説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ゲート電極のテーパ形状の傾斜度を緩やかにすることができるようにして、ゲート電極の破損が起こらないようにしながら、確実にさらなる微細化を実現した下部電極を形成できるようにする。
【解決手段】ソース電極2及びドレイン電極3を有する半導体領域1上に絶縁膜4を形成し、絶縁膜4上に複数のレジスト層5,6,7を含む積層レジスト8を形成し、積層レジスト8の最下層以外のレジスト層6,7に開口9を形成し、最下層のレジスト層5にリフロー用開口10を形成し、熱処理を施してリフロー用開口10に露出している最下層のレジスト層5の一部PTcをリフローさせ、リフローさせることによって最下層のレジスト層5の表面に形成された傾斜面11に連なるように最下層のレジスト層5に第1ゲート下部開口12Aを形成し、開口9、傾斜面11及び第1ゲート下部開口12Aの形状に応じた形状を持つゲート電極13を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばGaN系HEMT(High Electron Mobility Transistor;高電子移動度トランジスタ)などの高周波・高出力デバイスでは、より高周波・高出力のデバイスを実現するためにゲート電極の微細化が進められている。また、ゲート電極の破損などの原因で起こる歩留まりの低下によるコストの増加を防ぐため、さまざまな研究開発が進められている。
【0003】
このようなデバイスに用いられるT型ゲート電極又はマッシュルーム型ゲート電極は、上部電極(ゲート上部)をより大きくし、下部電極(ゲート下部)をより微細化することで、特性を向上させることができる。
しかし、下部電極の微細化によって上部電極と下部電極との間の寸法差が増加すると、ゲート電極を形成する際に良好な金属の積層が妨げられ、ゲート電極の破損の原因となる。
【0004】
そこで、歩留まりを向上させるために、ゲート電極の上部電極と下部電極との間をテーパ形状にした構造が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3591762号公報
【特許文献2】特開2000−243758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現在、テーパ形状を持つT型ゲート電極等において形成可能な下部電極の寸法をさらに小さくし、さらなる微細化を図ることが必要になってきている。
しかしながら、テーパ形状を持つT型ゲート電極等において、下部電極のさらなる微細化を図ろうとすると、ゲート電極の破損や下部電極の形成不能が起こる。このため、テーパ形状を持つT型ゲート電極等において、必要とされる微細ゲートを作製することができない。
【0007】
つまり、下部電極の微細化に伴って上部電極とのつなぎ目部分も微細化され、テーパ形状が急峻になる。この場合、ゲート電極を形成するための金属蒸着工程において、テーパ形状を形成するためのレジスト側壁の傾斜度が急峻となる。このため、良好な金属の積層が妨げられ、ゲート電極の内部に空洞ができるなどの不具合が起こり、ゲート電極の断切によるゲート電極の破損を引き起こす。また、ゲート電極の破損が原因で起こる歩留まりの低下によるコストの増加を防ぐことができない。
【0008】
また、テーパ形状を形成するために、ゲート下部形成用レジストにゲート下部開口を形成した後、レジスト側壁を熱処理によって変形させることによってレジスト側壁に傾斜面を形成するようにしている。しかしながら、下部電極の微細化に伴って、上述のようなゲート電極の破損が起こらないように、テーパ形状を緩やかにするために、レジスト側壁の傾斜度を緩やかにしようとすると、リフローさせたレジストがゲート下部開口を埋め込んでしまう。このため、良好で微細なゲート下部開口が得られず、下部電極は形成不能となり、ゲート微細化ができない。
【0009】
そこで、ゲート電極のテーパ形状の傾斜度を緩やかにすることができるようにして、ゲート電極の破損が起こらないようにしながら、確実にさらなる微細化を実現した下部電極を形成できるようにしたい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本半導体装置の製造方法は、ソース電極及びドレイン電極を有する半導体領域上に絶縁膜を形成し、絶縁膜上に複数のレジスト層を含む積層レジストを形成し、積層レジストの最下層以外のレジスト層に開口を形成し、最下層のレジスト層にリフロー用開口を形成し、熱処理を施してリフロー用開口に露出している最下層のレジスト層の一部をリフローさせ、リフローさせることによって最下層のレジスト層の表面に形成された傾斜面に連なるように最下層のレジスト層に第1ゲート下部開口を形成し、開口、傾斜面及び第1ゲート下部開口の形状に応じた形状を持つゲート電極を形成することを要件とする。
【0011】
本半導体装置は、半導体領域と、半導体領域の上方に形成され、上部電極と下部電極とを有するゲート電極と、半導体領域上に形成され、ゲート電極を挟んで両側にそれぞれ設けられたソース電極及びドレイン電極と、半導体領域の表面を覆う絶縁膜とを備え、下部電極が、半導体領域の表面に対してほぼ垂直に形成され、半導体領域の表面に対して水平方向の寸法が一定であり、ゲート電極が、上部電極と下部電極との間に、下部電極から上部電極へ向けて、半導体領域の表面に対して水平方向の寸法が大きくなる順テーパ形状を有するテーパ部を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0012】
したがって、本半導体装置及びその製造方法によれば、ゲート電極のテーパ形状の傾斜度を緩やかにすることができるようにして、ゲート電極の破損が起こらないようにしながら、確実にさらなる微細化を実現した下部電極を形成できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(A)〜(F)は、第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法及び半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図2】(A),(B)は、第1実施形態にかかる半導体装置を構成する半導体領域の構成例を示す模式的断面図である。
【図3】(A)〜(F)は、第2実施形態にかかる半導体装置の製造方法及び半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図4】(A)〜(F)は、第3実施形態にかかる半導体装置の製造方法及び半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図5】(A)〜(F)は、第4実施形態にかかる半導体装置の製造方法及び半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図6】各実施形態の変形例にかかる半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図7】(A),(B)は、各実施形態の他の変形例にかかる半導体装置の製造方法及び半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図8】(A)〜(D)は、各実施形態の他の変形例にかかる半導体装置の製造方法及び半導体装置の構成を示す模式的断面図である。
【図9】各実施形態の他の変形例にかかる半導体装置を構成する半導体領域の構成例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面により、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図1(A)〜図1(F),図2(A),図2(B)を参照しながら説明する。
【0015】
本実施形態にかかる半導体装置は、例えばGaN系HEMT(電界効果トランジスタ)などの高周波・高出力デバイスである。
まず、本実施形態にかかる半導体装置の製造方法(主にゲート電極の製造方法)について、図1(A)〜図1(F)を参照しながら説明する。
まず、図1(A)に示すように、半導体基板上に形成された半導体領域1上に、オーミック電極としてのソース電極2及びドレイン電極3を形成する。つまり、半導体基板上に形成された半導体領域1上にソース電極2及びドレイン電極3が形成されたものを用意する。
【0016】
ここで、図2(A),図2(B)に示すように、半導体基板(化合物半導体基板)は、例えばSiC基板である。また、半導体領域(化合物半導体領域)1は、例えばSiC基板50上にGaN層51、AlGaN層52、GaN層53を積層させた半導体積層構造やSiC基板50上にGaN層54、AlGaN層55を積層させた半導体積層構造などである。但し、これらに限られるものではない。
【0017】
次に、図1(A)に示すように、ソース電極2及びドレイン電極3を有する半導体領域1の表面上に、絶縁膜(窒化珪素膜)4を例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって堆積させて形成する。
