFTデバイス、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液滴吐出方式によって、基板の表面に対して密着性を有し、且つ細線化された配線を形成する方法として、特許文献1に開示されている方法がある。この方法によれば、基板へ導電性機能液を吐出して配線を形成する前に、まず、基板の表面を撥液化処理する。次いで、基板の表面へ、基板および導電性機能液に対して密着性を有する中間層を形成するための材料液を吐出する。材料液は、基板が撥液性のため、吐出後の広がりを抑えることができ、細線の形成が可能である。こうして形成された中間層の上に導電性機能液を吐出すれば、基板との密着性の良い細線の配線が形成できる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−315813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、基板の撥液性によって材料液の広がりを抑えて、配線の細線化を図っている。そのため、さらなる細線化を図るために、基板の撥液性を高めると、材料液と基板との密着性が低下する。また、基板の撥液性に頼った配線の形成は、細線化に限界があるとともに、配線幅のバラツキを抑えた形成が困難である。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされており、基板の表面へ配線となるより微細なパターンが形成できるパターン形成方法、配線形成方法、半導体装置、TFTデバイス、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパターン形成方法は、液滴吐出装置を用いて機能液の液滴を吐出する方法により、基板表面に機能層のパターンを形成するパターン形成方法であって、前記パターンが形成されるパターン領域は境界層によって縁取られていて、第一の領域と、前記第一の領域に連続し前記第一の領域より狭い幅を有する第二の領域とを有しており、前記第一の領域および前記第二の領域に、前記基板との密着性を有すると共に前記機能液に対して親液性を有する中間層を形成する工程と、前記第一の領域に対して前記機能液の液滴を吐出する工程と、前記第一の領域へ吐出された前記機能液の液滴を、前記中間層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程とを有することを特徴とする。
【0007】
このパターン形成方法によれば、基板表面に境界層によって形成されている第一の領域と、第一の領域に連続し第一の領域より幅の狭い第二の領域とへ、機能層を形成するために、まず、基板との密着性を有し、且つ機能層を形成する機能液に対して親液性を有する中間層を形成する。次に、液滴吐出装置を用いて、中間層に重ねて、機能液の液滴を第二の領域に連続する第一の領域部分に対してのみ吐出し、第二の領域へは機能液を吐出しない。第一領域へ吐出された機能液の液滴は、中間層との親液性により第一の領域から第二の領域へ濡れ広がる。従って、第二の領域へ機能液の液滴を吐出することなく、細い幅の第二の領域へ機能液を自己流動させて機能層を形成できる。このように、第二の領域のような狭い幅を有し、第二の領域の幅より小さな液滴の吐出が困難な領域に対して、直接、液滴を吐出せずに機能層を形成できる有効なパターン形成方法である。通常、第二の領域へ大きな径の機能液の液滴を吐出すると、境界層へ液滴が掛かって機能液の残渣が生じやすい。このような機能液の残渣は、他層へ拡散して機能不良等を生じさせる場合があり、残渣であっても所定領域以外に残らないようにする必要がある。本発明のパターン形成方法は、このような場合に有効な機能層の形成方法である。一方、中間層は、機能層との密着性および親液性を考慮すればよく、拡散等が生じない材料の選択ができ、境界層へ残渣が残っても機能等への影響がない。従って、種々の形成方法が適用できる。
【0008】
本発明の配線形成方法は、液滴吐出装置を用いて機能液の液滴を吐出する方法により、基板表面に導電性機能液によって形成される導電層を含む配線を形成する配線形成方法であって、前記配線が形成される領域は境界層によって縁取られていて、第一の領域と、前記第一の領域に連続し前記第一の領域より狭い幅を有する第二の領域とを有しており、前記第一の領域および前記第二の領域に、前記基板との密着性を有すると共に前記導電性機能液に対して親液性を有する中間層を形成する工程と、前記第一の領域に対して前記導電性機能液の液滴を吐出する工程と、前記第一の領域へ吐出された前記導電性機能液の液滴を、前記中間層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程と、前記導電層の全面を覆うように被覆層を形成する工程とを有することを特徴とする。また、望ましい前記中間層を形成する工程は、前記基板との密着性を有すると共に前記導電性機能液に対して親液性を有する中間層形成機能液の液滴を、前記第一の領域および前記第二の領域に対して吐出する工程であり、望ましい前記被覆層を形成する工程は、前記第一の領域に対して被覆層形成機能液の液滴を吐出する工程と、前記第一の領域へ吐出された前記被覆層形成機能液の液滴を、前記導電層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程とを有することを特徴とする。
【0009】
この配線形成方法によれば、基板表面に境界層によって形成されている第一の領域と、第一の領域に連続し第一の領域より幅の狭い第二の領域とへ、導電性の導電層を含む配線を形成するために、まず、基板との密着性を有し、且つ導電層を形成する導電性機能液に対して親液性を有する中間層を形成する。中間層は、基板表面の第一の領域および第二の領域へ、液滴吐出装置によって中間層形成機能液の液滴を吐出して形成されることが望ましい。次に、中間層に重ねて、導電性機能液の液滴を、第二の領域に連続する第一の領域部分に対して吐出し、第二の領域へは、導電性機能液を吐出しない。第一の領域へ吐出された導電性機能液の液滴は、中間層との親液性により第二の領域へ濡れ広がる。第二の領域へ導電性機能液の液滴を吐出することなく、細い幅の第二の領域へ液滴を自己流動させて、導電層を形成することができる。このように、第二の領域のような狭い幅を有し、第二の領域の幅より小さな液滴の吐出が困難な領域に対して、直接、液滴を吐出することなく、導電層を形成できる配線形成方法である。そして、導電層にさらに重ねて被覆層を形成する望ましい方法として、導電層との密着性を有し、且つ導電層に対して親液性を有する被覆層形成機能液の液滴を、液滴吐出装置によって吐出する。被覆層形成機能液の液滴は、導電性機能液の液滴と同様に、第二の領域に連続する第一の領域部分に対して吐出される。このとき、第二の領域へは被覆層形成機能液が吐出されないが、第一の領域へ吐出された被覆層形成機能液の液滴は、導電層との親液性により第二の領域へも濡れ広がり被覆層を形成する。このように、導電層と同様に被覆層を形成することができる。通常、第二の領域へ大きな径の導電性機能液の液滴を吐出すると、境界層へ液滴が掛かって導電性機能液の残渣が生じやすい。このような導電性の残渣は、他層へ拡散して機能不良等を生じさせる場合があり、残渣であっても所定領域以外に残らないようにする必要がある。一方、中間層は、導電性を考慮することなく拡散等を生じさせない材料の選択ができ、境界層へ残渣が残っても機能等への影響がない。さらに、被覆層が導電層を覆うことにより導電層の保護および導電層のさらなる拡散防止が図れる。
【0010】
この場合、前記中間層に対する前記導電性機能液の液滴の接触角および前記導電層に対する前記被覆層形成機能液の液滴の接触角は、それぞれ20度以下であることことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、導電性機能液および被覆層形成機能液は、第一の領域にのみ吐出され、吐出後にそれぞれ中間層および導電層の上を濡れ広がり、第二の領域まで広がる。導電性機能液および被覆層形成機能液が、第一の領域から第二の領域まで確実に濡れ広がるためには、それぞれの中間層および導電層に対する接触角が20度以下であれば良い。このような組み合わせを選択することにより、液滴の吐出が困難な細い領域に対しても、所定領域にのみ中間層および被覆層を形成できる。
【0012】
この場合、前記液滴に対して、前記基板は親液性を有し、前記境界層は撥液性を有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、特に中間層を形成する際に、中間層形成機能液の液滴が境界層の部分へかかって吐出された場合でも、液滴は基板の親液性により基盤側へ引き寄せられ、さらに、境界層の撥液性により境界層に残渣として残り難くなる。
【0014】
