説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】スプリットゲート型の不揮発性メモリのメモリゲート電極MGとp型ウエルPW1との間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間には、絶縁膜5が形成されている。この絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面と半導体基板1の上面との間の部分は、酸化シリコン膜9a,9bと酸化シリコン膜9a,9bに挟まれた窒化シリコン膜10aとを有している。絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面とメモリゲート電極MGの側面との間の部分は、酸化シリコン膜6aからなり、窒化シリコン膜10aを有していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、不揮発性メモリを有する半導体装置およびその製造方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に書込・消去が可能な不揮発性半導体記憶装置として、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)が広く使用されている。現在広く用いられているフラッシュメモリに代表されるこれらの記憶装置(メモリ)は、MISFETのゲート電極下に、酸化膜で囲まれた導電性の浮遊ゲート電極やトラップ性絶縁膜を有しており、浮遊ゲートやトラップ性絶縁膜での電荷蓄積状態を記憶情報とし、それをトランジスタの閾値として読み出すものである。このトラップ性絶縁膜とは、電荷の蓄積可能な絶縁膜をいい、一例として、窒化シリコン膜などがあげられる。このような電荷蓄積領域への電荷の注入・放出によってMISFETのしきい値をシフトさせ記憶素子として動作させる。このフラッシュメモリとしては、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)膜を用いたスプリットゲート型セルがある。かかるメモリにおいては、電荷蓄積領域として窒化シリコン膜を用いることで、導電性の浮遊ゲート膜と比べ、離散的に電荷を蓄積するためにデータ保持の信頼性に優れ、また、データ保持の信頼性に優れているために窒化シリコン膜上下の酸化膜を薄膜化でき、書込み・消去動作の低電圧化が可能である、等の利点を有する。
【0003】
特開2006−41227号公報(特許文献1)、特開平4−337672号公報(特許文献2)および特開2003−258128号公報(特許文献3)には、MONOS型不揮発性メモリに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−41227号公報
【特許文献2】特開平4−337672号公報
【特許文献3】特開2003−258128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0006】
スプリットゲート型の不揮発性メモリには、積層ゲート絶縁膜として、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜と酸化シリコン膜からなる積層構造のONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜が形成され、不揮発性メモリの制御ゲート電極とメモリゲート電極とは、このONO膜を介して隣接している。近年、上記不揮発性メモリにおいては、その電気的性能を向上させること、あるいは、信頼性を確保することなどが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、半導体装置の電気的性能を向上できる技術を提供することにある。また、本発明のその他の目的は、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することである。また、本発明のその他の目的は、半導体装置の電気的性能を向上できる技術を提供し、かつ、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することである。
【0008】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
代表的な実施の形態による半導体装置は、不揮発性メモリのメモリセルを備える半導体装置であって、半導体基板の上部に形成された第1ゲート電極と、前記半導体基板の上部に形成されて前記第1ゲート電極と隣り合う第2ゲート電極と、前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間および前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間に形成された絶縁膜とを有している。前記絶縁膜のうち、前記第2ゲート電極の下面と前記半導体基板の上面との間の第1の部分は、第1酸化シリコン膜と第2酸化シリコン膜と前記第1および第2酸化シリコン膜に挟まれた第1窒化シリコン膜とを有し、前記第1窒化シリコン膜は、前記メモリセルの電荷蓄積部として機能する。前記絶縁膜のうち、前記第1ゲート電極の側面と前記第2ゲート電極の側面との間の第2の部分は、酸化シリコンからなり、前記第1窒化シリコン膜を有していない。
【0011】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、不揮発性メモリのメモリセルを備える半導体装置の製造方法であって、(a)半導体基板を用意する工程、(b)前記半導体基板の主面上に第1ゲート絶縁膜を介して前記メモリセルを構成する第1ゲート電極を形成する工程、(c)前記半導体基板の主面と前記第1ゲート電極の側面上に、酸化シリコン膜を形成する工程を有している。更に、(d)前記酸化シリコン膜上に、前記第1ゲート電極と前記酸化シリコン膜を介して隣り合い、前記メモリセルを構成する第2ゲート電極を形成する工程、(e)前記第2ゲート電極で覆われていない部分の前記酸化シリコン膜を除去する工程を有している。更に、(f)前記(e)工程後、前記酸化シリコン膜のうち、前記第2ゲート電極の下面と前記半導体基板との間の部分の前記酸化シリコン膜の少なくとも一部を除去して空洞を形成する工程、(g)前記空洞で露出する前記半導体基板の表面上に第1酸化シリコン膜を、前記空洞で露出する前記第2ゲート電極の下面に第2酸化シリコン膜を形成する工程を有している。更に、(h)前記半導体基板の表面上の前記第1酸化シリコン膜と前記第2ゲート電極の下面上の前記第2酸化シリコン膜との間に、窒化シリコン膜を形成する工程を有している。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
代表的な実施の形態によれば、半導体装置の電気的性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、電気的性能を向上させることができ、かつ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【図2】図1の一部を拡大した部分拡大断面図である。
【図3】メモリセルの等価回路図である。
【図4】「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。
【図5】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
【図6】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
【図7】本発明の一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図19】図18の部分拡大断面図である。
【図20】図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】図21の部分拡大断面図である。
【図23】図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図25】図24の部分拡大断面図である。
【図26】図24に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】図28の部分拡大断面図である。
【図30】図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図31】図30の部分拡大断面図である。
【図32】図30に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図33】図32の部分拡大断面図である。
【図34】図32に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図40】比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図41】本発明の一実施の形態である半導体装置の説明図である。
【図42】窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図43】窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図44】窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図45】窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図46】窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図47】本発明の他の実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【図48】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図49】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0017】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0018】
(実施の形態1)
本発明は、不揮発性メモリ(不揮発性記憶素子、フラッシュメモリ、不揮発性半導体記憶装置)を備えた半導体装置であり、不揮発性メモリは、主として電荷蓄積部にトラップ性絶縁膜(電荷を蓄積可能な絶縁膜)を用いたものである。以下の実施の形態では、不揮発性メモリは、nチャネル型MISFET(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を基本としトラップ性絶縁膜を用いたメモリセルをもとに説明を行う。また、以下の実施の形態での極性(書込・消去・読出時の印加電圧の極性やキャリアの極性)は、nチャネル型MISFETを基本としたメモリセルの場合の動作を説明するためのものであり、pチャネル型MISFETを基本とする場合は、印加電位やキャリアの導電型等の全ての極性を反転させることで、原理的には同じ動作を得ることができる。
【0019】
本実施の形態の半導体装置およびその製造方法を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。本実施の形態の半導体装置は、不揮発性メモリを備えた半導体装置であり、図1には、不揮発性メモリのメモリセル領域の要部断面図が示されている。図2は、本実施の形態の半導体装置におけるメモリセルMCの部分拡大断面図(要部断面図)であり、図1の一部が拡大して示してある。図3は、メモリセルMCの等価回路図である。なお、図2は、理解を簡単にするために、図1の構造のうち、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、絶縁膜3,5および側壁絶縁膜SW1,SW2と、それらの直下の基板領域(p型ウエルPW1を構成する半導体基板1の一部)のみが図示されている。図2において、n型半導体領域12a,12b上の金属シリサイド層13は図示を省略している。
【0021】
図1に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1には、素子を分離するための素子分離領域(後述の素子分離領域2に対応するが、ここでは図示されていない)が形成されており、この素子分離領域で分離(規定)された活性領域に、p型ウエルPW1が形成されている。メモリセル領域のp型ウエルPW1には、図1に示されるようなメモリトランジスタおよび制御トランジスタ(選択トランジスタ)からなる不揮発性メモリのメモリセルMCが形成されている。各メモリセル領域には複数のメモリセルMCがアレイ状に形成されており、各メモリセル領域は、素子分離領域によって他の領域から電気的に分離されている。
【0022】
図1〜図3に示されるように、本実施の形態の半導体装置における不揮発性メモリのメモリセルMCは、スプリットゲート型のメモリセルであり、制御ゲート電極(選択ゲート電極)CGを有する制御トランジスタ(選択トランジスタ)とメモリゲート電極(メモリ用ゲート電極)MGを有するメモリトランジスタとの2つのMISFETを接続したものである。
【0023】
ここで、電荷蓄積部(電荷蓄積層)を含むゲート絶縁膜およびメモリゲート電極MGを備えるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をメモリトランジスタ(記憶用トランジスタ)といい、また、ゲート絶縁膜および制御ゲート電極CGを備えるMISFETを制御トランジスタ(選択トランジスタ、メモリセル選択用トランジスタ)という。従って、メモリゲート電極MGは、メモリトランジスタのゲート電極であり、制御ゲート電極CGは、制御トランジスタのゲート電極であり、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、不揮発性メモリ(のメモリセル)を構成するゲート電極である。
【0024】
以下に、メモリセルMCの構成を具体的に説明する。
【0025】
図1および図2に示されるように、不揮発性メモリのメモリセルMCは、半導体基板1のp型ウエルPW1中に形成されたソースおよびドレイン用のn型の半導体領域MS,MDと、半導体基板1(p型ウエルPW1)の上部に形成された制御ゲート電極CGと、半導体基板1(p型ウエルPW1)の上部に形成されて制御ゲート電極CGと隣合うメモリゲート電極MGとを有している。そして、不揮発性メモリのメモリセルMCは、更に、制御ゲート電極CGおよび半導体基板1(p型ウエルPW1)間に形成された絶縁膜(ゲート絶縁膜)3と、メモリゲート電極MGおよび半導体基板1(p型ウエルPW1)間とメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間とに形成された絶縁膜5とを有している。
【0026】
制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、それらの対向側面(側壁)の間に絶縁膜5を介した状態で、半導体基板1の主面に沿って延在し、並んで配置されている。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの延在方向は、図1の紙面に垂直な方向である。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、半導体領域MDおよび半導体領域MS間の半導体基板1(p型ウエルPW1)の上部に絶縁膜3,5を介して(但し、制御ゲート電極CGは絶縁膜3を介し、メモリゲート電極MGは絶縁膜5を介して)形成されており、半導体領域MS側にメモリゲート電極MGが位置し、半導体領域MD側に制御ゲート電極CGが位置している。
【0027】
制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、間に絶縁膜5を介在して互いに隣り合っており、メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されている。また、絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって延在している。
【0028】
制御ゲート電極CGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に形成された絶縁膜3(すなわち制御ゲート電極CGの下の絶縁膜3)が、制御トランジスタのゲート絶縁膜として機能し、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の絶縁膜5(すなわちメモリゲート電極MGの下の絶縁膜5)が、メモリトランジスタのゲート絶縁膜(内部に電荷蓄積部を有するゲート絶縁膜)として機能する。
【0029】
絶縁膜3は、例えば酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などにより形成することができる。また、絶縁膜3は、上述の酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜など以外にも、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜(アルミナ)または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する金属酸化膜を使用してもよい。
【0030】
絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって形成されている(延在している)が、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域とで、絶縁膜5の構成(構造)が異なっている。
【0031】
すなわち、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する部分は、酸化シリコン膜(酸化シリコン層)9aと、酸化シリコン膜(酸化シリコン層)9bと、酸化シリコン膜9a,9bに挟まれた窒化シリコン膜(窒化シリコン層、電荷蓄積層)10aとを有している。絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間に位置する部分は、酸化シリコンからなり、具体的には、酸化シリコン膜(酸化シリコン層)6aからなる。窒化シリコン膜10aは、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間の少なくとも一部の領域に延在している(延在方向は半導体基板1の主面に略平行な方向である)が、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間には窒化シリコン膜10aは形成されていない。つまり、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間に位置する部分の絶縁膜5は、窒化シリコン膜10aを有しておらず、酸化シリコン膜6aによって形成されている。酸化シリコン膜6aは、内部に窒化シリコン膜を有していない酸化シリコン膜である。
【0032】
メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間に位置する部分の絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間を絶縁(電気的に分離)するための絶縁膜として機能し、この部分の絶縁膜5は、酸化シリコン膜6aにより構成されている。一方、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する部分の絶縁膜5は、メモリトランジスタのゲート絶縁膜として機能し、この部分の絶縁膜5は、酸化シリコン膜9aと酸化シリコン膜9bと酸化シリコン膜9a,9bに挟まれた窒化シリコン膜10aとを有している。
【0033】
窒化シリコン膜10aは、酸化シリコン膜9bと酸化シリコン膜9aとにより上下に挟まれており、窒化シリコン膜10a上には、窒化シリコン膜10aに接して酸化シリコン膜9bが存在し、窒化シリコン膜10aの下には、窒化シリコン膜10aに接して酸化シリコン膜9aが存在している。このため、窒化シリコン膜10aが延在している領域では、絶縁膜5は、酸化シリコン膜9aと、酸化シリコン膜9a上の窒化シリコン膜10aと、窒化シリコン膜10a上の酸化シリコン膜9bとの積層構造を有している。酸化シリコン膜9bの上面はメモリゲート電極MGと接し、酸化シリコン膜9aの下面は、半導体基板1(p型ウエルPW1)に接している。一方、窒化シリコン膜10aが延在していない領域では、絶縁膜5は、酸化シリコン膜6a(すなわち内部に窒化シリコン膜を有していない酸化シリコン膜)で構成されている。
【0034】
