位置決定用測定装置のXYテーブル
XYテーブルは、固定基準部分(B)と、該基準部分(B)に対して相対的に第1の方向(Y)に移動可能に保持されている中間部分(F)と、該中間部分(F)に対して相対的に第2の方向(X)に移動可能に保持されている物体(O)とを含む。この場合、処理されるべき部品(W)が物体(O)又は基準部分(B)上に配置される。さらに、第1の方向(Y)に対して、基準部分(B)と中間部分(F)との間の平面内自由度(X、Y、Rz)を測定するための少なくとも1つの1Dプラスエンコーダ(M1、M2)と、第2の方向(X)に対して、物体(O)と中間部分(F)との間の平面内自由度(X、Y、Rz)を測定するための少なくとも1つの1Dプラスエンコーダ(M3、M4)とを含む。これにより、部品(W)又は物体(O)におけるツール中心点(TCP)の位置(Xo、Yo)が測定可能である。1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、第1及び第2(Y、X)の方向に広がる平面であってツール中心点(TCP)を含む平面内へのそれらの投影が、XYテーブルの全走行領域内で部品(W)の外側に存在するように配置されている。これにより、アッベ(Abbe)条件が満足されるので、簡単な1Dプラスエンコーダを用いて物体(O)におけるツール中心点(TCP)の正確な測定を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはウェーハのような平面加工部品をツールに対して相対的に正確に位置決めするための位置決定用測定装置を備えたXYテーブルに関するものである。ツールは、例えば、検査顕微鏡、電子ビーム装置、露光光学装置、又は、集積回路を製造するために必要なその他の計器である。
【背景技術】
【0002】
高精度のXYテーブルに対しては、位置測定装置の配置においてアッベ(Abbe)条件が保持されなければならない。これは、従来、平面鏡レーザ干渉計及び交差格子測定装置を用いてのみ可能であった。
【0003】
平面鏡レーザ干渉計を用いて、可動テーブルの側面までの間隔が測定される(図1参照)。レーザ干渉計の測定軸は、XY平面内において、それぞれツールの測定点(例えば、顕微鏡、電子ビーム装置等のツールの中心点TCP)に調整されている。本来、レーザ干渉計の測定軸はz方向(処理面に対して垂直方向)においてもTCPと一致していなければならない。しかしながら、高い位置にある鏡要素はツールと衝突する可能性があるので、高い位置にある鏡要素を回避するために、殆どの場合、この一致の調整が行われていない。テーブルのガイドに角度誤差があるときに約20mmのアッベ間隔ΔZMと関連して誤差が生じることになる。
【0004】
この装置の問題点は、高価なレーザ干渉計を使用することに起因する高い費用である。さらに、空気中におけるレーザ干渉計の再現性及び精度もまた、大きく制限されている。良好な実験室条件においても、空気柱の屈折率変動により、50cmの空気柱において50nmの偏差が発生する。このように大きな偏差は、高精度の適用に対しては許容できるものではない。
【0005】
また、いわゆる交差格子エンコーダを備えた測定装置が同様に既知である。この場合、交差格子を有する大きな平面のスケールが走査ヘッドにより走査される。このような測定装置に対する一例が欧州特許公開第1762828号に記載されている。しかしながら、大きく且つ高精度の交差格子を製作することには、高額の費用が必要である。
【0006】
このような問題点に鑑みて、ドイツ特許公開第102006024579号では、XYテーブルの位置を測定するために通常の増分目盛を有する線形スケールの装置を記載している。
また、米国特許第6949733号は、ツールが橋形構造により平面加工部品の上方で移動される装置を記載している。ツール位置を決定するために、本質的に1つの測定方向における位置測定を可能にする複数のいわゆる1Dプラスエンコーダの装置が使用されるが、この測定方向に直交する方向の僅かな移動もまた測定可能である。しかしながら、作業平面の上方で横アームが移動されるこの提案された装置においてはアッベ条件が保持されないので、傾斜したときにガイド誤差により高精度の位置測定が可能ではない。
1Dプラスエンコーダの詳細及び有利な形態が、ドイツ特許公開第102005023984号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許公開第1762828号
【特許文献2】ドイツ特許公開第102006024579号
【特許文献3】米国特許第6949733号
【特許文献4】ドイツ特許公開第102005023984号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、アッベ条件をできるだけ良好に満たし、高精度の位置測定及び位置決めを保証するエンコーダからなる測定装置を備えたXYテーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題は、請求項1の特徴を有する装置により解決される。有利な実施形態が、請求項1に従属する請求項に記載されている特徴から得られる。
このような本発明により、ツールによって、加工部品又は一般には物体の点が正確に測定可能であり、また適切な駆動装置を介して設定可能である。なお、物体のこの特殊な点は、ツール中心点又はTCPと称せられる。
本発明のその他の利点及び詳細は、図面を参照して好ましい実施形態を説明することにより、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】レーザ干渉計を備えたXYテーブルの平面図及び側面図を示す。
【図2】1Dプラスエンコーダの平面図を示す。
【図3】別の走査ヘッドを備えた1Dプラスエンコーダの平面図を示す。
【図4】2つの1Dプラスエンコーダを備えた測定装置の平面図を示す。
【図5】V形状目盛を有する1Dプラスエンコーダの平面図を示す。
【図6】本発明に係る第1の実施例の平面図を示す。
【図7a】第1の実施例の拡張態様の平面図を示す。
【図7b】第1の実施例の拡張態様のAA′断面図を示す。
【図7c】第1の実施例の拡張態様のCC′断面図を示す。
【図8】第2の実施例の平面図を示す。
【図9】第2の実施例のDD′断面図を示す。
【図10】第3の実施例の平面図を示す。
【図11】第4の実施例の平面図を示す。
【図12】第5の実施例の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各高精度位置決定に対して、上記したように、傾斜運動による精度誤差を最小にするためにアッベ条件の保持が重要である。エンコーダにおいては、このアッベ条件は、その位置が決定されるべき物体の点及びエンコーダの有効測定位置が、その測定方向に沿った延長上に存在しなければならないことを意味する。この場合、エンコーダの有効測定位置は、その中立(ニュートラル)回転中心(XNP、YNP、ZNP)により与えられ、かつ、走査ヘッド又はスケールの中立回転中心周りの傾斜が、示された位置値の線形変化を与えないことにより定義される。エンコーダの中立回転中心は、通常、その走査領域内の中心で、走査ヘッド内におけるスケールの高さすなわち走査目盛の高さ内に存在する。
【0012】
しかしながら、高精度XYテーブルは、アッベ条件の保持したがってテーブルガイドの傾斜運動の影響の最小化を必要とするのみではない。さらに、ガイドの線形横方向移動、特にテーブルの移動平面(XY)内の線形偏位もまた測定されかつ補正されなければならない。
【0013】
多くの適用においては、テーブル平面であるXY平面内において、高精度に位置決定が行われるだけでよい。しかしながら、使用されるツールがXY平面内において大きな寸法を有している場合、対応する位置値X及びYの他に、テーブル平面に垂直なZ軸の周りのテーブルの回転Rzもまた重要であることが多々ある。これは、例えば、無視できない観察領域を有する顕微鏡における場合である。自由度(X、Y、Rz)は、以下において、平面内自由度と呼ばれる。これに対して、残りのいわゆる平面外自由度(Rx、Ry、Z)は、全く決定される必要がないか、又はそれほど正確に決定される必要はない。これは、例えば、大きな焦点深度を有する顕微鏡に対して当てはまる。しかしながら、ツールによってもまた、測定される物体の点TCPそのものがエンコーダによって測定されることが重要である。その位置は座標(XTCP、YTCP、ZTCP)に存在する。
【0014】
本発明により、いわゆる1Dプラスエンコーダを使用することによって、アッベ条件の保持及びテーブルの横方向移動の測定が行われるものである。1Dプラスエンコーダ(図2参照)は縦方向トラックTLの他に横方向トラックTTもまた有している。縦方向トラックTLを走査する走査ヘッドALは、スケールMの長い伸長方向Xに沿って測定する。これに対して、走査ヘッドATは横方向トラックTTを走査し、スケールMの短い伸長方向Yに沿って測定する。
【0015】
第3の走査ヘッドを用いて平面内自由度Rz(Z軸周りの回転)もまた測定可能である。このために、2つの基本形状が存在する。図3は第1の基本形状を示しており、該基本形状は、基準部分B上に装着された1つのスケールMのみを有し、該スケールMは、物体O上に固定された3つの走査ヘッドAKY1、AKY2及びAKXによって走査される。走査ヘッドはそれぞれ、有効走査位置(XNP,Y1、YNP,Y1、ZNP,Y1)、(XNP,Y2、YNP,Y2、ZNP,Y2)、(XNP,X、YNP,X、ZNP,X)を走査する。3つの走査ヘッドは位置の値ξY1、ξY2、ξXを提供する。
【0016】
以下において、決定されるべき物体位置TCPは、Z方向において、全ての走査ヘッドの有効走査位置のZ位置と一致するものと仮定する。
ZNP,Y1=ZNP,Y2=ZNP,X=ZTCP (式1)
両方の走査ヘッドAKY1及びAKY2は、スケールMないしは基準部分Bに対する相対的な物体OのY方向変位のみでなく、Z軸周りの回転RzO−Bもまた測定する。回転角が小さい場合、回転RzO−Bに対して以下の近似式が成立する。
RzO−B=(ξY2−ξY1)/(XNP,Y2−XNP,Y1) (式2)
【0017】
