位置計測装置及び方法、露光装置並びにデバイス製造方法
【課題】アライメントマークの位置を計測する時間の短さの点で有利な位置計測装置の提供。
【解決手段】位置計測装置の制御部は、撮像系のテレセントリシティに関する情報を予め記憶し、基板に形成された複数のアライメントマークのうち少なくとも1つに関して、ステージの位置制御により撮像系に対するフォーカス調整を行って撮像系に撮像を行わせ、撮像によるアライメントマークの信号に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求め、フォーカス調整のなされた少なくとも1つのアライメントマークに関して、基板表面の第1の位置を検出系に検出させ、他のアライメントマークに関して、フォーカス調整を行わずに、撮像系に撮像を行わせ、かつ基板表面の第2の位置を検出系に検出させ、撮像によるアライメントマークの信号と第1の位置と第2の位置とテレセントリシティに関する情報とに基づいて、X−Y平面に平行な面における位置を求める。
【解決手段】位置計測装置の制御部は、撮像系のテレセントリシティに関する情報を予め記憶し、基板に形成された複数のアライメントマークのうち少なくとも1つに関して、ステージの位置制御により撮像系に対するフォーカス調整を行って撮像系に撮像を行わせ、撮像によるアライメントマークの信号に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求め、フォーカス調整のなされた少なくとも1つのアライメントマークに関して、基板表面の第1の位置を検出系に検出させ、他のアライメントマークに関して、フォーカス調整を行わずに、撮像系に撮像を行わせ、かつ基板表面の第2の位置を検出系に検出させ、撮像によるアライメントマークの信号と第1の位置と第2の位置とテレセントリシティに関する情報とに基づいて、X−Y平面に平行な面における位置を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置計測装置及び方法、露光装置並びにデバイス製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの製造に用いられる縮小投影露光装置では、更なる解像力の向上に向けて、光学系の開口数(NA)の拡大や、露光波長の短波長化等が図られている。そして、近年の縮小投影露光装置では、投影光学系の色収差の影響を受けないオフアクシスアライメント検出系(OA検出系)が用いられている。
【0003】
このような縮小投影露光装置を用いた露光工程では、シリコンウエハの裏面側に形成されたアライメントマークの位置に基づいて表面側に露光する場合がある。この工程は、例えば、ウエハの表面側から貫通ビアを形成し、裏面側の回路パターンと導通させる場合に実施される。ウエハの裏面側に形成されたアライメントマークを検出する方法として、特許文献1は、ウエハチャックの下に配置された検出系によりアライメントマークの検出を実施するリソグラフィー装置を開示している。しかしながら、この方式では、ウエハチャックの特定位置に形成された穴からアライメントマークを検出する。よって、ウエハ上の任意の位置に配置されたアライメントマークを検出することができない。
【0004】
これに対して、シリコンが赤外光(波長1000nm以上)に対して透過性を有する性質を利用し、赤外光源を含むOA検出系により、シリコンウエハの表面側から裏面側にあるアライメントマークを検出する方法がある。しかしながら、この方法は、検出光学系のテレセントリシティまたはテレセントリック性(光軸と主光線との平行度、または、それらのなす角度)に注意を要する。アライメントマークが形成された面に対して検出光線(主光線)が垂直でないと、検出光学系の視野内におけるアライメントマークの位置は、当該光軸の方向におけるアライメントマークの位置(デフォーカス量)によって変動する。例えば、図11(a)に示すように、検出光線が傾いている場合、+側に+D(μm)のデフォーカスでΔ1、−側に−D(μm)のデフォーカスでΔ2というように、アライメントマークAMの位置の計測値がずれる。即ち、アライメントマークAMの位置の計測誤差は、+側では1μmデフォーカス当たり「Δ1/+D」、−側では1μmデフォーカス当たり「Δ2/−D」だけ、デフォーカス量に対して依存性を有する。したがって、この状態でアライメントマークAMの位置を計測すると、デフォーカス量のばらつきが計測値のばらつきとなり、計測再現性の劣化を引き起こす。そこで、このような検出光学系のテレセントリシティによるデフォーカス特性(デフォーカスによる位置計測誤差)を抑えるために、図11(b)に示すように、アライメントマークが形成された面と検出光線とを垂直に近づける必要がある。
【0005】
特許文献2は、照明系の瞳面上において、位置検出方向では通過光量の変化がなく、該瞳面の周辺部では通過光量を調整することができる光学部材を備えることにより、デフォーカス特性を極力抑えた位置検出装置を開示している。また、特許文献3は、計測方向である2方向(X軸、Y軸の方向)に関して検出光線の傾きをそれぞれ独立して調整できるようにした位置検出装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−280299号公報
【特許文献2】特開平10−22211号公報
【特許文献3】特開2003−142375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したデフォーカスによるアライメント計測誤差は、特許文献2、3のようにデフォーカス特性の調整により低減することができるが、調整機構が必要となる。また、デフォーカス特性がある場合でも、ベストフォーカスで計測すれば、計測誤差を低減することができるが、計測対象のすべてのマークに対してベストフォーカスになるよう調整すると、計測に要する時間が長くなって露光装置のスループットが低下する。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、アライメントマークの位置を計測する時間の短さの点で有利な位置計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、基板を保持してX−Y−Z直交座標系のX軸・Y軸・Z軸それぞれの方向に可動のステージと、基板に形成されたアライメントマークを撮像する撮像系と、基板の表面のZ軸方向における位置を検出する検出系と、ステージと撮像系と検出系とを制御してアライメントマークのX−Y平面に平行な面における位置を求める制御部とを有する位置計測装置であって、制御部は、撮像系のテレセントリシティに関する情報を予め記憶し、基板に形成された複数のアライメントマークのうち少なくとも1つのアライメントマークに関して、ステージの位置の制御により撮像系に対するフォーカス調整を行って撮像系に撮像を行わせ、該撮像により得られたアライメントマークの信号に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求め、フォーカス調整のなされた少なくとも1つのアライメントマークに関して、基板の表面の位置(第1の位置)を検出系に検出させ、複数のアライメントマークのうち他のアライメントマークに関して、フォーカス調整を行わずに、撮像系に撮像を行わせ、かつ基板の表面の位置(第2の位置)を検出系に検出させ、該撮像により得られたアライメントマークの信号と第1の位置と第2の位置とテレセントリシティに関する情報とに基づいて、X−Y平面に平行な面における位置を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、アライメントマークの位置を計測する時間の短さの点で有利な位置計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る位置計測装置の構成を示す概略図である。
【図3】ベースライン計測を実施する構成要素の位置関係を示す概略図である。
【図4】第1実施形態に係る位置計測装置とアライメントマークとの関係図である。
【図5】第1実施形態に係るフォーカス位置差算出を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係るデフォーカス特性を示すグラフである。
【図7】第2実施形態に係るウエハとアライメントマークとの関係図である。
【図8】第3実施形態に係るウエハの構造を示す概略図である。
【図9】第3実施形態に係るウエハとアライメントマークとの関係図である。
【図10】第3実施形態に係るフォーカス位置差算出を示すフローチャートである。
【図11】デフォーカス特性を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面等を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、本発明の位置計測装置(方法)を適用する露光装置の構成について説明する。図1は、本発明の露光装置の構成を示す図である。本実施形態における露光装置は、半導体デバイス製造工程に使用され、被処理基板であるウエハに対して露光処理を施す装置であり、ステップ・アンド・スキャン方式を採用した走査露光装置である。なお、本発明を適用する露光装置は、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式を採用した露光装置であってもよい。以下の図において、投影光学系の光軸に平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査露光をするためのウエハの走査方向にY軸を取り、Z軸及びY軸に直交する方向にX軸をとって説明する。露光装置1は、照明光学系2と、レチクル3を保持するレチクルステージ4と、投影光学系5と、ウエハ6を保持するウエハステージ7と、露光装置1の各構成要素を制御する制御系(制御部)8とを備える。
【0014】
照明光学系2は、光源10を備え、レチクル3を照明する装置である。光源10としては、例えば、パルスレーザ光源を使用する。使用可能なレーザは、例えば、波長約248nmのKrFエキシマレーザ、波長約193nmのArFエキシマレーザ、波長約157nmのF2エキシマレーザ等である。なお、レーザの種類は、エキシマレーザに限定されず、例えばYAGレーザを使用してもよい。また、レーザの個数も限定されない。また、光源10にレーザが使用される場合、レーザ光源からの平行光束を所望のビーム形状に整形する整形光学系や、コヒーレントなレーザ光をインコヒーレント化するインコヒーレント化光学系を使用することが好ましい。更に、光源10に使用可能な光源は、パルス光源に限定されるものではなく、一又は複数の連続光源(水銀ランプやキセノンランプ等)も使用可能である。
【0015】
