分離された機械的制御と電気的制御を有する動力装置の制御方法及び装置
本発明は、車両の動力装置の制御方法に関する。本発明は、動力装置による車両の特定の駆動モードに存する。エンジントルク抽出モードにおいては、本制御方法は、電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、第1段階において、熱エンジンのトルク(Tice#)を計算し、車輪へ加えられるトルクと熱エンジンの回転数を同時に調整しながら、推定された機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、第2段階において、機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;ことからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離された機械的制御と電気的制御を有する動力装置の制御方法及び装置に関する。関係する装置は、熱エンジンと、「エンジントルク抽出(tirage)」モード、「エンジンブレーキ(retro)」モード、「トルク低下(rampage en couple)」モード、「速度低下(rampage en vitesse)」モードで動作する連続無段変速機が装備された車両である。
【0002】
「エンジントルク抽出」モードにおいては、熱エンジンは、車両の車輪へ推進トルクを供給する。このような装置は、熱エンジンと車両の駆動輪との間に、クラッチもコンバータも有しない。
【0003】
「エンジンブレーキ」モードにおいては、運転者は、熱エンジンの制御に対して如何なる意図も示さない。
【0004】
「トルク低下」モードにおいては、運転者は、熱エンジンの制御に対して、意図を示さない。
【0005】
「速度低下」モードにおいては、運転者は、熱エンジンの制御またはブレーキ装置に対して、如何なる意図も示さない。
【0006】
関係する動力装置は、熱エンジンと車両の駆動輪との間に、クラッチもコンバータも有しない。
【0007】
本発明の装置において使用される連続無段変速機は:
・エネルギのバッファ要素を介して電気的に接続され、電気変速機として作用する2つの電気機械と;
・熱エンジンと、車輪と、電気機械へそれぞれ接続された4つの入/出力軸を有する連鎖と;
から構成される。
【0008】
複数のアクチュエータが、熱エンジンと2つの電気機械の動作状態を本質的に制御することを可能にする。これらのアクチュエータは、例えば車載の計算機にインプリメンテーションされた監視装置から発生される操作信号を受ける必要がある。
【背景技術】
【0009】
文献FR 2834249には、監視装置を、熱エンジンのタイプ、連続無段変速機の特徴及びトラック運転者の行動や運転者の運転スタイルの特徴にも、殆ど依存しなくすることを可能にする、動力装置の監視装置のための3層のアーキテクチャが記載されている。
【0010】
第1層においては、監視装置は、車両の運転環境を考慮に入れながら、運転者の意志を解釈するための第1手段を有する。
【0011】
第2層においては、監視装置は、運転者の意志の解釈に応じて決定された指令値を適用するための動力装置の最適動作点を、熱エンジンのタイプから独立に決定するために第1手段と協同する、第2手段を有する。
【0012】
第3層においては、監視装置は、上述のタイプの連続無段変速機を有する動力装置のアクチュエータの制御信号を決定するために第2手段と協同する、第3手段を有する。
【特許文献1】FR 2834249
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の第1の目的は、監視装置の第3層のレベルにおいて、使用可能な3つのアクチュエータ、すなわち熱エンジンと2つの電気機械の、「エンジントルク抽出」モードにおいて監視の上の層から要求される動作点を実現することを可能にする、指令値を計算することを可能にすることにあり、第2の目的は、この動作点を「エンジンブレーキ」モードで実現することにあり、第3の目的はこの動作点を「トルク低下」モードで実現することにあり、第4の目的はこの動作点を「速度低下」モードで実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、車両の車輪へ直接連結された熱エンジンと、2つの電気機械を包含する電気変速機を持った連続無段変速機を有する、車両の動力装置の制御方法に関する。上記制御方法によって、上記車両は上記動力装置によって駆動され、上記動力装置によって制動され、上記動力装置から切り離され、あるいは停止状態に維持される。この動力装置は、熱エンジンと車両の駆動輪との間に、如何なるカプラも介在させない。
【0015】
エンジントルク抽出モードにおいては、本制御方法は、電気エネルギのバッファ要素の充電レベルUcapaの測定値と、上記電気機械Me1、Me2の回転数ωe1、ωe2及び上記電気機械から供給されるトルクTe1、Te2の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記熱エンジンのトルクTice#を計算し、上記車輪へ加えられるトルクと上記熱エンジンの回転数を同時に調整しながら、推定された機械的な特徴を表わす機械的な制御信号u0を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルクTe1#、Te2#を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなる。
【0016】
エンジンブレーキモードにおいては、本制御方法は、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記熱エンジンの回転数を調整しながら、機械的な特徴を表わす機械的な制御信号を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルクを計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなる。
【0017】
トルク低下モードにおいては、本制御方法は、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記車輪へ加えられるトルクを調整しながら、推定される機械的な特徴を表わす機械的な制御信号を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルクを計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなる。
【0018】
速度低下モードにおいては、本制御方法は、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記車輪の回転速度を調整しながら、推定される機械的な特徴を表わす機械的な制御信号を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルクを計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の説明と添付図面によってよりよく理解されるであろう。これらの添付図面において:
−図1は、本発明の方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図であり;
−図2は、本発明の方法のフローチャートであり;
−図3〜6は、本発明の装置の機能ブロックを表わす模式図であり;
−図7〜12は、エンジンブレーキモードを示し;
−図13〜18は、トルク低下モードを示し;
−図19〜24は、速度低下モードを示す。
【0020】
以下の文中において、次の記号は以下に示す意味を有する:
−用語^aは、変数aの推定値を意味し;
−用語a※は、変数aの最適化指令値を意味し;
−用語a#は、変数aの計算指令値を意味し;
−用語a’は、変数aの時間的な変化を意味し;
−図において、太線はベクトル型の信号を表し;
−数式において、表現「A.B」は、マトリクスの積またはベクトルAとBの積を表し;
−変数Tsは、制御のサンプリング時間を表す。
【0021】
図1に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0022】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(ωe、Te)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0023】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0024】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、連続無段変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。変速機のモードのコントローラについては、上述の本出願人の特許出願において明らかにされており、本出願明細書においては説明しない。
【0025】
エンジントルク抽出モードすなわちトルク トラッキング(TT)モードでは、熱エンジンは正のトルクを連続無段変速機へ供給する。このモードの間に、本発明の制御方法によって求められる機械的な対象は、熱エンジンの回転数と、車輪へ供給されるトルクの調整である。本発明の制御方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0026】
以下の記述において、以下の記号によって表わされる量を使用する:
・ωe1:第1電気機械11の回転数、
・ωe2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・ωice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・ψ(Te1,Te2,ωe1,ωe2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失の全体とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0027】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[ωe1,ωe2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0028】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0029】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0030】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、ωe1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、ωe2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0031】
制御装置2は、応答として、本発明の方法を適用して、動力装置1のアクチュエータのための制御信号、すなわち:
−熱エンジンの回転数に関する制御目標に貢献することを可能にする、ライン7を介して熱エンジン4のコントローラ3へ向けて発生される制御信号;
−熱エンジンの回転数に関する制御目標と、車輪へ加えられるトルクToの制御目標とに、同時に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号;
を返送する。
【0032】
望ましい実施の形態においては、ライン7を介して発生される制御信号は、熱エンジンのトルク指令値Tice#の信号である。
【0033】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0034】
本発明の制御方法は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンが、連続無段変速機から切り離されることなく、上の2つの層から制御される、「エンジントルク抽出」モードにおいて、制御の中間層(COS)を構築することにある。
【0035】
熱エンジンの動作点の最適化を実行する監視装置またはコントローラは、第3層のコントローラの入力へ、熱エンジンの回転数の指令値を供給する。監視装置またはコントローラは、車輪へ加えられるトルクの指令値も供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの3つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラは、動力装置GMPの3つの主要なアクチュエータ、すなわち2つの電気機械(Me1、Me2)と熱エンジンに関するトルクの指令値を生成する。
【0036】
図2に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0037】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S0における制御開始操作に続いて、制御は、機械的な制御信号u0と、熱エンジンのトルクの指令値Tice#が、測定ベクトルZに基づいて計算される、段階S1へ移行する。
【0038】
本発明の1特徴によれば、測定ベクトルZは、2つの電気機械から供給されるトルクTe1、Te2と、2つの電気機械の回転速度ωe1、ωe2と、エネルギ蓄積要素(エネルギバッファ要素)の端子間の電圧Ucapaの測定値から構成される。
【0039】
しかしながら、電気的なエネルギバッファ要素の端子間の電圧Ucapaの値は、段階S1の際には使用されない。段階S1は、機械的な調整の目標のみが考慮され、熱エンジンから生じる制御は、従って直接使用可能であり、熱エンジンのアクチュエータに適用することができることによって特徴付けられる。
【0040】
第1段階においては、本発明の制御方法は、中間の制御信号u0と、熱エンジンのトルク指令値Tice#を表す信号を発生させることからなる。この機械的な制御を実行するために、本発明の制御方法は、変速機の電気機械のトルクの推定値と、前の計算ステップにおいて推定された機械的な制御信号の以前の値と、エネルギ的な制御信号uwを考慮に入れることからなる。
【0041】
次に、段階S2においては、本発明の制御方法は、エネルギ的な制御信号uwと、機械的な制御信号uo(n)の修正値と、変速機の電気機械のトルクの推定値^Te1と^Te2と、コントローラ19、20へ実際に適用される電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を作ることからなる。このエネルギ的な制御段階を実行するために、本発明の制御方法は、システムのセンサからのベクトルZ(図1)における測定量の測定信号に加えて、前の機械的な段階において計算された中間の制御信号uoを考慮に入れることからなる。
【0042】
段階S3においては、「エンジントルク抽出」モードにおける駆動モードの終了が決定されたときに、本発明の制御が終わったかどうかを決定するために、ループの終了のテストを実行する。
【0043】
このテスト結果が「YES」であれば、終わりの段階S5が実行されて制御が解除される。
【0044】
段階S3のテスト結果が「NO」であれば、制御はこのループの中に留まり、測定ベクトルZ=(Te1,Te2,ωe1,ωe2,Ucapa)の新しい改訂(段階S4)が実行され、制御は段階S1のループの始に戻る。
【0045】
望ましい実施の1形態においては、段階S1は、相次ぐ3段階:
−動力装置から車輪に加えられるトルクの推定値^Toと、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2と、熱エンジンの回転数の推定値^ωiceを取得する段階S11;
−動力装置から車輪に加えられるトルクTo#と熱エンジンの回転数ωice#の測定値に依存する、(V1,V2)=調整(To*,ωice*)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な調整関数を用いて実行される、あらかじめ定められた調整関数を適用して得られる、一対の値(V1,V2)の作成の段階S12;
−段階S12で計算された一対の値に依存する、(uo,Tice#)=分離(V1,V2)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な分離関数を用いて実行される、あらかじめ定められた分離関数を適用して得られる、一対の値(uo,Tice#)の作成段階S13;
に細分化される。
【0046】
望ましい実施の1形態においては、段階S2は、相次ぐ3段階:
−uw=f(Ucapa)の形の関係式にしたがって、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数f()に基づくエネルギ的な中間の制御信号uwの作成段階S21;
−2つの電気機械の回転軸に存在している正または負のトルクの及びそれらの擾乱の推定ベクトルが、(^Te1,^Te2,^Tde1,^Tde2)=g(Te1#,Te2#,Te1,Te2)の形の関係式に従って、電気機械のトルクの指令値と測定値に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数g()に基づいて決定される、段階S22;
−変速機の電気機械のトルクの指令値のベクトルが、分離(decouplage)として当業者に知られた関数を具体化するが、段階S13の関数、分離()、とは異なって、エネルギ的な調整の対象においてのみこれを実行し、段階S21において計算されたエネルギ的な中間の制御信号uwと、段階S13において計算された機械的な制御信号uoと、(Te1#,Te2#)=分離_エネルギ(uw,uo,^ωe1、^ωe2,^Tde1,^Tde2)の形の関係式に従う、変速機の2つの電気機械の回転数とトルクの擾乱の推定とに依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数、分離_エネルギ()に基づいて計算される段階S23;
に細分化される。
【0047】
図3に示された制御装置2(図1参照)の部分である第3層のコントローラは:
−機械的制御装置100;
−エネルギ的制御装置101;
を有する。
【0048】
機械的制御装置100は、6入力ゲート:
−最適エンジン回転数ωice*を示す値を受ける入力ゲートa;
−最適エンジントルクTo*を示す値を受ける入力ゲートb;
−電気機械の回転速度の測定値ωe1、ωe2を受ける入力ゲートc;
−エネルギ的制御装置101に接続され、エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的制御装置101に接続され、先行する機械的な制御信号uo(n)の値を受ける入力ゲートe;
−エネルギ的制御装置101に接続され、電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0049】
機械的制御装置100は、3出力ゲート:
−熱エンジンのトルク指令値Tice#を供給する出力ゲートS1;
−エネルギ的制御装置101へ、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS2;
−エネルギ的制御装置101へ、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を供給する出力ゲートS3;
を有する。
【0050】
エネルギ的制御装置101は、4入力ゲート:
−機械的制御装置100の出力ゲートS2に接続された入力ゲートa;
−電気機械のトルクの測定値Te1、Te2を受ける入力ゲートb;
−機械的制御装置100の出力ゲートS3に接続され、電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を受ける入力ゲートc;
−連続無断変速機の電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaを受ける入力ゲートd;
を有する。
【0051】
エネルギ的制御装置101は、4出力ゲート:
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を供給する出力ゲートS1;
−機械的制御装置100の入力ゲートdに接続され、機械的制御装置100へエネルギ的な制御信号uwを供給する出力ゲートS2;
−機械的制御装置100の入力ゲートeへ接続され、機械的制御装置100へ機械的な制御信号uoの修正値を供給する出力ゲートS3;
−機械的制御装置100の入力ゲートfへ接続され、機械的制御装置100へ電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を供給する出力ゲートS4;
を有する。
【0052】
図4に、本発明の機械的制御装置100を構成する主要な装置の実施の特定の形態、すなわち:
−システムの状態を表す変数の決定装置36、
−調整装置34、
−分離装置35、
を示す。
【0053】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて、また、図1、2を用いて説明したような、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0054】
調整装置34は、4入力ゲート:
−熱エンジンの回転数の最適値ωice※を表す信号を受ける入力ゲートb;
−車輪へ伝達されるトルクの最適値To※を表す信号を受ける入力ゲートc;
−車輪へ伝達されるトルクの推定値^Toを表す信号を受ける入力ゲートd;
−エンジンの回転数の推定値^ωiceの信号と、要すればその微分^ω’iceを受ける入力ゲートf;
を有する。
【0055】
調整装置34は、2出力ゲート:
−中間制御信号V1の出力ゲートS1;
−中間制御信号V2の出力ゲートS2;
を有する。
【0056】
調整装置34は、段階S12に説明の際に述べたベクトル(V1,V2)の新しい現実化の計算の各ステップの実行に充当される、プロセッサまたはプロセッサの部分を有する。プロセッサまたはプロセッサの部分は、それぞれ第1の中間制御信号V1と第2の中間制御信号V2の、2つの計算装置を有する。
【0057】
分離装置35は、5入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間制御信号V1を受ける入力ゲートa;
−調整装置34の出力ゲートS2から出る、中間制御信号V2を受ける入力ゲートb;
−機械的な制御信号uo(n)の修正値を受ける入力ゲートc;
−熱エンジンの回転数の推定値^ωiceの信号と、要すればその時間微分^ω’iceを受ける入力ゲートd;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0058】
分離装置35は、2出力ゲート:
−機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1;
−エンジンのトルク指令値Tice#を表し、ライン7(図1)を介して熱エンジン4のコントローラ3へ直接伝達される信号を供給する出力ゲートS3;
を有する。
【0059】
推定ベクトル^Xfの決定装置36は、システムの状態を表す主要な変数を含有する推定ベクトル^Xfの信号を構築する役割を有する。
【0060】
決定装置36は、3入力ゲート:
−熱エンジンのトルク指令値Tice#の信号を受ける入力ゲートc;
−電気機械の電気的な状態ωe1、ωe2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0061】
決定装置36は4出力ゲート:
−分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
−調整装置34の入力ゲートfへ伝達される、エンジンの回転数の推定値^ωiceとその時間微分^ω’iceを発生する出力ゲートS2;
−車輪へ伝達されるトルクの推定値^Toを発生する出力ゲートS4;
−2つの電気機械の回転数の推定値を発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0062】
図5に、機械的な制御信号uoとエンジンのトルク指令値Tice#の計算を実行すること可能にする回路の実施の特定の形態を示す。
【0063】
機械的制御の分離装置35の回路は、逐次微分によってモデルの反転演算を実行する第1の回路110を有する。第1の回路110は、4入力パラメータ:
−中間制御信号V1、V2;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xf;
−機械的な制御信号uo(n)の前の値;
を受ける。
【0064】
第1の回路110は、上記に言及したように、それぞれ機械的な制御信号uoを作るために離散積分回路111の入力へと、熱エンジンの回転数に依存する熱エンジンのトルクの飽和回路112へ供給される、2つの中間制御信号u1、u2を作る。
【0065】
次いで、飽和回路112の出力信号は、あらかじめ定められた離散遅延を適用し、熱エンジンのトルク指令値Tice#を作る回路113へ供給される。
【0066】
図6に、図3に示したようなエネルギ的制御装置101の実施の特定の形態を示す。
【0067】