次に、図1(A)に示すように、絶縁膜4上に、複数のレジスト層5,6,7を積層させて、複数のレジスト層5,6,7を含む積層レジスト(多層レジスト)8を形成する。ここでは、積層レジスト8は、少なくとも最下層のレジスト層5として電子線レジスト層を含むものとする。電子線レジスト層5としては、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)系レジスト層を使用すれば良い。
【0018】
次に、図1(A)に示すように、積層レジスト8の最下層以外のレジスト層6,7に開口9を形成する。これにより、最下層の電子線レジスト層5の上部にマッシュルーム型ゲート電極13のオーバゲート部(上部電極;ゲート上部)13A[図1(F)参照]を形成するための上部庇構造が形成される。
次に、図1(B),図1(C)に示すように、最下層の電子線レジスト層5(ゲート下部形成用レジスト層)にリフロー用開口10を形成する。
【0019】
ここでは、図1(B),図1(C)に示すように、電子線レジスト層5の第1領域PTb、即ち、リフロー用開口10を形成するための第1領域PTbを、第1領域PTbに隣接する第2領域PTcよりも高いドーズ量で電子線露光する。そして、現像によって第1領域PTbを選択的に除去して、電子線レジスト層5にリフロー用開口10を形成する。特に、本実施形態では、図1(B)に示すように、第1領域PTbと第2領域PTcとを、異なるドーズ量で同時に電子線露光する。このため、工程数を減らすことができる。なお、第1領域PTbをリフロー用領域ともいう。また、第2領域PTcをテーパ形成用レジスト領域ともいう。
【0020】
ここで、図1(B)に示すように、第1領域PTbは、電子線レジスト層5の第3領域PTa、即ち、開口12A(ゲート下部開口12)を形成するための第3領域PTaを挟んで両側に位置するように設定されている。また、第2領域PTcは、第1領域PTb及び第3領域PTaを挟んで両側に位置するように設定されている。
なお、トランジスタ作製用マスクレイアウトのゲート部分において、ゲート微細部用パターン、リフロー用領域パターン、テーパ形成用領域パターンを、例えばCAD(Computer Aided Design)によってレイアウトしたデータを用意すれば良い。このうち、ゲート微細部用パターンは下部電極用パターン又はパターンAともいう。また、パターンAに隣接するリフロー用領域パターンはパターンBともいう。さらに、パターンBに隣接するテーパ形成用領域パターンはパターンCともいう。
【0021】
具体的には、第3領域PTaを除いて、第2領域PTcを低ドーズ量(例えば120μC/cm程度)で、さらにその内側に隣接する第1領域PTbを高ドーズ量(例えば600μC/cm程度)で同時に電子線露光する。なお、第2領域PTcの電子線露光には上記パターンCのデータを用い、第1領域PTbの電子線露光には上記パターンBのデータを用いる。
【0022】
そして、図1(C)に示すように、現像によって、高ドーズ量で電子線露光した第1領域PTbを選択的に除去して、リフロー用開口10を形成する。この場合、電子線レジスト層5の第1領域PTbのみが除去されて開口され、第2領域PTcは電子線露光された状態で除去されずに残され、第3領域PTaは、電子線露光されていない状態で残される。
【0023】
なお、第1領域PTbを高ドーズ量で電子線露光しているのは、第1領域PTbを選択的に除去するためである。また、第2領域PTcを低ドーズ量で電子線露光しているのは、リフローさせる領域を規定するためである。つまり、第2領域PTcを低ドーズ量で電子線露光することによって、リフローさせる領域とリフローさせない領域とを切り分けるようにしている。
【0024】
ここで、現像液は、第1領域PTbを選択的に除去するために、溶解性の低い性質の現像液とし、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)・イソプロパノール(IPA)混合液(MIBK IPA)を使用すれば良い。
次に、図1(D)に示すように、熱処理を施して電子線レジスト層5の一部、即ち、第2領域PTc(リフロー用開口10に露出している電子線レジスト層5の側壁)をリフローさせる。これにより、電子線レジスト層5の表面(側壁)に、ゲート電極13のテーパ部13B[図1(F)参照]を形成するための傾斜面11が形成される。
【0025】
そして、図1(E)に示すように、リフローさせることによって電子線レジスト層5の表面に形成された傾斜面11に連なるように電子線レジスト層5に開口12Aを形成する。
ここでは、第2領域PTcをリフローさせた後、ゲート電極13の下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;基部)13Cを形成するための第3領域PTaを電子線露光し、現像によって第3領域PTaを除去して、電子線レジスト層5に開口12Aを形成する。なお、ゲート電極13の下部電極13Cを、微細ゲート部分あるいはゲート微細部とも言う。
【0026】
具体的には、第3領域PTaを、高ドーズ量(例えば600μC/cm程度)で電子線露光し、現像によって除去して、電子線レジスト層5に開口12Aを形成する。なお、第3領域PTaの電子線露光には上記パターンAのデータを用いる。
このようにして電子線レジスト層5に開口12Aを形成した後、図1(E)に示すように、開口12Aが形成された電子線レジスト層5をマスクとして絶縁膜4をエッチング(例えばドライエッチング)して、絶縁膜4に開口12Bを形成する。これにより、電子線レジスト層5に形成された開口12A、及び、絶縁膜4に形成された開口12Bによって、ゲート電極13の下部電極13Cを形成するためのゲート下部開口(ゲート微細部開口)12が形成される。このため、電子線レジスト層5に形成された開口12A、絶縁膜4に形成された開口12Bを、それぞれ、第1ゲート下部開口、第2ゲート下部開口ともいう。
【0027】
このようにして、リフローさせた電子線レジスト層5(第2領域PTc)の膜厚によってゲート下部開口12の底面(ここでは半導体領域1の表面)から所望の高さまでほぼ垂直な開口を形成可能である。
その後、図1(F)に示すように、積層レジスト8に形成された開口9、傾斜面11及びゲート下部開口12の形状に応じた形状を持つゲート電極13を形成する。
【0028】
ここでは、上述の工程で形成された開口9、傾斜面11及びゲート下部開口12を含む積層レジスト領域に金属を蒸着した後、積層レジスト8を取り除く。これにより、レジスト形状に応じて金属が蒸着され、マッシュルーム型ゲート電極13が形成される。
上述のように、本実施形態では、熱処理を施してリフロー用開口10に露出している電子線レジスト層5の一部(第2領域PTc)をリフローさせた後、電子線レジスト層5にゲート下部開口12を形成するようにしている。
【0029】
これにより、ゲート電極13のテーパ部13Bの傾斜度を従来のものと比較して緩やかにすることができる。また、ゲート下部開口12がリフローさせた電子線レジスト層5によって埋め込まれることなく、電子線レジスト層5に所望のほぼ垂直で微細なゲート下部開口12を確実に形成できる。
このようにして、本実施形態にかかる半導体装置が作製される。
【0030】
このようにして作製された半導体装置は、以下のように構成される。
つまり、本半導体装置は、図1(F)に示すように、半導体領域1と、ゲート電極13と、ソース電極2及びドレイン電極3と、半導体領域1の表面を覆う絶縁膜4とを備える。
そして、ゲート電極13は、半導体領域1の上方に形成され、上部電極(ゲート上部)13Aと、下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;第1の基部)13Cと、上部電極13Aと下部電極13Cとの間に設けられたテーパ部(第2の基部)13Bとを有する。ここでは、ゲート電極13は、マッシュルーム型ゲート電極である。
【0031】
また、ソース電極2及びドレイン電極3は、半導体領域1上に形成され、ゲート電極13を挟んで両側にそれぞれ設けられている。
本実施形態では、ゲート電極13の下部電極13Cは、半導体領域1の表面に対してほぼ垂直に形成され、半導体領域1の表面に対して水平方向の寸法が一定である。
また、ゲート電極13のテーパ部13Bは、下部電極13Cから上部電極13Aへ向けて、半導体領域1の表面に対して水平方向の寸法が緩やかに大きくなる順テーパ形状を有する。
【0032】
また、ゲート電極13の上部電極13Aは、テーパ部13Bのテーパ端から立ち上がり、テーパ部13Bの上部に広がるように形成されている。
そして、ゲート電極13は、半導体領域1上に形成され、下部電極13Cの側面に絶縁膜4が接している。つまり、ゲート電極13の下部電極13Cは、絶縁膜4の表面位置を超えて上方までほぼ垂直に立ち上がるように形成されている。
【0033】
絶縁膜4は、ソース電極2とドレイン電極3との間、即ち、ゲート電極13とソース電極2との間及びゲート電極13とドレイン電極3との間に露出している半導体領域1の表面を覆うように設けられている。また、絶縁膜4は、ソース電極2及びドレイン電極3の側面及び上面を覆うように設けられている。
ここで、絶縁膜4は、酸化膜、窒化膜、High-k膜(高誘電率膜)のいずれかであれば良い。具体的には、絶縁膜4は、SiO,SiN,HfSiO,HfAlON,HfO,Yのいずれかからなるものであれば良い。
【0034】
