説明

外観検査方法及び外観検査装置

【課題】 被検査物の分布形状及び位置を特定可能な外観検査方法及び外観検査装置を提供する。
【解決手段】 基板上のペーストを画像として撮影し、第1の画像データを得る工程(S11)、基板の重心位置を算出する工程(S12)、ノイズ除去(S13)、第1の画像データを2値化する工程(S14)、2値化された第2の画像データの塊の面積、最大及び最小のフィレ径、及び重心を算出する工程(S15)、面積最大の塊を抽出(S16)、この塊が第1の基準値に適合するかを判定する工程(S17)、この塊のフィレ径比が第2の基準値に適合するかを判定する工程(S18)、最大の塊の重心位置を算出する工程(S19)、最大の塊の重心位置と基板の重心位置との距離が第3の基準値に適合するかを判定する工程(S20)、及び最大の塊の重心位置を後続の工程に送出する工程(S21)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置等の製造工程における外観検査方法及び外観検査装置に関し、特に、半導体チップをマウントするためのペースト等を設けた後のペースト等の外観検査方法及び外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は、樹脂接着材や半田でリードフレームやパッケージ基板等にマウントされて半導体装置とされることが多い。半導体素子がマウントされる直前の樹脂接着材や半田は、液体状であることが多いが、樹脂接着材は形成あるいは配置等がなされた時、すでに粘度の幅はあるもののペーストであることがほとんどである。
【0003】
半導体素子がマウントされる直前の半田は、温度が上げられて、溶融状態となる。溶融状態の半田の量あるいは位置等が正常かどうかを判定するための検査装置及び検査方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、上方に取り付けた照明を点灯させて、上方に取り付けたカメラで画像を取り込む。鏡面状態の半田表面から、反射を生じる面積に基づいて、半田量の多寡を検出する。また、側方からの照明により半田の有無を検出する。半田の側面から反射してくる部分の長さを計測して半田の位置の偏りを検出している。
【0004】
この提案された検査装置及び検査方法は、広がりを規定できるパッド上で、鏡面状態の表面からの反射光を有する半田に対して、有効であると推測される。しかしながら、位置が限定されにくい相対的に広い基板上に設けられた樹脂接着材や半田等の被検査物においては、リードフレームやパッケージ基板上の設計位置を目指して塗布しても、置くべき位置からのずれが生じたり、また、分布形状が異なったりして、例えば、不良と判定すべき被検査物の分布の基準が、広がりを規定できるパッド上の溶融状態の半田とは異なっている。従って、広い基板上に設けられた被検査物の外観検査を、上記に開示された検査方法あるいは検査装置で実行することは難しいという問題がある。
【特許文献1】特開平10−160426号公報(第3〜5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被検査物の分布形状及び位置を特定可能な外観検査方法及び外観検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の外観検査方法は、基板及び前記基板の表面に設けられた被検査物を画像として撮影し、第1の画像データを得る工程と、前記第1の画像データから前記基板の位置を特定し、前記基板の重心位置を算出する工程と、しきい値に基づき前記第1の画像データを2値化して第2の画像データとする工程と、前記2値化された第2の画像データの一方の値に対応する前記被検査物に相当する塊の物理的特徴量を算出する工程と、前記物理的特徴量の内の面積が最大となる塊を抽出し、前記面積最大の塊の面積が第1の基準値に適合するかどうかを判定する工程と、前記面積最大の塊の最大フィレ径の最小フィレ径に対するフィレ径比を算出し、前記フィレ径比が第2の基準値に適合するかどうかを判定する工程と、前記面積最大の塊の重心位置を幾何学的形状サーチにて算出する工程と、前記面積最大の塊の重心位置と前記基板の重心位置との距離を算出し、前記距離が第3の基準値に適合するかどうかを判定する工程と、前記面積最大の塊の重心位置を後続の工程に送出する工程とを備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様の外観検査装置は、水平移動可能な支持台と、前記支持台に載置された基板及び前記基板上に設けられた被検査物を照射する照明と、前記照明から照射された光が、前記被検査物によって反射された反射光を画像として取り込む受光部と、前記