上記に明らかにしたような本発明の制御方法は、以下の連続する3段階で実行されるエネルギ的な制御信号uwの計算段階を有する。
【0068】
第1段階においては、エネルギ的計算装置120が、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaに基づいて、エネルギ的な制御信号uwの第1の推定値を作る。
【0069】
第2段階においては、トルク決定装置121が、電気機械のトルクTe1、Te2とそれらの擾乱を推定する。
【0070】
第1段階と第2段階の後で実施する必要がある第3段階においては、本発明の制御方法は、エネルギ的分離装置122によって、エネルギ的な分離を実行することからなる。エネルギ的分離は、第1段階においてエネルギ的計算装置120によって作られたエネルギ的な制御信号uwの第1の推定値と、電気機械のトルクの擾乱の推定値^Tde1、^Tde2と、電気機械の回転速度の推定値と、機械的な制御信号とに基づいて、所定のアルゴリズムによって実行される。エネルギ的分離装置122は、出力として:
−修正された機械的な制御信号uo;
−エネルギ的な制御信号uw;
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#;
を作る。
【0071】
エネルギ的分離装置122は、機械的制御によるエネルギ的制御の擾乱の不在を保証しながら電気機械のトルクの制御ベクトルを作成するための手段を有する。この機械的制御とエネルギ的制御の隔離手段は、次式の計算装置によって実行される。
【0072】
Te#=AA.u−^Tde
ここに:
Te#は、
【0073】
【数1】
によって表わされる、電気機械の2つのトルク指令値を集合させるベクトルであり;
AAは、マトリックス
【0074】
【数2】
ここにΩは、車両に関するテストによって得られる調整パラメータ
によって表わされる正方形マトリックスであり、
uは、
【0075】
【数3】
によって表わされる、機械的指令値とエネルギ的指令値の2つの信号を集合させるベクトルであり;
^Tdeは、
【0076】
【数4】
によって表わされる、電気機械のトルクの変化の2つの推定値を集合させるベクトルである。
【0077】
エンジンブレーキモードを示す図7に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0078】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(ωe、Te)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0079】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0080】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。
【0081】
図7が関係する、動力装置GMPの動作モードは、熱エンジンが連続無段変速機へ抵抗トルクを供給する、「エンジンブレーキ」と呼ばれる駆動モードである。このモードの間に、本発明の制御方法によって求められる唯一の機械的な対象は、熱エンジンの回転数の調整である。本発明の制御方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0082】
以下の記述において、以下の記号によって表わされる量を使用する:
・ωe1:第1電気機械11の回転数、
・ωe2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・ωice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・ψ(Te1,Te2,ωe1,ωe2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失の全体とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0083】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[ωe1,ωe2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0084】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0085】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0086】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、ωe1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、ωe2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0087】
制御装置2は、応答として、本発明の制御方法を適用して、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される、車輪へ加えられるトルクToに関係なく、熱エンジンの回転数に関する制御目標に到達することを可能にする制御信号を返送する。
【0088】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0089】
本発明の制御方法は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンが、上の2つの層から制御されない、「エンジンブレーキ」モードにおいて、制御の中間層(COS)を構築することにある。
【0090】
熱エンジンの動作点の最適化を実行する監視装置またはコントローラは、第3層のコントローラの入力へ、熱エンジンの回転数の指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラCOSは、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち2つの電気機械(Me1、Me2)に対する、本発明が関わる「エンジンブレーキ」モードにおける、トルク指令値を生成する。
【0091】
図8に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0092】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S0における制御開始操作に続いて、制御は、機械的な制御信号u0が、測定ベクトルZに基づいて計算される、段階S1へ移行する。
【0093】
本発明の1特徴によれば、測定ベクトルZは、2つの電気機械から供給されるトルクTe1、Te2と、2つの電気機械の回転速度ωe1、ωe2と、エネルギ蓄積要素(エネルギバッファ要素)の端子間の電圧Ucapaの測定値から構成される。
【0094】
しかしながら、電気的なエネルギバッファ要素の端子間の電圧Ucapaの値は、段階S1の際には使用されない。段階S1は、機械的な調整の目標のみが考慮されることによって特徴付けられる。
【0095】
第1段階においては、本発明の制御方法は、中間の制御信号u0を発生させることからなる。この機械的な制御を実行するために、本発明の制御方法は、変速機の電気機械のトルクの推定値と、前の計算ステップにおいて推定された機械的な制御信号の以前の値と、エネルギ的な制御信号uwを考慮に入れることからなる。
【0096】
次に、段階S2においては、本発明の制御方法は、エネルギ的な制御信号uwと、機械的な制御信号uo(n)の修正値と、変速機の電気機械のトルクの推定値^Te1と^Te2と、コントローラ19、20へ実際に適用される電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を作ることからなる。このエネルギ的な制御段階を実行するために、本発明の制御方法は、システムのセンサからのベクトルZ(図7)における測定量の測定信号に加えて、前の機械的な段階において計算された中間の制御信号uoを考慮に入れることからなる。
【0097】
段階S3においては、「エンジンブレーキ」モードにおける駆動モードの終了が決定されたときに、本発明の制御が終わったかどうかを決定するために、ループの終了のテストを実行する。
【0098】
このテスト結果が「YES」であれば、終わりの段階S5が実行されて制御が解除される。
【0099】
段階S3のテスト結果が「NO」であれば、制御はこのループの中に留まり、測定ベクトルZ=(Te1,Te2,ωe1,ωe2,Ucapa)の新しい改訂(段階S4)が実行され、制御は段階S1のループの始に戻る。
【0100】
望ましい実施の1形態においては、段階S1は、相次ぐ3段階:
−動力装置から車輪に加えられるトルクの推定値^Toと、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2と、熱エンジンの回転数の推定値^ωiceを取得する段階S11;
−熱エンジンの回転数ωiceの測定値に依存する、(V1)=調整(ωice*)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な調整関数を用いて実行される、あらかじめ定められた調整関数を適用して得られる、値(V1)の作成の段階S12;
−段階S12で計算された値に依存する、(uo)=分離(V1)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な分離関数を用いて実行される、あらかじめ定められた分離関数を適用して得られる、値(uo)の作成段階S13;
に細分化される。
【0101】
望ましい実施の1形態においては、段階S2は、相次ぐ3段階:
−uw=f(Ucapa)の形の関係式にしたがって、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数f()に基づくエネルギ的な中間の制御信号uwの作成段階S21;
−2つの電気機械の回転軸に存在している正または負のトルクの及びそれらの擾乱の推定ベクトルが、(^Te1,^Te2,^Tde1,^Tde2)=g(Te1#,Te2#,Te1,Te2)の形の関係式に従って、電気機械のトルク指令値と測定値に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数g()に基づいて決定される、段階S22;
−変速機の電気機械のトルクの指令値のベクトルが、分離として当業者に知られた関数を具体化するが、段階S13の関数、分離()、とは異なって、エネルギ的な調整の対象においてのみこれを実行し、段階S21において計算されたエネルギ的な中間の制御信号uwと、段階S13において計算された機械的な制御信号uoと、(Te1#,Te2#)=分離_エネルギ(uw,uo,^ωe1、^ωe2,^Tde1,^Tde2)の形の関係式に従う、変速機の2つの電気機械の回転数とトルクの擾乱の推定とに依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数、分離_エネルギ()に基づいて計算される段階S23;
に細分化される。
【0102】
図9に示された制御装置2(図7参照)の部分である第3層のコントローラは:
−機械的制御装置100;
−エネルギ的制御装置101;
を有する。
【0103】
機械的制御装置100は、5入力ゲート:
−最適エンジン回転数ωice*を示す値を受ける入力ゲートa;
−電気機械の回転速度の測定値ωe1、ωe2を受ける入力ゲートc;
−エネルギ的制御装置101に接続され、エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的制御装置101に接続され、先行する機械的な制御信号uo(n)の値を受ける入力ゲートe;
−エネルギ的制御装置101に接続され、電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0104】
機械的制御装置100は、2出力ゲート:
−エネルギ的制御装置101へ、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS2;
−エネルギ的制御装置101へ、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を供給する出力ゲートS3;
を有する。
【0105】
エネルギ的制御装置101は、4入力ゲート:
−機械的制御装置100の出力ゲートS2に接続された入力ゲートa;
−電気機械のトルクの測定値Te1、Te2を受ける入力ゲートb;
−機械的制御装置100の出力ゲートS3に接続され、電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を受ける入力ゲートc;
−連続無断変速機の電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaを受ける入力ゲートd;
を有する。
【0106】
エネルギ的制御装置101は、4出力ゲート:
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を供給する出力ゲートS1;
−機械的制御装置100の入力ゲートdに接続され、機械的制御装置100へエネルギ的な制御信号uwを供給する出力ゲートS2;
−機械的制御装置100の入力ゲートeへ接続され、機械的制御装置100へ機械的な制御信号uoの修正値を供給する出力ゲートS3;
−機械的制御装置100の入力ゲートfへ接続され、機械的制御装置100へ電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を供給する出力ゲートS4;
を有する。
【0107】
図10に、本発明の機械的制御装置100を構成する主要な装置の実施の特定の形態、すなわち:
−システムの状態を表す変数の決定装置36、
−調整装置34、
−分離装置35、
を示す。
【0108】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて、また、図7、8を用いて説明したような、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0109】
調整装置34は、2入力ゲート:
−熱エンジンの回転数の最適値ωice※を表す信号を受ける入力ゲートb;
−エンジンの回転数の推定値^ωiceの信号と、要すればその微分^ω’iceを受ける入力ゲートf;
を有する。
【0110】
調整装置34は、中間制御信号V1の出力ゲートS1を有する。
【0111】
分離装置35は、3入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間制御信号V1を受ける入力ゲートa;
−機械的な制御信号uo(n)の修正値を受ける入力ゲートc;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0112】
分離装置35は、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1を有する。
【0113】
分離装置35の実施の特定の1形態は、後に説明する図11に示されている。
【0114】
推定ベクトル^Xfの決定装置36は、システムの状態を表す主要な変数を含有する推定ベクトル^Xfの信号を構築する役割を有する。
【0115】
決定装置36は、2入力ゲート:
−電気機械の電気的な状態ωe1、ωe2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0116】
決定装置36は3出力ゲート:
−分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
−調整装置34の入力ゲートfへ伝達される、要すればその時間微分^ω’iceによって補完される、エンジンの回転数の推定値^ωiceを発生する出力ゲートS2;
−2つの電気機械の回転数の推定値^ωe1、^ωe2を発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0117】
図11に、機械的な制御信号uoの計算を実行すること可能にする回路の実施の特定の形態を示す。
【0118】
機械的制御の分離装置35の回路は、逐次微分によってモデルの反転演算を実行する第1の回路110を有する。第1の回路110は、2入力パラメータ:
−中間制御信号V1;
−機械的な制御信号uo(n)の前の値;
を受ける。
【0119】
第1の回路110は、上記に言及したように、機械的な制御信号uoを作るために離散積分回路111の入力へ供給される、中間制御信号u1を作る。
【0120】
図12に、図9に示したようなエネルギ的制御装置101の実施の特定の形態を示す。
【0121】
上記に明らかにしたような本発明の制御方法は、以下の連続する3段階で実行されるエネルギ的な制御信号uwの計算段階を有する。
【0122】
第1段階においては、エネルギ的計算装置120が、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaに基づいて、エネルギ的な制御信号uwの第1の推定値を作る。
【0123】
第2段階においては、トルク決定装置121が、電気機械のトルクTe1、Te2とそれらの擾乱を推定する。
【0124】
第1段階と第2段階の後で実施する必要がある第3段階においては、本発明の制御方法は、エネルギ的分離装置122によって、エネルギ的な分離を実行することからなる。エネルギ的分離は、第1段階においてエネルギ的計算装置120によって作られたエネルギ的な制御信号uwの第1の推定値と、電気機械のトルクの擾乱の推定値^Tde1、^Tde2と、電気機械の回転速度の推定値と、機械的な制御信号とに基づいて、特定のアルゴリズムによって実行される。エネルギ的分離装置122は、出力として:
−修正された機械的な制御信号uo(n);
−エネルギ的な制御信号uw;
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#;
を作る。
【0125】
エネルギ的分離装置122は、機械的制御によるエネルギ的制御の擾乱の不在を保証しながら電気機械のトルクの制御ベクトルを作成するための手段を有する。この機械的制御とエネルギ的制御の隔離手段は、次式の計算装置によって実行される。
【0126】
Te#=AA.u−^Tde
ここに:
Te#は、
【0127】
【数5】
によって表わされる、電気機械の2つのトルク指令値を集合させるベクトルであり;
AAは、マトリックス
【0128】
【数6】
ここにΩは、車両に関するテストによって得られる調整パラメータ
によって表わされる正方形マトリックスであり、
uは、
【0129】
【数7】
によって表わされる、機械的指令値とエネルギ的指令値の2つの信号を集合させるベクトルであり;
^Tdeは、
【0130】
【数8】
によって表わされる、電気機械のトルクの変化の2つの推定値を集合させるベクトルである。
【0131】
トルク低下モードに関係する図13に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0132】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(ωe、Te)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0133】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0134】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。変速機のモードのコントローラについては、上述の本出願人の特許出願において明らかにされており、本出願明細書においては説明しない。
【0135】
図13に関する動力装置GMPの動作モードは、エンジンが連続無断変速機へアイドリングのトルクを供給する「トルク低下」モードである。
このモードの間に、本発明の方法によって求められる唯一の機械的な対象は、車輪へ供給されるトルクの調整である。本発明の方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0136】
以下の記述において、以下の記号によって表わされる量を使用する:
・ωe1:第1電気機械11の回転数、
・ωe2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・ωice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・ψ(Te1,Te2,ωe1,ωe2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失の全体とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0137】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[ωe1,ωe2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0138】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0139】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0140】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、ωe1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、ωe2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0141】
制御装置2は、応答として、本発明の方法を適用して、車輪へ加えられるトルクToの制御目標に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号を返送する。
【0142】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0143】
本発明の制御方法は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンが、上の2つの層からは制御されないが、連続無段変速機から切り離されることなくアイドリング回転数で動作する、「トルク低下」モードにおいて、制御の中間層(COS)を構築することにある。この状態において、車両は低速度へ移行し、ブレーキ装置を起動することができる。従って、機械的な制御対象は、車両の速度を減少させる、車輪へ伝達されるトルクである。
【0144】
監視装置またはコントローラは、第3層のコントローラの入力へ、車輪へ加えられるトルクの指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラは、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち、本発明が係わる「トルク低下」モードにおける、2つの電気機械(Me1、Me2)に関するトルクの指令値を生成する。
【0145】
図14に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0146】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S0における制御開始操作に続いて、制御は、機械的な制御信号u0が、測定ベクトルZに基づいて計算される、段階S1へ移行する。
【0147】
本発明の1特徴によれば、測定ベクトルZは、2つの電気機械から供給されるトルクTe1、Te2と、2つの電気機械の回転速度ωe1、ωe2と、エネルギ蓄積要素(エネルギバッファ要素)の端子間の電圧Ucapaの測定値から構成される。
【0148】
しかしながら、電気的なエネルギバッファ要素の端子間の電圧Ucapaの値は、段階S1の際には使用されない。段階S1は、機械的な調整の目標のみが考慮され、アイドリングのコントローラによって間接的に制御される熱エンジンに対する制御は、そこから生じないことによって特徴付けられる。
【0149】
第1段階においては、本発明の制御方法は、中間の制御信号u0を発生させることからなる。この機械的な制御を実行するために、本発明の制御方法は、変速機の電気機械のトルクの推定値と、前の計算ステップにおいて推定された機械的な制御信号の以前の値と、エネルギ的な制御信号uwを考慮に入れることからなる。
【0150】
次に、段階S2においては、本発明の制御方法は、エネルギ的な制御信号uwと、機械的な制御信号uo(n)の修正値と、変速機の電気機械のトルクの推定値^Te1と^Te2と、コントローラ19、20へ実際に適用されるトルクの指令値Te1#とTe2#を作ることからなる。このエネルギ的な制御段階を実行するために、本発明の制御方法は、システムのセンサからのベクトルZ(図13)における測定量の測定信号に加えて、前の機械的な段階において計算された中間の制御信号uoを考慮に入れることからなる。
【0151】
段階S3においては、「トルク低下」モードにおける駆動モードの終了が決定されたときに、本発明の制御が終わったかどうかを決定するために、ループの終了のテストを実行する。
