説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】複数の異なる配線箇所に単一のコンタクト電極を形成した構造を有する半導体装置において、製造歩留まりを向上させる。
【解決手段】半導体基板1の主面の第1方向Aに延在し、その主面上にゲート絶縁膜GZ1を介して形成され、側壁にサイドウォールスペーサ5を備えたゲート電極GE3と、その側方下部である第1部分Jに達するソース/ドレイン領域p1Jと、半導体基板1の主面を覆うようにして順に形成された、エッチング速度の異なる窒化シリコン膜6および酸化シリコン膜7を有する半導体装置であって、第1部分Jにおいて、ゲート電極GE3はサイドウォールスペーサ5に覆われておらず、ゲート電極GE3の上面、側面およびソース/ドレイン領域p1Jは、シリサイド層4Jによって覆われることで電気的に接続され、シリサイド層4Jにはノードコンタクト電極NC2が電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、複数の電界効果型トランジスタを接続して構成される半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高度な情報化社会の発展に伴い、半導体基板上に形成した複数の半導体素子を集積して機能的回路を構成した、演算用集積回路、記憶素子、および、それらを混載させたシステムオンチップ(SoC:System on Chip)といった半導体装置には、更なる高性能化の要求がなされている。
【0003】
従来、半導体装置の高性能化は、半導体基板上に集積するMIS(Metal Insulator Semiconductor)型電界効果型トランジスタなどの半導体素子の微細化による高集積化の実現により、達成されてきた。特に、回路構成が複雑になるに従い、個々の素子を結線する配線も同等またはそれ以上に複雑化し、微細加工技術、多層配線化技術の発展がそれを実現してきた。このような背景から、今後更なる高性能化を目的とした半導体装置の高集積化にとって、配線の簡略化が望まれている。
【0004】
ところで、スタティック型の記憶素子としての半導体装置であるSRAM(Static Random Access Memory)は、その書き込みおよび読み出しの高速性から、種々の演算装置などにおける主記憶装置として利用価値が高い。しかし、1bitの情報を記憶する1セルあたりに6素子を要することから、集積化には向かないとされ、現状では、記憶容量の要求が比較的低い箇所、または書き込み/読み出し速度が最優先である箇所への用途に限られている。このような半導体装置とって、本質的な回路構成を変更することなく高集積化を実現できる配線の簡略化が、特に強く要求されている。
【0005】
そこで、回路構成上同電位となり、半導体基板への配置上近接するノードと配線との接続を、同一のコンタクト電極によって共有して接続することで配線を簡略化する、所謂シェアードコンタクト(Shared Contact)技術が考案され、例えば、特開2007−27348号公報(特許文献1)や特開2004−165317号公報(特許文献2)などに開示されている。
【0006】
また、上記のシェアードコンタクト技術をSRAMに適用した技術が、特開2006−339480(特許文献3)などに開示されている。
【特許文献1】特開2007−27348号公報
【特許文献2】特開2004−165317号公報
【特許文献3】特開2006−339480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のようなシェアードコンタクト電極を有する半導体装置において、本発明者らは以下の課題を見出した。
【0008】
本発明者らは、SRAMの生産過程において、シェアードコンタクト電極を有するSoCの歩留まり低下の要因を、同プロセスで形成した試験用素子(TEG:Test Element Group)を用いて分析した。その結果、シェアードコンタクト電極部の欠陥に寄与するエラー率が高く、半導体装置の歩留まり低下の一要因となっていることが明らかとなった。更に本発明者らは、不良シェアードコンタクト電極部を詳しく解析したところ、以下に示す知見を得た。以下、図14,15を用いて説明する。
【0009】
本発明者らは、上記特許文献3に開示されている構造のSRAMに関して検討を行った。図14には、当該SRAMにおける要部(1セル分)平面図を示している。便宜上、導体膜による配線には斜線を付し、コンタクト電極部には十字対角線を付して示している。
【0010】
ここでは、実際の1セル分のSRAM素子と対比させて、その構成を簡単に説明する。スタティック型記憶素子であるSRAM回路は、半導体基板1上のp型ウェルpwおよびn型ウェルnwに形成された電界効果型トランジスタQn1〜Qn4,Qp1およびQp2により構成されている。n型ウェルnwを挟む左右のp型ウェルpwに形成され、ワードコンタクト電極WC1と接続したゲート電極GE1,GE4を有しているnチャネル型電界効果型トランジスタ(以下、単にn型トランジスタと記述)Qn1,Qn4は、回路構成上の対象性を考慮して等価である。これらは、データの読み出し、書き込みを制御するアクセストランジスタ(またはドライバトランジスタ)として機能する。
【0011】
上記とは別に、p型ウェルpwに形成されたn型トランジスタQn2,Qn3,およびn型ウェルnwに形成されたpチャネル型電界効果型トランジスタ(以下、単にp型トランジスタ)Qp1,Qp2が、スタティック(静的)にデータを保持する機能を有する所謂フリップフロップ回路を構成している。それぞれ、ソース/ドレイン領域n1,n2,p1,p2またはゲート電極GE2,GE3において、所望のコンタクト電極(例えば高電位線とのコンタクト電極HC1など)を有し、SRAM回路を構成している。
【0012】
