説明

半導体装置、電気光学装置及び電子機器

【課題】基板上の受動素子を用いてインピーダンス制御を行うために、高精度の抵抗部を容易に形成する。
【解決手段】半導体装置121の能動面121aの周縁部には、複数の電極パッド24が配列形成され、半導体装置121の能動面全体に保護膜としてのパッシベーション膜26が形成されており、上述した各電極パッド24の表面に、パッシベーション膜26の開口部26aが形成されている。パッシベーション膜26上には、応力緩和性の高い有機樹脂膜が形成される。そのパッシベーション膜26の表面であって、電極パッド列24aの内側には、樹脂突起12が形成されている。樹脂突起12は、半導体装置121の能動面121aから突出して形成され、略同一高さで直線状に延在しており、電極パッド列24aと平行に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板とその製造方法及び電気光学装置の製造方法並びに電子機器の製造方法に関するものであり、特に基板上に抵抗体が設けられる電子基板とその製造方法及び電気光学装置の製造方法並びに電子機器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は、電子機器の小型化及び高機能化に伴って、パッケージ自体の小型化または高密度化が求められようになっており、一例として、半導体素子上にポリシリコンを用いて抵抗を内蔵させる技術が知られている。
例えば特許文献1には、ポリシリコンに不純物をドープした多結晶粒界を用いて抵抗を形成する技術が開示されている。
また、特許文献2には、半導体素子上の再配置配線部に、厚膜形成法によって抵抗ペーストを塗布・硬化させて、抵抗部を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−7848号公報
【特許文献2】特開2003−46026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
基板上に設けられた抵抗等の受動素子を用いてインピーダンス制御等を行う際には、抵抗値を高精度に管理する必要があるが、上記の技術では要求された精度を確保することが困難であり、信頼性の高い抵抗部が得られないという問題がある。
また、上記の技術では、抵抗部を形成するための独立したプロセスが必要であり、生産性が低下するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、高精度の抵抗部を容易に形成できる電子基板とその製造方法及び電気光学装置の製造方法並びに電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の電子基板は、基板上に配線パターンが設けられた電子基板であって、前記配線パターンの一部の配線諸元を、他の部分と異ならせて設けられた抵抗素子を有することを特徴とするものである。
【0007】
従って、本発明の電子基板では、配線パターンの一部が他の部分と比較して抵抗値が高くなるように配線諸元を異ならせることにより、容易に抵抗素子を形成することができる。この抵抗素子は、配線パターンにより形成されるため、別途抵抗素子を形成するための独立したプロセスを要せず、生産性の低下を回避することができる。
そして、本発明では、配線パターンの配線諸元を調整することにより、所望の抵抗値を有する抵抗素子を高精度に形成することができる。
この配線パターンとしては、電極部と接続される構成や、少なくとも一部が接続端子を形成する構成を採用できる。
また、配線パターンとしては、電極部と接続され、少なくとも一部が外部端子に接続される構成(例えば、W−CSP(Wafer Level Chip Size Package)パッケージ体)としてもよい。
【0008】
前記配線パターンの一部の配線諸元を、他の部分と異ならせる方法としては、前記配線パターンの一部の幅を前記他の部分の幅と異ならせることにより抵抗素子を形成したり、前記配線パターンの一部の厚さを前記他の部分の厚さと異ならせることにより抵抗素子を形成する構成を好適に採用できる。
【0009】
前記配線パターンの一部の厚さを前記他の部分の厚さと異ならせる場合には、前記配線パターンが少なくとも2層で形成され、前記抵抗素子が前記配線パターンよりは少ない層数で形成される構成を好適に採用できる。この場合、前記配線パターンが、第1配線パターンと、前記第1配線パターンとは異なる材料で形成され前記第1配線パターン上に積層された第2配線パターンとを有し、前記抵抗素子が前記第2配線パターンの一部が除去された領域に形成される構成を好適に採用できる。
この構成では、例えばエッチング等により第2配線パターンを除去することにより、配線パターンの一部が局所的に第1配線パターンで構成されて他の部分よりも高抵抗の抵抗素子を形成することができる。また、エッチング処理等により第2配線パターンを除去する場合には、第2配線パターンに対応したエッチング材を選択することにより、容易に第2配線パターンのみを除去することが可能になる。
【0010】
また、この場合には、前記第1配線パターンが前記第2配線パターンよりも抵抗値が大きい材料で形成されることが好ましい。
これにより、本発明では、抵抗値が大きい抵抗素子を容易に形成することが可能になる。
さらに、本発明では、前記抵抗素子が封止材で封止される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、抵抗素子を保護し、腐食や短絡を防止することが可能になる。
【0011】
また、本発明では、前記抵抗素子が応力緩和層上に形成される構成を好適に採用できる。これにより、本発明では、この構成では、基板に熱応力が加わっても抵抗素子の信頼性や寿命の低下を抑制することができる。
