説明

半導体装置、半導体装置の製造方法

本発明では、水素またはHOの拡散を防止することで強誘電体キャパシタの劣化を防止し、高品質の強誘電体キャパシタを有する半導体装置を提供することを課題とする。そのため、本発明では、基板上に形成された強誘電体キャパシタと、前記強誘電体キャパシタ上に形成された配線構造とを有する半導体装置であって、前
記配線構造は、層間絶縁層と当該層間絶縁層中に形成されたCu配線部を含み、前記層間絶縁層に面するように、水素拡散防止層を含むエッチングストッパー層が形成されていることを特徴とする半導体装置を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に係り、特には強誘電体キャパシタを有する半導体装置および当該半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
近年、高速・低電力である不揮発性メモリとして、強誘電体キャパシタを用いた強誘電体メモリが注目され、研究開発が盛んになっている。
例えば、強誘電体キャパシタに用いられる強誘電体材料としてはペロブスカイト型の結晶構造を有する材料が用いられ、PZT(Pb(Zr,Ti)O)や、SBT(SrBiTa)などが用いられている。
【特許文献1】特開平8−321480号公報
【特許文献2】特開平8−298252号公報
【特許文献3】特開平8−1900号公報
【特許文献4】特開2002−358537号公報
【特許文献5】特開2002−176149号公報
【特許文献6】特開2002−43541号公報
【特許文献7】特開2002−100742号公報
【特許文献8】特開2002−43541号公報
しかし、このような強誘電体キャパシタは水素や水によってその品質が劣化することが知られており、以下に説明するように、水素または水の拡散を防止し、キャパシタの劣化を防止して、高品質の強誘電体キャパシタを有する半導体装置(以下FeRAMと呼ぶ)を製造することは困難であるという問題があった。
今後、強誘電体キャパシタを有する半導体装置の配線は微細化が進み、配線ルールは0.18μm以下となった場合、このような配線の微細化に伴って配線材料としてはCuが一般的になっていくと考えられる。
配線材料としてCuを用いる場合には、配線構造を形成する場合に水素が拡散して強誘電体キャパシタを劣化させてしまう場合があった。例えば、トレンチ配線部が形成された絶縁層の層間、またはビア配線部が形成された絶縁層の層間には、エッチングストッパー層として、プラズマCVD法(化学気相堆積法)により形成したSiN膜(シリコン窒化膜)を用いることが一般的である。この場合、当該SiN膜形成時に発生する水素拡散を含むダメージにより、キャパシタの劣化が生じてしまう問題があった。
また、半導体装置の製造工程においては、パーティクルの除去を行って歩留りを向上させる目的で、スクラバー処理(HOジェット処理)を行う事が一般的であったが、FeRAMの製造工程においてはスクラバー処理を用いたことでHOが拡散し、そのためにキャパシタが劣化してしまう懸念があり、キャパシタ形成後は実施することが困難であった。そのため、FeRAMの製造工程で、HOによるキャパシタの劣化を防止しながらパーティクルを除去して、FeRAMの製造の歩留りを向上させることは困難であった。
また、FeRAMを製造する場合には、水素やHOが拡散してキャパシタを劣化させることを防止するために、例えばAlなどからなる水素拡散防止層を形成する場合があった。
しかしこのような水素拡散防止層は、当該水素拡散防止層の近傍に形成される絶縁層と成分が異なるため、当該水素拡散防止層と絶縁層を共にエッチングしてキャパシタのコンタクト配線する場合には、エッチングの際に、エッチングガスやエッチングの条件を変更する必要があり、水素拡散防止層を形成して水素の拡散を防止してキャパシタの劣化を防止しながら、かつ水素拡散防止層と絶縁層をエッチングすることはキャパシタのコンタクト配線形成の場合の効率が悪いという問題があった。
【発明の開示】
そこで、本発明では上記の問題を解決した、新規で有用な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の統括的課題は、水素またはHOの拡散を防止することで強誘電体キャパシタの劣化を防止し、高品質の強誘電体キャパシタを有する半導体装置を提供することである。
本発明の具体的な第1の課題は、強誘電体を有する半導体装置の配線材料としてCuを用いた場合に、配線構造を形成する場合に水素が拡散して強誘電体キャパシタを劣化させることを防止し、高品質の強誘電体キャパシタを有する半導体装置および当該半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の具体的な第2の課題は、HOによる強誘電体キャパシタの劣化を防止しながらパーティクルを除去して、強誘電体を有する半導体装置の製造の歩留りを向上させる半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の具体的な第3の課題は、水素拡散防止層を形成して水素の拡散を防止して強誘電体キャパシタの劣化を防止しながら、かつ水素拡散防止層と絶縁層をエッチングしてコンタクト配線を形成する場合の効率を良好とする、強誘電体キャパシタを有する半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明は上記第1の課題を、基板上に形成された強誘電体キャパシタと、前記強誘電体キャパシタ上に形成された配線構造とを有する半導体装置であって、前記配線構造は、層間絶縁層と当該層間絶縁層中に形成されたCu配線部を含み、前記層間絶縁層に面するように、水素拡散防止層を含むエッチングストッパー層が形成されていることを特徴とする半導体装置により、解決する。
当該半導体装置によれば、層間絶縁層に面するように、水素拡散防止層を含むエッチングストッパー層を形成したことにより、水素の拡散を防止して強誘電体キャパシタの劣化を防止することが可能となった。