受光部から出力される前記画像を画像データとして取り込んで、前記基板の重心位置を特定し、ノイズ除去を行い、前記画像データのしきい値を設定して2値化し、前記被検査物を塊として特徴量を算出し、前記塊の特徴量を前記被検査物の特定に必要な特性値とするための計算を行い、前記特性値を、予め記憶させてある基準値と比較して、前記被検査物の適否を判定するプログラムを実行する画像処理判定部と、少なくとも、前記支持台、前記受光部、及び前記画像処理判定部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被検査物の分布形状及び位置を特定可能な外観検査方法及び外観検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。以下に示す図では、同一の構成要素には同一の符号を付している。
【実施例】
【0010】
本発明の実施例に係る外観検査方法及び外観検査装置について、図1乃至図10を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、外観検査装置の構成を模式的に示すブロック図、図2は外観検査の手順を概略的に示すフローチャート、図3はパッケージ基板(以下、基板と称す)上に配設されたペーストの実画像(目視に近い画像)を模式的に示す図、図4はペーストを排除した状態の基板の重心位置を示す図、図5は図3の実画像を2値化した画像を示す図、図6は飛び散りを起こしたペーストの2値化した画像を示す図で、図6(a)は飛び散りを起こしたペーストの全体図、図6(b)は図6(a)の飛び散りを起こしたペーストの内で最大面積の塊を抽出した図、図7は流れを起こしたペーストの2値化した画像を示す図、図8は幾何学的形状サーチを説明するための図で、図8(a)は流れの小さなペーストの2値化した画像を示す図、図8(b)は図8(a)にモデル画像を重ねた図、図9は基板の重心位置とペーストの重心位置との距離を模式的に示す図、図10はペーストの重心に半導体素子の中心を一致させてマウントした半導体装置の模式的な断面図である。なお、ペーストの外観検査を進めていく段階では、基板あるいはペースト等は確定されていない場合が生じるが、確定されることになる名称を付して説明する。
【0012】
まず、図1に示すように、外観検査装置1は、撮像部10、コンピュータ部30、入力部33、及び出力部34を有している。撮像部10は、対象物を撮影して、データをコンピュータ部30に出力し、コンピュータ部30でデータの解析及び撮像部10への指示等を行う。コンピュータ部30への外部からの指示は入力部33で行い、結果等は出力部34に出力される。
【0013】
撮像部10は、支持台11、支持台11上に載置された対象物、対象物を照射する第1及び第2の照明19、23、及び対象物を撮影するカメラ17を有している。水平移動可能な支持台11の上に、対象物である基板13及び基板13の上に形成された被検査物であるペースト15が載置される。受光部であるCCDまたはCMOSセンサを有し、ズーム機能付きまたは交換可能なレンズ18を鉛直下方に向けたカメラ17を備えている。
【0014】
第1の照明19の照射光25は、カメラ17の光軸の延長上にあるハーフミラー21で反射させて、鉛直下方に基板13及びペースト15を照射する。基板13及びペースト15で反射した反射光26は、ハーフミラー21を透過してカメラ17に入射する。第2の照明23は、カメラ17の光軸から離れて、傾斜した方向から、直接、基板13及びペースト15を照射する。第2の照明23は、補助的な照明であり、照射角度の変更が可能である。また、第2の照明23は、リング状であっても差し支えない。
【0015】
コンピュータ部30は、制御部31、記憶部32及び画像処理判定部40で構成されている。画像処理判定部40は、しきい値設定手段41、ブロブ解析手段42、形状解析手段43及び画像判定手段44を有している。画像処理判定部40は、プログラムとして記憶部32に記憶されており、制御部31に制御されて、所望のプログラムが実行される。プログラムの処理結果は、記憶部32に記憶される。コンピュータ部30は、パーソナルコンピュータであって差し支えない。
【0016】
また、制御部31は、撮像部10、入力部33及び出力部34に接続されている。制御部31は、撮像部10の支持台11、第1及び第2の照明19、23、カメラ17、及びハーフミラー21に接続されて、これらの動作を制御する。そして、制御部31は、指示に従って、撮像部10のパラメータや画像処理判定部40の計算結果等を出力する。
【0017】