前記接続端子としては、樹脂材をコアとして少なくとも頂部が前記配線パターンで覆われたバンプ電極で形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、バンプ電極の近傍に抵抗素子を形成できるので、バンプ電極と抵抗素子との間の経路を最短にでき、配線を極小とできる。
【0012】
また、前記基板としては半導体素子を有する構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、半導体素子の近傍に抵抗素子を形成できるので、半導体素子と抵抗素子との間の経路を最短にでき、配線を極小とできる。
この場合、半導体素子としては、能動領域に形成される配線パターンによりトランジスタ等のスイッチング素子を形成する構成や、半導体素子を内蔵する半導体チップを能動領域に実装する構成とすることができる。
また、本発明では、基板に半導体素子が非搭載状態、つまり半導体素子が設けられていない、例えばシリコン基板状態であっても適用可能である。
【0013】
そして、本発明の電気光学装置は、先に記載の電子基板が実装されることを特徴とするものである。
また、本発明の電子機器は、先に記載の電子基板または電気光学装置を備えることを特徴とするものである。
従って、本発明では、抵抗素子が精度よく形成された高品質の電気光学装置及び電子機器を得ることができるとともに、生産性が低下することなく効率的な電気光学装置製造及び電子機器製造を実現することができる。
【0014】
一方、本発明の電子基板の製造方法は、基板上に配線パターンが設けられた電子基板の製造方法であって、前記配線パターンの一部の配線諸元を、他の部分と異ならせて抵抗素子を形成する工程を有することを特徴とするものである。
【0015】
従って、本発明では、配線パターンの一部が他の部分と比較して抵抗値が高くなるように配線諸元を異ならせることにより、容易に抵抗素子を形成することができる。この抵抗素子は、配線パターンにより形成されるため、別途抵抗素子を形成するための独立したプロセスを要せず、生産性の低下を回避することができる。
そして、本発明では、配線パターンの配線諸元を調整することにより、所望の抵抗値を有する抵抗素子を高精度に形成することができる。
この配線パターンとしては、電極部と接続される構成や、少なくとも一部が接続端子を形成する構成を採用できる。
また、配線パターンとしては、電極部と接続され、少なくとも一部が外部端子に接続される構成(例えば、W−CSP(Wafer Level Chip Size Package)パッケージ体)としてもよい。
前記配線パターンの一部の配線諸元を、他の部分と異ならせる方法としては、前記配線パターンの一部を、幅方向や厚さ方向に除去することで前記抵抗素子を形成する工程を採用できる。
【0016】
前記配線パターンが、第1配線パターンと、前記第1配線パターンとは異なる材料で形成され前記第1配線パターン上に積層された第2配線パターンとを有し、前記抵抗素子が前記第2配線パターンの一部が除去された領域に形成される工程を好適に採用できる。
この工程では、例えばエッチング等により第2配線パターンを除去することにより、配線パターンの一部が局所的に第1配線パターンで構成されて他の部分よりも高抵抗の抵抗素子を形成することができる。また、エッチング処理等により第2配線パターンを除去する場合には、第2配線パターンに対応したエッチング材を選択することにより、容易に第2配線パターンのみを除去することが可能になる。
【0017】
また、この場合には、前記第1配線パターンが前記第2配線パターンよりも抵抗値が大きい材料で形成されることが好ましい。
これにより、本発明では、抵抗値が大きい抵抗素子を容易に形成することが可能になる。さらに、本発明では、前記抵抗素子を封止材で封止する工程を有することが好ましい。
これにより、本発明では、抵抗素子を保護し、腐食や短絡を防止することが可能になる。
【0018】
また。本発明では、前記配線パターン上に保護膜を成膜する工程と、前記配線パターンの一部に形成される接続端子及び前記抵抗素子を形成する領域の前記保護膜を剥離して開口部を形成する工程と、前記開口部を介して前記配線パターンの一部を除去する工程とを備える構成も好適である。
これにより、本発明では、接続端子に、例えばハンダボールを設けるために保護膜を成膜する際に、接続端子用の開口部とともに抵抗素子用の開口部を形成し、この抵抗素子用の開口部を介して配線パターンの一部を除去すれば、別途抵抗素子用の開口部を形成する工程を設けることなく、容易に抵抗素子を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置を示す模式図である。
【図2】液晶表示装置における半導体装置の実装構造の説明図である。
【図3】半導体装置の斜視図である。
【図4】同、半導体装置の端子部分を拡大して示す図である。
【図5】同、半導体装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】同、半導体装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図7】同、半導体装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図8】パッケージ体の製造方法を説明するための工程図である。
【図9】パッケージ体の製造方法を説明するための工程図である。
【図10】パッケージ体の変形例を示す断面図である。
【図11】電子機器の一例を示す斜視図である。
【図12】抵抗素子の変形例を示す平面図である。
【図13】抵抗素子の変形例を示す平面図である。
【図14】抵抗値を微調整する方法を説明するための図である。
【図15】温度と抵抗値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の電子基板とその製造方法及び電子機器の製造方法の実施の形態を、図1ないし図15を参照して説明する。