TCPの位置における基準部分Bに対する相対的な物体Oの位置(XO−B、YO−B)を決定するために、回転RzO−Bにより与えられた、走査ヘッドAKX、AKY1、AKY2の有効走査位置(XNP,X、YNP,X)、(XNP,Y1、YNP,Y1)、(XNP,Y2、YNP,Y2)とTCPとの間の偏倚が考慮されなければならない。
XO−B=ξX+RzO−B・(YNP,X−YTCP)
YO−B=ξY1−RzO−B・(XNP,Y1−XTCP)
(式3)
この計算は、走査ヘッドの位置に対する相対的なTCPの任意の各位置に対して適用される。しかしながら、間隔の増加と共に位置(XO−B、YO−B)の決定精度は低下する。したがって、この間隔は、できるだけ小さく選択されるべきである。
【0018】
図4は、物体位置(XO−B、YO−B)の決定の他の例を示している。この例では、基準部分B上に装着された2つのスケールM1及びM2が、物体O上に固定された合計4つの走査ヘッドAKX1、AKX2、AKY1、AKY2によって走査される。この場合、回転RzO−Bは、X方向に測定する走査ヘッドAKX1及びAKX2の位置ξX1及びξX2によって測定される。
RzO−B=−(ξX2−ξX1)/(YNP,X2−YNP,X1) (式4)
TCPの位置における物体Oの位置は、同様に、他の走査ヘッド例えばAKY1のみによって決定可能である。
XO−B=ξX1+RzO−B・(YNP,X1−YTCP)
YO−B=ξY1−RzO−B・(XNP,Y1−XTCP)
(式5)
【0019】
しかしながら、他の走査ヘッドAKY2において、対応する冗長な位置情報ξY2もまた含めることが有利であり、この場合、式5の代わりに次式が用いられる。
XO−B=ξX1+RzO−B・(YNP,X1−YTCP)
YO−B=η・[ξY1−RzO−B・(XNP,Y1−XTCP)]
+(1−η)・[ξY2−RzO−B・(XNP,Y2−XTCP)]
(式6)
【0020】
重み係数ηは基本的に任意に選択されてもよい。しかしながら、この重み係数ηを、少なくとも物体O及び基準部分Bを均等に加熱したときに構成要素の熱膨張もまた補償されるように設定することが好ましい。熱膨張は、物体OのY位置を走査ヘッドAKY1及びAKY2により冗長に測定することによって決定されてもよい。走査ヘッドAKY1及びAKY2のTCPからの間隔に応じて、TCPの位置における物体Oの熱的に補正されたY位置YO−Bが計算されてもよい。TCPが走査ヘッドAKY1又はAKY2に近ければ近いほどそれだけ、その測定値はより強く重みづけされなければならない。したがって、最適重み係数として次式が与えられる。
η=(YTCP−YNP,Y2)/(YNP,Y1−YNP,Y2) (式7)
【0021】
X方向の熱膨張の補正もまた可能である。熱膨張の補正のために、はじめに走査ヘッドAKY1及びAKY2の間のY方向の長さ変化が温度変化ΔTに換算される。
ΔT={[ξY1−RzO−B・(XNP,Y1−XTCP)]
−[ξY2−RzO−B・(XNP,Y2−XTCP)]}
/{ΔCTEO−B・(YNP,Y1−YNP,Y2)} (式8)
パラメータΔCTEO−Bは、物体Oの熱膨張係数CTEOと基準部分Bの熱膨張係数CTEBとの差を表わす。温度変化ΔT及び関係する構成部分の熱膨張係数を用いて、次に、X方向における熱的変位が計算可能であり、この場合、構成部分の固定点が考慮されなければならないことは当然である。既知の温度変化ΔTを用いてこの計算を実行することは当業者にとって簡単であるので、ここでは詳細な説明を省略する。スケールの縦方向における熱的補正は、以下に記載の実施形態においてもまた詳細には説明されないが、これが使用可能であることは当然である。
【0022】
縦方向目盛TL及び横方向目盛TTの代わりに、図5に示すように、同様に良好なV形状目盛Tα及びTβが使用されてもよく、V形状目盛Tα及びTβはそれに対応して傾斜された走査ヘッドAKα、AKβ,1及びAKβ,2によって走査される。例えば、傾斜角度としてα=135°及びβ=45°を選択してもよい。このような目盛は、主移動方向内即ちスケールの縦方向内において移動したとき、両方のトラックの走査において常に位置変化が発生するという利点を提供する。これにより、例えば上記のドイツ特許公開第102005023984号、パラグラフ[0029]内に記載されているような信号補償が、簡単且つ高い精度で可能である。図2に示す横方向目盛TTにおいては、横方向移動(ここではY方向)はたいていの場合きわめて小さいので位置変化はほとんど発生せず、かつ信号補償は新たな補償パラメータを測定可能ではないので、補間誤差は回避可能ではない。
【0023】
測定値ξα、ξβ,1及びξβ,2から、式2及び式3を用いて、位置値XO−B、YO−B及びRzO−Bが決定可能である。当業者は対応する変換式を容易に作成可能である。したがって、このようなV形状目盛は等価の位置情報を提供する。以下に記載の実施例においては、説明を簡単にするために、全てのスケールは縦方向目盛及び横方向目盛(TL、TT)で示されている。しかしながら、実際にはV形状目盛を使用することが有利である。ドイツ特許公開第102005023984号、パラグラフ[0023]に記載されているように、両方の目盛トラックに対して基準マークを配置し且つ横方向移動が発生しないときでも、検出することもまた可能である。
【0024】
第1の実施例
図6に第1の実施例が示されている。中間部分Fは固定基準部分Bに対して移動可能に支持されている。さらに、中間部分Fに対して相対的に、物体O(ここでは測定テーブル)が、測定されるべき、ないしは処理されるべき部品W例えばウェーハと共に、X方向に移動可能に支持されている。組み合わせ移動により、物体Oは、固定基準部分Bに対して相対的にX及びY方向に移動可能である。したがって、このような構造は線形テーブルのシーケンシャル配置と呼ばれる。なお、図6にはガイド要素は示されていない。
【0025】
走査ヘッドAKX1〜AKX4は付属のスケールM1〜M4に対して相対的なX方向の移動(X移動)を測定し、走査ヘッドAKY1〜AKY4は対応するY移動を測定する。両方のスケールM1及びM2は固定基準部分Bに固定されている。走査ヘッドAKX1、AKY1、AKX2及びAKY2、及びスケールM3及びM4は、可動中間部分Fに装着されている。最後に、物体O上に走査ヘッドAKX3、AKY3、AKX4及びAKY4が存在する。走査ヘッド及びスケールからなる装置により、中間部分Fに対して相対的な物体Oの移動及び固定基準部分Bに対して相対的な中間部分Fの移動はそれぞれ、自由度(X、Y、Rz)内において測定される。全てのエンコーダのZ長さはTCPのZ位置と一致している。
ZNP,X1=ZNP,Y1=ZNP,X2=ZNP,Y2=ZNP,X3
=ZNP,Y3=ZNP,X4=ZNP,Y4=ZTCP (式9)
【0026】
TCPの位置における固定基準部分Bに対する中間部分Fの相対位置XF−B、YF−B、RzF−Bを決定するために、次式が適用される。
RzF−B=(ξY2−ξY1)/(XNP,Y2−XNP,Y1)
XF−B=ηF−B・[ξX1−RzF−B・(YTCP−YNP,X1)]
+(1−ηF−B)・[ξX2−RzF−B・(YTCP−YNP,X2)]
YF−B=ξY1+RzF−B・(XTCP−XNP,Y1)
ηF−B=(XNP,X2−XTCP)/(XNP,X2−XNP,X1)
(式10)
【0027】
同様に、中間部分Fに対して相対的な物体Oの位置XO−F、YO−F、RzO−Fを決定するために次式が適用される。
RzO−F=−(ξX4−ξX3)/(YNP,X4−YNP,X3)
XO−F=ξX3+RzO−F・(YNP,X3−YTCP)
YO−F=ηO−F・[ξY3−RzO−F・(XNP,Y3−XTCP)]
+(1−ηO−F)・[ξY4−RzO−F・(XNP,Y4−XTCP)]
ηO−F=(YNP,Y4−YTCP)/(YNP,Y4−YNP,Y3)
(式11)
重み係数ηF−B及びηO−Fのいずれか又は両方を値1にセットすることもまた可能である。この場合、走査ヘッドAKX2ないしはAKY4はもはや必要ではなく、このときには、上記の熱的補正の可能性は省略される。
【0028】
TCPの位置における固定基準部分Bに対して相対的な物体Oの位置XO−B、YO−B及び回転角RzO−Bの決定は、中間部分Fに対する物体Oの相対位置及び固定基準部分Bに対する中間部分Fの相対位置の加算により行われる。
XO−B=XO−F+XF−B
YO−B=YO−F+YF−B
RzO−B=RzO−F+RzF−B
(式12)
両方の可動部分F及びOのX位置のみならずY位置もまた決定することにより、例えば直線性偏位のようなガイド誤差もまた測定され、かつ図示されていない制御装置及び対応する駆動装置によって補正される。
【0029】
本発明による装置の精度を保持するために、位置の決定のために関連する全ての部分B、F及びOが安定状態を保つことが重要である。これは、適切な材料を選択することにより決定される。即ち、例えばゼロドゥール(Zerodur)又はインバール(Invar)のような膨張係数の小さい材料、又は、例えばアルミニウムのような熱伝導性のよい材料を使用することが有利である。ただし、これらの部分B、F及びOを曲げたり又はそれらの長さに影響を与えたりする力を作用させない方がよい。
【0030】
従来使用されているレーザ干渉計を備えた高精度XYテーブルにおいては、分離された2つの固定支持構造が使用されてきた。第1の支持構造は、構造部分を停止かつ移動させるために伝達されなければならない全ての力を導くものである。この第1の支持構造は力フレームと呼ばれる。第1の支持構造から分離された第2の支持構造は、相対位置を測定するために必要な全ての構造部分を受け入れるためのものである。この第2の支持構造は測定フレームと呼ばれる。測定フレームと力フレームとの減結合により、測定フレームの変形の発生、したがって測定誤差の発生が防止される。この減結合は、フレキシブルな要素を用いた結合機構により、又は振動絶縁によって行われる。なお、従来の機械においては、両方のフレームが固定されており、かつそれ自身動かない状態である。
【0031】
