説明

導電膜パターンの形成方法、デバイスの製造方法、電気光学装置、及び電子機器

【課題】 膜パターン上をより緻密なバリアメタル層で覆うことにより、金属元素が拡散することを防止した、導電膜パターンの形成方法、デバイスの製造方法、電気光学装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】 基板P上に、第1の材料M1と第2の材料M2とを積層しバンク膜Mを形成し、バンク膜Mをパターニングして、第1のバンクB1と第2のバンクB2とが積層されてなるバンクBを形成する。そして、バンクBによって区画されたパターン形成領域ARに、機能液Lを配置して、第1のバンクB1の高さ以下の膜厚を有した膜パターンF1を形成する。その後、膜パターンF1、及びバンクBの上面を含む基板Pの全面に、バリアメタル層F2を成膜する。バリアメタル層F2の成膜後、リフトオフ法により、第2のバンクB2とともに第2のバンクB2上のバリアメタル層F2を除去し、導電膜パターンFを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電膜パターンの形成方法、デバイスの製造方法、電気光学装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶装置等の電気光学装置に使われるスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)を製造する際、電極又は配線等を形成する工程において、液体吐出ヘッドから液体材料を液滴状に吐出する液滴吐出法(いわゆるインクジェット法)を用いて、基板上に電極パターン又は配線パターン(膜パターン)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
この方法では、金属微粒子等の導電性微粒子若しくはその前駆体を分散させた液体材料である薄膜パターン用インク(機能液)を基板に直接パターン塗布し、その後熱処理やレーザ照射を行って薄膜の導電膜パターンに変換する。この方法によれば、従来の複雑な成膜処理、フォトリソグラフィ、及びエッチング工程が不要となり、プロセスが大幅に簡単なものになるとともに、原材料の使用量が少なく、生産性の向上を図れるといったメリットがある。
【0003】
ところで、このような液滴吐出法を用いて、例えばボトムゲート型の薄膜トランジスタに導通するゲート電極(膜パターン)を形成することができる。
ここで、前記ゲート電極上にはゲート絶縁膜を介して半導体層が積層された構造となっており、例えばこの積層構造を形成する際に行われる加熱処理によって、ゲート電極を構成する材料の一部の金属元素がゲート絶縁膜中に拡散するおそれがある。すると、ゲート絶縁膜の絶縁性が低下して、電流のリークが発生し、薄膜トランジスタが動作不良となってしまう。そこで、ゲート電極をバリアメタル層で覆うことにより、金属元素の拡散を防止する方法が考えられる。さらに、上述した液滴吐出法を用いて、ゲート電極上にバリアメタル層を形成する方法が考えられる。
【特許文献1】特平11−274671号公報
【特許文献2】特開2000−216330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、液滴吐出法によってバリアメタル層を形成する場合、バリアメタル層を構成する金属微粒子を分散させたバリアメタル用インク(機能液)をゲート電極(膜パターン)上に吐出し、焼成又は乾燥することでバリアメタル層が形成される。しかしながら、金属微粒子(導電性微粒子)を焼成して形成されたバリアメタル層内には微小な空孔が生じるため、この微小空孔により緻密なバリアメタル層を得る事が難しくなる。このように、緻密性に欠けたバリアメタル層は、ゲート絶縁膜中への金属元素の拡散を十分に防止することができず、絶縁性の低下によりリーク電流を発生させる要因となっていた。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、膜パターン上をより緻密なバリアメタル層で覆うことにより、金属元素が拡散することを防止した、導電膜パターンの形成方法、デバイスの製造方法、電気光学装置、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の金属配線の形成方法は、基板上に、第1の材料と第2の材料とを順に積層することでバンク膜を形成し、該バンク膜をパターニングすることにより、前記第1の材料から構成される第1のバンクと前記第2の材料から構成される第2のバンクとが積層されてなるバンクを形成する工程と、該バンクによって区画されたパターン形成領域に、導電性微粒子を含有する機能液を配置して、前記第1のバンクの高さ以下の膜厚を有した膜パターンを形成する工程と、該膜パターン、及び前記バンクの上面を含む前記基板の全面に、気層法、又はメッキ法を用いることによりバリアメタル層を成膜する工程と、該バリアメタル層を成膜した後、リフトオフ法により、前記第2のバンクとともに該第2のバンク上に設けられたバリアメタル層を除去し、前記膜パターン上にバリアメタル層が積層された導電膜パターンを形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の導電膜パターンの形成方法によれば、導電膜パターンを、例えば金属配線とし、該導電膜パターン上に層間絶縁膜を介して他の配線を積層する構造を形成した場合に、気層法、又はメッキ法を用いることにより形成された、緻密なバリアメタル層が導電膜パターンの上面を覆っているので、導電膜パターンを構成する金属元素の一部が前記層間絶縁膜中に拡散することが無くなる。ここで、該パターン形成領域に形成されている膜パターンは、その膜厚が第1のバンクの高さ以下となっているので、該膜パターンの側面は前記第1のバンクに接触することで、該第1のバンクは、膜パターンの側面からの金属元素の拡散を防止することができる。
このようにして製造された導電膜パターンは、その側面部が第1のバンクで覆われ、その上面が緻密なバリアメタル層によって覆れているので、金属元素の拡散を防止し、リーク電流の発生を防止したものとなる。
【0008】