[電気光学装置]
図1は本発明の電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置を示す模式図である。
図示の液晶表示装置100は、液晶パネル110と、半導体装置121とを有する。また、必要に応じて、図示しない偏光板、反射シート、バックライト等の付帯部材が適宜に設けられる。
【0021】
液晶パネル110は、ガラスやプラスチックなどで構成される基板111及び112を備えている。基板111と基板112は対向配置され、図示しないシール材などによって相互に貼り合わされている。基板111と基板112の間には電気光学物質である液晶(不図示)が封入されている。基板111の内面上にはITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電体で構成された電極111aが形成され、基板112の内面上には上記電極111aに対向配置される電極112aが形成されている。なお、電極111a及び電極112aは直交するように配置されている。そして、電極111a及び電極112aは基板張出部111Tに引き出され、その端部にはそれぞれ電極端子111bx及び電極端子111cxが形成されている。また、基板張出部111Tの端縁近傍には入力配線111dが形成され、その内端部にも端子111dxが形成されている。
【0022】
基板張出部111T上には、封止樹脂122を介して、半導体装置121が実装されている。この半導体装置121は、例えば液晶パネル110を駆動する液晶駆動用ICチップである。半導体装置121の下面には図示しない多数のバンプ電極が形成されており、これらのバンプは基板張出部111T上の端子111bx,111cx,111dxにそれぞれ導電接続される。
【0023】
また、入力配線111dの外端部に形成された入力端子111dyには、異方性導電膜124を介してフレキシブル配線基板123が実装されている。入力端子111dyは、フレキシブル配線基板123に設けられた図示しない配線にそれぞれ導電接続されている。そして、外部からフレキシブル配線基板123を介して制御信号、映像信号、電源電位などが入力端子111dyに供給され、半導体装置121において液晶駆動用の駆動信号が生成されて、液晶パネル110に供給されるようになっている。
【0024】
以上のように構成された本実施形態の液晶表示装置100によれば、半導体装置121を介して電極111aと電極112aとの間に適宜の電圧が印加されることにより、両電極111a,112aが対向配置される画素部分の液晶を再配向させて光を変調することができ、これによって液晶パネル110内の画素が配列された表示領域に所望の画像を形成することができる。
【0025】
図2は図1のH−H線における側面断面図であり、上記液晶表示装置100における半導体装置121の実装構造の説明図である。図2に示すように、半導体装置121の能動面(図示下面)には、IC側端子として複数のバンプ電極10が接続端子として設けられ、その先端は上記基板111の端子111bx,111dxに直接導電接触している。バンプ電極10と端子111bx,111dxとの間の導電接触部分の周囲には、熱硬化性樹脂などで構成される硬化された封止樹脂122が充填されている。
【0026】
[半導体装置]
(第1実施形態)
次に、第1実施形態に係る電子基板としての半導体装置121の端子構造について説明する。図3は、端子が形成される半導体装置121の能動面側の構造を示す部分斜視図である。
半導体装置121は、例えば液晶表示装置の画素を駆動するICチップであり、その能動面側には薄膜トランジスタ等の複数の電子素子や各電子素子間を接続する配線等の電子回路(集積回路)等の半導体素子が形成されている(いずれも不図示)。
【0027】
図3に示す半導体装置121では、基板Pの能動面121aの長辺に沿って複数の電極パッド(電極部)24が整列配置されている。この電極パッド24は、上述した電子素子等から引き出されたものであり、電子回路の外部電極として機能するものである。また、能動面121aにおける電極パッド列24aの内側には、その電極パッド列24aに沿って直線状に連続する樹脂突起12が形成されている。さらに、各電極パッド24の表面から樹脂突起12の表面にかけて、各電極パッド24と樹脂突起12の頂部とを結ぶ配線パターン(金属配線)としての複数の導電膜20が形成されている。そして、コアとしての樹脂突起12と、樹脂突起12の表面に配設された各導電膜20とを含んでバンプ電極10が構成されている。なお、図3の例では、電極パッド列24aの内側に樹脂突起12を配置しているが、電極パッド列24aの外側に樹脂突起12を配置してもよい。
【0028】
図4は、バンプ電極10の要部構成を示す図であり、図4(a)はバンプ電極の周辺の平面拡大図、図4(b)は図4(a)のA−A線における側面断面図である。
図4に示すように、半導体装置121の能動面121aの周縁部には、Al等の導電性材料からなる複数の電極パッド24が配列形成されている。また、半導体装置121の能動面全体にSiN等の電気絶縁性材料からなる保護膜としてのパッシベーション膜26が形成されており、上述した各電極パッド24の表面に、パッシベーション膜26の開口部26aが形成されている。パッシベーション膜26上には、応力緩和性の高い、ポリイミドなどの有機樹脂膜が、開口部以外全表面もしくは一部に、更に形成されていても良い。
【0029】
そのパッシベーション膜26の表面であって、電極パッド列24aの内側には、樹脂突起12が形成されている。樹脂突起12は、半導体装置121の能動面121aから突出して形成され、略同一高さで直線状に延在しており、電極パッド列24aと平行に配設されている。この樹脂突起12は、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリイミド樹脂等の弾性を有する樹脂材料からなっており、例えばインクジェット法を用いて形成されている。樹脂突起12の断面形状は、図4(b)に示すような半円状や台形状等の弾性変形が容易な形状とすることが望ましい。こうすることで、相手側基板との当接時にバンプ電極10を容易に弾性変形させることが可能になり、相手側基板との導電接続の信頼性を向上させることができる。
