基板処理装置及び基板移載方法
【課題】枚葉移載と一括移載を切り替える際に、パーティクル発生を抑制することのできる基板処理装置を提供する。
【解決手段】複数の基板が収容される基板収容器と、複数の基板が積載されるボートと、複数の基板が積載されたボートを収容し前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と、前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、前記基板移載装置は、1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備え、1枚の基板を移載する場合は、第1の駆動部により枚葉移載用プレートを駆動し、複数枚の基板を移載する場合は、第1の駆動部と第2の駆動部により、枚葉移載用プレートと一括移載用プレートを同期して駆動するように、基板処理装置を構成する。
【解決手段】複数の基板が収容される基板収容器と、複数の基板が積載されるボートと、複数の基板が積載されたボートを収容し前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と、前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、前記基板移載装置は、1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備え、1枚の基板を移載する場合は、第1の駆動部により枚葉移載用プレートを駆動し、複数枚の基板を移載する場合は、第1の駆動部と第2の駆動部により、枚葉移載用プレートと一括移載用プレートを同期して駆動するように、基板処理装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウェハ(以下、ウェハという。)等の基板を処理する基板処理装置及び基板処理方法に関し、特に、絶縁膜や金属膜および半導体膜等を成膜する縦型装置において、基板支持具としてのボートへ基板を移載する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造プロセスの1つに、縦型装置を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)処理がある。これはボートに積層した複数枚のシリコンウェハ等の基板を、縦型装置の処理炉内で加熱し、化学気相堆積(CVD)させるものである。ボートの中央部には、複数枚の製品用ウェハが搭載され、ボートの上下端部には、各複数枚のダミーウェハが搭載される。ボート上下端部のダミーウェハは、製品用ウェハの成膜処理の均質化を図るためのものである。製品用ウェハの途中には、検査用のモニタウェハが、所定の間隔で各1枚配列される。
【0003】
ウェハ移載装置は、ウェハ収容器に装填されたウェハを前記ボートへ移載し、また、処理後のウェハを空のウェハ収容器へ戻すものである。従来のウェハ移載装置においては、下記の特許文献1に開示されているように、ウェハを収納するウェハ収容器とボートとの間で、一度に一枚のウェハを移載する枚葉移載用プレートを用いて、モニタウェハやダミーウェハの移載を行い、一度に複数枚のウェハを移載する複数枚のプレートを用いて、製品用ウェハやダミーウェハの移載を行っている。
このように、枚葉移載用プレートを用いてウェハの移載を行うと、ボート上におけるウェハの多様な配列に対応でき、複数枚のプレートを用いてウェハの移載を行うと、ウェハ移載時間が短縮できるものである。
【0004】
従来のウェハ移載装置、すなわち基板移載装置の構造について、図9〜図11を用いて説明する。図9は、一括移載を行う場合における従来の基板移載装置を示す垂直断面図である。図10と図11は、従来の基板移載装置を示す斜視図である。
図9において、51は枚葉移載用プレート、52は枚葉移載用プレート51を固定し支持する枚葉プレート固定部、53は枚葉プレート固定部52と結合された枚葉移載テーブル、57は枚葉移載テーブル53を直線動作させるためのモータ、56aはモータ57に取り付けられたプーリ、56bはプーリ56aと対をなすプーリ、55はプーリ56aと56bの間で回転走行するベルト、54は枚葉移載テーブル53とベルト55の一部を連結する連結金具、58は枚葉移載テーブル53を支持し水平方向に直線動作させるための枚葉移載用レールである。
【0005】
61は複数のプレートからなる一括移載用プレートで、本例では4枚である。62は一括移載用プレート61を固定し支持する一括移載プレート固定部、63は一括移載プレート固定部62と結合された一括移載テーブル、64は一括移載テーブル63と枚葉移載テーブル53を連結するための連結ピン、65は連結ピン64を水平方向に直線動作させるエアシリンダ、68は一括移載テーブル63を支持し水平方向に直線動作させるための一括移載用レールである。
図9に示すように、連結ピン64は、一括移載テーブル63を貫通し、枚葉移載テーブル53の凹部に勘合可能であり、また、枚葉移載テーブル53の凹部から離脱可能な構造となっている。
【0006】
次に、従来のウェハ移載装置の動作について、図12〜図14を用いて説明する。図12は、従来の基板移載装置が枚葉移載を行う場合の斜視図である。図13は、従来の基板移載装置が枚葉移載を行う場合の垂直断面図である。図14は、従来の基板移載装置が一括移載を行う場合の斜視図である。
図12に示すように、枚葉移載用プレート51のみを用いて1枚のウェハ移載を行う場合は、図13に示すように、エアシリンダ65の働きにより、連結ピン64を、枚葉移載テーブル53の凹部から離脱させる。この状態で、モータ57を駆動すると、モータ57の回転運動が、プーリ56aを介してベルト55に伝わり、ベルト55の直線運動が連結金具54を介して枚葉移載テーブル53に伝わり、枚葉プレート固定部52と枚葉移載用プレート51を水平方向に直線運動させる。連結ピン64が枚葉移載テーブル53から外れているので、一括移載テーブル63は動かず、したがって、一括移載用プレート61も動かない。
【0007】
図14に示すように、枚葉移載用プレート51と一括移載用プレート61の両方を用いて、複数枚(本例では5枚)のウェハ移載を行う場合は、図9に示すように、エアシリンダ65の働きにより、連結ピン64を、枚葉移載テーブル53の凹部に勘合させる。この状態で、モータ57を駆動すると、モータ57の回転運動が、プーリ56a、ベルト55、連結金具54を介して枚葉移載テーブル53に伝わり、枚葉移載テーブル53の直線運動が、連結ピン64を介して、一括移載テーブル63に伝わる。かくして、枚葉移載用プレート51と一括移載用プレート61の両方が、水平方向に直線運動を行うので、枚葉移載用プレート51と一括移載用プレート61の両方を用いて、複数枚のウェハの一括移載をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−340304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の基板移載装置においては、枚葉移載と一括移載を切り替える際に、エアシリンダを駆動して連結ピンを抜き差しするため、エアシリンダや連結ピンの擦れに起因して、パーティクルが生じ易いという課題がある。
本発明の目的は、枚葉移載と一括移載を切り替える際に、パーティクル発生を抑制することのできる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための、本発明に係る基板処理装置の代表的な構成は、次のとおりである。
複数の基板が収容される基板収容器と、
複数の基板が積載されるボートと、
複数の基板が積載されたボートを収容し、前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と
前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、
前記基板移載装置は、
1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備え、
1枚の基板を移載する場合は、前記第1の駆動部により前記枚葉移載用プレートを駆動し、複数枚の基板を移載する場合は、前記第1の駆動部と前記第2の駆動部により、前記枚葉移載用プレートと前記一括移載用プレートを同期して駆動することを特徴とする基板処理装置。
【0011】
また、本発明に係る基板処理方法の代表的な構成は、次のとおりである。
複数の基板が収容される基板収容器と、複数の基板が積載されるボートと、複数の基板が積載されたボートを収容し前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と、前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、前記基板移載装置は、1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備える基板処理装置における基板移載方法であって、
前記第1の駆動部により前記枚葉移載用プレートを駆動して、1枚の基板を移載する工程と、
