レジスト下層膜形成用組成物及びそれを用いたデュアルダマシン構造の形成方法
【課題】ビアもしくはトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与えるレジスト下層膜形成用組成物及びこの組成物を用いたデュアルダマシン構造の形成方法を提供する。
【解決手段】本レジスト下層膜形成用組成物は、(A)アリール基を有する重合体、(B)アセチレン基を有する界面活性剤、及び、(C)溶剤を含有する。更に、(D)酸発生剤、(E)架橋剤等を含有することができる。
【解決手段】本レジスト下層膜形成用組成物は、(A)アリール基を有する重合体、(B)アセチレン基を有する界面活性剤、及び、(C)溶剤を含有する。更に、(D)酸発生剤、(E)架橋剤等を含有することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の放射線を用いるリソグラフィープロセスにおける微細加工、特に、高集積回路素子の製造に好適なレジスト下層膜用樹脂組成物及びそれを用いたデュアルダマシン構造の形成方法に関する。更に詳しくは、ビアもしくはトレンチへの埋め込み性に優れ、パターン転写性能及びエッチング耐性が良好なレジスト下層膜を形成することができるレジスト下層膜形成用組成物及びそれを用いたデュアルダマシン構造の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造プロセスは、シリコンウエハ上に、特性の異なる複数の物質からなる被加工膜の層を順次積層形成し、これらの被加工膜を所望のパターンにパターニングする工程を備えている。被加工膜のパターニングは、まず、被加工膜の表面に、感光性物質(レジスト)からなるレジスト膜を形成し、このレジスト膜の所定の領域に露光を施し、次いで、レジスト膜の露光部又は未露光部を現像処理により除去してレジストパターンを形成し、更に、このレジストパターンをエッチングマスクとして、被加工膜をドライエッチングすることにより行われる。
【0003】
このようなプロセスにおいては、レジスト膜に露光を施すための露光光源としてArFエキシマレーザー等の紫外光が用いられている。現在、大規模集積回路(LSI)の微細化に対する要求が益々高まっており、必要とする解像度が露光光の波長以下になるケースも出てきている。このように解像度が露光光の波長以下になると、露光量裕度、フォーカス裕度等の露光プロセス裕度が不足するため好ましくない。露光プロセス裕度の不足を補う方策としては、レジスト膜の膜厚を薄くして解像性を向上させることが有効である。しかし、レジスト膜の膜厚を薄くすると、被加工膜のエッチングに必要なレジスト膜厚を確保することが困難になってしまう。
【0004】
そこで、被加工膜の表面に、レジスト下層膜(以下、単に「下層膜」と記す場合がある。)を形成し、レジストパターンを一旦、下層膜に転写して下層膜パターンを形成した後、この下層膜パターンをエッチングマスクとして被加工膜に転写するプロセスが検討されている。このプロセスで用いられる下層膜はエッチング耐性を有することが好ましいため、エッチング中のエネルギーを吸収してエッチング耐性を発揮するアセナフチレン骨格を有する重合体を含有する組成物により下層膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【0005】
ところで、0.13μm以下の微細度を持つLSIパターンルールになると、配線遅延がLSIの高速化に与える影響が多くなり、現状のLSIのプロセス技術により、LSIの高性能化を進展させていくことは、難しくなってきている。そこで、配線遅延を小さくするために、配線材をAlからCuに変更することが検討されている。
【0006】
配線材をAlからCuに変更するための技術としては、デュアルダマシンプロセスが知られている(例えば、特許文献4を参照)。このプロセスにおいては、配線材としてAlを用いた場合と比較して、アスペクト比(凹凸)が大きい基板を用いる必要があり、レジスト下層膜形成用組成物は、基板に形成されているビア及びトレンチに対して容易に充填される特性(埋め込み性)に優れていることが求められる。
【0007】
レジスト下層膜形成用組成物の埋め込み性を向上させる方策としては、例えば、組成物に含まれる樹脂の分子量を3,000以下とする方法(例えば、特許文献5を参照)、組成物の〔粘度(mPa・s)の対数変化〕/〔固形分濃度(質量%)の変化〕で示される係数Hを0.06以下とし、且つ、固形分濃度25質量%で測定した粘度が1〜80mPa・sとする方法(例えば、特許文献6を参照)、組成物中に分子量800以下の含窒素化合物(架橋剤)を配合する方法等が知られている(例えば、特許文献7を参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−143937号公報
【特許文献2】特開2001−40293号公報
【特許文献3】特開2004−168748号公報
【特許文献4】米国特許第6057239号公報
【特許文献5】特開2000−294504号公報
【特許文献6】特開2003−057828号公報
【特許文献7】特開2002−329781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献5に記載の方法は、組成物の埋め込み性を向上させるためには、樹脂のガラス転移温度を130℃以下とする必要があった。特に、アスペクト比が3以上の基板に対しては、ガラス転移温度が130℃以上の樹脂では、その分子量を下げても埋め込み性を向上させることはできなかった。
【0010】
その一方で、ガラス転移温度が130℃以下の樹脂を用いた場合、組成物の埋め込み性は向上するものの、埋め込み性とともに重要な特性である下層膜のエッチング耐性が不十分であるという問題があった。また、ビア及びトレンチが混在する基板に対しては、樹脂の分子量を下げるだけでは、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチの双方に対して十分な埋め込み性を発揮させることは困難であった。
【0011】
また、特許文献6に記載の方法は、下層膜のエッチング耐性が不十分であるという問題があった。そもそも、この方法は、レジストに比してエッチング耐性を低くする必要がある反射防止膜(BARC=Bottom Anti Reflective Coating)に関する発明である。
【0012】
更に、特許文献7に記載の方法は、下層膜のエッチング耐性が不十分であるという問題があった。また、下層膜を形成する際に、含窒素化合物やその分解物が昇華し、成膜装置を汚染するという不具合もあった。
【0013】
このように、現在のところ、基板に形成されているトレンチに対して容易に充填される特性(埋め込み性)と下層膜のエッチング耐性を兼ね備えるレジスト下層膜形成用組成物は開示されていない。
本発明は、ビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与えるレジスト下層膜形成用組成物及びこの組成物を用いて、デュアルダマシン構造を効率よく形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、アセチレン基を有する界面活性剤を含有するレジスト下層膜形成用組成物が、基板に形成されているビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与え、更に、デュアルダマシン構造を効率よく形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
[1]ビアもしくはトレンチへの埋め込みに使用されるレジスト下層膜形成用組成物であって、(A)アリール基を有する重合体、(B)アセチレン基を有する界面活性剤、及び、(C)溶剤を含有することを特徴とするレジスト下層膜形成用組成物。
[2]前記(A)重合体が、下記一般式(1)〜(4)で表される構造単位の群から選択される少なくとも1種を含む上記[1]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【化1】
[式中、R1は、水素原子又は1価の有機基を示す。R2及びR3は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化2】
[式中、R4及びR5は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化3】
[式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。R7は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、又は、炭素数1〜6の置換可能なカルボニル基を示す。nは0又は1である。]
【化4】
[式中、R8は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、カルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、メチロール基、炭素数1〜6のアルコキシメチロール基を示す。nは0〜6の整数である。但し、nが2〜6のとき、複数のR8は同一でも異なっていてもよい。Xは、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。mは1〜8の整数である。mが2〜8のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。また、n+mは1〜8の整数である。]
[3]更に、(D)酸発生剤を含有する上記[2]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[4]更に、(E)架橋剤を含有する上記[3]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[5]前記架橋剤(E)が、下記一般式(5)で表される化合物、及び、下記一般式(6)で表される化合物のうちの少なくとも一方である上記[4]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【化5】
[式中、各R9は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n−ブチル基又はイソブチル基を示す。]
【化6】
[式中、各R10は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n−ブチル基又はイソブチル基を示す。]
[6]前記界面活性剤(B)が非イオン性である上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[7]前記界面活性剤(B)が、エチレンオキサイド部を含む化合物、アセチレンアルコール化合物、及び、アセチレングリコール化合物から選ばれる少なくとも1種である上記[6]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[8]ビアもしくはトレンチパターンが形成された低誘電絶縁膜を有する基板上に、上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のレジスト下層膜用組成物を塗布し、レジスト下層膜を形成する工程と、前記レジスト下層膜上に配置され、レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンをエッチングにより前記レジスト下層膜に転写する工程と、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンが転写された前記レジスト下層膜をマスクとして用いて、前記レジスト下層膜の下に配置された低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写する工程と、前記低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写した後、前記レジスト下層膜を除去する工程と、を備えることを特徴とするデュアルダマシン構造の形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物によれば、基板に形成されているビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与え、更に、デュアルダマシン構造を効率よく形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[1]レジスト下層膜形成用組成物
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、ビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチへの埋め込みに使用される組成物であって、(A)アリール基を有する重合体(以下、「重合体(A)」という。)、(B)アセチレン基を有する界面活性剤(以下、「界面活性剤(B)」という。)、及び、(C)溶剤(以下、「溶剤(C)」という。)を含有することを特徴とする。
【0018】
上記重合体(A)は、アリール基を有するものであれば、特に限定されない。アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられるが、好ましくはナフチル基である。また、この重合体(A)は、優れたエッチング耐性を得るために、好ましくは、ガラス転移温度が130℃以上の重合体である。このような重合体としては、下記一般式(1)〜(4)で表される構造単位を含む重合体が挙げられる。
【化7】
[式中、R1は、水素原子又は1価の有機基を示す。R2及びR3は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化8】
[式中、R4及びR5は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化9】
[式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。R7は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、又は、炭素数1〜6の置換可能なカルボニル基を示す。nは0又は1である。]
【化10】
[式中、R8は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、カルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、メチロール基、炭素数1〜6のアルコキシメチロール基を示す。nは0〜6の整数である。但し、nが2〜6のとき、複数のR8は同一でも異なっていてもよい。Xは、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。mは1〜8の整数である。mが2〜8のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。また、n+mは1〜8の整数である。]
上記重合体(A)は、上記構造単位の1種のみからなる重合体であってよいし、2種以上からなる重合体であってよいし、更には、1種又は2種以上と、他の構造単位とからなる重合体であってもよい。
【0019】
上記一般式(1)で表される構造単位(以下、「構造単位(1)」という。)において、R1で表される1価の有機基としては、炭素数1〜10の基が好ましい。具体的には、フェニル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、あるいは、これらの基に含まれる一部の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホン酸基等の官能基で置換された官能基を挙げることができる。上記置換された官能基は、2種以上の官能基で置換されたものであってもよい。
【0020】
上記アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。また、上記アルケニル基としては、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルケニル基が好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。更に、上記アシル基としては、炭素数2〜6の脂肪族又は芳香族のアシル基が好ましい。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
【0021】
上記構造単位(1)において、R2又はR3で表される1価の有機基としては、R1で表される1価の有機基として例示した基を挙げることができる。
【0022】
上記構造単位(1)において、R1で表される基としては、水素原子、メチル基、アセチル基が好ましい。また、R2又はR3で表される基としては、水素原子、メチル基、フェニル基が好ましい。
【0023】
上記構造単位(1)を有する重合体は、例えば、構造単位(1)を形成することとなるアセナフチレン類を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等させることにより得ることができる。これらの重合は、塊状重合、溶液重合等の従来公知の重合形態で行うことができる。また、必要に応じて、アセナフチレン類と、他の共重合性不飽和化合物とを重合させてもよい。
【0024】
尚、R1が水素原子である構造単位(1)を有する重合体は、R1がアセチル基である構造単位(1)を有する重合体のアセトキシ基を、常法により加水分解することによって、製造することができる。また、R1がアセチル基である構造単位(1)を有する重合体は、R1が水素原子である構造単位(1)を有する重合体のヒドロキシル基を、常法によりアセチル化することによって、製造することができる。
上記構造単位(1)を有する重合体は、加熱又は露光により、分子鎖間で架橋を形成する特性を有する。
【0025】
上記構造単位(1)を形成するアセナフチレン類としては、3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−6−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−7−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−8−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−6−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−7−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−8−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−5−ヒドロキシメチルアセナフチレン等のヒドロキシメチルアセナフチレン類;
【0026】
3−アセトキシメチルアセナフチレン、4−アセトキシメチルアセナフチレン、5−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−3−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−4−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−5−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−6−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−7−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−8−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−3−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−4−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−5−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−3−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−4−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−5−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−6−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−7−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−8−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−3−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−4−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−5−アセトキシメチルアセナフチレン等のアセトキシメチルアセナフチレン類;
【0027】