【0030】
また、各電極パッド24の表面から樹脂突起12の表面を越えて、各電極パッド24と樹脂突起12の頂部とを結ぶ導電膜20が形成されている。この導電膜20は、電極パッド24と逆側の端部において、導電膜20と直交する方向に延びる導電膜(配線パターン)21によって、隣り合う導電膜20と接続された略U字状に形成されている。導電膜20、21は下層に配される導電膜(第1配線パターン)20a、21aと、導電膜20a、21a上に積層される導電膜(第2配線パターン)20b、21bとからなる二層配線構造を有している。
【0031】
本実施形態では、いずれもスパッタリングにより、導電膜20a、21aはTiWで厚さ3000〜7000Å(ここでは3000Å)に形成され、導電膜20b、21bは導電膜20a、21aよりも抵抗値が大きいAuで厚さ1000〜5000Å(ここでは1000Å)に形成されている。そして、導電膜21においては、導電膜21bの一部を除去して導電膜21aを露出させて形成した抵抗素子Rが設けられている。
使用される各々の導電膜の材質・膜組成および抵抗部の面積は、得たい抵抗値によって適宜変更することができる。以下本実施形態では、二層の導電膜構成について説明するが、詳細は後述するが、得たい抵抗値や温度特性に応じて三層以上の導電膜を組み合わせても構わない。また、導電膜の形成はスパッタリング以外にも、蒸着、メッキなど公知の手法を用いても構わない。
【0032】
先の図1に示すように、上記のバンプ電極10は、封止樹脂122を介して基板111上の端子111bxに熱圧着されている。封止樹脂122は熱硬化性樹脂であり、実装前においては未硬化状態若しくは半硬化状態となっている。封止樹脂122が未硬化状態であれば、実装前に半導体装置121の能動面(図示下面)又は基板111の表面に塗布すればよく、また、封止樹脂122が半硬化状態であれば、フィルム状若しくはシート状として、半導体装置121と基板111との間に介挿すればよい。封止樹脂122としてはエポキシ樹脂が一般的に用いられるが、他の樹脂でも同じ目的を達することができるものであれば良い。
【0033】
半導体装置121の実装は、図示しない加熱加圧ヘッドなどを用いて半導体装置121を基板111上に加熱しながら加圧して行う。このとき、封止樹脂122は初期において加熱によって軟化し、この軟化した樹脂を押し分けるようにしてバンプ電極10の頂部が端子111bxに導電接触する。そして、上記の加圧によって内部樹脂である樹脂突起12が押圧されて接触方向(図示上下方向)に弾性変形する。そして、この状態でさらに加熱を続けると封止樹脂122は架橋して熱硬化するので、加圧力を解放しても封止樹脂122によってバンプ電極10が端子111bxに導電接触しつつ弾性変形した状態に保持される。
【0034】
[半導体装置の製造方法]
次に、半導体装置の製造方法について、特に、上記バンプ電極10を形成する工程について説明する。
図5〜図7は、半導体装置121の製造方法の一例を示す工程図である。この製造工程は、パッシベーション膜26を形成する工程と、樹脂突起12を形成する工程と、導電膜20、21を形成する工程とを有している。本実施形態では、樹脂突起12をインクジェット法を用いて形成する。
【0035】
まず、図5(a)に示すように、図示しない半導体素子が形成された基板Pの能動面121a上にパッシベーション膜26を形成する。すなわち、成膜法によりSiO2やSiN等のパッシベーション膜26を基板P上に形成した後に、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより電極パッド24が露出する開口部26aを形成する。開口部26aの形成は、パッシベーション膜26上にスピンコート法、ディッピング法、スプレーコート法等によってレジスト層を形成し、さらに所定のパターンが形成されたマスクを用いてレジスト層に露光処理及び現像処理を施し、所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成する。その後、このレジストパターンをマスクにして前記膜のエッチングを行って電極パッド24を露出させる開口部26aを形成し、剥離液等を用いてレジストパターンを除去する。ここで、エッチングにはドライエッチングを用いるのが好ましく、ドライエッチングとしては反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)が好適に用いられる。エッチングとしてウェットエッチングを用いることもできる。
パッシベーション膜26上には、応力緩和性の高い、ポリイミドなどの有機樹脂膜を、開口部以外全表面もしくは一部に、更にフォトリソ法等を用いて形成しても良い。すなわち、以下手法で形成される抵抗素子Rは、有機樹脂膜(絶縁膜)上に形成されていても良い。
【0036】
次に、図5(b)に示すように、電極パッド24及びパッシベーション膜26が形成された基板Pの能動面121a上に、インクジェット法(液滴吐出方式)を用いて樹脂突起12を形成する。このインクジェット法は、液滴吐出ヘッドに設けられたノズルから1滴あたりの液量が制御された液滴状の樹脂材(液体材料)を吐出(滴下)するとともに、ノズルを基板Pに対向させ、さらにノズルと基板Pとを相対移動させることによって、基板P上に樹脂材の所望形状の膜パターンを形成する。そして、この膜パターンを熱処理することにより樹脂突起12を得る。
【0037】
