説明

基板処理方法

【課題】酸化膜中への窒素の導入を促し、酸化膜の誘電率や信頼性を向上させることが可能な基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板上に形成された酸化膜401を第1の処理部により窒化する第1の工程と、窒化された酸化膜401n上に第2の処理部によりシリコン酸化膜402を形成する第2の工程と、シリコン酸化膜402を第1の処理部により窒化402nする第3の工程と、を有し、第1の工程を実施した後、第2の工程と第3の工程とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する工程を有する基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に形成した酸化膜の誘電率を向上させたり、不純物拡散や酸化に対する該酸化膜の信頼性を向上させたりする目的で、該酸化膜中に窒素を導入して窒化させる基板処理工程が、基板処理工程の一工程として行われてきた。例えば、酸化膜を窒化させることで、Poly−Si電極に添加したボロンが酸化膜を突き抜けてしまう現象を抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
酸化膜を窒化させる第1の方法として、シリコン(Si)からなる基板を酸素(O)含有雰囲気中にて加熱し、該基板表面に例えば50Åのシリコン酸化膜(SiO膜)を形成した後、該基板を酸化窒素(NO)ガス雰囲気中にて加熱する方法が行われていた。しかしながら、かかる方法では、基板とシリコン酸化膜との界面にしか窒素を導入できず、酸化膜の誘電率や信頼性を十分に増大させることは困難であった。
【0004】
また、酸化膜を窒化させる第2の方法として、上記と同様に基板表面に例えば50Åのシリコン酸化膜を形成した後、窒素を含有するガスプラズマによりシリコン酸化膜を窒化処理し、その後に該基板をNOガス雰囲気中にて加熱する方法が行われていた。係る方法によれば、基板とシリコン酸化膜との界面だけでなく、シリコン酸化膜の表面にも窒素を導入できる。しかしながら、係る方法においても、シリコン酸化膜の中心部(バルク)中に窒素を導入することは困難であった。そのため、次世代の製造プロセス(例えば30nmプロセス)に要求されるような誘電率や耐久性の向上を実現することが困難であった。
【0005】
また第3の方法として、例えば窒化珪素(Si)ガスを用いたLP−CVD(Low Pressure−Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法により、窒素を含有する酸化膜をシリコンウエハ上に直接に形成する方法が行われていた。しかしながら、係る方法では、形成した膜中における欠陥や不純物が増加してしまい、膜の信頼性が損なわれてしまう場合があった。
【0006】
本発明は、酸化膜中への窒素の導入を促し、酸化膜の誘電率や信頼性を向上させることが可能な基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板上に形成された酸化膜を第1の処理部により窒化する第1の工程と、窒化された前記酸化膜上に第2の処理部によりシリコン酸化膜を形成する第2の工程と、前記シリコン酸化膜を前記第1の処理部により窒化する第3の工程と、を有し、前記第1の工程を実施した後、前記第2の工程と前記第3の工程とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る基板処理方法によれば、酸化膜中への窒素の導入を促し、酸化膜の誘電率や信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る第1の工程及び第3の工程で用いられるMMT装置を例示する断面概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る第2の工程で用いられる縦型処理炉を例示する断面概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る基板処理工程を実施することでウエハ上に窒素を含有する酸化膜が形成される様子を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る基板処理工程のフローを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
本実施形態に係る基板処理工程は、基板上に形成された酸化膜を窒化する第1の工程と、窒化された前記酸化膜上にシリコン酸化膜を形成する第2の工程と、前記シリコン酸化膜を窒化する第3の工程と、を有している。そして、前記第1の工程を実施した後、前記第2の工程と前記第3の工程とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する。
【0011】
上述の第1の工程及び第3の工程は、図1に例示する第1の処理部としてのMMT装置100により実施される。また、上述の第2の工程は、図2に例示する第2の処理部としての縦型処理炉200により実施される。以下では、基板処理工程の説明に先立ち、MMT装置100及び縦型処理炉200の構成について順に説明する。
【0012】
(1)MMT装置100の構成
図1に、第1の工程及び第3の工程を実施する第1の処理部としてのMMT装置100の断面概略図を示す。MMT装置100は、変形マグネトロン型プラズマ処理装置(Modified Magnetron Typed Processing System)として構成されており、電界と磁界とにより生成したプラズマにより活性化した酸素含有ガスや窒素含有ガスにより、基板としてのウエハ300の表面等を酸化させたり、窒化させたりするように構成されている。
【0013】