ここで、n型ウェルnwに形成されたp型トランジスタQp2のゲート電極GE2は、回路構成上、もう一方のp型トランジスタQp1のソース/ドレイン領域p2と同電位となる。そして、本発明者らが検討した本構造の半導体装置では、当該ゲート電極GE2を第1方向Aに延在させ、更に、Aに交差する第2方向Bに延在させたソース/ドレイン領域p2の近傍まで延長させる、これらをシェアードコンタクト電極SC1で結線している。上記構成と回路構成上で対象等価である、p型トランジスタQp1のゲート電極GE3とp型トランジスタQp2のソース/ドレイン領域p1との間も、同様のシェアードコンタクト電極SC2により結線されている。これにより、コンタクト電極/配線構造を簡略化でき、集積化に有利であるという利点を得ている。一方で、本発明者らは、このシェアードコンタクト電極SC1,SC2の接続不良が、半導体装置の製造歩留まりの低下を招いているという課題を見出している。
【0013】
図15は、当該シェアードコンタクト電極SC1,SC2部の構成を詳細に説明するために示した、図14におけるa−a線の断面を矢印の方向に見た要部断面図である。
【0014】
半導体基板1上に形成したn型ウェルnwは、例えば酸化シリコン膜などの絶縁膜からなる溝形の分離部2で絶縁分離されている。半導体基板1の主面には、第1方向Aに延在するように、かつ、第2方向に距離を隔てて、複数のゲート電極GE2,GE3,GExが形成されている。それぞれは、例えば酸化シリコン膜などからなるゲート絶縁膜GZ1を、半導体基板1の主面との間に備えている。また、ゲート電極GE2,GE3,GExの側方下部にはp型の半導体領域からなるソース/ドレイン領域p1が形成されている。そして、各電極に接続をとるコンタクト電極HC1,SC2が形成されている。ここで、上記コンタクト電極HC1,SC2のようなコンタクト電極と、正常なオーミック接続を形成するために、一般的に、トランジスタを構成するソース/ドレイン領域p1およびゲート電極GE2,GE3の表面には、シリコンと金属原子の化合物であるシリサイド層4が形成されている。
【0015】
また、ソース/ドレイン領域p1上とゲート電極GE2〜GEx上との上記シリサイド層4を絶縁分離するために、各ゲート電極GE2〜GExの側壁には、例えば酸化シリコン膜などからなるサイドウォールスペーサ5を備えている。
【0016】
本発明者らが検討した手法によれば、コンタクト電極HC1,SC2などは、エッチング速度の異なる2種類の絶縁膜(ここでは、窒化シリコン膜6および酸化シリコン膜7)を利用する、所謂SAC(Self Align Contact)技術により、コンタクト電極用の溝を形成する。このとき、シェアードコンタクト電極SC2の形成において、以下に示す課題を、本発明者らが見出した。
【0017】
即ち、メモリセル縮小のために、コンタクト電極の平面サイズは可能な限り小さく設計することが望ましいが、シェアードコンタクト電極SC2の平面サイズは、小さくし難いという点である。これは、SACプロセスにおいて、シェアードコンタクト電極SC2のサイズが小さいと、側壁絶縁膜5や、合わせ誤差の影響で、シェアードコンタクト電極SC2とソース/ドレイン領域p1Jに形成したシリサイド層4Jの接触面積が小さくなり、抵抗増大や、接触不良を起こしやすくなるためである。実際に本発明者らは、上述のTEG試験により、シェアードコンタクト電極SC1などにおいて、抵抗増大、接触不良などの現象が発生しやすいことを確認している。これらは結果として、半導体装置の製造歩留まりを妨げる原因となっている。このように、配線構造を簡略化することで半導体記憶素子の高集積化を実現するという目的から本発明者らが導入を検討したシェアードコンタクト技術において、平面サイズの縮小と製造歩留まりの向上とがトレードオフの関係にあるという課題が見出されたのである。
【0018】
そこで、本発明の目的は、複数の異なる配線箇所に単一のコンタクト電極を形成した構造を有する半導体装置において、製造歩留まりを向上させる技術を提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0021】
即ち、半導体基板の主面の第1方向に延在し、半導体基板の主面上に第1絶縁膜を介して形成され、側壁に第2絶縁膜を備えた第1導体膜と、第1導体膜の側方下部である第1部分に達する半導体領域と、半導体基板の主面を覆うようにして順に形成された、エッチング速度の異なる第3絶縁膜および第4絶縁膜を有する半導体装置であって、第1部分において、第1導体膜は第2絶縁膜に覆われておらず、第1導体膜の上面、側面および半導体領域は、第2導体膜によって覆われることで電気的に接続され、第2導体膜には第3導体膜による導電部が電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0023】
即ち、複数の異なる配線箇所に単一のコンタクト電極を形成した構造を有する半導体装置において、製造歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態1では、配線の簡略化を目的として、複数の異なる配線箇所に単一のコンタクト電極を形成した構造を有する半導体装置としてのSRAMにおいて、その製造歩留まりを向上させる技術を例示する。
【0026】
図1には、本実施の形態1において例示するSRAMにおいて、1bitの情報を保持する1セルの平面図を示したものである。これを用いて、本実施の形態1で例示するSRAMセルの基本的な回路構成を説明する。当該平面図には、便宜上、導体膜による配線には斜線を付し、コンタクト電極部には十字対角線を付して示している。
【0027】