図7a(平面図)、図7b(AA′による断面図)及び図7c(CC′による断面図)は、この構造原理の拡張態様を示している。構造部分B、F及びOの各々は、エンコーダの構成要素を支持するので測定フレーム要素と呼ばれる。これら測定フレーム要素からそれぞれ減結合要素EB−B′,n、EF−F′,n、EO−O′,n(n=1、2、3)により分離されて、構造部分B′、F′及びO′が存在する。構造部分B′は固定され、構造部分F′は本質的に構造部分Fと共にY方向に沿って移動され、及び構造部分O′は本質的に構造部分Oと共にX及びYに沿って移動される。構造部分B′、F′及びO′に、例えば、ここでは空気軸受として形成されていてリニアモータLMn(n=1、2、3、4)でもあるガイド要素LO′−F′,n、LF′−B′,n及びLO′−B′,n(n=1、2、...)のような、力を発生する要素が固定されている。減結合要素EB−B′,n、EF−F′,n、EO−O′,nは、基本的には、結合された構造部分の6つの全ての自由度が相互に遮断されているように、固体ヒンジとして設計されていることが有利であるが、過大な制限は不要である。このような結合はしばしば動的結合とも呼ばれる。過大な制限を避けることにより、測定フレーム要素の曲げが回避される。図7aにおいて、例えば、減結合要素EB−B′,n、EF−F′,nとEO−O′,nはラジアル方向にフレキシブルであり、一方、接線方向には剛(非フレキシブル)である。
【0032】
第2の実施例
図8及び図9は第2の実施例を示しており、該実施例においては、中間部分F上に、スケールの代わりに走査ヘッドAKX3、AKY3、AKX4及びAKY4が固定されている。スケールM3及びM4はここでは物体Oと固定結合されている。その他の構造は第1の実施形態と同じであるのでここでは説明を省略する。
【0033】
スケールM3及びM4を物体O上に固定することにより、中間部分Fはより簡単に形成可能である。中間部分Fは、曲げに対してきわめて敏感なスケールを支持する必要がなくなる。走査ヘッドはスケールに比較して明らかに非フレキシブルである。それにもかかわらず、中間部分Fは走査ヘッドを位置が安定するように保持しなければならない。物体Oは測定されるべき部品Wを支持するので、いずれの場合も、物体Oは非フレキシブルに且つ位置が安定するように形成されていなければならない。即ち、スケールM3及びM4を固定することにより、追加費用は最小となる。
【0034】
走査ヘッドAKY3及びAKY4の有効測定点は、ここではX方向においてTCPと同じ位置に配置されることが有利である。
XNP,Y3=XNP,Y4=XTCP
これにより計算式が簡単になる。
【0035】
多くの適用において、誤動作の場合においてもツールとの衝突を阻止するために、部分的にも測定体Wの上方に突出してはならない。このような誤動作は、例えば、テーブル移動が高速度状態で移動の中断が生じたときに発生することがある。このような衝突を阻止するために、この実施形態においては、スケールM3及びM4は目盛を基準部分Bの方向に向け(図9参照)且つその上側は測定体Wと同じレベルにされ、即ち同じZ高さとされる。この場合、エンコーダを使用することが有利であり、エンコーダの有効測定位置ZNPは、スケールの目盛側に存在するか又はスケールの基板領域内に存在してもよい。このような場合、アッベ条件はもはや完全には満たすことはできないが、生成されたアッベ間隔DZはきわめて小さい値のままであり、5mmより小さい値が達成可能である。
【0036】
この実施形態においては、スケールM1及びM2、又は、M3及びM4は相互に鏡面対称に配置されている。このことは付属の走査ヘッドに対しても同様である。この対称性は構造部分B、F及びOの対称的な形態を可能にする。同じ鏡面対称を有する場合、位置の関数としてのエラー部分はきわめて小さくなるので、基本的により高い精度を提供することができる。
【0037】
第3の実施例
図10は第3の実施例を示しており、該第3の実施例においては、スケールM1及びM2は可動中間部分F上に存在し且つ付属の走査ヘッドAKX1、AKY1、AKX2及びAKY2は基準部分Bと固定結合されている。第2の実施形態と同じように、スケールM3及びM4は物体O上に装着され且つ付属の走査ヘッドAKX3、AKY3、AKX4及びAKY4は中間部分Fに固定されている。
走査ヘッドAKX1、AKX2、AKY3及びAKY4は、この実施形態においては、それらの有効測定点が常にそれらの測定方向に沿ってTCPに向けられているように配置される。したがって、関連する位置の値に対して、角度Rzによる補正は必要ではなく、よって、位置信号の評価が簡単になる。
【0038】
第4の実施例
図11は第4に実施例を示しており、該第4の実施例においては、測定されるべき部品Wはもはや固定TCPに対して相対的に移動されない。むしろ、測定されるべき部品Wは固定基準部分B上に存在し、ツール又はTCPは物体Oと共に移動される。基本的な計算は上記と同じように行われるが、TCPの位置(XTCP、YTCP)はもはや一定ではなく、テーブル位置と共に変化する。この実施例においては、第4のスケールは必要ない。その代わりに、スケールM3は3つの走査ヘッドAKX3、AKY3及びAKY4によって走査される。横方向トラックTT上で走査する両方の走査ヘッドAKY3及びAKY4は、中間部分Fに対して相対的な物体OのY位置を測定するのみならず、付随する回転RzO−Fをもまた測定する。上記の実施例と同様に、走査ヘッド及びTCPのZ方向における全ての有効測定点は同じ高さにある。
ZNP,X1=ZNP,Y1=ZNP,X2=ZNP,Y2=ZNP,X3=ZNP,Y3=ZNP,Y4=ZTCP
したがって、中間部分Fは、少なくとも一部が処理されるべき部品Wに隣接して配置されていなければならない。このような場合にのみ、アッベ条件を保持することが可能である。測定装置及び駆動装置がY方向に対して測定体の上方で移動されるブリッジ形機構の装置は、この条件を満たしていない。
【0039】
第5の実施例
第5の実施例は、第2の実施例と同様に、全ての走査ヘッドAKX1、AKY1、...、AKX4b、AKY4bを支持する中間部分Fを有している。スケールM1及びM2は同様に固定基準部分Bに固定され、一方、スケールM3及びM4は物体Oに装着されている。スケールM3の走査は、ここでは、4つの走査ヘッドAKX3a、AKY3a、AKX3b、AKY3bによって冗長に行われる。この場合、走査ヘッドの対AKX3a及びAKX3b又はAKY3a及びAKY3bはそれぞれ、スケールM3の同じトラックを走査する。1つの対の両方の走査ヘッドは、中間部分Fの中心に対して対称にオフセットされている。したがって、中間部分Fに対して相対的な物体Oの中央のX位置内においては、一対の両方の走査ヘッドがスケールM3を走査可能であり、外側の位置においては、スケールM3はそれぞれここでは一対の走査ヘッドの1つのみにより走査が実行可能であるにすぎない。これにより、スケールM3の制限された長さにおいて、X方向の測定領域は、ほぼ走査ヘッドの両方の対AKX3a及びAKX3b又はAKY3a及びAKY3bの間隔だけ、スケールM3の長さより大きい値まで拡大されている。
【0040】
物体Oの反対側において、同様に、スケールM4が走査ヘッドの対(AKX4a、AKx4b)及び(AKY4a、AKY4b)によって走査される。物体位置(XO−B、YO−B、RzO−B)の決定は式10〜式12を用いて同様に行われ、この場合、付属のスケールに向かい合いかつこれを走査可能な冗長な走査ヘッド対の走査ヘッドがそれぞれ選択される。物体Oの中央のX位置において両方の走査ヘッドが関連するスケールを走査可能なとき、物体位置(XO−B、YO−B、RzO−B)を二重に決定し、その結果を平均するようにしてもよい。
【0041】
全てのエンコーダの有効測定位置のZ方向の位置(Z位置)は、この実施例においても同様に、TCPのZ位置と一致する。これは、全ての走査ヘッドのZ位置が測定体Wの上方に突出し且つスケールがTCPと同じレベルとされることにより実現される。この実施例の特別の利点として、物体Oの可能な各位置における走査ヘッドとツールとの衝突が排除可能である。このために、図12に示すように、スケールM3及びM4を走査する走査ヘッドは、線GG′又はHH′がX方向におけるツールの寸法をマークする場合、線GG′の左側又は線HH′の右側のいずれかに存在していなければならない。
【0042】
他の指針
図示された全ての実施例は、1DプラスエンコーダM1、M2、M3、M4及びそれらのスケールが、構造的に、第1及び第2の方向であるX方向及びY方向に広がる平面であって、ツール中心点を含む平面へのそれらの投影が、XYテーブルの全走行内領域で部品の外側に存在するように配置されている点において共通である。このように配置することにより、良好なアッベ条件の持続が可能となる。その理由は、このようにすることにより、1Dプラスエンコーダの全てのスケール又は有効測定位置をZ方向においてもツール中心点と一致させることが可能であるからである。1つのエンコーダが横ビームに配置されているブリッジ形構造は、該構造を作業領域内したがって部品W上に投影し、エンコーダは常に、部品Wの上方したがってツール中心点TCPの上方に位置するので、この条件を満たすことはできない。
本発明の範囲内において、実施形態の種々の要素が異なる形に組み合わされてもよいことは当然である。
【0043】
1Dプラスエンコーダの代わりに、同様に二次元の位置測定を可能にする、二次元測定交差格子エンコーダを使用してもよい。本明細書に記載の適用に対しては、面積の大きい交差格子は必要ではなく、一方向にのみ伸長され且つこの方向に対して横方向には小さな測定領域のみを可能にする交差格子を必要とするにすぎない。即ち、図2に示す1Dプラススケールとして、その両方の目盛トラックTL及びTTが組み合わされるか又は重ね合わされた交差格子が想定されてもよい。このような交差格子は、冒頭に記載の面積の大きい交差格子よりも製造コストが低い。本出願において、用語「1Dプラスエンコーダ」は、このような交差格子を有するエンコーダもまた含んでいる。
【0044】
固定TCP(実施例1、2、3及び5)及び物体Oと共に移動されるTCP(実施例4)の他に、さらに、TCPが基準体Bに対してのみならず物体Oに対してもまた移動する実施例も可能である。基本的に、式10〜式12を用いた本発明による位置決定は、この場合に対しても使用可能である。
