説明

基板位置検出装置、これを備える成膜装置、および基板位置検出方法

【課題】基板が収容されるチャンバに対して基板位置検出装置を高い位置決め精度で取り付けなくても、基板の位置を高い精度で検出できる基板位置検出装置を提供する。
【解決手段】サセプタを動かして基板載置部を撮像装置の撮像領域に位置させる工程と、処理容器内において撮像装置の撮像領域内に位置するように設けられる2つの第1位置検出マークであって、2つの第1位置検出マークの第1垂直二等分線がサセプタの回転中心を通る2つの第1位置検出マークを検出する工程と、サセプタにおいて基板載置部に対して設けられる2つの第2位置検出マークであって、2つの第2位置検出マークの第2垂直二等分線がサセプタの回転中心と基板載置部の中心とを通る2つの第2位置検出マークを検出する工程と、検出した2つの第1位置検出マーク及び2つの第2位置検出マークに基づいて基板載置部が所定の範囲に位置するかを判定する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造装置等に収容される基板の位置を検出する基板位置検出装置、これを備える成膜装置、および基板位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造工程においては、成膜装置、エッチング装置、および検査装置を始めとする種々の製造装置の所定のチャンバ内に基板が搬送され、それぞれの装置に応じた処理が基板に対して行われる。基板は、フォークやエンドエフェクタを有する搬送アームによって各装置内へ搬入されるが、チャンバ内においては、所定の位置に正確に配置しなければならない。例えば、成膜装置のチャンバ内で所定の位置からずれてしまうと、基板を均一に加熱することができず、膜質および膜厚の均一性が悪化するという問題が生じる。また、所定の位置からずれていると、処理後に、フォークやエンドエフェクタによって基板を取り出すことができないといった問題も生じ得る。
【0003】
さらに、膜厚の制御性及び均一性に優れることから注目を集めている分子層(原子層)成膜(ALD)装置のなかには、原料ガスの交互供給の代わりに、基板が載置されたサセプタを高速で回転することにより原料ガスを基板に対して交互に付着させるものがあるが、このような装置において基板が所定の位置にない場合、サセプタの回転によって基板がとばされるといった問題が生じる。
【0004】
基板を所定の位置に正確に配置して上記のような問題を解決するため、CCDカメラ等を用いて基板を撮像し、得られた画像に基づいて基板の位置を検出する方法がある(特許文献1参照)。この方法によれば、一台のCCDカメラで基板もサセプタも撮影することができるため、光学系を単純化することができ、コストを上昇させずに済み、さらに遠隔検出が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−153769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CCDカメラ等を有する基板位置検出装置を用いて、例えばALD装置内の基板の位置を検出する場合には、基板と、基板が載置されるサセプタとをCCDカメラ等によって撮像するため、基板位置検出装置をチャンバの天板上に配置し、天板に形成される透過窓を通して撮像することとなる。
【0007】
ところで、チャンバのメンテナンス等のため、チャンバ本体から天板を取り外す場合がある。基板位置検出装置を天板上に取り付ける場合、メンテナンス等の後、チャンバ本体に対し基板位置検出装置を高い精度で位置決めしなければならない。基板位置検出装置(CCDカメラ)の位置がずれると、基板位置検出装置により観察されるサセプタと基板との相対的な位置がずれることとなり、基板位置を正確に検出できなくなるためである。高い精度での位置決めには比較的長い時間がかがるため、ALD装置の利用効率が低下してしまうという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑み、基板が収容されるチャンバに対して基板位置検出装置を高い位置決め精度で取り付けなくても、基板の位置を高い精度で検出できる基板位置検出装置、これを備える成膜装置、および基板位置検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、基板に対して所定の処理を行う処理容器と、処理容器内に回転可能に収容され、位置検出対象である基板が載置される基板載置部が形成されるサセプタとを備える半導体製造装置において行われる、基板の位置を検出する位置検出方法が提供される。この方法は、前記サセプタを動かして前記基板載置部を撮像装置の撮像領域に位置させる工程と、前記処理容器内において撮像装置の撮像領域内に位置するように設けられる2つの第1の位置検出マークであって、該2つの第1の位置検出マークの第1の垂直二等分線が前記サセプタの回転中心を通るように設けられる当該2つの第1の位置検出マークを検出する工程と、前記サセプタにおいて前記基板載置部に対して設けられる2つの第2の位置検出マークであって、該2つの第2の位置検出マークの第2の垂直二等分線が前記サセプタの回転中心と前記基板載置部の中心とを通るように設けられる当該2つの第2の位置検出マークを検出する工程と、検出された前記2つの第1の位置検出マークおよび前記2つの第2の位置検出マークに基づいて前記基板載置部が所定の範囲に位置するかを判定する工程とを含む。
【0010】
本発明の第2の態様は、基板に対して所定の処理を行う処理容器と、処理容器内に回転可能に収容され、位置検出対象である基板が載置される基板載置部が形成されるサセプタとを備える半導体製造装置に用いられる、基板の位置を検出する位置検出装置が提供される。この装置は、前記処理容器内において撮像装置の撮像領域内に収まるように設けられる2つの第1の位置検出マークであって、該2つの第1の位置検出マークの第1の垂直二等分線が前記サセプタの回転中心を通るように設けられる当該2つの第1の位置検出マークと、前記サセプタにおいて前記基板載置部に対して設けられる2つの第2の位置検出マークであって、該2つの第2の位置検出マークの前記垂直二等分線が前記サセプタの回転中心と前記基板載置部の中心とを通るように設けられる当該2つの第2の位置検出マークと、前記基板載置部の周縁領域とを含む領域を撮像する撮像部、および前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記第1の垂直二等分線および前記第2の垂直二等分線を特定し、特定した前記第1の垂直二等分線および前記第2の垂直二等分線に基づいて、前記基板載置部の位置が所定の範囲内にあるかを判定する制御部を備える。
【0011】
本発明の第3の態様は、容器内にて、互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板に供給するサイクルを実行して反応生成物の層を当該基板上に生成することにより膜を堆積する成膜装置を提供する。この装置は、前記容器に回転可能に設けられたサセプタと、前記サセプタの一の面に設けられ、前記基板が載置される載置部と、前記載置部に載置される前記基板の位置を検出する、第2の態様の基板位置検出装置と、前記一の面に第1の反応ガスを供給するよう構成された第1の反応ガス供給部と、前記サセプタの回転方向に沿って前記第1の反応ガス供給部から離れた、前記一の面に第2の反応ガスを供給するよう構成された第2の反応ガス供給部と、前記回転方向に沿って、前記第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と前記第2の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置し、前記第1の処理領域と前記第2の処理領域とを分離する分離領域と、前記第1の処理領域と前記第2の処理領域とを分離するために、前記容器の中央に位置し、前記一の面に沿って第1の分離ガスを吐出する吐出孔を有する中央領域と、前記容器を排気するために前記容器に設けられた排気口と、を備える。前記分離領域は、第2の分離ガスを供給する分離ガス供給部と、前記第2の分離ガスが前記回転方向に対し前記分離領域から前記処理領域側へ流れることができる狭隘な空間を、前記サセプタの前記一の面に対して形成する天井面とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、基板が収容されるチャンバに対して基板位置検出装置を高い位置決め精度で取り付けなくても、基板の位置を高い精度で検出できる基板位置検出装置、これを備える成膜装置、および基板位置検出方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態による基板検出装置を備える成膜装置を模式的に示す断面図である。