図1に示すように、MMT装置100は処理容器103を備えている。処理容器103は、第1の容器であるドーム型の上側容器110と、第2の容器である碗型の下側容器111と、を備えている。上側容器110が下側容器111の上に被せられることにより、処理容器103が構成される。処理容器103内には、基板としてのウエハ300を収容する処理室としてのプラズマ処理室101が構成されている。上側容器110は、例えば酸化アルミニウム又は石英等の非金属材料により構成されており、下側容器111は、例えばアルミニウムにより構成されている。
【0014】
プラズマ処理室101内の底側中央には、ウエハ300を保持する基板保持手段としてのサセプタ117が配置されている。サセプタ117は、ウエハ300上に形成する膜の金属汚染を低減することが出来るよう、例えば、窒化アルミニウムやセラミックス、又は石英等の非金属材料により構成されている。
【0015】
サセプタ117の内部には、第1の加熱部としてのヒータ(図中省略)が一体的に埋め込まれている。係るヒータは、サセプタ117上に載置されたウエハ300を加熱するように構成されている。ヒータに電力を供給することで、ウエハ300の温度を所定の温度(例えば350℃〜700℃)に昇温できるように構成されている。
【0016】
処理容器103(上側容器110)の天井部には、透光性を有する光透過性窓部178が設けられている。光透過性窓部178の上方であってプラズマ処理室101の外側には、第2の加熱部としてのランプ加熱ユニット(光源)180が設けられている。ランプ加
熱ユニット180から放射される熱線は、光透過性窓部178を介してサセプタ117上に(ウエハ300上に)照射されるように構成されている。ランプ加熱ユニット180は、第1の加熱部としてのヒータとは実質的に反対側からウエハ300を加熱するように構成されている。
【0017】
サセプタ117は、下側容器111とは電気的に絶縁されている。サセプタ117の内部には、インピーダンスを変化させる電極としての第2の電極(図中省略)が装備されている。この第2の電極は、インピーダンス可変手段174を介して接地されている。インピーダンス可変手段174は、コイルや可変コンデンサから構成されており、コイルのパターン数や可変コンデンサの容量値を制御することにより、第2の電極(図中省略)及びサセプタ117を介して、ウエハ300の電位を制御できるように構成されている。
【0018】
サセプタ117には、サセプタ117を昇降させるサセプタ昇降手段168が設けられている。サセプタ117には、貫通孔117aが設けられている。一方、前述の下側容器111底面には、ウエハ300を突上げるウエハ突上げピン166が、少なくとも3箇所設けられている。サセプタ昇降手段168によりサセプタ117が下降させられた時には、ウエハ突上げピン166がサセプタ117とは非接触な状態で貫通孔117aを突き抜けるように構成されている。
【0019】
下側容器111の側壁には、仕切弁としてのゲートバルブ144が設けられている。ゲートバルブ144を開けることにより、搬送手段(図中省略)を用いてプラズマ処理室101内外にウエハ300を搬送することができるように構成されている。ゲートバルブ144を閉めることにより、プラズマ処理室101を気密に封止することができるよう構成されている。
【0020】
プラズマ処理室101の上部には、プラズマ処理室101内へ反応ガスや不活性ガスを供給するシャワーヘッド136が設けられている。シャワーヘッド136は、キャップ状の蓋体133、ガス導入口134、バッファ室137、開口138、遮蔽プレート140、及びガス吹出口139を備えている。ガス導入口134には、ガス供給管132が接続されている。ガス供給管132には、処理ガス130や不活性ガスを供給する図示しないガス供給源、マスフローコントローラ141、バルブ143aが設けられている。バッファ室137は、ガス導入口134より導入される処理ガスや不活性ガスを分散してプラズマ処理室101内へ供給する分散空間として機能する。
【0021】
後述するウエハ表面の酸化工程(S10)においては、プラズマ励起用ガスとしてのクリプトン(Kr)ガス、酸素含有ガスとしての酸素(O)ガスが、ガス導入口134からプラズマ処理室101内に供給されるように構成されている。また、第1の工程(S20)及び第3の工程(S40)においては、プラズマ励起用ガスとしてのKrガス、及び窒素含有ガスとしてのNOガスやNOガスが、ガス導入口134からプラズマ処理室101内に供給されるように構成されている。また、プラズマ処理室101内のガス置換を行う際には、Nガス等の不活性ガスが、ガス導入口134からプラズマ処理室101内に供給されるように構成されている。
【0022】
下側容器111の側壁下方にはガス排気口135が設けられている。ガス排気口135には、ガス排気管131が接続されている。ガス排気管131には、圧力調整器であるAPC142、開閉弁であるバルブ143b、排気装置である真空ポンプ146が、上流から順に接続されている。主に、ガス排気管131、APC142、バルブ143b、及び真空ポンプ146により、プラズマ処理室101内のガスを排気するガス排気ラインが構成されている。真空ポンプ146を作動させ、バルブ143bを開けることにより、プラズマ処理室101内を排気することが可能なように構成されている。また、APC142
の開度を調整することにより、プラズマ処理室101内の圧力値を調整自在に構成されている。
【0023】
処理容器103(上側容器110)の外周には、プラズマ処理室101内のプラズマ生成領域224を囲うように、第1の電極としての筒状電極115が設けられている。筒状電極115は、筒状、例えば円筒状に形成されている。筒状電極115には、インピーダンスの整合を行う整合器172を介して、高周波電力を発生する高周波電源173が接続されている。
【0024】
