説明

プラズマ処理装置

【課題】被処理基板をトレイに載置した状態でプラズマ処理することによってトレイが高温或いは低温になった場合でも、トレイ上の所定位置に正確に被処理基板を載置したり前記トレイから被処理基板を確実に取り出したりすることができるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】本発明は、反応室2外に設けられたトレイステージ30、ウエハWが載置されたトレイ14をトレイステージ30と反応室2との間で搬送するロボット22、反応室2外に設けられたウエハWを収納するウエハケース32、トレイステージ30上のトレイ14からプラズマ処理済みのウエハWを取り出してウエハケース32に収納すると共にウエハケース32からプラズマ処理前のウエハWを取り出してトレイステージ30上のトレイ14に載置する移載用ロボット34、トレイステージ30上に載置されるトレイ14の温度を所定温度範囲に維持する赤外線ヒータ38を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板をトレイに載置した状態で反応室内に搬入し、プラズマ処理するプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空の反応室中で半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と呼ぶ)にプラズマでエッチング処理や成膜処理等の処理を行うプラズマ処理装置では、ウエハをトレイに載置した状態で搬送することが行われている。
例えば特許文献1には、ウエハを処理する反応室と、未処理のウエハを予備加熱するための予備加熱室とを備え、反応室と予備加熱室の間をトレイに載置した状態でウエハを搬送する基板処理装置が開示されている。
また、特許文献2には、ウエハを処理する反応室と、ウエハを搬送する搬送室と、搬送室内に設けられた加熱ヒータを有するトレイステージとを備えた基板処理装置が開示されている。特許文献2の基板処理装置では、搬送室に搬入されたウエハはトレイを介してトレイステージに載置される。
【0003】
特許文献1の基板処理装置では、ウエハはトレイに載置された状態で予備加熱室から反応室まで搬送された後、トレイから取り出されて処理される。ウエハが取り出された後のトレイは反応室外に搬出される。一方、特許文献2の基板処理装置では、搬送用アーム等によって搬送室内のトレイステージ上のトレイからウエハが取り出され、反応室内に搬入される。このように、特許文献1及び2では、反応室内にウエハを搬入したり反応室からウエハを搬出したりする際にトレイに対してウエハを出し入れする作業が必要となる。特に小径ウエハのように複数枚のウエハを反応室内に収容してプラズマ処理を行う場合、トレイに対してウエハを出し入れする作業の時間が長くなり、生産効率が悪い。
そこで、ウエハをトレイに載置した状態で反応室内に搬入し、そのままプラズマ処理を行うプラズマ処理装置が提供されている。
【0004】
1個のトレイに載置されるウエハの枚数は、ウエハやトレイの大きさにより異なるが、例えばトレイの直径が380mm、ウエハの直径が2インチの場合は1枚のトレイに数十枚のウエハが載置される。このように複数枚のウエハをトレイに載置した状態でプラズマ処理を行う場合、搬送時の安定性を確保するために、また、ウエハとトレイの表面を面一にしてプラズマ処理の均一性の向上を図るために、ウエハと略同じ大きさ・形状の座繰り部(凹部)を表面に設けたトレイが用いられている。
【0005】
プラズマ処理には、200℃以上の高温状態で行われる成膜プロセス、-100℃程度の低温状態で行われるエッチングプロセスがある。このような高温下、或いは低温下でプラズマ処理が行われた後の処理済みウエハやトレイは高温状態或いは低温状態となり、搬送用ロボットによって反応室から搬出される。その後、反応室外のトレイステージ上に載置され、移載用ロボットによってトレイから処理済みウエハが取り出される。
移載用ロボットにはトレイ上のウエハの位置情報が予め記憶されており、移載用ロボットは該位置情報に基づいてベルヌーイチャック等の捕捉手段によって処理済みウエハを捕捉し、座繰り部から取り出す。また、移載用ロボットはウエハケース等から未処理のウエハを取り出し、トレイの座繰り部に載置する。
【0006】