一般的にSRAM素子1セルは、デジタル入力に対して論理否定を出力するような回路構成を2つ用い、互いの入力ノードと出力ノードとを接続することで、入力情報を静的(スタティック)に保持する機能を有する所謂フリップフロップ回路から成る。即ち、現状の多くの半導体装置を構成する集積回路の論理構成と同様、相補(complementary)的に電界効果トランジスタを用いるものである。従って、半導体基板1上には、nチャネル型電界効果型トランジスタ(以下、単にn型トランジスタ)、pチャネル型電界効果型トランジスタ(以下、単にp型トランジスタ)の両極性のトランジスタを1セル内に形成する必要がある。
【0028】
n型トランジスタはp型ウェル内に、p型トランジスタはn型ウェル内に形成される。ここで、ウェルとは、半導体基板1の主面に形成され、電界効果型トランジスタをはじめとする種々の半導体素子を作り込むために形成された拡散領域である。また、多数キャリアが電子である半導体領域または箇所をn型、同正孔(ホール)である半導体領域または箇所をp型と記している。本実施の形態1において、半導体基板1とは、例えば単結晶シリコンを母材とするp型半導体材料を用いるものとする。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態1で例示するSRAMセルにおいて、nチャネル/pチャネル両極性のトランジスタを相補的に用いる必要があることから、半導体基板1の主面にはp型ウェルpwおよびn型ウェルnwが第1方向Aに沿って交互に形成されている。そして、各ウェルpw,nwには、複数の電界効果型トランジスタQn1〜Qn4,Qp1(第1電解効果型トランジスタ),Qp2(第2電解効果型トランジスタ)が形成されている。
【0030】
本実施の形態1で例示する電界効果型トランジスタQn1〜Qn4,Qp1,Qp2の基本的な構成を以下で詳しく説明する。
【0031】
はじめに、半導体基板1の第1方向Aに延在する第1導体膜をゲート電極GE1〜GE4としている。ゲート電極GE1〜GE4としての第1導体膜は、例えば多結晶シリコンを主体とする導体膜を用いるものとする。後に断面図を用いて詳細を説明するように、ゲート電極GE1〜GE4と半導体基板1との間には、ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)GZ1が形成されている。
【0032】
次に、上記の第1方向Aに交差する方向である第2方向Bに延在する半導体領域を、ソース/ドレイン領域n1,n2,p1,p2としている。特に、p型ウェルpwに形成されるn型トランジスタQn1〜Qn4はn型半導体領域によるソース/ドレイン領域n1,n2を有し、n型ウェルnwに形成されるp型トランジスタQp1,Qp2はp型半導体領域によるソース/ドレイン領域p1,p2を有している。上記のゲート電極GE1〜GE4およびソース/ドレイン領域n1,n2,p1,p2を3端子として、電界効果型トランジスタが構成されている。
【0033】
以下では、SRAMを構成する個々のトランジスタQn1〜Qn4,Qp1,Qp2の機能について、詳しく説明する。
【0034】
ここで、n型ウェルnwの両脇に形成されたp型ウェルpw内の構成は、回路構成上の対象性を考慮すれば、左右のp型ウェルpwにおいて同等のものである。まず、p型ウェルpw内に形成されたn型トランジスタQn1〜Qn4に関して説明する。これらのうち、ワード線に結線されるワードコンタクト電極WC1に電気的に接続したゲート電極GE1またはGE4を有しているn型トランジスタQn1,Qn4がある。これらは、SRAMにおけるデータ保持領域へのデータ読み出し、書き込みを制御するアクセストランジスタまたはドライバトランジスタとして機能する。各ソースドレイン領域n1,n2は、ビット線に結線されるビットコンタクト電極BC1およびノードコンタクト電極NC1と電気的に接続されている。
【0035】
p型ウェルpwに形成されたもう一方のn型トランジスタQn2またはQn3は、それぞれn型トランジスタQn1またはQn4と、ソース/ドレイン領域n1またはn2を共有することで、電気的に接続されている。当該n型トランジスタQn2またはQn3は、片方のソース/ドレイン領域n1またはn2において、回路全体にかかる低電位(主に接地)側の定電圧に接続する低電位コンタクト電極LC1と電気的に接続されている。
【0036】
また、上記の低電位コンタクト電極LC1を有するn型トランジスタQn2,Qn3と、第1方向Aに延在するゲート電極GE2,GE3を共有するようにして、極性が逆であるp型トランジスタQp1,Qp2が、n型半導体領域に形成されている。即ち、これら2組の極性の異なる電界効果トランジスタ(Qn2とQp2,および、Qn3とQp1)がゲート電極(それぞれGE2およびGE3)を共有して接続されることで、ゲート入力に対して論理否定を出力するような相補的な回路構成を2つ、半導体基板1上のSRAM素子1セル内に実現しているのである。p型トランジスタQp1,Qp2のソース/ドレイン領域p2,p1の一方は、回路全体にかかる高電位(主に電源電圧)側の定電圧に接続する高電位コンタクト電極HC1と電気的に接続されている。
【0037】
そして、これらにデータ保持を行わせるために、片方の相補的回路構成の入力となるゲート電極GE2(またはGE3)と、出力となるノードを接続することで、上記2組の相補的回路構成は入力データを静的に保持し得る。
【0038】
ここで、SRAMの回路機能の定性的な解釈として、高電位コンタクト電極HC1に接続されたp型トランジスタQp1,Qp2を負荷素子として見ることができる。そして、高電位コンタクト電極HC1から、負荷であるp型トランジスタQp1,Qp2を経由して電圧降下したノードが出力ノードとなる。即ち、n型トランジスタQn3とp型トランジスタQp1とからなる相補的回路構成を基準に見た場合、共通ゲート電極GE3(入力ノード)と、p型トランジスタQp2(負荷)において、高電位コンタクト電極HC1とは接続していない側のソース/ドレイン領域p1(出力ノード)とを電気的に接続することで、データを静的に保持する回路構成を実現することができる。