また、上記第1の課題を、基板上に強誘電体キャパシタを形成する工程と、前記強誘電体キャパシタ上に配線構造を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記配線構造を形成する工程は、前記強誘電体キャパシタ上に、配線部と第1の層間絶縁層を含む第1の配線構造を形成する工程と、前記第1の配線構造上に水素拡散防止層を含むエッチングストッパー層を形成する工程と、前記エッチングストッパー層上にCu配線部と第2の層間絶縁層を含む第2の配線構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法により、解決する。
当該半導体装置の製造方法によれば、前記キャパシタ上に配線構造を形成する場合に、層間絶縁層のエッチングストッパー層に水素拡散防止層を含む膜を用いたため、水素の拡散を防止して強誘電体キャパシタの劣化を防止することが可能となった。
また、本発明は上記第2の課題を、基板上に強誘電体キャパシタを形成する工程と、前記強誘電体キャパシタ上に配線構造を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、不活性ガスによる低温エアロゾル洗浄工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法により、解決する。
当該半導体装置の製造方法によれば、HOによる強誘電体キャパシタの劣化を防止しながらパーティクルを除去して、強誘電体を有する半導体装置の製造の歩留りを向上させることが可能となる。
また、本発明は上記第3の課題を、強誘電体キャパシタを有する半導体装置の製造方法であって、基板上に前記強誘電体キャパシタを形成する工程と、高密度プラズマCVDにより、前記強誘電体キャパシタ上に突起部が形成されるようにして、当該強誘電体キャパシタ上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に水素拡散防止層を形成する工程と、前記突起部上の前記水素拡散防止層をCMPにより選択的に除去して前記絶縁層が露出した露出部を形成する工程と、前記露出部にコンタクト配線を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法により、解決する。
当該半導体装置の製造方法によれば、水素拡散防止層を形成して水素やHOの拡散を防止してキャパシタの劣化を防止しながら、水素拡散防止層を選択的に除去することで、コンタクト配線を形成する場合のエッチングの効率を良好とすることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明による半導体装置の一部を模式的に示した断面図である。
図2A〜図2Cは、図1の半導体装置の製造方法を示した図(その1)である。
図3A〜図3Cは、図1の半導体装置の製造方法を示した図(その2)である。
図4A〜図4Dは、図1の半導体装置の製造方法を示した図(その3)である。
図5は、本発明による基板の洗浄方法を模式的に示した図である。
図6A〜図6Fは、図1の半導体装置の製造方法を示した図(その4)である。
【発明を実施するための最良の形態】
次に、本発明の実施の形態に関して、以下に図面に基づき、説明する。
【実施例1】
図1は、本発明の実施例1による、強誘電体キャパシタを有する半導体装置である、半導体装置100の一部を模式的に示した断面図である。
図1を参照するに、前記半導体装置100の概略は、Siからなる基板101上に、トランジスタなどが形成された層の上に強誘電体キャパシタが形成され、当該強誘電体キャパシタ上には多層配線構造が形成された構造になっている。
前記トランジスタは、基板101上の、素子分離絶縁層112で分離された素子領域に形成されている。当該素子領域には、不純物拡散層102が形成され、当該不純物拡散層102にその周囲を囲まれるように不純物拡散層103,104および105が形成されている。
前記不純物拡散層103および104に挟まれるように、基板101上にはゲート絶縁層106が形成され、当該ゲート絶縁層106上にはゲート電極107が形成され、当該ゲート電極107の側壁には側壁絶縁層108が形成されてMOSトランジスタが形成されている。
同様に、前記不純物拡散層104および105に挟まれるように、基板101上にはゲート絶縁層109が形成され、当該ゲート絶縁層109上にはゲート電極110が形成され、当該ゲート電極110の側壁には側壁絶縁層111が形成されてMOSトランジスタが形成されている。
前記MOSトランジスタを覆うように絶縁層113が形成され、当該絶縁層113上に、強誘電体キャパシタFeCapが形成されている。
前記強誘電体キャパシタFeCapは、前記絶縁層113上に形成された下部電極201と、当該下部電極201上に形成された強誘電体層202、さらに当該強誘電体層202上に形成された上部電極204からなる。
また、前記キャパシタFeCapを覆うように、例えばAlからなる水素拡散防止層204が形成されている。強誘電体キャパシタは、水素やHOによって劣化することが知られており、当該水素拡散防止層によって強誘電体キャパシタが水素やHOに曝されることを防止している。
しかし、例えば強誘電体キャパシタが形成された後の配線構造を形成する工程において、キャパシタに水素の拡散の影響が生じてしまう工程、例えば層間絶縁層のエッチングのストッパー層としてSiN膜を形成する工程がある場合には、水素の拡散の影響が大きく、水素の拡散防止効果は充分ではなく、強誘電体キャパシタが劣化してしまう問題があった。そこで本実施例ではエッチングのストッパーとなる、エッチングストッパー層(以下ストッパー層と記載する)に、水素拡散防止層を含む構造としているが、詳細については後述する。
前記水素拡散防止層204上を覆うように、また前記絶縁層113を覆うように、層間絶縁層114が形成され、当該層間絶縁層114中には以下のようにコンタクトホールが複数形成され、当該コンタクトホールにはコンタクト配線が形成されて、配線構造1Lを構成している。
前記下部電極201に電気的に接続されるように、その周囲にバリア膜206Aが形成されたコンタクト配線206が形成されている。また前記上部電極203に電気的に接続されるように、その周囲にバリア膜205Aが形成されたコンタクト配線205が形成されている。
また、前記層間絶縁層114から前記絶縁層113にかけては、前記不純物拡散層103に電気的に接続されるように、その周囲にバリア膜116Aが形成されたコンタクト配線116が形成されている。
