説明

基板を処理するための方法及び装置

この出願は、基板の少なくとも部分的な領域を処理するための複数の方法及び装置を開示する。前記方法においては、少なくとも1つの液体が基板の少なくとも1つの部分的な領域に提供され、それぞれの方法に従って所望の効果を達成するために、電磁放射がこの液体に導入される。1つの方法において、液体を提供する前にUV放射によって液体のラジカルが発生され、ラジカルの発生は、少なくともラジカルの一部が基板に到達するように、液体を基板の提供する直前に行われる。基板の表面の少なくとも部分的な領域及び前記基板の表面に近い層からイオンが除去される1つの方法においては、前記基板の少なくとも部分的な領域に液体膜を形成するために、周囲温度よりも高く加熱された液体が基板に提供され、放射の少なくとも一部が基板表面に到達するように、電磁放射が前記液体膜に導入される。少なくとも部分的に疎水性の基板表面を有する基板の表面特性を、前記疎水性表面の少なくとも一部が親水性表面特性を得るように変化させる別の方法において、液体が、表面特性を変化させようとする基板の表面の少なくとも部分的な領域に提供され、所定の波長範囲のUV放射が、前記液体を通って、表面特性を変化させようとする前記基板の表面の少なくとも部分的な領域まで案内される。この方法は、共通の装置において、あらゆる所望の順序で順次に及び/又は並行して行われてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が基板の少なくとも部分的な領域に供給され、放射が液体に導入される、基板を処理するための方法及び装置に関する。
【0002】
半導体の分野において、特にクリーニングステップにおいて、その製造中及び現場での使用中に、例えばフォトマスクは様々な処理ステップに曝されなければならないことが知られている。特に、マスクを湿式クリーニングプロセスに曝すことが知られている。このような湿式クリーニングプロセスのために、提供されたプロセス媒体によってクリーニングしようとする表面のより良い濡れを可能にするために、クリーニングしようとする表面が、親水性表面特性を有すると有利である。しかしながら、様々な現象により、フォトマスクの表面はしばしばクリーニングの前には疎水性であり、これは、一方では、吸収された水分子の配向によって、他方では薄い有機層によって生ぜしめられる。
【0003】
したがって、窒素又は酸素雰囲気等のガス雰囲気中にマスクがある間に、マスクの湿式クリーニングの前にマスクにUV放射を照射することが当該分野において知られている。このプロセスにおいては、しばしば、約172nmの波長を有するUV放射が用いられる。
【0004】
ガス雰囲気中でのこのようなUV放射は、酸素原子による、表面における炭化水素の酸化、酸素原子による、基板の表面における金属の酸化、光子による親水性分子濡れ層の除去、UVエネルギによる、吸収されたイオンの活性化等の、複数の異なるプロセスを開始する。しかしながら、UV放射の光子はしばしば、妨げられることなく高いエネルギを持って基板の表面に衝突する。これは、基板、特に基板上の微細構造における応力及び/又は弛緩プロセスにつながることがある。したがって、これは、構造の変位につながることがあり、これは、基板の使用適性に不利に影響する。
【0005】
表面のこのような準備の後に湿式処理を提供することがさらに知られており、この湿式処理において、液体膜が基板に少なくとも局所的に形成され、UV放射が液体膜に導入される。このプロセスにおいて、液体及びUV放射は、UV放射の大部分が、液体膜にラジカルを発生させるために液体膜に吸収されるように適合させられる。特に、例えば希釈された過酸化水素水又はオゾン水O3−H2Oにヒドロキシルラジカルを発生させることが知られている。このようなヒドロキシルラジカルは、ラジカルが存在したとしてもこれらの金属を損傷することなく、基板表面からの有機材料の選択的な溶解を生ぜしめる。
【0006】
このような方法は例えば米国特許出願公開第2006/0207629号明細書に記載されている。特に、例えばオゾン水、過酸化水素水、アンモニア水、過酸化水素溶剤、硫酸、有機酸、及びこれらの混合物から成る薄い液体膜が提供される。次いで、ラジカルを発生させるために、UV放射に対して透明でかつ液体膜と接触した窓を介して液体膜にUV放射が導入される。再び、UV放射源と液体膜とは、UV放射の高い吸収率、可能であるならば完全な吸収が液体膜において生じるように、多くのラジカルが生ぜしめられるように、適合させられている。
【0007】
上記汚染物、特に有機汚染物の除去の後、基板表面から残留イオンも除去することが有効である。この目的のための公知の方法は、通常、表面をすすぐために、加熱された液体、特に脱イオン水(DI水)を利用する。この場合、残留イオンの完全な除去のために、液体のより長い提供時間又は液体の高温が要求されるという問題が生じる。高温は、液体のための加熱プロセスが液体における汚染につながるという点で問題である。これは、特に、温度がそれぞれの液体の沸点近傍にまで上昇させられる場合に当てはまる。温度に敏感な基板又は基板層の処理において、イオンの溶解度を所望の値よりも低くすることもできる。より低い温度を補償するための提供時間の延長は、効率の観点から望ましくない。
【0008】
公知の処理方法から出発して、本発明の課題は、基板の処理のための改良された装置及び改良された方法を提供することである。発明の1つの態様によれば、親水性基板表面の発生が改良されるべきである。別の態様によれば、基板表面のクリーニングが改良されるべきである。発明のさらに別の態様によれば、基板表面からのイオンの除去が改良されるべきである。
【0009】
本発明によれば、これら態様のうちの1つ又は2つ以上は、請求項1に係る方法、請求項14に係る方法、請求項27に係る方法、請求項32に係る方法、請求項37に係る方法、又は請求項42に係る装置によって解決される。発明のその他の実施形態は、それぞれの従属請求項に請求されている。
【0010】
特に、基板のクリーニングのための方法が提供され、この方法において、液体は前記基板の少なくとも部分的な領域に提供され、基板に液体を提供する前に、UV放射によって液体にラジカルが発生され、前記ラジカルの発生は、ラジカルの少なくとも一部が基板に達するように、液体を基板に提供する直前に生じる。同時に、基板に液体を提供する前に液体を予備処理することにより、液体が基板表面に到達する前に、オゾン等の望ましくない反応性成分が、破壊又は実質的に低減される。
【0011】