ここでは、照明光学系2は、整形光学系11、フライアイレンズ12、コンデンサレンズ13、固定視野絞り14、可変視野絞り15、及びリレーレンズ16を備える。まず、整形光学系11は、光源10から照射された照明光の光束径(形状・サイズ)を規定する光学系である。フライアイレンズ12は、多数の2次光源を形成する光学素子であって、2組のシリンドリカルレンズアレイ板を重ねることによって構成された光学素子、光学ロッド、又は回折要素により置換されてもよい。コンデンサレンズ13は、フライアイレンズ12で形成された2次光源を集光する光学素子である。各視野絞り14、15は、レチクル上の照明領域を規定する絞りである。リレーレンズ16は、レチクル3のパターン形成面と可変視野絞り15とを共役にする光学素子である。なお、図1では、固定視野絞り14は、可変視野絞り15よりもコンデンサレンズ13の側に配置しているが、リレーレンズ16の側に配置してもよい。ここで、露光のオン/オフは、パルス光源を使用する場合には、パルス光源への供給電力の制御により切り換え、連続光源を使用する場合には、照明光学系2内のシャッタにより切り換えうる。あるいは、可変視野絞り15の開閉によって切り換えてもよい。
【0016】
レチクル3は、例えば、石英ガラス製の原版であり、基板に転写されるべきパターンが形成されている。また、レチクルステージ4は、XY方向に移動可能であって、レチクル3を保持及び位置決めするための装置である。走査露光を行う場合、レチクルステージ4は、Y軸方向にスキャン移動する。レチクルステージ4は、移動鏡17を有する。レチクルステージ4の位置は、移動鏡17にレーザビームを投射し、その反射光を受光するレーザ干渉計18によって計測される。
【0017】
投影光学系5は、照明光学系2からの露光光で照明されたレチクル3から射出した露光光により、レチクルに形成されたパターンを所定倍率(例えば、1/4、又は1/5)でウエハ6上に投影する。
【0018】
ウエハ6は、その表面にレジスト(感光剤)が塗布された基板であり、本実施形態における計測対象としてのアライメントマークを含む。ウエハステージ7は、投影光学系5及び後述の位置計測装置に対してX−Y−Z直交座標系のX軸・Y軸・Z軸それぞれの方向に可動する基板保持機構であり、チャック22上に保持されたウエハ6を位置決め(位置合わせ)するための装置である。ここで、走査露光を行う場合、ウエハステージ7は、レチクルステージ4と同様、Y軸方向にスキャン移動する。なお、本実施形態では、レチクルステージ4及びウエハステージ7は、互いに逆方向にスキャン移動する。一方、静止露光を行う装置の場合、レチクルステージ4及びウエハステージ7は、露光中には移動しない。更に、ウエハステージ7は、移動鏡19を有する。ウエハステージ7の位置は、移動鏡19にレーザビームを投射し、その反射光を受光するレーザ干渉計20によって計測される。なお、ウエハステージ7のZ軸の方向における位置を計測するレーザ干渉計を備える場合もある。
【0019】
制御系8は、前述した露光装置の構成要素や後述する露光装置の構成要素の動作を制御する制御手段である。また、制御系8は、後述するマーク検出系21とともに位置計測装置(単に計測装置ともいう)を構成する。この制御系8は、コンピュータを含みうる。また、制御系8は、露光装置1の本体と一体で構成してもよいし、露光装置1の本体の設置場所とは異なる場所に設置してもよい。
【0020】
更に、露光装置1は、オフアクシス方式のマーク検出系(以下、「アライメントマーク検出系」又は「OA検出系」とも表記する)21を備える。図2は、OA検出系21の構成を示す図である。なお、図2において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。OA検出系21は、照明光束ILを導入する照明光源30と、照明/結像系31(撮像系ともいう)と、フォーカス検出系(AF系、又は検出系ともいう)32とを備える。
【0021】
照明光源30は、可視光及び赤外光を射出可能とする光源部である。例えば、ウエハ6の表面側(裏面より表面に十分に近い)のアライメントマークAMを計測する場合は、可視域の波長を使用し、一方、ウエハ6の裏面側(裏面より表面に十分に近くない)のアライメントマークAMを計測する場合は、赤外域の波長を使用する。具体的には、例えば、シリコンウエハは、波長1000nm以上なら透過性を有するので、波長1000nm以上の光をウエハの裏面側アライメントマークの検出用とする。一方、波長1000nm未満の光をウエハの表面側アライメントの検出用とする。波長の切り替えは、例えば、後述の照明系の光路における波長フィルタの切り替え、または、光源自体の切り替えにより行いうる。
【0022】
照明/結像系31は、ウエハ6に形成されたアライメントマークAMをケーラー照明するための照明系と、アライメントマークAMからの反射光を受光して光電変換素子33上に像を形成する結像系とを有する。照明系は、照明光学系34、偏光ビームスプリッタ35、リレーレンズ36、及び対物レンズ37を備える。この照明系は、照明光源30からの光を照明光学系34により偏光ビームスプリッタ35に導き、リレーレンズ36及び対物レンズ37を介してアライメントマークAMを照明する。結像系は、結像光学系38、及び光電変換素子33を備える。結像光学系38は、アライメントマークAMから対物レンズ37、リレーレンズ36、及び偏光ビームスプリッタ35を介して入射する反射光により、光電変換素子33上にアライメントマークAMの像を形成する。光電変換素子33は、例えば、CCDカメラを採用しうる。
【0023】
AF系32は、スリットパターンをウエハ6上に斜め方向から投影し、ウエハ6上のスリット像を光電変換素子上に再結像して得られたスリット像を検出する検出系である。即ち、AF系32は、基板の表面に斜入射する光のパターンを投影し、当該表面における当該パターンの位置を検出する。制御系8は、再結像されたスリット像の位置に基づいてZ軸の方向におけるウエハ6の表面の位置を求めることができる。AF系32は、照明系として、AF照明光源40、照明レンズ41、スリット部材42、AF照明光学系43、ミラー44、第1リレーレンズ45、第2リレーレンズ46、中間結像面絞り47、及びダイクロミックミラー48を備える。AF照明光源40から照射された光ILは、照明レンズ41の作用により、スリット部材42の表面を均一に照明する。スリット部材42に形成された第1開口部(スリット)42aを通過した光FIL(図中実線)は、AF照明光学系43、ミラー44、及び第1リレーレンズ45を介して中間結像面絞り47の開口部に結像し、スリット像を形成する。中間結像面絞り47には、光を反射する反射部47aが部分的に形成されており、スリット42aを通過した光FILの一部は、反射部47aで反射し、第1リレーレンズ45に導光される。一方、中間結像面絞りおよび第2リレーレンズ46を透過した光FILは、ダイクロミックミラー48で反射し、対物レンズ37の瞳面37aで偏心した位置を通過する。そのため、対物レンズ37を通過した光FILは、ウエハ6の表面を斜め方向から照射する入射光となり、スリット42aの像をウエハ6上に形成する。
【0024】
更に、AF系32は、結像系として、開口絞り49、結像レンズ50、光電変換素子51を備える。ウエハ6からの反射光FMLは、瞳面37aにおいて光軸に関して入射光とは反対側を通過し、再度、ダイクロミックミラー48、第2リレーレンズ46、中間結像面絞り47、第1リレーレンズ45、開口絞り49を通過する。開口絞り49を通過した光FMLにより、結像レンズ50は、ウエハ6上に結像したスリット像を光電変換素子51上に再結像する。これにより、制御系8は、ウエハ6の表面のZ軸方向における位置を光電変換素子51上でのスリット像の位置から求めることができる。なお、中間結像面絞り47の反射部47aにて反射された光(図中点線)は、光電変換素子51に導かれ、スリット42aにおける基準スリットの像を光電変換素子51上に形成する。制御系8は、当該基準スリットの像の位置を基準位置としてウエハ6の表面の位置を求める。
【0025】
次に、ウエハ6のアライメント処理に必要なベースライン計測について説明する。図3は、ベースライン計測を実施する露光装置1の構成を示す模式図であり、図3(a)は、レチクルステージ4の平面図であり、図3(b)は、露光装置1の一部の構成要素を省略した側面図である。なお、図3において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。ここで、レチクルステージ4上には、レチクル3の位置決めのための複数のレチクルマーク60と2箇所のレチクル基準プレート61とが形成され、一方のレチクル基準プレート61上には、複数のベースライン計測用マーク62が形成されている。また、ウエハステージ7上には、複数のステージ基準マーク63が形成されている。露光装置1は、まず、ベースライン計測に先立ち、不図示のレチクルアライメント顕微鏡を用いてレチクルマーク60を検出し、レチクルステージ4に対するレチクル3の位置決めを実施する。次に、ベースライン計測の第1工程として、露光装置1は、アライメント顕微鏡64を用いて、投影光学系5を介して、ベースライン計測用マーク62とステージ基準マーク63との相対位置を検出する。次に、第1工程の終了後、露光装置1は、第2工程として、ウエハステージ7を移動させることにより、ステージ基準マーク63をOA検出系21の観察領域に合わせる。その後、露光装置1は、ステージ基準マーク63とOA検出系21内の基準マークとの相対位置を検出する。最終的に、露光装置1は、第1工程と第2工程との検出結果に基づいてベースライン量の算出を行う。このベースライン計測により、露光装置1は、露光領域内の基準点(例えば中心点)に対するOA検出系21の検出領域の基準点(例えば中心点)のオフセット量(ベースライン量)を求めることができる。その結果、OA検出系21を用いてウエハ6に対するアライメント計測を実施することにより、ウエハ6上のショット領域(被露光領域)を露光装置1の露光領域(レチクルのパターンの投影像)にアライメントすることができる。
【0026】
次に、OA検出系21を使用したアライメント計測において、デフォーカス量を計測してアライメント計測値を補正する方法について説明する。図4は、本実施形態に係るOA検出系21とアライメントマークAMが形成されたウエハ6との関係を示す図である。なお、図4において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。ウエハ6は、図4(a)に示すように、ウエハステージ7上のチャック22に載置され、その表面には、ウエハ中心を挟んで間隔Lで第1及び第2アライメントマークAM11・AM12が形成されている。更に、ウエハ6の表面には、レジスト70が塗布されている。ここで、ウエハ6の表面形状、アライメントマークAMの状態、又はレジスト70の塗布条件等により、レジスト70の膜厚分布は均一とはならない。そこで、ここでは、図4に示すように、レジスト70に塗布ムラがあって、レジスト70の表面に一定の傾きがあると仮定する。
【0027】
