説明

不揮発性半導体装置およびその製造方法

【課題】絶縁体に電荷を蓄える不揮発性メモリにおいて、データ保持特性を向上させることのできる技術を提供する。
【解決手段】メモリゲート電極MGと半導体基板1との間に介在する電荷蓄積層CSLをメモリゲート電極MGのゲート長または絶縁膜6t,6bの長さよりも短く形成して、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量(Lono)を40nm未満とする。これにより、書込み状態では、書き換えを繰り返すことによって生じるソース領域Srm上の電荷蓄積層CSLに蓄積される正孔が少なくなり、電荷蓄積層CSL中に局在する電子と正孔との横方向の移動が少なくなるので、高温保持した場合のしきい値電圧の変動を小さくすることができる。また、実効チャネル長を30nm以下にすると、しきい値電圧を決定する見かけ上の正孔が少なくなり、電荷蓄積層CSL中での電子と正孔との結合が少なくなるので、室温保持した場合のしきい値電圧の変動を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、窒化膜を電荷蓄積層とするMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)メモリセルまたはNROMメモリセル有する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリセルを論理用半導体装置と同一のシリコン基板上に混載することで、高機能の半導体装置を実現することが可能となる。それらは、組み込み型マイクロコンピュータとして、産業用機械、家電品、自動車搭載装置などに広く用いられている。一般的には、そのマイクロコンピュータが必要とするプログラムが、混載された不揮発性メモリに格納されており、随時、読み出されて使用される。
【0003】
現在実用化されている不揮発性メモリセルには、電荷の蓄積によりしきい値電圧が変化する記憶用電界効果型トランジスタが用いられている。記憶用電界効果型トランジスタの電荷保持方式には、電気的に孤立した導電体に電荷を蓄えるフローティングゲート方式(例えば特許文献1参照)と、窒化シリコン膜のような電荷を蓄積する性質をもつ絶縁体に電荷を蓄えるMONOS方式(例えば特許文献2参照)とがある。
【0004】
フローティングゲート方式は、電荷保持特性が良く、携帯電話向けのプログラム格納用フラッシュメモリまたはデータ格納用大容量フラッシュメモリなどに広く用いられている。しかし、微細化に伴いフローティングゲートの電位制御に必要な容量結合比の確保が難しくなり、メモリセル構造が複雑化している。また、保持電荷のリークを抑制するためにはフローティングゲートを取り囲む酸化膜の厚さを8nm以上とする必要があり、高速化、高集積化を目的とした微細化の限界が近づいている。導電体に電荷を蓄えるため、フローティングゲート周囲の酸化膜に1箇所でもリークパスとなる欠陥があると極端に電荷保持寿命が低下する。
【0005】
一方、MONOS方式は、一般的には電荷保持特性がフローティングゲート方式に比べて劣り、しきい値電圧は時間の対数で低下していく傾向にある。このため古くから知られた方式ではありながら一部の製品でのみ実用化されるに留まっていた。しかし、絶縁体に電荷を蓄える離散的記憶方式であるため、幾つかのリークパスがあっても全保持電荷が失われることがなく、絶縁体を取り囲む酸化膜欠陥に強いという利点を有する。従って、8nm以下の薄い酸化膜も適用可能で微細化に向くこと、低確率で起こる欠陥による極端な保持寿命低下がないため信頼性予測が容易なこと、メモリセル構造が単純で論理回路部と混載しやすいことなどから、近年、微細化の進展につれて再び注目されている。
【0006】
MONOS方式のメモリセルで最もシンプルなものとしてNROM構造(例えば特許文献3、特許文献4参照)がある。電界効果型トランジスタのゲート絶縁膜を酸化膜/窒化膜/酸化膜のONO膜構造に置き換えた構造であり、書込みにはCHE(Channel Hot Electron)方式を、消去にはバンド間トンネルによるBTBT(Band-To-Band Tunneling)方式を用いる。形成プロセスがシンプルなため微細化や論理回路部との混載に適している。
【0007】
これとは別に論理用回路部との混載に適したメモリセルとして、選択用電界効果型トランジスタとメモリ用電界効果型トランジスタからなるスプリットゲート型メモリセルが挙げられる。このメモリセルでは注入効率の良いSSI(Source Side Injection)方式を採用できるため書込みの高速化および電源部面積の低減が図れること、このメモリセルを選択するトランジスタおよびこれに接続するトランジスタを素子面積の小さい低圧系のトランジスタで構成できるため周辺回路の面積を低減できることから混載用途に適している。
【0008】
特に微細化に適したスプリットゲート型メモリセルとして、自己整合を利用して片方の電界効果型トランジスタをサイドウォールで形成する構造のメモリセルがある(例えば特許文献1参照)。この場合、フォトリソグラフィの位置合わせマージンが不要であること、自己整合で形成する電界効果型トランジスタのゲート長はフォトリソグラフィの最小解像寸法以下とできることから、選択用電界効果型トランジスタおよびメモリ用電界効果型トランジスタを各々フォトマスクで形成する従来のメモリセルに比べて、より微細なメモリセルを実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−121700号公報
【特許文献2】特開平5−48113号公報
【特許文献3】USP5768192号
【特許文献4】特願2002−352040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、スプリットゲート型メモリセルの書き換え(書込み/消去)耐性の向上およびデータ保持特性の向上等を図るため、メモリセルの構造を検討している。しかしながら、スプリットゲート型メモリセルの書き換え耐性については、以下に説明する種々の技術的課題が存在する。
【0011】
スプリットゲート型メモリセルを書込み状態で高温保持した場合は、メモリセルのしきい値電圧が保持時間の経過と共に徐々に減少するという問題がある。
【0012】
図44に、書込みをSSI方式、消去をBTBT方式で行い、10K回書き換えた後の書込み状態におけるメモリセルの高温保持特性の一例を示す。図44のグラフ図の横軸は、10K回書き換えた後にメモリセルを書込み状態とし、その書込み状態での経過時間であり、図44のグラフ図の縦軸は、メモリセルのしきい値電圧の変動量である。メモリセルの書込みおよび消去条件は、後述する図4に記載した条件と同じである。この書込みおよび消去条件でベリファイを行い、書込み判定を4V、消去判定を−1.8Vに設定して10K回書き換えを行い、書込み状態で高温保持した場合のしきい値電圧を測定した。しきい値電圧の変動は高温保持した場合がワーストケースになり、しきい値電圧が判定基準以下となると、正しい“0”、“1”判定ができなくなる。
【0013】
図44に示すように、メモリセルのしきい値電圧は高温保持の経過時間と共に徐々に減少する。この様なしきい値電圧の変動は単一の原因ではなく、電荷蓄積層中に局在して存在する電子と正孔とが横方向に移動して解消すること、電荷蓄積層界面の準位が回復すること、シリコン基板中の電子が電荷蓄積層中にデトラップされることなどを挙げることができる。
【0014】
図45に、各々の保持電圧をメモリゲート電極に印加して1時間高温保持した後のしきい値電圧の変動量を、0Vの保持電圧をメモリゲート電極に印加して1時間保持した後のしきい値電圧の変動量との相対比で示す。メモリゲート電極に印加される保持電圧によって加速される成分が、上記デトラップの成分である。図45に示すように、保持電圧が+3Vにおいてしきい値電圧の変動量の相対値が最も小さくなっており、この約93%の相対値が保持電圧によって加速されない成分、すなわちデトラップ以外の成分となる。従って、保持電圧が0Vでのしきい値電圧の変動量の約90%以上が、電荷蓄積層中に局在して存在する電子と正孔とが横方向に移動して解消する成分であると考えられる。
【0015】
さらに、スプリットゲート型メモリセルを消去状態で室温保持した場合は、メモリセルのしきい値電圧が保持時間の経過と共に徐々に増加するという問題がある。
【0016】
図46に、書込みをSSI方式、消去をBTBT方式で行い、10K回書き換えた後の消去状態におけるメモリセルの室温保持特性の一例を示す。図45のグラフ図の横軸は、10K回書き換えた後にメモリセルを消去状態とし、その消去状態での経過時間であり、図46のグラフ図の縦軸は、メモリセルのしきい値電圧の変動量である。メモリセルの書込みおよび消去条件は、後述する図4に記載した条件と同じである。この書込みおよび消去条件でベリファイを行い、書込み判定を4V、消去判定を−1.8Vに設定して10K回書き換えを行い、消去状態で室温保持した場合のしきい値電圧を測定した。
【0017】
図46に示すように、メモリセルのしきい値電圧は室温保持の経過時間と共に徐々に増加する。この様なしきい値電圧の変動の原因の一つとしては、書き換えによって生じたシリコン基板側の酸化膜の欠陥を介して、シリコン基板中に存在する電子が電荷蓄積層に注入され、注入された電子と正孔との電荷蓄積層中での結合が考えられる。シリコン基板の主面に垂直の方向の電界が強く加速されると、電子が注入されやすくなり、電子と正孔との結合が起こりやすくなる。
【0018】
本発明の目的は、絶縁体に電荷を蓄える不揮発性メモリにおいて、データ保持特性を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0021】
本発明の不揮発性半導体装置は、半導体基板の主面に下層絶縁膜、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積層および上層絶縁膜を下層から順次形成した積層構造の絶縁膜と、絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、ゲート電極の片側側面の下の半導体基板に形成されたソース領域とを含む電界効果型トランジスタを有し、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量を40nm未満とするものである。
【0022】