基板に液体を提供する直前にラジカルを発生させることにより、活性化されたラジカルを有する媒体の流れの指向性の流れによって、これらのラジカルの少なくとも一部が基板に到達し、これにより、基板表面の改良されたクリーニングが達成されることを保証することができる。好適には、ラジカルの活性化を維持するために及び/又はさらなるラジカルを発生させるために、基板に提供されかつラジカル又はラジカルのための前駆体を含有する活性化された液体によって形成された基板上の液体膜に、UV放射が導入されてもよい。そうすることによって、液体におけるラジカルの有効継続時間が引き延ばされ、基板表面の改良されたクリーニングにつながる。
【0012】
基板に液体を提供する前にこの液体に導入されかつ前記基板における液体膜に導入されるUV放射は、少なくとも部分的に同じ放射源によって放射されてよく、これにより、方法を単純化する。基板の表面領域の局所的なクリーニングのために、ラジカルを含有する液体を、クリーニングしようとする表面の選択された表面領域に制限することができる。
【0013】
ラジカルを発生させるために、例えば140nm〜280nm、液体に応じて140nm〜200nmの範囲の波長を有するUV放射が使用されてよく、このUV放射は、ほとんどの液体において高い吸収率を有する。好適には、前記波長範囲のUV放射は、このUV放射の少なくとも50%、特に80%が液体に吸収されるように、液体に適合させられているべきである。
【0014】
1つの実施形態において、液体がUV放射源に沿って流れながら、液体を基板に提供する前にUV放射が液体に導入され、一方では、UV放射は、場合によってはUV放射によるラジカルの直接のその後の発生を促進するために、液体の分子構造の破壊を生ぜしめるように選択される。つまり、液体は、ラジカルの効率的な発生のために準備され、液体における望ましくない反応性成分は、液体の提供の前に低減又は破壊される。つまり、これらの成分は、基板表面に接触しないか、又はより弱い形態でのみ接触する。これは、例えば、液体が移動しながら適切な前駆体及び中間生成物を生ぜしめることによって行われる。なぜならば、この動力学が、それぞれの破壊又は分解を促進しかつ均質化するからである。液体の流れの方向は、液体が基板に向かって流れるように及びラジカルの発生が基板に液体を提供する直前に生じるように、選択される。適切なUV放射を選択することにより、一方では液体の予備処理、他方ではラジカルの発生が達成されてよい。
【0015】
液体として、以下のうちの少なくとも1つが使用されてよい:オゾン水、水素水、DI水、H22、CO2−H2O、O2ガスが溶解されているDI水、NH4OH、酢酸、クエン酸、TMAH、HNO3、HCl、H3PO4、又はこれらの混合物。さらに、当該技術分野において公知のように、過酸化水素水、硫酸、又はその他の有機酸が使用されてよく、この場合、ラジカルの発生の直前の媒体の分解が、特別な廃棄を要求する化学物質の使用を不要にする。基板は、例えば以下のうちの1つであってよい:半導体製造のためのフォトマスク、半導体、特にSiウェハ、Geウェハ、GaAsウェハ、又はInPウェハ、フラットパネル基板、多層セラミック基板、又は例えば半導体製造において使用される、クリーニングしようとするあらゆるその他の基板。このような基板は、様々な形状及び寸法を有していてよい。クリーニングの間、以下のうちの少なくとも1つが、ラジカルによって基板から少なくとも部分的に除去される:炭素、炭化水素、有機汚染物及び有機機能層、例えばポジティブレジスト、ネガティブレジスト、イオン注入レジスト、エンボシング及びインプリント材料、ストレスバッファ、余盛不足材料、ラッカ、染料、生物材料、及びバクテリア。
【0016】
発明の別の態様によれば、基板の表面及び前記基板の表面に近い層からイオンを除去する方法が提供され、この方法においては、前記基板の少なくとも部分的な領域に液体膜を形成するために、周囲温度よりも高く加熱された液体が前記基板に提供され、電磁放射が前記液体膜に導入され、前記放射の少なくとも一部が前記基板の表面に到達するようにする。これにより、電磁放射が基板表面上の残留イオンに衝突したときに、電磁放射は、増大したイオン移動度を生ぜしめる。さらに、電磁放射は、液体の温度を上昇させる及び/又は吸収された場合に液体にラジカルを発生し、両者はイオンの除去を促進する。
【0017】
1つの実施形態において、液体は、基板への電磁放射の提供の直前及び/又はその間に電磁放射によって少なくとも部分的に加熱され、これにより、このように加熱された液体が基板に到達する前にほとんどエネルギ損失が生じない。択一的に又は付加的に、電磁放射を提供する前に液体は予熱された状態で使用箇所まで供給されてよい。液体は、例えば周囲温度と液体の沸点との間の範囲の温度に加熱されてよい。高められた圧力の下で方法を行い、これにより、液体が沸点に達する前に液体をより高い温度に加熱することも可能である。
【0018】
液体として例えば以下のうちの1つが使用されてよい:オゾン水、水素水、DI水、H22、CO2−H2O、O2ガスが溶解されたDI水、又はこれらの混合物。
【0019】
1つの実施形態において、UV放射、特に190nmよりも高い波長を有するUV放射が液体に導入され、そのうちの少なくとも50%、特にそのうちの少なくとも80%が、基板表面と液体膜との間の境界面に達する。択一的に又は付加的に、IR放射は液体膜に導入されてよく、IR放射は、例えば、液体膜の現場加熱のために使用されてよい。この場合、IR放射の少なくとも50%は、基板の表面と液体膜との間の境界面に到達すべきである。UV放射及びIR放射は、同一の放射源を介して導入されてよい。放射の少なくとも一部は、液体膜にラジカルを発生させる。
【0020】
別の態様によれば、少なくとも部分的に疎水性の基板表面を有する基板の表面特性を変化させる方法が提供され、この方法において、前記疎水性基板表面の少なくとも一部が親水性表面特性を得る。これを達成するために、液体が、表面特性が変化させられる基板表面の少なくとも部分的な領域に提供され、所定の波長範囲のUV放射が前記液体を通って、表面特性が変化させられる前記基板の表面の少なくとも部分的な領域に案内される。液体における特に高エネルギ短波長放射の吸収により、基板表面の領域における応力に関する問題が実質的に減じられるか又は完全に克服される。液体は、乾燥条件と比較して低い放射エネルギでの疎水性表面層の除去も促進し、これにより、基板表面における応力のさらなる低減をも可能にする。
【0021】
液体の良好な透過を達成するために、UV放射の所定の範囲の波長は190nmよりも高く、この場合、前記所定波長範囲内のUV放射の少なくとも80%が基板表面に到達すべきである。液体として、以下のうちの少なくとも1つが使用されてよい:オゾン水、水素水、DI水、CO2水、又はこれらの混合物。その他の液体が使用されてもよい。特にDI水が使用されてもよい。
【0022】
上記の様々な方法は、有利には、1つの完成した方法に組み合わされてよく、この場合、これらの方法のそれぞれ一つは、同じ液体又は変化する液体において順次に及び/又は並行して行われる。特に、個々の方法の間に基板を取り扱う必要なくこれらの1つ方法を1つの装置において行うことも可能である。