まず、本実施形態に係るフォーカス位置差の算出方法について説明する。図5は、フォーカス位置差の算出方法の流れを示すフローチャートである。OA検出系21(AF系32)は、制御系8からの指示に基づいてフォーカス位置の計測を開始する。まず、OA検出系21は、図4(a)に示すように、第1アライメントマークAM11を計測対象とする。このとき、OA検出系21は、制御系8がウエハステージ7をZ軸の方向に微小移動させることを含む移動AF計測を実施する。ここで、OA検出系21は、光電変換素子33の信号に基づいて第1アライメントマークAM11にフォーカスが合う状態(ベストフォーカス状態)になるようにウエハステージ7の位置を調整する(ステップS501)。この状態で、次に、AF系32を用いて第1アライメントマークの形成位置に対応する基板表面領域のZ軸の方向における第1の位置(第1表面位置)を計測する(ステップS502)。次に、制御系8は、OA検出系21の計測対象を第2アライメントマークAM12に変更するために、ウエハステージ7のZ軸の方向における位置を保持しつつ、ウエハステージ7を間隔Lの距離分X―Y平面に平行に移動させる(ステップS503)。このとき、OA検出系21による第2アライメントマークAM12の計測状態は、図4(b)に示すように、レジスト70の表面の傾きに起因してデフォーカス状態となる。この状態で、次に、AF系32を用いて第2アライメントマークAM12の形成位置に対する基板表面領域のZ軸の方向における第2の位置(第2表面位置)を計測する(ステップS504)。そして、制御系8は、第1表面位置と第2表面位置との差ΔZを算出する(ステップS505)。なお、ここで「基板」と表記しているものは、ウエハ6とレジスト70とを組み合わせたものを示しており、本実施形態における「基板表面」とは、レジスト70の表面である。
【0028】
次に、上記位置差ΔZに基づいて、第2アライメントマークの位置(X座標及びY座標の少なくとも一方)に関する計測値を補正する2つの方法(ステップS506・S507)について説明する。図6は、OA検出系21のデフォーカス特性、ここでは、ウエハステージ7の位置(例えば、X座標。レジストの膜厚の変化によるデフォーカス量に対応)に対するアライメントマークの計測値(例えば、X座標)のシフト量(計測誤差)の変化を示すグラフである。図6において、実線は、OA検出系21のテレセントリシティ、即ち、検出光線の傾き(X軸方向の位置を求める場合、XZ平面に平行な面におけるZ軸に平行な直線に対する傾き)をαとした場合の、OA検出系21による実測値の変化を示している。一方、一点鎖線は、上記実測値を線形近似した結果である。まず、第1の補正方法は、図6に例示したような近似式を用いて、図5に示す工程で算出した位置差ΔZ又は第1表面位置及び第2表面位置からデフォーカスによるシフト量を求めるものである。即ち、このシフト量を補正値として第2アライメントマークAM12の位置計測値を補正するものである。ここで、図6に示すようなデフォーカス特性(デフォーカス量とシフト量との関係)に関する情報は、OA検出系21の特性やレジスト70の種類等の種々の条件により変化する。そこで、アライメント計測対象のウエハ6を用いて予め取得し、制御系8内に記憶させておくことが望ましい。このとき、アライメント対象のウエハ6を用いてデフォーカス特性を取得しておくことが困難な場合は、図3に示すステージ基準マーク63を用いて取得した特性を代用してもよい。この場合、例えば、ウエハステージ7のZ軸方向における位置(デフォーカス量)を変化させたときのシフト量を求めればよい。
【0029】
次に、第2の補正方法は、図6に示すデフォーカス特性からOA検出系21の特性値を求め、当該特性値と位置差ΔZとから補正値を得るものである。具体的には、まず、図6に示すようなデフォーカス特性のデータからOA検出系21の検出光線の傾き(X軸方向の位置を求める場合は、X―Z平面に平行な面におけるZ軸に平行な直線に対する傾き)を求める。なお、本実施形態では、図6に示すようなデフォーカス特性のデータを線形近似して傾きαを求める。ここでは、例えば、基板表面からアライメントマークAMまでの層の材質(媒質)、即ち、レジスト70の絶対屈折率をn1とし、該絶対屈折率n1とは異なるOA検出系21と基板表面との間の材質(媒質)、即ち、空気の絶対屈折率をn0とする。このとき、空気中から絶対屈折率n1・厚みΔの物質(本実施形態ではレジスト70)に光が入射した場合、フォーカスは、Δ×(1−n0/n1)の量だけ延びる。そこで、第2アライメントマークAM12に関する補正値ΔL(図4(b)参照)は、(数1)を用いて算出する。第2アライメントマークAM12の位置計測値は、この補正値ΔLで補正すればよい。
【0030】
【数1】
【0031】
なお、上記の(数1)は、アライメントマークの上に絶対屈折率nの異なる複数の層が形成されている場合にも適用可能である。ここで、OA検出系21とアライメントマークとの間の各層の絶対屈折率をnk(kは、ゼロ以上、N以下の整数、Nは層数)とし、基板表面とアライメントマークAMとの間の各層に関する表面位置差をΔZkとする。このときの補正値ΔLは、(数2)で表される。(数2)を用いれば、任意の層に形成されたアライメントマークに対して、その位置計測値を補正することができる。
【0032】
【数2】
【0033】
第1アライメントマークAM11以外のアライメントマークAMに対しては、以上に説明した補正方法により位置計測値を補正すればよく、フォーカス調整は行わずに済む。このため、本実施形態によれば、アライメントマークの位置を計測する時間の短さの点で有利な位置計測装置を提供することができる。したがって、ウエハ6上のレジスト70に塗布ムラが発生している場合でも、迅速、かつ、高精度にアライメント計測を実施することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、アライメントマークAMの個数を2つとしたが、本発明はこれに限定されない。3つ以上のアライメントマークを計測する場合は、例えば、1つのアライメントマークに対して図5におけるステップS501・S502を実施し、それ以外の2つ以上のアライメントマークそれぞれに対しては、ステップS503〜S506を実施すればよい。また、以上の説明では、図6に示したようにデフォーカス特性が線形である場合を例示したが、本発明は、これには限定されず、デフォーカス特性が非線形である場合にも適用可能である。
【0035】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る位置計測装置(方法)について説明する。本実施形態の計測装置は、OA検出系21を使用し、チャック22の表面の傾き(形状)も考慮して、アライメントマークの位置計測値を補正するものである。図7は、本実施形態に係るアライメントマークAMが形成されたウエハ6の状態を示す図である。なお、図7において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態においても、ウエハ6は、図7に示すように、ウエハステージ7上のチャック22に載置(保持)され、表面には、ウエハ中心を挟んで間隔Lで第1及び第2アライメントマークAM21・AM22が形成されている。また、ウエハ6の表面にはレジスト70が塗布されており、第1実施形態と同様に、レジスト70の表面には一定の傾き(膜厚分布)を有しているものとする。更に、本実施形態では、チャック22の表面は、ウエハステージ7の走査面(X−Y平面に平行な平面)に対して角度βだけ傾きを有すると仮定する。この場合、第1実施形態で示した方法を用いて第1アライメントマークAM21の計測に続いて第2アライメントマークAM22の計測を実施すると、チャック22の表面(ウエハ吸着面)の傾きに起因して、更なる基板表面位置の差が発生する。即ち、第1アライメントマークAM21と第2アライメントマークAM22との間のX軸方向の間隔をLとすると、第2アライメントマークAM22を計測する場合のレジスト70の厚みは、L×sinβだけ長くなる。
【0036】
そこで、本実施形態では、まず、第1実施形態と同様に、図5のフローチャートに示す方法で第1アライメントマークAM21の形成位置と第2アライメントマークAM22の形成位置とにそれぞれ対応する2つの基板表面位置の差ΔZ2を算出する。したがって、第1アライメントマークAM21の上のレジスト厚と第2アライメントマークAM22の上のレジスト厚との差ΔZ2´は、(数3)で表される。
【0037】
【数3】
【0038】
即ち、チャック22の傾きまたは変形を伴う本実施形態では、上述のΔZ2´から補正値を算出し、アライメントマークAM22の位置計測値を当該補正値で補正すればよい。なお、本実施形態では、チャックの表面の位置を線形近似したが、本発明は、これには限定されず、例えば、スプライン関数(曲線)で面形状を近似して求めてもよい。本実施形態によれば、チャックの表面がウエハステージの走り面と平行な平面とみなせない場合において、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0039】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る位置計測装置(方法)について説明する。本実施形態の計測装置は、OA検出系21を使用し、ウエハ6の裏面側に形成されたアライメントマークAMを計測するものである。特に、本実施形態では、ウエハ6のシリコン層の厚みが変化している場合、即ち、複数のアライメントマークを被覆するレジストの厚みが、その位置により互いに異なる場合について説明する。図8は、本実施形態に係るアライメントマークAMが形成されたウエハ6の構成を示す図である。ウエハ6は、シリコン層6aとガラス層6bとで構成され、該シリコン層6aとガラス層6bとは、接着剤又はオプティカルコンタクト等により互いに接着されている。シリコン層6aの表面には、レジスト70が塗布されている。また、シリコン層6aの裏面には、4カ所にアライメントマークAM31〜34が形成されている。これらのアライメントマークAMは、金属等の物質で構成されており、シリコン層6aとガラス層6bとの間に閉じ込められた状態で配置される。OA検出系21は、このアライメントマークAMに対して赤外光を照射し、アライメントマークAMからの反射光を検出することで位置を計測する。また、チャック22は、ウエハ6を真空吸着にて保持する基板保持装置を構成し、本実施形態では、ウエハ6と接する面に赤外光を反射しない反射防止膜22aを備えた2層構造とする。反射防止膜22aは、チャック22の表面で反射した赤外光が迷光となってアライメントマークAMの画像の画質を劣化させることのないようにするための膜である。この場合、反射防止膜22aは、チャック22と一体に形成してもよい。また、チャック22の赤外光による温度上昇を抑えるための冷却器や温度センサを備え、チャックの熱膨脹を介してウエハ6が熱膨張しないようにする構成としてもよい。
【0040】