【0045】
機械要素から伝達されたり又は加速力によって導かれたりする機械振動の影響を最小にするために、走査ヘッドを、関連する測定フレーム要素の妨害振動モードの節点に位置決めすることが好ましい。これにより、走査ヘッドへの機械振動の伝達が最小にされるので、測定精度が上昇される。
【0046】
さらに、測定フレーム要素B、F、Oと付属の力フレーム要素B′、F′、O′との間に種々の減結合要素EB−B′,n、EF−F′,n及びEO−O′,nを使用してもよい。固体要素の他に、例えば溝に対してばねにより圧着されるボールのような機械的接触手段もまた使用可能である。ローレンツアクチュエータは、振動遮断特性が極めて良好であり、かつ追加の調節もまた可能にするので、該アクチュエータの使用が有効である。
本発明による物体Oの位置決定のきわめて高い再現性のみならず、きわめて高い精度をも達成可能にするために、位置決定は校正されなければならないが、文献から種々の校正方法が既知である。
【0047】
全ての実施例において、それぞれ並列に配置された2つのスケールの代わりに、1つの1Dプラススケールのみが使用されてもよい。ただし、このとき、1Dプラススケールは、第3の実施例においてと同様に、3つの走査ヘッドによって走査されなければならない。この場合、3つの走査ヘッドの2つは横方向目盛TTを走査する。これらの両方の走査ヘッドの間隔は、本発明による回転Rzの決定に対して十分な精度を達成するために、できるだけ大きくすべきである。
【0048】
Z方向においてエンコーダの有効測定点を測定体と同じ高さにするために、エンコーダの一部がZ方向に測定体より上方に突出していなければならない。これにより、ツールとの衝突の回避を達成することが困難になる。したがって、エンコーダの構成要素がもはや測定体の上方に突出しないように、エンコーダの構成要素をZ方向に下方にシフトさせることが有効な場合がある。これにより発生する約20mmのアッベ間隔は、たいていの場合、許容可能な範囲である。
線形ガイドに対する典型的なガイド誤差は、約1〜10マイクロ・ラジアンである。Z方向における10mmのアッベ間隔は、このとき、10〜100nmの測定誤差を導く。100nmを許容測定誤差とみなした場合、アッベ間隔は最大10mmであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
AL、AT、AKX1、AKX2、AKX3、AKX4、AKY1、AKY2、AKY3、AKY4、AKα、AKβ,1、AKβ,2 走査ヘッド
B 基準部分
DZ、ΔZM アッベ間隔
EB−B′,n、EF−F′,n、EF−F′,n、EO−O′,n 減結合要素
F 中間部分
LO′−F′,n、LF′−B′,n、LO′−B′,n ガイド要素
LMn リニアモータ
M スケール
M1、M2、M3、M4 1Dプラスエンコーダ(1Dプラススケール)
O 物体
TCP ツール中心点(物体位置)
TL ツール
TL 縦方向トラック(縦方向目盛)
TT 横方向トラック(横方向目盛)
Tα、Tβ V形状目盛
W 部品
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはウェーハのような平面加工部品をツールに対して相対的に正確に位置決めするための位置決定用測定装置を備えたXYテーブルに関するものである。ツールは、例えば、検査顕微鏡、電子ビーム装置、露光光学装置、又は、集積回路を製造するために必要なその他の計器である。
【背景技術】
【0002】
高精度のXYテーブルに対しては、位置測定装置の配置においてアッベ(Abbe)条件が保持されなければならない。これは、従来、平面鏡レーザ干渉計及び交差格子測定装置を用いてのみ可能であった。
【0003】
平面鏡レーザ干渉計を用いて、可動テーブルの側面までの間隔が測定される(図1参照)。レーザ干渉計の測定軸は、XY平面内において、それぞれツールの測定点(例えば、顕微鏡、電子ビーム装置等のツールの中心点TCP)に調整されている。本来、レーザ干渉計の測定軸はz方向(処理面に対して垂直方向)においてもTCPと一致していなければならない。しかしながら、高い位置にある鏡要素はツールと衝突する可能性があるので、高い位置にある鏡要素を回避するために、殆どの場合、この一致の調整が行われていない。テーブルのガイドに角度誤差があるときに約20mmのアッベ間隔ΔZMと関連して誤差が生じることになる。
【0004】
この装置の問題点は、高価なレーザ干渉計を使用することに起因する高い費用である。さらに、空気中におけるレーザ干渉計の再現性及び精度もまた、大きく制限されている。良好な実験室条件においても、空気柱の屈折率変動により、50cmの空気柱において50nmの偏差が発生する。このように大きな偏差は、高精度の適用に対しては許容できるものではない。
【0005】
また、いわゆる交差格子エンコーダを備えた測定装置が同様に既知である。この場合、交差格子を有する大きな平面のスケールが走査ヘッドにより走査される。このような測定装置に対する一例が欧州特許公開第1762828号に記載されている。しかしながら、大きく且つ高精度の交差格子を製作することには、高額の費用が必要である。
【0006】
このような問題点に鑑みて、ドイツ特許公開第102006024579号では、XYテーブルの位置を測定するために通常の増分目盛を有する線形スケールの装置を記載している。
また、米国特許第6949733号は、ツールが橋形構造により平面加工部品の上方で移動される装置を記載している。ツール位置を決定するために、本質的に1つの測定方向における位置測定を可能にする複数のいわゆる1Dプラスエンコーダの装置が使用されるが、この測定方向に直交する方向の僅かな移動もまた測定可能である。しかしながら、作業平面の上方で横アームが移動されるこの提案された装置においてはアッベ条件が保持されないので、傾斜したときにガイド誤差により高精度の位置測定が可能ではない。
1Dプラスエンコーダの詳細及び有利な形態が、ドイツ特許公開第102005023984号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許公開第1762828号
【特許文献2】ドイツ特許公開第102006024579号
【特許文献3】米国特許第6949733号
【特許文献4】ドイツ特許公開第102005023984号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、アッベ条件をできるだけ良好に満たし、高精度の位置測定及び位置決めを保証するエンコーダからなる測定装置を備えたXYテーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題は、請求項1の特徴を有する装置により解決される。有利な実施形態が、請求項1に従属する請求項に記載されている特徴から得られる。
このような本発明により、ツールによって、加工部品又は一般には物体の点が正確に測定可能であり、また適切な駆動装置を介して設定可能である。なお、物体のこの特殊な点は、ツール中心点又はTCPと称せられる。
本発明のその他の利点及び詳細は、図面を参照して好ましい実施形態を説明することにより、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】レーザ干渉計を備えたXYテーブルの平面図及び側面図を示す。
【図2】1Dプラスエンコーダの平面図を示す。
【図3】別の走査ヘッドを備えた1Dプラスエンコーダの平面図を示す。
【図4】2つの1Dプラスエンコーダを備えた測定装置の平面図を示す。
【図5】V形状目盛を有する1Dプラスエンコーダの平面図を示す。
【図6】本発明に係る第1の実施例の平面図を示す。
【図7a】第1の実施例の拡張態様の平面図を示す。
【図7b】第1の実施例の拡張態様のAA′断面図を示す。
【図7c】第1の実施例の拡張態様のCC′断面図を示す。
【図8】第2の実施例の平面図を示す。
【図9】第2の実施例のDD′断面図を示す。
【図10】第3の実施例の平面図を示す。
【図11】第4の実施例の平面図を示す。
【図12】第5の実施例の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各高精度位置決定に対して、上記したように、傾斜運動による精度誤差を最小にするためにアッベ条件の保持が重要である。エンコーダにおいては、このアッベ条件は、その位置が決定されるべき物体の点及びエンコーダの有効測定位置が、その測定方向に沿った延長上に存在しなければならないことを意味する。この場合、エンコーダの有効測定位置は、その中立(ニュートラル)回転中心(XNP、YNP、ZNP)により与えられ、かつ、走査ヘッド又はスケールの中立回転中心周りの傾斜が、示された位置値の線形変化を与えないことにより定義される。エンコーダの中立回転中心は、通常、その走査領域内の中心で、走査ヘッド内におけるスケールの高さすなわち走査目盛の高さ内に存在する。
【0012】
しかしながら、高精度XYテーブルは、アッベ条件の保持したがってテーブルガイドの傾斜運動の影響の最小化を必要とするのみではない。さらに、ガイドの線形横方向移動、特にテーブルの移動平面(XY)内の線形偏位もまた測定されかつ補正されなければならない。
【0013】
多くの適用においては、テーブル平面であるXY平面内において、高精度に位置決定が行われるだけでよい。しかしながら、使用されるツールがXY平面内において大きな寸法を有している場合、対応する位置値X及びYの他に、テーブル平面に垂直なZ軸の周りのテーブルの回転Rzもまた重要であることが多々ある。これは、例えば、無視できない観察領域を有する顕微鏡における場合である。自由度(X、Y、Rz)は、以下において、平面内自由度と呼ばれる。これに対して、残りのいわゆる平面外自由度(Rx、Ry、Z)は、全く決定される必要がないか、又はそれほど正確に決定される必要はない。これは、例えば、大きな焦点深度を有する顕微鏡に対して当てはまる。しかしながら、ツールによってもまた、測定される物体の点TCPそのものがエンコーダによって測定されることが重要である。その位置は座標(XTCP、YTCP、ZTCP)に存在する。
【0014】