このように、絶縁膜5は、酸化シリコン膜9a,9bで窒化シリコン膜10aを挟んだ積層構造を有している領域(換言すれば内部に窒化シリコン膜10aを有する酸化シリコン膜によって構成された領域)と、内部に窒化シリコン膜を有していない酸化シリコン膜6aによって構成された領域とを有しており、両領域は隣接している。絶縁膜5のうち、酸化シリコン膜9a,9bで窒化シリコン膜10aを挟んだ積層構造を有している領域(換言すれば内部に窒化シリコン膜10aを有する酸化シリコン膜によって構成された領域)は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に存在しているが、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間には存在していない。一方、絶縁膜5のうち、内部に窒化シリコン膜を有していない酸化シリコン膜6aによって構成された領域は、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間に存在しているが、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間の一部にも存在可能である。
【0035】
メモリトランジスタのゲート絶縁膜は、電荷蓄積部を有するが、この電荷蓄積部となるのが窒化シリコン膜10aである。すなわち、絶縁膜5において、窒化シリコン膜10aは、電荷を蓄積するための絶縁膜であり、電荷蓄積層(電荷蓄積部)として機能する。つまり、窒化シリコン膜10aは、絶縁膜5中に形成されたトラップ性絶縁膜である。このため、絶縁膜5のうち、酸化シリコン膜9a,9bで窒化シリコン膜10aを挟んだ構造(積層構造)となっている部分は、内部に電荷蓄積部(電荷蓄積層、ここでは窒化シリコン膜10a)を有する絶縁膜とみなすことができる。窒化シリコン膜10aの上下に位置する酸化シリコン膜9bおよび酸化シリコン膜9aは、電荷ブロック層(電荷ブロック膜、電荷閉じ込め層)として機能することができる。外側の層(酸化シリコン膜9a,9b)のポテンシャル障壁高さに比べ、内側の層(窒化シリコン膜10a)のポテンシャル障壁高さが低くなっている。窒化シリコン膜10aを酸化シリコン膜9bおよび酸化シリコン膜9aで挟んだ構造とすることで、窒化シリコン膜10aへの電荷の蓄積が可能となる。
【0036】
本実施の形態では、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5が、酸化シリコン膜9a,9bに挟まれた窒化シリコン膜10aを有し、この窒化シリコン膜10aが電荷蓄積部として機能し、一方、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する部分の絶縁膜5が、窒化シリコン膜10aを有さず、酸化シリコン膜6aで構成されるようにしている。すなわち、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面(上面)との間の部分は、酸化シリコン膜9a,9bと酸化シリコン膜9a,9bに挟まれた窒化シリコン膜10aとを有し、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の部分は、窒化シリコン膜10aを有さず、内部に窒化シリコン膜を有さない酸化シリコン膜6aで構成されている。
【0037】
このように、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5は、主として、酸化シリコン膜9a,9bで窒化シリコン膜10aを挟んだ構造(積層構造)を有し、一方、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する部分の絶縁膜5は、主として、酸化シリコン膜6a(すなわち内部に窒化シリコン膜を有さない酸化シリコン膜6a)で構成されている。
【0038】
絶縁膜5をこのような構成とした理由については、後でより詳細に説明する。
【0039】
後述するように、酸化シリコン膜9a,9bは、酸化シリコン膜6aの一部を除去して露出したメモリゲート電極MGの下面(および側面)と半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面(上面)を酸化(より特定的には熱酸化)させることで形成された膜(酸化膜)である。具体的には、酸化シリコン膜9bは、メモリゲート電極MG(を構成するシリコン膜7)が酸化することで形成された膜(酸化膜)であり、酸化シリコン膜9bは、半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面(上面)が酸化することで形成された膜(酸化膜)である。このため、本実施の形態では、酸化シリコン膜9a,9bは、酸化シリコン膜6aとは別々に形成されている。しかしながら、製造工程によっては、酸化シリコン膜9a,9bが酸化シリコン膜6aと一体的に形成される場合もあり得る。
【0040】
半導体領域MSは、ソース領域またはドレイン領域の一方として機能する半導体領域であり、半導体領域MDは、ソース領域またはドレイン領域の他方として機能する半導体領域である。ここでは、半導体領域MSはソース領域として機能する半導体領域、半導体領域MDはドレイン領域として機能する半導体領域である。半導体領域MS,MDは、n型の不純物が導入された半導体領域(n型不純物拡散層)よりなり、それぞれLDD(lightly doped drain)構造を備えている。すなわち、ソース用の半導体領域MSは、n型半導体領域(エクステンション領域)EXaと、n型半導体領域EXaよりも高い不純物濃度を有するn型半導体領域(ソース領域)12aとを有し、ドレイン用の半導体領域MDは、n型半導体領域(エクステンション領域)EXbと、n型半導体領域EXbよりも高い不純物濃度を有するn型半導体領域(ドレイン領域)12bとを有している。n型半導体領域12aは、n型半導体領域EXaよりも接合深さが深くかつ不純物濃度が高く、また、n型半導体領域12bは、n型半導体領域EXbよりも接合深さが深くかつ不純物濃度が高い。
【0041】
メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの側壁(互いに隣接していない側の側壁)上には、絶縁体(絶縁膜)からなるサイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SW1,SW2が形成されている。なお、メモリゲート電極MGの側壁(制御ゲート電極CGに隣接していない側の側壁)上にサイドウォールスペーサSW1が形成され、制御ゲート電極CGの側壁(メモリゲート電極MGに隣接していない側の側壁)上にサイドウォールスペーサSW2が形成されている。すなわち、絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGに隣接する側とは逆側のメモリゲート電極MGの側壁(側面27)上にサイドウォールスペーサSW1が形成され、絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGに隣接する側とは逆側の制御ゲート電極CGの側壁(側面28)上にサイドウォールスペーサSW2が形成されている。
【0042】
サイドウォールスペーサSW1は、酸化シリコン膜9aと、酸化シリコン膜9bと、窒化シリコン膜10bと、酸化シリコン膜11aとにより形成されている。
【0043】
サイドウォールスペーサSW1の一部を構成する酸化シリコン膜9aと絶縁膜5の一部を構成する酸化シリコン膜9aとは、半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面(上面)を酸化(より特定的には熱酸化)させることで形成された膜(酸化膜)であり、一体的に形成されている。すなわち、酸化シリコン膜9aは、半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面(上面)に形成されているが、メモリゲート電極MGの下方領域からサイドウォールスペーサSW1の下部領域にわたって延在しており、酸化シリコン膜9aのうち、メモリゲート電極MGの下方に位置する部分が、絶縁膜5の一部となり、メモリゲート電極MGの外側に位置する部分が、サイドウォールスペーサSW1の一部となっている。
【0044】
サイドウォールスペーサSW1の一部を構成する酸化シリコン膜9bと絶縁膜5の一部を構成する酸化シリコン膜9bとは、メモリゲート電極MG(を構成するシリコン膜7)の下面および側面を酸化(より特定的には熱酸化)させることで形成された膜(酸化膜)であり、一体的に形成されている。すなわち、酸化シリコン膜9bは、メモリゲート電極MG(を構成するシリコン膜7)の下面24および側面(制御ゲート電極CGに隣接していない側の側面)27に連続的に形成されている。つまり、酸化シリコン膜9bは、メモリゲート電極MGの下面24から側面(側壁)27にかけて延在している。このような酸化シリコン膜9bのうち、メモリゲート電極MGの下面24に形成されている部分が、絶縁膜5の一部となり、メモリゲート電極MGの側面27に形成されている部分が、サイドウォールスペーサSW1の一部となっている。窒化シリコン膜10aは、メモリゲート電極MGの下面上の酸化シリコン膜9bと半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面上の酸化シリコン膜9aとの間に形成されている。
【0045】
サイドウォールスペーサSW1の一部を構成する窒化シリコン膜10bと、絶縁膜5の一部を構成する窒化シリコン膜10aとは、一体的に形成されている。すなわち、窒化シリコン膜10bと窒化シリコン膜10aとは、窒化シリコン膜10によって形成されている。窒化シリコン膜10のうち、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する部分が、窒化シリコン膜10a(すなわち絶縁膜5の一部を構成する窒化シリコン膜10a)となり、窒化シリコン膜10のうち、メモリゲート電極MGの外側に位置する部分が、窒化シリコン膜10b(すなわちサイドウォールスペーサSW1の一部を構成する窒化シリコン膜10b)となっている。
【0046】
サイドウォールスペーサSW1の一部を構成する酸化シリコン膜11aは、窒化シリコン膜10b上に形成されている。場合によっては、酸化シリコン膜11aの形成を省略し、図1および図2において、窒化シリコン膜10bと酸化シリコン膜11aとをあわせたもの全体を、窒化シリコン膜10bとすることも可能である。
【0047】
一方、制御ゲート電極CGの側壁上にサイドウォールスペーサSW2が形成されているが、このサイドウォールスペーサSW2の外形(全体形状)は、サイドウォールスペーサSW1と類似した構成を有している。このサイドウォールスペーサSW2は、酸化シリコン膜9cと、窒化シリコン膜10cと、酸化シリコン膜11bとにより形成されている。
【0048】
サイドウォールスペーサSW2の一部を構成する酸化シリコン膜9cは、半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面(上面)と制御ゲート電極CG(を構成するシリコン膜4n)を酸化(より特定的には熱酸化)させることで形成された膜(酸化膜)である。この酸化シリコン膜9cは、制御ゲート電極CGの下部には形成されていない。サイドウォールスペーサSW2の一部を構成する窒化シリコン膜10cは、サイドウォールスペーサSW1の一部を構成する窒化シリコン膜10bと同工程で形成された同層の窒化シリコン膜の一部によって形成されたものである。窒化シリコン膜10cは、酸化シリコン膜9c上に形成されており、制御ゲート電極CGの下部には、窒化シリコン膜10cは延在していない。
【0049】
サイドウォールスペーサSW2の一部を構成する酸化シリコン膜11bは、窒化シリコン膜10c上に形成されている。サイドウォールスペーサSW2の一部を構成する酸化シリコン膜11bは、サイドウォールスペーサSW1の一部を構成する酸化シリコン膜11aと同工程で形成された同層の酸化シリコン膜の一部によって形成されたものである。
【0050】
上述のように酸化シリコン膜11aの形成を省略し、図1および図2において、窒化シリコン膜10bと酸化シリコン膜11aとをあわせたもの全体を、窒化シリコン膜10bとする場合は、酸化シリコン膜11bの形成も省略され、図1および図2において、窒化シリコン膜10cと酸化シリコン膜11bとをあわせたもの全体が、窒化シリコン膜10cとなる。
【0051】
ソース部のn型半導体領域EXaはメモリゲート電極MG(の側壁)に対して自己整合的に形成され、n型半導体領域12aはメモリゲート電極MGの側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW1に対して自己整合的に形成されている。このため、低濃度のn型半導体領域EXaはメモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサSW1の下に形成され、高濃度のn型半導体領域12aは低濃度のn型半導体領域EXaの外側に形成されている。従って、低濃度のn型半導体領域EXaはメモリトランジスタのチャネル領域に隣接するように形成され、高濃度のn型半導体領域12aは低濃度のn型半導体領域EXaに接し、メモリトランジスタのチャネル領域からn型半導体領域EXaの分だけ離間するように形成されている。
【0052】
ドレイン部のn型半導体領域EXbは制御ゲート電極CG(の側壁)に対して自己整合的に形成され、n型半導体領域12bは制御ゲート電極CGの側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2に対して自己整合的に形成されている。このため、低濃度のn型半導体領域EXbは制御ゲート電極CGの側壁上のサイドウォールスペーサSW2の下に形成され、高濃度のn型半導体領域12bは低濃度のn型半導体領域EXbの外側に形成されている。従って、低濃度のn型半導体領域EXbは制御トランジスタのチャネル領域に隣接するように形成され、高濃度のn型半導体領域12bは低濃度のn型半導体領域EXbに接し、制御トランジスタのチャネル領域からn型半導体領域EXbの分だけ離間するように形成されている。
【0053】
メモリゲート電極MG下の絶縁膜5の下にメモリトランジスタのチャネル領域が形成され、制御ゲート電極CG下の絶縁膜3の下に制御トランジスタのチャネル領域が形成される。制御ゲート電極CG下の絶縁膜3の下の制御トランジスタのチャネル形成領域には、制御トランジスタのしきい値調整用の半導体領域(p型半導体領域またはn型半導体領域)が必要に応じて形成され、メモリゲート電極MG下の絶縁膜5の下のメモリトランジスタのチャネル形成領域には、メモリトランジスタのしきい値調整用の半導体領域(p型半導体領域またはn型半導体領域)が必要に応じて形成されている。
【0054】
制御ゲート電極CGは導電体(導電体膜)からなるが、好ましくはn型ポリシリコン膜(n型不純物を導入した多結晶シリコン膜、ドープトポリシリコン膜)のようなシリコン膜4nからなる。シリコン膜4nは、好ましくはn型のシリコン膜であり、n型不純物が導入されて低抵抗率とされている。具体的には、制御ゲート電極CGは、パターニングされたシリコン膜4nからなる。
【0055】
メモリゲート電極MGは導電体(導電体膜)からなるが、好ましくはシリコン膜7からなる。シリコン膜7は、好ましくはn型のシリコン膜であり、n型不純物が導入されて低抵抗率とされている。シリコン膜7は、より好ましくは、n型ポリシリコン膜(n型不純物を導入した多結晶シリコン膜、ドープトポリシリコン膜)である。メモリゲート電極MGは、後述するように、半導体基板1上に制御ゲート電極CGを覆うように形成したシリコン膜7を異方性エッチングし、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してこのシリコン膜7を残存させることにより形成されている。このため、メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されている。
【0056】
メモリゲート電極MG(を構成するシリコン膜7)の上部(上面)と制御ゲート電極CG(を構成するシリコン膜4n)の上部(上面)とn型半導体領域12a,12bの上部(上面、表面)には、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術などにより、金属シリサイド層(金属シリサイド膜)13が形成されている。金属シリサイド層13は、例えばコバルトシリサイド層またはニッケルシリサイド層などからなる。金属シリサイド層13により、拡散抵抗やコンタクト抵抗を低抵抗化することができる。制御ゲート電極CGを構成するシリコン膜4nと、その上部の金属シリサイド層13とを合わせたものを、制御電極CGとみなすこともでき、また、メモリゲート電極MGを構成するシリコン膜7と、その上部の金属シリサイド層13とを合わせたものを、メモリゲート電極MGとみなすこともできる。また、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間のショートをできるだけ防止するという観点から、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの一方または両方の上部に金属シリサイド層13を形成しない場合もあり得る。
【0057】
半導体基板1上には、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびサイドウォールスペーサSW1,SW2を覆うように、絶縁膜14と絶縁膜14上の絶縁膜15とが形成されている。絶縁膜14は、絶縁膜15よりも薄く、好ましくは窒化シリコン膜からなる。絶縁膜15は、絶縁膜14よりも厚く、好ましくは酸化シリコン膜からなる。後述するように、絶縁膜14,15にコンタクトホールCNTが形成され、コンタクトホールCNTにプラグPGが埋め込まれ、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜15上に配線M1などが形成されているが、図1および図2では図示を省略している。なお、絶縁膜15は、層間絶縁膜として機能し、絶縁膜14は、絶縁膜15に後述のコンタクトホールCNTを形成する際のエッチングストッパ膜として機能することができる。
【0058】
図4は、本実施の形態の「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。図4の表には、「書込」、「消去」および「読出」時のそれぞれにおいて、図1および図2に示されるようなメモリセル(選択メモリセル)のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmg、ソース領域(半導体領域MS)に印加する電圧Vs、制御ゲート電極CGに印加する電圧Vcg、ドレイン領域(半導体領域MD)に印加する電圧Vd、およびp型ウエルPW1に印加されるベース電圧Vbが記載されている。なお、図4の表に示したものは電圧の印加条件の好適な一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。また、本実施の形態では、メモリトランジスタの絶縁膜5中の電荷蓄積部(電荷蓄積層)である窒化シリコン膜10aへの電子の注入を「書込」、ホール(hole:正孔)の注入を「消去」と定義する。
【0059】
なお、図4の表において、Aの欄は、書込み方法がSSI方式で、かつ消去方法がBTBT方式の場合に対応し、Bの欄は、書込み方法がSSI方式で、かつ消去方法がFN方式の場合に対応し、Cの欄は、書込み方法がFN方式で、かつ消去方法がBTBT方式の場合に対応し、Dの欄は、書込み方法がFN方式で、かつ消去方法がFN方式の場合に対応している。
【0060】
SSI方式は、窒化シリコン膜10aにホットエレクトロンを注入することによってメモリセルの書込みを行う動作法とみなすことができ、BTBT方式は、窒化シリコン膜10aにホットホールを注入することによってメモリセルの消去を行う動作法とみなすことができ、FN方式は、電子またはホールのトンネリングによって書込みまたは消去を行う動作法とみなすことができる。FN方式について、別の表現で言うと、FN方式の書込みは、窒化シリコン膜10aにFNトンネル効果により電子を注入することによってメモリセルの書込みを行う動作方式とみなすことができ、FN方式の消去は、窒化シリコン膜10aにFNトンネル効果によりホールを注入することによってメモリセルの消去を行う動作方式とみなすことができる。以下、具体的に説明する。
【0061】
書込み方式は、いわゆるSSI(Source Side Injection:ソースサイド注入)方式と呼ばれるソースサイド注入によるホットエレクトロン注入で書込みを行う書込み方式(ホットエレクトロン注入書込み方式)と、いわゆるFN方式と呼ばれるFN(Fowler Nordheim)トンネリングにより書込みを行う書込み方式(トンネリング書込み方式)とがある。
【0062】
