説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】キャパシタ構造への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高い半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】極低水分含有量のシリコン酸化膜である第1の絶縁膜3と、第1の絶縁膜3よりも水分含有量の多い、従って面内膜厚分布率の小さいシリコン酸化膜である第2の絶縁膜4との積層膜を形成し、これをCMPにより研磨する。強誘電体キャパシタ構造2の直上には第2の絶縁膜4が残らず除去され、第1の絶縁膜3の表面がある程度露出するまで研磨する。このとき、第1の絶縁膜3における第1の部分の上面から第2の絶縁膜4の上面にかけて表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜3と、第1の絶縁膜3の第2の部分上に残る第2の絶縁膜4とからなる層間絶縁膜10が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部電極と上部電極との間に誘電体膜が挟持されてなるキャパシタ構造を有する半導体装置及びその製造方法に関し、特に、誘電体膜が強誘電特性を有する強誘電体膜である強誘電体キャパシタ構造を有する半導体装置に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、強誘電体の分極反転を利用して情報を強誘電体キャパシタ構造に保持する強誘電体メモリ(FeRAM)の開発が進められている。強誘電体メモリは、電源を断っても保持された情報が消失しない不揮発メモリであり、高集積度、高速駆動、高耐久性、及び低消費電力の実現が期待できることから特に注目されている。
【0003】
強誘電体キャパシタ構造を構成する強誘電体膜の材料としては、残留分極量が大きな、例えば10(μC/cm2)〜30(μC/cm2)程度のPZT(Pb(Zr,Ti)O3)膜、SBT(SrBi2Ta9)膜等のペロブスカイト結晶構造を有する強誘電体酸化物が主として用いられている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−280528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャパシタ構造、特に強誘電体キャパシタ構造では、シリコン酸化膜などの水との親和性の高い層間絶縁膜を介して外部から侵入した水分により、強誘電体膜の特性が劣化することが知られている。即ち、外部から侵入した水分が層間絶縁膜やメタル配線成膜時の高温プロセス中で水素と酸素とに分解する。この水素が強誘電体膜中に侵入すると、強誘電体膜の酸素と反応して強誘電体膜に酸素欠陥が形成され結晶性が低下する。また、強誘電体メモリの長期間の使用によっても同様の現象が発生する。その結果、強誘電体膜の残留分極量や誘電率が低下するなどの強誘電体キャパシタ構造の性能劣化が発生する。また、このような水素の浸入により、強誘電体キャパシタ構造に限らず、トランジスタ等の性能が劣化することがある。
【0006】
従って、強誘電体キャパシタ構造への水分・水素の浸入を防止すべく、強誘電体キャパシタ構造をアルミナ(Al23)等の水素の拡散を防止する機能を有する薄膜(水素拡散防止膜)で覆うとともに、この水素拡散防止膜を介して強誘電体キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜として水分含有量の極めて低い絶縁膜を形成すべく、例えばTEOSを含む原料ガスを用いたプラズマCVD法によりシリコン酸化膜を形成する。このように、いわゆる極低水分含有条件でシリコン酸化膜を層間絶縁膜として形成することにより、水素拡散防止膜と相俟って強誘電体キャパシタ構造への水分・水素の浸入を可及的に防止することができる。
【0007】
しかしながら、上記の極低水分含有条件で形成するシリコン酸化膜は、その面内膜厚分布が5%程度であり、これを層間絶縁膜として強誘電体キャパシタ構造を覆うように形成した後、化学機械研磨法(Chemical-Mechanical Polishing:CMP法)で研磨して表面平坦化した場合でも、その面内膜厚分布が大きい。そのため、強誘電体キャパシタ構造の強誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等が問題となっている。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、キャパシタ構造への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高い半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成されており、下部電極と上部電極とにより誘電体材料からなるキャパシタ膜を挟持してなるキャパシタ構造と、前記キャパシタ構造を覆うように形成されてなる層間絶縁膜とを含み、前記層間絶縁膜は、前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成されており、水分含有量の低い第1の絶縁材料からなる第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜の前記第2の部分上に形成されており、前記よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜とを有しており、前記第1の絶縁膜における前記第1の部分の上面から、前記第2の絶縁膜の上面にかけて、表面平坦化されてなる。
【0010】
本発明の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成されており、下部電極と上部電極とにより誘電体材料からなるキャパシタ膜を挟持してなるキャパシタ構造と、前記キャパシタ構造を覆うように形成されてなる層間絶縁膜とを含み、前記層間絶縁膜は、前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成されており、水分含有量の低い第1の絶縁材料からなる第1の絶縁膜と、前記第1の層間絶縁膜を覆い、前記キャパシタ構造への水素拡散を防止する機能を有する水素拡散防止膜と、前記水素拡散防止膜を覆い、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の層間絶縁膜とを有しており、前記第2の絶縁膜が表面平坦化されてなる。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板の上方に、下部電極と上部電極とにより誘電体膜を挟持してなるキャパシタ構造を形成する工程と、前記キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜を形成する工程とを含み、前記層間絶縁膜を形成する工程は、水分含有量の低い第1の絶縁材料を用いて、前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高くなるように第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜の少なくとも一部が露出するように、前記第1及び第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程とを有し、少なくとも前記第1の絶縁膜を有する前記層間絶縁膜を形成する。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板の上方に、下部電極と上部電極とにより誘電体膜を挟持してなるキャパシタ構造を形成する工程と、前記キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜を形成する工程とを含み、前記層間絶縁膜を形成する工程は、水分含有量の低い第1の絶縁材料を用いて、前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高くなるように第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の層間絶縁膜を覆い、前記キャパシタ構造への水素拡散を防止する機能を有する水素拡散防止膜を形成する工程と、前記水素拡散防止膜を覆い、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程とを有し、前記第1及び第2の絶縁膜と前記水素拡散防止膜とを有する前記層間絶縁膜を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キャパシタ構造への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
−本発明の基本骨子−
通常、絶縁膜は、水分含有量と面内膜厚分布率とがトレードオフの関係にあり、水分含有量の低いものはその反面で面内膜厚分布率に劣り(大きく)、面内膜厚分布率に優れた(小さい)ものはその反面で水分含有量が高いという性質を有している。
本発明者は、絶縁膜の持つ上記の相反する性質を利用し、キャパシタ構造、特に水分・水素によるダメージを受け易い強誘電体キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜として、水分・水素の遮断機能を十分に保持しつつも、優れた表面平坦性を実現すべく鋭意検討した結果、水分含有量の相異なる少なくとも2層の絶縁膜を積層してなる層間絶縁膜に想到した。
【0015】
本発明者は、上記の層間絶縁膜の適用形態を定量的に把握すべく、以下のような実験を行なった。ここでは、層間絶縁膜の形成環境として理想に近い状態として、表面が平坦なシリコン基板上に条件を変えて絶縁材料を適宜堆積し、各々の場合における面内膜厚分布率(uniformity)を求める実験1と、同様に表面が平坦なシリコン基板上に条件を変えて絶縁材料を適宜堆積した後にCMPにより表面平坦化し、各々の場合における脱ガス(H2O)量を調べる実験2とを行なった。
【0016】
実験(1)
表面が平坦なシリコン基板上に、シリコン酸化膜を2層(第1及び第2の絶縁膜)に形成し、サンプル層間絶縁膜とする。下層の第1の絶縁膜は、従前より強誘電体キャパシタ構造の層間絶縁膜として用いられている、いわゆる極低水分含有量のシリコン酸化膜である。これに対して上層の第2の絶縁膜は、第1の絶縁膜よりも水分含有量の多い、従って面内膜厚分布率の小さいシリコン酸化膜である。ここで、第1及び第2の絶縁膜を形成するには、例えばTEOSを原料ガスとするプラズマCVD法を用いて、第1の絶縁膜の場合には圧力を比較的高値に、第2の絶縁膜の場合には第1の絶縁膜の形成時よりも圧力を低値に設定して、それぞれ成膜する。このとき、上記の圧力条件を採用する代わりに、または上記の圧力条件と併用して、第1の絶縁膜の場合には原料ガスの酸素量(O2流量)を比較的高値に、第2の絶縁膜の場合には第1の絶縁膜の形成時よりもO2流量を低値に設定して、それぞれ成膜するようにしても良い。
【0017】
本実験では、第1及び第2の絶縁膜の膜厚総計が1400nmとなるように規定し、各絶縁膜の膜厚を変えて、サンプル層間絶縁膜の面内膜厚分布率を算出した。ここでは、条件1を参照サンプルとして第1の絶縁膜のみとし、条件2(第1の絶縁膜:300nm 第2の絶縁膜:1100nm)、条件3(第1の絶縁膜:500nm 第2の絶縁膜:900nm)、条件4(第1の絶縁膜:700nm 第2の絶縁膜:700nm)とした。ここで面内膜厚分布率Ufを、以下のように定義する。
Uf={(Tmax−Tmin)/(Tmax+Tmin)}×100
ここで、Tmaxが膜厚の最大値、Tminが膜厚の最小値である。