【0023】
別の態様によれば、基板を処理するための装置が提供され、この装置は、基板を収容するための基板ホルダと、入口及び出口を有する流れチャンバを形成したハウジングと、第1の放射源と、前記基板ホルダと前記ハウジングとの相対移動を生ぜしめるためのユニットとを有する。第1の放射源は、前記流れチャンバ内へ放射を放射するように配置されており、さらにUV放射を放射することができる。相対移動を生ぜしめるためのユニットは、出口から出る液体が基板ホルダ上の基板上へ直接に流れるように出口が基板に向けられるように、前記基板ホルダに対して前記ハウジングを配置することができる。
【0024】
このような装置は、第1の放射源を介して、基板に提供された液体への放射、特にUV放射の導入を可能にする。これは、例えば、上記方法で説明したように、ラジカルの発生のための前駆体及び中間生成物を発生するために又は液体にラジカルを発生させるために直接に使用されてよい。しかしながら、基板上に液体を提供する間に液体を加熱することも可能である。
【0025】
第1の放射源がハウジングからも前記出口を通じて放射を放射するように第1の放射源が配置されていることも可能である。これは、ラジカルの活性化を維持するために又はさらなるラジカルを発生させるために、基板への液体の提供の前だけでなくその後にも液体への放射の導入を可能にする。また、液体のさらなる加熱又はその温度での液体の維持が達成されてよい。さらに、基板への液体の提供の前に液体に放射を導入するために使用されるのと同じ放射源が、疎水性表面を親水性表面に変化させるために、又は基板表面からのイオンの除去のために単純な形式で使用されてもよい。
【0026】
1つの実施形態において、第1の放射源が少なくとも部分的に前記流れチャンバに配置されている。ハウジングは、例えば出口開口を有してよく、第1の放射源が少なくとも部分的に出口開口に、特に実質的に出口開口の中央に配置されていてよい。出口開口及び第1の放射源は、基板に対するハウジングの一回の走査移動の間に基板の完全なクリーニングを可能にするために、クリーニングしようとする基板が延びている幅よりも大きいか又は少なくともそれに等しい長さに延びている。1つの実施形態において、第1の放射源は、UV範囲の放射を放射する第1のランプを含み、第1のランプは付加的にIR範囲の放射を放射してよい。第1の放射源は付加的に、少なくとも、第1のランプとは主に異なる波長範囲の放射を放射する第2のランプを含んでよい。例えば、第2のランプは、第1のランプがIR放射を放射しない場合には、IR放射を放射してよく、又は例えば異なる波長範囲のUV放射を放射してよい。したがって、第1及び第2のランプをそれぞれ制御することによって、放射源はプロセスの要求に適合されてよい。第1の放射源がさらに別のランプを有することも可能である。
【0027】
1つの実施形態によれば、第1のランプ及び/又は第2のランプと、ハウジングにおける流れチャンバとの間にカバーが設けられており、少なくとも1つのカバーは少なくともUV放射に対して実質的に透明である。このようなカバーは、流れチャネルに汚染物を導入する危険性なくそれぞれのランプの交換を可能にする。この関連で、カバーは少なくとも1つの平面において第1のランプ及び/又は第2のランプを完全に包囲している。カバーの材料は例えば石英であってよい。
【0028】
第1のランプ及び/又は第2のランプは、流れチャンバを貫通した、流れチャンバ全体に均一な放射を提供する長手方向ランプ若しくはロッドランプであってよい。第1のランプは、特に、140nm〜280nm、液体に応じて140nm〜200nmの波長範囲のUV放射を放射してよく、1つの実施形態において主に、すなわちUV放射の50%以上がこの波長範囲である。第2のランプは例えば180nmよりも高い波長範囲の放射及び/又はIR放射を放射してよい。これにより、様々なプロセス結果が達成されてよい。180nmよりも高い放射は、例えば主に、流れチャンバにおける液体の分解を生ぜしめ、その後、140nm〜280nmの範囲、液体に応じて140nm〜200nmの範囲の放射によって流れチャンバにおけるラジカルの発生を促進する。
【0029】
付加的に、少なくとも1つの第2の放射源が、ハウジングの出口に隣接した領域に放射を放射するように、ハウジングの流れチャンバの外側に提供されていてよい。このような放射源は、主に流れチャンバには放射を放射しないが、適用可能であるならば、流れチャンバから出た液体によって基板に形成された液体膜に放射を放射する。第2の放射源は主に、第1の放射源とは異なる波長範囲の放射を放射してよいが、実質的に同じ放射を放射することも考えられる。特に、第2の放射源は、180nmよりも高い波長範囲のUV放射及び/又はIR放射を放射してよい。
【0030】
第1及び第2の放射源及び場合によってはこれらの放射源のそれぞれのランプを個々に及び独立して制御することができる制御ユニットが設けられていてよい。これは、それぞれのプロセス要求に従って、基板に提供される液体への放射の導入を適合させることを可能にする。
【0031】
以下に図面を参照して発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による処理装置の概略的な上面図である。
【図2】図1の装置を線I−Iに沿って見た概略的な断面図である。
【図3】発明の択一的な実施形態による、図2と同様の概略的な断面図である。
【図4】発明の別の択一的な実施形態による、図2と同様の概略的な断面図である。
【図5】発明のさらに別の実施形態による、図2と同様の概略的な断面図である。
【0033】
上、下、左又は右のように以下の説明で使用されるあらゆる方向を表す用語は、図面に関するものであり、それが好適な配列ではあるが、適用を限定するものとして解釈すべきではない。
【0034】
図1は、基板2を処理するための装置1の概略的な上面図を示しており、図2は、線I−Iに沿った装置1の概略的な断面図を示している。
【0035】
装置1は基本的に基板のための収容体から成り、以下ではアプリケーションユニット6のための基板ホルダと呼ぶ。基板ホルダ4及びアプリケーションユニット6は、図示されていない圧力チャンバ内に配置されており、この圧力チャンバ内には、適切な手段によって正圧又は負圧が生ぜしめられる。
【0036】
図示したように、基板ホルダ4は、矩形の基板2を収容するための平坦な矩形のプレートである。基板ホルダ4は、処理される基板2の形状に適合されたその他の形状を有していてもよい。基板ホルダ4は、アプリケーションユニット6を介して基板2へ提供される流体のための、図示されていない排出部を有する。
【0037】
