説明

基板検査装置

【課題】オフセット量を正確かつ容易に取得する。
【解決手段】第1の位置情報に基づいて特定される位置Ob上にビーム照射部が位置するように移動させた後に、照射部をX方向(矢印A1,A2の向き)に移動させながらレーザービームを照射させたときのレーザービームの反射光量の変化、およびY方向(矢印B1,B2の向き)に移動させながら照射させたときの反射光量の変化に基づいてマーク21の位置Mx1,Mx2,My1,My2を取得すると共に、位置Mx1,Mx2,My1,My2と、第2の位置情報とに基づいて基板保持機構によって保持されているオフセット量取得用基板におけるマーク21の位置Mbを特定し、位置Mb,ObのX方向に沿った位置ずれ量Xb、およびY方向に沿った位置ずれ量Ybを、照射部のX方向に沿った移動量、およびY方向に沿った移動量をそれぞれ補正するためのオフセット量として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象基板に向けてレーザービームを照射するビーム照射部と、検査対象基板を保持する基板保持機構およびビーム照射部の少なくとも一方を移動させる移動機構とを備えて構成された基板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置として、セラミック基板の反り量を光学的に検査可能に構成された反り検査装置(以下、単に「検査装置」ともいう)が特開2006−317408号公報に開示されている。この検査装置では、セラミック基板における検査対象箇所の基準面からの高さを光学的に計測することによって、セラミック基板に生じている反りの状態を検査する構成が採用されている。具体的には、この検査装置では、まず、駆動手段のリニアステージ上に設置されているベース板の上に検査対象のセラミック基板をセットする。次いで、セラミック基板上に規定されている複数の検査対象箇所の基準面からの高さをそれぞれ計測する。この後、各検査対象箇所についての計測値の分布に基づいて、セラミック基板に生じている反りの状態が検査される。
【0003】
この場合、この検査装置では、駆動手段が制御手段の制御に従ってリニアステージ(ベース板上のセラミック基板)を水平方向に移動させることで、固定的に設置されているレーザ変位計の直下に各検査対象箇所を順に位置させる構成が採用されている。また、上記の公開公報には、駆動手段によってセラミック基板を移動させる構成に代えて、セラミック基板に対してレーザ変位計を移動させる構成を採用することができるとの開示が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−317408号公報(第5−10頁、第1−4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の検査装置には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の検査装置では、駆動手段がセラミック基板を水平方向に移動させることでレーザ変位計の直下に各検査対象箇所を順に位置させる構成、または、セラミック基板に対してレーザ変位計を移動させることでレーザ変位計の直下に各検査対象箇所を順に位置させる構成が採用されている。この場合、従来の検査装置では、予め規定された検査対象箇所ではない箇所の高さが計測されたとき(レーザ変位計によるレーザービームの照射位置が位置ずれしたとき)に、セラミック基板に生じている反りの状態を正しく検査するのが困難となる。同様にして、検査処理時にビーム照射部から検査対象基板に向けてレーザービームを照射する構成の他の各種基板検査装置においても、レーザービームの照射位置が、予め規定された位置から位置ずれしたときに、検査対象基板を正しく検査することが困難となる。
【0006】
一方、従来の検査装置のように、検査処理に際して検査対象基板およびビーム照射部(レーザ変位計)の少なくとも一方を移動させる構成の基板検査装置では、移動機構を構成する部品精度のばらつきや、移動機構の組立て時に生じる部品組付け位置のばらつきなどが生じた状態となっている。したがって、この種の基板検査装置では、装置の組立て作業の完了時、または装置の設置作業の完了時や、検査対象基板に対する検査処理の準備作業時などに、上記のばらつきの状態に応じて移動量を補正するためのオフセット量を取得しておき、取得したオフセット量に応じて、上記の少なくとも一方の移動量を補正する構成が一般的に採用されている。
【0007】
この場合、このオフセット量の取得に際しては、一例として、図6に示すオフセット量取得用基板20zが使用される。このオフセット量取得用基板20zは、レーザービームの透過率が高い材料で平板状に形成された板材の表面に、板材の形成材料よりもレーザービームの透過率が低い材料(一例として、金などの金属材料)によって円形のビーム照射位置検出用マーク21z(以下、単に「マーク21z」ともいう)が形成されている。このマーク21zは、図7,8に示すように、その直径がレーザービームのビームスポット径(両図におけるレーザ照射領域Azの直径)よりも大径となるように形成されている。また、このオフセット量取得用基板20zでは、マーク21zの形成位置が既知となっている。
【0008】
上記のオフセット量取得用基板20zを使用して、一例として、検査対象基板に対してビーム照射部を移動させる構成の基板検査装置においてオフセット量を取得する際には、まず、検査対象基板を保持する基板保持機構にオフセット量取得用基板20zをセットする。次いで、マーク21zの既知の形成位置上(一例として、マーク21zの中心位置上)に移動機構によってビーム照射部を移動させると共に、ビーム照射部からオフセット量取得用基板20zに向けてレーザービームを照射させる。この際に、上記の部品精度のばらつきや、部品組付け位置のばらつきなどの影響が存在せずに、移動機構がビーム照射部を正確に移動させることが可能な状態(移動量を補正する必要がない状態)となっているときには、図7に示すように、マーク21zの既知の中心位置上に移動させた状態のビーム照射部から照射したレーザービームのレーザ照射領域Azがマーク21zに対して同心状に重なった状態となる。したがって、マーク21zに対するレーザ照射領域Azの位置を目視で確認して同図に示す状態となっているときには、検査処理時における移動量の補正が不要であると判断することができる。
【0009】
これに対して、上記の部品精度のばらつきや、部品組付け位置のばらつきなどの影響を受けて、移動機構によるビーム照射部の移動位置に位置ずれが生じている状態(移動量の補正が必要な状態)となっているときには、図8に実線で示すように、マーク21zの既知の中心位置上に移動させた状態のビーム照射部から照射したレーザービームのレーザ照射領域Azがマーク21zに対して位置ずれした状態となる。したがって、マーク21zに対するレーザ照射領域Azの位置を目視で確認して同図に示す状態となっているときには、マーク21zに対するレーザ照射領域Azの位置が破線で示す状態となるように移動機構によってビーム照射部を移動させる。この際に、レーザ照射領域Azが実線で示す状態となる位置から破線で示す状態となるまでのビーム照射部の移動量が、検査処理時における移動量の補正に使用するオフセット量として取得される。これにより、取得したオフセット量に応じて移動機構によるビーム照射部の移動量を補正することで、予め規定された位置にレーザービームを照射することが可能となる。
【0010】
しかしながら、オフセット量取得用基板20zを使用した上記のオフセット量の取得方法では、マーク21zとレーザ照射領域Azとが同心状に一致したかを目視によって確認する必要がある。このため、オフセット量取得処理を実行するオペレータ毎にマーク21zとレーザ照射領域Azとが一致したか否かを判断する判断基準に差異が生じることがあり、この判断基準の差異に起因して正確なオフセット量の取得が困難となっているという問題点がある。また、オフセット量取得用基板20zを使用してオフセット量を取得する基板検査装置では、検査処理時における事故の発生を防止するために、移動機構やビーム照射部が保護カバーによって覆われている。したがって、オフセット量の取得に際しては、マーク21zとレーザ照射領域Azとが一致したか否かを保護カバー越しに確認する必要があるため、マーク21zやレーザ照射領域Azの視認性が低下する結果、両者が一致したか否かを正しく判断すること自体が困難となっているという問題点もある。