測定・算出結果を表1及び図1(a)に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
表1及び図1(a)に示すように、第1及び第2の絶縁膜の積層膜では第1の絶縁膜のみの場合と比較して優れた表面平坦性が得られることが判る。なお、本実験では条件1の面内膜厚分布率が3.14%と比較的優れた値を示したが、当該第1の絶縁膜では通常5%以下程度の面内膜厚分布率となる。また、第2の絶縁膜のみではそもそも強誘電体キャパシタ構造の層間絶縁膜として適しないことが判明しているためにサンプルとして採り上げなかったが、当該第2の絶縁膜のみの面内膜厚分布率は2%以下程度であることが判っている。
【0020】
本実験の結果において特筆する点としては、条件2〜4の面内膜厚分布率がほぼ同等の値であることが挙げられる。この事実は、面内膜厚分布率は第1及び第2の絶縁膜における各々の膜厚にはさほど依存せず、第1及び第2の絶縁膜の積層構成に形成すればほぼ一定の優れた表面平坦性が得られることを意味する。
【0021】
なお、実験(1)では実験の容易性や確実性、正確性を考慮し、実験形態を単純化すべく平坦面上に単に絶縁膜を堆積形成し、面内膜厚分布率を算出したが、成膜された当該絶縁膜にCMPを施して表面平坦化したものでも、その面内膜厚分布率は殆ど変化しないことが判っている。
【0022】
実験(2)
本実験では、実験(1)において条件1〜4で各サンプル層間絶縁膜を形成した後、各々をCMPにより膜厚1400nmから500nmとなるまで研磨し、表面平坦化する。そして、表面平坦化された条件1〜4で各サンプル層間絶縁膜について、昇温脱離分光法(TDS)によりH2Oの脱ガス量を測定した。ここで、条件1でCMPを施さないものについても、同様にH2Oの脱ガス量を測定した。
【0023】
測定・算出結果を図1(b)に示す。
図1(b)に示すように、サンプル層間絶縁膜において、水分含有量の高い第2の絶縁膜の比率が大きいほど、H2Oの脱ガス量も多く、条件1,4,3,2の順でほぼ線形に増大することが確認された。ここで、条件2で確認された程度の脱ガス量を示す層間絶縁膜でも、水分含有量が極低である第2の絶縁膜の存在により強誘電体キャパシタ構造に対する水分・水素の遮断機能は十分に果たされる。また、条件1でCMPを施した場合、研磨剤や研磨条件との兼ね合いから、H2Oの脱ガス量が若干増大することが判る。この結果を踏まえ、強誘電体キャパシタ構造への更なる水分・水素の遮断機能を得るべく、CMP後に層間絶縁膜に例えばN2Oガスを用いたプラズマ処理を施し、脱水及び表面改質することが有効である。
【0024】
本実験の結果において特筆する点としては、条件3,4では、CMP後には第2の絶縁膜は残存せず、サンプル層間絶縁膜は第1の絶縁膜のみとされていることである。このことは、条件3,4では、初期状態として第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜を形成したことから、その水分含有量が増大し、状態1よりも優れた表面平坦性が得られることを意味する。
即ち本発明では、先ず第1及び第2の絶縁膜の積層構造を形成し、これをCMPで研磨して第1の絶縁膜のみを層間絶縁膜として残した場合でも、強誘電体キャパシタ構造に対する水分・水素の遮断機能を十分に保持しつつも、優れた表面平坦性が得られることが判明した。
【0025】
実験(1),(2)の結果を踏まえ、本発明では、強誘電体キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜を、極低水分含有量の第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜よりも水分含有量の多い、従って面内膜厚分布率の小さい第2の絶縁膜との積層構造に形成し、CMPにより表面平坦化する。この構成を採ることにより、強誘電体キャパシタ構造に対する水分・水素の遮断機能を十分に保持しつつも、優れた表面平坦性、具体的には3%以下、より好ましくは2.3%(実験(1)の条件3を参照)以下の面内膜厚分布率を実現することができる。
【0026】
ここで、実験(1)で説明したように、層間絶縁膜における第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との膜厚割合は面内膜厚分布率に殆ど影響がなく、CMP等による表面平坦化後には第2の絶縁膜が研磨消失して第1の絶縁膜のみ残存した場合であっても、ほぼ一定の優れた表面平坦性が得られる。従って、第1及び第2の絶縁膜の各膜厚を逐一制御することなく、簡易に所期の層間絶縁膜を形成することができる。
【0027】
なお、特許文献1では、例えば図25等に、強誘電体キャパシタを覆う層間絶縁膜が2層に形成されている様子が示されているが、各層間絶縁膜6a,6bの材質等については全く記載がなく、従って当然に本発明とは別発明であり、特許文献1の発明から本発明に想到することは到底できない。
【0028】
以上から、本発明では、以下の発明態様1〜3を提示する。
図2は、第1及び第2の絶縁膜を積層形成した様子を示す概略断面図である。図3は、積層膜をCMPにより表面平坦化して層間絶縁膜を形成した様子を示す概略断面図であり、(a)が発明態様1の層間絶縁膜を、(b)が発明態様2の層間絶縁膜をそれぞれ示す。図4は、発明態様3の層間絶縁膜を形成する様子を示す概略断面図である。なおここでは、図2〜図4において、基体上に強誘電体キャパシタ構造が形成された、単純化された状態を例示して説明する。
【0029】
(発明態様1)
先ず、図2に示すように、基体1上に形成された強誘電体キャパシタ構造2を覆うように、実験(1)で説明した手法で第1の絶縁膜3及び第2の絶縁膜4を積層形成する。ここで、第1及び第2の絶縁膜3,4は、強誘電体キャパシタ構造2が存することから、強誘電体キャパシタ構造2の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成される。
【0030】
続いて、図3(a)に示すように積層膜をCMPにより研磨する。ここでは、強誘電体キャパシタ構造2の直上には第2の絶縁膜4が残らず除去され、第1の絶縁膜3の表面がある程度露出するまで研磨する。第2の絶縁膜4は、第1の絶縁膜3の第2の部分上に残存する。このとき、第1の絶縁膜3における第1の部分の上面から第2の絶縁膜4の上面にかけて表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜3と、第1の絶縁膜3の第2の部分上に残る第2の絶縁膜4とからなる層間絶縁膜10が形成される。
【0031】
層間絶縁膜10では、強誘電体キャパシタ構造2を覆う第1の絶縁膜3により強誘電体キャパシタ構造2を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、第2の絶縁膜4により優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
【0032】
(発明態様2)
先ず、発明態様1と同様、図2に示すように、基体1上に形成された強誘電体キャパシタ構造2を覆うように、実験(1)で説明した手法で第1の絶縁膜3及び第2の絶縁膜4を積層形成する。
【0033】
続いて、図3(b)に示すように積層膜をCMPにより研磨する。ここでは、第2の絶縁膜4が残らず除去され、第1の絶縁膜3のみが残存するように研磨する。このとき、表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜3のみからなる層間絶縁膜11が形成される。
【0034】
層間絶縁膜11では、極低水分含有量で単独では表面平坦性に劣るはずの第1の絶縁膜3のみ残存するにも係わらず、強誘電体キャパシタ構造2を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
【0035】
(発明態様3)
先ず、図4(a)に示すように、基体1上に形成された強誘電体キャパシタ構造2を覆うように、実験(1)で説明した手法で第1の絶縁膜3と、第1の絶縁膜3を覆うアルミナ(Al23)等の薄い水素拡散防止膜5と、第2の絶縁膜4とを順次に積層形成する。ここで、強誘電体キャパシタ構造2は、第1の絶縁膜3と相俟って水素拡散防止膜5により水分・水素の浸入が十分に遮断されることから、第2の絶縁膜4を第1の絶縁膜3よりも相当程度厚く(例えば3倍程度に)形成しても良い。
【0036】
続いて、図4(b)に示すように積層膜をCMPにより研磨する。ここでは、第2の絶縁膜4のみを研磨する。このとき、第2の絶縁膜4が表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜3、水素拡散防止膜5及び第2の絶縁膜4が順次積層されてなる層間絶縁膜12が形成される。
【0037】
層間絶縁膜12では、強誘電体キャパシタ構造2を覆う第1の絶縁膜3及び水素拡散防止膜5により強誘電体キャパシタ構造2を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、第2の絶縁膜4により優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
【0038】
−本発明を適用した具体的な諸実施形態−
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。これらの実施形態では、本発明をキャパシタ膜に強誘電体膜を適用してなる強誘電体キャパシタを備えたFeRAMに適用する場合について例示する。各実施形態では、説明の便宜上、FeRAMの構成をその製造方法と共に説明する。なお本発明は、キャパシタ膜に通常の誘電体膜を適用してなる半導体メモリにも適用可能である。
【0039】
(第1の実施形態)
本実施形態では、強誘電体キャパシタ構造の下部電極上及び上部電極上にそれぞれ導電プラグが形成されて電気的導通がとられる構成の、いわゆるプレーナ型のFeRAMを例示する。
ここでは、プレーナ型のFeRAMの構成をその製造方法と共に説明する。図5〜図10は、本実施形態によるプレーナ型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0040】
先ず、図5(a)に示すように、シリコン半導体基板110上に選択トランジスタとして機能するMOSトランジスタ120を形成する。ここで、MOSトランジスタ120と共に、周辺回路領域において、CMOSトランジスタ(不図示)の一方のトランジスタとなるnMOSトランジスタを同時形成する。なお、他方のトランジスタとなるpMOSトランジスタについては、nMOSトランジスタの前或いは後に形成する。
【0041】
詳細には、シリコン半導体基板110の表層に例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により素子分離構造111を形成し、素子活性領域を確定する。
次に、素子活性領域に不純物、ここではホウ素(B+)を例えばドーズ量3.0×1013/cm2、加速エネルギー300keVの条件でイオン注入し、ウェル112を形成する。
【0042】
次に、素子活性領域に熱酸化等により膜厚3.0nm程度の薄いゲート絶縁膜113を形成し、ゲート絶縁膜113上にCVD法により膜厚180nm程度の多結晶シリコン膜及び膜厚29nm程度の例えばシリコン窒化膜を堆積し、シリコン窒化膜、多結晶シリコン膜、及びゲート絶縁膜113をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより電極形状に加工することにより、ゲート絶縁膜113上にゲート電極114をパターン形成する。このとき同時に、ゲート電極114上にはシリコン窒化膜からなるキャップ膜115がパターン形成される。
【0043】
次に、キャップ膜115をマスクとして素子活性領域に不純物、ここでは砒素(As+)を例えばドーズ量5.0×1014/cm2、加速エネルギー10keVの条件でイオン注入し、いわゆるLDD領域116を形成する。