【0039】
このとき、上述のように、本実施の形態1において例示するSRAM素子の半導体基板1上における配列は、ゲート電極GE1〜GE4を第1方向Aに延在させ、ソース/ドレイン領域n1,n2,p1,p2を第1方向Aと交差する第2方向Bに延在させるという特徴を持っている。従って、電気的に接続させたいゲート電極GE3とp型ソース/ドレイン領域p1とを近接させ、接続する第1部分Jを設けることは構造上容易である。
【0040】
ここで、本発明者らが検討した手法(図14,図15参照)によれば、第2方向Bに延在するp型ソース/ドレイン領域p1である半導体領域を、ゲート電極GE3の側方下部にまで到達させるように形成し、シェアードコンタクト電極SC2により結線している。しかし、本発明者らの更なる検討によれば、側壁絶縁膜を有するゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1とを跨ぐシェアードコンタクト電極SC2では、抵抗増大や接触不良を招きやすく、歩留まりの低下を招くということが分かっている。
【0041】
そこで、本実施の形態1で例示する構造のSRAMセルでは、上記第1部分Jにおいて、ゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1とを電気的に接続させる構成を、以下で詳しく説明する。
【0042】
第1方向Aに延在するゲート電極GE3と、第2方向Bに延在するソース/ドレイン領域p1とを接続させる第1部分J付近の構成を説明するために、図1におけるa−a線の断面図を矢印の方向に見た要部断面図を図2に示す。
【0043】
半導体基板1の主面に形成されたn型ウェルnwは、例えば酸化シリコン膜などを主体とした絶縁膜よりなる溝型の分離部2により絶縁分離された活性領域3を形成している。この活性領域3に、所望の半導体素子が形成されている。本実施の形態1において、分離部2として溝型の所謂STI(Shallow Trench Isolation)としたが、フィールド酸化膜構造でも良い。
【0044】
活性領域3には、第1方向Aに延在し、第2方向Bに距離を隔てるようにして、第1絶縁膜よりなるゲート絶縁膜GZ1を介して、第1導体膜からなる複数のゲート電極GE2,GE3,GExが形成されている。ゲート絶縁膜GZ1を形成する第1絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜などを用いるものとする。また、ゲート電極GE2,GE3,GExを形成する第1導体膜としては、例えば、多結晶シリコン膜などを用いるものとする。図中端部に位置するゲート電極GExは、SRAM素子1セルには関与しないトランジスタを構成するものであって、図1では省略している。
【0045】
同じく活性領域3には、ゲート電極GE2,GE3,GExの側方下部の半導体基板1の主面に、p型半導体領域であるソース/ドレイン領域p1が形成されている。ここで、微細化された電界効果型トランジスタのチャネルにキャリアを供給するソース/ドレインは、デザインルールに則り、コンタクト電極と直接接続するソース/ドレイン領域p1よりも濃度が薄く、より浅い接合が要求される。そのため、実際の電界効果型トランジスタでは、チャネル領域近傍まで、ソース/ドレイン領域p1から延びるようにして、濃度が薄く、接合の浅いp型半導体領域である、所謂エクステンション領域p11を有している。
【0046】
上記のような、ゲート絶縁膜GZ1を介して形成されたゲート電極GE2,GE3,GExと、エクステンション領域p11を有するソース/ドレイン領域p1とにより、p型トランジスタQp2,Qpxが形成されている。p型トランジスタQpxは、SRAM素子1セルの構成には関与しておらず、図1では省略している。各電極GE2,GE3,GEx,または、ソース/ドレイン領域p1それぞれの表面には、コンタクト電極(後に詳細を説明)と正常なオーミックコンタクトを、形成するためのシリサイド層4が形成されている。シリサイド層4とは、例えば、コバルト(Co)やタングステン(W),または、ニッケル(Ni)などの金属と、シリコン(Si)との化合物層である、コバルトシリサイド、タングステンシリサイド、または、ニッケルシリサイドなどとする。
【0047】
各ゲート電極GE2,GE3,GExは側壁を覆うようにして、サイドウォールスペーサ(第2絶縁膜)5を有している。ここで、本実施の形態1で例示するサイドウォールスペーサ5は、2層の酸化シリコン膜51,52としているが、形成段階が異なるだけで、質的な違いは無い。構成としては、ゲート電極GE2,GE3,GExが絶縁膜で覆われていることが必要であって、本実施の形態1による効果は、2層の酸化シリコン膜51,52によって限定されるものでは無く、酸化シリコン膜52のみで形成しても良く、酸化シリコン膜51と窒化シリコン膜52で形成しても良く、あるいは3層以上の絶縁膜で形成しても良い。
【0048】
本実施の形態1においては、SRAMにおける一方の相補的構成回路のn型/p型トランジスタ(Qn3とQp1)の共通入力ノードであるゲート電極GE3と、もう一方の相補的構成回路のn型/p型トランジスタ(Qn2とQp2)の出力ノードである、p型トランジスタのソース/ドレイン領域p1Jとを、電気的に接続するために、前述のシリサイド層4Jを用いていることにある。
【0049】
まず、ソース/ドレイン領域p1Jが、延在する第2方向Bにおいて、ゲート電極GE3の側方下部である第1部分Jにまで達している。更に、この第1部分Jにおいてゲート電極GE3の側壁には、サイドウォールスペーサ5が形成されていない。そして、シリコンを母材として形成されているゲート電極GE3の上面、および、前述のサイドウォールスペーサ5が形成されていない第1部分Jにおける側面、更に、同じくシリコンを母材として形成されており、第1部分Jにおいてゲート電極GE3の側方下部に達しているソース/ドレイン領域p1Jの上面のそれぞれが、シリサイド層(第2導体膜)4Jによって一体的に覆われている。このシリサイド層4Jは、ゲート電極GE3およびソース/ドレイン領域p1Jを電気的に接続している。