この場合、前記中間層形成機能液の液滴はマンガンまたはマンガンの合金の微粒子を含有していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、中間層形成機能液の液滴は、マンガンまたはマンガンの合金の微粒子を含有している。マンガンまたはマンガンの合金によって形成される中間層は、基板に使用されるガラス等との密着性を有し、且つ導電性機能液の液滴に対して親液性を有する特性を有する。導電性機能液の液滴は、中間層へ吐出されると、中間層との親液性により、中間層の表面を広く濡れ広がることができ、中間層と密着性の良い導電層を形成する。このように、マンガンまたはマンガンの合金は、基板に対して密着性の劣る導電層であっても、基板表面へ間接的に密着性良く形成するための中間層として適している。さらに、マンガンまたはマンガンの合金は、いわゆるキャップメタルとしての特性を有し、基板表面の多少の残渣等をキャップして、残渣による基板不良を防止できる。
【0016】
この場合、前記導電性材料液の液滴は、銀または銀の合金の微粒子を含有していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、導電層を形成する導電材料として、銀または銀の合金を用いる。銀または銀の合金の微粒子を含有する液滴は、液の取り扱いおよび液滴吐出が容易であり、しかも比較的低温で焼成等ができるため、液滴吐出法を利用して導電層を形成するには、望ましい材料である。
【0018】
この場合、前記被覆層形成機能液の液滴は、ニッケルまたはニッケルの合金の微粒子を含有していることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、導電層を形成する銀または銀の合金は、導電層に接して形成される窒化シリコン(SiN)などの材料と拡散等の反応を生じることがある。このような反応を防ぐために、導電層を覆うように被覆層を形成する。被覆層は、特性の安定したニッケルまたはニッケルの合金によって形成されるのが好ましい。
【0020】
この場合、前記液滴は前記液滴吐出装置からそれぞれ吐出された後、少なくとも乾燥あるいは焼成されてそれぞれが対応する中間層、導電層、被覆層を形成することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、液滴吐出装置から吐出された液滴は、吐出された基板、中間層あるいは導電層の表面でそれぞれ液状の層をなし、これら液状の層を乾燥、焼成の両工程あるいはどちらかを実施して中間層、導電層、被覆層を形成する。具体的には、液状の層からマンガン、銀、ニッケルあるいはそれらの合金の微粒子を分散する分散媒を除去して、マンガン、銀、ニッケルあるいはそれらの合金である中間層、導電層、被覆層を形成する。
【0022】
本発明の半導体装置は、本発明の配線形成方法で形成された配線を有することを特徴とする。
【0023】
この半導体装置によれば、本発明の配線形成方法による配線を用いることにより、より小型化、高密度化が図れ、コンパクトで高性能な半導体装置を提供できる。
【0024】
本発明のTFTデバイスは、本発明の配線形成方法を用いて形成され、前記TFTデバイスのゲート配線領域は前記第一の領域であり、ゲート電極領域は前記第二の領域であることを特徴とする。
【0025】
このTFTデバイスによれば、TFTデバイスのゲート配線とゲート電極とが形成される各領域は、それぞれ本発明の配線形成方法によって形成される第一の領域と第二の領域とに相当する。幅の狭いゲート電極は、第二の領域に中間層、導電層、被覆層の3層からなる配線を形成する方法と同様な方法で、TFT基板の表面に形成される。従って、TFTデバイスのゲート電極が微小幅であっても、中間層、導電層、被覆層をゲート電極へ効率良く形成できる。
【0026】
本発明の電気光学装置は、本発明の配線形成方法によって形成された配線、半導体装置あるいはTFTデバイスを用いたことを特徴とする。
【0027】
この電気光学装置によれば、本発明の配線形成方法によって形成された微細な配線および高密度な半導体装置を用いて高精度な実装が可能である。また、TFTデバイスに配線形成方法を適用すれば、幅の狭いゲート電極を容易に形成できる。これらの微細な配線、半導体装置およびTFTデバイスを用いた電気光学装置は、基盤との密着性を有し配線不良が起き難く、しかも小型化が可能である。なお、電気光学装置としては、液晶表示装置などが挙げられる。
【0028】
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0029】
この電子機器によれば、信頼性の高い配線、半導体装置およびTFTデバイスで構成される電気光学装置を搭載しており、高品質な電子機器を提供できる。電子機器としては、携帯電話、PC(パーソナルコンピュータ)、電子時計などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、半導体装置としてのTFT(Thin Film Transistor薄膜トランジスタ)デバイスの製造における配線形成を例に説明する。この場合、配線のパターン形成は、液滴吐出法により、液滴吐出ヘッドからパターン形成用の導電性機能液(機能液)等の液滴を吐出して、基板上に形成される。
【0031】
図1は、TFT(TFTデバイス)が形成されるTFT基板の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、TFT1を有するTFT基板2の表面には、配線のパターンであるゲート配線3と、ソース配線4とが、それぞれ碁盤の目のように配置されている。ゲート配線3は、X軸方向に延在して形成されており、その側部からY軸方向に延びるようにゲート電極5が形成されている。なお、ゲート電極5は、袋小路状になっていて、その幅W1は、ゲート配線3の幅W2よりも狭くなっている。また、Y軸方向に延びるように形成されたソース配線4の側部から、X軸方向へ延びるソース電極6が、袋小路状に形成されている。ソース電極6は、その一部がゲート電極5と平面的に重なるように形成されている。さらに、ゲート電極5の幅W1の中心を通るY軸線に対して、ソース電極6と対称にドレイン電極7が形成され、ドレイン電極7に電気的に接続して画素電極8が形成されている。このような構成の配線のうち、特にゲート配線3と連続する微小な幅W1のゲート電極5が、本実施形態の配線形成方法で効果的に形成される。
【0032】
次に、TFT1の構成について説明する。図2は、TFTの構成を示す断面図である。図2は、図1におけるTFT1のA−A’断面であり、TFT基板2の表面にゲート電極5と、ソース配線4と、ソース電極6と、ドレイン電極7と、画素電極8とが積層されている部分を表している。
【0033】
TFT1の構成は、まず、TFT基板2の表面に形成されている一層目バンク(境界層)9と、一層目バンク9によって形成されている袋小路状の溝部に設けられているゲート電極5とを有する。ゲート電極5は、Mn(マンガン)あるいはMnの合金からなるゲート中間層10と、Ag(銀)あるいはAgの合金からなり信号を伝達するゲート導電層11と、Ni(ニッケル)あるいはNiの合金からなるゲート被覆層12とを有する。ゲート電極5の各層は、それぞれゲート配線3と連続して形成されている。そして、ゲート電極5および一層目バンク9の上を覆ってゲート絶縁層13が形成されている。ゲート絶縁層13は、窒化シリコン(SiN)からなる。以降の記載では、Mn、AgおよびNiの表記は、それぞれの合金を包含した意味を有する。
【0034】
ゲート中間層10を形成するMnは、TFT基板2およびゲート導電層11を形成するAgとの密着性を有し、且つAgを含有する液滴に対して親液性を有する。従って、液滴吐出法により吐出されるAgを含有する液滴は、ゲート中間層10との親液性により、ゲート中間層10の面を覆うように濡れ広がりやすい。同様に、ゲート被覆層12を形成するNiを含有する液滴は、ゲート導電層11との親液性により、ゲート導電層11の面を覆うように濡れ広がる。また、ゲート中間層10を形成するMnは、ゲート導電層11、ゲート被覆層12およびゲート絶縁層13と拡散等をせず、拡散等に起因するTFT1の機能低下を生じさせることがない。
【0035】
一方、ゲート導電層11を形成するAgは、SiNと拡散する。そのため、SiNで形成されているゲート絶縁層13とゲート導電層11とを隔離する目的でゲート被覆層12が形成されている。ゲート導電層11にAgを使用するとゲート被覆層12が必要となるが、Agを含有する液滴は、比較的低温で焼成等ができ、しかも液の取り扱いおよび液滴吐出が容易であるため、液滴吐出法を利用してゲート導電層11を形成する場合には、望ましい材料である。
【0036】
さらに、TFT1は、ゲート絶縁層13の上に形成されている二層目バンク14と、二層目バンク14によって形成されている溝部に、ゲート絶縁層13を介してゲート電極5の位置と対向するように形成されているアモルファスシリコンの薄膜からなる半導体層15と、半導体層15の上に所定の隙間をもって形成されているn+型アモルファスシリコンの薄膜からなる接合層16a、16bとを有する。
【0037】
半導体層15および接合層16a、16bは、それぞれCVD(蒸着Chemical Vapor Deposition)によって設けられ、蒸着後、フォトリソグラフィ法でパターン形成される。ゲート絶縁層13もCVDによって形成される。なお、接合層16aは、ソース電極6が設けられる部分に位置し、接合層16bは、ドレイン電極7が設けられる部分に位置する。また、ゲート電極5の位置と対向する半導体層15はチャネル領域と称される。
【0038】