【0044】
次に、全面に例えばシリコン酸化膜をCVD法により堆積し、このシリコン酸化膜をいわゆるエッチバックすることにより、ゲート電極114及びキャップ膜115の側面のみにシリコン酸化膜を残してサイドウォール絶縁膜117を形成する。
【0045】
次に、キャップ膜115及びサイドウォール絶縁膜117をマスクとして素子活性領域に不純物、ここではリン(P+)をLDD領域116よりも不純物濃度が高くなる条件でイオン注入し、LDD領域116と重畳されるソース/ドレイン領域118を形成して、MOSトランジスタ120を完成させる。
【0046】
続いて、図5(b)に示すように、全面にMOSトランジスタ120の保護膜121及び層間絶縁膜122aを順次形成する。
【0047】
詳細には、MOSトランジスタ120を覆うように、保護膜121及び層間絶縁膜122aを順次堆積する。ここで、保護膜121としては、シリコン酸化膜を材料とし、CVD法により膜厚20nm程度に堆積する。層間絶縁膜122aとしては、例えばプラズマSiO膜(膜厚20nm程度)、プラズマSiN膜(膜厚80nm程度)及びプラズマTEOS膜(膜厚1000nm程度)を順次成膜した積層構造を形成し、積層後、CMPにより膜厚が700nm程度となるまで研磨する。
【0048】
続いて、図5(c)に示すように、トランジスタ構造120のソース/ドレイン領域118と接続される各導電プラグ119を形成する。
詳細には、先ず、各ソース/ドレイン領域118をエッチングストッパーとして、当該各ソース/ドレイン領域118の表面の一部が露出するまで層間絶縁膜122a及び保護膜121をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工し、例えば約0.3μm径のビア孔119aをそれぞれ形成する。
【0049】
次に、各ビア孔119aの壁面を覆うように、スパッタ法により例えばTi膜及びTiN膜を膜厚20nm程度及びに膜厚50nm程度に順次堆積して、下地膜(グルー膜)19bを形成する。そして、CVD法によりグルー膜119bを介して各ビア孔119aを埋め込むように例えばW膜を堆積する。その後、CMPにより層間絶縁膜122aをストッパーとしてW膜及びグルー膜119bを研磨し、各ビア孔119a内をグルー膜119bを介してWで埋め込む各導電プラグ119をそれぞれ同時形成する。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0050】
続いて、図5(d)に示すように、全面に層間絶縁膜122b及び水素拡散防止膜123を順次形成する。
【0051】
詳細には、先ず、層間絶縁膜122a上及び導電プラグ119上に例えばTEOSを用いたプラズマCVD法により、シリコン酸化膜を膜厚100nm程度に堆積し、層間絶縁膜122bを形成する。その後、層間絶縁膜122bをアニール処理する。このアニール処理の条件としては、N2ガスを20リットル/分の流量で供給しながら、例えば650℃で20分間〜45分間実行する。
【0052】
次に、層間絶縁膜122b上に、後述する強誘電体キャパシタのキャパシタ特性の劣化を防止する(外部或いは上層の絶縁膜から発生する水分に起因して発生した水素の強誘電体膜への浸入を防止する)ための水素拡散防止膜123を形成する。水素拡散防止膜123としては、Al23(アルミナ)、Al窒素酸化物、Ta酸化物、及びTi酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の材料、ここではアルミナを材料として、スパッタ法又はCVD法(例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法)により、膜厚20nm〜50nm程度に堆積する。ここで、MOCVD法を採用することにより、より緻密なアルミナ膜を形成することができ、高い水素拡散防止効果を奏することが可能となる。その後、水素拡散防止膜123をアニール処理する。このアニール処理の条件としては、O2ガスを2リットル/分の流量で供給しながら、例えば650℃で30秒間〜120秒間実行する。
【0053】
続いて、図6(a)に示すように、全面に下部電極層124、強誘電体膜125及び上部電極層126を順次形成する。
詳細には、先ず、水素拡散防止膜123上にスパッタ法により例えば膜厚が150nm〜200nm程度にPt膜を堆積し、下部電極層124を形成する。
【0054】
次に、RFスパッタ法により、下部電極層124上に強誘電体である例えばPbZr1-xTix3(PZT:0<x<1)からなる強誘電体膜125を膜厚100nm〜300nm程度に堆積する。そして、強誘電体膜125をアニール処理して当該強誘電体膜125を結晶化する。このアニール処理の条件としては、Ar/O2ガスをArが1.98リットル/分、O2が0.025リットル/分の流量で供給しながら、例えば550℃〜650℃で60秒間〜120秒間実行する。強誘電体膜125の材料としては、PZTの代わりに、Pb1-xLaxZr1-yTiy3(0<x<1,0<y<1)、SrBi2(TaxNb1-x29(0<x<1)、Bi4Ti212等を用いても良い。
【0055】
次に、強誘電体膜125上に上部電極層126を堆積形成する。
上部電極層126としては、先ず反応性スパッタ法により、例えば導電性酸化物であるIrO2膜26aを膜厚30nm〜70nm程度に形成する。その後、IrO2膜126aをアニール処理する。このアニール処理の条件としては、Ar/O2ガスをArが2.0リットル/分、O2が0.02リットル/分の流量で供給しながら、例えば650℃〜850℃で10秒間〜60秒間実行する。次に、IrO2膜126a上に、反応性スパッタ法によりIrO2膜126bを膜厚150nm〜300nm程度に形成する。そして、IrO2膜126b上に、当該IrO2膜126bのキャップ膜として機能する貴金属膜、ここではPt膜126cをスパッタ法により膜厚100nm程度に形成する。IrO2膜126a,126b及びPt膜126cから上部電極層126が構成される。なお、上部電極層126において、IrO2膜126a,126bの代わりにIr、Ru、RuO2、SrRuO3、その他の導電性酸化物やこれらの積層構造としても良い。また、Pt膜126cの形成を省略することも可能である。
【0056】
続いて、図6(b)に示すように、上部電極131をパターン形成する。
詳細には、上部電極層126をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより複数の電極形状に加工して、上部電極131をパターン形成する。
【0057】
続いて、図6(c)に示すように、強誘電体膜125を加工する。
詳細には、強誘電体膜125を上部電極131に整合させて、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工する。この強誘電体膜125のパターニングの後に、強誘電体膜125をアニール処理して当該強誘電体膜125の機能回復を図る。
【0058】
続いて、図7(a)に示すように、メモリセル領域及び周辺回路領域の全面に、強誘電体膜125への水素・水の浸入を防止するための水素拡散防止膜127を形成する。
詳細には、Al23(アルミナ)、Al窒素酸化物、Ta酸化物、及びTi酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の材料、ここではアルミナを材料として、スパッタ法又はCVD法(例えばMOCVD法)により、強誘電体膜125及び上部電極131を覆うように下部電極層124上に膜厚50nm程度に堆積し、水素拡散防止膜127を形成する。ここで、MOCVD法を採用することにより、より緻密なアルミナ膜を形成することができ、高い水素拡散防止効果を奏することが可能となる。その後、水素拡散防止膜127をアニール処理する。
【0059】
続いて、図7(b)に示すように、メモリセル領域及び周辺回路領域の各々において、水素拡散防止膜127と共に下部電極層124を加工する。これにより、強誘電体キャパシタ130をそれぞれ完成させる。
【0060】
詳細には、水素拡散防止膜127及び下部電極層124を、加工された強誘電体膜125に整合させて下部電極層124が強誘電体膜125よりも大きいサイズに残るように、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工し、下部電極132をパターン形成する。これにより、下部電極132上に強誘電体膜125、上部電極131が順次積層され、強誘電体膜125を介して下部電極132と上部電極131とが容量結合する強誘電体キャパシタ130、第1の平滑キャパシタ151、及び第2の平滑キャパシタ152をそれぞれ完成させる。このとき同時に、上部電極131の上面から上部電極131及び強誘電体膜125の側面、下部電極層124の上面にかけて覆うように水素拡散防止膜127が残る。その後、水素拡散防止膜127をアニール処理する。
【0061】
続いて、図7(c)に示すように、全面に水素拡散防止膜128を形成する。
詳細には、強誘電体キャパシタ130の全面を覆うように、強誘電体キャパシタ130のキャパシタ特性の劣化を防止する(外部或いは上層の絶縁膜から発生する水分に起因して発生した水素の強誘電体膜125への浸入を防止する)ための水素拡散防止膜128を形成する。ここで、強誘電体キャパシタ130は、それぞれ水素拡散防止膜123,127,128により完全に囲まれた形とされる。水素拡散防止膜128としては、Al23(アルミナ)、Al窒素酸化物、Ta酸化物、及びTi酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の材料、ここではアルミナを材料として、スパッタ法又はCVD法(例えばMOCVD法)により膜厚20nm〜50nm程度に堆積する。ここで、MOCVD法を採用することにより、より緻密なアルミナ膜を形成することができ、高い水素拡散防止効果を奏することが可能となる。その後、水素拡散防止膜128をアニール処理する。
【0062】
続いて、図8(a)に示すように、全面に第1の絶縁膜133a及び第2の絶縁膜133bを順次成膜する。
詳細には、強誘電体キャパシタ130を、それぞれ水素拡散防止膜127,128を介して覆うように、第1の絶縁膜133a及び第2の絶縁膜133bを順次成膜する。第1の絶縁膜133aは、強誘電体キャパシタ130を水分・水素の浸入から防止すべく、極低水分含有量の状態に形成される。他方、第2の絶縁膜133bは表面平坦性に優れた状態、従って第1の絶縁膜133aよりも低水分含有量の低い状態に形成される。具体的に、第1の絶縁膜133aは面内膜厚分布率が5%以下程度の絶縁材料から、第2の絶縁膜133bは面内膜厚分布率が2%以下程度の絶縁材料からそれぞれ形成する。
【0063】
上記の要請から、第1及び第2の絶縁膜133a,133bとしては、例えばTEOSを用いたプラズマCVD法により、シリコン酸化膜として形成する。ここで、原料ガスにおける圧力を、第1の絶縁膜133aの堆積時よりも第2の絶縁膜133bの堆積時の方が低くなるように調節する。ここで、当該圧力条件に代えて、或いは当該圧力条件と共に、原料ガスにおける酸素量(酸素流量)を、第1の絶縁膜133aの堆積時よりも第2の絶縁膜133bの堆積時の方が少なくなるように調節しても良い。具体的に、第1の絶縁膜133aの堆積時には、成長温度:390℃、圧力:1.2×103[Pa](9[Torr])、O2流量:2980[sccm]、TEOS:690[mgm]、He:720[sccm]、RFパワー:700[W]の各条件で、第2の絶縁膜133bの堆積時には、成長温度:390℃、圧力:6.67×102[Pa](5[Torr])、O2流量:2100[sccm]、TEOS:690[mgm]、He:720[sccm]、RFパワー:700[W]の各条件でそれぞれプラズマCVDを実行する。これにより、例えば、第1の絶縁膜133aが膜厚500nm程度、第2の絶縁膜133bが膜厚900nm程度にそれぞれ形成される。ここで、第1及び第2の絶縁膜133a,133bは、強誘電体キャパシタ構造130が存することから、強誘電体キャパシタ構造130の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成される。