ここで、液滴吐出ヘッドから複数の液滴を滴下して樹脂材の配置を行うことにより、樹脂材からなる膜の形状を任意に設定可能となるとともに、樹脂材の積層による樹脂突起12の厚膜化が可能となる。例えば、樹脂材を基板P上に配置する工程と、樹脂材を乾燥する工程とを繰り返すことにより、樹脂材の乾燥膜が積層されて樹脂突起12が確実に厚膜化される。また、液滴吐出ヘッドに設けられた複数のノズルから樹脂材を含む液滴を滴下することにより、樹脂材の配置量や配置のタイミングを部分ごとに制御することが可能である。
また、フォトリソ法等で樹脂突起12を形成し、硬化時に突起周辺をだらすことにより、所望の樹脂突起12形状を得ても良い。
【0038】
次に、図5(c)に示すように、電極パッド24の表面から樹脂突起12の表面にかけて、電極パッド24と樹脂突起12の頂部とを覆う金属配線としての導電膜20a、21aを形成する。この導電膜20a、21aは、ここではパターニングされたものではなく、ベタ膜として全面的に製膜される。
【0039】
続いて、図6(a)に示すように、スパッタリングによって導電膜20a、21a上に導電膜20b、21bを成膜する。この導電膜20b、21bも、パターニングされたものではなく、ベタ膜として全面的に製膜される。この後、パッシベーション膜26と同様に、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより、図3及び図4に示した形状の導電膜20b、21bを形成する。
【0040】
具体的には、導電膜20b、21b上にスピンコート法、ディッピング法、スプレーコート法等によってレジスト層を形成し、さらに所定のパターンが形成されたマスクを用いてレジスト層に露光処理及び現像処理を施し、所定形状のレジストパターン(所定の配線パターン以外の領域が開口するパターン)を形成する。その後、このレジストパターンをマスクにして前記膜のエッチングを行って、所定の配線パ剥離液等を用いてレジストパターンを除去することにより、所定形状の導電膜20b、21bが得られる。
次に、パターニングされた導電膜20b、21bをマスクとして、エッチング処理を行うことにより、図6(b)に示すように、導電膜20a、21aが導電膜20b、21bと同一形状でパターニングされて二層に積層された導電膜20、21が形成される。
【0041】
続いて、抵抗素子Rを形成するために、図6(c)に示すように、導電膜20、21(導電膜20、21が形成されていない領域ではパッシベーション膜26)上に、上記と同様の方法によりレジスト層(樹脂材)22を形成する。
次いで、抵抗素子Rの形状、位置に対応した開口を有するマスクを用いてレジスト層に露光処理及び現像処理を施し、図7に示すように、レジスト層22に開口部22aを形成する。そして、このレジスト層22をマスクとして導電膜21bのみを選択的にエッチングして除去し、導電膜21aを露出させる。このときのエッチング液としては、例えば塩化第二鉄や過硫酸アンモニウム等が用いられる。
そして、剥離液等を用いてレジスト層22を除去することにより、図4に示したように、導電膜21の中、抵抗値が高い抵抗素子Rが形成される。
【0042】
ここで、抵抗素子Rの材質や膜厚、面積は、要求される抵抗値に応じて設定される。
導電膜20a、21aを構成するTiWは、厚さ1000Åの場合、7×10-2Ω/μm2程度であり、導電膜20b、21bを構成するAuは、厚さ3000Åの場合、2×10-4Ω/μm2程度であり、抵抗素子Rに70Ωの抵抗値が要求される場合には、例えば幅10μm、長さ100μmで導電膜20b、21bを除去して抵抗素子Rを形成すればよい。このとき、下層に位置する導電膜20a、21aは、上層に位置する導電膜20b、21bよりも抵抗が大きいため、より大きな抵抗値を容易に得ることができる。
上記の導電膜の厚さ、もしくは抵抗素子Rの面積を変更することで、例えば終端抵抗値として一般的に採用される、50Ωの抵抗素子Rは、容易に形成することができる。
【0043】
この後、図4(b)に二点鎖線で示すように、抵抗素子Rをソルダーレジスト等の樹脂材(封止材)で覆うことにより封止膜23を形成する。これにより、抵抗素子Rの耐湿性等が向上する。この保護膜23は、少なくとも抵抗素子Rを覆うように形成することが好ましく、例えばフォトリソグラフィ法や液滴吐出方式、印刷法、ディスペンス法等を用いることにより形成できる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態では、導電膜21の配線諸元(線幅、厚さ)の中、一部の厚さを他の部分と異ならせることで、具体的には導電膜21の一部を導電膜21aのみにより薄く形成することで抵抗素子Rを形成しているので、新たに抵抗部材等を実装する必要がなく、容易に抵抗部を形成することができる。
また、本実施形態では、電極パッド24を介して半導体素子の近傍に抵抗素子Rを形成できるので、半導体素子から抵抗素子Rへの電気的な経路を最短にすることができ、余計な配線を極小とすることが可能になる。そのため、配線による寄生容量、スタブ等を最小に抑えることが可能になり、特に高周波領域での電気特性(ロス、ノイズ輻射)を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、抵抗素子Rを形成する材料及び、抵抗素子Rの面積に応じた抵抗値を設定できるため、所望の抵抗値を高精度で確保することが可能となり、半導体装置(電子基板)121としての信頼性を向上させることができる。
特に、本実施形態では、スパッタリング、メッキ、フォトリソ法等、膜組成及び厚さ精度、寸法精度に優れた方法により導電膜20、21を形成しているため、抵抗素子Rの抵抗値をより高精度に制御・管理することが可能である。
【0046】
また、本実施形態では、二層構造の導電膜21のうちの導電膜21bを除去することにより抵抗素子Rを形成するため、上層に位置する導電膜21bの材料に応じたエッチング液を適宜選択することにより、容易に抵抗素子Rを形成することができる。