【0152】
このテスト結果が「YES」であれば、終わりの段階S5が実行されて制御が解除される。
【0153】
段階S3のテスト結果が「NO」であれば、制御はこのループの中に留まり、測定ベクトルZ=(Te1,Te2,ωe1,ωe2,Ucapa)の新しい改訂(段階S4)が実行され、制御は段階S1のループの始に戻る。
【0154】
望ましい実施の1形態においては、段階S1は、相次ぐ3段階:
−動力装置から車輪に加えられるトルクの推定値^Toと、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を取得する段階S11;
−動力装置から車輪に加えられるトルクの測定値Toに依存する、(V2)=調整(To*)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な調整関数を用いて実行される、あらかじめ定められた調整関数を適用して得られる、値(V2)の作成の段階S12;
−段階S12で計算された値V2に依存する、(uo)=分離(V2)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な分離関数を用いて実行される、あらかじめ定められた分離関数を適用して得られる、値(uo)の作成段階S13;
に細分化される。
【0155】
望ましい実施の1形態においては、段階S2は、相次ぐ3段階:
−uw=f(Ucapa)の形の関係式にしたがって、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数f()に基づくエネルギ的な中間の制御信号uwの作成段階S21;
−2つの電気機械の回転軸に存在している正または負のトルクの及びそれらの擾乱の推定ベクトルが、(^Te1,^Te2,^Tde1,^Tde2)=g(Te1#,Te2#,Te1,Te2)の形の関係式に従って、電気機械のトルクの指令値と測定値に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数g()に基づいて決定される、段階S22;
−変速機の電気機械のトルクの指令値のベクトルが、分離として当業者に知られた関数を具体化するが、段階S13の関数、分離()、とは異なって、エネルギ的な調整の対象においてのみこれを実行し、段階S21において計算されたエネルギ的な中間の制御信号uwと、段階S13において計算された機械的な制御信号uoと、(Te1#,Te2#)=分離_エネルギ(uw,uo,^ωe1、^ωe2,^Tde1,^Tde2)の形の関係式に従う、変速機の2つの電気機械の回転数とトルクの擾乱の推定とに依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数、分離_エネルギ()に基づいて計算される段階S23;
に細分化される。
【0156】
図15に示された制御装置2(図13参照)の部分である第3層のコントローラは:
−機械的制御装置100;
−エネルギ的制御装置101;
を有する。
【0157】
機械的制御装置100は、5入力ゲート:
−最適エンジントルクTo*を示す値を受ける入力ゲートb;
−電気機械の回転速度の測定値ωe1、ωe2を受ける入力ゲートc;
−エネルギ的制御装置101に接続され、エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的制御装置101に接続され、先行する機械的な制御信号uo(n)の値を受ける入力ゲートe;
−エネルギ的制御装置101に接続され、電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0158】
機械的制御装置100は、2出力ゲート:
−エネルギ的制御装置101へ、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS2;
−エネルギ的制御装置101へ、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を供給する出力ゲートS3;
を有する。
【0159】
エネルギ的制御装置101は、4入力ゲート:
−機械的制御装置100の出力ゲートS2に接続された入力ゲートa;
−電気機械のトルクの測定値Te1、Te2を受ける入力ゲートb;
−機械的制御装置100の出力ゲートS3に接続され、電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を受ける入力ゲートc;
−連続無断変速機の電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaを受ける入力ゲートd;
を有する。
【0160】
エネルギ的制御装置101は、4出力ゲート:
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を供給する出力ゲートS1;
−機械的制御装置100の入力ゲートdに接続され、機械的制御装置100へエネルギ的な制御信号uwを供給する出力ゲートS2;
−機械的制御装置100の入力ゲートeへ接続され、機械的制御装置100へ機械的な制御信号uoの修正値を供給する出力ゲートS3;
−機械的制御装置100の入力ゲートfへ接続され、機械的制御装置100へ電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を供給する出力ゲートS4;
を有する。
【0161】
図16に、第3層のコントローラCOSの制御装置2(図13)の機械的制御装置100を構成する主要な装置の実施の特定の形態、すなわち:
−システムの状態を表す変数の決定装置36、
−調整装置34、
−分離装置35、
を示す。
【0162】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて、また、図13、14を用いて説明したような、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0163】
調整装置34は、2入力ゲート:
−車輪へ伝達されるトルクの最適値To※を表す信号を受ける入力ゲートc;
−車輪へ伝達されるトルクの推定値^Toを表す信号を受ける入力ゲートd;
を有する。
【0164】
調整装置34は、中間制御信号V2の出力ゲートS2を有する。
【0165】
分離装置35は、3入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS2から出る、中間制御信号V2を受ける入力ゲートb;
−機械的な制御信号uo(n)の修正値を受ける入力ゲートc;
−制御ベクトルXfの推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0166】
分離装置35は、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1を有する。
【0167】
分離装置35の実施に特定の形態は、後に説明する図17に示す。
【0168】
推定ベクトル^Xfの決定装置36は、システムの状態を表す主要な変数を含有する推定ベクトル^Xfの信号を構築する役割を有する。
【0169】
決定装置36は、2入力ゲート:
−電気機械の電気的な状態ωe1、ωe2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0170】
決定装置36は3出力ゲート:
−分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
−調整装置34の入力ゲートdへ伝達される、車輪へ伝達されるトルクの推定値^Toを発生する出力ゲートS4;
−2つの電気機械の回転数の推定値を発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0171】
図17に、機械的な制御信号uoの計算を実行すること可能にする回路の実施の特定の形態を示す。
【0172】
機械的制御の分離装置35の回路は、逐次微分によってモデルの反転演算を実行する第1の回路110を有する。第1の回路110は、3入力パラメータ:
−中間制御信号V2;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xf;
−機械的な制御信号uo(n)の前の値;
を受ける。
【0173】
第1の回路110は、上記に言及したように、それぞれ機械的な制御信号uoを作るために離散積分回路111の入力へ供給される、中間制御信号u1を作る。
【0174】
図18に、図15に示したようなエネルギ的制御装置101の実施の特定の形態を示す。
【0175】
上記に明らかにしたような本発明の制御方法は、以下の連続する3段階で実行されるエネルギ的な制御信号uwの計算段階を有する。
【0176】
第1段階においては、エネルギ的計算装置120が、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaに基づいて、エネルギ的な制御信号uwの第1の推定値を作る。
【0177】
第2段階においては、トルク決定装置121が、電気機械のトルクTe1、Te2とそれらの擾乱を推定する。
【0178】
第1段階と第2段階の後で実施する必要がある第3段階においては、本発明の制御方法は、エネルギ的分離装置122によって、エネルギ的な分離を実行することからなる。エネルギ的分離は、第1段階においてエネルギ的計算装置120によって作られたエネルギ的な制御信号uwの第1の推定値と、電気機械のトルクの擾乱の推定値^Tde1、^Tde2と、電気機械の回転速度の推定値と、機械的な制御信号とに基づいて、特定のアルゴリズムによって実行される。エネルギ的分離装置122は、出力として:
−修正された機械的な制御信号uo;
−エネルギ的な制御信号uw;
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#;
を作る。
【0179】
エネルギ的分離装置122は、機械的制御によるエネルギ的制御の擾乱の不在を保証しながら電気機械のトルクの制御ベクトルを作成するための手段を有する。この機械的制御とエネルギ的制御の隔離手段は、次式を計算する装置によって実行される。
【0180】
Te#=AA.u−^Tde
ここに:
Te#は、
【0181】
【数9】
によって表わされる、電気機械の2つのトルク指令値を集合させるベクトルであり;
AAは、マトリックス
【0182】
【数10】
ここにΩは、車両に関するテストによって得られる調整パラメータ
によって表わされる正方形マトリックスであり、
uは、
【0183】
【数11】
によって表わされる、機械的指令値とエネルギ的指令値の2つの信号を集合させるベクトルであり;
^Tdeは、
【0184】
【数12】
によって表わされる、電気機械のトルクの変化の2つの推定値を集合させるベクトルである。
【0185】
速度低下モードに関する図19に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0186】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(ωe、Te)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0187】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0188】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。変速機のモードのコントローラについては、上述の本出願人の特許出願において明らかにされており、本出願明細書においては説明しない。
【0189】
図19が関係する動力装置GMPの動作モードは、熱エンジンが連続無断変速機へアイドリングトルクを供給する「速度低下」モードと呼ばれる駆動モードである。このモードの間に、本発明の方法によって求められる機械的な唯一の対象は、車輪の回転数である。本発明の方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0190】
以下の記述において、以下の記号によって表わされる量を使用する:
・ωe1:第1電気機械11の回転数、
・ωe2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・ωice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・ψ(Te1,Te2,ωe1,ωe2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失の全体とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0191】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[ωe1,ωe2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0192】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0193】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0194】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、ωe1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、ωe2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0195】
制御装置2は、応答として、本発明の方法を適用して、車輪の回転数の制御目標に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号を返送する。
【0196】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0197】
本発明の制御方法は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンは上の2つの層からは制御されないが、「ニュートラル位置」にあっても、連続無段変速機から切り離されることなく、アイドリング回転数で動作する「速度低下」モードにおいて、制御の中間層(COS)を構築することにある。
【0198】
監視装置またはコントローラIVCは、第3層のコントローラCOSの入力へ、車輪の回転数の指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラCOSは、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち本発明が係わる「速度低下」モードにおける2つの電気機械(Me1、Me2)に関するトルクの指令値を生成する。
【0199】
図20に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0200】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S0における制御開始操作に続いて、制御は、機械的な制御信号u0が、測定ベクトルZに基づいて計算される、段階S1へ移行する。
【0201】
本発明の1特徴によれば、測定ベクトルZは、2つの電気機械から供給されるトルクTe1、Te2と、2つの電気機械の回転数ωe1、ωe2と、エネルギ蓄積要素(エネルギバッファ要素)の端子間の電圧Ucapaの測定値から構成される。
【0202】
しかしながら、電気的なエネルギバッファ要素の端子間の電圧Ucapaの値は、段階S1の際には使用されない。
段階S1は、機械的な調整の目標のみが考慮され、アイドリングのコントローラによって間接的に制御される熱エンジンに対する制御は、そこから生じないことによって特徴付けられる。
【0203】
第1段階においては、本発明の制御方法は、中間の制御信号u0を作ることからなる。この機械的な制御を実行するために、本発明の制御方法は、変速機の電気機械のトルクの推定値と、前の計算ステップにおいて推定された機械的な制御信号の以前の値と、エネルギ的な制御信号uwを考慮に入れることからなる。
【0204】
次に、段階S2においては、本発明の制御方法は、エネルギ的な制御信号uwと、機械的な制御信号uo(n)の修正値と、変速機の電気機械のトルクの推定値^Te1と^Te2と、コントローラ19、20へ実際に適用されるトルクの指令値Te1#とTe2#を作ることからなる。このエネルギ的な制御段階を実行するために、本発明の制御方法は、システムのセンサからのベクトルZ(図19)における測定量の測定信号に加えて、前の機械的な段階において計算された中間の制御信号uoを考慮に入れることからなる。
【0205】
段階S3においては、「速度低下」モードにおける駆動モードの終了が決定されたときに、本発明の制御が終わったかどうかを決定するために、ループの終了のテストを実行する。
【0206】
このテスト結果が「YES」であれば、終わりの段階S5が実行されて制御が緩められる。
【0207】
段階S3のテスト結果が「NO」であれば、制御はこのループの中に留まり、測定ベクトルZ=(Te1,Te2,ωe1,ωe2,Ucapa)の新しい改訂(段階S4)が実行され、制御は段階S1のループの始に戻る。
【0208】
望ましい実施の1形態においては、段階S1は、相次ぐ3段階:
−2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を取得する段階S11;
−車輪の回転数の測定値ωwh*に依存する、(V1)=調整(ωwh*)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な調整関数を用いて実行される、あらかじめ定められた調整関数を適用して得られる、値(V1)の作成の段階S12;
−段階S12で計算された値V1に依存する、(uo)=分離(V1)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な分離関数を用いて実行される、あらかじめ定められた分離関数を適用して得られる、値(uo)の作成段階S13;
に細分化される。
【0209】
望ましい実施の1形態においては、段階S2は、相次ぐ3段階:
−uw=f(Ucapa)の形の関係式に従って、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数f()に基づくエネルギ的な中間の制御信号uwの作成段階S21;
−2つの電気機械の回転軸に存在している正または負のトルクの及びそれらの擾乱の推定ベクトルが、(^Te1,^Te2,^Tde1,^Tde2)=g(Te1#,Te2#,Te1,Te2)の形の関係式に従って、電気機械のトルクの指令値と測定値に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数g()に基づいて決定される、段階S22;
−変速機の電気機械のトルクの指令値のベクトルが、分離(decouplage)として当業者に知られた関数を具体化するが、段階S13の関数、分離()、とは異なって、エネルギ的な調整の対象においてのみこれを実行し、段階S21において計算されたエネルギ的な中間の制御信号uwと、段階S13において計算された機械的な制御信号uoと、(Te1#,Te2#)=分離_エネルギ(uw,uo,^ωe1、^ωe2,^Tde1,^Tde2)の形の関係式に従う、変速機の2つの電気機械の回転数とトルクの擾乱の推定とに依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数、分離_エネルギ()に基づいて計算される段階S23;
に細分化される。
【0210】
図21に示された制御装置2(図19参照)の部分である第3層のコントローラは:
−機械的制御装置100;
−エネルギ的制御装置101;
を有する。
【0211】
機械的制御装置100は、5入力ゲート:
−車輪の回転数すなわち回転速度指令値ωwh*を受ける入力ゲートa;
−電気機械の回転速度の測定値ωe1、ωe2を受ける入力ゲートc;
−エネルギ的制御装置101に接続され、エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的制御装置101に接続され、先行する機械的な制御信号値uo(n)を受ける入力ゲートe;
−エネルギ的制御装置101に接続され、電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0212】
機械的制御装置100は、2出力ゲート:
−エネルギ的制御装置101へ、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1;
−エネルギ的制御装置101へ、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を供給する出力ゲートS2;
を有する。
【0213】
エネルギ的制御装置101は、4入力ゲート:
−機械的制御装置100の出力ゲートS1に接続された入力ゲートa;
−電気機械のトルクの測定値Te1、Te2を受ける入力ゲートb;
−機械的制御装置100の出力ゲートS2に接続され、電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を受ける入力ゲートc;
−連続無断変速機の電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaを受ける入力ゲートd;
を有する。
【0214】
エネルギ的制御装置101は、4出力ゲート:
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を供給する出力ゲートS1;
−機械的制御装置100の入力ゲートdに接続され、機械的制御装置100へエネルギ的な制御信号uwを供給する出力ゲートS2;
−機械的制御装置100の入力ゲートeへ接続され、機械的制御装置100へ機械的な制御信号uoの修正値uo(n)を供給する出力ゲートS3;
−機械的制御装置100の入力ゲートfへ接続され、機械的制御装置100へ電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を供給する出力ゲートS4;
を有する。
【0215】
図22に、第3層COSの制御装置2(図19)の機械的制御装置100を構成する主要な装置の実施の特定の形態、すなわち:
−システムの状態を表す変数の決定装置36、
−調整装置34、
−分離装置35、
を示す。
【0216】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて、また、図19、20を用いて説明したような、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0217】
調整装置34は、2入力ゲート:
−車輪の回転数の最適値ωwh※を表す信号を受ける入力ゲートb;
−車輪の回転数の推定値^ωwhを表すを受ける入力ゲートf;
を有する。
【0218】
調整装置34は、中間制御信号V1の出力ゲートS1を有する。
【0219】
分離装置35は、3入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間制御信号V1を受ける入力ゲートa;
−機械的な制御信号uo(n)の修正値を受ける入力ゲートc;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0220】
分離装置35は、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1を有する。
【0221】
分離装置35の実施の特定の形態は、後に説明する図23に示されている。
【0222】
推定ベクトル^Xfの決定装置36は、システムの状態を表す主要な変数を含有する推定ベクトル^Xfの信号を構築する役割を有する。
【0223】
決定装置36は、2入力ゲート:
−電気機械の電気的な状態ωe1、ωe2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0224】
決定装置36は3出力ゲート:
−分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
−調整装置34の入力ゲートfへ伝達される、車輪の回転数の推定値^ωwhを発生する出力ゲートS2;
−2つの電気機械の回転数の推定値を発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0225】
図23に、機械的な制御信号uoの計算を実行すること可能にする回路の実施の特定の形態を示す。
【0226】
機械的制御の分離装置35の回路は、逐次微分によってモデルの反転演算を実行する第1の回路110を有する。第1の回路110は、3入力パラメータ:
−中間制御信号V1;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xf;
−機械的な制御信号uo(n)の前の値;
を受ける。
【0227】
第1の回路110は、上記に言及したように、機械的な制御信号uoを作るために離散積分回路111の入力へ供給される中間制御信号u1を作る。