【0064】
続いて、図8(b)に示すように、第1及び第2の絶縁膜133a,133bを研磨して表面平坦化し、層間絶縁膜133を形成する。
詳細には、例えば図8(a)の破線Lで示す位置まで、CMPにより例えば膜厚が700nm程度となるまで研磨して形成する。ここでは、強誘電体キャパシタ構造130の直上には第2の絶縁膜133bが残らず除去され、第1の絶縁膜133aの表面がある程度露出するまで研磨する。第2の絶縁膜133bは、第1の絶縁膜133aの第2の部分上に残存する。このとき、第1の絶縁膜133aにおける第1の部分の上面から第2の絶縁膜133bの上面にかけて表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜133aと、第1の絶縁膜133aの第2の部分上に残る第2の絶縁膜133bとからなる層間絶縁膜133が形成される。
【0065】
層間絶縁膜133では、強誘電体キャパシタ構造130を覆う第1の絶縁膜133aにより強誘電体キャパシタ構造130を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、第2の絶縁膜133bにより優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
CMPの後に、層間絶縁膜133の脱水及び表面改善化を目的として、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0066】
続いて、図8(c)に示すように、導電プラグ119と接続される導電プラグ136を形成する。
詳細には、先ず、各導電プラグ119をエッチングストッパーとして、当該導電プラグ119の表面の一部が露出するまで層間絶縁膜133及び水素拡散防止膜123をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工し、例えば約0.3μm径のビア孔各136aを形成する。
【0067】
次に、ビア孔136aの壁面を覆うように、スパッタ法により例えばTi膜及びTiN膜を膜厚20nm程度及び膜厚50nm程度に順次堆積して、下地膜(グルー膜)136bを形成する。そして、CVD法によりグルー膜136bを介してビア孔136aを埋め込むように例えばW膜を形成する。その後、CMPにより層間絶縁膜133をストッパーとしてW膜及びグルー膜136bを研磨し、ビア孔136a内をグルー膜136bを介してWで埋め込み、各導電プラグ119と接続される各導電プラグ136を形成する。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0068】
続いて、図9(a)に示すように、ハードマスク137及びレジストマスク138を形成した後、強誘電体キャパシタ130へのビア孔134a,135aをそれぞれ形成する。
【0069】
詳細には、先ず、CVD法により、層間絶縁膜133上にシリコン窒化膜を膜厚100nm程度に堆積し、ハードマスク137を形成する。次に、ハードマスク137上にレジストを塗布し、リソグラフィーにより当該レジストを加工して、開口138a,138bを有するレジストマスク138を形成する。
【0070】
次に、レジストマスク138を用いてハードマスク137をドライエッチングし、ハードマスク137の開口138a,138bに整合する部位に開口137a,137bを形成する。
【0071】
そして、主にハードマスク137を用い、上部電極131及び下部電極132をそれぞれエッチングストッパーとして、層間絶縁膜133及び水素拡散防止膜128,127をドライエッチングする。このドライエッチングでは、上部電極131の表面の一部が露出するまで層間絶縁膜133及び水素拡散防止膜128,127に施す加工と、下部電極132の表面の一部が露出するまで層間絶縁膜133及び水素拡散防止膜128,127に施す加工とが同時に実行され、それぞれの部位に例えば約0.5μm径のビア孔134a,135aが同時形成される。
【0072】
続いて、図9(b)に示すように、レジストマスク138及びハードマスク137を除去する。
詳細には、先ず、残存したレジストマスク138を灰化処理等により除去する。その後、強誘電体キャパシタ130の形成後の諸工程により強誘電体キャパシタ130の受けたダメージを回復するためのアニール処理を行う。そして、全面異方性エッチング、いわゆるエッチバックにより、ハードマスク137を除去する。
【0073】
続いて、図10(a)に示すように、強誘電体キャパシタ130と接続される導電プラグ134,135を形成する。
詳細には、ビア孔134a,135aの壁面を覆うように、スパッタ法により例えばTi膜及びTiN膜を膜厚20nm程度及びに膜厚50nm程度に順次堆積して、下地膜(グルー膜)134b,135bを形成する。そして、CVD法によりグルー膜134b,135bを介してビア孔134a,135aを埋め込むように例えばW膜を形成する。その後、CMPにより層間絶縁膜133をストッパーとしてW膜及びグルー膜134b,135bを研磨し、ビア孔134a,135a内をグルー膜134b,135bを介してWで埋め込む導電プラグ134,135を形成する。ここで、導電プラグ134が上部電極131と、導電プラグ135が上部電極132とそれぞれ接続される。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0074】
続いて、図10(b)に示すように、導電プラグ134,135,136とそれぞれ接続される配線145を形成する。
【0075】
詳細には、先ず、層間絶縁膜133上の全面にスパッタ法等によりバリアメタル膜142a,142b、配線膜143及びバリアメタル膜144を堆積し、配線膜(不図示)を形成する。
バリアメタル膜142aとしては、スパッタ法により例えばTi膜を膜厚60nm程度に成膜する。バリアメタル膜142bとしては、TiN膜を膜厚12.5nm程度に成膜する。配線膜143としては、例えばAl合金膜(ここではAl−Cu膜)を膜厚400nm程度に成膜する。バリアメタル膜144としては、スパッタ法により例えばTiN膜を膜厚70nm程度に成膜する。
【0076】
次に、導電プラグ134,135,136とそれぞれ接続される配線145を形成する。
詳細には、反射防止膜として例えばSiON膜または反射防止膜(不図示)を成膜した後、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより反射防止膜及び配線膜を配線形状に加工し、導電プラグ134,135,136とそれぞれ接続される各第1の配線145をパターン形成する。
【0077】
ここで、図10(b)のメモリセル領域では、強誘電体キャパシタ130がメモリセルキャパシタとして機能するように、導電プラグ134又は導電プラグ135を介して上部電極131又は下部電極132がMOSトランジスタ120のソース/ドレイン領域118と接続されている。
【0078】
しかる後、層間絶縁膜や更なる上層配線の形成等の諸工程を経て、本実施形態によるプレーナ型のFeRAMを完成させる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、強誘電体キャパシタ構造130への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜133を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高いプレーナ型のFeRAMが実現する。
【0080】
なお、本実施形態では、強誘電体膜125として単純な平面形状のものを形成する場合について例示したが、単純な平面形状でない誘電体膜を形成してなる、いわゆる立体キャパシタに適用することもできる。
【0081】
−変形例−
以下、第1の実施形態の諸変形例について説明する。
これらの変形例では、第1の実施形態と同様にプレーナ型のFeRAMを例示するが、強誘電体キャパシタ構造130を覆う層間絶縁膜133の構造が異なる点で第1の実施形態と相違する。
【0082】
(変形例1)
図11〜図13は、第1の実施形態の変形例1によるプレーナ型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
先ず、第1の実施形態と同様に、図5(a)〜図7(c)の各工程を経る。
【0083】
続いて、図8(c)と同様に、図11に示すように、全面に第1の絶縁膜133a及び第2の絶縁膜133bを順次成膜する。ここで、第1の絶縁膜133aを膜厚700nm程度、第2の絶縁膜133bを膜厚700nm程度にそれぞれ形成する。
【0084】
続いて、図12に示すように、第1及び第2の絶縁膜133a,133bを研磨して表面平坦化し、層間絶縁膜133を形成する。
詳細には、例えば図11の破線Lで示す位置まで、CMPにより例えば膜厚が600nm程度となるまで研磨して形成する。ここでは、第2の絶縁膜133bが残らず除去され、第1の絶縁膜133aのみが残存するように研磨する。このとき、表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜133aのみからなる層間絶縁膜133が形成される。
【0085】
層間絶縁膜133では、極低水分含有量で単独では表面平坦性に劣るはずの第1の絶縁膜133aのみ残存するにも係わらず、強誘電体キャパシタ構造130を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
CMPの後に、層間絶縁膜133の脱水及び表面改善化を目的として、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0086】
その後、第1の実施形態と同様に、図8(c)〜図10(b)の各工程及び層間絶縁膜や更なる上層配線の形成等の諸工程を経て、図13に示すように、本例によるプレーナ型のFeRAMを完成させる。
【0087】
以上説明したように、本例によれば、強誘電体キャパシタ構造130への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜133を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高いプレーナ型のFeRAMが実現する。
【0088】
(変形例2)
図14〜図16は、第1の実施形態の変形例2によるプレーナ型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
先ず、第1の実施形態と同様に、図5(a)〜図7(c)の各工程を経る。
【0089】
続いて、図14に示すように、強誘電体キャパシタ構造2を覆うように全面に、第1の絶縁膜133aと、第1の絶縁膜133aを覆う薄い水素拡散防止膜150と、第2の絶縁膜133bとを順次成膜する。水素拡散防止膜150は、Al23(アルミナ)、Al窒素酸化物、Ta酸化物、及びTi酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の材料、ここではアルミナを材料として、スパッタ法又はCVD法(例えばMOCVD法)により形成される。ここで、第1の絶縁膜133aを膜厚300nm程度、水素拡散防止膜150を膜厚50nm程度、第2の絶縁膜133bを膜厚1100nm程度にそれぞれ形成する。
【0090】
続いて、図15に示すように、第1の絶縁膜133aを研磨して表面平坦化し、層間絶縁膜151を形成する。