本発明により、いわゆる1Dプラスエンコーダを使用することによって、アッベ条件の保持及びテーブルの横方向移動の測定が行われるものである。1Dプラスエンコーダ(図2参照)は縦方向トラックTLの他に横方向トラックTTもまた有している。縦方向トラックTLを走査する走査ヘッドALは、スケールMの長い伸長方向Xに沿って測定する。これに対して、走査ヘッドATは横方向トラックTTを走査し、スケールMの短い伸長方向Yに沿って測定する。
【0015】
第3の走査ヘッドを用いて平面内自由度Rz(Z軸周りの回転)もまた測定可能である。このために、2つの基本形状が存在する。図3は第1の基本形状を示しており、該基本形状は、基準部分B上に装着された1つのスケールMのみを有し、該スケールMは、物体O上に固定された3つの走査ヘッドAKY1、AKY2及びAKXによって走査される。走査ヘッドはそれぞれ、有効走査位置(XNP,Y1、YNP,Y1、ZNP,Y1)、(XNP,Y2、YNP,Y2、ZNP,Y2)、(XNP,X、YNP,X、ZNP,X)を走査する。3つの走査ヘッドは位置の値ξY1、ξY2、ξXを提供する。
【0016】
以下において、決定されるべき物体位置TCPは、Z方向において、全ての走査ヘッドの有効走査位置のZ位置と一致するものと仮定する。
ZNP,Y1=ZNP,Y2=ZNP,X=ZTCP (式1)
両方の走査ヘッドAKY1及びAKY2は、スケールMないしは基準部分Bに対する相対的な物体OのY方向変位のみでなく、Z軸周りの回転RzO−Bもまた測定する。回転角が小さい場合、回転RzO−Bに対して以下の近似式が成立する。
RzO−B=(ξY2−ξY1)/(XNP,Y2−XNP,Y1) (式2)
【0017】
TCPの位置における基準部分Bに対する相対的な物体Oの位置(XO−B、YO−B)を決定するために、回転RzO−Bにより与えられた、走査ヘッドAKX、AKY1、AKY2の有効走査位置(XNP,X、YNP,X)、(XNP,Y1、YNP,Y1)、(XNP,Y2、YNP,Y2)とTCPとの間の偏倚が考慮されなければならない。
XO−B=ξX+RzO−B・(YNP,X−YTCP)
YO−B=ξY1−RzO−B・(XNP,Y1−XTCP)
(式3)
この計算は、走査ヘッドの位置に対する相対的なTCPの任意の各位置に対して適用される。しかしながら、間隔の増加と共に位置(XO−B、YO−B)の決定精度は低下する。したがって、この間隔は、できるだけ小さく選択されるべきである。
【0018】
図4は、物体位置(XO−B、YO−B)の決定の他の例を示している。この例では、基準部分B上に装着された2つのスケールM1及びM2が、物体O上に固定された合計4つの走査ヘッドAKX1、AKX2、AKY1、AKY2によって走査される。この場合、回転RzO−Bは、X方向に測定する走査ヘッドAKX1及びAKX2の位置ξX1及びξX2によって測定される。
RzO−B=−(ξX2−ξX1)/(YNP,X2−YNP,X1) (式4)
TCPの位置における物体Oの位置は、同様に、他の走査ヘッド例えばAKY1のみによって決定可能である。
XO−B=ξX1+RzO−B・(YNP,X1−YTCP)
YO−B=ξY1−RzO−B・(XNP,Y1−XTCP)
(式5)
【0019】
しかしながら、他の走査ヘッドAKY2において、対応する冗長な位置情報ξY2もまた含めることが有利であり、この場合、式5の代わりに次式が用いられる。
XO−B=ξX1+RzO−B・(YNP,X1−YTCP)
YO−B=η・[ξY1−RzO−B・(XNP,Y1−XTCP)]
+(1−η)・[ξY2−RzO−B・(XNP,Y2−XTCP)]
(式6)
【0020】
重み係数ηは基本的に任意に選択されてもよい。しかしながら、この重み係数ηを、少なくとも物体O及び基準部分Bを均等に加熱したときに構成要素の熱膨張もまた補償されるように設定することが好ましい。熱膨張は、物体OのY位置を走査ヘッドAKY1及びAKY2により冗長に測定することによって決定されてもよい。走査ヘッドAKY1及びAKY2のTCPからの間隔に応じて、TCPの位置における物体Oの熱的に補正されたY位置YO−Bが計算されてもよい。TCPが走査ヘッドAKY1又はAKY2に近ければ近いほどそれだけ、その測定値はより強く重みづけされなければならない。したがって、最適重み係数として次式が与えられる。
η=(YTCP−YNP,Y2)/(YNP,Y1−YNP,Y2) (式7)
【0021】
X方向の熱膨張の補正もまた可能である。熱膨張の補正のために、はじめに走査ヘッドAKY1及びAKY2の間のY方向の長さ変化が温度変化ΔTに換算される。
ΔT={[ξY1−RzO−B・(XNP,Y1−XTCP)]
−[ξY2−RzO−B・(XNP,Y2−XTCP)]}
/{ΔCTEO−B・(YNP,Y1−YNP,Y2)} (式8)
パラメータΔCTEO−Bは、物体Oの熱膨張係数CTEOと基準部分Bの熱膨張係数CTEBとの差を表わす。温度変化ΔT及び関係する構成部分の熱膨張係数を用いて、次に、X方向における熱的変位が計算可能であり、この場合、構成部分の固定点が考慮されなければならないことは当然である。既知の温度変化ΔTを用いてこの計算を実行することは当業者にとって簡単であるので、ここでは詳細な説明を省略する。スケールの縦方向における熱的補正は、以下に記載の実施形態においてもまた詳細には説明されないが、これが使用可能であることは当然である。
【0022】
縦方向目盛TL及び横方向目盛TTの代わりに、図5に示すように、同様に良好なV形状目盛Tα及びTβが使用されてもよく、V形状目盛Tα及びTβはそれに対応して傾斜された走査ヘッドAKα、AKβ,1及びAKβ,2によって走査される。例えば、傾斜角度としてα=135°及びβ=45°を選択してもよい。このような目盛は、主移動方向内即ちスケールの縦方向内において移動したとき、両方のトラックの走査において常に位置変化が発生するという利点を提供する。これにより、例えば上記のドイツ特許公開第102005023984号、パラグラフ[0029]内に記載されているような信号補償が、簡単且つ高い精度で可能である。図2に示す横方向目盛TTにおいては、横方向移動(ここではY方向)はたいていの場合きわめて小さいので位置変化はほとんど発生せず、かつ信号補償は新たな補償パラメータを測定可能ではないので、補間誤差は回避可能ではない。
【0023】
測定値ξα、ξβ,1及びξβ,2から、式2及び式3を用いて、位置値XO−B、YO−B及びRzO−Bが決定可能である。当業者は対応する変換式を容易に作成可能である。したがって、このようなV形状目盛は等価の位置情報を提供する。以下に記載の実施例においては、説明を簡単にするために、全てのスケールは縦方向目盛及び横方向目盛(TL、TT)で示されている。しかしながら、実際にはV形状目盛を使用することが有利である。ドイツ特許公開第102005023984号、パラグラフ[0023]に記載されているように、両方の目盛トラックに対して基準マークを配置し且つ横方向移動が発生しないときでも、検出することもまた可能である。
【0024】
第1の実施例
図6に第1の実施例が示されている。中間部分Fは固定基準部分Bに対して移動可能に支持されている。さらに、中間部分Fに対して相対的に、物体O(ここでは測定テーブル)が、測定されるべき、ないしは処理されるべき部品W例えばウェーハと共に、X方向に移動可能に支持されている。組み合わせ移動により、物体Oは、固定基準部分Bに対して相対的にX及びY方向に移動可能である。したがって、このような構造は線形テーブルのシーケンシャル配置と呼ばれる。なお、図6にはガイド要素は示されていない。
【0025】
走査ヘッドAKX1〜AKX4は付属のスケールM1〜M4に対して相対的なX方向の移動(X移動)を測定し、走査ヘッドAKY1〜AKY4は対応するY移動を測定する。両方のスケールM1及びM2は固定基準部分Bに固定されている。走査ヘッドAKX1、AKY1、AKX2及びAKY2、及びスケールM3及びM4は、可動中間部分Fに装着されている。最後に、物体O上に走査ヘッドAKX3、AKY3、AKX4及びAKY4が存在する。走査ヘッド及びスケールからなる装置により、中間部分Fに対して相対的な物体Oの移動及び固定基準部分Bに対して相対的な中間部分Fの移動はそれぞれ、自由度(X、Y、Rz)内において測定される。全てのエンコーダのZ長さはTCPのZ位置と一致している。
ZNP,X1=ZNP,Y1=ZNP,X2=ZNP,Y2=ZNP,X3
=ZNP,Y3=ZNP,X4=ZNP,Y4=ZTCP (式9)
【0026】
TCPの位置における固定基準部分Bに対する中間部分Fの相対位置XF−B、YF−B、RzF−Bを決定するために、次式が適用される。
RzF−B=(ξY2−ξY1)/(XNP,Y2−XNP,Y1)
XF−B=ηF−B・[ξX1−RzF−B・(YTCP−YNP,X1)]
+(1−ηF−B)・[ξX2−RzF−B・(YTCP−YNP,X2)]
YF−B=ξY1+RzF−B・(XTCP−XNP,Y1)
ηF−B=(XNP,X2−XTCP)/(XNP,X2−XNP,X1)
(式10)
【0027】
同様に、中間部分Fに対して相対的な物体Oの位置XO−F、YO−F、RzO−Fを決定するために次式が適用される。
RzO−F=−(ξX4−ξX3)/(YNP,X4−YNP,X3)
XO−F=ξX3+RzO−F・(YNP,X3−YTCP)
YO−F=ηO−F・[ξY3−RzO−F・(XNP,Y3−XTCP)]
+(1−ηO−F)・[ξY4−RzO−F・(XNP,Y4−XTCP)]
ηO−F=(YNP,Y4−YTCP)/(YNP,Y4−YNP,Y3)
(式11)
重み係数ηF−B及びηO−Fのいずれか又は両方を値1にセットすることもまた可能である。この場合、走査ヘッドAKX2ないしはAKY4はもはや必要ではなく、このときには、上記の熱的補正の可能性は省略される。
【0028】
TCPの位置における固定基準部分Bに対して相対的な物体Oの位置XO−B、YO−B及び回転角RzO−Bの決定は、中間部分Fに対する物体Oの相対位置及び固定基準部分Bに対する中間部分Fの相対位置の加算により行われる。
XO−B=XO−F+XF−B
YO−B=YO−F+YF−B
RzO−B=RzO−F+RzF−B
(式12)