本発明の不揮発性半導体装置の製造方法は、電荷保持機能を備える電界効果型トランジスタを有する不揮発性半導体装置の製造方法であって、半導体基板の主面に下層絶縁膜、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積層および上層絶縁膜を下層から順次形成する工程と、上層絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の側面から電荷蓄積層を所定量エッチングする工程と、ゲート電極をマスクとして半導体基板に不純物をイオン注入し、ゲート電極の片側側面の下の半導体基板に不純物領域を形成する工程と、半導体基板に対して熱処理を施すことにより、不純物領域を活性化してソース領域を形成する工程とを含み、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量を40nm未満とするものである。
【0023】
本発明の不揮発性半導体装置の製造方法は、電荷保持機能を備える電界効果型トランジスタを有する不揮発性半導体装置の製造方法であって、半導体基板の主面に下層絶縁膜、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積層および上層絶縁膜を下層から順次形成する工程と、上層絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する工程と、ゲート電極およびサイドウォールをマスクとして半導体基板に不純物をイオン注入し、ゲート電極の片側側面の下の半導体基板に不純物領域を形成する工程と、半導体基板に対して熱処理を施すことにより、不純物領域を活性化してソース領域を形成する工程とを含み、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量を40nm未満とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0025】
MONOS型不揮発性メモリに代表される電荷蓄積膜を用いる不揮発性メモリにおいて、書込み状態で高温保持した場合のしきい値電圧の変動量が小さくなり、また消去状態で室温保持した場合のしきい値電圧の変動量が小さくなり、データ保持特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルを用いたアレー構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルを示す平面レイアウト図である。
【図3】本発明の実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルのチャネルをメモリゲート電極に対して交差する方向に沿って切断したメモリセルの要部断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1による書込み、消去および読み出し時におけるスプリットゲート型MONOSメモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例をまとめた表である。
【図5】本発明の実施の形態1による書込み方法を説明するためのスプリットゲート型MONOSメモリセルの要部断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1による消去方法を説明するためのスプリットゲート型MONOSメモリセルの要部断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの一部を拡大した要部断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1による10K回書き換えた後の書き込み状態におけるスプリットゲート型MONOSメモリセルの高温保持特性を示すグラフ図である。
【図9】本発明の実施の形態1による10K回書き換えた後のスプリットゲート型MONOSメモリセルの室温消去特性を示すグラフ図である。
【図10】本発明の実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの製造工程中の要部断面図である。
【図11】図10に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図12】図11に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図13】図12に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図14】図13に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図15】図14に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図16】図15に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図17】本発明の実施の形態1による電荷蓄積層のエッチング量とエッチング時間との関係を示すグラフ図である。
【図18】図16に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図19】図18に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図20】図19に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図21】図20に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図22】図21に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図23】図22に続くメモリセルの製造工程中の図10と同じ箇所の要部断面図である。
【図24】本発明の実施の形態2によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの製造工程中の要部断面図である。
【図25】図24に続くメモリセルの製造工程中の図24と同じ箇所の要部断面図である。
【図26】図25に続くメモリセルの製造工程中の図24と同じ箇所の要部断面図である。
【図27】図26に続くメモリセルの製造工程中の図24と同じ箇所の要部断面図である。
【図28】図27に続くメモリセルの製造工程中の図24と同じ箇所の要部断面図である。
【図29】図28に続くメモリセルの製造工程中の図24と同じ箇所の要部断面図である。
【図30】本発明の実施の形態2による10K回書き換えた後の書き込み状態におけるメモリセルの高温保持特性を示すグラフ図である。
【図31】本発明の実施の形態3によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの第1例の製造工程中の要部断面図である。
【図32】図31に続くメモリセルの製造工程中の図31と同じ箇所の要部断面図である。
【図33】本発明の実施の形態3によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの第2例の製造工程中の要部断面図である。
【図34】図33に続くメモリセルの製造工程中の図33と同じ箇所の要部断面図である。
【図35】本発明の実施の形態3による10K回書き換えた後の消去状態におけるメモリセルの室温保持特性を示すグラフ図である。
【図36】本発明の実施の形態4によるNROMメモリセルの第1例の製造工程中の要部断面図である。
【図37】図36に続くメモリセルの製造工程中の図36と同じ箇所の要部断面図である。
【図38】図37に続くメモリセルの製造工程中の図36と同じ箇所の要部断面図である。
【図39】図38に続くメモリセルの製造工程中の図36と同じ箇所の要部断面図である。
【図40】図39に続くメモリセルの製造工程中の図36と同じ箇所の要部断面図である。
【図41】本発明の実施の形態4による書込み、消去および読み出し時におけるNROMメモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例をまとめた表である。
【図42】本発明の実施の形態4によるNROMメモリセルの第2例の製造工程中の要部断面図である。
【図43】図42に続くメモリセルの製造工程中の図42と同じ箇所の要部断面図である。
【図44】書込みをSSI方式、消去をBTBT方式で行い、10K回書き換えた後の書込み状態におけるメモリセルの高温保持特性の一例を示すグラフ図である。
【図45】各々の保持電圧をメモリゲート電極に印加して1時間高温保持した後のしきい値電圧の変動量を、0Vの保持電圧をメモリゲート電極に印加して1時間保持した後のしきい値電圧の変動量との相対比で示すグラフ図である。
【図46】書込みをSSI方式、消去をBTBT方式で行い、10K回書き換えた後の消去状態におけるメモリセルの室温保持特性の一例を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0028】
また、本実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、本実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、本実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0029】
また、本実施の形態においては、電界効果トランジスタを代表するMIS・FET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をMISと略し、nチャネル型のMIS・FETをnMISと略す。なお、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)は、そのゲート絶縁膜が酸化シリコン(SiO等)膜からなる構造の電界効果トランジスタであり、上記MISの下位概念に含まれるものとする。また、本実施の形態で記載するMONOS型メモリセルについても、上記MISの下位概念に含まれることは勿論である。また、本実施の形態において、窒化シリコン、窒化ケイ素またはシリコンナイトライドというときは、Siは勿論であるが、それのみではなく、シリコンの窒化物で類似組成の絶縁膜を含むものとする。また、本実施の形態において、ウエハと言うときは、Si(Silicon)単結晶ウエハを主とするが、それのみではなく、SOI(Silicon On Insulator)ウエハ、集積回路をその上に形成するための絶縁膜基板等を指すものとする。その形も円形またはほぼ円形のみでなく、正方形、長方形等も含むものとする。