トレイ上に多数枚のウエハが載置されている場合、移載用ロボットがトレイ上の全ての処理済みウエハを未処理ウエハに取り替える作業に数分程度の時間を要する。トレイ上のウエハを取り替える作業の時間が長くなると、加熱されて膨張したトレイがウエハの取り替え作業中に徐々に冷却されて収縮し、トレイの寸法が変化してしまう。特にアルミニウム等の金属製トレイの場合には寸法が大きく変化し、例えば、熱膨張係数が24×10-6/K、直径が380mmの一般的なアルミニウム製トレイの場合には、200℃〜250℃程度の高温から室温まで低下する間に直径が1.5〜2mm以上も収縮する。
【0007】
このようにトレイの寸法が大きく変化するとトレイの座繰り部の位置、つまり、ウエハの位置が大きく変化するため、移載用ロボットが捕捉手段によってウエハを正確に捕捉できなかったり、通常の捕捉位置とは異なる位置を捕捉してしまったりするおそれがある。通常の捕捉位置とは異なる位置を捕捉すると、処理済みウエハをウエハケースに収納する際に処理済みウエハとウエハケースが接触してウエハを傷付けてしまうおそれがある。また、トレイ上の座繰り部の位置が変化すると、未処理のウエハをトレイの座繰り部に正確に載置することができない。
このような現象は、高温のトレイが冷却される場合だけでなく、低温のトレイが室温まで昇温する場合にも起こり得る。
【0008】
これに対して、特許文献3には、ウエハやトレイの座繰り部の変位量をCCDカメラで画像認識した結果に基づき動作を逐次微調整するようにしたティーチング方式の搬送用ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001-239144号公報
【特許文献2】特開平10-233423号公報
【特許文献3】特開2008-066372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、特許文献3の搬送用ロボットの場合、トレイ上に載置される多数枚のウエハ及び多数個の座繰り部全ての変位量を正確に画像認識するためには、ウエハの枚数或いは座繰り部の数に相当する数のカメラを設けなければならない。また、カメラを走査してトレイ全体の画像を取得するようにすればカメラの個数を少なくすることができるが、この場合はカメラの走査機構が必要になる。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、被処理基板をトレイに載置した状態でプラズマ処理することによりトレイが高温或いは低温になった場合でも、簡単な構成でトレイの所定位置に正確に被処理基板を載置したり前記トレイから被処理基板を取り出すことができるプラズマ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために成された本発明は、被処理基板をトレイに載置した状態で反応室内に搬入して該被処理基板をプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、
a)前記反応室の外部に設けられたトレイステージと、
b)前記被処理基板が載置された前記トレイを前記トレイステージと前記反応室の間で搬送するトレイ搬送機構と、
c)前記トレイステージ上のトレイからプラズマ処理済みの被処理基板を取り出すと共に、プラズマ処理前の被処理基板を前記トレイステージ上のトレイに載置する基板移載機構と、
d)前記トレイステージ上に載置されるトレイの温度を所定温度範囲に維持する温度維持手段と
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、プラズマ処理中における前記反応室内のトレイの温度を検出する第1温度検出手段と、
前記トレイステージに載置されたトレイの温度を検出する第2温度検出手段と、
前記第1温度検出手段の検出結果及び前記第2温度検出手段の検出結果に基づき、前記トレイステージ上のトレイの温度が、前記プラズマ処理中における前記反応室内のトレイの温度に維持されるように前記温度維持手段を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は、前記反応室と前記トレイステージとの間に設けられた、トレイ搬送室を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のプラズマ処理装置によれば、反応室外に設置されたトレイステージ上に載置されたトレイは温度維持手段によってその温度が所定の温度範囲に維持される。このため、プラズマ処理が行われることにより高温状態或いは低温状態になったトレイが反応室から取り出されてトレイステージに載置された後に、トレイの温度が大きく変化して収縮したり膨張したりすることを防止できる。従って、トレイ上の被処理基板の載置位置が変化することを防止できるため、トレイステージ上のトレイから被処理基板を確実に捕捉することができると共にトレイ上の所定位置に被処理基板を正確に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す上面図。