【0011】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、オフセット量を正確かつ容易に取得し得る基板検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の基板検査装置は、検査対象基板を保持する基板保持機構と、前記検査対象基板に向けてレーザービームを照射するビーム照射部と、前記基板保持機構および前記ビーム照射部の少なくとも一方を第1の移動体として任意のX−Y方向に移動させる移動機構と、前記ビーム照射部によって前記レーザービームを照射すべき照射位置を特定可能な照射位置情報を記憶する記憶部と、前記検査対象基板の検査処理時に前記移動機構を制御して前記照射位置情報に基づいて特定される前記ビーム照射位置上に前記ビーム照射部を位置させるように前記第1の移動体を移動させると共に当該ビーム照射部を制御して前記レーザービームを照射させる制御部とを備え、当該制御部が、前記基板保持機構によって保持されたオフセット量取得用基板を対象として、前記第1の移動体を前記検査処理時に前記移動機構によって移動させる際の前記X方向に沿った移動量および前記Y方向に沿った移動量をそれぞれ補正するためのオフセット量を取得するオフセット量取得処理を実行可能に構成され、前記オフセット量取得用基板には、前記基板保持機構によって保持された状態において前記Y方向と平行になる直線状の第1の辺および前記X方向と平行になる直線状の第2の辺を有すると共に前記レーザービームの反射光量が周囲とは相違するビーム照射位置検出用マークが形成され、前記記憶部は、前記オフセット量取得用基板が前記基板保持機構によって保持された状態において前記ビーム照射位置検出用マークに対応して予め規定された基準点が位置すべき第1の位置を特定可能な第1の位置情報と、前記基準点に対する前記第1の辺の位置および前記第2の辺の位置をそれぞれ特定可能な第2の位置情報とを記憶し、前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報の予め規定された一方の位置情報に基づいて特定される第1のビーム照射開始位置上に前記ビーム照射部が位置するように前記第1の移動体を前記移動機構によって移動させた後に当該第1の移動体を当該移動機構によって前記X方向に移動させながら当該ビーム照射部を制御して前記レーザービームを照射させたときの当該レーザービームの反射光量の変化に基づいて前記第1の辺の位置を取得し、かつ、前記予め規定された一方の位置情報に基づいて特定される第2のビーム照射開始位置上に前記ビーム照射部が位置するように前記第1の移動体を前記移動機構によって移動させた後に当該第1の移動体を当該移動機構によって前記Y方向に移動させながら当該ビーム照射部を制御して前記レーザービームを照射させたときの当該レーザービームの反射光量の変化に基づいて前記第2の辺の位置を取得すると共に、取得した前記第1の辺の位置および前記第2の辺の位置と、前記第2の位置情報とに基づいて前記基板保持機構によって保持されている状態の前記オフセット量取得用基板における前記基準点の第2の位置を特定し、特定した当該第2の位置と前記第1の位置との前記X方向に沿った第1の位置ずれ量を、前記第1の移動体の当該X方向に沿った移動量を補正するためのオフセット量とし、かつ、当該第2の位置と当該第1の位置との前記Y方向に沿った第2の位置ずれ量を、当該第1の移動体の当該Y方向に沿った移動量を補正するためのオフセット量として特定する。
【0013】
なお、「レーザービームの反射光量が周囲とは相違するビーム照射位置検出用マーク」には、「レーザービームの透過光量が周囲とは相違するビーム照射位置検出用マーク」がこれに含まれる。また、「レーザービームの反射光量の変化に基づいて第1の辺(第2の辺)の位置を取得する」との処理には、「レーザービームの透過光量の変化に基づいてレーザービームの反射光量の変化を特定して、その結果に基づいて第1の辺(第2の辺)の位置を取得する」との処理、および「レーザービームの反射光量の変化に基づいてレーザービームの透過光量の変化を特定して、その結果に基づいて第1の辺(第2の辺)の位置を取得する」との処理がこれに含まれる。
【0014】
また、請求項2記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記オフセット量取得用基板には、前記ビーム照射位置検出用マークとして、互いに平行な一対の前記第1の辺および互いに平行な一対の前記第2の辺を有する平行四辺形状のマークが形成され、前記記憶部は、前記第2の位置情報として、前記一対の第1の辺の位置および前記一対の第2の辺の位置をそれぞれ特定可能な情報を記憶し、前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記一対の第1の辺の位置および前記一対の第2の辺の位置をそれぞれ取得し、取得した当該各辺の位置と前記第2の位置情報とに基づいて前記第2の位置を特定する。
【0015】
さらに、請求項3記載の基板検査装置は、請求項1または2記載の基板検査装置において、前記検査対象基板を撮像して撮像情報を出力するカメラを備え、前記移動機構は、前記基板保持機構および前記カメラの少なくとも一方を第2の移動体として前記任意のX−Y方向に移動可能に構成され、前記オフセット量取得用基板には、前記基板保持機構によって保持された当該オフセット量取得用基板の前記X方向に沿った第3の位置ずれ量および前記Y方向に沿った第4の位置ずれ量を特定するための位置ずれ量特定用マークが形成され、前記記憶部は、前記オフセット量取得用基板が前記基板保持機構によって正常に保持された状態において前記位置ずれ量特定用マークが位置すべき第3の位置を特定可能な第3の位置情報を記憶し、前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記第3の位置情報に基づいて特定される前記位置ずれ量特定用マークの形成位置上に前記カメラが位置するように前記第2の移動体を前記移動機構によって移動させた後に当該カメラを制御して当該位置ずれ量特定用マークを撮像させると共に、当該カメラから出力された前記撮像情報を画像解析処理して、当該画像解析処理の結果と前記第3の位置情報とに基づいて前記第3の位置ずれ量および前記第4の位置ずれ量を特定し、特定した当該第3の位置ずれ量および当該第4の位置ずれ量に応じて、前記第1のビーム照射開始位置上に前記ビーム照射部が位置するように前記第1の移動体を移動させる際の移動量、および前記第2のビーム照射開始位置上に当該ビーム照射部が位置するように当該第1の移動体を移動させる際の移動量をそれぞれ補正する。
【0016】
さらに、請求項4記載の基板検査装置は、請求項1または2記載の基板検査装置において、前記検査対象基板を撮像して撮像情報を出力するカメラを備え、前記移動機構は、前記基板保持機構および前記カメラの少なくとも一方を第2の移動体として前記任意のX−Y方向に移動可能に構成され、前記オフセット量取得用基板には、前記基板保持機構によって保持された当該オフセット量取得用基板の前記X方向に沿った第3の位置ずれ量および前記Y方向に沿った第4の位置ずれ量を特定するための位置ずれ量特定用マークが形成され、前記記憶部は、前記オフセット量取得用基板が前記基板保持機構によって正常に保持された状態において前記位置ずれ量特定用マークが位置すべき第3の位置を特定可能な第3の位置情報を記憶し、前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記第3の位置情報に基づいて特定される前記位置ずれ量特定用マークの形成位置上に前記カメラが位置するように前記第2の移動体を前記移動機構によって移動させた後に当該カメラを制御して当該位置ずれ量特定用マークを撮像させると共に、当該カメラから出力された前記撮像情報を画像解析処理して、当該画像解析処理の結果と前記第3の位置情報とに基づいて前記第3の位置ずれ量および前記第4の位置ずれ量を特定し、特定した当該第3の位置ずれ量および当該第4の位置ずれ量を前記第1の位置ずれ量および前記第2の位置ずれ量にそれぞれ加算して前記オフセット量を特定する。
【0017】
また、請求項5記載の基板検査装置は、請求項3または4記載の基板検査装置において、前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記ビーム照射位置検出用マークを前記位置ずれ量特定用マークとして使用して前記第3の位置ずれ量および前記第4の位置ずれ量を特定する。
【0018】