また、筒状電極115の外側表面の上下端側には、上部磁石116a及び下部磁石116bがそれぞれ取り付けられている。上部磁石116a及び下部磁石116bは、筒状、例えばリング状に形成された永久磁石によりそれぞれ構成されている。上部磁石116a及び下部磁石116bは、プラズマ処理室101の半径方向に沿った両端(すなわち、各磁石の内周端と外周端)にそれぞれ磁極を有している。そして、上部磁石116a及び下部磁石116bの磁極の向きは、互いに逆向きになるよう配置されている。すなわち、上部磁石116a及び下部磁石116bの内周部の磁極同士は異極となっている。これにより、筒状電極115の内側表面に沿って、円筒軸方向の磁力線が形成される。
【0025】
主に、筒状電極115、整合器172、高周波電源173、上部磁石116a、下部磁石116bにより、プラズマ発生機構が構成される。なお、筒状電極115、上部磁石116a、及び下部磁石116bの周囲には、これらが形成する電磁界が外部環境や他処理炉等の装置に悪影響を及ぼさないように、電磁界を有効に遮蔽する遮蔽板123が設けられている。
【0026】
プラズマ処理室101内に例えばKrガスとOガスとを導入した後、筒状電極115に高周波電力を供給することにより、筒状電極115からの電界、及び筒状磁石216a,216bからの磁界の影響を受けて、プラズマ処理室101内にマグネトロン放電が発生するように構成されている。そして、ウエハ300の上方空間に電荷がトラップされ、プラズマ生成領域224に高密度プラズマが生成されるように構成されている。そして、プラズマにより活性されたOガスや原子状酸素(O)がウエハ300上に供給されると、ウエハ300の表面に酸化膜が形成されるように構成されている。
【0027】
同様に、プラズマ処理室101内に例えばKrガスとNOガスとを導入した後、筒状電極115に高周波電力を供給することにより、筒状電極115からの電界、及び筒状磁石216a,216bからの磁界の影響を受けて、プラズマ処理室101内にマグネトロン放電が発生するように構成されている。そして、ウエハ300の上方空間に電荷がトラップされ、プラズマ生成領域224に高密度プラズマが生成されるように構成されている。そして、プラズマにより活性されたNOガスや原子状窒素(N)がウエハ300上に供給され、ウエハ300の表面に形成されている酸化膜中に窒素が導入され、該酸化膜が窒化されるように構成されている。
【0028】
制御手段としてのコントローラ121は、信号線Aを通じてAPC142、バルブ143b、及び真空ポンプ146を、信号線Bを通じてサセプタ昇降手段168を、信号線Cを通じてゲートバルブ144を、信号線Dを通じて整合器172、及び高周波電源173を、信号線Eを通じてマスフローコントローラ141、バルブ143aを、信号線Fを通じてランプ加熱ユニット180を、さらに図示しない信号線を通じてサセプタに埋め込まれたヒータやインピーダンス可変手段174を、それぞれ制御するように構成されている。
【0029】
(2)縦型処理炉200の構成
図2に、上述の第2の工程を実施する第2の処理部としての縦型処理炉200の断面概略図を示す。縦型処理炉200は、基板としてのウエハ300の表面に処理ガスを供給し、CVD法やALD法により、ウエハ300上に例えばシリコン酸化膜(SiO膜)等の薄膜を形成することが可能なように構成されている。
【0030】
図2に示すように、縦型処理炉200は、反応管203とマニホールド209とを有している。反応管203は、例えば石英(SiO)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性を有する非金属材料から構成され、上端部が閉塞され、下端部が開放された円筒形状に構成されている。マニホールド209は、例えばSUS等の金属材料から構成され、上端部及び下端部が開放された円筒形状に構成されている。反応管203は、マニホールド209により下端部側から縦向きに支持されている。反応管203とマニホールド209とは、同心円状に配置されている。マニホールド209の下端部は、上述したボートエレベータ215が上昇した際に、シールキャップ219により気密に封止されるように構成されている。マニホールド209の下端部とシールキャップ219との間には、成膜室201内を気密に封止するOリングなどの封止部材220aが設けられている。
【0031】
反応管203及びマニホールド209の内部には、基板としてのウエハ300を複数積層して収容する処理室としての成膜室201が形成されている。成膜室201内には、基板支持手段としてのボート217が下方から挿入されるように構成されている。反応管203及びマニホールド209の内径は、ウエハ300を装填したボート217の最大外径よりも大きくなるように構成されている。
【0032】
ボート217は、複数枚(例えば75枚から100枚)のウエハ300を、略水平状態で所定の隙間(基板ピッチ間隔)をもって多段に保持するように構成されている。ボート217は、ボート217からの熱伝導を遮断する断熱キャップ218上に搭載されている。断熱キャップ218は、回転軸255により下方から支持されている。回転軸255は、成膜室201内の気密を保持しつつ、シールキャップ219の中心部を貫通するように設けられている。シールキャップ219の下方には、回転軸255を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267により回転軸255を回転させることにより、成膜室201内の気密を保持したまま、複数のウエハ300を搭載したボート217を回転させることが出来るように構成されている。
【0033】
反応管203の外周には、反応管203と同心円状に加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207が設けられている。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0034】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の成膜室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持しており、回転機構267を作動させることでウエハ300を回転させることが可能なように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に配置された昇降機構としてのボートエレベータ215によって、垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を成膜室201内外に搬送することが可能となっている。