【0228】
図24に、図21に示したようなエネルギ的制御装置101の実施の特定の形態を示す。
【0229】
上記に明らかにしたような本発明の制御方法は、以下の連続する3段階で実行されるエネルギ的な制御信号uwの計算段階を有する。
【0230】
第1段階においては、エネルギ的計算装置120が、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaに基づいて、エネルギ的な制御信号uwの第1の推定値を作る。
【0231】
第2段階においては、トルク決定装置121が、電気機械のトルクTe1、Te2とそれらの擾乱を推定する。
【0232】
第1段階と第2段階の後で実施する必要がある第3段階においては、本発明の制御方法は、エネルギ的分離装置122によって、エネルギ的な分離を実行することからなる。エネルギ的分離は、第1段階においてエネルギ的計算装置120によって作られたエネルギ的な制御信号uwの第1の推定値と、電気機械のトルクの擾乱の推定値^Tde1、^Tde2と、電気機械の回転速度の推定値と、機械的な制御信号とに基づいて、特定のアルゴリズムによって実行される。エネルギ的分離装置122は、出力として:
−修正された機械的な制御信号uo(n);
−エネルギ的な制御信号uw;
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#;
を作る。
【0233】
エネルギ的分離装置122は、機械的制御によるエネルギ的制御の擾乱の不在を保証しながら、電気機械のトルクの制御ベクトルを作成するための手段を有する。この機械的制御とエネルギ的制御の隔離手段は、次式を計算する装置によって実行される。
【0234】
Te#=AA.u−^Tde
ここに:
Te#は、
【0235】
【数13】
によって表わされる、電気機械の2つのトルク指令値を集合させるベクトルであり;
AAは、マトリックス
【0236】
【数14】
ここにΩは、車両に関するテストによって得られる調整パラメータ
によって表わされる正方形マトリックスであり、
uは、
【0237】
【数15】
によって表わされる、機械的指令値とエネルギ的指令値の2つの信号を集合させるベクトルであり;
^Tdeは、
【0238】
【数16】
によって表わされる、電気機械のトルクの変化の2つの推定値を集合させるベクトルである。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】本発明の制御方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図2】本発明の制御方法のフローチャートである。
【図3】本発明の装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の装置の機能ブロック図である。
【図6】本発明の装置の機能ブロック図である。
【図7】エンジンブレーキモードにおける、本発明の制御方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図8】エンジンブレーキモードにおける、本発明の制御方法のフローチャートである。
【図9】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図10】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図11】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図12】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図13】トルク低下モードにおける、本発明の制御方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図14】トルク低下モードにおける、本発明の制御方法のフローチャートである。
【図15】トルク低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図16】トルク低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図17】トルク低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図18】トルク低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図19】速度低下モードにおける、本発明の制御方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図20】速度低下モードにおける、本発明の制御方法のフローチャートである。
【図21】速度低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図22】速度低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図23】速度低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図24】速度低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離された機械的制御と電気的制御を有する動力装置の制御方法及び装置に関する。関係する装置は、熱エンジンと、「エンジントルク抽出(tirage)」モード、「エンジンブレーキ(retro)」モード、「トルク低下(rampage en couple)」モード、「速度低下(rampage en vitesse)」モードで動作する連続無段変速機が装備された車両である。
【0002】
「エンジントルク抽出」モードにおいては、熱エンジンは、車両の車輪へ推進トルクを供給する。このような装置は、熱エンジンと車両の駆動輪との間に、クラッチもコンバータも有しない。
【0003】
「エンジンブレーキ」モードにおいては、運転者は、熱エンジンの制御に対して如何なる意図も示さない。
【0004】
「トルク低下」モードにおいては、運転者は、熱エンジンの制御に対して、意図を示さない。
【0005】
「速度低下」モードにおいては、運転者は、熱エンジンの制御またはブレーキ装置に対して、如何なる意図も示さない。
【0006】
関係する動力装置は、熱エンジンと車両の駆動輪との間に、クラッチもコンバータも有しない。
【0007】
本発明の装置において使用される連続無段変速機は:
・エネルギのバッファ要素を介して電気的に接続され、電気変速機として作用する2つの電気機械と;
・熱エンジンと、車輪と、電気機械へそれぞれ接続された4つの入/出力軸を有する連鎖と;
から構成される。
【0008】
複数のアクチュエータが、熱エンジンと2つの電気機械の動作状態を本質的に制御することを可能にする。これらのアクチュエータは、例えば車載の計算機にインプリメンテーションされた監視装置から発生される操作信号を受ける必要がある。
【背景技術】
【0009】
文献FR 2834249には、監視装置を、熱エンジンのタイプ、連続無段変速機の特徴及びトラック運転者の行動や運転者の運転スタイルの特徴にも、殆ど依存しなくすることを可能にする、動力装置の監視装置のための3層のアーキテクチャが記載されている。
【0010】
第1層においては、監視装置は、車両の運転環境を考慮に入れながら、運転者の意志を解釈するための第1手段を有する。
【0011】
第2層においては、監視装置は、運転者の意志の解釈に応じて決定された指令値を適用するための動力装置の最適動作点を、熱エンジンのタイプから独立に決定するために第1手段と協同する、第2手段を有する。
【0012】
第3層においては、監視装置は、上述のタイプの連続無段変速機を有する動力装置のアクチュエータの制御信号を決定するために第2手段と協同する、第3手段を有する。
【特許文献1】FR 2834249
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の第1の目的は、監視装置の第3層のレベルにおいて、使用可能な3つのアクチュエータ、すなわち熱エンジンと2つの電気機械の、「エンジントルク抽出」モードにおいて監視の上の層から要求される動作点を実現することを可能にする、指令値を計算することを可能にすることにあり、第2の目的は、この動作点を「エンジンブレーキ」モードで実現することにあり、第3の目的はこの動作点を「トルク低下」モードで実現することにあり、第4の目的はこの動作点を「速度低下」モードで実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、車両の車輪へ直接連結された熱エンジンと、2つの電気機械を包含する電気変速機を持った連続無段変速機を有する、車両の動力装置の制御方法に関する。上記制御方法によって、上記車両は上記動力装置によって駆動され、上記動力装置によって制動され、上記動力装置から切り離され、あるいは停止状態に維持される。この動力装置は、熱エンジンと車両の駆動輪との間に、如何なるカプラも介在させない。
【0015】
エンジントルク抽出モードにおいては、本制御方法は、電気エネルギのバッファ要素の充電レベルUcapaの測定値と、上記電気機械Me1、Me2の回転数ωe1、ωe2及び上記電気機械から供給されるトルクTe1、Te2の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記熱エンジンのトルクTice#を計算し、上記車輪へ加えられるトルクと上記熱エンジンの回転数を同時に調整しながら、推定された機械的な特徴を表わす機械的な制御信号u0を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルクTe1#、Te2#を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなる。
【0016】
エンジンブレーキモードにおいては、本制御方法は、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記熱エンジンの回転数を調整しながら、機械的な特徴を表わす機械的な制御信号を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルクを計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなる。
【0017】
トルク低下モードにおいては、本制御方法は、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記車輪へ加えられるトルクを調整しながら、推定される機械的な特徴を表わす機械的な制御信号を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルクを計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなる。
【0018】
速度低下モードにおいては、本制御方法は、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記車輪の回転速度を調整しながら、推定される機械的な特徴を表わす機械的な制御信号を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルクを計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の説明と添付図面によってよりよく理解されるであろう。これらの添付図面において:
−図1は、本発明の方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図であり;
−図2は、本発明の方法のフローチャートであり;
−図3〜6は、本発明の装置の機能ブロックを表わす模式図であり;
−図7〜12は、エンジンブレーキモードを示し;
−図13〜18は、トルク低下モードを示し;
−図19〜24は、速度低下モードを示す。
【0020】
以下の文中において、次の記号は以下に示す意味を有する:
−用語^aは、変数aの推定値を意味し;
−用語a※は、変数aの最適化指令値を意味し;
−用語a#は、変数aの計算指令値を意味し;
−用語a’は、変数aの時間的な変化を意味し;
−図において、太線はベクトル型の信号を表し;
−数式において、表現「A.B」は、マトリクスの積またはベクトルAとBの積を表し;
−変数Tsは、制御のサンプリング時間を表す。
【0021】
図1に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0022】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(ωe、Te)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0023】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0024】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、連続無段変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。変速機のモードのコントローラについては、上述の本出願人の特許出願において明らかにされており、本出願明細書においては説明しない。
【0025】
エンジントルク抽出モードすなわちトルク トラッキング(TT)モードでは、熱エンジンは正のトルクを連続無段変速機へ供給する。このモードの間に、本発明の制御方法によって求められる機械的な対象は、熱エンジンの回転数と、車輪へ供給されるトルクの調整である。本発明の制御方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0026】
以下の記述において、以下の記号によって表わされる量を使用する:
・ωe1:第1電気機械11の回転数、
・ωe2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・ωice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・ψ(Te1,Te2,ωe1,ωe2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失の全体とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0027】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[ωe1,ωe2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0028】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0029】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0030】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、ωe1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、ωe2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0031】
制御装置2は、応答として、本発明の方法を適用して、動力装置1のアクチュエータのための制御信号、すなわち:
−熱エンジンの回転数に関する制御目標に貢献することを可能にする、ライン7を介して熱エンジン4のコントローラ3へ向けて発生される制御信号;
−熱エンジンの回転数に関する制御目標と、車輪へ加えられるトルクToの制御目標とに、同時に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号;
を返送する。
【0032】
望ましい実施の形態においては、ライン7を介して発生される制御信号は、熱エンジンのトルク指令値Tice#の信号である。
【0033】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0034】
本発明の制御方法は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンが、連続無段変速機から切り離されることなく、上の2つの層から制御される、「エンジントルク抽出」モードにおいて、制御の中間層(COS)を構築することにある。
【0035】
熱エンジンの動作点の最適化を実行する監視装置またはコントローラは、第3層のコントローラの入力へ、熱エンジンの回転数の指令値を供給する。監視装置またはコントローラは、車輪へ加えられるトルクの指令値も供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの3つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラは、動力装置GMPの3つの主要なアクチュエータ、すなわち2つの電気機械(Me1、Me2)と熱エンジンに関するトルクの指令値を生成する。
【0036】
図2に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0037】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S0における制御開始操作に続いて、制御は、機械的な制御信号u0と、熱エンジンのトルクの指令値Tice#が、測定ベクトルZに基づいて計算される、段階S1へ移行する。
【0038】
本発明の1特徴によれば、測定ベクトルZは、2つの電気機械から供給されるトルクTe1、Te2と、2つの電気機械の回転速度ωe1、ωe2と、エネルギ蓄積要素(エネルギバッファ要素)の端子間の電圧Ucapaの測定値から構成される。
【0039】
しかしながら、電気的なエネルギバッファ要素の端子間の電圧Ucapaの値は、段階S1の際には使用されない。段階S1は、機械的な調整の目標のみが考慮され、熱エンジンから生じる制御は、従って直接使用可能であり、熱エンジンのアクチュエータに適用することができることによって特徴付けられる。
【0040】
第1段階においては、本発明の制御方法は、中間の制御信号u0と、熱エンジンのトルク指令値Tice#を表す信号を発生させることからなる。この機械的な制御を実行するために、本発明の制御方法は、変速機の電気機械のトルクの推定値と、前の計算ステップにおいて推定された機械的な制御信号の以前の値と、エネルギ的な制御信号uwを考慮に入れることからなる。
【0041】
次に、段階S2においては、本発明の制御方法は、エネルギ的な制御信号uwと、機械的な制御信号uo(n)の修正値と、変速機の電気機械のトルクの推定値^Te1と^Te2と、コントローラ19、20へ実際に適用される電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を作ることからなる。このエネルギ的な制御段階を実行するために、本発明の制御方法は、システムのセンサからのベクトルZ(図1)における測定量の測定信号に加えて、前の機械的な段階において計算された中間の制御信号uoを考慮に入れることからなる。
【0042】
段階S3においては、「エンジントルク抽出」モードにおける駆動モードの終了が決定されたときに、本発明の制御が終わったかどうかを決定するために、ループの終了のテストを実行する。
【0043】
このテスト結果が「YES」であれば、終わりの段階S5が実行されて制御が解除される。
【0044】
段階S3のテスト結果が「NO」であれば、制御はこのループの中に留まり、測定ベクトルZ=(Te1,Te2,ωe1,ωe2,Ucapa)の新しい改訂(段階S4)が実行され、制御は段階S1のループの始に戻る。
【0045】
望ましい実施の1形態においては、段階S1は、相次ぐ3段階:
−動力装置から車輪に加えられるトルクの推定値^Toと、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2と、熱エンジンの回転数の推定値^ωiceを取得する段階S11;
−動力装置から車輪に加えられるトルクTo#と熱エンジンの回転数ωice#の測定値に依存する、(V1,V2)=調整(To*,ωice*)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な調整関数を用いて実行される、あらかじめ定められた調整関数を適用して得られる、一対の値(V1,V2)の作成の段階S12;
−段階S12で計算された一対の値に依存する、(uo,Tice#)=分離(V1,V2)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な分離関数を用いて実行される、あらかじめ定められた分離関数を適用して得られる、一対の値(uo,Tice#)の作成段階S13;
に細分化される。
【0046】
望ましい実施の1形態においては、段階S2は、相次ぐ3段階:
−uw=f(Ucapa)の形の関係式にしたがって、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数f()に基づくエネルギ的な中間の制御信号uwの作成段階S21;
−2つの電気機械の回転軸に存在している正または負のトルクの及びそれらの擾乱の推定ベクトルが、(^Te1,^Te2,^Tde1,^Tde2)=g(Te1#,Te2#,Te1,Te2)の形の関係式に従って、電気機械のトルクの指令値と測定値に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数g()に基づいて決定される、段階S22;
−変速機の電気機械のトルクの指令値のベクトルが、分離(decouplage)として当業者に知られた関数を具体化するが、段階S13の関数、分離()、とは異なって、エネルギ的な調整の対象においてのみこれを実行し、段階S21において計算されたエネルギ的な中間の制御信号uwと、段階S13において計算された機械的な制御信号uoと、(Te1#,Te2#)=分離_エネルギ(uw,uo,^ωe1、^ωe2,^Tde1,^Tde2)の形の関係式に従う、変速機の2つの電気機械の回転数とトルクの擾乱の推定とに依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数、分離_エネルギ()に基づいて計算される段階S23;
に細分化される。
【0047】
図3に示された制御装置2(図1参照)の部分である第3層のコントローラは:
−機械的制御装置100;
−エネルギ的制御装置101;
を有する。
【0048】
機械的制御装置100は、6入力ゲート:
−最適エンジン回転数ωice*を示す値を受ける入力ゲートa;
−最適エンジントルクTo*を示す値を受ける入力ゲートb;
−電気機械の回転速度の測定値ωe1、ωe2を受ける入力ゲートc;
−エネルギ的制御装置101に接続され、エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的制御装置101に接続され、先行する機械的な制御信号uo(n)の値を受ける入力ゲートe;
−エネルギ的制御装置101に接続され、電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0049】
機械的制御装置100は、3出力ゲート:
−熱エンジンのトルク指令値Tice#を供給する出力ゲートS1;
−エネルギ的制御装置101へ、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS2;
−エネルギ的制御装置101へ、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を供給する出力ゲートS3;
を有する。
【0050】
エネルギ的制御装置101は、4入力ゲート:
−機械的制御装置100の出力ゲートS2に接続された入力ゲートa;
−電気機械のトルクの測定値Te1、Te2を受ける入力ゲートb;
−機械的制御装置100の出力ゲートS3に接続され、電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を受ける入力ゲートc;
−連続無断変速機の電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaを受ける入力ゲートd;
を有する。
【0051】
エネルギ的制御装置101は、4出力ゲート:
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を供給する出力ゲートS1;
−機械的制御装置100の入力ゲートdに接続され、機械的制御装置100へエネルギ的な制御信号uwを供給する出力ゲートS2;
−機械的制御装置100の入力ゲートeへ接続され、機械的制御装置100へ機械的な制御信号uoの修正値を供給する出力ゲートS3;
−機械的制御装置100の入力ゲートfへ接続され、機械的制御装置100へ電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を供給する出力ゲートS4;
を有する。
【0052】
図4に、本発明の機械的制御装置100を構成する主要な装置の実施の特定の形態、すなわち:
−システムの状態を表す変数の決定装置36、
−調整装置34、
−分離装置35、
を示す。
【0053】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて、また、図1、2を用いて説明したような、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0054】
調整装置34は、4入力ゲート:
−熱エンジンの回転数の最適値ωice※を表す信号を受ける入力ゲートb;
−車輪へ伝達されるトルクの最適値To※を表す信号を受ける入力ゲートc;
−車輪へ伝達されるトルクの推定値^Toを表す信号を受ける入力ゲートd;
−エンジンの回転数の推定値^ωiceの信号と、要すればその微分^ω’iceを受ける入力ゲートf;
を有する。
【0055】
調整装置34は、2出力ゲート:
−中間制御信号V1の出力ゲートS1;
−中間制御信号V2の出力ゲートS2;
を有する。
【0056】
調整装置34は、段階S12に説明の際に述べたベクトル(V1,V2)の新しい現実化の計算の各ステップの実行に充当される、プロセッサまたはプロセッサの部分を有する。プロセッサまたはプロセッサの部分は、それぞれ第1の中間制御信号V1と第2の中間制御信号V2の、2つの計算装置を有する。
【0057】
分離装置35は、5入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間制御信号V1を受ける入力ゲートa;
−調整装置34の出力ゲートS2から出る、中間制御信号V2を受ける入力ゲートb;
−機械的な制御信号uo(n)の修正値を受ける入力ゲートc;
−熱エンジンの回転数の推定値^ωiceの信号と、要すればその時間微分^ω’iceを受ける入力ゲートd;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0058】
分離装置35は、2出力ゲート:
−機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1;
−エンジンのトルク指令値Tice#を表し、ライン7(図1)を介して熱エンジン4のコントローラ3へ直接伝達される信号を供給する出力ゲートS3;
を有する。
【0059】
推定ベクトル^Xfの決定装置36は、システムの状態を表す主要な変数を含有する推定ベクトル^Xfの信号を構築する役割を有する。
【0060】
決定装置36は、3入力ゲート:
−熱エンジンのトルク指令値Tice#の信号を受ける入力ゲートc;
−電気機械の電気的な状態ωe1、ωe2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0061】
決定装置36は4出力ゲート:
−分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
−調整装置34の入力ゲートfへ伝達される、エンジンの回転数の推定値^ωiceとその時間微分^ω’iceを発生する出力ゲートS2;
−車輪へ伝達されるトルクの推定値^Toを発生する出力ゲートS4;
−2つの電気機械の回転数の推定値を発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0062】
図5に、機械的な制御信号uoとエンジンのトルク指令値Tice#の計算を実行すること可能にする回路の実施の特定の形態を示す。
【0063】
機械的制御の分離装置35の回路は、逐次微分によってモデルの反転演算を実行する第1の回路110を有する。第1の回路110は、4入力パラメータ:
−中間制御信号V1、V2;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xf;
−機械的な制御信号uo(n)の前の値;
を受ける。
【0064】
第1の回路110は、上記に言及したように、それぞれ機械的な制御信号uoを作るために離散積分回路111の入力へと、熱エンジンの回転数に依存する熱エンジンのトルクの飽和回路112へ供給される、2つの中間制御信号u1、u2を作る。
【0065】
次いで、飽和回路112の出力信号は、あらかじめ定められた離散遅延を適用し、熱エンジンのトルク指令値Tice#を作る回路113へ供給される。
【0066】
図6に、図3に示したようなエネルギ的制御装置101の実施の特定の形態を示す。
【0067】
上記に明らかにしたような本発明の制御方法は、以下の連続する3段階で実行されるエネルギ的な制御信号uwの計算段階を有する。
【0068】
第1段階においては、エネルギ的計算装置120が、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaに基づいて、エネルギ的な制御信号uwの第1の推定値を作る。
【0069】
第2段階においては、トルク決定装置121が、電気機械のトルクTe1、Te2とそれらの擾乱を推定する。
【0070】
第1段階と第2段階の後で実施する必要がある第3段階においては、本発明の制御方法は、エネルギ的分離装置122によって、エネルギ的な分離を実行することからなる。エネルギ的分離は、第1段階においてエネルギ的計算装置120によって作られたエネルギ的な制御信号uwの第1の推定値と、電気機械のトルクの擾乱の推定値^Tde1、^Tde2と、電気機械の回転速度の推定値と、機械的な制御信号とに基づいて、所定のアルゴリズムによって実行される。エネルギ的分離装置122は、出力として:
−修正された機械的な制御信号uo;
−エネルギ的な制御信号uw;
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#;
を作る。
【0071】
エネルギ的分離装置122は、機械的制御によるエネルギ的制御の擾乱の不在を保証しながら電気機械のトルクの制御ベクトルを作成するための手段を有する。この機械的制御とエネルギ的制御の隔離手段は、次式の計算装置によって実行される。
【0072】
Te#=AA.u−^Tde
ここに:
Te#は、
【0073】
【数1】
によって表わされる、電気機械の2つのトルク指令値を集合させるベクトルであり;
AAは、マトリックス
【0074】
【数2】
ここにΩは、車両に関するテストによって得られる調整パラメータ
によって表わされる正方形マトリックスであり、
uは、
【0075】
【数3】
によって表わされる、機械的指令値とエネルギ的指令値の2つの信号を集合させるベクトルであり;
^Tdeは、
【0076】
【数4】
によって表わされる、電気機械のトルクの変化の2つの推定値を集合させるベクトルである。
【0077】
エンジンブレーキモードを示す図7に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0078】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(ωe、Te)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0079】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0080】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。
【0081】
図7が関係する、動力装置GMPの動作モードは、熱エンジンが連続無段変速機へ抵抗トルクを供給する、「エンジンブレーキ」と呼ばれる駆動モードである。このモードの間に、本発明の制御方法によって求められる唯一の機械的な対象は、熱エンジンの回転数の調整である。本発明の制御方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0082】
以下の記述において、以下の記号によって表わされる量を使用する:
・ωe1:第1電気機械11の回転数、
・ωe2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・ωice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・ψ(Te1,Te2,ωe1,ωe2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失の全体とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0083】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[ωe1,ωe2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0084】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0085】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0086】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、ωe1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、ωe2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0087】
制御装置2は、応答として、本発明の制御方法を適用して、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される、車輪へ加えられるトルクToに関係なく、熱エンジンの回転数に関する制御目標に到達することを可能にする制御信号を返送する。
【0088】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0089】
本発明の制御方法は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンが、上の2つの層から制御されない、「エンジンブレーキ」モードにおいて、制御の中間層(COS)を構築することにある。
【0090】
熱エンジンの動作点の最適化を実行する監視装置またはコントローラは、第3層のコントローラの入力へ、熱エンジンの回転数の指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラCOSは、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち2つの電気機械(Me1、Me2)に対する、本発明が関わる「エンジンブレーキ」モードにおける、トルク指令値を生成する。
【0091】
図8に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0092】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S0における制御開始操作に続いて、制御は、機械的な制御信号u0が、測定ベクトルZに基づいて計算される、段階S1へ移行する。
【0093】
本発明の1特徴によれば、測定ベクトルZは、2つの電気機械から供給されるトルクTe1、Te2と、2つの電気機械の回転速度ωe1、ωe2と、エネルギ蓄積要素(エネルギバッファ要素)の端子間の電圧Ucapaの測定値から構成される。
【0094】
しかしながら、電気的なエネルギバッファ要素の端子間の電圧Ucapaの値は、段階S1の際には使用されない。段階S1は、機械的な調整の目標のみが考慮されることによって特徴付けられる。
【0095】
第1段階においては、本発明の制御方法は、中間の制御信号u0を発生させることからなる。この機械的な制御を実行するために、本発明の制御方法は、変速機の電気機械のトルクの推定値と、前の計算ステップにおいて推定された機械的な制御信号の以前の値と、エネルギ的な制御信号uwを考慮に入れることからなる。
【0096】
次に、段階S2においては、本発明の制御方法は、エネルギ的な制御信号uwと、機械的な制御信号uo(n)の修正値と、変速機の電気機械のトルクの推定値^Te1と^Te2と、コントローラ19、20へ実際に適用される電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を作ることからなる。このエネルギ的な制御段階を実行するために、本発明の制御方法は、システムのセンサからのベクトルZ(図7)における測定量の測定信号に加えて、前の機械的な段階において計算された中間の制御信号uoを考慮に入れることからなる。
【0097】
段階S3においては、「エンジンブレーキ」モードにおける駆動モードの終了が決定されたときに、本発明の制御が終わったかどうかを決定するために、ループの終了のテストを実行する。
【0098】
このテスト結果が「YES」であれば、終わりの段階S5が実行されて制御が解除される。
【0099】
段階S3のテスト結果が「NO」であれば、制御はこのループの中に留まり、測定ベクトルZ=(Te1,Te2,ωe1,ωe2,Ucapa)の新しい改訂(段階S4)が実行され、制御は段階S1のループの始に戻る。
【0100】
望ましい実施の1形態においては、段階S1は、相次ぐ3段階:
−動力装置から車輪に加えられるトルクの推定値^Toと、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2と、熱エンジンの回転数の推定値^ωiceを取得する段階S11;
−熱エンジンの回転数ωiceの測定値に依存する、(V1)=調整(ωice*)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な調整関数を用いて実行される、あらかじめ定められた調整関数を適用して得られる、値(V1)の作成の段階S12;
−段階S12で計算された値に依存する、(uo)=分離(V1)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な分離関数を用いて実行される、あらかじめ定められた分離関数を適用して得られる、値(uo)の作成段階S13;
に細分化される。
【0101】
望ましい実施の1形態においては、段階S2は、相次ぐ3段階:
−uw=f(Ucapa)の形の関係式にしたがって、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数f()に基づくエネルギ的な中間の制御信号uwの作成段階S21;
−2つの電気機械の回転軸に存在している正または負のトルクの及びそれらの擾乱の推定ベクトルが、(^Te1,^Te2,^Tde1,^Tde2)=g(Te1#,Te2#,Te1,Te2)の形の関係式に従って、電気機械のトルク指令値と測定値に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数g()に基づいて決定される、段階S22;
−変速機の電気機械のトルクの指令値のベクトルが、分離として当業者に知られた関数を具体化するが、段階S13の関数、分離()、とは異なって、エネルギ的な調整の対象においてのみこれを実行し、段階S21において計算されたエネルギ的な中間の制御信号uwと、段階S13において計算された機械的な制御信号uoと、(Te1#,Te2#)=分離_エネルギ(uw,uo,^ωe1、^ωe2,^Tde1,^Tde2)の形の関係式に従う、変速機の2つの電気機械の回転数とトルクの擾乱の推定とに依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数、分離_エネルギ()に基づいて計算される段階S23;
に細分化される。
【0102】
図9に示された制御装置2(図7参照)の部分である第3層のコントローラは:
−機械的制御装置100;
−エネルギ的制御装置101;
を有する。
【0103】
機械的制御装置100は、5入力ゲート:
−最適エンジン回転数ωice*を示す値を受ける入力ゲートa;
−電気機械の回転速度の測定値ωe1、ωe2を受ける入力ゲートc;
−エネルギ的制御装置101に接続され、エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的制御装置101に接続され、先行する機械的な制御信号uo(n)の値を受ける入力ゲートe;
−エネルギ的制御装置101に接続され、電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0104】
機械的制御装置100は、2出力ゲート:
−エネルギ的制御装置101へ、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS2;
−エネルギ的制御装置101へ、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を供給する出力ゲートS3;
を有する。
【0105】
エネルギ的制御装置101は、4入力ゲート:
−機械的制御装置100の出力ゲートS2に接続された入力ゲートa;
−電気機械のトルクの測定値Te1、Te2を受ける入力ゲートb;
−機械的制御装置100の出力ゲートS3に接続され、電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を受ける入力ゲートc;
−連続無断変速機の電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaを受ける入力ゲートd;
を有する。
【0106】
エネルギ的制御装置101は、4出力ゲート:
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を供給する出力ゲートS1;
−機械的制御装置100の入力ゲートdに接続され、機械的制御装置100へエネルギ的な制御信号uwを供給する出力ゲートS2;
−機械的制御装置100の入力ゲートeへ接続され、機械的制御装置100へ機械的な制御信号uoの修正値を供給する出力ゲートS3;
−機械的制御装置100の入力ゲートfへ接続され、機械的制御装置100へ電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を供給する出力ゲートS4;
を有する。
【0107】
図10に、本発明の機械的制御装置100を構成する主要な装置の実施の特定の形態、すなわち:
−システムの状態を表す変数の決定装置36、
−調整装置34、
−分離装置35、
を示す。
【0108】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて、また、図7、8を用いて説明したような、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0109】
調整装置34は、2入力ゲート:
−熱エンジンの回転数の最適値ωice※を表す信号を受ける入力ゲートb;
−エンジンの回転数の推定値^ωiceの信号と、要すればその微分^ω’iceを受ける入力ゲートf;
を有する。
【0110】
調整装置34は、中間制御信号V1の出力ゲートS1を有する。
【0111】
分離装置35は、3入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間制御信号V1を受ける入力ゲートa;
−機械的な制御信号uo(n)の修正値を受ける入力ゲートc;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0112】
分離装置35は、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1を有する。
【0113】
分離装置35の実施の特定の1形態は、後に説明する図11に示されている。
【0114】
推定ベクトル^Xfの決定装置36は、システムの状態を表す主要な変数を含有する推定ベクトル^Xfの信号を構築する役割を有する。
【0115】
決定装置36は、2入力ゲート:
−電気機械の電気的な状態ωe1、ωe2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0116】
決定装置36は3出力ゲート:
−分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
−調整装置34の入力ゲートfへ伝達される、要すればその時間微分^ω’iceによって補完される、エンジンの回転数の推定値^ωiceを発生する出力ゲートS2;
−2つの電気機械の回転数の推定値^ωe1、^ωe2を発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0117】
図11に、機械的な制御信号uoの計算を実行すること可能にする回路の実施の特定の形態を示す。
【0118】
機械的制御の分離装置35の回路は、逐次微分によってモデルの反転演算を実行する第1の回路110を有する。第1の回路110は、2入力パラメータ:
−中間制御信号V1;
−機械的な制御信号uo(n)の前の値;
を受ける。
【0119】
第1の回路110は、上記に言及したように、機械的な制御信号uoを作るために離散積分回路111の入力へ供給される、中間制御信号u1を作る。
【0120】
図12に、図9に示したようなエネルギ的制御装置101の実施の特定の形態を示す。
【0121】
上記に明らかにしたような本発明の制御方法は、以下の連続する3段階で実行されるエネルギ的な制御信号uwの計算段階を有する。
【0122】
第1段階においては、エネルギ的計算装置120が、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaに基づいて、エネルギ的な制御信号uwの第1の推定値を作る。
【0123】
第2段階においては、トルク決定装置121が、電気機械のトルクTe1、Te2とそれらの擾乱を推定する。
【0124】
第1段階と第2段階の後で実施する必要がある第3段階においては、本発明の制御方法は、エネルギ的分離装置122によって、エネルギ的な分離を実行することからなる。エネルギ的分離は、第1段階においてエネルギ的計算装置120によって作られたエネルギ的な制御信号uwの第1の推定値と、電気機械のトルクの擾乱の推定値^Tde1、^Tde2と、電気機械の回転速度の推定値と、機械的な制御信号とに基づいて、特定のアルゴリズムによって実行される。エネルギ的分離装置122は、出力として:
−修正された機械的な制御信号uo(n);
−エネルギ的な制御信号uw;
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#;
を作る。
【0125】
エネルギ的分離装置122は、機械的制御によるエネルギ的制御の擾乱の不在を保証しながら電気機械のトルクの制御ベクトルを作成するための手段を有する。この機械的制御とエネルギ的制御の隔離手段は、次式の計算装置によって実行される。
【0126】
Te#=AA.u−^Tde
ここに:
Te#は、
【0127】
【数5】
によって表わされる、電気機械の2つのトルク指令値を集合させるベクトルであり;
AAは、マトリックス
【0128】
【数6】
ここにΩは、車両に関するテストによって得られる調整パラメータ
によって表わされる正方形マトリックスであり、
uは、
【0129】
【数7】
によって表わされる、機械的指令値とエネルギ的指令値の2つの信号を集合させるベクトルであり;
^Tdeは、
【0130】
【数8】
によって表わされる、電気機械のトルクの変化の2つの推定値を集合させるベクトルである。
【0131】
トルク低下モードに関係する図13に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0132】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(ωe、Te)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0133】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0134】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。変速機のモードのコントローラについては、上述の本出願人の特許出願において明らかにされており、本出願明細書においては説明しない。
【0135】
図13に関する動力装置GMPの動作モードは、エンジンが連続無断変速機へアイドリングのトルクを供給する「トルク低下」モードである。
このモードの間に、本発明の方法によって求められる唯一の機械的な対象は、車輪へ供給されるトルクの調整である。本発明の方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0136】
以下の記述において、以下の記号によって表わされる量を使用する:
・ωe1:第1電気機械11の回転数、