【0030】
また、本実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの構造の一例を図1〜図3を用いて説明する。図1はスプリットゲート型MONOSメモリセルを用いたアレー構成図、図2はスプリットゲート型MONOSメモリセル示す平面レイアウト図、図3はチャネルをメモリゲート電極に対して交差する方向に沿って切断したメモリセルの要部断面図である。
【0032】
図1および図2に示すように、ワード線には、メモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MG用のワード線MG1,MG2と選択用nMIS(Qnc)の選択ゲート電極CG用のワード線CG1,CG2,CG3,CG4との2種類があり、これらは平行して第1方向に延びている。ソース線SL1,SL2はワード線と平行して第1方向に延びており、各メモリセルのメモリゲート電極MGに隣接し、対向するメモリセルと共有するソース領域に接続している。また、ビット線BL1,BL2は第1方向に延在するワード線に対して交差する方向である第2方向に延びており、各メモリセルの選択ゲート電極CGに隣接するドレイン領域に接続している。単位メモリセルMCは、図2中において点線で囲まれた領域にあたり,素子分離部SGIにより隣接するメモリセルと電気的に絶縁されている。
【0033】
図3に示すように、半導体基板1は、例えばp型の単結晶シリコンからなり、その主面(デバイス形成面)の活性領域には本実施の形態1によるメモリセルMC1の選択用nMIS(Qnc)とメモリ用nMIS(Qnm)とが配置されている。このメモリセルMC1のドレイン領域Drmおよびソース領域Srmは、例えば相対的に低濃度のn型の半導体領域2ad,2asと、そのn型の半導体領域2ad,2asよりも不純物濃度の高い相対的に高濃度のn型の半導体領域2bとを有している(LDD(Lightly Doped Drain)構造)。n型の半導体領域2ad,2asは、メモリセルMC1のチャネル領域側に配置され、n型の半導体領域2bは、メモリセルMC1のチャネル領域側からn型の半導体領域2ad,2as分だけ離れた位置に配置されている。
【0034】
このドレイン領域Drmとソース領域Srmとの間の半導体基板1の主面上には、上記選択用nMIS(Qnc)の選択ゲート電極CGと、上記メモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MGとが隣接して延在しており、その延在方向において複数のメモリセルMC1は半導体基板1に形成された素子分離部SGIを介して隣接している。選択ゲート電極CGは半導体基板1の主面の第1領域に配置され、メモリゲート電極MGは半導体基板1の主面の第1領域とは異なる第2領域に配置されている。選択ゲート電極CGは、例えばn型の多結晶シリコン膜からなり、その不純物濃度は、例えば2×1020cm−3程度、そのゲート長は、例えば100〜200nm程度である。メモリゲート電極MGは、例えばn型の多結晶シリコン膜からなり、その不純物濃度は、例えば2×1020cm−3程度、そのゲート長は、例えば50〜150nm程度である。
【0035】
選択ゲート電極CGと、メモリゲート電極MGと、ソース領域Srmおよびドレイン領域Drmの一部を構成するn型の半導体領域2bの上面には、例えばコバルトシリサイド、ニッケルシリサイド、チタンシリサイド等のようなシリサイド層3が形成されている。MONOS型メモリセルでは、選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの双方に電位を供給する必要があり、その動作速度は選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの抵抗値に大きく依存する。従ってシリサイド層3を形成することにより選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの低抵抗化を図ることが望ましい。シリサイド層3の厚さは、例えば20nm程度である。
【0036】
選択ゲート電極CGと半導体基板1の主面との間には、例えば厚さ1〜5nm程度の薄い酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜4が設けられている。従って素子分離部SGI上およびゲート絶縁膜4を介した半導体基板1の第1領域上に選択ゲート電極CGが配置されている。このゲート絶縁膜4の下方の半導体基板1の主面には、例えばボロンが導入されてp型の半導体領域5が形成されている。この半導体領域5は、選択用nMIS(Qnc)のチャネル形成用の半導体領域であり、この半導体領域5により選択用nMIS(Qnc)のしきい値電圧が所定の値に設定されている。
【0037】
メモリゲート電極MGは選択ゲート電極CGの側壁の片側に設けられており、絶縁膜6b、電荷蓄積層CSLおよび絶縁膜6tを積層した電荷保持用絶縁膜(以下、絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLと記す)により選択ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの絶縁がなされている。また、絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLを介した半導体基板1の第2領域上にメモリゲート電極MGが配置されている。なお、図3では絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLの表記を6b/CSL/6tとして表現している。
【0038】
電荷蓄積層CSLは、その上下を絶縁膜6b,6tに挟まれた状態で設けられており、例えば窒化シリコン膜からなり、その厚さは、例えば5〜20nm程度である。窒化シリコン膜は、その膜中に離散的なトラップ準位を有し、このトラップ準位に電荷を蓄積する機能を有する絶縁膜である。絶縁膜6b,6tは、例えば酸化シリコン膜等からなり、絶縁膜6bの厚さは、例えば1〜10nm程度、絶縁膜6tの厚さは、例えば5〜15nm程度である。絶縁膜6b,6tは窒素を含んだ酸化シリコン膜で形成することもできる。
【0039】
さらに、メモリゲート電極MGと半導体基板1との間に介在する電荷蓄積層CSLが、メモリゲート電極MGのゲート長または絶縁膜6t,6bの長さよりも短く形成されており、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量が所定の値となるように制御されている。本実施の形態1において説明されるメモリセルMC1の特徴は、メモリゲート電極MGと半導体基板1との間に介在する電荷蓄積層CSLの長さを、メモリゲート電極MGのゲート長または絶縁膜6t,6bの長さよりも短くして、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量を所定の値とすることにある。後に、この電荷蓄積層CSLを含むメモリセルMC1の主な各部位の寸法および書き換え(書込み/消去)特性については図7〜図9を用いて、この電荷蓄積層CSLを含むメモリセルMC1の製造方法については図10〜図23を用いて詳細に説明する。
【0040】
上記絶縁膜6bの下方、p型の半導体領域5とソース領域Srmとの間の半導体基板1の主面には、例えばヒ素またはリンが導入されてn型の半導体領域7が形成されている。この半導体領域7は、メモリ用nMIS(Qnm)のチャネル形成用の半導体領域であり、この半導体領域7によりメモリ用nMIS(Qnm)のしきい値電圧が所定の値に設定されている。ドレイン領域Drmには、コンタクトホールCNTに埋め込まれたプラグPLGを介して、第1方向に延在するメモリゲート電極MG(または選択ゲート電極CG)に対して交差する方向である第2方向に延在する第1層配線M1が接続されている。この配線M1が、各メモリセルMC1のビット線BL1,BL2を構成している。
【0041】
次に、本実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの書込み、消去および読み出し方法について図4〜図6を用いて説明する。
【0042】
図4に、書込み、消去および読み出し時におけるメモリセルMC1の各部位への電圧の印加条件の一例を示す。図4には、前述したメモリセルMC1のドレイン領域Drmに印加する電圧Vd、選択ゲート電極CGに印加する電圧Vcg、メモリゲート電極MGに印加する電圧Vmg、ソース領域Srmに印加する電圧Vsおよび半導体基板1に印加する電圧Vsubが記載されている。なお、図4に示した電圧は印加条件の一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。また、本実施の形態1では、電荷蓄積層CSLへの電子の注入を「書込み」、正孔の注入を「消去」と定義する。
【0043】
図5に、書込み方法を説明するためのメモリセルMC1の要部断面図を示す。書込み方法は、SSI方式と呼ばれる電子(ホットエレクトロン)のソースサイド注入方式を用いることができる。例えばメモリセルMC1の各部位に図4に示す各電圧を印加し、メモリセルMC1の電荷蓄積層CSL中に電子を注入する。電子は、2つのゲート電極(メモリゲート電極MGおよび選択ゲート電極CG)間の下のチャネル領域(ソース領域Srmとドレイン領域Drmとの間)で発生し、メモリゲート電極MG下の電荷蓄積層CSLの選択用nMIS(Qnc)側の領域に局所的に電子が注入される。注入された電子は、電荷蓄積層CSLのトラップに離散的に捕獲され、その結果、メモリ用nMIS(Qnm)のしきい値電圧が上昇する。
【0044】
図6に、消去方法を説明するためのメモリセルMC1の要部断面図を示す。消去方法は、BTBT方式を用いることができる。例えばメモリセルMC1の各部位に前記図4に示す各電圧を印加し、バンド間トンネル現象により発生した正孔を電界加速することで、電荷蓄積層CSLに注入して消去を行う。これによって、メモリ用nMIS(Qnm)のしきい値電圧を低下させる。
【0045】
読出し時には、例えば前記図4の「Read」の欄に示される電圧を、読出しを行うメモリセルMC1の各部位に印加する。読出し時のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを、書込み状態におけるメモリ用nMIS(Qnm)のしきい値電圧と消去状態におけるメモリ用nMIS(Qnm)のしきい値電圧との間の値として、ドレイン領域Drmに流れる電流を測定し、この電流の大小により書込み状態と消去状態とを判別することができる。