次に、画像処理判定部40の構成要素を説明する。なお、カメラ17で撮影した画像は、画素毎の明るさ(濃度)のデータからなるデジタルデータとして画像処理判定部40に供給される。画像処理判定部40では、課題を解決するために、ペースト15が半導体素子(後述)のマウントに適した分布形状及び位置を有することを判定する。
【0018】
しきい値設定手段41は、対象物であるペースト15と基板13を、画像として区別するためのしきい値を決定できる。しきい値は、自動追従型で決定することが可能である。横軸に濃度をとり、縦軸に画像を構成する画素の個数をとり、濃度ヒストグラムを作成すると、画素数の多い2つの山、つまり、ペースト15と予想される山と基板13と予想される山を有する分布が見られる。自動追従型では、画素数の多い2つの山の間の最も画素数の少ないところにしきい値を設定する。最も画素数の少ないところは、ペースト15と基板13との中間の濃度に相当する。
【0019】
また、自動追従型しきい値は、第1及び第2の照明19、23の明るさの変動、ペースト15や基板13の反射面の変動があった場合でも、基板13に対するペースト15を区別することができる。山の数が少なくなる等、しきい値を決定できない場合、固定しきい値に変更して、画像処理を行うことが可能である。また、条件を変えて画像の取り直しも可能である。基板13上にペースト15が存在しない場合、しきい値を決定できないことになるが、ペースト外観検査対象から外すことは可能である。
【0020】
しきい値設定手段41は、ノイズ除去機能を有している。設定したしきい値によって、ペースト15と基板13とを、期待通りに区別できない場合がある。例えば、基板13の表面の粗さあるいはメッキ光沢の差等によって、基板13の画像の中に、ペースト15と同様もしくは近い濃度のデータを有する画像ノイズが存在する場合である。
【0021】
これらの画像ノイズは、クロージングまたはオープニングを複数回行うことにより、または、平滑化用のフィルタをかけることにより除去可能である。その結果、基板13及びペースト15の濃度ヒストグラム上の山を2つに分離でき、2値化に必要なしきい値を適切に設定できる。
【0022】
なお、クロージングまたはオープニングは、例えば、ある画素の近傍の最大濃度値に置き換える「膨張」と、逆に、ある画素の近傍の最小濃度値に置き換える「収縮」とを組み合わせて行う。クロージングとは、n回膨張処理を行った後、n回収縮処理を行うことをいい、オープニングとは、n回収縮処理を行った後、n回膨張処理を行うことをいう。平滑化用のフィルタとは、ある画素の濃度に、その画素を中心にした一定領域の画素の濃度平均を与えることをいう。
【0023】
ブロブ解析手段42は、2値化を行った後、例えば、基板13の白に対して、ペースト15の黒を塊として検出して、塊の面積、塊のフィレ径の最大値と最小値(最大径と最小径という)、及び塊の重心等の特徴量あるいは塊の個数を算出できる。例えば、面積は塊を構成している画素数から算出でき、最大の塊を抽出することができる。また、最大径と最小径は、例えば、45度間隔で8通りの長方形を塊に外接させ、8通りの長方形の内の最大辺を最大径とし、最小辺を最小径とすることに相当する。ペーストの場合、45度の回転間隔で塊としての特徴を把握できるが、より小さい回転間隔で最大径及び最小径を求めても差し支えない。ブロブ解析手段42は、大きさ、形状、角度等が任意の塊の特徴量把握に対して有効である。
【0024】
形状解析手段43は、モデル画像と照合することにより、ペースト15の重心位置を算出できる。ペースト15を塊として認識した画像の2次元的な重心に比較して、ペースト15の量の分布をより良く反映した、つまり真の重心に近い重心を算出できる。重心位置の算出は、ペースト15のあるべき形状を、モデル画像(例えば、円、楕円、またはそれらに近い形状)として記憶部32に登録しておき、ブロブ解析手段42で求めた塊の重心を手がかりにして、モデル画像とエッジ(境界線)を基準として照合する(幾何学的形状サーチ法)。最適なモデル画像を、重心位置を求めるべき塊の形状と仮定して、そのモデル画像の重心位置を求めるべき塊の重心位置とする。すなわち、ペースト15のマウントすべき位置の中心に近い重心位置が求められる。
【0025】
また、形状解析手段43は、基板13の重心位置を算出できる。基板の任意の位置、任意の大きさの画像をモデル画像とし、基板重心の座標値を記憶部32に登録する。基板13の画像とモデル画像とを照合(パターンマッチング)し、一致する位置を検出、位置ずれ量を算出し、登録時の基板重心座標を修正して基板13の重心位置とする。また、形状解析手段43は、周知のエッジ検出も可能である。
【0026】