SSI方式の書込みでは、例えば図4の表のAの欄またはBの欄の「書込動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=10V,Vs=5V,Vcg=1V,Vd=0.5V,Vb=0V)を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルの絶縁膜5中の窒化シリコン膜10a中に電子(エレクトロン)を注入することで書込みを行う。この際、ホットエレクトロンは、2つのゲート電極(メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG)間の下のチャネル領域(ソース、ドレイン間)で発生し、メモリゲート電極MGの下の絶縁膜5中の電荷蓄積部である窒化シリコン膜10aにホットエレクトロンが注入される。注入されたホットエレクトロン(電子)は、絶縁膜5中の窒化シリコン膜10a中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する(書込み状態となる)。
【0063】
FN方式の書込みでは、例えば図4の表のCの欄またはDの欄の「書込動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=−12V,Vs=0V,Vcg=0V,Vd=0V,Vb=0V)を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルにおいて、メモリゲート電極MGから電子をトンネリングさせて絶縁膜5中の窒化シリコン膜10aに注入することで書込みを行う。この際、電子はメモリゲートMGからFNトンネリング(FNトンネル効果)により酸化シリコン膜9bをトンネリングして絶縁膜5中に注入され、絶縁膜5中の窒化シリコン膜10a中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する(書込み状態となる)。
【0064】
なお、FN方式の書込みにおいて、半導体基板1から電子をトンネリングさせて絶縁膜5中の窒化シリコン膜10aに注入することで書込みを行うこともでき、この場合、書込動作電圧は、例えば図4の表のCの欄またはDの欄の「書込動作電圧」の正負を反転させたものとすることができる。
【0065】
消去方法は、いわゆるBTBT方式と呼ばれるBTBT(Band-To-Band Tunneling:バンド間トンネル現象)によるホットホール注入により消去を行う消去方式(ホットホール注入消去方式)と、いわゆるFN方式と呼ばれるFN(Fowler Nordheim)トンネリングにより消去を行う消去方式(トンネリング消去方式)とがある。
【0066】
BTBT方式の消去では、BTBT(Band-To-Band Tunneling)により発生したホール(正孔)を電荷蓄積部(絶縁膜5中の窒化シリコン膜10a)に注入することにより消去を行う。例えば図4の表のAの欄またはCの欄の「消去動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=−6V,Vs=6V,Vcg=0V,Vd=open,Vb=0V)を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加する。これにより、BTBT(Band-To-Band Tunneling)現象によりホール(正孔)を発生させ電界加速することで選択メモリセルの絶縁膜5中の窒化シリコン膜10a中にホールを注入し、それによってメモリトランジスタのしきい値電圧を低下させる(消去状態となる)。
【0067】
FN方式の消去では、例えば図4の表のBの欄またはDの欄の「消去動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=12V,Vs=0V,Vcg=0V,Vd=0V,Vb=0V)を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルにおいて、メモリゲート電極MGからホール(正孔)をトンネリングさせて絶縁膜5中の窒化シリコン膜10aに注入することで消去を行う。この際、ホールはメモリゲートMGからFNトンネリング(FNトンネル効果)により酸化シリコン膜9bをトンネリングして絶縁膜5中に注入され、絶縁膜5中の窒化シリコン膜10a中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が低下する(消去状態となる)。
【0068】
なお、FN方式の消去において、半導体基板1からホールをトンネリングさせて絶縁膜5中の窒化シリコン膜10aに注入することで消去を行うこともでき、この場合、消去動作電圧は、例えば図4の表のBの欄またはDの欄の「消去動作電圧」の正負を反転させたものとすることができる。
【0069】
また、FN方式で書込みまたは消去を行う場合(すなわち動作方式B,C,Dの場合)でメモリゲート電極MGから電荷をトンネリングさせて窒化シリコン膜10aに注入する場合には、酸化シリコン膜9bの膜厚を酸化シリコン膜9aの膜厚よりも薄くしておくことが好ましい。一方、FN方式で書込みまたは消去を行う場合(すなわち動作方式B,C,Dの場合)で半導体基板1から電荷をトンネリングさせて窒化シリコン膜10aに注入する場合には、酸化シリコン膜9aの膜厚を酸化シリコン膜9bの膜厚よりも薄くしておくことが好ましい。また、書込みがSSI方式でかつ消去がBTBT方式の場合(すなわち動作方式Aの場合)は、酸化シリコン膜9bの膜厚を酸化シリコン膜9aの膜厚以上としておくことが好ましい。
【0070】
読出し時には、例えば図4の表のAの欄、Bの欄、Cの欄またはDの欄の「読出動作電圧」に示されるような電圧を、読出しを行う選択メモリセルの各部位に印加する。読出し時のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを、書込み状態におけるメモリトランジスタのしきい値電圧と消去状態におけるしきい値電圧との間の値にすることで、書込み状態と消去状態とを判別することができる。
【0071】
なお、以下では、簡略化のために、書込みがSSI方式でかつ消去がBTBT方式の場合を動作方式Aと称し、書込みがSSI方式でかつ消去がFN方式の場合を動作方式Bと称し、書込みがFN方式でかつ消去がBTBT方式の場合を動作方式Cと称し、書込みがFN方式でかつ消去がFN方式の場合を動作方式Dと称することとする。動作方式Aでは、例えば図4の表のAの欄の動作電圧を使用することができ、動作方式Bでは、例えば図4の表のBの欄の動作電圧を使用することができ、動作方式Cでは、例えば図4の表のCの欄の動作電圧を使用することができ、動作方式Dでは、例えば図4の表のDの欄の動作電圧を使用することができる。
【0072】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
【0073】
図5および図6は、本実施の形態の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。図6は、図5のステップS11の後のプロセスフロー図に対応する。図7〜図39は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。このうち、図7〜図18、図20、図21、図23、図24、図26〜図28、図30、図32および図34〜図39の断面図には、メモリセル領域(不揮発性メモリのメモリセルMCが形成される領域)1Aおよび周辺回路領域(不揮発性メモリ以外の回路が形成される領域)1Bの要部断面図が示されており、メモリセル領域1AにメモリセルMCが、周辺回路領域1BにMISFETが、それぞれ形成される様子が示されている。また、図19は図18の部分拡大断面図に対応し、図22は図21の部分拡大断面図に対応し、図25は図24の部分拡大断面図に対応し、図29は図28の部分拡大断面図に対応し、図31は図30の部分拡大断面図に対応し、図33は図32の部分拡大断面図に対応している。メモリセル領域1Aと周辺回路領域1Bとは同じ半導体基板1に形成されている。メモリセル領域1Aと周辺回路領域1Bは隣り合っていなくともよいが、理解を簡単にするために、図7〜図18、図20、図21、図23、図24、図26〜図28、図30、図32および図34〜図39の断面図においては、メモリセル領域1Aの隣に周辺回路領域1Bを図示している。ここで、周辺回路とは、例えばCPUなどのプロセッサ、制御回路、センスアンプ、カラムデコーダ、ロウデコーダ、入出力回路などである。
【0074】
また、本実施の形態においては、メモリセル領域1Aにnチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)を形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)をメモリセル領域1Aに形成することもできる。同様に、本実施の形態においては、周辺回路領域1Bにnチャネル型のMISFETを形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFETを周辺回路領域1Bに形成することもでき、また、周辺回路領域1BにCMISFET(Complementary MISFET)などを形成することもできる。
【0075】
図7に示されるように、まず、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を用意(準備)する(図5のステップS1)。それから、半導体基板1の主面に、活性領域を規定(画定)する素子分離領域(素子間分離絶縁領域)2を形成する(図5のステップS2)。素子分離領域2は、酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより形成することができる。例えば、半導体基板1の主面に素子分離用の溝を形成した後、この素子分離用の溝内に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜を埋め込むことで、素子分離領域2を形成することができる。
【0076】
次に、図8に示されるように、半導体基板1のメモリセル領域1Aにp型ウエルPW1を、周辺回路領域1Bにp型ウエルPW2を形成する(図5のステップS3)。p型ウエルPW1,PW2は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を半導体基板1にイオン注入することなどによって形成することができる。p型ウエルPW1,PW2は、半導体基板1の主面から所定の深さにわたって形成される。
【0077】
次に、メモリセル領域1Aに後で形成される制御トランジスタのしきい電圧を調整するために、必要に応じて、メモリセル領域1Aのp型ウエルPW1の表面部(表層部)に対してチャネルドープイオン注入を行う。また、周辺回路領域1Bに後で形成されるMISFETのしきい電圧を調整するために、必要に応じて、周辺回路領域1Bのp型ウエルPW2の表面部(表層部)に対してチャネルドープイオン注入を行う。
【0078】
次に、希釈フッ酸洗浄などによって半導体基板1(p型ウエルPW1,PW2)の表面を清浄化した後、半導体基板1の主面(p型ウエルPW1,PW2の表面)に、ゲート絶縁膜用の絶縁膜3を形成する(図5のステップS4)。絶縁膜3は、例えば薄い酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などにより形成することができる。絶縁膜3の膜厚(形成膜厚)は、例えば2〜3nm程度とすることができる。
【0079】
次に、図9に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜3上に、ゲート電極用の導体膜としてシリコン膜4を形成(堆積)する(図5のステップS5)。シリコン膜4は、多結晶シリコン膜からなり、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。シリコン膜4の膜厚(堆積膜厚)は、例えば50〜250nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜4をアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0080】
シリコン膜4を形成した後、シリコン膜4上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、周辺回路領域1B全体にこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをマスクとして用いて、メモリセル領域1A(のシリコン膜4)にn型不純物をイオン注入法などによって導入することにより、メモリセル領域1Aにn型のシリコン膜4nを形成する。すなわち、メモリセル領域1Aのシリコン膜4にn型不純物が導入されて、メモリセル領域1Aのシリコン膜4が、n型不純物が導入されたn型のシリコン膜4nとなる。
【0081】
次に、図10に示されるように、メモリセル領域1Aのn型のシリコン膜4nをエッチングによりパターニングして制御ゲート電極CGを形成する(図5のステップS6)。ステップS6のパターニング工程は、例えば次のようにして行うことができる。
【0082】
すなわち、シリコン4n,4上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、制御ゲート電極CG形成予定領域と周辺回路領域1B全体にこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、メモリセル領域1Aのシリコン膜4nをエッチング(ドライエッチング)してパターニングする。その後、このフォトレジストパターンを除去する。
【0083】
このようにして、ステップS6でシリコン膜4nがパターニングされ、図10に示されるように、メモリセル領域1Aに、パターニングされたシリコン膜4nからなる制御ゲート電極CGが形成される。このとき、周辺回路領域1Bでは、上述したようにフォトレジストパターンを形成していたため、シリコン膜4のパターニングは行われていない。また、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの下に残存する絶縁膜3が、制御トランジスタのゲート絶縁膜となる。従って、シリコン膜4nからなる制御ゲート電極CGは、半導体基板1(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜としての絶縁膜3を介して形成された状態となる。
【0084】
メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGで覆われた部分以外の絶縁膜3(すなわちゲート絶縁膜となる部分以外の絶縁膜3)は、ステップS6のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0085】
次に、メモリセル領域1Aに後で形成されるメモリトランジスタのしきい値電圧を調整するために、必要に応じて、メモリセル領域1Aのp型ウエルPW1の表面部(表層部)に対してチャネルドープイオン注入を行う。
【0086】
次に、洗浄処理を行って、半導体基板1の主面を清浄化処理した後、図11に示されるように、半導体基板1の主面全面に、すなわち、半導体基板1の主面(表面)上と制御ゲート電極CGの表面(上面および側面)上に、絶縁膜として酸化シリコン膜(絶縁膜)6を形成する(図5のステップS7)。酸化シリコン膜6は、例えばCVD法により形成することができる。酸化シリコン膜6は熱酸化膜、CVD法による酸化膜の積層構造を用いても良い。ステップS7において、図11に示されるように、酸化シリコン膜6は、制御ゲート電極CGおよびシリコン膜4で覆われていない部分の半導体基板1の表面と、制御ゲート電極CGの表面(側面および上面)と、シリコン膜4の表面(側面および上面)とに形成される。具体的には、酸化シリコン膜6は、半導体基板1上に、制御ゲート電極CGおよびシリコン膜4を覆うように形成される。酸化シリコン膜6の厚みは、例えば10〜30nm程度とすることができる。
【0087】
次に、図12に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち酸化シリコン膜6上に、メモリセル領域1Aにおいては制御ゲート電極CGを覆うように、周辺回路領域1Bにおいてはシリコン膜4を覆うように、メモリゲート電極MG形成用の導電体膜としてシリコン膜7を形成(堆積)する(図5のステップS8)。
【0088】
シリコン膜7は、多結晶シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。シリコン膜7の膜厚(堆積膜厚)は、例えば30〜150nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜7をアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0089】
シリコン膜7は、n型不純物が導入されて低抵抗とされている。シリコン膜7の成膜後のイオン注入でシリコン膜7にn型不純物を導入することもできるが、シリコン膜7の成膜時にシリコン膜7にn型不純物を導入することもできる。シリコン膜7の成膜時にn型不純物を導入する場合には、シリコン膜7の成膜用のガスにドーピングガス(n型不純物添加用のガス)を含ませることで、n型不純物が導入されたシリコン膜7を成膜することができる。いずれにしても、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bに、n型不純物が導入されたシリコン膜7が形成される。
【0090】
次に、異方性エッチング技術により、シリコン膜7をエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)する(図5のステップS9)。
【0091】
ステップS9のエッチバック工程では、シリコン膜7の堆積膜厚の分だけシリコン膜7を異方性エッチング(エッチバック)することにより、制御ゲート電極CGの両方の側壁上に(酸化シリコン膜6を介して)シリコン膜7をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域のシリコン膜7を除去する。これにより、図13に示されるように、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの両方の側壁のうち、一方の側壁上に酸化シリコン膜6を介してサイドウォールスペーサ状に残存したシリコン膜7により、メモリゲート電極MGが形成され、また、他方の側壁上に酸化シリコン膜6を介してサイドウォールスペーサ状に残存したシリコン膜7により、シリコンスペーサSP1が形成される。メモリゲート電極MGは、酸化シリコン膜6上に、制御ゲート電極CGと酸化シリコン膜6を介して隣り合うように形成される。
【0092】
シリコンスペーサSP1は、導電体からなるサイドウォールスペーサ、すなわち導電体スペーサとみなすこともできる。メモリゲート電極MGとシリコンスペーサSP1とは、制御ゲート電極CGの互いに反対側となる側壁上に形成されており、制御ゲート電極CGを挟んでほぼ対称な構造を有している。また、周辺回路領域1Bに残存させているシリコン膜4の側壁上にも、酸化シリコン膜6を介してシリコンスペーサSP1が形成され得る。
【0093】
ステップS9のエッチバック工程では、酸化シリコン膜6をエッチングストッパとして用いて、シリコン膜7をエッチング(異方性エッチング)することができる。ステップS9のエッチバック工程を行った段階で、メモリゲート電極MGとシリコンスペーサSP1で覆われていない領域の酸化シリコン膜6が露出される。シリコン膜7の堆積膜厚によってメモリゲート長(メモリゲート電極MGのゲート長)が決まるので、上記ステップS8で堆積するシリコン膜7の堆積膜厚を調整することで、メモリゲート長を調整することができる。
【0094】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、メモリゲート電極MGが覆われかつシリコンスペーサSP1が露出されるようなフォトレジストパターン(図示せず)を半導体基板1上に形成してから、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとしたドライエッチングにより、シリコンスペーサSP1を除去する(図5のステップS10)。その後、このフォトレジストパターンを除去する。ステップS10のエッチング工程により、図14に示されるように、シリコンスペーサSP1が除去されるが、メモリゲート電極MGは、フォトレジストパターンで覆われていたので、エッチングされずに残存する。
【0095】
次に、図15に示されるように、酸化シリコン膜6のうち、メモリゲート電極MGで覆われずに露出する部分をエッチング(例えばウェットエッチング)によって除去する(図5のステップS11)。
【0096】