特に、本実施形態では、下層に位置する導電膜21aが上層の導電膜21bよりも大きな抵抗を有しているので、より大きな抵抗値を容易に得ることが可能である。
つまり、本実施形態では、抵抗としての必要値に応じて膜の種類や、積層構造の導電膜の中、どの層の導電膜を用いるかを選択することで、抵抗のレンジ、耐許容電流値の設計選択度を向上させることができる。
なお、三層以上の構造も同様である。
【0047】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る電子基板について説明する。
第2実施形態では、本発明を電子基板としてのW−CSP(Wafer Level Chip Size Package)パッケージ体に適用する場合について図8及び図9を参照して説明する。
これらの図において、図1乃至図7に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、図8に示すパッケージ体(電子基板)CSPに対してハンダボールを形成する工程を用いて、抵抗素子を形成する。
このパッケージ体CSPにおいては、導電膜20a、20bの二層構造を有する導電膜20は、電極パッド24に接続された一端側においてパッシベーション膜26上に配線され、他端側においてパッシベーション膜26上に形成された応力緩和層33上に配線されている。
【0049】
応力緩和層33は、樹脂(合成樹脂)によって形成されている。この応力緩和層33は、を形成するための形成材料としては、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)等、絶縁性がある材料であれば良い。
【0050】
続いて、パッケージ体CSPに対して、ハンダボール及び抵抗素子を形成する手順について説明する。
まず、図8(a)に示すように、導電膜20上(導電膜20が形成されていない領域ではパッシベーション膜26または応力緩和層33上)を含む基板P上の全面に、スピンコート法、ディッピング法、スプレーコート法等によってソルダーレジスト42を塗布する(ソルダーレジスト層42を形成する)。
【0051】
次に、ハンダボール部及び抵抗素子の形状・位置に対応した開口を有するマスクを用いてレジスト層に露光処理及びエッチング処理を施し、図8(b)に示すように、ソルダーレジスト層42に導電膜20(導電膜20b)が露出するハンダボール用の開口部42a及び抵抗素子用の開口部42bを形成する。この後、図8(c)に示すように、開口部42a内の導電膜20上にバンプとして、例えば鉛フリーハンダからなるハンダボール43を搭載する。
【0052】
そして、図9(a)に示すように、ソルダーレジスト層42をマスクとして導電膜20bのみを選択的にエッチングして除去し、導電膜20aを露出させる。このときのエッチング液としては、例えば塩化第二鉄や過硫酸アンモニウム等が用いられる。
これにより、導電膜20の一部において導電膜20aで構成される抵抗素子Rが形成される。
この後、図9(b)に示すように、開口部42bを樹脂等の封止材44で封止することにより、抵抗素子Rの耐湿性等を向上させる。
このようにして、抵抗素子Rを内蔵するパッケージ体CSPが完成する。
【0053】
本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、W−CSP等のパッケージ体に対しても、抵抗値を高精度に設定された抵抗素子Rを容易に内蔵させることができる。
【0054】
なお、上記第2実施形態では、ハンダボール43を挟んで電極パッド24の逆側に抵抗素子Rを設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば図10に示すように、電極パッド24からハンダボール43へ向かう導電膜20(いわゆる再配置配線)の途中に抵抗素子Rを設ける構成としてもよい。
【0055】
[電子機器]
次に、上述した電気光学装置又は半導体装置を備えた電子機器について説明する。
図11は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、上述した電気光学装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上述した電気光学装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの場合にも抵抗値が高精度に確保されて品質に優れた電子機器を提供することができる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、導電膜21に抵抗素子Rを形成する構成としたが、これに限定されるものではなく、導電膜20に抵抗素子を形成する構成であってもよい。また、上記実施形態では、隣り合う導電膜20が導電膜21で接続される構成としたが、これに限られるものではなく、外部接続端子となる再配置配線の一部に抵抗素子が設けられる構成としてもよい。
【0058】
さらに、上記実施形態では、導電膜20が電極パッド24と逆側の端部で導電膜21で接続される構成としたが、この他にも、例えば図12(a)に示すように、バンプ電極10と電極パッド24との間で導電膜20が導電膜21により接続される構成や、図12(b)に示すように、電極パッド24側の端部において導電膜20が導電膜21により接続される構成であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、二層構造の電極膜21のうちの一層を除去することにより、抵抗素子Rを形成する構成としたが、これに限定されるものではなく、一層構造の電極膜や三層以上の電極膜であっても適用可能である。例えば、一層構造の電極膜であれば、例えばエッチング時間を調整することにより、抵抗部の厚さを他の箇所の厚さよりも薄くなるよう調整して所望の抵抗値とすればよい。また三層構造の電極膜としては、例えばスパッタリングによりTiw−Cuを形成した後に、メッキによりCuを積層した構成とすることができ、Cuメッキによる電極膜を除去してスパッタリングによるTiw−Cuで抵抗素子を形成したり、Cu(スパッタリング)−Cu(メッキ)の電極膜を除去して、Tiwの電極膜のみで抵抗素子を形成することも可能である。