【図2】図1の成膜装置を模式的に示す上面図である。
【図3】図1の補助線Sに沿った一部断面図である。
【図4】図1の成膜装置のサセプタの基板載置部を説明する説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による基板検出方法を説明するフローチャートである。
【図6】サセプタの周縁領域を撮像した画像の一例を模式的に示す図である。
【図7】サセプタの基板載置部の位置を検出する原理を説明する説明図である。
【図8】基板載置部に基板が載置されたサセプタ周縁領域を撮像した画像の一例を模式的に示す図である。
【図9】基板載置部に載置される基板の位置を検出する原理を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態による基板検出装置の変形例を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態による基板検出方法を説明するフローチャートである。
【図12】図11に引き続き、本発明の第3の実施形態による基板検出方法を説明するフローチャートである。
【図13】基板載置部の上方において搬送アームにより保持される基板を示す概略上面図である。
【図14】基板載置部の上方において搬送アームにより保持される基板、基板載置部、及び撮像部の位置関係を示す図である。
【図15】基板の中心位置と、基板載置部の中心との偏差を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきである。
【0015】
(第1の実施形態)
図1から図4までを参照しながら、本発明の第1の実施形態による成膜装置を説明する。図1および図2に示すように、本実施形態による成膜装置200は、真空容器1と、この真空容器1内に設けられ、真空容器1の中心に回転中心を有するサセプタ2と、を備えている。
真空容器1は、図1および図2から分かるように、概ね扁平な有底円筒形状を有する容器本体12と、たとえばO−リングなどの封止部材13を介して容器本体12の上面に気密に載置される天板11とを有している。天板11および容器本体12は、たとえばアルミニウム(Al)などの金属により作製される。天板11には、例えば石英ガラスを用いて作製される透過窓201が、Oリング等の図示しない封止部材により気密に設けられている。透過窓201は、容器本体12の側壁に開口される搬送口15に隣接して設けられている。搬送口15は、ウエハWを真空容器1内へ搬入し、真空容器1から搬出するために設けられている。この搬送口15にはゲートバルブ15aが設けられ、これにより搬送口15が開閉される。
【0016】
また、成膜装置200には、本発明の実施形態による基板位置検出装置が設けられている。具体的には、基板位置検出装置101は、成膜装置200の天板11に設けられた透過窓201の上に配置されている。また、基板位置検出装置101は、筐体102と、筐体102内に取り付けられ、位置検出の対象であるウエハWを撮像するカメラ104と、筐体102内においてカメラ104の下方に配置されるパネル106と、パネル106に光を照射する光源108とを有している。
【0017】
筐体102は下部に開口部を有し、この開口部は透明な窓102aにより封止されている。窓102aは、天板11の透過窓201と対向している。また、筐体102には、側壁の上方に冷却扇102bが設けられ、側壁の下方に開口102cが設けられている。図1中に二点鎖線の矢印で示すように、冷却扇102bによって外気をカメラ104に吹き付け、開口102cから排気することにより、カメラ104を冷却することができる。また、位置検出時にウエハWが加熱されている場合には、輻射熱により窓102aが加熱され、これにより筐体102内で熱気流が発生し、画像がぼやけることがある。しかし、冷却扇102bにより窓102aをも冷却することができるため、熱気流による画像のぼやけを低減することができる。
【0018】
カメラ104は、撮像素子として例えば電荷結合素子(CCD)を有しており、窓102aに臨むように、筐体102内の上方部に取り付けられている。この構成により、カメラ104は、窓102aと、成膜装置200の天板11の透過窓201とを通して、真空容器1内のサセプタ2に載置されるウエハWを撮像することができる。特に、天板11の透過窓201が搬送口15に隣接した位置に形成されているため、搬送口15を通して搬入された又は搬出されるウエハWを撮像できる。すなわち、ウエハWの位置を搬入出時に速やかに検出することができる。
【0019】
また、カメラ104には制御部104aが電気的に接続されている。制御部104aにより、カメラ104の動作(オン/オフ、焦点合わせ、撮像等)が制御されるとともに、カメラ104により得られた画像データが処理される。この処理には、画像データからウエハWやサセプタ2の位置を求める演算処理が含まれる。また、制御部104aは、所定の入出力装置(図示せず)を通して記憶媒体に記憶されたプログラムをダウンロードし、このプログラムに従って、カメラ104や光源108などの各構成を制御することにより、後述する基板位置検出方法が実施される。
【0020】
パネル106は、本実施形態においては、白色顔料が塗布された乳白色のアクリル板から作製され、筐体102内においてカメラ104と窓102aとの間に取り付けられている。パネル106のほぼ中央には開口部106aが形成されている。開口部106aを通して、成膜装置200内のウエハWおよびその周辺がカメラ104により撮像される。したがって、開口部106aの位置および大きさは、カメラ104が、真空容器1内のウエハWおよびその周辺の領域を撮像できるように決定される。具体的には、図2に示すように、ウエハ位置の検出に利用されるウエハWのエッジと、サセプタ2に形成されるサセプタマーク2aと、成膜装置100の容器本体12の底面に形成されるチャンバマーク120aとを含む視野Fを確保できるように決定して良く、パネル106とカメラ104との距離をも考慮に入れて決定して良い。
【0021】
なお、サセプタマーク2aは、本実施形態では、サセプタ2に形成された凹部にたとえば黒色の石英で作製された円盤を埋め込むことにより形成されている。なお、黒色の石英は、サセプタ2が石英で作製される場合に好ましく、たとえばサセプタ2がカーボンで作製される場合には、アルミナで作製された円盤を埋め込むことにより形成されると好ましい。
また、後に参照する図8に図示されているように、2つのチャンバマーク120aは、容器本体12の底部に形成された凹部に対してたとえば黒色の石英で作製された円盤1201を埋め込み、円盤1201に中央部に対してアルミナで作製された円盤1202を取り付けることにより、形成されている。
【0022】
光源108は、本実施形態においては、パネル106と窓102aとの間において、パネル106の下面に光を照射するように、かつ、開口部106aを通してカメラ104に光が照射されないように筐体102の内壁に取り付けられている。光源108によるパネル106への光照射により、視野F内のウエハWやサセプタ2は間接的に照明される。光源108は、上下方向に旋回可能に取り付けられても良く、さらに、所定のモータ等を設けて照射方向の切り替えができるようにすると好ましい。このようにすれば、択一的に、光源108の上方のパネル106に光を照射するか、光源108の下方のウエハWに光を照射することができる。
【0023】
光源108は、本実施形態においては、白色発光ダイオード(LED)108aと、白色LED108aに電力を供給する電源108bとを有している。電源108bは出力電圧を変えることができ、これにより、パネル106により間接的に照明されるウエハWへの照度を調整することができる。照度の調整により、カメラ104は、より鮮明な画像を撮像することが可能となる。
【0024】