ステップS11のエッチングは、例えば、希フッ酸などによるウェットエッチングなどにより行うことができる。ステップS11のエッチング工程において、メモリセル領域1Aでは、メモリゲート電極MGの下とメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間とに位置する酸化シリコン膜6は、除去されずに残存し、他の領域の酸化シリコン膜6は除去される。この段階では、図15からも分かるように、酸化シリコン膜6は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって連続的に延在している。なお、ステップS11のエッチング条件によっては、メモリゲート電極MGの下に位置する酸化シリコン膜6の一部が若干エッチングされる場合もあり得る。
【0097】
次に、周辺回路領域1Bに形成されているシリコン膜4上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、メモリセル領域1A全体と周辺回路領域1Bのpチャネル型MISFET形成予定領域にこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをマスクとして用いて、周辺回路領域1Bのシリコン膜4にn型不純物をイオン注入法などによって導入する。これにより、周辺回路領域1Bにn型のシリコン膜(周辺回路領域1Bにおいてn型不純物が導入されたシリコン膜4に対応)が形成される。その後、このn型のシリコン膜上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、メモリセル領域1A全体と周辺回路領域1Bのゲート電極GE形成予定領域とにこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、前記n型のシリコン膜をエッチング(ドライエッチング)してパターニングする。このとき、メモリセル領域1Aは、フォトレジストパターンで覆われており、エッチングされない。その後、このフォトレジストパターンを除去する。これにより、図16に示されるように、パターニングされたn型のシリコン膜(すなわち周辺回路領域1Bにおいてn型不純物が導入されたシリコン膜4をパターニングしたもの)からなるゲート電極GEが形成される。
【0098】
次に、図17に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEを覆うように、絶縁膜8を形成する(図6のステップS12)。
【0099】
絶縁膜8は、好ましくは酸化シリコン膜からなり、その形成膜厚(厚み)は、例えば5〜20nm程度とすることができる。また、絶縁膜8は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0100】
次に、図18に示されるように、異方性エッチング技術により、絶縁膜8をエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)する(図6のステップS13)。なお、図19は、図18の部分拡大断面図であり、図18におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されている。
【0101】
ステップS13のエッチバック工程では、絶縁膜8の堆積膜厚の分だけ絶縁膜8を異方性エッチング(エッチバック)することにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの側壁上に絶縁膜8を残し、他の領域の絶縁膜8を除去する。これにより、図18および図19に示されるように、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの各側壁上に残存する絶縁膜8からなる側壁絶縁膜(サイドウォールスペーサ、オフセットスペーサ)8aが形成される。
【0102】
側壁絶縁膜8aは、ゲート電極GEの両側壁上と、制御ゲート電極CGの側壁のうち、酸化シリコン膜6を介してメモリゲート電極MGに隣接している側の側壁とは反対側の側壁上と、メモリゲート電極MGの側壁のうち、酸化シリコン膜6を介して制御ゲート電極CGに隣接している側の側壁とは反対側の側壁上とに形成される。
【0103】
なお、ステップS12(絶縁膜8形成工程)およびステップS13(絶縁膜8エッチバック工程)を省略することも可能であり、この場合、ゲート電極GE、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの側壁上に、上記側壁絶縁膜8aは形成されない。但し、周辺回路領域1Bに形成するMISFETの性能向上を考慮すると、ゲート電極GEの両側壁上に側壁絶縁膜8aを形成することがより好ましいため、ステップS12(絶縁膜8形成工程)およびステップS13(絶縁膜8エッチバック工程)を行うことが、より好ましい。また、ステップS12(絶縁膜8形成工程)およびステップS13(絶縁膜8エッチバック工程)を省略した場合には、側壁絶縁膜8aは形成されないため、後述のステップS14では、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する酸化シリコン膜6をエッチングで除去することになる。
【0104】
次に、図20に示されるように、メモリゲート電極MGの一部と制御ゲート電極CGとゲート電極GEとを覆い、メモリゲート電極MGの他部を露出するフォトレジストパターン(レジストパターン)PR1を、フォトリソグラフィ法を用いて半導体基板1上に形成する。この際、メモリセル領域1AにおけるメモリセルMCのソース領域形成予定領域は、フォトレジストパターンPR1で覆われずに露出されるようにする。より具体的には、フォトレジストパターンPR1は、周辺回路領域1B全体を覆うとともに、メモリセルMCのソース領域形成予定領域およびメモリゲート電極MGの一部を露出し、それ以外のメモリセル領域1Aを覆うように、形成されている。また、フォトレジストパターンPR1の開口部PR1aからメモリセル領域1AにおけるメモリセルMCのソース領域形成予定領域およびメモリゲート電極MGの一部を露出させるため、メモリゲート電極MGの側壁上に形成されている側壁絶縁膜8aも、フォトレジストパターンPR1で覆われずにフォトレジストパターンPR1の開口部PR1aから露出される。
【0105】
次に、図21に示されるように、エッチングを行って、メモリゲート電極MGの側壁上に形成されている側壁絶縁膜8aと、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する酸化シリコン膜6とを除去する(図6のステップS14)。このステップS14のエッチング工程では、酸化シリコン膜6のうち、メモリゲート電極MGの下面と半導体基板1(p型ウエルPW1)との間の部分の酸化シリコン膜6の少なくとも一部を除去して空洞CAVを形成する。なお、図22は、図21の部分拡大断面図であり、図21におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されているが、図22では、フォトレジストパターンPR1の図示は省略してある。ステップS14のエッチング工程において、フォトレジストパターンPR1は、エッチングマスクとして機能することができる。
【0106】
側壁絶縁膜8aを酸化シリコン膜によって形成しておけば(すなわち上記絶縁膜8が酸化シリコン膜であれば)、ステップS14において、側壁絶縁膜8aと酸化シリコン膜6とを連続してエッチングすることができる。
【0107】
ステップS14においては、まず側壁絶縁膜8aがエッチングによって除去されると、メモリゲート電極MGの側壁(制御ゲート電極CGと隣接していない側の側壁)の下部において、酸化シリコン膜6の端部6bが露出する(端部6bは上記図19に示してある)。この酸化シリコン膜6の端部6bは、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の酸化シリコン膜6の端部であり、側壁絶縁膜8aが除去されるまで側壁絶縁膜8aに接していた(覆われていた)端部である。つまり、ステップS13で側壁絶縁膜8aを形成した後は、酸化シリコン膜6におけるメモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)とで挟まれた側の端部6bは、側壁絶縁膜8aで覆われて、露出していないが、ステップS14において側壁絶縁膜8aが除去されると露出する。更にエッチングを進めると、図22からも分かるように、酸化シリコン膜6の端部6b側から酸化シリコン膜6のエッチングが進行する。なお、図22では、酸化シリコン膜6のエッチングの進行方向を、矢印20で模式的に示してある。
【0108】
ステップS14においてメモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する酸化シリコン膜6をエッチングするには、等方性のエッチングを行うことが必要であり、ウェットエッチングを行うことがより好ましい。このため、ステップS14では、好ましくはウェットエッチングを行うが、この際、側壁絶縁膜8aおよび酸化シリコン膜6を選択的にエッチングできるようなエッチング液を使用する。すなわち、側壁絶縁膜8aおよび酸化シリコン膜6のエッチング速度が、メモリゲート電極MG(を構成するシリコン膜7)および半導体基板1(を構成する単結晶シリコン領域)のエッチング速度よりも大きくなるようなエッチング液を使用する。換言すれば、側壁絶縁膜8aおよび酸化シリコン膜6がエッチングされやすく、それに比べて、メモリゲート電極MG(を構成するシリコン膜7)および半導体基板1(を構成する単結晶シリコン領域)がエッチングされにくいようなエッチング液を使用する。ステップS14で使用するエッチング液としては、例えば、バッファードフッ酸などを用いることができる。これにより、ステップS14では、メモリゲート電極MGの側壁上に形成されている側壁絶縁膜8aと、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する酸化シリコン膜6とをエッチングにより選択的に除去するとともに、メモリゲート電極MGや半導体基板1(p型ウエルPW1)がエッチングされるのを抑制または防止することができる。
【0109】
ステップS14を行う前の段階では、図19や図20にも示されるように、酸化シリコン膜6は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって連続的に延在している。この段階において、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する部分の酸化シリコン膜6は、その上端部6cがフォトレジストパターンPR1で覆われた状態(すなわち露出していない状態)となっている(上端部6cは図19〜図22に示してある)。ここで、酸化シリコン膜6の上端部6cは、酸化シリコン膜6において、メモリゲート電極MGの上部と制御ゲート電極CGの上部とで挟まれた側の端部に対応している。酸化シリコン膜6の上端部6cがフォトレジストパターンPR1で覆われている状態(すなわち露出していない状態)は、ステップS14のエッチングが進行しても継続される。このため、ステップS14のエッチング工程では、酸化シリコン膜6の上端部6c側からは、酸化シリコン膜6のエッチングは進行しない。また、酸化シリコン膜6は、メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間とメモリゲート電極MGおよび半導体基板1(p型ウエルPW1)間とに挟まれている。このため、ステップS14において、酸化シリコン膜6が露出するのは、端部6bであり、この端部6b側から酸化シリコン膜6のエッチングが進行し得る。すなわち、ステップS14のエッチング工程では、酸化シリコン膜6における制御ゲート電極CGの上部とメモリゲート電極MGの上部とで挟まれた上端部6cからは酸化シリコン膜6のエッチングは進行せず、酸化シリコン膜6の端部6b側から酸化シリコン膜6のエッチングが進行する。ステップS14のエッチング工程におけるエッチング時間などを調整することで、酸化シリコン膜6がエッチングされて除去される距離を制御することができる。
【0110】
つまり、フォトレジストパターンPR1は、酸化シリコン膜6の上端部6c(すなわち酸化シリコン膜6における制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとで挟まれた側の端部6c)を覆うように形成しておく。そして、ステップS14のエッチング工程では、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用い、酸化シリコン膜6の端部6b側(すなわち酸化シリコン膜6におけるメモリゲート電極MGと半導体基板1とで挟まれた側の端部6b側)から、酸化シリコン膜6をエッチングするのである。
【0111】
酸化シリコン膜6が除去された部分は、空洞(空間)CAVとなる。すなわち、ステップS14のエッチング工程によって、酸化シリコン膜6の一部が除去されて、空洞CAVとなる。空洞CAVには、酸化シリコン膜6の材料が存在しない。
【0112】
ステップS14のエッチング工程では、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する酸化シリコン膜6の少なくとも一部を除去するが、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する酸化シリコン膜6は、除去せずに残存させる。すなわち、ステップS14のエッチング工程において、酸化シリコン膜6は、酸化シリコン膜6の端部6b側からエッチングされるが、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の酸化シリコン膜6までもがエッチング(除去)されてしまう前に、エッチングを終了する。このため、空洞CAVは、メモリゲート電極MGの下方、すなわちメモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に形成され、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間には空洞CAVは形成されずに酸化シリコン膜6(すなわち酸化シリコン膜6a)が残存する。ステップS14のエッチング工程でも除去されずに残存した酸化シリコン膜6が上記酸化シリコン膜6aとなり、ステップS14のエッチング工程後の段階では、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に酸化シリコン膜6aが形成(配置)されている状態となる。
【0113】
このため、空洞CAVと酸化シリコン膜6aとは互いに隣接しており、酸化シリコン膜6bの端部(エッチングされた端面)が、空洞CAVに隣接して空洞CAVの内壁の一部を形成している。空洞CAVの上面(内壁の上面)はメモリゲート電極MGの下面によって形成され、空洞CAVの下面(内壁の下面)は半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面によって形成されている。また、酸化シリコン膜6が除去された部分が空洞CAVとなっているため、空洞CAVの厚みと酸化シリコン膜6a(6)の厚みとは、ほぼ同じである。なお、酸化シリコン膜6の端部6bがステップS14の直前まで位置していた部分において、空洞CAVは外部に開かれているため、空洞CAVは閉空間ではなく開空間である。
【0114】
次に、イオン注入法などを用いて例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、フォトレジストパターンPR1およびメモリゲート電極MGをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板1(p型ウエルPW1)に導入(ドーピング)することで、図23のように、n型半導体領域(不純物拡散層)EXaを形成する(図6のステップS15)。
【0115】
フォトレジストパターンPR1は、メモリゲート電極MGに隣接するソース領域(半導体領域MSに対応)の形成予定領域の少なくとも一部を露出するように形成しておき、ステップS15では、このフォトレジストパターンPR1(およびメモリゲート電極MG)をイオン注入阻止マスクとして、n型半導体領域EXaを形成するためのイオン注入を行うのである。なお、n型半導体領域EXaは、ソース用のエクステンション領域であり、ソース領域(半導体領域MSに対応)の一部とみなすことができる。
【0116】
この際、n型半導体領域EXaは、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの側壁(酸化シリコン膜6aを介して制御ゲート電極CGと隣り合う側とは反対側の側面27)に自己整合して形成される。
【0117】
また、本実施の形態では、n型半導体領域EXaを形成するためのイオン注入と、後述のn型半導体領域EXbを形成するためのイオン注入とを、別工程(別々のイオン注入)で行っているため、n型半導体領域EXaの不純物濃度と、n型半導体領域EXbの不純物濃度とを異ならせることができ、それぞれに最適な不純物濃度とすることができる。このため、不揮発性メモリの性能をより向上させることができる。
【0118】
また、ステップS14のエッチング工程とステップS15のイオン注入工程とに、同じフォトレジストパターンPR1を使用しているため、フォトリソグラフィ工程数を低減することができる。このため、半導体装置の工程数を低減でき、また半導体装置の製造コストも低減できる。
【0119】
なお、ステップS15において、メモリセル領域1AにおけるメモリセルMCのドレイン領域形成予定領域はフォトレジストパターンPR1で覆われているため、メモリセルMCのドレイン用のエクステンション領域(後述のn型半導体領域EXbに対応)は形成されない。また、ステップS15において、周辺回路領域1BはフォトレジストパターンPR1で覆われているため、周辺回路領域1Bには、ソース・ドレイン用のエクステンション領域(後述のn型半導体領域EXcに対応)は形成されない。
【0120】
次に、図24に示されるように、フォトレジストパターンPR1をアッシングなどを用いて除去する。
【0121】
次に、図24に示されるように、半導体基板1に対して酸化処理(好ましくは熱酸化処理)を行って、酸化シリコン膜(酸化膜)9を形成する(図6のステップS16)。このステップS16では、空洞CAVで露出する半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面上に酸化シリコン膜(酸化膜)9aが形成され、空洞CAVで露出するメモリゲート電極MGの下面に酸化シリコン膜(酸化膜)9bが形成される。なお、図25は、図24の部分拡大断面図であり、図24におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されているが、図25では、n型半導体領域EXaは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある。
【0122】
ステップS16の酸化処理は、好ましくは熱酸化処理である。ステップS16では、酸化処理によって、シリコンの露出面が酸化されて酸化シリコン膜9が形成される。この酸化シリコン膜9は、メモリゲート電極MG(を構成するシリコン膜7)の露出面が酸化されて形成された酸化シリコン膜9bと、制御ゲート電極CG(を構成するシリコン膜4n)の露出面が酸化されて形成された酸化シリコン膜9dと、ゲート電極GE(を構成するシリコン膜4)の露出面が酸化されて形成された酸化シリコン膜9fと、半導体基板1の露出面が酸化されて形成された酸化シリコン膜9a,9c,9eとを有している。
【0123】
具体的には、メモリセル領域1Aにおいて、空洞CAVで露出したメモリゲート電極MGの下面からメモリゲート電極MGの側面(制御ゲート電極CGと酸化シリコン膜6aを介して隣接している側とは反対側の側面)および上面にわたって、酸化シリコン膜9bが形成される。また、メモリセル領域1Aにおいて、空洞CAVで露出した半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面からn型半導体領域EXaが形成されている領域の半導体基板1の表面にわたって、酸化シリコン膜9aが形成される。また、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの上面に酸化シリコン膜9dが形成される。また、メモリセル領域1Aにおいて、メモリセルMCのドレイン領域形成予定領域の半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面に、酸化シリコン膜9cが形成される。また、周辺回路領域1Bにおいて、ゲート電極GEの上面に酸化シリコン膜9fが形成される。また、周辺回路領域1Bにおいて、半導体基板1(p型ウエルPW2)の表面に、酸化シリコン膜9eが形成される。