画像判定手段44は、ブロブ解析手段42で得たペースト15に相当する塊の画像が円に近いかどうかを判定できる。塊の最大径の最小径に対するフィレ径の比率、すなわち、フィレ径比=最大径/最小径を算出する。塊の形状が円に近ければ、1に近い値となり、塊の形状が円から離れれば、1より離れた値となる。記憶部32にデータとして予め入力しておいたフィレ径比の基準値を、画像判定手段44に呼び出して、比較して、塊が所望の形状であることを判定する。
【0027】
また、画像判定手段44は、ブロブ解析手段42で得たペースト15に相当する最大の塊の面積から、適切な大きさかどうかを判定できる。記憶部32にデータとして予め入力しておいた面積の基準値を、画像判定手段44に呼び出して、比較して、塊が所望の面積であることを判定する。
【0028】
また、画像判定手段44は、ペースト15が基板13の適する位置にあるかどうかの判定ができる。形状解析手段43で求められた基板13の重心位置とペースト15の最大の塊の重心位置とを呼び出して、その距離を算出する。そして、記憶部32にデータとして予め入力しておいた距離の基準値と比較して、ペースト15が基板13の適する位置にあることを判定する。
【0029】
外観検査方法、すなわち、例えば、ペーストの外観検査方法の手順を説明する。図2に示すように、基板13及び基板13上に形成されたペースト15を撮影し、撮影した画像を第1の画像データであるデジタルデータとして、コンピュータ部30に取り込む(ステップS11)。
【0030】
なお、ペースト15は、例えば、導電性を有しており、ディスペンサを使用した滴下法またはスタンピング(図示略)で形成される。この形成時点で、ペースト15の一部が流れたり、一部が飛び散ったりする場合がある。
【0031】
撮影は、次のように行う。例えば、第1の照明19を点灯し、ハーフミラー21で反射して落射照明として、基板13及び基板13上に形成されたペースト15を照射する。これらの対象物から反射した光はハーフミラー21を透過させ、カメラ17のレンズ18を通して、撮像素子(図示略)に像を結ぶ。この画像を画素単位で取得し、デジタルデータとする。画像が後述のデータ処理に適するように、補助的な第2の照明23を追加することが可能である。また、支持台11の水平移動、カメラ17のレンズ18のズーミングまたはフォーカシングによって、撮像素子の適する位置に、適する像を結ぶように調整することが可能である。
【0032】
撮像部10からコンピュータ部30に送られる基板13及び基板13上に形成されたペースト15の画像は、例えば、図3に示すように、出力部34に表示される。なお、図3のハッチングは、明るさを模式的に示すためのものである。概ね円形の導電性のペースト15が、比較的明るい概略矩形の基板13のほぼ中心部に、比較的暗く映し出されている。ドーム状に盛り上がったペースト15の中心部は、カメラ17の光軸に平行に上方から照明されるため、正反射する光がペースト15の周辺部に比較して多くなり、少し明るい不定形の模様を有している。
【0033】
次に、基板13の位置、すなわち基板13の重心位置を、形状解析手段43のパターンマッチングにより算出する(ステップS12)。通常、基板13の形状は実質的に一定である。図4に示すように、例えば、機械的な位置合わせ手段(図示略)により、基板13は支持台11の所定の位置に位置合わせが行われて、ほぼ一定の位置に配置されるので、設計上の基板13aの重心14aの位置が予め記憶されている。しかしながら、このステップS12で得られた重心14を真の重心として、基板13の重心位置の記憶を修正する。なお、基板13の重心14の位置は、形状解析手段43のエッジ検出で算出することも可能である。
【0034】
画像データのノイズ除去を行う(ステップS13)。ノイズがある場合は、基板13の画像と予想される領域に、ペースト15と同等の濃度領域のデータを有する場合と、ペースト15と予想される領域に、基板13と同等の濃度領域のデータを有する場合の2通りが考えられ、例えば、画像の濃度により、ノイズ除去の方法を決めておいて、実行する。そして、例えば、基板13と予想される領域の中に相対的に暗いペースト15と同等の濃度領域が存在し、この暗い領域の平均濃度が、一定値より低い(暗い)場合、クロージングを数回かけ、一定値より高い(明るい)場合、オープニングを数回かけると都合がよい。また、平滑化用のフィルタをかけることにより、ノイズ除去を行っても差し支えない。なお、ノイズ除去は、2値化の前に行うなら、2値化の直前でなくても差し支えない。
【0035】
次に、ペースト15と背景の基板13とを画像として区別するため、しきい値設定手段41で画像データの2値化を行い、第2の画像データである2値化された画像データとする(ステップS14)。自動追従型しきい値決定法により、しきい値を設定する。ノイズが除去されているので、図5に示すように、2値化により、画像データの一方は、矩形をなす明るく示される基板13に相当する領域、他方は、基板13に囲まれた暗いペースト15に相当する領域に区別される。