3−メトキシメチルアセナフチレン、4−メトキシメチルアセナフチレン、5−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−3−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−4−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−5−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−6−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−7−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−8−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−3−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−4−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−5−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−3−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−4−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−5−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−6−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−7−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−8−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−3−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−4−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−5−メトキシメチルアセナフチレン等のメトキシメチルアセナフチレン類;
【0028】
3−フェノキシメチルアセナフチレン、4−フェノキシメチルアセナフチレン、5−フェノキシメチルアセナフチレン、3−ビニルオキシメチルアセナフチレン、4−ビニルオキシメチルアセナフチレン、5−ビニルオキシメチルアセナフチレン等が挙げられる。
これらのアセナフチレン類は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
上記アセナフチレン類のうち、3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、3−アセトキシメチルアセナフチレン、4−アセトキシメチルアセナフチレン、5−アセトキシメチルアセナフチレン、3−メトキシメチルアセナフチレン、4−メトキシメチルアセナフチレン、5−メトキシメチルアセナフチレン等が好ましい。
【0030】
上記一般式(2)で表される構造単位(以下、「構造単位(2)」という。)において、R4又はR5で表される1価の有機基としては、上記構造単位(1)において、R2又はR3で表される1価の有機基として例示した基を挙げることができる。構造単位(2)におけるR4又はR5としては、水素原子、メチル基が好ましい。
【0031】
上記構造単位(2)を有する重合体は、例えば、構造単位(2)を形成することとなるアセナフチレン類を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等させることにより得ることができる。これらの重合は、塊状重合、溶液重合等の従来公知の重合形態で行うことができる。また、必要に応じて、このアセナフチレン類と、他の共重合性不飽和化合物とを重合させてもよい。
【0032】
上記構造単位(2)を形成するアセナフチレン類としては、アセナフチレン、メチルアセナフチレン等が挙げられる。
これらのアセナフチレン類は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
上記一般式(3)で表される構造単位(以下、「構造単位(3)」という。)において、R6の1価の有機基としては、例えば、構造単位(1)におけるR1の1価の有機基について例示した基を適用することができる。また、R7の1価の原子及び1価の有機基としては、例えば、構造単位(1)におけるR2及びR3のそれぞれ1価の原子及び1価の有機基について例示した基を適用することができる。
上記一般式(3)において、nは0又は1である。
【0034】
上記構造単位(3)において、R6としては、特に、水素原子、メチル基等が好ましい。また、R7としては、特に、水素原子、メチル基等が好ましい。
【0035】
上記構造単位(3)を有する重合体は、例えば、構造単位(3)を形成することとなる芳香族ビニル系化合物を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等させることにより得ることができる。これらの重合は、塊状重合、溶液重合等の従来公知の重合形態で行うことができる。また、必要に応じて、芳香族ビニル系化合物と、他の共重合性不飽和化合物とを重合させてもよい。
【0036】
尚、R6が水素原子である構造単位(3)を有する重合体は、R6がアセチル基である構造単位(3)を有する重合体のアセトキシ基を、常法により加水分解することによって、製造することができる。また、R6がアセチル基である構造単位(3)を有する重合体は、R6が水素原子である構造単位(3)を有する重合体のヒドロキシル基を、常法によりアセチル化することによって、製造することができる。
【0037】
上記構造単位(3)を形成する芳香族ビニル系化合物としては、2−ヒドロキシメチルスチレン、3−ヒドロキシメチルスチレン、4−ヒドロキシメチルスチレン、2−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン等のヒドロキシメチルスチレン系化合物;2−メトキシメチルスチレン、3−メトキシメチルスチレン、4−メトキシメチルスチレン、2−メトキシメチル−α−メチルスチレン、3−メトキシメチル−α−メチルスチレン、4−メトキシメチル−α−メチルスチレン等のメトキシメチルスチレン系化合物;4−フェノキシメチルスチレン、4−フェノキシメチル−α−メチルスチレン、4−ビニルオキシメチルスチレン、4−ビニルオキシメチル−α−メチルスチレン、4−アセトキシメチルスチレン、4−アセトキシメチル−α−メチルスチレン等の他のスチレン系化合物;
【0038】
4−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、7−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、8−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、7−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、8−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン等のヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン系化合物;4−メトキシメチル−1−ビニルナフタレン、7−メトキシメチル−1−ビニルナフタレン、8−メトキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、7−メトキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、8−メトキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン等のメトキシメチル−1−ビニルナフタレン系化合物;4−フェノキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−ビニルオキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−アセトキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−フェノキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、4−ビニルオキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、4−アセトキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン等の他のビニルナフタレン系化合物;等が挙げられる。
これらの芳香族ビニル系化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
上記芳香族ビニル系化合物のうち、4−ヒドロキシメチルスチレン、4−メトキシメチルスチレン等が好ましい。
【0040】
上記一般式(4)で表される構造単位(以下、「構造単位(4)」という。)において、R8は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、カルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、メチロール基、炭素数1〜6のアルコキシメチロール基を示す。nは0〜6の整数である。但し、nが2〜6のときには複数のR8は同一でも異なっていてもよい。Xは、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。mは1〜8の整数である。mが2〜8のときは複数のXは同一でも異なっていてもよい。また、n+mは1〜8の整数である。
【0041】
上記構造単位(4)において、R8としては、特に、ヒドロキシル基等が好ましい。またXとしては、特に、メチレン基等が好ましい。
【0042】
上記一般式(1)〜(4)で表される構造単位の含有量(1種のみの場合はその含有量であり、2種以上の場合はその合計量である)は、上記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100質量%とした場合に、通常、5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%である。上記構造単位の含有量が20〜70質量%である重合体(A)を用いると、埋め込み性、エッチング耐性、低昇華物性に優れる。
【0043】
上記のように、本発明に係る重合体(A)は、上記一般式(1)〜(4)で表される構造単位から選ばれた少なくとも1種と、他の構造単位とを含む重合体であってもよい。他の構造単位を形成することとなる化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、9−ビニルカルバゾール等のその他の芳香族ビニル系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル等のビニルエステル系化合物;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル系化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ビニル、ジメチル・ビニル・(メタ)アクリロイルオキシメチルシラン等の不飽和基含有不飽和カルボン酸エステル系化合物;2−クロロエチルビニルエーテル、クロロ酢酸ビニル、クロロ酢酸アリル等のハロゲン含有ビニル系化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル系化合物;(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド等のアミド基含有ビニル系化合物;コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、マレイン酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等のカルボキシル基含有ビニル系化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
上記重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」と記す場合がある。)は、組成物に要求される特性に応じて、適宜、選択されるが、好ましくは500〜10,000、より好ましくは1,000〜5,000である。この重量平均分子量が上記範囲にある重合体(A)を含む組成物を用いることにより、塗布性に優れ、基板に形成されているビア及びトレンチへの埋め込み性を向上させることができる。
【0045】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物に含有される上記重合体(A)の含有量は、目的、用途等によって、適宜、選択されるが、組成物全体に対して、通常、0.01〜70質量%、好ましくは0.1〜50質量%である。上記重合体(A)の含有量が上記範囲にあると、塗布性に優れ、昇華物を低減させることができる。
【0046】
上記界面活性剤(B)としては、アセチレン基を有するものであれば、特に限定されないが、好ましくは、非イオン性界面活性剤である。
上記界面活性剤(B)は、好ましくは、下記一般式(7)で示される化合物である。
【化11】
[式中、R11は、R−(O−CH2CH2)m−(Rは、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、又は、置換可能なアリール基であり、mは0〜50の整数である。)である。R12及びR13は、相互に独立して、炭素数1〜18のアルキル基である。R14は、水素原子、又は、下記(8)で示される有機基
【化12】
(式中、R15、R16及びR17は、それぞれ、R12、R13及びR11と同様である。)である。]
【0047】
上記界面活性剤(B)としては、エチレンオキサイド部を含む化合物、アセチレンアルコール化合物、及び、アセチレングリコール化合物が好ましい。
エチレンオキサイド部を含む化合物は、上記一般式(7)において、R11が、R−(O−CH2CH2)m−であり、且つ、mが1〜50の整数である場合の化合物である。R14は、特に限定されないが、好ましくは、上記(8)で表される有機基であって、且つ、R15、R16及びR17が、それぞれ、R12、R13及びR11と同一の基とするものである。
アセチレンアルコール化合物は、上記一般式(7)において、R11が、水素原子である場合の化合物である。R14は、特に限定されないが、R17が、水素原子である場合には、アセチレングリコール化合物となる。
【0048】
上記界面活性剤(B)としては、容易に入手できる市販品を用いることができる。その具体的な商品名としては、サーフィノール61,82,104,420,440,465,485,504、CT−111,CT−121,CT−131,CT−136,CT−141,CT−151,CT−171,CT−324,DF−37,DF−58,DF−75,DF−110D,DF−210,GA,OP−340,PSA−204,PSA−216,PSA−336,SE,SE−F,ダイノール604,オルフィンE1004、E1010,PD−001,PD002W,EXP.4001,EXP.4036,EXP.4051F,SPC,AF−103,AF−104,AK−02,SK−14,AE−3,PD−003,PD201,PD−202,PD−301(以上、日信化学社製、及び、Air Products社製)等が挙げられる。
【0049】
上記界面活性剤(B)の含有量は、上記重合体(A)100質量部に対し、好ましくは0.001〜15質量部、より好ましくは0.01〜5質量部、更に好ましくは0.01〜1質量部である。この界面活性剤(B)の含有量が上記範囲にある組成物を用いると、基板に形成されているビア及びトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を得ることができる。
【0050】
上記溶剤(C)としては、上記の重合体(A)及び界面活性剤(B)、並びに、後述する添加剤を溶解し得るものであれば、特に限定されない。例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のトリエチレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n−ブチル、乳酸イソブチル等の乳酸エステル類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸n−アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
上記化合物のうち、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸n−ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が好ましい。
【0052】
上記溶剤(C)の含有量は、組成物の固形分濃度、即ち、この溶剤(C)を除く成分の合計量の割合が、好ましくは0.01〜70質量%、より好ましくは0.05〜60質量%、更に好ましくは0.1〜50質量%となる範囲である。
【0053】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、所期の効果を損なわない限り、必要に応じて、酸発生剤(以下、「酸発生剤(D)」という。)、架橋剤(以下、「架橋剤(E)」という。)、放射線吸収剤、保存安定剤、消泡剤、バインダー、接着助剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0054】
上記酸発生剤(D)としては、化学的刺激又は物理的刺激により酸を発生する物質が用いられる。例えば、露光されて酸を発生する光酸発生剤、加熱により酸を発生する熱酸発生剤等が挙げられる。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物が、酸発生剤(D)を含有することにより、常温を含む比較的低温域において、重合体(A)の分子鎖間に架橋構造を効率よく形成することができる。
【0055】
光酸発生剤としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムナフタレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、
【0056】
シクロヘキシル・メチル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0057】
1−(4−ヒドロキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−〔4−(1−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−〔4−(2−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0058】
1−(4−イソプロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−tert−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−〔4−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−〔4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−ベンジルオキシ)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤;
【0059】
フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤;1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のジアゾケトン化合物系光酸発生剤;4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等のスルホン化合物系光酸発生剤;ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸化合物系光酸発生剤;等が挙げられる。これらの光酸発生剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
これらの光酸発生剤のうち、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネートが好ましい。
【0061】
また、上記熱酸発生剤としては、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、アルキルスルホネート類等が挙げられる。これらの熱酸発生剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸発生剤(D)は、光酸発生剤及び熱酸発生剤を組み合わせて用いることもできる。
【0062】
上記酸発生剤(D)を用いるときの含有量は、本発明のレジスト下層膜形成用組成物の固形分を100質量部とした場合、通常、5,000質量部以下、好ましくは0.1〜1,000質量部、より好ましくは0.1〜100質量部である。