・ωe2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・ωice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・ψ(Te1,Te2,ωe1,ωe2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失の全体とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0137】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[ωe1,ωe2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0138】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0139】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0140】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、ωe1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、ωe2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0141】
制御装置2は、応答として、本発明の方法を適用して、車輪へ加えられるトルクToの制御目標に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号を返送する。
【0142】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0143】
本発明の制御方法は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンが、上の2つの層からは制御されないが、連続無段変速機から切り離されることなくアイドリング回転数で動作する、「トルク低下」モードにおいて、制御の中間層(COS)を構築することにある。この状態において、車両は低速度へ移行し、ブレーキ装置を起動することができる。従って、機械的な制御対象は、車両の速度を減少させる、車輪へ伝達されるトルクである。
【0144】
監視装置またはコントローラは、第3層のコントローラの入力へ、車輪へ加えられるトルクの指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラは、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち、本発明が係わる「トルク低下」モードにおける、2つの電気機械(Me1、Me2)に関するトルクの指令値を生成する。
【0145】
図14に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0146】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S0における制御開始操作に続いて、制御は、機械的な制御信号u0が、測定ベクトルZに基づいて計算される、段階S1へ移行する。
【0147】
本発明の1特徴によれば、測定ベクトルZは、2つの電気機械から供給されるトルクTe1、Te2と、2つの電気機械の回転速度ωe1、ωe2と、エネルギ蓄積要素(エネルギバッファ要素)の端子間の電圧Ucapaの測定値から構成される。
【0148】
しかしながら、電気的なエネルギバッファ要素の端子間の電圧Ucapaの値は、段階S1の際には使用されない。段階S1は、機械的な調整の目標のみが考慮され、アイドリングのコントローラによって間接的に制御される熱エンジンに対する制御は、そこから生じないことによって特徴付けられる。
【0149】
第1段階においては、本発明の制御方法は、中間の制御信号u0を発生させることからなる。この機械的な制御を実行するために、本発明の制御方法は、変速機の電気機械のトルクの推定値と、前の計算ステップにおいて推定された機械的な制御信号の以前の値と、エネルギ的な制御信号uwを考慮に入れることからなる。
【0150】
次に、段階S2においては、本発明の制御方法は、エネルギ的な制御信号uwと、機械的な制御信号uo(n)の修正値と、変速機の電気機械のトルクの推定値^Te1と^Te2と、コントローラ19、20へ実際に適用されるトルクの指令値Te1#とTe2#を作ることからなる。このエネルギ的な制御段階を実行するために、本発明の制御方法は、システムのセンサからのベクトルZ(図13)における測定量の測定信号に加えて、前の機械的な段階において計算された中間の制御信号uoを考慮に入れることからなる。
【0151】
段階S3においては、「トルク低下」モードにおける駆動モードの終了が決定されたときに、本発明の制御が終わったかどうかを決定するために、ループの終了のテストを実行する。
【0152】
このテスト結果が「YES」であれば、終わりの段階S5が実行されて制御が解除される。
【0153】
段階S3のテスト結果が「NO」であれば、制御はこのループの中に留まり、測定ベクトルZ=(Te1,Te2,ωe1,ωe2,Ucapa)の新しい改訂(段階S4)が実行され、制御は段階S1のループの始に戻る。
【0154】
望ましい実施の1形態においては、段階S1は、相次ぐ3段階:
−動力装置から車輪に加えられるトルクの推定値^Toと、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を取得する段階S11;
−動力装置から車輪に加えられるトルクの測定値Toに依存する、(V2)=調整(To*)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な調整関数を用いて実行される、あらかじめ定められた調整関数を適用して得られる、値(V2)の作成の段階S12;
−段階S12で計算された値V2に依存する、(uo)=分離(V2)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な分離関数を用いて実行される、あらかじめ定められた分離関数を適用して得られる、値(uo)の作成段階S13;
に細分化される。
【0155】
望ましい実施の1形態においては、段階S2は、相次ぐ3段階:
−uw=f(Ucapa)の形の関係式にしたがって、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数f()に基づくエネルギ的な中間の制御信号uwの作成段階S21;
−2つの電気機械の回転軸に存在している正または負のトルクの及びそれらの擾乱の推定ベクトルが、(^Te1,^Te2,^Tde1,^Tde2)=g(Te1#,Te2#,Te1,Te2)の形の関係式に従って、電気機械のトルクの指令値と測定値に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数g()に基づいて決定される、段階S22;
−変速機の電気機械のトルクの指令値のベクトルが、分離として当業者に知られた関数を具体化するが、段階S13の関数、分離()、とは異なって、エネルギ的な調整の対象においてのみこれを実行し、段階S21において計算されたエネルギ的な中間の制御信号uwと、段階S13において計算された機械的な制御信号uoと、(Te1#,Te2#)=分離_エネルギ(uw,uo,^ωe1、^ωe2,^Tde1,^Tde2)の形の関係式に従う、変速機の2つの電気機械の回転数とトルクの擾乱の推定とに依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数、分離_エネルギ()に基づいて計算される段階S23;
に細分化される。
【0156】
図15に示された制御装置2(図13参照)の部分である第3層のコントローラは:
−機械的制御装置100;
−エネルギ的制御装置101;
を有する。
【0157】
機械的制御装置100は、5入力ゲート:
−最適エンジントルクTo*を示す値を受ける入力ゲートb;
−電気機械の回転速度の測定値ωe1、ωe2を受ける入力ゲートc;
−エネルギ的制御装置101に接続され、エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的制御装置101に接続され、先行する機械的な制御信号uo(n)の値を受ける入力ゲートe;
−エネルギ的制御装置101に接続され、電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0158】
機械的制御装置100は、2出力ゲート:
−エネルギ的制御装置101へ、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS2;
−エネルギ的制御装置101へ、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を供給する出力ゲートS3;
を有する。
【0159】
エネルギ的制御装置101は、4入力ゲート:
−機械的制御装置100の出力ゲートS2に接続された入力ゲートa;
−電気機械のトルクの測定値Te1、Te2を受ける入力ゲートb;
−機械的制御装置100の出力ゲートS3に接続され、電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を受ける入力ゲートc;
−連続無断変速機の電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaを受ける入力ゲートd;
を有する。
【0160】
エネルギ的制御装置101は、4出力ゲート:
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を供給する出力ゲートS1;
−機械的制御装置100の入力ゲートdに接続され、機械的制御装置100へエネルギ的な制御信号uwを供給する出力ゲートS2;
−機械的制御装置100の入力ゲートeへ接続され、機械的制御装置100へ機械的な制御信号uoの修正値を供給する出力ゲートS3;
−機械的制御装置100の入力ゲートfへ接続され、機械的制御装置100へ電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を供給する出力ゲートS4;
を有する。
【0161】
図16に、第3層のコントローラCOSの制御装置2(図13)の機械的制御装置100を構成する主要な装置の実施の特定の形態、すなわち:
−システムの状態を表す変数の決定装置36、
−調整装置34、
−分離装置35、
を示す。
【0162】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて、また、図13、14を用いて説明したような、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0163】
調整装置34は、2入力ゲート:
−車輪へ伝達されるトルクの最適値To※を表す信号を受ける入力ゲートc;
−車輪へ伝達されるトルクの推定値^Toを表す信号を受ける入力ゲートd;
を有する。
【0164】
調整装置34は、中間制御信号V2の出力ゲートS2を有する。
【0165】
分離装置35は、3入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS2から出る、中間制御信号V2を受ける入力ゲートb;
−機械的な制御信号uo(n)の修正値を受ける入力ゲートc;
−制御ベクトルXfの推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0166】
分離装置35は、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1を有する。
【0167】
分離装置35の実施に特定の形態は、後に説明する図17に示す。
【0168】
推定ベクトル^Xfの決定装置36は、システムの状態を表す主要な変数を含有する推定ベクトル^Xfの信号を構築する役割を有する。
【0169】
決定装置36は、2入力ゲート:
−電気機械の電気的な状態ωe1、ωe2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0170】
決定装置36は3出力ゲート:
−分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
−調整装置34の入力ゲートdへ伝達される、車輪へ伝達されるトルクの推定値^Toを発生する出力ゲートS4;
−2つの電気機械の回転数の推定値を発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0171】
図17に、機械的な制御信号uoの計算を実行すること可能にする回路の実施の特定の形態を示す。
【0172】
機械的制御の分離装置35の回路は、逐次微分によってモデルの反転演算を実行する第1の回路110を有する。第1の回路110は、3入力パラメータ:
−中間制御信号V2;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xf;
−機械的な制御信号uo(n)の前の値;
を受ける。
【0173】
第1の回路110は、上記に言及したように、それぞれ機械的な制御信号uoを作るために離散積分回路111の入力へ供給される、中間制御信号u1を作る。
【0174】
図18に、図15に示したようなエネルギ的制御装置101の実施の特定の形態を示す。
【0175】
上記に明らかにしたような本発明の制御方法は、以下の連続する3段階で実行されるエネルギ的な制御信号uwの計算段階を有する。
【0176】
第1段階においては、エネルギ的計算装置120が、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaに基づいて、エネルギ的な制御信号uwの第1の推定値を作る。
【0177】
第2段階においては、トルク決定装置121が、電気機械のトルクTe1、Te2とそれらの擾乱を推定する。
【0178】
第1段階と第2段階の後で実施する必要がある第3段階においては、本発明の制御方法は、エネルギ的分離装置122によって、エネルギ的な分離を実行することからなる。エネルギ的分離は、第1段階においてエネルギ的計算装置120によって作られたエネルギ的な制御信号uwの第1の推定値と、電気機械のトルクの擾乱の推定値^Tde1、^Tde2と、電気機械の回転速度の推定値と、機械的な制御信号とに基づいて、特定のアルゴリズムによって実行される。エネルギ的分離装置122は、出力として:
−修正された機械的な制御信号uo;
−エネルギ的な制御信号uw;
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#;
を作る。
【0179】
エネルギ的分離装置122は、機械的制御によるエネルギ的制御の擾乱の不在を保証しながら電気機械のトルクの制御ベクトルを作成するための手段を有する。この機械的制御とエネルギ的制御の隔離手段は、次式を計算する装置によって実行される。
【0180】
Te#=AA.u−^Tde
ここに:
Te#は、
【0181】
【数9】
によって表わされる、電気機械の2つのトルク指令値を集合させるベクトルであり;
AAは、マトリックス
【0182】
【数10】
ここにΩは、車両に関するテストによって得られる調整パラメータ
によって表わされる正方形マトリックスであり、
uは、
【0183】
【数11】
によって表わされる、機械的指令値とエネルギ的指令値の2つの信号を集合させるベクトルであり;
^Tdeは、
【0184】
【数12】
によって表わされる、電気機械のトルクの変化の2つの推定値を集合させるベクトルである。
【0185】
速度低下モードに関する図19に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0186】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(ωe、Te)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0187】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0188】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。変速機のモードのコントローラについては、上述の本出願人の特許出願において明らかにされており、本出願明細書においては説明しない。
【0189】
図19が関係する動力装置GMPの動作モードは、熱エンジンが連続無断変速機へアイドリングトルクを供給する「速度低下」モードと呼ばれる駆動モードである。このモードの間に、本発明の方法によって求められる機械的な唯一の対象は、車輪の回転数である。本発明の方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0190】
以下の記述において、以下の記号によって表わされる量を使用する:
・ωe1:第1電気機械11の回転数、
・ωe2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・ωice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・ψ(Te1,Te2,ωe1,ωe2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失の全体とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0191】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[ωe1,ωe2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0192】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0193】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0194】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、ωe1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、ωe2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0195】
制御装置2は、応答として、本発明の方法を適用して、車輪の回転数の制御目標に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号を返送する。
【0196】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0197】
本発明の制御方法は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンは上の2つの層からは制御されないが、「ニュートラル位置」にあっても、連続無段変速機から切り離されることなく、アイドリング回転数で動作する「速度低下」モードにおいて、制御の中間層(COS)を構築することにある。
【0198】
監視装置またはコントローラIVCは、第3層のコントローラCOSの入力へ、車輪の回転数の指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラCOSは、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち本発明が係わる「速度低下」モードにおける2つの電気機械(Me1、Me2)に関するトルクの指令値を生成する。
【0199】
図20に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0200】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S0における制御開始操作に続いて、制御は、機械的な制御信号u0が、測定ベクトルZに基づいて計算される、段階S1へ移行する。
【0201】
本発明の1特徴によれば、測定ベクトルZは、2つの電気機械から供給されるトルクTe1、Te2と、2つの電気機械の回転数ωe1、ωe2と、エネルギ蓄積要素(エネルギバッファ要素)の端子間の電圧Ucapaの測定値から構成される。
【0202】
しかしながら、電気的なエネルギバッファ要素の端子間の電圧Ucapaの値は、段階S1の際には使用されない。
段階S1は、機械的な調整の目標のみが考慮され、アイドリングのコントローラによって間接的に制御される熱エンジンに対する制御は、そこから生じないことによって特徴付けられる。
【0203】
第1段階においては、本発明の制御方法は、中間の制御信号u0を作ることからなる。この機械的な制御を実行するために、本発明の制御方法は、変速機の電気機械のトルクの推定値と、前の計算ステップにおいて推定された機械的な制御信号の以前の値と、エネルギ的な制御信号uwを考慮に入れることからなる。
【0204】
次に、段階S2においては、本発明の制御方法は、エネルギ的な制御信号uwと、機械的な制御信号uo(n)の修正値と、変速機の電気機械のトルクの推定値^Te1と^Te2と、コントローラ19、20へ実際に適用されるトルクの指令値Te1#とTe2#を作ることからなる。このエネルギ的な制御段階を実行するために、本発明の制御方法は、システムのセンサからのベクトルZ(図19)における測定量の測定信号に加えて、前の機械的な段階において計算された中間の制御信号uoを考慮に入れることからなる。
【0205】
段階S3においては、「速度低下」モードにおける駆動モードの終了が決定されたときに、本発明の制御が終わったかどうかを決定するために、ループの終了のテストを実行する。
【0206】
このテスト結果が「YES」であれば、終わりの段階S5が実行されて制御が緩められる。
【0207】
段階S3のテスト結果が「NO」であれば、制御はこのループの中に留まり、測定ベクトルZ=(Te1,Te2,ωe1,ωe2,Ucapa)の新しい改訂(段階S4)が実行され、制御は段階S1のループの始に戻る。
【0208】
望ましい実施の1形態においては、段階S1は、相次ぐ3段階:
−2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を取得する段階S11;
−車輪の回転数の測定値ωwh*に依存する、(V1)=調整(ωwh*)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な調整関数を用いて実行される、あらかじめ定められた調整関数を適用して得られる、値(V1)の作成の段階S12;
−段階S12で計算された値V1に依存する、(uo)=分離(V1)の形の関係式に従って従来技術において利用可能な分離関数を用いて実行される、あらかじめ定められた分離関数を適用して得られる、値(uo)の作成段階S13;
に細分化される。
【0209】
望ましい実施の1形態においては、段階S2は、相次ぐ3段階:
−uw=f(Ucapa)の形の関係式に従って、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数f()に基づくエネルギ的な中間の制御信号uwの作成段階S21;
−2つの電気機械の回転軸に存在している正または負のトルクの及びそれらの擾乱の推定ベクトルが、(^Te1,^Te2,^Tde1,^Tde2)=g(Te1#,Te2#,Te1,Te2)の形の関係式に従って、電気機械のトルクの指令値と測定値に依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数g()に基づいて決定される、段階S22;
−変速機の電気機械のトルクの指令値のベクトルが、分離(decouplage)として当業者に知られた関数を具体化するが、段階S13の関数、分離()、とは異なって、エネルギ的な調整の対象においてのみこれを実行し、段階S21において計算されたエネルギ的な中間の制御信号uwと、段階S13において計算された機械的な制御信号uoと、(Te1#,Te2#)=分離_エネルギ(uw,uo,^ωe1、^ωe2,^Tde1,^Tde2)の形の関係式に従う、変速機の2つの電気機械の回転数とトルクの擾乱の推定とに依存する、前もって記録されるかプログラムされた、あらかじめ定められた関数、分離_エネルギ()に基づいて計算される段階S23;
に細分化される。
【0210】
図21に示された制御装置2(図19参照)の部分である第3層のコントローラは:
−機械的制御装置100;
−エネルギ的制御装置101;
を有する。
【0211】
機械的制御装置100は、5入力ゲート:
−車輪の回転数すなわち回転速度指令値ωwh*を受ける入力ゲートa;
−電気機械の回転速度の測定値ωe1、ωe2を受ける入力ゲートc;
−エネルギ的制御装置101に接続され、エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的制御装置101に接続され、先行する機械的な制御信号値uo(n)を受ける入力ゲートe;
−エネルギ的制御装置101に接続され、電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0212】
機械的制御装置100は、2出力ゲート:
−エネルギ的制御装置101へ、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1;
−エネルギ的制御装置101へ、2つの電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を供給する出力ゲートS2;
を有する。