さらに、TFT1は、チャネル領域を避けて接合層16a、16bおよびゲート絶縁層13を順に覆うNiからなる第一ソース薄膜層17aおよび第一ドレイン薄膜層17bと、Agからなる第二ソース薄膜層18aおよび第二ドレイン薄膜層18bと、Niからなる第三ソース薄膜層19aおよび第三ドレイン薄膜層19bとを有する。第一ソース薄膜層17a、第二ソース薄膜層18aおよび第三ソース薄膜層19aは、接合続層16aの上を覆いX軸の正方向へ延在してソース電極6を構成し、さらに連続してソース配線4を構成する。また、第一ドレイン薄膜層17b、第二ドレイン薄膜層18bおよび第三ドレイン薄膜層19bは、接合層16bの上を覆いX軸の負方向へ延在してドレイン電極7を構成する。そして、TFT1は、ソース配線4、ソース電極6、チャネル領域およびドレイン電極7を覆うソース絶縁層20と、第二ドレイン薄膜層18bからソース絶縁層20の上面までを貫通する導電ホール21とを有する。
【0039】
第一ソース薄膜層17a、第二ソース薄膜層18aおよび第三ソース薄膜層19aは、液滴吐出法により、それぞれNi、Ag、Niを含有する液滴を吐出して、吐出後に乾燥、焼成することにより形成される。その際、チャネル領域にチャネルバンク22を形成することにより、チャネル領域へ液滴が塗布されることを防ぐ。同様にして、第一ドレイン薄膜層17b、第二ドレイン薄膜層18bおよび第三ドレイン薄膜層19bも形成される。その後、チャネルバンク22を除去し、ソース配線4、ソース電極6、チャネル領域およびドレイン電極7を覆うソース絶縁層20を形成する。ソース絶縁層20の上面は、二層目バンク14の上面と面一な状態である。ソース絶縁層20を形成するときに、第二ドレイン薄膜層18bへ画素電極8が導通するための導電ホール21を形成する。
【0040】
そして、TFT1は、二層目バンク14およびソース絶縁層20の上にITO(インジュウム錫酸化物Indium Tin Oxide)からなる画素電極8を有する。この画素電極8は、ITOで充填された導電ホール21を介して、ドレイン電極7の第二ドレイン薄膜層18bと導通している。画素電極8は、CVDとフォトリソグラフィ法とにより所定のパターンに形成される。
【0041】
次に、本発明の配線形成方法(パターン形成方法)について図3、図4、図5および図6を用いて説明する。図3は、配線のパターン形成方法を示すフローチャートである。本実施形態に係るゲート配線3およびゲート電極5の形成方法は、上述した配線のパターン形成用の各液滴を基板上に配置し、基板上に配線のパターンを形成するものである。形成方法は、基板上に配線のパターンに応じたバンクを突設するバンク形成工程(工程1)と、基板に親液性を付与する親液化処理工程(工程2)と、バンクに撥液性を付与する撥液化処理工程(工程3)と、撥液性を付与されたバンク間に中間層を形成する中間層形成機能液の液滴を配置する中間層材料配置工程(工程4)と、配置された液滴の液体成分の少なくとも一部を除去する中間乾燥工程(工程5)および焼成工程(工程6)とを有している。さらに、中間層に重ねて導電層を形成する導電性機能液の液滴を配置する導電層材料配置工程(工程7)と、配置された液滴の液体成分の少なくとも一部を除去する中間乾燥工程(工程8)および焼成工程(工程9)と、導電層に重ねて被覆層を形成する被覆層形成機能液の液滴を配置する被覆層材料配置工程(工程10)と、配置された液滴の液体成分の少なくとも一部を除去する中間乾燥工程(工程11)および焼成工程(工程12)とを有している。
【0042】
以下、工程毎に詳細に説明する。説明に用いる図4は、ゲート配線およびゲート電極の製造工程を断面で順に示す工程図、図5は、ゲート配線およびゲート電極の製造工程を平面で順に示す工程図、図6は、ゲート電極のゲート被覆層の形成方法を示す断面図である。図4の(a)、(b)、(c)、(d)の各断面図と、図5の(a)、(b)、(c)、(d)の各平面図とは、同じ状態時を断面と平面とでそれぞれ表している図である。なお、本実施形態ではTFT基板2としてガラス基板が用いられる。各工程の説明は、ゲート中間層10の形成を例に説明する。
【0043】
<バンク形成工程(工程1)>
まず、TFT基板2に対して、表面改質処理としてHMDS処理が施される。HMDS処理は、ヘキサメチルジシラサン((CH3)3SiNHSi(CH3)3)を蒸気状にして塗布する方法である。これにより、一層目バンク9とTFT基板2との密着性を向上させることができる。
【0044】
一層目バンク9は、仕切部材として機能する部材であり、フォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等の所定の方法で、HMDS処理されたTFT基板2の上に、一層目バンク9の高さに合わせて有機系感光性材料を塗布し、その上にレジスト層を塗布する。そして、一層目バンク9の形状に合わせてマスクを施し、レジストを露光・現像することにより一層目バンク9の形状に合わせたレジストを残す。最後にエッチングしてマスク以外の部分の有機系感光性材料を除去する。また、下層が無機物で上層が有機物で構成された2層以上で一層目バンク9を形成してもよい。これにより、図4(a)の断面図に示されるように、ゲート配線3およびゲート電極5の形成予定領域であるゲート配線領域3aおよびゲート電極領域5aの周辺を囲むように一層目バンク9が突設される。図5(a)は、図4(a)の部分の平面図である。B−B’の断面が図4(a)で表されている。
【0045】
一層目バンク9を形成する有機材料としては、各液滴に対して撥液性を示す材料でも良いし、後述するように、プラズマ処理による撥液化(フッ素化)が可能で、TFT基板2との密着性が良く、フォトリソグラフィによるパターニングがし易い絶縁有機材料でも良い。例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料を用いることが可能である。あるいは、無機骨格(シロキサン結合)を主鎖に有機基を持った材料でもよい。
【0046】
TFT基板2上に一層目バンク9が形成されると、フッ酸処理が施される。フッ酸処理は、例えば2.5%フッ酸水溶液でエッチングを施すことで、HMDS処理による層を除去する処理である。フッ酸処理では、一層目バンク9がマスクとして機能し、図4(a)に示すように、一層目バンク9間に形成された溝部の底部34にある有機物であるHMDSの層が除去され、TFT基板2が露出する。
【0047】
<親液化処理工程(工程2)>
次に、一層目バンク9間の底部34(TFT基板2の露出部)に親液性を付与する親液化処理工程が行われる。親液化処理工程としては、紫外線を照射する紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2プラズマ処理等を選択できる。ここではO2プラズマ処理を実施する。
【0048】
O2プラズマ処理は、TFT基板2に対してプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射する。O2プラズマ処理の条件の一例として、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対するTFT基板2の相対移動速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃である。
【0049】
そして、TFT基板2がガラス基板の場合、その表面はゲート中間層10を形成する中間層形成機能液に対して親液性を有しているが、本実施形態のようにO2プラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、一層目バンク9間で露出するTFT基板2の表面(底部34)の親液性を更に高めることができる。ここで、底部34の中間層形成機能液に対する接触角が20度以下となるように、O2プラズマ処理や紫外線照射処理が行われることが好ましい。
【0050】
なお、ここでは、フッ酸処理を行うことでHMDSの層を除去するように説明したが、O2プラズマ処理あるいは紫外線照射処理により底部34のHMDSの層を十分に除去すれば、フッ酸処理は行わなくてもよい。また、ここでは、親液化処理としてO2プラズマ処理又は紫外線照射処理のいずれか一方を行うように説明したが、O2プラズマ処理と紫外線照射処理とを組み合わせてもよい。
【0051】
<撥液化処理工程(工程3)>
続いて、一層目バンク9に対して撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、四フッ化炭素(テトラフルオロメタン)を処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用する。CF4プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50〜1000W、4フッ化炭素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対する基体搬送速度が0.5〜10mm/sec、基体温度が70〜90℃とされる。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタンに限らず、他のフルオロカーボン系のガス、または、SF6、SF5、CF3などのガスも用いることができる。CF4プラズマ処理には、後述するプラズマ処理装置を用いることができる。