【0035】
(ガス供給手段)
縦型処理炉200は、成膜室201内にウエハ300の積層方向に沿って立設され、複数のガス供給口250aを有し、液体原料としてのTDMASを気化させて得られる第1の処理ガス(気化ガス)としてのTDMAS(SiH[N(CH;トリスジメチルアミノシラン)ガスを供給する気化ガス供給ノズル250を備えている。また、縦型処理炉200は、気化ガス供給ノズル250と隣接して立設され、複数のガス供給口251aを有し、第2の処理ガス(反応ガス)としてのオゾン(O)ガスを供給する反応ガス供給ノズル251と、を備えている。
【0036】
気化ガス供給ノズル250及び反応ガス供給ノズル251は、垂直部と水平部とを有するL字形状にそれぞれ構成されている。気化ガス供給ノズル250及び反応ガス供給ノズル251の垂直部は、反応管203の内壁を沿うように鉛直方向にそれぞれ配設されている。気化ガス供給ノズル250及び反応ガス供給ノズル251の水平部は、マニホールド209の側壁をそれぞれ貫通するように設けられている。
【0037】
気化ガス供給ノズル250及び反応ガス供給ノズル251の垂直部側面には、複数のガス供給口250a,251aが鉛直方向に配列するようにそれぞれ設けられている。ガス供給口250a,251aは、積層されたウエハ300の間にそれぞれ開口するように構成されている。ガス供給口250a,251aは、成膜室201内の略中心(成膜室201内に搬入されたウエハ300の略中心)を向くようにそれぞれ構成されており、ガス供給口250a,251aから供給されるガスは、それぞれ成膜室201内の略中心に向けて噴射されるように構成されている。ガス供給口250a,251aは、積層されたウエハ300の間に開口するように構成されている。なお、ガス供給口250a,251aの開口径は、それぞれ下部から上部にわたって同一であってもよく、下部から上部にわたって徐々に大きくされてもよい。
【0038】
気化ガス供給ノズル250の上流側端(水平端)には、第1の処理ガスとしてのTDMASガスを供給する気化ガス供給管241aが接続されている。気化ガス供給管241aには、液体原料としてのTDMASを貯留した原料タンク241tと、バルブ241cと、バルブ241dとが、上流側から順に設けられている。原料タンク241tには、Nガス等のバブリング用ガスを供給するバブリングガス供給管243aが接続されている。バブリングガス供給管243aの下流端は、原料タンク241t内に貯留されたTDMAS中に浸漬されている。バブリングガス供給管243aには、図示しないバブリングガス供給源、マスフローコントローラ243b、バルブ243cが上流側から順に設けられている。マスフローコントローラ243bにより流量調整しつつ、バルブ243cを開けることにより、原料タンク241t内にバブリング用ガスを供給してTDMASガスを発生させることが可能なように構成されている。そして、バルブ241c,241dを開けることにより、気化ガス供給ノズル250を介して成膜室201内にTDMASガスを供給することが可能なように構成されている。なお、バルブ241dを閉めた状態でバルブ241cを開け、所定時間経過した後にバルブ241dを開けることにより、バルブ241cとバルブ241dの間に蓄えられた高圧のTDMASガスを、成膜室201内に短時間で供給(フラッシュ供給)することが可能なように構成されている。
【0039】
反応ガス供給ノズル251の上流側端(水平端)には、第2の処理ガスとしてのオゾンガスを供給する反応ガス供給管242aが接続されている。反応ガス供給管242aには、オゾンガスを発生させるオゾナイザ242o、バルブ242c、マスフローコントローラ242d、バルブ242eが、上流側から順に設けられている。オゾナイザ242oには、酸素(O)ガスを供給する酸素ガス供給管244aが接続されている。酸素ガス供給管244aからオゾナイザ242oに酸素ガスが供給されると、オゾナイザ242oによりオゾンガスが生成されるように構成されている。そして、バルブ242c,242eを開けることにより、マスフローコントローラ242dにより流量制御しながら、反応ガ
ス供給ノズル251から成膜室201内にオゾンガスを供給可能なように構成されている。
【0040】
主に、気化ガス供給ノズル250、反応ガス供給ノズル251、ガス供給口250a,251a、気化ガス供給管241a、原料タンク241t、バルブ241c、バルブ241d、バブリングガス供給管243a、図示しないバブリングガス供給源、マスフローコントローラ243b、バルブ243c、反応ガス供給管242a、オゾナイザ242o、バルブ242c、マスフローコントローラ242d、バルブ242e、酸素ガス供給管244aにより、成膜室201内に処理ガスを供給するガス供給手段が構成される。
【0041】
(排気手段)
マニホールド209の側壁には、排気管231が接続されている。排気管231には、上流側から順に、圧力検出器としての圧力センサ245、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243f、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。真空ポンプ246を作動させつつ、APCバルブ243fの開閉弁の開度を調整することにより、成膜室201内を所望の圧力とすることが可能なように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ243f、真空ポンプ246により、成膜室201内の雰囲気を排気する排気手段が構成される。
【0042】
(コントローラ)