【0046】
次に、本実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルMC1の主な各部位の寸法および書き換え(書込み・消去)特性について図7〜図9を用いて詳細に説明する。図7はメモリセルの一部を拡大した要部断面図、図8は10K回書き換えた後の書き込み状態におけるメモリセルの高温保持特性を示すグラフ図、図9は10K回書き換えた後のメモリセルの室温消去特性を示すグラフ図である。
【0047】
本実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルが、従来のスプリットゲート型MONOSメモリセルと異なる点は、メモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MGと半導体基板1との間に介在する電荷蓄積層CSLをメモリゲート電極MGのゲート長または絶縁膜6t,6bの長さよりも短く形成して、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量を所定の値となるように制御することにある。書込み状態で高温保持した場合のしきい値電圧の変動は、電荷蓄積層CSL中に局在する電子と正孔とが横方向に移動して解消するのが主な成分であると考えられ、書き換えを繰り返すことによって生じるソース領域Srm上の電荷蓄積層CSLに蓄積される正孔そのものを少なくすることにより、小さくすることができる。従って、電荷蓄積層CSLを短く形成することにより、ソース領域Srmと電荷蓄積層CSLのオーバーラップ量が短くなって、しきい値電圧の変動を小さくすることができる。
【0048】
図7に示すように、メモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MGと半導体基板1との間には、絶縁膜6t,6bおよび電荷蓄積層CSLが介在している。電荷蓄積層CSLは、電荷蓄積層CSLと半導体基板1に形成されたソース領域Srmとオーバーラップしているが、メモリゲート電極MGのゲート長(Lg)および絶縁膜6t,6bよりも短く形成されている。そのオーバーラップ量(Lono)は、例えば電荷蓄積層CSLのエッチング量(Let)、ソース領域Srmの一部を構成するn型の半導体領域2asの濃度プロファイル等によって決まる。しかし、n型の半導体領域2asの形状は、データ保持特性以外のメモリセルMC1の動作特性にも影響を及ぼすため、データ保持特性を確保するためだけにn型の半導体領域2asの形成条件を設定することが難しいことから、オーバーラップ量(Lono)は、主として、電荷蓄積層CSLのエッチング量(Let)によって制御する。
【0049】
図8に、10K回書き換えた後に、さらに書込み状態で1時間高温保持した場合のメモリセルのしきい値電圧の変動量と、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量との関係を示す。10K回の書き換えは、前記図4に示した書込み条件および消去条件を採用している。電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量は、電荷蓄積層のエッチング量によって調節している。また、例えば混酸OJ(HF:NHF:CHCOOH=2.1%:28.6%:23.6%)で10秒間処理し、ポリステイン(フッ酸:硝酸=1:200)で5秒間処理した後に白金を蒸着した試料をSEM(Scanning Electron Microscope)観察することによって、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量を測定した。
【0050】
図8に示すように、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量が40nm未満の場合は、オーバーラップ量が小さくなるに従い、しきい値電圧の変動量が小さくなる。これは、オーバーラップ量が小さくなると、電荷蓄積層CSLへ注入される正孔の増加量が徐々に少なくなり、電荷蓄積層CSL中に局在する電子と正孔との横方向の移動が少なくなると考えられる。なお、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量が40nm以上の場合は、BTBT方式ではソース領域Srm上に正孔が到達しなくなるのでしきい値電圧の変動はほとんど変わらない。
【0051】
図9に、10K回書き換えた後に、室温状態でしきい値電圧が消去判定電圧(−1.8V)に達するまでの消去時間と、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量との関係を示す。10K回の書き換えは、前記図4に示した書込み条件および消去条件を採用しており、試料の作製方法および測定方法等は、前記図8の説明に記載したものと同様である。
【0052】
図9に示すように、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量が小さくなるに従い、消去時間は遅くなり、オーバーラップ量が25nmよりも小さくなると急激に消去時間が遅くなることがわかる。
【0053】
前記図8に示した書込み状態で高温保持した場合のメモリセルのしきい値電圧の変動および前記図9に示した10K回書き換えた後のメモリセルの室温消去時間から、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量は、例えば40nm未満が適切な範囲と考えられる(他の条件によってはこの範囲に限定されないことはもとよりである)。また、量産に適した範囲としては10〜30nmが考えられるが、さらに25nmを中心値とする範囲が最も好適と考えられる。例えばメモリゲート電極MGのゲート長(Lg)を80nm、メモリゲート電極MGとソース領域Srmとのオーバーラップ量(Lso)を50nm、メモリゲート電極MGの実効チャネル長(Lch)を30nm、電荷蓄積層CSLのエッチング量(Let)を20〜40nm、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量(Lono)を10〜30nmとするメモリセルMC1を構成することができる。
【0054】
次に、本実施の形態1によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの製造方法の一例を図10〜図23を用いて説明する。図10〜図16、図18〜図23は、半導体装置の製造工程中にけるメモリセルの要部断面図であり、前記図3に示したメモリセルの要部断面図と同じ箇所を示し、図17は、電荷蓄積層のエッチング量とエッチング時間との関係を示すグラフ図である。
【0055】
まず、例えば1〜10Ω・cm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンからなる半導体基板(この段階では半導体ウエハと称する平面略円形状の半導体の薄板)1を準備する。続いて半導体基板1の主面に、例えば溝型の素子分離部SGIおよびこれに取り囲まれるように配置された活性領域等を形成する。すなわち半導体基板1の所定箇所に分離溝を形成した後、半導体基板1の主面上に、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜を堆積し、さらにその絶縁膜が分離溝内のみに残されるように絶縁膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等によって研磨することで、素子分離部SGIを形成する。
【0056】
次に、図10に示すように、半導体基板1の所定部分に所定の不純物を所定のエネルギーで選択的にイオン注入法等によって導入することにより、埋め込みnウェルNWおよびpウェルPWを形成する。続いて半導体基板1の主面にp型不純物、例えばボロンをイオン注入することにより、選択用nMIS(Qnc)のチャネル形成用のp型の半導体領域5を形成する。この時のp型不純物イオンの打ち込みエネルギーは、例えば20KeV程度、ドーズ量は、例えば1.5×1013cm−2程度である。
【0057】
次に、半導体基板1に対して酸化処理を施すことにより、半導体基板1の主面に、例えば酸化シリコン膜からなる厚さ1〜5nm程度のゲート絶縁膜4を形成する。続いて、半導体基板1の主面上に、例えば2×1020cm−3程度の不純物濃度を有する多結晶シリコン膜からなる第1導体膜を堆積する。この第1導体膜はCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成され、その厚さは、例えば150〜250nm程度を例示することができる。続いて、レジストパターンをマスクとして上記第1導体膜を加工することにより、選択ゲート電極CGを形成する。選択ゲート電極CGのゲート長は、例えば100〜200nm程度である。
【0058】
次に、図11に示すように、選択ゲート電極CGおよびレジストパターンをマスクとして、半導体基板1の主面にn型不純物、例えばヒ素またはリンをイオン注入することにより、メモリ用nMISのチャネル形成用のn型の半導体領域7を形成する。この時のn型不純物イオンの打ち込みエネルギーは、例えば25keV程度、ドーズ量は、例えば6.5×1012cm−2程度である。
【0059】
次に、半導体基板1の主面上に、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜6b、窒化シリコン膜からなる電荷蓄積層CSLおよび酸化シリコン膜からなる絶縁膜6tを順次堆積する。絶縁膜6bは熱酸化法により形成され、その厚さは、例えば1〜10nm程度、電荷蓄積層CSLはCVD法により形成され、その厚さは、例えば5〜20nm程度、絶縁膜6tはCVD法により形成され、その厚さは、例えば5〜15nm程度を例示することができる。従って、絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLの厚さは、例えば11〜45nm程度となる。絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLは、電荷保持機能に加えて、後に形成されるメモリ用nMIS(Qnm)のゲート絶縁膜としても機能する。また、絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLは、下層および上層のポテンシャル障壁高さに比べて、中間層のポテンシャル障壁高さが低いという特性を有している。
【0060】