【0060】
さらに、二層構造の電極膜であっても、上層の導電膜21bを厚さ方向に一部残し、残った導電膜21b及び下層の導電膜21aにより抵抗素子を形成してもよく、さらに導電膜21bを除去した後に、導電膜21aに対してもエッチング処理を施し、より薄い導電膜21aにより、より高い抵抗値を有する抵抗素子を形成する構成としてもよい。いずれの場合でも、所望の抵抗値に応じて導電膜を部分的に除去することにより、当該抵抗値を有する抵抗素子を容易に形成することが可能である。
【0061】
さらに、抵抗素子を形成する方法としては、厚さ方向を除去する場合に限定されるものではなく、導電膜(配線パターン)の一部の幅を他の部分よりも細くすることでも実現できる。例えば図13(a)に示すように、他の部分よりも細い線幅で九十九折り状に屈曲したミアンダ型の電極膜により形成された抵抗値の大きい抵抗素子や、図13(b)に示すように、抵抗の大きな縮径部(絞り形状)を有する抵抗素子としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、導電膜の厚さや幅で抵抗素子における抵抗値を調整するものとして説明したが、例えば図14に示すように、導電膜21の一部に導電膜21aを露出させて形成した抵抗素子Rに対して、レーザ等を用いてトリミングして導電膜21aの一部を切り欠いた(除去した)切欠部Raを設ける構成としてもよい。
この場合、切欠部Raの大きさ(すなわち導電膜21aがつながっている大きさ)を調整することにより、抵抗値を微調整することもでき、高精度の抵抗素子をより容易に形成することが可能である。特に、上記実施形態では、半導体装置121の表面近傍に抵抗素子Rが配置されるため、容易に抵抗値の微調整が可能である。
【0063】
また、上記実施形態で示した導電膜(抵抗素子)の材料は一例であり、その他にも例えば、Ag、Ni、Pd、Al、Cr、Ti、W、NiV等、または鉛フリーはんだ等の導電性材料等を用いることができる。この場合でも、複数の材料を用いて積層構造の導電膜を形成する際には、下層に位置する導電膜が上層に位置する導電膜よりも抵抗値が大きくなるように材料を選択することが好ましい。
材料の選択と組み合わせによっては、単なる得たい抵抗値を得られるばかりではなく、例えば、各材料が持つ抵抗−温度特性に着目し、それらを適宜組み合わせることで、得たい抵抗−温度特性を得ることもできる。
また、上述した導電膜20、21も本実施形態ではスパッタリングやメッキ法を用いて形成されているが、インクジェット法を用いてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、電子基板が半導体素子を有してなる半導体装置の例を用いたが、本発明に係る電子基板としては、必ずしも半導体素子が設けられている必要はなく、例えば半導体チップ等の外部デバイスの搭載領域(能動領域)に外部デバイスが搭載されていない非搭載状態のシリコン基板や、ガラス基板、セラミクス基板、有機基板、フィルム基板も含まれる。この場合、本発明に係る電子基板が、例えば半導体素子を有する回路基板等に、バンプ電極10を介して接続された構成であってもよいし、それらの基板に他の電子回路が組み込まれていても良い。それらは、液晶パネル、プラズマディスプレイ、水晶発振器等の電子デバイスであっても良い。
また、これらの実施形態では、形成された抵抗素子は、配線の一部を用いて形成されていれば良いので、必ずしも電子基板の電極に接続されていなくともよく、電極同士の接続のみに寄与し、外部電極や外部端子と接続されていなくとも良い。
また、電子機器においても、上記実施形態では、電気光学装置を備えた携帯電話を例示したが、必ずしも電気光学装置を備える必要はなく、電気光学装置を備えずに、上述した電子基板を備える電子機器も本発明に含まれる。
【0065】
さらに、本発明は、多層膜配線を用いた電子機器全般に適用可能である。例えば、温度変動に対する抵抗値の変動特性が逆の関係である導電膜を積層した配線パターンにも適用できる。例えば、図15に示すように、温度上昇に伴って抵抗値が増加する特性を有する材料(例えばRuO2)で形成された導電膜と、温度上昇に伴って抵抗値が減少する特性を有する材料(例えばTa2N)で形成された導電膜とを積層することにより、温度ドリフトをキャンセルできる配線パターンに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
CSP…パッケージ体(電子基板)、P…基板、R…抵抗素子、10…バンプ電極(接続端子)、20,21…導電膜(配線パターン)、20a,21a…導電膜(第1配線パターン)、20b,21b…導電膜(第2配線パターン)、22…レジスト層(マスク、樹脂材)、23…保護膜、24…電極パッド(電極部)、33…応力緩和層、44…封止材、100…液晶表示装置(電気光学装置)、121…半導体装置(電子基板)、1300…携帯電話(電子機器)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配線パターンが設けられた電子基板であって、
前記配線パターンの一部の配線諸元を、他の部分と異ならせて設けられた抵抗素子を有することを特徴とする電子基板。
【請求項2】
請求項1記載の電子基板において、
前記配線パターンは電極部と接続されることを特徴とする電子基板。
【請求項3】
請求項2記載の電子基板において、
前記配線パターンは、少なくとも一部が接続端子を形成していることを特徴とする電子基板。
【請求項4】