特に、下部電極13Cの半導体領域1の表面に沿う水平方向(半導体領域1の表面に平行な方向)の寸法Lとテーパ部13Bの半導体領域1の表面に対して垂直方向の寸法(テーパ部13Bの高さ)Hとのアスペクト比が、H/L≦2.75となる(第1条件)。つまり、テーパ部13Bの半導体領域1の表面に沿う水平方向に対する傾斜度が70度以下となる。
【0035】
また、下部電極13Cの半導体領域1の表面に沿う水平方向の寸法Lが100nm以下の場合、下部電極13Cの半導体領域1の表面に沿う水平方向の寸法Lと半導体領域1の表面に対して垂直方向(高さ方向)の寸法H2とのアスペクト比が、H2/L≧1.0となる(第2条件)。
なお、上記第1条件のみを満たす場合もあるし、上記第2条件のみを満たす場合もあるし、上記第1条件及び上記第2条件の両方を満たす場合もある。
【0036】
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、ゲート電極13のテーパ部13Bの傾斜度を緩やかにすることができるようにして、ゲート電極13の破損が起こらないようにしながら、確実にさらなる微細化を実現した下部電極13Cを形成できるという利点がある。
つまり、微細な下部電極13Cから上部電極13Aへ向けて、より緩やかなテーパ形状を持つテーパ部13Bを有するゲート構造を形成できる。このため、下部電極13Cと上部電極13Aとのつなぎ目部分に空洞ができることはなく、ゲート電極13の破損が起こらないようにすることができる。これにより、歩留まりを向上させることができ、コスト削減による低コスト化を実現することができる。
【0037】
また、より微細なゲート構造(ゲート微細化)が実現できるため、高周波・高出力特性を向上させることができ、良好な高周波・高出力特性が得られることになる。
特に、微細な下部電極13Cは、ほぼ垂直に所望の高さに設定することができるため、デバイスの目的に応じて、ゲート電極13の上部電極13Aの底辺から下側の部分(即ち、テーパ部13B及び下部電極13C)の容量の低容量化及びゲート抵抗の低抵抗化が可能となる。例えばGaN系HEMTなどの高周波・高出力デバイスのゲート抵抗低減とゲート微細化を実現することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図3(A)〜図3(F)を参照しながら説明する。
【0038】
本実施形態にかかる半導体装置の製造方法は、上述の第1実施形態[図1(A)〜図1(F)参照]のものに対し、ゲート電極を形成するための積層レジストの最下層のレジスト層を露光し、現像する工程が異なる。
つまり、本半導体装置の製造方法は、図3(A)〜図3(F)に示すように、以下のような各工程を含む。なお、図3(A)〜図3(F)では、上述の第1実施形態(例えば図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0039】
まず、図3(A)に示すように、積層レジスト8の最下層以外のレジスト層6,7に開口9を形成するまでの工程は、上述の第1実施形態の場合[図1(A)参照]と同様である。
次に、図3(B),図3(C)に示すように、最下層の電子線レジスト層5(ゲート下部形成用レジスト層)にリフロー用開口10Aを形成する。
【0040】
本実施形態では、電子線レジスト層5の第1領域PTabは、電子線レジスト層5の第3領域PT2a[図3(D)参照]を含むように設定されている。つまり、リフロー用開口10Aを形成するための第1領域PTabは、開口12XA(ゲート下部開口12X)を形成するための第3領域PT2aを含むように設定されている。また、第2領域PT2cは、第1領域PTabを挟んで両側に位置するように設定されている。
【0041】
なお、トランジスタ作製用マスクレイアウトのゲート部分において、ゲート微細部用パターン、リフロー用領域パターン、テーパ形成用領域パターンを、例えばCAD(Computer Aided Design)によってレイアウトしたデータを用意すれば良い。このうち、ゲート微細部用パターンは下部電極用パターン又はパターンAともいう。また、パターンAに隣接するリフロー用領域パターンはパターンBともいう。さらに、パターンBに隣接するテーパ形成用領域パターンはパターンCともいう。
【0042】
ここでは、図3(B),図3(C)に示すように、電子線レジスト層5の第1領域PTabを、第1領域PTabに隣接する第2領域PT2cよりも高いドーズ量で電子線露光する。そして、現像によって第1領域PTab(第3領域PT2aを含む)を選択的に除去して、電子線レジスト層5にリフロー用開口10Aを形成する。特に、本実施形態では、第1領域PTabと第2領域PT2cとを、異なるドーズ量で同時に電子線露光する。このため、工程数を減らすことができる。なお、第1領域PTabをリフロー用領域ともいう。また、第2領域PT2cをテーパ形成用レジスト領域ともいう。
【0043】
具体的には、図3(B)に示すように、第2領域PT2cを低ドーズ量(例えば120μC/cm程度)で、さらにその内側に隣接する第1領域PTab(第3領域PT2aを含む)を高ドーズ量(例えば600μC/cm程度)で同時に電子線露光する。なお、第2領域PT2cの電子線露光には上記パターンCを用い、第1領域PTab(第3領域PT2aを含む)の電子線露光には上記パターンAと上記パターンBとを併せたデータを用いる。
【0044】
そして、図3(C)に示すように、現像によって、高ドーズ量で電子線露光した第1領域PTab(第3領域PT2aを含む)を選択的に除去して、リフロー用開口10Aを形成する。この場合、電子線レジスト層5の第1領域PTab(第3領域PT2aを含む)のみが除去されて開口され、第2領域PT2cは電子線露光された状態で除去されずに残される。
【0045】
なお、第1領域PTabを高ドーズ量で電子線露光しているのは、第1領域PTabを選択的に除去するためである。また、第2領域PTcを低ドーズ量で電子線露光しているのは、リフローさせる領域を規定するためである。つまり、第2領域PTcを低ドーズ量で電子線露光することによって、リフローさせる領域とリフローさせない領域とを切り分けるようにしている。
【0046】
ここで、現像液は、第1領域PTabを選択的に除去するために、溶解性の低い性質の現像液とし、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)・イソプロパノール(IPA)混合液(MIBK IPA)を使用すれば良い。
次に、図3(D)に示すように、熱処理を施して電子線レジスト層5の一部、即ち、第2領域PT2c(リフロー用開口10Aに露出している電子線レジスト層5の側壁)をリフローさせる。これにより、電子線レジスト層5の表面(側壁)に、ゲート電極13Xのテーパ部13XB[図3(F)参照]を形成するための傾斜面11Aが形成される。
【0047】
そして、図3(D),図3(E)に示すように、リフローさせることによって電子線レジスト層5の表面に形成された傾斜面11に連なるように電子線レジスト層5に開口12XAを形成する。
ここでは、第2領域PT2cをリフローさせた後、図3(D)に示すように、リフローさせることによって埋め込まれた第3領域PT2a、即ち、ゲート電極13Xの下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;基部)13XCを形成するための第3領域PT2aを電子線露光する。
【0048】
そして、図3(E)に示すように、現像によって、第3領域PT2aを除去して、電子線レジスト層5に開口12XAを形成する。なお、ゲート電極13Xの下部電極13XCを、微細ゲート部分あるいはゲート微細部とも言う。
具体的には、第3領域PT2aを、高ドーズ量(例えば600μC/cm程度)で電子線露光し、現像によって除去して、電子線レジスト層5に開口12XAを形成する。なお、第3領域PT2aの電子線露光には上記パターンAのデータを用いる。
【0049】
その後、上述の第1実施形態の場合[図1(E)参照]と同様に、図3(E)に示すように、絶縁膜4に開口12Bを形成する。これにより、電子線レジスト層5に形成された開口12XA、及び、絶縁膜4に形成された開口12Bによって、ゲート電極13Xの下部電極13XCを形成するためのゲート下部開口(ゲート微細部開口)12Xが形成される。このため、電子線レジスト層5に形成された開口12XA、絶縁膜4に形成された開口12Bを、それぞれ、第1ゲート下部開口、第2ゲート下部開口ともいう。
【0050】
このようにして、リフローさせた電子線レジスト層5(第2領域PT2c)の膜厚によってゲート下部開口12Xの底面(ここでは半導体領域1の表面)から所望の高さまでほぼ垂直な開口を形成可能である。
そして、上述の第1実施形態の場合[図1(F)参照]と同様に、図3(F)に示すように、積層レジスト8に形成された開口9、傾斜面11A及びゲート下部開口12Xの形状に応じた形状を持つゲート電極13Xを形成する。
【0051】
つまり、上述の工程で形成された開口9、傾斜面11A及びゲート下部開口12Xを含む積層レジスト領域に金属を蒸着した後、積層レジスト8を取り除く。これにより、レジスト形状に応じて金属が蒸着され、マッシュルーム型ゲート電極13Xが形成される。
上述のように、本実施形態では、熱処理を施してリフロー用開口10Aに露出している電子線レジスト層5の一部(第2領域PT2c)をリフローさせた後、電子線レジスト層5にゲート下部開口12Xを形成するようにしている。
