説明

基板処理装置及び半導体装置の製造方法

【課題】 基板処理装置が備えるそれぞれの系への電力の供給を個別に制御することで、電力の消費量を低減する。
【解決手段】 処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、処理室内に搬入された基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、少なくとも処理系及び処理室内搬送系に電力を供給する主電源と、処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法の一工程を実施する基板処理装置は、処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、処理室内に搬入された基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、処理室内外へ基板を搬送する工程内搬送系と、少なくとも処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系に電力を供給する主電源と、を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の基板処理装置は、基板の搬入を待っている間、メンテナンスを実施している間、及び基板に処理を施している間のいずれであっても、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系の全ての系に、電力が供給され続けている。
【0004】
例えば、基板処理装置が基板の搬入を待っている場合、処理系、処理室内搬送系、及び工程内搬送系の全ての系はいずれも待機状態にある。すなわち、各系を構成する各部品は作動しておらず、いずれも未使用の状態にある。このように、各系が未使用の状態にある場合であっても、各系を構成する各部品には、電力が供給され続け、使用可能な状態にある。このため、待機電力等が必要であり、電力の消費量が多くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、基板処理装置が備えるそれぞれの系への電力の供給を個別に制御することで、電力の消費量を低減することができる基板処理装置、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、
前記処理室内に搬入された前記基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、
少なくとも前記処理系及び前記処理室内搬送系に電力を供給する主電源と、
前記処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、
前記処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、を備える基板処理装置が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、
処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、前記処理室内に搬入された前記基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、前記処理室内外へ前記基板を搬送する工程内搬送系と、少なくとも前記処理系、前記処理室内搬送系及び前記工程内搬送系に電力を供給する主電源と、を備える基板処理装置により実施される半導体装置の製造方法であって、
前記基板処理装置は、前記処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、前記処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、を備え、
前記基板処理装置への前記基板の搬送を待つスタンバイモード、前記基板処理装置の点検を行うメンテナンスモード、又は前記基板処理装置に搬送された前記基板をレシピに基づいて処理するレシピ運用モードのうち、前記基板処理装置がいずれのモードにあるかを判断する工程と、
前記スタンバイモードと判断された場合は、前記処理系への電力供給路及び前記処理室内搬送系への電力供給路を遮断するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制
御する工程と、
前記メンテナンスモードと判断された場合は、少なくとも前記処理系への電力供給路を遮断するように、前記第1の開閉器を制御する工程と、
前記レシピ運用モードと判断された場合は、前記レシピの進行状況に応じて、前記処理系への電力供給路又は前記処理室内搬送系への電力供給路の少なくとも一つを接続するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る基板処理装置及び半導体装置の製造方法によれば、基板処理装置が備えるそれぞれの系への電力の供給を個別に制御することで、電力の消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置の横断面概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置の縦断面概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る処理炉の縦断面概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電力供給路を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る開閉器の動作状況を示す表図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る電力供給路を示す模式図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る処理炉としてのICP型プラズマ処理装置の縦断面概略図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係る処理炉としてのECR型プラズマ処理装置の縦断面概略図である。
【図9】従来の基板処理装置が備える電力供給路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
本実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置は、工程内搬送系と、処理系と、処理室内搬送系とを具備して構成されている。そして、主に、処理系と処理室内搬送系とにより、基板を処理する処理炉が構成されている。
【0012】
(2)工程内搬送系の構成
まず、本実施形態にかかる基板処理装置の工程内搬送系について、図1及び図2を用いて説明する。本発明が適用される基板処理装置では、基板としてのウエハ200を搬送するキャリヤとしては、FOUP(Front Opening Unified Pod。以下、ポッドという。)が使用されている。本実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置の工程内搬送系は、真空側と大気側とに分かれている。なお、本明細書中における「真空」とは工業的真空を意味する。また、以下の説明において、前後左右は図1を基準とする。すなわち、図1が示されている紙面に対して、前は紙面の下、後ろは紙面の上、左右は紙面の左右とする。
【0013】
クラスタ型の基板処理装置100は、内部を真空状態などの大気圧未満の圧力(減圧)に減圧可能なロードロックチャンバ構造に構成された第1搬送室としての真空搬送室103を備えている。真空搬送室103の筐体101は、平面視が例えば六角形で、上下両端
が閉塞した箱形状に形成されている。
【0014】
真空搬送室103の筐体101を構成する六枚の側壁のうち、前側に位置する二枚の側壁には、ゲートバルブ126,127を介して,ロードロック室122,123が真空搬送室103と連通可能にそれぞれ設けられている。
【0015】
真空搬送室103の他の四枚の側壁には、ゲートバルブ244a〜244dを介して、プロセスチャンバ202a〜202dが、真空搬送室103と連通可能にそれぞれ設けられている。プロセスチャンバ202a〜202dは、後述するように、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法等によりウエハ200上へ薄膜を形成する処理や、ウエハ200表面を酸化、窒化、炭化等する処理や、ウエハ200表面をエッチングする処理や、ウエハ200を加熱するアニール処理等の各種基板処理を実施するように構成されている。プロセスチャンバ202a〜202dには、後述するガス供給部、排気部等が設けられている。
【0016】
真空搬送室103内には、第1搬送機構としての真空搬送ロボット112が設けられている。真空搬送ロボット112は、ロードロック室122,123と、プロセスチャンバ202a〜202dとの間で、例えば2枚のウエハ200(図1中、点線で示す)を同時に搬送可能に構成されている。真空搬送ロボット112は、エレベータ115によって、真空搬送室103の気密性を維持しつつ昇降可能に構成されている。また、ロードロック室122,123のゲートバルブ126,127、プロセスチャンバ202a〜202dのゲートバルブ244a〜244dのそれぞれの近傍には、ウエハ200の有無を検知する基板検知部として図示しないウエハ有無センサが設けられている。
【0017】