真空容器1内に配置されるサセプタ2には、ウエハが載置される複数の載置部24が形成されている。本実施形態においては、載置部24は凹部として構成されている。具体的には、約300mm(12インチ)の直径を有するウエハWに対し、凹部としての載置部24の内径は例えば約304mm〜約308mmであって良い。また、載置部24は、そのウエハの厚さとほぼ等しい深さを有している。このように構成される載置部24により、載置部24にウエハを載置したときには、ウエハの表面とサセプタ2の表面(載置部24が形成されていない領域)とが同じ高さになる。すなわち、ウエハの厚さによる段差が生じないため、サセプタ2上におけるガスの流れに乱れが生じるのを低減することができる。また、図3(a)に示すように、サセプタ2の載置部24には3つの貫通孔が形成され、これらの貫通孔のそれぞれを通して上下動可能なリフトピン16aが設けられている。3つのリフトピン16aはプッシャ2Pを支持し、プッシャ2Pを上下動することができる。また、載置部24には、プッシャ2Pを収容可能な、プッシャ2Pの形状に対応した形状を有する座繰り部24bが形成されている。リフトピン16aが降下してプッシャ2Pを座繰り部24bに収容すると、プッシャ2Pの上面と載置部24の底面とは同じ高さに位置する。また、図3(b)に示すように、載置部24の外周にウエハ支持部24aが形成されている。ウエハ支持部24aは、載置部24の内周壁に沿って複数個(たとえば8個)形成されており、載置部24へ載置されるウエハWは、ウエハ支持部24aにより支持されることとなる。これにより、ウエハWと載置部24の底面との間には一定の間隔が維持され、ウエハWの裏面が載置部24の底面に直接触れることがない。これにより、載置部24の底面との間の空間を介してサセプタ2からウエハが加熱されるため、ウエハWは均一に加熱されることとなる。
【0025】
再び図3(a)を参照すると、載置部24の周囲には円形のガイド溝18gが形成されており、ここにウエハガイドリング18が嵌合する。図3(c)は、ガイド溝18gに嵌合したウエハガイドリング18を示している。図示のとおり、ウエハガイドリング18は、ウエハWの外径よりも僅かに大きい内径を有しており、ウエハガイドリング18がガイド溝18gに嵌合したときに、ウエハWはウエハガイドリング18の内側に配置される。また、ウエハガイドリング18の上面には爪部18aが設けられている。爪部18aは、ウエハWに接することなく、ウエハガイドリング18の内方に向かってウエハWの外縁から僅か内側にまで延びている。たとえば真空容器1内で何らかの原因により急激な圧力変動があった場合には、その圧力変動により、ウエハWが載置部24から飛び出る可能性がある。しかし、そのような場合においては、ウエハガイドリング18に設けられた爪部18aによってウエハWは押さえられるため、載置部24に維持され得る。
【0026】
また、ガイド溝18gの外側には、ウエハガイドリング18を昇降するための4つの昇降ピン16bが設けられている。昇降ピン16bがウエハガイドリング18を持ち上げている間に、サセプタ2とウエハガイドリング18との間に搬送アーム10A(図2)によりウエハWが搬入される。リフトピン16aによりプッシャ2Pが持ち上げられ、プッシャ2Pが搬送アーム10からウエハWを受け取ると、搬送アーム10Aが退出し、リフトピン16aが降下してプッシャ2Pを載置部24の座繰り部24bに収容する。これにより、ウエハWは、ウエハ支持部24aで支持されることにより載置部24に載置される。続いて、昇降ピン16bが降下してウエハガイドリング18をガイド溝18gに収容すると、ウエハWは、ウエハガイドリング18により確実に載置部24に収容されることとなる。
【0027】
図1を再び参照すると、サセプタ2は、中央に円形の開口部を有しており、開口部の周りで円筒形状のコア部21により上下から挟まれ保持されている。コア部21は、その下部において回転軸22に固定されており、回転軸22は駆動部23に接続されている。コア部21および回転軸22は、互いに共通の回転軸を有し、駆動部23の回転により、回転軸21およびコア部21、ひいてはサセプタ2が回転することができる。
【0028】
なお、回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。このケース体20はその上面に設けられたフランジ部20aを介して真空容器1の底部裏面に気密に取り付けられており、これにより、ケース体20の内部雰囲気が外部雰囲気から隔離されている。
【0029】
図2を参照すると、真空容器1には、サセプタ2の上方に互いに離間した2個の凸状部4Aおよび4Bが設けられている。図示のとおり、凸状部4Aおよび4Bはほぼ扇形の上面形状を有している。扇形の凸状部4Aおよび4Bは、その頂部が、コア部21を取り囲むように天板11に取り付けられた突出部5の外周に近接し、その円弧が容器本体12の内周壁に沿うように配置されている。図2では説明の便宜上、天板11を省略しているが、凸状部4Aおよび4Bは、天板11の下面に取り付けられている(凸状部4Aついては図1にも示されている)。凸状部4A,4Bは、たとえばアルミニウムなどの金属により形成することができる。
【0030】
なお、図示は省略するが、凸状部4Bも凸状部4Aと同様に配置されている。凸状部4Bは凸状部4Aとほぼ同一の構成を有しているため、凸状部4Bについて説明することとし、凸状部4Aについての重複する説明を省略する場合がある。
【0031】
図2の補助線Sに沿った断面図である図4を参照すると、凸状部4Bは、凸状部4Bが二分割されるように半径方向に延びる溝部43を有し、溝部43には分離ガスノズル42が収容されている。分離ガスノズル42は、図2に示すように、容器本体12の周壁部から真空容器1内へ導入されて真空容器1の半径方向に延びている。また、分離ガスノズル42は、その基端部が容器本体12の外周壁に取り付けられ、これにより、サセプタ2の表面とほぼ平行に支持されている。なお、凸状部4Aには、分離ガスノズル41が同様に配置されている。
【0032】
分離ガスノズル42および41は、分離ガスのガス供給源(図示せず)に接続されている。分離ガスはチッ素(N)ガスや不活性ガスであって良く、また、成膜に影響を与えないガスであれば、分離ガスの種類は特に限定されない。本実施形態においては、分離ガスとしてNガスが利用される。また、図4に示すように、分離ガスノズル42は、サセプタ2の表面に向けてNガスを吐出するための吐出孔41hを有している。吐出孔41hは、約0.5mmの口径を有し、分離ガスノズル42の長さ方向に沿って約10mmの間隔で配列されている。また、分離ガスノズル42の下端からサセプタ2の表面までの間隔は0.5mm〜4mmであって良い。吐出孔41hは、分離ガスノズル41にも同様に形成されている。
【0033】
図4に示すように、サセプタ2と凸状部4Bとにより、高さh1(凸状部4Bの下面44のサセプタ2の表面からの高さ)を有する分離空間Hが形成される。高さh1は、例えば0.5mmから10mmであると好ましく、できる限り小さくすると更に好ましい。ただし、サセプタ2の回転ぶれによってサセプタ2が天井面44に衝突するのを避けるため、高さh1は3.5mmから6.5mm程度であると好ましい。一方、凸状部4Bの両側には、サセプタ2の表面と天板11の下面とで画成される第1の領域481と第2の領域482とが形成されている。第1および第2の領域481,482の高さ(サセプタ2から天板11までの高さ)は、たとえば15mm〜150mmである。第1の領域481には反応ガスノズル31が設けられ、第2の領域482には反応ガスノズル32が設けられている。これらの反応ガスノズル31,32は、図1に示すように、容器本体12の外周壁から真空容器1内へ導入され、真空容器1の半径方向に延びている。反応ガスノズル31,32には、これらの長さ方向に約10mmの間隔で配列され、約0.5mmの口径を有し、下向きに開口する複数の吐出孔33が形成されている(図4)。反応ガスノズル31からは第1の反応ガスが供給され、反応ガスノズル32からは第2の反応ガスが供給される。本実施形態では、反応ガスノズル31には、酸化シリコン膜のシリコン原料であるビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)の供給源が接続され、反応ガスノズル32には、BTBASを酸化して酸化シリコンを生成する酸化ガスとしてのオゾンガス(O)の供給源が接続されている。
【0034】
分離ガスノズル42からNガスを供給すると、このNガスは分離空間Hから第1の領域481と第2の領域482とに向かって流れる。分離空間Hの高さh1が第1および第2の領域481,482に比べて低いため、分離空間Hにおける圧力を第1および第2の領域481,482における圧力よりも容易に高く維持することができる。換言すると、第1および第2の領域481,482における圧力よりも分離空間Hにおける圧力を高く維持することができるように、凸状部4Aの高さおよび幅、並びに分離ガスノズル41からのNガスの供給量を決定すると好ましい。この決定のため、第1および第2の反応ガスやサセプタ2の回転速度等を考慮すると更に好ましい。このようにすれば、分離空間Hは、第1および第2の領域481,482に対して圧力障壁を提供することができ、これにより、第1および第2の領域481,482を確実に分離することができる。
【0035】