【0063】
上記架橋剤(E)しては、特に限定されず、公知の化合物を使用することができる。本発明のレジスト下層膜形成用組成物が、架橋剤(E)を含有することにより、得られるレジスト下層膜とその上に形成されるレジスト被膜との間のインターミキシングを防止し、さらにはレジスト下層膜のクラックを防止することができる。
上記架橋剤(E)としては、グリコールウリル骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物、多核フェノール、ジイソシアナート化合物、エポキシ化合物、グアナミン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記のうち、グリコールウリル骨格を有する化合物、及び、トリアジン骨格を有する化合物が好ましい。
【0064】
グリコールウリル骨格を有する化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【化13】
[式中、各R9は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜10の置換可能なアルキル基を示す。]
【0065】
上記一般式(5)において、R9がアルキル基である場合、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。これらのうち、メチル基、n−ブチル基及びイソブチル基が好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
【0066】
トリアジン骨格を有する化合物としては、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【化14】
[式中、各R10は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜10の置換可能なアルキル基を示す。]
【0067】
上記一般式(6)において、R10がアルキル基である場合、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。これらのうち、メチル基、n−ブチル基及びイソブチル基が好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
【0068】
上記一般式(5)及び(6)において、R9及びR10が、いずれもn−ブチル基である場合、架橋剤(E)の昇華が抑制され、その結果、成膜装置の汚染を防ぐことができる。
【0069】
上記多核フェノールとしては、4,4’−ビフェニルジオール、4,4’−メチレンビスフェノール、4,4’−エチリデンビスフェノール、ビスフェノールA等の2核フェノール類;4,4’,4"−メチリデントリスフェノール、4,4’−[1−〔4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル〕エチリデン]ビスフェノール等の3核フェノール類;ノボラック等のポリフェノール類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
上記ジイソシアナート化合物としては、2,3−トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、3,4−トリレンジイソシアナート、3,5−トリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート等が挙げられる。
【0071】
上記エポキシ化合物としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0072】
また、上記グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物及びその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物及びその混合物等が挙げられる。
【0073】
上記架橋剤(E)を用いるときの含有量は、上記重合体(A)を100質量部とした場合、通常、5,000質量部以下、好ましくは0.1〜1,000質量部、より好ましくは0.2〜20質量部である。
【0074】
上記放射線吸収剤としては、油溶性染料、分散染料、塩基性染料、メチン系染料、ピラゾール系染料、イミダゾール系染料、ヒドロキシアゾ系染料等の染料;ビクシン誘導体、ノルビクシン、スチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン誘導体、クマリン誘導体、ピラゾリン誘導体等の蛍光増白剤;ヒドロキシアゾ系染料、チバガイギー社製「チヌビン234」及び「チヌビン1130」(商品名)等の紫外線吸収剤;アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体等の芳香族化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記放射線吸収剤を用いるときの含有量は、レジスト下層膜形成用組成物の固形分100質量部に対し、通常、100質量部以下、好ましくは50質量部以下である。
【0075】
また、バインダーとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を使用することができる。 上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−ヘプテン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−デセン、ポリ−1−ドデセン、ポリ−1−テトラデセン、ポリ−1−ヘキサデセン、ポリ−1−オクダデセン、ポリビニルシクロアルカン等のα−オレフイン系重合体;ポリ−1,4−ペンタジエン、ポリ−1,4−ヘキサジエン、ポリ−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン系重合体;α,β−不飽和アルデヒド系重合体;ポリ(メチルビニルケトン)、ポリ(芳香族ビニルケトン)、ポリ(環状ビニルケトン)等のα,β−不飽和ケトン系重合体;(メタ)アクリル酸、α−クロルアクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物等のα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の重合体;ポリ(メタ)アクリル酸無水物、無水マレイン酸の共重合体等のα,β−不飽和カルボン酸無水物の重合体;メチレンマロン酸ジエステル、イタコン酸ジエステル等の不飽和多塩基性カルボン酸エステルの重合体;ソルビン酸エステル、ムコン酸エステル等のジオレフィンカルボン酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸チオエステル、α−クロルアクリル酸チオエステル等のα,β−不飽和カルボン酸チオエステルの重合体;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル又はその誘導体の重合体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体の重合体;スチリル金属化合物の重合体;ビニルオキシ金属化合物の重合体;ポリイミン;ポリフェニレンオキシド、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリオキシラン、ポリテトラヒドロフラン、ポリテトラヒドロピラン等のポリエーテル;ポリスルフィド;ポリスルホンアミド;ポリペプチド;ナイロン66、ナイロン1〜ナイロン12等のポリアミド;脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、脂環族ポリエステル、ポリ炭酸エステル等のポリエステル;ポリ尿素;ポリスルホン;ポリアジン;ポリアミン;ポリ芳香族ケトン;ポリイミド;ポリベンゾイミダゾール;ポリベンゾオキサゾール;ポリベンゾチアゾール;ポリアミノトリアゾール;ポリオキサジアゾール;ポリピラゾール;ポリテトラゾール;ポリキノキサリン;ポリトリアジン;ポリベンゾオキサジノン;ポリキノリン;ポリアントラゾリン;等が挙げられる。
【0076】
上記熱硬化性樹脂は、好ましくは、加熱により硬化して溶剤に不溶となり、得られるレジスト下層膜と、その上に形成されるフォトレジスト膜との間のインターミキシングを防止する作用を有するものである。このような性質を有する樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノ系樹脂、芳香族炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂のうち、尿素樹脂、メラミン樹脂、芳香族炭化水素樹脂等が好ましい。
【0077】
上記バインダーを構成する成分は、1種単独であってよいし、2種以上であってもよい。本発明のレジスト下層膜形成用組成物が上記バインダーを含有する場合、その含有量は、上記重合体(A)100質量部に対し、通常、20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
【0078】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、所定量の重合体(A)及び界面活性剤(B)を溶剤(C)に溶解することにより、また、必要に応じて、その後、孔径0.1μm程度のフィルターで濾過することにより、得ることができる。
【0079】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、ビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチを有し、且つ、シリコンウエハ、アルミニウムで被覆したウエハ等からなる基板、又は、これらのウエハを基層としてこの基層表面に形成された、ビアもしくはトレンチ、特に、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチを有する低誘電絶縁層等を備える複合型基板、の表面に塗布し、ビア及びトレンチに組成物を充填するとともに、むらなくレジスト下層膜を形成するのに好適である。
【0080】
[2]デュアルダマシン構造の形成方法
本発明のデュアルダマシン構造の形成方法は、ビアもしくはトレンチパターンが形成された低誘電絶縁膜を有する基板上に、上記本発明のレジスト下層膜用組成物を塗布し、レジスト下層膜を形成する工程(図5参照)と、前記レジスト下層膜上に配置され、レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンをエッチングにより前記レジスト下層膜に転写する工程(図6参照)と、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンが転写された前記レジスト下層膜をマスクとして用いて、前記レジスト下層膜の下に配置された低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写する工程(後述の低誘電絶縁層除去工程、図7参照)と、前記低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写した後、前記レジスト下層膜を除去する工程(図8参照)と、を備えることを特徴とする。更に、この工程により形成されたトレンチに配線材料を充填することにより、デュアルダマシン構造を得ることができる。
【0081】
本発明のデュアルダマシン構造の形成方法を具体的に説明すると、下層配線部を有する基板と、この下層配線部の表面の少なくとも一部が露出するように基板の表面に形成された、ビア及びトレンチを有する低誘電絶縁層とを備える積層基板に、上記本発明のレジスト下層膜形成用組成物を塗布し、少なくとも、ビア及びトレンチにレジスト下層膜形成用組成物を充填し且つ上記積層基板の表面に塗膜を形成する(塗布工程)。その後、上記塗膜を皮膜化し、レジスト下層膜を形成し(レジスト下層膜形成工程)、上記レジスト下層膜の表面に、フォトレジスト膜を形成する(フォトレジスト膜形成工程)。次いで、上記フォトレジスト膜を加工して、上記レジスト下層膜形成用組成物が上記ビアに充填されてなる組成物充填部の上側、及び、上記レジスト下層膜形成用組成物が上記トレンチに充填されてなる組成物充填部の上側に配置されたレジスト下層膜が露出されるようにレジストパターンを形成する(レジストパターン形成工程)。その後、上記レジスト下層膜の表面に配置された、上記レジストパターンを有するフォトレジスト膜をマスクとして用いて、露出しているレジスト下層膜を除去して上記組成物充填部の上面を露出させる(レジストパターン転写工程)。次に、上記レジスト下層膜の表面に配置された上記フォトレジスト膜を除去し(フォトレジスト膜除去工程)、表面に残存しているレジスト下層膜をマスクとして用いて、上記組成物充填部の表層部、及び、上記低誘電絶縁層における上記組成物充填部の周縁部を除去し、上層配線部用のトレンチを形成する(低誘電絶縁層除去工程)。その後、表面に残存しているレジスト下層膜、及び、上記組成物充填部を除去する(レジスト下層膜除去工程)。次いで、上記レジスト下層膜除去工程により形成されたトレンチに配線材料を充填し(配線材料充填工程)、デュアルダマシン構造を得る。
【0082】
塗布工程において用いられる積層基板は、下層配線部を有する基板と、該下層配線部の表面の少なくとも一部が露出するように形成された、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチを有する低誘電絶縁層とを備える。下層配線部を有する基板は、特に限定されず、凹部を有する基層と、この凹部に嵌合された下層配線部とを備えるものであってよいし、図4に例示されるものであってもよい。図4の基板(複合型基板)1は、基層11と、この基層11の表面に形成された第1低誘電絶縁層12aと、この第1低誘電絶縁層12aに形成されたビア及び/又はトレンチが、配線材料により充填されてなる下層配線部41とを備える。尚、図4には、下層配線部41及び基層11の間には、バリアメタル層31を示しているが、本発明においては、その有無は問わない。また、低誘電絶縁層は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン等からなるものとすることができる。
上記積層基板は、図1〜図3に例示される。図1の積層基板2は、図4で示された基板(複合型基板)1と、この基板1における下層配線部41の表面の少なくとも一部が露出するように、露出部の上方(51、52)を開孔させてなる低誘電絶縁層15とを備える。但し、開孔部の少なくとも1つは、トレンチである。孔部51及び孔部52は、同一形状及び同一サイズであるビア又はトレンチであってよいし、異なる形状のビア又はトレンチであってもよい。更には、孔部51がビアであり、孔部52がトレンチであってもよい。ビア及びトレンチの形状及び大きさは、特に限定されない。
図2の積層基板2’は、基板(複合型基板)1と、この基板1における下層配線部41の表面の少なくとも一部が露出するように、露出部の上方(51、52)を開孔させてなる第2低誘電絶縁層14a、第3低誘電絶縁層16a等とを備える。図2の積層基板2においては、第2低誘電絶縁層14a及び第3低誘電絶縁層16aの間にエッチングストッパー膜71aを備える。
また、図3の積層基板2"は、図2の積層基板2’における第3低誘電絶縁層16aの表面にエッチングストッパー膜75aを備えるものである。
以下、本発明のデュアルダマシン構造の形成方法における塗布工程以降の工程を、孔部51をビアとし、孔部52をトレンチとした積層基板2"(図3)に基づいて説明する。
【0083】
上記塗布工程において、レジスト下層膜形成用組成物を塗布する方法は、特に限定されず、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の公知の方法が適用される。この塗布工程によって、組成物が、ビア及びトレンチである、孔部51及び52に、空隙なく充填され、基板1の表面に塗膜が形成される。塗膜の厚さは、特に限定されない。
【0084】
その後、レジスト下層膜形成工程において、塗膜が皮膜化され、レジスト下層膜6が得られる(図5参照)。この工程においては、通常、塗膜に含まれる溶剤(C)を揮発させるために、熱処理(プレベーク)が供される。熱処理の温度は、塗膜の構成成分等により、適宜、選択されるが、通常、90℃〜350℃の範囲、好ましくは200℃〜300℃の範囲から選ばれる。この熱処理は、上記範囲において、温度一定として行ってよいし、昇温及び降温を組み合わせて行ってもよい。
【0085】
上記レジスト下層膜形成工程において形成される皮膜(レジスト下層膜)の厚さは、通常、100〜2,000nm、好ましくは200〜500nmである。
【0086】
次に、上記レジスト下層膜6の表面に、フォトレジスト膜が形成される(フォトレジスト膜形成工程)。このフォトレジスト膜の形成に用いられるレジスト用組成物は、特に限定されないが、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物;アルカリ可溶性樹脂、キノンジアジド系感光剤等を含有するポジ型レジスト組成物;アルカリ可溶性樹脂、架橋剤等を含有するネガ型レジスト組成物等を用いることができる。上記レジスト用組成物を用いる場合には、回転塗布等の方法により塗布し、乾燥する等により、フォトレジスト膜を形成することができる。尚、このフォトレジスト膜の厚さは、特に限定されない。
【0087】
その後、レジストパターン形成工程において、上記フォトレジスト膜を加工して、上記レジスト下層膜形成用組成物が上記ビアに充填されてなる組成物充填部の上側、及び、上記レジスト下層膜形成用組成物が上記トレンチに充填されてなる組成物充填部の上側に配置されたレジスト下層膜が露出されるようにレジストパターンを形成する(図示せず)。上記フォトレジスト膜の加工は、通常、露光、現像等を含む公知のレジストプロセスを適用することができ、このレジストパターン形成工程において、上記レジスト下層膜6の表面に形成されているフォトレジスト膜のうち、少なくとも、下方側に上記組成物充填部が存在するフォトレジスト膜を、通常、下方側に上記組成物充填部及びその周縁部(低誘電絶縁層の一部)が存在する(上記組成物充填部より大きい領域の)フォトレジスト膜を除去させる。
【0088】
次いで、レジストパターン転写工程において、上記レジスト下層膜6の表面に配置された、レジストパターンを有するフォトレジスト膜9をマスクとして作用させ、露出しているレジスト下層膜を除去して、上記組成物充填部の上面を露出させる。即ち、上記レジスト下層膜6を、プラズマアッシング等により加工し、上記組成物充填部の上方側の膜63を除去し、少なくとも組成物充填部64の上面、即ち、通常、組成物充填部64の上面及びその周縁部(低誘電絶縁層の一部)を露出させる(図6参照)。この工程の後、フォトレジスト膜9、及び、その下層側のレジスト下層膜62は残存する。
【0089】
プラズマアッシングとは、所望の位置にある膜等を除去するために、酸素プラズマ等の反応性ガスのプラズマを発生させ、気相中でCOx、H2O等に分解して除去する操作である。
【0090】
プラズマアッシングの条件は、適宜、選択されるが、サセプタに印加する高周波電力は、通常、100〜1,000Wであり、好ましくは100〜500Wである。また、サセプタ温度は、好ましくは20℃〜100℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。更に、処理容器内の圧力は、通常、1〜300mTorrであり、好ましくは30〜100mTorrである。
【0091】
プラズマアッシングに用いるガスは、アッシングによる低誘電絶縁膜の比誘電率の上昇を抑えることが可能である、窒素、水素、アンモニア、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも一種を含むガスであることが好ましい。また、窒素と水素の混合ガスを用いる場合、容量比で、窒素100に対して、水素が0〜20であることが好ましく、水素が1〜10であることが更に好ましい。また、アンモニアとアルゴンの混合ガスを用いる場合、容量比で、アンモニア100に対して、アルゴンが0〜10であることが好ましい。このような混合ガスのプラズマによって、より効率的にレジスト下層膜を除去することが可能となる。また、アンモニア、窒素及び水素の混合ガスであることも好ましい。
【0092】
その後、フォトレジスト膜除去工程において、上記レジスト下層膜62の表面に配置されたフォトレジスト膜9を除去する。
【0093】
次いで、低誘電絶縁層除去工程により、表面に残存しているレジスト下層膜をマスクとして用いて、上記組成物充填部の表層部(上記ビアにおける組成物充填部の表層部、上記トレンチにおける組成物充填部の表層部)、及び、上記低誘電絶縁層における上記組成物充填部の周縁部を除去し、上層配線部用のトレンチを形成する。図6を用いて説明すると、図6における構造物の上面側に形成されている溝部(凹部)の底面で露出している、エッチングストッパー膜75a、低誘電絶縁層16a、及び、組成物充填部64(図6において点線で囲まれた部分)が除去されて、図7の構造を得る。図7は、基板(複合型基板)1と、この基板1の表面に配され、基板1における下層配線部41の上側表面に、組成物充填部65が接触してなる第2低誘電絶縁層14aと、組成物充填部65の上面よりも広い開口領域を有する、上層配線部用のトレンチ53と、第2低誘電絶縁層14a及び第3低誘電絶縁層16aの間に配されたエッチングストッパー膜71aとを備える概略断面図である。