ロードロック室122,123は、内部が真空状態などの大気圧未満の圧力(減圧)に減圧可能なロードロックチャンバ構造に構成されている。すなわち、ロードロック室の前側には、ゲートバルブ128,129を介して、後述する第2搬送室としての大気搬送室121が設けられている。このため、ゲートバルブ126〜129を閉じてロードロック室122,123内部を真空排気した後、ゲートバルブ126,127を開けることで、真空搬送室103の真空状態を保持しつつ、ロードロック室122,123と真空搬送室103との間でウエハ200を搬送可能に構成されている。
【0018】
また、ロードロック室122,123は、真空搬送室103内へ搬入するウエハ200を一時的に収納する予備室として、さらに、真空搬送室103内から搬出したウエハ200を一時的に収納して冷却する冷却室として機能するように構成されている。この際、ロードロック室122内では基板支持部140上に、ロードロック室123内では基板支持部141上にそれぞれウエハ200が載置されるように構成されている。また、ロードロック室122,123には隔壁板(中間プレート)142(図2参照)が設けられていてもよい。これにより、冷却途中のウエハ200の冷却が、熱干渉により妨げられることを防止することができる。具体的には、例えば、複数枚の処理済みウエハ200がロードロック室122,123内に搬入される場合、後に搬入された処理済みのウエハ200の熱の影響で、先に搬入された冷却途中の処理済みのウエハ200の温度の下がり具合が遅くなることを防止することができる。
【0019】
基板処理装置100の大気側には、略大気圧下で用いられる、第2搬送室としての大気搬送室121が設けられている。すなわち、ロードロック室122,123の前側には、ゲートバルブ128,129を介して、大気搬送室121が設けられている。なお、大気搬送室121は、ロードロック室122,123と連通可能に設けられている。
【0020】
大気搬送室121には、ウエハ200を移載する第2搬送機構としての大気搬送ロボット124が設けられている。大気搬送ロボット124は、大気搬送室121に設けられたエレベータ131(図2参照)によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ132(図2参照)によって左右方向(図1における左右方向であり、図2では前後方向になる。)に往復移動されるように構成されている。また、大気搬送室121のゲートバルブ128,129の近傍には、ウエハ200の有無を検知する基板検知部として図示しないウエハ有無センサが設けられている。
【0021】
また、大気搬送室121内には、ウエハ200位置の補正装置として、ウエハ200の結晶方向や位置合わせ等をウエハ200のノッチを用いて行うノッチ合わせ装置106が設けられている。なお、ノッチ合わせ装置106の代わりに、図示しないオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置が設けられてもよい。そして、大気搬送室121の上部には、クリーンエアを供給するクリーンユニット118(図2参照)が設けられている。
【0022】
大気搬送室121の筐体125の前側には、ウエハ200を大気搬送室121内外に搬送する基板搬送口134と、ポッドオープナ108とが設けられている。基板搬送口134を挟んで、ポッドオープナ108と反対側、すなわち筐体125の外側にはロードポート(I/Oステージ)105が設けられている。ロードポート105上には、複数枚のウエハ200を収納するポッド109が載置されている。また、大気搬送室121内には、基板搬送口134を開閉する蓋135や、ポッド109のキャップであるポッドキャップ109a等を開閉させる開閉機構143と、開閉機構143を駆動する開閉機構駆動部136とが設けられている。ポッドオープナ108は、ロードポート105に載置されたポッド109のキャップ109aを開閉することにより、ポッド109に対するウェハ200の出し入れを可能にする。また、ポッド109は図示しない搬送装置(RGV)によって、ロードポート105に対して、搬入(供給)および搬出(排出)されるようになっている。
【0023】
主に、真空搬送室103、ロードロック室122,123、大気搬送室121、及びゲートバルブ126〜129により、本実施形態に係る基板処理装置100の工程内搬送系が構成される。
【0024】
また、基板処理装置100の工程内搬送系の構成各部には、後述する制御部221が電気的に接続されている。そして、上述した構成各部の動作を、それぞれ制御するように構成されている。
【0025】
(3)工程内搬送系の動作
次に、本実施形態に係る基板処理装置100内におけるウエハ200の搬送動作を説明する。なお、基板処理装置100の工程内搬送系の構成各部の動作は、制御部221によって制御される。
【0026】
まず、例えば25枚の未処理のウエハ200を収納したポッド109が、図示しない搬送装置によって基板処理装置100に搬入されてくる。搬入されてきたポッド109は、ロードポート105上に載置される。開閉機構143は、蓋135及びポッド109のキャップ109aを取り外し、基板搬送口134及びポッド109のウエハ出入口を開放する。
【0027】
ポッド109のウエハ出入口を開放すると、大気搬送室121内に設置されている大気搬送ロボット124は、ポッド109からウエハ200を1枚ピックアップして、ノッチ合わせ装置106上へ載置する。
【0028】
ノッチ合わせ装置106は、載置されたウエハ200を、水平の縦横方向(X方向,Y方向)及び円周方向に動かして、ウエハ200のノッチ位置等を調整する。ノッチ合わせ装置106で1枚目のウエハ200の位置調整を実施中に、大気搬送ロボット124は、2枚目のウエハ200をポッド109からピックアップして大気搬送室121内に搬入し、大気搬送室121内で待機する。
【0029】
ノッチ合わせ装置106により1枚目のウエハ200の位置調整が終了した後、大気搬送ロボット124は、ノッチ合わせ装置106上の1枚目のウエハ200をピックアップする。大気搬送ロボット124は、そのとき大気搬送ロボット124が保持している2枚目のウエハ200を、ノッチ合わせ装置106上へ載置する。その後、ノッチ合わせ装置106は、載置された2枚目のウエハ200のノッチ位置等を調整する。
【0030】
次に、ゲートバルブ128が開けられ、大気搬送ロボット124は、1枚目のウエハ200をロードロック室122内に搬入し、基板支持部140上に載置する。この移載作業中には、真空搬送室103側のゲートバルブ126は閉じられており、真空搬送室103内の減圧雰囲気は維持されている。1枚目のウエハ200の基板支持部140上への移載が完了すると、ゲートバルブ128が閉じられ、ロードロック室122内が図示しない排気装置によって負圧になるよう排気される。
【0031】
以降、大気搬送ロボット124は、上述の動作を繰り返す。但し、ロードロック室122が負圧状態の場合、大気搬送ロボット124は、ロードロック室122内へのウエハ200の搬入を実行せず、ロードロック室122の直前位置で停止して待機する。
【0032】
ロードロック室122内が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ126が開けられて、ロードロック室122と真空搬送室103とが連通される。続いて、真空搬送室103内に配置された真空搬送ロボット112は、基板支持部140から1枚目のウエハ200をピックアップして、真空搬送室103内に搬入する。
【0033】
真空搬送ロボット112が基板支持部140から1枚目のウエハ200をピックアップした後、ゲートバルブ126が閉じられ、ロードロック室122内が大気圧に復帰させられ、ロードロック室122内に次のウエハ200を搬入するための準備が行われる。それと並行して、プロセスチャンバ202aのゲートバルブ244aが開けられ、真空搬送ロボット112が1枚目のウエハ200をプロセスチャンバ202a内に搬入する。プロセスチャンバ202a内へのウエハ200の搬入が完了したら、ゲートバルブ244aが閉じられる。そして、プロセスチャンバ202a内に後述するガス供給部から処理ガスが供給され、1枚目のウエハ200に所定の処理が施される。
【0034】
プロセスチャンバ202aにおいて所定の処理が終了すると、ゲートバルブ244aが開けられ、真空搬送ロボット112によって、ウエハ200がプロセスチャンバ202a内から真空搬送室103へ搬出される。搬出された後、ゲートバルブ244aが閉じられる。
【0035】
続いて、ゲートバルブ127が開けられ、プロセスチャンバ202aから搬出したウエハ200は、ロードロック室123内へ搬入されて、基板支持部141上に載置される。なお、ロードロック室123は、図示しない排気装置によって、予め設定された圧力値に減圧されている。
【0036】
そして、ゲートバルブ127が閉じられ、ロードロック室123内で処理済みのウエハ200の冷却を開始する。また、ロードロック室123に接続された図示しない不活性ガ
ス供給部から不活性ガスが導入され、ロードロック室123内の圧力が大気圧に復帰させられる。
【0037】
ロードロック室123において、予め設定された冷却時間が経過し、そしてロードロック室123内の圧力が大気圧に復帰させられると、ゲートバルブ129が開けられる。続いて、大気搬送ロボット124が基板支持部141上から処理済みのウエハ200をピックアップして大気搬送室121内に搬出した後、ゲートバルブ129が閉じられる。その後、大気搬送ロボット124は、大気搬送室121の基板搬送口134を通して、処理済のウエハ200をポッド109に収納する。ここで、ポッド109のキャップ109aは、最大25枚のウエハ200が戻されるまでずっと開け続けていてもよく、空きのポッド109に収納せずにウエハを搬出してきたポッド109に戻してもよい。