【図2】プラズマ処理装置の概略構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るプラズマ処理装置では、被処理基板はトレイに載置された状態で反応室に搬入されプラズマ処理が行われる。被処理基板が載置されたトレイは反応室内の載置台に載置される。載置台にはトレイを静電吸着する静電チャック、トレイや被処理基板を冷却ガスで冷却する機構、あるいは、トレイや被処理基板を加熱する機構が設けられていることが好ましい。プラズマ処理としてはエッチング処理や成膜処理などが挙げられる。
【0018】
本発明のプラズマ処理装置は、反応室の外部にトレイが載置されるトレイステージが設けられている。トレイは前記トレイステージと前記反応室内の間で被処理基板を搬送するための部材であり、その上には1又は複数枚の被処理基板が載置される。トレイの材質としてはアルミナやアルミニウムが挙げられるが、熱伝導性に優れる点でアルミニウム製のトレイが好ましい。
また、トレイ表面には被処理基板と略同じ大きさ・形状の座繰り部(凹部)が設けられていることが好ましい。このようなトレイを用いることにより、被処理基板を安定して搬送することができる。また、被処理基板とトレイの表面を面一にすることができ、プラズマ処理の均一性が向上する。
【0019】
反応室内でプラズマ処理を終えた被処理基板はトレイに載置されたままの状態で反応室から搬出されトレイ搬送機構によってトレイステージに移載される。トレイステージにはトレイの温度を所定温度範囲に維持する温度維持手段が備えられている。これにより、プラズマ処理後のトレイの温度を維持することができるので、プラズマ処理後の高温のトレイが徐々に冷却されて収縮したり、低温のトレイが徐々に昇温して膨張したりすることを防止できる。従って、トレイに設けられた座繰り部の位置やトレイ上に載置されている被処理基板の位置が変化することを極力防止できる。このため、熱膨張係数の大きいアルミニウム製のトレイを用いた場合であっても、基板移載機構はトレイ上の被処理基板を確実に捕捉することができる。また、被処理基板をトレイ上の所定位置に正確に移載することができる。トレイの温度を所定温度範囲に維持する温度維持手段は、トレイステージ内に電熱ヒータを埋め込んだり、トレイステージの上部に赤外線ヒータを設けたり、あるいは、トレイステージ内に冷媒を循環させたりすることにより構成することができる。
【0020】
また本発明は、プラズマ処理中における前記反応室内のトレイの温度を検出する第1温度検出手段と、前記トレイステージに載置されたトレイの温度を検出する第2温度検出手段と、前記第1温度検出手段の検出結果及び前記第2温度検出手段の検出結果に基づき、温度維持手段を制御する制御手段を備えることが好ましい。このような構成により、トレイステージ上に載置されたトレイの温度がプラズマ処理中のトレイの温度とほぼ同じになるように調節することができる。
【0021】
更に本発明は、反応室とトレイステージとの間にトレイ搬送室を設け、搬送室内を大気圧や真空に切り替えられるようにすれば、反応室内を常時真空状態に保持することができる。また、搬送室に搬送中のトレイの温度を維持するための加熱機構や冷却機構を設けると、反応室からトレイステージまで搬送する間におけるトレイの温度変化を抑えることができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明のプラズマ処理装置の具体的な実施例を図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2は本実施例に係るプラズマ処理装置1の構成を示している。本実施例のプラズマ処理装置1は、真空反応室2、搬送室(ロードロック室)4、大気室6、真空反応室2と搬送室4の間、搬送室4と大気室6の間にそれぞれ設けられたゲートバルブ8,10を具備している。
【0023】
真空反応室2の内部には、原料ガスの供給口であるシャワーヘッド12、トレイ14が載置される載置台16、載置台16上のトレイ14の温度を検出する赤外線温度センサ18(本発明の第1温度検出手段に相当)が設けられている。また、載置台16には加熱ヒータ20及び図示しない静電チャックが設けられている。本実施例では、シャワーヘッド12が上部電極を兼用し、載置台16が下部電極を兼用する。
トレイ14はアルミニウム製であり、その表面には複数の座繰り部(凹部)14aが設けられている。これら座繰り部14aに被処理基板である半導体ウエハW(以下、単に「ウエハ」という。)が載置される。座繰り部14aの大きさ(内径及び深さ)はウエハWの外径及び厚みとほぼ同じに設定されており、座繰り部14aに収容されたウエハWは、トレイ14の表面と面一になる。