【0124】
ステップS16で酸化シリコン膜9を形成する際には、空洞CAVが酸化シリコン膜9で塞がれてしまう前に酸化処理を終了する。このため、ステップS16で酸化シリコン膜9を形成すると、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間の領域において、酸化シリコン膜9a(の上面)と酸化シリコン膜9b(の下面)との間に隙間(空間)CAVa(図25に図示している)が存在した状態となる。すなわち、上記空洞CAVのうち、ステップS16で酸化シリコン膜9を形成した後も残った空間(酸化シリコン膜9a,9bの材料が存在しない空間)が、隙間CAVaである。隙間CAVaは、後で窒化シリコン膜10aが形成できるように、閉空間とならないようにしておく。
【0125】
単結晶シリコンに比べて、多結晶シリコンの方が酸化されやすい性質を有しているため、酸化シリコン膜9b,9d,9fの各膜厚は、酸化シリコン膜9a,9c,9eの各膜厚よりも厚くすることができる。このため、製造された半導体装置において、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間の領域において、酸化シリコン膜9aよりも酸化シリコン膜9bを厚くすることができる。メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間の領域において、酸化シリコン膜9bを酸化シリコン膜9aよりも厚くすれば、上記動作方式Aを、より的確に行うことができるようになる。また、酸化シリコン膜9aよりも酸化シリコン膜9bを厚く形成した場合で、FN方式で書込みまたは消去を行う場合(すなわち動作方式B,C,Dの場合)には、半導体基板1から電荷をトンネリングさせて窒化シリコン膜10aに注入する方が、より好ましい。
【0126】
なお、側壁絶縁膜8aの形成を省略した場合(すなわち上記ステップS12の絶縁膜8形成工程および上記ステップS13の絶縁膜8のエッチバック工程を省略した場合)には、制御ゲート電極CGの側面(メモリゲート電極MGと酸化シリコン膜6aを介して隣接している側とは反対側の側面)にも、酸化シリコン膜9dが形成され、ゲート電極GEの側面にも酸化シリコン膜9fが形成される。この場合、制御ゲート電極CGの表面の酸化シリコン膜9dと半導体基板1の表面の酸化シリコン膜9cとが一体化する場合もあり得、また、ゲート電極GEの表面の酸化シリコン膜9fと半導体基板1の表面の酸化シリコン膜9eとが一体化する場合もあり得る。
【0127】
次に、図26に示されるように、メモリゲート電極MGとメモリセル領域1AにおけるメモリセルMCのソース領域形成予定領域とを覆うフォトレジストパターン(レジストパターン)PR2を、フォトリソグラフィ法を用いて半導体基板1上に形成する。更に制御ゲート電極CGの一部をフォトレジストパターンPR2で覆うこともできる。メモリセル領域1AにおけるメモリセルMCのドレイン領域形成予定領域は、フォトレジストパターンPR2で覆われずに露出するようにしておく。
【0128】
次に、イオン注入法などを用いて例えばヒ素(As)又はリン(P)などのn型の不純物を、フォトレジストパターンPR2、制御ゲート電極CG及びゲート電極GEとそれらの側壁上の側壁絶縁膜8aとをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板1(p型ウエルPW1,PW2)に導入(ドーピング)することで、図26のように、n型半導体領域(不純物拡散層)EXb,EXcを形成する(図6のステップS17)。
【0129】
この際、n型半導体領域EXbは、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの側壁(酸化シリコン膜6aを介してメモリゲート電極MGと隣り合う側とは反対側の側壁)上の側壁絶縁膜8aの側面(制御ゲート電極CGに接している側とは反対側の側面)に自己整合して形成される。また、n型半導体領域EXcは、周辺回路領域1Bにおいて、ゲート電極GEの両側壁上の側壁絶縁膜8aの側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)に自己整合して形成される。n型半導体領域EXaおよびn型半導体領域EXbは、メモリセル領域1Aに形成されるメモリセルのソース・ドレイン領域の一部として機能し、n型半導体領域EXcは周辺回路領域1Bに形成されるMISFETのソース・ドレイン領域の一部として機能することができる。
【0130】
なお、ステップS17において、メモリセル領域1AにおけるメモリセルMCのソース領域形成予定領域はフォトレジストパターンPR2で覆われているため、ステップS17で不純物イオンは注入されない。
【0131】
次に、図27に示されるように、フォトレジストパターンPR2をアッシングなどを用いて除去する。
【0132】
次に、図28に示されるように、半導体基板1上に、絶縁膜として窒化シリコン膜10を形成する(図6のステップS18)。このステップS18では、メモリゲート電極MGの下面上の酸化シリコン膜9bと半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面上の酸化シリコン膜9aとの間(すなわち隙間CAVa)に、窒化シリコン膜10aが形成される。なお、図29は、図28の部分拡大断面図であり、図28におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されているが、図29では、n型半導体領域EXa,EXbは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある。
【0133】
ステップS18で窒化シリコン膜10を形成する際には、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域において、酸化シリコン膜9aと酸化シリコン膜9bとの間に窒化シリコン膜10の一部(すなわち窒化シリコン膜10a)が形成されるようにすることが重要である。このため、ステップS18で窒化シリコン膜10を形成するには、ステップカバレッジ(段差の被覆性能)が高い成膜法を用いることが好ましく、低圧CVD法、プラズマCVD法、あるいはALD(Atomic Layer Deposition)法などを単独で、あるいは、組み合わせて用いて窒化シリコン膜10を形成することが好ましい。
【0134】
ステップS18では、半導体基板1の主面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEを覆うように、窒化シリコン膜10が形成される。上述したように、ステップS16で酸化シリコン膜9を形成すると、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間の領域において、酸化シリコン膜9a(の上面)と酸化シリコン膜9b(の下面)との間に隙間CAVa(上記図25に図示している)が存在した状態となっている。図25と図29とを比べると分かるように、ステップS18では、この隙間CAVaに窒化シリコン膜10aが形成される。隙間CAVa内が窒化シリコン膜10aで満たされるようにすれば、より好ましい。窒化シリコン膜10のうち、隙間CAVa内に形成された部分が、窒化シリコン膜10aであるため、窒化シリコン膜10aは、窒化シリコン膜10と同工程で形成された膜であり、窒化シリコン膜10と一体的に形成されており、窒化シリコン膜10の一部である。
【0135】
隙間CAVaの上部には酸化シリコン膜9bが存在し、隙間CAVaの下部には酸化シリコン膜9aが存在しているため、ステップS18で隙間CAVa内に窒化シリコン膜10aが形成されると、窒化シリコン膜10aは、酸化シリコン膜9bと酸化シリコン膜9aとで上下に挟まれた状態となる。このため、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に、酸化シリコン膜9aと酸化シリコン膜9bと酸化シリコン膜9a,9bに挟まれた窒化シリコン膜10aとが存在した状態となる。
【0136】
つまり、ステップS18では、半導体基板1上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEを覆うように窒化シリコン膜10を形成し、窒化シリコン膜10の一部(すなわち窒化シリコン膜10a)が、メモリゲート電極MGの下面上の酸化シリコン膜9bと半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面上の酸化シリコン膜9aとの間(すなわち隙間CAVa)に形成されるようにするのである。
【0137】
窒化シリコン膜10aは、酸化シリコン膜9aと酸化シリコン膜9bとに挟まれているが、窒化シリコン膜10aの上面に接しているのは、メモリゲート電極MGの下面に形成された酸化シリコン膜9bであり、窒化シリコン膜10aの下面に接しているのは、半導体基板1(p型ウエルPW1)の表面に形成された酸化シリコン膜9aである。窒化シリコン膜10aの厚みは、上記隙間CAVaの厚みとほぼ同じであり、例えば5〜15nm程度とすることができる。
【0138】
次に、図30に示されるように、窒化シリコン膜10上に、絶縁膜として酸化シリコン膜11を形成する(図6のステップS19)。なお、図31は、図30の部分拡大断面図であり、図30におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されているが、図31では、n型半導体領域EXa,EXbは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある。
【0139】
ステップS19で酸化シリコン膜11を形成すると、半導体基板1の主面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEを覆うように、窒化シリコン膜10および酸化シリコン膜11の積層膜が形成された状態となる。上記隙間CAVaには窒化シリコン膜10aが形成されているので、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域には、酸化シリコン膜11は形成されない。
【0140】
なお、本実施の形態では、窒化シリコン膜10上に酸化シリコン膜11を形成したが、他の形態として、ステップS19の酸化シリコン膜11の形成工程を省略することもできる。ステップS19の酸化シリコン膜11の形成工程を省略する場合には、その分、窒化シリコン膜10の厚みを厚くしておけばよい。更に他の形態として、ステップS19で酸化シリコン膜11の代わりに他の絶縁材料膜を形成することもでき、また、酸化シリコン膜11の代わりに複数の絶縁膜を形成することもできる。
【0141】
次に、図32に示されるように、異方性エッチング技術により、酸化シリコン膜11および窒化シリコン膜10をエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)する(図6のステップS20)。なお、図33は、図32の部分拡大断面図であり、図32におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されているが、図33では、n型半導体領域EXa,EXbは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある。
【0142】
ステップS20のエッチバック工程では、酸化シリコン膜11および窒化シリコン膜10の堆積膜厚の分だけ酸化シリコン膜11および窒化シリコン膜10の積層膜を異方性エッチング(エッチバック)することにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの側壁上に、前記積層膜をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域の前記積層膜を除去する。また、半導体基板1の表面に酸化シリコン膜9が形成されていたので、この酸化シリコン膜9も、酸化シリコン膜11および窒化シリコン膜10とともにエッチング(異方性エッチング、エッチバック)される。これにより、図32および図33に示されるように、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの各側壁上に、サイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SWが形成される。サイドウォールスペーサSWのうち、サイドウォールスペーサSW1は、メモリゲート電極MGの側壁(酸化シリコン膜6aを介して制御ゲート電極CGに隣接している側とは反対側の側壁)上に形成され、サイドウォールスペーサSW2は、制御ゲート電極CGの側壁(酸化シリコン膜6aを介してメモリゲート電極MGに隣接している側の側壁とは反対側の側壁)上に、側壁絶縁膜8aを介して形成される。すなわち、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGにおいては、互いに隣接する側とは反対側の側壁上に、サイドウォールスペーサSW(SW1,SW2)が形成された状態となる。また、サイドウォールスペーサSWのうち、サイドウォールスペーサSW3は、ゲート電極GEの両側壁上に、側壁絶縁膜8aを介して形成される。
【0143】
サイドウォールスペーサSWは、酸化シリコン膜9と窒化シリコン膜10と酸化シリコン膜11とで形成されている。具体的には、メモリゲート電極MGの側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW1は、酸化シリコン膜9a,9bと窒化シリコン膜10bと酸化シリコン膜11aとで形成されており、窒化シリコン膜10bは、サイドウォールスペーサSW1の一部として残存した窒化シリコン膜10からなり、酸化シリコン膜11aは、サイドウォールスペーサSW1の一部として残存した酸化シリコン膜11からなる。また、サイドウォールスペーサSW1を構成する酸化シリコン膜9bは、メモリゲート電極MGの側面(サイドウォールスペーサSW1に接する側面)に形成されている酸化シリコン膜9bであり、サイドウォールスペーサSW1を構成する酸化シリコン膜9aは、メモリゲート電極MGの下方よりも外側(サイドウォールスペーサSW1側)に形成されている酸化シリコン膜9aである。
【0144】
メモリゲート電極MGの下面に形成されている酸化シリコン膜9bと、メモリゲート電極MGの下方(の半導体基板1の表面)に形成されている酸化シリコン膜9aとは、サイドウォールスペーサSW1とはならず、それらの間の窒化シリコン膜10aも含めて、メモリトランジスタのゲート絶縁膜(電荷蓄積機能を有するゲート絶縁膜)として機能する。
【0145】
メモリゲート電極MGおよび半導体基板1(p型ウエルPW1)間とメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間とに絶縁膜5が形成された状態となるが、この絶縁膜5は、窒化シリコン膜10aを酸化シリコン膜9a,9bで挟んだ積層膜と、それに隣接する酸化シリコン膜6aとで形成される。そして、窒化シリコン膜10a(すなわち窒化シリコン膜10aに一体的に形成されている窒化シリコン膜10b)と酸化シリコン膜9a,9bとは、メモリゲート電極MGの直下の領域の外側まで延在してサイドウォールスペーサSW1の一部を形成している。
【0146】
また、制御ゲート電極CGの側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2は、酸化シリコン膜9cと窒化シリコン膜10cと酸化シリコン膜11bとで形成されており、窒化シリコン膜10cは、サイドウォールスペーサSW2の一部として残存した窒化シリコン膜10からなり、酸化シリコン膜11bは、サイドウォールスペーサSW2の一部として残存した酸化シリコン膜11からなる。サイドウォールスペーサSW3の構成は、サイドウォールスペーサSW2とほぼ同様である。
【0147】
次に、図34に示されるように、n型半導体領域(不純物拡散層)12a,12b,12cをイオン注入法などを用いて形成する(図6のステップS21)。
【0148】
ステップS21においては、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEとそれらの側壁上の側壁絶縁膜8aおよびサイドウォールスペーサSW1,SW2,SW3とをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板1(p型ウエルPW1,PW2)に導入することで、n型半導体領域12a,12b,12cを形成することができる。この際、n型半導体領域12aは、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサSW1に自己整合して形成され、n型半導体領域12bは、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの側壁上のサイドウォールスペーサSW2に自己整合して形成される。また、n型半導体領域12cは、周辺回路領域1Bにおいて、ゲート電極GEの両側壁上のサイドウォールスペーサSW3に自己整合して形成される。これにより、LDD(lightly doped drain)構造が形成される。
【0149】
このようにして、n型半導体領域EXaとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域12aとにより、メモリトランジスタのソース領域として機能するn型の半導体領域MSが形成され、n型半導体領域EXbとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域12bとにより、制御トランジスタのドレイン領域として機能するn型の半導体領域MDが形成される。また、n型半導体領域EXcとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域12cとにより、周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域として機能するn型の半導体領域SDが形成される。
【0150】
次に、ソースおよびドレイン用のn型の半導体領域MS,MD,SD(n型半導体領域EXa,EXb,EXcおよびn型半導体領域12a,12b,12c)に導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0151】
このようにして、メモリセル領域1Aに不揮発性メモリのメモリセルMCが形成され、周辺回路領域1BにMISFETが形成される。
【0152】
次に、半導体基板1の主面全面上に酸化シリコン膜をCVD法などにより形成する。次にフォトリソグラフィ法、エッチング法を用いて、n型半導体領域12a,12b,12cの上面(表面)と制御ゲート電極CGの上面とメモリゲート電極MGの上面とゲート電極GEの上面とを露出させる。それから、図35に示されるように、n型半導体領域12a,12b,12cの上面上とメモリゲート電極MGの上面(サイドウォールスペーサSW1で覆われていない部分)上と制御ゲート電極CGの上面上とゲート電極GEの上面上とを含む半導体基板1の主面全面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE及びサイドウォールスペーサSW1、SW2,SW3を覆うように、金属膜13aを形成(堆積)する。金属膜13aは、例えばコバルト(Co)膜またはニッケル(Ni)膜などからなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
【0153】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施すことによって、n型半導体領域12a,12b,12c、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの上層部分(表層部分)を金属膜13aと反応さる。これにより、図36に示されるように、n型半導体領域12a,12b,12c、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの上部(上面、表面、上層部)に、それぞれ金属シリサイド層13が形成される。金属シリサイド層13は、例えばコバルトシリサイド層(金属膜13aがコバルト膜の場合)またはニッケルシリサイド層(金属膜13aがニッケル膜の場合)とすることができる。その後、未反応の金属膜13aを除去する。図36にはこの段階の断面図が示されている。このように、いわゆるサリサイドプロセスを行うことによって、n型半導体領域12a,12b,12c、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの上部に金属シリサイド層13を形成し、それによって、ソース、ドレインや各ゲート電極(CG,MG,GE)の抵抗を低抵抗化することができる。