【0052】
このような撥液化処理を行うことにより、一層目バンク9には、一層目バンク9を構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのO2プラズマ処理は、一層目バンク9の形成前に行ってもよいが、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等の高分子材料は、O2プラズマによる前処理がなされた方がよりフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、一層目バンク9を形成した後にO2プラズマ処理することが好ましい。
【0053】
なお、一層目バンク9に対する撥液化処理により、先に親液化処理した一層目バンク9間のTFT基板2の露出部(底部34)に対し多少の影響があるものの、特にTFT基板2がガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こらないため、TFT基板2の底部34は、その親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
【0054】
<中間層材料配置工程(工程4)>
次に、液滴吐出装置による液滴吐出法を用いて、ゲート配線3およびゲート電極5を形成する3層の配線のうち、最初にゲート中間層10を形成する。ゲート中間層10の形成は、まず、Mnの微粒子を含有する中間層形成機能液の液滴31が、TFT基板2上の一層目バンク9の間に配置される。中間層形成機能液は、テトラデカンを溶媒(分散媒)としている。材料配置工程では、図4(b)および図5(b)に示すように、液滴吐出装置の液滴吐出ヘッド41から中間層形成機能液を液滴31の状態にして吐出する。中簡層形成機能液の液滴31の大きさは、ゲート配線領域3aの幅W2より小さくゲート電極領域5aの幅W1より大きい。
【0055】
液滴31の配置は、ゲート配線領域3aへ一定の間隔Pをおいて液滴31を順に配置する。この場合、液滴31が吐出されるゲート配線領域3aは、一層目バンク9に囲まれており、液滴31の大きさがゲート配線領域3aの幅W2より小さいため、液滴が一層目バンク9間以外に拡がることを阻止できる。
【0056】
一方、ゲート電極領域5aへ吐出される液滴31は、図6(a)に示すように底部34に向かって吐出され、図6(b)に示すように親液性を有する底部34に引き寄せられて、底部34に濡れ広がる。液滴31は、ゲート電極領域5aの幅W1より大きいため、液滴31の一部が一層目バンク9の上面に留まる。しかし、一層目バンク9が撥液性を有するため、液滴31は、親液性を有する底部34へより強く引き寄せられて、図6(c)に示すように一層目バンク9で形成される溝部へ収容される。Mnは、既に述べたようにSiNなどと拡散しないため、一層目バンク9の上に残渣として残ってもTFT1の性能に影響がない。また、Mnは、いわゆるキャップメタルとしての機能もあるため、一層目バンク9を形成する際に、ゲート電極5等に残った残渣を除去せずに、ゲート中間層10を形成することが可能である。
【0057】
液体材料である中間層形成機能液は、Mnの微粒子を分散媒に分散した分散液からなるものである。分散媒のMn含有は、この場合約1%である。Mnの微粒子の粒径は1nm以上1.0μm以下であることが好ましい。1.0μmより大きいと、後で詳述する液滴吐出ヘッド41の吐出ノズルに目詰まりが生じるおそれがある。
【0058】
分散媒としては、Mnの微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。本実施形態では、乾燥の早いテトラデカンを使用している。
【0059】
上記分散液の表面張力は、0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法により中間層形成機能液を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、中間層形成機能液のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えると、ノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため、吐出量や吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、中間層形成機能液の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0060】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いて、中間層形成機能液を液滴31として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部が中間層形成機能液の流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり、円滑な液滴31の吐出が困難となる。さらに、液滴を吐出する雰囲気は、温度60℃以下、湿度80%以下に設定されていることが好ましい。これにより、液滴吐出ヘッド41の吐出ノズルが目詰まりすることなく、より安定した液滴吐出を行うことができる。
【0061】
TFT基板2としては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板、セラミックなど各種のものを用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜、絶縁膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0062】
<中間乾燥工程(工程5)>
TFT基板2に液滴31を吐出した後、分散媒の除去及び膜厚確保のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えばTFT基板2を加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行なうこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、およびXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。
【0063】
<焼成工程(工程6)>
ゲート中間層10に吐出された中間層形成機能液の乾燥後の乾燥膜を、さらに焼成してゲート中間層10を得る。具体的には、中間層形成機能液の乾燥膜を加熱して、乾燥膜に含まれるMnの微粒子を焼成して固化させる。この加熱は、大気中で行われ、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中、または水素などの還元雰囲気中で行ってもよい。加熱工程の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、ゲート中間層10におけるMnの微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、Mnの微粒子を覆うコーティング材の有無や量、TFT基板2の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
【0064】
本実施形態の焼成工程は、ゲート中間層10を、クリーンオーブンを用いて大気中で室温から200℃以下で加熱することが好ましい。ここでは、ゲート中間層10を180℃で60分間、焼成(加熱)した。表1に、Mnを含有したゲート中間層10を、焼成温度を変えてそれぞれ焼成した場合において、図4(c)に示す次工程でゲート中間層10へ吐出されるAgを含有した導電性機能液の液滴32の着弾径と、液滴32のゲート中間層10に対する接触角とを記載してある。焼成時間は、それぞれ60分である。表1より、接触角は、2.2度から5度であって、Agはゲート中間層10の上を十分に濡れ広がり、幅の細いゲート電極領域5aを満たす。ここで、Agが濡れ広がるための接触角としては、20度以下の条件を満たしていれば良いとの知見が得られた。着弾径は、180℃の場合が最も大きく、温度の低い120℃が小さいという結果である。250℃では、ゲート中間層10に亀裂が生じた。この結果より、焼成条件は、200℃以下が好ましく、180℃での焼成が最も適しているといえる。
【0065】
【表1】
【0066】
<導電層材料配置工程(工程7)>
次に、ゲート中間層10の上にAgを含有するゲート導電層11を形成する。ゲート導電層11を形成する工程は、図4(c)および図5(c)に示すように、ゲート中間層10へ液滴吐出ヘッド41からAgを含有する導電性機能液の液滴32を吐出する。液滴32は、ゲート配線3を形成する部分へ一定の間隔Pをおいて順に配置されている。ゲート中間層10の形成と異なり、ゲート電極領域5aへは、液滴32を吐出しない。その理由として、Agは、SiN等と拡散してTFT1の機能を損なうため、細いゲート電極領域5a内へ確実にAgを配置する必要がある。図6の中間層形成液の液滴31と同じように、ゲート電極領域5aへAgの液滴32を吐出すると、一層目バンク9の上にAgの残渣が残り、SiNからなるゲート絶縁層13へAgが拡散してしまう。