【0050】
主面に上記の様な構成を有する半導体基板1は、順に、窒化シリコン膜(第3絶縁膜)6,酸化シリコン膜(第4絶縁膜)7,酸化シリコン膜8,および、キャップ絶縁膜9によって覆われている。ここで、下層の窒化シリコン膜6および酸化シリコン膜7は、それぞれ特定のエッチング工程に対し、そのエッチング速度が大きく異なるものを選ぶことが、本実施の形態1において重要な構成要件であり、この範囲内で、材料が限定されるものではない。その理由に関しては、後の製造方法において詳細を説明する。
【0051】
そして、これらの絶縁膜6〜9を貫通するようにして、第3導体膜によるコンタクト電極(導電部)HC1,NC2が、シリサイド層4,4Jに電気的に接続されている。第3導体膜として、例えば、タングステン(W)などを主体とする金属膜を用いるものとする。特に、p型トランジスタQp2のソース/ドレイン領域p1を覆うシリサイド層4には、例えば電源電圧などに接続している高電位コンタクト電極HC1が形成され、ゲート電極GE3からソース/ドレイン領域p1Jまでを覆うシリサイド層4Jには、例えばアクセストランジスタであるn型トランジスタQn1へのノードコンタクト電極NC1と接続されるノードコンタクト電極NC2が形成されている。
【0052】
このように、ゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1Jとをシリサイド層4Jによって、直接、電気的に接続されている。従って、シリサイド層4Jのいずれかの領域に正常にノードコンタクト電極NC2を形成することができていれば、そのゲート電極GE3およびソース/ドレイン領域p1Jまでを導通させることができる。即ち、本発明者が検討した手法のように、サイドウォールスペーサ5によって隔てられたゲート電極上面と、ソースドレイン領域に跨るようにシェアードコンタクト電極を形成する必要が無い。その結果、シェアードコンタクト電極を用いた場合に問題となった接触不良などが起こり難く、複数の異なる配線箇所に単一のコンタクト電極を形成した構造を有する半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0053】
次に、本実施の形態1で例示した構造のSRAM素子に関して、その製造方法を説明する。特に、上記第1部分Jにおいて、ゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1Jとを電気的に直接接続するシリサイド層4Jを形成する工程に特徴があり、詳しく説明する。このとき、電界効果トランジスタの製造方法などは通常知られた方法を用いており、ここでの細かい説明は省略する。
【0054】
図3〜図12は、本実施の形態1で製造方法を例示するSRAMにおいて、特に要部に関してその工程中における断面図を示したものであり、上記図1におけるa−a線の断面と同等の箇所である。
【0055】
はじめに、図3に示すように、p型である半導体基板1の主面に、通常知られた方法により、例えば酸化シリコン膜などを主体とした絶縁膜よりなるSTI構造の分離部2を形成する。その後、所望の領域に、例えばイオン注入法などにより不純物元素を導入することで、n型ウェルnwを形成し、この分離部2により絶縁分離された領域を活性領域3とする。
【0056】
その後、例えば熱酸化法などにより、後のゲート絶縁膜(第1絶縁膜)GZ1として、例えば酸化シリコン膜などを形成する。その後、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法などにより、後のゲート電極(第1導体膜)GE2,GE3,GExとして、例えば多結晶シリコン膜などを形成する。その後、半導体基板1主面の、第1方向Aに延在し、かつ、第1方向Aと交差する第2方向Bに距離を隔てて配列するような形状に、第1導体膜および第1絶縁膜を加工することで、ゲート電極GE2,GE3,GEx,および、ゲート絶縁膜GZ1をパターニングする。ここでは、フォトレジスト膜を堆積し(図示しない)、所望のマスクパターンを用いて露光を施し、その後現像を行い、残ったフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、例えば異方性エッチングを施すといった、一連の通常知られたフォトリソグラフィー工程によって、前述の堆積膜を加工する。
【0057】
その後、例えばイオン注入法などにより、前工程までに形成しているゲート電極GE2,GE3,GExをイオン注入マスクとして、半導体基板1の主面が露出した箇所にp型の不純物を導入する。これは、後に電界効果トランジスタのソース/ドレイン領域から、チャネル層にキャリアを注入するための浅い接合である所謂エクステンション領域p11となる。注入濃度は、後に形成する電界効果トランジスタに要求される電気特性によって決まり、一般的にソース/ドレイン領域としてのp型領域よりも薄い濃度となる。その後、半導体基板1の主面に形成した前述の構造を、例えばCVD法などにより酸化シリコン膜51などで覆う。
【0058】
次に、図4に示すように、前工程までに形成したゲート電極GE2,GE3,GExなどを完全に覆う程度の厚さの酸化シリコン膜52などを、例えばCVD法などにより形成する。その後、半導体基板1の主面を覆う酸化シリコン膜52,51をエッチバックすることで、ゲート電極GE2,GE3,GExの側壁を覆うような形状のサイドウォールスペーサ(第2絶縁膜)5を形成する。
【0059】