詳細には、例えば図11の破線Lで示す位置まで、CMPにより例えば膜厚が700nm程度となるまで研磨して形成する。ここでは、第2の絶縁膜133bのみを研磨する。このとき、第2の絶縁膜133bが表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜133a、水素拡散防止膜150及び第2の絶縁膜133bが順次積層されてなる層間絶縁膜151が形成される。
【0091】
層間絶縁膜151では、強誘電体キャパシタ構造130を覆う第1の絶縁膜133a及び水素拡散防止膜150により強誘電体キャパシタ構造130を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、第2の絶縁膜133aにより優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
CMPの後に、層間絶縁膜151の脱水及び表面改善化を目的として、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0092】
その後、第1の実施形態と同様に、図8(c)〜図10(b)の各工程及び層間絶縁膜や更なる上層配線の形成等の諸工程を経て、図16に示すように、本例によるプレーナ型のFeRAMを完成させる。
【0093】
以上説明したように、本例によれば、強誘電体キャパシタ構造130への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜151を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高いプレーナ型のFeRAMが実現する。
【0094】
(第2の実施形態)
本実施形態では、強誘電体キャパシタ構造の下部電極の導通を当該下部電極の下方で、上部電極の電気的導通を当該上部電極の上方でそれぞれとる、いわゆるスタック型のFRAMを例示する。
ここでは、スタック型のFeRAMの構成をその製造方法と共に説明する。図17〜図24は、本実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0095】
先ず、図17(a)に示すように、シリコン半導体基板210上に選択トランジスタとして機能するMOSトランジスタ220を形成する。ここで、MOSトランジスタ220と共に、周辺回路領域において、CMOSトランジスタ(不図示)の一方のトランジスタとなるnMOSトランジスタを同時形成する。なお、他方のトランジスタとなるpMOSトランジスタについては、nMOSトランジスタの前或いは後に形成する。
【0096】
詳細には、メモリセル領域において、シリコン半導体基板210の表層に例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により素子分離構造211を形成し、素子活性領域を確定する。
次に、素子活性領域に不純物、ここではホウ素(B+)を例えばドーズ量3.0×1013/cm2、加速エネルギー300keVの条件でイオン注入し、ウェル212を形成する。
【0097】
次に、素子活性領域に熱酸化等により膜厚3.0nm程度の薄いゲート絶縁膜213を形成し、ゲート絶縁膜213上にCVD法により膜厚180nm程度の多結晶シリコン膜及び膜厚29nm程度の例えばシリコン窒化膜を堆積し、シリコン窒化膜、多結晶シリコン膜、及びゲート絶縁膜213をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより電極形状に加工することにより、ゲート絶縁膜213上にゲート電極214をパターン形成する。このとき同時に、ゲート電極214上にはシリコン窒化膜からなるキャップ膜215がパターン形成される。
【0098】
次に、キャップ膜215をマスクとして素子活性領域に不純物、ここでは砒素(As+)を例えばドーズ量5.0×1014/cm2、加速エネルギー10keVの条件でイオン注入し、いわゆるLDD領域216を形成する。
【0099】
次に、全面に例えばシリコン酸化膜をCVD法により堆積し、このシリコン酸化膜をいわゆるエッチバックすることにより、ゲート電極214及びキャップ膜215の側面のみにシリコン酸化膜を残してサイドウォール絶縁膜217を形成する。
【0100】
次に、キャップ膜215及びサイドウォール絶縁膜217をマスクとして素子活性領域に不純物、ここではリン(P+)をLDD領域216よりも不純物濃度が高くなる条件でイオン注入し、LDD領域216と重畳されるソース/ドレイン領域218を形成して、MOSトランジスタ220を完成させる。
【0101】
続いて、図17(b)に示すように、全面にMOSトランジスタ220の保護膜221、層間絶縁膜222、及び上部絶縁膜223aを順次形成する。
【0102】
詳細には、MOSトランジスタ220を覆うように、保護膜221、層間絶縁膜222、及び上部絶縁膜223aを順次形成する。ここで、保護膜221としては、シリコン酸化膜を材料とし、CVD法により膜厚20nm程度に堆積する。層間絶縁膜222としては、例えばプラズマSiO膜(膜厚20nm程度)、プラズマSiN膜(膜厚80nm程度)及びプラズマTEOS膜(膜厚1000nm程度)を順次成膜した積層構造を形成し、積層後、CMPにより膜厚が700nm程度となるまで研磨する。上部絶縁膜223aとしては、シリコン窒化膜を材料とし、CVD法により膜厚100nm程度に堆積する。
【0103】
続いて、図17(c)に示すように、トランジスタ構造220のソース/ドレイン領域218と接続される導電プラグ219A,219B,219Cを形成する。
詳細には、先ず、各ソース/ドレイン領域218をエッチングストッパーとして、当該各ソース/ドレイン領域218の表面の一部が露出するまで上部絶縁膜223a、層間絶縁膜222、及び保護膜221をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工する。これにより、例えば約0.3μm径のビア孔219aが形成される。
【0104】
次に、各ビア孔219aの壁面を覆うように、スパッタ法により例えばTi膜及びTiN膜を膜厚20nm程度及びに膜厚50nm程度に順次堆積して、下地膜(グルー膜)219bを形成する。そして、CVD法によりグルー膜219bを介して各ビア孔219aを埋め込むように例えばW膜を堆積する。その後、CMPにより上部絶縁膜223aをストッパーとしてW膜及びグルー膜219bを研磨し、各ビア孔219a内をグルー膜219bを介してWで埋め込む導電プラグ219A,219B,219Cをそれぞれ同時形成する。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0105】
続いて、図18(a)に示すように、全面に配向性向上膜223b、酸素バリア膜223c、及び下部電極膜224を順次形成する。
【0106】
詳細には、先ず、後述の強誘電体キャパシタにおけるキャパシタ膜の配向性を向上させるため、例えばTiを膜厚20nm程度に堆積する。チタンは自己配向性の強い性質を有するので、導電プラグ219A,219B,219C上及び上部絶縁膜223a上には、結晶性の良好なチタン膜が形成される。その後、N2雰囲気で急速アニール(RTA)処理によりTi膜を窒化してTiNとし、導電性の配向性向上膜223bを形成する。RTA処理の条件は、例えば基板温度が650℃、窒素流量が10slm(standard liter/min、1.013×105Pa、0℃)で、処理時間は120秒程度である。配向性向上膜223bは、窒化前のチタン膜の結晶性が良好なため、これを窒化させたTiN膜である配向性向上膜223bの結晶性も良好である。
【0107】
次に、例えばスパッタ法によりTiAlNを配向性向上膜223b上に膜厚100nm程度に堆積し、導電性の酸素バリア膜223cを形成する。
【0108】
次に、スパッタ法により例えば膜厚が100nm程度にIrを堆積し、下部電極膜224を形成する。Ir膜の成膜温度は、結晶性を向上させるため、できるだけ温度が高い方が良い。そのため、高温の成膜温度、例えば500℃で下部電極膜224を成膜することに起因して、成膜後にシリコン半導体基板10を大気中に取り出す際に、下部電極膜224の表面が酸化し易くなる。なお、下部電極膜224としては、自身が酸化しても導電性を維持する性質を有する金属のうち、Irの代わりにPt以外の貴金属、例えばルテニウム(Ru)を堆積しても良い。Ruで下部電極膜224を形成する場合でも、上記と同様に、成膜後に外気に触れることによりその表面が酸化し易くなる。
【0109】
続いて、図18(b)に示すように、全面に下部電極膜224上にキャパシタ膜225を形成する。
詳細には、先ず、第1層目のPZT膜をMOCVD法により膜厚5nm程度に成膜し、更にその上に、第2層目のPZT膜をMOCVD法により膜厚115nm程度に成膜して、全膜厚120nmのキャパシタ膜225を形成する。なお、図示の便宜上、キャパシタ膜225を1層構造として示す。各PZT膜の成膜条件としては、基板温度が例えば620℃、圧力が6.67×102Pa程度である。強誘電体膜225の材料としては、PZTの代わりに、Pb1-xLaxZr1-yTiy3(0<x<1,0<y<1)、SrBi2(TaxNb1-x29(0<x<1)、Bi4Ti212等を用いても良い。
【0110】
ここで、1層目と2層目のPZT膜は同一の組成である。但し、1層目については酸素分圧を下げて成膜している。これは、低酸素分圧で成膜した方がPZT膜自身の結晶性が良好だからである。しかしながら、2層目も低酸素分圧で成膜すると、PZT膜中の酸素欠損が多くなり、リーク電流が増大するので、ここでは、1層目と2層目の成膜条件が異なる2段階成長法を採用している。
【0111】
続いて、図18(c)に示すように、全面にキャパシタ膜225上に上部電極膜226の構成要素であるイリジウム酸化膜226a及びIr膜226bを順次形成する。
詳細には、先ず、スパッタ法により、イリジウム酸化物を膜厚150nm程度に堆積してイリジウム酸化膜226aを形成する。
次に、イリジウム酸化膜226a上に、スパッタ法により、Irを膜厚100nm程度に堆積してIr膜226bを形成する。イリジウム酸化膜226a及びIr膜226bから上部電極膜226が構成される。なお、上部電極層226において、イリジウム酸化膜226aの代わりにIr、Ru、RuO2、SrRuO3、その他の導電性酸化物やこれらの積層構造としても良い。また、Pt膜226bの形成を省略することも可能である。
【0112】
続いて、図19(a)に示すように、全面にTiN膜228及びシリコン酸化膜229を形成する。
詳細には、TiN膜228については、上部電極膜226上にスパッタ法等により膜厚200nm程度に堆積形成する。シリコン酸化膜229については、TiN膜228上に、例えばTEOSを用いたCVD法により膜厚1000nm程度に堆積形成する。ここで、TEOS膜の代わりにHDP膜を形成しても良い。なお、シリコン酸化膜229上に更にシリコン窒化膜を形成しても好適である。
【0113】
続いて、図19(b)に示すように、レジストマスク236を形成する。
詳細には、シリコン酸化膜229上にレジストを塗布し、このレジストをリソグラフィーにより電極形状に加工して、各レジストマスク236を形成する。ここで、一方のレジストマスク236が下方の導電プラグ219Aに整合する位置に、他方のレジストマスク36が下方の導電プラグ219Bに整合する位置にそれぞれ形成される。
【0114】
続いて、図20(a)に示すように、シリコン酸化膜229を加工する。
詳細には、レジストマスク236をマスクとしてシリコン酸化膜229をドライエッチングする。このとき、レジストマスク236の電極形状に倣ってシリコン酸化膜229がパターニングされ、ハードマスク229aが形成される。また、レジストマスク236のエッチングされて厚みが減少する。
【0115】