同様に、前記層間絶縁層114から前記絶縁層113にかけては、前記不純物拡散層104に電気的に接続されるように、その周囲にバリア膜115Aが形成されたコンタクト配線115が形成されている。
前記配線構造1Lの、前記層間絶縁層114上には、ストッパー層(エッチングストッパー層)1Sが形成されている。前記ストッパー層1Sは、当該ストッパー層1S上に形成された層間絶縁層301をパターニングするためにエッチングする場合の、エッチングストッパー層として機能する。
前記ストッパー層1S上には、層間絶縁層301が形成され、当該層間絶縁層301中には、以下に示すように、複数のトレンチ配線部が形成されて、配線構造2Lが構成されている。
例えば、トレンチ配線部302は、前記層間絶縁層301中に形成されたトレンチ部の内部に、周囲をバリア膜302Aで囲まれるようにして形成されている。
同様に、トレンチ配線部303は、前記層間絶縁層301中に形成されたトレンチ部の内部に、周囲をバリア膜303Aで囲まれるようにして形成されており、前記コンタクト配線部206に電気的に接続されている。
また、トレンチ配線部304は、前記層間絶縁層301中に形成されたトレンチ部の内部に、周囲をバリア膜304Aで囲まれるようにして形成されており、前記コンタクト配線部205および116に電気的に接続されている。
また、トレンチ配線部305は、前記層間絶縁層301中に形成されたトレンチ部の内部に,周囲をバリア膜305Aで囲まれるようにして形成されており、前記コンタクト配線部115に電気的に接続されている。
さらに、前記配線構造2L上には、層間絶縁層301に接するようにストッパー層2Sが形成され、当該ストッパー層2S上には、層間絶縁層401が形成され、当該層間絶縁層中には、以下に示すように、複数のビアプラグ配線部が形成されて、配線構造3Lが構成されている。
例えば、ビアプラグ配線部402は、前記層間絶縁層401中に形成されたビアホール部の内部に、周囲をバリア膜402Aで囲まれるようにして形成されており、前記トレンチ配線部303に電気的に接続されている。
同様に、ビアプラグ配線部403は、前記層間絶縁層401中に形成されたビアホール部の内部に、周囲をバリア膜403Aで囲まれるようにして形成されており、前記トレンチ配線部305に電気的に接続されている。
以下同様に、前記配線構造3L上には、ストッパー層3Sが形成され、当該ストッパー層3S上には、複数のトレンチ配線部が形成された層間絶縁層501を有する配線構造4Lが形成されている。
前記配線構造4Lの層間絶縁層501中には、それぞれバリア膜502A,503Aおよび504Aに周囲を囲まれたトレンチ配線部502,503および504が形成されている。
さらに、当該配線構造4L上にはストッパー層4Sが形成され、当該ストッパー層4S上には図示を省略する複数のビアプラグ配線部が形成された層間絶縁層601を含む配線構造5Lが形成されている。
前記配線構造5L上にはストッパー層5Sが形成され、ストッパー層5S上には、グローバル配線部702が形成された層間絶縁層701が形成されている。
また、前記層間絶縁層701上には、保護膜801が形成されている。
前記トレンチ配線部302,303,304,305,502,503および504と、前記ビアプラグ配線部402および403はCuからなる。前記バリア膜302A,303A,304A,305A,402A,403A,502A,503Aおよび504Aは、例えばTaまたはTaNからなる。
また、グローバル配線701は、Cuからなるが、Alを用いて形成することも可能である。
従来、Cu配線部を含む配線構造では、エッチストッパー層1S〜5SにはSiN層が用いられることが一般的であった。当該SiN層は、エッチストッパー層としての機能と、またCuの拡散を防止する機能を有している。
しかし、強誘電体キャパシタを有する半導体装置では、プラズマCVDによりSiN層を形成する工程で当該強誘電体キャパシタに水素の拡散を含めたダメージの影響が生じてしまうため、強誘電体キャパシタが劣化してしまう問題があった。
そこで、本実施例ではストッパー層に水素拡散防止層を含む膜を用いている。例えば、ストッパー層としてAl酸化物、Al窒化物、Ta酸化物、Ta窒化物、Ti酸化物およびZr酸化物のいずれかを用いることが可能であり、この場合、当該ストッパー層を形成することで、水素やHOの拡散を防止する効果を奏する。
また、これらのAl酸化物(例えばAlなど)、Al窒化物、Ta酸化物、Ta窒化物、Ti酸化物およびZr酸化物は、層間絶縁層をエッチングする場合のエッチングのストッパーとして用いることが可能であると共に、Cu拡散防止層としても機能し、すなわちこれらの層は、水素の拡散防止、エッチングのストッパーおよびCuの拡散防止の機能を兼ねることができる。
また、上記のストッパー層としては、例えばSiO層、SiON層などを用いることも可能である。この場合、SiO層に適量の窒素を添加することで、Cuの拡散防止効果を高めることができるが、添加する量が多くなると水素の拡散の影響がでるため、窒素の添加の量によってCu拡散の防止効果と水素拡散の防止効果のバランスをはかることができる。
また、Cu拡散の防止効果はSiN層が優れているが、水素拡散の影響があるため、当該SiN層を、水素拡散防止層と積層してストッパー層として用いると、水素の拡散防止、エッチングのストッパーおよびCuの拡散防止の機能を兼ねると共に、特にCuの拡散防止効果が良好となり、好適である。前記水素拡散防止層としては、例えば特に水素拡散防止効果に優れた金属の化合物である、Al酸化物、Al窒化物、Ta酸化物、Ta窒化物、Ti酸化物およびZr酸化物からなる層のいずれかを用いると好適である。
この場合、Al酸化物、Al窒化物、Ta酸化物、Ta窒化物、Ti酸化物およびZr酸化物のいずれかからなる層の上に、SiN層を積層して用いるようにすると、水素の拡散がキャパシタに影響を与える効果が大きくなり、好適である。
このように、ストッパー層は積層された構造で用いると、水素の拡散防止、エッチングのストッパーおよびCuの拡散防止に優れた効果を奏するようになり、例えば、SiO層、SiON層に対して、Al酸化物、Al窒化物、Ta酸化物、Ta窒化物、Ti酸化物およびZr酸化物のいずれかからなる層を積層して用いると好適である。
また、ストッパー層に用いる材質はこれらに限定されるものではなく、水素の拡散防止、エッチングのストッパーまたはCuの拡散防止のいずれかの効果が特に優れた材料と、上記の材料を積層する、または混合するなどして用いてもよい。
