半導体装置の製造方法
【課題】単結晶シリコン基板を用いた半導体装置を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】単結晶シリコン基板110に対してレーザー光Lを照射して、そのレーザー光Lの焦点を移動させることによって、少なくとも一部が単結晶シリコン基板110の表面に露出するように単結晶シリコン基板110の内部を部分的に多結晶化して改質部150を形成する改質工程と、改質工程にて単結晶シリコン基板110を多結晶化した部位をエッチャントにて連続的にエッチングするエッチング工程とを備える半導体装置の製造方法。
【解決手段】単結晶シリコン基板110に対してレーザー光Lを照射して、そのレーザー光Lの焦点を移動させることによって、少なくとも一部が単結晶シリコン基板110の表面に露出するように単結晶シリコン基板110の内部を部分的に多結晶化して改質部150を形成する改質工程と、改質工程にて単結晶シリコン基板110を多結晶化した部位をエッチャントにて連続的にエッチングするエッチング工程とを備える半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング工程を有する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、単結晶シリコンをエッチングして半導体装置を製造する製造方法の一例として特許文献1に示すものがあった。
【0003】
この半導体装置の製造方法は、単結晶シリコンのベース層上に、酸化シリコンの中間層を介して、単結晶シリコンの上層が積層されているSOI基板を用いるものである。そして、上層の単結晶シリコンの表面にパターニングされた酸化膜をマスクとして、上層の単結晶シリコンを中間層までエッチングする。その後、中間層を、HFなどの薬液によってウェットエッチングするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−264902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に示す半導体装置の製造方法においては、可動部及び固定部を形成するために上層の単結晶シリコン基板を深さ方向に、中間層を酸化シリコン横方向(単結晶シリコン基板の平面に沿う方向)にエッチングする必要がある。しかしながら、中間層の酸化シリコンは、エッチングレートが遅く、上層の単結晶シリコン基板に関しては、単結晶シリコン基板をそのままエッチングするため、エッチング速度を向上させるには限界があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、単結晶シリコン基板を用いた半導体装置を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の半導体装置の製造方法は、単結晶シリコン基板に対してレーザー光を照射して、レーザー光の焦点を移動させることによって、少なくとも一部が単結晶シリコン基板の表面に露出するように単結晶シリコン基板の内部を部分的に多結晶化する改質工程と、
改質工程にて単結晶シリコン基板を多結晶化した部位をエッチャントにてエッチングするエッチング工程と、
を備えることを特徴とするものである。
【0008】
このように、単結晶シリコン基板における多結晶化した部位は、多結晶化していない部位に比べて、エッチャントの浸透速度、吸着速度が速くなる。従って、予め単結晶シリコン基板を多結晶化しておき、その多結晶化した部位をエッチャントにてエッチングすることによって、単結晶シリコン基板を用いた半導体装置を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる。
【0009】
また、請求項2に示すように、改質工程においては、レーザー光の照射条件を調整することによって、多結晶化した部位の一部に空隙部を形成するようにしてもよい。
【0010】
このように、多結晶化した部位の内部に空隙部を形成することによって、エッチング速度をより一層向上させることができる。
【0011】
また、請求項3に示すように、エッチング工程においては、ドライエッチングを行うようにしてもよい。
【0012】
このように、ドライエッチングにて多結晶化した部位をエッチングすることによって、スティッキングを抑制することができる。
【0013】
また、請求項4に示すように、改質工程においては、単結晶シリコン基板の内部を単結晶シリコン基板の深さ方向に多結晶化するようにしてもよい。
【0014】
このようにすることによって、トレンチを有する半導体装置を製造する際の製造時間を短縮することができる。
【0015】
また、請求項5に示すように、改質工程においては、単結晶シリコン基板の内部を単結晶シリコン基板の深さ方向及び単結晶シリコン基板の平面に沿う方向に多結晶化するようにしてもよい。
【0016】
このようにすることによって、二枚の単結晶シリコン基板を酸化膜などの中間層を介して貼り合わせたSOI基板を用いることなく、一枚の単結晶シリコン基板から可動部や薄膜部を有する半導体装置を製造することができると共に、製造する際の製造時間を短縮することができる。
【0017】
さらに、請求項6に示すように、改質工程においては、単結晶シリコン基板の内部を単結晶シリコン基板の平面に対して斜め方向に多結晶化するようにしてもよい。
【0018】
このようにすることによって、通常の単結晶シリコン基板をエッチングする場合では加工が難しい形状であってもエッチングすることができる。
【0019】
また、請求項7に示すように、半導体装置として、力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部及び固定部を有する半導体力学量センサを適用するものであり、改質工程においては、単結晶シリコン基板における可動部を区画する部位を多結晶化するようにしてもよい。
【0020】
半導体力学量センサの可動部を製造する場合、二枚の単結晶シリコン基板を酸化膜などの中間層を介して貼り合わせたSOI基板を用いることがある。しかしながら、上述のように、単結晶シリコン基板における可動部を区画する部位を多結晶化して、その多結晶化した部位をエッチングすることによって、SOI基板を用いることなく力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部を有する半導体力学量センサを製造することができコストを低減することができる。
【0021】
また、請求項8に示すように、半導体装置として、トレンチゲートを有するトランジスタを適用するものであり、改質工程においては、単結晶シリコン基板におけるトレンチゲートの形成予定領域を多結晶化するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置を示す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を示す工程別断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における製造装置の概略構成を示すイメージ図である。
【図5】本発明の実施の形態における単結晶シリコン基板の一例を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における単結晶シリコン基板の深さ方向への改質部を示す平面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における単結晶シリコン基板の横方向への改質部を示す平面図である。
【図10】図10におけるX−X線に沿う断面図である。
【図11】図10におけるXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるレーザー光のパワーを0.4wにして改質した場合の単結晶シリコン基板をSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察した断面図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるレーザー光のパワーを1.0wにして改質した場合の単結晶シリコン基板をSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察した断面図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるレーザー光のパワーを1.2wにして改質した場合の単結晶シリコン基板をSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察した断面図である。