請求項3記載の電子基板において、
前記接続端子は、樹脂材をコアとして少なくとも頂部が前記配線パターンで覆われたバンプ電極で形成されることを特徴とする電子基板。
【請求項5】
請求項1記載の電子基板において、
前記配線パターンは電極部と接続され、少なくとも一部が外部端子に接続されていることを特徴とする電子基板。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の電子基板において、
前記抵抗素子は、前記配線パターンの一部の幅が前記他の部分の幅と異なることを特徴とする電子基板。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の電子基板において、
前記抵抗素子は、前記配線パターンの一部の厚さが前記他の部分の厚さと異なることを特徴とする電子基板。
【請求項8】
請求項7記載の電子基板において、
前記配線パターンは少なくとも2層で形成され、
前記抵抗素子は、前記配線パターンよりは少ない層数で形成されていることを特徴とする電子基板。
【請求項9】
請求項8記載の電子基板において、
前記配線パターンは、第1配線パターンと、前記第1配線パターンとは異なる材料で形成され前記第1配線パターン上に積層された第2配線パターンとを有し、
前記抵抗素子は、前記第2配線パターンの一部が除去された領域に形成されることを特徴とする電子基板。
【請求項10】
請求項9記載の電子基板において、
前記第1配線パターンは、前記第2配線パターンよりも抵抗値が大きい材料で形成されることを特徴とする電子基板。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の電子基板において、
前記抵抗素子は、応力緩和層上に形成されることを特徴とする電子基板。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の電子基板において、
前記抵抗素子が封止材で封止されることを特徴とする電子基板。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の電子基板において、
前記基板が半導体素子を有することを特徴とする電子基板。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載の電子基板において、
前記基板は、半導体素子が非搭載状態であることを特徴とする電子基板。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の電子基板が実装されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項16】
請求項1から14のいずれかに記載の電子基板、または請求項15記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項17】
基板上に配線パターンが設けられた電子基板の製造方法であって、
前記配線パターンの一部の配線諸元を、他の部分と異ならせて抵抗素子を形成する工程を有することを特徴とする電子基板の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の電子基板の製造方法において、
前記配線パターンを電極部と接続させることを特徴とする電子基板の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の電子基板の製造方法において、
前記配線パターンは、少なくとも一部が接続端子を形成していることを特徴とする電子基板の製造方法。
【請求項20】
請求項17記載の電子基板の製造方法において、
前記配線パターンは電極部と接続され、少なくとも一部が外部端子に接続されていることを特徴とする電子基板の製造方法。
【請求項21】
請求項17から20のいずれかに記載の電子基板の製造方法において、
前記配線パターンの一部を除去して前記抵抗素子を形成する工程を有することを特徴とする電子基板の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の電子基板の製造方法において、
前記配線パターンは、第1配線パターンと、前記第1配線パターンとは異なる材料で形成され前記第1配線パターン上に積層された第2配線パターンとを有し、
前記第2配線パターンの一部を除去して前記抵抗素子を形成することを特徴とする電子基板の製造方法。
【請求項23】
請求項22記載の電子基板の製造方法において、
前記第1配線パターンは、前記第2配線パターンよりも抵抗値が大きい材料で形成されることを特徴とする電子基板の製造方法。
【請求項24】
請求項21から23のいずれかに記載の電子基板の製造法において、
前記配線パターン上に保護膜を成膜する工程と、
前記配線パターンの一部に形成される接続端子及び前記抵抗素子を形成する領域の前記保護膜を剥離して開口部を形成する工程と、
前記開口部を介して前記配線パターンの一部を除去する工程とを備えることを特徴とする電子基板の製造方法。
【請求項25】
請求項17から24のいずれかに記載の電子基板の製造法において、
前記抵抗素子を封止材で封止する工程を有することを特徴とする電子基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−278120(P2009−278120A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162506(P2009−162506)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【分割の表示】特願2005−205464(P2005−205464)の分割
【原出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】