制御部(制御手段)であるコントローラ280は、ヒータ207、APCバルブ243f、真空ポンプ246、回転機構267、ボートエレベータ215、オゾナイザ242o、マスフローコントローラ242d,243b、バルブ241c、241d,242c,242e,243c等に接続されている。コントローラ280により、ヒータ207の温度調整動作、APCバルブ243fの開閉及び圧力調整動作、真空ポンプ246の起動・停止、回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ215の昇降動作、気化器271の気化動作、オゾナイザ242oのオゾン生成動作、マスフローコントローラ242d,243bの流量調整動作、バルブ241c、241d,242c,242eの開閉動作の制御が行われる。
【0043】
(3)基板処理工程
続いて、上述のMMT装置100及び縦型処理炉200により実施される基板処理工程について、図3及び図4を参照しながら説明する。本実施形態に係る基板処理工程は、例えばDRAMやフラッシュメモリ等の半導体装置の製造工程の一工程として実施される。なお、以下の説明において、MMT装置100を構成する各部の動作は、コントローラ121により制御される。また、縦型処理炉200を構成する各部の動作は、コントローラ280により制御される。
【0044】
(ウエハ表面の酸化工程(S10))
先ず、プラズマにより活性化した酸素含有ガスや原子状酸素をシリコンからなるウエハ300の表面に供給し、ウエハ300の表面に酸化膜を形成する。係る処理は、MMT装置100により行う。
【0045】
具体的には、シリコンからなるウエハ300を、MMT装置100が備えるプラズマ処理室101内に搬入する。具体的には、サセプタ117を基板搬送位置まで下降させ、ウエハ突上げピン166の先端をサセプタ117の貫通孔117aに貫通させる。そして、サセプタ117表面から突き上げピン266上端を突き出した状態とする。次に、下側容器111に設けられたゲートバルブ144を開き、図中省略の搬送機構によってウエハ突上げピン166上にウエハ300を載置する。搬送機構をプラズマ処理室101外へ退避
させ、ゲートバルブ144を閉じる。サセプタ117をサセプタ昇降機構268により上昇させ、ウエハ300をサセプタ117上面に載置させ、更に処理位置まで上昇させる。
【0046】
サセプタ117に埋め込まれたヒータにより、搬入されたウエハ300を例えば150〜500℃の範囲の内、所定の処理温度(例えば400℃)に加熱する。また、真空ポンプ146、及びAPC142を用いてプラズマ処理室101の圧力を1〜200Paの範囲の内、所定の圧力(例えば20Pa)に維持する。
【0047】
ウエハ300の温度が処理温度に達して安定化したら、Krガス及び酸素ガスをガス導入口134からプラズマ処理室101内に導入する。このときのKrガスの流量は例えば250sccmとし、酸素ガスの流量は例えば10sccmとする。同時に、高周波電源173から整合器172を介して筒状電極115に高周波電力を印加する。印加する電力は例えば150〜200Wの範囲(例えば150sccm)とする。このとき、インピーダンス可変機構274は予め所望のインピーダンス値となるように制御しておく。
【0048】
筒状電極115からの電界、及び筒状磁石216a,216bからの磁界の影響を受けて、プラズマ処理室101内にマグネトロン放電が発生し、ウエハ300の上方空間に電荷がトラップされ、プラズマ生成領域224に高密度プラズマが生成される。そして、プラズマにより活性されたOガスや原子状酸素(O)がウエハ300上に供給され、ウエハ300の表面に酸化膜401が形成される。ウエハ300上に酸化膜401が形成された様子を、図3(a)に示す。なお、プラズマ励起用ガスとしてKrガスを用いることにより、活性化された酸素分子や原子状酸素(O)を効率よく生成することができる。Krは活性化するエネルギーバンドが低く、酸素分子のラジカル励起エネルギーとよくマッチングするためである。
【0049】
所定時間(例えば30秒)が経過し、ウエハ300上に所定の厚さ(例えば30Å)の酸化膜が形成されたら、筒状電極115への電力供給を停止すると共に、プラズマ処理室101内へのKrガス及び酸素ガスの供給を停止する。
【0050】
(第1の工程(S20))
次に、プラズマにより活性化した窒素含有ガスや原子状窒素を、ウエハ300上に形成された酸化膜401表面に供給し、酸化膜401中に窒素を導入して酸化膜401を窒化させる。係る処理も、上述のMMT装置100により行う。
【0051】
具体的には、サセプタ117に埋め込まれたヒータにより、表面に酸化膜401が形成されたウエハ300を例えば500℃以上に加熱する。また、真空ポンプ146、及びAPC142を用いてプラズマ処理室101の圧力を1〜200Paの範囲の内、所定の圧力(例えば20Pa)に維持する。
【0052】
ウエハ300の温度が処理温度に達して安定化したら、Krガス及びNOガスをガス導入口134からプラズマ処理室101内に導入する。このときのKrガスの流量は例えば250sccmとし、NOガスの流量は例えば100〜500sccmとする。同時に、高周波電源173から整合器172を介して筒状電極115に高周波電力を印加する。印加する電力は例えば150〜200Wの範囲(例えば150sccm)とする。このとき、インピーダンス可変機構274は予め所望のインピーダンス値となるように制御しておく。
【0053】
筒状電極115からの電界、及び筒状磁石216a,216bからの磁界の影響を受けて、プラズマ処理室101内にマグネトロン放電が発生し、ウエハ300の上方空間に電荷がトラップされ、プラズマ生成領域224に高密度プラズマが生成される。そして、プ