【0038】
前述の工程によってポッド109内の全てのウエハ200に所定の処理が施され、処理済みの25枚のウエハ200のすべてが所定のポッド109へ収納されると、ポッド109のキャップ109aと、基板搬送口134の蓋135とが開閉機構143によって閉じられる。その後、ポッド109は、ロードポート105上から次の工程へ、図示しない搬送装置によって搬送される。以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が25枚ずつ順次処理されていく。
【0039】
上述した本実施形態では、搬入用の予備室としてロードロック室122、搬出用の予備室としてロードロック室123を使用する場合を例に説明した。本実施形態では、このような形態に限定されるものではない。すなわち、ロードロック室122を搬出用として使用し、ロードロック室123を搬入用として使用してもよい。さらに、ロードロック室122,123を搬入用及び搬出用として併用して使用してもよい。ここで、十分な冷却時間を経ずに大気側のゲートバルブ128または129を開けると、ウエハ200の輻射熱によってロードロック室122,123、またはロードロック室122,123の周りに接続されている電気部品に損害を与える可能性がある。このため、高温である処理済みのウエハ200を冷却する場合は、例えばロードロック室122を搬入用の予備室として使用し、ロードロック室を搬出用の予備室として使用することが好ましい。これにより、ロードロック室123内に処理済みのウエハ200を搬入して冷却を行っている途中で、ロードロック室122のゲートバルブ126,128を開閉し、プロセスチャンバにウエハを搬入し、ウエハ200の処理を行うことができる。
【0040】
本実施形態では、処理炉としてプロセスチャンバ202aが使用される場合を例に説明したが、本実施形態では、このような形態に限定されるものではない。すなわち、プロセスチャンバ202b〜202dが使用される場合についても同様の動作が実施される。また、プロセスチャンバ202a〜202dの全てで、同じ処理を行ってもよいし、各プロセスチャンバ202a〜202dで別の処理を行ってもよい。そして、例えば、プロセスチャンバ202aとプロセスチャンバ202bとで別の処理を行う場合、プロセスチャンバ202aでウエハ200に所定の処理を行った後、続けてプロセスチャンバ202bで別の処理を行ってもよい。さらに、プロセスチャンバ202aでウエハ200に所定の処理を行った後、プロセスチャンバ202bで別の処理を行う場合、ロードロック室122又はロードロック室123を経由するようにしてもよい。また、本実施形態では4つのプロセスチャンバ202a〜202dが設けられているが、設けられるプロセスチャンバは、3つ以下でもよいし、5つ以上であってもよい。さらにプロセスチャンバとして、複数枚のウエハ200を処理することが可能な縦型の処理炉が用いられてもよい。
【0041】
(4)処理炉の構成
続いて、本実施形態に係る処理系と処理室内搬送系とを備える処理炉について説明する。すなわち、本実施形態に係る処理炉としてのプロセスチャンバ202aの構成について
、図3を用いて説明する。図3は、プロセスチャンバ202aとしてのMMT装置の縦断面概略図である。なお、プロセスチャンバ202b〜202dについては、プロセスチャンバ202aと同様に構成されているため、説明を省略する。
【0042】
MMT装置とは、電界と磁界とにより高密度プラズマを発生できる変形マグネトロン型プラズマ源(Modified Magnetron Typed Plasma Source)を用い、ウエハ200をプラズマ処理する装置である。MMT装置は、処理ガスをプラズマ状態として励起させて、例えば基板表面又は基板に形成された薄膜を酸化や窒化したり、基板上に薄膜を形成したり、基板表面をエッチングしたりする等、各種のプラズマ処理を施すことができる。
【0043】
処理室201を構成する処理容器203は、第1の容器であるドーム型の上側容器210と、第2の容器である碗型の下側容器211と、を備えている。そして、上側容器210が下側容器211の上に被さることにより、処理室201が形成される。上側容器210は例えば酸化アルミニウム(Al)又は石英(SiO)等の非金属材料で形成されており、下側容器211は例えばアルミニウム(Al)等で形成されている。
【0044】
下側容器211の側壁には、仕切弁としてのゲートバルブ244aが設けられている。上述したように、プロセスチャンバ202aは、ゲートバルブ244aを介して真空搬送室103(図1参照)と連通可能に設けられている。すなわち、処理室201と真空搬送室103との間でウエハ200が搬送可能に構成されている。ゲートバルブ244aが開けられると、真空搬送ロボット112(図1参照)を用いて処理室201内へウエハ200を搬入し、または処理室201外へとウエハ200を搬出することができるようになっている。そして、ゲートバルブ244aを閉めることにより、処理室201内を気密にすることができるようになっている。
【0045】
処理室201内の底側中央には、ウエハ200を支持するサセプタ217が配置されている。サセプタ217は、ウエハ200の金属汚染を低減することができるように、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス、石英等の非金属材料で形成されている。なお、サセプタ217は、下側容器211とは電気的に絶縁されている。
【0046】
サセプタ217の内部には、加熱機構としてのヒータ217bが一体的に埋め込まれており、ウエハ200を加熱できるようになっている。ヒータ217bに電力が供給されると、ウエハ200表面が所定温度(例えば室温〜1000℃程度)にまで加熱されるようになっている。なお、サセプタ217には、温度センサ(図中省略)が設けられている。ヒータ217b及び温度センサには、後述する制御部221が電気的に接続されている。制御部221は、温度センサにより検出された温度情報に基づいてヒータ217bへの通電具合を制御するように構成されている。
【0047】
また、サセプタ217の内部には、インピーダンスを変化させる図示しない電極が装備されている。この電極は、インピーダンス可変機構274を介して設置されている。インピーダンス可変機構274は、コイルや可変コンデンサを備えており、コイルのパターン数や可変コンデンサの容量値を制御することにより、電極(図中省略)及びサセプタ217を介してウエハ200の電位を制御できるようになっている。なお、インピーダンス可変機構274は、後述する制御部221が電気的に接続されている。
【0048】
サセプタ217には、サセプタ217を昇降させるサセプタ昇降機構268が設けられている。サセプタ217には、貫通孔217aが設けられている。上述の下側容器211底面には、ウエハ200を突き上げるウエハ突き上げピン266が、少なくとも3箇所設けられている。そして、貫通孔217a及びウエハ突き上げピン266は、サセプタ昇降
機構268によりサセプタ217が下降させられた時に、ウエハ突き上げピン266がサセプタ217とは非接触な状態で貫通孔217aを突き抜けるように、互いに配置されている。
【0049】
処理室201の上部には、処理室201内へ処理ガス230を供給するシャワーヘッド236が設けられている。シャワーヘッド236は、キャップ状の蓋体233、ガス導入部234、バッファ室237、遮蔽プレート240及びガス吹出口239を備えている。
【0050】
蓋体233は、上側容器210の上部に開設された開口に気密に設けられている。蓋体233の下部には、遮蔽プレート240が設けられている。蓋体233と遮蔽プレート240との間の空間がバッファ室237である。バッファ室237は、ガス導入部234より導入される処理ガス230を分散する分散空間として機能する。そして、バッファ室237を通過した処理ガス230が、遮蔽プレート240の側部のガス吹出口239から処理室201内に供給される。また、蓋体233には、開口が設けられている。蓋体233の開口には、ガス導入部234の下流端が気密に設けられている。ガス導入部234の上流端には、ガス供給管232の下流端が接続されている。
【0051】
ガス供給管232には、上流側から順に、処理ガス230や不活性ガスを供給する図示しないガス供給源、流量制御装置としてのマスフローコントローラ241、開閉弁であるバルブ243aが設けられている。ガス供給管232は、例えば石英、酸化アルミニウム等の非金属材料、及びSUS等の金属材料等により構成されている。マスフローコントローラ241及びバルブ243aには、後述する制御部221が電気的に接続されている。制御部221は、処理室201内に供給するガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ241及びバルブ243aの開閉を制御するように構成されている。このように、バルブ243aを開閉させることにより、マスフローコントローラ241により流量制御しながら、ガス供給管232、バッファ室237及びガス吹出口239を介して処理室201内に、処理ガス230や不活性ガスを自在に供給できるように構成されている。主にガス供給管232、図示しないガス供給源、マスフローコントローラ241及びバルブ243aにより、本実施形態にかかるガス供給部が構成されている。
【0052】