すなわち、図4において、反応ガスノズル31から第1の反応ガス(たとえばBTBASガス)が第1の領域481へ供給され、サセプタ2の回転により凸状部4Bに向かって流れても、分離空間Hに形成される圧力障壁により、分離空間Hを通り抜けて第2の領域482へ到達することはできない。反応ガスノズル32から第2の領域482に供給される第2の反応ガス(たとえばOガス)もまた凸状部4B(図1)の下方の分離空間Hに形成される圧力障壁により、分離空間Hを通り抜けて第1の領域481へ到達することはできない。すなわち、第1の反応ガス(たとえばBTBASガス)と第2の反応ガス(たとえばOガス)が分離空間Hを通して混合するのを効果的に抑制することができる。本発明の発明者らの検討によれば、以上の構成により、サセプタ2が例えば約240rpmの回転速度で回転した場合であっても、BTBASガスとOガスとをより確実に分離することができることが分かっている。
【0036】
再び図1を参照すると、天板11の下面には、サセプタ2を固定するコア部21を取り囲むように突出部5が取り付けられている。突出部5は、サセプタ2の表面に近接し、図示の例では、突出部5の下面は、凸状部4A(4B)の下面44とほぼ同じ高さにある。したがって、突出部5の下面のサセプタ2からの高さは、下面44の高さh1と同一である。また、コア部21と天板11との間隔と、コア部21の外周と突出部5の内周との間隔も、高さh1とほぼ同等に設定されている。一方、天板11の上部中央には分離ガス供給管51が接続されており、これにより、Nガスが供給される。分離ガス供給管51から供給されるNガスにより、コア部21と天板11との間の空間、コア部21の外周と突出部5の内周との間の空間、および突出部5とサセプタ2との間の空間(以下、説明の便宜上、これらの空間を中央空間と呼ぶ場合がある)は、第1および第2の領域481,482に比べて、高い圧力を有することができる。すなわち、中央空間は、第1および第2の領域481,482に対して圧力障壁を提供することができ、これにより、第1および第2の領域481,482を確実に分離することができる。すなわち、第1の反応ガス(たとえばBTBASガス)と第2の反応ガス(たとえばOガス)が中央空間を通して混合するのを効果的に抑制することができる。
【0037】
図1に示すように、サセプタ2と容器本体12の底部との間の空間には、加熱部としての環状のヒータユニット7が設けられ、これにより、サセプタ2上のウエハWが、サセプタ2を介して所定の温度に加熱される。また、ブロック部材71aが、サセプタ2の下方及び外周の近くに、ヒータユニット7を取り囲むように設けられている。このため、ヒータユニット7が置かれている空間がヒータユニット7の外側の領域から区画されている。ブロック部材71aより内側にガスが流入することを防止するため、ブロック部材71aの上面とサセプタ2の下面との間に僅かな間隙が維持されるように配置される。ヒータユニット7が収容される領域には、この領域をパージするため、複数のパージガス供給管73が、容器本体12の底部を貫通するように接続されている。複数のパージガス供給管73は、容器本体12の底部において所定の間隔をおいて、たとえば等角度間隔で配置されて良い。なお、ヒータユニット7の上方には、ヒータユニット7を保護する保護プレート7aが配置されており、これにより、ヒータユニット7が設けられる空間にBTBASガスやOガスが仮に流入したとしても、ヒータユニット7を保護することができる。保護プレート7aは、例えば石英から作製すると好ましい。
【0038】
なお、ヒータユニット7は、たとえば同心円状に配置される複数のランプヒータにより構成して良い。これによれば、各ランプヒータを独立に制御することにより、サセプタ2の温度を均一化することができる。
【0039】
図1を参照すると、容器本体12の底部には、環状のヒータユニット7の内側に隆起部Rを有している。隆起部Rの上面は、サセプタ2及びコア部21に接近しており、隆起部Rの上面とサセプタ2の裏面との間、及び隆起部Rの上面とコア部21の裏面との間に僅かな隙間を残している。また、容器本体12の底部は、回転軸22が通り抜ける中心孔を有している。この中心孔の内径は、回転軸22の直径よりも僅かに大きく、フランジ部20aを通してケース体20と連通する隙間を残している。ケース体20のフランジ部20aの上部には、パージガス供給管72が接続されている。
【0040】
このような構成により、回転軸22と容器本体12の底部の中心孔との間の隙間、コア部21とサセプタ2の底部の隆起部Rとの間の隙間、及び隆起部Rとサセプタ2の裏面との間の隙間を通して、パージガス供給管72からヒータユニット7の下の空間へNガスが流れる。また、パージガス供給管73からヒータユニット7の下の空間へNガスが流れる。そして、これらのNガスは、ブロック部材71aとサセプタ2の裏面との間の隙間を通して、後述する排気口61(62)へ流れ込む。このように流れるNガスは、BTBASガス(Oガス)の反応ガスがサセプタ2の下方の空間を回流してOガス(BTBASガス)と混合するのを抑制する分離ガスとして働く。
【0041】
また、図2に示すように、容器本体12の内周面とサセプタ2の外周縁との間の空間であって、かつ、凸状部4Aの下部に当たる位置に屈曲部46Aが設けられ、凸状部4Bの下部に当たる位置に屈曲部46Bが設けられている。屈曲部46Aと46Bは同様に構成されているため、図1および図2を参照しながら、屈曲部46Aについて説明する。図示のとおり、屈曲部46Aは、本実施形態においては、凸状部4Aと一体に形成されている。屈曲部46Aは、サセプタ2と容器本体12との間の空間を概ね埋めており、反応ガスノズル31からの第1の反応ガス(BTBASガス)が、この空間を通して第2の反応ガス(Oガス)と混合するのを阻止する。屈曲部46と容器本体12との間の隙間、及び屈曲部46とサセプタ2との間の隙間は、例えば、サセプタ2から凸状部4の天井面44までの高さh1とほぼ同一であって良い。また、屈曲部46Aがあるため、分離ガスノズル41(図1)からのNガスは、サセプタ2の外側に向かって流れ難い。よって、分離空間H(凸状部4Aの下面44とサセプタ2との間の空間)の圧力を高く維持するのに役立つ。なお、図示の例では、屈曲部46の下方にブロック部材71bが設けられており、分離ガスがサセプタ2の下方まで流れるのを更に抑制することができるため、更に好ましい。
【0042】
なお、屈曲部46A,46Bとサセプタ2との間の隙間は、サセプタ2の熱膨張を考慮し、サセプタ2が後述のヒータユニットにより加熱された場合に、上記の間隔(h1程度)となるように設定することが好ましい。
【0043】
また、図2に示すように、第1の領域481において、容器本体12の一部が外方に広がっており、その下方に排気口61が形成され、第2の領域482においても、容器本体12の一部が外方に広がっており、その下方に排気口62が形成されている。排気口61,62は、たとえば圧力調整器およびターボ分子ポンプ等を含む排気システム(図示せず)に別途に又は共通に接続され、これにより、真空容器1内の圧力が調整される。排気口61および62は、それぞれ第1の領域481および第2の領域482に対して形成されているため、主に第1の領域481および第2の領域482が排気され、したがって、上述の通り、第1の領域481及び第2の領域482の圧力が分離空間Hの圧力よりも低くすることが可能となる。また、排気口61は、反応ガスノズル31と、この反応ガスノズル31に対してサセプタ2の回転方向Aに沿った下流側に位置する凸状部4Bとの間に設けられている。排気口62は、反応ガスノズル32と、この反応ガスノズル32に対してサセプタ2の回転方向Aに沿った下流側に位置する凸状部4Aとの間において、凸状部4Aに近接して設けられている。これにより、反応ガスノズル31から供給される第1の反応ガス(たとえばBTBASガス)はもっぱら排気口61から排気され、反応ガスノズル32から供給される第2の反応ガス(たとえばOガス)はもっぱら排気口62から排気される。すなわち、このような排気口61,62の配置は、両反応ガスの分離に寄与している。
【0044】
また、この実施形態による成膜装置200には、図2に示すように、装置全体の動作のコントロールを行うための制御部100が設けられている。この制御部100は、例えばコンピュータで構成されるプロセスコントローラ100aと、ユーザインタフェース部100bと、メモリ装置100cとを有する。ユーザインタフェース部100bは、成膜装置の動作状況を表示するディスプレイや、成膜装置の操作者がプロセスレシピを選択したり、プロセス管理者がプロセスレシピのパラメータを変更したりするためのキーボードやタッチパネル(図示せず)などを有する。
【0045】