【実施例2】
次に、前記半導体装置100の製造方法について、まず強誘電体キャパシタの製造方法、次に配線構造の形成方法について図面を用いて手順を追って説明する。
図2A〜図2Cは、前記半導体装置100の強誘電体キャパシタFeCapの形成方法について示した図である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
まず、図2Aに示す工程では、以下に示すようにして、前記絶縁層113上に、下部電極201、強誘電体層202および上部電極203を成膜する。
まず、前記絶縁層113上に、例えばIrからなる下部電極201をスパッタリングにより、例えば厚さ200nmとなるように形成する。次に前記下部電極201上に、例えばPZT(Pb(Zr,Ti)O)からなる強誘電体層202を厚さ150nmとなるように形成する。
PZTを形成する場合はスパッタリング法、またはMO−CVD法のいずれを用いてもよく、また成膜初期をスパッタリングによって行い、次にMO−CVD法によって続けてPZT膜を形成するようにしてもよい。
次に前記強誘電体層202上に、例えばIrからなる上部電極203を、スパッタリングにより厚さ200nmとなるように形成する。
この場合、下部電極201または上部電極203には、Irの他に、Prなどの金属を用いることが可能であり、またIrOx,PtOx,PtIrOxなどの導電性酸化物などを用いることも可能である。また下部電極拡散障壁としてTiまたはTiNなどの導電性窒化物からなる層を設けてもよい。
また、強誘電体層はPZTに限定されず、他の強誘電体材料を適宜用いることが可能であり、例えばSBT(SrBiTa)などを用いることが可能である。
また、前記下部電極201形成後、前記上部電極203形成後または前記強誘電体層202形成後にアニールを行うと膜質を改善するために好適であり、例えば当該強誘電体層202形成後に400℃〜700℃の温度範囲においてアニールを行うと強誘電体層の膜質が良好となり、好適である。
次に、図2Bに示す工程において、前記上部電極203、前記強誘電体層202および前記下部電極201のエッチングを行って強誘電体キャパシタのパターニングを行う。次に、例えばAlからなる水素拡散防止層204を、厚さ10nm〜100nmとなるように形成する。
当該水素拡散防止層204を形成する場合には、例えばスパッタリング法、MO−CVD法、または加水分解を用いる方法のいずれかを用いることが可能である。また、前記水素拡散防止層204としては、他にも水素拡散防止効果を有する材料を用いることが可能であり、例えばAlの酸化物の他にも、Alの窒素酸化物、Taの酸化物およびTiの酸化物のうち、いずれかを用いることが可能である。
次に、図2Cに示す工程において、強誘電体キャパシタ全体を覆うように前記水素拡散防止層204上に層間絶縁層114を、例えばプラズマTEOSによって、または、スピンコート法などによって形成する。
また、前記層間絶縁層114の形成後には、アニール処理またはプラズマ処理を行うと、水分の脱離などが生じて膜質が良好となり、また水素や水分を排除することでキャパシタの劣化を防止することが可能となり、好適である。
次に前記層間絶縁層114を、フォトリソグラフィ法によりパターニングした後、エッチングして、前記上部電極203および下部電極201に挿通するコンタクトホールを形成し、それぞれ前記上部電極203および下部電極201に電気的に接続されるコンタクト配線205および206を形成して前記配線構造1Lを形成する。また、前記コンタクト配線205および206は、それぞれバリア膜205Aおよび206Aに囲まれるように形成される。
前記コンタクト配線205および206は、例えばW(タングステン)からなり、その場合前記バリア膜205Aおよび206BはTiNまたはTi/TiNから形成される。
また、前記コンタクト配線205および206はAlまたはCuにより形成することも可能であり、この場合、たとえば水素を含む還元ガスを用いたCVDにより形成されるWに比べて、水素の影響を排して強誘電体キャパシタの劣化が抑制される効果を奏する。
また、Alにより配線を形成する場合には、Al層を形成した後、RIE(リアクティブイオンエッチング)によって当該Al層のパターニングを行い、その後、Alの配線間を層間絶縁層で埋め込む方法を用いる。
また、前記コンタクト配線205および206をCuにより形成した場合には、電気抵抗が低下する効果を奏する。また、ダマシン法により配線構造が形成できるため、微細配線の形成が容易となる。
また、前記前記コンタクト配線205および206がAlで形成される場合には、前記バリア膜205Aおよび206BはTiNまたはTi/TiNからなる膜が、前記前記コンタクト配線205および206がCuで形成される場合には、前記バリア膜205Aおよび206BはTaまたはTaNからなる膜が用いることが好ましい。
また、前記コンタクトホール形成後に、コンタクト配線が形成される前に、キャパシタの劣化回復を目的に400℃〜600℃のアニール工程を実施すると、この工程までに拡散した水素や水分を除去してキャパシタの劣化の回復をするこができる。
次に、前記層間絶縁層114上とコンタクト配線を覆うように、例えばAlかなる前記ストッパー層1Sを形成する。当該水ストッパー層1Sを形成する場合には、例えばスパッタリング法、MO−CVD法、または以下の反応を用いた加水分解を用いる方法のいずれかを用いることが可能である。
2AlCl+3HO→Al+↑6HCl
また、前記ストッパー層1Sを形成する場合には最初にスパッタリング法により形成し、当該スパッタリングにより形成された膜上に例えばCVD法などによる形成を行う方法があり、この場合スパッタリング後に300℃〜600℃のアニール工程を付加すると膜質が良好となり、好適である。
また、実施例1の説明に記載したようにストッパー層には様々な材料の膜を用いることが可能であり、当該ストッパー層1Sと同様の方法で前記ストッパー層2S〜5Sを形成することができる。
このようにして、強誘電体キャパシタと、当該強誘電体キャパシタ上の配線構造1Lを形成し、さらに当該配線構造1Lの上層の配線構造を形成する。
【実施例3】