【0067】
このような拡散を防ぎ、ゲート電極領域5aの細線化のため、ゲート配線領域3aに吐出されゲート電極領域5aに直近する液滴32aと、ゲート中間層10との強い親液性を利用して、図5(c)に示すように液滴32をゲート電極領域5aの方向へ流動させる。ゲート電極領域5aは幅が狭いため、毛細管現象の作用が加わり、液滴32は、ゲート電極領域5aの全体へ濡れ広がる。従って、液滴32aは、図5(c)のように、ゲート電極領域5aとゲート配線領域3aとが接続する位置へ、ゲート電極領域5aの幅W1の中心線と液滴32の中心とが一致するように、正確に吐出されることが望ましい。このように、Agを含有する液滴32と強い親液性を有するMnのゲート中間層10を、ゲート電極領域5aおよびゲート配線領域3aへ形成することにより、ゲート電極領域5aへAgを含有する液滴32を直接吐出することなく、ゲート電極領域5aへAgからなるゲート導電層11が形成できる。ゲート電極領域5aの周辺部の一層目バンク9へ、Agの残渣が付着することもない。
【0068】
<中間乾燥工程(工程8)、焼成工程(工程9)>
ゲート導電層11の中間乾燥工程は、ゲート中間層10の場合と同じであるが、焼成工程について簡単に補足する。導電層材料配置工程後、乾燥された導電性機能液の液滴32の乾燥膜は、導電性を得るために加熱処理を行い、有機銀化合物の有機分を除去し、Agの微粒子を残留させる必要がある。加熱処理は、通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中、または水素などの還元雰囲気中で行なうこともできる。加熱処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。本実施形態では、既に形成されているゲート中間層10への影響を加味して、大気中クリーンオーブンにて200℃で300分間の焼成工程が、行われる。これにより、乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保された導電性のゲート導電層11となる。
【0069】
焼成工程は、上記のような加熱工程に代えて、乾燥膜に紫外光を照射する照射工程であってもよい。さらに、焼成工程は、上記のような加熱工程と、紫外光を照射する照射工程とが組み合わせられた工程であってもよい。
【0070】
<被覆層材料配置工程(工程10)>
次に、ゲート導電層11の上にNiを含有するゲート被覆層12を形成する。ゲート被覆層12の形成によって、ゲート導電層11のAgの強度向上および保護と、Agのゲート絶縁層13のSiNとの拡散を防ぐことができる。ゲート被覆層12を形成する工程は図4(d)および図5(d)に示すように、ゲート導電層11へ液滴吐出ヘッド41からNiを含有する被覆層形成機能液の液滴33を吐出する。液滴33は、ゲート配線領域3aへ一定の間隔Pをおいて順に配置され、ゲート導電層11の形成と同様に、ゲート電極領域5aへは、液滴33を吐出しない。
【0071】
しかし、ゲート導電層11のAgの層は、Niの液滴33に対して接触角が20度以下である。従って、ゲート配線領域3aに吐出されゲート電極領域5aに直近する液滴33aと、ゲート中間層10との強い親液性を利用することにより、図5(d)に示すように、液滴33aをゲート電極領域5aの方向へ流動させることができる。ゲート電極領域5aは幅が狭いため、毛細管現象の作用が加わり、液滴33aは、ゲート電極領域5aの全体へ濡れ広がる。このように、Niの液滴33とAgのゲート導電層11との親液性を利用して、ゲート電極領域5aへNiの液滴33を直接吐出することなく、ゲート電極領域5aへゲート被覆層12が形成できる。
【0072】
<中間乾燥工程(工程11)、焼成工程(工程12)>
ゲート被覆層12を形成するための被覆層形成機能液の乾燥および焼成は、ゲート導電層11の処理に準じて行う。
【0073】
以上のような工程により、図4(e)に示すゲート中間層10、ゲート導電層11およびゲート被覆層12からなるゲート配線3およびゲート電極5が、形成できる。なお、各層の厚さは、Agのゲート導電層11が約0.7μm、Mnのゲート中間層10およびNiのゲート被覆層12が共に0.2μmである。
【0074】
次に、本発明に係るデバイスを製造する際に用いられるデバイス製造装置について説明する。このデバイス製造装置としては、液滴吐出ヘッド41からTFT基板2に対して液滴を吐出することによりデバイスを製造する液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられる。
【0075】
図7は液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。液滴吐出装置40は、液滴吐出ヘッド41と、X軸方向駆動軸42と、Y軸方向ガイド軸43と、制御装置44と、ステージ45と、クリーニング機構46と、基台47と、ヒータ48とを備えている。
【0076】
ステージ45は、この液滴吐出装置40により機能液を配置されるTFT基板2を支持するものであって、TFT基板2を基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0077】
液滴吐出ヘッド41は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド41の下面にX軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド41の吐出ノズルからは、ステージ45に支持されているTFT基板2に対して、上述したMn、Ag、Niの微粒子を含む液滴が吐出される。
【0078】
X軸方向駆動軸42にはX軸方向駆動モータ49が接続されている。X軸方向駆動モータ49はステッピングモータ等であり、制御装置44からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸42を回転させる。X軸方向駆動軸42が回転すると、液滴吐出ヘッド41はX軸方向に移動する。
【0079】
Y軸方向ガイド軸43は基台47に対して動かないように固定されている。ステージ45は、Y軸方向駆動モータ50を備えている。Y軸方向駆動モータ50はステッピングモータ等であり、制御装置44からY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ45をY軸方向に移動する。
【0080】
制御装置44は液滴吐出ヘッド41に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。更に、制御装置44は、X軸方向駆動モータ49に対して液滴吐出ヘッド41のX軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給するとともに、Y軸方向駆動モータ50に対してステージ45のY軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0081】
クリーニング機構46は液滴吐出ヘッド41をクリーニングするものであって、図示しないY軸方向駆動モータを備えている。このY軸方向駆動モータの駆動により、クリーニング機構46はY軸方向ガイド軸43に沿って移動する。クリーニング機構46の移動も制御装置44により制御される。
【0082】
ヒータ48はここではランプアニールによりTFT基板2を熱処理する手段であり、TFT基板2上に塗布された液滴に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ48の電源の投入及び遮断も制御装置44により制御される。
【0083】
液滴吐出装置40は、液滴吐出ヘッド41とTFT基板2を支持するステージ45とを相対的に走査しつつTFT基板2に対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、Y軸方向を走査方向、Y軸方向と直交するX軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド41の吐出ノズルは、非走査方向であるX軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図7では、液滴吐出ヘッド41は、TFT基板2の進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド41の角度を調整し、TFT基板2の進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド41の角度を調整することでノズル間のピッチを調節することが出来る。また、TFT基板2とノズル面との距離を任意に調節可能としてもよい。
【0084】