下側容器211の側壁下方には、処理室201内から処理ガス230等を排気するガス排気口235が設けられている。ガス排気口235には、ガスを排気するガス排気管231の上流端が接続されている。ガス排気管231には、圧力調整器であるAPC242、開閉弁であるバルブ243b、排気装置である真空ポンプ246が、上流から順に設けられている。APC242、バルブ243b、真空ポンプ246には、後述する制御部221が電気的に接続されている。真空ポンプ246を作動させ、バルブ243bを開けることにより、処理室201内を排気することが可能なように構成されている。また、APC242の開度を調整することにより、処理室201内の圧力値を調整できるように構成されている。主にガス排気口235、ガス排気管231、APC242、バルブ243b及び真空ポンプ246により、本実施形態に係る排気部が構成されている。
【0053】
処理容器203(上側容器210)の外周には、処理室201内のプラズマ生成領域224を囲うように、筒状電極215が設けられている。筒状電極215は、筒状、例えば円筒状に形成されている。筒状電極215は、インピーダンスの整合を行う整合器272を介して、高周波電力を発生する高周波電源273に接続されている。筒状電極215は、処理室201内に供給される処理ガス230をプラズマ励起させる放電機構として機能する。
【0054】
筒状電極215の外側表面の上下端部には、上部磁石216a及び下部磁石216bがそれぞれ取り付けられている。上部磁石216a及び下部磁石216bは、それぞれ筒状
、例えばリング状に形成された永久磁石として構成されている。上部磁石216a及び下部磁石216bは、処理室201の半径方向に沿った両端(すなわち、各磁石の内周端及び外周端)にそれぞれ磁極を有している。上部磁石216a及び下部磁石216bの磁極の向きは、互いに逆向きになるよう配置されている。すなわち、上部磁石216a及び下部磁石216bの内周部の磁極同士は異極となっている。これにより、筒状電極215の内側表面に沿って、円筒軸方向の磁力線が形成されている。
【0055】
主に、筒状電極215、整合器272、高周波電源273、上部磁石216a及び下部磁石216bにより、本実施形態に係るプラズマ生成部が構成されている。
【0056】
処理室201内に少なくとも処理ガス230を供給した後、筒状電極215に高周波電力を供給して電界を形成するとともに、上部磁石216a及び下部磁石216bを用いて磁界を形成することにより、処理室201内のプラズマ生成領域224にマグネトロン放電プラズマが生成される。この際、放出された電子を上述の電磁界が周回運動させることにより、プラズマの電離生成率が高まり、長寿命の高密度プラズマを生成させることができる。
【0057】
なお、筒状電極215、上部磁石216a、及び下部磁石216bの周囲には、これらが形成する電磁界が外部環境や他処理炉等の装置に悪影響を及ぼさないように、電磁界を有効に遮蔽する金属製の遮蔽板223が設けられている。
【0058】
主に、ヒータ217b、インピーダンス可変機構274、ガス供給部、排気部、整合器272及び高周波電源273により、本実施形態に係る処理系が構成される。
【0059】
また、主に、サセプタ昇降機構268及びゲートバルブ244aより、本実施形態に係る処理室内搬送系が構成される。なお、ゲートバルブ244a〜244dは、上述した工程内搬送系に含めて考えてもよい。
【0060】
また、基板処理装置100の処理系及び処理室内搬送系には、制御部221が電気的に接続されている。制御部221は、信号線Aを通じてAPC242、バルブ243b及び真空ポンプ246の動作を、信号線Bを通じてサセプタ昇降機構268の動作を、信号線Cを通じてヒータ217bへの通電量やインピーダンス可変機構274のインピーダンス値を、信号線Dを通じてゲートバルブ244aの動作を、信号線Eを通じて整合器272及び高周波電源273の動作を、信号線Fを通じてマスフローコントローラ241及びバルブ243aの動作を、それぞれ制御するように構成されている。
【0061】
(5)処理炉の動作
続いて、半導体製造工程の一工程として、上述したMMT装置であるプロセスチャンバ202aを用いて実施される基板処理工程について説明する。なお、基板処理装置100のプロセスチャンバ202aの構成各部の動作は、制御部221により制御される。
【0062】
(処理室内搬送系の動作)
まず、ウエハ200の搬送位置までサセプタ昇降機構268を用いてサセプタ217を下降させ、サセプタ217の貫通孔217aにウエハ突上げピン266を貫通させる。その結果、突き上げピン266が、サセプタ217表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、ゲートバルブ244aを開き、真空搬送ロボット112を用いて処理室201内にウエハ200を搬入する。その結果、ウエハ200は、サセプタ217の表面から突出したウエハ突上げピン266上に水平姿勢で支持される。
【0063】
処理室201内にウエハ200を搬入したら、真空搬送ロボット112(図1及び図2
参照)を処理室201外へ退避させ、ゲートバルブ244aを閉じて処理室201内を気密にする。そして、サセプタ昇降機構268を用いてサセプタ217を上昇させる。その結果、ウエハ200はサセプタ217の上面に配置される。その後、サセプタ217を所定の位置まで上昇させて、ウエハ200を所定の処理位置まで上昇させる。
【0064】
なお、ウエハ200を処理室201内に搬入する際には、排気部により処理室201内を排気しつつ、ガス供給部から処理室201内にパージガスとしての不活性ガスを供給することが好ましい。すなわち、真空ポンプ246を作動させ、バルブ243bを開けることにより、処理室201内を排気しつつ、バルブ243aを開けることにより、バッファ室237を介して処理室201内に不活性ガスを供給することが好ましい。これにより、処理室201内へのパーティクルの侵入や、ウエハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。なお、真空ポンプ246は、少なくともウエハ200が、処理室201内に搬入されてから搬出されるまでの間は、常に作動させた状態とする。
【0065】
(処理系の動作)
続いて、サセプタ217の内部に埋め込まれたヒータ217bに電力を供給し、所定の温度に加熱されたサセプタ217によって、ウエハ200の表面が所定の温度(例えば200℃以上であって750℃未満、好ましくは350℃〜550℃)となるように加熱する。この際、ヒータ217bの温度は、図中省略の温度センサにより検出された温度情報に基づいてヒータ217bへの通電具合を制御することによって調整される。
【0066】
また、処理室201内が所望の圧力(例えば0.1〜300Pa、好ましくは20〜40Pa)となるように、処理室201内を真空ポンプ246によって真空排気する。この際、処理室201内の圧力は図中省略の圧力センサで測定され、この測定された圧力に基づきAPC242の開度をフィードバック制御する。
【0067】
次に、バルブ243aを開け、処理ガス230を、ガス供給管232からバッファ室237を介して処理室201内に供給する。このとき、処理ガス230の流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ241を調整する。また、処理ガス230を処理室201内に供給する際には、同時にキャリアガスとしての不活性ガスを処理室201内に供給することが好ましい。これにより、処理室201内への処理ガス230の供給を促進させることができる。
【0068】
処理ガス230の供給を開始した後、上部磁石216a及び下部磁石216bによる磁界が形成されている所に、筒状電極215に対して、高周波電源273から整合器272を介して所定の高周波電力(例えば100W〜1000W、好ましくは100W〜500W)を処理室201内に印加する。この結果、処理室201内にマグネトロン放電が発生し、ウエハ200の上方のプラズマ生成領域224に高密度プラズマが発生する。このようにプラズマ状態とすることにより、処理室201内に供給された処理ガス230が励起されて活性化されて活性種が形成される。そして、活性種が、ウエハ200上に供給されて基板処理が行われる。
【0069】
所定の処理時間が経過し、処理が終了したら、筒状電極215に対する電力供給を停止する。そして、処理室201内への処理ガス230の供給を停止する。同時に、ガス排気管231を用いて、処理室201内の処理ガス230や処理ガス230が反応した排ガス等の残留ガスを排気する。このとき、バルブ243aを開き、処理室201内に不活性ガスを供給することで、処理室201内からの残留ガスの排出を促すことができる。
【0070】
残留ガスの排出が完了したら、APC242の開度を調整し、処理室201内の圧力を大気圧に復帰させつつ、ウエハ200を降温させる。具体的には、バルブ243bを開け
たままとして、処理室201内に不活性ガスを供給しつつ、図中省略の圧力センサにより検出された圧力情報に基づいて排気部のAPC242及びバルブ243bの開度を制御し、処理室201内の圧力を大気圧に昇圧する。そして、ヒータ217bの通電量を制御して、ウエハ200の温度を降温させる。
【0071】
(処理室内搬送系の動作)
そして、サセプタ217を下降させて、ウエハ200を、処理室201内のウエハ200の搬送位置まで移動させ、サセプタ217の表面から突出させたウエハ突き上げピン266上にウエハ200を支持させる。そして、ゲートバルブ244aを開き、真空搬送ロボット112(図1及び図2参照)を用いてウエハ200を処理室201の外へ搬出し、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。なお、上記において、ウエハ200の温度、処理室201内の圧力、各ガスの流量、筒状電極215に印加する電力、処理時間等の条件等は、改質対象の膜の材料や膜厚等によって任意に調整する。
【0072】