次に、前記配線構造1Lの上層の配線構造の形成方法を図3A〜図3Cおよび図4A〜図4Dに基づき、説明する。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。また、図は、前記半導体装置100の、配線構造の断面の一部を示しており、他の部分は図示を省略している。
まず、図3Aに示した工程では、前記ストッパー層1S上に、層間絶縁層301として、例えばラズマTEOSによって、またはHDP−CVD法によってSiO層を形成する。
また、必要に応じて、SiON膜、SiOC膜、SiCO(H)膜、フッ素添加SiO膜(FSG膜)などを形成してもよい。また、スピンコート法によって、例えばHSQ(水素シルセスオキサン)などの低誘電率膜を形成することも可能である。また、CVD法によって形成される膜によって、スピンコート法によって形成される膜を挟む構造にしてもよい。また、前記層間絶縁層114の形成後には、アニール処理またはプラズマ処理を行うと、水素や水分の脱離などが生じて膜質が良好となり、また水素や水分を排除することでキャパシタの劣化を防止することが可能となり、好適である。また、前記層間絶縁層301と同様の方法で、前記絶縁層401〜701を形成することができる。
次に、図3Bに示す工程において、フォトリソグラフィ法によりパターニングした後、前記層間絶縁層301をエッチングして当該層間絶縁層301のパターニングを行う。この場合、前記ストッパー層1Sがエッチングのストッパーとして機能する。前記層間絶縁層をエッチングした後、前記ストッパー層1Sをエッチングして前記コンタクト配線206が露出するようにする。
次に、図3Cに示す工程において、例えばスパッタリング法により、TaNからなるバリア層303Aを形成する。次に当該バリア層303A上に、スパッタリング法によりCuのシード層を形成した後、メッキ法によりCuの成膜を行い、さらにCMP(化学機械研磨)により平坦化を行って、トレンチ配線部303を形成し、前記配線構造2Lを形成する。
次に、前記層間絶縁層301と前記トレンチ配線部303を覆うように、前記ストッパー層1Sを形成した場合と同様の方法でストッパー層2Sを形成する。
さらに前記ストッパー層2S上に配線構造を形成する方法は様々あるが、例えばCu配線を用いる場合にはデュアルダマシン法、またはシングルダマシン法が考えられる。本実施例ではこのうち、デュアルダマシン法を例にとり、図4A〜図4Dに基づき説明する。
まず図4Aに示す工程では、前記ストッパー2S上に層間絶縁層401を形成し、当該層間絶縁層401上にストッパー層3Sを形成し、さらに当該ストッパー層3S上に層間絶縁層501を形成する。前記層間絶縁層401および501は、前記層間絶縁層301と同様の方法で、また前記ストッパー層3Sは、前記ストッパー層2Sと同様の方法で形成することができる。
次に、図4Bに示す工程で、フォトリソグラフィ法によりパターニングした後、前記層間絶縁層501、前記ストッパー層3S、前記層間絶縁層401および前記ストッパー層2Sを、エッチングしてビアホール401Aを形成し、前記トレンチ配線部303が露出するようにする。この場合、前記ストッパー層2Sを、エッチングのストッパーとして用いる。また、前記ストッパー3Sをエッチングする場合には層間絶縁層をエッチングする場合と、エッチングに用いるガスや、条件を変更して行う事が好ましい。
次に図4Cに示す工程において、フォトリソグラフィ法によりパターニングした後、前記層間絶縁層501をエッチングしてトレンチ501Aを形成する。この場合、前記ストッパー層3Sをエッチングのストッパーとして用いる。
次に、図4Dに示す工程において、例えばスパッタリング法により、TaNからなるバリア層402Aおよび503Aを形成する。次に当該バリア層402Aおよび503A上に、スパッタリング法によりCuのシード層を形成した後、メッキ法によりCuの成膜を行い、さらにCMP(化学機械研磨)により平坦化を行って、トレンチ配線部503およびビアプラグ配線部402を形成し、前記配線構造3Lおよび4Lを形成する。
この後は、同様にして前記配線構造4L上に、ストッパー層4Sを形成し、以下層化絶縁層601、ビアプラグ配線部、ストッパー層5S、層間絶縁層701、グローバル配線部702および保護層801を形成する。
また、本実施例ではデュアルダマシン法を例にとって説明したが、シングルダマシン法でも同様に配線構造を形成することが可能である。例えばシングルダマシン法の場合には、前記ビアプラグ配線部402と前記トレンチ配線部503を別々に形成する。すなわち、前記配線構造3Lを形成した後、当該配線構造3L上にストッパー層3Sを形成し、当該ストッパー層3S上に配線構造4Lを形成すればよい。
従来は、Cuの多層配線構造でエッチングのストッパー層にはSiN層が用いられることが一般的であった。一方、本実施例では当該ストッパー層に水素拡散防止層を含む層を用いたことで、当該ストッパー層を形成する場合に生じる水素拡散などの影響を排除すると共に、他の工程において、また例えば外部から進入する水素やHOが拡散することを防止して、強誘電体キャパシタの劣化を防止して、高品質の高誘電体キャパシタを有する半導体装置を製造することが可能になる。
また、複数の水素拡散防止効果を有する層を設けたことで、外部からの水分の浸入に対する耐性があり、経時変化や劣化の少ない半導体装置とすることができる。
また、ストッパー層を複数形成する場合、全てのストッパー層を同一の材料で形成する必要は無く、必要に応じて異なる材料により、形成することが可能となる。例えば、前記ストッパー層1Sおよびストッパー層2Sを、水素拡散防止効果の高いAlにより、形成し、ストッパー層3S〜5Sは、従来のプロセスで実績のある、Cuの拡散防止効果が高いSiN層を用いる方法がある。
また、ストッパー層は、例えばエッチングのストッパー効果が高いもの、すなわち層間絶縁層との選択比が高いものや、Cuの拡散防止効果が高いもの、または水素拡散防止効果が高いものを、それぞれ組み合わせて積層する、または混合するなどして用いることが可能であり、このように複数の材料を組み合わせることによってエッチングのストッパー効果、Cuの拡散防止効果および水素拡散防止効果のバランスを調整することが可能である。
【実施例4】
また、前記したように、FeRAMの製造工程においてHOが拡散すると、キャパシタが劣化してしまう懸念があり、パーティクルの除去を行って歩留りを向上させる目的で、スクラバー処理(HOジェット処理)を実施することが困難であった。