メモリ装置100cは、プロセスコントローラ100aに種々のプロセスを実施させる制御プログラム、プロセスレシピ、及び各種プロセスにおけるパラメータなどを記憶している。また、これらのプログラムには、例えば後述する成膜方法を行わせるためのステップ群を有しているものがある。これらの制御プログラムやプロセスレシピは、ユーザインタフェース部100bからの指示に従って、プロセスコントローラ100aにより読み出されて制御部100により実行される。また、これらのプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体100dに格納され、これらに対応した入出力装置(図示せず)を通してメモリ装置100cにインストールしてよい。コンピュータ可読記憶媒体100dは、ハードディスク、CD、CD−R/RW、DVD−R/RW、フレキシブルディスク、半導体メモリなどであってよい。また、プログラムは通信回線を通してメモリ装置100cへダウンロードしてもよい。
【0046】
本実施形態による基板位置検出装置を備える成膜装置が発揮する効果・利点は、以下の基板位置検出方法および成膜方法に関する説明から容易に理解される。
【0047】
(第2の実施形態)
図1から図4までに加えて図5を参照しながら、本発明の第1の実施形態による成膜装置200を用いて実施され得る成膜方法を説明する。この成膜方法には、本発明の第2の実施形態による基板位置検出方法が含まれる。
【0048】
始めに、ステップS501において、サセプタ2を回転して、サセプタ2の複数の載置部24のうちの一つを搬送口15(図2参照)に臨む位置に移動させる。
次に、ステップS502において、この載置部24の位置が検出される。具体的には、まず、基板位置検出装置101の光源108が点灯し、パネル106の下面に光が照射される。そして、基板位置検出装置101のカメラ104により、パネル106により間接的に照明されるサセプタ2のエッジを含む領域が撮像され、制御部104aにより画像データが収集される。このときの画像の一例を図6に示す。図6に示すように、サセプタ2に形成された2つのサセプタマーク2aと、真空容器1の容器本体12の底部に形成された2つのチャンバマーク120aが観察されている。
【0049】
図7に示すように2つのサセプタマーク2aは、載置部24の中心Cとサセプタ2の回転中心RCとを通る直線に対して対称に配置されている。換言すると、2つのサセプタマーク2aのそれぞれの中心を結ぶ線分Lに対して、サセプタ2の回転中心RCから垂線Nを下ろすと、この垂線Nは、載置部24の中心Cを通って線分Lの中点と交わる。(すなわち、垂線Nは線分Lの垂直二等分線である。)
また、2つのチャンバマーク120aは、これらを結ぶ線分の垂直二等分線がサセプタ2の回転中心RCを通るように設けられている。
【0050】
基板位置検出装置101のカメラ104により撮像された画像が図7のとおりであると仮定し、載置部24の位置ずれ検出の一例を具体的に説明する。図7では、説明の便宜上、載置部24がずれた場合を示している。まず、CCDカメラの画素のうち、2つのチャンバマーク120aの一方の中心に対応する画素と、他方の中心に対応する画素とが特定される。これにより、2つのチャンバマーク120aの中心を通る直線X(X軸)と、その直線と垂直でサセプタ2の回転中心RCを通る直線Y(Y軸)とが画素上で求められる。これらによりX−Y座標が画成される。
【0051】
次に、CCDカメラの画素のうち、2つのサセプタマーク2aの一方の中心に対応する画素と、他方の中心に対応する画素とが特定され、これらに基づいて、垂線Nが特定される。次いで、垂線Nの終点(サセプタ2の回転中心RCと反対側の点)からY軸へ下ろした垂線Nyの長さが求められる。垂線Nの長さと垂線Nyの長さとから、垂線NとY軸とのなす角θM(=tan-1(Ny/N))が求められる。垂線Nや垂線Nyの長さは、各垂線に対応する画素の列における画素の数を、単位長さあたりの画素数を用いて換算することにより求めることができる。
【0052】
続けて、ステップS503において、載置部24が所定の範囲にあるかが判定される。具体的には、上記の角度θMが所定の角度範囲にあるかどうかが判定される。載置部24の位置が所定の範囲を超えてずれていると、ウエハWを載置部24に収めることができない事態となる。換言すると、所定の角度範囲は、載置部24の内径(たとえば、約300mm(12インチ)の直径を有するウエハWに対し、例えば約304mm〜約308mm)を考慮して決定すると好ましい。なお、角度θMの代わりに、垂線Nyの長さが所定の長さ範囲にあるかどうかで、載置部24の位置を判定しても良い。また、線分LがX軸と平行であるか(平行からのずれが所定の範囲内にあるか)により、載置部24の位置を判定しても良い。さらに、サセプタマーク2aと回転中心RCとを結ぶ線分と、Y軸とのなす角に基づいて載置部24の位置を判定しても構わない。
【0053】
また、2つのサセプタマーク2aの中点が、2つのチャンバマーク120aの垂直二等分線である垂線N(Y軸)からどの程度ずれているかにより、載置部24の位置を判定しても良い。
【0054】
判定の結果、載置部24が所定の範囲にないと判定されると(ステップS503:NO)、基板検出装置101の制御部104aから、所定の範囲にないことを示すアラームが発され、かつ/又は、制御部104aから成膜装置200に対して、成膜装置200を停止すべきことを示す信号が送信され、これにより、成膜装置200が停止される。これに応じて、たとえば成膜装置200の操作者が手作業で載置部24の位置を修正することができる。また、成膜装置200の駆動部23によりサセプタ2を回転させてサセプタ2の位置を修正することができる(ステップS504)。
【0055】
ステップS503において、所定の範囲にあると判定されると(ステップS503:YES)、ステップS505においてウエハWが載置部24に載置される。具体的には、ウエハWが、フォークを有する搬送アーム10A(図2参照)により、成膜装置200のチャンバ12内に搬入され、リフトピン16aにより上下動されるプッシャ2Pによって搬送アーム10Aから載置部24に載置される。
【0056】
続けて、ステップS506において、基板位置検出装置101のカメラ104により、パネル106により間接的に照明されるウエハWのエッジを含む領域とその周辺のサセプタ2とが撮像され、制御部104aにより画像データが収集される。カメラ104により得られた画像の一例を示すと、図8の模式図のとおりである。ウエハWはほぼ一様に白色に見え、サセプタ2はカーボンで作製されるため黒色に見える。なお、図中、ウエハWに見える黒い長方形Kは、ウエハWに写った、パネル106の開口部106bである。
【0057】
次に、制御部104aは、カメラ104により得られた画像において、ウエハWのエッジラインを検出する。この検出は、制御部104aに予め備えられたエッジ検出機能を利用して行って良い。次いで、例えばエッジラインに接する複数の接線とその接点において交差する直線が交わる点(座標)を求めることにより、ウエハWの中心WO(図9)の位置を推定することができる(ステップS507)。
【0058】
次いで、推定されたウエハWの中心WOの位置と載置部24の中心Cの位置との距離dが求められる。ここで、図9に示すX−Y座標軸において、載置部24の中心Cが点(X,Y)で表され、ウエハWの中心WOが点(X,Y)で表されるとすると、
=((X−X+(Y−Y)/CF ・・・式(1)
という関係式が成り立つ。式(1)において、CFは換算係数であり、例えばCCD上の画素間の距離に対する実際の寸法の比を表している。また、載置部24の中心Cは、ステップS502で求めた2つのサセプタマーク2aの位置に基づいて特定することができる(線分Nにおいて、サセプタ2の回転中心RCから載置部24の中心Cまでの距離は既知である)。
【0059】
この後、式(1)に基づいて求めた距離dを用いて、ウエハWが所定の範囲内にあるかどうかが判定される(ステップS508)。例えば、Dmmの直径を有するウエハWに対して、載置部24が凹部であって、その内径がDmmである場合、
0≦d≦l ・・・・・式(2)
l=(D−D)/2 ・・・・・式(3)
という関係を満たすときは、ウエハWの中心WOは、載置部24の中心Cを中心とする半径lの円Rの内側に入ることとなる。すなわち、この場合、ウエハWは載置部24に収まっていることとなり、ウエハWの位置は所定の範囲内にあると判定される。
【0060】
距離dが所定の範囲内にある場合(ステップS508:YES)、制御部104aから成膜装置200に対してウエハWの搬入が終了したかどうかが問い合わされ(ステップS509)、残りのウエハWがあるとの情報を得た場合には、ステップS501へ戻る。すなわち、成膜装置200のサセプタ2が回転し、次の載置部24が撮像位置に移動されて、この後、この載置部24と、この載置部24に載置されるウエハWとに対して上記の一連の動作が行われる。
【0061】