この低誘電絶縁層工程においては、反応性イオンエッチング等の方法を適用することができ、上記エッチングストッパー膜75aの有無に関わらず、図6における組成物充填部64の一部を残存させ、トレンチ53が形成されるように、除去条件が選択される。
【0094】
その後、レジスト下層膜除去工程において、表面に残存しているレジスト下層膜、及び、上記組成物充填部(上記ビアにおける組成物充填部、上記トレンチにおける組成物充填部)が除去される。
このレジスト下層膜除去工程においては、プラズマアッシング等の方法を適用することができ、図7におけるレジスト下層膜62及び組成物充填部65が除去されて、下層配線部41の上側表面が露出し、図8の構造を得る。図8は、基板(複合型基板)1と、この基板1の表面に配され、基板1における下層配線部41の上側表面に、図7における組成物充填部65が除去されてなる孔部51を有する第2低誘電絶縁層14aと、この孔部(ビア)51よりも広い開口領域を有するトレンチ53と、第2低誘電絶縁層14a及び第3低誘電絶縁層16aの間に配されたエッチングストッパー膜71aとを備える概略断面図である。
【0095】
次いで、配線材料充填工程において、上記レジスト下層膜除去工程により形成されたトレンチ(ビアを含む)に配線材料が充填される。尚、この配線材料充填工程を行う前に、必要に応じて、図8に示される、孔部51の内表面、及び、トレンチ53の内表面に、TiN、Ta、TaN等を含むバリアメタル膜を形成する工程を備えてもよい。
上記配線材料充填工程においては、通常、スパッタリング、メッキ等が行われ、図8に示される孔部51及びトレンチ53が、銅等の配線材料で満たされる(図9参照)。図9は、配線材料充填工程が行われた結果、配線材料層43が形成された構造の一例であり、上記の孔部51及びトレンチ53が、配線材料で満たされており、配線材料層43が、エッチングストッパー膜75aの表面の一部又は全てを被覆したことを示す。
【0096】
本発明のデュアルダマシン構造の形成方法においては、上記配線材料充填工程の後、化学的機械研磨法等により、上記配線材料層43の表面を平滑化する研磨工程を備えることができる。この研磨工程においては、エッチングストッパー膜75aを除去してもよい。
【0097】
以上より、本発明によって、図10に示すような、下層配線部41と、この下層配線部41に接合された接続配線部45及び上層配線部47とを備える、デュアルダマシン構造を有する基板8を得ることができる。
尚、上記のように、配線材料充填工程を行う前に、図8に示される、孔部51の内表面、及び、トレンチ53の内表面に、バリアメタル膜(33,35)を形成した場合には、図11に示すようなデュアルダマシン構造を有する基板8’を得ることができる。
【0098】
上記デュアルダマシン構造は、ビアファーストにより形成されたものに限られず、トレンチファーストにより形成されたものとすることもできる。また、上記の各工程を繰り返すことにより、様々な多層配線構造を形成することができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例における「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
また、以下に示される重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)等の重量平均分子量(Mw)は、東ソー社製のGPCカラム(「TSK−GEL G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を連結して用い、流量:1.0ml/分、溶出溶剤:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(検出器:示差屈折計)により測定した。
【0100】
1.重合体(A)の合成
合成例1[重合体(A−1)の合成]
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、アセナフチレン8部、5−ヒドロキシメチルアセナフチレン4部、酢酸n−ブチル50部及びアゾビスイソブチロニトリル4部を仕込み、攪拌しつつ80℃で7時間重合した。その後、反応溶液を酢酸n−ブチル100部で希釈し、多量の水/メタノール(質量比=1/2)混合溶媒で有機層を洗浄した。次いで、溶媒を留去して、Mwが1,000の重合体(A−1)を得た。
【0101】
合成例2[重合体(A−2)の合成]
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、アセナフチレン7部、ビニルベンジルアルコール3部、1−メトキシ−2−プロパノール60部及び2,2−アゾビスイソ酪酸ジメチル2部を仕込み、攪拌しつつ80℃で4時間重合した。その後、反応溶液を酢酸n−ブチル100部で希釈し、多量の水/メタノール(質量比=1/2)混合溶媒で有機層を洗浄した。次いで、溶媒を留去して、Mwが1,500の重合体(A−2)を得た。
【0102】
合成例3[重合体(A−3)の合成]
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、2,7−ジヒドロキシナフタレン100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部及びパラホルムアルデヒド50部を仕込んだ。その後、蓚酸2部を添加し、脱水しながら120℃に昇温し、5時間反応させ、Mwが1,500の重合体(A−3)を得た。
【0103】
2.レジスト下層膜形成用組成物の調製及び評価
実施例1
上記重合体(A−1)10部と、界面活性剤(B)であるエアープロダクツ社製「サーフィノール465」(商品名、表1中「B−1」と示す)0.001部と、酸発生剤(D)であるビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(D−1)0.5部と、架橋剤(E)であるテトラブトキシメチルグリコールウリル(E−1、下記に構造を示す)0.5部とを、溶剤(C)である酢酸n−ブチル(C−1)89部に溶解し、混合溶液を得た。その後、この混合溶液を、孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過し、得られた濾液をレジスト下層膜形成用組成物とした。
【0104】
【化15】
【0105】
(1)埋め込み性の評価
得られたレジスト下層膜形成用組成物を、サイズ100nm、ピッチ1H/1.2S及び深さ1,000nmのビア、並びに、サイズ200nm、ピッチ1L/1S及び深さ1,000nmのトレンチラインが形成されたテトラエチルオルソシリケート(TEOS)の基板上に、スピンコートし、以下の方法により、ビア及びトレンチへの埋め込み性を評価した。
上記レジスト下層膜形成用組成物をスピンコートした後、塗膜付き基板を200℃で60秒間加熱した。これにより、TEOS基板の表面上に、膜厚300nmのレジスト下層膜を形成した。作製したレジスト下層膜について、ビア及びトレンチへの組成物の埋め込み状態を、走査型電子顕微鏡により観察した。組成物が、ビア及びトレンチに充填されていた場合(埋め込まれていた場合)を良好(「○」)とし、埋め込まれていなかった場合を不良(「×」)と判定した。
【0106】
実施例2〜15
表1に示す配合処方とした以外は、実施例1と同様にして、レジスト下層膜形成用組成物を調製し、評価を行った。尚、表1中の「B−2」は、JSR社製「ダイナフロー」(商品名)、「C−2」は1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、「E−2」は、n−ブチルエーテル化ヘキサメチロールメラミン、「E−3」テトラメトキシメチルグリコールウリル、「E−4」はメチロール化ヘキサメチロールメラミンである。
【0107】
【化16】
【化17】
【化18】
【0108】
比較例1〜9
表1に示す配合処方とした以外は、実施例1と同様にして、レジスト下層膜形成用組成物を調製し、各種評価を行った。尚、表1中の「B−3」は、大日本インキ社製「メガファックR−08」(商品名)、「B−4」は、旭硝子社製「サーフロンSC−103」(商品名)である。
【0109】
【表1】
【0110】
表1から明らかなように、実施例1〜15のレジスト下層膜形成用組成物により形成したレジスト下層膜は、ビア及びトレンチの両方に対して、埋め込み性に優れていた。一方、比較例1〜3のレジスト下層膜形成用組成物は、ビアへの埋め込み性は良好であったが、トレンチへの埋め込み性が不十分であった。また、フッ素含有界面活性剤であるB−3及びB−4をそれぞれ含有した例である、比較例4〜9は、ビアへの埋め込み性は良好であったが、トレンチへの埋め込み性が不十分であった。
【0111】
次に、実施例1〜15及び比較例1〜9の各レジスト下層膜形成用組成物により形成されるレジスト下層膜の各種評価を行うため、以下のように、ArF用ポジ型レジスト組成物を調製した。
【0112】
還流管を装着したセパラブルフラスコに、窒素気流下で、8−メチル−8−tert−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「単量体(イ)」という。)29部、8−メチル−8−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「単量体(ロ)」という。)10部、無水マレイン酸(以下、「単量体(ハ)」という。)18部、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジアクリレート4部、tert−ドデシルメルカプタン1部、アゾビスイソブチロニトリル4部及び1,2−ジエトキシエタン60部を仕込み、攪拌しつつ70℃で6時間重合した。その後、反応溶液を大量のn−ヘキサン/イソプロピルアルコール(質量比1/1)混合溶媒中に注いで、反応溶液中の樹脂を凝固させた。凝固した樹脂を上記混合溶媒で数回洗浄した後、真空乾燥して、上記単量体(イ)、(ロ)及び(ハ)のそれぞれに由来する構造単位(以下、(a1)、(a2)及び(a3)に示す)を有する樹脂を得た。収率は60%であった。尚、この樹脂は、上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)をモル比で64:18:18の割合で含み、Mwが27,000であった。
【化19】
【0113】
その後、得られた樹脂80部と、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート1.5部と、トリ−n−オクチルアミン0.04部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート533部に溶解して、ArF用レジスト組成物を調製した。
【0114】
(2)パターン転写性の評価
実施例1〜15及び比較例1〜9の各レジスト下層膜上に、3層レジストプロセス用中間層形成組成物溶液(商品名「NFC SOG302」、JSR社製)をスピンコートし、200℃のホットプレート上で60秒間加熱し、引き続き、300℃のホットプレート上で60秒間加熱して、膜厚0.05μmの中間層被膜を形成した。その後、中間層被膜上に、上記ArF用レジスト組成物をスピンコートし、130℃のホットプレート上で90秒間プレベークして、膜厚0.2μmのレジスト被膜を形成した。次いで、ArFエキシマレーザー露光装置(NIKON社製、レンズ開口数:0.78、露光波長:193nm)を用い、マスクパターンを介して、最適露光時間だけ露光した。その後、130℃のホットプレート上で90秒間ポストベークした後、濃度2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で1分間現像した。そして、水洗及び乾燥して、ArF用ポジ型レジストパターンを得た。このレジストパターンをマスクとし、中間被膜を加工した。次いで、加工した中間被膜をマスクとして、レジスト下層膜の加工を行った。その後、加工したレジスト下層膜をマスクとして、基板の加工を行った。
上記のようにして形成されたパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、実施例1〜15はいずれもパターン形状に不良は見当たらなかった。しかし、トレンチラインの埋め込み性が不良であった比較例1〜9では、パターンが倒れる、パターンが曲がる等の不良現象が観察された。
【0115】
(3)基板加工後のエッチング耐性
実施例1〜15及び比較例1〜9の各レジスト下層膜に対し、エッチング装置(型式名「EXAM」、神鋼精機社製)を使用して、CF4/Ar/O2(CF4:40mL/min、Ar:20mL/min、O2:5mL/min;圧力:20Pa;RFパワー:200W;処理時間:40秒;温度:15℃)でエッチング処理した。エッチング処理前後の膜厚を測定して、エッチングレートを算出し、エッチング耐性を評価したところ、実施例1〜15及び比較例1〜9のすべてにおいて、エッチングレートが150nm/min以下と良好であった。
【0116】
(4)基板加工後の剥離性
実施例1〜15及び比較例1〜9の各レジスト下層膜の剥離容易性を評価するため、上記ポジ型レジストパターンの形成に用いたレジスト下層膜のフッ化処理後の剥離性を以下の方法により評価した。スピンコート法によりレジスト下層膜を形成し、上記エッチング装置を用いて、CF4(CF4:100mL/min;圧力:30Pa;RFパワー:200W;処理時間:60秒;温度:15℃)でレジスト下層膜をフッ化処理し、その後、剥離処理としてアッシングによる剥離処理を行った。アッシング剥離性は、フッ化処理後の基板をNH3プラズマアッシング条件(圧力:0.1Torr、高周波電力:550W、NH3=150sccm、基板温度:20℃)でのアッシング処理前後のレジスト下層膜の膜厚を測定したところ、実施例1〜15及び比較例1〜9のすべてにおいて、剥離処理後5分未満に膜厚が0nmとなり、良好な剥離性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、基板に形成されているビア及びトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与える。従って、本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、デュアルダマシン構造を備える高集積回路の形成に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法に用いる積層基板の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法に用いる積層基板の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法に用いる積層基板の他の例を示す概略断面図である。
【図4】下層配線部を有する基板(複合型基板)の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明のレジスト下層膜形成用組成物を、図3の積層基板に対して用いた、本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明におけるレジスト下層膜形成工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明におけるレジストパターン転写工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明における低誘電絶縁層除去工程を示す概略断面図である。
【図8】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明におけるレジスト下層膜除去工程を示す概略断面図である。
【図9】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明における配線材料充填工程を示す概略断面図である。
【図10】本発明により得られたデュアルダマシン構造を有する基板の一例を示す概略断面図である。
【図11】本発明により得られたデュアルダマシン構造を有する基板の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0119】
1:基板(複合型基板)
11:基層
12:第1低誘電絶縁層
12a:第1低誘電絶縁層
14:第2低誘電絶縁層
14a:第2低誘電絶縁層
15:低誘電絶縁層
16:第3低誘電絶縁層
16a:第3低誘電絶縁層
16b:第3低誘電絶縁層
2、2’及び2":積層基板
31:バリアメタル層
33:バリアメタル層
35:バリアメタル層
41:下層配線部
43:配線材料層
45:接続配線部
47:上層配線部
51:孔部(ビア又はトレンチ)
52:孔部(ビア又はトレンチ)
53:トレンチ
6:レジスト下層膜
62:レジスト下層膜
64:組成物充填部
65:組成物充填部
71a:エッチングストッパー膜
75a:エッチングストッパー膜
8及び8’:デュアルダマシン構造を有する基板
9:フォトレジスト膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の放射線を用いるリソグラフィープロセスにおける微細加工、特に、高集積回路素子の製造に好適なレジスト下層膜用樹脂組成物及びそれを用いたデュアルダマシン構造の形成方法に関する。更に詳しくは、ビアもしくはトレンチへの埋め込み性に優れ、パターン転写性能及びエッチング耐性が良好なレジスト下層膜を形成することができるレジスト下層膜形成用組成物及びそれを用いたデュアルダマシン構造の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造プロセスは、シリコンウエハ上に、特性の異なる複数の物質からなる被加工膜の層を順次積層形成し、これらの被加工膜を所望のパターンにパターニングする工程を備えている。被加工膜のパターニングは、まず、被加工膜の表面に、感光性物質(レジスト)からなるレジスト膜を形成し、このレジスト膜の所定の領域に露光を施し、次いで、レジスト膜の露光部又は未露光部を現像処理により除去してレジストパターンを形成し、更に、このレジストパターンをエッチングマスクとして、被加工膜をドライエッチングすることにより行われる。
【0003】
このようなプロセスにおいては、レジスト膜に露光を施すための露光光源としてArFエキシマレーザー等の紫外光が用いられている。現在、大規模集積回路(LSI)の微細化に対する要求が益々高まっており、必要とする解像度が露光光の波長以下になるケースも出てきている。このように解像度が露光光の波長以下になると、露光量裕度、フォーカス裕度等の露光プロセス裕度が不足するため好ましくない。露光プロセス裕度の不足を補う方策としては、レジスト膜の膜厚を薄くして解像性を向上させることが有効である。しかし、レジスト膜の膜厚を薄くすると、被加工膜のエッチングに必要なレジスト膜厚を確保することが困難になってしまう。
【0004】
そこで、被加工膜の表面に、レジスト下層膜(以下、単に「下層膜」と記す場合がある。)を形成し、レジストパターンを一旦、下層膜に転写して下層膜パターンを形成した後、この下層膜パターンをエッチングマスクとして被加工膜に転写するプロセスが検討されている。このプロセスで用いられる下層膜はエッチング耐性を有することが好ましいため、エッチング中のエネルギーを吸収してエッチング耐性を発揮するアセナフチレン骨格を有する重合体を含有する組成物により下層膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【0005】
ところで、0.13μm以下の微細度を持つLSIパターンルールになると、配線遅延がLSIの高速化に与える影響が多くなり、現状のLSIのプロセス技術により、LSIの高性能化を進展させていくことは、難しくなってきている。そこで、配線遅延を小さくするために、配線材をAlからCuに変更することが検討されている。
【0006】
配線材をAlからCuに変更するための技術としては、デュアルダマシンプロセスが知られている(例えば、特許文献4を参照)。このプロセスにおいては、配線材としてAlを用いた場合と比較して、アスペクト比(凹凸)が大きい基板を用いる必要があり、レジスト下層膜形成用組成物は、基板に形成されているビア及びトレンチに対して容易に充填される特性(埋め込み性)に優れていることが求められる。
【0007】
レジスト下層膜形成用組成物の埋め込み性を向上させる方策としては、例えば、組成物に含まれる樹脂の分子量を3,000以下とする方法(例えば、特許文献5を参照)、組成物の〔粘度(mPa・s)の対数変化〕/〔固形分濃度(質量%)の変化〕で示される係数Hを0.06以下とし、且つ、固形分濃度25質量%で測定した粘度が1〜80mPa・sとする方法(例えば、特許文献6を参照)、組成物中に分子量800以下の含窒素化合物(架橋剤)を配合する方法等が知られている(例えば、特許文献7を参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−143937号公報
【特許文献2】特開2001−40293号公報
【特許文献3】特開2004−168748号公報
【特許文献4】米国特許第6057239号公報
【特許文献5】特開2000−294504号公報
【特許文献6】特開2003−057828号公報