図8は、ピエゾ方式による液滴の吐出原理を示す断面図である。図8において、液滴となる液体材料を収容する液体室51に隣接してピエゾ素子52が設置されている。液体室51には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系53を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子52は駆動回路54に接続されており、この駆動回路54を介してピエゾ素子52に電圧を印加し、ピエゾ素子52を変形させることにより、液体室51が変形し、吐出ノズル55から液滴が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることによりピエゾ素子52の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることによりピエゾ素子52の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0085】
ここで、液滴吐出法のその他の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、吐出する液体材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に液体材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には液体材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると液体材料間に静電的な反発が起こり、液体材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、既に説明したピエゾ方式である。
【0086】
また、電気熱変換方式は、液体材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、液体材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の液体材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、液体材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに液体材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから液体材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、液体材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の液体材料の液滴を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液滴の一滴の量は例えば1〜300ナノグラムである。
【0087】
次に、図9は、プラズマ処理装置の構成を示す断面図である。図9に示すプラズマ処理装置は、交流電源61に接続された電極62と、接地電極である試料テーブル60とを有している。試料テーブル60は試料であるTFT基板2を支持しつつY軸方向に移動可能となっている。電極62の下面には、移動方向と直交するX軸方向に延在する2本の平行な放電発生部63が突設されているとともに、放電発生部63を囲むように誘電体部材64が設けられている。誘電体部材64は放電発生部63の異常放電を防止するものである。そして、誘電体部材64を含む電極62の下面は略平面状となっており、放電発生部63及び誘電体部材64とTFT基板2との間には僅かな空間(放電ギャップ)が形成されるようになっている。また、電極62の中央にはX軸方向に細長く形成された処理ガス供給部の一部を構成するガス噴出口65が設けられている。ガス噴出口65は、電極内部のガス通路66及び中間チャンバ67を介してガス導入口68に接続している。
【0088】
ガス通路66を通ってガス噴出口65から噴射された処理ガスを含む所定ガスは、前記空間の中を移動方向(Y軸方向)の前方及び後方に分かれて流れ、誘電体部材64の前端及び後端から外部に排気される。これと同時に、交流電源61から電極62に所定の電圧が印加され、放電発生部63と試料テーブル60との間で気体放電が発生する。そして、この気体放電により生成されるプラズマで前記所定ガスの励起活性種が生成され、放電領域を通過するTFT基板2の表面全体が連続的に処理される。
【0089】
本実施形態では、前記所定ガスは、処理ガスである酸素(O2)と、大気圧近傍の圧力下で放電を容易に開始させ且つ安定に維持するためのヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスや窒素(N2)等の不活性ガスとを混合したものである。特に、処理ガスとして酸素を用いることにより、一層目バンク9の底部におけるバンク形成時の有機物(レジストやHMDS)残渣を除去できる。すなわち、一層目バンク9の親液処理工程前のフッ酸処理では、一層目バンク9の底部のHMDS(有機物)が完全に除去されない場合がある。あるいは、一層目バンク9の底部にバンク形成時のレジスト(有機物)が残っている場合もある。そこで、O2プラズマ処理を行うことにより、一層目バンク9の底部の残渣が除去される。
【0090】
以下では、本発明の電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。図10は、本発明に係る液晶表示装置について、液晶表示装置を対向基板側から見た平面図であり、図11は、図10の液晶表示装置のH−H'に沿う断面図である。また、図12は、液晶表示装置の複数の画素における素子、配線等の等価回路図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0091】
図10及び図11において、本実施形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFT基板2と対向基板120とが光硬化性の封止材であるシール材152によって貼り合わされ、このシール材152によって区画された領域内に液晶150が封入、保持されている。シール材152は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されている。
【0092】
シール材152の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り153が形成されている。シール材152の外側の領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFT基板2の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。TFT基板2の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104の間を接続するための複数の配線105が設けられている。また、対向基板120のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFT基板2と対向基板120との間で電気的導通をとるための基板間導通材106が配設されている。
【0093】
なお、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFT基板2の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFT基板2の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶150の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板120において、TFT基板2の各画素電極8に対向する領域に、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0094】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図12に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)1が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線160aがTFT1のソースに電気的に接続されている。データ線160aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線160a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT1のゲートには走査線130a、130bが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線130aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0095】