両方の可動部分F及びOのX位置のみならずY位置もまた決定することにより、例えば直線性偏位のようなガイド誤差もまた測定され、かつ図示されていない制御装置及び対応する駆動装置によって補正される。
【0029】
本発明による装置の精度を保持するために、位置の決定のために関連する全ての部分B、F及びOが安定状態を保つことが重要である。これは、適切な材料を選択することにより決定される。即ち、例えばゼロドゥール(Zerodur)又はインバール(Invar)のような膨張係数の小さい材料、又は、例えばアルミニウムのような熱伝導性のよい材料を使用することが有利である。ただし、これらの部分B、F及びOを曲げたり又はそれらの長さに影響を与えたりする力を作用させない方がよい。
【0030】
従来使用されているレーザ干渉計を備えた高精度XYテーブルにおいては、分離された2つの固定支持構造が使用されてきた。第1の支持構造は、構造部分を停止かつ移動させるために伝達されなければならない全ての力を導くものである。この第1の支持構造は力フレームと呼ばれる。第1の支持構造から分離された第2の支持構造は、相対位置を測定するために必要な全ての構造部分を受け入れるためのものである。この第2の支持構造は測定フレームと呼ばれる。測定フレームと力フレームとの減結合により、測定フレームの変形の発生、したがって測定誤差の発生が防止される。この減結合は、フレキシブルな要素を用いた結合機構により、又は振動絶縁によって行われる。なお、従来の機械においては、両方のフレームが固定されており、かつそれ自身動かない状態である。
【0031】
図7a(平面図)、図7b(AA′による断面図)及び図7c(CC′による断面図)は、この構造原理の拡張態様を示している。構造部分B、F及びOの各々は、エンコーダの構成要素を支持するので測定フレーム要素と呼ばれる。これら測定フレーム要素からそれぞれ減結合要素EB−B′,n、EF−F′,n、EO−O′,n(n=1、2、3)により分離されて、構造部分B′、F′及びO′が存在する。構造部分B′は固定され、構造部分F′は本質的に構造部分Fと共にY方向に沿って移動され、及び構造部分O′は本質的に構造部分Oと共にX及びYに沿って移動される。構造部分B′、F′及びO′に、例えば、ここでは空気軸受として形成されていてリニアモータLMn(n=1、2、3、4)でもあるガイド要素LO′−F′,n、LF′−B′,n及びLO′−B′,n(n=1、2、...)のような、力を発生する要素が固定されている。減結合要素EB−B′,n、EF−F′,n、EO−O′,nは、基本的には、結合された構造部分の6つの全ての自由度が相互に遮断されているように、固体ヒンジとして設計されていることが有利であるが、過大な制限は不要である。このような結合はしばしば動的結合とも呼ばれる。過大な制限を避けることにより、測定フレーム要素の曲げが回避される。図7aにおいて、例えば、減結合要素EB−B′,n、EF−F′,nとEO−O′,nはラジアル方向にフレキシブルであり、一方、接線方向には剛(非フレキシブル)である。
【0032】
第2の実施例
図8及び図9は第2の実施例を示しており、該実施例においては、中間部分F上に、スケールの代わりに走査ヘッドAKX3、AKY3、AKX4及びAKY4が固定されている。スケールM3及びM4はここでは物体Oと固定結合されている。その他の構造は第1の実施形態と同じであるのでここでは説明を省略する。
【0033】
スケールM3及びM4を物体O上に固定することにより、中間部分Fはより簡単に形成可能である。中間部分Fは、曲げに対してきわめて敏感なスケールを支持する必要がなくなる。走査ヘッドはスケールに比較して明らかに非フレキシブルである。それにもかかわらず、中間部分Fは走査ヘッドを位置が安定するように保持しなければならない。物体Oは測定されるべき部品Wを支持するので、いずれの場合も、物体Oは非フレキシブルに且つ位置が安定するように形成されていなければならない。即ち、スケールM3及びM4を固定することにより、追加費用は最小となる。
【0034】
走査ヘッドAKY3及びAKY4の有効測定点は、ここではX方向においてTCPと同じ位置に配置されることが有利である。
XNP,Y3=XNP,Y4=XTCP
これにより計算式が簡単になる。
【0035】
多くの適用において、誤動作の場合においてもツールとの衝突を阻止するために、部分的にも測定体Wの上方に突出してはならない。このような誤動作は、例えば、テーブル移動が高速度状態で移動の中断が生じたときに発生することがある。このような衝突を阻止するために、この実施形態においては、スケールM3及びM4は目盛を基準部分Bの方向に向け(図9参照)且つその上側は測定体Wと同じレベルにされ、即ち同じZ高さとされる。この場合、エンコーダを使用することが有利であり、エンコーダの有効測定位置ZNPは、スケールの目盛側に存在するか又はスケールの基板領域内に存在してもよい。このような場合、アッベ条件はもはや完全には満たすことはできないが、生成されたアッベ間隔DZはきわめて小さい値のままであり、5mmより小さい値が達成可能である。
【0036】
この実施形態においては、スケールM1及びM2、又は、M3及びM4は相互に鏡面対称に配置されている。このことは付属の走査ヘッドに対しても同様である。この対称性は構造部分B、F及びOの対称的な形態を可能にする。同じ鏡面対称を有する場合、位置の関数としてのエラー部分はきわめて小さくなるので、基本的により高い精度を提供することができる。
【0037】
第3の実施例
図10は第3の実施例を示しており、該第3の実施例においては、スケールM1及びM2は可動中間部分F上に存在し且つ付属の走査ヘッドAKX1、AKY1、AKX2及びAKY2は基準部分Bと固定結合されている。第2の実施形態と同じように、スケールM3及びM4は物体O上に装着され且つ付属の走査ヘッドAKX3、AKY3、AKX4及びAKY4は中間部分Fに固定されている。
走査ヘッドAKX1、AKX2、AKY3及びAKY4は、この実施形態においては、それらの有効測定点が常にそれらの測定方向に沿ってTCPに向けられているように配置される。したがって、関連する位置の値に対して、角度Rzによる補正は必要ではなく、よって、位置信号の評価が簡単になる。
【0038】
第4の実施例
図11は第4に実施例を示しており、該第4の実施例においては、測定されるべき部品Wはもはや固定TCPに対して相対的に移動されない。むしろ、測定されるべき部品Wは固定基準部分B上に存在し、ツール又はTCPは物体Oと共に移動される。基本的な計算は上記と同じように行われるが、TCPの位置(XTCP、YTCP)はもはや一定ではなく、テーブル位置と共に変化する。この実施例においては、第4のスケールは必要ない。その代わりに、スケールM3は3つの走査ヘッドAKX3、AKY3及びAKY4によって走査される。横方向トラックTT上で走査する両方の走査ヘッドAKY3及びAKY4は、中間部分Fに対して相対的な物体OのY位置を測定するのみならず、付随する回転RzO−Fをもまた測定する。上記の実施例と同様に、走査ヘッド及びTCPのZ方向における全ての有効測定点は同じ高さにある。
ZNP,X1=ZNP,Y1=ZNP,X2=ZNP,Y2=ZNP,X3=ZNP,Y3=ZNP,Y4=ZTCP
したがって、中間部分Fは、少なくとも一部が処理されるべき部品Wに隣接して配置されていなければならない。このような場合にのみ、アッベ条件を保持することが可能である。測定装置及び駆動装置がY方向に対して測定体の上方で移動されるブリッジ形機構の装置は、この条件を満たしていない。
【0039】
第5の実施例
第5の実施例は、第2の実施例と同様に、全ての走査ヘッドAKX1、AKY1、...、AKX4b、AKY4bを支持する中間部分Fを有している。スケールM1及びM2は同様に固定基準部分Bに固定され、一方、スケールM3及びM4は物体Oに装着されている。スケールM3の走査は、ここでは、4つの走査ヘッドAKX3a、AKY3a、AKX3b、AKY3bによって冗長に行われる。この場合、走査ヘッドの対AKX3a及びAKX3b又はAKY3a及びAKY3bはそれぞれ、スケールM3の同じトラックを走査する。1つの対の両方の走査ヘッドは、中間部分Fの中心に対して対称にオフセットされている。したがって、中間部分Fに対して相対的な物体Oの中央のX位置内においては、一対の両方の走査ヘッドがスケールM3を走査可能であり、外側の位置においては、スケールM3はそれぞれここでは一対の走査ヘッドの1つのみにより走査が実行可能であるにすぎない。これにより、スケールM3の制限された長さにおいて、X方向の測定領域は、ほぼ走査ヘッドの両方の対AKX3a及びAKX3b又はAKY3a及びAKY3bの間隔だけ、スケールM3の長さより大きい値まで拡大されている。
【0040】
物体Oの反対側において、同様に、スケールM4が走査ヘッドの対(AKX4a、AKx4b)及び(AKY4a、AKY4b)によって走査される。物体位置(XO−B、YO−B、RzO−B)の決定は式10〜式12を用いて同様に行われ、この場合、付属のスケールに向かい合いかつこれを走査可能な冗長な走査ヘッド対の走査ヘッドがそれぞれ選択される。物体Oの中央のX位置において両方の走査ヘッドが関連するスケールを走査可能なとき、物体位置(XO−B、YO−B、RzO−B)を二重に決定し、その結果を平均するようにしてもよい。
【0041】
全てのエンコーダの有効測定位置のZ方向の位置(Z位置)は、この実施例においても同様に、TCPのZ位置と一致する。これは、全ての走査ヘッドのZ位置が測定体Wの上方に突出し且つスケールがTCPと同じレベルとされることにより実現される。この実施例の特別の利点として、物体Oの可能な各位置における走査ヘッドとツールとの衝突が排除可能である。このために、図12に示すように、スケールM3及びM4を走査する走査ヘッドは、線GG′又はHH′がX方向におけるツールの寸法をマークする場合、線GG′の左側又は線HH′の右側のいずれかに存在していなければならない。
【0042】
他の指針