また、前記の金属配線の製造方法においては、前記第1のバンクを構成する材料として無機材料を用い、前記第2のバンクを構成する材料として有機材料を用いることが好ましい。
このようにすれば、リフトオフ法によって第2のバンクを除去する際に、無機材料からなる第1のバンクと有機材料からなる第2のバンクとの間で十分に大きなエッチングレート比が得られる。よって、前記第2のバンクのみを選択的に除去することがより容易となり、リフトオフ法を良好に行うことができる。
【0009】
また、前記導電膜パターンの形成方法において、前記基板の側面側に露出しない島状のバンクがある場合、前記基板の全面にバリアメタル層を成膜した後、リフトオフ法による工程の前に、前記島状のバンクにおける第2のバンク上に成膜されたバリアメタル層に、前記第2のバンクまで到達する貫通孔を形成する工程を行うことが好ましい。
基板の側面側に露出しない島状のバンクは、ウエットエッチングによってリフトオフを行った場合に、エッチング液が基板の側面側から入り込めず、該島状のバンクにおける第2のバンクを除去することができない。そこで、本発明を採用することで、バリアメタル層に形成された貫通孔によって、エッチング液が入り込むことにより、第2のバンク上に成膜されたバリアメタルを選択的に除去することができる。
【0010】
本発明のデバイスの製造方法は、基板上に導電膜パターンを形成する工程を有するデバイスの製造方法であって、前記の導電膜パターンの形成方法により前記基板上に導電膜パターンを形成することを特徴とする。
本発明のデバイスの製造方法によれば、上述したように、緻密なバリアメタル層によって、金属元素の拡散が防止された金属配線を形成する工程を有しているので、金属配線上に層間絶縁膜を介して配線積層構造を有したデバイスを形成する場合、層間絶縁膜中への金属元素の拡散によるリーク電流の発生を防止した信頼性の高いデバイスを製造することができる。
【0011】
本発明の電気光学装置は、前記のデバイスの製造方法によって得られたデバイスを備えたことを特徴とする。
本発明の電気光学装置によれば、リーク電流の発生を防止した信頼性の高いデバイスを備えているので、これを備えた電気光学装置自体の信頼性も高いものとなる。
【0012】
本発明の電子機器は、前記の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器によれば、上述したように信頼性の高い電気光学装置を備えたことで、確実な動作が可能となり、その信頼性が高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の導電膜パターンの形成方法、デバイスの製造方法、電気光学装置、及び電子機器の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、参照する各図において、図面上で認識可能な大きさとするために縮尺は各層や各部材毎に異なる場合がある。
【0014】
本実施の形態では、導電膜パターンを形成する方法として、液滴吐出法によって液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから導電性微粒子を含む導電膜パターン用インク(機能液)を液滴状に吐出し、基板上に導電膜パターンに応じて形成され、バンクにより区画される配線形成領域(パターン形成領域)に複数の配線パターン(導電膜パターン)を形成する。
【0015】
この導電膜パターン用インクは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液や有機銀化合物や酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散液)に分散した溶液からなるものである。
このような、導電性微粒子として、例えば、金、銀、銅、鉄、クロム、マンガン、モリブデン、チタン、パラジウム、タングステン及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
なお、導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッドの吐出ノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0016】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0017】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物の吐出ノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えると吐出ノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0018】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合には吐出ノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、吐出ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0019】
配線パターンが形成される基板としては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種のものを用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0020】
ここで、液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0021】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0022】
次に、液滴吐出ヘッドから基板に対して液滴を吐出(滴下)することにより導電膜パターンを形成する液滴吐出装置(インクジェット装置)について説明する。