【図15】本発明の実施の形態におけるレーザー光のパワーと改質幅との関係を示すグラフである。
【図16】本発明の変形例1における半導体装置を示す断面図である。
【図17】本発明の変形例2における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0024】
本実施の形態においては、本発明の製造方法を力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部を有する半導体力学量センサの製造方法に適用した例を採用して説明する。特に、本実の施形態では、図1に示すように半導体力学量センサとして、力学量としての加速度を検出する容量式加速度センサ100の例を示す。なお、半導体力学量センサとしては、力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部が構成されたMEMSデバイスであれば採用することができる。具体的には、上記した容量式加速度センサ以外にも、容量式角速度センサ、振動センサ、マイクロフォン、マイクロスキャナなどを採用することができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る容量式加速度センサ100は、一枚(単体)の単結晶シリコン基板110から可動部、固定部が構成されるものである。
つまり、この容量式加速度センサ100における可動部と固定部は、単結晶シリコン基板110によって連続して構成されるものである。この可動部及び固定部は、単結晶シリコン基板110が深さ方向にエッチングされたエッチング部140(トレンチ部140a)によって囲まれている。
【0026】
可動部は、単結晶シリコン基板110の深さ方向にエッチングされたエッチング部140であるトレンチ部140a及び単結晶シリコン基板110の内部で横方向にエッチングされたエッチング部140であるリリース部140bによって可動化(リリース)され、力学量(加速度)の印加に応じて所定方向(図1においては紙面左右方向)に変位可能な部位である。また、可動部は、単結晶シリコン基板110をエッチング部140によって区画してなる梁構造体であり可動電極121、錘部122、バネ部123を含む。なお、単結晶シリコン基板110の深さ方向とは、単結晶シリコン基板110の平面(表面)に対して垂直方向を示すものである。一方、単結晶シリコン基板110の横方向とは、単結晶シリコン基板110の平面に沿う方向を示すものである。
【0027】
加速度が作用する質量(マス)としての錘部122は、その外周(外枠)が平面長方形とされており、錘部122直下の単結晶シリコン基板110をエッチングにより除去しやすくするために、図1に示すごとく、エッチング部140の一部である貫通孔(図面においては符号140を付与すると共に、以下の説明においては貫通孔140とも称する)が設けられている。この錘部122は、単結晶シリコン基板110におけるエッチングされた空間(リリース部140b)の底面から浮いた状態で構成されている。従って、錘部122における貫通孔140は、単結晶シリコン基板110の表面からエッチングされた空間(リリース部140b)まで貫通している。
【0028】
なお、本実施の形態においては、後ほど説明するように、単結晶シリコン基板110のエッチングしたい部分をレーザー光によって多結晶化してからエッチングするため、リリース部140bを形成しやすいという効果を有するものである。つまり、リリース部140bの形成予定部分(多結晶化した部分)が単結晶シリコン基板110の外部に露出した多結晶化部分と連結していればリリース部140bを形成することができる。従って、本実施の形態においては、必ずしも錘部122に貫通孔140を設ける必要はない。
【0029】
可動電極121は、錘部122の変位方向に対して垂直な方向の側面から突出して形成され、図1に示す例では各側面に3本ずつ設けられている。また、錘部122の変位方向側の両端には、四角枠形状の梁構造を有するバネ部123がそれぞれ連結されている。この各バネ部123は、可動部を支持する支持部としてのアンカ124に連結されている。
【0030】
このように可動部は、可動電極121を構成する梁、錘部122を構成する梁、バネ部123を構成する梁が互いに連結されてなる梁構造体となっており、可動部としての梁構造体は、その両端がアンカ124に固定されている。つまり、可動電極121、錘部122、バネ部123は、アンカ124によって支持されて、単結晶シリコン基板110におけるエッチングされた空間(リリース部140b)の底面から浮いた状態となっている。
【0031】
なお、アンカ124の一方には、アルミニウムなどの金属層をパターニングしてなる可動電極用パッド125が形成されている。
【0032】
一方、複数の固定部130は、それぞれ固定電極131、固定電極用パッド132、及び固定電極131と固定電極用パッド132とを繋ぐ部位を有している。各固定部130における固定電極131と固定電極用パッド132とを繋ぐ部位は、固定電極131と対応する固定電極用パッド132とを電気的に接続する配線として機能するものである。
【0033】
各固定部130は、単結晶シリコン基板110が深さ方向にエッチングされたエッチング部140であるトレンチ部140aによって区画される。固定部130における配線として機能する部位は、錘部122と平行に配置されており、この部位から延びる固定電極131は、錘部122の両側面から突出する可動電極121に対して、それぞれ所定の検出間隔(隙間)を有しつつ、平行状態で対向配置されている。
【0034】
この固定電極131は、可動電極121と同じ数だけ設けられている。また、固定電極131は、加速度が印加されたとき、可動電極121と固定電極131との間にそれぞれ形成されるコンデンサの各静電容量が、一方で増加し、他方で減少するように設けられている。すなわち、差動増幅する構成となっている。
【0035】
ここで、本実施の形態における容量式加速度センサ100の製造方法に関して図3を用いて説明する。まず、図3(a)に示すように、単結晶シリコン基板110を用意する。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、単結晶シリコン基板110に対してレーザー光Lを照射して、そのレーザー光Lの焦点を単結晶シリコン基板110におけるエッチング予定領域内で移動させることによって、少なくとも一部が単結晶シリコン基板110の表面に露出するように単結晶シリコン基板110の内部を部分的(選択的)に多結晶化(トレンチ用改質部150a、リリース用改質部150b)する(改質工程)。
【0037】
換言すると、単結晶シリコン基板110における可動部及び固定部を区画する部位を多結晶化する。つまり、可動電極121、錘部122、バネ部123、アンカ124、固定部130の形成予定領域の周辺を多結晶化(トレンチ用改質部150a)すると共に、この周辺の多結晶化された部位に少なくとも一部が連結するように可動電極121、錘部122、バネ部123の形成予定領域の直下を多結晶化(リリース用改質部150b)する。
【0038】
なお、トレンチ部140aを形成するための改質部150をトレンチ用改質部150a、リリース部140bを形成するための改質部150をリリース用改質部150bと称する。つまり、単結晶シリコン基板110の深さ方向の改質部150をトレンチ用改質部150a、横方向の改質部150をリリース用改質部150bと称する。
【0039】
また、この改質工程においては、図4に示すように、単結晶シリコン基板110が載置された状態で単結晶シリコン基板110をx-y方向(単結晶シリコン基板110の平面に沿う方向)に移動させることができるx-yステージ30と、x-yステージ30上に載置された単結晶シリコン基板110の上方に配置されレーザー光Lの焦点をz方向(単結晶シリコン基板110の深さ方向)に移動させることができる可変焦点レンズ20、集光レンズ21などの光学系装置とを用いることができる。
【0040】