そのため、本実施例では、実施例1に示した半導体装置の製造方法、すなわち実施例2〜実施例3に示した製造方法において、HOを用いることなく基板表面のパーティクルを除去し、歩留りを向上させる、半導体装置の製造方法について説明する。
図5は、本実施例で用いる、低温エアロゾル洗浄(特開平8−321480号公報、特開平8−298252号公報参照)による洗浄方法を模式的に示した図である。
図5を参照するに、低温エアロゾル洗浄は、例えばアルゴンと窒素の不活性な混合ガスを極低温でエアロゾルZとし、これを高速でノズルNから、基板Wf表面上に吹き付けて、その衝撃により基板表面上のパーティクルPaを除去する洗浄方法である。
当該洗浄方法を、強誘電体キャパシタを有する半導体装置、例えば図1に示した半導体装置100の製造工程に適用すると、例えばスクラバー洗浄などの従来の洗浄方法と比較した場合、HOを用いないために、強誘電体キャパシタが、水素やHOにより劣化することを防止しながら、基板表面のパーティクルを除去して歩留りを向上させる効果を得ることができる。
特に、強誘電体キャパシタを形成した後の工程においては、従来のスクラバー洗浄を用いることが困難となるため、HOを用いないため水素やHOの拡散の懸念がない低温エアロゾル洗浄が特に有効である。
また、例えばAlからなる水素拡散防止層には、HOを用いた処理、例えばスクラバー処理や洗浄などを行うとダメージがはいる問題があり、本実施例による低温エアロゾル洗浄は、水素拡散防止層を形成した後の工程において、当該水素拡散防止層がダメージを受けることを防止しながら、基板表面のパーティクルを除去して歩留りを向上させる効果を得ることができる。
また、図1の半導体装置を製造する工程では、キャパシタの劣化を防ぐ目的で、例えば層間絶縁層形成後に水分を脱離させるためのプラズマ処理またはアニール処理を行う事が好ましい。しかし、当該プラズマ処理またはアニール処理では層間絶縁層上のパーティクルが増加する場合があるため、これらのパーティクルを除去するために、当該プラズマ処理またはアニール処理の後に本実施例による低温エアロゾル洗浄法を用いると好適である。
また、層間絶縁層を形成する工程は、強誘電体キャパシタが形成された後の工程であるため、スクラバー洗浄など水を用いた洗浄が困難であり、層間絶縁層形成後のプラズマ処理またはアニール処理の後の洗浄に本実施例による洗浄方法を適用すると、水素や水によるキャパシタの劣化の影響を排除しながらパーティクルが低減できるため、特に有効である。
また、層間絶縁膜形成後のプラズマ処理またはアニール処理の後の洗浄に本実施例による洗浄方法を適用すると、当該層間絶縁層が形成される前の工程で形成された水素拡散防止層に対してスクラバー洗浄などによる水素拡散防止層のダメージの影響を排除しながらパーティクルが低減できるため、好適である。
このように、水素または水分により劣化またはダメージを受ける、強誘電体キャパシタと、洗浄などによりダメージを受ける水素拡散防止層の、双方を有する半導体装置の洗浄では、HOを用いない低温エアロゾル洗浄が特に好適な技術である。
例えば、図2Cに示す、前記層間絶縁層114が形成された後のプラズマ処理工程、またはアニール工程後に本実施例による洗浄方法を用いると上記の理由により好適である。
また、図3Aに示した前記層間絶縁301形成後のプラズマ処理またはアニール処理後、または図4Aに示した前記層間絶縁層401または501のプラズマ処理またはアニール処理後の洗浄工程に本実施例による洗浄方法を用いると上記の理由により、好適である。
また、さらに前記層間絶縁層601または701形成後のアニール処理またはプラズマ処理後に本実施例による洗浄方法を用いてもよい。
また、例えば層間絶縁層のエッチングの後には、残渣物の除去やパーティクルの除去が必要である。そのため、図2Cに示した前記層間絶縁層114のコンタクトホールのエッチングの後や、図3Bに示した前記層間絶縁層301の、トレンチ301Aのエッチングの後、また図4Bに示した前記層間絶縁層401および501の、ビアホール401Aのエッチングの後や、図4Cに示した前記層間絶縁層501の、トレンチ501Aのエッチングの後、また前記層間絶縁層601のエッチングの後などに本実施例による洗浄方法を用いると、上記の理由により、好適である。
また、例えばCMP工程後はパーティクル低減のために洗浄工程が必要であり、CMP工程後に本実施例によるクリーニング方法を用いると効果的である。
また、本実施例による洗浄方法を、強誘電体キャパシタを形成する工程において用いてもよく、強誘電体キャパシタを劣化させることなく、パーティクルを除去して半導体装置の歩留りを向上させる効果を奏する。
例えば、下部電極、上部電極、または強誘電体層形成後に本実施例による洗浄方法を適用してもよい。同様にして、下部電極形成後のアニール後、上部電極形成後のアニール後、または強誘電体層形成後のアニール後に本実施例による洗浄方法を用いてもよい。
【実施例5】
また、水素拡散防止層をエッチングのストッパー層として用いる場合は、層間絶縁層とのエッチングの選択比が大きいことが好ましいが、例えば水素拡散層をエッチングのストッパー層として用いない場合には、層間絶縁層とのエッチングの選択比が大きいために、エッチングの効率が悪くなる場合がある。
例えば強誘電体キャパシタのコンタクト配線が挿通される水素拡散防止層の場合、例えば図2Cに示すように、水素拡散防止層と層間絶縁層をエッチングしてキャパシタのコンタクト配線する場合には、エッチングの際に、エッチングガスやエッチングの条件を変更する必要があり、コンタクトホールを形成する場合の効率が悪いという問題があった。
そこで、本実施例では、コンタクトホールが形成される部分にあたる水素拡散防止層を、コンタクトホールのエッチングが行われる前に選択的に除去して、コンタクトホールのエッチングを容易にしている。
次に、図1に示した半導体装置100の製造方法に本実施例を適用した例を、図6A〜図6Fに示す。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。また、本実施例で、図6A〜図6Fに示した以外の工程や、図6A〜図6Fにおいて特に説明を省略した工程は、図2A〜図2C、図3A〜図3Cまたは図4A〜図4Dに示した工程と同一である。