前記第1の駆動部と前記第2の駆動部により、前記枚葉移載用プレートと前記一括移載用プレートを同期して駆動して、複数枚の基板を移載する工程とを備えることを特徴とする基板移載方法。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成によれば、枚葉移載と一括移載を切り替える際に、パーティクル発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】図1のA−A線における垂直断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る熱処理炉の垂直断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る基板移載装置の垂直断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る基板移載装置の斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係る基板移載装置の斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係る基板移載装置が、枚葉移載を行う場合の斜視図である。
【図8】本発明の実施例に係る基板移載装置が、一括移載を行う場合の斜視図である。
【図9】従来の基板移載装置が一括移載を行う場合の垂直断面図である。
【図10】従来の基板移載装置を示す斜視図である。
【図11】従来の基板移載装置を示す斜視図である。
【図12】従来の基板移載装置が枚葉移載を行う場合の斜視図である。
【図13】従来の基板移載装置が枚葉移載を行う場合の垂直断面図である。
【図14】従来の基板移載装置が一括移載を行う場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例における基板処理装置を説明する。本実施例における基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC:Integrated Circuit)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。なお、以下の説明では、基板処理装置として、基板に酸化、拡散処理やCVD処理などを行うバッチ式縦型半導体製造装置(以下、単に処理装置という)を適用した場合について述べる。図1は、本発明が適用される処理装置の平面透視図である。また、図2は図1に示す処理装置の側面透視図であり、図1のA−A線における垂直断面図である。
【0015】
図1および2に示されているように、シリコン等からなるウェハ(基板)200を収納したウェハキャリアとしてFOUP(基板収容器。以下ポッドという。)110が使用されている本発明の処理装置100は、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104、104がそれぞれ建て付けられている。
筐体111の正面壁にはポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出されるようになっている。
【0016】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱116と、支柱116に上下四段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されており、ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されており、ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0017】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウェハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウェハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウェハ搬入搬出口120、120には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。
ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウェハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0018】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウェハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウェハ移載機構125は、ウェハ200を水平方向に回転ないし直線動作可能なウェハ移載装置(基板移載装置)125aおよびウェハ移載装置125aを昇降させるためのウェハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。これら、ウェハ移載装置エレベータ125bおよびウェハ移載装置125aの連続動作により、ウェハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウェハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウェハ200を装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0019】
図1に示されているように移載室124のウェハ移載装置エレベータ125b側と反対側である右側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給フアンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されている。
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ウェハ移載装置125aに流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出されるように構成されている。
【0020】
移載室124の後側領域には、大気圧未満の圧力(以下、負圧という。)を維持可能な機密性能を有する筐体(以下、耐圧筐体という。)140が設置されており、この耐圧筐体140によりボート217を収容可能な容積を有するロードロック方式の待機室であるロードロック室141が形成されている。
耐圧筐体140の正面壁140aにはウェハ搬入搬出開口(基板搬入搬出開口)142が開設されており、ウェハ搬入搬出開口142はゲートバルブ(基板搬入搬出口開閉機構)143によって開閉されるようになっている。耐圧筐体140の一対の側壁にはロードロック室141へ窒素ガスを給気するためのガス供給管144と、ロードロック室141を負圧に排気するための排気管145とがそれぞれ接続されている。
ロードロック室141上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は炉口ゲートバルブ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。耐圧筐体140の正面壁140aの上端部には、炉口ゲートバルブ147を処理炉202の下端部の開放時に収容する炉口ゲートバルブカバー149が取り付けられている。
【0021】
図1に示されているように、耐圧筐体140にはボート217を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115に連結された連結具としてのアーム128には蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウェハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0022】
次に、本発明の処理装置の概略動作について説明する。
図1および図2に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウェハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0023】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウェハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ポッド110のウェハ出し入れ口が開放される。また、予め内部が大気圧状態とされていたロードロック室141のウェハ搬入搬出開口142がゲートバルブ143の動作により開放されると、ウェハ200はポッド110からウェハ移載装置125aのツイーザ125cによってウェハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ノッチ合わせ装置301にてウェハを整合した後、ウェハ搬入搬出開口142を通じてロードロック室141に搬入され、ボート217へ移載されて装填(ウェハチャージング)される。ボート217にウェハ200を受け渡したウェハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウェハ110をボート217に装填する。ウェハ移載装置125aの構造や動作については、後で詳しく説明する。