ここで、この光学系装置(可変焦点レンズ20、集光レンズ21)とx-yステージ30とを用いてトレンチ用改質部150aを形成する場合について図6〜図8を用いて説明する。なお、ここでは説明を簡略化するために、単結晶シリコン基板110にトレンチ用改質部150aのみを形成する場合を例として採用する。まず、レーザー光Lの発光口(発光部)が単結晶シリコン基板110におけるトレンチ部140aを形成する位置の真上にくるように、単結晶シリコン基板110が載置されたx-yステージ30、もしくは光学系装置(可変焦点レンズ20、集光レンズ21)を調節する。そして、レーザー光Lを照射しつつ、可変焦点レンズ20にてレーザー光Lの焦点を単結晶シリコン基板110におけるトレンチ用改質部150aを形成する位置の深い方から表面へと移動させる。つまり、レーザー光Lの走査(移動)方向は、単結晶シリコン基板110の平面に対して垂直方向である。この図7、8の例の場合、レーザー光Lの焦点の位置は、単結晶シリコン基板110の深さ方向(単結晶シリコン基板110の平面に対して垂直方向)に2点である。
【0041】
次に、この光学系装置(可変焦点レンズ20、集光レンズ21)とx-yステージ30とを用いてリリース用改質部150bを形成する場合について図9〜図11を用いて説明する。なお、ここでは説明を簡略化するために、単結晶シリコン基板110にリリース用改質部150bのみを形成する場合を例として採用する。しかしながら、実際は、リリース用改質部150bは、エッチャントが浸透するように、必ず単結晶シリコン基板110の表面に露出する改質部150(トレンチ用改質部150a)と連結する。
【0042】
まず、レーザー光Lの発光口(発光部)が単結晶シリコン基板110におけるリリース部140bを形成する位置の始点の真上にくるように、単結晶シリコン基板110が載置されたx-yステージ30、もしくは光学系装置(可変焦点レンズ20、集光レンズ21)を調節する。また、レーザー光Lを照射したときに、レーザー光Lの焦点が単結晶シリコン基板110の所定の深さ(リリース部140bの形成する位置)になるように可変焦点レンズ20を調節しておく。
【0043】
そして、レーザー光Lを照射しつつ、x-yステージ30にて単結晶シリコン基板110を移動させることによって、レーザー光Lの焦点を単結晶シリコン基板110におけるリリース部140bを形成する位置に沿って移動させる。つまり、レーザー光Lの走査(移動)方向は、単結晶シリコン基板110の平面に沿う方向である。この図10、11の例の場合、レーザー光Lの焦点の位置は、単結晶シリコン基板110の平面に沿う方向に18点である。
【0044】
なお、x-yステージ30及び集光レンズ21は、周知技術であるため詳しい説明は省略する。また、可変焦点レンズ20は、特開2002−239769号公報に記載されたものなどを採用するようにしてもよい。
【0045】
また、本実施の形態においては、単結晶シリコン基板110に対して三次元的にレーザー光Lの焦点を移動させるための装置の一例として、可変焦点レンズ20、集光レンズ21、及びx-yステージ30を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。単結晶シリコン基板110とレーザー光Lの焦点とを相対的に移動させて、単結晶シリコン基板110に対して三次元的にレーザー光Lの焦点を移動させることができるものであれば特に限定されるものではない。また、単結晶シリコン基板110にトレンチ部のみを形成する場合は、単結晶シリコン基板110とレーザー光Lの焦点とを相対的に移動させて、単結晶シリコン基板110の深さ方向にレーザー光Lの焦点を照射することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0046】
なお、本実施の形態(図4)においては、矩形状の単結晶シリコン基板110を用いる例を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、インゴットからスライスしたオリフラなどの切り欠きがある略円形の単結晶シリコン基板110を採用することもできる。この場合、単結晶シリコン基板110におけるチップ作成領域100aに複数の容量式加速度センサ100を形成する。
【0047】
このように単結晶シリコン基板110にレーザー光Lを照射しつつ、レーザー光の焦点を移動させることによって、その焦点が当たった部分に多光子吸収を生じさせ、部分的に単結晶から多結晶へ改質することができる。換言すると、改質工程においては、単結晶シリコン基板110にレーザー光Lの焦点を局所的に当てることによって、単結晶から多結晶へと改質された改質部150を形成する。つまり、単結晶シリコン基板110に対して、選択的に多結晶の領域を形成する。
【0048】
そして、改質工程後は、改質工程にて単結晶シリコン基板110を多結晶化した部位をエッチャントにて連続的にエッチングする(エッチング工程)。なお、エッチング工程としては、ウェットエッチングでもドライエッチング(反応ガス中に材料を晒してエッチングする反応性ガスエッチング、プラズマによりガスをイオン化・ラジカル化してエッチングする反応性イオンエッチング)でも採用することができる。
【0049】
しかしながら、ウェットエッチングの場合、改質部150をエッチング除去したときに、トレンチ部140aやリリース部140bにおいて単結晶シリコン基板110同士が付着してしまう現象(所謂スティッキング)が生じる可能性がある。そこで、エッチング工程においてはドライエッチングを採用すると好ましい。ドライエッチングを採用することによって上述のスティッキングを抑制することができる。また、可動電極121、錘部122、バネ部123の形成予定領域の直下をエッチングする場合は、ウェットエッチングで用いる水溶液に比べて、ドライエッチングで用いるガスのほうがリリース用改質部150bに浸透しやすいので好ましい。
【0050】
なお、このドライエッチングにおけるエッチング条件の一例としては、ガス:XeF2、圧力:1torr、パルスエッチング×5回、反応式:Si+2XeF2→SiF4+2Xeなどを採用することができる。
【0051】
このように、単結晶シリコン基板110における多結晶化した部位(改質部150(トレンチ用改質部150a、リリース用改質部150b)は、多結晶化していない部位(単結晶部位)に比べて、エッチャントの浸透速度、吸着速度が速くなる。従って、予め単結晶シリコン基板110を多結晶化しておき、その多結晶化した部位をエッチャントにて連続的にエッチングすることによって、単結晶シリコン基板110を用いた容量式加速度センサ100を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる。
【0052】
また、従来、上述のような半導体力学量センサの可動部を製造する場合、二枚の単結晶シリコン基板を酸化膜などの中間層を介して貼り合わせたSOI基板を用いる方法がある。しかしながら、このSOI基板は、一般的には単結晶シリコン基板110より高価である。そこで、本実施の形態における製造方法においては、上述のように、単結晶シリコン基板110における可動部及び固定部を区画する部位を多結晶化して、その多結晶化した部位をエッチングすることによって、SOI基板を用いることなく力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部を有する容量式加速度センサ100を製造することができコストを低減することができる。
【0053】
また、単結晶シリコン基板110における改質部150は、単結晶シリコン部分、SOI基板の中間層を構成する酸化膜などの絶縁膜よりもエッチングレートが早い。さらに、本実施の形態における製造方法では、トレンチ部140aとリリース部140bとを連続的にエッチングすることができる。よって、本実施の形態における製造方法は、SOI基板を用いる場合よりも容量式加速度センサ100の製造時間を短縮することができる。
【0054】
また、本実施の形態における製造方法の場合、加工材料が単結晶シリコン基板110の1種類となり、ガス系、チャンバー系(高周波、電極板)が1系統となり、エッチング装置をコンパクトにすることができる。
【0055】
また、本実施の形態で採用した力学量としての加速度を検出する容量式加速度センサの場合、可動電極121と固定電極131とのギャップが単結晶シリコン基板110内、単結晶シリコン基板110間で一定、可動電極121と固定電極131のミクロン単位の寸法、可動電極121と固定電極131の対抗面が鏡面であることが理想である。
【0056】
本実施の形態における製造方法においては、レーザー光で予めエッチングしたい領域に改質部(多結晶化、マイクロドーム)を形成しておき(荒取りエッチング)、その領域をエッチングするので加工精度を向上させることができる。また、エッチング工程においてドライエッチングの等方性領域を利用した角度依存性を積極的に活用することによって、従来よりも滑らかな加工面とすることができる。