さらに、請求項6記載の基板検査装置は、請求項1から5のいずれかに記載の基板検査装置において、前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記第1の位置情報に基づいて特定される前記基準点を前記第1のビーム照射開始位置および前記第2のビーム照射開始位置として前記第1の辺の位置および前記第2の辺の位置を取得する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の基板検査装置では、制御部が、オフセット量取得処理において、第1の位置情報および第2の位置情報の予め規定された一方の位置情報に基づいて特定される第1のビーム照射開始位置上にビーム照射部が位置するように第1の移動体を移動機構によって移動させた後に第1の移動体を移動機構によってX方向に移動させながらビーム照射部を制御してレーザービームを照射させたときのレーザービームの反射光量の変化に基づいてビーム照射位置検出用マークの第1の辺の位置を取得し、かつ、予め規定された一方の位置情報に基づいて特定される第2のビーム照射開始位置上にビーム照射部が位置するように第1の移動体を移動機構によって移動させた後に第1の移動体を移動機構によってY方向に移動させながらビーム照射部を制御してレーザービームを照射させたときのレーザービームの反射光量の変化に基づいてビーム照射位置検出用マークの第2の辺の位置を取得すると共に、取得した第1の辺の位置および第2の辺の位置と、第2の位置情報とに基づいて基板保持機構によって保持されている状態のオフセット量取得用基板における基準点の第2の位置を特定し、特定した第2の位置と第1の位置とのX方向に沿った第1の位置ずれ量を、第1の移動体のX方向に沿った移動量を補正するためのオフセット量とし、かつ、第2の位置と第1の位置とのY方向に沿った第2の位置ずれ量を、第1の移動体のY方向に沿った移動量を補正するためのオフセット量として特定する。
【0020】
したがって、請求項1記載の基板検査装置によれば、オフセット量取得処理時にマーク21zとレーザ照射領域Azとが同心状に一致したかを目視によって判断する必要がある従来の検査装置とは異なり、保護カバー越しにビーム照射位置検出用マークと、オフセット量取得用基板に対して照射したレーザービームの照射領域とが同心状に一致したかを確認する必要がないだけではなく、ビーム照射部からのレーザービームの反射光量の変化に基づいて特定される基準点の第2の位置と、第1の位置情報に基づいて特定される基準点の第1の位置とのX方向に沿った第1の位置ずれ量およびY方向に沿った第2の位置ずれ量に基づいてオフセット量が自動的に取得されるため、オペレータの判断基準の差異に起因して、取得されるオフセット量に差異が生じる事態を回避して、正確かつ容易にオフセット量を取得することができる。したがって、この基板検査装置によれば、検査対象基板の検査処理時に、オフセット量取得処理によって取得したオフセット量に基づいて、第1の移動体を正確に移動させることができるため、検査対象基板を正確に検査することができる。
【0021】
また、請求項2記載の基板検査装置によれば、制御部が、オフセット量取得処理において、互いに平行な一対の第1の辺および互いに平行な一対の第2の辺を有する平行四辺形状のビーム照射位置検出用マークが形成されたオフセット量取得用基板を使用して、一対の第1の辺の位置および一対の第2の辺の位置をそれぞれ取得し、取得した各辺の位置と第2の位置情報とに基づいて第2の位置を特定することにより、第1の辺や第2の辺がそれぞれ1つだけのビーム照射位置検出用マークが形成されたオフセット量取得用基板を使用してオフセット量を取得する構成と比較して、基準点の第2の位置を正確に特定することができるため、一層正確なオフセット量を取得することができる。
【0022】
さらに、請求項3記載の基板検査装置では、制御部が、オフセット量取得処理において、第3の位置情報に基づいて特定される位置ずれ量特定用マークの形成位置上にカメラが位置するように第2の移動体を移動機構によって移動させた後にカメラを制御して位置ずれ量特定用マークを撮像させると共に、カメラから出力された撮像情報を画像解析処理して、画像解析処理の結果と第3の位置情報とに基づいて第3の位置ずれ量および第4の位置ずれ量を特定し、特定した第3の位置ずれ量および第4の位置ずれ量に応じて、第1のビーム照射開始位置上にビーム照射部が位置するように第1の移動体を移動させる際の移動量、および第2のビーム照射開始位置上にビーム照射部が位置するように第1の移動体を移動させる際の移動量をそれぞれ補正する。
【0023】
さらに、請求項4記載の基板検査装置では、制御部が、オフセット量取得処理において、第3の位置情報に基づいて特定される位置ずれ量特定用マークの形成位置上にカメラが位置するように第2の移動体を移動機構によって移動させた後にカメラを制御して位置ずれ量特定用マークを撮像させると共に、カメラから出力された撮像情報を画像解析処理して、画像解析処理の結果と第3の位置情報とに基づいて第3の位置ずれ量および第4の位置ずれ量を特定し、特定した第3の位置ずれ量および第4の位置ずれ量を第1の位置ずれ量および第2の位置ずれ量にそれぞれ加算してオフセット量を特定する。
【0024】
したがって、請求項3または4記載の基板検査装置によれば、基板保持機構によるオフセット量取得用基板の保持位置に位置ずれが生じていたとしても、この位置ずれの影響を排除して、正確なオフセット量を取得することができる。
【0025】
また、請求項5記載の基板検査装置によれば、制御部が、オフセット量取得処理において、ビーム照射位置検出用マークを位置ずれ量特定用マークとして使用して第3の位置ずれ量および第4の位置ずれ量を特定することにより、ビーム照射位置検出用マークおよび位置ずれ量特定用マークを別個に形成したオフセット量取得用基板を使用してオフセット量を取得する構成と比較して、オフセット量取得用基板の製造コストを低減することができるだけでなく、第1の位置を特定するための第1の位置情報や、第3の位置を特定するための第3の位置情報の生成が容易となるため、オフセット量取得処理を実行可能な環境を用意するための負担を十分に軽減することができる。
【0026】
さらに、請求項6記載の基板検査装置によれば、制御部が、オフセット量取得処理において、第1の位置情報に基づいて特定される基準点を第1のビーム照射開始位置および第2のビーム照射開始位置として第1の辺の位置および第2の辺の位置を取得することにより、基準点、第1のビーム照射開始位置および第2のビーム照射開始位置をそれぞれ別個に規定した場合と比較して、オフセット量取得処理を実行可能な環境を用意するための負担を一層軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】オフセット量取得用基板20の平面図である。
【図3】基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置の位置ずれに起因するビーム照射位置検出用マーク21の位置ずれについて説明するための説明図である。
【図4】X−Y移動機構3a,3bによるレーザ変位計5の移動位置の位置ずれについて説明するための説明図である。
【図5】他の実施の形態に係るオフセット量取得用基板20Aの平面図である。
【図6】従来のオフセット量取得用基板20zの平面図である。
【図7】オフセット量取得用基板20zを使用したオフセット量の取得方法について説明するための説明図である。
【図8】オフセット量取得用基板20zを使用したオフセット量の取得方法について説明するための他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、基板検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0029】
図1に示す基板検査装置1は、検査対象基板の一例であるプリント基板(図示せず)の良否を電気的に検査可能に構成された装置であって、基板保持機構2、X−Y移動機構3a,3b、カメラ4、レーザ変位計5、上下動機構6a,6b、検査用プローブ7a,7b、測定部8、制御部9および記憶部10を備えて構成されている。基板保持機構2は、制御部9からの制御信号S1に従って、上記のプリント基板やオフセット量取得用基板20(図2参照)を保持する。X−Y移動機構3a,3bは、「移動機構」の一例であって、X−Y移動機構3aが、制御部9からの制御信号S2に従って、カメラ4および上下動機構6a(検査用プローブ7a)を任意のX−Y方向に移動させ、X−Y移動機構3bが、制御部9からの制御信号S2に従って、レーザ変位計5および上下動機構6b(検査用プローブ7b)を任意のX−Y方向に移動させる(「基板保持機構およびカメラの少なくとも一方である第1の移動体」が「カメラ」で、「基板保持機構およびビーム照射部の少なくとも一方である第2の移動体」が「ビーム照射部」の構成の例)。