【0024】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウェハ移載装置125aによるウェハのボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には回転式ポッド棚105ないしロードポート114から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0025】
予め指定された枚数のウェハ200がボート217装填されると、ウェハ搬入搬出開口142がゲートバルブ143によって閉じられ、ロードロック室141は排気管145から真空引きされることにより、減圧される。
ロードロック室141が処理炉202内の圧力と同圧に減圧されると、処理炉202の下端部が炉口ゲートバルブ147によって開放される。このとき、炉口ゲートバルブ147は炉口ゲートバルブカバー149の内部に搬入されて収容される。
続いて、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されて、シールキャップ219に支持されたボート217が処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0026】
ローディング後は、処理炉202にてウェハ200に任意の処理が実施される。
処理後は、ボートエレベータ115によりボート217が引き出され、更に、ロードロック室141内部を大気圧に復圧させた後にゲートバルブ143が開かれる。その後は、ノッチ合わせ装置135でのウェハの整合工程を除き、概上述の逆の手順で、ウェハ200およびポッド110は筐体111の外部へ払出される。
【0027】
以下に本発明の実施例における処理炉を図面に基いて説明する。
図3は本発明の実施例で好適に用いられる基板処理装置の処理炉202の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
図3http://sgpat2.head.hitachi.co.jp/pat_www/fpic?AA04304128/000003.gifに示されているように、処理炉202は加熱機構としてのヒータ206を有する。ヒータ206は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0028】
ヒータ206の内側には、ヒータ206と同心円状に反応管としてのプロセスチューブ203が配設されている。プロセスチューブ203は内部反応管としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ205とから構成されている。インナーチューブ204は、例えば石英(SiO2 )または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ204の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウェハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。アウターチューブ205は、例えば石英または炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、内径がインナーチューブ204の外径よりも大きく上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、インナーチューブ204と同心円状に設けられている。
【0029】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状にマニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、インナーチューブ204とアウターチューブ205に係合しており、これらを支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間にはシール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベース251に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ203とマニホールド209により反応容器が形成される。
【0030】
後述するシールキャップ219にはガス導入部としてのノズル230が処理室201内に連通するように接続されており、ノズル230にはガス供給管232が接続されている。ガス供給管232のノズル230との接続側と反対側である上流側には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241を介して図示しない処理ガス供給源や不活性ガス供給源が接続されている。MFC241には、ガス流量制御部235が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0031】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、インナーチューブ204とアウターチューブ205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されており、筒状空間250に連通している。排気管231のマニホールド209との接続側と反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ245および圧力調整装置242を介して真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。圧力調整装置242および圧力センサ245には、圧力制御部236が電気的に接続されており、圧力制御部236は圧力センサ245により検出された圧力に基づいて圧力調整装置242により処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0032】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219はマニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面にはマニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられる。シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボートを回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255はシールキャップ219を貫通して、後述するボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウェハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219はプロセスチューブ203の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201に対し搬入搬出することが可能となっている。回転機構254及びボートエレベータ115には、駆動制御部237が電気的に接続されており、所望の動作をするよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0033】
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウェハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なおボート217の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、ヒータ206からの熱がマニホールド209側に伝わりにくくなるよう構成されている。
【0034】
プロセスチューブ203内には、温度検査器としての温度センサ263が設置されている。ヒータ206と温度センサ263には、電気的に温度制御部238が接続されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ206への通電具合を調整することにより処理室201内の温度が所望の温度分布となるように所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0035】
ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238は、図示しない操作部、入出力部とともに、基板処理装置全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、主制御部239はコントローラ240として構成されている。
【0036】
次に、本発明の実施例に係る基板移載装置125aの構成と動作を、図4〜図8を用いて詳しく説明する。基板移載装置125aは、駆動制御部237に電気的に接続されており、駆動制御部237により制御される。図4は、本発明の実施例に係る基板移載装置の垂直断面図である。図5と図6は、本発明の実施例に係る基板移載装置の斜視図である。図4〜図6で示すものは、本実施例に係る基板移載装置125aの、特に基板把持部を示しており、該基板把持部は、基板移載機構125の回転台(不図示)上に半径方向に進退可能に設けられるものである。図7は、本発明の実施例に係る基板移載装置が、枚葉移載を行う場合の斜視図である。図8は、本発明の実施例に係る基板移載装置が、一括移載を行う場合の斜視図である。