【0057】
なお、本実施の形態においては、容量式加速度センサ100におけるトレンチ部140a及びリリース部140bの両方を本発明の製造方法(多結晶化後にエッチング)を用いて形成する例を採用したが、トレンチ部140aのみを本発明の製造方法を用いて形成するようにしてもよい。このようにすることによっても、単結晶シリコン基板をそのままエッチングしてトレンチを形成する場合に比べて、トレンチ部140aを形成する時間を短縮することができる。
【0058】
また、図12〜図14に示すように、レーザー光Lの照射条件を調整することによって、多結晶化した改質部150(ここでは、リリース用改質部150bを採用)の一部に空隙部170(以下、マイクロドームとも称する)を形成するようにしてもよい。なお、図12〜図14においては、(b)は、単結晶シリコン基板110をSEMで観察した断面図であり、(a)は、単結晶シリコン基板110をSEMで観察した断面図のトレース図面である。
【0059】
例えば、図12(a)、(b)に示す例は、レーザー光Lの照射条件として、パワー:0.4w、送り(走査速度):300mm/s、周波数:80kHzを採用して、単結晶シリコン基板110に改質部150(リリース用改質部150b)及びマイクロドーム170を形成したときの極−SEM画像である。このとき、改質部150は、単結晶シリコン基板110の表面から60μm(x2)の位置に、15μm(x1)の厚みで形成されている。また、マイクロドーム170は、改質部150の底に厚み4μm(x3)、幅1μm(y3)で形成されている。
【0060】
次に、図13(a)、(b)に示す例は、レーザー光Lの照射条件として、パワー:1.0w、送り(走査速度):300mm/s、周波数:80kHzを採用して、単結晶シリコン基板110に改質部150(リリース用改質部150b)及びマイクロドーム170を形成したときのFE−SEM画像である。このとき、改質部13は、単結晶シリコン基板110の表面から45μm(x5)の位置に、30μm(x4)の厚みで形成されている。また、マイクロドーム170は、改質部150の底に厚み2μm(x6)、幅1μm(y6)で形成されている。
【0061】
また、図14(a)、(b)に示す例は、レーザー光Lの照射条件として、パワー:1.2w、送り(走査速度):300mm/s、周波数:80kHzを採用して、単結晶シリコン基板110に改質部150(リリース用改質部150b)及びマイクロドーム170を形成したときのFE−SEM画像である。このとき、改質部150は、単結晶シリコン基板110の表面から45μm(x8)の位置に、30μm(x7)の厚みで形成されている。また、マイクロドーム170は、改質部150の底に厚み2μm(x9)、幅1μm(y9)で形成されている。なお、図15は、これらの結果をまとめた、レーザー光のパワーと改質幅との関係を示すグラフである。
【0062】
このようなレーザー光Lの照射条件では、改質部150にマイクロドーム170を形成することができる。また、改質部150及びマイクロドーム170は、半導体装置100の要求寸法(最小加工寸法/デザインルール)に応じて、レーザー光Lの諸元(例えはパワー、パルス幅)を制御することによって、サイズを自由にコントロールできる。また、マイクロドーム170は、トレンチ用改質部150a、リリース用改質部150bの形成位置に連続ならびに一定間隔で作ることができる。さらに、このように改質部150にマイクロドーム170を設けることによって、改質部150へのエッチャントの供給が容易に加速される。よって、マイクロドーム170を設けない場合よりエッチャントの浸透速度、吸着速度を速くすることができ、エッチング速度をより一層向上することができる。単結晶シリコン基板110におけるマイクロドーム170を有する改質部150は、多結晶化してない部位(単結晶の部位)に比べてエッチング速度を約5倍速くすることができる。
【0063】
また、上述の実施の形態においては、トレンチ部140a、リリース部140bを設ける例を採用して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。改質部150(多結晶化、マイクロドーム)を形成する際に、レーザー光の焦点を単結晶シリコン基板110の内部において単結晶シリコン基板110の平面に対して斜め方向に多結晶化(レーザー光の焦点を斜めに走査)することもできる。これによって、図16の変形例1、図17の変形例2に示すように、リリース部のコーナー(側壁)にテーパーによる補強部160aや、曲面(R)による補強部160bを容易に設けることができる。換言すると、補強部160a及び補強部160bは、リリース部の壁部であって、リリース部の底面から底面に対向する面にかけて設けられたテーパーや曲面である。なお、図16、図17は、図1におけるXVI−XVI線に沿う断面図である。
【0064】
よって、半導体装置(容量式加速度センサ100)の機械的強度、耐久性を向上させることができる。換言すると、機械的強度、耐久性を向上させた半導体装置(容量式加速度センサ100)を一枚の単結晶シリコン基板110から製造することができる。
【0065】
また、本発明の製造方法は、半導体力学量センサに限らず、トレンチゲートを有するトランジスタ、複合ICなどの製造にも適用できる。つまり、改質工程においては、単結晶シリコン基板110におけるトレンチゲートの形成予定領域を多結晶化したり、複合ICの素子分離用トレンチの形成予定領域を多結晶化したりする。このようにすることによって、トレンチゲートを有するトランジスタ、複合ICのコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0066】
20 可変焦点レンズ、21 集光レンズ、30 x-yステージ、100 半導体装置(容量式加速度センサ)、110 単結晶シリコン基板、121 可動電極、122 錘部、123 バネ部、124 アンカ、125 可動電極用パッド、130 固定部、131 固定電極、132 固定電極用パッド、140 エッチング部、140a トレンチ部、140b リリース部、150 改質部、150a トレンチ用改質部、150b リリース用改質部、160 空隙部(マイクロドーム)、170a、170b 補強部、L レーザー光
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング工程を有する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、単結晶シリコンをエッチングして半導体装置を製造する製造方法の一例として特許文献1に示すものがあった。
【0003】
この半導体装置の製造方法は、単結晶シリコンのベース層上に、酸化シリコンの中間層を介して、単結晶シリコンの上層が積層されているSOI基板を用いるものである。そして、上層の単結晶シリコンの表面にパターニングされた酸化膜をマスクとして、上層の単結晶シリコンを中間層までエッチングする。その後、中間層を、HFなどの薬液によってウェットエッチングするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−264902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に示す半導体装置の製造方法においては、可動部及び固定部を形成するために上層の単結晶シリコン基板を深さ方向に、中間層を酸化シリコン横方向(単結晶シリコン基板の平面に沿う方向)にエッチングする必要がある。しかしながら、中間層の酸化シリコンは、エッチングレートが遅く、上層の単結晶シリコン基板に関しては、単結晶シリコン基板をそのままエッチングするため、エッチング速度を向上させるには限界があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、単結晶シリコン基板を用いた半導体装置を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の半導体装置の製造方法は、単結晶シリコン基板に対してレーザー光を照射して、レーザー光の焦点を移動させることによって、少なくとも一部が単結晶シリコン基板の表面に露出するように単結晶シリコン基板の内部を部分的に多結晶化する改質工程と、
改質工程にて単結晶シリコン基板を多結晶化した部位をエッチャントにてエッチングするエッチング工程と、
を備えることを特徴とするものである。