アプリケーションユニット6は、主要部8と支持部10とから成り、支持部10は、二重矢印A及びBによって示したように、主要部8を可動に支持している。特に、支持部10は支持アーム12を有しており、支持アーム12は一方の端部において主要部8に結合されており、支持アーム12の他方の端部は、図示されていない駆動装置に結合されている。二重矢印A及びBによって示したように、駆動装置は例えば支持アーム10、ひいては主要部8の回動及び/又は線形移動を提供する。この形式において、前記基板の部分的な領域又は表面全体の処理を可能にするために、主要部8は、前記基板ホルダ4に収容された基板2に沿って移動させられる。さらに、主要部8と、基板ホルダ4に収容された基板2の表面との間の距離を調節するために、支持アーム10は持上げ移動を行うことも可能である。
【0038】
択一的に又は付加的に、基板2と主要部8との間の相対移動を提供するために、基板ホルダのための移動機構を提供することも可能である。
【0039】
主要部8は、実質的に、ハウジング14と、流体ポート16と、放射源18とから成る。ハウジング14は、細長い立方形のボディ20を有しており、このボディ20は、長手方向において流れチャンバ22を形成しており、流れチャンバ22は実質的にボディ20の長さ全体にわたって延びている。以下でより詳細に説明するように、基板の幅全体にわたって基板に液体を提供することができるように、流れチャンバ22は基板2の幅よりも大きな長さを有している。流れチャンバがより小さな寸法を有することも可能である。流れチャンバ22の内面は、特にUV放射に対して高い反射率を有するように設計されているのに対し、IR放射は実質的に吸収される。
【0040】
流れチャンバ22は実質的に円形の横断面を有する。流れチャンバ22は、ボディが処理される基板2に向けられた出口開口を形成するように、ボディ20の底側に向かって開放している。流れチャンバ22の上側部分において、導管24がボディ20に設けられており、この導管24は、流れチャンバ22に対して実質的に平行に延びている。導管24は、導管24を介して流れチャンバ22に流体を導くために、複数の箇所において流れチャンバ22に流体接続されている。これに関して、導管24が、実質的に流れチャンバ22の長さ全体にわたって流れチャンバ22に流体を導くことができることに注意されたい。導管24は流体ポート16にも接続されている。
【0041】
流体ポート16は、図示されていない導管に接続されており、この導管を介して1つ又は2つ以上の流体が流体ポート16へ導かれる。複数の流体がこの導管を介して流体ポートに同時に又は順次に導かれることが可能である。複数の導管を提供することも可能であり、これらの導管を介して例えば複数の異なる流体が流体ポートへ導かれてよい。流体として、例えば液体が考慮されているが、ガスを流体ポートへ導くことも可能であり、このガスは、流れチャンバ22へ導かれる前に、流体ポート16及び導管24において液体と混合されてよい。図2に矢印が示されており、この矢印は、流体が流体ポート16から導管24を介して流れチャンバ22へ流入し、ハウジング14から流出する様子を示している。
【0042】
放射源18は、長手方向に延びた形状を有しており、流れチャンバ22全体に沿って、実質的に流れチャンバ22の中央に延びている。放射源18は、カバー32によって包囲されたロッドランプ30を有しており、カバー32は実質的にランプ30の放射に対して透明である。ロッドランプは、少なくとも所定の波長範囲のUV放射を放射するタイプのものである。ロッドランプ30は、広い波長スペクトルにわたって放射を放射し、特にUV放射及びIR放射を放射することも可能である。
【0043】
例えば石英ガラスから成るカバー32は、流れチャンバ22内でロッドランプ30を完全に包囲しており、ロッドランプを流れチャンバ22内の流体から隔離している。カバーは例えば、流れチャンバ22の端壁を貫通してボディ20から延出している。これは、流れチャンバにアクセスすることなく、例えば交換又はメンテナンスのためにロッドランプ30へのアクセスを可能にする。流れチャンバ22における配置により、カバー32は流れチャンバ22の内壁とともに、導管24を介して流れチャンバ22内に導かれる流体のための流路を形成している。このような流体はカバー32の周囲、ひいては放射源18全体の周囲を流れる。これにより、ロッドランプ30によって放射された放射は、流路に沿って流れるあらゆる流体に導入される。さらに、カバー32は、ボディ20の底面を超えて延びており、これにより、部分的にボディ20の出口開口内へ延びている。したがって、ロッドランプから放射された放射は、流れチャンバ22から基板ホルダ4に向かって又は基板ホルダ上の基板2へ出ることが可能である。特に、放射は、例えば流れチャンバ22を通って基板上へ流れる液体によって形成された、基板2上の液体膜に導入されてよい。
【0044】
図3は、基板2を処理するための装置1の択一的な実施形態の、図2と同様の概略的な側面図を示している。この実施形態を説明する場合、同じ又は類似のエレメントが提供されている限り、前と同じ符号が用いられる。
【0045】
装置1は再び、実質的に、基板を収容するための基板ホルダ4と、アプリケーションユニット6とから成る。基板ホルダは、図1及び図2に関して前述したのと同じ形式で設計されていてよい。
【0046】
アプリケーションユニット6は再び、主要部8と、図3には図示されていないが、図1及び図2に関して前述したのと同じ設計を有する支持部とから成る。主要部8は再び、実質的に、ハウジング14と、流体ポート16と、放射源18とを有しており、ハウジング14及び流体ポートは、図1及び図2に関連して前述したのと同じ設計を有していてよい。
【0047】
放射源18は再び、細長い形状を有しており、かつ流れチャンバ22を実質的に中央で貫通して延びている。この実施形態における放射源18は、ロッドランプ30,30′を有しており、ロッドランプ30,30′は、ロッドランプ30,30′の放射に対して実質的に透明なカバー32によって包囲されている。ロッドランプ30,30′は、図3において互いに上下に示されているが、カバー32内でそれとは異なる形式で配置されていてもよい。ロッドランプは、互いに同じタイプ又は異なるタイプのものであってよく、少なくともそのうちの一方は所定の波長範囲のUV放射を放射する。特に、両方のロッドランプ30,30′は、互いに異なる波長範囲のUV放射を放射することが可能である。上側のロッドランプ30′は、例えば、少なくとも部分的に又は主として180nmよりも高い波長範囲のUV放射を放射してよく、これに対して下側のロッドランプ30は少なくとも部分的に又は主として140〜280nm、液体に応じて140nm〜200nmの波長範囲のUV放射を放射する。一方又は両方のロッドランプ30,30′が、所定量のIR放射又はその他の放射を放射してもよい。
【0048】