【0037】
図4〜図6において、11は枚葉移載用プレート、12は枚葉移載用プレート11を固定し支持する枚葉プレート固定部、13は枚葉プレート固定部12と結合され枚葉プレート固定部12を支持する枚葉移載テーブル、17は枚葉移載テーブル13を水平方向に直進動作させるための枚葉移載モータ、16aは枚葉移載モータ17に取り付けられた枚葉移載プーリ、16bは枚葉移載プーリ16aと対をなす枚葉移載プーリ、15は枚葉移載プーリ16aと枚葉移載16bの間で回転走行する枚葉移載ベルト、14は枚葉移載テーブル13と枚葉移載ベルト15の一部を連結する連結金具、18は枚葉移載テーブル13を支持し水平方向に直進動作させるための枚葉移載用レールである。
【0038】
21は複数のプレートからなる一括移載用プレートで、本例では4枚である。22は一括移載用プレート21を固定し支持する一括移載プレート固定部、23は一括移載プレート固定部22と結合され一括移載プレート固定部22を支持する一括移載テーブル、27は一括移載テーブル23を水平方向に直進動作させるための一括移載モータ、26aは一括移載モータ27に取り付けられた一括移載プーリ、26bは一括移載プーリ26aと対をなす一括移載プーリ、25は一括移載プーリ26aと一括移載26bの間で回転走行する一括移載ベルト、24は一括移載テーブル23と一括移載ベルト25の一部を連結する連結金具、28は一括移載テーブル23を支持し水平方向に直進動作させるための一括移載用レールである。枚葉移載用プレート11と一括移載用プレート12により、ツイーザ125cが構成される。
【0039】
図7に示すように、枚葉移載用プレート11のみを用いて1枚のウェハ移載を行う場合は、駆動制御部237が、一括移載モータ27を停止した状態で、枚葉移載モータ17を駆動すると、枚葉移載モータ17の回転運動が、枚葉移載プーリ16aを介して枚葉移載ベルト15に伝わり、枚葉移載ベルト15の直線運動が連結金具14を介して枚葉移載テーブル13に伝わり、枚葉プレート固定部12と枚葉移載用プレート11を、水平方向に直線運動させる。このとき、一括移載モータ27を停止しているので、一括移載テーブル23は動かず、したがって、一括移載用プレート21も動かない。
【0040】
図8に示すように、枚葉移載用プレート11と一括移載用プレート21の両方を用いて、複数枚(本例では5枚)のウェハ移載を行う場合は、駆動制御部237が、枚葉移載モータ17と一括移載モータ27を同期して駆動する。前述したように、枚葉移載モータ17を駆動すると、枚葉移載モータ17の回転運動により、枚葉移載用プレート11が水平方向に直線運動する。一括移載モータ27を駆動すると、一括移載モータ27の回転運動が、一括移載プーリ26aを介して一括移載ベルト25に伝わり、一括移載ベルト25の直線運動が連結金具24を介して一括移載テーブル23に伝わり、一括プレート固定部22と一括移載用プレート21を、水平方向に直線運動させる。かくして、1枚の枚葉移載用プレート11と4枚の一括移載用プレート21が、同期して水平方向に直線運動を行うので、同時に最大5枚のウェハ移載を行うことができる。
【0041】
次に、上記構成に係る処理炉202を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、CVD法によりウェハ200上に薄膜を形成する方法について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0042】
例えば、枚葉移載用プレート11と一括移載用プレート21の両方を用いて、ポッド110からボート217の中央部に、製品用ウェハが5枚ずつ移載される。また、枚葉移載用プレート11と一括移載用プレート21の両方を用いて、ポッド110からボート217の上下端部に、各2枚のダミーウェハが移載される。また、枚葉移載用プレート11を用いて、ポッド110からボート217の製品用ウェハの途中に、検査用のモニタウェハが、所定の間隔で1枚ずつ移載される。
このようにして複数枚のウェハ200がボート217に装填(ウェハチャージ)されると、図3に示されているように、複数枚のウェハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0043】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空排気装置246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づき圧力調節器242が、フィードバック制御される。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ206によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、ボート217が回転されることで、ウェハ200が回転される。
【0044】
次いで、処理ガス供給源から供給され、MFC241にて所望の流量となるように制御されたガスは、ガス供給管232を流通してノズル230から処理室201内に導入される。導入されたガスは処理室201内を上昇し、インナーチューブ204の上端開口から筒状空間250に流出して排気管231から排気される。ガスは処理室201内を通過する際にウェハ200の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウェハ200の表面上に薄膜が堆積(デポジション)される。
【0045】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0046】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済ウェハ200がボート217に保持された状態でマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済ウェハ200はボート217より取出される(ウェハディスチャージ)。
【0047】
なお、本実施の形態の処理炉にてウェハを処理する際の処理条件としては、例えば、窒化珪素膜の成膜においては、処理温度600〜800℃、処理圧力10〜1000Pa、ガス種とガス供給流量は、ジクロロシランが50〜200sccm、アンモニアガスが500〜2000sccmであり、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウェハに処理がなされる。
【0048】
なお、上記実施例ではウェハカセットに収納されるウェハの枚数が25枚であることを考慮し、支持プレートの枚数、すなわち、枚葉移載用プレートと一括移載用プレートの合計数を“25”の約数である“5”としたが、支持プレートの枚数を5枚以外の数としてもよい。
また、ウェハ支持プレートを真空吸着法で行うプレートとする等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論であり、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
11…枚葉移載用プレート、12…枚葉プレート固定部、13…枚葉移載テーブル、14…連結金具、15…枚葉移載ベルト、16a…枚葉移載プーリ、16b…枚葉移載プーリ、17…枚葉移載モータ、18…枚葉移載用レール、21…一括移載用プレート、22…一括プレート固定部、23…一括移載テーブル、24…連結金具、25…一括移載ベルト、26a…一括移載プーリ、26b…一括移載プーリ、27…一括移載モータ、28…一括移載用レール、51…枚葉移載用プレート、52…枚葉プレート固定部、53…枚葉移載テーブル、54…連結金具、55…ベルト、56a…プーリ、56b…プーリ、57…モータ、58…枚葉移載用レール、61…一括移載用プレート、62…一括プレート固定部、63…一括移載テーブル、64…連結ピン、65…エアシリンダ、68…一括移載用レール、110…基板収容器(ポッド)、111…筐体、115…ボートエレベータ、116…支柱、117…棚板、118…ポッド搬送装置、124…移載室、125…基板移載機構、125a…基板移載装置、125c…ツイーザ、200…ウェハ、201…処理室、202…熱処理炉、217…ボート。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウェハ(以下、ウェハという。)等の基板を処理する基板処理装置及び基板処理方法に関し、特に、絶縁膜や金属膜および半導体膜等を成膜する縦型装置において、基板支持具としてのボートへ基板を移載する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造プロセスの1つに、縦型装置を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)処理がある。これはボートに積層した複数枚のシリコンウェハ等の基板を、縦型装置の処理炉内で加熱し、化学気相堆積(CVD)させるものである。ボートの中央部には、複数枚の製品用ウェハが搭載され、ボートの上下端部には、各複数枚のダミーウェハが搭載される。ボート上下端部のダミーウェハは、製品用ウェハの成膜処理の均質化を図るためのものである。製品用ウェハの途中には、検査用のモニタウェハが、所定の間隔で各1枚配列される。
【0003】