【0008】
このように、単結晶シリコン基板における多結晶化した部位は、多結晶化していない部位に比べて、エッチャントの浸透速度、吸着速度が速くなる。従って、予め単結晶シリコン基板を多結晶化しておき、その多結晶化した部位をエッチャントにてエッチングすることによって、単結晶シリコン基板を用いた半導体装置を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる。
【0009】
また、請求項2に示すように、改質工程においては、レーザー光の照射条件を調整することによって、多結晶化した部位の一部に空隙部を形成するようにしてもよい。
【0010】
このように、多結晶化した部位の内部に空隙部を形成することによって、エッチング速度をより一層向上させることができる。
【0011】
また、請求項3に示すように、エッチング工程においては、ドライエッチングを行うようにしてもよい。
【0012】
このように、ドライエッチングにて多結晶化した部位をエッチングすることによって、スティッキングを抑制することができる。
【0013】
また、請求項4に示すように、改質工程においては、単結晶シリコン基板の内部を単結晶シリコン基板の深さ方向に多結晶化するようにしてもよい。
【0014】
このようにすることによって、トレンチを有する半導体装置を製造する際の製造時間を短縮することができる。
【0015】
また、請求項5に示すように、改質工程においては、単結晶シリコン基板の内部を単結晶シリコン基板の深さ方向及び単結晶シリコン基板の平面に沿う方向に多結晶化するようにしてもよい。
【0016】
このようにすることによって、二枚の単結晶シリコン基板を酸化膜などの中間層を介して貼り合わせたSOI基板を用いることなく、一枚の単結晶シリコン基板から可動部や薄膜部を有する半導体装置を製造することができると共に、製造する際の製造時間を短縮することができる。
【0017】
さらに、請求項6に示すように、改質工程においては、単結晶シリコン基板の内部を単結晶シリコン基板の平面に対して斜め方向に多結晶化するようにしてもよい。
【0018】
このようにすることによって、通常の単結晶シリコン基板をエッチングする場合では加工が難しい形状であってもエッチングすることができる。
【0019】
また、請求項7に示すように、半導体装置として、力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部及び固定部を有する半導体力学量センサを適用するものであり、改質工程においては、単結晶シリコン基板における可動部を区画する部位を多結晶化するようにしてもよい。
【0020】
半導体力学量センサの可動部を製造する場合、二枚の単結晶シリコン基板を酸化膜などの中間層を介して貼り合わせたSOI基板を用いることがある。しかしながら、上述のように、単結晶シリコン基板における可動部を区画する部位を多結晶化して、その多結晶化した部位をエッチングすることによって、SOI基板を用いることなく力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部を有する半導体力学量センサを製造することができコストを低減することができる。
【0021】
また、請求項8に示すように、半導体装置として、トレンチゲートを有するトランジスタを適用するものであり、改質工程においては、単結晶シリコン基板におけるトレンチゲートの形成予定領域を多結晶化するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置を示す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を示す工程別断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における製造装置の概略構成を示すイメージ図である。
【図5】本発明の実施の形態における単結晶シリコン基板の一例を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における単結晶シリコン基板の深さ方向への改質部を示す平面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における単結晶シリコン基板の横方向への改質部を示す平面図である。
【図10】図10におけるX−X線に沿う断面図である。
【図11】図10におけるXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるレーザー光のパワーを0.4wにして改質した場合の単結晶シリコン基板をSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察した断面図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるレーザー光のパワーを1.0wにして改質した場合の単結晶シリコン基板をSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察した断面図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるレーザー光のパワーを1.2wにして改質した場合の単結晶シリコン基板をSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察した断面図である。
【図15】本発明の実施の形態におけるレーザー光のパワーと改質幅との関係を示すグラフである。
【図16】本発明の変形例1における半導体装置を示す断面図である。
【図17】本発明の変形例2における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0024】
本実施の形態においては、本発明の製造方法を力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部を有する半導体力学量センサの製造方法に適用した例を採用して説明する。特に、本実の施形態では、図1に示すように半導体力学量センサとして、力学量としての加速度を検出する容量式加速度センサ100の例を示す。なお、半導体力学量センサとしては、力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部が構成されたMEMSデバイスであれば採用することができる。具体的には、上記した容量式加速度センサ以外にも、容量式角速度センサ、振動センサ、マイクロフォン、マイクロスキャナなどを採用することができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る容量式加速度センサ100は、一枚(単体)の単結晶シリコン基板110から可動部、固定部が構成されるものである。
つまり、この容量式加速度センサ100における可動部と固定部は、単結晶シリコン基板110によって連続して構成されるものである。この可動部及び固定部は、単結晶シリコン基板110が深さ方向にエッチングされたエッチング部140(トレンチ部140a)によって囲まれている。
【0026】
可動部は、単結晶シリコン基板110の深さ方向にエッチングされたエッチング部140であるトレンチ部140a及び単結晶シリコン基板110の内部で横方向にエッチングされたエッチング部140であるリリース部140bによって可動化(リリース)され、力学量(加速度)の印加に応じて所定方向(図1においては紙面左右方向)に変位可能な部位である。また、可動部は、単結晶シリコン基板110をエッチング部140によって区画してなる梁構造体であり可動電極121、錘部122、バネ部123を含む。なお、単結晶シリコン基板110の深さ方向とは、単結晶シリコン基板110の平面(表面)に対して垂直方向を示すものである。一方、単結晶シリコン基板110の横方向とは、単結晶シリコン基板110の平面に沿う方向を示すものである。
【0027】
加速度が作用する質量(マス)としての錘部122は、その外周(外枠)が平面長方形とされており、錘部122直下の単結晶シリコン基板110をエッチングにより除去しやすくするために、図1に示すごとく、エッチング部140の一部である貫通孔(図面においては符号140を付与すると共に、以下の説明においては貫通孔140とも称する)が設けられている。この錘部122は、単結晶シリコン基板110におけるエッチングされた空間(リリース部140b)の底面から浮いた状態で構成されている。従って、錘部122における貫通孔140は、単結晶シリコン基板110の表面からエッチングされた空間(リリース部140b)まで貫通している。