絶縁膜6tは、例えば電荷蓄積層CSLの上層部分を熱酸化することにより形成してもよく、高耐圧膜を形成することができる。この場合、電荷蓄積層CSLの堆積膜厚は、上記値よりも厚くすればよい。また、絶縁膜6tは、電荷蓄積層CSLの上層部分の熱酸化のみで形成できるが、絶縁膜6tの成長速度(窒化シリコン膜の熱酸化による酸化シリコン膜の成長速度)は比較的遅いので、例えば6nm程度の厚さの酸化シリコン膜を電荷蓄積層CSL上に堆積した後、電荷蓄積層CSLの上層部分を、例えば1nm程度酸化して全厚さを7nm程度とする絶縁膜6tを形成してもよく、これによっても高耐圧膜を形成することができる。
【0061】
絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLを構成する各膜(絶縁膜6b、電荷蓄積層CSLおよび絶縁膜6t)の構成は、製造する半導体装置の使用方法によって変わるため、ここでは代表的な構成および値のみを例示しているが、上記構成および値に限定されるものではない。
【0062】
次に、図12に示すように、半導体基板1の主面上に、例えば2×1020cm−3程度の不純物濃度を有する多結晶シリコン膜からなる第2導体膜8aを堆積する。この第2導体膜8aはCVD法により形成され、その厚さは、例えば50〜150nm程度を例示することができる。
【0063】
次に、図13に示すように、上記第2導体膜8aを異方性のドライエッチング法でエッチバックすることにより、選択ゲート電極CGの両側面に絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLを介してサイドウォール8を形成する。図示は省略するが、レジストパターンをマスクとして第2導体膜8aを加工し、後にメモリゲート電極に接続するコンタクトホールを形成する領域に引き出し部を形成しておく。また、このサイドウォール8の形成工程では、絶縁膜6tをエッチングストッパ層として第2導体膜8aがエッチバックされるが、エッチバックにより絶縁膜6tおよびその下の電荷蓄積層CSLがダメージを受けて損傷しないように、低ダメージのエッチング条件を設定することが望ましい。絶縁膜3tおよび電荷蓄積層CSLが損傷すると、電荷保持特性が劣化するなどのメモリセルの特性劣化が生じることになる。
【0064】
次に、図14に示すように、レジストパターンをマスクとして、そこから露出するサイドウォール8をエッチングして、選択ゲート電極CGの側壁の片側のみに、サイドウォール8からなるメモリゲート電極MGを形成する。メモリゲート電極MGのゲート長は、例えば50〜150nm程度である。
【0065】
メモリゲート電極MGのゲート長は、第2導体膜8aの堆積膜厚によって決めることが可能であることから、第2導体膜8aの堆積膜厚を調整することにより、メモリゲート電極MGのゲート長を調整する。例えば第2導体膜8aの堆積膜厚を薄くすればメモリゲート電極MGのゲート長を短くすることができ、第2導体膜8aの堆積膜厚を厚くすればメモリゲート電極MGのゲート長を長くすることができる。トレードオフの関係を有するメモリセルMC1のチャネル制御性と書込み・消去特性とから、第2導体膜8aの堆積膜厚は50〜150nm程度とすることが望ましい。さらに、選択ゲート電極CGのゲート長を200nm程度とした場合は、第2導体膜8aの堆積膜厚は50〜100nm程度とすることが望ましい。これにより、メモリゲート電極MGのゲート長は50〜100nm程度とすることができる。
【0066】
次に、図15に示すように、選択ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間および半導体基板1とメモリゲート電極MGとの間の絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLを残して、その他の領域の絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLを選択的にエッチングする。
【0067】
次に、図16に示すように、電荷蓄積層CSLとソース領域とのオーバーラップ量を調整するために、電荷蓄積層CSLを等方性のウエットエッチング法でサイドエッチングする。例えば電荷蓄積層CSLは160℃程度の熱リン酸を用いてエッチングすることができ、エッチング量はエッチング時間によって制御される。図17に、電荷蓄積層(窒化シリコン膜)のエッチング量とエッチング時間との関係を示す。エッチング時間に対してエッチング量は比例しており、電荷蓄積層のエッチング量がエッチング時間によって制御可能であることがわかる。
【0068】
次に、図18に示すように、その端部が選択ゲート電極CGの上面に位置してメモリゲート電極MGと反対側の選択ゲート電極CGの一部を覆うレジストパターンを形成した後、選択ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびレジストパターンをマスクとしてn型不純物、例えばヒ素を半導体基板1の主面にイオン注入することにより、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2asをメモリゲート電極MGに対して自己整合的に形成する。この時の不純物イオンの打ち込みエネルギーは、例えば5keV程度、ドーズ量は、例えば1×1015cm−2程度である。
【0069】
次に、その端部が選択ゲート電極CGの上面に位置してメモリゲート電極MG側の選択ゲート電極CGの一部およびメモリゲート電極MGを覆うレジストパターンを形成した後、選択ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびレジストパターンをマスクとしてn型不純物、例えばヒ素を半導体基板1の主面にイオン注入することにより、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2adを選択ゲート電極CGに対して自己整合的に形成する。この時のn型不純物イオンの打ち込みエネルギーは、例えば7keV程度、ドーズ量は、例えば1×1015cm−2である。
【0070】
ここでは、先にn型の半導体領域2asを形成し、その後n型の半導体領域2adを形成したが、先にn型の半導体領域2adを形成し、その後n型の半導体領域2asを形成してもよく、同時にn型の半導体領域2as,2adを形成してもよい。また、n型の半導体領域2adを形成するn型不純物のイオン注入に続いて、p型不純物、例えばボロンを半導体基板1の主面にイオン注入し、n型の半導体領域2as,2adの下部を囲むようにp型の半導体領域を形成してもよい。p型不純物イオンの打ち込みエネルギーは、例えば20keV程度、ドーズ量は、例えば2.5×1013cm−2である。
【0071】
本実施の形態1によるメモリセルMC1では、消去時には、n型の半導体領域2asの端部で、いわゆるバンド間トンネル現象を利用して正孔を生成する。この現象による正孔生成効率は、n型の半導体領域2as側の不純物濃度(不純物の電荷密度)に依存し、正孔の生成に適した不純物濃度がある。そこで、n型の半導体領域2asを形成する際に、ヒ素と共に、例えばリンを1×1013〜1×1014cm−2のドーズ量でイオン注入して、ヒ素により形成される不純物領域の脇(端部)に正孔の生成に適した不純物濃度領域を形成する。すなわち、イオン注入されたヒ素とリンとでは、リンがヒ素よりも横方向(半導体基板1の主面に平行な方向)に拡散しやすいので、低不純物濃度の領域がn型の半導体領域2asの端部に形成される。これにより、効率よく正孔を生成することができる。
【0072】
次に、図19に示すように、半導体基板1の主面上に、例えば酸化シリコン膜からなる厚さ80nm程度の絶縁膜をプラズマCVD法により堆積した後、これを異方性のドライエッチング法でエッチバックすることにより、選択ゲート電極CGの片側面およびメモリゲート電極MGの片側面にそれぞれサイドウォール9を形成する。サイドウォール9のスペーサ長は、例えば60nm程度である。これにより、選択ゲート電極CGと半導体基板1との間のゲート絶縁膜6の露出していた側面、ならびにメモリゲート電極MGと半導体基板1との間の絶縁膜6b,6tおよび電荷蓄積層CSLの露出していた側面をサイドウォール9によって覆うことができる。
【0073】
次に、図20に示すように、サイドウォール9をマスクとしてn型不純物、例えばヒ素およびリンを半導体基板1の主面にイオン注入することにより、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2bを選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに対して自己整合的に形成する。この時のn型不純物イオンの打ち込みエネルギーは、例えば50keV程度、ドーズ量は、例えば4×1015cm−2、リンイオンの打ち込みエネルギーは、例えば40keV程度、ドーズ量は、例えば5×1013cm−2である。これにより、n型の半導体領域2adおよびn型の半導体領域2bからなるドレイン領域Drm、n型の半導体領域2asおよびn型の半導体領域2bからなるソース領域Srmが形成される。
【0074】
次に、図21に示すように、半導体基板1に対して熱処理を施して、ソース領域Srmをメモリゲート電極MG下に伸ばすことにより、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量を決定する。例えば半導体基板1に1000℃のスパイクアニールを10秒施すことにより、50nm程度ソース領域Srmを伸ばすことができる。
【0075】
次に、図22に示すように、選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの上面、ならびにn型の半導体領域2bの上面に、例えばコバルトシリサイド(CoSi)層10を自己整合法、例えばサリサイド(Salicide:Self Align silicide)プロセスにより形成する。まず、半導体基板1の主面上にスパッタリング法によりコバルト膜を堆積する。続いて、半導体基板1にRTA(Rapid Thermal Anneal)法を用いた熱処理を施すことにより、コバルト膜と選択ゲート電極CGを構成する多結晶シリコン膜およびメモリゲート電極MGを構成する多結晶シリコン膜、コバルト膜と半導体基板1(n型の半導体領域2b)を構成する単結晶シリコンとを反応させてコバルトシリサイド層10を形成する。その後、未反応のコバルト膜を除去する。コバルトシリサイド層10を形成することにより、コバルトシリサイド層10と、その上部に形成されるプラグ等との接触抵抗を低減することができ、また選択ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ソース領域Srmおよびドレイン領域Drm自身の抵抗を低減することができる。