ウェハ移載装置は、ウェハ収容器に装填されたウェハを前記ボートへ移載し、また、処理後のウェハを空のウェハ収容器へ戻すものである。従来のウェハ移載装置においては、下記の特許文献1に開示されているように、ウェハを収納するウェハ収容器とボートとの間で、一度に一枚のウェハを移載する枚葉移載用プレートを用いて、モニタウェハやダミーウェハの移載を行い、一度に複数枚のウェハを移載する複数枚のプレートを用いて、製品用ウェハやダミーウェハの移載を行っている。
このように、枚葉移載用プレートを用いてウェハの移載を行うと、ボート上におけるウェハの多様な配列に対応でき、複数枚のプレートを用いてウェハの移載を行うと、ウェハ移載時間が短縮できるものである。
【0004】
従来のウェハ移載装置、すなわち基板移載装置の構造について、図9〜図11を用いて説明する。図9は、一括移載を行う場合における従来の基板移載装置を示す垂直断面図である。図10と図11は、従来の基板移載装置を示す斜視図である。
図9において、51は枚葉移載用プレート、52は枚葉移載用プレート51を固定し支持する枚葉プレート固定部、53は枚葉プレート固定部52と結合された枚葉移載テーブル、57は枚葉移載テーブル53を直線動作させるためのモータ、56aはモータ57に取り付けられたプーリ、56bはプーリ56aと対をなすプーリ、55はプーリ56aと56bの間で回転走行するベルト、54は枚葉移載テーブル53とベルト55の一部を連結する連結金具、58は枚葉移載テーブル53を支持し水平方向に直線動作させるための枚葉移載用レールである。
【0005】
61は複数のプレートからなる一括移載用プレートで、本例では4枚である。62は一括移載用プレート61を固定し支持する一括移載プレート固定部、63は一括移載プレート固定部62と結合された一括移載テーブル、64は一括移載テーブル63と枚葉移載テーブル53を連結するための連結ピン、65は連結ピン64を水平方向に直線動作させるエアシリンダ、68は一括移載テーブル63を支持し水平方向に直線動作させるための一括移載用レールである。
図9に示すように、連結ピン64は、一括移載テーブル63を貫通し、枚葉移載テーブル53の凹部に勘合可能であり、また、枚葉移載テーブル53の凹部から離脱可能な構造となっている。
【0006】
次に、従来のウェハ移載装置の動作について、図12〜図14を用いて説明する。図12は、従来の基板移載装置が枚葉移載を行う場合の斜視図である。図13は、従来の基板移載装置が枚葉移載を行う場合の垂直断面図である。図14は、従来の基板移載装置が一括移載を行う場合の斜視図である。
図12に示すように、枚葉移載用プレート51のみを用いて1枚のウェハ移載を行う場合は、図13に示すように、エアシリンダ65の働きにより、連結ピン64を、枚葉移載テーブル53の凹部から離脱させる。この状態で、モータ57を駆動すると、モータ57の回転運動が、プーリ56aを介してベルト55に伝わり、ベルト55の直線運動が連結金具54を介して枚葉移載テーブル53に伝わり、枚葉プレート固定部52と枚葉移載用プレート51を水平方向に直線運動させる。連結ピン64が枚葉移載テーブル53から外れているので、一括移載テーブル63は動かず、したがって、一括移載用プレート61も動かない。
【0007】
図14に示すように、枚葉移載用プレート51と一括移載用プレート61の両方を用いて、複数枚(本例では5枚)のウェハ移載を行う場合は、図9に示すように、エアシリンダ65の働きにより、連結ピン64を、枚葉移載テーブル53の凹部に勘合させる。この状態で、モータ57を駆動すると、モータ57の回転運動が、プーリ56a、ベルト55、連結金具54を介して枚葉移載テーブル53に伝わり、枚葉移載テーブル53の直線運動が、連結ピン64を介して、一括移載テーブル63に伝わる。かくして、枚葉移載用プレート51と一括移載用プレート61の両方が、水平方向に直線運動を行うので、枚葉移載用プレート51と一括移載用プレート61の両方を用いて、複数枚のウェハの一括移載をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−340304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の基板移載装置においては、枚葉移載と一括移載を切り替える際に、エアシリンダを駆動して連結ピンを抜き差しするため、エアシリンダや連結ピンの擦れに起因して、パーティクルが生じ易いという課題がある。
本発明の目的は、枚葉移載と一括移載を切り替える際に、パーティクル発生を抑制することのできる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための、本発明に係る基板処理装置の代表的な構成は、次のとおりである。
複数の基板が収容される基板収容器と、
複数の基板が積載されるボートと、
複数の基板が積載されたボートを収容し、前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と
前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、
前記基板移載装置は、
1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備え、
1枚の基板を移載する場合は、前記第1の駆動部により前記枚葉移載用プレートを駆動し、複数枚の基板を移載する場合は、前記第1の駆動部と前記第2の駆動部により、前記枚葉移載用プレートと前記一括移載用プレートを同期して駆動することを特徴とする基板処理装置。
【0011】
また、本発明に係る基板処理方法の代表的な構成は、次のとおりである。
複数の基板が収容される基板収容器と、複数の基板が積載されるボートと、複数の基板が積載されたボートを収容し前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と、前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、前記基板移載装置は、1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備える基板処理装置における基板移載方法であって、
前記第1の駆動部により前記枚葉移載用プレートを駆動して、1枚の基板を移載する工程と、
前記第1の駆動部と前記第2の駆動部により、前記枚葉移載用プレートと前記一括移載用プレートを同期して駆動して、複数枚の基板を移載する工程とを備えることを特徴とする基板移載方法。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成によれば、枚葉移載と一括移載を切り替える際に、パーティクル発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】図1のA−A線における垂直断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る熱処理炉の垂直断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る基板移載装置の垂直断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る基板移載装置の斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係る基板移載装置の斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係る基板移載装置が、枚葉移載を行う場合の斜視図である。
【図8】本発明の実施例に係る基板移載装置が、一括移載を行う場合の斜視図である。
【図9】従来の基板移載装置が一括移載を行う場合の垂直断面図である。
【図10】従来の基板移載装置を示す斜視図である。
【図11】従来の基板移載装置を示す斜視図である。
【図12】従来の基板移載装置が枚葉移載を行う場合の斜視図である。
【図13】従来の基板移載装置が枚葉移載を行う場合の垂直断面図である。
【図14】従来の基板移載装置が一括移載を行う場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例における基板処理装置を説明する。本実施例における基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC:Integrated Circuit)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。なお、以下の説明では、基板処理装置として、基板に酸化、拡散処理やCVD処理などを行うバッチ式縦型半導体製造装置(以下、単に処理装置という)を適用した場合について述べる。図1は、本発明が適用される処理装置の平面透視図である。また、図2は図1に示す処理装置の側面透視図であり、図1のA−A線における垂直断面図である。
【0015】
図1および2に示されているように、シリコン等からなるウェハ(基板)200を収納したウェハキャリアとしてFOUP(基板収容器。以下ポッドという。)110が使用されている本発明の処理装置100は、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104、104がそれぞれ建て付けられている。
筐体111の正面壁にはポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出されるようになっている。