本実施の形態1で例示する半導体装置の製造方法においては、サイドウォールスペーサ5の一部を選択的に除去する。特に、配線を接合するために形成しているゲート電極GE3の側壁であって、後にゲート電極GE2を有するトランジスタのソース/ドレイン領域と電気的に接続させたい第1部分Jを覆うサイドウォールスペーサ5を選択的に除去する。ここでは、半導体基板1の主面にフォトレジスト膜R1を塗布し、通常知られたフォトリソグラフィー法によって、第1部分Jを露出させるように、フォトレジスト膜R1を加工する。その後、図5に示すように、フォトレジスト膜R1をエッチングマスクとして露出した部分のサイドウォールスペーサ5を選択的に除去する。
【0060】
ここで、本実施の形態1で例示する半導体装置の製造方法においては、サイドウォールスペーサ5を除去した第1部分Jのゲート電極GE3下のゲート絶縁膜GZ1を部分的に除去しておく。図6には、第1部分Jを拡大させた要部断面図を示している。このように、サイドウォールスペーサ5を除去した箇所のゲート電極GE3の縁から後退させるようにして、部分的にゲート絶縁膜GZ1を除去する。これは、後に形成するシリサイド層による、ゲート電極GE3とその側方下部のソース/ドレイン領域との電気的接続を妨げないようにするためであり、その具体的な構成や効果に関しては、後に図8を用いて詳細に説明する。
【0061】
続いて、図7に示すように、例えばイオン注入法などにより、ゲート電極GE2,GE3,GEx,および、その側壁を覆うサイドウォールスペーサ5をイオン注入マスクとして、露出した領域の半導体基板1の主面にp型不純物を導入する。これにより、ソース/ドレイン領域p1が形成され、p型トランジスタQp2,Qpxの基本的な構成が完成することになる。ソース/ドレイン領域p1は、後に形成するコンタクト電極との電気的接続のために、前述のエクステンション領域p11よりも深い接合、濃い不純物濃度であるように形成される。
【0062】
このとき、ゲート電極GE2,GE3,GExの上面、ゲート電極GE3の側面、および、ソース/ドレイン領域p1は、半導体基板1の主面で露出していることになる。また、これらゲート電極GE2,GE3,GEx,ソース/ドレイン領域p1は、前述のように、シリコンを主体とした材料で形成されている。そこで、本工程では、前記露出した領域にシリサイド層4を形成する。その方法は、半導体基板1の主面に、例えばスパッタリング法などにより、CoやWまたはNiなどの金属膜を堆積し、その後熱処理を施すことでシリコンと金属との界面でシリサイド化させ、所望の厚さとなった後、余分な金属膜を除去し、シリサイド層4を形成する。
【0063】
ここで、本実施の形態1で例示する半導体装置の製造方法において特徴的なのは、ゲート電極GE3と、その側方下の第1部分Jに達しているソース/ドレイン領域p1Jに形成するシリサイド層4Jの構成である。図8に、当該第1部分J付近を拡大した要部断面図を示している。前工程により、ソース/ドレイン領域p1Jとゲート電極GE3の境界領域に位置するゲート電極GE3下のゲート絶縁膜GZ1を、ゲート電極GE3から見て、一部後退させている。これにより、シリサイド層4Jは第1部分Jにおいていかなる絶縁膜にも妨げられることなく、正常な電気的接続を実現することができる。従って、SRAM素子の中で同電位となるゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1Jとを、直接、電気的に接続することが可能となる。結果として、接触不良などを起こしやすいシェアードコンタクト電極などを用いる必要がなく、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0064】
ここで、上記の効果を正常に得るための、第1部分Jにおけるゲート絶縁膜GZ1の除去量は、以下の条件に基づく。即ち、シリサイド層4Jを形成する前のゲート電極GE3の縁から見たゲート絶縁膜GZ1の後退量kが、後に形成するシリサイド層4Jの膜厚tの半分以上の長さとなるように、ゲート絶縁膜GZ1を選択的に除去する。なぜなら、本発明者らの検討により、熱処理により形成されるシリサイド層4Jは、元のシリコン層の表面(ここではゲート電極GE3の側表面)から見て、上下方に、ほぼ同じ量だけシリサイド化されることが明らかになっているからである。即ち、形成されるシリサイド層4Jの膜厚tの半分は、ゲート電極GE3の側表面から内側に侵入して形成される領域であり、ゲート絶縁膜GZ1の後退量kはシリサイド層4Jの膜厚tの半分の長さ以上であれば、シリサイド層4Jはその電気的導通をゲート絶縁膜GZ1に妨げられることがない。また、シリサイド層4J自体の正常な電気的導通のためには、シリサイド層4Jの膜厚tが、ゲート絶縁膜GZ1の膜厚toxよりも厚いことが望ましい。また、シリサイド層4Jは半導体基板1上でソース/ドレイン領域p1Jの範囲内に形成すべきことは、リーク電流防止などからいうまでもない。
【0065】
また、第1部分Jにおいてゲート絶縁膜GZ1を除去する工程は、ゲート電極GE3の側壁のサイドウォールスペーサ5を部分的に除去した後、シリサイド層4,4Jを形成する前までに行う。例えば、前述のサイドウォールスペーサ5を局所的に除去する工程の際でも良いし、シリサイド層4,4Jを形成する前の半導体基板1を洗浄する工程の際でも良い。
【0066】
その後、図9に示すように、半導体基板1の主面に、窒化シリコン膜(第3絶縁膜)6、酸化シリコン膜(第4絶縁膜)7、酸化シリコン膜8、および、キャップ絶縁膜9を順に、例えばCVD法などによって形成する。ここで、下層である窒化シリコン膜6と酸化シリコン膜7の積層構造は、自己整合的にコンタクト電極を形成する際に有意であり、後に詳細を説明する。続いて、フォトレジスト膜R2を塗布し、コンタクト電極を形成すべき箇所のみを露出させるように、フォトリソグラフィー法によって加工する。
【0067】