ラズマにより活性されたNOガスや原子状窒素(N)がウエハ300上に供給され、ウエハ300の表面に形成されている酸化膜401中に窒素が導入され、該酸化膜401が窒化されて窒化酸化膜(SiON膜)401nに改質される。ウエハ300上に形成された酸化膜401が窒化された様子を、図3(b)に示す。なお、酸化膜401の厚さは例えば30Åとしているため、酸化膜401の膜中にも十分に窒素を導入することができ、酸化膜401全体を窒化させることができる。また、ウエハ300の表面である酸化膜401とウエハ300のバルク部との界面における窒素濃度を10%以上とすることが出来る。
【0054】
所定時間(例えば10秒〜2分)が経過し、酸化膜401の窒化が完了したら、工程S10にて説明したウエハ300の搬入手順とは逆の手順により、処理後のウエハ300をプラズマ処理室101内から搬出する。
【0055】
(第2の工程(S30))
次に、工程S20にて窒化させて得た窒化酸化膜401n上に、ALD法を用いてシリコン酸化膜(SiO膜)402を形成する。シリコン酸化膜402の形成は、上述の縦型処理炉200により行う。
【0056】
ALD法は、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種類(またはそれ以上)の処理ガスを1種類ずつ交互にウエハ300上に供給し、表面反応を利用して成膜を行う手法である。ALD法によりウエハ300上にSiO膜を形成する場合には、例えば300〜600℃で、TDMASガスを供給する工程とオゾンガスを供給する工程とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する。SiO膜の膜厚は、サイクルの繰り返し回数により制御することができる。例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、サイクルを20回行うことで20ÅのSiO膜を形成することができる。
【0057】
まず、処理後のウエハ300をボート217に装填(ウエハチャージ)する。そして、ウエハ300を保持したボート217を、ボートエレベータ215によって持ち上げて成膜室201内に搬入(ボートロード)する。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0058】
続いて、成膜室201内が所望の圧力(真空度)となるように、APCバルブ243fを開けて成膜室201内を真空ポンプ246により排気する。この際、成膜室201内の圧力を圧力センサ245で測定して、この測定された圧力に基づきAPCバルブ243fの開度をフィードバック制御する。また、成膜室201内が所望の温度(例えば600℃)となるように、ヒータ207によって成膜室201内を加熱する。この際、成膜室201内が所望の温度分布となるように、温度センサが検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合をフィードバック制御する。そして、回転機構267によりボート217を回転させ、ウエハ300を回転させる。
【0059】
そして、以下に示すステップ1〜4を1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施することにより、窒化酸化膜401n上に所定膜厚のシリコン酸化膜402を成膜する。
【0060】
ステップ1では、成膜室201内に第1の処理ガス(気化ガス)としてのTDMASガスを流し、窒化酸化膜401n表面にTDMASのガス分子を吸着させる。具体的には、APCバルブ243fを閉じて排気を止める。そして、マスフローコントローラ243bにより流量調整しつつ、バルブ243cを開けることにより、原料タンク241t内にバブリング用ガスを例えば0.7slmの流量で供給し、TDMASガスを発生させる。そして、バルブ241c,241dを順次開けることにより、気化ガス供給ノズル250を介して成膜室201内にTDMASガスを供給する。成膜室201内は、TDMASガス
が供給されることにより、約7Torrまで急激に昇圧される。成膜室201内に供給されたTDMASガスの分子は、ウエハ300上の窒化酸化膜401nに接触して吸着する。所定時間(例えば5秒)が経過したら、バルブ241c,241dを閉じると共に、APCバルブ243fを開ける。
【0061】
ステップ2では、APCバルブ243fを開けたまま成膜室201内を真空排気し、成膜室201内から残留ガスを排除する。このとき、図示しないパージガス管からN等の不活性ガスを成膜室201内に供給すると、残留ガスを排除する効果を高めることができる。
【0062】
ステップ3では、成膜室201内に第2の処理ガス(反応ガス)としてのオゾンガスを流し、窒化酸化膜401n上にSiO膜を生成する。具体的には、酸素ガス供給管244aからオゾナイザ242oに酸素ガスを供給し、オゾナイザ242oによりオゾンガスを生成させる。そして、バルブ242c,242eを開けることにより、マスフローコントローラ242dにより流量制御しながら、反応ガス供給ノズル251から成膜室201内にオゾンガスを供給する。このとき、APCバルブ243fの開度を制御して、成膜室201内の圧力を例えば4Torrに調整する。成膜室201内に供給されたオゾンガスは、窒化酸化膜401n上に吸着しているTDMASのガス分子と反応し、窒化酸化膜401n上に1原子層未満から数原子層のシリコン酸化膜(SiO膜)が生成される。所定時間が経過したら、242c,242eを閉じると共に、APCバルブ243fを開ける。
【0063】
ステップ4ではバルブ243eを閉じ、APCバルブ243fを開けたまま成膜室201内を真空排気し、成膜室201内から残留ガスを排除する。このとき、図示しないパージガス管からN等の不活性ガスを成膜室201内に供給すると、残留ガスを排除する効果を高めることができる。
【0064】
上記ステップ1〜4を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことにより、窒化酸化膜401n上に所定膜厚(例えば30Å)のシリコン酸化膜402を成膜する。窒化酸化膜401n上にシリコン酸化膜402が形成された様子を、図3(c)に示す。所定膜厚のシリコン酸化膜402の形成が完了したら、上述の手順とは逆の手順により、成膜後のウエハ300を成膜室201内から搬出する。