【0154】
次に、図37に示されるように、半導体基板1の主面全面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW1,SW2,SW3を覆うように、絶縁膜14を形成(堆積)し、絶縁膜14上に絶縁膜15を形成(堆積)する。それから、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて絶縁膜15の上面を平坦化する。
【0155】
絶縁膜14は好ましくは窒化シリコン膜からなり、絶縁膜14上の絶縁膜15は好ましくは酸化シリコン膜などからなり、それぞれCVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜14の膜厚は、絶縁膜15の膜厚よりも薄い。厚い絶縁膜15は、層間絶縁膜として機能し、薄い絶縁膜14は、絶縁膜15にコンタクトホールを形成する際のエッチングストッパ膜としてとして機能する。
【0156】
次に、図38に示されるように、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜15上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、絶縁膜15および絶縁膜14をドライエッチングすることにより、絶縁膜14,15にコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNTを形成する。コンタクトホールCNTを形成する際には、まず絶縁膜15をドライエッチングして絶縁膜14をエッチングストッパ膜として機能させ、その後、コンタクトホールCNTの底部の絶縁膜14をドライエッチングで除去して、絶縁膜14,15を貫通するコンタクトホールCNTを形成する。このように、絶縁膜14を、絶縁膜(層間絶縁膜)15をエッチングする際のエッチングストッパとして機能させることで、コンタクトホールCNTをエッチングにより形成する際に、その掘り過ぎにより下層に損傷を与えたり、加工寸法精度が劣化したりすることを回避することができる。
【0157】
コンタクトホールCNTは、n型半導体領域12a,12b,12c、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEの上部などに形成される。コンタクトホールCNTの底部では、半導体基板1の主面の一部、例えばn型半導体領域12a,12b,12c(の表面上の金属シリサイド層13)の一部、制御ゲート電極CG(の表面上の金属シリサイド層13)の一部、メモリゲート電極MG(の表面上の金属シリサイド層13)の一部、あるいはゲート電極GE(の表面上の金属シリサイド層13)の一部などが露出される。なお、図38の断面図においては、n型半導体領域12b,12c(の表面上の金属シリサイド層13)の一部がコンタクトホールCNTの底部で露出した断面が示されている。
【0158】
次に、コンタクトホールCNT内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグ(接続用導体部)PGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜15上に、バリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン膜などからなる主導体膜をコンタクトホールCNTを埋めるように形成し、絶縁膜15上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図38では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜(タングステン膜)を一体化して示してある。
【0159】
次に、図39に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜15上に、絶縁膜16を形成する。絶縁膜16は、複数の絶縁膜の積層膜で形成することもできる。
【0160】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線である配線M1を形成する。具体的には、次のようにして配線M1を形成することができる。まず、フォトレジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜16の所定の領域に配線溝を形成した後、配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜16上にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成する。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成して、銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝以外の領域の主導体膜(銅めっき膜およびシード層)とバリア導体膜をCMP法により除去して、配線溝に埋め込まれた銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。図39においては、図面の簡略化のために、配線M1は、バリア導体膜、シード層および銅めっき膜を一体化して示してある。
【0161】
配線M1はプラグPGを介して、メモリトランジスタのソース領域(半導体領域MS)、制御トランジスタのドレイン領域(半導体領域MD)、周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域(半導体領域SD)、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGあるいはゲート電極GEなどと電気的に接続される。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0162】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0163】
次に、比較例を参照しながら、本実施の形態の構成や効果について、より詳細に説明する。
【0164】
まず、比較例の半導体装置について説明する。図40は、比較例の半導体装置の要部断面図であり、本実施の形態の上記図2に相当するものである。
【0165】
図40に示される比較例の半導体装置は、不揮発性メモリのメモリセルを有する半導体装置であり、半導体基板101のp型ウエルPW101の上部に、不揮発性メモリセルを構成する制御ゲート電極CG101とメモリゲート電極MG101とが互いに隣合うように形成されている。制御ゲート電極CG101とp型ウエルPW101との間には、ゲート絶縁膜としての絶縁膜103が形成されている。また、メモリゲート電極MG101とp型ウエルPW101との間および制御ゲート電極CG101とメモリゲート電極MG101との間には、酸化シリコン膜105a、窒化シリコン膜105bおよび酸化シリコン膜105cの積層膜からなる絶縁膜105が形成されている。制御ゲート電極CG101およびメモリゲート電極MG101は、それぞれn型ポリシリコン膜により形成されている。p型ウエルPW101には、ソース領域として機能する半導体領域が、n型半導体領域EX101aとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域112aとにより形成され、ドレイン領域として機能する半導体領域が、n型半導体領域EX101bとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域112bとにより形成されている。制御ゲート電極CG101およびメモリゲート電極MG101の互いに隣接する側とは反対側の側壁上にはサイドウォールスペーサSW101,SW102が形成されている。また、n型半導体領域112a,112b、制御ゲート電極CG101およびメモリゲート電極MG101の上部には金属シリサイド層113が形成されている(図40においてn型半導体領域112a,112b上の金属シリサイド層113は図示を省略している)。半導体基板101上には、制御ゲート電極CG101、メモリゲート電極MG101およびサイドウォールスペーサSW101,SW102を覆うように、層間絶縁膜(図示せず)が形成されている。
【0166】
図40に示される比較例の半導体装置では、絶縁膜105は、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の領域と、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101の間の領域の、両領域にわたって連続的に延在しており、絶縁膜105全体が、酸化シリコン膜105aと窒化シリコン膜105bと酸化シリコン膜105cとの積層膜で構成されている。このため、窒化シリコン膜105bは、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中だけでなく、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101の間の絶縁膜105中にも存在している。
【0167】
このような構造の比較例の半導体装置は、次のような課題を有している。
【0168】
上述したように、不揮発性メモリへの書込み方式は、SSI方式とFN方式とがあり、消去方法は、BTBT方式とFN方式とがある。不揮発性メモリへの書込み時には、SSI方式とFN方式のいずれの場合も、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bに電子を注入する。不揮発性メモリの消去時には、BTBT方式とFN方式のいずれの場合も、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにホール(正孔)を注入する。
【0169】
SSI方式で書込む際には、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにおいて、均一に電子が注入されるのではなく、ホットエレクトロンの発生場所に起因して、ソース領域側の領域よりも、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域に高密度に電子が注入されてしまう傾向にある。
【0170】
また、FN方式の書込みでは、SSI方式の書込みに比べると、窒化シリコン膜105bに比較的均一に電子が注入されやすい。しかしながら、そのFN方式の書込みでも、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにおいて、メモリゲート電極MG101の角部MG101aでの電界集中に起因して、ソース領域側の領域よりも、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域に高密度に電子が注入されてしまう傾向にある。
【0171】
従って、SSI方式の書込みとFN方式の書込みのいずれの場合にも、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにおいて、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域に高密度に電子が注入されてしまう傾向がある。
【0172】
一方、BTBT方式の消去では、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにおいて、均一にホールが注入されるのではなく、ホットホールの発生場所に起因して、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域よりも、ソース領域側の領域に高密度に電子が注入されてしまう傾向にある。
【0173】
また、FN方式の消去では、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにおいて、メモリゲート電極MG101の角部MG101aでの電界集中に起因して、ソース領域側の領域よりも、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域に高密度にホールが注入されてしまう傾向にある。
【0174】
このため、書込みがSSI方式でかつ消去がBTBT方式の場合(動作方式A)と、書込みがFN方式でかつ消去がBTBT方式の場合(動作方式C)とでは、絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにおいて、書込み時に電子が注入されやすい位置と、消去時にホールが注入されやすい位置とがずれているため、消去動作後に、電荷の消し残りが生じてしまう。すなわち、図40において点線で囲まれた領域122における窒化シリコン膜105b中に、SSI方式またはFN方式の書込み時に電子が他の領域よりも高密度に注入されるが、BTBT方式の消去時には、この領域122の窒化シリコン膜105b中にはホールが注入されにくいため、消去後に、この領域122の窒化シリコン膜105b中に消し残りの電子が残りやすい。窒化シリコン膜105b中に消し残りの電子があると、この消し残りの電子に起因してメモリトランジスタのしきい値電圧が変動してしまう虞があり、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能低下を招く虞がある。
【0175】
また、書込みがSSI方式でかつ消去がFN方式の場合(動作方式B)と、書込みがFN方式でかつ消去がFN方式の場合(動作方式D)とでは、絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにおいて、書込み時に電子が注入されやすい位置と、消去時にホールが注入されやすい位置とがほぼ一致しているため、消去動作後に、電荷の消し残りが生じにくい。すなわち、図40において点線で囲まれた領域122における窒化シリコン膜105b中に、SSI方式またはFN方式の書込み時に電子が他の領域よりも高密度に注入されるが、FN方式の消去時には、この領域122の窒化シリコン膜105b中にホールが注入されやすいため、消去後に、この領域122の窒化シリコン膜105b中に消し残りの電子が残りにくい。このため、窒化シリコン膜105bにおける消し残りの電荷に起因したメモリトランジスタのしきい値電圧の変動は生じにくい。しかしながら、動作方式Bの場合と、動作方式Dの場合とでは、メモリゲート電極MG101の角部MG101aでの電界集中に起因して、メモリゲート電極MG101の角部MG101aと半導体基板101(p型ウエルPW101)との間の絶縁膜105の中の窒化シリコン膜105b(領域122の窒化シリコン膜105bにほぼ対応)に多量に電荷が注入される。このため、メモリゲート電極MG101の角部MG101aと半導体基板101(p型ウエルPW101)との間の絶縁膜105(領域122の絶縁膜105にほぼ対応)が劣化して絶縁膜105の信頼性が低下する虞があり、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能低下を招く虞がある。
【0176】
このような課題を、上記比較例の半導体装置は有している。
【0177】
それに対して、本実施の形態では、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MG1と制御ゲート電極CG1の間の領域とで、介在する絶縁膜(5)の構成(構造)が異なっている。
【0178】
すなわち、本実施の形態では、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間に形成された絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間の部分(第1の部分、ゲート絶縁膜部分)5aは、酸化シリコン膜9aと酸化シリコン膜9bと酸化シリコン膜9a,9bに挟まれた窒化シリコン膜10aとを有している。そして、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間に形成された絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の部分(第2の部分、絶縁部分)5bは、酸化シリコンからなり、窒化シリコン膜10aを有していない。
【0179】
ここで、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間に形成された絶縁膜5を、ゲート絶縁膜部分5aと絶縁部分5bと角部分5cとに仮想的に分けて(区分けして)考えることとする。図41は、本実施の形態の半導体装置の説明図であり、ゲート絶縁膜部分5a、絶縁部分5bおよび角部分5cが絶縁膜5のどの部分を指しているのかを模式的に示してある。図41は、上記図2に対応する断面が示されており、図41では、絶縁膜5を、ゲート絶縁膜部分5a、絶縁部分5bおよび角部分5cに仮想的に分けて(区分けして)示してあるが、実際には、絶縁膜5は上記図2のような断面構造を有しており、絶縁膜5は、酸化シリコン膜6a,9a,9bおよび窒化シリコン膜10aによって形成されている。
【0180】
メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間に形成された絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間の部分5aを、「ゲート絶縁膜部分5a」と称することとする。また、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間に形成された絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の部分5bを、「絶縁部分5b」と称することとする。また、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間に形成された絶縁膜5のうち、ゲート絶縁膜部分5aと絶縁部分5bとの間の部分(第3の部分、角部分)5cを、「角部分5c」と称することとする。ゲート絶縁膜部分5aと絶縁部分5bとの間に、角部分5aが介在している。なお、制御ゲート電極CGの側面26は、絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGに対向する側の側面であり、メモリゲート電極MGの側面25は、絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGに対向する側の側面である。また、メモリゲート電極MGの下面24は、ゲート絶縁膜部分5aに接している面である。
【0181】
ゲート絶縁膜部分5aは、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間に位置しているため、メモリトランジスタのゲート絶縁膜として機能することができる。ゲート絶縁膜部分5aにおける窒化シリコン膜10aは、メモリセルの電荷蓄積部(電荷蓄積層)として機能することができる。
【0182】
絶縁部分5bは、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間に位置しているため、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとを絶縁分離するよう機能することができる。
【0183】
角部分5cは、断面(図1、図2および図41の断面に対応)がL字型の絶縁膜5の角部に位置している。このため、ゲート絶縁膜部分5aと角部分5cとは、半導体基板1の主面に沿って(すなわち半導体基板1の主面にほぼ平行に)延在しており、また、絶縁部分5bと角部分5cとは、上下方向(すなわち半導体基板1の主面に略垂直な方向)に延在しており、絶縁膜5において、横方向(半導体基板1の主面に平行な方向)から上下方向(半導体基板1の主面に略垂直な方向)への折れ曲がりの角部分が、角部分5cに対応している。
【0184】
絶縁膜5において、ゲート絶縁膜部分5aはメモリゲート電極MGの直下に位置しているが、絶縁部分5bと角部分5cとは、メモリゲート電極MGの直下には位置していない。図41からも分かるように、絶縁部分5bと角部分5cとの境界は、角部分5c近傍におけるメモリゲート電極MGの下面24の延長面と一致し、ゲート絶縁膜部分5aと角部分5cとの境界は、角部分5c近傍におけるメモリゲート電極MGの側面25の延長面と一致している。
【0185】
本実施の形態では、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面(表面)との間に位置するゲート絶縁膜部分5aが、酸化シリコン膜9a,9bに挟まれた窒化シリコン膜10aを有していることで、この窒化シリコン膜10aに電荷を蓄積させることができ、それによって、メモリトランジスタに情報を記憶させることができる。
【0186】