【0052】
これにより、ゲート電極13Xのテーパ部13XBの傾斜度を従来のものと比較して緩やかにすることができる。また、ゲート下部開口12Xがリフローさせた電子線レジスト層5によって埋め込まれることなく、電子線レジスト層5に所望のほぼ垂直で微細なゲート下部開口12Xを確実に形成できる。
このようにして、本実施形態にかかる半導体装置が作製される。
【0053】
なお、その他の製造方法の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
このようにして作製された半導体装置は、上述の第1実施形態の場合[図1(F)参照]と同様に、以下のように構成される。
つまり、本半導体装置は、図3(F)に示すように、半導体領域1と、ゲート電極13Xと、ソース電極2及びドレイン電極3と、半導体領域1の表面を覆う絶縁膜4とを備える。
【0054】
そして、ゲート電極13Xは、半導体領域1の上方に形成され、上部電極(ゲート上部)13XAと、下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;第1の基部)13XCと、上部電極13XAと下部電極13XCとの間に設けられたテーパ部(第2の基部)13XBとを有する。ここでは、ゲート電極13Xは、マッシュルーム型ゲート電極である。
また、ソース電極2及びドレイン電極3は、半導体領域1上に形成され、ゲート電極13Xを挟んで両側にそれぞれ設けられている。
【0055】
本実施形態では、ゲート電極13Xの下部電極13XCは、半導体領域1の表面に対してほぼ垂直に形成され、半導体領域1の表面に対して水平方向の寸法が一定である。
また、ゲート電極13Xのテーパ部13XBは、下部電極13XCから上部電極13XAへ向けて、半導体領域1の表面に対して水平方向の寸法が緩やかに大きくなる順テーパ形状を有する。
【0056】
また、ゲート電極13Xの上部電極13XAは、テーパ部13XBのテーパ端から立ち上がり、テーパ部13XBの上部に広がるように形成されている。
そして、ゲート電極13Xは、半導体領域1上に形成され、下部電極13XCの側面に絶縁膜4が接している。つまり、ゲート電極13Xの下部電極13XCは、絶縁膜4の表面位置を超えて上方までほぼ垂直に立ち上がるように形成されている。
【0057】
絶縁膜4は、ソース電極2とドレイン電極3との間、即ち、ゲート電極13Xとソース電極2との間及びゲート電極13Xとドレイン電極3との間に露出している半導体領域1の表面を覆うように設けられている。また、絶縁膜4は、ソース電極2及びドレイン電極3の側面及び上面を覆うように設けられている。
特に、下部電極13XCの半導体領域1の表面に沿う水平方向(半導体領域1の表面に平行な方向)の寸法Lとテーパ部13XBの半導体領域1の表面に対して垂直方向の寸法(テーパ部13XBの高さ)Hとのアスペクト比が、H/L≦2.75となる(第1条件)。つまり、テーパ部13XBの半導体領域1の表面に沿う水平方向に対する傾斜度が70度以下となる。
【0058】
また、下部電極13XCの半導体領域1の表面に沿う水平方向の寸法Lが100nm以下の場合、下部電極13XCの半導体領域1の表面に沿う水平方向の寸法Lと半導体領域1の表面に対して垂直方向(高さ方向)の寸法H2とのアスペクト比が、H2/L≧1.0となる(第2条件)。
なお、上記第1条件のみを満たす場合もあるし、上記第2条件のみを満たす場合もあるし、上記第1条件及び上記第2条件の両方を満たす場合もある。
【0059】
なお、その他の構成の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、ゲート電極13Xのテーパ部13XBの傾斜度を緩やかにすることができるようにして、ゲート電極13Xの破損が起こらないようにしながら、確実にさらなる微細化を実現した下部電極13XCを形成できるという利点がある。
【0060】
つまり、微細な下部電極13XCから上部電極13XAへ向けて、より緩やかなテーパ形状を持つテーパ部13XBを有するゲート構造を形成できる。このため、下部電極13XCと上部電極13XAとのつなぎ目部分に空洞ができることはなく、ゲート電極13Xの破損が起こらないようにすることができる。これにより、歩留まりを向上させることができ、コスト削減による低コスト化を実現することができる。
【0061】
また、より微細なゲート構造(ゲート微細化)が実現できるため、高周波・高出力特性を向上させることができ、良好な高周波・高出力特性が得られることになる。
特に、微細な下部電極13XCは、ほぼ垂直に所望の高さに設定することができるため、デバイスの目的に応じて、ゲート電極13の上部電極13Aの底辺から下側の部分(即ち、テーパ部13B及び下部電極13C)の容量の低容量化及びゲート抵抗の低抵抗化が可能となる。例えばGaN系HEMTなどの高周波・高出力デバイスのゲート抵抗低減とゲート微細化を実現することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図4(A)〜図4(F)を参照しながら説明する。
【0062】
本実施形態では、上述の第1実施形態[図1(A)〜図1(F)参照]のものに対し、図4(F)に示すように、ゲート電極13Yの下部電極13YCがソース電極2側にずれた位置に形成される点、及び、ゲート電極13Yが絶縁膜4上に形成される点が異なる。なお、図4(A)〜図4(F)では、上述の第1実施形態[図1(A)〜図1(F)参照]と同一のものには同一の符号を付している。
【0063】
つまり、本半導体装置の製造方法は、図4(A)〜図4(F)に示すように、以下のような各工程を含む。
まず、図4(A)に示すように、積層レジスト8の最下層以外のレジスト層6,7に開口9を形成するまでの工程は、上述の第1実施形態の場合[図1(A)参照]と同様である。
【0064】
次に、図4(B),図4(C)に示すように、最下層の電子線レジスト層5(ゲート下部形成用レジスト層)にリフロー用開口10Bを形成する。
本実施形態では、電子線レジスト層5の第1領域PT3bは、電子線レジスト層5の第3領域PT3aを挟んで両側に位置するように設定されている。つまり、リフロー用開口10Bを形成するための第1領域PT3bは、開口(ゲート下部開口)12Yを形成するための第3領域PT3aを挟んで両側に位置するように設定されている。
【0065】
特に、本実施形態では、両側の第1領域PT3bは、互いに異なる大きさに設定されている。具体的には、ソース電極2側の第1領域PT3bの範囲よりも、ドレイン電極3側の第1領域PT3bの範囲の方が大きくなるように、各第1領域PT3bの範囲の大きさが設定されている。
また、第2領域PT3cは、第1領域PT3b及び第3領域PT3aを挟んで両側に位置するように設定されている。
【0066】
ここでは、図4(B),図4(C)に示すように、電子線レジスト層5の第1領域PT3bを、第1領域PT3bに隣接する第2領域PT3cよりも高いドーズ量で電子線露光する。そして、現像によって第1領域PT3bを選択的に除去して、電子線レジスト層5にリフロー用開口10Bを形成する。特に、本実施形態では、第1領域PT3bと第2領域PT3cとを、異なるドーズ量で同時に電子線露光する。なお、第1領域PT3bをリフロー用領域ともいう。また、第2領域PT3cをテーパ形成用レジスト領域ともいう。
【0067】
具体的には、図4(B)に示すように、第3領域PT3aを除いて、第2領域PT3cを低ドーズ量(例えば120μC/cm程度)で、さらにその内側に隣接する第1領域PT3bを高ドーズ量(例えば600μC/cm程度)で同時に電子線露光する。
そして、図4(C)に示すように、現像によって、高ドーズ量で電子線露光した第1領域PT3bを選択的に除去して、リフロー用開口10Bを形成する。この場合、電子線レジスト層5の第1領域PT3bのみが除去されて開口され、第2領域PT3cは電子線露光された状態で除去されずに残され、第3領域PT3aは、電子線露光されていない状態で残される。
【0068】
次に、図4(D)に示すように、熱処理を施して電子線レジスト層5の一部、即ち、第2領域PT3c(リフロー用開口10Bに露出している電子線レジスト層5の側壁)をリフローさせる。これにより、電子線レジスト層5の表面(側壁)に、ゲート電極13Yのテーパ部13YB[図4(F)参照]を形成するための傾斜面11Bが形成される。本実施形態では、両側のレジスト層5に形成される傾斜面11Bの傾斜角は異なるものとなる。
【0069】
そして、図4(E)に示すように、リフローさせることによって電子線レジスト層5の表面に形成された傾斜面11Bに連なるように電子線レジスト層5に開口(ゲート下部開口;第1ゲート下部開口)12Yを形成する。
ここでは、第2領域PT3cをリフローさせた後、ゲート電極13Yの下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;基部)13YCを形成するための第3領域PT3aを電子線露光し、現像によって第3領域PT3aを除去して、電子線レジスト層5に開口12Yを形成する。なお、ゲート電極13Yの下部電極13YCを、微細ゲート部分あるいはゲート微細部とも言う。
【0070】
具体的には、第3領域PT3aを、高ドーズ量(例えば600μC/cm程度)で電子線露光し、現像によって除去して、電子線レジスト層5に開口12Yを形成する。