【0065】
(第3の工程(S40))
次に、プラズマにより活性化した窒素含有ガスや原子状窒素をシリコン酸化膜402上に供給し、シリコン酸化膜402中に窒素を導入して窒化させる。係る処理は、上述のMMT装置100により行う。
【0066】
具体的には、工程S10と同様に、シリコン酸化膜402が形成されたウエハ300をプラズマ処理室101内に搬入する。
【0067】
そして、サセプタ117に埋め込まれたヒータにより、表面にシリコン酸化膜402が形成されたウエハ300を500℃以上に加熱する。また、真空ポンプ146、及びAPC142を用いてプラズマ処理室101の圧力を1〜200Paの範囲の内、所定の圧力(例えば20Pa)に維持する。
【0068】
ウエハ300の温度が処理温度に達して安定化したら、Krガス及びNOガスをガス導入口134からプラズマ処理室101内に導入する。このときのKrガスの流量は例えば250sccmとし、NOガスの流量は例えば100〜500sccmとする。同時に、高周波電源173から整合器172を介して筒状電極115に高周波電力を印加する。印
加する電力は例えば150〜200Wの範囲(例えば150sccm)とする。このとき、インピーダンス可変機構274は予め所望のインピーダンス値となるように制御しておく。
【0069】
筒状電極115からの電界、及び筒状磁石216a,216bからの磁界の影響を受けて、プラズマ処理室101内にマグネトロン放電が発生し、ウエハ300の上方空間に電荷がトラップされ、プラズマ生成領域224に高密度プラズマが生成される。そして、プラズマにより活性されたNOガスや原子状窒素(N)がウエハ300上に供給され、ウエハ300の表面に形成されているシリコン酸化膜402の表面に窒素が導入され、酸化膜401が窒化されて窒化酸化膜(SiON膜)402nに改質される。ウエハ300上に形成されたシリコン酸化膜402が窒化された様子を、図3(d)に示す。なお、シリコン酸化膜402の厚さは例えば30Åとしているため、シリコン酸化膜402の膜中にも十分に窒素を導入することができ、シリコン酸化膜402全体を窒化させることができる。
【0070】
所定時間(例えば10秒〜2分)が経過し、シリコン酸化膜402の窒化が完了したら、工程S10,20にて説明したウエハ300の搬入手順とは逆の手順により、処理後のウエハ300をプラズマ処理室101内から搬出する。
【0071】
(繰り返し工程)
そして、第2の工程(S30)と第3の工程(S40)とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する。これにより、窒化酸化膜401n及び1以上の窒化酸化膜402nが積層されてなる所定膜厚(例えば50Å以上)の窒化酸化膜(SiON膜)400がウエハ300上に形成される。
【0072】
(アニール工程(S50))
次に、所定膜厚の窒化酸化膜400が形成されたウエハ300を熱処理する。係る工程は、上述のMMT装置により行う。
【0073】
具体的には、工程S10と同様に、シリコン酸化膜402が形成されたウエハ300をプラズマ処理室101内に搬入する。そして、サセプタ117に埋め込まれたヒータに電力を供給すると共に、ランプ加熱ユニット180から熱線を放射させ、ウエハ300を例えば850℃以上、好ましくは900℃以上に加熱する。加熱時間は例えば5秒間とする。これにより、ウエハ300上に形成された窒化酸化膜400を改質する。これにより、窒化酸化膜400中の欠陥が減少する。また、ウエハ300とシリコン酸化膜402との界面特性が改善する。例えば、ウエハ300とシリコン酸化膜402との界面準位を下げることができる。
【0074】
以上の工程を経て、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。
【0075】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0076】
(a)本実施形態によれば、ウエハ表面の酸化工程(S10)において、ウエハ300
表面に形成する酸化膜410の厚さを例えば30Åとしている。そして、第1の工程(S20)において、プラズマにより活性化したNOガスや原子状窒素(N)酸化膜401の表面に供給し、酸化膜401中に窒素を導入して窒化させている。酸化膜401の厚さを例えば30Åとしているため、酸化膜401の膜中にも十分に窒素を導入することができ、酸化膜401全体を窒化させることができる。また、ウエハ300表面である酸化膜401とウエハ300バルク部との界面における窒素濃度を10%以上とすることが出来る
。これにより、ウエハ300上に形成する例えば50Å以上の窒化酸化膜400の誘電率を高めることができ、窒化酸化膜400中に結合エネルギーの高いSiONが形成されることで、窒化酸化膜400の信頼性、すなわち電気的な耐久性を向上させることが出来る。
【0077】
(b)本実施形態によれば、第2の工程(S30)において、窒化酸化膜401n上に
形成するシリコン酸化膜402の厚さを例えば30Åとしている。そして、第3の工程(S40)において、プラズマにより活性化したNOガスや原子状窒素(N)をシリコン酸化膜402の表面に供給し、シリコン酸化膜402中に窒素を導入して窒化させている。シリコン酸化膜402の厚さを例えば30Åとしているため、シリコン酸化膜402の膜中にも十分に窒素を導入することができ、シリコン酸化膜402全体を窒化させることができる。これにより、ウエハ300上に形成する例えば50Å以上の窒化酸化膜400の誘電率を高めることができ、窒化酸化膜400中に結合エネルギーの高いSiONが形成されることで、窒化酸化膜400の信頼性、すなわち電気的な耐久性を向上させることが出来る。
【0078】
(c)本実施形態によれば、第1の工程(S20)及び第3の工程(S40)において