ここで、上記のような貼り合わせウエハ6は、シリコン層6aとガラス層6bとの接合面で生じるバイメタル効果により変形する場合がある。また、シリコン層6aとガラス層6bとは、共に単体で厚みムラが発生している場合がある。図9は、図8に示したウエハ6において、シリコン層6aとガラス層6bとの厚みが、チャック22の表面の各位置で変化している場合のアライメントマークAMの位置関係を示す図である。ここでは、ウエハステージ7の走り面、チャック22の表面、及びレジスト70の表面は、互いに平行であると仮定する。図9(a)は、透過斜視図であり、平面A(面A)は、シリコン層6aとガラス層6bとの接合面を示す。ここで、平面Aは、Z軸に垂直ではなく、Z軸に対して傾いている。また、平面A上には、ウエハ6の中心点を中心とする円周上に均等な角度間隔で、又はそれに近い配置で、アライメントマークAM31〜AM34が形成されている。図9(b)及び図9(c)は、それぞれ、図9(a)のX−Z断面及びY−Z断面を示す断面図である。ここで、図9(b)及び図9(c)に示すように、X−Y平面に対してウエハ6の表面には傾きが発生しておらず、アライメントマークAM31〜AM34が形成されている平面Aが傾いている。そこで、本実施形態では、アライメントマークAMが形成されている面AのZ軸方向の位置を計測し、それに基づいてアライメントマークの位置計測値を補正する。
【0041】
図10は、本実施形態に係る位置差を求める流れを示すフローチャートである。OA検出系21は、制御系8からの指示に基づいて計測を開始する。まず、OA検出系21は、第1A、第1B及び第1CアライメントマークAM31〜AM33の3つのマークを計測対象として、第1A〜1CアライメントマークAM31〜AM33それぞれに対してフォーカス調整を実施する(ステップS1001)。このとき、制御系8は、ウエハステージ7のZ軸方向の位置を変化させて各アライメントマークに対してフォーカス調整を行う。次に、AF系32を用いて、第1A〜1CアライメントマークAM31〜AM33それぞれに対して、対応する基板表面領域のZ軸方向の位置(第1A〜1Cフォーカス位置)を計測する(ステップS1002)。このとき、制御系8は、ウエハステージ7を走査面(X−Y平面)に平行に移動させる。次に、制御系8は、ステップS1001・S1002での計測結果に基づいて、面Aの形状(面AのZ軸方向位置)を算出する(ステップS1003)。次に、制御系8は、計測対象を第2アライメントマークAM34に変更し、第2アライメントマークAM34がOA検出系21の直下に位置するようにウエハステージ7を移動させる(ステップS1004)。ここでも、制御系8は、ウエハステージ7を走査面(X−Y平面)に平行に移動させる。次に、AF系32を用いて、第2アライメントマークAM34の形成位置に対応した基板表面領域のZ軸方向の位置(第2フォーカス位置)を計測する(ステップS1005)。次に、制御系8は、ステップS1003にて算出した面Aの形状に基づいて、第2アライメントマークAM34のZ軸方向の位置を算出する(ステップS1006)。次に、制御系8は、第1A〜1CアライメントマークAM31〜33のうち少なくとも1つの形成位置と第2アライメントマークAM34の形成位置とにそれぞれ対応した基板表面領域のZ軸方向の位置の差ΔZ3を算出する(ステップS1007)。次に、制御系8は、当該位置差ΔZ3と面Aの形状(面AのZ軸方向の位置)とからデフォーカス量を求める。最終的に、制御系8は、当該デフォーカス量と第1実施形態で説明したようなOA検出系21のデフォーカス特性とから第2アライメントマークAM34の位置計測値に対する補正値を求めればよい(ステップS1008・S1009)。なお、ここで「基板」と表記しているものは、シリコン層6a、ガラス層6b、及びレジスト70を組み合わせたものを指し、本実施形態における「基板表面」は、レジスト70の表面である。このように、本実施形態によれば、図8に示したような貼り合わせウエハ6を対象とする場合でも、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
なお、本実施形態では、チャック22がウエハステージ7の走査面に対して傾いていないと仮定したが、傾いている場合には第2実施形態の計測方法を採用すればよい。また、本実施形態では、アライメントマークAMの個数を4つとしたが、5つ以上のアライメントマークを計測する場合にも本実施形態の方法を適用できることは自明である。また、本実施形態では、シリコン層6aとガラス層6bとの接合面を平面とみなせる場合を例示したが、接合面が所定の関数で近似しなければならないような曲面であっても本実施形態の方法を適用できることは自明である。
【0043】
(デバイス製造方法)
続いて、本発明の一実施形態のデバイス(液晶表示デバイス、光学素子、リソグラフィー装置(露光装置)用マスク、等)の製造方法について半導体デバイスを例にして説明する。半導体デバイスは、ウエハ(基板)に集積回路を形成する前工程と、前工程でウエハに形成された集積回路を製品として完成させる後工程とを経ることにより製造される。前工程は、前述の露光装置を使用して、レジスト(感光剤)が塗布されたウエハを露光する工程と、当該露光工程で露光されたウエハを現像する工程とを含む。後工程は、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)と、パッケージング工程(封入)とを含む。本実施形態の物デバイス製造方法は、従来の方法と比較して、物品の性能・品質・生産性・製造コストの少なくとも一つの点で有利である。
【0044】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、OA検出系21による計測を例示したが、本発明は、これに限定されない。アライメントマークの位置を計測するためのアライメントマークの検出系は、投影光学系5を介してアライメントマークを検出する所謂TTL(Through The Lens)の検出系であってもよい。また、基板表面位置の計測は、OA検出系21がAF系32を有していない場合、OA検出系21とは独立に設置されたフォーカス(基板表面位置)検出系を用いてもよい。
【0046】
更に、第1及び第2実施形態では、X軸方向におけるアライメント計測について例示したが、Y軸方向におけるアライメント計測にも本発明を適用できることは自明である。この場合、OA検出系21の検出光線の傾きは、Y−Z平面に平行な平面においてZ軸に平行な直線に対する検出光線の傾きとすればよい。
【符号の説明】
【0047】
6 ウエハ
7 ウエハステージ
8 制御系
21 OA検出系
32 AF系
AM アライメントマーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置計測装置及び方法、露光装置並びにデバイス製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの製造に用いられる縮小投影露光装置では、更なる解像力の向上に向けて、光学系の開口数(NA)の拡大や、露光波長の短波長化等が図られている。そして、近年の縮小投影露光装置では、投影光学系の色収差の影響を受けないオフアクシスアライメント検出系(OA検出系)が用いられている。
【0003】
このような縮小投影露光装置を用いた露光工程では、シリコンウエハの裏面側に形成されたアライメントマークの位置に基づいて表面側に露光する場合がある。この工程は、例えば、ウエハの表面側から貫通ビアを形成し、裏面側の回路パターンと導通させる場合に実施される。ウエハの裏面側に形成されたアライメントマークを検出する方法として、特許文献1は、ウエハチャックの下に配置された検出系によりアライメントマークの検出を実施するリソグラフィー装置を開示している。しかしながら、この方式では、ウエハチャックの特定位置に形成された穴からアライメントマークを検出する。よって、ウエハ上の任意の位置に配置されたアライメントマークを検出することができない。
【0004】
これに対して、シリコンが赤外光(波長1000nm以上)に対して透過性を有する性質を利用し、赤外光源を含むOA検出系により、シリコンウエハの表面側から裏面側にあるアライメントマークを検出する方法がある。しかしながら、この方法は、検出光学系のテレセントリシティまたはテレセントリック性(光軸と主光線との平行度、または、それらのなす角度)に注意を要する。アライメントマークが形成された面に対して検出光線(主光線)が垂直でないと、検出光学系の視野内におけるアライメントマークの位置は、当該光軸の方向におけるアライメントマークの位置(デフォーカス量)によって変動する。例えば、図11(a)に示すように、検出光線が傾いている場合、+側に+D(μm)のデフォーカスでΔ1、−側に−D(μm)のデフォーカスでΔ2というように、アライメントマークAMの位置の計測値がずれる。即ち、アライメントマークAMの位置の計測誤差は、+側では1μmデフォーカス当たり「Δ1/+D」、−側では1μmデフォーカス当たり「Δ2/−D」だけ、デフォーカス量に対して依存性を有する。したがって、この状態でアライメントマークAMの位置を計測すると、デフォーカス量のばらつきが計測値のばらつきとなり、計測再現性の劣化を引き起こす。そこで、このような検出光学系のテレセントリシティによるデフォーカス特性(デフォーカスによる位置計測誤差)を抑えるために、図11(b)に示すように、アライメントマークが形成された面と検出光線とを垂直に近づける必要がある。
【0005】
特許文献2は、照明系の瞳面上において、位置検出方向では通過光量の変化がなく、該瞳面の周辺部では通過光量を調整することができる光学部材を備えることにより、デフォーカス特性を極力抑えた位置検出装置を開示している。また、特許文献3は、計測方向である2方向(X軸、Y軸の方向)に関して検出光線の傾きをそれぞれ独立して調整できるようにした位置検出装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−280299号公報
【特許文献2】特開平10−22211号公報
【特許文献3】特開2003−142375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したデフォーカスによるアライメント計測誤差は、特許文献2、3のようにデフォーカス特性の調整により低減することができるが、調整機構が必要となる。また、デフォーカス特性がある場合でも、ベストフォーカスで計測すれば、計測誤差を低減することができるが、計測対象のすべてのマークに対してベストフォーカスになるよう調整すると、計測に要する時間が長くなって露光装置のスループットが低下する。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、アライメントマークの位置を計測する時間の短さの点で有利な位置計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、基板を保持してX−Y−Z直交座標系のX軸・Y軸・Z軸それぞれの方向に可動のステージと、基板に形成されたアライメントマークを撮像する撮像系と、基板の表面のZ軸方向における位置を検出する検出系と、ステージと撮像系と検出系とを制御してアライメントマークのX−Y平面に平行な面における位置を求める制御部とを有する位置計測装置であって、制御部は、撮像系のテレセントリシティに関する情報を予め記憶し、基板に形成された複数のアライメントマークのうち少なくとも1つのアライメントマークに関して、ステージの位置の制御により撮像系に対するフォーカス調整を行って撮像系に撮像を行わせ、該撮像により得られたアライメントマークの信号に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求め、フォーカス調整のなされた少なくとも1つのアライメントマークに関して、基板の表面の位置(第1の位置)を検出系に検出させ、複数のアライメントマークのうち他のアライメントマークに関して、フォーカス調整を行わずに、撮像系に撮像を行わせ、かつ基板の表面の位置(第2の位置)を検出系に検出させ、該撮像により得られたアライメントマークの信号と第1の位置と第2の位置とテレセントリシティに関する情報とに基づいて、X−Y平面に平行な面における位置を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、アライメントマークの位置を計測する時間の短さの点で有利な位置計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る位置計測装置の構成を示す概略図である。