図1は、液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJにより液体材料(配線パターン用インク)を配置される基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0023】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面に一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含む配線パターン用インクが吐出される。
【0024】
X軸方向駆動軸4には、X軸方向駆動モータ2が接続されている。X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0025】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ2に液滴吐出ヘッド1のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ3にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に配置された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0026】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して、液滴吐出ヘッド1の下面にX軸方向に配列された複数の吐出ノズルから液滴を吐出する。
【0027】
図2は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図2において、液体材料(配線パターン用インク、機能液)を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、吐出ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0028】
次に、図3を参照して、本発明の導電膜パターンの形成方法を概念的に説明する。
本発明の導電膜パターンの形成方法では、図3(a)に示すように、基板P上に、第1の材料M1と第2の材料M2とを順に積層することによりバンク膜Mを形成する。このとき、前記第1のバンクを構成する材料として無機材料を用い、前記第2のバンクを構成する材料として有機材料を用いることが好ましい。このようにすれば、後述する工程において、リフトオフ法によって第2のバンクB2を除去する際に、無機材料からなる第1のバンクB1と有機材料からなる第2のバンクB2との間で十分に大きなエッチングレート比が得られる。なお、リフトオフ法を行う際に必要な比以上に、前記第1のバンクB1と前記第2のバンクB2との間のエッチングレート比が取れる場合には、これら第1のバンクB1、及び第2のバンクB2が互いに無機材料、或いは有機材料から構成されていてもよい。
【0029】
そして、図3(b)に示すように、該バンク膜Mを、所望の形状にパターニングし、前記第1の材料M1から構成される第1のバンクB1と前記第2の材料M2から構成される第2のバンクB2とが積層されてなるバンクBを形成する。
このようなバンクBの形成方法としては、リソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板P上に、前記第1の材料M1と第2の材料M2を順に積層した後、エッチングやアッシング等によりパターニングすることにより、所定のパターン形状のバンクBが形成される。なお、基板Pとは別の物体上でバンクを形成し、それを基板P上に配置してもよい。
【0030】
このバンクBは、図3(b)に示したように、導電膜パターンを形成するためのパターン形成領域ARを仕切るものであり、例えば隣接するバンクB間の幅を狭くすることで、このパターン形成領域ARに形成される導電膜パターンの微細化や細線化が可能となる。ここで、バンクの表面をフッ素含有ガス等によってプラズマ処理することにより、このバンクBの表面に撥液性を付与させることが望ましい。これにより、バンクB上面への機能液の付着が防止され、導電膜パターンを所望の形状に正確に形成できるようになる。
【0031】
そして、図3(c)に示すように、バンクBによって区画されたパターン形成領域ARに、前述した液滴吐出装置IJにより、導電性微粒子として銀微粒子を含有する機能液Lを吐出し、必要に応じて乾燥、焼成処理を行う。そして、第1のバンクB1の高さ以下の膜厚を有し、導電性のある膜パターンF1を形成する。よって、前記膜パターンF1の側面は、前記第1のバンクB1により常に覆われた状態となっている。なお、本実施形態においては、図3中に示したように、膜パターンF1の高さと前記第1のバンクB1との高さを略同じこととする。
【0032】
前記パターン形成領域ARに膜パターンF1を形成した後、図3(d)に示すように、該膜パターンF1、及び前記バンクBの上面を含む前記基板Pの全面に気層法として、スパッタ法、蒸着法、又はメッキ法を用いることにより、例えば、ニッケル、マンガン、チタン等からなるバリアメタル層F2を成膜する。このバリアメタル層F2は、膜パターンF1を構成する金属元素の一部が拡散することを防止するためのものである。なお、形成されるバリアメタル層F2の膜厚は、基板Pの全面において略均一となることから、バリアメタル層F2は、パターン形成領域ARの膜パターンF1上において凹部状となる。しかしながら、図3(d)においては、図示を簡略化し、基板上に形成されたバリアメタル層F2の上面を平坦面として図示している。
【0033】
このようにして、スパッタ法、蒸着法、又はメッキ法を用いることで、液滴吐出法に比べて、緻密なバリアメタル層F2を形成することが可能となっている。具体的には、液滴吐出法を用いた場合には、バリアメタル層を構成するための金属微粒子を含有した機能液を吐出した後、乾燥、又は焼成してバリアメタル層を形成する。そのため、形成されたバリアメタル層中には微小な空孔が生じ、この微小空孔により緻密性に欠け、金属元素の拡散防止性の低いものとなっていた。そこで、本発明を採用することで、スパッタ法、蒸着法、又はメッキ法等を用いることで、より緻密なバリアメタル層F2を形成することが可能となるのである。
【0034】