このようにして、リフローさせた電子線レジスト層5(第2領域PT3c)の膜厚によってゲート下部開口12Yの底面(ここでは絶縁膜4の表面)から所望の高さまでほぼ垂直な開口を形成可能である。
【0071】
特に、本実施形態では、上述のように、ソース電極2側の第1領域PT3bの範囲よりも、ドレイン電極3側の第1領域PT3bの範囲の方が大きくなるように設定されているため、ゲート下部開口12Yはソース電極2側にずれた位置に形成されることになる。このように、積層レジスト8の最下層の電子線レジスト層5に形成されるゲート下部開口12Yの位置を調整することが可能である。
【0072】
その後、図4(F)に示すように、積層レジスト8に形成された開口9、傾斜面11B及びゲート下部開口12Yの形状に応じた形状を持つゲート電極13Yを形成する。
つまり、上述の工程で形成された開口9、傾斜面11B及びゲート下部開口12Yを含む積層レジスト領域に金属を蒸着した後、積層レジスト8を取り除く。これにより、レジスト形状に応じて金属が蒸着され、マッシュルーム型ゲート電極13Yが形成される。
【0073】
特に、本実施形態では、上述のように、電子線レジスト層5のゲート下部開口12Yはソース電極2側にずれた位置に形成されているため、ゲート電極13Yの下部電極13YCはソース電極2側にずれた位置に形成される。このように、ゲート電極13のテーパ部13YBの最上部端の寸法(即ち、半導体領域1の表面に対して平行な方向の寸法)の範囲内において、ゲート電極13Yの下部電極(基部)13YCの位置を調整することが可能である。
【0074】
上述のように、本実施形態では、熱処理を施してリフロー用開口10Bに露出している電子線レジスト層5の一部(第2領域PT3c)をリフローさせた後、電子線レジスト層5にゲート下部開口12Yを形成するようにしている。
これにより、ゲート電極13Yのテーパ部13YBの傾斜度を従来のものと比較して緩やかにすることができる。また、ゲート下部開口12Yがリフローさせた電子線レジスト層5によって埋め込まれることなく、電子線レジスト層5に所望のほぼ垂直で微細なゲート下部開口12Yを確実に形成できる。
【0075】
このようにして、本実施形態にかかる半導体装置が作製される。
なお、その他の製造方法の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
このようにして作製された半導体装置は、上述の第1実施形態と同様に、以下のように構成される。
【0076】
つまり、本半導体装置は、図4(F)に示すように、半導体領域1と、ゲート電極13Yと、ソース電極2及びドレイン電極3と、半導体領域1の表面を覆う絶縁膜4とを備える。
そして、ゲート電極13Yは、半導体領域1の上方に形成され、上部電極(ゲート上部)13YAと、下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;第1の基部)13YCと、上部電極13YAと下部電極13YCとの間に設けられたテーパ部(第2の基部)13YBとを有する。ここでは、ゲート電極13Yは、マッシュルーム型ゲート電極である。
【0077】
また、ソース電極2及びドレイン電極3は、半導体領域1上に形成され、ゲート電極13Yを挟んで両側にそれぞれ設けられている。
本実施形態では、ゲート電極13Yの下部電極13YCは、半導体領域1の表面に対してほぼ垂直に形成され、半導体領域1の表面に対して水平方向の寸法が一定である。
また、ゲート電極13Yのテーパ部13YBは、下部電極13YCから上部電極13YAへ向けて、半導体領域1の表面に対して水平方向の寸法が緩やかに大きくなる順テーパ形状を有する。
【0078】
また、ゲート電極13Yの上部電極13YAは、テーパ部13YBのテーパ端から立ち上がり、テーパ部13YBの上部に広がるように形成されている。
そして、ゲート電極13Yは、絶縁膜4上に形成されている。また、ゲート電極13Yの下部電極13YCは、ソース電極2側にずれた位置に形成されている。そして、ゲート電極13Yの下部電極13YCは、ほぼ垂直に立ち上がるように形成されている。
【0079】
絶縁膜4は、ソース電極2とドレイン電極3との間、即ち、ゲート電極13Yとソース電極2との間及びゲート電極13Yとドレイン電極3との間に露出している半導体領域1の表面を覆うように設けられている。また、絶縁膜4は、半導体領域1とゲート電極13Yとの間にも介在するように設けられている。さらに、絶縁膜4は、ソース電極2及びドレイン電極3の側面及び上面を覆うように設けられている。
【0080】
特に、下部電極13YCの半導体領域1の表面に沿う水平方向(半導体領域1の表面に平行な方向)の寸法Lとテーパ部13YBの半導体領域1の表面に対して垂直方向の寸法(テーパ部13YBの高さ)Hとのアスペクト比が、H/L≦2.75となる(第1条件)。つまり、テーパ部13YBの半導体領域1の表面に沿う水平方向に対する傾斜度が70度以下となる。
【0081】
また、下部電極13YCの半導体領域1の表面に沿う水平方向の寸法Lが100nm以下の場合、下部電極13YCの半導体領域1の表面に沿う水平方向の寸法Lと半導体領域1の表面に対して垂直方向(高さ方向)の寸法H2とのアスペクト比が、H2/L≧1.0となる(第2条件)。
なお、上記第1条件のみを満たす場合もあるし、上記第2条件のみを満たす場合もあるし、上記第1条件及び上記第2条件の両方を満たす場合もある。
【0082】
なお、その他の構成の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、ゲート電極13Yのテーパ部13YBの傾斜度を緩やかにすることができるようにして、ゲート電極13Yの破損が起こらないようにしながら、確実にさらなる微細化を実現した下部電極13YCを形成できるという利点がある。
【0083】
つまり、微細な下部電極13YCから上部電極13YAへ向けて、より緩やかなテーパ形状を持つテーパ部13YBを有するゲート構造を形成できる。このため、下部電極13YCと上部電極13YAとのつなぎ目部分に空洞ができることはなく、ゲート電極13Yの破損が起こらないようにすることができる。これにより、歩留まりを向上させることができ、コスト削減による低コスト化を実現することができる。
【0084】
また、より微細なゲート構造(ゲート微細化)が実現できるため、高周波・高出力特性を向上させることができ、良好な高周波・高出力特性が得られることになる。
特に、微細な下部電極13YCは、ほぼ垂直に所望の高さに設定することができるため、デバイスの目的に応じて、ゲート電極13の上部電極13Aの底辺から下側の部分(即ち、テーパ部13B及び下部電極13C)の容量の低容量化及びゲート抵抗の低抵抗化が可能となる。例えばGaN系HEMTなどの高周波・高出力デバイスのゲート抵抗低減とゲート微細化を実現することができる。
【0085】
なお、上述の実施形態では、上述の第1実施形態の変形例として説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、上述の第2実施形態の変形例として構成することもできる。
また、上述の実施形態では、絶縁膜4にはゲート下部開口を形成していないが、これに限られるものではなく、上述の第1実施形態のように、絶縁膜にもゲート下部開口を形成するようにしても良い。
[第4実施形態]
第4実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図5(A)〜図5(F)を参照しながら説明する。
【0086】
本実施形態では、上述の第1実施形態[図1(A)〜図1(F)参照]のものに対し、図5(F)に示すように、ゲート電極13Zの下部電極13ZCがドレイン電極3側にずれた位置に形成される点、及び、ゲート電極13Zが絶縁膜4上に形成される点が異なる。なお、図5(A)〜図5(F)では、上述の第1実施形態[図1(A)〜図1(F)参照]と同一のものには同一の符号を付している。
【0087】
つまり、本半導体装置の製造方法は、図5(A)〜図5(F)に示すように、以下のような各工程を含む。
まず、図5(A)に示すように、積層レジスト8の最下層以外のレジスト層6,7に開口9を形成するまでの工程は、上述の第1実施形態の場合[図1(A)参照]と同様である。
【0088】
次に、図5(B),図5(C)に示すように、最下層の電子線レジスト層5(ゲート下部形成用レジスト層)にリフロー用開口10Cを形成する。
本実施形態では、電子線レジスト層5の第1領域PT4bは、電子線レジスト層5の第3領域PT4aを挟んで両側に位置するように設定されている。つまり、リフロー用開口10Cを形成するための第1領域PT4bは、開口(ゲート下部開口)12Zを形成するための第3領域PT4aを挟んで両側に位置するように設定されている。
【0089】
特に、本実施形態では、両側の第1領域PT4bは、互いに異なる大きさに設定されている。具体的には、ドレイン電極3側の第1領域PT4bの範囲よりも、ソース電極2側の第1領域PT4bの範囲の方が大きくなるように、各第1領域PT4bの範囲の大きさが設定されている。
また、第2領域PT4cは、第1領域PT4b及び第3領域PT4aを挟んで両側に位置するように設定されている。
【0090】