カバー32は、流れチャンバ22内でロッドランプ30,30′を完全に包囲しており、前記流れチャンバ22における流体からロッドランプを隔離している。これに関して、カバー32は、図1及び図2に関して前述したカバーと同じ設計を有してよい。さらに、カバー32内にさらに別のロッドランプが収容されていることも可能であり、このロッドランプはそれぞれ、異なる放射を放射するか、又は同じ放射を放射してもよい。ロッドランプ30,30′の配列及び選択により、(放射される波長及びその空間的な分布に関する)所望の放射プロフィルが、流れチャンバ22内に、及びボディ20の出口開口を介して流れチャンバ22を超えて、生ぜしめられる。
【0049】
図4は、基板2を処理するための装置1の別の択一的な実施形態の、図2と同様の概略的な断面図を示している。この実施形態を説明する場合、同じ又は類似のエレメントが提供されている限り、前と同じ符号が使用される。
【0050】
装置1は再び、実質的に、基板を収容するための基板ホルダ4と、アプリケーションユニット6とから成る。基板ホルダ4は、図1及び図2に関して前述されたのと同じ形式で設計されていてよい。
【0051】
アプリケーションユニット6は再び、主要部8と、図4には示されていないが、図1及び図2に関して前述されたものと同じ設計を有する支持部とから成る。
【0052】
主要部8は再び、実質的に、ハウジング14と、流体ポート16と、放射源18とから成る。付加的に、2つの別の放射源40が提供されている。ハウジング14は、細長い立方形のボディ20を有する、図1及び図2に関して前述されたものと同じ設計を有していてよい。ボディ20における流れチャンバ22及び導管24は、図1及び図2に関して前述されたものと同じ設計を有する。これは、流体ポート16に関しても当てはまる。
【0053】
ボディ20の底側において、ボディの長さに沿って出口開口の両側に延びた凹所42が設けられている。凹所は、別の放射源40を少なくとも部分的に収容するように寸法決めされている。凹所42の表面は、放射源40の放射のための反射面を有していてよい。
【0054】
放射源18は、図1及び図2に関して前述したものと同じ設計を有するか、又は図3に関して説明した設計を有していてもよい。
【0055】
放射源40はそれぞれ、ボディ20のそれぞれの凹所42に収容された、ボディ20の長さにわたって延びたロッドランプを含む。このことは図4には示されていないが、放射源40はそれぞれ、ロッドランプの放射に対して実質的に透明なカバーを有していてよく、このカバーは、周囲、特に流体チャンバから出るあらゆる液体に対して、ロッドランプを隔離する。放射源40のロッドランプは、互いに同じタイプ又は異なるタイプのものであってよく、放射源18のロッドランプ30,30′と異なるタイプのものであることもできる。図4に示したように2つの放射源40を提供する代わりに、1つの放射源40のみを提供することも可能である。
【0056】
図5は、基板2を処理するための装置1の別の実施形態の、図2と同様の概略的な断面図を示している。この実施形態の説明において、同じ又は類似のエレメントが提供される限り、再び前と同じ符号が用いられる。
【0057】
装置1は再び、実質的に、基板を収容するための基板ホルダ4と、アプリケーションユニット6とから成る。基板ホルダ4は、図1及び図2に関して前述したのと同じ形式で設計されていてよい。
【0058】
アプリケーションユニット6は再び、主要部8と、図5に示されていない支持部とから成る。ここで以下に説明される主要部8が基板を完全に被覆することができる限り、支持部の可動性は省略されてよい。距離調節と、主要部の下方に基板を位置決めするための可動性のみが要求される。
【0059】
主要部8は、実質的に、ハウジング14と、複数の流体ポート16と、複数の放射源18とから成る。ハウジングは、処理される基板の形状に適合されたボディ20から成る。ボディ20には、ボディの底側へ開放した流れチャンバ22が形成されており、開口は実質的に、処理される基板の寸法に対応している。流れチャンバ22の内壁は反射性である。流れチャンバ22の上側は複数の導管24を介して複数の流体ポート16(ここでは6つが示されている)に接続されている。
【0060】
複数の放射源18(ここでは6つが示されている)は流れチャンバ22内に設けられており、これらの放射源は流れチャンバ22を長手方向又は横方向に貫通して延びている。したがって、流れチャンバ22の壁部と放射源18との間、及びそれぞれの放射源の間には、異なる流路が形成されている。放射源18は、図1及び図2に関して説明したもの又は図3に関して説明したものと同じ設計を有していてよい。
【0061】
付加的に、2つの別の放射源40が設けられている。ハウジング14は、図1及び図2に関して前述したものと同様の設計を有しており、細長い立方形のボディ20と、流れチャンバ22と、ボディ20における導管24とを有しており、図1及び図2に関して前述したのと同じ設計を有する。これは、流体ポート16にも当てはまる。
【0062】
上述のロッドランプはそれぞれ制御ユニットに接続されており、制御ユニットは、ロッドランプを個々に及び独立して制御又は駆動することができる。ロッドランプを使用せずに、他のランプ/放射体を使用することも可能であるが、この他のランプ/放射体は、流れチャンバの長さに沿って実質的に均一な放射プロフィルを提供することができるべきである。
【0063】
以下に、装置1の作動を図面に関してより詳細に説明する。
【0064】
基板の表面の処理のために、アプリケーションユニット6の主要部8は、基板ホルダ4上の基板2上を移動させられる。基板の表面全体が処理されるべきであるならば、基板を完全に被覆する図5による実施形態が使用されない限り、主要部8は、以下に説明する処理の間、基板に沿って移動させられてよい。
【0065】
次いで、流体、特に液体が、流体ポート16と、導管24と、流れチャンバ22とを介して、少なくとも処理される基板の表面に提供される。第1の放射源18及び/又は放射源40を介して前記流体に放射が導入される。放射は、基板を処理するために放射が基板に直接作用するように及び/又は所望の処理を行うために基板の特性を変化させるために流体に作用するように、選択される。そうすることによって、基板の表面のための異なる処理可能性が提供され、これは、局所的に制限されるか、又は基板の表面全体において行われてよい。
【0066】
以下では、これらの処理可能性のうちの幾つかが、これらの例に限定されることなくより詳細に説明される。フォトマスクの処理は、例として提供される。
【0067】