画素電極8はTFT1のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT1を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線160aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極8を介して液晶150に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図11に示す対向基板120の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極8と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量170が付加されている。例えば、画素電極8の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも長い時間、蓄積容量170により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0096】
なお、上記実施形態では、TFT1を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT1を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する液体材料を液滴とし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
【0097】
なお、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子(FED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display))等にも適用可能である。
【0098】
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。図13(a)は携帯電話の一例を示した斜視図である。図13(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。図13(b)はワープロ、PC(パーソナルコンピュータ)などの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図13(b)において、700はPC、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理部、702は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。 図13(c)は腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図13(c)において、800は電子時計を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。図13(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置を備えたものであり、良好に細線化された配線のパターンを有している。なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。電子機器として、さらに電子辞書、携帯ゲーム機、電卓、小型テレビ、ナビゲーション装置、POS端末などが挙げられる。
【0099】
以下、実施形態の効果についてまとめて記載する。
【0100】
(1)TFT1のゲート配線領域3aと連続する微小幅のゲート電極領域5aへ、配線の主要部であるAgのゲート導電層11を形成するために、Agを含有する導電性機能液の液滴32との親液性を有するMnからなるゲート中間層10を、ゲート導電層11の下地として形成する。次に、ゲート配線領域3aのゲート電極領域5a近傍へ、液滴32を液滴吐出装置40により吐出する。液滴32は、ゲート中間層10との親液性によってゲート電極領域5aへ自己流動して、ゲート導電層11を形成する。このように、ゲート電極領域5aの幅より小さな液滴32の吐出が困難な微小幅のゲート電極領域5aに対して、ゲート電極領域5aへ直接液滴32を吐出することなく、ゲート導電層11が形成できる。従って、ゲート電極領域5aの周辺に、ゲート絶縁層13へ拡散しやすいAgの残渣を生じさせることがない。
【0101】
(2)同様に、ゲート導電層11の形成に準じて、ゲート導電層11に重ねて、ゲート配線領域3aへNiを含有する被覆層形成機能液の液滴33を吐出する。液滴33をゲート電極領域5aへ自己流動させて、ゲート電極領域5aへゲート被覆層12を形成する。ゲート電極領域5aの幅より小さな液滴33の吐出が困難な微小幅のゲート電極領域5aに対して、ゲート電極領域5aへ直接液滴33を吐出することなくゲート被覆層12が形成できる。
【0102】
(3)TFT基板2の表面である一層目バンク9間の底部34が親液性を有し、一層目バンク9自体が撥液性を有しているため、Mnを含有しゲート電極領域5aの幅W1より大きい直径の液滴31でも、ゲート電極領域5aを形成する一層目バンク9上に留まることなく、底部34へ強く引き寄せられ、一層目バンク9の間へ収容される。このようにして、ゲート電極領域5aへMnのゲート中間層10が形成できる。Mnは、一層目バンク9に残渣として残っても拡散等の反応をせず、従って、直接ゲート電極領域5aへ液滴31を吐出することができる。
【0103】
(4)ゲート導電層11を形成する導電性機能液として、銀または銀の合金を含有する導電性機能液を用いる。銀または銀の合金の微粒子を含有する導電性機能液は、液の取り扱いおよび液滴吐出が容易であり、しかも比較的低温で焼成等ができるため、液滴吐出法を利用して導電層を形成には、望ましい材料である。
【0104】
(5)ゲート導電層11を形成する銀または銀の合金は、ゲート絶縁層13のSiNへ拡散する。このような拡散を防ぐために、ゲート導電層11を覆うようにNiのゲート被覆層12を形成する。ニッケルまたはニッケルの合金は、安定した特性を保有しており、ゲート被覆層12の形成にとって好ましい。
【0105】
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、次のような変形例が挙げられる。
【0106】
(変形例1)中間層材料配置工程において、Mnのゲート中間層10をゲート電極領域5aおよびゲート配線領域3のa全面に形成せずに、ゲート電極領域5a全面と、ゲート電極領域5aに直近する液滴32aが配置されるゲート配線領域3aの一部分とにのみ、Mnのゲート中間層10を形成しても良い。ゲート中間層10の形成時間が短縮できる。
【0107】
(変形例2)配線の主要部であるゲート導電層11を、液滴吐出装置40によって形成し、他のゲート中間層10およびゲート被覆層12を、既存方法のCVDによって形成しても良い。こうすれば、既存方法も併行して活用することができる。
【0108】
(変形例3)液滴31、32、33の配置間隔Pは、一定間隔に限定されず、間隔Pをあけずに配置しても良い。ゲート中間層10、ゲート導電層11、ゲート被覆層12の機能を維持して、各層の厚さを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】TFTが形成されるTFT基板の概略構成を示す平面図。
【図2】TFTの構成を示す断面図。
【図3】配線パターンの形成方法を示すフローチャート。
【図4】ゲート配線およびゲート電極の製造工程を断面で順に示す工程図。
【図5】ゲート配線およびゲート電極の製造工程を平面で順に示す工程図。
【図6】ゲート電極のゲート被覆層の形成方法を示す断面図。
【図7】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図8】ピエゾ方式による機能液の吐出原理を示す断面図。
【図9】プラズマ処理装置の構成を示す断面図。
【図10】液晶表示装置を対向基板側から見た平面図。
【図11】図10の液晶表示装置のH−H'に沿う断面図。
【図12】液晶表示装置の複数の画素における素子、配線等の等価回路図。
【図13】電子機器の一例である携帯電話、携帯型情報処理装置、腕時計の斜視図。
【符号の説明】
【0110】
1…TFTデバイスとしてのTFT、2…TFT基板、3…ゲート配線、3a…ゲート配線領域、4…ソース配線、5…ゲート電極、5a…ゲート電極領域、6…ソース電極、7…ドレイン電極、8…画素電極、9…一層目バンク、10…ゲート中間層、11…ゲート導電層、12…ゲート被覆層、13…ゲート絶縁層、14…二層目バンク、31…中間層形成機能液の液滴、32…導電性機能液の液滴、33…被覆層形成機能液の液滴、34…底部、40…液滴吐出装置、41…液滴吐出ヘッド、55…吐出ノズル、60…プラズマ処理装置、100…電気光学装置としての液晶表示装置、600…電子機器としての携帯電話、700…電子機器としてのPC、800…電子機器としての電子時計。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出装置を用いて機能液の液滴を吐出する方法により、基板表面に機能層のパターンを形成するパターン形成方法であって、
前記パターンが形成されるパターン領域は境界層によって縁取られていて、第一の領域と、前記第一の領域に連続し前記第一の領域より狭い幅を有する第二の領域とを有しており、
前記第一の領域および前記第二の領域に、前記基板との密着性を有すると共に前記機能液に対して親液性を有する中間層を形成する工程と、
前記第一の領域に対して前記機能液の液滴を吐出する工程と、