続いて、図20(b)に示すように、TiN膜228を加工する。
詳細には、レジストマスク236及び各ハードマスク229aをマスクとして、TiN膜228をドライエッチングする。このとき、ハードマスク229aの電極形状に倣ってTiN膜228がパターニングされ、ハードマスク228aが形成される。また、レジストマスク236は、当該エッチング中に自身がエッチングされて薄くなる。その後、灰化処理等によりレジストマスク236を除去する。
【0116】
続いて、上部電極膜226、キャパシタ膜225、及び下部電極膜224を一括エッチング加工した後、酸素バリア膜223c、及び配向性向上膜223bをエッチング加工する。これにより、図21(a)に示すように、強誘電体キャパシタ230を完成させる。
【0117】
詳細には、ハードマスク228a及びハードマスク229aをマスクとし、先ず酸素バリア膜223cをエッチングストッパーとして、上部電極膜226、キャパシタ膜225、下部電極膜224を一括してドライエッチング(一括エッチング)する。そして、同様にハードマスク228a及びハードマスク229aをマスクとし、上部絶縁膜223aをエッチングストッパーとして、酸素バリア膜223c及び配向性向上膜223bをドライエッチングする。これらのドライエッチングにより、ハードマスク228aの電極形状に倣って、上部電極膜226、キャパシタ膜225、下部電極膜224、酸素バリア膜223c、及び配向性向上膜223bがパターニングされる。また、ハードマスク229aは、当該エッチング中に自身がエッチングされて薄くなる。
【0118】
その後、シリコン酸化膜からなるハードマスク229aを全面ドライエッチング(エッチバック)によりエッチング除去する。
次に、TiNからなるハードマスク228aをウェットエッチングにより除去する。このとき、下部電極231上にキャパシタ膜225、上部電極232が順次積層され、キャパシタ膜225を介して下部電極231と上部電極232とが容量結合する各強誘電体キャパシタ230を完成させる。
【0119】
ここで、メモリセル領域において、図21(a)中左側の強誘電体キャパシタ230では、下部電極231が導電性の配向性向上膜223b及び酸素バリア膜223cを介して導電プラグ219Aと接続され、当該導電プラグ219A、配向性向上膜223b、及び酸素バリア膜223cを介してソース/ドレイン218と下部電極231とが電気的に接続されている。一方、図21(a)中右側の強誘電体キャパシタ230では、下部電極231が導電性の配向性向上膜223b及び酸素バリア膜223cを介して導電プラグ219Bと接続され、当該導電プラグ219B、配向性向上膜223b、及び酸素バリア膜223cを介してソース/ドレイン218と下部電極231とが電気的に接続されている。
【0120】
続いて、図21(b)に示すように、全面に水素拡散防止膜233、第1の絶縁膜234a及び第2の絶縁膜234bを順次成膜する。
詳細には、先ず、強誘電体キャパシタ230の全面を覆うように、アルミナ(Al23)を材料として、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)により膜厚20nm〜50nm程度、例えば40nm程度に堆積し、水素拡散防止膜233を形成する。その後、保護膜233をアニール処理する。
【0121】
次に、強誘電体キャパシタ230を保護膜233を介して覆うように、第1の絶縁膜234a及び第2の絶縁膜234bを順次成膜する。第1の絶縁膜234aは、強誘電体キャパシタ230を水分・水素の浸入から防止すべく、極低水分含有量の状態に形成される。他方、第2の絶縁膜234bは表面平坦性に優れた状態、従って第1の絶縁膜234aよりも低水分含有量の低い状態に形成される。具体的に、第1の絶縁膜234aは面内膜厚分布率が5%以下程度の絶縁材料から、第2の絶縁膜234bは面内膜厚分布率が2%以下程度の絶縁材料からそれぞれ形成する。
【0122】
上記の要請から、第1及び第2の絶縁膜234a,234bとしては、例えばTEOSを用いたプラズマCVD法により、シリコン酸化膜として形成する。ここで、原料ガスにおける圧力を、第1の絶縁膜234aの堆積時よりも第2の絶縁膜234bの堆積時の方が低くなるように調節する。ここで、当該圧力条件に代えて、或いは当該圧力条件と共に、原料ガスにおける酸素量(酸素流量)を、第1の絶縁膜234aの堆積時よりも第2の絶縁膜234bの堆積時の方が少なくなるように調節しても良い。具体的に、第1の絶縁膜234aの堆積時には(成長温度:390℃、圧力:1.2×103[Pa](9[Torr])、O2流量:2980 [sccm]、TEOS:690[mgm]、He:720 [sccm]、RFパワー:700 [W]の各条件で、第2の絶縁膜234bの堆積時には、成長温度:390℃、圧力:6.67×102[Pa](5[Torr])、O2流量:2100[sccm]、TEOS:690[mgm]、He:720[sccm]、RFパワー:700 [W]の各条件でそれぞれプラズマCVDを実行する。これにより、例えば、第1の絶縁膜234aが膜厚500nm程度、第2の絶縁膜234bが膜厚900nm程度にそれぞれ形成される。ここで、第1及び第2の絶縁膜234a,234bは、強誘電体キャパシタ構造230が存することから、強誘電体キャパシタ構造230の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成される。
【0123】
続いて、図22(a)に示すように、第1及び第2の絶縁膜234a,234bを研磨して表面平坦化し、層間絶縁膜234を形成する。
詳細には、例えば図21(b)の破線Lで示す位置まで、CMPにより例えば膜厚が700nm程度となるまで研磨して形成する。ここでは、強誘電体キャパシタ構造230の直上には第2の絶縁膜234bが残らず除去され、第1の絶縁膜234aの表面がある程度露出するまで研磨する。第2の絶縁膜234bは、第1の絶縁膜234aの第2の部分上に残存する。このとき、第1の絶縁膜234aにおける第1の部分の上面から第2の絶縁膜234bの上面にかけて表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜234aと、第1の絶縁膜234aの第2の部分上に残る第2の絶縁膜234bとからなる層間絶縁膜234が形成される。
【0124】
層間絶縁膜234では、強誘電体キャパシタ構造230を覆う第1の絶縁膜234aにより強誘電体キャパシタ構造230を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、第2の絶縁膜234bにより優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
CMPの後に、層間絶縁膜234の脱水及び表面改善化を目的として、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0125】
続いて、図22(b)に示すように、強誘電体キャパシタ230の上部電極232への各ビア孔235aを形成する。
詳細には、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより層間絶縁膜234及び水素拡散防止膜233をパターニングし、各上部電極232の表面の一部を露出させるビア孔235aを形成する。
【0126】
続いて、図23(a)に示すように、導電プラグ219Cへのビア孔235bを形成する。
詳細には、メモリセル領域において、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより層間絶縁膜234及び保護膜233をパターニングし、導電プラグ219Cの表面の一部を露出させるビア孔235bを形成する。
【0127】
続いて、図23(b)に示すように、強誘電体キャパシタ230の上部電極232と接続される導電プラグ235A,235B,235D,235Eと、導電プラグ219Cと接続される導電プラグ235Cとを同時形成する。
詳細には、先ず、ビア孔235a,235bの壁面を覆うように下地膜(グルー膜)235cを形成した後、CVD法によりグルー膜235cを介してビア孔235a,235bを埋め込むようにW膜を形成する。そして、層間絶縁膜234をストッパーとして例えばW膜及びグルー膜235cをCMPにより研磨し、ビア孔235a,235b内をグルー膜235cを介してWで埋め込む導電プラグ235A,235B,235Cを形成する。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0128】
続いて、図24に示すように、導電プラグ235A,235B,235Cとそれぞれ接続される各配線241を形成する。
詳細には、先ず、層間絶縁膜234上の全面にスパッタ法等によりバリアメタル膜242、配線膜243及びバリアメタル膜244を堆積する。バリアメタル膜242としては、スパッタ法により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。配線膜243としては、例えばAl合金膜(ここではAl−Cu膜)を膜厚350nm程度に成膜する。バリアメタル膜244としては、スパッタ法により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。
【0129】
次に、反射防止膜として例えばSiON膜又は反射防止膜(不図示)を成膜した後、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより反射防止膜、バリアメタル膜244、配線膜243及びバリアメタル膜242を配線形状に加工し、導電プラグ235A,235B,235Cとそれぞれと接続される各配線241をパターン形成する。なお、配線膜243としてAl合金膜を形成する代わりに、いわゆるダマシン法等を利用してCu膜(又はCu合金膜)を形成し、配線241としてCu配線を形成しても良い。
【0130】
ここで、図24では、強誘電体キャパシタ230がメモリセルキャパシタとして機能するように、導電プラグ119A,119Bを介して下部電極231がソース/ドレイン領域118と接続されるとともに、導電プラグ235A,235Bを介して上部電極232が配線241と接続されている。
【0131】
しかる後、層間絶縁膜や更なる上層配線の形成等の諸工程を経て、本実施形態によるスタック型のFRAMを完成させる。
【0132】
以上説明したように、本実施形態によれば、強誘電体キャパシタ構造230への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜234を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高いスタック型のFeRAMが実現する。
【0133】
なお、本実施形態では、強誘電体膜225として単純な平面形状のものを形成する場合について例示したが、単純な平面形状でない誘電体膜を形成してなる、いわゆる立体キャパシタに適用することもできる。
【0134】
−変形例−
以下、第2の実施形態の諸変形例について説明する。
これらの変形例では、第2の実施形態と同様にスタック型のFeRAMを例示するが、強誘電体キャパシタ構造230を覆う層間絶縁膜234の構造が異なる点で第2の実施形態と相違する。
【0135】
(変形例1)
図25〜図27は、第2の実施形態の変形例1によるスタック型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
先ず、第2の実施形態と同様に、図17(a)〜図21(a)の各工程を経る。
【0136】
続いて、図21(b)と同様に、図25に示すように、全面に第1の絶縁膜234a及び第2の絶縁膜234bを順次成膜する。ここで、第1の絶縁膜234aを膜厚900nm程度、第2の絶縁膜234bを膜厚500nm程度にそれぞれ形成する。
【0137】