該バリアメタル層F2を成膜した後、図3(e)に示すように、リフトオフ法により、前記第2のバンクB2とともに該第2のバンクB2上に設けられたバリアメタル層F2を除去する。リフトオフ法では、ウエットエッチングにより、第2のバンクB2を除去している。ここで、バリアメタル層F2は、ウエットエッチングに用いるエッチング液に対しては、不溶性を有している。なお、前記エッチング液は、前記第1のバンクB1と前記第2のバンクB2との間で、十分なエッチングレート比が取れる材質を適宜採用することができる。よって、リフトオフ法を行う際には、エッチング液は、基板Pの上面に不溶性のバリアメタル層F2が形成されていることから、基板Pの側面側に露出した溶融可能である第2のバンクB2を溶融除去し始める。このようにして、第2のバンクB2のみを選択的に除去することが可能となる。
【0035】
なお、前記基板Pの側面側に露出しない島状のバンクがある場合には、前記基板Pの全面にバリアメタル層F2を成膜した後、リフトオフ法による工程の前に、前記島状のバンクBにおける第2のバンクB2上に成膜されたバリアメタル層F2に、前記第2のバンクB2まで到達する貫通孔を、例えばエッチング等により形成する必要がある。
このようにすれば、ウエットエッチングを行った場合に、基板Pの側面側に露出した無いことで、エッチング液が入り込まず溶融できなかった第2のバンクB2に対しても、バリアメタル層F2に形成した貫通孔によりエッチング液が入り込んで、第2のバンクB2を溶融し除去するとともに、該第2のバンクB2上に成膜されたバリアメタル層を選択的に除去することができる。
【0036】
このように、第2のバンクB2が除去されると、上述したように、該第2のバンクB2上に成膜されたバリアメタル層F2と、膜パターンF1上に成膜されたバリアメタル層F2との間では、その連続性が弱いことから、前記第2のバンクB2が除去されることで、この第2のバンクB2上のバリアメタル層F2は、下地層が無くなることで、膜パターンF1上に成膜されたバリアメタル層F2と分断され、結果として膜パターンF1上にのみバリアメタル層F2が成膜される。よって、膜パターンF1上にバリアメタル層F2が積層された導電膜パターンFを形成することができる。
以上の工程により、図3(f)に示すような導電膜パターンFを形成することができる。
【0037】
このようにして形成された導電膜パターンFは、その上面には緻密なバリアメタル層F2が形成され、その側面は前記第1のバンクB1によって覆われているので、例えばこの導電膜パターンFを金属配線として、この導電膜パターンF上に層間絶縁膜を介して他の金属配線を積層した場合にも、導電膜パターンを構成する一部の金属元素が前記層間絶縁膜中に拡散することが無い。
このようにして形成された導電膜パターンFは、その側面、及び上面での金属元素の拡散が防止されることで、リーク電流の発生が防止されたものとなる。
【0038】
次に、基板上に金属配線を形成する工程を有するデバイスの製造方法の一実施形態として、上記の導電膜パターンの形成方法を用いて、アクティブマトリクス基板(デバイス)の製造方法に適用した例について説明する。
【0039】
(アクティブマトリクス基板)
図4は、本実施形態に係るアクティブマトリックス基板の一部を拡大した平面図である。
アクティブマトリックス基板20上は、格子状に配線されたゲート配線40とソース配線42とを備える。すなわち、複数のゲート配線40がX方向(第1方向)に延びるように形成され、ソース配線42がY方向(第2方向)に延びるように形成されている。
また、アクティブマトリックス基板20上には、ゲート配線40と略平行するように、容量線46が配線されている。
ここで、本実施形態における前記ソース配線42は、その交差部56において、ゲート配線40、及び容量線46によって、分断された状態に形成されている。そして、分断されたソース配線42間を、導電膜49によって導通させることで、連続したソース配線として機能させるようになっている。
また、ゲート配線40には、ゲート電極41が接続され、ゲート電極41上にゲート絶縁層を介してTFT30が配置される。なお、前記ゲート電極41は、上述した導電膜パターンの形成方法によって形成されたものであり、その上面をバリアメタル層で覆うことにより、ゲート絶縁膜への金属拡散が防止されたものとなっている。なお、本発明の導電膜パターンの形成方法によって、前記ゲート電極41とともに、ゲート配線40、ソース配線42、及び容量線46を形成することができる。
一方、ソース配線42には、ソース電極43が接続され、ソース電極43の一端は、TFT(スイッチング素子)30に接続する。
そして、ゲート配線40とソース配線42に囲まれた領域には、画素電極45が配置され、ドレイン電極44を介してTFT30に接続する。
なお、本実施形態に示す、アクティブマトリクス基板では、ゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46は、同一の面上に形成されている。
【0040】
(アクティブマトリクス基板の製造方法)
次に、前記アクティブマトリックス基板20の製造方法について説明する。
図5〜図7は、導電膜パターンとして、ゲート配線、ゲート電極、ソース配線等を形成する工程を説明する図である。なお、図5(b),図6(b)は、それぞれ図5(a),図6(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
始めに、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板等の各種の材料のうち好適なものから構成される基板P上に、第1の材料として、SiO2等の無機材料膜を積層し、さらに第2の材料として、アクリル等の有機材料膜を積層してバンク膜を形成する(図3の工程参照)。そして、図3を用いて説明したように、このバンク膜をパターニングすることにより、図5(b)に示すように、SiO2から構成される無機バンク(第1のバンク)51aとアクリルから構成される有機バンク(第2の材料)51bとが積層されてなるバンク51を形成する。このバンク51は、ゲート配線40やソース配線42等を形成するためのパターン形成領域を区画するためのものである。よって、バンク51により形成された開口部(パターン形成領域)52,53,54,55は、ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線に対応している。すなわち、バンク51の開口部52,53,54,55に配線用インク(機能液)を配置することにより、ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線パターン(膜パターン)が形成される。