そして、本実施の形態では、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間に位置する絶縁部分5bが、酸化シリコン(より特定的には酸化シリコン膜6a)からなり、窒化シリコン膜10aを有していない。本実施の形態では、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の部分5b(すなわち絶縁部分5b)が窒化シリコン膜10aを有していないことを、主要な特徴の一つとしている。
【0187】
また、本実施の形態では、上述したように、酸化シリコン膜6を除去して形成された空洞CAVに、酸化シリコン膜9a,9bを形成し、その後、酸化シリコン膜9a,9bの隙間CAVaに窒化シリコン膜10aを形成することで、酸化シリコン膜6a,9a,9bおよび窒化シリコン膜10aからなる絶縁膜5を形成している。このため、絶縁膜5は、酸化シリコン膜6aからなる領域と、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜10aと酸化シリコン膜9bとの積層膜からなる領域とで構成され、両領域は隣接している。すなわち、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜10aと酸化シリコン膜9bとの積層膜(の端部)と、酸化シリコン膜6a(の端部)とが隣接している。
【0188】
図42〜図45は、絶縁膜5における窒化シリコン膜10aの形成領域を説明するための説明図(要部断面図、部分拡大断面図)であり、上記図2の一部を拡大したものに対応している。なお、図42〜図45では、n型半導体領域EXaは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある。
【0189】
図42〜図45に示されるように、窒化シリコン膜10aの端部23は酸化シリコン膜6a(の端部)と隣接している。すなわち、窒化シリコン膜10aの端部23は、酸化シリコン膜6a(の端部)と隣接する側の端部である。この窒化シリコン膜10aの端部23の位置が、図42〜図45のそれぞれで相違している。
【0190】
図42の場合は、窒化シリコン膜10aの端部23は絶縁部分5b内に位置している。このため、図42の場合は、絶縁部分5bが窒化シリコン膜10aを有した状態となっている。
【0191】
図42の場合のように、窒化シリコン膜10aが、制御ゲート電極CGの側面とメモリゲート電極MGの側面との間の絶縁部分5b中にも延在していると、絶縁部分5b中の窒化シリコン膜10a(図42において点線で囲まれた領域31内の窒化シリコン膜10aに対応)には電荷が注入されにくいが、一旦電荷が注入されてしまうと、その電荷は消滅させ難い(なぜなら逆極性の電荷も注入されにくいため)。そして、絶縁部分5b中の窒化シリコン膜10a(図42において点線で囲まれた領域31内の窒化シリコン膜10aに対応)に注入された電荷が、メモリトランジスタのしきい値電圧を変動させる虞がある。この現象は、上記動作方式A,B,C,Dのいずれの場合も生じ得る。
【0192】
そこで、本実施の形態では、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の絶縁部分5bには、窒化シリコン膜10aが延在しないようにする。図43〜図45は、この条件を満たしている。図43〜図45では、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の絶縁部分5bには窒化シリコン膜10aが延在しておらず、この絶縁部分5bは酸化シリコン(より特定的には酸化シリコン膜6a)で形成されている。このため、図43〜図45の場合は、制御ゲート電極CGの側面とメモリゲート電極MGの側面との間の絶縁部分5b中の窒化シリコン膜10aに電荷が注入されることが無いため、絶縁部分5b中の窒化シリコン膜10aに注入された電荷に起因して、メモリトランジスタのしきい値電圧が変動するのを防止することができる。
【0193】
また、図43〜図45の各図の構造では、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の絶縁部分5bには窒化シリコン膜10aが延在していない点は共通である。しかしながら、上記図40の比較例を参照して説明した上記課題を解決または改善するためには、窒化シリコン膜10aの端部23の位置は重要である。
【0194】
図43や図44の場合は、絶縁膜5の角部分5cには、窒化シリコン膜10aは延在していない。図45の場合は、絶縁膜5の角部分5cにも窒化シリコン膜10aが延在しているが、絶縁膜5の角部分5cに延在する窒化シリコン膜10aの長さは、図42の場合に比べて短い。
【0195】
上記図40の比較例を参照して説明した上記課題を解決または改善するためには、絶縁膜5の角部分5cに存在する窒化シリコン膜10aを少なくすることが有効であり、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在しないようにすることが、より好ましい。その理由は、次のようなものである。
【0196】
上記図40の比較例の半導体装置では、上述したように、動作方式Aの場合と動作方式Cの場合は、絶縁膜105中の窒化シリコン膜105bにおいて、書込み時に電子が注入されやすい位置と、消去時にホールが注入されやすい位置とがずれているため、消去動作後に、電荷の消し残りが生じてしまい、この消し残りの電子に起因してメモリトランジスタのしきい値電圧が変動してしまう虞がある。これは、上記図40において点線で囲まれた領域122における窒化シリコン膜105b中に、書込み時に電子が他の領域よりも高密度に注入され、消去時には、この領域122の窒化シリコン膜105b中にはホールが注入されにくいため、消去後に、この領域122の窒化シリコン膜105b中に消し残りの電子が残りやすいことに起因している。
【0197】
上記領域122の絶縁膜105は、本実施の形態では、絶縁膜5の角部分5cに相当している。このため、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在すると、その窒化シリコン膜10aに、消去動作後の電荷の消し残りが生じやすく、それに起因してメモリトランジスタのしきい値電圧の変動が生じる可能性がある。そこで、本実施の形態では、絶縁膜5の角部分5cに存在する窒化シリコン膜10aを、上記図40の比較例の半導体装置に比べて少なくし、より好ましくは、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在しないようにしている。
【0198】
絶縁膜5の角部分5cに存在する窒化シリコン膜10aを、上記図40の比較例の半導体装置に比べて少なくすれば、角部分5cに存在する窒化シリコン膜10a中に書込み時に注入される電子の量を少なくすることができるため、消去後に角部分5cの窒化シリコン膜10a中に消し残りの電子が残るのを抑制することができる。
【0199】
そして、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在しないようにすれば、書込み時には、角部分5cには窒化シリコン膜10aが無いため電子が注入されず、ゲート絶縁膜部分5aの窒化シリコン膜10aにのみ電子が注入される。消去動作時には、ゲート絶縁膜部分5aの窒化シリコン膜10aにはホールが注入されやすく、ホールが注入されにくいはずの角部分5cには窒化シリコン膜10aが無いため、消去後に絶縁膜5(の窒化シリコン膜10a)中に消し残りの電子が残るのを更に的確に抑制することができる。
【0200】
つまり、本実施の形態では、書込み時に電子が注入されやすいが消去時にホールが注入されにくい位置にある角部分5cにおいて、電荷をトラップする窒化シリコン膜10aを少なくするか、無くすことで、消去動作後の電荷の消し残りを抑制または防止することができる。このため、電荷の消し残りに起因してメモリトランジスタのしきい値電圧の変動が生じるのを、抑制または防止することができる。従って、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能を向上することができる。
【0201】
また、上記図40の比較例の半導体装置では、上述したように、動作方式Bの場合と動作方式Dの場合は、メモリゲート電極MG101の角部MG101aでの電界集中に起因して、メモリゲート電極MG101の角部MG101aと半導体基板101との間の絶縁膜105の中の窒化シリコン膜105b(領域122の窒化シリコン膜105bにほぼ対応)に多量に電荷が注入される。このため、メモリゲート電極MG101の角部MG101aと半導体基板101(p型ウエルPW101)との間の絶縁膜105(領域122の絶縁膜105にほぼ対応)が劣化して絶縁膜105の信頼性が低下する虞がある。この絶縁膜105の劣化しやすい領域は、本実施の形態では、絶縁膜5の角部分5cに相当している。このため、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在すると、その窒化シリコン膜10aに、多量に電荷が注入されてしまい、角部分5cが劣化して絶縁膜5の信頼性が低下する可能性がある。そこで、本実施の形態では、絶縁膜5の角部分5cに存在する窒化シリコン膜10aを、上記図40の比較例の半導体装置に比べて少なくし、より好ましくは、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在しないようにしている。
【0202】
絶縁膜5の角部分5cに存在する窒化シリコン膜10aを、上記図40の比較例の半導体装置に比べて少なくすれば、角部分5cに存在する窒化シリコン膜10a中に注入される電荷の量を少なくすることができるため、絶縁膜5の角部分5cが劣化するのを抑制することができる。
【0203】
そして、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在しないようにすれば、絶縁膜5の角部分5cは窒化シリコン膜10aが無いため電荷が注入されず、絶縁膜5の角部分5cが劣化するのを更に的確に抑制することができる。
【0204】
つまり、本実施の形態では、電荷が多量に注入されやすい位置にある角部分5cにおいて、電荷をトラップする窒化シリコン膜10aを少なくするか、無くすことで、絶縁膜5の角部分5cが劣化するのを抑制または防止することができる。このため、絶縁膜5が劣化するのを抑制または防止できるため、絶縁膜5の信頼性を向上することができる。従って、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能を向上することができる。
【0205】
窒化シリコン膜10aの端部23が、メモリゲート電極MGの直下に位置している場合は、絶縁膜5の角部分5cには窒化シリコン膜10aが存在しない。図43および図44のいずれの場合も、窒化シリコン膜10aの端部23は、メモリゲート電極MGの直下に位置しており、絶縁膜5の角部分5cには窒化シリコン膜10aが存在していない。このような構成をとると、不揮発性メモリの動作方式が動作方式Aまたは動作方式Cのいずれかの場合には、上述したように、消去後の電荷の消し残りを抑制でき、電荷の消し残りに起因したメモリトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制または防止することができる。また、不揮発性メモリの動作方式が動作方式Bまたは動作方式Dのいずれかの場合には、上述したように、絶縁膜5の劣化を抑制または防止でき、絶縁膜5の信頼性を向上することができる。従って、不揮発性メモリの動作方式が動作方式A、動作方式B、動作方式Cまたは動作方式Dのいずれの場合にも、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能を向上することができる。
【0206】
なお、窒化シリコン膜10aの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置している場合(図43または図44に対応)は、絶縁膜5の絶縁部分5bおよび角部分5cは窒化シリコン膜10aを有しておらず、絶縁部分5bおよび角部分5cは、酸化シリコン(より特定的には酸化シリコン膜6a)で構成された状態となる。
【0207】
窒化シリコン膜10aの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置している場合は、図43の場合と図44の場合とに分類される。
【0208】
図43の場合は、窒化シリコン膜10aの端部23は、メモリゲート電極MGの側面25の直下に位置しており、ゲート絶縁膜部分5aは、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜10aと酸化シリコン膜9bとが積層された積層構造を有している。
【0209】
図44の場合は、窒化シリコン膜10aの端部23は、メモリゲート電極MGの側面25の直下の位置よりも、制御ゲート電極CGから遠い(離れる)側(すなわちソース領域に近づく側)に位置している。このため、図44の場合は、ゲート絶縁膜部分5aは、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜10aと酸化シリコン膜9bとが積層された部分5dと、酸化シリコン(より特定的には酸化シリコン膜6a)からなる部分5eとを有し、部分5eは部分5dと角部分5cとの間に位置したものとなる。より具体的に説明すると、ゲート絶縁膜部分5aは、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜10aと酸化シリコン膜9bとが積層された部分5dと、酸化シリコン(より特定的には酸化シリコン膜6a)からなる部分5eとで構成され、部分5eが角部分5cに隣接し、部分5dと部分5eとの境界に、窒化シリコン膜10aの端部23が位置している。
【0210】
図43の場合と図44の場合のいずれも、窒化シリコン膜10aの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置しており、絶縁膜5の角部分5cが窒化シリコン膜10aを有していないため、上述したメモリトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制または防止できる効果(動作方式Aまたは動作方式Cの場合)、あるいは上述した絶縁膜5の信頼性を向上できる効果(動作方式Bまたは動作方式Dの場合)を得ることができる。しかしながら、図44の場合は、更に次のような効果を得ることができる。
【0211】
すなわち、上記ステップS14で酸化シリコン膜6をエッチングすることで空洞CAVを形成し、この空洞CAVの端部の位置により窒化シリコン膜10aの端部の位置23が決まるが、エッチング条件の変動などに起因して、空洞CAVの端部の位置(すなわち窒化シリコン膜10aの端部23の位置)が多少変動する可能性がある。このため、図44の場合のように、窒化シリコン膜10aの端部23を、メモリゲート電極MGの側面25の直下の位置よりも、制御ゲート電極CGから遠い(離れる)側に設定しておけば、窒化シリコン膜10aの端部23の位置が多少変動したとしても、窒化シリコン膜10aの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置し、絶縁膜5の絶縁部分5bおよび角部分5cが窒化シリコン膜10aを有していない状態を維持できる。これにより、多少工程変動(具体的には上記ステップS14の工程変動)が生じても、絶縁膜5の絶縁部分5bおよび角部分5cが窒化シリコン膜10aを有していない状態を維持できるため、上述したメモリトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制または防止できる効果(動作方式Aまたは動作方式Cの場合)、あるいは上述した絶縁膜5の信頼性を向上できる効果(動作方式Bまたは動作方式Dの場合)を、より的確に得ることができる。従って、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能をより的確に向上させることができる。
【0212】
一方、図43の場合は、ゲート絶縁膜部分5a全体が、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜10aと酸化シリコン膜9bとが積層された積層構造を有しているため、書込み速度を向上する点では有利である。
【0213】
また、上記図40の比較例を参照して説明した上記課題を解決または改善するためには、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在しないようにすることが極めて有効であるが、絶縁膜5の角部分5cに窒化シリコン膜10aが存在していても、上記図40の比較例の場合に比べて、絶縁膜5の角部分5cにおける窒化シリコン膜10aを少なくすれば、上記図40の比較例の場合に比べて、上記課題を改善することができる。この場合の例が、図45に対応している。
【0214】
すなわち、図45の場合は、窒化シリコン膜10aの端部23が、メモリゲート電極MGの下面24よりも低い位置で、かつ、メモリゲート電極MGの側面25の直下の位置よりも制御ゲート電極CGに近い側に位置している。この場合、窒化シリコン膜10aの端部23は、角部分5c内に位置しており、ゲート絶縁膜部分5a(ゲート絶縁膜部分5a全体)は、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜10aと酸化シリコン膜9bとが積層された積層構造を有している。このような構造とすれば、上記図40の比較例の場合に比べて、絶縁膜5の角部分5cにおける窒化シリコン膜10aが少なくなるため、上記図40の比較例の場合に比べて、上述した課題を改善することができる。すなわち、上記図40の比較例の場合に比べて、消去後の電荷の消し残りを抑制してメモリトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制または防止することができる効果(動作方式Aまたは動作方式Cの場合)、あるいは絶縁膜5(の角部分5c)の劣化を抑制して絶縁膜5の信頼性を向上することができる効果(動作方式Bまたは動作方式Dの場合)を得ることができる。従って、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能を向上させることができる。
【0215】
窒化シリコン膜10aの端部23の位置は、上記ステップS14のエッチング工程におけるエッチング条件(例えばエッチング時間など)を調整することで、制御することができる。上記ステップS14で形成される空洞CAVの端部の位置により、窒化シリコン膜10aの端部の位置23を制御することができる。例えば、図44の構造を得るためには、上記ステップS14のエッチング工程において、空洞CAVの端部がメモリゲート電極MGの側面25の直下の位置に達する前に、酸化シリコン膜6のエッチングを終了すればよい。また、図43の構造を得るためには、上記ステップS14のエッチング工程において、空洞CAVの端部がメモリゲート電極MGの側面25の直下の位置にちょうど達した段階で酸化シリコン膜6のエッチングを終了すればよい。
【0216】
図46は、絶縁膜5における窒化シリコン膜10aの形成領域を説明するための説明図(要部断面図、部分拡大断面図)であり、上記図44に対応するものであるが、図46では、n型半導体領域EXaも図示してある。
【0217】
メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間に位置する窒化シリコン膜10a(すなわちゲート絶縁膜部分5aにおける窒化シリコン膜10a)は、メモリセルの電荷蓄積部として機能することができる。この窒化シリコン膜10aをメモリセルの電荷蓄積部として十分に機能させるためには、メモリゲート電極MGの直下に位置する窒化シリコン膜10aのうち、n型半導体領域(エクステンション領域)EXaとは平面的に重ならない部分の距離(長さ、寸法)Lが、ゼロより大きい(すなわちL>0)ことが要求され、10nm以上(すなわちL≧10nm)であれば、より好ましい。ここで、上記距離Lは、メモリゲート電極MGのゲート長方向における距離(長さ、寸法)に対応しており、図46に示されている。また、平面的に重ならないとは、半導体基板1の主面に平行な平面に投影して見たときに重ならないことを意味している。
【0218】
上記距離Lを、別の見方をすると、窒化シリコン膜10aの端部23が、n型半導体領域(エクステンション領域)EXa(の端部)から、ゲート長方向に距離Lだけ離れていることになる。すなわち、窒化シリコン膜10aの端部23から、ゲート長方向に距離L以内の領域では、直下にn型半導体領域(エクステンション領域)EXaが存在しておらず、チャネル領域となる領域が存在していることになる。
【0219】