【特許文献7】特開2002−329781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献5に記載の方法は、組成物の埋め込み性を向上させるためには、樹脂のガラス転移温度を130℃以下とする必要があった。特に、アスペクト比が3以上の基板に対しては、ガラス転移温度が130℃以上の樹脂では、その分子量を下げても埋め込み性を向上させることはできなかった。
【0010】
その一方で、ガラス転移温度が130℃以下の樹脂を用いた場合、組成物の埋め込み性は向上するものの、埋め込み性とともに重要な特性である下層膜のエッチング耐性が不十分であるという問題があった。また、ビア及びトレンチが混在する基板に対しては、樹脂の分子量を下げるだけでは、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチの双方に対して十分な埋め込み性を発揮させることは困難であった。
【0011】
また、特許文献6に記載の方法は、下層膜のエッチング耐性が不十分であるという問題があった。そもそも、この方法は、レジストに比してエッチング耐性を低くする必要がある反射防止膜(BARC=Bottom Anti Reflective Coating)に関する発明である。
【0012】
更に、特許文献7に記載の方法は、下層膜のエッチング耐性が不十分であるという問題があった。また、下層膜を形成する際に、含窒素化合物やその分解物が昇華し、成膜装置を汚染するという不具合もあった。
【0013】
このように、現在のところ、基板に形成されているトレンチに対して容易に充填される特性(埋め込み性)と下層膜のエッチング耐性を兼ね備えるレジスト下層膜形成用組成物は開示されていない。
本発明は、ビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与えるレジスト下層膜形成用組成物及びこの組成物を用いて、デュアルダマシン構造を効率よく形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、アセチレン基を有する界面活性剤を含有するレジスト下層膜形成用組成物が、基板に形成されているビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与え、更に、デュアルダマシン構造を効率よく形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
[1]ビアもしくはトレンチへの埋め込みに使用されるレジスト下層膜形成用組成物であって、(A)アリール基を有する重合体、(B)アセチレン基を有する界面活性剤、及び、(C)溶剤を含有することを特徴とするレジスト下層膜形成用組成物。
[2]前記(A)重合体が、下記一般式(1)〜(4)で表される構造単位の群から選択される少なくとも1種を含む上記[1]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【化1】
[式中、R1は、水素原子又は1価の有機基を示す。R2及びR3は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化2】
[式中、R4及びR5は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化3】
[式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。R7は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、又は、炭素数1〜6の置換可能なカルボニル基を示す。nは0又は1である。]
【化4】
[式中、R8は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、カルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、メチロール基、炭素数1〜6のアルコキシメチロール基を示す。nは0〜6の整数である。但し、nが2〜6のとき、複数のR8は同一でも異なっていてもよい。Xは、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。mは1〜8の整数である。mが2〜8のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。また、n+mは1〜8の整数である。]
[3]更に、(D)酸発生剤を含有する上記[2]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[4]更に、(E)架橋剤を含有する上記[3]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[5]前記架橋剤(E)が、下記一般式(5)で表される化合物、及び、下記一般式(6)で表される化合物のうちの少なくとも一方である上記[4]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【化5】
[式中、各R9は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n−ブチル基又はイソブチル基を示す。]
【化6】
[式中、各R10は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n−ブチル基又はイソブチル基を示す。]
[6]前記界面活性剤(B)が非イオン性である上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[7]前記界面活性剤(B)が、エチレンオキサイド部を含む化合物、アセチレンアルコール化合物、及び、アセチレングリコール化合物から選ばれる少なくとも1種である上記[6]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[8]ビアもしくはトレンチパターンが形成された低誘電絶縁膜を有する基板上に、上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のレジスト下層膜用組成物を塗布し、レジスト下層膜を形成する工程と、前記レジスト下層膜上に配置され、レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンをエッチングにより前記レジスト下層膜に転写する工程と、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンが転写された前記レジスト下層膜をマスクとして用いて、前記レジスト下層膜の下に配置された低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写する工程と、前記低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写した後、前記レジスト下層膜を除去する工程と、を備えることを特徴とするデュアルダマシン構造の形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物によれば、基板に形成されているビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与え、更に、デュアルダマシン構造を効率よく形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[1]レジスト下層膜形成用組成物
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、ビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチへの埋め込みに使用される組成物であって、(A)アリール基を有する重合体(以下、「重合体(A)」という。)、(B)アセチレン基を有する界面活性剤(以下、「界面活性剤(B)」という。)、及び、(C)溶剤(以下、「溶剤(C)」という。)を含有することを特徴とする。
【0018】
上記重合体(A)は、アリール基を有するものであれば、特に限定されない。アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられるが、好ましくはナフチル基である。また、この重合体(A)は、優れたエッチング耐性を得るために、好ましくは、ガラス転移温度が130℃以上の重合体である。このような重合体としては、下記一般式(1)〜(4)で表される構造単位を含む重合体が挙げられる。
【化7】
[式中、R1は、水素原子又は1価の有機基を示す。R2及びR3は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化8】
[式中、R4及びR5は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化9】
[式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。R7は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、又は、炭素数1〜6の置換可能なカルボニル基を示す。nは0又は1である。]
【化10】
[式中、R8は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、カルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、メチロール基、炭素数1〜6のアルコキシメチロール基を示す。nは0〜6の整数である。但し、nが2〜6のとき、複数のR8は同一でも異なっていてもよい。Xは、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。mは1〜8の整数である。mが2〜8のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。また、n+mは1〜8の整数である。]
上記重合体(A)は、上記構造単位の1種のみからなる重合体であってよいし、2種以上からなる重合体であってよいし、更には、1種又は2種以上と、他の構造単位とからなる重合体であってもよい。
【0019】
上記一般式(1)で表される構造単位(以下、「構造単位(1)」という。)において、R1で表される1価の有機基としては、炭素数1〜10の基が好ましい。具体的には、フェニル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、あるいは、これらの基に含まれる一部の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホン酸基等の官能基で置換された官能基を挙げることができる。上記置換された官能基は、2種以上の官能基で置換されたものであってもよい。
【0020】
上記アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。また、上記アルケニル基としては、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルケニル基が好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。更に、上記アシル基としては、炭素数2〜6の脂肪族又は芳香族のアシル基が好ましい。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
【0021】
上記構造単位(1)において、R2又はR3で表される1価の有機基としては、R1で表される1価の有機基として例示した基を挙げることができる。
【0022】
上記構造単位(1)において、R1で表される基としては、水素原子、メチル基、アセチル基が好ましい。また、R2又はR3で表される基としては、水素原子、メチル基、フェニル基が好ましい。
【0023】
上記構造単位(1)を有する重合体は、例えば、構造単位(1)を形成することとなるアセナフチレン類を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等させることにより得ることができる。これらの重合は、塊状重合、溶液重合等の従来公知の重合形態で行うことができる。また、必要に応じて、アセナフチレン類と、他の共重合性不飽和化合物とを重合させてもよい。
【0024】
尚、R1が水素原子である構造単位(1)を有する重合体は、R1がアセチル基である構造単位(1)を有する重合体のアセトキシ基を、常法により加水分解することによって、製造することができる。また、R1がアセチル基である構造単位(1)を有する重合体は、R1が水素原子である構造単位(1)を有する重合体のヒドロキシル基を、常法によりアセチル化することによって、製造することができる。
上記構造単位(1)を有する重合体は、加熱又は露光により、分子鎖間で架橋を形成する特性を有する。
【0025】
上記構造単位(1)を形成するアセナフチレン類としては、3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−6−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−7−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−メチル−8−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−6−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−7−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−8−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−5−ヒドロキシメチルアセナフチレン等のヒドロキシメチルアセナフチレン類;
【0026】
3−アセトキシメチルアセナフチレン、4−アセトキシメチルアセナフチレン、5−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−3−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−4−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−5−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−6−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−7−アセトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−8−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−3−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−4−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−5−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−3−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−4−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−5−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−6−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−7−アセトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−8−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−3−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−4−アセトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−5−アセトキシメチルアセナフチレン等のアセトキシメチルアセナフチレン類;
【0027】
3−メトキシメチルアセナフチレン、4−メトキシメチルアセナフチレン、5−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−3−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−4−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−5−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−6−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−7−メトキシメチルアセナフチレン、1−メチル−8−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−3−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−4−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジメチル−5−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−3−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−4−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−5−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−6−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−7−メトキシメチルアセナフチレン、1−フェニル−8−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−3−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−4−メトキシメチルアセナフチレン、1,2−ジフェニル−5−メトキシメチルアセナフチレン等のメトキシメチルアセナフチレン類;
【0028】
3−フェノキシメチルアセナフチレン、4−フェノキシメチルアセナフチレン、5−フェノキシメチルアセナフチレン、3−ビニルオキシメチルアセナフチレン、4−ビニルオキシメチルアセナフチレン、5−ビニルオキシメチルアセナフチレン等が挙げられる。
これらのアセナフチレン類は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
上記アセナフチレン類のうち、3−ヒドロキシメチルアセナフチレン、4−ヒドロキシメチルアセナフチレン、5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、3−アセトキシメチルアセナフチレン、4−アセトキシメチルアセナフチレン、5−アセトキシメチルアセナフチレン、3−メトキシメチルアセナフチレン、4−メトキシメチルアセナフチレン、5−メトキシメチルアセナフチレン等が好ましい。
【0030】
上記一般式(2)で表される構造単位(以下、「構造単位(2)」という。)において、R4又はR5で表される1価の有機基としては、上記構造単位(1)において、R2又はR3で表される1価の有機基として例示した基を挙げることができる。構造単位(2)におけるR4又はR5としては、水素原子、メチル基が好ましい。
【0031】
上記構造単位(2)を有する重合体は、例えば、構造単位(2)を形成することとなるアセナフチレン類を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等させることにより得ることができる。これらの重合は、塊状重合、溶液重合等の従来公知の重合形態で行うことができる。また、必要に応じて、このアセナフチレン類と、他の共重合性不飽和化合物とを重合させてもよい。
【0032】
上記構造単位(2)を形成するアセナフチレン類としては、アセナフチレン、メチルアセナフチレン等が挙げられる。
これらのアセナフチレン類は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
上記一般式(3)で表される構造単位(以下、「構造単位(3)」という。)において、R6の1価の有機基としては、例えば、構造単位(1)におけるR1の1価の有機基について例示した基を適用することができる。また、R7の1価の原子及び1価の有機基としては、例えば、構造単位(1)におけるR2及びR3のそれぞれ1価の原子及び1価の有機基について例示した基を適用することができる。
上記一般式(3)において、nは0又は1である。
【0034】
上記構造単位(3)において、R6としては、特に、水素原子、メチル基等が好ましい。また、R7としては、特に、水素原子、メチル基等が好ましい。
【0035】
上記構造単位(3)を有する重合体は、例えば、構造単位(3)を形成することとなる芳香族ビニル系化合物を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等させることにより得ることができる。これらの重合は、塊状重合、溶液重合等の従来公知の重合形態で行うことができる。また、必要に応じて、芳香族ビニル系化合物と、他の共重合性不飽和化合物とを重合させてもよい。
