説明

情報送受信システム、移動体用装置、及び情報送受信方法

【課題】災害発生時における道路の復旧状況を詳細且つリアルタイムに取得し、復旧状況に応じた経路案内を行うことが可能な情報送受信システムを提供する。
【解決手段】本発明の情報送受信システムは、破損した道路を示す災害道路情報の配信を行う情報配信機関と、移動体用装置とを含むように構成されている。移動体用装置は、災害道路情報を取得する災害道路情報取得部と、表示部と、位置検出部と、経路案内を行う経路案内部とを備えている。さらに、災害道路情報に基づいて通行不可である道路を表示部に示すとともに、通行不可である道路を除外した経路案内を行うように経路案内部を制御する経路案内制御部を備えている。さらに、通過した道路を示す通過情報と車両のサイズ情報とを情報配信機関に送信する通過情報送信部を備えている。情報配信機関は、受信した通過情報及びサイズ情報に基づいて災害道路情報を更新し、配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に対して経路案内を行うとともに、災害発生時に経路案内方法を切り替える情報送受信システム、移動体用装置、及び情報送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムに代表される移動体用の情報送受信システムにおいて、様々な付加機能の開発が進められている。例えば、災害発生時に公的機関が発表する災害情報を、ナビゲーション装置(=移動体用装置)で受信して表示することにより、運転者に災害情報を通知する情報送受信システムが実用化されている。
【0003】
上記に関連して特許文献1においては、地震などの災害時に携帯端末からホストセンターに接続を行い、携帯端末の現在位置に対応した災害情報をユーザに通知する情報通知システムが開示されている。この情報通知システムは、携帯端末が、携帯端末の現在位置を示す位置情報を通信ネットワークを介してホストセンターに送信する。ホストセンターのホストコンピュータは、与えられた位置情報に対応する情報をデータベースから検索し、携帯端末に与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−54895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の情報通知システムは、災害が発生した場合に、警察、行政等の公的機関が発表する災害情報を通知する。このため、道路の復旧状況については大まかな通知、例えば市町村単位での道路復旧情報しか通知されない。従ってユーザは、詳細なレベルでの道路復旧状況、例えば所定の交差点と交差点とを結ぶノード単位での道路復旧状況を知ることができなかった。
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、災害発生時における道路の復旧状況を詳細且つリアルタイムに取得し、復旧状況に応じた経路案内を行うことが可能な情報送受信システム、移動体用装置、及び情報送受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明の情報送受信システムは、被災した道路を示す災害道路情報の配信を行う情報配信機関と、前記災害道路情報を取得する災害道路情報取得部と、画像の表示を行う表示部と、位置検知部と、前記位置検出部により位置情報を取得して前記表示部による経路案内を行う経路案内部と、前記災害道路情報に基づいて通行不可である道路を前記表示部に示すとともに通行不可である道路を除外して経路案内を行うように前記経路案内部を制御する経路案内制御部とを備えた移動体用装置とを含むことを特徴とする。
【0008】
この構成によると、本発明の情報送受信システムは、被災した道路を示す災害道路情報の配信を行う情報配信機関と、車両等に搭載される移動体用装置とを含むように構成されている。移動体用装置は、災害道路情報を取得する災害道路情報取得部と、画像の表示を行う表示部とを備えている。さらに、車両の現在位置を取得する位置検出部と、位置検出部を用いて経路案内を行う経路案内部とを備えている。さらに、災害道路情報に基づいて通行不可である道路を表示部に示すとともに、通行不可である道路を除外した経路案内を行うように経路案内部を制御する経路案内制御部を備えている。これにより、災害発生時において、災害により通行不可となった道路を除外した経路案内を行うことができる。
【0009】
また上記の目的を達成するために本発明の情報送受信システムは、前記移動体用装置が、無線通信部と、前記移動体用装置の搭載されている車両が通過した道路を示す通過情報を前記情報配信機関に送信するように前記無線通信部を制御する通過情報送信部とを備え、前記情報配信機関が、前記移動体用装置より受信した前記通過情報に基づいて前記災害道路情報の内容を更新する。
【0010】
この構成によると、車両に搭載される移動体用装置が、通過した道路を示す通過情報を、無線通信部により情報配信機関に送信する通過情報送信部を備えている。この通過情報を受信した情報配信機関は、通過情報に基づいて災害道路情報の内容を更新する。つまり、通過情報に示されている道路を通過可能道路に変更するように、災害道路情報を更新する。このため、公的機関が配信する災害情報のみを使用する場合と比較して、より詳細な災害道路情報の内容更新を行うことができる。
【0011】
また上記の目的を達成するために本発明の情報送受信システムは、前記通過情報送信部が、前記車両のサイズを示すサイズ情報を前記通過情報とともに前記情報配信機関へ送信し、前記情報配信機関が、被災した道路毎の破損度を示す災害レベルを、受信した前記通過情報及び前記サイズ情報に基づいて判定し、前記災害レベルを前記災害道路情報に含めて配信し、前記経路案内制御部が、受信した前記災害道路情報に含まれる前記災害レベル及び前記車両のサイズに基づいて、前記車両が通行可能である道路と通行不可である道路とを判別する。
【0012】
この構成によると、通過情報送信部は、移動体用装置が搭載されている車両のサイズ情報を通過情報とともに送信する。これを受けた情報配信機関は、被災した道路の破損度を示す災害レベルを、受信したサイズ情報に基づいて決定し、災害道路情報を更新して配信する。これを受けた移動体用装置の経路案内制御部は、災害レベル及び受信側車両のサイズに基づいて、通行可能である道路と通行不可である道路とを判別する。このため、受信側車両のサイズに好適な経路案内を行うことができる。