【0024】
搬送室4には、真空反応室2と大気室6との間でトレイ14を搬送するロボット22が設けられている。また、図示しないが、搬送室4にはその内部を減圧するための減圧手段が接続されている。
【0025】
大気室6にはトレイステージ30、ウエハWを収納するウエハケース32、トレイステージ30とウエハケース32との間でウエハWを移動させる移載用のロボット34、トレイステージ30上のトレイ14の温度を検出する赤外線温度センサ36(本発明の第2温度検出手段に相当)が設けられている。ロボット34は、アーム34aとその先端に取り付けられた基板捕捉手段としてのベルヌーイチャック34bを有している。ロボット34にはトレイステージ30上のトレイ14の座繰り部14aが予め記憶されており、ベルヌーイチャック34bによりトレイ14の座繰り部14aからプラズマ処理済みのウエハWを吸着して取り出し、ウエハケース32に収納する。また、ウエハケース32からウエハWをチャックして取り出し、トレイステージ30上のトレイ14の座繰り部14aに収納する。トレイステージ30には、赤外線ヒータ38が設けられている。なお、図1及び図2では、トレイ14及びウエハWは大気室6のトレイステージ30上に載置された状態にある。
【0026】
加熱ヒータ20及び赤外線ヒータ38は制御装置40によって制御される。制御装置40には赤外線温度センサ18の検出信号が入力されるようになっており、この信号に基づき加熱ヒータ20が制御される。また、制御装置40には、赤外線温度センサ36の検出信号も入力されるようになっており、赤外線温度センサ18,36の検出信号に基づきトレイステージ30上のトレイ14の温度がプラズマ処理中における真空反応室2内のトレイ14温度と略同一になるように赤外線ヒータ38の出力が調節される。本実施例では、赤外線ヒータ38が温度維持手段を構成する。
【0027】
次に、本実施例に係るプラズマ処理装置1の動作を説明する。
まず、ロボット34により未処理のウエハWがウエハケース32から取り出されて、トレイステージ30上のトレイ14の座繰り部14aに載置される。このとき、トレイ14はトレイステージ30内の赤外線ヒータ38により所定の温度に加熱されている。
トレイ14の座繰り部14aにウエハWが載置された後、ゲートバルブ10が開放され、搬送室4内のロボット22によってトレイステージ30上のトレイ14が搬送室4内に搬送される。その後、ゲートバルブ10が閉じられ、搬送室4内が所定圧力まで減圧される。続いて、ゲートバルブ8が開放されてロボット22によりトレイ14が真空反応室2内に搬送され、載置台16上に載置される。載置台16上に載置されたトレイ14は静電チャックによって吸着されると共に加熱ヒータ20によって加熱される。
【0028】
載置台16のトレイ14の温度が所定温度に達すると、シャワーヘッド12から真空反応室2内に成膜用の原料ガスであるテトラエトキシシラン(TEOS)及び酸素が導入される。そして、下部電極と上部電極との間に高周波電源が印加されて原料ガスがプラズマ化されると、ウエハWの表面に酸化膜が形成される。プラズマ処理中における赤外線温度センサ18の検出信号は制御装置40に入力され、記憶される。
プラズマ処理が終了すると、ゲートバルブ8が開放されて載置台16上のトレイ14がロボット22により所定圧力まで減圧されている搬送室4内に搬送される。続いて、ゲートバルブ8を閉じて、搬送室4内を大気圧に戻した後、ゲートバルブ10を開放して、ロボット22によりトレイステージ30上にトレイ14が搬送される。
【0029】
トレイステージ30上にトレイ14が移載される際、制御装置40は赤外線温度センサ36の検出信号とプラズマ処理中の赤外線温度センサ18の検出信号とに基づき、トレイ14の温度がプラズマ処理中のトレイ14の温度とほぼ同じになるように赤外線ヒータ38の出力を調節する。これにより、トレイステージ30のトレイ14がプラズマ処理中のトレイ14の温度に維持される。
【0030】
この状態で、大気室6内のロボット34のベルヌーイチャック34bによりプラズマ処理済みのウエハWが吸着され、トレイステージ30上のトレイ14からウエハケース32に収納される。トレイ14の全ての座繰り部14aからウエハWが吸着されてウエハケース32に収納されると、続いて、ウエハケース32内の未処理のウエハWがロボット34のベルヌーイチャック34bにより吸着され、トレイステージ30上のトレイ14に載置される。
【0031】