このように、工程内搬送系によって、プロセスチャンバ202a内に搬送されたウエハ200は、処理室内搬送系によって、ウエハ200の位置調整がされた後、処理系によって処理され、その後、処理室内搬送系によって、再びウエハ200の位置調整がされる。その後、処理済みのウエハは200は、上述した真空搬送室103(図1参照)に搬送され、ポッド109(図1参照)へ格納される。
【0073】
(6)電力供給系の構成及び動作
続いて、本実施形態に係る基板処理装置100の電力供給系について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る電力供給路を示す模式図である。図5は、本発明の一実施形態に係る開閉器の動作状況を示す表図である。
【0074】
図4に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置100は、処理系、処理室搬送系及び工程内搬送系の構成各部に電力を供給する主電源300に接続されている。そして、処理系への電力供給路301b上、すなわち主電源300と処理系の構成各部との間には、第1の開閉器301aが設けられている。また、処理室内搬送系への電力供給路302b上、すなわち主電源300と処理室内搬送系の構成各部との間には、第2の開閉器302aが設けられている。また、工程内搬送系への電力供給路303b上、すなわち主電源300と工程内搬送系の構成各部との間には、第3の開閉器303aが設けられている。そして、第1の開閉器301a、第2の開閉器302a、及び第3の開閉器303aには、各開閉器301a〜303aを制御する制御部221が、それぞれ接続されている。なお、制御部221も、主電源300に接続され、主電源300から電力が供給されるように構成されている。
【0075】
第1〜第3の開閉器301a〜303aには、制御部221が電気的に接続されている。すなわち、第1〜第3の開閉器301a〜303aは、制御部221からの制御信号に基づいて開閉が制御される電磁開閉器として構成されている。
【0076】
このように、本実施形態にかかる基板処理装置100では、処理系、処理室内搬送系、及び工程内搬送系への各電力供給路301b〜303b上に第1〜第3の開閉器301a〜303aがそれぞれ設けられている。これにより、各電力供給路301b〜303bの遮断や接続を個別に制御することができる。すなわち、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系の構成各部への電力の供給及び停止を個別に制御することができる。従って、待機状態にある系への電力供給路を遮断し、各系の構成各部への電力の供給を停止することができるので、待機電力等の電力の消費量を低減することができる。
【0077】
具体的には、まず、基板処理装置100がスタンバイモード、メンテナンスモード、又
はレシピ運用モードのうち、いずれのモードにあるかを制御部221が判断する。そして、制御部221で判断されたモードに基づいて、第1〜第3の開閉器301a〜303aの開閉を個別に制御する。
【0078】
(スタンバイモードの場合)
スタンバイモードとは、基板処理装置100が、基板処理装置100へのウエハ200の搬送を待っているモードである。具体的には、上述したように、ポッド109が、ロードポート105上に載置され、基板搬送口134を介してウエハ200が工程内搬送系に搬入されることを待っているモードである。
【0079】
制御部221がスタンバイモードと判断した場合は、処理系、処理室内搬送系、及び工程内搬送系のいずれも、待機状態にある。すなわち、各系の構成各部はいずれも未使用の状態にある。このため、図5に示すように、制御部221がスタンバイモードと判断した場合は、処理系への電力供給路301b、処理室内搬送系への電力供給路302b、及び工程内搬送系への電力供給路303bをすべて遮断するように、制御部221で第1〜第3の開閉器301a〜303aの開閉がそれぞれ制御される。これにより、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系の構成各部への電力の供給をすべて停止することができ、待機電力等の電力の消費量を低減することができる。
【0080】
なお、制御部221は、基板処理装置100の基板搬送口134にウエハ200が所定時間内に搬入されないとき、又は操作者からの操作コマンドの入力を受け付けたときに、基板処理装置100をスタンバイモードに切り替える。
【0081】
(メンテナンスモードの場合)
メンテナンスモードとは、基板処理装置100の点検を行うモードである。例えば、生産用のウエハ200を所定回数処理したプロセスチャンバ202a、真空搬送室103及び大気搬送室121では、内部の汚染具合などに応じて適宜メンテナンスが実施される。このメンテナンスの対象となるのは、例えば、プロセスチャンバ202aの壁面へのガス分子や反応生成物の付着等による真空到達度の劣化、センサ面の汚れの付着により感度の低下による異常発生を知らせるアラームの誤作動、等である。メンテナンスは、真空搬送室103からプロセスチャンバ202aを切り離さずに実施される。また、メンテナンスは、プロセスチャンバ202aを真空搬送室103から取り外して行ってもよい。なお、プロセスチャンバ202aを真空搬送室103から切り離さずにメンテナンスを行う利点としては、プロセスチャンバ202aの取り外し作業および取り付け作業を行う必要がなく、メンテナンス時間を短縮できることがあげられる。
【0082】
メンテナンスを行う際は、少なくとも処理系の構成各部が未使用の状態にあればよい。従って、図5に示すように、制御部221がメンテナンスモードと判断した場合は、少なくとも処理系への電力供給路301bを遮断するように、制御部221で第1の開閉器301aの開閉が制御される。ここで、処理室内搬送系及び工程内搬送系の構成各部は、実施されるメンテナンスによって、作動されたり、作動されなかったりする。従って、実施されるメンテナンスによって、処理室内搬送系の構成各部を作動させる必要がない場合は、処理室内搬送系への電力供給路302bをさらに遮断するように、制御部221で第2の開閉器302aの開閉を制御することが好ましい。同様に、工程内搬送系の構成各部を作動させる必要がない場合は、工程内搬送系への電力供給路303bをさらに遮断するように、制御部221で第3の開閉器303aの開閉を制御することが好ましい。
【0083】
なお、制御部221は、処理系、処理室内搬送系または工程内搬送系のいずれかからエラー情報を受信したとき、又は操作者からの操作コマンドの入力を受け付けたときに、基板処理装置100をメンテナンスモードに切り替える。
【0084】
(レシピ運用モードの場合)
レシピ運用モードとは、基板処理装置100に搬送されたウエハ200をレシピに基づいて処理するモードである。具体的には、例えば、レシピ運用モードは次の5つのレシピを有する。すなわち、(a)基板処理装置100の基板搬送口134に搬入されたウエハ200を、工程内搬送系により処理室201内に搬入する(工程内搬送)。(b)処理室201内に搬入されたウエハ200を、処理室内搬送系により処理室200内の処理位置に移動させる(処理室内搬送)。(c)処理位置に到達したウエハ200に、処理系により処理を実行する(基板処理)。(d)処理が終了したウエハ200を、処理室内搬送系により処理室201内の搬出位置に移動させる(処理室内搬送)。(e)処理室201内の搬出位置に到達したウエハ200を、工程内搬送系により基板処理装置100の基板搬送口134まで搬出する(工程内搬送)。レシピ運用モードでは、例えば、このような(a)〜(e)の5つのレシピに基づいて、ウエハ200の搬送及び処理が実施される。
【0085】
レシピ運用モードでは、レシピの進行状況に応じて、待機状態にある系が変化する。すなわち、上記(a)〜(e)のレシピのうち、いずれのレシピを実行しているかにより、使用される系が変わる。従って、図5に示すように、制御部221がレシピ運用モードと判断した場合、レシピの進行状況に応じて、処理系への電力供給路301b、処理室内搬送系電力供給路302b、又は工程内搬送系303bの電力供給路のうち、少なくとも一つを接続するように、制御部221が第1の開閉器301a、第2の開閉器302a及び第3の開閉器303aの開閉をそれぞれ制御する。
【0086】
具体的には、上記(a)のレシピを実行している場合は、少なくとも工程内搬送系の構成各部が使用可能な状態にあればよい。すなわち、ポッド109がロードポート105上に載置され、ウエハ200が、基板搬送口134を介して基板処理装置100内に搬入された後、ウエハ200が処理室201内に搬入されるまでは、少なくとも工程内搬送系の構成各部に電力が供給されていればよい。従って、工程内搬送系への電力供給路303bを接続するように、制御部221で第3の開閉器303aの開閉が制御される。このとき、処理系及び処理室内搬送系への電力供給路301b,302bが遮断するように、第1の開閉器301a及び第2の開閉器302aを制御することが好ましい。これにより、待機状態にある処理系及び処理室内搬送系の構成各部への電力の供給を停止することができる。従って、待機電力等の電力の消費量を低減することができる。
【0087】
上記(b)のレシピを実行している場合は、少なくとも処理室内搬送系の構成各部が使用可能な状態にあればよい。すなわち、ウエハ200が処理室201内に搬入された後、サセプタ昇降機構268を用いてサセプタ217を昇降させて、ウエハ200が処理室201内の処理位置に到達するまでは、少なくとも処理室内搬送系の構成各部に電力が供給されていればよい。従って、処理室内搬送系への電力供給路302bを接続するように、制御部221で第2の開閉器302aの開閉が制御される。このとき、処理系及び工程内搬送系への電力供給路301b,303bが遮断するように、第1の開閉器301a及び第3の開閉器303aを制御することが好ましい。これにより、待機状態にある処理系及び工程内搬送系の構成各部への電力の供給を停止することができる。従って、待機電力等の電力の消費量を低減することができる。