【0016】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱116と、支柱116に上下四段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されており、ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されており、ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0017】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウェハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウェハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウェハ搬入搬出口120、120には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。
ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウェハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0018】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウェハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウェハ移載機構125は、ウェハ200を水平方向に回転ないし直線動作可能なウェハ移載装置(基板移載装置)125aおよびウェハ移載装置125aを昇降させるためのウェハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。これら、ウェハ移載装置エレベータ125bおよびウェハ移載装置125aの連続動作により、ウェハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウェハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウェハ200を装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0019】
図1に示されているように移載室124のウェハ移載装置エレベータ125b側と反対側である右側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給フアンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されている。
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ウェハ移載装置125aに流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出されるように構成されている。
【0020】
移載室124の後側領域には、大気圧未満の圧力(以下、負圧という。)を維持可能な機密性能を有する筐体(以下、耐圧筐体という。)140が設置されており、この耐圧筐体140によりボート217を収容可能な容積を有するロードロック方式の待機室であるロードロック室141が形成されている。
耐圧筐体140の正面壁140aにはウェハ搬入搬出開口(基板搬入搬出開口)142が開設されており、ウェハ搬入搬出開口142はゲートバルブ(基板搬入搬出口開閉機構)143によって開閉されるようになっている。耐圧筐体140の一対の側壁にはロードロック室141へ窒素ガスを給気するためのガス供給管144と、ロードロック室141を負圧に排気するための排気管145とがそれぞれ接続されている。
ロードロック室141上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は炉口ゲートバルブ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。耐圧筐体140の正面壁140aの上端部には、炉口ゲートバルブ147を処理炉202の下端部の開放時に収容する炉口ゲートバルブカバー149が取り付けられている。
【0021】
図1に示されているように、耐圧筐体140にはボート217を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115に連結された連結具としてのアーム128には蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウェハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0022】
次に、本発明の処理装置の概略動作について説明する。
図1および図2に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウェハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0023】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウェハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ポッド110のウェハ出し入れ口が開放される。また、予め内部が大気圧状態とされていたロードロック室141のウェハ搬入搬出開口142がゲートバルブ143の動作により開放されると、ウェハ200はポッド110からウェハ移載装置125aのツイーザ125cによってウェハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ノッチ合わせ装置301にてウェハを整合した後、ウェハ搬入搬出開口142を通じてロードロック室141に搬入され、ボート217へ移載されて装填(ウェハチャージング)される。ボート217にウェハ200を受け渡したウェハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウェハ110をボート217に装填する。ウェハ移載装置125aの構造や動作については、後で詳しく説明する。
【0024】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウェハ移載装置125aによるウェハのボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には回転式ポッド棚105ないしロードポート114から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0025】
予め指定された枚数のウェハ200がボート217装填されると、ウェハ搬入搬出開口142がゲートバルブ143によって閉じられ、ロードロック室141は排気管145から真空引きされることにより、減圧される。
ロードロック室141が処理炉202内の圧力と同圧に減圧されると、処理炉202の下端部が炉口ゲートバルブ147によって開放される。このとき、炉口ゲートバルブ147は炉口ゲートバルブカバー149の内部に搬入されて収容される。
続いて、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されて、シールキャップ219に支持されたボート217が処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0026】
ローディング後は、処理炉202にてウェハ200に任意の処理が実施される。
処理後は、ボートエレベータ115によりボート217が引き出され、更に、ロードロック室141内部を大気圧に復圧させた後にゲートバルブ143が開かれる。その後は、ノッチ合わせ装置135でのウェハの整合工程を除き、概上述の逆の手順で、ウェハ200およびポッド110は筐体111の外部へ払出される。
【0027】
以下に本発明の実施例における処理炉を図面に基いて説明する。
図3は本発明の実施例で好適に用いられる基板処理装置の処理炉202の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
図3http://sgpat2.head.hitachi.co.jp/pat_www/fpic?AA04304128/000003.gifに示されているように、処理炉202は加熱機構としてのヒータ206を有する。ヒータ206は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0028】
ヒータ206の内側には、ヒータ206と同心円状に反応管としてのプロセスチューブ203が配設されている。プロセスチューブ203は内部反応管としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ205とから構成されている。インナーチューブ204は、例えば石英(SiO2 )または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ204の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウェハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。アウターチューブ205は、例えば石英または炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、内径がインナーチューブ204の外径よりも大きく上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、インナーチューブ204と同心円状に設けられている。