具体的には、図5(a)に示したように、X方向に延びるように形成された開口部52,53は、ゲート配線40、容量線46の形成位置に対応する。そして、ゲート配線40の形成位置に対応する開口部52には、ゲート電極41の形成位置に対応する開口部54が接続している。また、Y方向に延びるように形成された開口部55は、ソース配線42の形成位置に対応する。なお、Y方向に延びる開口部55は、X方向に延びる開口部52,53と交差しないように、交差部56において分断されるように形成される。
【0041】
次いで、前述した液滴吐出装置IJによって、導電性微粒子を含む配線用インクを開口部52,53,54,55内に吐出・配置して、基板上にゲート配線40やソース配線42等からなる格子パターンの配線パターン(膜パターン)を形成する。
配線用インク(機能液)として、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液や有機銀化合物や酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散媒)に分散した溶液からなるものである。本実施形態では、導電性微粒子として銀微粒子を用いた。
【0042】
各開口部52,53,54,55に配線用インクを吐出した後には、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理、焼成処理を行う。
乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。例えば180℃加熱を60分間程度行う。
焼成処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング剤を除去するために、約250℃で焼成することが必要である。
このような乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。ここで、形成される膜パターンの膜厚は、前記無機バンク51aの高さ以下(すなわち、無機バンク51aと同じ高さの場合を含む)になるように形成されている。なお、本実施形態では、膜パターンの高さは、前記無機バンク51aの高さと同じとなっている。また、形成される膜パターンが所望の膜厚に達しない場合には、前記の吐出、乾燥処理、焼成処理を複数回繰り返すことで、所望の膜厚の膜パターンを形成することができる。
【0043】
その後、図6に示すように、後述する工程によりバリアメタル層が形成されることでゲート電極(導電膜)となる膜パターン41a、ソース配線(導電膜パターン)となる膜パターン42a、及び前記バンク51の上面を含む前記基板Pの全面に、スパッタ法、又はメッキ法を用いることにより、上述したように緻密なバリアメタル層47を成膜する。このとき、図3において説明したように、前記膜パターン41a,42a上に成膜されたバリアメタル層47と、有機バンク51b上に成膜されたバリアメタル層47とは、膜間の連続性が低い状態に形成される。
【0044】
このように、基板Pの全面を覆うバリアメタル層47を成膜した後、図7(a)に示すように、リフトオフ法によって、例えばエッチング液としてKOHを用いることで、前記有機バンク51bを除去することで、この有機バンク51bとともに該有機バンク51b上に連続性が弱い状態で設けられたバリアメタル層47を除去する。なお、前記のエッチング液(KOH)は、前記有機バンク51bと前記無機バンク51aとの間でエッチングレート比が十分取れるようになっている。このようにして、前記膜パターン41a、及び膜パターン42a上にバリアメタル層47が積層されたゲート電極(導電膜パターン)41、及びソース配線(導電膜パターン)42が得られる。
【0045】
そして、前記実施形態によって形成されたゲート電極41により構成されるTFT(薄膜トランジスタ)30を形成する工程について図8を参照して説明する。
図8(a)に示すように、上面がバリアメタル層47によって覆われたゲート電極41上に、プラズマCVD法によりゲート絶縁膜62を成膜する。そして、このゲート絶縁膜62上に連続して、活性層63、コンタクト層64を成膜する。なお、前記ゲート絶縁膜62として窒化シリコン膜、前記活性層63としてアモルファスシリコン膜、前記コンタクト層64としてnシリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより形成している。
そして、これらゲート絶縁膜62、活性層63、コンタクト層64を成膜した後、レジスト塗布、感光・現像、フォトリソグラフィを施し、図8(b)に示すようにしてパターニングする。
さらに、ITOからなる画素電極45も同様に成膜するとともに、フォトエッチングを施すことで、図示するようにパターニングする。そして、図8(b)に示したように画素電極45、ゲート絶縁膜62、活性層63上にそれぞれバンク66…を形成する。これらバンク66…間に、図示しないソース配線と前記コンタクト層64とを接続するソース電極(図示せず)、及び画素電極45と前記コンタクト層64とを接続するドレイン電極(図示せず)を形成することでTFT30が構成される。このようにして、図4に示した基板上にTFTを複数備えるアクティブマトリクス基板20を製造することができる。なお、図4に示した、分断されたソース配線間を接続する導電膜49、ソース配線42、容量線46は、液滴吐出装置IJによって形成される。
【0046】
本実施形態のアクティブマトリクス基板(デバイス)の製造方法によれば、上述したように、緻密なバリアメタル層47によって、金属元素の拡散が防止されたゲート電極41が形成されている。また、ゲート電極41は、その側面が無機バンク51aに接触した状態に形成されることから、ゲート電極41の側面側からの金属元素の拡散が防止される。