ここでは、図5(B),図5(C)に示すように、電子線レジスト層5の第1領域PT4bを、第1領域PT4bに隣接する第2領域PT4cよりも高いドーズ量で電子線露光する。そして、現像によって第1領域PT4bを選択的に除去して、電子線レジスト層5にリフロー用開口10Cを形成する。特に、本実施形態では、第1領域PT4bと第2領域PT4cとを、異なるドーズ量で同時に電子線露光する。なお、第1領域PT4bをリフロー用領域ともいう。また、第2領域PT4cをテーパ形成用レジスト領域ともいう。
【0091】
具体的には、図5(B)に示すように、第3領域PT4aを除いて、第2領域PT4cを低ドーズ量(例えば120μC/cm程度)で、さらにその内側に隣接する第1領域PT4bを高ドーズ量(例えば600μC/cm程度)で同時に電子線露光する。
そして、図5(C)に示すように、現像によって、高ドーズ量で電子線露光した第1領域PT4bを選択的に除去して、リフロー用開口10Cを形成する。この場合、電子線レジスト層5の第1領域PT4bのみが除去されて開口され、第2領域PT4cは電子線露光された状態で除去されずに残され、第3領域PT4aは、電子線露光されていない状態で残される。
【0092】
次に、図5(D)に示すように、熱処理を施して電子線レジスト層5の一部、即ち、第2領域PT4c(リフロー用開口10Cに露出している電子線レジスト層5の側壁)をリフローさせる。これにより、電子線レジスト層5の表面(側壁)に、ゲート電極13Zのテーパ部13ZB[図5(F)参照]を形成するための傾斜面11Cが形成される。本実施形態では、両側のレジスト層5に形成される傾斜面11Cの傾斜角は異なるものとなる。
【0093】
そして、図5(E)に示すように、リフローさせることによって電子線レジスト層5の表面に形成された傾斜面11Cに連なるように電子線レジスト層5に開口(ゲート下部開口;第1ゲート下部開口)12Zを形成する。
ここでは、第2領域PT4cをリフローさせた後、ゲート電極13Zの下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;基部)13ZCを形成するための第3領域PT4aを電子線露光し、現像によって第3領域PT4aを除去して、電子線レジスト層5に開口12Zを形成する。なお、ゲート電極13Zの下部電極13ZCを、微細ゲート部分あるいはゲート微細部とも言う。
【0094】
具体的には、第3領域PT4aを、高ドーズ量(例えば600μC/cm程度)で電子線露光し、現像によって除去して、電子線レジスト層5に開口12Zを形成する。
このようにして、リフローさせた電子線レジスト層5(第2領域PT4c)の膜厚によってゲート下部開口12Zの底面(ここでは絶縁膜4の表面)から所望の高さまでほぼ垂直な開口を形成可能である。
【0095】
特に、本実施形態では、上述のように、ドレイン電極3側の第1領域PT4bの範囲よりも、ソース電極2側の第1領域PT4bの範囲の方が大きくなるように設定されているため、ゲート下部開口12Zはドレイン電極3側にずれた位置に形成されることになる。このように、積層レジスト8の最下層の電子線レジスト層5に形成されるゲート下部開口12Zの位置を調整することが可能である。
【0096】
その後、図5(F)に示すように、積層レジスト8に形成された開口9、傾斜面11C及びゲート下部開口12Zの形状に応じた形状を持つゲート電極13Zを形成する。
つまり、上述の工程で形成された開口9、傾斜面11C及びゲート下部開口12Zを含む積層レジスト領域に金属を蒸着した後、積層レジスト8を取り除く。これにより、レジスト形状に応じて金属が蒸着され、マッシュルーム型ゲート電極13Zが形成される。
【0097】
特に、本実施形態では、上述のように、電子線レジスト層5のゲート下部開口12Zはドレイン電極3側にずれた位置に形成されているため、ゲート電極13Zの下部電極13ZCはドレイン電極3側にずれた位置に形成される。このように、ゲート電極13Zのテーパ部13ZBの最上部端の寸法(即ち、半導体領域1の表面に対して平行な方向の寸法)の範囲内において、ゲート電極13Zの下部電極(基部)13ZCの位置を調整することが可能である。
【0098】
上述のように、本実施形態では、熱処理を施してリフロー用開口10Cに露出している電子線レジスト層5の一部(第2領域PT4c)をリフローさせた後、電子線レジスト層5にゲート下部開口12Zを形成するようにしている。
これにより、ゲート電極13Zのテーパ部13ZBの傾斜度を従来のものと比較して緩やかにすることができる。また、ゲート下部開口12Zがリフローさせた電子線レジスト層5によって埋め込まれることなく、電子線レジスト層5に所望のほぼ垂直で微細なゲート下部開口12Zを確実に形成できる。
【0099】
このようにして、本実施形態にかかる半導体装置が作製される。
なお、その他の製造方法の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
このようにして作製された半導体装置は、上述の第1実施形態と同様に、以下のように構成される。
【0100】
つまり、本半導体装置は、図5(F)に示すように、半導体領域1と、ゲート電極13Zと、ソース電極2及びドレイン電極3と、半導体領域1の表面を覆う絶縁膜4とを備える。
そして、ゲート電極13Zは、半導体領域1の上方に形成され、上部電極(ゲート上部)13ZAと、下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;第1の基部)13ZCと、上部電極13ZAと下部電極13ZCとの間に設けられたテーパ部(第2の基部)13ZBとを有する。ここでは、ゲート電極13Zは、マッシュルーム型ゲート電極である。
【0101】
また、ソース電極2及びドレイン電極3は、半導体領域1上に形成され、ゲート電極13Zを挟んで両側にそれぞれ設けられている。
本実施形態では、ゲート電極13Zの下部電極13ZCは、半導体領域1の表面に対してほぼ垂直に形成され、半導体領域1の表面に対して水平方向の寸法が一定である。
また、ゲート電極13Zのテーパ部13ZBは、下部電極13ZCから上部電極13ZAへ向けて、半導体領域1の表面に対して水平方向の寸法が緩やかに大きくなる順テーパ形状を有する。
【0102】
また、ゲート電極13Zの上部電極13ZAは、テーパ部13ZBのテーパ端から立ち上がり、テーパ部13ZBの上部に広がるように形成されている。
そして、ゲート電極13Zは、絶縁膜4上に形成されている。また、ゲート電極13Zの下部電極13ZCは、ドレイン電極3側にずれた位置に形成されている。そして、ゲート電極13Zの下部電極13ZCは、ほぼ垂直に立ち上がるように形成されている。
【0103】
絶縁膜4は、ソース電極2とドレイン電極3との間、即ち、ゲート電極13Zとソース電極2との間及びゲート電極13Zとドレイン電極3との間に露出している半導体領域1の表面を覆うように設けられている。また、絶縁膜4は、半導体領域1とゲート電極13Zとの間にも介在するように設けられている。さらに、絶縁膜4は、ソース電極2及びドレイン電極3の側面及び上面を覆うように設けられている。
【0104】
特に、下部電極13ZCの半導体領域1の表面に沿う水平方向(半導体領域1の表面に平行な方向)の寸法Lとテーパ部13ZBの半導体領域1の表面に対して垂直方向の寸法(テーパ部13ZBの高さ)Hとのアスペクト比が、H/L≦2.75となる(第1条件)。つまり、テーパ部13ZBの半導体領域1の表面に沿う水平方向に対する傾斜度が70度以下となる。
【0105】
また、下部電極13ZCの半導体領域1の表面に沿う水平方向の寸法Lが100nm以下の場合、下部電極13ZCの半導体領域1の表面に沿う水平方向の寸法Lと半導体領域1の表面に対して垂直方向(高さ方向)の寸法H2とのアスペクト比が、H2/L≧1.0となる(第2条件)。
なお、上記第1条件のみを満たす場合もあるし、上記第2条件のみを満たす場合もあるし、上記第1条件及び上記第2条件の両方を満たす場合もある。
【0106】
なお、その他の構成の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、ゲート電極13Zのテーパ部13ZBの傾斜度を緩やかにすることができるようにして、ゲート電極13Zの破損が起こらないようにしながら、確実にさらなる微細化を実現した下部電極13ZCを形成できるという利点がある。
【0107】
つまり、微細な下部電極13ZCから上部電極13ZAへ向けて、より緩やかなテーパ形状を持つテーパ部13ZBを有するゲート構造を形成できる。このため、下部電極13ZCと上部電極13ZAとのつなぎ目部分に空洞ができることはなく、ゲート電極13Zの破損が起こらないようにすることができる。これにより、歩留まりを向上させることができ、コスト削減による低コスト化を実現することができる。
【0108】
また、より微細なゲート構造(ゲート微細化)が実現できるため、高周波・高出力特性を向上させることができ、良好な高周波・高出力特性が得られることになる。
特に、微細な下部電極13ZCは、ほぼ垂直に所望の高さに設定することができるため、デバイスの目的に応じて、ゲート電極13の上部電極13Aの底辺から下側の部分(即ち、テーパ部13B及び下部電極13C)の容量の低容量化及びゲート抵抗の低抵抗化が可能となる。例えばGaN系HEMTなどの高周波・高出力デバイスのゲート抵抗低減とゲート微細化を実現することができる。
【0109】