【0029】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状にマニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、インナーチューブ204とアウターチューブ205に係合しており、これらを支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間にはシール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベース251に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ203とマニホールド209により反応容器が形成される。
【0030】
後述するシールキャップ219にはガス導入部としてのノズル230が処理室201内に連通するように接続されており、ノズル230にはガス供給管232が接続されている。ガス供給管232のノズル230との接続側と反対側である上流側には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241を介して図示しない処理ガス供給源や不活性ガス供給源が接続されている。MFC241には、ガス流量制御部235が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0031】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、インナーチューブ204とアウターチューブ205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されており、筒状空間250に連通している。排気管231のマニホールド209との接続側と反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ245および圧力調整装置242を介して真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。圧力調整装置242および圧力センサ245には、圧力制御部236が電気的に接続されており、圧力制御部236は圧力センサ245により検出された圧力に基づいて圧力調整装置242により処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0032】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219はマニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面にはマニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられる。シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボートを回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255はシールキャップ219を貫通して、後述するボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウェハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219はプロセスチューブ203の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201に対し搬入搬出することが可能となっている。回転機構254及びボートエレベータ115には、駆動制御部237が電気的に接続されており、所望の動作をするよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0033】
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウェハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なおボート217の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、ヒータ206からの熱がマニホールド209側に伝わりにくくなるよう構成されている。
【0034】
プロセスチューブ203内には、温度検査器としての温度センサ263が設置されている。ヒータ206と温度センサ263には、電気的に温度制御部238が接続されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ206への通電具合を調整することにより処理室201内の温度が所望の温度分布となるように所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0035】
ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238は、図示しない操作部、入出力部とともに、基板処理装置全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、主制御部239はコントローラ240として構成されている。
【0036】
次に、本発明の実施例に係る基板移載装置125aの構成と動作を、図4〜図8を用いて詳しく説明する。基板移載装置125aは、駆動制御部237に電気的に接続されており、駆動制御部237により制御される。図4は、本発明の実施例に係る基板移載装置の垂直断面図である。図5と図6は、本発明の実施例に係る基板移載装置の斜視図である。図4〜図6で示すものは、本実施例に係る基板移載装置125aの、特に基板把持部を示しており、該基板把持部は、基板移載機構125の回転台(不図示)上に半径方向に進退可能に設けられるものである。図7は、本発明の実施例に係る基板移載装置が、枚葉移載を行う場合の斜視図である。図8は、本発明の実施例に係る基板移載装置が、一括移載を行う場合の斜視図である。
【0037】
図4〜図6において、11は枚葉移載用プレート、12は枚葉移載用プレート11を固定し支持する枚葉プレート固定部、13は枚葉プレート固定部12と結合され枚葉プレート固定部12を支持する枚葉移載テーブル、17は枚葉移載テーブル13を水平方向に直進動作させるための枚葉移載モータ、16aは枚葉移載モータ17に取り付けられた枚葉移載プーリ、16bは枚葉移載プーリ16aと対をなす枚葉移載プーリ、15は枚葉移載プーリ16aと枚葉移載16bの間で回転走行する枚葉移載ベルト、14は枚葉移載テーブル13と枚葉移載ベルト15の一部を連結する連結金具、18は枚葉移載テーブル13を支持し水平方向に直進動作させるための枚葉移載用レールである。
【0038】
21は複数のプレートからなる一括移載用プレートで、本例では4枚である。22は一括移載用プレート21を固定し支持する一括移載プレート固定部、23は一括移載プレート固定部22と結合され一括移載プレート固定部22を支持する一括移載テーブル、27は一括移載テーブル23を水平方向に直進動作させるための一括移載モータ、26aは一括移載モータ27に取り付けられた一括移載プーリ、26bは一括移載プーリ26aと対をなす一括移載プーリ、25は一括移載プーリ26aと一括移載26bの間で回転走行する一括移載ベルト、24は一括移載テーブル23と一括移載ベルト25の一部を連結する連結金具、28は一括移載テーブル23を支持し水平方向に直進動作させるための一括移載用レールである。枚葉移載用プレート11と一括移載用プレート12により、ツイーザ125cが構成される。
【0039】
図7に示すように、枚葉移載用プレート11のみを用いて1枚のウェハ移載を行う場合は、駆動制御部237が、一括移載モータ27を停止した状態で、枚葉移載モータ17を駆動すると、枚葉移載モータ17の回転運動が、枚葉移載プーリ16aを介して枚葉移載ベルト15に伝わり、枚葉移載ベルト15の直線運動が連結金具14を介して枚葉移載テーブル13に伝わり、枚葉プレート固定部12と枚葉移載用プレート11を、水平方向に直線運動させる。このとき、一括移載モータ27を停止しているので、一括移載テーブル23は動かず、したがって、一括移載用プレート21も動かない。
【0040】
図8に示すように、枚葉移載用プレート11と一括移載用プレート21の両方を用いて、複数枚(本例では5枚)のウェハ移載を行う場合は、駆動制御部237が、枚葉移載モータ17と一括移載モータ27を同期して駆動する。前述したように、枚葉移載モータ17を駆動すると、枚葉移載モータ17の回転運動により、枚葉移載用プレート11が水平方向に直線運動する。一括移載モータ27を駆動すると、一括移載モータ27の回転運動が、一括移載プーリ26aを介して一括移載ベルト25に伝わり、一括移載ベルト25の直線運動が連結金具24を介して一括移載テーブル23に伝わり、一括プレート固定部22と一括移載用プレート21を、水平方向に直線運動させる。かくして、1枚の枚葉移載用プレート11と4枚の一括移載用プレート21が、同期して水平方向に直線運動を行うので、同時に最大5枚のウェハ移載を行うことができる。