続いて、図10に示すように、フォトレジスト膜R2をエッチングマスクとして、前工程で形成した積層絶縁膜のうち、キャップ絶縁膜9、酸化シリコン膜8、酸化シリコン膜7までを選択的に除去することで、後にコンタクト電極を形成することになる孔H1,H2を穿孔する。ここでは、特に酸化シリコン膜に対してエッチング速度が速く、窒化シリコン膜に対してエッチング速度が遅いような条件を適用することで、最下層の窒化シリコン膜6において、事実上エッチングがストップする。
【0068】
その後、図11に示すように、窒化シリコン膜に対して速いエッチング速度を持つ条件で、孔H1,H2の底に露出した窒化シリコン膜6を除去する。その後、フォトレジスト膜R2を除去する。これにより、コンタクト電極を形成したい箇所のシリサイド層4,4Jに通じる孔H1,H2を形成することができる。以上に示したように、エッチング速度の異なる2種類の絶縁膜を用いることで、自己整合的にコンタクトホールを形成する、所謂SAC法により、微細な箇所へも孔を穿孔することが可能となる。
【0069】
続いて、図12に示すように、孔H1,H2を埋め込むように、例えばWなどを堆積し、孔H1,H2外部のWを除去することで、p型トランジスタQp2のソース/ドレイン領域p1に電気的に接続する高電位コンタクト電極HC1,および、ゲート電極GE3の上面に電気的に接続するノードコンタクト電極(第3導体膜)NC2を形成することができる。その後は、所望の配線層を形成していくことになる。
【0070】
上記のように、本実施の形態1で例示した半導体装置に係る技術では、異なる箇所の配線である、ゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1Jとを、シリサイド層4Jによって覆うことで、電気的な接続を実現した。これにより、接触不良などの課題を有していたシェアードコンタクト電極を用いずに、通常のコンタクト電極により、電位共通部分への電気的な接続が可能になる。結果として、本実施の形態1で例示した手法によれば、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0071】
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、ゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1Jとの電気的接続を、シェアードコンタクト電極ではなく、シリサイド層4Jによって実現する手法を例示した。このとき、SRAM回路における電位共通部分への電気的接続を通常のコンタクト電極によるものとすることが可能となる例を示した。
【0072】
一方、本実施の形態2では、シリサイド層4Jによって一体的な電気的接続を可能とした箇所に、シェアードコンタクト電極を形成する技術を例示する。
【0073】
本実施の形態2で例示するSRAMセルは、上記実施の形態1で図1を用いて説明した構造のSRAMセルとその基本的な構成は同様のものであり、ここでの詳細な説明は省略する。図13には、上記実施の形態1と同様、図1におけるa−a線に該当する要部の断面図を示した。
【0074】
本実施の形態2においては、ゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1Jとを接続しているシリサイド層4Jへのコンタクト電極の、異なる構造を例示する。当該コンタクト電極は、ゲート電極GE3とソース/ドレイン領域p1Jとを跨ぐ領域に形成される、所謂シェアードコンタクト電極SC3である。
【0075】
本実施の形態2で例示する技術では、ゲート電極GE3の側壁のサイドウォールスペーサ5を部分的に除去しており、その領域にシェアードコンタクト電極SC3を形成している。従って、本発明者らが検討した技術に比べ、接触面積の縮小による抵抗値の増大や接触不良などを引き起こす可能性が低く、むしろ、シェアードコンタクト電極SC3とすることで、より広い面積でシリサイド層4Jに電気的な接続を設けることができるようになる。結果として、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0076】
また、従来用いていたシェアードコンタクト電極SC3を同様の箇所で用いれば、本実施の形態2におけるコンタクト電極形成過程で、新たな素子配置、回路設計などを導入することなく、これまでの製造工程を用いて、歩留まりの高い半導体装置の製造工程とすることができる。
【0077】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータやモバイル機器等において、情報処理を行うために必要な半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部平面図である。
【図2】図1に示した平面図のa−a線における断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図6】図5に示した断面図を拡大した要部断面図である。
【図7】図5に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図8】図7に示した断面図を拡大した要部断面図である。
【図9】図7に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図13】本発明の他の実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【図14】本発明者らが検討した半導体装置の要部平面図である。
【図15】図14に示した平面図のa−a線における断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 半導体基板
2 分離部
3 活性領域
4 シリサイド層
4J シリサイド層(第2導体膜)