図示された全ての実施例は、1DプラスエンコーダM1、M2、M3、M4及びそれらのスケールが、構造的に、第1及び第2の方向であるX方向及びY方向に広がる平面であって、ツール中心点を含む平面へのそれらの投影が、XYテーブルの全走行内領域で部品の外側に存在するように配置されている点において共通である。このように配置することにより、良好なアッベ条件の持続が可能となる。その理由は、このようにすることにより、1Dプラスエンコーダの全てのスケール又は有効測定位置をZ方向においてもツール中心点と一致させることが可能であるからである。1つのエンコーダが横ビームに配置されているブリッジ形構造は、該構造を作業領域内したがって部品W上に投影し、エンコーダは常に、部品Wの上方したがってツール中心点TCPの上方に位置するので、この条件を満たすことはできない。
本発明の範囲内において、実施形態の種々の要素が異なる形に組み合わされてもよいことは当然である。
【0043】
1Dプラスエンコーダの代わりに、同様に二次元の位置測定を可能にする、二次元測定交差格子エンコーダを使用してもよい。本明細書に記載の適用に対しては、面積の大きい交差格子は必要ではなく、一方向にのみ伸長され且つこの方向に対して横方向には小さな測定領域のみを可能にする交差格子を必要とするにすぎない。即ち、図2に示す1Dプラススケールとして、その両方の目盛トラックTL及びTTが組み合わされるか又は重ね合わされた交差格子が想定されてもよい。このような交差格子は、冒頭に記載の面積の大きい交差格子よりも製造コストが低い。本出願において、用語「1Dプラスエンコーダ」は、このような交差格子を有するエンコーダもまた含んでいる。
【0044】
固定TCP(実施例1、2、3及び5)及び物体Oと共に移動されるTCP(実施例4)の他に、さらに、TCPが基準体Bに対してのみならず物体Oに対してもまた移動する実施例も可能である。基本的に、式10〜式12を用いた本発明による位置決定は、この場合に対しても使用可能である。
【0045】
機械要素から伝達されたり又は加速力によって導かれたりする機械振動の影響を最小にするために、走査ヘッドを、関連する測定フレーム要素の妨害振動モードの節点に位置決めすることが好ましい。これにより、走査ヘッドへの機械振動の伝達が最小にされるので、測定精度が上昇される。
【0046】
さらに、測定フレーム要素B、F、Oと付属の力フレーム要素B′、F′、O′との間に種々の減結合要素EB−B′,n、EF−F′,n及びEO−O′,nを使用してもよい。固体要素の他に、例えば溝に対してばねにより圧着されるボールのような機械的接触手段もまた使用可能である。ローレンツアクチュエータは、振動遮断特性が極めて良好であり、かつ追加の調節もまた可能にするので、該アクチュエータの使用が有効である。
本発明による物体Oの位置決定のきわめて高い再現性のみならず、きわめて高い精度をも達成可能にするために、位置決定は校正されなければならないが、文献から種々の校正方法が既知である。
【0047】
全ての実施例において、それぞれ並列に配置された2つのスケールの代わりに、1つの1Dプラススケールのみが使用されてもよい。ただし、このとき、1Dプラススケールは、第3の実施例においてと同様に、3つの走査ヘッドによって走査されなければならない。この場合、3つの走査ヘッドの2つは横方向目盛TTを走査する。これらの両方の走査ヘッドの間隔は、本発明による回転Rzの決定に対して十分な精度を達成するために、できるだけ大きくすべきである。
【0048】
Z方向においてエンコーダの有効測定点を測定体と同じ高さにするために、エンコーダの一部がZ方向に測定体より上方に突出していなければならない。これにより、ツールとの衝突の回避を達成することが困難になる。したがって、エンコーダの構成要素がもはや測定体の上方に突出しないように、エンコーダの構成要素をZ方向に下方にシフトさせることが有効な場合がある。これにより発生する約20mmのアッベ間隔は、たいていの場合、許容可能な範囲である。
線形ガイドに対する典型的なガイド誤差は、約1〜10マイクロ・ラジアンである。Z方向における10mmのアッベ間隔は、このとき、10〜100nmの測定誤差を導く。100nmを許容測定誤差とみなした場合、アッベ間隔は最大10mmであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
AL、AT、AKX1、AKX2、AKX3、AKX4、AKY1、AKY2、AKY3、AKY4、AKα、AKβ,1、AKβ,2 走査ヘッド
B 基準部分
DZ、ΔZM アッベ間隔
EB−B′,n、EF−F′,n、EF−F′,n、EO−O′,n 減結合要素
F 中間部分
LO′−F′,n、LF′−B′,n、LO′−B′,n ガイド要素
LMn リニアモータ
M スケール
M1、M2、M3、M4 1Dプラスエンコーダ(1Dプラススケール)
O 物体
TCP ツール中心点(物体位置)
TL ツール
TL 縦方向トラック(縦方向目盛)
TT 横方向トラック(横方向目盛)
Tα、Tβ V形状目盛
W 部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決定用測定装置を備えたXYテーブル装置であって、
固定基準部分(B)と、該基準部分(B)に対して相対的に第1の方向(Y)に移動可能に保持されている中間部分(F)と、
該中間部分(F)に対して相対的に第2の方向(X)に移動可能に保持されている物体(O)と、
第1の方向(Y)に対して、基準部分(B)と中間部分(F)との間の全ての平面内自由度(X、Y、Rz)を測定するための少なくとも1つの1Dプラスエンコーダ(M1、M2)と、
第2の方向(X)に対して、物体(O)と中間部分(F)との間の全ての平面内自由度(X、Y、Rz)を測定するための少なくとも1つの1Dプラスエンコーダ(M3、M4)と
を含み、処理されるべき部品(W)が物体(O)又は基準部分(B)の上に配置され、部品(W)又は物体(O)におけるツール中心点(TCP)の位置が測定可能である、位置測定用測定装置を備えたXYテーブル装置において、
1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、構造的に、第1及び第2の方向(Y、X)に広がる平面であって、ツール中心点(TCP)を含む平面内へのそれらの投影が、XYテーブルの全走行領域内で部品(W)の外側に存在するように配置されている
ことを特徴とする位置決定用測定装置を備えたXYテーブル装置。
【請求項2】
請求項1記載のXYテーブル装置において、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、第1及び第2の方向(Y、X)に直交する第3の方向(Z)に関するそれらの有効測定位置がほぼ同じ高さに存在するように配置されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項3】
請求項2記載のXYテーブル装置において、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、第3の方向(Z)に関するそれらの有効測定位置及びツール中心点(TCP)がほぼ同じ高さに存在するように配置されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のXYテーブル装置において、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、第3の方向(Z)に関するそれらの有効測定位置がツール中心点(TCP)から10mmを超えて離れていないことを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のXYテーブル装置において、第1及び第2の方向(Y、X)の少なくともいずれかに対して、部品(W)の対面する2つの側にそれぞれ、2つの走査ヘッド(AKX1、AKY1、AKX2、AKY2、AKX3、AKY3、AKX4、AKY4)によって走査される1つの1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)が存在し、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)はそれぞれ、基準部分(B)、中間部分(F)及び物体(O)のいずれかに固定されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載のXYテーブル装置において、第1及び第2の方向(Y、X)の少なくともいずれかに対して、3つの走査ヘッド(AKX3、AKY3、AKY4)によって走査される1Dプラスエンコーダ(M3)が設けられ、該1Dプラスエンコーダ(M3)は、基準部分(B)、中間部分(F)及び物体(O)のいずれかに固定されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載のXYテーブル装置において、基準部分及び中間部分及び物体の少なくともいずれかが、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4、AK)の構成要素を支持する測定フレーム要素(B、F、O)と、力を発生する要素を支持する力フレーム要素(B′、F′、O′)とから構成されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項8】
請求項7記載のXYテーブル装置において、力フレーム要素(B′、F′、O′)が、それぞれの測定フレーム要素(B、F、O)から減結合要素(EB−B′,n、EF−F′,n、EO−O′,n)によって分離されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項9】
請求項8記載のXYテーブル装置において、減結合要素(EB−B′,n、EF−F′,n、EO−O′,n)は、それぞれの力フレーム要素(B′、F′、O′)及び測定フレーム要素(B、F、O)間の動的結合を形成することを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかに記載のXYテーブル装置において、1Dプラススケール(M3)が物体(O)の中央位置において冗長に相互に間隔配置された2つの走査ヘッド対(AKX3a/AKY3a、AKX3b/AKY3b)によって走査され、かつ、外側位置において該走査ヘッド対のそれぞれ1つのみによって走査され、これにより、1Dプラススケール(M3)の長さより大きい範囲まで測定可能としたことを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項11】