、ウエハ300を500℃以上に加熱している。これにより、酸化膜401やシリコン酸化膜402に含まれるSi原子と、これらの膜中に導入されたN原子と、の結合を促進させ、窒化酸化膜400中の窒素濃度や電気特性を安定させることができる。なお、第1の工程(S20)及び第3の工程(S40)におけるウエハ300の温度を500℃未満としてしまうと、上記のSiとNとの結合が不安定になり、窒化酸化膜400中の窒素濃度や電気特性が悪化してしまう場合がある。
【0079】
(d)本実施形態によれば、第2の工程(S30)において、ウエハ300の温度を例
えば300〜600℃に保ちつつ、ALD法を用いてシリコン酸化膜402を形成している。これにより、シリコン酸化膜402、すなわち窒化酸化膜400の面内膜圧均一性、ステップカバレッジ特性(段差被覆特性)を向上させることができる。
【0080】
(e)本実施形態によれば、第1の工程(S20)及び第3の工程(S40)において
、変形マグネトロン型プラズマ処理装置として構成されたMMT装置を用いている。変形マグネトロン型プラズマにおいてはウエハ300の温度を500℃以上に加熱することが可能であるばかりか、ウエハ300に入射されるイオンのエネルギー制御も容易である。そのため、酸化膜401中やシリコン酸化膜402中に窒素を深く導入することが可能となる。すなわち、酸化膜401やシリコン酸化膜402を厚く形成した場合であっても(30Å以上とした場合であっても)、これらの膜全体に十分に窒素を導入して窒化させることが可能となる。
【0081】
(f)本実施形態によれば、第1の工程(S20)及び第3の工程(S40)を実施す
る処理室(プラズマ処理室101)と、第2の工程(S30)を実施する処理室(成膜室201)とは、異なる室として構成されている。これにより、処理室内における異物の発生を抑制でき、窒化酸化膜400の品質を向上させることが出来る。なお、第1の工程(S20)及び第3の工程(S40)と、第2の工程(S30)とを同一の処理室内にて実施することとすれば(酸化膜の形成とその窒化とを同一の処理室内で実施することとすれば)、処理室内に異物が発生し易くなり、基板処理の品質が低下し易くなる。
【0082】
(g)本実施形態によれば、所定膜厚の窒化酸化膜400が形成されたウエハ300を熱処理するアニール工程(S50)を実施する。また、アニール工程(S50)を850℃以上、好ましくは900℃以上の温度で実施する。これにより、これにより、窒化酸化膜400中の欠陥を減少させることができる。また、ウエハ300とシリコン酸化膜402
との界面特性を改善させることができる。例えば、ウエハ300とシリコン酸化膜402との界面準位を下げることができる。
【0083】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0084】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0085】
本発明の一態様によれば、 基板上に形成された酸化膜を第1の処理部により窒化する第1の工程と、
窒化された前記酸化膜上に第2の処理部によりシリコン酸化膜を形成する第2の工程と、
前記シリコン酸化膜を前記第1の処理部により窒化する第3の工程と、を有し、
前記第1の工程を実施した後、前記第2の工程と前記第3の工程とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する
基板処理方法が提供される。
【0086】
好ましくは、 前記第2の工程では、
前記基板を収容した処理室内に第1の処理ガスを供給する工程と、
前記処理室内を排気する工程と、
前記処理室内に第2の処理ガスを供給する工程と、
前記処理室内を排気する工程と、
を1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する。
【0087】
また好ましくは、 前記第2工程で成膜する前記シリコン酸化膜の厚さを30Å以下とする。
【0088】
また好ましくは、
前記第2の工程と前記第3の工程とは互いに異なる室内にて行う。
【0089】
また好ましくは、
前記第1の工程及び前記第3の工程における前記基板の温度を500℃以上とする。
【0090】
また好ましくは
前記第2の工程と前記第3の工程とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施した後、前記基板を熱処理するアニール工程を有する。
【0091】
また好ましくは、
前記アニール工程における前記基板の温度を900℃以上とする。
【符号の説明】
【0092】
100 MMT装置(第1の処理部)
101 プラズマ処理室(処理室)
200 縦型処理炉(第2の処理部)
201 成膜室(処理室)
300 ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された酸化膜を第1の処理部により窒化する第1の工程と、
窒化された前記酸化膜上に第2の処理部によりシリコン酸化膜を形成する第2の工程と、
前記シリコン酸化膜を前記第1の処理部により窒化する第3の工程と、を有し、
前記第1の工程を実施した後、前記第2の工程と前記第3の工程とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記第2の工程では、
前記基板を収容した処理室内に第1の処理ガスを供給する工程と、
前記処理室内を排気する工程と、
前記処理室内に第2の処理ガスを供給する工程と、
前記処理室内を排気する工程と、
を1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−66367(P2011−66367A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218206(P2009−218206)
【出願日】平成21年9月19日(2009.9.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】