【図3】ベースライン計測を実施する構成要素の位置関係を示す概略図である。
【図4】第1実施形態に係る位置計測装置とアライメントマークとの関係図である。
【図5】第1実施形態に係るフォーカス位置差算出を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係るデフォーカス特性を示すグラフである。
【図7】第2実施形態に係るウエハとアライメントマークとの関係図である。
【図8】第3実施形態に係るウエハの構造を示す概略図である。
【図9】第3実施形態に係るウエハとアライメントマークとの関係図である。
【図10】第3実施形態に係るフォーカス位置差算出を示すフローチャートである。
【図11】デフォーカス特性を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面等を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、本発明の位置計測装置(方法)を適用する露光装置の構成について説明する。図1は、本発明の露光装置の構成を示す図である。本実施形態における露光装置は、半導体デバイス製造工程に使用され、被処理基板であるウエハに対して露光処理を施す装置であり、ステップ・アンド・スキャン方式を採用した走査露光装置である。なお、本発明を適用する露光装置は、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式を採用した露光装置であってもよい。以下の図において、投影光学系の光軸に平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査露光をするためのウエハの走査方向にY軸を取り、Z軸及びY軸に直交する方向にX軸をとって説明する。露光装置1は、照明光学系2と、レチクル3を保持するレチクルステージ4と、投影光学系5と、ウエハ6を保持するウエハステージ7と、露光装置1の各構成要素を制御する制御系(制御部)8とを備える。
【0014】
照明光学系2は、光源10を備え、レチクル3を照明する装置である。光源10としては、例えば、パルスレーザ光源を使用する。使用可能なレーザは、例えば、波長約248nmのKrFエキシマレーザ、波長約193nmのArFエキシマレーザ、波長約157nmのF2エキシマレーザ等である。なお、レーザの種類は、エキシマレーザに限定されず、例えばYAGレーザを使用してもよい。また、レーザの個数も限定されない。また、光源10にレーザが使用される場合、レーザ光源からの平行光束を所望のビーム形状に整形する整形光学系や、コヒーレントなレーザ光をインコヒーレント化するインコヒーレント化光学系を使用することが好ましい。更に、光源10に使用可能な光源は、パルス光源に限定されるものではなく、一又は複数の連続光源(水銀ランプやキセノンランプ等)も使用可能である。
【0015】
ここでは、照明光学系2は、整形光学系11、フライアイレンズ12、コンデンサレンズ13、固定視野絞り14、可変視野絞り15、及びリレーレンズ16を備える。まず、整形光学系11は、光源10から照射された照明光の光束径(形状・サイズ)を規定する光学系である。フライアイレンズ12は、多数の2次光源を形成する光学素子であって、2組のシリンドリカルレンズアレイ板を重ねることによって構成された光学素子、光学ロッド、又は回折要素により置換されてもよい。コンデンサレンズ13は、フライアイレンズ12で形成された2次光源を集光する光学素子である。各視野絞り14、15は、レチクル上の照明領域を規定する絞りである。リレーレンズ16は、レチクル3のパターン形成面と可変視野絞り15とを共役にする光学素子である。なお、図1では、固定視野絞り14は、可変視野絞り15よりもコンデンサレンズ13の側に配置しているが、リレーレンズ16の側に配置してもよい。ここで、露光のオン/オフは、パルス光源を使用する場合には、パルス光源への供給電力の制御により切り換え、連続光源を使用する場合には、照明光学系2内のシャッタにより切り換えうる。あるいは、可変視野絞り15の開閉によって切り換えてもよい。
【0016】
レチクル3は、例えば、石英ガラス製の原版であり、基板に転写されるべきパターンが形成されている。また、レチクルステージ4は、XY方向に移動可能であって、レチクル3を保持及び位置決めするための装置である。走査露光を行う場合、レチクルステージ4は、Y軸方向にスキャン移動する。レチクルステージ4は、移動鏡17を有する。レチクルステージ4の位置は、移動鏡17にレーザビームを投射し、その反射光を受光するレーザ干渉計18によって計測される。
【0017】
投影光学系5は、照明光学系2からの露光光で照明されたレチクル3から射出した露光光により、レチクルに形成されたパターンを所定倍率(例えば、1/4、又は1/5)でウエハ6上に投影する。
【0018】
ウエハ6は、その表面にレジスト(感光剤)が塗布された基板であり、本実施形態における計測対象としてのアライメントマークを含む。ウエハステージ7は、投影光学系5及び後述の位置計測装置に対してX−Y−Z直交座標系のX軸・Y軸・Z軸それぞれの方向に可動する基板保持機構であり、チャック22上に保持されたウエハ6を位置決め(位置合わせ)するための装置である。ここで、走査露光を行う場合、ウエハステージ7は、レチクルステージ4と同様、Y軸方向にスキャン移動する。なお、本実施形態では、レチクルステージ4及びウエハステージ7は、互いに逆方向にスキャン移動する。一方、静止露光を行う装置の場合、レチクルステージ4及びウエハステージ7は、露光中には移動しない。更に、ウエハステージ7は、移動鏡19を有する。ウエハステージ7の位置は、移動鏡19にレーザビームを投射し、その反射光を受光するレーザ干渉計20によって計測される。なお、ウエハステージ7のZ軸の方向における位置を計測するレーザ干渉計を備える場合もある。
【0019】
制御系8は、前述した露光装置の構成要素や後述する露光装置の構成要素の動作を制御する制御手段である。また、制御系8は、後述するマーク検出系21とともに位置計測装置(単に計測装置ともいう)を構成する。この制御系8は、コンピュータを含みうる。また、制御系8は、露光装置1の本体と一体で構成してもよいし、露光装置1の本体の設置場所とは異なる場所に設置してもよい。
【0020】
更に、露光装置1は、オフアクシス方式のマーク検出系(以下、「アライメントマーク検出系」又は「OA検出系」とも表記する)21を備える。図2は、OA検出系21の構成を示す図である。なお、図2において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。OA検出系21は、照明光束ILを導入する照明光源30と、照明/結像系31(撮像系ともいう)と、フォーカス検出系(AF系、又は検出系ともいう)32とを備える。
【0021】
照明光源30は、可視光及び赤外光を射出可能とする光源部である。例えば、ウエハ6の表面側(裏面より表面に十分に近い)のアライメントマークAMを計測する場合は、可視域の波長を使用し、一方、ウエハ6の裏面側(裏面より表面に十分に近くない)のアライメントマークAMを計測する場合は、赤外域の波長を使用する。具体的には、例えば、シリコンウエハは、波長1000nm以上なら透過性を有するので、波長1000nm以上の光をウエハの裏面側アライメントマークの検出用とする。一方、波長1000nm未満の光をウエハの表面側アライメントの検出用とする。波長の切り替えは、例えば、後述の照明系の光路における波長フィルタの切り替え、または、光源自体の切り替えにより行いうる。
【0022】
照明/結像系31は、ウエハ6に形成されたアライメントマークAMをケーラー照明するための照明系と、アライメントマークAMからの反射光を受光して光電変換素子33上に像を形成する結像系とを有する。照明系は、照明光学系34、偏光ビームスプリッタ35、リレーレンズ36、及び対物レンズ37を備える。この照明系は、照明光源30からの光を照明光学系34により偏光ビームスプリッタ35に導き、リレーレンズ36及び対物レンズ37を介してアライメントマークAMを照明する。結像系は、結像光学系38、及び光電変換素子33を備える。結像光学系38は、アライメントマークAMから対物レンズ37、リレーレンズ36、及び偏光ビームスプリッタ35を介して入射する反射光により、光電変換素子33上にアライメントマークAMの像を形成する。光電変換素子33は、例えば、CCDカメラを採用しうる。
【0023】
AF系32は、スリットパターンをウエハ6上に斜め方向から投影し、ウエハ6上のスリット像を光電変換素子上に再結像して得られたスリット像を検出する検出系である。即ち、AF系32は、基板の表面に斜入射する光のパターンを投影し、当該表面における当該パターンの位置を検出する。制御系8は、再結像されたスリット像の位置に基づいてZ軸の方向におけるウエハ6の表面の位置を求めることができる。AF系32は、照明系として、AF照明光源40、照明レンズ41、スリット部材42、AF照明光学系43、ミラー44、第1リレーレンズ45、第2リレーレンズ46、中間結像面絞り47、及びダイクロミックミラー48を備える。AF照明光源40から照射された光ILは、照明レンズ41の作用により、スリット部材42の表面を均一に照明する。スリット部材42に形成された第1開口部(スリット)42aを通過した光FIL(図中実線)は、AF照明光学系43、ミラー44、及び第1リレーレンズ45を介して中間結像面絞り47の開口部に結像し、スリット像を形成する。中間結像面絞り47には、光を反射する反射部47aが部分的に形成されており、スリット42aを通過した光FILの一部は、反射部47aで反射し、第1リレーレンズ45に導光される。一方、中間結像面絞りおよび第2リレーレンズ46を透過した光FILは、ダイクロミックミラー48で反射し、対物レンズ37の瞳面37aで偏心した位置を通過する。そのため、対物レンズ37を通過した光FILは、ウエハ6の表面を斜め方向から照射する入射光となり、スリット42aの像をウエハ6上に形成する。
【0024】