まず、少なくとも部分的に疎水性の基板表面を有する基板2の表面特性を親水性基板表面に変化させることを説明する。これを達成するために、DI水のような液体が流体として流れチャンバ22を介して、処理される基板表面に提供され、基板2に液体膜を形成する。放射源18又は40を介してこの液体膜にUV放射が導入され、UV放射の実質的な部分が液体と基板表面との間の境界面に達するように、液体と、UV放射の波長範囲とが互いに適合される。UV放射はここで、以前は疎水性の基板表面を親水性表面に変化させるように作用する。
【0068】
液体膜のUV放射の透過性をよくするために、ここで使用されるUV放射の波長範囲は、例えば、190nmよりも高い。このような波長範囲を提供するために、この波長範囲で放射する対応するロッドランプが制御又は駆動される一方、場合によっては、他のランプは制御又は駆動されない。前記波長範囲を使用する場合、以下のうちの1つが液体として使用されてよい:オゾン水、水素水、DI水、又はこれらの混合物。その他の液体が使用されてもよい。
【0069】
次に、基板表面のクリーニングを説明する。この基板表面は、例えば上述のように親水性表面を有するように処理されており、ラジカルとの相互作用により除去されやすい汚染物を有する。
【0070】
ここでは、再び、液体は、流れチャンバ22を介して、処理される基板2の表面に提供される。液体が放射源18の周囲を流れる間に、UV放射が放射源18によって液体に放射される。この放射は特に液体にラジカルを発生させる。この発生は、極めて短い消滅時間を有するこのような発生されたラジカルの少なくとも一部が基板2に接触するように、液体が基板に提供される直前に生じる。放射源18の放射は流れチャンバ22に限定されないので、放射は、基板2に液体によって形成された液体膜にも導入され、これにより、さらなるラジカルを発生する及び/又は既に発生されたラジカルの活性化を部分的に維持する。
【0071】
アプリケーションユニット6の対応する移動により、基板の部分的な領域又は表面全体を選択的にクリーニングすることができる。
【0072】
液体、及び液体に導入された放射は、再び、所望の効果を達成するために互いに適合させられている。ラジカルの発生のために、特に140nm〜280nm、液体に応じて140nm〜200nmの波長範囲におけるUV放射が適している。前記波長範囲におけるUV放射は、特に、UV放射の少なくとも50%、特に80%が吸収されるように、使用される液体に適合させられている。
【0073】
使用される液体に応じて、ラジカルの発生は、液体が放射源18の周囲を流れる間に生じる、UVにより誘発される液体の分解によっても促進される。この目的のために、UV放射は、一方では、UV放射によってもラジカルの直接に続く発生を促進するために、液体の分子構造の破壊が生ぜしめられるように選択される。180nmよりも高い波長を有するUV放射は、このような分解に特に適している。したがって、図3に示した放射源18の実施形態において、上側のロッドランプが、分解を促進する、すなわち180nmよりも高い波長を有するUV光を放射するものであるのに対し、下側のロッドランプが、ラジカルの発生を促進する、すなわち140nm〜280nmの波長を有するUV光を放射するものであると、有利である。例としてDI水を取り上げると、140nm〜200nmの波長範囲がラジカルの発生のために適しているが、他の液体の場合には、140nm〜280nmのより高い波長範囲が適している。
【0074】
これらの波長範囲は、もちろん必須というわけではなく、液体に応じて変化してよいが、フォトマスクをクリーニングするために通常に使用される多くの液体、例えば、オゾン水、水素水、DI水、H22、CO2−H2O、O2ガスが溶解されたDI水、NH4OH、有機酸、TMAH、HNO3、HCl、H2SO4、又はこれらの混合物のために適用可能である。
【0075】
最後に、例えば上述のように処理された基板2の表面又は表面に近い層からイオンが除去される処理が説明される。
【0076】
この処理のために、基板2の少なくとも部分的な領域に液体膜を形成するために、周囲温度よりも高く加熱された液体が流れチャンバ22を介して基板に提供される。放射は、放射源18,40のうちの少なくとも1つを介して液体膜に導入され、この場合、放射と液体とは、放射の少なくとも一部が基板表面に達するように、互いに適合させられている。電磁放射は、基板表面上の残留イオンに衝突すると、イオン移動性を増大させる。さらに、放射は、液体に吸収される限り、温度上昇及び/又はラジカルの発生をも生じ、これらは両方ともイオンの除去を促進する。特に、液体は、その提供中に、例えば高いIR部分を有する放射源によって直接に加熱される。液体の高められた温度が液体におけるイオンの溶解度をも高める限り、液体は、沸点まで加熱されてよい。
【0077】
液体として、例えば以下の液体、すなわちオゾン水、水素水、DI水、H22、CO2−H2O、O2ガスが溶解されたDI水、又はこれらの混合物のうちの1つが使用されてよい。DI水はより高い温度に特に適している。放射として、それほど強く吸収されない、イオンを運動させかつ除去する所望の効果を促進する、特に190nmよりも高い波長範囲のUV放射が適している。液体の現場加熱を提供する限り、IR放射もよく適している。
【0078】
上記処理は、所望の容易に組み合わされてよく、前記のように順次に又は部分的に又は完全に同時に行われてよい。
【0079】
発明は、正確な実施形態に限定されることなく、ここでは複数の実施形態に関して上記で説明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の少なくとも部分的な領域をクリーニングする方法において、該方法が、
前記基板の少なくとも部分的な領域に液体を提供するステップと、
基板にUV放射を提供する前に該UV放射によって前記液体にラジカルを発生させるステップとを有しており、前記ラジカルの発生が、ラジカルの少なくとも一部が基板に到達するように、基板への液体の提供の直前に生じることを特徴とする、基板の少なくとも部分的な領域をクリーニングする方法。
【請求項2】
基板に提供された液体が、基板上に液体膜を形成し、該液体膜におけるラジカルの活性化を維持するために及び/又はさらなるラジカルを発生させるために、前記液体膜にUV放射を導入する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
基板に液体を提供する前の該液体に及び前記基板上の液体フィルムに導入される前記UV放射を、少なくとも部分的に、同じ放射源によって放射する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
ラジカルを含有する液体が、基板の選択された表面領域に限定されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