【0030】
カメラ4は、制御部9からの制御信号S3に従い、基板保持機構2によって保持されている検査対象基板やオフセット量取得用基板20を撮像し、その撮像情報D1を制御部9に出力する。この場合、この基板検査装置1では、検査処理に際して基板保持機構2によって保持されている検査対象基板を撮像して撮像情報D1を画像解析処理することにより、基板保持機構2による検査対象基板の保持位置のずれ量を取得して、取得したずれ量に応じて検査用プローブ7a,7bによるプロービング位置を微調整する構成が採用されている。レーザ変位計5は、「ビーム照射部」の一例であって、制御部9からの制御信号S4に従い、基板保持機構2によって保持されている検査対象基板やオフセット量取得用基板20に向けてレーザービームを照射して、その反射光量を測定し、測定結果を反射光量情報D2として制御部9に出力する。この場合、この基板検査装置1では、検査処理に際して基板保持機構2によって保持されている検査対象基板の表面の高さをレーザ変位計5によって計測し、計測結果に応じて、検査用プローブ7a,7bによるプロービング高さを微調整する構成が採用されている。
【0031】
上下動機構6a,6bは、制御部9からの制御信号S5に従って、X−Y移動機構3a,3bに対して検査用プローブ7a,7bをZ軸方向(基板保持機構2に対する接離方向)に移動させて検査用プローブ7a,7bを検査対象基板にプロービングさせる。この場合、この基板検査装置1では、X−Y移動機構3aに取り付けられた上下動機構6aに検査用プローブ7aが取り付けられると共に、X−Y移動機構3bに取り付けられた上下動機構6bに検査用プローブ7bが取り付けられている。検査用プローブ7a,7bは、測定部8に対して電気的に接続されたコンタクトプローブであって、一例として、伸縮型のピンプローブで構成されている。測定部8は、制御部9からの制御信号S6に従って検査対象基板についての電気的パラメータを測定する測定処理を実行する。具体的には、測定部8は、検査対象基板に形成された導体パターン(図示せず)に上記の検査用プローブ7a,7bをプロービングさせた状態において、検査用プローブ7a,7bを介して導体パターンについての電気的パラメータを測定し、その測定結果を測定結果情報D3として制御部9に出力する。
【0032】
制御部9は、基板検査装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部9は、基板保持機構2を制御して(制御信号S1を出力して)、検査対象基板やオフセット量取得用基板20を保持させる。また、制御部9は、X−Y移動機構3a,3bを制御して(制御信号S2を出力して)、カメラ4、レーザ変位計5および上下動機構6a,6b(検査用プローブ7a,7b)を任意のX−Y方向に移動させる。さらに、制御部9は、カメラ4を制御して(制御信号S3を出力して)、検査対象基板やオフセット量取得用基板20を撮像させると共に、レーザ変位計5を制御して(制御信号S4を出力して)、検査対象基板やオフセット量取得用基板20に向けてレーザービームを照射させる。また、制御部9は、上下動機構6a,6bを制御して(制御信号S5を出力して)、検査対象基板に検査用プローブ7a,7bをプロービングさせると共に、測定部8を制御して(制御信号S5を出力して)、検査対象基板についての測定処理を実行させる。さらに、制御部9は、測定部8から出力された測定結果情報D3と検査用基準情報とに基づき、検査対象基板の良否を検査する。
【0033】
また、制御部9は、図2に示すオフセット量取得用基板20を使用して、X−Y移動機構3bによってレーザ変位計5を移動させる際のX方向に沿った移動量およびY方向に沿った移動量をそれぞれ補正するためのオフセット量を取得するオフセット量取得処理を実行する。この場合、図2に示すように、オフセット量取得用基板20は、レーザービームの透過率が高い材料で平板状に形成された板材の表面に、板材の形成材料よりもレーザービームの透過率が低い材料(一例として、金などの金属材料)によって2つのビーム照射位置検出用マーク21(以下、単に「マーク21」ともいう)が形成されている(「レーザービームの反射光量が周囲とは相違するビーム照射位置検出用マーク」の一例)。
【0034】
このマーク21は、オフセット量取得用基板20を基板保持機構2によって保持した状態においてY方向(一例として、同図における上下方向)と平行になる互いに平行な直線状の一対の第1の辺(この例では、左辺および右辺)と、X方向(一例として、同図における左右方向)と平行になる互いに平行な直線状の一対の第2の辺(この例では、上辺および下辺)とを有する矩形状(「平行四辺形状」の一例)に形成されている。また、マーク21は、その一辺の長さがレーザービームのビームスポット径の2倍程度の大きさに形成されると共に、オフセット量取得用基板20上における形成位置が既知となっている。なお、この基板検査装置1では、上記のマーク21を「ビーム照射位置検出用マーク」および「位置ずれ量特定用マーク」として兼用する構成が採用されている。
【0035】
記憶部10は、制御部9の動作プログラムや、検査対象基板の検査処理時に使用する情報、およびオフセット量取得用基板20を使用したオフセット量取得処理時に使用する情報を記憶する。具体的には、記憶部10は、検査処理時に使用する情報として、検査対象基板の検査処理時にカメラ4によって撮像すべき位置を特定可能な撮像位置情報、レーザ変位計5によってレーザービームを照射すべき照射位置を特定可能な照射位置情報、および検査用プローブ7a,7bをプロービングさせるべきプロービング位置を特定可能なプロービング位置情報や、良品の基板から取得した検査用基準情報等で構成された基板検査情報を記憶する。
【0036】
また、記憶部10は、オフセット量取得処理時に使用する情報として、オフセット量取得用基板20が基板保持機構2によって保持された状態においてマーク21の中心(「ビーム照射位置検出用マークに対応して予め規定された基準点」の一例)が位置すべき位置(第1の位置:一例として、図4に示す中心位置Ob)を特定可能な位置情報(第1の位置情報)、マーク21の中心に対する上記の両第1の辺の位置およびマーク21の中心に対する上記の両第2の辺の位置をそれぞれ特定可能な位置情報(第2の位置情報)、およびオフセット量取得用基板20が基板保持機構2によって正常に保持されている状態(位置ずれなどが生じることのないように基板保持機構2によって保持された状態)においてマーク21が位置すべき位置(第3の位置:一例として、図3に示す中心位置Oa)を特定可能な位置情報(第3の位置情報)をそれぞれ記録した基準位置情報D0を記憶する。
【0037】
この基板検査装置1では、基板検査装置1の組立て作業が完了したとき、または、基板検査装置1の設置作業が完了したときや、検査対象基板についての検査処理を開始する前の準備作業時などに、上記のオフセット量取得処理を実行することができるように構成されている。このオフセット量取得処理に際しては、まず、基板保持機構2の基板保持位置にオフセット量取得用基板20を載置した状態において、図示しない操作部を操作して、オフセット量取得処理の開始を指示する。この際には、制御部9が制御信号S1を出力することによって基板保持機構2にオフセット量取得用基板20を保持させる。次いで、制御部9は、X−Y移動機構3aに制御信号S2を出力することにより、基準位置情報D0における上記の「第3の位置情報」に基づいて特定される2つのマーク21のうちの一方(一例として、図2に示す両マーク21のうちの左下のマーク21)の形成位置上にカメラ4を移動させる。次いで、制御部9は、カメラ4に制御信号S3を出力することにより、その位置においてオフセット量取得用基板20を撮像させる。これに応じて、カメラ4が撮像情報D1を出力する。
【0038】