更に、AF系32は、結像系として、開口絞り49、結像レンズ50、光電変換素子51を備える。ウエハ6からの反射光FMLは、瞳面37aにおいて光軸に関して入射光とは反対側を通過し、再度、ダイクロミックミラー48、第2リレーレンズ46、中間結像面絞り47、第1リレーレンズ45、開口絞り49を通過する。開口絞り49を通過した光FMLにより、結像レンズ50は、ウエハ6上に結像したスリット像を光電変換素子51上に再結像する。これにより、制御系8は、ウエハ6の表面のZ軸方向における位置を光電変換素子51上でのスリット像の位置から求めることができる。なお、中間結像面絞り47の反射部47aにて反射された光(図中点線)は、光電変換素子51に導かれ、スリット42aにおける基準スリットの像を光電変換素子51上に形成する。制御系8は、当該基準スリットの像の位置を基準位置としてウエハ6の表面の位置を求める。
【0025】
次に、ウエハ6のアライメント処理に必要なベースライン計測について説明する。図3は、ベースライン計測を実施する露光装置1の構成を示す模式図であり、図3(a)は、レチクルステージ4の平面図であり、図3(b)は、露光装置1の一部の構成要素を省略した側面図である。なお、図3において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。ここで、レチクルステージ4上には、レチクル3の位置決めのための複数のレチクルマーク60と2箇所のレチクル基準プレート61とが形成され、一方のレチクル基準プレート61上には、複数のベースライン計測用マーク62が形成されている。また、ウエハステージ7上には、複数のステージ基準マーク63が形成されている。露光装置1は、まず、ベースライン計測に先立ち、不図示のレチクルアライメント顕微鏡を用いてレチクルマーク60を検出し、レチクルステージ4に対するレチクル3の位置決めを実施する。次に、ベースライン計測の第1工程として、露光装置1は、アライメント顕微鏡64を用いて、投影光学系5を介して、ベースライン計測用マーク62とステージ基準マーク63との相対位置を検出する。次に、第1工程の終了後、露光装置1は、第2工程として、ウエハステージ7を移動させることにより、ステージ基準マーク63をOA検出系21の観察領域に合わせる。その後、露光装置1は、ステージ基準マーク63とOA検出系21内の基準マークとの相対位置を検出する。最終的に、露光装置1は、第1工程と第2工程との検出結果に基づいてベースライン量の算出を行う。このベースライン計測により、露光装置1は、露光領域内の基準点(例えば中心点)に対するOA検出系21の検出領域の基準点(例えば中心点)のオフセット量(ベースライン量)を求めることができる。その結果、OA検出系21を用いてウエハ6に対するアライメント計測を実施することにより、ウエハ6上のショット領域(被露光領域)を露光装置1の露光領域(レチクルのパターンの投影像)にアライメントすることができる。
【0026】
次に、OA検出系21を使用したアライメント計測において、デフォーカス量を計測してアライメント計測値を補正する方法について説明する。図4は、本実施形態に係るOA検出系21とアライメントマークAMが形成されたウエハ6との関係を示す図である。なお、図4において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。ウエハ6は、図4(a)に示すように、ウエハステージ7上のチャック22に載置され、その表面には、ウエハ中心を挟んで間隔Lで第1及び第2アライメントマークAM11・AM12が形成されている。更に、ウエハ6の表面には、レジスト70が塗布されている。ここで、ウエハ6の表面形状、アライメントマークAMの状態、又はレジスト70の塗布条件等により、レジスト70の膜厚分布は均一とはならない。そこで、ここでは、図4に示すように、レジスト70に塗布ムラがあって、レジスト70の表面に一定の傾きがあると仮定する。
【0027】
まず、本実施形態に係るフォーカス位置差の算出方法について説明する。図5は、フォーカス位置差の算出方法の流れを示すフローチャートである。OA検出系21(AF系32)は、制御系8からの指示に基づいてフォーカス位置の計測を開始する。まず、OA検出系21は、図4(a)に示すように、第1アライメントマークAM11を計測対象とする。このとき、OA検出系21は、制御系8がウエハステージ7をZ軸の方向に微小移動させることを含む移動AF計測を実施する。ここで、OA検出系21は、光電変換素子33の信号に基づいて第1アライメントマークAM11にフォーカスが合う状態(ベストフォーカス状態)になるようにウエハステージ7の位置を調整する(ステップS501)。この状態で、次に、AF系32を用いて第1アライメントマークの形成位置に対応する基板表面領域のZ軸の方向における第1の位置(第1表面位置)を計測する(ステップS502)。次に、制御系8は、OA検出系21の計測対象を第2アライメントマークAM12に変更するために、ウエハステージ7のZ軸の方向における位置を保持しつつ、ウエハステージ7を間隔Lの距離分X―Y平面に平行に移動させる(ステップS503)。このとき、OA検出系21による第2アライメントマークAM12の計測状態は、図4(b)に示すように、レジスト70の表面の傾きに起因してデフォーカス状態となる。この状態で、次に、AF系32を用いて第2アライメントマークAM12の形成位置に対する基板表面領域のZ軸の方向における第2の位置(第2表面位置)を計測する(ステップS504)。そして、制御系8は、第1表面位置と第2表面位置との差ΔZを算出する(ステップS505)。なお、ここで「基板」と表記しているものは、ウエハ6とレジスト70とを組み合わせたものを示しており、本実施形態における「基板表面」とは、レジスト70の表面である。
【0028】
次に、上記位置差ΔZに基づいて、第2アライメントマークの位置(X座標及びY座標の少なくとも一方)に関する計測値を補正する2つの方法(ステップS506・S507)について説明する。図6は、OA検出系21のデフォーカス特性、ここでは、ウエハステージ7の位置(例えば、X座標。レジストの膜厚の変化によるデフォーカス量に対応)に対するアライメントマークの計測値(例えば、X座標)のシフト量(計測誤差)の変化を示すグラフである。図6において、実線は、OA検出系21のテレセントリシティ、即ち、検出光線の傾き(X軸方向の位置を求める場合、XZ平面に平行な面におけるZ軸に平行な直線に対する傾き)をαとした場合の、OA検出系21による実測値の変化を示している。一方、一点鎖線は、上記実測値を線形近似した結果である。まず、第1の補正方法は、図6に例示したような近似式を用いて、図5に示す工程で算出した位置差ΔZ又は第1表面位置及び第2表面位置からデフォーカスによるシフト量を求めるものである。即ち、このシフト量を補正値として第2アライメントマークAM12の位置計測値を補正するものである。ここで、図6に示すようなデフォーカス特性(デフォーカス量とシフト量との関係)に関する情報は、OA検出系21の特性やレジスト70の種類等の種々の条件により変化する。そこで、アライメント計測対象のウエハ6を用いて予め取得し、制御系8内に記憶させておくことが望ましい。このとき、アライメント対象のウエハ6を用いてデフォーカス特性を取得しておくことが困難な場合は、図3に示すステージ基準マーク63を用いて取得した特性を代用してもよい。この場合、例えば、ウエハステージ7のZ軸方向における位置(デフォーカス量)を変化させたときのシフト量を求めればよい。
【0029】
次に、第2の補正方法は、図6に示すデフォーカス特性からOA検出系21の特性値を求め、当該特性値と位置差ΔZとから補正値を得るものである。具体的には、まず、図6に示すようなデフォーカス特性のデータからOA検出系21の検出光線の傾き(X軸方向の位置を求める場合は、X―Z平面に平行な面におけるZ軸に平行な直線に対する傾き)を求める。なお、本実施形態では、図6に示すようなデフォーカス特性のデータを線形近似して傾きαを求める。ここでは、例えば、基板表面からアライメントマークAMまでの層の材質(媒質)、即ち、レジスト70の絶対屈折率をn1とし、該絶対屈折率n1とは異なるOA検出系21と基板表面との間の材質(媒質)、即ち、空気の絶対屈折率をn0とする。このとき、空気中から絶対屈折率n1・厚みΔの物質(本実施形態ではレジスト70)に光が入射した場合、フォーカスは、Δ×(1−n0/n1)の量だけ延びる。そこで、第2アライメントマークAM12に関する補正値ΔL(図4(b)参照)は、(数1)を用いて算出する。第2アライメントマークAM12の位置計測値は、この補正値ΔLで補正すればよい。
【0030】
【数1】
【0031】
なお、上記の(数1)は、アライメントマークの上に絶対屈折率nの異なる複数の層が形成されている場合にも適用可能である。ここで、OA検出系21とアライメントマークとの間の各層の絶対屈折率をnk(kは、ゼロ以上、N以下の整数、Nは層数)とし、基板表面とアライメントマークAMとの間の各層に関する表面位置差をΔZkとする。このときの補正値ΔLは、(数2)で表される。(数2)を用いれば、任意の層に形成されたアライメントマークに対して、その位置計測値を補正することができる。
【0032】
【数2】
【0033】
第1アライメントマークAM11以外のアライメントマークAMに対しては、以上に説明した補正方法により位置計測値を補正すればよく、フォーカス調整は行わずに済む。このため、本実施形態によれば、アライメントマークの位置を計測する時間の短さの点で有利な位置計測装置を提供することができる。したがって、ウエハ6上のレジスト70に塗布ムラが発生している場合でも、迅速、かつ、高精度にアライメント計測を実施することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、アライメントマークAMの個数を2つとしたが、本発明はこれに限定されない。3つ以上のアライメントマークを計測する場合は、例えば、1つのアライメントマークに対して図5におけるステップS501・S502を実施し、それ以外の2つ以上のアライメントマークそれぞれに対しては、ステップS503〜S506を実施すればよい。また、以上の説明では、図6に示したようにデフォーカス特性が線形である場合を例示したが、本発明は、これには限定されず、デフォーカス特性が非線形である場合にも適用可能である。
【0035】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る位置計測装置(方法)について説明する。本実施形態の計測装置は、OA検出系21を使用し、チャック22の表面の傾き(形状)も考慮して、アライメントマークの位置計測値を補正するものである。図7は、本実施形態に係るアライメントマークAMが形成されたウエハ6の状態を示す図である。なお、図7において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態においても、ウエハ6は、図7に示すように、ウエハステージ7上のチャック22に載置(保持)され、表面には、ウエハ中心を挟んで間隔Lで第1及び第2アライメントマークAM21・AM22が形成されている。また、ウエハ6の表面にはレジスト70が塗布されており、第1実施形態と同様に、レジスト70の表面には一定の傾き(膜厚分布)を有しているものとする。更に、本実施形態では、チャック22の表面は、ウエハステージ7の走査面(X−Y平面に平行な平面)に対して角度βだけ傾きを有すると仮定する。この場合、第1実施形態で示した方法を用いて第1アライメントマークAM21の計測に続いて第2アライメントマークAM22の計測を実施すると、チャック22の表面(ウエハ吸着面)の傾きに起因して、更なる基板表面位置の差が発生する。即ち、第1アライメントマークAM21と第2アライメントマークAM22との間のX軸方向の間隔をLとすると、第2アライメントマークAM22を計測する場合のレジスト70の厚みは、L×sinβだけ長くなる。