【0036】
尚、R6が水素原子である構造単位(3)を有する重合体は、R6がアセチル基である構造単位(3)を有する重合体のアセトキシ基を、常法により加水分解することによって、製造することができる。また、R6がアセチル基である構造単位(3)を有する重合体は、R6が水素原子である構造単位(3)を有する重合体のヒドロキシル基を、常法によりアセチル化することによって、製造することができる。
【0037】
上記構造単位(3)を形成する芳香族ビニル系化合物としては、2−ヒドロキシメチルスチレン、3−ヒドロキシメチルスチレン、4−ヒドロキシメチルスチレン、2−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン等のヒドロキシメチルスチレン系化合物;2−メトキシメチルスチレン、3−メトキシメチルスチレン、4−メトキシメチルスチレン、2−メトキシメチル−α−メチルスチレン、3−メトキシメチル−α−メチルスチレン、4−メトキシメチル−α−メチルスチレン等のメトキシメチルスチレン系化合物;4−フェノキシメチルスチレン、4−フェノキシメチル−α−メチルスチレン、4−ビニルオキシメチルスチレン、4−ビニルオキシメチル−α−メチルスチレン、4−アセトキシメチルスチレン、4−アセトキシメチル−α−メチルスチレン等の他のスチレン系化合物;
【0038】
4−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、7−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、8−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、7−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、8−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン等のヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン系化合物;4−メトキシメチル−1−ビニルナフタレン、7−メトキシメチル−1−ビニルナフタレン、8−メトキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、7−メトキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、8−メトキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン等のメトキシメチル−1−ビニルナフタレン系化合物;4−フェノキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−ビニルオキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−アセトキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−フェノキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、4−ビニルオキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、4−アセトキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン等の他のビニルナフタレン系化合物;等が挙げられる。
これらの芳香族ビニル系化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
上記芳香族ビニル系化合物のうち、4−ヒドロキシメチルスチレン、4−メトキシメチルスチレン等が好ましい。
【0040】
上記一般式(4)で表される構造単位(以下、「構造単位(4)」という。)において、R8は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、カルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、メチロール基、炭素数1〜6のアルコキシメチロール基を示す。nは0〜6の整数である。但し、nが2〜6のときには複数のR8は同一でも異なっていてもよい。Xは、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。mは1〜8の整数である。mが2〜8のときは複数のXは同一でも異なっていてもよい。また、n+mは1〜8の整数である。
【0041】
上記構造単位(4)において、R8としては、特に、ヒドロキシル基等が好ましい。またXとしては、特に、メチレン基等が好ましい。
【0042】
上記一般式(1)〜(4)で表される構造単位の含有量(1種のみの場合はその含有量であり、2種以上の場合はその合計量である)は、上記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100質量%とした場合に、通常、5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%である。上記構造単位の含有量が20〜70質量%である重合体(A)を用いると、埋め込み性、エッチング耐性、低昇華物性に優れる。
【0043】
上記のように、本発明に係る重合体(A)は、上記一般式(1)〜(4)で表される構造単位から選ばれた少なくとも1種と、他の構造単位とを含む重合体であってもよい。他の構造単位を形成することとなる化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、9−ビニルカルバゾール等のその他の芳香族ビニル系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル等のビニルエステル系化合物;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル系化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ビニル、ジメチル・ビニル・(メタ)アクリロイルオキシメチルシラン等の不飽和基含有不飽和カルボン酸エステル系化合物;2−クロロエチルビニルエーテル、クロロ酢酸ビニル、クロロ酢酸アリル等のハロゲン含有ビニル系化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル系化合物;(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド等のアミド基含有ビニル系化合物;コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、マレイン酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等のカルボキシル基含有ビニル系化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
上記重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」と記す場合がある。)は、組成物に要求される特性に応じて、適宜、選択されるが、好ましくは500〜10,000、より好ましくは1,000〜5,000である。この重量平均分子量が上記範囲にある重合体(A)を含む組成物を用いることにより、塗布性に優れ、基板に形成されているビア及びトレンチへの埋め込み性を向上させることができる。
【0045】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物に含有される上記重合体(A)の含有量は、目的、用途等によって、適宜、選択されるが、組成物全体に対して、通常、0.01〜70質量%、好ましくは0.1〜50質量%である。上記重合体(A)の含有量が上記範囲にあると、塗布性に優れ、昇華物を低減させることができる。
【0046】
上記界面活性剤(B)としては、アセチレン基を有するものであれば、特に限定されないが、好ましくは、非イオン性界面活性剤である。
上記界面活性剤(B)は、好ましくは、下記一般式(7)で示される化合物である。
【化11】
[式中、R11は、R−(O−CH2CH2)m−(Rは、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、又は、置換可能なアリール基であり、mは0〜50の整数である。)である。R12及びR13は、相互に独立して、炭素数1〜18のアルキル基である。R14は、水素原子、又は、下記(8)で示される有機基
【化12】
(式中、R15、R16及びR17は、それぞれ、R12、R13及びR11と同様である。)である。]
【0047】
上記界面活性剤(B)としては、エチレンオキサイド部を含む化合物、アセチレンアルコール化合物、及び、アセチレングリコール化合物が好ましい。
エチレンオキサイド部を含む化合物は、上記一般式(7)において、R11が、R−(O−CH2CH2)m−であり、且つ、mが1〜50の整数である場合の化合物である。R14は、特に限定されないが、好ましくは、上記(8)で表される有機基であって、且つ、R15、R16及びR17が、それぞれ、R12、R13及びR11と同一の基とするものである。
アセチレンアルコール化合物は、上記一般式(7)において、R11が、水素原子である場合の化合物である。R14は、特に限定されないが、R17が、水素原子である場合には、アセチレングリコール化合物となる。
【0048】
上記界面活性剤(B)としては、容易に入手できる市販品を用いることができる。その具体的な商品名としては、サーフィノール61,82,104,420,440,465,485,504、CT−111,CT−121,CT−131,CT−136,CT−141,CT−151,CT−171,CT−324,DF−37,DF−58,DF−75,DF−110D,DF−210,GA,OP−340,PSA−204,PSA−216,PSA−336,SE,SE−F,ダイノール604,オルフィンE1004、E1010,PD−001,PD002W,EXP.4001,EXP.4036,EXP.4051F,SPC,AF−103,AF−104,AK−02,SK−14,AE−3,PD−003,PD201,PD−202,PD−301(以上、日信化学社製、及び、Air Products社製)等が挙げられる。
【0049】
上記界面活性剤(B)の含有量は、上記重合体(A)100質量部に対し、好ましくは0.001〜15質量部、より好ましくは0.01〜5質量部、更に好ましくは0.01〜1質量部である。この界面活性剤(B)の含有量が上記範囲にある組成物を用いると、基板に形成されているビア及びトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を得ることができる。
【0050】
上記溶剤(C)としては、上記の重合体(A)及び界面活性剤(B)、並びに、後述する添加剤を溶解し得るものであれば、特に限定されない。例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のトリエチレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n−ブチル、乳酸イソブチル等の乳酸エステル類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸n−アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
上記化合物のうち、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸n−ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が好ましい。
【0052】
上記溶剤(C)の含有量は、組成物の固形分濃度、即ち、この溶剤(C)を除く成分の合計量の割合が、好ましくは0.01〜70質量%、より好ましくは0.05〜60質量%、更に好ましくは0.1〜50質量%となる範囲である。
【0053】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、所期の効果を損なわない限り、必要に応じて、酸発生剤(以下、「酸発生剤(D)」という。)、架橋剤(以下、「架橋剤(E)」という。)、放射線吸収剤、保存安定剤、消泡剤、バインダー、接着助剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0054】
上記酸発生剤(D)としては、化学的刺激又は物理的刺激により酸を発生する物質が用いられる。例えば、露光されて酸を発生する光酸発生剤、加熱により酸を発生する熱酸発生剤等が挙げられる。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物が、酸発生剤(D)を含有することにより、常温を含む比較的低温域において、重合体(A)の分子鎖間に架橋構造を効率よく形成することができる。
【0055】
光酸発生剤としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムナフタレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、
【0056】
シクロヘキシル・メチル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0057】
1−(4−ヒドロキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−〔4−(1−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−〔4−(2−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0058】
1−(4−イソプロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−tert−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−〔4−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−〔4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−ベンジルオキシ)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤;
【0059】
フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤;1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のジアゾケトン化合物系光酸発生剤;4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等のスルホン化合物系光酸発生剤;ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸化合物系光酸発生剤;等が挙げられる。これらの光酸発生剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
これらの光酸発生剤のうち、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネートが好ましい。
【0061】
また、上記熱酸発生剤としては、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、アルキルスルホネート類等が挙げられる。これらの熱酸発生剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸発生剤(D)は、光酸発生剤及び熱酸発生剤を組み合わせて用いることもできる。
【0062】
上記酸発生剤(D)を用いるときの含有量は、本発明のレジスト下層膜形成用組成物の固形分を100質量部とした場合、通常、5,000質量部以下、好ましくは0.1〜1,000質量部、より好ましくは0.1〜100質量部である。
【0063】
上記架橋剤(E)しては、特に限定されず、公知の化合物を使用することができる。本発明のレジスト下層膜形成用組成物が、架橋剤(E)を含有することにより、得られるレジスト下層膜とその上に形成されるレジスト被膜との間のインターミキシングを防止し、さらにはレジスト下層膜のクラックを防止することができる。
上記架橋剤(E)としては、グリコールウリル骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物、多核フェノール、ジイソシアナート化合物、エポキシ化合物、グアナミン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記のうち、グリコールウリル骨格を有する化合物、及び、トリアジン骨格を有する化合物が好ましい。
【0064】
グリコールウリル骨格を有する化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【化13】
[式中、各R9は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜10の置換可能なアルキル基を示す。]
【0065】
上記一般式(5)において、R9がアルキル基である場合、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。これらのうち、メチル基、n−ブチル基及びイソブチル基が好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
【0066】
トリアジン骨格を有する化合物としては、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【化14】
[式中、各R10は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜10の置換可能なアルキル基を示す。]
【0067】
上記一般式(6)において、R10がアルキル基である場合、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。これらのうち、メチル基、n−ブチル基及びイソブチル基が好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
【0068】
上記一般式(5)及び(6)において、R9及びR10が、いずれもn−ブチル基である場合、架橋剤(E)の昇華が抑制され、その結果、成膜装置の汚染を防ぐことができる。
【0069】
上記多核フェノールとしては、4,4’−ビフェニルジオール、4,4’−メチレンビスフェノール、4,4’−エチリデンビスフェノール、ビスフェノールA等の2核フェノール類;4,4’,4"−メチリデントリスフェノール、4,4’−[1−〔4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル〕エチリデン]ビスフェノール等の3核フェノール類;ノボラック等のポリフェノール類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
上記ジイソシアナート化合物としては、2,3−トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、3,4−トリレンジイソシアナート、3,5−トリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート等が挙げられる。
【0071】
上記エポキシ化合物としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0072】
また、上記グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物及びその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物及びその混合物等が挙げられる。
【0073】
上記架橋剤(E)を用いるときの含有量は、上記重合体(A)を100質量部とした場合、通常、5,000質量部以下、好ましくは0.1〜1,000質量部、より好ましくは0.2〜20質量部である。
【0074】
上記放射線吸収剤としては、油溶性染料、分散染料、塩基性染料、メチン系染料、ピラゾール系染料、イミダゾール系染料、ヒドロキシアゾ系染料等の染料;ビクシン誘導体、ノルビクシン、スチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン誘導体、クマリン誘導体、ピラゾリン誘導体等の蛍光増白剤;ヒドロキシアゾ系染料、チバガイギー社製「チヌビン234」及び「チヌビン1130」(商品名)等の紫外線吸収剤;アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体等の芳香族化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記放射線吸収剤を用いるときの含有量は、レジスト下層膜形成用組成物の固形分100質量部に対し、通常、100質量部以下、好ましくは50質量部以下である。
【0075】