5 サイドウォールスペーサ(第2絶縁膜)
51,52 酸化シリコン膜
6 窒化シリコン膜(第3絶縁膜)
7 酸化シリコン膜(第4絶縁膜)
8 酸化シリコン膜
9 キャップ絶縁膜
A 第1方向
B 第2方向
pw p型ウェル
nw n型ウェル
Qn1〜Qn4 n型電界効果型トランジスタ
Qp1 p型電界効果型トランジスタ(第1電界効果型トランジスタ)
Qp2 p型電界効果型トランジスタ(第2電界効果型トランジスタ)
Qpx p型電界効果型トランジスタ
J 第1部分
GE1〜GE4,GEx ゲート電極(第1導体膜)
GZ1 ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)
WC1 ワードコンタクト電極
BC1 ビットコンタクト電極
NC1,NC2 ノードコンタクト電極(第3導体膜)
LC1 低電位コンタクト電極
HC1 高電位コンタクト電極
SC1〜SC3 シェアードコンタクト電極
n1,n2,p1,p1J,p2 ソース/ドレイン領域(半導体領域)
k ゲート絶縁膜の後退量
t シリサイド層の膜厚
ox ゲート絶縁膜の膜厚
p11 エクステンション領域
R1,R2 フォトレジスト膜
H1,H2 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板の主面の第1方向に延在するように、第1絶縁膜を介して形成された第1導体膜と、
(b)前記半導体基板の主面において、前記第1導体膜の側壁下部に達するように形成された半導体領域と、
(c)前記第1導体膜の側壁において、前記半導体領域が達する第1部分を除く部分に設けられた第2絶縁膜と、
(d)前記半導体領域の上面と、前記第1導体膜において、前記第1部分の側壁部分およびその側壁部分に隣接する上面部分とを覆い、前記半導体領域と前記第1導体膜のパターンとを電気的に接続する第2導体膜と、
(e)前記半導体基板の主面上に、前記第1導体膜および前記第2絶縁膜を覆うように順に堆積され、同一エッチング条件に対するエッチング速度が異なる第3絶縁膜および第4絶縁膜と、
(f)前記第3、第4絶縁膜に前記第2導体膜に達するように穿孔された孔と、
(g)前記孔内に埋め込まれ、前記第2導体膜に電気的に接続された第3導体膜とを有し、
前記第3導体膜は、前記第2導体膜のうち、前記第1導体膜の上面、前記半導体領域の上面またはそれらに跨る領域のいずれかの箇所で電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1導体膜は、延在する前記第1方向のいずれかの部分において、第1電界効果型トランジスタのゲート電極を兼ねており、
前記半導体領域は、第2電界効果型トランジスタのソース/ドレイン領域を兼ねており、
前記第1電界効果型トランジスタ、および、前記第2電界効果型トランジスタは、スタティック型半導体記憶素子を構成する要素であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
(a)半導体基板の主面上に、第1絶縁膜および第1導体膜を順に形成する工程と、
(b)前記半導体基板の主面の第1方向に延在するような形状に、前記第1導体膜および前記第1絶縁膜を加工する工程と、
(c)前記第1導体膜の側壁を覆うように第2絶縁膜を形成する工程と、
(d)前記(c)工程で形成した前記第2絶縁膜の一部を選択的に除去する工程と、
(e)前記第1導体膜および前記第2絶縁膜に覆われていない領域に不純物を導入することで、半導体領域を形成する工程と、
(f)前記(d)工程により、前記第2絶縁膜を除去した箇所の前記第1導体膜の側面、前記第1導体膜の上面、および、前記半導体領域の表面を覆うように、かつ、前記第1導体膜および前記半導体領域と電気的に接続するように、第2導体膜を形成する工程と、
(g)前記半導体基板の主面を覆うように、エッチング速度の異なる第3絶縁膜と第4絶縁膜とを順に形成する工程と、
(h)前記第4絶縁膜および前記第3絶縁膜を順にエッチングすることで、前記第2導体膜を露出させる孔を穿孔した後、前記孔内に、前記第2導体膜と電気的に接続される第3導体膜を形成する工程とを有し、
前記(h)工程により形成する前記第3導体膜は、前記第2導体膜のうち、前記第1導体膜の上面、前記半導体領域、または、それらに跨る領域のいずれかの箇所で電気的に接続するように形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
(i)前記(d)工程終了後、前記(f)工程に至る前に、前記(d)工程において前記第2絶縁膜を除去した箇所における前記第1導体膜下の前記第1絶縁膜を、前記第1導体膜の縁からみて、前記(f)工程で形成する前記第2導体膜の膜厚の半分以上の長さ分だけ後退させるように、選択的に除去する工程とを有し、
前記(f)工程で形成する前記第2導体膜の膜厚は、前記(a)工程で形成した前記第1絶縁膜の膜厚よりも厚いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導体膜は、延在する前記第1方向のいずれかの部分において、第1電界効果型トランジスタのゲート電極を兼ねるように形成され、
前記半導体領域は、第2電界効果型トランジスタのソース/ドレイン領域を兼ねるように形成され、
前記第1電界効果型トランジスタ、および、前記第2電界効果型トランジスタは、スタティック型半導体記憶素子を構成する要素となるように形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−16448(P2009−16448A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174339(P2007−174339)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】