【0028】
なお、本実施の形態においては、後ほど説明するように、単結晶シリコン基板110のエッチングしたい部分をレーザー光によって多結晶化してからエッチングするため、リリース部140bを形成しやすいという効果を有するものである。つまり、リリース部140bの形成予定部分(多結晶化した部分)が単結晶シリコン基板110の外部に露出した多結晶化部分と連結していればリリース部140bを形成することができる。従って、本実施の形態においては、必ずしも錘部122に貫通孔140を設ける必要はない。
【0029】
可動電極121は、錘部122の変位方向に対して垂直な方向の側面から突出して形成され、図1に示す例では各側面に3本ずつ設けられている。また、錘部122の変位方向側の両端には、四角枠形状の梁構造を有するバネ部123がそれぞれ連結されている。この各バネ部123は、可動部を支持する支持部としてのアンカ124に連結されている。
【0030】
このように可動部は、可動電極121を構成する梁、錘部122を構成する梁、バネ部123を構成する梁が互いに連結されてなる梁構造体となっており、可動部としての梁構造体は、その両端がアンカ124に固定されている。つまり、可動電極121、錘部122、バネ部123は、アンカ124によって支持されて、単結晶シリコン基板110におけるエッチングされた空間(リリース部140b)の底面から浮いた状態となっている。
【0031】
なお、アンカ124の一方には、アルミニウムなどの金属層をパターニングしてなる可動電極用パッド125が形成されている。
【0032】
一方、複数の固定部130は、それぞれ固定電極131、固定電極用パッド132、及び固定電極131と固定電極用パッド132とを繋ぐ部位を有している。各固定部130における固定電極131と固定電極用パッド132とを繋ぐ部位は、固定電極131と対応する固定電極用パッド132とを電気的に接続する配線として機能するものである。
【0033】
各固定部130は、単結晶シリコン基板110が深さ方向にエッチングされたエッチング部140であるトレンチ部140aによって区画される。固定部130における配線として機能する部位は、錘部122と平行に配置されており、この部位から延びる固定電極131は、錘部122の両側面から突出する可動電極121に対して、それぞれ所定の検出間隔(隙間)を有しつつ、平行状態で対向配置されている。
【0034】
この固定電極131は、可動電極121と同じ数だけ設けられている。また、固定電極131は、加速度が印加されたとき、可動電極121と固定電極131との間にそれぞれ形成されるコンデンサの各静電容量が、一方で増加し、他方で減少するように設けられている。すなわち、差動増幅する構成となっている。
【0035】
ここで、本実施の形態における容量式加速度センサ100の製造方法に関して図3を用いて説明する。まず、図3(a)に示すように、単結晶シリコン基板110を用意する。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、単結晶シリコン基板110に対してレーザー光Lを照射して、そのレーザー光Lの焦点を単結晶シリコン基板110におけるエッチング予定領域内で移動させることによって、少なくとも一部が単結晶シリコン基板110の表面に露出するように単結晶シリコン基板110の内部を部分的(選択的)に多結晶化(トレンチ用改質部150a、リリース用改質部150b)する(改質工程)。
【0037】
換言すると、単結晶シリコン基板110における可動部及び固定部を区画する部位を多結晶化する。つまり、可動電極121、錘部122、バネ部123、アンカ124、固定部130の形成予定領域の周辺を多結晶化(トレンチ用改質部150a)すると共に、この周辺の多結晶化された部位に少なくとも一部が連結するように可動電極121、錘部122、バネ部123の形成予定領域の直下を多結晶化(リリース用改質部150b)する。
【0038】
なお、トレンチ部140aを形成するための改質部150をトレンチ用改質部150a、リリース部140bを形成するための改質部150をリリース用改質部150bと称する。つまり、単結晶シリコン基板110の深さ方向の改質部150をトレンチ用改質部150a、横方向の改質部150をリリース用改質部150bと称する。
【0039】
また、この改質工程においては、図4に示すように、単結晶シリコン基板110が載置された状態で単結晶シリコン基板110をx-y方向(単結晶シリコン基板110の平面に沿う方向)に移動させることができるx-yステージ30と、x-yステージ30上に載置された単結晶シリコン基板110の上方に配置されレーザー光Lの焦点をz方向(単結晶シリコン基板110の深さ方向)に移動させることができる可変焦点レンズ20、集光レンズ21などの光学系装置とを用いることができる。
【0040】
ここで、この光学系装置(可変焦点レンズ20、集光レンズ21)とx-yステージ30とを用いてトレンチ用改質部150aを形成する場合について図6〜図8を用いて説明する。なお、ここでは説明を簡略化するために、単結晶シリコン基板110にトレンチ用改質部150aのみを形成する場合を例として採用する。まず、レーザー光Lの発光口(発光部)が単結晶シリコン基板110におけるトレンチ部140aを形成する位置の真上にくるように、単結晶シリコン基板110が載置されたx-yステージ30、もしくは光学系装置(可変焦点レンズ20、集光レンズ21)を調節する。そして、レーザー光Lを照射しつつ、可変焦点レンズ20にてレーザー光Lの焦点を単結晶シリコン基板110におけるトレンチ用改質部150aを形成する位置の深い方から表面へと移動させる。つまり、レーザー光Lの走査(移動)方向は、単結晶シリコン基板110の平面に対して垂直方向である。この図7、8の例の場合、レーザー光Lの焦点の位置は、単結晶シリコン基板110の深さ方向(単結晶シリコン基板110の平面に対して垂直方向)に2点である。
【0041】
次に、この光学系装置(可変焦点レンズ20、集光レンズ21)とx-yステージ30とを用いてリリース用改質部150bを形成する場合について図9〜図11を用いて説明する。なお、ここでは説明を簡略化するために、単結晶シリコン基板110にリリース用改質部150bのみを形成する場合を例として採用する。しかしながら、実際は、リリース用改質部150bは、エッチャントが浸透するように、必ず単結晶シリコン基板110の表面に露出する改質部150(トレンチ用改質部150a)と連結する。
【0042】
まず、レーザー光Lの発光口(発光部)が単結晶シリコン基板110におけるリリース部140bを形成する位置の始点の真上にくるように、単結晶シリコン基板110が載置されたx-yステージ30、もしくは光学系装置(可変焦点レンズ20、集光レンズ21)を調節する。また、レーザー光Lを照射したときに、レーザー光Lの焦点が単結晶シリコン基板110の所定の深さ(リリース部140bの形成する位置)になるように可変焦点レンズ20を調節しておく。
【0043】
そして、レーザー光Lを照射しつつ、x-yステージ30にて単結晶シリコン基板110を移動させることによって、レーザー光Lの焦点を単結晶シリコン基板110におけるリリース部140bを形成する位置に沿って移動させる。つまり、レーザー光Lの走査(移動)方向は、単結晶シリコン基板110の平面に沿う方向である。この図10、11の例の場合、レーザー光Lの焦点の位置は、単結晶シリコン基板110の平面に沿う方向に18点である。
【0044】
なお、x-yステージ30及び集光レンズ21は、周知技術であるため詳しい説明は省略する。また、可変焦点レンズ20は、特開2002−239769号公報に記載されたものなどを採用するようにしてもよい。
【0045】
また、本実施の形態においては、単結晶シリコン基板110に対して三次元的にレーザー光Lの焦点を移動させるための装置の一例として、可変焦点レンズ20、集光レンズ21、及びx-yステージ30を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。単結晶シリコン基板110とレーザー光Lの焦点とを相対的に移動させて、単結晶シリコン基板110に対して三次元的にレーザー光Lの焦点を移動させることができるものであれば特に限定されるものではない。また、単結晶シリコン基板110にトレンチ部のみを形成する場合は、単結晶シリコン基板110とレーザー光Lの焦点とを相対的に移動させて、単結晶シリコン基板110の深さ方向にレーザー光Lの焦点を照射することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0046】