【0036】
ノイズのない2値化された画像データは、ペースト15に相当する領域(塊)の物理的な特徴量を算出するために、ブロブ解析手段42によりブロブ処理される(ステップS15)。塊の面積及びフィレ径の内の最大径と最小径を算出する。例えば、図6(a)に示すように、基板13の中心部に暗い大きなペースト65a、そして、周辺部に小さなペーストである飛び散り部65b、65c、65dが分布する場合、飛び散り部65b、65c、65dも含めて、基板13上の全ての塊の面積を、各々画素数を数えることにより算出する。また、例えば、図7に示すように、基板13の中心部から右下部に向かって流れたような部分(流れ部75a)を有するペースト75に対して、塊のフィレ径の内の最大径77と最小径78を算出する。
【0037】
算出された塊の面積から、最大の面積を有する塊の抽出を画像判定手段44により行う(ステップS16)。例えば、図6(a)に示す飛び散りがある場合、図6(b)に示す最大のペースト65aが抽出される。なお、飛び散りのない場合は、比較することなく1つのペーストが抽出される。
【0038】
抽出された最大面積のペーストは、上限及び下限を規定する第1の基準値である面積の基準値に比較して、画像判定手段44で選別される(ステップS17)。ペーストの物性及び基板の特性等が一定の場合、ペーストの量は、平面的な面積で概略的に把握できるので、経験的に割り出した面積の基準値を与えて、適するペーストの量とその分布を選別する。
【0039】
選別されたペーストは、算出された塊の最大径及び最小径をもとに、画像判定手段44により、その比率(フィレ径比)を算出し、第2の基準値であるフィレ径比の基準値に比較して選別される(ステップS18)。フィレ径比は、液体状のペーストを、例えば、ディスペンサまたはスタンピング(図示略)で形成すると、1に近い程、円に近いことが経験的に割り出されている。従って、フィレ径比は、1から離れた上限を規定する基準値を与えて、ペーストの平面的な形状を選別する。例えば、図7に示すペースト75は、流れ部75aが大きく、最大径77の最小径78に対するフィレ径比は約1.5となり、フィレ径比が基準値に入っていない場合である。また、例えば、図8(a)に示すように、ペースト85は、下方に流れ部85aがあるものの、フィレ径比が1に近く、基準値に入っている場合である。なお、ステップS17とステップS18は、順序を入れ替えても差し支えない。
【0040】
面積で選別され、且つフィレ径比で選別されたペーストは、形状解析手段43で重心位置が算出される(ステップS19)。例えば、図8(b)に示すように、モデル画像87とペースト85とをパターンマッチングさせて、最もよくマッチングしたモデル画像87の重心89の位置をペースト85の重心89の位置とする。図8(a)に示すように、ペーストに流れがあると、ブロブ解析手段42により算出した重心88は、流れの方向に移動して、マウントに適する重心の位置からずれることになるが、形状解析手段43を使用することにより、マウントにより適する重心位置を算出できる。
【0041】
ステップS12で修正された基板13の重心と、ステップS19で得られたペーストの重心位置から、画像判定手段44により、両重心間の距離を算出し、第3の基準値である距離の基準値に比較して選別される(ステップS20)。例えば、図9に示すように、基板13の重心14の位置とペースト95の重心91の位置との距離93を算出する。距離93が、マウントに適する基板13上の位置にあるかどうか距離の基準値に比較して、選別される。
【0042】
上述の全ての判定を通過したペーストの重心の位置は、制御部31を通して、支持台11上の位置として送出される(ステップS21)。送出されたペーストの重心位置は、半導体素子をマウントする目標とされ、マウント手段(図示略)によりマウントされる半導体素子の中心と位置付けられる。例えば、図1に示すように、ペースト15の重心の位置が、マウント手段の中心に一致するように、支持台11を水平移動させることが可能である。なお、マウント手段を水平移動が可能として、ペーストの重心位置に半導体素子の中心を合わせてマウントしても差し支えない。
【0043】
外観検査装置1にて、外観検査される基板及びペーストは、良品及び不良品に関わらず、解析に必要なパラメータを選別してデータとして記憶される(ステップS22)。蓄積されたデータは、基板及びペーストの良不良の傾向を把握し、製品歩留まりの改善を図るデータとして利用可能である。
【0044】