また、距離dが所定の範囲内にないと判定された場合は(ステップS508:NO)、制御部104aからアラームが発せられ、制御部104aから成膜装置200に対して動作の中止を求める信号が送信され(ステップS510)、これにより成膜装置200が待機状態となる。この場合、成膜装置200の操作者により、所定の手順に従って、所定の位置にないと判定されたウエハWを所定の位置に載置するといった手動作業が行われる。
【0062】
ステップS509において、残りのウエハWがない、すなわち、すべての(5枚の)ウエハWが所定の位置にあると判定されると(ステップS509:NO)、成膜装置200における成膜が開始される(ステップS511)。
【0063】
具体的には、真空容器1内が図示しない排気システムにより排気されると共に、分離ガスノズル41,42、分離ガス供給管51、パージガス供給管72,73からNガスが供給され、図示しない圧力調整器によって真空容器1内の圧力が予め設定した圧力に維持される。次いで、サセプタ2が上から見て時計回りに回転を開始する。サセプタ2は、ヒータユニット7により前もって所定の温度(例えば300℃)に加熱されており、ウエハWがサセプタ2に載置されることで加熱される。ウエハWが加熱され、所定の温度に維持された後、BTBASガスが反応ガスノズル31を通して第1の領域481へ供給され、Oガスが反応ガスノズル32を通して第2の領域482へ供給される。
【0064】
ウエハWが反応ガスノズル31の下方を通過するときに、ウエハWの表面にBTBAS分子が吸着し、反応ガスノズル32の下方を通過するときに、ウエハWの表面にO分子が吸着され、OによりBTBAS分子が酸化される。したがって、サセプタ2の回転によってウエハWが第1の領域481および第2の領域482の両方を一回通過すると、ウエハWの表面に酸化シリコンの一分子層(又は2以上の分子層)が形成される。これが繰り返され、所定の膜厚を有する酸化シリコン膜がウエハWの表面に堆積される。所定の膜厚を有する酸化シリコン膜が堆積された後、BTBASガスとOガスの供給を停止し、サセプタ2の回転を停止する。そして、ウエハWは搬入動作と逆の動作により、搬送アーム10Aにより真空容器1から搬出され、成膜が終了する。
【0065】
以上、本発明の実施形態による基板位置検出方法を含む成膜方法によれば、真空容器1の容器本体12の底部に形成された2つのチャンバマーク120aにより、X−Y座標が画定され、これに対して、サセプタ2に形成された2つのサセプタマーク2aから得られる、サセプタ2(載置部24)のX−Y座標に対する角度ずれに基づいて、載置部24の位置が検出される。チャンバマーク120aにより定まるX−Y座標を基準とするため、基板位置検出装置101(カメラ104)は、成膜装置200の真空容器1に対して高い精度で位置決めされる必要がない。基板位置検出装置101のカメラ104により、サセプタマーク2a、チャンバマーク120a、およびサセプタ2のエッジの周辺領域が観察される程度の精度で位置決めされればよい。したがって、真空容器1のメンテナンス等の後に、比較的長い時間をかけて基板位置検出装置101を高い精度で位置決めする必要がなく、よって、成膜装置200の利用効率を高くすることができる。
【0066】
また、2つのチャンバマーク120aおよび2つのサセプタマーク2aを利用して、載置部24の位置検出を行うため、位置ずれを角度で求めることができる。したがって、駆動部23がたとえばパルスモータなどで構成される場合には、ステップS502で得られた角度θMに応じて、駆動部23にパルス信号を供給することにより、サセプタ2の位置を修正することも可能となる。もっとも、ステップS503において、角度θMでなく、たとえば上述の垂線Ny(すなわち長さずれ)に基づいて位置判定を行っても良い。
【0067】
また、本発明の実施形態による基板位置検出装置101によれば、パネル106は上述の通り白色顔料が塗布されたアクリル板で作製されているため、パネル106の下面(ウエハWを望む面)に対して光源108から光を照射すると、パネル106の全体がほぼ一様に白色に発光することとなる。このとき、パネル106の下方に配置されるウエハWは、ほぼ一様に白色に発光するパネル106に照らされるため、または、このように発光するパネル106が映るため、一様に白色に見える。したがって、カメラ104により撮影される画像においても、ウエハWのエッジを含む領域が一様に光って見える。一方、ウエハWが載置されるサセプタ2は、カーボンやSiCコートカーボンから作製されることもあって、パネル106からの光に照らされても黒く見える。したがって、ウエハWとサセプタ2との間に大きなコントラストが生じる。また、パネル106から、光が種々の方向からウエハWおよびサセプタ2に到達するため、ウエハWや載置部24による影が生じにくい。したがって、ウエハWのエッジは明瞭に認識され、検出誤差の低減が防止される。
【0068】
また、パネル106が全面で一様に発光しているため、ウエハWのエッジ(ベベル部)からの強い反射が無く、エッジからの反射光に伴う検出誤差を低減することができる。さらに、ウエハ表面からの強い反射光もなく、カメラ104においてフレアなどが発生することもないため、ウエハWのエッジを明瞭に認識することが可能となる。
【0069】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による基板位置検出方法について、図11から図15までを参照しながら説明する。本実施形態による基板位置検出方法は、上述の第2の実施形態による成膜方法における基板位置検出方法の代わりに、その成膜方法において実施することができる。
図11を参照すると、本実施形態による基板位置検出方法におけるステップS101及びS102までは、上述のステップS501及びS502と同様である。そのため、重複する説明は省略する。
【0070】
ステップ103において、載置部24が第1の範囲にあるかが判定される。ここで、第1の範囲は、例えば図3に示すリフトピン16aがプッシャ2Pを支持可能な範囲であって良い。判定の結果、載置部24が第1の範囲にないと判定されると(ステップS103:NO)、基板検出装置101の制御部104aから、第1の範囲にないことを示すアラームが発され、かつ/又は、制御部104aから成膜装置200に対して、成膜装置200を停止すべきことを示す信号が送信され、これにより、成膜装置200が停止される。これに応じて、たとえば成膜装置200の操作者が手作業でサセプタ2の位置を修正することができる。また、成膜装置200の駆動部23によりサセプタ2を回転させて載置部24の位置を修正することができる(ステップS104)。
【0071】
ステップS103における判定の結果、載置部24が第1の範囲にあると判定された場合は、次いで、載置部24が第2の範囲にあるかが判定される(ステップS201)。第2の範囲は、第1の範囲よりも狭く設定される。載置部24が第2の範囲にあると判定された場合には(ステップS201:YES)、続けて、ステップS105からS111までのステップが行われる。ステップS105からS111までは、図5を参照しながら説明した、それぞれステップS505からS511までに対応しているため、重複する説明を省略する。
【0072】
ステップS201において、載置部24が第2の範囲にないと判定された場合には(ステップS201:NO)、搬送アーム10Aが真空容器1(図2)内に進入し、図13に示すように、ウエハWを載置部24の上方に保持する(ステップS202)。次に、基板位置検出装置101によって、搬送アーム10Aにより載置部24の上方に保持されるウエハWのエッジが撮像され(ステップS202)、上述のステップS507(図5)において行ったのと同様の方法により、ウエハWの中心位置WOが推定される(ステップS203)。ただし、図5のステップS506及びS507ではウエハWが載置部24に載置されていたのとは異なり、ステップS203及びS204においては、ウエハWは、載置部24よりも高い高さhwに保持されているため、高さ補正を行うことにより、載置部24にウエハWが載置されたときのウエハWの位置を推定する必要がある。(高さ補正をしない場合には、ウエハWのエッジが図13に示す点Eに位置するように認識されるため、エッジ検出による、ウエハWの中心位置WOの推定にエラーが生じ得る。)
具体的には、図13に示すように、カメラ104の真下に位置するウエハW上の点に対応する画素と、ウエハWのエッジ上の任意の点に対応する画素との距離を求め、ウエハWの高さhwにおける換算係数(CCD上の画素間の距離に対する、高さhwにおけるウエハW上の実際の寸法の比)を用いて、対応するウエハW上の距離nを求める。この距離nは、高さhwにおいても載置部24においても等しいため、載置部24に載置されたウエハWにおける、カメラ104の真下からの距離nに対応する画素は、ウエハWが載置部24に載置されているときの換算係数CFを用いた計算により求めることができる。このようにして、搬送アーム10Aにより保持されるウエハWのエッジ位置から、載置部24におけるエッジ位置が求められる。