また、バインダーとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を使用することができる。 上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−ヘプテン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−デセン、ポリ−1−ドデセン、ポリ−1−テトラデセン、ポリ−1−ヘキサデセン、ポリ−1−オクダデセン、ポリビニルシクロアルカン等のα−オレフイン系重合体;ポリ−1,4−ペンタジエン、ポリ−1,4−ヘキサジエン、ポリ−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン系重合体;α,β−不飽和アルデヒド系重合体;ポリ(メチルビニルケトン)、ポリ(芳香族ビニルケトン)、ポリ(環状ビニルケトン)等のα,β−不飽和ケトン系重合体;(メタ)アクリル酸、α−クロルアクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物等のα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の重合体;ポリ(メタ)アクリル酸無水物、無水マレイン酸の共重合体等のα,β−不飽和カルボン酸無水物の重合体;メチレンマロン酸ジエステル、イタコン酸ジエステル等の不飽和多塩基性カルボン酸エステルの重合体;ソルビン酸エステル、ムコン酸エステル等のジオレフィンカルボン酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸チオエステル、α−クロルアクリル酸チオエステル等のα,β−不飽和カルボン酸チオエステルの重合体;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル又はその誘導体の重合体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体の重合体;スチリル金属化合物の重合体;ビニルオキシ金属化合物の重合体;ポリイミン;ポリフェニレンオキシド、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリオキシラン、ポリテトラヒドロフラン、ポリテトラヒドロピラン等のポリエーテル;ポリスルフィド;ポリスルホンアミド;ポリペプチド;ナイロン66、ナイロン1〜ナイロン12等のポリアミド;脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、脂環族ポリエステル、ポリ炭酸エステル等のポリエステル;ポリ尿素;ポリスルホン;ポリアジン;ポリアミン;ポリ芳香族ケトン;ポリイミド;ポリベンゾイミダゾール;ポリベンゾオキサゾール;ポリベンゾチアゾール;ポリアミノトリアゾール;ポリオキサジアゾール;ポリピラゾール;ポリテトラゾール;ポリキノキサリン;ポリトリアジン;ポリベンゾオキサジノン;ポリキノリン;ポリアントラゾリン;等が挙げられる。
【0076】
上記熱硬化性樹脂は、好ましくは、加熱により硬化して溶剤に不溶となり、得られるレジスト下層膜と、その上に形成されるフォトレジスト膜との間のインターミキシングを防止する作用を有するものである。このような性質を有する樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノ系樹脂、芳香族炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂のうち、尿素樹脂、メラミン樹脂、芳香族炭化水素樹脂等が好ましい。
【0077】
上記バインダーを構成する成分は、1種単独であってよいし、2種以上であってもよい。本発明のレジスト下層膜形成用組成物が上記バインダーを含有する場合、その含有量は、上記重合体(A)100質量部に対し、通常、20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
【0078】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、所定量の重合体(A)及び界面活性剤(B)を溶剤(C)に溶解することにより、また、必要に応じて、その後、孔径0.1μm程度のフィルターで濾過することにより、得ることができる。
【0079】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、ビアもしくはトレンチへの埋め込み、更には、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチを有し、且つ、シリコンウエハ、アルミニウムで被覆したウエハ等からなる基板、又は、これらのウエハを基層としてこの基層表面に形成された、ビアもしくはトレンチ、特に、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチを有する低誘電絶縁層等を備える複合型基板、の表面に塗布し、ビア及びトレンチに組成物を充填するとともに、むらなくレジスト下層膜を形成するのに好適である。
【0080】
[2]デュアルダマシン構造の形成方法
本発明のデュアルダマシン構造の形成方法は、ビアもしくはトレンチパターンが形成された低誘電絶縁膜を有する基板上に、上記本発明のレジスト下層膜用組成物を塗布し、レジスト下層膜を形成する工程(図5参照)と、前記レジスト下層膜上に配置され、レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンをエッチングにより前記レジスト下層膜に転写する工程(図6参照)と、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンが転写された前記レジスト下層膜をマスクとして用いて、前記レジスト下層膜の下に配置された低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写する工程(後述の低誘電絶縁層除去工程、図7参照)と、前記低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写した後、前記レジスト下層膜を除去する工程(図8参照)と、を備えることを特徴とする。更に、この工程により形成されたトレンチに配線材料を充填することにより、デュアルダマシン構造を得ることができる。
【0081】
本発明のデュアルダマシン構造の形成方法を具体的に説明すると、下層配線部を有する基板と、この下層配線部の表面の少なくとも一部が露出するように基板の表面に形成された、ビア及びトレンチを有する低誘電絶縁層とを備える積層基板に、上記本発明のレジスト下層膜形成用組成物を塗布し、少なくとも、ビア及びトレンチにレジスト下層膜形成用組成物を充填し且つ上記積層基板の表面に塗膜を形成する(塗布工程)。その後、上記塗膜を皮膜化し、レジスト下層膜を形成し(レジスト下層膜形成工程)、上記レジスト下層膜の表面に、フォトレジスト膜を形成する(フォトレジスト膜形成工程)。次いで、上記フォトレジスト膜を加工して、上記レジスト下層膜形成用組成物が上記ビアに充填されてなる組成物充填部の上側、及び、上記レジスト下層膜形成用組成物が上記トレンチに充填されてなる組成物充填部の上側に配置されたレジスト下層膜が露出されるようにレジストパターンを形成する(レジストパターン形成工程)。その後、上記レジスト下層膜の表面に配置された、上記レジストパターンを有するフォトレジスト膜をマスクとして用いて、露出しているレジスト下層膜を除去して上記組成物充填部の上面を露出させる(レジストパターン転写工程)。次に、上記レジスト下層膜の表面に配置された上記フォトレジスト膜を除去し(フォトレジスト膜除去工程)、表面に残存しているレジスト下層膜をマスクとして用いて、上記組成物充填部の表層部、及び、上記低誘電絶縁層における上記組成物充填部の周縁部を除去し、上層配線部用のトレンチを形成する(低誘電絶縁層除去工程)。その後、表面に残存しているレジスト下層膜、及び、上記組成物充填部を除去する(レジスト下層膜除去工程)。次いで、上記レジスト下層膜除去工程により形成されたトレンチに配線材料を充填し(配線材料充填工程)、デュアルダマシン構造を得る。
【0082】
塗布工程において用いられる積層基板は、下層配線部を有する基板と、該下層配線部の表面の少なくとも一部が露出するように形成された、ビア及びトレンチのうちの少なくともトレンチを有する低誘電絶縁層とを備える。下層配線部を有する基板は、特に限定されず、凹部を有する基層と、この凹部に嵌合された下層配線部とを備えるものであってよいし、図4に例示されるものであってもよい。図4の基板(複合型基板)1は、基層11と、この基層11の表面に形成された第1低誘電絶縁層12aと、この第1低誘電絶縁層12aに形成されたビア及び/又はトレンチが、配線材料により充填されてなる下層配線部41とを備える。尚、図4には、下層配線部41及び基層11の間には、バリアメタル層31を示しているが、本発明においては、その有無は問わない。また、低誘電絶縁層は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン等からなるものとすることができる。
上記積層基板は、図1〜図3に例示される。図1の積層基板2は、図4で示された基板(複合型基板)1と、この基板1における下層配線部41の表面の少なくとも一部が露出するように、露出部の上方(51、52)を開孔させてなる低誘電絶縁層15とを備える。但し、開孔部の少なくとも1つは、トレンチである。孔部51及び孔部52は、同一形状及び同一サイズであるビア又はトレンチであってよいし、異なる形状のビア又はトレンチであってもよい。更には、孔部51がビアであり、孔部52がトレンチであってもよい。ビア及びトレンチの形状及び大きさは、特に限定されない。
図2の積層基板2’は、基板(複合型基板)1と、この基板1における下層配線部41の表面の少なくとも一部が露出するように、露出部の上方(51、52)を開孔させてなる第2低誘電絶縁層14a、第3低誘電絶縁層16a等とを備える。図2の積層基板2においては、第2低誘電絶縁層14a及び第3低誘電絶縁層16aの間にエッチングストッパー膜71aを備える。
また、図3の積層基板2"は、図2の積層基板2’における第3低誘電絶縁層16aの表面にエッチングストッパー膜75aを備えるものである。
以下、本発明のデュアルダマシン構造の形成方法における塗布工程以降の工程を、孔部51をビアとし、孔部52をトレンチとした積層基板2"(図3)に基づいて説明する。
【0083】
上記塗布工程において、レジスト下層膜形成用組成物を塗布する方法は、特に限定されず、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の公知の方法が適用される。この塗布工程によって、組成物が、ビア及びトレンチである、孔部51及び52に、空隙なく充填され、基板1の表面に塗膜が形成される。塗膜の厚さは、特に限定されない。
【0084】
その後、レジスト下層膜形成工程において、塗膜が皮膜化され、レジスト下層膜6が得られる(図5参照)。この工程においては、通常、塗膜に含まれる溶剤(C)を揮発させるために、熱処理(プレベーク)が供される。熱処理の温度は、塗膜の構成成分等により、適宜、選択されるが、通常、90℃〜350℃の範囲、好ましくは200℃〜300℃の範囲から選ばれる。この熱処理は、上記範囲において、温度一定として行ってよいし、昇温及び降温を組み合わせて行ってもよい。
【0085】
上記レジスト下層膜形成工程において形成される皮膜(レジスト下層膜)の厚さは、通常、100〜2,000nm、好ましくは200〜500nmである。
【0086】
次に、上記レジスト下層膜6の表面に、フォトレジスト膜が形成される(フォトレジスト膜形成工程)。このフォトレジスト膜の形成に用いられるレジスト用組成物は、特に限定されないが、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物;アルカリ可溶性樹脂、キノンジアジド系感光剤等を含有するポジ型レジスト組成物;アルカリ可溶性樹脂、架橋剤等を含有するネガ型レジスト組成物等を用いることができる。上記レジスト用組成物を用いる場合には、回転塗布等の方法により塗布し、乾燥する等により、フォトレジスト膜を形成することができる。尚、このフォトレジスト膜の厚さは、特に限定されない。
【0087】
その後、レジストパターン形成工程において、上記フォトレジスト膜を加工して、上記レジスト下層膜形成用組成物が上記ビアに充填されてなる組成物充填部の上側、及び、上記レジスト下層膜形成用組成物が上記トレンチに充填されてなる組成物充填部の上側に配置されたレジスト下層膜が露出されるようにレジストパターンを形成する(図示せず)。上記フォトレジスト膜の加工は、通常、露光、現像等を含む公知のレジストプロセスを適用することができ、このレジストパターン形成工程において、上記レジスト下層膜6の表面に形成されているフォトレジスト膜のうち、少なくとも、下方側に上記組成物充填部が存在するフォトレジスト膜を、通常、下方側に上記組成物充填部及びその周縁部(低誘電絶縁層の一部)が存在する(上記組成物充填部より大きい領域の)フォトレジスト膜を除去させる。
【0088】
次いで、レジストパターン転写工程において、上記レジスト下層膜6の表面に配置された、レジストパターンを有するフォトレジスト膜9をマスクとして作用させ、露出しているレジスト下層膜を除去して、上記組成物充填部の上面を露出させる。即ち、上記レジスト下層膜6を、プラズマアッシング等により加工し、上記組成物充填部の上方側の膜63を除去し、少なくとも組成物充填部64の上面、即ち、通常、組成物充填部64の上面及びその周縁部(低誘電絶縁層の一部)を露出させる(図6参照)。この工程の後、フォトレジスト膜9、及び、その下層側のレジスト下層膜62は残存する。
【0089】
プラズマアッシングとは、所望の位置にある膜等を除去するために、酸素プラズマ等の反応性ガスのプラズマを発生させ、気相中でCOx、H2O等に分解して除去する操作である。
【0090】
プラズマアッシングの条件は、適宜、選択されるが、サセプタに印加する高周波電力は、通常、100〜1,000Wであり、好ましくは100〜500Wである。また、サセプタ温度は、好ましくは20℃〜100℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。更に、処理容器内の圧力は、通常、1〜300mTorrであり、好ましくは30〜100mTorrである。
【0091】
プラズマアッシングに用いるガスは、アッシングによる低誘電絶縁膜の比誘電率の上昇を抑えることが可能である、窒素、水素、アンモニア、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも一種を含むガスであることが好ましい。また、窒素と水素の混合ガスを用いる場合、容量比で、窒素100に対して、水素が0〜20であることが好ましく、水素が1〜10であることが更に好ましい。また、アンモニアとアルゴンの混合ガスを用いる場合、容量比で、アンモニア100に対して、アルゴンが0〜10であることが好ましい。このような混合ガスのプラズマによって、より効率的にレジスト下層膜を除去することが可能となる。また、アンモニア、窒素及び水素の混合ガスであることも好ましい。
【0092】
その後、フォトレジスト膜除去工程において、上記レジスト下層膜62の表面に配置されたフォトレジスト膜9を除去する。
【0093】
次いで、低誘電絶縁層除去工程により、表面に残存しているレジスト下層膜をマスクとして用いて、上記組成物充填部の表層部(上記ビアにおける組成物充填部の表層部、上記トレンチにおける組成物充填部の表層部)、及び、上記低誘電絶縁層における上記組成物充填部の周縁部を除去し、上層配線部用のトレンチを形成する。図6を用いて説明すると、図6における構造物の上面側に形成されている溝部(凹部)の底面で露出している、エッチングストッパー膜75a、低誘電絶縁層16a、及び、組成物充填部64(図6において点線で囲まれた部分)が除去されて、図7の構造を得る。図7は、基板(複合型基板)1と、この基板1の表面に配され、基板1における下層配線部41の上側表面に、組成物充填部65が接触してなる第2低誘電絶縁層14aと、組成物充填部65の上面よりも広い開口領域を有する、上層配線部用のトレンチ53と、第2低誘電絶縁層14a及び第3低誘電絶縁層16aの間に配されたエッチングストッパー膜71aとを備える概略断面図である。
この低誘電絶縁層工程においては、反応性イオンエッチング等の方法を適用することができ、上記エッチングストッパー膜75aの有無に関わらず、図6における組成物充填部64の一部を残存させ、トレンチ53が形成されるように、除去条件が選択される。
【0094】
その後、レジスト下層膜除去工程において、表面に残存しているレジスト下層膜、及び、上記組成物充填部(上記ビアにおける組成物充填部、上記トレンチにおける組成物充填部)が除去される。
このレジスト下層膜除去工程においては、プラズマアッシング等の方法を適用することができ、図7におけるレジスト下層膜62及び組成物充填部65が除去されて、下層配線部41の上側表面が露出し、図8の構造を得る。図8は、基板(複合型基板)1と、この基板1の表面に配され、基板1における下層配線部41の上側表面に、図7における組成物充填部65が除去されてなる孔部51を有する第2低誘電絶縁層14aと、この孔部(ビア)51よりも広い開口領域を有するトレンチ53と、第2低誘電絶縁層14a及び第3低誘電絶縁層16aの間に配されたエッチングストッパー膜71aとを備える概略断面図である。
【0095】
次いで、配線材料充填工程において、上記レジスト下層膜除去工程により形成されたトレンチ(ビアを含む)に配線材料が充填される。尚、この配線材料充填工程を行う前に、必要に応じて、図8に示される、孔部51の内表面、及び、トレンチ53の内表面に、TiN、Ta、TaN等を含むバリアメタル膜を形成する工程を備えてもよい。
上記配線材料充填工程においては、通常、スパッタリング、メッキ等が行われ、図8に示される孔部51及びトレンチ53が、銅等の配線材料で満たされる(図9参照)。図9は、配線材料充填工程が行われた結果、配線材料層43が形成された構造の一例であり、上記の孔部51及びトレンチ53が、配線材料で満たされており、配線材料層43が、エッチングストッパー膜75aの表面の一部又は全てを被覆したことを示す。
【0096】
本発明のデュアルダマシン構造の形成方法においては、上記配線材料充填工程の後、化学的機械研磨法等により、上記配線材料層43の表面を平滑化する研磨工程を備えることができる。この研磨工程においては、エッチングストッパー膜75aを除去してもよい。
【0097】
以上より、本発明によって、図10に示すような、下層配線部41と、この下層配線部41に接合された接続配線部45及び上層配線部47とを備える、デュアルダマシン構造を有する基板8を得ることができる。
尚、上記のように、配線材料充填工程を行う前に、図8に示される、孔部51の内表面、及び、トレンチ53の内表面に、バリアメタル膜(33,35)を形成した場合には、図11に示すようなデュアルダマシン構造を有する基板8’を得ることができる。
【0098】
上記デュアルダマシン構造は、ビアファーストにより形成されたものに限られず、トレンチファーストにより形成されたものとすることもできる。また、上記の各工程を繰り返すことにより、様々な多層配線構造を形成することができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例における「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
また、以下に示される重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)等の重量平均分子量(Mw)は、東ソー社製のGPCカラム(「TSK−GEL G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を連結して用い、流量:1.0ml/分、溶出溶剤:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(検出器:示差屈折計)により測定した。
【0100】
1.重合体(A)の合成
合成例1[重合体(A−1)の合成]
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、アセナフチレン8部、5−ヒドロキシメチルアセナフチレン4部、酢酸n−ブチル50部及びアゾビスイソブチロニトリル4部を仕込み、攪拌しつつ80℃で7時間重合した。その後、反応溶液を酢酸n−ブチル100部で希釈し、多量の水/メタノール(質量比=1/2)混合溶媒で有機層を洗浄した。次いで、溶媒を留去して、Mwが1,000の重合体(A−1)を得た。
【0101】
合成例2[重合体(A−2)の合成]
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、アセナフチレン7部、ビニルベンジルアルコール3部、1−メトキシ−2−プロパノール60部及び2,2−アゾビスイソ酪酸ジメチル2部を仕込み、攪拌しつつ80℃で4時間重合した。その後、反応溶液を酢酸n−ブチル100部で希釈し、多量の水/メタノール(質量比=1/2)混合溶媒で有機層を洗浄した。次いで、溶媒を留去して、Mwが1,500の重合体(A−2)を得た。
【0102】
合成例3[重合体(A−3)の合成]