外観検査装置1及びペーストの外観検査の手順に基づいてマウントされた半導体素子の構造を説明する。図10に示すように、基板13の上に形成された導電性のペースト15の上に、発光層102を有する半導体素子101がマウントされている。基板13は、例えば、CuまたはFe合金等で形成されている。導電性のペースト15は、例えば、樹脂接着材であるエポキシ樹脂の中に粉末状のAgが混合されている。半導体素子101は、pn接合を含む発光層102をペースト15とは反対側の上方に向けて、ペースト15で固着され、半導体素子101と基板13とは電気的に接続されている。半導体素子101は、ペースト15のほぼ中央部にマウントされており、半導体素子101の左右両側部に、ほぼ同量のペースト15が盛り上がり、側面が固着されている。なお、この後の工程で、ボンディング及びパッケージング等が行われて、半導体装置(図示略)が完成する。
【0045】
上述したように、本実施例では、しきい値設定手段41、ブロブ解析手段42、形状解析手段43及び画像判定手段44を有する画像処理判定部40を活用して、基板13及び基板上に形成されたペースト15の画像のノイズ除去、2値化処理、ブロブ処理、形状解析、及び幾何学的形状サーチ等行うことにより、ペーストに特有な流れや飛び散りがあっても、マウントに適する最大面積のペーストを選別し、そのペーストの分布形状を判定し、そしてそのペーストの重心の位置の特定を行うことが可能である。
【0046】
特定されたペースト15の分布形状あるいは重心位置は、次工程の、例えば、発光層102を有する半導体素子101をペースト上にマウントするのに適する位置となり、基板13上のペースト15の中心である重心の位置に半導体素子101を固着することが可能となる。従って、ペースト15が半導体素子101の片側の側面に集中して、発光層102の位置にまで付着する率は低減される。その結果、ペースト15が導電性であっても、発光層102のpn接合部に発生するリーク電流等による特性劣化を抑制することが可能である。
【0047】
しきい値設定手段41では、自動追従型でしきい値設定を行っている。そのために、第1及び第2の照明19、23の照度の変動、第1の照明19と第2の照明23との切り替え、あるいは、基板13の製品ロット間や製品ロット内のばらつき等によって生じる表面粗さあるいはメッキ光沢の差等に影響されることなく、適切なしきい値を設定してペースト15を基板13から区別することが可能である。このペーストの外観検査方法を有する外観検査装置は、条件設定等の煩わしさの低減が可能である。
【0048】
以上、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
【0049】
例えば、ペーストの外観検査装置は、独立した装置であるように説明したが、例えば、マウント装置の1つの機能として、マウント装置内に組み込まれていても差し支えない。
【0050】
また、画像処理判定部を4つの手段に分けて説明したが、実施例で説明した機能を有していれば、手段の区分は4つに限られるものではない。
【0051】
また、本実施例では、ペーストとして、導電性の樹脂ペーストの例を示したが、検査の対象物として画像取り込み後、半導体素子等がマウントされるまで、位置及び形状が実質的に変化しないペーストまたはペースト状のマウント材、例えば、半田等であれば、本外観検査装置に適用可能である。例えば、導電性の樹脂ペーストにおいて、添加する導電性材料としてAu、Cu、Pt等の金属を使用しても差し支えない。また、樹脂接着材として、エポキシ樹脂の他、ポリイミド樹脂や他のポリマーを使用しても差し支えない。更に、導電性材料を添加しない絶縁性の樹脂ペーストであっても差し支えない。
【0052】
また、発光層を有する半導体素子をマウントする例を示したが、半導体発光素子以外の半導体素子、または、受動素子であっても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例に係る外観検査装置の構成を模式的に示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る外観検査の手順を概略的に示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例に係る基板上に配設されたペーストの実画像を模式的に示す図。
【図4】本発明の実施例に係るペーストを排除した状態の基板の重心の位置を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る実画像を2値化した画像を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る飛び散りを起こしたペーストの2値化した画像を示す図で、図6(a)は飛び散りを起こしたペーストの全体図、図6(b)は図6(a)の飛び散りを起こしたペーストの内で最大面積の塊を抽出した図。