続いて、図26に示すように、第1及び第2の絶縁膜234a,234bを研磨して表面平坦化し、層間絶縁膜234を形成する。
詳細には、例えば図25の破線Lで示す位置まで、CMPにより例えば膜厚が700nm程度となるまで研磨して形成する。ここでは、第2の絶縁膜234bが残らず除去され、第1の絶縁膜234aのみが残存するように研磨する。このとき、表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜234aのみからなる層間絶縁膜234が形成される。
【0138】
層間絶縁膜234では、極低水分含有量で単独では表面平坦性に劣るはずの第1の絶縁膜234aのみ残存するにも係わらず、強誘電体キャパシタ構造230を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
CMPの後に、層間絶縁膜234の脱水及び表面改善化を目的として、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0139】
その後、第2の実施形態と同様に、図22(b)〜図24の各工程及び層間絶縁膜や更なる上層配線の形成等の諸工程を経て、図27に示すように、本例によるスタック型のFeRAMを完成させる。
【0140】
以上説明したように、本例によれば、強誘電体キャパシタ構造230への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜234を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高いスタック型のFeRAMが実現する。
【0141】
(変形例2)
図28〜図30は、第2の実施形態の変形例2によるスタック型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
先ず、第2の実施形態と同様に、図17(a)〜図21(a)の各工程を経る。
【0142】
続いて、図28に示すように、強誘電体キャパシタ構造230を覆うように全面に、第1の絶縁膜234aと、第1の絶縁膜234aを覆う薄い水素拡散防止膜250と、第2の絶縁膜234bとを順次成膜する。水素拡散防止膜250は、Al23(アルミナ)、Al窒素酸化物、Ta酸化物、及びTi酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の材料、ここではアルミナを材料として、スパッタ法又はCVD法(例えばMOCVD法)により形成される。ここで、第1の絶縁膜234aを膜厚300nm程度、水素拡散防止膜250を膜厚50nm程度、第2の絶縁膜234bを膜厚1100nm程度にそれぞれ形成する。
【0143】
続いて、図29に示すように、第1の絶縁膜234aを研磨して表面平坦化し、層間絶縁膜251を形成する。
詳細には、例えば図28の破線Lで示す位置まで、CMPにより例えば膜厚が700nm程度となるまで研磨して形成する。ここでは、第2の絶縁膜234bのみを研磨する。このとき、第2の絶縁膜234bが表面平坦化されてなり、第1の絶縁膜234a、水素拡散防止膜250及び第2の絶縁膜234bが順次積層されてなる層間絶縁膜251が形成される。
【0144】
層間絶縁膜251では、強誘電体キャパシタ構造230を覆う第1の絶縁膜234a及び水素拡散防止膜250により強誘電体キャパシタ構造230を水分・水素の浸入から十分に防止するとともに、第2の絶縁膜234aにより優れた表面平坦性が得られる。具体的には、面内膜厚分布率が3%以下となる。
CMPの後に、層間絶縁膜251の脱水及び表面改善化を目的として、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0145】
その後、第1の実施形態と同様に、図22(b)〜図24の各工程及び層間絶縁膜や更なる上層配線の形成等の諸工程を経て、図30に示すように、本例によるスタック型のFeRAMを完成させる。
【0146】
以上説明したように、本例によれば、強誘電体キャパシタ構造230への水分・水素の浸入を可及的に防止するも、面内膜厚分布が極めて低く極めて優れた表面平坦性を有する層間絶縁膜251を形成し、誘電体特性への影響やコンタクト抵抗のバラツキ等を抑えた信頼性の高いスタック型のFeRAMが実現する。
【0147】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0148】
(付記1)半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成されており、下部電極と上部電極とにより誘電体材料からなるキャパシタ膜を挟持してなるキャパシタ構造と、
前記キャパシタ構造を覆うように形成されてなる層間絶縁膜と
を含み、
前記層間絶縁膜は、
前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成されており、水分含有量の低い第1の絶縁材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜の前記第2の部分上に形成されており、前記よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜と
を有しており、
前記第1の絶縁膜における前記第1の部分の上面から、前記第2の絶縁膜の上面にかけて、表面平坦化されてなることを特徴とする半導体装置。
【0149】
(付記2)前記第1の絶縁膜は面内膜厚分布率が5%以下であり、前記第2の絶縁膜は面内膜厚分布率が2%以下であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0150】
(付記3)前記層間絶縁膜は、面内膜厚分布率が3%以下であることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
【0151】
(付記4)前記キャパシタ膜が強誘電体材料からなることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0152】
(付記5)半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成されており、下部電極と上部電極とにより誘電体材料からなるキャパシタ膜を挟持してなるキャパシタ構造と、
前記キャパシタ構造を覆うように形成されてなる層間絶縁膜と
を含み、
前記層間絶縁膜は、
前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成されており、水分含有量の低い第1の絶縁材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜を覆い、前記キャパシタ構造への水素拡散を防止する機能を有する水素拡散防止膜と、
前記水素拡散防止膜を覆い、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の層間絶縁膜と
を有しており、
前記第2の絶縁膜が表面平坦化されてなることを特徴とする半導体装置。
【0153】
(付記6)前記第1の絶縁膜は面内膜厚分布率が5%以下であり、前記第2の絶縁膜は面内膜厚分布率が2%以下であることを特徴とする付記5に記載の半導体装置。
【0154】
(付記7)前記層間絶縁膜は、面内膜厚分布率が3%以下であることを特徴とする付記5又は6に記載の半導体装置。
【0155】
(付記8)前記キャパシタ膜が強誘電体材料からなることを特徴とする付記5〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0156】
(付記9)半導体基板の上方に、下部電極と上部電極とにより誘電体膜を挟持してなるキャパシタ構造を形成する工程と、
前記キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜を形成する工程と
を含み、
前記層間絶縁膜を形成する工程は、
水分含有量の低い第1の絶縁材料を用いて、前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高くなるように第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の少なくとも一部が露出するように、前記第1及び第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程と
を有し、
少なくとも前記第1の絶縁膜を有する前記層間絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0157】
(付記10)前記第1及び第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程において、前記第1の絶縁膜の前記第2の部分上に前記第2の絶縁膜が残存し、前記第1の絶縁膜における前記第1の部分の上面から、前記第2の絶縁膜の上面にかけて表面平坦化することを特徴とする付記9に記載の半導体装置の製造方法。
【0158】
(付記11)前記第1及び第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程において、前記第2の絶縁膜を残存させることなく研磨除去し、前記第1の絶縁膜のみで表面平坦化することを特徴とする付記9に記載の半導体装置の製造方法。
【0159】
(付記12)前記第1の絶縁膜は面内膜厚分布率が5%以下であり、前記第2の絶縁膜は面内膜厚分布率が2%以下であることを特徴とする付記9〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0160】
(付記13)前記層間絶縁膜は、面内膜厚分布率が3%以下であることを特徴とする付記9〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0161】
(付記14)前記第1及び第2の絶縁膜を、共にTEOSを原料ガスとするプラズマCVD法によるシリコン酸化膜として形成し、成膜時の圧力を前記第1の絶縁膜の形成時よりも前記第2の絶縁膜の形成時の方が低くなるように調節することを特徴とする付記9〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0162】
(付記15)前記第1及び第2の絶縁膜を、共にTEOSを原料ガスとするプラズマCVD法によるシリコン酸化膜として形成し、前記原料ガス中の酸素量を前記第1の絶縁膜の形成時よりも前記第2の絶縁膜の形成時の方が少なくなるように調節することを特徴とする付記9〜14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0163】
(付記16)前記層間絶縁膜を形成した後に、当該層間絶縁膜にプラズマ処理を施す工程を更に含むことを特徴とする付記9〜15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0164】
(付記17)前記キャパシタ膜を強誘電体材料から形成することを特徴とする付記9〜16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0165】
(付記18)半導体基板の上方に、下部電極と上部電極とにより誘電体膜を挟持してなるキャパシタ構造を形成する工程と、
前記キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜を形成する工程と
を含み、
前記層間絶縁膜を形成する工程は、
水分含有量の低い第1の絶縁材料を用いて、前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高くなるように第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜を覆い、前記キャパシタ構造への水素拡散を防止する機能を有する水素拡散防止膜を形成する工程と、