なお、本実施の形態(図4)においては、矩形状の単結晶シリコン基板110を用いる例を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、インゴットからスライスしたオリフラなどの切り欠きがある略円形の単結晶シリコン基板110を採用することもできる。この場合、単結晶シリコン基板110におけるチップ作成領域100aに複数の容量式加速度センサ100を形成する。
【0047】
このように単結晶シリコン基板110にレーザー光Lを照射しつつ、レーザー光の焦点を移動させることによって、その焦点が当たった部分に多光子吸収を生じさせ、部分的に単結晶から多結晶へ改質することができる。換言すると、改質工程においては、単結晶シリコン基板110にレーザー光Lの焦点を局所的に当てることによって、単結晶から多結晶へと改質された改質部150を形成する。つまり、単結晶シリコン基板110に対して、選択的に多結晶の領域を形成する。
【0048】
そして、改質工程後は、改質工程にて単結晶シリコン基板110を多結晶化した部位をエッチャントにて連続的にエッチングする(エッチング工程)。なお、エッチング工程としては、ウェットエッチングでもドライエッチング(反応ガス中に材料を晒してエッチングする反応性ガスエッチング、プラズマによりガスをイオン化・ラジカル化してエッチングする反応性イオンエッチング)でも採用することができる。
【0049】
しかしながら、ウェットエッチングの場合、改質部150をエッチング除去したときに、トレンチ部140aやリリース部140bにおいて単結晶シリコン基板110同士が付着してしまう現象(所謂スティッキング)が生じる可能性がある。そこで、エッチング工程においてはドライエッチングを採用すると好ましい。ドライエッチングを採用することによって上述のスティッキングを抑制することができる。また、可動電極121、錘部122、バネ部123の形成予定領域の直下をエッチングする場合は、ウェットエッチングで用いる水溶液に比べて、ドライエッチングで用いるガスのほうがリリース用改質部150bに浸透しやすいので好ましい。
【0050】
なお、このドライエッチングにおけるエッチング条件の一例としては、ガス:XeF2、圧力:1torr、パルスエッチング×5回、反応式:Si+2XeF2→SiF4+2Xeなどを採用することができる。
【0051】
このように、単結晶シリコン基板110における多結晶化した部位(改質部150(トレンチ用改質部150a、リリース用改質部150b)は、多結晶化していない部位(単結晶部位)に比べて、エッチャントの浸透速度、吸着速度が速くなる。従って、予め単結晶シリコン基板110を多結晶化しておき、その多結晶化した部位をエッチャントにて連続的にエッチングすることによって、単結晶シリコン基板110を用いた容量式加速度センサ100を製造する際に、エッチング速度を向上させることができる。
【0052】
また、従来、上述のような半導体力学量センサの可動部を製造する場合、二枚の単結晶シリコン基板を酸化膜などの中間層を介して貼り合わせたSOI基板を用いる方法がある。しかしながら、このSOI基板は、一般的には単結晶シリコン基板110より高価である。そこで、本実施の形態における製造方法においては、上述のように、単結晶シリコン基板110における可動部及び固定部を区画する部位を多結晶化して、その多結晶化した部位をエッチングすることによって、SOI基板を用いることなく力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部を有する容量式加速度センサ100を製造することができコストを低減することができる。
【0053】
また、単結晶シリコン基板110における改質部150は、単結晶シリコン部分、SOI基板の中間層を構成する酸化膜などの絶縁膜よりもエッチングレートが早い。さらに、本実施の形態における製造方法では、トレンチ部140aとリリース部140bとを連続的にエッチングすることができる。よって、本実施の形態における製造方法は、SOI基板を用いる場合よりも容量式加速度センサ100の製造時間を短縮することができる。
【0054】
また、本実施の形態における製造方法の場合、加工材料が単結晶シリコン基板110の1種類となり、ガス系、チャンバー系(高周波、電極板)が1系統となり、エッチング装置をコンパクトにすることができる。
【0055】
また、本実施の形態で採用した力学量としての加速度を検出する容量式加速度センサの場合、可動電極121と固定電極131とのギャップが単結晶シリコン基板110内、単結晶シリコン基板110間で一定、可動電極121と固定電極131のミクロン単位の寸法、可動電極121と固定電極131の対抗面が鏡面であることが理想である。
【0056】
本実施の形態における製造方法においては、レーザー光で予めエッチングしたい領域に改質部(多結晶化、マイクロドーム)を形成しておき(荒取りエッチング)、その領域をエッチングするので加工精度を向上させることができる。また、エッチング工程においてドライエッチングの等方性領域を利用した角度依存性を積極的に活用することによって、従来よりも滑らかな加工面とすることができる。
【0057】
なお、本実施の形態においては、容量式加速度センサ100におけるトレンチ部140a及びリリース部140bの両方を本発明の製造方法(多結晶化後にエッチング)を用いて形成する例を採用したが、トレンチ部140aのみを本発明の製造方法を用いて形成するようにしてもよい。このようにすることによっても、単結晶シリコン基板をそのままエッチングしてトレンチを形成する場合に比べて、トレンチ部140aを形成する時間を短縮することができる。
【0058】
また、図12〜図14に示すように、レーザー光Lの照射条件を調整することによって、多結晶化した改質部150(ここでは、リリース用改質部150bを採用)の一部に空隙部170(以下、マイクロドームとも称する)を形成するようにしてもよい。なお、図12〜図14においては、(b)は、単結晶シリコン基板110をSEMで観察した断面図であり、(a)は、単結晶シリコン基板110をSEMで観察した断面図のトレース図面である。
【0059】
例えば、図12(a)、(b)に示す例は、レーザー光Lの照射条件として、パワー:0.4w、送り(走査速度):300mm/s、周波数:80kHzを採用して、単結晶シリコン基板110に改質部150(リリース用改質部150b)及びマイクロドーム170を形成したときの極−SEM画像である。このとき、改質部150は、単結晶シリコン基板110の表面から60μm(x2)の位置に、15μm(x1)の厚みで形成されている。また、マイクロドーム170は、改質部150の底に厚み4μm(x3)、幅1μm(y3)で形成されている。
【0060】
次に、図13(a)、(b)に示す例は、レーザー光Lの照射条件として、パワー:1.0w、送り(走査速度):300mm/s、周波数:80kHzを採用して、単結晶シリコン基板110に改質部150(リリース用改質部150b)及びマイクロドーム170を形成したときのFE−SEM画像である。このとき、改質部13は、単結晶シリコン基板110の表面から45μm(x5)の位置に、30μm(x4)の厚みで形成されている。また、マイクロドーム170は、改質部150の底に厚み2μm(x6)、幅1μm(y6)で形成されている。
【0061】
また、図14(a)、(b)に示す例は、レーザー光Lの照射条件として、パワー:1.2w、送り(走査速度):300mm/s、周波数:80kHzを採用して、単結晶シリコン基板110に改質部150(リリース用改質部150b)及びマイクロドーム170を形成したときのFE−SEM画像である。このとき、改質部150は、単結晶シリコン基板110の表面から45μm(x8)の位置に、30μm(x7)の厚みで形成されている。また、マイクロドーム170は、改質部150の底に厚み2μm(x9)、幅1μm(y9)で形成されている。なお、図15は、これらの結果をまとめた、レーザー光のパワーと改質幅との関係を示すグラフである。
【0062】