【0088】
上記(c)のレシピを実行している場合は、少なくとも処理系の構成各部が使用可能な状態にあればよい。すなわち、ウエハ200が処理室201内の処理位置に到達した後、ウエハ200への所定の処理が終了するまでは、少なくとも処理系の構成各部に電力が供給されていればよい。従って、処理系への電力供給路301bを接続するように、制御部221で第1の開閉器301aの開閉が制御される。このとき、処理室内搬送系及び工程内搬送系への電力供給路302b,303bが遮断するように、第2の開閉器302a及
び第3の開閉器303aを制御することが好ましい。これにより、処理室内搬送系及び工程内搬送系の構成各部への電力の供給を停止することができる。従って、待機電力等の電力の消費量を低減することができる。
【0089】
上記(d)のレシピを実行している場合は、少なくとも処理室内搬送系の構成各部が使用可能な状態にあればよい。すなわち、ウエハ200への所定の処理が終了した後、サセプタ昇降機構268を用いてサセプタ217を昇降させて、ウエハ200が処理室201内の搬出位置に到達するまでは、少なくとも処理室内搬送系の構成各部に電力が供給されていればよい。従って、処理室内搬送系への電力供給路302bを接続するように、制御部221で第2の開閉器302aの開閉が制御される。このとき、処理系及び工程内搬送系への電力供給路301b,303bが遮断するように、第1の開閉器301a及び第3の開閉器303aを制御することが好ましい。これにより、待機状態にある処理系及び工程内搬送系の構成各部への電力の供給を停止することができる。従って、待機電力等の電力の消費量を低減することができる。
【0090】
上記(e)のレシピを実行している場合は、少なくとも工程内搬送系の構成各部が使用可能な状態にあればよい。すなわち、ウエハ200が処理室201内の搬出位置に到達した後、ウエハ200が基板搬送口134を介して、ロードポート105上に載置されたポッド109に収納されて基板処理装置100から搬出されるまでは、少なくとも工程内搬送系の構成各部に電力が供給されていればよい。従って、工程内搬送系への電力供給路303bを接続するように、制御部221で第3の開閉器303aの開閉が制御される。このとき、処理系及び処理室内搬送系への電力供給路301b,302bが遮断するように、第1の開閉器301a及び第2の開閉器302aを制御することが好ましい。これにより、待機状態にある処理系及び処理室内搬送系の構成各部への電力の供給を停止することができる。従って、待機電力等の電力の消費量を低減することができる。
【0091】
なお、制御部221は、工程内搬送系へのウエハ200の搬入を受信したとき、又は操作者からの操作コマンドの入力を受け付けたときに、基板処理装置100をレシピ運用モードに切り替える。
【0092】
上述したように、本実施形態にかかる基板処理装置100には、処理系への電力供給路301b上に第1の開閉器301aが設けられ、処理室内搬送系への電力供給路302b上に第2の開閉器302aが設けられ、工程内搬送系への電力供給路303b上に第3の開閉器303aが設けられている。これにより、基板処理装置100のモードに応じて、待機状態にあり、使用されていない状態にある系への電力供給路をそれぞれ遮断することができ、電力の供給を個別に停止することができる。これにより、待機電力等の電力消費量を低減することができる。
【0093】
なお、上述した第1〜第3の開閉器301a〜303aの開閉の制御は、半導体装置の製造工程の一工程として行われる。
【0094】
すなわち、処理系への電力供給路301b上に設けられた第1の開閉器301aと、処理室内搬送系への電力供給路302b上に設けられた第2の開閉器302aと、工程内搬送系への電力供給路303b上に設けられた第3の開閉器303aと、を備える基板処理装置100は、スタンバイモード、メンテナンスモード、又はレシピ運用モードのうち、いずれのモードにあるかを判断する工程を有する。この工程で、スタンバイモードと判断された場合は、処理系への電力供給路301b、処理室内搬送系への電力供給路302b及び工程内搬送系への電力供給路303bをすべて遮断するように、第1の開閉器301a、第2の開閉器302a及び第3の開閉器303aを制御する工程へと進む。メンテナンスモードと判断された場合は、少なくとも処理系への電力供給路301bを遮断するよ
うに、少なくとも第1の開閉器301aを制御する工程へと進む。そして、レシピ運用モードと判断された場合は、レシピの進行状況に応じて、処理系への電力供給路301b、処理室内搬送系への電力供給路302b、又は工程内搬送系への電力供給路303bのうち、少なくとも一つを接続するように、第1の開閉器301a、第2の開閉器302a及び第3の開閉器303aを制御する工程と進み、ウエハ200の処理が行われる。
【0095】
本実施形態では、第1〜第3の開閉器301a〜303aの開閉を制御する制御部221は、上述した処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系を制御する制御部と併用する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、第1〜第3の開閉器の開閉を制御する制御部と、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系の構成各部を制御する制御部とはそれぞれ、別の制御部であってもよい。
【0096】
また、本実施形態では、第1〜第3の開閉器301a〜303aとして、制御部221によって電気的に開閉される電磁開閉器が用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、第1〜第3の開閉器301a〜303aとして、手動で開閉を切り替える開閉器を用いてもよい。
【0097】
(7)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0098】
(a)本実施形態によれば、処理系への電力供給路301b上に、第1の開閉器301aを設けている。そして、処理室内搬送系への電力供給路302b上に、第2の開閉器302aを設けている。そして、工程内搬送系への電力供給路303b上に、第3の開閉器303aを設けている。これにより、それぞれの系への電力供給路301b〜303bの遮断及び接続を個別に制御することができる。従って、待機状態にあり、使用されていない系への電力供給路を遮断し、電力の供給を停止することができる。このため、待機電力等の電力の消費量を低減することができる。
【0099】
(b)本実施形態によれば、第1の開閉器301a、第2の開閉器302a及び第3の開閉器303aが制御部221に接続されている。そして、制御部221は、基板処理装置100がスタンバイモード、メンテナンスモード又はレシピ運用モードのいずれのモードにあるかを判断する。これにより、制御部221が判断したモードに応じて、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系への電力供給路301b〜303bを効果的に個別に遮断したり、接続することができる。従って、電力の消費量をより低減することができる。
【0100】
(c)制御部221が、基板処理装置100がレシピ運用モードにあると判断した場合、レシピの進行状況に応じて、処理系への電力供給路301b、処理室内搬送系への電力供給路302b、又は工程内搬送系への電力供給路303bのうち、少なくとも一つを接続するように、第1〜第3の開閉器301a〜303aの開閉が個別に制御される。従って、電力の消費量を効果的に低減することができる。
【0101】
(d)制御部221が、基板処理装置100がメンテナンスモードにあると判断した場合、少なくとも処理系への電力供給路301bを遮断するように、第1〜第3の開閉器301a〜303aの開閉が制御される。従って、電力の消費量をより効果的に低減することができる。
【0102】
(e)制御部221が、基板処理装置100がスタンバイモードにあると判断した場合、処理系への電力供給路301b、処理室内搬送系への電力供給路302b及び工程内搬送系への電力供給路303bの全ての電力供給路を遮断するように、第1〜第3の開閉器301a〜303aの開閉が個別に制御される。従って、電力の消費量をさらに効果的に低
減することができる。
【0103】
(f)本実施形態によれば、第1〜第3の開閉器301a〜303aが制御部221に接続されて、電気的に制御されている。従って、基板処理装置100のモードに応じて、確実に第1〜第3の開閉器301a〜303aの開閉を個別に制御することができる。このため、電力の消費量をより低減することができる。
【0104】
以下、参考までに、従来の基板処理装置が備える電力供給路について、図9を用いて説明する。図9に示すように、従来の基板処理装置は、主電源と、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系とが、直接接続されていた。従って、例えば基板処理装置100がスタンバイモードにあり、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系が待機状態で、使用されていない場合であっても、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系への電力供給路は接続されたままであった。すなわち、処理系、処理室内搬送系及び工程内搬送系の構成各部は使用されていないにもかかわらず、使用可能な状態に電力が供給されていた。このため、基板処理装置100の電力の消費量が多くなるという問題があった。これに対し、本実施形態によれば、処理系への電力供給路301b、処理室内搬送系への電力供給路302b及び工程内搬送系への電力供給路303bにそれぞれ、第1〜第3の開閉器301a〜303aが設けられている。このため、この課題を効果的に解決することができる。