まず、図6Aに示す工程は、図2Bに示した工程において、水素拡散防止層を形成する前の状態を示している。また、本実施例においては、隣接する複数の強誘電体キャパシタを示している。
次に、図6Bに示す工程において、HDP(高密度プラズマ)−CVD法により、強誘電体キャパシタを覆うように、例えばSiOからなる絶縁層114Aを形成する。この場合、基板側にバイアス電圧が印加されるようにして成膜されることが好ましい。HDPを用いたCVDの場合、成膜に用いられるガスの解離が進行してイオンによる成膜が支配的となるために、微細パターンへのカバレッジが良好となる効果を奏する。
例えば強誘電体キャパシタの集積度を向上させようとした場合には、隣接する強誘電体キャパシタの間隔が小さくなり、そのために絶縁層の埋め込みにあたってボイド(空孔)が形成されてしまう問題があった。
本実施例ではHDPを用いたCVD法により絶縁層114Aを形成することによって、絶縁層の埋め込みの際に、隣接する強誘電体キャパシタ間にボイドが発生することを防止する効果を奏する。
またこの場合、基板側にバイアス電圧が印加されるようにすると、イオンによるスパッタリング効果が大きくなり、埋め込みの特性が良好となってボイドの発生が抑制される効果が大きくなり、好適である。
また、HDP−CVD法による成膜では、イオンによるスパッタリング効果により、図6Bに示すように、構造物上、本実施例の場合は強誘電体キャパシタ上に成膜される絶縁層は、突起状の形状となり、強誘電体キャパシタ上には突起部114aが形成される。
また、形成される絶縁層はSiOに限定されず、例えばフッ素添加SiO膜(FSG)、SiON膜など形成することが可能である。
次に、図6Cに示す工程で、前記絶縁層114A上に、図2Bの工程の場合と同様にして、例えばAlの酸化物(例えばAl)からなる水素拡散防止層204Aを形成する。
前記水素拡散防止層204Aは、Alの酸化物の他にも、例えばAlの窒素酸化物、Taの酸化物およびTiの酸化物のうち、いずれかを用いることが可能である。
次に、図6Dに示す工程において、例えばCMP(化学機械研磨)により、前記水素拡散防止層204Aの、前記突起部114a上に形成された部分を選択的にエッチングして除去して、前記絶縁層114Aが露出した部分である露出部114bを形成する。
この場合、CMPの通常の方法を用いて実施すれば、前記突起部114a上に形成された部分が選択的にエッチングされる。この場合、前記突起部114aの絶縁層114Aの一部も除去され、前記露出部114bは局所的に平坦化される。
次に、図6Eに示す工程において、前記水素拡散防止層204Aと、前記露出部114bを覆うように、絶縁層114Bを形成し、当該絶縁層114Bの表面をCMPにより平坦化する。
この場合、前記絶縁層114Bとして、HDP−CVD法によりSiO膜、SiON膜、FSG膜などを形成することが可能であるが、前記絶縁層114Aの場合と異なり、カバレッジが良好である必要がないため、プラズマTEOSや、またはスピンコートなどの方法を用いて形成することも可能である。
次に、図6Fに示す工程において、フォトリソグラフィ法によりパターニングした後、例えばCF系のガスを用いた、プラズマによるエッチングにより、前記露出部114bから、前記上部電極203に挿通するように、コンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールにコンタクト配線CPを形成する。
また、コンタクト配線CPと前記絶縁層114Aまたは114Bの境界部分には、バリア膜が形成されることが好ましい。
前記コンタクト配線CPは、W(タングステン)、AlまたはCuで形成することが可能である。コンタクト配線およびバリア膜の形成方法は、図2Cの説明に記載した場合と同一である。なお、本実施例では下部電極201に接続されるコンタクト配線は図示を省略している。
従来は、コンタクトホールを形成しようとすると、絶縁層と水素拡散防止層をエッチングする場合でエッチングに用いるガスや条件を変更して行う必要があった。そのため、コンタクトホールを形成するために時間を要するという問題があった。また、エッチング形状に段差が生じる、または形状が不良となる場合もあった。
本実施例によれば、強誘電体キャパシタに接続されるコンタクト配線の、コンタクトホールをエッチングする場合に、ガス種やエッチングの条件を変更することなく、効率よくエッチングを行う事が可能となると共に、エッチング形状が不良となることを防止する効果を奏する。
また、コンタクトホールが形成される部分の水素拡散防止層を選択的に除去しているため、コンタクトホールが形成される部分以外では水素拡散防止層が除去されず、水素やHOの拡散を防止して、強誘電体キャパシタ劣化防止の効果を保持することができる。
すなわち、水素拡散防止層を形成して水素の拡散を防止して強誘電体キャパシタの劣化を防止しながら、かつ水素拡散防止層と絶縁層をエッチングしてコンタクト配線を形成する効率を良好とすることが可能となる効果を奏する。
また、上記のように水素拡散防止層を選択的に除去する場合に、特にマスク工程やフォトリソグラフィの工程を付加することなく実施しているため、工程数が複雑化することがない。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、強誘電体キャパシタを有する半導体装置において、水素の拡散を防止して強誘電体キャパシタの劣化を防止することが可能となる。
また、強誘電体を有する半導体装置の配線材料としてCuを用いた場合に、配線構造を形成する場合に水素が拡散して強誘電体キャパシタを劣化させることを防止し、高品質の強誘電体キャパシタを有する半導体装置および当該半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
また、強誘電体キャパシタを有する半導体装置を製造する場合に、HOによる強誘電体キャパシタの劣化を防止しながらパーティクルを除去して、強誘電体を有する半導体装置の製造の歩留りを向上させることが可能となる。
また、強誘電体キャパシタを有する半導体装置を製造する場合に、水素拡散防止層を形成することで水素やHOの拡散を防止してキャパシタの劣化を防止しながら、水素拡散防止層を選択的に除去することで、強誘電体キャパシタのコンタクト配線を形成する場合のエッチングの効率を良好とすることを可能とする。