【0073】
または、搬送アーム10Aにより保持されるウエハWの載置部24からの高さhwに対して、これよりも小さいΔhwに相当する距離だけ、搬送アーム10Aにより保持されるウエハWをリフトピン16a及びプッシャ2Pにより上下方向に移動しながら、ウエハWのエッジ上の任意の点の画素上での移動距離を求めても良い。Δhwの変動の間に移動した(水平方向)距離に基づいて、hwだけ移動したとき(ウエハWを載置部24に載置したとき)のウエハWのエッジの位置を推定することができる。
【0074】
以上の高さ補正を行うことにより得た、ウエハWの載置部24におけるエッジ位置に基づいてエッジ検出を行い(上では1点のみを説明したが、エッジ上の複数の点について行われる)、ウエハWを載置部24に載置したときのウエハWの中心位置WOが求められる(ステップS204)。次いで、このようにして得られた中心位置WOと、載置部24の中心Cとの偏差Dwcが求められる(ステップS205)。ここで、載置部24の中心Cは、ステップS102において得られた画像に基づいて求めることができる。この後、ステップS206において、偏差Dwcを相殺するように搬送アーム10Aの位置が補正される。
【0075】
なお、搬送アーム10Aには、図2に示すように、搬送アーム10AをX軸方向(図7及び8を参照)に移動するX軸方向駆動部10Xと、搬送アーム10AをY軸方向(図7及び8を参照)に移動するY軸方向駆動部10Yとが設けられており、上記の偏差DwcをDwc(ΔX,ΔY)と表した場合に、搬送アーム10Aを、X軸方向駆動部10XによりΔXだけ移動し、Y軸方向駆動部10YによりΔYだけ移動することにより、搬送アーム10Aの位置補正を行うことができる。また、X軸方向駆動部10X(又はY軸方向駆動部10Y)は、例えばモータ、エンコーダ、及びパルスカウンタ(いずれも図示せず)を有し、これらにより、搬送アーム10AをΔX(又はΔY)だけ移動させることが可能である。また、上述のウエハWの中心位置WOの推定、偏差Dwcの算出、搬送アーム10Aの移動等は、制御部100により行われる。
【0076】
次いで、搬送アーム10Aからプッシャ2P(図3)へウエハWが受け渡され、載置部24へ載置される。この後、載置部24へ載置されるべきウエハWがあるかが判定される(図11:ステップS109)。残りのウエハWがある場合には(ステップS109:YES)、ステップS101へ戻る。すなわち、成膜装置200のサセプタ2が回転し、次の載置部24が撮像位置に移動されて、この後、この載置部24と、この載置部24に載置されるウエハWとに対して上記の一連の動作が行われる。また、ステップS109において、残りのウエハWがない、すなわち、すべての(5枚の)ウエハWが所定の位置にあると判定されると(ステップS109:NO)、成膜装置200における成膜が開始される(ステップS111)。
【0077】
本実施形態においては、載置部24が第1の範囲にはあるが、第2の範囲にない場合(ステップS201:NO)において、搬送アーム10Aにより載置部24の上方に保持されるウエハWに基づいて、そのウエハWが載置部24に載置したときの中心位置WOが推定される。そして、載置部24の中心CとウエハWの中心位置WOとの間の偏差が求められ、この偏差を相殺するように搬送アーム10Aの位置が調整され、ウエハWが載置部24へ載置される。搬送アーム10AによってウエハWの中心位置WOが載置部24の中心Cに合致するように調整されるため、ウエハWをより高い精度で載置部24に載置することが可能となる。
【0078】
サセプタ2の回転速度、反応ガスや分離ガスの供給量、及び成膜時における真空容器1内の圧力によっては、凹部としての載置部24の内周壁とウエハWのエッジとの間の隙間により、サセプタ2の上方を流れるガスに乱流やガス溜まりが生じる場合がある。乱流やガス溜まりが生じると、ウエハWの特に周縁部において、他の部分に比べて膜厚が変化したり、膜質が変化したりする可能性がある。これを防ぐための一つの方法として、載置部24の内径を、例えば303mmから305mmまでに小さくすることが考えられる。
【0079】
この場合には、ウエハWのエッジと載置部24の内周壁とが近接し、パネル106(図1)を用いてウエハWを間接的に照明したとしてもウエハWのエッジ検出にエラーが生じる可能性が高くなるおそれがある。その結果、ウエハWを載置部24に正しく載置するのが難しくなり、例えばウエハWが載置部24からはみ出し、傾いてしまう事態ともなり兼ねない。そうすると、このウエハWの位置を修正するのに長い時間がかかってしまう。本実施形態による基板位置検出方法は、特に載置部24の内径とウエハWの外径との差が小さい場合に、ウエハWを載置部24により精度良く載置できる点で有効である。
【0080】
また、ウエハWが載置部24に載置される前に、搬送アーム10AひいてはウエハWの位置が調整されるため、ウエハWを載置部24に載置した後に、載置部24内におけるウエハWの位置検出を不要とできるという利点がある。
【0081】
以上、幾つかの実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明は開示した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変更及び変形をすることができる。
【0082】
たとえば、本発明の実施形態による基板位置検出装置は、ALD装置としての成膜装置200に取り付けられていたが、これに限らず、他の枚様式の成膜装置に適用されても良い。また、本発明の実施形態による基板位置検出装置は、エッチング装置やスパッタ装置を始めとする種々の半導体製造装置に適用することができる。
【0083】
また、載置部24の位置検出の際(ステップS502)には、基板位置検出装置101の光源108を下方に向けてサセプタ2を直接に照明しても良い。このときには、載置部24にはウエハが載置されていないため、ウエハからの反射光の影響がない。このため、光源108から直接に光を照射することにより、サセプタマーク2aを検出しやすくなるという利点がある。
【0084】
上述の基板位置検出装置101において、光源108は、パネル106と窓102aの間に配置されていたが、図10に示すように、パネル106の上方において筐体102の内壁に光源109を取り付け、光源109からパネル106の上面(カメラ104に望む面)に光を照射しても良い。光源109は、光源108と同様に白色LEDを含んでいる。この場合であっても、パネル106は光散乱性を有しているため、照射光は、パネル106内を透過する際に種々の角度に散乱され、パネルの両面の間での多重反射も生じることもあって、パネル106の全面がほぼ同一の光強度で発光することとなる。したがって、本発明の実施形態による基板位置検出装置の効果が発揮される。なお、図10に示すように、光源109だけでなく、パネル106と窓102aとの間の光源108も設けておいて良い。サセプタ2(載置部24)の位置検出の際には、この光源108によりウエハWに光を直接に照射しても良い。
【0085】
パネル106は、上記に実施形態においては、白色顔料が塗布された乳白色のアクリル板で作製されたが、これに限らず、パネル106によりウエハWが一様に光って見える限り種々の材料から作製して良い。例えば、パネル106は、シリカ粒子やシリコーンポリマー粒子などの光散乱粒子を含む樹脂により作製して良く、表面が粗面化された樹脂板又はガラス板で作製しても良い。勿論、透明な樹脂板やガラス板からパネル106を作製し、一面又は両面を粗面化しても良い。粗面化は、例えばサンドブラスト、砥石等を用いる機械的研削、又はエッチングにより行うことができる。また、表面にマイクロレンズアレイが形成された樹脂板やガラス板からパネル106を形成しても良い。
【0086】
また、パネル106は平板である必要はなく、カメラ104にウエハWおよびその周辺を撮像させる開口部106aを有する限り、ドーム状、円錐台状、又は角錐台状(上下の向きを問わず)であっても良い。
【0087】
また、上述の第3の実施形態を以下のように変形することも可能である。ステップS103において載置部24が第1の範囲にあると判定された場合に(ステップS103:YES)、載置部24が第2の範囲にあると判定することなく、ステップS201へ進み、ステップS207の後に、ステップS109へ戻るようにしても良い。このようにしても、搬送アーム10Aの位置調整により、ウエハWを載置部24に位置ずれなく載置することができる。
【0088】