【0076】
次に、図23に示すように、半導体基板1の主面上に、例えば窒化シリコン膜11aおよび酸化シリコン膜11bからなる層間絶縁膜11をCVD法により形成する。続いて層間絶縁膜11にコンタクトホールCNTを形成した後、コンタクトホールCNT内にプラグPLGを形成する。プラグPLGは、例えばチタンおよび窒化チタンの積層膜からなる相対的に薄いバリア膜と、そのバリア膜に包まれるように形成されたタングステンまたはアルミニウム等からなる相対的に厚い導体膜とを有している。その後、層間絶縁膜11上に、例えばタングステン、アルミニウムまたは銅等からなる第1層配線M1を形成することによって、前記図3に示したメモリセルMC1が略完成する。これ以降は、通常の半導体装置の製造工程を経て、半導体装置を製造する。
【0077】
このように、本実施の形態1によれば、メモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MGと半導体基板1との間に介在する電荷蓄積層CSLを、メモリゲート電極MGのゲート長または電荷蓄積層CSLの上下に位置する絶縁膜6b,6tよりも短く形成し、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量を40nm未満(望ましい範囲としては10〜30nm)とすることにより、書き込み状態でメモリセルMC1を高温保持した場合のしきい値電圧の変動量を小さくすることができる。これにより、スプリットゲート型MONOSメモリセルMC1のデータ保持特性を向上させることができる。
【0078】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量を制御することのできる前述した実施の形態1とは異なる構造を有するスプリットゲート型MONOSメモリセルの一例を説明する。本実施の形態2によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの製造方法を図24〜図30を用いて説明する。図24〜図29は半導体装置の製造工程中にけるメモリセルの要部断面図、図30は10K回書き換えた後の書き込み状態におけるメモリセルの高温保持特性を示すグラフ図である。本実施の形態2であるスプリットゲート型MONOSメモリセルのアレー構成および動作条件は、前述した実施の形態1と同一である。なお、選択用nMIS(Qnc)の選択ゲート電極CGおよびメモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MGを形成するまでの製造過程は、前述した実施の形態1のメモリセルMC1(前記図15)の製造過程と同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
前記図15を用いて説明した製造過程に続いて、図24に示すように、半導体基板1の主面上に、例えば酸化シリコン膜からなる厚さ50nm程度の絶縁膜21をCVD法により堆積する。
【0080】
次に、図25に示すように、絶縁膜21を異方性のドライエッチング法でエッチバックし、さらに選択ゲート電極CGの片側面に形成されたサイドウォールを除去することにより、メモリゲート電極MGの片側面のみにサイドウォール22を形成する。サイドウォール22のスペーサ長は、例えば20〜40nm程度である。
【0081】
次に、図26に示すように、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2asをメモリゲート電極MGに対して自己整合的に形成し、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2adを選択ゲート電極CGに対して自己整合的に形成する。n型の半導体領域2as,adを形成するn型不純物のイオン注入に続いて、p型不純物、例えばボロンを半導体基板1の主面にイオン注入し、n型の半導体領域2as,2adの下部を囲むようにp型の半導体領域を形成してもよい。
【0082】
次に、図27に示すように、半導体基板1の主面上に、例えば酸化シリコン膜からなる厚さ80nm程度の絶縁膜をプラズマCVD法により堆積した後、これを異方性のドライエッチング法でエッチバックすることにより、選択ゲート電極CGの片側面およびメモリゲート電極MGの片側面にそれぞれサイドウォール9を形成する。サイドウォール9のスペーサ長は、例えば60nm程度である。
【0083】
次に、図28に示すように、サイドウォール9をマスクとしてn型不純物、例えばヒ素およびリンを半導体基板1の主面にイオン注入することにより、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2bを選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに対して自己整合的に形成する。これにより、n型の半導体領域2adおよびn型の半導体領域2bからなるドレイン領域Drm、n型の半導体領域2asおよびn型の半導体領域2bからなるソース領域Srmが形成される。
【0084】
次に、図29に示すように、半導体基板1に熱処理を施して、ソース領域Srmをメモリゲート電極MG下に伸ばすことにより、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量を決定する。ここで、上記オーバーラップ量をサイドウォール22のスペーサ長によって調整することができる。
【0085】
その後は、前述した実施の形態1と同様にして、選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの上面、ならびにn型の半導体領域2bの上面に、例えばコバルトシリサイド層10を自己整合法により形成した後、半導体基板1の主面上に層間絶縁膜11をCVD法により形成する。続いて層間絶縁膜11にコンタクトホールCNTを形成した後、コンタクトホールCNT内にプラグPLGを形成する。その後、層間絶縁膜11上に第1層配線M1を形成することによって、メモリセルMC2が略完成する。
【0086】
図30に、10K回書き換えた後に、書込み状態で1時間高温保持した場合のメモリセルのしきい値電圧の変動量と、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量との関係を示す。10K回の書き換えは、前記図4に示した書込み条件および消去条件を採用しており、試料の作製方法および測定方法等は、前記図8の説明に記載したものと同様である。
【0087】
図30に示すように、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量が40nm未満の場合は、オーバーラップ量が小さくなるに従い、しきい値電圧の変動量が小さくなる。なお、電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量が40nm以上の場合は、BTBT方式ではソース領域Srm上に正孔が到達しなくなるのでしきい値電圧の変動はほとんど変わらない。
【0088】
前記図30に示した書込み状態で高温保持した場合のメモリセルのしきい値電圧の変動から、例えばメモリゲート電極MGとソース領域Srmとのオーバーラップ量(Lso)を10〜30nm、電荷蓄積層CSLのエッチング量(Let)を0nm、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量(Lono)を10〜30nmとすると、サイドウォール22のスペーサ長は20〜40nmが適切な範囲と考えられる。
【0089】
このように、本実施の形態2によれば、メモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MGの側壁に、例えば20〜40nm程度のスペーサ長を有するサイドウォール22を形成して、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量を40nm未満(望ましい範囲としては10〜30nm)とすることにより、書き込み状態でメモリセルMC2を高温保持した場合のしきい値電圧の変動量を小さくすることができる。これにより、スプリットゲート型MONOSメモリセルMC2のデータ保持特性を向上させることができる。
【0090】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、メモリ用nMISのメモリゲート電極の実効チャネル長を調整することにより消去状態における室温保持特性を向上することのできるスプリットゲート型MONOSメモリセルの一例を図31〜図35を用いて説明する。図31および図32は本実施の形態3によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの第1例の要部断面図、図33および図34は本実施の形態3によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの第2例の要部断面図、図35は10K回書き換えた後の消去状態におけるメモリセルの室温保持特性を示すグラフ図である。本実施の形態3であるスプリットゲート型MONOSメモリセルのアレー構成および動作条件は、前述した実施の形態1と同一である。
【0091】
まず、本実施の形態3によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの第1例の製造方法について図31および図32を用いて説明する。なお、選択用nMIS(Qnc)の選択ゲート電極CGおよびメモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MGを形成するまでの製造過程は、前述した実施の形態1のメモリセルMC1(前記図15)の製造過程と同様であるため、その説明を省略する。
【0092】