【0041】
次に、上記構成に係る処理炉202を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、CVD法によりウェハ200上に薄膜を形成する方法について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0042】
例えば、枚葉移載用プレート11と一括移載用プレート21の両方を用いて、ポッド110からボート217の中央部に、製品用ウェハが5枚ずつ移載される。また、枚葉移載用プレート11と一括移載用プレート21の両方を用いて、ポッド110からボート217の上下端部に、各2枚のダミーウェハが移載される。また、枚葉移載用プレート11を用いて、ポッド110からボート217の製品用ウェハの途中に、検査用のモニタウェハが、所定の間隔で1枚ずつ移載される。
このようにして複数枚のウェハ200がボート217に装填(ウェハチャージ)されると、図3に示されているように、複数枚のウェハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0043】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空排気装置246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づき圧力調節器242が、フィードバック制御される。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ206によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、ボート217が回転されることで、ウェハ200が回転される。
【0044】
次いで、処理ガス供給源から供給され、MFC241にて所望の流量となるように制御されたガスは、ガス供給管232を流通してノズル230から処理室201内に導入される。導入されたガスは処理室201内を上昇し、インナーチューブ204の上端開口から筒状空間250に流出して排気管231から排気される。ガスは処理室201内を通過する際にウェハ200の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウェハ200の表面上に薄膜が堆積(デポジション)される。
【0045】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0046】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済ウェハ200がボート217に保持された状態でマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済ウェハ200はボート217より取出される(ウェハディスチャージ)。
【0047】
なお、本実施の形態の処理炉にてウェハを処理する際の処理条件としては、例えば、窒化珪素膜の成膜においては、処理温度600〜800℃、処理圧力10〜1000Pa、ガス種とガス供給流量は、ジクロロシランが50〜200sccm、アンモニアガスが500〜2000sccmであり、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウェハに処理がなされる。
【0048】
なお、上記実施例ではウェハカセットに収納されるウェハの枚数が25枚であることを考慮し、支持プレートの枚数、すなわち、枚葉移載用プレートと一括移載用プレートの合計数を“25”の約数である“5”としたが、支持プレートの枚数を5枚以外の数としてもよい。
また、ウェハ支持プレートを真空吸着法で行うプレートとする等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論であり、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
11…枚葉移載用プレート、12…枚葉プレート固定部、13…枚葉移載テーブル、14…連結金具、15…枚葉移載ベルト、16a…枚葉移載プーリ、16b…枚葉移載プーリ、17…枚葉移載モータ、18…枚葉移載用レール、21…一括移載用プレート、22…一括プレート固定部、23…一括移載テーブル、24…連結金具、25…一括移載ベルト、26a…一括移載プーリ、26b…一括移載プーリ、27…一括移載モータ、28…一括移載用レール、51…枚葉移載用プレート、52…枚葉プレート固定部、53…枚葉移載テーブル、54…連結金具、55…ベルト、56a…プーリ、56b…プーリ、57…モータ、58…枚葉移載用レール、61…一括移載用プレート、62…一括プレート固定部、63…一括移載テーブル、64…連結ピン、65…エアシリンダ、68…一括移載用レール、110…基板収容器(ポッド)、111…筐体、115…ボートエレベータ、116…支柱、117…棚板、118…ポッド搬送装置、124…移載室、125…基板移載機構、125a…基板移載装置、125c…ツイーザ、200…ウェハ、201…処理室、202…熱処理炉、217…ボート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板が収容される基板収容器と、
複数の基板が積載されるボートと、
複数の基板が積載されたボートを収容し、前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と
前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、
前記基板移載装置は、
1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備え、
1枚の基板を移載する場合は、前記第1の駆動部により前記枚葉移載用プレートを駆動し、複数枚の基板を移載する場合は、前記第1の駆動部と前記第2の駆動部により、前記枚葉移載用プレートと前記一括移載用プレートを同期して駆動することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
複数の基板が収容される基板収容器と、複数の基板が積載されるボートと、複数の基板が積載されたボートを収容し前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と、前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、前記基板移載装置は、1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備える基板処理装置における基板移載方法であって、
前記第1の駆動部により前記枚葉移載用プレートを駆動して、1枚の基板を移載する工程と、
前記第1の駆動部と前記第2の駆動部により、前記枚葉移載用プレートと前記一括移載用プレートを同期して駆動して、複数枚の基板を移載する工程とを備えることを特徴とする基板移載方法。
【請求項1】
複数の基板が収容される基板収容器と、
複数の基板が積載されるボートと、
複数の基板が積載されたボートを収容し、前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と
前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、
前記基板移載装置は、
1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備え、
1枚の基板を移載する場合は、前記第1の駆動部により前記枚葉移載用プレートを駆動し、複数枚の基板を移載する場合は、前記第1の駆動部と前記第2の駆動部により、前記枚葉移載用プレートと前記一括移載用プレートを同期して駆動することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
複数の基板が収容される基板収容器と、複数の基板が積載されるボートと、複数の基板が積載されたボートを収容し前記ボート上の複数の基板を処理する処理室と、前記基板収容器と前記ボートとの間で基板の移載を行う基板移載装置とを備え、前記基板移載装置は、1枚の基板を移載するための枚葉移載用プレートを駆動する第1の駆動部と、複数枚の基板を移載するための一括移載用プレートを駆動する第2の駆動部とを備える基板処理装置における基板移載方法であって、
前記第1の駆動部により前記枚葉移載用プレートを駆動して、1枚の基板を移載する工程と、
前記第1の駆動部と前記第2の駆動部により、前記枚葉移載用プレートと前記一括移載用プレートを同期して駆動して、複数枚の基板を移載する工程とを備えることを特徴とする基板移載方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−43978(P2012−43978A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183949(P2010−183949)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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