なお、上述の実施形態では、上述の第1実施形態の変形例として説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、上述の第2実施形態の変形例として構成することもできる。
また、上述の実施形態では、絶縁膜4にはゲート下部開口を形成していないが、これに限られるものではなく、上述の第1実施形態のように、絶縁膜にもゲート下部開口を形成するようにしても良い。
[その他]
なお、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0110】
例えば、上述の各実施形態及び変形例では、ゲート電極は、マッシュルーム型ゲート電極であるが、これに限られるものではなく、例えば図6に示すように、上部電極14A、テーパ部14B、下部電極14Cを含むT型ゲート電極14であっても良い。なお、図6では、上述の第1実施形態[図1(F)参照]及び第2実施形態[図3(F)参照]と同一のものには同一の符号を付している。
【0111】
また、上述の第1及び第2実施形態では、絶縁膜4にもゲート下部開口12Bを形成するようにしているが、これに限られるものではなく、図7(A),図7(B)に示すように、絶縁膜4にはゲート下部開口を形成しなくても良い。この場合、図7(A)に示すように、電子線レジスト層5に開口(ゲート下部開口)12A(12XA)を形成した後、図7(B)に示すように、ゲート電極13(13X)を形成することになる。この結果、ゲート電極13(13X)は、絶縁膜4上に形成されることになる。つまり、絶縁膜4は、ゲート電極13(13X)とソース電極2との間及びゲート電極13(13X)とドレイン電極3との間の半導体領域1の表面上だけでなく、半導体領域1とゲート電極13(13X)との間にも介在することになる。なお、図7(A),図7(B)では、上述の第1実施形態[図1(E),(F)参照]及び第2実施形態[図3(E),(F)参照]と同一のものには同一の符号を付している。
【0112】
また、上述の第1及び第2実施形態において、図8(A)、図8(B)に示すように、積層レジスト8の最下層のレジスト層5(電子線レジスト層)の第1領域PTb(PTab)の範囲又は第2領域PTc(PT2c)の範囲を変化させるようにしても良い。なお、図8(A),図8(B)では、上述の第1実施形態[図1(C)参照]及び第2実施形態[図3(C)参照]と同一のものには同一の符号を付している。
【0113】
つまり、図8(A)、図8(B)中、実線と点線で示すように、第1領域PTb(PTab)の範囲を拡縮することで、図8(C)中、実線と点線で示すように、最下層のレジスト層5に形成されるゲート下部開口12A(12XA)の高さ(h−1、h−2)を高低自在に調整することができる。これにより、図8(D)に示すように、ゲート電極13(13X)の下部電極13C(13XC)の半導体領域1の表面又は絶縁膜4の表面からの高さ、即ち、半導体領域1の表面又は絶縁膜4の表面からテーパ部13B(13XB)との接続部までの寸法を、高低自在に調整できることになる。なお、図8(C),図8(D)では、上述の第1実施形態[図1(D),(E)参照]及び第2実施形態[図3(D),(E)参照]と同一のものには同一の符号を付している。
【0114】
また、図8(A)、図8(B)に示すように、第2領域PTc(PT2c)の範囲を拡縮することで、図8(D)に示すように、ゲート電極13(13X)の下部電極13C(13XC)の高さを変化させることができる。つまり、図8(A)、図8(B)に示すように、第2領域PTc(PT2c)の範囲に含まれるレジストの量(テーパ形成用レジストの量)を調整することで、図8(D)に示すように、ゲート電極13(13X)の下部電極13(13X)の高さを変化させることができる。
【0115】
また、図8(A)、図8(B)に示すように、第1領域PTb(PTab)の範囲を拡縮することで、図8(C)中、実線と点線で示すように、最下層のレジスト層5の表面(側壁)に形成される傾斜面11の傾斜度(θa−1、θa−2)を緩急自在に調整することができる。これにより、図8(D)中、実線と点線で示すように、ゲート電極13(13X)のテーパ部13B(13XB)の傾斜度を緩急自在に調整できることになる。
【0116】
また、図8(A)、図8(B)に示すように、第2領域PTc(PT2c)の範囲を拡縮することで、図8(D)中、実線と点線で示すように、ゲート電極13(13X)のテーパ部13B(13XB)の傾斜度を変化させることができる。つまり、図8(A)、図8(B)に示すように、第2領域PTc(PT2c)の範囲に含まれるレジストの量(テーパ形成用レジストの量)を調整することによって、図8(D)中、実線と点線で示すように、ゲート電極13(13X)のテーパ部13B(13XB)の傾斜度を変化させることができる。
【0117】
また、上述の各実施形態では、本発明をGaN系HEMTに適用した場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば本発明はInP系HEMT(電界効果トランジスタ)に適用しても良い。この場合、図9に示すように、半導体基板(化合物半導体基板)は例えばInP基板60とし、半導体領域(化合物半導体領域)1は例えばInGaAs層61、InAlAs層62、InGaAs層63を積層させた半導体積層構造とすれば良い。
【0118】
以下、上述の各実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
ソース電極及びドレイン電極を有する半導体領域上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜上に複数のレジスト層を含む積層レジストを形成し、
前記積層レジストの最下層以外のレジスト層に開口を形成し、
前記最下層のレジスト層にリフロー用開口を形成し、
熱処理を施して前記リフロー用開口に露出している前記最下層のレジスト層の一部をリフローさせ、
リフローさせることによって前記最下層のレジスト層の表面に形成された傾斜面に連なるように前記最下層のレジスト層に第1ゲート下部開口を形成し、
前記開口、前記傾斜面及び前記第1ゲート下部開口の形状に応じた形状を持つゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0119】
(付記2)
前記最下層のレジスト層が、電子線レジスト層であることを特徴とする、付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記電子線レジスト層の前記リフロー用開口を形成するための第1領域を、前記第1領域に隣接する第2領域よりも高いドーズ量で電子線露光し、現像によって前記第1領域を選択的に除去して、前記電子線レジスト層に前記リフロー用開口を形成し、
熱処理を施して前記第2領域をリフローさせることを特徴とする、付記2記載の半導体装置の製造方法。
【0120】
(付記4)
前記第1領域と前記第2領域とを同時に電子線露光することを特徴とする、付記3記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記第1領域は、前記電子線レジスト層の前記第1ゲート下部開口を形成するための第3領域を挟んで両側に位置するように設定されており、
前記第2領域は、前記第1領域及び前記第3領域を挟んで両側に位置するように設定されており、
前記第2領域をリフローさせた後、前記第3領域を電子線露光し、現像によって前記第3領域を除去して、前記第1ゲート下部開口を形成することを特徴とする、付記3又は4に記載の半導体装置の製造方法。
【0121】
(付記6)
前記第3領域を挟んで両側に位置する前記第1領域は、互いに異なる大きさに設定されていることを特徴とする、付記5記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
前記第1領域は、前記電子線レジスト層の前記第1ゲート下部開口を形成する第3領域を含むように設定されており、
前記第2領域は、前記第1領域を挟んで両側に位置するように設定されており、
前記第2領域をリフローさせた後、リフローさせることによって埋め込まれた前記第3領域を電子線露光し、現像によって前記第3領域を除去して、前記第1ゲート下部開口を形成することを特徴とする、付記3又は4に記載の半導体装置の製造方法。
【0122】
(付記8)
前記第1ゲート下部開口を形成した後、前記第1ゲート下部開口が形成された前記最下層のレジスト層をマスクとして前記絶縁膜に第2ゲート下部開口を形成し、
前記第1ゲート下部開口及び前記第2ゲート下部開口にゲート電極を形成することを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0123】
(付記9)
前記電子線レジスト層の前記第1領域の範囲又は前記第2領域の範囲を変化させることを特徴とする、付記3〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記電子線レジスト層は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系レジスト層であることを特徴とする、付記1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0124】
(付記11)