前記図15を用いて説明した製造過程に続いて、図31に示すように、電荷蓄積層CSLとソース領域とのオーバーラップ量を調整するために、電荷蓄積層CSLを等方性のウエットエッチング法でサイドエッチングする。電荷蓄積層CSLのエッチング量(Let)は30〜50nmとする(前述した実施の形態1のメモリセルMC1では20〜40nm)。続いて、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2asをメモリゲート電極MGに対して自己整合的に形成し、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2adを選択ゲート電極CGに対して自己整合的に形成する。n型の半導体領域2as,adを形成するn型不純物のイオン注入に続いて、p型不純物、例えばボロンを半導体基板1の主面にイオン注入し、n型の半導体領域2as,2adの下部を囲むようにp型の半導体領域を形成してもよい。
【0093】
次に、半導体基板1の主面上に、例えば酸化シリコン膜からなる厚さ80nm程度の絶縁膜をプラズマCVD法により堆積した後、これを異方性のドライエッチング法でエッチバックすることにより、選択ゲート電極CGの片側面およびメモリゲート電極MGの片側面にそれぞれサイドウォール9を形成する。サイドウォール9のスペーサ長は、例えば60nm程度である。
【0094】
次に、サイドウォール9をマスクとしてn型不純物、例えばヒ素およびリンを半導体基板1の主面にイオン注入することにより、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2bを選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに対して自己整合的に形成する。これにより、n型の半導体領域2adおよびn型の半導体領域2bからなるドレイン領域Drm、n型の半導体領域2asおよびn型の半導体領域2bからなるソース領域Srmが形成される。
【0095】
次に、図32に示すように、半導体基板1に熱処理を施して、ソース領域Srmをメモリゲート電極MG下に伸ばすことにより、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量およびメモリゲート電極MGの実効チャネル長を決定する。例えば半導体基板1に1050℃のスパイクアニールを10秒施すことにより、60nm程度ソース領域Srmを伸ばすことができる。
【0096】
メモリゲート電極MGとソース領域Srmとのオーバーラップ量(Lso)を60nm(前述した実施の形態1のメモリセルMC1では50nm)としても、前述したように、電荷蓄積層CSLのエッチング量(Let)を30〜50nm(前述した実施の形態1のメモリセルMC1では20〜40nm)としていることから、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量(Lono)を10〜30nmと適切な範囲とした状態で、メモリゲート電極MGの実効チャネル長(Lch)を短くすることができる。例えばメモリゲート電極MGのゲート長(Lg)が80nmのメモリセルMC2の場合は、メモリゲート電極MGの実効チャネル長(Lch)を20nm(前述した実施の形態1のメモリセルMC1では30nm)とすることができる。
【0097】
その後は、前述した実施の形態1と同様にして、選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの上面、ならびにn型の半導体領域2bの上面に、例えばコバルトシリサイド層10を自己整合法により形成した後、半導体基板1の主面上に層間絶縁膜11をCVD法により形成する。続いて層間絶縁膜11にコンタクトホールCNTを形成した後、コンタクトホールCNT内にプラグPLGを形成する。その後、層間絶縁膜11上に第1層配線M1を形成することによって、メモリセルMC3aが略完成する。
【0098】
次に、本実施の形態3によるスプリットゲート型MONOSメモリセルの第2例の製造方法について図33および図34を用いて説明する。なお、選択用nMIS(Qnc)の選択ゲート電極CGおよびメモリ用nMIS(Qnm)のメモリゲート電極MGを形成するまでの製造過程は、前述した実施の形態2のメモリセルMC2(前記図25)の製造過程と同様であるため、その説明を省略する。但し、メモリゲート電極MGのゲート長は、前述した実施の形態2のメモリセルMC2のゲート電極MGよりも短く、例えば10nm程度短く形成する。
【0099】
前記図25を用いて説明した製造過程に続いて、図33に示すように、メモリゲート電極MGの片側面のみにサイドウォール22を形成する。続いて半導体基板1の主面にn型の半導体領域2asをメモリゲート電極MGに対して自己整合的に形成し、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2adを選択ゲート電極CGに対して自己整合的に形成する。n型の半導体領域2as,adを形成するn型不純物のイオン注入に続いて、p型不純物、例えばボロンを半導体基板1の主面にイオン注入し、n型の半導体領域2as,2adの下部を囲むようにp型の半導体領域を形成してもよい。
【0100】
次に、半導体基板1の主面上に、例えば酸化シリコン膜からなる厚さ80nm程度の絶縁膜をプラズマCVD法により堆積した後、これを異方性のドライエッチング法でエッチバックすることにより、選択ゲート電極CGの片側面およびメモリゲート電極MGの片側面にそれぞれサイドウォール9を形成する。サイドウォール9のスペーサ長は、例えば60nm程度である。
【0101】
次に、サイドウォール9をマスクとしてn型不純物、例えばヒ素およびリンを半導体基板1の主面にイオン注入することにより、半導体基板1の主面にn型の半導体領域2bを選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに対して自己整合的に形成する。これにより、n型の半導体領域2adおよびn型の半導体領域2bからなるドレイン領域Drm、n型の半導体領域2asおよびn型の半導体領域2bからなるソース領域Srmが形成される。
【0102】
次に、図34に示すように、半導体基板1に熱処理を施して、ソース領域Srmをメモリゲート電極MG下に伸ばすことにより、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量およびメモリゲート電極の実効チャネル長を決定する。例えば半導体基板1に1000℃のスパイクアニールを10秒施すことにより、50nm程度ソース領域Srmを伸ばすことができる。これにより、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量(Lono)を10〜30nmと適切な範囲とした状態で、メモリゲート電極MGの実効チャネル長(Lch)を前述した実施の形態2のメモリセルMC2のメモリゲート電極MGのチャネル長(Lch)よりも、例えば10nm程度短く形成することができる。
【0103】
その後は、前述した実施の形態1と同様にして、選択ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの上面、ならびにn型の半導体領域2bの上面に、例えばコバルトシリサイド層10を自己整合法により形成した後、半導体基板1の主面上に層間絶縁膜11をCVD法により形成する。続いて層間絶縁膜11にコンタクトホールCNTを形成した後、コンタクトホールCNT内にプラグPLGを形成する。その後、層間絶縁膜11上に第1層配線M1を形成することによって、メモリセルMC3bが略完成する。
【0104】
図35に、10K回書き換えた後に、消去状態で1000時間室温保持した場合のメモリセルのしきい値電圧の変動量と、メモリ用nMISのゲート電極の実効チャネル長との関係を示す。10K回の書き換えは、前記図4に示した書込み条件および消去条件を採用しており、試料の作製方法および測定方法等は、前記図8の説明に記載したものと同様である。
【0105】
消去状態で室温保持した場合のメモリセルのしきい値電圧の変動を小さくするには、書き換えによって生じた半導体基板側の絶縁膜の欠陥を介して電荷蓄積層の正孔と結合する半導体基板中に存在する反転層の電子の量を少なくすればよい。そこで、メモリゲート電極の実効チャネル長を短くすることによって見かけ上の正孔の量を少なくし、半導体基板の主面に対して縦方向の電界を小さくする。これにより、正孔と結合する電子の量が少なくなり、メモリセルのしきい値電圧の変動を小さくすることができる。また、消去にはBTBT方式を用いているので、しきい値電圧を決定する正孔は電荷蓄積層に局在して分布している。このため、図35に示すように、実効チャネル長が30nmから20nmへ減少すると、急激にしきい値電圧が減少する。従って、メモリゲート電極の実効チャネル長は、例えば30nm以下が適切な範囲と考えられる(他の条件によっては、この範囲に限定されないのはもとよりである)。また、量産に適した範囲としては20nm以下が考えられる。
【0106】
このように、本実施の形態3によれば、前述した実施の形態1,2と同様にして、電荷蓄積層CSLとソース領域Srmとのオーバーラップ量を40nm未満(望ましい範囲としては10〜30nm)とすることに加えて、さらにメモリゲート電極MGの実効チャネル長(Lch)を30nm以下(望ましい範囲としては20nm以下)として、半導体基板1の主面に垂直の方向の電界を弱め、電子と正孔との結合を起こりにくくすることにより、書き込み状態でメモリセルMC3a,MC3bを高温保持した場合のしきい値電圧の変動量および消去状態でメモリセルを室温保持した場合のしきい値電圧の変動量を小さくすることができる。これにより、スプリットゲート型MONOSメモリセルMC3a,MC3bのデータ保持特性を向上させることができる。
【0107】
(実施の形態4)
本実施の形態4によるNROMメモリセルの構造の一例を図36〜図43を用いて説明する。NROMメモリセルにおいても、スプリットゲート型MONOSメモリセルと同様に、書込み状態にした高温保持特性においては、メモリセルのしきい値電圧が保持時間の経過と共に徐々に減少し、消去状態にした室温保持特性においては、メモリセルのしきい値電圧が保持時間の経過と共に徐々に増加するという課題がある。本実施の形態4では、前述した実施の形態1,2のスプリットゲート型MONOSメモリセルにおいて説明した電荷蓄積層とソース領域とのオーバーラップ量の制御方法をNROMメモリセルに適用した。図36〜図40は本実施の形態4によるNROMメモリセルの第1例の要部断面図、図41は書込み、消去および読み出し時におけるメモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例をまとめた表、図42および図43は本実施の形態4によるNROMメモリセルの第2例の要部断面図である。
【0108】
本実施の形態4によるNROMMOSメモリセルの第1例の製造方法について図36〜図40を用いて説明する。