上記距離Lがゼロより大きい(すなわちL≧0)ことは、メモリゲート電極MGの直下に位置する窒化シリコン膜10aが、n型半導体領域(エクステンション領域)EXaと平面的に重ならない部分を有していることを意味し、その部分(n型半導体領域EXaと平面的に重ならない部分)が電荷蓄積部として的確に機能することができる。また、上記距離Lが10nm以上(すなわちL≧10nm)であれば、電荷蓄積部として機能する窒化シリコン膜10aのゲート長方向の寸法(これが上記距離Lに対応する)を十分に確保することができるため、窒化シリコン膜10aをより的確に電荷蓄積部として機能させることができるようになる。
【0220】
つまり、半導体基板1において、サイドウォールスペーサSW1の下方にエクステンション領域(ここではn型半導体領域EXaに対応)が形成され、半導体基板1において、そのエクステンション領域(ここではn型半導体領域EXaに対応)の外側にそのエクステンション領域よりも高不純物濃度のソースまたはドレイン領域(ここではn型半導体領域12aに対応)が形成されている。そして、窒化シリコン膜10aの端部23は、そのエクステンション領域(ここではn型半導体領域EXaに対応)から、メモリゲート電極MGのゲート長方向に離間している(より好ましくは10nm以上離間している)のである。このようにすることで、窒化シリコン膜10aを電荷蓄積部としたメモリセルの性能を、向上させることができる。
【0221】
また、本実施の形態では、ステップS18で形成した窒化シリコン膜10が、電荷蓄積部用の窒化シリコン膜10aと、サイドウォールスペーサSW1用の窒化シリコン膜10bとを兼ねている。すなわち、同一の工程(ステップS18の窒化シリコン膜10の成膜工程)で、電荷蓄積部用の窒化シリコン膜(10a)とサイドウォールスペーサSW1用の窒化シリコン膜(10b)とを形成している。このため、半導体装置の製造工程数を抑制することができる。また、半導体装置のスループットを向上することができる。また、半導体装置の製造コストを低減することができる。このようにして製造された半導体装置においては、電荷蓄積部用の窒化シリコン膜10aと、サイドウォールスペーサSW1用の窒化シリコン膜10bとが、一体的に形成された状態となっている。すなわち、サイドウォールスペーサSW1は、電荷蓄積部用の窒化シリコン膜10aと一体的に形成された窒化シリコン膜10bを有している。
【0222】
また、本実施の形態では、ステップS14で、メモリゲート電極MGの下面と半導体基板1との間の部分の酸化シリコン膜6の一部を除去し、メモリゲート電極MGの上部と制御ゲート電極CGの上部とで挟まれた酸化シリコン膜6はエッチングされずに残る。そのため、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとで挟まれた領域には、その後の工程において、メモリゲート電極MGの下面と半導体基板1との間に形成される窒化シリコン膜10が形成されない。窒化シリコン膜10がメモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとで挟まれた領域に形成された場合、窒化シリコン膜は誘電率が高いため、酸化シリコン膜と比較して電気的に見た場合の絶縁膜の膜厚が薄く、それ故、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの耐圧を確保するのが困難になる場合があり得る。しかし、本実施の形態においては、メモリゲート電極MGの側面と制御ゲート電極CGの側面との間の絶縁部分5b中には窒化シリコン膜10は形成されず、酸化シリコン膜6が形成されるため、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの耐圧をより効果的に確保し、半導体装置の信頼性を確保することが可能となる。
【0223】
(実施の形態2)
本実施の形態は、上記実施の形態1の変形例に対応している。
【0224】
本実施の形態においては、上記実施の形態1の不揮発性メモリの制御ゲート電極CGをシリコン膜4nと絶縁膜との積層膜で形成する場合について説明する。
【0225】
図47は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、上記実施の形態1の上記図1に対応するものである。
【0226】
図47に示されるように、本実施の形態における不揮発性メモリのメモリセルは、制御ゲート電極CGがシリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜(積層パターン、積層構造)で構成されている。より具体的には、制御ゲート電極CGが、シリコン膜4nとシリコン膜4n上の絶縁膜31aと絶縁膜31a上の絶縁膜31bとの積層膜(積層膜パターン)で構成されている。絶縁膜31は、シリコン膜4n上の絶縁膜31aと絶縁膜31a上の絶縁膜31bとで構成されており、絶縁膜31aは、絶縁膜31bより薄く形成されている。絶縁膜31aは、好ましくは酸化シリコン膜からなり、絶縁膜31bは、好ましくは窒化シリコン膜からなる。
【0227】
本実施の形態においては、メモリセルの制御ゲート電極CGの上部に絶縁膜31(ここでは絶縁膜31a,31b)が形成されているため、メモリセルの制御ゲート電極CG上には、金属シリサイド層13は形成されていない。すなわち、上記実施の形態1においてシリコン膜4nとその上部の金属シリサイド層13によって形成されていた制御ゲート電極CGを、シリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜によって形成された制御ゲート電極CGに置き換えたものが、本実施の形態の半導体装置に相当している。
【0228】
本実施の形態のメモリセルの他の構成は、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0229】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程について説明する。図48および図49は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記実施の形態1における上記図7〜図18などとほぼ同じ断面領域が示されている。
【0230】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、上記実施の形態1の半導体装置の製造工程と基本的には同じであるため、以下では、主として上記実施の形態1の製造工程との相違点について説明する。
【0231】
上記実施の形態1と同様にして上記図9の構造を得た後、本実施の形態では、上記ステップS5と上記ステップS6との間に、図48に示されるように、シリコン膜4(4n)上に絶縁膜31を形成する工程が追加される。絶縁膜31形成工程は、シリコン膜4(4n)上に絶縁膜31aを形成する工程と、絶縁膜31a上に絶縁膜31bを形成する工程とを有しているが、図48では、図面の簡略化のために、絶縁膜31aおよび絶縁膜31bの積層膜を単に絶縁膜31として図示してある。
【0232】
それから、上記ステップS6において、上記実施の形態1ではシリコン膜4nをパターニングして制御ゲート電極CGを形成したが、本実施の形態では、シリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜をパターニングすることで、図49に示されるように、シリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜パターンからなる制御ゲート電極CGを形成する。それから、ステップS6とステップS7の間に、絶縁膜31を除去すべき領域(例えば周辺回路領域1Bなど)において、適宜絶縁膜31の除去を行う。以降の工程(ステップS7およびそれ以降の工程)は、上記実施の形態1と基本的には同様であるため、ここではその説明は省略する。
【0233】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0234】
また、それに加えて、本実施の形態では、制御ゲート電極CGをシリコン膜4nと絶縁膜31(より特定的には絶縁膜31a,31b)との積層膜で形成するため、シリコン膜4(4n)を上記実施の形態1よりも薄く形成した場合においても、制御ゲート電極CGの側壁にサイドウォールスペーサ状に形成されるメモリゲート電極MGの高さを確保することができる。
【0235】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0236】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0237】
1 半導体基板
1A メモリセル領域
1B 周辺回路領域
2 素子分離領域
3 絶縁膜
4,4n シリコン膜
5 絶縁膜
5a ゲート絶縁膜部分
5b 絶縁部分
5c 角部分
5d,5e 部分
6,6a 酸化シリコン膜
6b 端部
6c 上端部
7 シリコン膜
8 絶縁膜
8a 側壁絶縁膜
9,9a,9b,9c,9d,9e,9f 酸化シリコン膜
10,10a,10b,10c 窒化シリコン膜
11,11a,11b 酸化シリコン膜
12a,12b,12c n型半導体領域
13 金属シリサイド層
13a 金属膜
14,15,16 絶縁膜
20 矢印
23 端部
24 下面
25 側面
26 側面
27 側面
101 半導体基板
103 絶縁膜
105 絶縁膜
105a,105c 酸化シリコン膜
105b 窒化シリコン膜
112a,112b n型半導体領域
113 金属シリサイド層
122 領域
CAV 空洞
CAVa 隙間
CG,CG101 制御ゲート電極
CNT コンタクトホール
EXa,EXb,EXc,EX101a,EX101b n型半導体領域
GE ゲート電極
M1 配線
MC メモリセル
MD,MS 半導体領域
MG,MG101 メモリゲート電極
MG101a 角部
PG プラグ
SP1 シリコンスペーサ
SD 半導体領域
PW1,PW2,PW101 p型ウエル
SW,SW1,SW2,SW3,SW101,SW102 サイドウォールスペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリのメモリセルを備える半導体装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の上部に形成された、前記メモリセルを構成する第1ゲート電極と、
前記半導体基板の上部に形成され、前記第1ゲート電極と隣り合い、前記メモリセルを構成する第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極と前記半導体基板との間に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間および前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間に形成された絶縁膜と、
を有し、
前記絶縁膜のうち、前記第2ゲート電極の下面と前記半導体基板の上面との間の第1の部分は、第1酸化シリコン膜と第2酸化シリコン膜と前記第1および第2酸化シリコン膜に挟まれた第1窒化シリコン膜とを有し、
前記第1窒化シリコン膜は、前記メモリセルの電荷蓄積部として機能し、
前記絶縁膜のうち、前記第1ゲート電極の側面と前記第2ゲート電極の側面との間の第2の部分は、酸化シリコンからなり、前記第1窒化シリコン膜を有していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1酸化シリコン膜は、前記半導体基板の表面に形成され、
前記第2酸化シリコン膜は、前記第2ゲート電極の下面に形成され、
前記第1窒化シリコン膜は、前記半導体基板の表面上の前記第1酸化シリコン膜と前記第2ゲート電極の下面上の前記第2酸化シリコン膜との間に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第2ゲート電極の側壁であって、前記第1ゲート電極に隣接する側とは反対側の側壁上に、サイドウォールスペーサが形成されており、
前記サイドウォールスペーサは、前記第1窒化シリコン膜と一体的に形成された第2窒化シリコン膜を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記第1酸化シリコン膜は、前記第2ゲート電極の下方から前記サイドウォールスペーサの下部に延在していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記第2酸化シリコン膜は、前記第2ゲート電極の前記下面から前記側壁に延在し、
前記第2ゲート電極の前記側壁上の前記第2酸化シリコン膜は、前記サイドウォールスペーサの一部を構成していることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
前記第1窒化シリコン膜の端部が、前記第2ゲート電極の直下に位置していることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置において、
前記絶縁膜のうち、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分は、酸化シリコンからなり、前記第1窒化シリコン膜を有していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置において、
前記第1窒化シリコン膜の前記端部は、前記第2ゲート電極の側面の直下の位置よりも、前記第1ゲート電極から遠い側に位置することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記サイドウォールスペーサの下方に形成されたエクステンション領域と、
前記半導体基板の前記エクステンション領域の外側に形成され、前記エクステンション領域よりも高不純物濃度のソースまたはドレイン領域と、
を有し、
前記第1窒化シリコン膜の前記端部は、前記エクステンション領域から、前記第2ゲート電極のゲート長方向に離間していることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1窒化シリコン膜にホットエレクトロンを注入することによって前記メモリセルの書込みを行い、
前記第1窒化シリコン膜に、ホットホールを注入することによって前記メモリセルの消去を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1窒化シリコン膜にホットエレクトロンを注入することによって前記メモリセルの書込みを行い、
前記第1窒化シリコン膜にFNトンネル効果によりホールを注入することによって前記メモリセルの消去を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1窒化シリコン膜にFNトンネル効果により電子を注入することによって前記メモリセルの書込みを行い、
前記第1窒化シリコン膜に、ホットホールを注入することによって前記メモリセルの消去を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1窒化シリコン膜にFNトンネル効果により電子を注入することによって前記メモリセルの書込みを行い、
前記第1窒化シリコン膜にFNトンネル効果によりホールを注入することによって前記メモリセルの消去を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
不揮発性メモリのメモリセルを備える半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板の主面上に第1ゲート絶縁膜を介して前記メモリセルを構成する第1ゲート電極を形成する工程、
(c)前記半導体基板の主面と前記第1ゲート電極の側面上に、酸化シリコン膜を形成する工程、
(d)前記酸化シリコン膜上に、前記第1ゲート電極と前記酸化シリコン膜を介して隣り合い、前記メモリセルを構成する第2ゲート電極を形成する工程、
(e)前記第2ゲート電極で覆われていない部分の前記酸化シリコン膜を除去する工程、
(f)前記(e)工程後、前記酸化シリコン膜のうち、前記第2ゲート電極の下面と前記半導体基板との間の部分の前記酸化シリコン膜の少なくとも一部を除去して空洞を形成する工程、
(g)前記空洞で露出する前記半導体基板の表面上に第1酸化シリコン膜を、前記空洞で露出する前記第2ゲート電極の下面に第2酸化シリコン膜を形成する工程、
(h)前記半導体基板の表面上の前記第1酸化シリコン膜と前記第2ゲート電極の下面上の前記第2酸化シリコン膜との間に、窒化シリコン膜を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程では、前記半導体基板上に、前記第1および第2ゲート電極を覆うように前記窒化シリコン膜を形成し、前記窒化シリコン膜の一部が、前記半導体基板の表面上の前記第1酸化シリコン膜と前記第2ゲート電極の下面上の前記第2酸化シリコン膜との間に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程後に、
(i)前記窒化シリコン膜を異方性エッチングして、前記第1および第2ゲート電極の互いに隣接する側とは反対側の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、
を更に有し、
前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間の領域の前記窒化シリコン膜は、前記メモリセルの電荷蓄積部として機能することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、前記酸化シリコン膜のうち、前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間の部分を残存させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程後で、前記(f)工程前に、
(f1)前記半導体基板上に、前記第2ゲート電極の一部と前記第1ゲート電極とを覆うレジストパターンを形成する工程、
を有し、
前記(f1)工程で形成された前記レジストパターンは、前記酸化シリコン膜における前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極とで挟まれた側の第1端部を覆い、
前記(f)工程では、前記レジストパターンをエッチングマスクとして用い、前記酸化シリコン膜における前記第2ゲート電極と前記半導体基板とで挟まれた側の第2端部側から、前記酸化シリコン膜をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、ウェットエッチングにより前記酸化シリコン膜を除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記空洞で露出する前記半導体基板の表面および前記第2ゲート電極の下面を酸化することにより、前記第1および第2酸化シリコン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、熱酸化により、前記第1および第2酸化シリコン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、CVD法により前記酸化シリコン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記半導体基板上に、前記第1ゲート電極を覆うように、前記酸化シリコン膜を形成し、
前記(d)工程は、
(d1)前記酸化シリコン膜上にシリコン膜を形成する工程、
(d2)前記(d1)工程後、前記シリコン膜を異方性エッチングして、前記第1ゲート電極と前記酸化シリコン膜を介して隣り合う前記第2ゲート電極を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d2)工程では、前記酸化シリコン膜をエッチングストッパとして前記シリコン膜を異方性エッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
請求項24記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f1)工程で形成された前記レジストパターンは、前記第2ゲート電極に隣接するソース領域の形成予定領域の少なくとも一部を露出し、
前記(f1)工程後で、前記(g)工程前に、
(f2)前記レジストパターンをイオン注入阻止マスクとして、前記ソース領域の一部を形成するためのイオン注入を行う工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2012−69651(P2012−69651A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212036(P2010−212036)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】