前記第一の領域へ吐出された前記機能液の液滴を、前記中間層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
液滴吐出装置を用いて機能液の液滴を吐出する方法により、基板表面に導電性機能液によって形成される導電層を含む配線を形成する配線形成方法であって、
前記配線が形成される領域は境界層によって縁取られていて、第一の領域と、前記第一の領域に連続し前記第一の領域より狭い幅を有する第二の領域とを有しており、
前記第一の領域および前記第二の領域に、前記基板との密着性を有すると共に前記導電性機能液に対して親液性を有する中間層を形成する工程と、
前記第一の領域に対して前記導電性機能液の液滴を吐出する工程と、
前記第一の領域へ吐出された前記導電性機能液の液滴を、前記中間層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程と、
前記導電層の全面を覆うように被覆層を形成する工程とを有することを特徴とする配線形成方法。
【請求項3】
請求項2に記載の配線形成方法において、
前記中間層を形成する工程は、前記基板との密着性を有すると共に前記導電性機能液に対して親液性を有する中間層形成機能液の液滴を、前記第一の領域および前記第二の領域に対して吐出する工程であることを特徴とする配線形成方法。
【請求項4】
請求項2に記載の配線形成方法において、
前記被覆層を形成する工程は、前記第一の領域に対して被覆層形成機能液の液滴を吐出する工程と、
前記第一の領域へ吐出された前記被覆層形成機能液の液滴を、前記導電層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程とを有することを特徴とする配線形成方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記中間層に対する前記導電性機能液の液滴の接触角および前記導電層に対する前記被覆層形成機能液の液滴の接触角は、それぞれ20度以下であることを特徴とする配線形成方法。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記液滴に対して、前記基板は親液性を有し、前記境界層は撥液性を有することを特徴とする配線形成方法。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記導電性材料液の液滴は、銀または銀の合金の微粒子を含有していることを特徴とする配線形成方法。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記中間層形成機能液の液滴はマンガンまたはマンガンの合金の微粒子を含有していることを特徴とする配線形成方法。
【請求項9】
請求項4から8のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記被覆層形成機能液の液滴は、ニッケルまたはニッケルの合金の微粒子を含有していることを特徴とする配線形成方法。
【請求項10】
請求項2から9のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記液滴は前記液滴吐出装置からそれぞれ吐出された後、少なくとも乾燥あるいは焼成されてそれぞれが対応する中間層、導電層、被覆層を形成することを特徴とする配線形成方法。
【請求項11】
請求項2から10のいずれか一項に記載の配線形成方法で形成された配線を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項2から10のいずれか一項に記載の配線形成方法で形成された配線を有するTFTデバイスであって、
前記TFTデバイスのゲート配線領域は前記第一の領域であり、
ゲート電極領域は前記第二の領域であることを特徴とするTFTデバイス。
【請求項13】
請求項2から10のいずれか一項に記載の配線形成方法で形成された配線を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項12に記載のTFTデバイスを搭載したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
液滴吐出装置を用いて機能液の液滴を吐出する方法により、基板表面に機能層のパターンを形成するパターン形成方法であって、
前記パターンが形成されるパターン領域は境界層によって縁取られていて、第一の領域と、前記第一の領域に連続し前記第一の領域より狭い幅を有する第二の領域とを有しており、
前記第一の領域および前記第二の領域に、前記基板との密着性を有すると共に前記機能液に対して親液性を有する中間層を形成する工程と、
前記第一の領域に対して前記機能液の液滴を吐出する工程と、
前記第一の領域へ吐出された前記機能液の液滴を、前記中間層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
液滴吐出装置を用いて機能液の液滴を吐出する方法により、基板表面に導電性機能液によって形成される導電層を含む配線を形成する配線形成方法であって、
前記配線が形成される領域は境界層によって縁取られていて、第一の領域と、前記第一の領域に連続し前記第一の領域より狭い幅を有する第二の領域とを有しており、
前記第一の領域および前記第二の領域に、前記基板との密着性を有すると共に前記導電性機能液に対して親液性を有する中間層を形成する工程と、
前記第一の領域に対して前記導電性機能液の液滴を吐出する工程と、
前記第一の領域へ吐出された前記導電性機能液の液滴を、前記中間層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程と、
前記導電層の全面を覆うように被覆層を形成する工程とを有することを特徴とする配線形成方法。
【請求項3】
請求項2に記載の配線形成方法において、
前記中間層を形成する工程は、前記基板との密着性を有すると共に前記導電性機能液に対して親液性を有する中間層形成機能液の液滴を、前記第一の領域および前記第二の領域に対して吐出する工程であることを特徴とする配線形成方法。
【請求項4】
請求項2に記載の配線形成方法において、
前記被覆層を形成する工程は、前記第一の領域に対して被覆層形成機能液の液滴を吐出する工程と、
前記第一の領域へ吐出された前記被覆層形成機能液の液滴を、前記導電層との親液性によって前記第二の領域へ自己流動させる工程とを有することを特徴とする配線形成方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記中間層に対する前記導電性機能液の液滴の接触角および前記導電層に対する前記被覆層形成機能液の液滴の接触角は、それぞれ20度以下であることを特徴とする配線形成方法。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記液滴に対して、前記基板は親液性を有し、前記境界層は撥液性を有することを特徴とする配線形成方法。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記導電性材料液の液滴は、銀または銀の合金の微粒子を含有していることを特徴とする配線形成方法。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記中間層形成機能液の液滴はマンガンまたはマンガンの合金の微粒子を含有していることを特徴とする配線形成方法。
【請求項9】
請求項4から8のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記被覆層形成機能液の液滴は、ニッケルまたはニッケルの合金の微粒子を含有していることを特徴とする配線形成方法。
【請求項10】
請求項2から9のいずれか一項に記載の配線形成方法において、
前記液滴は前記液滴吐出装置からそれぞれ吐出された後、少なくとも乾燥あるいは焼成されてそれぞれが対応する中間層、導電層、被覆層を形成することを特徴とする配線形成方法。
【請求項11】
請求項2から10のいずれか一項に記載の配線形成方法で形成された配線を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項2から10のいずれか一項に記載の配線形成方法で形成された配線を有するTFTデバイスであって、
前記TFTデバイスのゲート配線領域は前記第一の領域であり、
ゲート電極領域は前記第二の領域であることを特徴とするTFTデバイス。
【請求項13】
請求項2から10のいずれか一項に記載の配線形成方法で形成された配線を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項12に記載のTFTデバイスを搭載したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−114527(P2006−114527A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297207(P2004−297207)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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