本発明の実施形態による成膜装置200は、酸化シリコン膜の成膜に限らず、窒化シリコンの分子層成膜にも適用することができる。また、トリメチルアルミニウム(TMA)とOガスを用いた酸化アルミニウム(Al)の分子層成膜、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZr)とOガスを用いた酸化ジルコニウム(ZrO)の分子層成膜、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)とOガスを用いた酸化ハフニウム(HfO)の分子層成膜、ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト(Sr(THD))とOガスを用いた酸化ストロンチウム(SrO)の分子層成膜、チタニウムメチルペンタンジオナトビステトラメチルヘプタンジオナト(Ti(MPD)(THD))とOガスを用いた酸化チタン(TiO)の分子層成膜などを行うことができる。また、Oガスではなく、酸素プラズマを利用することも可能である。これらのガスの組み合わせを用いても、上述の効果が奏されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0089】
W・・・ウエハ、1・・・真空容器、2・・・サセプタ、10A・・・搬送アーム、16a・・・リフトピン、18・・・ウエハガイドリング、2P・・・プッシャ、21・・・コア部、24・・・載置部、31,32・・・反応ガスノズル、481・・・第1の領域、482・・・第2の領域、H・・・分離空間、41,42・・・分離ガスノズル、4・・・凸状部、51・・・分離ガス供給管、61,62・・・排気口、7・・・ヒータユニット、72,73・・・パージガス供給管、101・・・基板検出装置、104・・・カメラ、106・・・パネル、108・・・光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して所定の処理を行う処理容器と、処理容器内に回転可能に収容され、位置検出対象である基板が載置される基板載置部が形成されるサセプタとを備える半導体製造装置において行われる、基板載置位置を検出する位置検出方法であって、
前記サセプタを動かして前記基板載置部を撮像装置の撮像領域に位置させる工程と、
前記処理容器内において前記撮像装置の撮像領域内に位置するように設けられる2つの第1の位置検出マークであって、該2つの第1の位置検出マークの第1の垂直二等分線が前記サセプタの回転中心を通るように設けられる当該2つの第1の位置検出マークを検出する工程と、
前記サセプタにおいて前記基板載置部に対して設けられる2つの第2の位置検出マークであって、該2つの第2の位置検出マークの第2の垂直二等分線が前記サセプタの回転中心と前記基板載置部の中心とを通るように設けられる当該2つの第2の位置検出マークを検出する工程と、
検出された前記2つの第1の位置検出マークおよび前記2つの第2の位置検出マークに基づいて前記基板載置部が所定の範囲に位置するかを判定する工程と
を含む、位置検出方法。
【請求項2】
前記第1の位置検出マークを検出する工程において、前記第1の垂直二等分線が特定され、
前記第2の位置検出マークを検出する工程において、前記第2の垂直二等分線が特定され、
前記判定する工程において、前記第1の垂直二等分線と前記第2の垂直二等分線とのなす角に基づいて前記基板載置部が所定の範囲に位置するかが判定される、請求項1に記載の位置検出方法。
【請求項3】
前記判定する工程により、前記基板載置部が所定の範囲に位置していると判定された場合に、
前記基板載置部に基板を載置する工程と、
前記基板および前記基板載置部を含む領域を撮像する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記基板の位置を推定する工程と、
検出された前記第2の位置検出マークから求まる前記基板載置部の位置と前記基板の位置とから、前記基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程と
が行われる、請求項1または2に記載の位置検出方法。
【請求項4】
前記撮像する工程に先だつ、前記基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程を更に含み、
前記撮像する工程において、前記開口部を通して、前記光が照射される前記パネル部材により照らされる、前記基板及び前記基板載置部を含む領域が撮像される、請求項3に記載の位置検出方法。
【請求項5】
前記判定する工程により、前記基板載置部が所定の範囲に位置していると判定されない場合に、警報信号を発する工程を更に含む、請求項1に記載の位置検出方法。
【請求項6】
前記基板の位置を推定する工程が、前記基板載置部に載置された前記基板の端部を認識する工程を含む、請求項3又は4に記載の位置検出方法。
【請求項7】
前記判定する工程により、前記基板載置部が所定の範囲に位置していると判定された場合に、
前記基板載置部の中心を推定する工程と、
前記基板を搬送する基板搬送部を用いて前記基板を前記基板載置部の上方に保持する工程と、
前記基板載置部の上方に保持される前記基板を含む領域を撮像する工程と、
前記領域の画像に基づいて、前記基板が前記基板載置部に載置されたときの当該基板の中心位置を推定する工程と、
前記基板載置部の中心と、推定された前記基板の中心位置との偏差を求める工程と、
前記基板搬送部を移動して前記偏差を相殺する工程と、
が行われる、請求項1に記載の位置検出方法。
【請求項8】
基板に対して所定の処理を行う処理容器と、処理容器内に回転可能に収容され、位置検出対象である基板が載置される基板載置部が形成されるサセプタとを備える半導体製造装置に用いられる、基板の位置を検出する位置検出装置であって、
前記処理容器内において撮像装置の撮像領域内に収まるように設けられる2つの第1の位置検出マークであって、該2つの第1の位置検出マークの第1の垂直二等分線が前記サセプタの回転中心を通るように設けられる当該2つの第1の位置検出マークと、
前記サセプタにおいて前記基板載置部に対して設けられる2つの第2の位置検出マークであって、該2つの第2の位置検出マークの前記垂直二等分線が前記サセプタの回転中心と前記基板載置部の中心とを通るように設けられる当該2つの第2の位置検出マークと、
前記基板載置部の周縁領域とを含む領域を撮像する撮像部、および
前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記第1の垂直二等分線および前記第2の垂直二等分線を特定し、特定した前記第1の垂直二等分線および前記第2の垂直二等分線に基づいて、前記基板載置部の位置が所定の範囲内にあるかを判定する制御部
を備える、位置検出装置。
【請求項9】
容器内にて、互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板に供給するサイクルを実行して反応生成物の層を当該基板上に生成することにより膜を堆積する成膜装置であって、
前記容器に回転可能に設けられたサセプタと、
前記サセプタの一の面に設けられ、前記基板が載置される載置部と、
前記載置部に載置される前記基板の位置を検出する、請求項8に記載される基板位置検出装置と、
前記一の面に第1の反応ガスを供給するよう構成された第1の反応ガス供給部と、
前記サセプタの回転方向に沿って前記第1の反応ガス供給部から離れた、前記一の面に第2の反応ガスを供給するよう構成された第2の反応ガス供給部と、
前記回転方向に沿って、前記第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と前記第2の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置し、前記第1の処理領域と前記第2の処理領域とを分離する分離領域と、
前記第1の処理領域と前記第2の処理領域とを分離するために、前記容器の中央に位置し、前記一の面に沿って第1の分離ガスを吐出する吐出孔を有する中央領域と、
前記容器を排気するために前記容器に設けられた排気口と、
を備え、
前記分離領域が、第2の分離ガスを供給する分離ガス供給部と、前記第2の分離ガスが前記回転方向に対し前記分離領域から前記処理領域側へ流れることができる狭隘な空間を、前記サセプタの前記一の面に対して形成する天井面と
を含む成膜装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−94814(P2012−94814A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151081(P2011−151081)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】