【0213】
エネルギ的制御装置101は、4入力ゲート:
−機械的制御装置100の出力ゲートS1に接続された入力ゲートa;
−電気機械のトルクの測定値Te1、Te2を受ける入力ゲートb;
−機械的制御装置100の出力ゲートS2に接続され、電気機械の回転速度の推定値^ωe1、^ωe2を受ける入力ゲートc;
−連続無断変速機の電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaを受ける入力ゲートd;
を有する。
【0214】
エネルギ的制御装置101は、4出力ゲート:
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#を供給する出力ゲートS1;
−機械的制御装置100の入力ゲートdに接続され、機械的制御装置100へエネルギ的な制御信号uwを供給する出力ゲートS2;
−機械的制御装置100の入力ゲートeへ接続され、機械的制御装置100へ機械的な制御信号uoの修正値uo(n)を供給する出力ゲートS3;
−機械的制御装置100の入力ゲートfへ接続され、機械的制御装置100へ電気機械のトルクの推定値^Te1、^Te2を供給する出力ゲートS4;
を有する。
【0215】
図22に、第3層COSの制御装置2(図19)の機械的制御装置100を構成する主要な装置の実施の特定の形態、すなわち:
−システムの状態を表す変数の決定装置36、
−調整装置34、
−分離装置35、
を示す。
【0216】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて、また、図19、20を用いて説明したような、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0217】
調整装置34は、2入力ゲート:
−車輪の回転数の最適値ωwh※を表す信号を受ける入力ゲートb;
−車輪の回転数の推定値^ωwhを表すを受ける入力ゲートf;
を有する。
【0218】
調整装置34は、中間制御信号V1の出力ゲートS1を有する。
【0219】
分離装置35は、3入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間制御信号V1を受ける入力ゲートa;
−機械的な制御信号uo(n)の修正値を受ける入力ゲートc;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0220】
分離装置35は、機械的な制御信号uoを供給する出力ゲートS1を有する。
【0221】
分離装置35の実施の特定の形態は、後に説明する図23に示されている。
【0222】
推定ベクトル^Xfの決定装置36は、システムの状態を表す主要な変数を含有する推定ベクトル^Xfの信号を構築する役割を有する。
【0223】
決定装置36は、2入力ゲート:
−電気機械の電気的な状態ωe1、ωe2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
−エネルギ的な制御信号uwを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0224】
決定装置36は3出力ゲート:
−分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
−調整装置34の入力ゲートfへ伝達される、車輪の回転数の推定値^ωwhを発生する出力ゲートS2;
−2つの電気機械の回転数の推定値を発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0225】
図23に、機械的な制御信号uoの計算を実行すること可能にする回路の実施の特定の形態を示す。
【0226】
機械的制御の分離装置35の回路は、逐次微分によってモデルの反転演算を実行する第1の回路110を有する。第1の回路110は、3入力パラメータ:
−中間制御信号V1;
−ベクトルXfの推定ベクトル^Xf;
−機械的な制御信号uo(n)の前の値;
を受ける。
【0227】
第1の回路110は、上記に言及したように、機械的な制御信号uoを作るために離散積分回路111の入力へ供給される中間制御信号u1を作る。
【0228】
図24に、図21に示したようなエネルギ的制御装置101の実施の特定の形態を示す。
【0229】
上記に明らかにしたような本発明の制御方法は、以下の連続する3段階で実行されるエネルギ的な制御信号uwの計算段階を有する。
【0230】
第1段階においては、エネルギ的計算装置120が、エネルギバッファ要素の端子間の測定電圧Ucapaに基づいて、エネルギ的な制御信号uwの第1の推定値を作る。
【0231】
第2段階においては、トルク決定装置121が、電気機械のトルクTe1、Te2とそれらの擾乱を推定する。
【0232】
第1段階と第2段階の後で実施する必要がある第3段階においては、本発明の制御方法は、エネルギ的分離装置122によって、エネルギ的な分離を実行することからなる。エネルギ的分離は、第1段階においてエネルギ的計算装置120によって作られたエネルギ的な制御信号uwの第1の推定値と、電気機械のトルクの擾乱の推定値^Tde1、^Tde2と、電気機械の回転速度の推定値と、機械的な制御信号とに基づいて、特定のアルゴリズムによって実行される。エネルギ的分離装置122は、出力として:
−修正された機械的な制御信号uo(n);
−エネルギ的な制御信号uw;
−電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#;
を作る。
【0233】
エネルギ的分離装置122は、機械的制御によるエネルギ的制御の擾乱の不在を保証しながら、電気機械のトルクの制御ベクトルを作成するための手段を有する。この機械的制御とエネルギ的制御の隔離手段は、次式を計算する装置によって実行される。
【0234】
Te#=AA.u−^Tde
ここに:
Te#は、
【0235】
【数13】
によって表わされる、電気機械の2つのトルク指令値を集合させるベクトルであり;
AAは、マトリックス
【0236】
【数14】
ここにΩは、車両に関するテストによって得られる調整パラメータ
によって表わされる正方形マトリックスであり、
uは、
【0237】
【数15】
によって表わされる、機械的指令値とエネルギ的指令値の2つの信号を集合させるベクトルであり;
^Tdeは、
【0238】
【数16】
によって表わされる、電気機械のトルクの変化の2つの推定値を集合させるベクトルである。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】本発明の制御方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図2】本発明の制御方法のフローチャートである。
【図3】本発明の装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の装置の機能ブロック図である。
【図6】本発明の装置の機能ブロック図である。
【図7】エンジンブレーキモードにおける、本発明の制御方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図8】エンジンブレーキモードにおける、本発明の制御方法のフローチャートである。
【図9】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図10】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図11】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図12】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図13】トルク低下モードにおける、本発明の制御方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図14】トルク低下モードにおける、本発明の制御方法のフローチャートである。
【図15】トルク低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図16】トルク低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図17】トルク低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図18】トルク低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図19】速度低下モードにおける、本発明の制御方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図20】速度低下モードにおける、本発明の制御方法のフローチャートである。
【図21】速度低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図22】速度低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図23】速度低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【図24】速度低下モードにおける、本発明の装置の機能ブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪へ直接連結された熱エンジンと、2つの電気機械を包含する電気変速機を有する連続無段変速機を含んでなる車両の動力装置の制御方法であって、上記制御方法に従って、上記車両は上記動力装置によって駆動され、上記動力装置によって制動され、上記動力装置から切り離され、あるいは停止状態に維持される、車両の動力装置の制御方法において、上記動力装置による上記車両の特定の駆動モードにおいて、電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記熱エンジンのトルク(Tice#)を計算し、上記車輪へ加えられるトルクと上記熱エンジンの回転数を同時に調整しながら、推定された機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなることを特徴とする、車両の動力装置の制御方法。
【請求項2】
上記特定の駆動モードは、上記動力装置から供給される、上記車輪に加えられるトルク(To)を制御しながら、上記熱エンジンのアイドリングの調整を確保することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項3】
以下の段階:
−上記車輪に加えられるトルク(To)と、上記電気変速機(21)の電気機械の回転数と、上記熱エンジンの回転数(ωice)の決定段階、
−指令値に応じて決定される、上記車輪へ加えられるトルクと、上記熱エンジンの回転数の調整による、中間の値(V1、V2)の取得段階、
−上記中間の値(V1、V2)の、上記機械的な制御信号(u0)へと、上記熱エンジン(4)の制御信号(Tice#)への分離段階、
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項4】
制御方法の上記第2段階は、以下の段階:
−上記電気変速機(21)のエネルギバッファ要素の電圧の測定値に基づくエネルギ的な制御信号(uw)の計算段階;
−先行周期における上記電気機械のトルクの測定値と制御信号(Te1#、Te2#)に基づく、第1及び第2の上記電気変速機(21)のトルク(^Te1、^Te2)とそれらの修正係数(^Tde1、^Tde2)の決定段階;
−上記電気変速機(21)の2つの電気機械の決定された回転数と修正係数に基づく、エネルギ的な制御信号と上記第1段階において作成された機械的な制御信号(u0)のエネルギ的な分離段階;
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項5】
上記第1段階において、上記決定段階は、先行周期における上記第2段階において計算されたエネルギ的な制御信号(uw)を利用し、上記中間の値の分離段階は、決定された以下の値:
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2);
−上記熱エンジン(4)の回転数(ωice);
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice);
−先行周期における上記第2段階のエネルギ的な分離段階において修正された機械的な制御信号(uo(n));
−上記電気機械のロータに加えられるトルクの修正係数;
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数;
を利用することを特徴とする、請求項4に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項6】
上記動力装置による上記車両の特定の駆動モードにおいて、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記熱エンジンの回転数を調整しながら、機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項7】
上記制御の第1段階は、以下の段階:
−上記電気変速機(21)の電気機械の回転数と上記熱エンジンの回転数(ωice)の決定段階;
−指令値に応じて決定される上記熱エンジンの回転数の調整による中間の値(V1)の取得段階;
−上記中間の値(V1)の機械的な制御信号(u0)への分離段階;
を有することを特徴とする、請求項6に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項8】
上記制御の第2段階は、
−上記電気変速機(21)のエネルギバッファ要素の電圧の測定値に基づく、エネルギ的な制御信号(uw)の計算段階;
−先行周期における上記電気機械のトルクの測定値と制御信号(Te1#、Te2#)に基づく、第1及び第2の上記電気変速機(21)のトルク(^Te1、^Te2)とそれらの修正係数(^Tde1、^Tde2)の決定段階;
−上記電気変速機(21)の2つの電気機械の決定された回転数と修正係数に基づく、上記エネルギ的な制御信号(uw)と上記第1段階において作成された、上記機械的な制御信号(u0)のエネルギ的な分離段階;
を有することを特徴とする、請求項6または7に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項9】
上記第1段階において、上記決定段階は、先行周期における上記第2段階において計算されたエネルギ的な制御信号(uw)を利用し、上記中間の値の分離段階は、決定された以下の値:
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2);
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice);
−先行周期における上記第2段階のエネルギ的な分離段階において修正された機械的な制御信号(uo(n));
−上記電気機械のロータに加えられるトルクの修正係数;
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数;
を利用することを特徴とする、請求項8に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項10】
上記動力装置による上記車両の特定の駆動モードにおいて、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記車輪へ加えられるトルクを調整しながら、推定される機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号(u0)に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号(uw)を作成する;
ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項11】
上記特定の駆動モードは、上記熱エンジンから供給されるエネルギを消費させることによって、上記動力装置から供給されるトルクを低下させることを可能にすることを特徴とする、請求項10に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項12】
上記制御の第1段階は、以下の段階:
−上記車輪に加えられるトルク(To)と、上記電気変速機(21)の電気機械の回転数の決定段階、
−指令値に応じて決定される、上記車輪へ加えられるトルクの調整による、中間の値(V2)の取得段階、
−上記中間の値(V2)の、上記機械的な制御信号(u0)への分離段階、
を有することを特徴とする、請求項10または11に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項13】
制御方法の上記第2段階は、以下の段階:
−上記電気変速機(21)のエネルギバッファ要素の電圧の測定値に基づく上記エネルギ的な制御信号(uw)の計算段階;
−先行周期における上記電気機械のトルクの測定値と制御信号(Te1#、Te2#)に基づく、第1及び第2の上記電気変速機(21)のトルク(^Te1、^Te2)とそれらの修正係数(^Tde1、^Tde2)の決定段階;
−上記電気変速機(21)の2つの電気機械の決定された回転数と修正係数に基づく、上記エネルギ的な制御信号(uw)と上記第1段階において作成された上記機械的な制御信号(u0)とのエネルギ的な分離段階;
を有することを特徴とする、請求項10または11に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項14】
上記第1段階において、上記決定段階は、先行周期における上記第2段階において計算されたエネルギ的な制御信号(uw)を利用し、上記中間の値の分離段階は、決定された以下の値:
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2);
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice);
−先行周期における上記第2段階のエネルギ的な分離段階において修正された機械的な制御信号(uo(n));
−上記電気機械のロータに加えられるトルクの修正係数;
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数;
を利用することを特徴とする、請求項13に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項15】
上記動力装置による上記車両の特定の駆動モードにおいて、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記車輪の回転速度を調整しながら、推定される機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号(u0)に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号(uw)を作成する;
ことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項16】
上記特定の駆動モードは、上記熱エンジンから供給されるエネルギを消費させることによって、上記車両の速度を低下させることを可能にすることを特徴とする、請求項15に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項17】
上記制御の第1段階は、以下の段階:
−上記車輪の回転速度と、上記電気変速機(21)の電気機械の回転数の決定段階;
−指令値に応じて決定される上記車輪の回転速度(ωwh)の調整による中間の値(V1)の取得段階;
−上記中間の値(V1)の機械的な制御信号(u0)への分離段階;
を有することを特徴とする、請求項15または16に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項18】
上記制御の第2段階は、
−上記電気変速機(21)のエネルギバッファ要素の電圧の測定値に基づく、エネルギ的な制御信号(uw)の計算段階;
−先行周期における上記電気機械のトルクの測定値と制御信号(Te1#、Te2#)に基づく、第1及び第2の上記電気変速機(21)のトルク(^Te1、^Te2)とそれらの修正係数(^Tde1、^Tde2)の決定段階;
−上記電気変速機(21)の2つの電気機械の決定された回転数と修正係数に基づく、上記エネルギ的な制御信号(uw)と上記第1段階において作成された上記機械的な制御信号(u0)のエネルギ的な分離段階;
を有することを特徴とする、請求項15または16に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項19】
上記第1段階において、上記決定段階は、先行周期における上記第2段階において計算されたエネルギ的な制御信号(uw)を利用し、上記中間の値の分離段階は、決定された以下の値:
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2);
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice);
−先行周期における上記第2段階のエネルギ的な分離段階において修正された機械的な制御信号(uo(n));
−上記電気機械のロータに加えられるトルクの修正係数;
−上記車輪に加えられるトルクの修正係数;
を利用することを特徴とする、請求項18に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項20】
−運転者の意図を解釈するための第1コントローラ(20)と、
−動力装置の最適動作点を決定するための第2コントローラ(22)と、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作成する第3コントローラ(25)と、
を有する、請求項1から5のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための動力装置のアクチュエータの制御装置において:
上記第3コントローラ(25)は、
−上記熱エンジンのトルクの指令値を作成するための機械的制御装置(100);
−上記連続無断変速機の電気変速機の電気機械のトルクの指令値を作成するための、上記機械的制御装置に連結された、エネルギ的制御装置(101);
を有することを特徴とする、車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項21】
上記機械的制御装置(100)の分離装置(35)は:
−少なくとも1つの以下の信号:
−上記動力装置の状態の推定値(^Xf);
−上記動力装置の状態の指令値の点(To*、ωice*)と上記指令値の推定値に基づく調整によって得られる中間制御信号(V1、V2)の値;
−先行段階におけるエネルギ的制御信号の設定の際の機械的な制御信号(uo(n))の計算値;
を受ける非線形の分離モジュール(110)であって、上記分離モジュール(110)は、機械的制御から派生する第1中間信号(u1)と第2中間信号(u2)を作成する、分離モジュール(110)と、
−第1の派生信号(u1)に離散積分を適用して機械的制御信号(u0)の値を作成するモジュール(111)と、
−上記分離モジュール(110)の第2出力に、熱エンジンの推定回転数(^ωice)に応じて飽和を適用するモジュール(112)と、
−飽和回路(112)の出力信号に、熱エンジンのトルクの制御信号(Tice#)を作成するように、遅延を適用する回路(113)と、
を有することを特徴とする、請求項20に記載の車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項22】
−運転者の意図を解釈するための第1コントローラ(20)と、
−動力装置の最適動作点を決定するための第2コントローラ(22)と、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作成する第3コントローラ(25)と、
を有する、請求項1から9のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための動力装置のアクチュエータの制御装置において:
上記第3コントローラ(25)は、
−推定された機械的な特性を表す機械的な制御信号(uo)を作成するための機械的制御装置(100);
−上記連続無断変速機の電気変速機の電気機械のトルクの指令値を作成するための、上記機械的制御装置に連結された、エネルギ的制御装置(101);
を有することを特徴とする、車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項23】
上記機械的制御装置(100)の分離装置(35)は:
−少なくとも1つの以下の信号:
−上記動力装置の状態の推定値(^Xf);
−上記動力装置の状態の指令値の点(ωice*)と上記指令値の推定値に基づく調整によって得られる中間制御信号(V1)の値;
−先行段階におけるエネルギ的制御信号の設定の際の機械的な制御信号(uo(n))の計算値;