この際に、基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置に位置ずれが生じている場合(基板保持機構2によってオフセット量取得用基板20が正しい保持位置に保持されていない場合)には、図3に示すように、オフセット量取得用基板20を正常に保持した状態においてマーク21が位置すべき位置(第3の位置:カメラ4の直下に位置している位置:この例では、中心位置Oa)とは相違する位置にマーク21の中心位置Maが位置した状態となる。したがって、制御部9は、まず、カメラ4から出力された撮像情報D1を画像解析処理することにより、基板保持機構2によって保持されているオフセット量取得用基板20のマーク21における中心位置Ma(現実の中心位置)を特定する。次いで、制御部9は、特定した中心位置Ma(「画像解析処理の結果」の一例)と、上記の「第3の位置情報」に基づいて特定される中心位置Oa(この例では、カメラ4によって撮像された撮像範囲の中心)とのX方向に沿った位置ずれ量Xa、およびY方向に沿った位置ずれ量Yaをそれぞれ特定する。
【0039】
次いで、制御部9は、2つのマーク21のうちの他方(この例では、図2に示す両マーク21のうちの右上のマーク21)についても、上記の処理と同様の処理を実行して中心位置Maと中心位置OaとのX方向に沿った位置ずれ量Xa、およびY方向に沿った位置ずれ量Yaをそれぞれ特定する。続いて、制御部9は、両マーク21について特定した位置ずれ量Xaおよび位置ずれ量Yaに基づき、基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置のX方向に沿ったずれ量(「第3の位置ずれ量」の一例)、およびY方向に沿ったずれ量(「第4の位置ずれ量」の一例)をそれぞれ特定し、特定した結果をオフセット量情報DOaとして記憶部10に記憶させる。なお、上記の例とは相違するが、オフセット量取得用基板20が基板保持機構2によって正常な保持位置に保持されている場合(基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置に位置ずれが生じていない場合)には、両マーク21の上記の中心位置Maが中心位置Oaと一致した状態となる。したがって、このような状態のときには、制御部9は、一例として、「補正量=0」のオフセット量情報DOaを生成して記憶部10に記憶させる。
【0040】
次いで、制御部9は、X−Y移動機構3bに制御信号S2を出力することにより、基準位置情報D0に基づいて特定されるマーク21の中心位置(「第1の位置情報および第2の位置情報の予め規定された一方に基づいて特定される第1のビーム照射開始位置」の一例)上にレーザ変位計5が位置するように移動させる。この際に、制御部9は、上記のオフセット量情報DOaに基づいてX−Y移動機構3bによるレーザ変位計5の移動量を補正する(「第3の位置ずれ量および第4の位置ずれ量に応じて移動量を補正する」との処理の一例)。これにより、基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置に位置ずれが生じていた場合であっても、その影響が排除される。なお、この際には、一例として、図4に示す中心位置Ob上にレーザ変位計5が移動させられる。
【0041】
続いて、制御部9は、X−Y移動機構3bに制御信号S2を出力することにより、レーザ変位計5を矢印A1の向き(X軸のプラス(右)方向)に移動させつつ、レーザ変位計5に制御信号S4を出力することによってオフセット量取得用基板20に向けてレーザービームを照射させる(「第1の移動体を移動機構によってX方向に移動させながらビーム照射部を制御してレーザービームを照射させる」との処理の一例)。この際には、レーザ変位計5が、照射したレザービームの反射光量を測定して反射光量情報D2を出力し、制御部9が、レーザ変位計5から出力された反射光量情報D2を記憶部10に記憶させる。次いで、制御部9は、X−Y移動機構3bに制御信号S2を出力することにより、基準位置情報D0に基づいて特定されるマーク21の中心位置Ob(「第1のビーム照射開始位置」の一例)上にレーザ変位計5が位置するように移動させた後にレーザ変位計5を矢印A2の向き(X軸のマイナス(左)方向)に移動させつつ、レーザ変位計5に制御信号S4を出力することによってオフセット量取得用基板20に向けてレーザービームを照射させ(「第1の移動体を移動機構によってX方向に移動させながらビーム照射部を制御してレーザービームを照射させる」との処理の他の一例)、レーザ変位計5から出力された反射光量情報D2を記憶部10に記憶させる。
【0042】
同様にして、制御部9は、X−Y移動機構3bに制御信号S2を出力することにより、マーク21の中心位置Ob(「第2のビーム照射開始位置」の一例)上にレーザ変位計5が位置するように移動させた後にレーザ変位計5を矢印B1の向き(Y軸のプラス(上)方向)に移動させつつ、レーザ変位計5に制御信号S4を出力することによってオフセット量取得用基板20に向けてレーザービームを照射させ(「第1の移動体を移動機構によってY方向に移動させながらビーム照射部を制御してレーザービームを照射させる」との処理の一例)、レーザ変位計5から出力された反射光量情報D2を記憶部10に記憶させる。続いて、制御部9は、X−Y移動機構3bに制御信号S2を出力することにより、マーク21の中心位置Ob(「第2のビーム照射開始位置」の一例)上にレーザ変位計5が位置するように移動させた後にレーザ変位計5を矢印B2の向き(Y軸のマイナス(下)方向)に移動させつつ、レーザ変位計5に制御信号S4を出力することによってオフセット量取得用基板20に向けてレーザービームを照射させ(「第1の移動体を移動機構によってY方向に移動させながらビーム照射部を制御してレーザービームを照射させる」との処理の他の一例)、レーザ変位計5から出力された反射光量情報D2を記憶部10に記憶させる。
【0043】
次いで、制御部9は、記憶部10に記憶させた各反射光量情報D2に基づき、基板保持機構2によって保持されているオフセット量取得用基板20のマーク21における両第1の辺の位置、および両第2の辺の位置をそれぞれ特定する。この場合、マーク21上にレーザービームが照射されているときには、マーク21の周囲にレーザービームが照射されているときよりもその反射光量が多くなる。したがって、X−Y移動機構3bによってレーザ変位計5を矢印A1,A2の向きに移動させながら測定された反射光量情報D2の変化に基づき、Y方向に沿った両第1の辺の端部位置Mx1,Mx2を特定することができる。同様にして、X−Y移動機構3bによってレーザ変位計5を矢印B1,B2の向きに移動させながら測定された反射光量情報D2の変化に基づき、X方向に沿った両第2の辺の端部位置My1,My2を特定することができる。
【0044】
続いて、制御部9は、特定した端部位置Mx1,Mx2および端部位置My1,My2と、基準位置情報D0における上記の「第2の位置情報(マーク21の中心に対する上記の両第1の辺の位置およびマーク21の中心に対する上記の両第2の辺の位置をそれぞれ特定可能な位置情報)」とに基づいて、基板保持機構2によって保持されているオフセット量取得用基板20における現実の中心位置Mb(第2の位置)を特定する。この場合、X−Y移動機構3bを構成する部品精度のばらつき、X−Y移動機構3bの組立て時に生じる部品組付け位置のばらつき、およびX−Y移動機構3bに対するレーザ変位計5の取付け位置のばらつきなどに起因して、X−Y移動機構3bによるレーザ変位計5の移動量を補正する必要が生じている状態では、図4に示すように、基準位置情報D0に基づいてマーク21の中心位置に移動させたレーザ変位計5が、現実の中心位置Mb上から位置ずれした中心位置Ob上に移動させられる。
【0045】
したがって、中心位置Obと中心位置MaとのX方向に沿った位置ずれ量Xb(第1の位置ずれ量)、および中心位置Obと中心位置MaとのY方向に沿った位置ずれ量Yb(第2の位置ずれ量)を演算することにより、検査処理に際してX−Y移動機構3bによってレーザ変位計5を移動させる際のX方向に沿った移動量を補正するオフセット量、および検査処理に際してX−Y移動機構3bによってレーザ変位計5を移動させる際のY方向に沿った移動量を補正するオフセット量を取得することができる。具体的には、制御部9は、上記の位置ずれ量XbをX方向に沿った移動量を補正するオフセット量とし、上記の位置ずれ量YbをY方向に沿った移動量を補正するオフセット量として演算して、その演算結果をオフセット量情報DObとして記憶部10に記憶させる。
【0046】
なお、この基板検査装置1では、実際には、制御部9が、2つのマーク21についての上記の位置ずれ量Xb,Ybをそれぞれ演算し、演算結果を平均化して上記のオフセット量情報DObを生成するが、発明についての理解を容易とするために2つ目のマーク21についての処理や、平均化の処理に関する説明を省略する。また、上記の例とは相違するが、X−Y移動機構3bによってレーザ変位計5を正確に移動させることができる状態(X−Y移動機構3bによるレーザ変位計5の移動量を補正する必要がない状態)のときには、前述したオフセット量情報DOaに応じたレーザ変位計5の移動量の補正によって、上記の中心位置Mbが中心位置Obと一致する。したがって、この際には、制御部9は、一例として、「補正量=0」のオフセット量情報DObを生成して記憶部10に記憶させる。以上により、オフセット量取得用基板20を使用したオフセット量取得処理が完了する。