基板にラジカルを発生させるために、140nm〜280nmの範囲、液体に応じて140nm〜200nmの範囲の波長を有するUV放射を使用し、該UV放射の少なくとも50%が、ラジカルを発生させるために液体に吸収される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
140nm〜280nm、液体に応じて140nm〜200nmの範囲の波長を有するUV放射の少なくとも80%が、吸収される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
使用される液体を、前記範囲の使用される波長に適合させることによって、吸収が達成される、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
液体がUV放射源に沿って流れながら、液体を提供する前にUV放射を液体に導入する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
基板表面との望ましくない反応を回避するために及び/又はUV放射によってラジカルの直接に続く発生をも可能にするために、液体の分子構造が破壊されるようにUV放射が選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
液体として以下のうちの少なくとも1つが使用される:オゾン水、水素水、DI水、H22、CO2−H2O、O2ガスが溶解されたDI水、NH4OH、酢酸、クエン酸、TMAH、HNO3、HCl、H2SO4、H3PO4、又はこれらの混合物、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記基板が、以下のうちの1つである:マスク、特に半導体の製造のためのフォトマスク、半導体、特にSiウェハ、Geウェハ、GaAsウェハ又はInPウェハ、フラットパネル基板、多層セラミック基板、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
以下のうちの少なくとも1つが、ラジカルを介して基板から少なくとも部分的に除去される:有機汚染物、及びポジティブレジスト、ネガティブレジスト及びイオン注入されたレジストのような有機機能層、炭素、炭化水素、エンボシング及びインプリント材料、応力バッファ及び余盛不足材料、ラッカ、染料、生物材料及びバクテリア、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
液体が、基板のクリーニングしようとする局部領域に提供される、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
基板の表面の少なくとも部分的な領域及び前記基板の表面に近い層からイオンを除去する方法において、該方法が、
前記基板の少なくとも部分的な領域に液体膜を形成するために、周囲温度よりも高く加熱された液体を前記基板に提供するステップと、
前記液体膜に電磁放射を導入し、その際、該電磁放射の少なくとも一部が前記基板の表面に到達するようにすることを特徴とする、方法。
【請求項15】
基板に液体を提供する間に該液体を電磁放射によって加熱する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
液体が電磁放射に曝される前に前記液体を予熱する、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記液体を、周囲温度と前記液体の沸点との間の範囲の温度に加熱する、請求項14から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記方法を、高められた圧力の下で行う、請求項14から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
液体として、以下のうちの少なくとも1つを用いる:オゾン水、水素水、DI水、H22、CO2−H2O、O2ガスが溶解されたDI水、又はこれらの混合物、請求項14から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
UV放射を液体膜に導入する、請求項14から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
少なくとも、190nmよりも高い波長を有するUV放射を液体に導入し、前記UV放射の少なくとも50%が基板の表面と液体膜との間の境界面に到達する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
190nmよりも高い波長を有するUV放射の少なくとも80%が前記境界面に到達する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
液体膜にIR放射を導入する、請求項14から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
IR放射の少なくとも50%が基板の表面と液体膜との間の境界面に到達する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
UV放射及びIR放射が同じ放射源を介して導入される、請求項20及び23記載の方法。
【請求項26】
放射の少なくとも一部が液体膜にラジカルを発生させる、請求項14から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
少なくとも部分的に疎水性の基板表面を有する基板の表面特性を、前記疎水性の表面の少なくとも一部が親水性の表面特性を得るように、変化させる方法において、該方法が、
表面特性を変化させようとする表面の少なくとも部分的な領域に液体を提供するステップと、
所定の波長範囲のUV放射を、前記液体を通過させて、表面特性を変化させようとする前記基板の表面の少なくとも部分的な領域へ案内するステップとを有することを特徴とする、方法。
【請求項28】
前記所定の波長範囲が、190nmよりも高い波長を有するUV放射を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記所定の波長範囲内のUV放射の少なくとも80%が基板の表面に到達する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
液体として、以下のうちの少なくとも1つを使用する;オゾン水、水素水、DI水、H22、CO2−H2O、O2ガスが溶解されたDI水、NH4OH、有機酸、TMAH、HNO3、HCl、H2SO4、又はこれらの混合物、請求項27から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記液体がDI水である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