半導体領域と、
前記半導体領域の上方に形成され、上部電極と下部電極とを有するゲート電極と、
前記半導体領域上に形成され、前記ゲート電極を挟んで両側にそれぞれ設けられたソース電極及びドレイン電極と、
前記半導体領域の表面を覆う絶縁膜とを備え、
前記下部電極が、前記半導体領域の表面に対してほぼ垂直に形成され、前記半導体領域の表面に対して水平方向の寸法が一定であり、
前記ゲート電極が、前記上部電極と前記下部電極との間に、前記下部電極から前記上部電極へ向けて、前記半導体領域の表面に対して水平方向の寸法が大きくなる順テーパ形状を有するテーパ部を備えることを特徴とする半導体装置。
【0125】
(付記12)
前記下部電極の前記半導体領域の表面に沿う水平方向の寸法Lと前記テーパ部の前記半導体領域の表面に対して垂直方向の寸法Hとのアスペクト比が、H/L≦2.75であることを特徴とする、付記11記載の半導体装置。
(付記13)
前記テーパ部の前記半導体領域の表面に沿う水平方向に対する傾斜度が70度以下であることを特徴とする、付記11又は12に記載の半導体装置。
【0126】
(付記14)
前記下部電極の前記半導体領域の表面に沿う水平方向の寸法Lが100nm以下の場合、前記下部電極の前記半導体領域の表面に沿う水平方向の寸法Lと前記半導体領域の表面に対して垂直方向の寸法H2とのアスペクト比が、H2/L≧1.0であることを特徴とする、付記11〜13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0127】
(付記15)
前記ゲート電極は、T型ゲート電極又はマッシュルーム型ゲート電極であることを特徴とする、付記11〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記16)
前記ゲート電極の前記下部電極は、ドレイン電極側又はソース電極側にずれた位置に形成されていることを特徴とする、付記11〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0128】
(付記17)
前記ゲート電極は、前記半導体領域上に形成され、前記下部電極の側面に前記絶縁膜が接していることを特徴とする、付記11〜16のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記18)
前記ゲート電極は、前記絶縁膜上に形成されていることを特徴とする、付記11〜17のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0129】
(付記19)
前記絶縁膜は、酸化膜、窒化膜、High-k膜のいずれかであることを特徴とする、付記11〜18のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記20)
前記絶縁膜は、SiO,SiN,HfSiO,HfAlON,HfO,Yのいずれかからなることを特徴とする、付記11〜19のいずれか1項に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0130】
1 半導体領域
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 絶縁膜
5 電子線レジスト層
6,7 レジスト層
8 積層レジスト
9 開口
10,10A,10B,10C リフロー用開口
11,11A,11B,11C 傾斜面
12,12X,12Y,12Z ゲート下部開口
12A,12XA 開口(第1ゲート下部開口)
12B 開口(第2ゲート下部開口)
13,13X,13Y,13Z ゲート電極(マッシュルーム型ゲート電極)
13A,13XA,13YA,13ZA 上部電極(ゲート上部)
13B,13XB,13YB,13ZB テーパ部
13C,13XC,13YC,13ZC 下部電極(ゲート下部;ゲート微細部;基部)
14 ゲート電極(T型ゲート電極)
14A 上部電極
14B テーパ部
14C 下部電極
50 SiC基板
51 GaN層
52 AlGaN層
53 GaN層
54 GaN層
55 AlGaN層
60 InP基板
61 InGaAs層
62 InAlAs層
63 InGaAs層
PTb,PTab,PT3b,PT4b 第1領域
PTc,PT2c,PT3c,PT4c 第2領域
PTa,PT2a,PT3a,PT4a 第3領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース電極及びドレイン電極を有する半導体領域上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜上に複数のレジスト層を含む積層レジストを形成し、
前記積層レジストの最下層以外のレジスト層に開口を形成し、
前記最下層のレジスト層にリフロー用開口を形成し、
熱処理を施して前記リフロー用開口に露出している前記最下層のレジスト層の一部をリフローさせ、
リフローさせることによって前記最下層のレジスト層の表面に形成された傾斜面に連なるように前記最下層のレジスト層に第1ゲート下部開口を形成し、
前記開口、前記傾斜面及び前記第1ゲート下部開口の形状に応じた形状を持つゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記最下層のレジスト層が、電子線レジスト層であることを特徴とする、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記電子線レジスト層の前記リフロー用開口を形成するための第1領域を、前記第1領域に隣接する第2領域よりも高いドーズ量で電子線露光し、現像によって前記第1領域を選択的に除去して、前記電子線レジスト層に前記リフロー用開口を形成し、
熱処理を施して前記第2領域をリフローさせることを特徴とする、請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1領域は、前記電子線レジスト層の前記第1ゲート下部開口を形成するための第3領域を挟んで両側に位置するように設定されており、
前記第2領域は、前記第1領域及び前記第3領域を挟んで両側に位置するように設定されており、
前記第2領域をリフローさせた後、前記第3領域を電子線露光し、現像によって前記第3領域を除去して、前記第1ゲート下部開口を形成することを特徴とする、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第3領域を挟んで両側に位置する前記第1領域は、互いに異なる大きさに設定されていることを特徴とする、請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1領域は、前記電子線レジスト層の前記第1ゲート下部開口を形成する第3領域を含むように設定されており、
前記第2領域は、前記第1領域を挟んで両側に位置するように設定されており、
前記第2領域をリフローさせた後、リフローさせることによって埋め込まれた前記第3領域を電子線露光し、現像によって前記第3領域を除去して、前記第1ゲート下部開口を形成することを特徴とする、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1ゲート下部開口を形成した後、前記第1ゲート下部開口が形成された前記最下層のレジスト層をマスクとして前記絶縁膜に第2ゲート下部開口を形成し、
前記第1ゲート下部開口及び前記第2ゲート下部開口にゲート電極を形成することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体領域と、
前記半導体領域の上方に形成され、上部電極と下部電極とを有するゲート電極と、
前記半導体領域上に形成され、前記ゲート電極を挟んで両側にそれぞれ設けられたソース電極及びドレイン電極と、
前記半導体領域の表面を覆う絶縁膜とを備え、
前記下部電極が、前記半導体領域の表面に対してほぼ垂直に形成され、前記半導体領域の表面に対して水平方向の寸法が一定であり、
前記ゲート電極が、前記上部電極と前記下部電極との間に、前記下部電極から前記上部電極へ向けて、前記半導体領域の表面に対して水平方向の寸法が大きくなる順テーパ形状を有するテーパ部を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記下部電極の前記半導体領域の表面に沿う水平方向の寸法Lと前記テーパ部の前記半導体領域の表面に対して垂直方向の寸法Hとのアスペクト比が、H/L≦2.75であることを特徴とする、請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記下部電極の前記半導体領域の表面に沿う水平方向の寸法Lが100nm以下の場合、前記下部電極の前記半導体領域の表面に沿う水平方向の寸法Lと前記半導体領域の表面に対して垂直方向の寸法H2とのアスペクト比が、H2/L≧1.0であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−60820(P2011−60820A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205756(P2009−205756)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】