【0047】
一方、検査対象基板の検査処理に際しては、制御部9がオフセット量情報DObに応じてX−Y移動機構3bによるレーザ変位計5の移動量を補正する。これにより、検査対象基板の表面の高さを測定すべき規定位置にレーザービームが照射される結果、レーザ変位計5によって検査対象基板の表面の高さを正確に計測することができる。したがって、計測結果に応じて検査用プローブ7a,7bによるプロービング高さを正確に微調整することができるため、検査対象基板の傷付きや検査用プローブ7a,7bの破損が好適に回避することができる。
【0048】
このように、この基板検査装置1では、制御部9が、オフセット量取得処理において、基準位置情報D0に基づいて特定される中心位置Ob上にレーザ変位計5が位置するようにレーザ変位計5をX−Y移動機構3bによって移動させた後にレーザ変位計5をX−Y移動機構3bによってX方向に移動させながらレーザ変位計5からレーザービームを照射させたときのレーザービームの反射光量の変化に基づいてビーム照射位置検出用マーク21の第1の辺の端部位置Mx1,Mx2を取得し、かつ、基準位置情報D0に基づいて特定される中心位置Ob上にレーザ変位計5が位置するようにレーザ変位計5をX−Y移動機構3bによって移動させた後にレーザ変位計5をX−Y移動機構3bによってY方向に移動させながらレーザ変位計5からレーザービームを照射させたときのレーザービームの反射光量の変化に基づいてマーク21の第2の辺の端部位置My1,My2を取得すると共に、取得した端部位置Mx1,Mx2,My1,My2と基準位置情報D0とに基づいて、基板保持機構2によって保持されている状態のオフセット量取得用基板20における中心位置Mbを特定し、特定した中心位置Mbと中心位置ObとのX方向に沿った位置ずれ量Xbを、基板保持機構2によるレーザ変位計5のX方向に沿った移動量を補正するためのオフセット量とし、かつ、中心位置Mbと中心位置ObとのY方向に沿った位置ずれ量Ybを、基板保持機構2によるレーザ変位計5のY方向に沿った移動量を補正するためのオフセット量として特定する。
【0049】
したがって、この基板検査装置1によれば、オフセット量取得処理時にマーク21zとレーザ照射領域Azとが同心状に一致したかを目視によって判断する必要がある従来の検査装置とは異なり、保護カバー越しにマーク21と、オフセット量取得用基板20に対して照射したレーザービームの照射領域とが同心状に一致したかを確認する必要がないだけではなく、レーザ変位計5からのレーザービームの反射光量の変化に基づいて特定される中心位置Mbと、基準位置情報D0に基づいて特定される中心位置Obとの位置ずれ量Xb,Ybに基づいてオフセット量情報DObが自動的に取得されるため、オペレータの判断基準の差異に起因して、取得されるオフセット量に差異が生じる事態を回避して、正確かつ容易にオフセット量を取得することができる。したがって、この基板検査装置1によれば、検査対象基板の検査処理時に、オフセット量取得処理によって取得したオフセット量情報DObに基づいて、レーザ変位計5を正確に移動させることができるため、検査対象基板を正確に検査することができる。
【0050】
また、この基板検査装置1によれば、制御部9が、オフセット量取得処理において、互いに平行な一対の第1の辺および互いに平行な一対の第2の辺を有する平行四辺形状(この例では、矩形状)のビーム照射位置検出用マーク21が形成されたオフセット量取得用基板20を使用して、上記の一対の第1の辺の端部位置Mx1,Mx2および一対の第2の辺の端部位置My1,My2をそれぞれ取得し、取得した各辺の端部位置Mx1,Mx2,My1,My2と基準位置情報D0とに基づいて中心位置Mbを特定することにより、「第1の辺」や「第2の辺」がそれぞれ1つだけのビーム照射位置検出用マークが形成されたオフセット量取得用基板(図示せず)を使用してオフセット量を取得する構成と比較して、中心位置Mbを正確に特定することができるため、一層正確なオフセット量情報DObを取得することができる。
【0051】
さらに、この基板検査装置1では、制御部9が、オフセット量取得処理において、基準位置情報D0に基づいて特定されるマーク21の形成位置上(この例では、中心位置Oa上)にカメラ4が位置するようにX−Y移動機構3aによってカメラ4を移動させた後にカメラ4を制御してマーク21を撮像させると共に、カメラ4から出力された撮像情報D1を画像解析処理して、画像解析処理の結果と基準位置情報D0とに基づいて位置ずれ量Xa,Yaを特定し、特定した位置ずれ量Xa,Yaに応じて、上記の中心位置Ob上にレーザ変位計5が位置するようにレーザ変位計5を移動させる際の移動量を補正することにより、基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置に位置ずれが生じていたとしても、この位置ずれの影響を排除して、正確なオフセット量情報DObを取得することができる。
【0052】
また、この基板検査装置1によれば、制御部9が、オフセット量取得処理において、「ビーム照射位置検出用マーク」を「位置ずれ量特定用マーク」として(マーク21を兼用して)使用して位置ずれ量Xa,Yaを特定することにより、「ビーム照射位置検出用マーク」および「位置ずれ量特定用マーク」を別個に形成したオフセット量取得用基板(図示せず)を使用してオフセット量を取得する構成と比較して、オフセット量取得用基板20の製造コストを低減することができるだけでなく、「第1の位置」や「第3の位置」を特定するための基準位置情報D0の生成が容易となるため、オフセット量取得処理を実行可能な環境を用意するための負担を十分に軽減することができる。
【0053】
さらに、この基板検査装置1によれば、制御部9が、オフセット量取得処理において、「第1の位置情報に基づいて特定される基準点」に相当する中心位置Obを「第1のビーム照射開始位置」および「第2のビーム照射開始位置」として第1の辺の端部位置Mx1,Mx2および第2の辺の端部位置My1,My2を取得することにより、「基準点」、「第1のビーム照射開始位置」および「第2のビーム照射開始位置」をそれぞれ別個に規定した場合と比較して、オフセット量取得処理を実行可能な環境を用意するための負担を一層軽減することができる。
【0054】
なお、基板検査装置の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、オフセット量取得処理に際して、カメラ4から出力された撮像情報D1の画像解析処理の結果と基準位置情報D0とに基づいて位置ずれ量Xa,Ya(図3参照)を特定し、特定した位置ずれ量Xa,Yaに応じて(位置ずれ量Xa,Yaに基づいて生成したオフセット量情報DOaに応じて)、上記の中心位置Ob上にレーザ変位計5が位置するようにレーザ変位計5を移動させる際の移動量を補正する構成の基板検査装置1を例に挙げて説明したが、基板検査装置の構成はこれに限定されない。具体的には、マーク21の第1の辺の位置(上記の例示における端部位置Mx1,Mx2)や第2の辺の位置(上記の例示における端部位置My1,My2)を特定する際のレーザ変位計5の移動時において上記のオフセット量情報DOaに応じた移動量の補正を行わずに端部位置Mx1,Mx2,My1,My2を特定して中心位置Mbを特定し、特定した中心位置Mbと中心位置ObとのX方向に沿った位置ずれ量XbおよびY方向に沿った位置ずれ量Ybに対して、オフセット量情報DOaによって特定される位置ずれ量Xaおよび位置ずれ量Yaをそれぞれ加算してオフセット量を特定する構成を採用することができる。
【0055】
このような構成を採用することにより、上記の基板検査装置1と同様にして、基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置に位置ずれが生じていたとしても、この位置ずれの影響を排除して、正確なオフセット量情報DObを取得することができる。
【0056】