すなわち、ゲート電極41は、その側面部が無機バンク51aで覆われ、その上面が緻密なバリアメタル層47によって覆れているので、金属元素の拡散を防止し、リーク電流の発生を防止したものとなる。
したがって、ゲート絶縁膜62中にゲート電極41を構成する金属元素の一部が拡散することが無いので、該ゲート絶縁膜62を介してゲート電極41上に形成された活性層63や画素電極45にリーク電流による影響を及ぼさないことから信頼性の高いアクティブマトリクス基板を製造することができる。
【0047】
(電気光学装置)
次に、前記アクティブマトリックス基板20を備える電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置100について説明する。
図9は、本実施形態に係る液晶表示装置100について、各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図10は図9のH−H’線に沿う断面図である。図11は、液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0048】
図9及び図10において、液晶表示装置(電気光学装置)100は、アクティブマトリックス基板20を含むTFTアレイ基板110と対向基板120とが光硬化性の封止材であるシール材152によって貼り合わされ、このシール材152によって区画された領域内に液晶150が封入、保持されている。シール材152は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0049】
シール材152の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り153が形成されている。シール材152の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板110の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板110の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板120のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板110と対向基板120との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板110の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板110の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。
なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶150の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、C−TN法、VA方式、IPS方式モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板120において、TFTアレイ基板110の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0050】
図11は、液晶表示装置100を構成する等価回路図を示すものである。
このように、前記アクティブマトリックス基板20を液晶表示装置100に用いた場合には、画像表示領域には複数の画素100aがマトリクス状に構成されている。これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するソース配線42がソース電極43を介してTFT30のソースに電気的に接続されている。ソース配線42に供給する画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のソース配線42同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートには、ゲート配線40がゲート電極41を介して電気的に接続されている。そして、所定のタイミングで、ゲート配線40にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0051】
画素電極45は、TFT30のドレインにドレイン電極44を介して電気的に接続されている。そして、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、ソース配線42から供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極45を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図10に示した対向基板120の対向電極121との間で一定期間保持される。
なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、容量線46によって、画素電極45と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量48が付加されている。ここで、前記容量線46によってソース配線42が分断された構造を適応してもよい。例えば、画素電極45の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量48により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
本発明の液晶表示装置100によれば、リーク電流の発生を防止した信頼性の高いアクティブマトリクス基板20を備えているので、このアクティブマトリクス基板20を備えた液晶表示装置100自体の信頼性も高いものとなる。
【0052】