【0105】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0106】
上述した実施形態では、処理系への電力供給路301b上に第1の開閉器301aを設け、処理室内搬送系への電力供給路302b上に第2の開閉器302aを設け、工程内搬送系への電力供給路303b上に第3の開閉器303aを設ける構成とした。すなわち、基板処理装置に3つの開閉器301a〜303aが設けられる構成とした。しかしながら、第1の開閉器301a及び第2の開閉器302aを設け、2つの開閉器301a,302aの開閉を制御する構成としてもよい。以下、このような構成を備えた実施形態について説明する。
【0107】
図6は、本実施形態に係る基板処理装置が備える電力供給路を示す模式図である。図6に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置は、処理室内搬送系への電力供給路302bと、工程内搬送系への電力供給路303bとを合流させて搬送系への電力供給路304とし、この搬送系への電力供給路304上に第2の開閉器302aを設ける構成とした点が、上述した実施形態と異なる。その他の形態は、上述の実施形態と同様である。
【0108】
本実施形態にかかる基板処理装置100には、処理系の電力供給路301b上に第1の開閉器301aが設けられている。そして、処理室内搬送系への電力供給路302bと工程内搬送系への電力供給路303bとを合流させて搬送系の電力供給路304とし、この搬送系の電力供給路304上に第2の開閉器302aが設けられている。すなわち、主電源300と、搬送系(処理室内搬送系及び工程内搬送系)の構成各部との間に、第2の開閉器302aが設けられている。そして、第1の開閉器301a及び第2の開閉器302aには、制御部221がそれぞれ電気的に接続されている。
【0109】
また、本実施形態は、例えば処理系への電力供給路301b上に第1の開閉器301aを設け、処理室内搬送系への電力供給路302b上に第2の開閉器302aを設ける構成としてもよい。
【0110】
上述した実施形態では、2つ又は3つの開閉器が設けられている。しかしながら、基板
処理装置の電力供給路を4つ以上にし、4つ以上の開閉器が設けられてもよい。
【0111】
本実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0112】
<本発明の更に他の実施形態>
上述した実施形態では、基板処理装置としてMMT装置100を用いて実施する場合を説明したが、本発明は、それに限らずその他の装置、例えばICP(Inductively Coupled Plasma)装置、ECR(Electron Cyclotron Resonance)装置を用いても実施可能である。
【0113】
図7は、本発明の更に他の実施形態に係る基板処理装置であるICP方式プラズマ処理装置100aを示している。本実施形態にかかる構成の詳細な説明は、前記実施形態と同様の機能を有する構成要件に同一の符号を付して省略する。本実施形態に係るICP方式プラズマ処理装置100aは、電力を供給してプラズマを生成するプラズマ生成部としての誘電コイル315a,315bを備えている。誘電コイル315aは、処理容器203の天井側の外側に敷設されている。誘電コイル315bは、処理容器203の外周壁の外側に敷設されている。本実施形態においても、少なくとも処理ガス230をガス供給管232から、ガス導入部234を経由して処理室201内へ供給する。また、ガス供給と前後して、プラズマ生成部である誘電コイル315a,315bへ高周波電力を流すと、電磁誘導により電界が生じる。この電界をエネルギーとして、供給された処理ガス230をプラズマ状態として励起させて、活性種を生成することができる。
【0114】
図8は、本発明の更に他の実施形態に係る基板処理装置であるECR方式プラズマ処理装置100bを示している。本実施形態にかかる構成の詳細な説明は、前記実施形態と同様の機能を有する構成要件に同一の符号を付して省略する。本実施形態に係るECR方式プラズマ処理装置100bは、マイクロ波を供給してプラズマを生成するプラズマ生成部としてのマイクロ波生成器415a、マイクロ波導入管415b及び図示しない誘電コイルを備えている。マイクロ波導入管415bは、処理容器203の天井壁の外側に敷設されている。図示しない誘電コイルは、処理容器203の外周壁の外側に敷設されている。本実施形態においても、少なくとも処理ガス230をガス供給管232から、ガス導入部234を経由して処理室201内へ供給する。また、ガス供給と前後して、プラズマ生成部であるマイクロ波導入管415bへ、マイクロ波生成器415aで生成されたマイクロ波418aを導入し、その後、マイクロ波418aを処理室201へ放射させる。このマイクロ波418aと、図示しない誘電コイルからの高周波電力とにより、供給された処理ガス230をプラズマ状態として励起させ、活性種を生成することができる。
【0115】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0116】
本発明の一態様によれば、
処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、
前記処理室内に搬入された前記基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、
少なくとも前記処理系及び前記処理室内搬送系に電力を供給する主電源と、
前記処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、
前記処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、を備える基板処理装置が提供される。
【0117】
好ましくは、
少なくとも前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記基板処理装置が、前記基板処理装置への前記基板の搬送を待つスタンバイモード、前記基板処理装置の点検を行うメンテナンスモード又は前記基板処理装置に搬送された前記基板をレシピに基づいて処理するレシピ運用モードのうち、いずれのモードにあるかを判断し、
前記スタンバイモードと判断した場合は、前記処理系への電力供給路及び前記処理室内搬送系への電力供給路を遮断し、
前記メンテナンスモードと判断した場合は、少なくとも前記処理系への電力供給路を遮断し、
前記レシピ運用モードと判断した場合は、前記レシピの進行状況に応じて、前記処理系への電力供給路又は前記処理室内搬送系への電力供給路の少なくとも一つを接続するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する。
【0118】
さらに好ましくは、
前記制御部は、前記レシピ運用モードと判断した場合、
前記基板が前記処理室内に搬入され、前記基板が前記処理室内の前記処理位置に到達するまでは、少なくとも前記処理室内搬送系への電力供給路を接続し、
前記基板が前記処理位置に到達した後、処理が終了するまでは、少なくとも前記処理系への電力供給路を接続し、
処理が終了した後、前記基板が前記処理室内の搬出位置に到達するまでは、少なくとも前記処理室内搬送系への電力供給路を接続するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する。
【0119】
本発明の他の態様によれば、
処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、
前記処理室内に搬入された前記基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、
前記処理室内外へ前記基板を搬送する工程内搬送系と、
少なくとも前記処理系、前記処理室内搬送系及び前記工程内搬送系に電力を供給する主電源と、
前記処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、
前記処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、
前記工程内搬送系への電力供給路上に設けられた第3の開閉器と、を備える基板処理装置が提供される。
【0120】
好ましくは、
少なくとも前記第1の開閉器、前記第2の開閉器及び前記第3の開閉器を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記基板処理装置が、前記基板処理装置への前記基板の搬送を待つスタンバイモード、前記基板処理装置の点検を行うメンテナンスモード、又は前記基板処理装置に搬送された前記基板をレシピに基づいて処理するレシピ運用モードのうち、いずれのモードにあるかを判断し、
前記スタンバイモードと判断した場合は、前記処理系への電力供給路、前記処理室内搬送系への電力供給路及び前記工程内搬送系への電力供給路を遮断し、
前記メンテナンスモードと判断した場合は、少なくとも前記処理系への電力供給路を遮断し、