また、オフセット量取得処理に際して、カメラ4によってマーク21を撮像し、その撮像情報D1を画像解析処理することによって基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置のずれ量を取得する例について説明したが、オフセット量取得用基板20が基板保持機構2によって正しい位置に保持されるようにオフセット量取得用基板20をセットする(上記の例時における中心位置Ma,Oaが一致する状態にセットする)ことを条件として、カメラ4によるマーク21を撮像する処理、および、その撮像情報D1を画像解析処理してオフセット量取得用基板20の保持位置のずれ量を取得する処理を不要とすることができる。
【0057】
また、レーザービームの透過率が高い材料で平板状に形成された板材の表面に、板材の形成材料よりもレーザービームの透過率が低い材料によってマーク21が形成されたオフセット量取得用基板20を使用してオフセット量を取得する例について説明したが、オフセット量取得処理時に使用するオフセット量取得用基板は、これに限定されず、図5に示すように、レーザービームの反射光量が周囲よりも低い(レーザービームの透過光量が周囲よりも高い)ビーム照射位置検出用マーク21a(「ビーム照射位置検出用マーク」および「位置ずれ量特定用マーク」の他の一例:以下、単に「マーク21a」ともいう)が形成されたオフセット量取得用基板20Aを使用してオフセット量を取得する構成を採用することもできる。このオフセット量取得用基板20Aは、レーザービームの透過率が低い材料(一例として、金などの金属材料)がマーク21aとすべき矩形状の領域の周囲にめっきされることによって矩形状のマーク21aが形成されている。したがって、マーク21が形成されているオフセット量取得用基板20を使用した上記のオフセット量取得処理と同様にして、カメラ4から出力された撮像情報D1を画像解析処理することで、例えば、その中心位置を特定することができ、レーザ変位計5からのレーザービームの反射光量の変化に基づいて、各辺の位置を特定することができる。
【0058】
さらに、2つのマーク21が形成されたオフセット量取得用基板20を使用してオフセット量を取得する例について説明したが、1つのマーク21(または、1つのマーク21a)が形成されたオフセット量取得用基板(図示せず)を使用してオフセット量を取得する構成を採用することができる。具体的には、カメラ4から出力された撮像情報D1に基づいて(撮像情報D1を画像解析して)、基板保持機構2によるオフセット量取得用基板の保持位置のずれ量を取得する際には、1つのマーク21(またはマーク21a)についての上記の位置ずれ量Xa,Yaと、そのマーク21(またはマーク21a)の傾き(図3に示す回転角θ)とを特定することで、オフセット量取得用基板の保持位置のX方向に沿ったずれ量およびY方向に沿ったずれ量をそれぞれ特定することができる。
【0059】
また、矩形状のマーク21(またはマーク21a)が形成されたオフセット量取得用基板20(またはオフセット量取得用基板20A)を使用してオフセット量を取得する例について説明したが、「ビーム照射位置検出用マーク」の形状は矩形状に限定されない。具体的には、マーク21(またはマーク21a)における左辺および右辺のいずれか一方に相当する一辺(第1の辺)と、マーク21(またはマーク21a)における上辺および下辺のいずれか一方に相当する一辺(第2の辺)とを有している限り、任意の形状のビーム照射位置検出用マークを形成したオフセット量取得用基板を使用してオフセット量を取得することができる。
【0060】
この場合、「基準点に対する第1の辺の位置および基準点に対する第2の辺の位置をそれぞれ特定可能な第2の位置情報」が制御部9に記憶されているため、上記の例における端部位置Mx1,Mx2のいずれか一方と、端部位置My1,My2のいずれか一方とを特定し、特定した2つの端部位置と、「第2の位置情報」とに基づいて、「基準点」についての「第2の位置」を特定することができる。また、基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置のずれ量を取得する場合においても、カメラ4による撮像の結果(撮像情報D1)を画像解析することによって基板保持機構2によるオフセット量取得用基板の保持位置のずれ量を特定することができるため、上記の例における端部位置Mx1,Mx2のいずれか一方と、端部位置My1,My2のいずれか一方とを特定し、特定した2つの端部位置と、「第2の位置情報」と、画像解析処理の結果に基づいて特定した「オフセット量取得用基板の保持位置のずれ量」とに基づいて、「基準点」についての「第2の位置」を特定することができる。したがって、例えば矩形状のマーク21(またはマーク21a)が形成されたオフセット量取得用基板20(またはオフセット量取得用基板20A)を使用する場合においても、上記の例における端部位置Mx1,Mx2のいずれか一方と、端部位置My1,My2のいずれか一方とを特定するだけで、上記の中心位置Obを特定することができる。
【0061】
さらに、「ビーム照射位置検出用マーク」と「位置ずれ量特定用マーク」とを兼用する例について説明したが、これらを別個独立して形成したオフセット量取得用基板(図示せず)を使用してオフセット量を取得する構成を採用することができる。この場合、「位置ずれ量特定用マーク」については、2つ以上形成する場合には、円形や楕円形などの任意の形状(直線状の辺を有さない形状)とすることができるが、「位置ずれ量特定用マーク」1つだけ形成する場合には、1つの「位置ずれ量特定用マーク」を撮像した撮像情報D1を画像解析処理して、そのオフセット量取得用基板の傾きの状態(図3に示す回転角θに対応する角度)を特定可能とするために、少なくとも一つの直線状の辺を有する形状とするのが好ましい。
【0062】
また、基板保持機構2によるオフセット量取得用基板20の保持位置のずれ量を特定可能なオフセット量情報DOa(図3に示す位置ずれ量Xa,Yaを特定可能な情報)を自動的に取得する構成の基板検査装置1を例に挙げて説明したが、オフセット量情報DOaに対応する情報の取得に関しては、手動で実行する構成を採用することもできる。具体的には、図3に示すように、基準位置情報D0に基づいて特定される中心位置Oaにカメラ4を移動させた状態においてマーク21の中心位置Maがカメラ4による撮像領域の中心から位置ずれしていたときに、マーク21の中心位置Maがカメラ4による撮像領域の中心に位置するように、カメラ4の位置をオペレータの指示操作によって移動させ、その際の移動量(すなわち、上記の位置ずれ量Xa,Yaに対応する移動量)に基づいてオフセット量情報DOaを生成する構成を採用することもできる。
【0063】
さらに、「基板保持機構およびカメラの少なくとも一方としての第2の移動体」の一例であるカメラ4をX−Y移動機構3aによって移動させると共に、「基板保持機構およびビーム照射部の少なくとも一方としての第1の移動体」の一例であるレーザ変位計5をX−Y移動機構3bによって移動させる構成を例に挙げて説明したが、「移動機構」の構成は、これに限定されず、カメラ4を固定的に配置した状態において基板保持機構2(「第2の移動体」の他の一例)を任意のX−Y方向に移動させる構成(図示せず)や、レーザ変位計5を固定的に配置した状態において基板保持機構2(「第1の移動体」の他の一例)を任意のX−Y方向に移動させる構成(図示せず)を採用することができる。また、カメラ4および基板保持機構2の双方(「第2の移動体」のさらに他の一例)をX−Y方向に移動させる構成(図示せず)や、レーザ変位計5および基板保持機構2の双方(「第1の移動体」のさらに他の一例)をX−Y方向に移動させる構成(図示せず)を採用することもできる。
【0064】
加えて、上下動機構6a,6bによって検査用プローブ7a,7bを上下動させて検査対象基板を電気的に検査する構成の基板検査装置1を例に挙げて説明したが、「基板検査装置」の構成は、これに限定されず、上下動機構6a,6bや検査用プローブ7a,7b等を備えることなく、カメラ4によって検査対象基板を撮像してその撮像情報D1を画像解析処理することで検査対象基板の良否を検査する構成の基板検査装置や、従来の反り検査装置のように、レーザ変位計によって検査対象基板の各部の高さ等を測定して検査対象基板の良否を検査する構成の基板検査装置においても、上記のオフセット量測定処理を好適に実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 基板検査装置
2 基板保持機構
3a,3b X−Y移動機構
4 カメラ
5 レーザ変位計
9 制御部
10 記憶部
20,20A オフセット量取得用基板
21,21a ビーム照射位置検出用マーク
D0 基準位置情報
D1 撮像情報
D2 反射光量情報