請求項10記載のXYテーブル装置において、両方の走査ヘッド対(AKX3a/AKY3a、AKX3b/AKY3b)の間隔がツール(TL)の寸法より大きく設定され、これにより、物体(O)の各位置において、走査ヘッド(AKX3a/AKY3a、AKX3b/AKY3b)とツール(TL)との衝突が防止されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項12】
請求項1〜11いずれかに記載のXYテーブル装置において、1Dプラススケール(M)が、測定方向(X)に直交及び平行する方向にそれぞれ伸長する目盛構造(TL、TT)を有することを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項13】
請求項1〜12いずれかに記載のXYテーブル装置において、1Dプラススケール(M)が、第1の測定方向(X)に対して異なる角度(α、β)に傾けられている目盛構造(Tα、Tβ)を有することを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項14】
請求項12又は13記載のXYテーブル装置において、目盛構造が相互に交差格子の形に配置されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項15】
請求項1〜14いずれかに記載のXYテーブル装置において、熱膨張を補正するために、向かい合う走査ヘッド(AKY1、AKY2)によって冗長に位置が測定されることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項1】
位置決定用測定装置を備えたXYテーブル装置であって、
固定基準部分(B)と、該基準部分(B)に対して相対的に第1の方向(Y)に移動可能に保持されている中間部分(F)と、
該中間部分(F)に対して相対的に第2の方向(X)に移動可能に保持されている物体(O)と、
第1の方向(Y)に対して、基準部分(B)と中間部分(F)との間の全ての平面内自由度(X、Y、Rz)を測定するための少なくとも1つの1Dプラスエンコーダ(M1、M2)と、
第2の方向(X)に対して、物体(O)と中間部分(F)との間の全ての平面内自由度(X、Y、Rz)を測定するための少なくとも1つの1Dプラスエンコーダ(M3、M4)と
を含み、処理されるべき部品(W)が物体(O)又は基準部分(B)の上に配置され、部品(W)又は物体(O)におけるツール中心点(TCP)の位置が測定可能である、位置測定用測定装置を備えたXYテーブル装置において、
1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、構造的に、第1及び第2の方向(Y、X)に広がる平面であって、ツール中心点(TCP)を含む平面内へのそれらの投影が、XYテーブルの全走行領域内で部品(W)の外側に存在するように配置されている
ことを特徴とする位置決定用測定装置を備えたXYテーブル装置。
【請求項2】
請求項1記載のXYテーブル装置において、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、第1及び第2の方向(Y、X)に直交する第3の方向(Z)に関するそれらの有効測定位置がほぼ同じ高さに存在するように配置されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項3】
請求項2記載のXYテーブル装置において、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、第3の方向(Z)に関するそれらの有効測定位置及びツール中心点(TCP)がほぼ同じ高さに存在するように配置されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のXYテーブル装置において、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)は、第3の方向(Z)に関するそれらの有効測定位置がツール中心点(TCP)から10mmを超えて離れていないことを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のXYテーブル装置において、第1及び第2の方向(Y、X)の少なくともいずれかに対して、部品(W)の対面する2つの側にそれぞれ、2つの走査ヘッド(AKX1、AKY1、AKX2、AKY2、AKX3、AKY3、AKX4、AKY4)によって走査される1つの1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)が存在し、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4)はそれぞれ、基準部分(B)、中間部分(F)及び物体(O)のいずれかに固定されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載のXYテーブル装置において、第1及び第2の方向(Y、X)の少なくともいずれかに対して、3つの走査ヘッド(AKX3、AKY3、AKY4)によって走査される1Dプラスエンコーダ(M3)が設けられ、該1Dプラスエンコーダ(M3)は、基準部分(B)、中間部分(F)及び物体(O)のいずれかに固定されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載のXYテーブル装置において、基準部分及び中間部分及び物体の少なくともいずれかが、1Dプラスエンコーダ(M1、M2、M3、M4、AK)の構成要素を支持する測定フレーム要素(B、F、O)と、力を発生する要素を支持する力フレーム要素(B′、F′、O′)とから構成されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項8】
請求項7記載のXYテーブル装置において、力フレーム要素(B′、F′、O′)が、それぞれの測定フレーム要素(B、F、O)から減結合要素(EB−B′,n、EF−F′,n、EO−O′,n)によって分離されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項9】
請求項8記載のXYテーブル装置において、減結合要素(EB−B′,n、EF−F′,n、EO−O′,n)は、それぞれの力フレーム要素(B′、F′、O′)及び測定フレーム要素(B、F、O)間の動的結合を形成することを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかに記載のXYテーブル装置において、1Dプラススケール(M3)が物体(O)の中央位置において冗長に相互に間隔配置された2つの走査ヘッド対(AKX3a/AKY3a、AKX3b/AKY3b)によって走査され、かつ、外側位置において該走査ヘッド対のそれぞれ1つのみによって走査され、これにより、1Dプラススケール(M3)の長さより大きい範囲まで測定可能としたことを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項11】
請求項10記載のXYテーブル装置において、両方の走査ヘッド対(AKX3a/AKY3a、AKX3b/AKY3b)の間隔がツール(TL)の寸法より大きく設定され、これにより、物体(O)の各位置において、走査ヘッド(AKX3a/AKY3a、AKX3b/AKY3b)とツール(TL)との衝突が防止されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項12】
請求項1〜11いずれかに記載のXYテーブル装置において、1Dプラススケール(M)が、測定方向(X)に直交及び平行する方向にそれぞれ伸長する目盛構造(TL、TT)を有することを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項13】
請求項1〜12いずれかに記載のXYテーブル装置において、1Dプラススケール(M)が、第1の測定方向(X)に対して異なる角度(α、β)に傾けられている目盛構造(Tα、Tβ)を有することを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項14】
請求項12又は13記載のXYテーブル装置において、目盛構造が相互に交差格子の形に配置されていることを特徴とするXYテーブル装置。
【請求項15】
請求項1〜14いずれかに記載のXYテーブル装置において、熱膨張を補正するために、向かい合う走査ヘッド(AKY1、AKY2)によって冗長に位置が測定されることを特徴とするXYテーブル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−516822(P2011−516822A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547172(P2010−547172)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051935
【国際公開番号】WO2009/103743
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(501232827)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲーエムベーハー (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051935
【国際公開番号】WO2009/103743
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(501232827)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲーエムベーハー (24)
【Fターム(参考)】
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