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、2,7−ジヒドロキシナフタレン100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部及びパラホルムアルデヒド50部を仕込んだ。その後、蓚酸2部を添加し、脱水しながら120℃に昇温し、5時間反応させ、Mwが1,500の重合体(A−3)を得た。
【0103】
2.レジスト下層膜形成用組成物の調製及び評価
実施例1
上記重合体(A−1)10部と、界面活性剤(B)であるエアープロダクツ社製「サーフィノール465」(商品名、表1中「B−1」と示す)0.001部と、酸発生剤(D)であるビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(D−1)0.5部と、架橋剤(E)であるテトラブトキシメチルグリコールウリル(E−1、下記に構造を示す)0.5部とを、溶剤(C)である酢酸n−ブチル(C−1)89部に溶解し、混合溶液を得た。その後、この混合溶液を、孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過し、得られた濾液をレジスト下層膜形成用組成物とした。
【0104】
【化15】
【0105】
(1)埋め込み性の評価
得られたレジスト下層膜形成用組成物を、サイズ100nm、ピッチ1H/1.2S及び深さ1,000nmのビア、並びに、サイズ200nm、ピッチ1L/1S及び深さ1,000nmのトレンチラインが形成されたテトラエチルオルソシリケート(TEOS)の基板上に、スピンコートし、以下の方法により、ビア及びトレンチへの埋め込み性を評価した。
上記レジスト下層膜形成用組成物をスピンコートした後、塗膜付き基板を200℃で60秒間加熱した。これにより、TEOS基板の表面上に、膜厚300nmのレジスト下層膜を形成した。作製したレジスト下層膜について、ビア及びトレンチへの組成物の埋め込み状態を、走査型電子顕微鏡により観察した。組成物が、ビア及びトレンチに充填されていた場合(埋め込まれていた場合)を良好(「○」)とし、埋め込まれていなかった場合を不良(「×」)と判定した。
【0106】
実施例2〜15
表1に示す配合処方とした以外は、実施例1と同様にして、レジスト下層膜形成用組成物を調製し、評価を行った。尚、表1中の「B−2」は、JSR社製「ダイナフロー」(商品名)、「C−2」は1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、「E−2」は、n−ブチルエーテル化ヘキサメチロールメラミン、「E−3」テトラメトキシメチルグリコールウリル、「E−4」はメチロール化ヘキサメチロールメラミンである。
【0107】
【化16】
【化17】
【化18】
【0108】
比較例1〜9
表1に示す配合処方とした以外は、実施例1と同様にして、レジスト下層膜形成用組成物を調製し、各種評価を行った。尚、表1中の「B−3」は、大日本インキ社製「メガファックR−08」(商品名)、「B−4」は、旭硝子社製「サーフロンSC−103」(商品名)である。
【0109】
【表1】
【0110】
表1から明らかなように、実施例1〜15のレジスト下層膜形成用組成物により形成したレジスト下層膜は、ビア及びトレンチの両方に対して、埋め込み性に優れていた。一方、比較例1〜3のレジスト下層膜形成用組成物は、ビアへの埋め込み性は良好であったが、トレンチへの埋め込み性が不十分であった。また、フッ素含有界面活性剤であるB−3及びB−4をそれぞれ含有した例である、比較例4〜9は、ビアへの埋め込み性は良好であったが、トレンチへの埋め込み性が不十分であった。
【0111】
次に、実施例1〜15及び比較例1〜9の各レジスト下層膜形成用組成物により形成されるレジスト下層膜の各種評価を行うため、以下のように、ArF用ポジ型レジスト組成物を調製した。
【0112】
還流管を装着したセパラブルフラスコに、窒素気流下で、8−メチル−8−tert−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「単量体(イ)」という。)29部、8−メチル−8−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「単量体(ロ)」という。)10部、無水マレイン酸(以下、「単量体(ハ)」という。)18部、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジアクリレート4部、tert−ドデシルメルカプタン1部、アゾビスイソブチロニトリル4部及び1,2−ジエトキシエタン60部を仕込み、攪拌しつつ70℃で6時間重合した。その後、反応溶液を大量のn−ヘキサン/イソプロピルアルコール(質量比1/1)混合溶媒中に注いで、反応溶液中の樹脂を凝固させた。凝固した樹脂を上記混合溶媒で数回洗浄した後、真空乾燥して、上記単量体(イ)、(ロ)及び(ハ)のそれぞれに由来する構造単位(以下、(a1)、(a2)及び(a3)に示す)を有する樹脂を得た。収率は60%であった。尚、この樹脂は、上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)をモル比で64:18:18の割合で含み、Mwが27,000であった。
【化19】
【0113】
その後、得られた樹脂80部と、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート1.5部と、トリ−n−オクチルアミン0.04部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート533部に溶解して、ArF用レジスト組成物を調製した。
【0114】
(2)パターン転写性の評価
実施例1〜15及び比較例1〜9の各レジスト下層膜上に、3層レジストプロセス用中間層形成組成物溶液(商品名「NFC SOG302」、JSR社製)をスピンコートし、200℃のホットプレート上で60秒間加熱し、引き続き、300℃のホットプレート上で60秒間加熱して、膜厚0.05μmの中間層被膜を形成した。その後、中間層被膜上に、上記ArF用レジスト組成物をスピンコートし、130℃のホットプレート上で90秒間プレベークして、膜厚0.2μmのレジスト被膜を形成した。次いで、ArFエキシマレーザー露光装置(NIKON社製、レンズ開口数:0.78、露光波長:193nm)を用い、マスクパターンを介して、最適露光時間だけ露光した。その後、130℃のホットプレート上で90秒間ポストベークした後、濃度2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で1分間現像した。そして、水洗及び乾燥して、ArF用ポジ型レジストパターンを得た。このレジストパターンをマスクとし、中間被膜を加工した。次いで、加工した中間被膜をマスクとして、レジスト下層膜の加工を行った。その後、加工したレジスト下層膜をマスクとして、基板の加工を行った。
上記のようにして形成されたパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、実施例1〜15はいずれもパターン形状に不良は見当たらなかった。しかし、トレンチラインの埋め込み性が不良であった比較例1〜9では、パターンが倒れる、パターンが曲がる等の不良現象が観察された。
【0115】
(3)基板加工後のエッチング耐性
実施例1〜15及び比較例1〜9の各レジスト下層膜に対し、エッチング装置(型式名「EXAM」、神鋼精機社製)を使用して、CF4/Ar/O2(CF4:40mL/min、Ar:20mL/min、O2:5mL/min;圧力:20Pa;RFパワー:200W;処理時間:40秒;温度:15℃)でエッチング処理した。エッチング処理前後の膜厚を測定して、エッチングレートを算出し、エッチング耐性を評価したところ、実施例1〜15及び比較例1〜9のすべてにおいて、エッチングレートが150nm/min以下と良好であった。
【0116】
(4)基板加工後の剥離性
実施例1〜15及び比較例1〜9の各レジスト下層膜の剥離容易性を評価するため、上記ポジ型レジストパターンの形成に用いたレジスト下層膜のフッ化処理後の剥離性を以下の方法により評価した。スピンコート法によりレジスト下層膜を形成し、上記エッチング装置を用いて、CF4(CF4:100mL/min;圧力:30Pa;RFパワー:200W;処理時間:60秒;温度:15℃)でレジスト下層膜をフッ化処理し、その後、剥離処理としてアッシングによる剥離処理を行った。アッシング剥離性は、フッ化処理後の基板をNH3プラズマアッシング条件(圧力:0.1Torr、高周波電力:550W、NH3=150sccm、基板温度:20℃)でのアッシング処理前後のレジスト下層膜の膜厚を測定したところ、実施例1〜15及び比較例1〜9のすべてにおいて、剥離処理後5分未満に膜厚が0nmとなり、良好な剥離性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、基板に形成されているビア及びトレンチへの埋め込みに好適であり、所望のパターンに基づいた形成が容易であり、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を与える。従って、本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、デュアルダマシン構造を備える高集積回路の形成に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法に用いる積層基板の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法に用いる積層基板の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法に用いる積層基板の他の例を示す概略断面図である。
【図4】下層配線部を有する基板(複合型基板)の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明のレジスト下層膜形成用組成物を、図3の積層基板に対して用いた、本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明におけるレジスト下層膜形成工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明におけるレジストパターン転写工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明における低誘電絶縁層除去工程を示す概略断面図である。
【図8】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明におけるレジスト下層膜除去工程を示す概略断面図である。
【図9】本発明のデュアルダマシン構造の形成方法の説明における配線材料充填工程を示す概略断面図である。
【図10】本発明により得られたデュアルダマシン構造を有する基板の一例を示す概略断面図である。
【図11】本発明により得られたデュアルダマシン構造を有する基板の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0119】
1:基板(複合型基板)
11:基層
12:第1低誘電絶縁層
12a:第1低誘電絶縁層
14:第2低誘電絶縁層
14a:第2低誘電絶縁層
15:低誘電絶縁層
16:第3低誘電絶縁層
16a:第3低誘電絶縁層
16b:第3低誘電絶縁層
2、2’及び2":積層基板
31:バリアメタル層
33:バリアメタル層
35:バリアメタル層
41:下層配線部
43:配線材料層
45:接続配線部
47:上層配線部
51:孔部(ビア又はトレンチ)
52:孔部(ビア又はトレンチ)
53:トレンチ
6:レジスト下層膜
62:レジスト下層膜
64:組成物充填部
65:組成物充填部
71a:エッチングストッパー膜
75a:エッチングストッパー膜
8及び8’:デュアルダマシン構造を有する基板
9:フォトレジスト膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビアもしくはトレンチへの埋め込みに使用されるレジスト下層膜形成用組成物であって、(A)アリール基を有する重合体、(B)アセチレン基を有する界面活性剤、及び、(C)溶剤を含有することを特徴とするレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項2】
前記(A)重合体が、下記一般式(1)〜(4)で表される構造単位の群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【化1】
[式中、R1は、水素原子又は1価の有機基を示す。R2及びR3は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化2】
[式中、R4及びR5は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化3】
[式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。R7は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、又は、炭素数1〜6の置換可能なカルボニル基を示す。nは0又は1である。]
【化4】
[式中、R8は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、カルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、メチロール基、炭素数1〜6のアルコキシメチロール基を示す。nは0〜6の整数である。但し、nが2〜6のとき、複数のR8は同一でも異なっていてもよい。Xは、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。mは1〜8の整数である。mが2〜8のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。また、n+mは1〜8の整数である。]
【請求項3】
更に、(D)酸発生剤を含有する請求項2に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項4】
更に、(E)架橋剤を含有する請求項3に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項5】
前記架橋剤(E)が、下記一般式(5)で表される化合物、及び、下記一般式(6)で表される化合物のうちの少なくとも一方である請求項4に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【化5】
[式中、各R9は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n−ブチル基又はイソブチル基を示す。]
【化6】
[式中、各R10は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n−ブチル基又はイソブチル基を示す。]
【請求項6】
前記界面活性剤(B)が非イオン性である請求項1乃至5のいずれかに記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤(B)が、エチレンオキサイド部を含む化合物、アセチレンアルコール化合物、及び、アセチレングリコール化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項8】
ビアもしくはトレンチパターンが形成された低誘電絶縁膜を有する基板上に、請求項1〜7のいずれかに記載のレジスト下層膜用組成物を塗布し、レジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜上に配置され、レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンをエッチングにより前記レジスト下層膜に転写する工程と、
前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンが転写された前記レジスト下層膜をマスクとして用いて、前記レジスト下層膜の下に配置された低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写する工程と、
前記低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写した後、前記レジスト下層膜を除去する工程と、
を備えることを特徴とするデュアルダマシン構造の形成方法。
【請求項1】
ビアもしくはトレンチへの埋め込みに使用されるレジスト下層膜形成用組成物であって、(A)アリール基を有する重合体、(B)アセチレン基を有する界面活性剤、及び、(C)溶剤を含有することを特徴とするレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項2】
前記(A)重合体が、下記一般式(1)〜(4)で表される構造単位の群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【化1】
[式中、R1は、水素原子又は1価の有機基を示す。R2及びR3は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化2】
[式中、R4及びR5は、相互に独立して、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。]
【化3】
[式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜6の置換可能なアルキル基を示す。R7は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、又は、炭素数1〜6の置換可能なカルボニル基を示す。nは0又は1である。]
【化4】
[式中、R8は、水素原子、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、カルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、メチロール基、炭素数1〜6のアルコキシメチロール基を示す。nは0〜6の整数である。但し、nが2〜6のとき、複数のR8は同一でも異なっていてもよい。Xは、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。mは1〜8の整数である。mが2〜8のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。また、n+mは1〜8の整数である。]
【請求項3】
更に、(D)酸発生剤を含有する請求項2に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項4】
更に、(E)架橋剤を含有する請求項3に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項5】
前記架橋剤(E)が、下記一般式(5)で表される化合物、及び、下記一般式(6)で表される化合物のうちの少なくとも一方である請求項4に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【化5】
[式中、各R9は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n−ブチル基又はイソブチル基を示す。]
【化6】
[式中、各R10は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n−ブチル基又はイソブチル基を示す。]
【請求項6】
前記界面活性剤(B)が非イオン性である請求項1乃至5のいずれかに記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤(B)が、エチレンオキサイド部を含む化合物、アセチレンアルコール化合物、及び、アセチレングリコール化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項8】
ビアもしくはトレンチパターンが形成された低誘電絶縁膜を有する基板上に、請求項1〜7のいずれかに記載のレジスト下層膜用組成物を塗布し、レジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜上に配置され、レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンをエッチングにより前記レジスト下層膜に転写する工程と、
前記フォトレジスト膜の前記レジストパターンが転写された前記レジスト下層膜をマスクとして用いて、前記レジスト下層膜の下に配置された低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写する工程と、
前記低誘電絶縁膜に前記レジスト下層膜の前記レジストパターンを転写した後、前記レジスト下層膜を除去する工程と、
を備えることを特徴とするデュアルダマシン構造の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−251130(P2009−251130A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96629(P2008−96629)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】
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