を受ける非線形の分離モジュール(110)であって、上記分離モジュール(110)は、機械的制御から派生する第1中間信号(u1)を作成する、分離モジュール(110)と、
−第1の派生信号(u1)に離散積分を適用して機械的制御信号(u0)の値を作成するモジュール(111)と、
を有することを特徴とする、請求項22に記載の車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項24】
−運転者の意図を解釈するための第1のコントローラ(20)と、
−動力装置の最適動作点を決定するための第2コントローラ(22)と、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作成するための第3コントローラ(25)と、
を有する、請求項1から14のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための動力装置のアクチュエータの制御装置において:
上記第3コントローラ(25)は、
−機械的な特性を表す機械的な制御信号(uo)を作成するための機械的制御装置(100);
−上記連続無断変速機の電気変速機の電気機械のトルクの指令値を作成するための、上記機械的制御装置に連結された、エネルギ的制御装置(101);
を有することを特徴とする、車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項25】
上記機械的制御装置(100)の分離装置(35)は:
−少なくとも1つの以下の信号:
−上記動力装置の状態の推定値(^Xf);
−上記車輪へ加えられるトルクの指令値の点(To*)と上記指令値の推定値に基づく調整によって得られる中間制御信号(V2)の値;
−先行段階におけるエネルギ的制御信号の設定の際の機械的な制御信号(uo(n))の計算値;
を受ける非線形の分離モジュール(110)であって、上記分離モジュール(110)は、機械的制御から派生する中間信号(u1)を作成する、分離モジュール(110)と、
−上記派生信号(u1)に離散積分を適用して機械的制御信号(u0)の値を作成するモジュール(111)と、
を有することを特徴とする、請求項24に記載の車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項26】
−運転者の意図を解釈するための第1コントローラ(20)と、
−動力装置の最適動作点を決定するための第2コントローラ(22)と、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作成するための第3コントローラ(25)と、
を有する、請求項1から19のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための動力装置のアクチュエータの制御装置において:
上記第3コントローラ(25)は、
−機械的な特性を表す機械的な制御信号(uo)を作成するための機械的制御装置(100);
−上記連続無断変速機の電気変速機の電気機械のトルクの指令値を作成するための、上記機械的制御装置に連結された、エネルギ的制御装置(101);
を有することを特徴とする、車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項27】
上記機械的制御装置(100)の分離装置(35)は:
−少なくとも1つの以下の信号:
−上記動力装置の状態の推定値(^Xf);
−上記車輪の回転速度の指令値の点(ωwh*)と上記指令値の推定値に基づく調整によって得られる中間制御信号(V1)の値;
−先行段階におけるエネルギ的制御信号の設定の際の機械的な制御信号(uo(n))の計算値;
を受ける非線形の分離モジュール(110)であって、上記分離モジュール(110)は、機械的制御から派生する中間信号(u1)を作成する、分離モジュール(110)と、
−上記派生信号(u1)に離散積分を適用して機械的制御信号(u0)の値を作成するモジュール(111)と、
を有することを特徴とする、請求項26に記載の車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項1】
車両の車輪へ直接連結された熱エンジンと、2つの電気機械を包含する電気変速機を有する連続無段変速機を含んでなる車両の動力装置の制御方法であって、上記制御方法に従って、上記車両は上記動力装置によって駆動され、上記動力装置によって制動され、上記動力装置から切り離され、あるいは停止状態に維持される、車両の動力装置の制御方法において、上記動力装置による上記車両の特定の駆動モードにおいて、電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記熱エンジンのトルク(Tice#)を計算し、上記車輪へ加えられるトルクと上記熱エンジンの回転数を同時に調整しながら、推定された機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことからなることを特徴とする、車両の動力装置の制御方法。
【請求項2】
上記特定の駆動モードは、上記動力装置から供給される、上記車輪に加えられるトルク(To)を制御しながら、上記熱エンジンのアイドリングの調整を確保することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項3】
以下の段階:
−上記車輪に加えられるトルク(To)と、上記電気変速機(21)の電気機械の回転数と、上記熱エンジンの回転数(ωice)の決定段階、
−指令値に応じて決定される、上記車輪へ加えられるトルクと、上記熱エンジンの回転数の調整による、中間の値(V1、V2)の取得段階、
−上記中間の値(V1、V2)の、上記機械的な制御信号(u0)へと、上記熱エンジン(4)の制御信号(Tice#)への分離段階、
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項4】
制御方法の上記第2段階は、以下の段階:
−上記電気変速機(21)のエネルギバッファ要素の電圧の測定値に基づくエネルギ的な制御信号(uw)の計算段階;
−先行周期における上記電気機械のトルクの測定値と制御信号(Te1#、Te2#)に基づく、第1及び第2の上記電気変速機(21)のトルク(^Te1、^Te2)とそれらの修正係数(^Tde1、^Tde2)の決定段階;
−上記電気変速機(21)の2つの電気機械の決定された回転数と修正係数に基づく、エネルギ的な制御信号と上記第1段階において作成された機械的な制御信号(u0)のエネルギ的な分離段階;
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項5】
上記第1段階において、上記決定段階は、先行周期における上記第2段階において計算されたエネルギ的な制御信号(uw)を利用し、上記中間の値の分離段階は、決定された以下の値:
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2);
−上記熱エンジン(4)の回転数(ωice);
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice);
−先行周期における上記第2段階のエネルギ的な分離段階において修正された機械的な制御信号(uo(n));
−上記電気機械のロータに加えられるトルクの修正係数;
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数;
を利用することを特徴とする、請求項4に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項6】
上記動力装置による上記車両の特定の駆動モードにおいて、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記熱エンジンの回転数を調整しながら、機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号を作成する;
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項7】
上記制御の第1段階は、以下の段階:
−上記電気変速機(21)の電気機械の回転数と上記熱エンジンの回転数(ωice)の決定段階;
−指令値に応じて決定される上記熱エンジンの回転数の調整による中間の値(V1)の取得段階;
−上記中間の値(V1)の機械的な制御信号(u0)への分離段階;
を有することを特徴とする、請求項6に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項8】
上記制御の第2段階は、
−上記電気変速機(21)のエネルギバッファ要素の電圧の測定値に基づく、エネルギ的な制御信号(uw)の計算段階;
−先行周期における上記電気機械のトルクの測定値と制御信号(Te1#、Te2#)に基づく、第1及び第2の上記電気変速機(21)のトルク(^Te1、^Te2)とそれらの修正係数(^Tde1、^Tde2)の決定段階;
−上記電気変速機(21)の2つの電気機械の決定された回転数と修正係数に基づく、上記エネルギ的な制御信号(uw)と上記第1段階において作成された、上記機械的な制御信号(u0)のエネルギ的な分離段階;
を有することを特徴とする、請求項6または7に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項9】
上記第1段階において、上記決定段階は、先行周期における上記第2段階において計算されたエネルギ的な制御信号(uw)を利用し、上記中間の値の分離段階は、決定された以下の値:
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2);
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice);
−先行周期における上記第2段階のエネルギ的な分離段階において修正された機械的な制御信号(uo(n));
−上記電気機械のロータに加えられるトルクの修正係数;
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数;
を利用することを特徴とする、請求項8に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項10】
上記動力装置による上記車両の特定の駆動モードにおいて、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記車輪へ加えられるトルクを調整しながら、推定される機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号(u0)に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号(uw)を作成する;
ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項11】
上記特定の駆動モードは、上記熱エンジンから供給されるエネルギを消費させることによって、上記動力装置から供給されるトルクを低下させることを可能にすることを特徴とする、請求項10に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項12】
上記制御の第1段階は、以下の段階:
−上記車輪に加えられるトルク(To)と、上記電気変速機(21)の電気機械の回転数の決定段階、
−指令値に応じて決定される、上記車輪へ加えられるトルクの調整による、中間の値(V2)の取得段階、
−上記中間の値(V2)の、上記機械的な制御信号(u0)への分離段階、
を有することを特徴とする、請求項10または11に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項13】
制御方法の上記第2段階は、以下の段階:
−上記電気変速機(21)のエネルギバッファ要素の電圧の測定値に基づく上記エネルギ的な制御信号(uw)の計算段階;
−先行周期における上記電気機械のトルクの測定値と制御信号(Te1#、Te2#)に基づく、第1及び第2の上記電気変速機(21)のトルク(^Te1、^Te2)とそれらの修正係数(^Tde1、^Tde2)の決定段階;
−上記電気変速機(21)の2つの電気機械の決定された回転数と修正係数に基づく、上記エネルギ的な制御信号(uw)と上記第1段階において作成された上記機械的な制御信号(u0)とのエネルギ的な分離段階;
を有することを特徴とする、請求項10または11に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項14】
上記第1段階において、上記決定段階は、先行周期における上記第2段階において計算されたエネルギ的な制御信号(uw)を利用し、上記中間の値の分離段階は、決定された以下の値:
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2);
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice);
−先行周期における上記第2段階のエネルギ的な分離段階において修正された機械的な制御信号(uo(n));
−上記電気機械のロータに加えられるトルクの修正係数;
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数;
を利用することを特徴とする、請求項13に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項15】
上記動力装置による上記車両の特定の駆動モードにおいて、上記電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、
・第1段階において、上記車輪の回転速度を調整しながら、推定される機械的な特徴を表わす機械的な制御信号(u0)を作成し;次いで、
・第2段階において、上記機械的な制御信号(u0)に基づいて第1及び第2の上記電気機械のトルク(Te1#、Te2#)を計算し、エネルギレベルを調整するエネルギ的な制御信号(uw)を作成する;
ことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項16】
上記特定の駆動モードは、上記熱エンジンから供給されるエネルギを消費させることによって、上記車両の速度を低下させることを可能にすることを特徴とする、請求項15に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項17】
上記制御の第1段階は、以下の段階:
−上記車輪の回転速度と、上記電気変速機(21)の電気機械の回転数の決定段階;
−指令値に応じて決定される上記車輪の回転速度(ωwh)の調整による中間の値(V1)の取得段階;
−上記中間の値(V1)の機械的な制御信号(u0)への分離段階;
を有することを特徴とする、請求項15または16に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項18】
上記制御の第2段階は、
−上記電気変速機(21)のエネルギバッファ要素の電圧の測定値に基づく、エネルギ的な制御信号(uw)の計算段階;
−先行周期における上記電気機械のトルクの測定値と制御信号(Te1#、Te2#)に基づく、第1及び第2の上記電気変速機(21)のトルク(^Te1、^Te2)とそれらの修正係数(^Tde1、^Tde2)の決定段階;
−上記電気変速機(21)の2つの電気機械の決定された回転数と修正係数に基づく、上記エネルギ的な制御信号(uw)と上記第1段階において作成された上記機械的な制御信号(u0)のエネルギ的な分離段階;
を有することを特徴とする、請求項15または16に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項19】
上記第1段階において、上記決定段階は、先行周期における上記第2段階において計算されたエネルギ的な制御信号(uw)を利用し、上記中間の値の分離段階は、決定された以下の値:
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(ωe1、ωe2);
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice);
−先行周期における上記第2段階のエネルギ的な分離段階において修正された機械的な制御信号(uo(n));
−上記電気機械のロータに加えられるトルクの修正係数;
−上記車輪に加えられるトルクの修正係数;
を利用することを特徴とする、請求項18に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項20】
−運転者の意図を解釈するための第1コントローラ(20)と、
−動力装置の最適動作点を決定するための第2コントローラ(22)と、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作成する第3コントローラ(25)と、
を有する、請求項1から5のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための動力装置のアクチュエータの制御装置において:
上記第3コントローラ(25)は、
−上記熱エンジンのトルクの指令値を作成するための機械的制御装置(100);
−上記連続無断変速機の電気変速機の電気機械のトルクの指令値を作成するための、上記機械的制御装置に連結された、エネルギ的制御装置(101);
を有することを特徴とする、車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項21】
上記機械的制御装置(100)の分離装置(35)は:
−少なくとも1つの以下の信号:
−上記動力装置の状態の推定値(^Xf);
−上記動力装置の状態の指令値の点(To*、ωice*)と上記指令値の推定値に基づく調整によって得られる中間制御信号(V1、V2)の値;
−先行段階におけるエネルギ的制御信号の設定の際の機械的な制御信号(uo(n))の計算値;
を受ける非線形の分離モジュール(110)であって、上記分離モジュール(110)は、機械的制御から派生する第1中間信号(u1)と第2中間信号(u2)を作成する、分離モジュール(110)と、
−第1の派生信号(u1)に離散積分を適用して機械的制御信号(u0)の値を作成するモジュール(111)と、
−上記分離モジュール(110)の第2出力に、熱エンジンの推定回転数(^ωice)に応じて飽和を適用するモジュール(112)と、
−飽和回路(112)の出力信号に、熱エンジンのトルクの制御信号(Tice#)を作成するように、遅延を適用する回路(113)と、
を有することを特徴とする、請求項20に記載の車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項22】
−運転者の意図を解釈するための第1コントローラ(20)と、
−動力装置の最適動作点を決定するための第2コントローラ(22)と、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作成する第3コントローラ(25)と、
を有する、請求項1から9のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための動力装置のアクチュエータの制御装置において:
上記第3コントローラ(25)は、
−推定された機械的な特性を表す機械的な制御信号(uo)を作成するための機械的制御装置(100);
−上記連続無断変速機の電気変速機の電気機械のトルクの指令値を作成するための、上記機械的制御装置に連結された、エネルギ的制御装置(101);
を有することを特徴とする、車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項23】
上記機械的制御装置(100)の分離装置(35)は:
−少なくとも1つの以下の信号:
−上記動力装置の状態の推定値(^Xf);
−上記動力装置の状態の指令値の点(ωice*)と上記指令値の推定値に基づく調整によって得られる中間制御信号(V1)の値;
−先行段階におけるエネルギ的制御信号の設定の際の機械的な制御信号(uo(n))の計算値;
を受ける非線形の分離モジュール(110)であって、上記分離モジュール(110)は、機械的制御から派生する第1中間信号(u1)を作成する、分離モジュール(110)と、
−第1の派生信号(u1)に離散積分を適用して機械的制御信号(u0)の値を作成するモジュール(111)と、
を有することを特徴とする、請求項22に記載の車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項24】
−運転者の意図を解釈するための第1のコントローラ(20)と、
−動力装置の最適動作点を決定するための第2コントローラ(22)と、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作成するための第3コントローラ(25)と、
を有する、請求項1から14のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための動力装置のアクチュエータの制御装置において:
上記第3コントローラ(25)は、
−機械的な特性を表す機械的な制御信号(uo)を作成するための機械的制御装置(100);
−上記連続無断変速機の電気変速機の電気機械のトルクの指令値を作成するための、上記機械的制御装置に連結された、エネルギ的制御装置(101);
を有することを特徴とする、車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項25】
上記機械的制御装置(100)の分離装置(35)は:
−少なくとも1つの以下の信号:
−上記動力装置の状態の推定値(^Xf);
−上記車輪へ加えられるトルクの指令値の点(To*)と上記指令値の推定値に基づく調整によって得られる中間制御信号(V2)の値;
−先行段階におけるエネルギ的制御信号の設定の際の機械的な制御信号(uo(n))の計算値;
を受ける非線形の分離モジュール(110)であって、上記分離モジュール(110)は、機械的制御から派生する中間信号(u1)を作成する、分離モジュール(110)と、
−上記派生信号(u1)に離散積分を適用して機械的制御信号(u0)の値を作成するモジュール(111)と、
を有することを特徴とする、請求項24に記載の車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項26】
−運転者の意図を解釈するための第1コントローラ(20)と、
−動力装置の最適動作点を決定するための第2コントローラ(22)と、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作成するための第3コントローラ(25)と、
を有する、請求項1から19のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための動力装置のアクチュエータの制御装置において:
上記第3コントローラ(25)は、
−機械的な特性を表す機械的な制御信号(uo)を作成するための機械的制御装置(100);
−上記連続無断変速機の電気変速機の電気機械のトルクの指令値を作成するための、上記機械的制御装置に連結された、エネルギ的制御装置(101);
を有することを特徴とする、車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【請求項27】
上記機械的制御装置(100)の分離装置(35)は:
−少なくとも1つの以下の信号:
−上記動力装置の状態の推定値(^Xf);
−上記車輪の回転速度の指令値の点(ωwh*)と上記指令値の推定値に基づく調整によって得られる中間制御信号(V1)の値;
−先行段階におけるエネルギ的制御信号の設定の際の機械的な制御信号(uo(n))の計算値;
を受ける非線形の分離モジュール(110)であって、上記分離モジュール(110)は、機械的制御から派生する中間信号(u1)を作成する、分離モジュール(110)と、
−上記派生信号(u1)に離散積分を適用して機械的制御信号(u0)の値を作成するモジュール(111)と、
を有することを特徴とする、請求項26に記載の車両の動力装置のアクチュエータの制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2007−512994(P2007−512994A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530375(P2006−530375)
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001278
【国際公開番号】WO2004/106100
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001278
【国際公開番号】WO2004/106100
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】
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