前記水素拡散防止膜を覆い、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程と
を有し、
前記第1及び第2の絶縁膜と前記水素拡散防止膜とを有する前記層間絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0166】
(付記19)前記第1の絶縁材料は面内膜厚分布率が5%以下のものであり、前記第2の絶縁材料は面内膜厚分布率が2%以下のものであることを特徴とする付記18に記載の半導体装置の製造方法。
【0167】
(付記20)前記層間絶縁膜は、面内膜厚分布率が3%以下であることを特徴とする付記18又は19に記載の半導体装置の製造方法。
【0168】
(付記21)前記キャパシタ膜を強誘電体材料から形成することを特徴とする付記18〜20のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明における実験結果を示す特性図である。
【図2】第1及び第2の絶縁膜を積層形成した様子を示す概略断面図である。
【図3】積層膜をCMPにより表面平坦化して層間絶縁膜を形成した様子を示す概略断面図である。
【図4】発明態様3の層間絶縁膜を形成する様子を示す概略断面図である。
【図5】第1の実施形態によるプレーナ型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図6】図5に引き続き、第1の実施形態によるプレーナ型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図7】図6に引き続き、第1の実施形態によるプレーナ型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図8】図7に引き続き、第1の実施形態によるプレーナ型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図9】図8に引き続き、第1の実施形態によるプレーナ型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図10】図9に引き続き、第1の実施形態によるプレーナ型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図11】第1の実施形態の変形例1によるプレーナ型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図12】第1の実施形態の変形例1によるプレーナ型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図13】第1の実施形態の変形例1によるプレーナ型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図14】第1の実施形態の変形例2によるプレーナ型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図15】第1の実施形態の変形例2によるプレーナ型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図16】第1の実施形態の変形例2によるプレーナ型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図17】第2の実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図18】図17に引き続き、第2の実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図19】図18に引き続き、第2の実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図20】図19に引き続き、第2の実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図21】図20に引き続き、第2の実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図22】図21に引き続き、第2の実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図23】図22に引き続き、第2の実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図24】図23に引き続き、第2の実施形態によるスタック型のFeRAMの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図25】第2の実施形態の変形例1によるスタック型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図26】第2の実施形態の変形例1によるスタック型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図27】第2の実施形態の変形例1によるスタック型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図28】第2の実施形態の変形例2によるスタック型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図29】第2の実施形態の変形例2によるスタック型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【図30】第2の実施形態の変形例2によるスタック型のFeRAMの製造方法において、主要工程のみを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0170】
1 基体
2,130,230 強誘電体キャパシタ構造
3,133a,234a 第1の絶縁膜
4,133a,234a 第1の絶縁膜
10,11,12,133,234,151,251 層間絶縁膜
150,250 水素拡散防止膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成されており、下部電極と上部電極とにより誘電体材料からなるキャパシタ膜を挟持してなるキャパシタ構造と、
前記キャパシタ構造を覆うように形成されてなる層間絶縁膜と
を含み、
前記層間絶縁膜は、
前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成されており、水分含有量の低い第1の絶縁材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜の前記第2の部分上に形成されており、前記よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜と
を有しており、
前記第1の絶縁膜における前記第1の部分の上面から、前記第2の絶縁膜の上面にかけて、表面平坦化されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記層間絶縁膜は、面内膜厚分布率が3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記キャパシタ膜が強誘電体材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成されており、下部電極と上部電極とにより誘電体材料からなるキャパシタ膜を挟持してなるキャパシタ構造と、
前記キャパシタ構造を覆うように形成されてなる層間絶縁膜と
を含み、
前記層間絶縁膜は、
前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高く形成されており、水分含有量の低い第1の絶縁材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜を覆い、前記キャパシタ構造への水素拡散を防止する機能を有する水素拡散防止膜と、
前記水素拡散防止膜を覆い、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の層間絶縁膜と
を有しており、
前記第2の絶縁膜が表面平坦化されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
半導体基板の上方に、下部電極と上部電極とにより誘電体膜を挟持してなるキャパシタ構造を形成する工程と、
前記キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜を形成する工程と
を含み、
前記層間絶縁膜を形成する工程は、
水分含有量の低い第1の絶縁材料を用いて、前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高くなるように第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の少なくとも一部が露出するように、前記第1及び第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程と
を有し、
少なくとも前記第1の絶縁膜を有する前記層間絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程において、前記第1の絶縁膜の前記第2の部分上に前記第2の絶縁膜が残存し、前記第1の絶縁膜における前記第1の部分の上面から、前記第2の絶縁膜の上面にかけて表面平坦化することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程において、前記第2の絶縁膜を残存させることなく研磨除去し、前記第1の絶縁膜のみで表面平坦化することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記層間絶縁膜は、面内膜厚分布率が3%以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の絶縁膜を、共にTEOSを原料ガスとするプラズマCVD法によるシリコン酸化膜として形成し、成膜時の圧力を前記第1の絶縁膜の形成時よりも前記第2の絶縁膜の形成時の方が低くなるように調節することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板の上方に、下部電極と上部電極とにより誘電体膜を挟持してなるキャパシタ構造を形成する工程と、
前記キャパシタ構造を覆う層間絶縁膜を形成する工程と
を含み、
前記層間絶縁膜を形成する工程は、
水分含有量の低い第1の絶縁材料を用いて、前記キャパシタ構造を覆い、当該キャパシタ構造の上方に位置する第1の部分がその他の第2の部分よりも高くなるように第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜を覆い、前記キャパシタ構造への水素拡散を防止する機能を有する水素拡散防止膜を形成する工程と、
前記水素拡散防止膜を覆い、前記第1の絶縁材料よりも水分含有量が高く面内膜厚分布率が小さい第2の絶縁材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜を研磨して表面平坦化する工程と
を有し、
前記第1及び第2の絶縁膜と前記水素拡散防止膜とを有する前記層間絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−135669(P2008−135669A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322398(P2006−322398)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】