D3 測定結果情報
DOa,DOb オフセット量情報
Ma,Mb,Oa,Ob 中心位置
Mx1,Mx2,My1,My2 端部位置
S1〜S6 制御信号S1〜S6
Xa,Xb,Ya,Yb 位置ずれ量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象基板を保持する基板保持機構と、前記検査対象基板に向けてレーザービームを照射するビーム照射部と、前記基板保持機構および前記ビーム照射部の少なくとも一方を第1の移動体として任意のX−Y方向に移動させる移動機構と、前記ビーム照射部によって前記レーザービームを照射すべき照射位置を特定可能な照射位置情報を記憶する記憶部と、前記検査対象基板の検査処理時に前記移動機構を制御して前記照射位置情報に基づいて特定される前記ビーム照射位置上に前記ビーム照射部を位置させるように前記第1の移動体を移動させると共に当該ビーム照射部を制御して前記レーザービームを照射させる制御部とを備え、当該制御部が、前記基板保持機構によって保持されたオフセット量取得用基板を対象として、前記第1の移動体を前記検査処理時に前記移動機構によって移動させる際の前記X方向に沿った移動量および前記Y方向に沿った移動量をそれぞれ補正するためのオフセット量を取得するオフセット量取得処理を実行可能に構成され、
前記オフセット量取得用基板には、前記基板保持機構によって保持された状態において前記Y方向と平行になる直線状の第1の辺および前記X方向と平行になる直線状の第2の辺を有すると共に前記レーザービームの反射光量が周囲とは相違するビーム照射位置検出用マークが形成され、
前記記憶部は、前記オフセット量取得用基板が前記基板保持機構によって保持された状態において前記ビーム照射位置検出用マークに対応して予め規定された基準点が位置すべき第1の位置を特定可能な第1の位置情報と、前記基準点に対する前記第1の辺の位置および前記第2の辺の位置をそれぞれ特定可能な第2の位置情報とを記憶し、
前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報の予め規定された一方の位置情報に基づいて特定される第1のビーム照射開始位置上に前記ビーム照射部が位置するように前記第1の移動体を前記移動機構によって移動させた後に当該第1の移動体を当該移動機構によって前記X方向に移動させながら当該ビーム照射部を制御して前記レーザービームを照射させたときの当該レーザービームの反射光量の変化に基づいて前記第1の辺の位置を取得し、かつ、前記予め規定された一方の位置情報に基づいて特定される第2のビーム照射開始位置上に前記ビーム照射部が位置するように前記第1の移動体を前記移動機構によって移動させた後に当該第1の移動体を当該移動機構によって前記Y方向に移動させながら当該ビーム照射部を制御して前記レーザービームを照射させたときの当該レーザービームの反射光量の変化に基づいて前記第2の辺の位置を取得すると共に、取得した前記第1の辺の位置および前記第2の辺の位置と、前記第2の位置情報とに基づいて前記基板保持機構によって保持されている状態の前記オフセット量取得用基板における前記基準点の第2の位置を特定し、特定した当該第2の位置と前記第1の位置との前記X方向に沿った第1の位置ずれ量を、前記第1の移動体の当該X方向に沿った移動量を補正するためのオフセット量とし、かつ、当該第2の位置と当該第1の位置との前記Y方向に沿った第2の位置ずれ量を、当該第1の移動体の当該Y方向に沿った移動量を補正するためのオフセット量として特定する基板検査装置。
【請求項2】
前記オフセット量取得用基板には、前記ビーム照射位置検出用マークとして、互いに平行な一対の前記第1の辺および互いに平行な一対の前記第2の辺を有する平行四辺形状のマークが形成され、
前記記憶部は、前記第2の位置情報として、前記一対の第1の辺の位置および前記一対の第2の辺の位置をそれぞれ特定可能な情報を記憶し、
前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記一対の第1の辺の位置および前記一対の第2の辺の位置をそれぞれ取得し、取得した当該各辺の位置と前記第2の位置情報とに基づいて前記第2の位置を特定する請求項1記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記検査対象基板を撮像して撮像情報を出力するカメラを備え、
前記移動機構は、前記基板保持機構および前記カメラの少なくとも一方を第2の移動体として前記任意のX−Y方向に移動可能に構成され、
前記オフセット量取得用基板には、前記基板保持機構によって保持された当該オフセット量取得用基板の前記X方向に沿った第3の位置ずれ量および前記Y方向に沿った第4の位置ずれ量を特定するための位置ずれ量特定用マークが形成され、
前記記憶部は、前記オフセット量取得用基板が前記基板保持機構によって正常に保持された状態において前記位置ずれ量特定用マークが位置すべき第3の位置を特定可能な第3の位置情報を記憶し、
前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記第3の位置情報に基づいて特定される前記位置ずれ量特定用マークの形成位置上に前記カメラが位置するように前記第2の移動体を前記移動機構によって移動させた後に当該カメラを制御して当該位置ずれ量特定用マークを撮像させると共に、当該カメラから出力された前記撮像情報を画像解析処理して、当該画像解析処理の結果と前記第3の位置情報とに基づいて前記第3の位置ずれ量および前記第4の位置ずれ量を特定し、特定した当該第3の位置ずれ量および当該第4の位置ずれ量に応じて、前記第1のビーム照射開始位置上に前記ビーム照射部が位置するように前記第1の移動体を移動させる際の移動量、および前記第2のビーム照射開始位置上に当該ビーム照射部が位置するように当該第1の移動体を移動させる際の移動量をそれぞれ補正する請求項1または2記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記検査対象基板を撮像して撮像情報を出力するカメラを備え、
前記移動機構は、前記基板保持機構および前記カメラの少なくとも一方を第2の移動体として前記任意のX−Y方向に移動可能に構成され、
前記オフセット量取得用基板には、前記基板保持機構によって保持された当該オフセット量取得用基板の前記X方向に沿った第3の位置ずれ量および前記Y方向に沿った第4の位置ずれ量を特定するための位置ずれ量特定用マークが形成され、
前記記憶部は、前記オフセット量取得用基板が前記基板保持機構によって正常に保持された状態において前記位置ずれ量特定用マークが位置すべき第3の位置を特定可能な第3の位置情報を記憶し、
前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記第3の位置情報に基づいて特定される前記位置ずれ量特定用マークの形成位置上に前記カメラが位置するように前記第2の移動体を前記移動機構によって移動させた後に当該カメラを制御して当該位置ずれ量特定用マークを撮像させると共に、当該カメラから出力された前記撮像情報を画像解析処理して、当該画像解析処理の結果と前記第3の位置情報とに基づいて前記第3の位置ずれ量および前記第4の位置ずれ量を特定し、特定した当該第3の位置ずれ量および当該第4の位置ずれ量を前記第1の位置ずれ量および前記第2の位置ずれ量にそれぞれ加算して前記オフセット量を特定する請求項1または2記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記ビーム照射位置検出用マークを前記位置ずれ量特定用マークとして使用して前記第3の位置ずれ量および前記第4の位置ずれ量を特定する請求項3または4記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記オフセット量取得処理において、前記第1の位置情報に基づいて特定される前記基準点を前記第1のビーム照射開始位置および前記第2のビーム照射開始位置として前記第1の辺の位置および前記第2の辺の位置を取得する請求項1から5のいずれかに記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257271(P2011−257271A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132142(P2010−132142)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】