【0036】
そこで、本実施形態では、まず、第1実施形態と同様に、図5のフローチャートに示す方法で第1アライメントマークAM21の形成位置と第2アライメントマークAM22の形成位置とにそれぞれ対応する2つの基板表面位置の差ΔZ2を算出する。したがって、第1アライメントマークAM21の上のレジスト厚と第2アライメントマークAM22の上のレジスト厚との差ΔZ2´は、(数3)で表される。
【0037】
【数3】
【0038】
即ち、チャック22の傾きまたは変形を伴う本実施形態では、上述のΔZ2´から補正値を算出し、アライメントマークAM22の位置計測値を当該補正値で補正すればよい。なお、本実施形態では、チャックの表面の位置を線形近似したが、本発明は、これには限定されず、例えば、スプライン関数(曲線)で面形状を近似して求めてもよい。本実施形態によれば、チャックの表面がウエハステージの走り面と平行な平面とみなせない場合において、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0039】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る位置計測装置(方法)について説明する。本実施形態の計測装置は、OA検出系21を使用し、ウエハ6の裏面側に形成されたアライメントマークAMを計測するものである。特に、本実施形態では、ウエハ6のシリコン層の厚みが変化している場合、即ち、複数のアライメントマークを被覆するレジストの厚みが、その位置により互いに異なる場合について説明する。図8は、本実施形態に係るアライメントマークAMが形成されたウエハ6の構成を示す図である。ウエハ6は、シリコン層6aとガラス層6bとで構成され、該シリコン層6aとガラス層6bとは、接着剤又はオプティカルコンタクト等により互いに接着されている。シリコン層6aの表面には、レジスト70が塗布されている。また、シリコン層6aの裏面には、4カ所にアライメントマークAM31〜34が形成されている。これらのアライメントマークAMは、金属等の物質で構成されており、シリコン層6aとガラス層6bとの間に閉じ込められた状態で配置される。OA検出系21は、このアライメントマークAMに対して赤外光を照射し、アライメントマークAMからの反射光を検出することで位置を計測する。また、チャック22は、ウエハ6を真空吸着にて保持する基板保持装置を構成し、本実施形態では、ウエハ6と接する面に赤外光を反射しない反射防止膜22aを備えた2層構造とする。反射防止膜22aは、チャック22の表面で反射した赤外光が迷光となってアライメントマークAMの画像の画質を劣化させることのないようにするための膜である。この場合、反射防止膜22aは、チャック22と一体に形成してもよい。また、チャック22の赤外光による温度上昇を抑えるための冷却器や温度センサを備え、チャックの熱膨脹を介してウエハ6が熱膨張しないようにする構成としてもよい。
【0040】
ここで、上記のような貼り合わせウエハ6は、シリコン層6aとガラス層6bとの接合面で生じるバイメタル効果により変形する場合がある。また、シリコン層6aとガラス層6bとは、共に単体で厚みムラが発生している場合がある。図9は、図8に示したウエハ6において、シリコン層6aとガラス層6bとの厚みが、チャック22の表面の各位置で変化している場合のアライメントマークAMの位置関係を示す図である。ここでは、ウエハステージ7の走り面、チャック22の表面、及びレジスト70の表面は、互いに平行であると仮定する。図9(a)は、透過斜視図であり、平面A(面A)は、シリコン層6aとガラス層6bとの接合面を示す。ここで、平面Aは、Z軸に垂直ではなく、Z軸に対して傾いている。また、平面A上には、ウエハ6の中心点を中心とする円周上に均等な角度間隔で、又はそれに近い配置で、アライメントマークAM31〜AM34が形成されている。図9(b)及び図9(c)は、それぞれ、図9(a)のX−Z断面及びY−Z断面を示す断面図である。ここで、図9(b)及び図9(c)に示すように、X−Y平面に対してウエハ6の表面には傾きが発生しておらず、アライメントマークAM31〜AM34が形成されている平面Aが傾いている。そこで、本実施形態では、アライメントマークAMが形成されている面AのZ軸方向の位置を計測し、それに基づいてアライメントマークの位置計測値を補正する。
【0041】
図10は、本実施形態に係る位置差を求める流れを示すフローチャートである。OA検出系21は、制御系8からの指示に基づいて計測を開始する。まず、OA検出系21は、第1A、第1B及び第1CアライメントマークAM31〜AM33の3つのマークを計測対象として、第1A〜1CアライメントマークAM31〜AM33それぞれに対してフォーカス調整を実施する(ステップS1001)。このとき、制御系8は、ウエハステージ7のZ軸方向の位置を変化させて各アライメントマークに対してフォーカス調整を行う。次に、AF系32を用いて、第1A〜1CアライメントマークAM31〜AM33それぞれに対して、対応する基板表面領域のZ軸方向の位置(第1A〜1Cフォーカス位置)を計測する(ステップS1002)。このとき、制御系8は、ウエハステージ7を走査面(X−Y平面)に平行に移動させる。次に、制御系8は、ステップS1001・S1002での計測結果に基づいて、面Aの形状(面AのZ軸方向位置)を算出する(ステップS1003)。次に、制御系8は、計測対象を第2アライメントマークAM34に変更し、第2アライメントマークAM34がOA検出系21の直下に位置するようにウエハステージ7を移動させる(ステップS1004)。ここでも、制御系8は、ウエハステージ7を走査面(X−Y平面)に平行に移動させる。次に、AF系32を用いて、第2アライメントマークAM34の形成位置に対応した基板表面領域のZ軸方向の位置(第2フォーカス位置)を計測する(ステップS1005)。次に、制御系8は、ステップS1003にて算出した面Aの形状に基づいて、第2アライメントマークAM34のZ軸方向の位置を算出する(ステップS1006)。次に、制御系8は、第1A〜1CアライメントマークAM31〜33のうち少なくとも1つの形成位置と第2アライメントマークAM34の形成位置とにそれぞれ対応した基板表面領域のZ軸方向の位置の差ΔZ3を算出する(ステップS1007)。次に、制御系8は、当該位置差ΔZ3と面Aの形状(面AのZ軸方向の位置)とからデフォーカス量を求める。最終的に、制御系8は、当該デフォーカス量と第1実施形態で説明したようなOA検出系21のデフォーカス特性とから第2アライメントマークAM34の位置計測値に対する補正値を求めればよい(ステップS1008・S1009)。なお、ここで「基板」と表記しているものは、シリコン層6a、ガラス層6b、及びレジスト70を組み合わせたものを指し、本実施形態における「基板表面」は、レジスト70の表面である。このように、本実施形態によれば、図8に示したような貼り合わせウエハ6を対象とする場合でも、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
なお、本実施形態では、チャック22がウエハステージ7の走査面に対して傾いていないと仮定したが、傾いている場合には第2実施形態の計測方法を採用すればよい。また、本実施形態では、アライメントマークAMの個数を4つとしたが、5つ以上のアライメントマークを計測する場合にも本実施形態の方法を適用できることは自明である。また、本実施形態では、シリコン層6aとガラス層6bとの接合面を平面とみなせる場合を例示したが、接合面が所定の関数で近似しなければならないような曲面であっても本実施形態の方法を適用できることは自明である。
【0043】
(デバイス製造方法)
続いて、本発明の一実施形態のデバイス(液晶表示デバイス、光学素子、リソグラフィー装置(露光装置)用マスク、等)の製造方法について半導体デバイスを例にして説明する。半導体デバイスは、ウエハ(基板)に集積回路を形成する前工程と、前工程でウエハに形成された集積回路を製品として完成させる後工程とを経ることにより製造される。前工程は、前述の露光装置を使用して、レジスト(感光剤)が塗布されたウエハを露光する工程と、当該露光工程で露光されたウエハを現像する工程とを含む。後工程は、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)と、パッケージング工程(封入)とを含む。本実施形態の物デバイス製造方法は、従来の方法と比較して、物品の性能・品質・生産性・製造コストの少なくとも一つの点で有利である。
【0044】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、OA検出系21による計測を例示したが、本発明は、これに限定されない。アライメントマークの位置を計測するためのアライメントマークの検出系は、投影光学系5を介してアライメントマークを検出する所謂TTL(Through The Lens)の検出系であってもよい。また、基板表面位置の計測は、OA検出系21がAF系32を有していない場合、OA検出系21とは独立に設置されたフォーカス(基板表面位置)検出系を用いてもよい。
【0046】
更に、第1及び第2実施形態では、X軸方向におけるアライメント計測について例示したが、Y軸方向におけるアライメント計測にも本発明を適用できることは自明である。この場合、OA検出系21の検出光線の傾きは、Y−Z平面に平行な平面においてZ軸に平行な直線に対する検出光線の傾きとすればよい。
【符号の説明】
【0047】
6 ウエハ
7 ウエハステージ
8 制御系
21 OA検出系
32 AF系
AM アライメントマーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持してX−Y−Z直交座標系のX軸・Y軸・Z軸それぞれの方向に可動のステージと、前記基板に形成されたアライメントマークを撮像する撮像系と、前記基板の表面のZ軸方向における位置を検出する検出系と、前記ステージと前記撮像系と前記検出系とを制御して前記アライメントマークのX−Y平面に平行な面における位置を求める制御部とを有する位置計測装置であって、
前記制御部は、
前記撮像系のテレセントリシティに関する情報を予め記憶し、