【図1】





【図5】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された強誘電体キャパシタと、
前記強誘電体キャパシタ上に形成された配線構造とを有する半導体装置であって、
前記配線構造は、層間絶縁層と当該層間絶縁層中に形成されたCu配線部を含み、
前記層間絶縁層に面するように、水素拡散防止層を含むエッチングストッパー層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記エッチングストッパー層の、前記層間絶縁層に対向する側には、当該エッチングストッパー層に面するように、別の層間絶縁層と当該別の層間絶縁層中に形成された別のCu配線部を含む、別の配線構造が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記水素拡散防止層は、Al酸化物、Al窒化物、Ta酸化物、Ta窒化物、Ti酸化物およびZr酸化物のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記エッチングストッパー層は、SiO層、SiON層およびSiN層のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記エッチングストッパー層は、SiO層、SiON層およびSiN層のいずれかと前記水素拡散防止層が積層された構造を有することを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項6】
前記強誘電体キャパシタは第1の電極と第2の電極を有し、前記Cu配線部が、前記第1の電極または前記第2の電極に接続されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記強誘電体キャパシタの強誘電体層が、PZTまたはSBTからなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
基板上に強誘電体キャパシタを形成する工程と、
前記強誘電体キャパシタ上に配線構造を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記配線構造を形成する工程は、
前記強誘電体キャパシタ上に、配線部と第1の層間絶縁層を含む第1の配線構造を形成する工程と、
前記第1の配線構造上に水素拡散防止層を含むエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記エッチングストッパー層上にCu配線部と第2の層間絶縁層を含む第2の配線構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記配線部は、Cuからなることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記水素拡散防止層は、Al酸化物、Al窒化物、Ta酸化物、Ta窒化物、Ti酸化物およびZr酸化物のいずれかを含むことを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
基板上に強誘電体キャパシタを形成する工程と、
前記強誘電体キャパシタ上に配線構造を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
不活性ガスによる低温エアロゾル洗浄工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記低温エアロゾル洗浄工程は、前記強誘電体キャパシタを形成する工程の後において実施されることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記強誘電体キャパシタを形成する工程の後に、前記強誘電体キャパシタと前記配線構造の間に水素拡散防止層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記低温エアロゾル洗浄工程は、前記水素拡散防止層を形成する工程の後において実施されることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記強誘電体キャパシタの強誘電体層は、PZTまたはSBTからなることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
強誘電体を有する半導体装置の製造方法であって、
基板上に前記強誘電体キャパシタを形成する工程と、
高密度プラズマCVDにより、前記強誘電体キャパシタ上に突起部が形成されるようにして、当該強誘電体キャパシタ上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層上に水素拡散防止層を形成する工程と、
前記突起部上の前記水素拡散防止層をCMPにより選択的に除去して前記絶縁層が露出した露出部を形成する工程と、
前記露出部にコンタクト配線を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記露出部を形成する工程の後に、前記水素拡散防止層と前記露出部を覆うように別の絶縁層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記水素拡散防止層は、Alの酸化物、Alの窒素酸化物、Taの酸化物およびTiの酸化物のうち、いずれかを含むことを特徴とする請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記強誘電体キャパシタの強誘電体層は、PZTまたはSBTからなることを特徴とする請求項16記載の半導体装置の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/067051
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513102(P2005−513102)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016986
【国際出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】