【0109】
まず、図36に示すように、例えば1〜10Ω・cm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンからなる半導体基板(この段階では半導体ウエハと称する平面略円形状の半導体の薄板)41を準備する。続いて半導体基板1の主面に、例えば溝型の素子分離部SGIおよびこれに取り囲まれるように配置された活性領域等を形成する。続いて半導体基板41の所定部分にp型の不純物を所定のエネルギーで選択的にイオン注入法等によって導入することにより、例えば1×1017cm−3程度の不純物濃度を有するpウェル42を形成する。
【0110】
次に、半導体基板41に対して酸化処理を施すことにより、半導体基板41の主面に、例えば酸化シリコン膜からなる厚さ4nm程度の絶縁膜43bを形成する。続いて、絶縁膜43b上に、例えば窒化シリコン膜からなる厚さ6nm程度の電荷蓄積層CSL1をCVD法により堆積し、さらにこの電荷蓄積層CSL1上に、例えば酸素を含む窒化シリコン膜からなる厚さ5nm程度の電荷蓄積層CSL2を堆積する。一般に窒化シリコン膜を形成するCVD法では、SiHClとNHとを原料ガスとして用いるが、この原料ガスに酸化剤(例えばNO)を添加し、NH流量を制御することにより、所定濃度の酸素を含有した窒化シリコン膜を形成することができる。酸素を含有させることにより窒化シリコン膜のバンドギャップを大きくすることができる。上記酸素を含む窒化シリコン膜からなる電荷蓄積層CSL2では、酸素と窒素との組成比を1:1としている。
【0111】
次に、電荷蓄積層CSL2上に、例えば酸化膜からなる厚さ1nm程度の絶縁膜43tを形成する。この絶縁膜43tの形成では、ISSG(In-Site Steam Generation)酸化法を用いる。ISSG酸化法では、酸化により電荷蓄積層CSL2の膜厚が減少するため、電荷蓄積層CSL2を堆積する際には、予めこの酸化による膜厚の減少分を考慮して電荷蓄積層CSL2の堆積膜厚を設定する必要がある。これにより、絶縁膜43b、電荷蓄積層CSL1,CSL2、絶縁膜43tからなる積層絶縁膜が形成される。
【0112】
次に、図37に示すように、絶縁膜43t上に、例えば2×1020cm−3程度の不純物濃度を有する多結晶シリコン膜からなる導体膜を堆積する。この導体膜はCVD法により形成され、その厚さは、例えば150nm程度を例示することができる。続いてレジストパターンをマスクとして導体膜を加工し、ゲート電極44を形成し、さらに、ゲート電極44と半導体基板41との間の絶縁膜43b,43tおよび電荷蓄積層CSL1,CSL2を残して、その他の領域の絶縁膜43b,43tおよび電荷蓄積層CSL1,CSL2を選択的に除去する。
【0113】
次に、図38に示すように、電荷蓄積層CSL1,CSL2とソース領域とのオーバーラップ量を調整するために、電荷蓄積層CSL1,CSL2を等方性のウエットエッチング法でサイドエッチングする。例えば電荷蓄積層CSL1,CSL2は160℃程度の熱リン酸を用いてエッチングすることができ、エッチング量はエッチング時間によって制御される。
【0114】
次に、図39に示すように、ゲート電極44をマスクとしてn型不純物、例えばヒ素を半導体基板1の主面にイオン注入することにより、半導体基板1の主面にn型の半導体領域をゲート電極44に対して自己整合的に形成する。この時の不純物イオンの打ち込みエネルギーは、例えば40keV程度、ドーズ量は、例えば2×1015cm−2程度である。その後、例えば950℃程度の温度で60秒の熱処理を施すことにより、イオン注入したn型不純物を活性化することにより、ソース・ドレイン領域45を形成する。
【0115】
次に、図40に示すように、半導体基板41の主面上に層間絶縁膜46をCVD法により形成する。続いて層間絶縁膜46にコンタクトホール47を形成した後、コンタクトホール47内にプラグ48を形成する。その後、層間絶縁膜46上に、例えばタングステン、アルミニウムまたは銅等からなる第1層配線M1を形成することによって、メモリセルMC4aが略完成する。これ以降は、通常の半導体装置の製造工程を経て、半導体装置を製造する。
【0116】
図41に、書込み、消去および読み出し時におけるNROMメモリセルのソース・ドレイン領域に印加する電圧Vs,Vd、ゲート電極に印加する電圧Vmgおよび半導体基板に印加する電圧Vsubをまとめる。なお、図41に示した各電圧は印加条件の一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。
【0117】
図41に示した各電圧の印加条件で、メモリセルMC4aに対して、SSI方式による書込みおよびBTBT方式による消去を行なったところ、メモリセルMC4aのしきい値電圧の変動が、電荷蓄積層CSL1,CSL2とソース・ドレイン領域45とのオーバーラップ量が40nmよりも大きいメモリセルのしきい値電圧の変動よりも小さく抑えることができた。
【0118】
次に、本実施の形態4によるNROMメモリセルの第2例の製造方法について図42および図43を用いて説明する。なお、ゲート電極44を形成するまでの製造過程は、前述したメモリセルMC4a(前記図37)の製造過程と同様であるため、その説明を省略する。
【0119】
前記図37を用いて説明した製造過程に続いて、図42に示すように、半導体基板41の主面上に、例えば酸化シリコン膜からなる厚さ20nm程度の絶縁膜をCVD法により堆積する。続いてこの絶縁膜を異方性のドライエッチング法でエッチバックすることにより、ゲート電極44の側面にサイドウォール49を形成する。サイドウォール49のスペーサ長は、例えば20nm程度である。
【0120】
次に、ゲート電極44をマスクとしてn型不純物、例えばヒ素を半導体基板1の主面にイオン注入することにより、半導体基板41の主面にn型の半導体領域をゲート電極44に対して自己整合的に形成する。この時の不純物イオンの打ち込みエネルギーは、例えば40keV程度、ドーズ量は、例えば2×1015cm−2程度である。その後、例えば950℃程度の温度で60秒の熱処理を施すことにより、イオン注入したn型不純物を活性化することにより、ソース・ドレイン領域45を形成する。
【0121】
次に、図43に示すように、半導体基板41の主面上に層間絶縁膜46をCVD法により形成する。続いて層間絶縁膜46にコンタクトホール47を形成した後、コンタクトホール47内にプラグ48を形成する。その後、層間絶縁膜46上に、例えばタングステン、アルミニウムまたは銅等からなる第1層配線M1を形成することによって、メモリセルMC4bが略完成する。これ以降は、通常の半導体装置の製造工程を経て、半導体装置を製造する。
【0122】
前記図41に示した各電圧の印加条件で、メモリセルMC4bに対して、SSI方式による書込みおよびBTBT方式による消去を行なったところ、メモリセルMC4aと同様に、メモリセルMC4bのしきい値電圧の変動が、電荷蓄積層とソース・ドレイン領域とのオーバーラップ量が40nmよりも大きいメモリセルのしきい値電圧の変動よりも小さく抑えることができた。
【0123】
このように、本実施の形態4によれば、ゲート電極44と半導体基板1との間に介在する電荷蓄積層CSL1,CSL2を、ゲート電極44のゲート長または電荷蓄積層CSL1,CSL2の上下に位置する絶縁膜43b,43tよりも短く形成する、またはゲート電極44の側壁に、例えば20〜40nm程度のスペーサ長を有するサイドウォール49を形成して、電荷蓄積層CSL1,CSL2とソース領域Srmとのオーバーラップ量を40nm未満(望ましい範囲としては10〜30nm)とすることにより、書き込み状態でメモリセルMC4a,MC4bを高温保持した場合のしきい値電圧の変動量および消去状態でメモリセルMC4a,MC4bを室温保持した場合のしきい値電圧の変動量を小さくすることができる。これにより、NROMメモリセルMC4a,MC4bのデータ保持特性を向上させることができる。
【0124】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、窒化膜のような絶縁膜に電荷を蓄える不揮発性メモリセルを有する半導体記憶装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 半導体基板
2ad,2as,2b 半導体領域
3 シリサイド層
4 ゲート絶縁膜
5 半導体領域
6b,6t 絶縁膜
7 半導体領域
8 サイドウォール
8a 第2導体膜
9 サイドウォール
10 コバルトシリサイド層
11 層間絶縁膜
11a 窒化シリコン膜
11b 酸化シリコン膜
21 絶縁膜
22 サイドウォール
41 半導体基板
42 pウェル
43b,43t 絶縁膜
44 ゲート電極
45 ソース・ドレイン領域
46 層間絶縁膜
47 コンタクトホール
48 プラグ
49 サイドウォール
BL1,BL2 ビット線
CG 選択ゲート電極
CG1,CG2,CG3,CG4 ワード線
CNT コンタクトホール
CSL,CSL1,CSL2 電荷蓄積層
Drm ドレイン領域
MC 単位メモリセル
MC1,MC2,MC3a,MC3b,MC4a,MC4b メモリセル
MG メモリゲート電極
MG1,MG2 ワード線
NW 埋め込みnウェル
PLG プラグ
PW pウェル
Qnc 選択用nMIS
Qnm メモリ用nMIS
SGI 素子分離部
SL1,SL2 ソース線
Srm ソース領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の片側側面の下の前記半導体基板に形成されたソース領域とを備える電界効果型トランジスタを有する不揮発性半導体装置であって、
前記絶縁膜は電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積層を含み、前記電荷蓄積層と前記ソース領域とのオーバーラップ量が40nm未満であることを特徴とする不揮発性半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2013−58810(P2013−58810A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−284253(P2012−284253)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2007−218147(P2007−218147)の分割
【原出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】