以下の方法のうちの少なくとも2つを順次に行う:請求項27から31までのいずれか1項記載の方法、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法、及び請求項14から26までのいずれか1項記載の方法、を特徴とする、基板を処理する方法。
【請求項33】
前記方法のうちの少なくとも2つを上述の順序で順次に行う、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記方法のうちの2つを並行して行う、請求項32又は33記載の方法。
【請求項35】
前記方法を同じ装置において行う、請求項32から34までのいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記方法を行う間、基板が前記装置にとどまる、請求項35記載の方法。
【請求項37】
以下の方法のうちの少なくとも2つを並行して行う:請求項27から31までのいずれか1項記載の方法、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法、及び請求項14から26までのいずれか1項記載の方法、を特徴とする、基板を処理する方法。
【請求項38】
全ての方法を並行して行う、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記方法のうちの2つを上述の順序で順次に行う、請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記方法を同じ装置において行う、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記方法を行う間、基板が装置にとどまる、請求項40記載の方法。
【請求項42】
基板を処理するための装置において、該装置が、
基板を収容するための基板ホルダと、
入口及び出口を有する流れチャンバを形成するハウジングと、
前記流れチャンバ内に放射を放射するために配置された第1の放射源とが設けられており、該第1の放射源がUV放射を放射することができ、
前記基板ホルダと前記ハウジングとの相対移動を生ぜしめるためのユニットが設けられており、該ユニットが、出口から出る液体が基板ホルダ上の基板へ直接に流れるように出口が基板ホルダに向けられるように、前記基板に対して前記ハウジングを配置することができることを特徴とする、基板処理するための装置。
【請求項43】
第1の放射源がまた、前記出口を通ってハウジングから出るように放射を放射する、請求項42記載の装置。
【請求項44】
第1の放射源が少なくとも部分的に前記流れチャンバに配置されている、請求項42又は43記載の装置。
【請求項45】
前記ハウジングが出口開口を有しており、前記第1の放射源が少なくとも部分的に前記出口開口に配置されている、請求項42から44までのいずれか1項記載の装置。
【請求項46】
第1の放射源が実質的に出口開口の中央に配置されている、請求項45記載の装置。
【請求項47】
出口開口及び第2の放射源が、クリーニングしようとする基板が延びている幅よりも大きいか又は該幅と等しい長さに延びている、請求項45又は46記載の装置。
【請求項48】
第1の放射源が、UV範囲の放射を放射する第1のランプを含む、請求項42から47のうちのいずれか1項記載の装置。
【請求項49】
第1のランプがIR範囲の放射を放射する、請求項48記載の方法。
【請求項50】
第1の放射源が、第1のランプとは主に異なる波長範囲における放射を放射する少なくとも第2のランプを含む、請求項48又は49記載の装置。
【請求項51】
第1のランプ及び/又は第2のランプと、流れチャンバとの間に、少なくとも1つのカバーが設けられており、該少なくとも1つのカバーが実質的にUV放射に対して透明である、請求項48から50までのいずれか1項記載の装置。
【請求項52】
少なくとも1つのカバーが、第1のランプ及び/又は第2のランプを1つの平面において完全に包囲している、請求項51記載の装置。
【請求項53】
第1のランプ及び/又は第2のランプが、ロッドランプである、請求項48から52までのいずれか1項記載の装置。
【請求項54】
第1のランプが、特に、140nm〜280nm、液体に応じて140nm〜200nmの波長範囲のUV放射を放射する、請求項48から53までのいずれか1項記載の装置。
【請求項55】
第1のランプが、主に、140nm〜280nm、液体に応じて140nm〜200nmの波長範囲のUV放射を放射する、請求項48記載の装置。
【請求項56】
第2のランプが、180nmよりも高い波長範囲のUV放射を放射する、請求項48から55までのいずれか1項記載の装置。
【請求項57】
第2のランプが、IR放射を放射する、請求項50から56までのいずれか1項記載の装置。
【請求項58】
少なくとも1つの第2の放射源が、ハウジングの出口に隣接した領域に放射を放射するように、ハウジングの流れチャンバの外側に設けられている、請求項42から57までのいずれか1項記載の装置。
【請求項59】
第2の放射源が、主に、第1の放射源とは異なる波長範囲で放射する、請求項58記載の装置。
【請求項60】
第2の放射源が、180nmよりも高い波長範囲のUV放射を放射する、請求項58又は59記載の装置。
【請求項61】
第2の放射源が、IR放射を放射する、請求項58から60までのいずれか1項記載の装置。
【請求項62】
第1の放射源と第2の放射源とを個々に及び独立して制御することができる制御ユニットが設けられている、請求項58から61までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−510332(P2013−510332A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537306(P2012−537306)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001629
【国際公開番号】WO2011/054405
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(507146108)ズース マイクロテク フォトマスク エクイップメント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】Suss MicroTec Photomask Equipment GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Ferdinand−von−Steinbeis−Ring 10, D−75447 Sternenfels, Germany
【Fターム(参考)】