このようなレーザー光Lの照射条件では、改質部150にマイクロドーム170を形成することができる。また、改質部150及びマイクロドーム170は、半導体装置100の要求寸法(最小加工寸法/デザインルール)に応じて、レーザー光Lの諸元(例えはパワー、パルス幅)を制御することによって、サイズを自由にコントロールできる。また、マイクロドーム170は、トレンチ用改質部150a、リリース用改質部150bの形成位置に連続ならびに一定間隔で作ることができる。さらに、このように改質部150にマイクロドーム170を設けることによって、改質部150へのエッチャントの供給が容易に加速される。よって、マイクロドーム170を設けない場合よりエッチャントの浸透速度、吸着速度を速くすることができ、エッチング速度をより一層向上することができる。単結晶シリコン基板110におけるマイクロドーム170を有する改質部150は、多結晶化してない部位(単結晶の部位)に比べてエッチング速度を約5倍速くすることができる。
【0063】
また、上述の実施の形態においては、トレンチ部140a、リリース部140bを設ける例を採用して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。改質部150(多結晶化、マイクロドーム)を形成する際に、レーザー光の焦点を単結晶シリコン基板110の内部において単結晶シリコン基板110の平面に対して斜め方向に多結晶化(レーザー光の焦点を斜めに走査)することもできる。これによって、図16の変形例1、図17の変形例2に示すように、リリース部のコーナー(側壁)にテーパーによる補強部160aや、曲面(R)による補強部160bを容易に設けることができる。換言すると、補強部160a及び補強部160bは、リリース部の壁部であって、リリース部の底面から底面に対向する面にかけて設けられたテーパーや曲面である。なお、図16、図17は、図1におけるXVI−XVI線に沿う断面図である。
【0064】
よって、半導体装置(容量式加速度センサ100)の機械的強度、耐久性を向上させることができる。換言すると、機械的強度、耐久性を向上させた半導体装置(容量式加速度センサ100)を一枚の単結晶シリコン基板110から製造することができる。
【0065】
また、本発明の製造方法は、半導体力学量センサに限らず、トレンチゲートを有するトランジスタ、複合ICなどの製造にも適用できる。つまり、改質工程においては、単結晶シリコン基板110におけるトレンチゲートの形成予定領域を多結晶化したり、複合ICの素子分離用トレンチの形成予定領域を多結晶化したりする。このようにすることによって、トレンチゲートを有するトランジスタ、複合ICのコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0066】
20 可変焦点レンズ、21 集光レンズ、30 x-yステージ、100 半導体装置(容量式加速度センサ)、110 単結晶シリコン基板、121 可動電極、122 錘部、123 バネ部、124 アンカ、125 可動電極用パッド、130 固定部、131 固定電極、132 固定電極用パッド、140 エッチング部、140a トレンチ部、140b リリース部、150 改質部、150a トレンチ用改質部、150b リリース用改質部、160 空隙部(マイクロドーム)、170a、170b 補強部、L レーザー光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコン基板に対してレーザー光を照射して、当該レーザー光の焦点を移動させることによって、少なくとも一部が前記単結晶シリコン基板の表面に露出するように前記単結晶シリコン基板の内部を部分的に多結晶化する改質工程と、
前記改質工程にて前記単結晶シリコン基板を多結晶化した部位をエッチャントにてエッチングするエッチング工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記改質工程においては、前記レーザー光の照射条件を調整することによって、前記多結晶化した部位の一部に空隙部を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング工程においては、ドライエッチングを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板の内部を前記単結晶シリコン基板の深さ方向に多結晶化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板の内部を前記単結晶シリコン基板の深さ方向及び前記単結晶シリコン基板の平面に沿う方向に多結晶化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板の内部を前記単結晶シリコン基板の平面に対して斜め方向に多結晶化することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記半導体装置として、力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部及び固定部を有する半導体力学量センサを適用するものであり、前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板における前記可動部を区画する部位を多結晶化することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体装置として、トレンチゲートを有するトランジスタを適用するものであり、前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板におけるトレンチゲートの形成予定領域を多結晶化することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
単結晶シリコン基板に対してレーザー光を照射して、当該レーザー光の焦点を移動させることによって、少なくとも一部が前記単結晶シリコン基板の表面に露出するように前記単結晶シリコン基板の内部を部分的に多結晶化する改質工程と、
前記改質工程にて前記単結晶シリコン基板を多結晶化した部位をエッチャントにてエッチングするエッチング工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記改質工程においては、前記レーザー光の照射条件を調整することによって、前記多結晶化した部位の一部に空隙部を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング工程においては、ドライエッチングを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板の内部を前記単結晶シリコン基板の深さ方向に多結晶化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板の内部を前記単結晶シリコン基板の深さ方向及び前記単結晶シリコン基板の平面に沿う方向に多結晶化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板の内部を前記単結晶シリコン基板の平面に対して斜め方向に多結晶化することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記半導体装置として、力学量の印加に応じて所定方向に変位可能な可動部及び固定部を有する半導体力学量センサを適用するものであり、前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板における前記可動部を区画する部位を多結晶化することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体装置として、トレンチゲートを有するトランジスタを適用するものであり、前記改質工程においては、前記単結晶シリコン基板におけるトレンチゲートの形成予定領域を多結晶化することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図16】
【図17】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図16】
【図17】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−40492(P2011−40492A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184969(P2009−184969)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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