前記基板に形成された複数のアライメントマークのうち少なくとも1つのアライメントマークに関して、前記ステージの位置の制御により前記撮像系に対するフォーカス調整を行って前記撮像系に撮像を行わせ、該撮像により得られた前記アライメントマークの信号に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求め、
前記フォーカス調整のなされた前記少なくとも1つのアライメントマークに関して、前記基板の表面の位置(第1の位置)を前記検出系に検出させ、
前記複数のアライメントマークのうち他のアライメントマークに関して、前記フォーカス調整を行わずに、前記撮像系に撮像を行わせ、かつ前記基板の表面の位置(第2の位置)を前記検出系に検出させ、該撮像により得られた前記アライメントマークの信号と前記第1の位置と前記第2の位置と前記テレセントリシティに関する情報とに基づいて、X−Y平面に平行な面における位置を求める、
ことを特徴とする位置計測装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記少なくとも1つのアライメントマークを複数のアライメントマークとし、該複数のアライメントマークに関してなされた前記フォーカス調整の結果に基づいて該複数のアライメントマークを含む面の形状を求め、前記他のアライメントマークに関して、前記面の形状にも基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求める、ことを特徴とする請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ステージに設けられた基準マークのZ軸方向の位置を変化させて該基準マークを前記撮像系に撮像させることにより、前記テレセントリシティに関する情報を得る、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、被覆するレジストの厚みが互いに異なる複数のアライメントマークを前記撮像系に撮像させることにより、前記テレセントリシティに関する情報を得る、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置計測装置。
【請求項5】
前記撮像系から前記基板の表面までの媒質の屈折率をn0、前記表面から前記アライメントマークまでの各層の媒質の屈折率をnk、前記各層の表面の位置の差をΔZk、前記撮像系の検出光線の傾きをαとした場合、
前記撮像系による撮像により得られた前記アライメントマークの信号に対応したX−Y平面に平行な面における前記アライメントマークの位置に対する補正値ΔLを、
【数2】
(但し、kは整数、かつ、Nは層数)、
により求める、ことを特徴とする請求項4に記載の位置計測装置。
【請求項6】
前記検出系は、前記基板の表面に斜入射する光のパターンを投影し、該表面における前記パターンの位置を検出する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記他のアライメントマークに関して、前記第1の位置と前記第2の位置との差に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求める、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項8】
基板を保持してX−Y−Z直交座標系のX軸・Y軸・Z軸それぞれの方向に可動のステージと、前記基板に形成されたアライメントマークを撮像する撮像系と、前記基板の表面のZ軸方向における位置を検出する検出系とを制御して前記アライメントマークのX−Y平面に平行な面における位置を求める位置計測方法であって、
前記基板に形成された複数のアライメントマークのうち少なくとも1つのアライメントマークに関して、前記ステージの位置の制御により前記撮像系に対するフォーカス調整を行って前記撮像系に撮像を行わせ、該撮像により得られた前記アライメントマークの信号に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求め、
前記フォーカス調整のなされた前記少なくとも1つのアライメントマークに関して、前記基板の表面の位置(第1の位置)を前記検出系に検出させ、
前記複数のアライメントマークのうち他のアライメントマークに関して、前記フォーカス調整を行わずに、前記撮像系に撮像を行わせ且つ前記基板の表面の位置(第2の位置)を前記検出系に検出させ、該撮像により得られた前記アライメントマークの信号と前記第1の位置と前記第2の位置と前記撮像系のテレセントリシティに関する情報とに基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求める、
ことを特徴とする位置計測方法。
【請求項9】
基板を露光する露光装置であって、
前記基板に形成されたアライメントマークの位置を求める請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の位置計測装置を有する、ことを特徴とする露光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項1】
基板を保持してX−Y−Z直交座標系のX軸・Y軸・Z軸それぞれの方向に可動のステージと、前記基板に形成されたアライメントマークを撮像する撮像系と、前記基板の表面のZ軸方向における位置を検出する検出系と、前記ステージと前記撮像系と前記検出系とを制御して前記アライメントマークのX−Y平面に平行な面における位置を求める制御部とを有する位置計測装置であって、
前記制御部は、
前記撮像系のテレセントリシティに関する情報を予め記憶し、
前記基板に形成された複数のアライメントマークのうち少なくとも1つのアライメントマークに関して、前記ステージの位置の制御により前記撮像系に対するフォーカス調整を行って前記撮像系に撮像を行わせ、該撮像により得られた前記アライメントマークの信号に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求め、
前記フォーカス調整のなされた前記少なくとも1つのアライメントマークに関して、前記基板の表面の位置(第1の位置)を前記検出系に検出させ、
前記複数のアライメントマークのうち他のアライメントマークに関して、前記フォーカス調整を行わずに、前記撮像系に撮像を行わせ、かつ前記基板の表面の位置(第2の位置)を前記検出系に検出させ、該撮像により得られた前記アライメントマークの信号と前記第1の位置と前記第2の位置と前記テレセントリシティに関する情報とに基づいて、X−Y平面に平行な面における位置を求める、
ことを特徴とする位置計測装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記少なくとも1つのアライメントマークを複数のアライメントマークとし、該複数のアライメントマークに関してなされた前記フォーカス調整の結果に基づいて該複数のアライメントマークを含む面の形状を求め、前記他のアライメントマークに関して、前記面の形状にも基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求める、ことを特徴とする請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ステージに設けられた基準マークのZ軸方向の位置を変化させて該基準マークを前記撮像系に撮像させることにより、前記テレセントリシティに関する情報を得る、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、被覆するレジストの厚みが互いに異なる複数のアライメントマークを前記撮像系に撮像させることにより、前記テレセントリシティに関する情報を得る、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置計測装置。
【請求項5】
前記撮像系から前記基板の表面までの媒質の屈折率をn0、前記表面から前記アライメントマークまでの各層の媒質の屈折率をnk、前記各層の表面の位置の差をΔZk、前記撮像系の検出光線の傾きをαとした場合、
前記撮像系による撮像により得られた前記アライメントマークの信号に対応したX−Y平面に平行な面における前記アライメントマークの位置に対する補正値ΔLを、
【数2】
(但し、kは整数、かつ、Nは層数)、
により求める、ことを特徴とする請求項4に記載の位置計測装置。
【請求項6】
前記検出系は、前記基板の表面に斜入射する光のパターンを投影し、該表面における前記パターンの位置を検出する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記他のアライメントマークに関して、前記第1の位置と前記第2の位置との差に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求める、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項8】
基板を保持してX−Y−Z直交座標系のX軸・Y軸・Z軸それぞれの方向に可動のステージと、前記基板に形成されたアライメントマークを撮像する撮像系と、前記基板の表面のZ軸方向における位置を検出する検出系とを制御して前記アライメントマークのX−Y平面に平行な面における位置を求める位置計測方法であって、
前記基板に形成された複数のアライメントマークのうち少なくとも1つのアライメントマークに関して、前記ステージの位置の制御により前記撮像系に対するフォーカス調整を行って前記撮像系に撮像を行わせ、該撮像により得られた前記アライメントマークの信号に基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求め、
前記フォーカス調整のなされた前記少なくとも1つのアライメントマークに関して、前記基板の表面の位置(第1の位置)を前記検出系に検出させ、
前記複数のアライメントマークのうち他のアライメントマークに関して、前記フォーカス調整を行わずに、前記撮像系に撮像を行わせ且つ前記基板の表面の位置(第2の位置)を前記検出系に検出させ、該撮像により得られた前記アライメントマークの信号と前記第1の位置と前記第2の位置と前記撮像系のテレセントリシティに関する情報とに基づいてX−Y平面に平行な面における位置を求める、
ことを特徴とする位置計測方法。
【請求項9】
基板を露光する露光装置であって、
前記基板に形成されたアライメントマークの位置を求める請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の位置計測装置を有する、ことを特徴とする露光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−238788(P2011−238788A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109263(P2010−109263)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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