前記レシピ運用モードと判断した場合は、前記レシピの進行状況に応じて、前記処理系への電力供給路、前記処理室内搬送系電力供給路、又は前記工程内搬送系の電力供給路のうち、少なくとも一つを接続するように、前記第1の開閉器、前記第2の開閉器及び前記第3の開閉器を制御する。
【0121】
さらに好ましくは、
前記制御部は、前記レシピ運用モードと判断した場合、
前記基板が前記基板処理装置の基板搬送口に搬入された後、前記基板が前記処理室内に搬入されるまでは、少なくとも前記工程内搬送系の電力供給路を接続し、
前記基板が前記処理室内に搬入された後、前記基板が前記処理室内の前記処理位置に到達するまでは、少なくとも前記処理室内搬送系の電力供給路を接続し、
前記基板が前記処理位置に到達した後、処理が終了するまでは、少なくとも前記処理系の電力供給路を接続し、
処理が終了した後、前記基板が前記処理室内の搬出位置に到達するまでは、少なくとも前記処理室内搬送系の電力供給路を接続し、
前記基板が前記処理室内の前記搬出位置に到達した後、前記基板が前記基板処理装置の前記基板搬送口まで搬出されるまでは、少なくとも前記工程内搬送系の電力供給路を接続するように、前記第1の開閉器、前記第2の開閉器及び前記第3の開閉器を制御する。
【0122】
さらに好ましくは、
前記制御部は、前記基板処理装置の前記基板搬送口に前記基板が所定時間内に搬入されないとき、又は操作者からの操作コマンドの入力を受け付けたときに、前記基板処理装置を前記スタンバイモードに切り替える。
【0123】
さらに好ましくは、
前記制御部は、前記処理系、前記処理室内搬送系または前記工程内搬送系のいずれかからエラー情報を受信したとき、又は操作者からの操作コマンドの入力を受け付けたときに、前記基板処理装置を前記メンテナンスモードに切り替える。
【0124】
さらに好ましくは、
前記制御部は、前記工程内搬送系への前記基板の搬入を受信したとき、又は操作者からの操作コマンドの入力を受け付けたときに、前記基板処理装置を前記レシピ運用モードに切り替える。
【0125】
本発明のさらに他の態様によれば、
処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、前記処理室内に搬入された前記基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、前記処理室内外へ前記基板を搬送する工程内搬送系と、少なくとも前記処理系、前記処理室内搬送系及び前記工程内搬送系に電力を供給する主電源と、を備える基板処理装置により実施される半導体装置の製造方法であって、
前記基板処理装置は、前記処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、前記処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、を備え、
前記基板処理装置への前記基板の搬送を待つスタンバイモード、前記基板処理装置の点検を行うメンテナンスモード、又は前記基板処理装置に搬送された前記基板をレシピに基づいて処理するレシピ運用モードのうち、前記基板処理装置がいずれのモードにあるかを判断する工程と、
前記スタンバイモードと判断された場合は、前記処理系への電力供給路及び前記処理室内搬送系への電力供給路を遮断するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する工程と、
前記メンテナンスモードと判断された場合は、少なくとも前記処理系への電力供給路を遮断するように、前記第1の開閉器を制御する工程と、
前記レシピ運用モードと判断された場合は、前記レシピの進行状況に応じて、前記処理系への電力供給路又は前記処理室内搬送系への電力供給路の少なくとも一つを接続するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0126】
本発明のさらに他の態様によれば、
処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、前記処理室内に搬入された前記基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、前記処理室内外へ前記基板を搬送する工程内搬送系と、少なくとも前記処理系、前記処理室内搬送系及び前記工程内搬送系に電力を供給する主電源と、を備える基板処理装置により実施される半導体装置の製造方法であって、
前記基板処理装置は、前記処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、前記処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、前記工程内搬送系への電力供給路上に設けられた第3の開閉器と、を備え、
前記基板処理装置への前記基板の搬送を待つスタンバイモード、前記基板処理装置の点検を行うメンテナンスモード、又は前記基板処理装置に搬送された前記基板をレシピに基づいて処理するレシピ運用モードのうち、前記基板処理装置がいずれのモードにあるかを判断する工程と、
前記スタンバイモードと判断された場合は、前記処理系への電力供給路、前記処理室内搬送系への電力供給路及び前記工程内搬送系への電力供給路を遮断するように、前記第1の開閉器、前記第2の開閉器及び前記第3の開閉器を制御する工程と、
前記メンテナンスモードと判断された場合は、少なくとも前記処理系への電力供給路を遮断するように、前記第1の開閉器を制御する工程と、
前記レシピ運用モードと判断された場合は、前記レシピの進行状況に応じて、前記処理系への電力供給路、前記処理室内搬送系への電力供給路、又は前記工程内搬送系への電力供給路のうち、少なくとも一つを接続するように、前記第1の開閉器、前記第2の開閉器及び前記第3の開閉器を制御する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0127】
112 真空搬送ロボット
125 大気搬送ロボット
200 ウエハ
201 処理室
217b ヒータ
268 サセプタ昇降機構
272 整合器
273 高周波電源
300 主電源
301a,302a,303a 開閉器
301b,302b,303b 電力供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、
前記処理室内に搬入された前記基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、
少なくとも前記処理系及び前記処理室内搬送系に電力を供給する主電源と、
前記処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、
前記処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、を備える
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
少なくとも前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記基板処理装置が、前記基板処理装置への前記基板の搬送を待つスタンバイモード、前記基板処理装置の点検を行うメンテナンスモード又は前記基板処理装置に搬送された前記基板をレシピに基づいて処理するレシピ運用モードのうち、いずれのモードにあるかを判断し、
前記スタンバイモードと判断した場合は、前記処理系への電力供給路及び前記処理室内搬送系への電力供給路を遮断し、
前記メンテナンスモードと判断した場合は、少なくとも前記処理系への電力供給路を遮断し、
前記レシピ運用モードと判断した場合は、前記レシピの進行状況に応じて、前記処理系への電力供給路又は前記処理室内搬送系への電力供給路の少なくとも一つを接続するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
処理室内に搬入された基板を処理する処理系と、前記処理室内に搬入された前記基板の処理位置を調整する処理室内搬送系と、前記処理室内外へ前記基板を搬送する工程内搬送系と、少なくとも前記処理系、前記処理室内搬送系及び前記工程内搬送系に電力を供給する主電源と、を備える基板処理装置により実施される半導体装置の製造方法であって、
前記基板処理装置は、前記処理系への電力供給路上に設けられた第1の開閉器と、前記処理室内搬送系への電力供給路上に設けられた第2の開閉器と、を備え、
前記基板処理装置への前記基板の搬送を待つスタンバイモード、前記基板処理装置の点検を行うメンテナンスモード、又は前記基板処理装置に搬送された前記基板をレシピに基づいて処理するレシピ運用モードのうち、前記基板処理装置がいずれのモードにあるかを判断する工程と、
前記スタンバイモードと判断された場合は、前記処理系への電力供給路及び前記処理室内搬送系への電力供給路を遮断するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する工程と、
前記メンテナンスモードと判断された場合は、少なくとも前記処理系への電力供給路を遮断するように、前記第1の開閉器を制御する工程と、
前記レシピ運用モードと判断された場合は、前記レシピの進行状況に応じて、前記処理系への電力供給路又は前記処理室内搬送系への電力供給路の少なくとも一つを接続するように、前記第1の開閉器及び前記第2の開閉器を制御する工程と、を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−62418(P2013−62418A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200581(P2011−200581)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】