なお、前記のアクティブマトリクス基板20は、液晶表示装置以外の他の電気光学装置、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置等にも応用が可能である。有機EL表示装置は、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT30を有するアクティブマトリクス基板20上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明における電気光学装置の範囲には、このような有機ELデバイスも含まれるものとする。
更に、アクティブマトリックス基板20は、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0053】
(電子機器)
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図12は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図12において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図12に示す携帯電話600は、上述したように生産性が高く、コストの低減が図られた電気光学装置を備えているので、これを備えた電子機器自体も生産性が高く、低コストなものとなる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0054】
なお、上述した電子機器以外にも種々の電子機器に適用することができる。例えば、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などの電子機器に適用することが可能である。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本発明についての好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図2】液滴吐出ヘッドの断面図である。
【図3】本発明の導電膜パターンの形成方法の概略工程を説明する図である。
【図4】アクティブマトリックス基板の一部拡大図である。
【図5】アクティブマトリックス基板を製造する手順を示す図である。
【図6】図5に続く手順を示す図である。
【図7】図6に続く手順を示す図である。
【図8】ゲート電極によって構成されるTFTを形成する工程を示す図である。
【図9】液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図10】液晶表示装置の側断面図である。
【図11】液晶表示装置における等価回路を示す図である。
【図12】電子機器の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
AR…パターン形成領域、P…基板、M1…第1の材料、M2…第2の材料、M…バンク膜、F…導電膜パターン、F1…膜パターン、F2…バリアメタル層、B1…第1のバンク、B2…第2のバンク、B…バンク、20…アクティブマトリクス基板(デバイス)、30…TFT、41…ゲート電極(導電膜パターン)、41a…膜パターン、47…バリアメタル層、51a…無機バンク(第1のバンク)、51b…有機バンク(第2のバンク)、51…バンク、52,53,54,55…開口部(パターン形成領域)、100…液晶表示装置(電気光学装置)、600…携帯電話(電子機器)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1の材料と第2の材料とを順に積層することでバンク膜を形成し、該バンク膜をパターニングすることにより、前記第1の材料から構成される第1のバンクと前記第2の材料から構成される第2のバンクとが積層されてなるバンクを形成する工程と、
該バンクによって区画されたパターン形成領域に、導電性微粒子を含有する機能液を配置して、前記第1のバンクの高さ以下の膜厚を有した膜パターンを形成する工程と、
該膜パターン、及び前記バンクの上面を含む前記基板の全面に、気層法、又はメッキ法を用いることによりバリアメタル層を成膜する工程と、
該バリアメタル層を成膜した後、リフトオフ法により、前記第2のバンクとともに該第2のバンク上に設けられたバリアメタル層を除去し、前記膜パターン上にバリアメタル層が積層された導電膜パターンを形成する工程と、
を備えたことを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
【請求項2】
前記第1のバンクを構成する材料として無機材料を用い、前記第2のバンクを構成する材料として有機材料を用いることを特徴とする請求項1に記載の導電膜パターンの形成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導電膜パターンの形成方法において、前記基板の側面側に露出しない島状のバンクがある場合、前記基板の全面にバリアメタル層を成膜した後、リフトオフ法による工程の前に、前記島状のバンクにおける第2のバンク上に成膜されたバリアメタル層に、前記第2のバンクまで到達する貫通孔を形成する工程を行うことを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
【請求項4】
基板上に導電膜パターンを形成する工程を有するデバイスの製造方法であって、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電膜パターンの形成方法により前記基板上に導電膜パターンを形成することを特徴とするデバイスの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスの製造方法によって得られたデバイスを備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−332313(P2006−332313A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153552(P2005−153552)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】