このようなウエハWの交換作業が行われている間、トレイステージ30上のトレイ14の温度はプラズマ処理中の温度に維持されており、トレイ14上のウエハWの位置や座繰り部14aの位置が変化することがない。従って、ロボット34はトレイ14上のウエハWの所定位置を正確に吸着することができる。また、トレイ14の座繰り部14aに対して正確にウエハWを載置することができる。
【0032】
さらに、本実施例では、トレイ14の温度がプラズマ処理中の温度とほぼ同一に維持されるので、未処理のウエハWが載置された後、真空反応室2内の載置台16に載置されたトレイ14を、プラズマ処理のために加熱ヒータ20で加熱して温度調節する必要がなくスループットが向上する。また、トレイ14の温度が頻繁に変化することによるトレイ14の劣化が生じることもない。
【0033】
なお、上記実施例では、プラズマ処理によりトレイ14の温度が高温になる例を説明したが、プラズマ処理によりトレイ14の温度が低温になる場合は、トレイステージ30の内部に冷媒循環路を設けてトレイステージ30上のトレイ14を冷却するようにすると良い。これにより、トレイステージ30上のトレイ14をプラズマ処理中の温度に維持することができる。
【0034】
また、本発明では、トレイステージ30上のトレイ14からウエハWを取り出したり該トレイ14にウエハWを載置したりする作業中に徐々に収縮したり膨張したりしないようにすればよい。従って、トレイステージ30上に載置されたトレイ14の温度をプラズマ処理中のトレイ14の温度と同一にすることは必須ではなく、トレイステージ30上のトレイ14の温度が所定の温度範囲に維持されていれば良い。ただし、トレイステージ30上のトレイ14の温度を室温付近に維持するようにすると、プラズマ処理中のトレイ14との温度差が大きくなるため、大きな温度変化による膨張と収縮が頻繁に起こり、トレイ14が劣化し易くなる。また、スループットも低下する。従って、これらの事情を考慮すると、プラズマ処理中のトレイ14の温度に維持することが有効である。
【符号の説明】
【0035】
2…真空反応室
4…搬送室
6…大気室
8…ゲートバルブ
10…ゲートバルブ
12…シャワーヘッド
14…トレイ
14a…座繰り部
16…載置台
18…赤外線温度センサ(第1温度検出手段)
20…加熱ヒータ
22…ロボット(トレイ搬送機構)
30…トレイステージ
32…ウエハケース
34…ロボット(基板移載機構)
34a…アーム
34b…ベルヌーイチャック
36…赤外線温度センサ(第2温度検出手段)
38…赤外線ヒータ
40…制御装置
W…半導体ウエハ(被処理基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板をトレイに載置した状態で反応室内に搬入して該被処理基板をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、
a)前記反応室の外部に設けられたトレイステージと、
b)前記被処理基板が載置された前記トレイを前記トレイステージと前記反応室の間で搬送するトレイ搬送機構と、
c)前記トレイステージ上のトレイからプラズマ処理済みの被処理基板を取り出すと共に、プラズマ処理前の被処理基板を前記トレイステージ上のトレイの載置する基板移載機構と、
d)前記トレイステージ上に載置されるトレイの温度を所定温度範囲に維持する温度維持手段と
を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
プラズマ処理中における前記反応室内のトレイの温度を検出する第1温度検出手段と、
前記トレイステージに載置されたトレイの温度を検出する第2温度検出手段と、
前記第1温度検出手段の検出結果及び前記第2温度検出手段の検出結果に基づき、前記トレイステージ上のトレイの温度が、前記プラズマ処理中における前記反応室内のトレイの温度に維持されるように前記温度維持手段を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記反応室と前記トレイステージとの間に設けられた、トレイ搬送室を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−84574(P2012−84574A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227239(P2010−227239)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(392022570)サムコ株式会社 (36)
【Fターム(参考)】