【図7】本発明の実施例に係る流れを起こしたペーストの2値化した画像を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る幾何学的形状サーチを説明するための図で、図8(a)は流れの小さなペーストの2値化した画像を示す図、図8(b)は図8(a)にモデル画像を重ねた図。
【図9】本発明の実施例に係る基板の重心の位置とペーストの重心の位置との距離を模式的に示す図。
【図10】本発明の実施例に係るペーストの重心の位置に半導体素子の中心を一致させてマウントした半導体装置の模式的な断面図。
【符号の説明】
【0054】
1 外観検査装置
10 撮像部
11 支持台
13 基板
13a 設計上の基板
14 基板重心
14a 設計上の重心
15、65a、75、85、95 ペースト
16 明部
17 カメラ
18 レンズ
19 第1の照明
21 ハーフミラー
23 第2の照明
25 照射光
26 反射光
30 コンピュータ部
31 制御部
32 記憶部
33 入力部
34 出力部
40 画像処理・判定部
41 しきい値設定手段
42 ブロブ解析手段
43 形状解析手段
44 画像判定手段
65b、65c、65d 飛び散り部
75a、85a 流れ部
77 最大径
78 最小径
87 モデル画像
88、89、91 重心
93 距離
101 半導体素子
102 発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板及び前記基板の表面に設けられた被検査物を画像として撮影し、第1の画像データを得る工程と、
前記第1の画像データから前記基板の位置を特定し、前記基板の重心位置を算出する工程と、
しきい値に基づき前記第1の画像データを2値化して第2の画像データとする工程と、
前記2値化された第2の画像データの一方の値に対応する前記被検査物に相当する塊の物理的特徴量を算出する工程と、
前記物理的特徴量の内の面積が最大となる塊を抽出し、前記面積最大の塊の面積が第1の基準値に適合するかどうかを判定する工程と、
前記面積最大の塊の最大フィレ径の最小フィレ径に対するフィレ径比を算出し、前記フィレ径比が第2の基準値に適合するかどうかを判定する工程と、
前記面積最大の塊の重心位置を幾何学的形状サーチにて算出する工程と、
前記面積最大の塊の重心位置と前記基板の重心位置との距離を算出し、前記距離が第3の基準値に適合するかどうかを判定する工程と、
前記面積最大の塊の重心位置を後続の工程に送出する工程と、
を備えていることを特徴とする外観検査方法。
【請求項2】
前記第1の画像データは、クロージングまたはオープニングを複数回掛けてノイズ除去が行われることを特徴とする請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項3】
前記2値化は、前記第1の画像データの濃度ヒストグラムをとり、前記濃度ヒストグラムの2つの山の間の最も頻度の少ないところに前記しきい値が設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の外観検査方法。
【請求項4】
水平移動可能な支持台と、
前記支持台に載置された基板及び前記基板上に設けられた被検査物を照射する照明と、
前記照明から照射された光が、前記被検査物によって反射された反射光を画像として取り込む受光部と、
前記受光部から出力される前記画像を画像データとして取り込んで、前記基板の重心位置を特定し、ノイズ除去を行い、前記画像データのしきい値を設定して2値化し、前記被検査物を塊として特徴量を算出し、前記塊の特徴量を前記被検査物の特定に必要な特性値とするための計算を行い、前記特性値を、予め記憶させてある基準値と比較して、前記被検査物の適否を判定するプログラムを実行する画像処理判定部と、
少なくとも、前記支持台、前記受光部、及び前記画像処理判定部を制御する制御部と、
を備えていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項5】
前記支持台は、前記画像処理判定部で適するとされた前記被検査物の重心位置に基づいて、位置調整されることを特徴とする請求項4に記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−17283(P2007−17283A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199044(P2005−199044)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】