【0013】
また上記の目的を達成するために本発明の情報送受信システムは、前記経路案内制御部が、前記表示部に表示する経路案内画像に含まれる道路画像の表示色を、前記災害レベルに基づいて変更する。
【0014】
この構成によると、経路案内制御部が、表示部に表示する経路案内画像に含まれる道路画像の表示色を、災害レベルに基づいて変更する。このためユーザは、各道路の災害レベルを、表示色に基づいて確認することができる。
【0015】
また上記の目的を達成するために本発明の情報送受信システムは、前記経路案内制御部が、前記車両の通行を許可する災害レベルの指定を受け付け、受け付けた前記災害レベルを超える道路を除外して経路案内を行うように前記経路案内部を制御する。
【0016】
この構成によると、経路案内制御部は、通行可能とする道路の災害レベルの指定を予めユーザより受け付ける。そして受け付けた災害レベルを超える破損度の道路を除外して経路案内を行うように前記経路案内部を制御する。このためユーザは、運用の形態に合わせて、走行可能とする災害レベルの設定変更を行うことができる。
【0017】
また上記の目的を達成するために本発明の情報送受信システムは、前記通過情報送信部が、前記車両が有料道路を通過したことを示す有料道路通過情報を前記通過情報とともに前記情報配信機関へ送信し、前記情報配信機関が、前記移動体用装置より受信した前記有料道路通過情報が示す有料道路が通行可能であることを示すように前記災害道路情報の内容を更新する。
【0018】
この構成によると、通過情報送信部は、高速道路等の有料道路の通過を示す有料道路通過情報を通過情報とともに送信する。これを受けた情報配信機関は、有料道路通過情報が示す有料道路を通行可とするよう、災害道路情報の内容を更新する。このため送信側の車両は、GPS(Global Positioning System)装置等の位置検出部を必要とすることなく、既存のETC(Electronic Toll Collection System)車載器等を用いて、通過した道路を示す情報を送信することができる。
【0019】
また上記の目的を達成するために本発明の移動体用装置は、被災した道路を示す災害道路情報を取得する災害道路情報取得部と、画像の表示を行う表示部と、位置検出部と、前記位置検出部により位置情報を取得して前記表示部による経路案内を行う経路案内部と、前記災害道路情報に基づいて通行不可である道路を前記表示部に示すとともに通行不可である道路を除外して経路案内を行うように前記経路案内部を制御する経路案内制御部とを備えることを特徴としている。
【0020】
この構成によると、本発明の移動体用装置は、災害道路情報を取得する災害道路情報取得部と、画像の表示を行う表示部とを備えている。さらに、車両の現在位置を取得する位置検出部と、位置検出部を用いて経路案内を行う経路案内部とを備えている。さらに、災害道路情報に基づいて通行不可である道路を表示部に示すとともに、通行不可である道路を除外した経路案内を行うように経路案内部を制御する経路案内制御部を備えている。
【0021】
また上記の目的を達成するために本発明の移動体用装置は、無線通信部と、前記移動体用装置の搭載されている車両が通過した道路を示す通過情報及び前記車両のサイズを示すサイズ情報を、前記災害道路情報を配信する情報配信機関に送信するように前記無線通信部を制御する通過情報送信部とを備え、前記経路案内制御部が、前記通過情報及び前記サイズ情報に基づいて前記情報配信機関が更新した前記災害道路情報を、前記無線通信部により受信し、受信した該災害道路情報及び前記車両のサイズとに基づいて、前記車両が通行可能である道路と通行不可である道路とを判別する。
【0022】
この構成によると、移動体用装置は、通過した道路を示す通過情報及び車両サイズを示すサイズ情報を、無線通信部により情報配信機関に送信する通過情報送信部を備えている。経路案内制御部は、通過情報及びサイズ情報に基づいて情報配信機関が更新した災害道路情報を、無線通信部により受信する。そして受信した災害道路情報と、受信車両のサイズとに基づいて、前記車両が通行可能である道路と通行不可である道路とを判別する。
【0023】
また上記の目的を達成するために本発明の情報送受信方法は、車両が通過した道路を示す通過情報、及び前記車両のサイズを示すサイズ情報を送信する情報送信ステップと、前記通過情報及び前記サイズ情報を受信し、前記両情報に基づいて、被災した道路毎の破損度を示す災害レベルを判定し、前記災害レベルを示す災害道路情報を配信する情報配信ステップと、前記災害道路情報を受信する災害道路情報受信ステップと、受信した前記災害道路情報に含まれる前記災害レベルと前記災害道路情報を受信した車両のサイズとに基づいて、前記車両が通行可能である道路と通行不可である道路とを判別し、前記判別の結果に基づいて通行不可である道路を表示部に示すとともに通行不可である道路を除外して経路案内を行う経路案内制御ステップとを含むことを特徴としている。
【0024】
この構成によると、本発明の情報送受信方法は、情報送信ステップにおいて、車両が通過した道路を示す通過情報、及び前記車両のサイズを示すサイズ情報を送信する。さらに情報配信ステップにおいて、受信した通過情報及びサイズ情報に基づいて、被災した道路毎の破損度を示す災害レベルを判定し、災害レベルを示す災害道路情報を配信する。さら災害道路情報受信ステップにおいて、災害道路情報を受信する。さらに経路案内制御ステップにおいて、災害レベルと車両のサイズとに基づいて車両が通行可能である道路と通行不可である道路とを判別し、通行不可である道路を表示部に示し、通行不可である道路を除外して経路案内を行う。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、災害発生時の道路復旧状況を詳細且つリアルタイムにユーザへ通知できる。また復旧道路を、通過できる車両サイズにより分別し、分別結果に基づいて経路案内を行う。このため、車載用装置が搭載された車両毎に好適な経路案内を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の移動体用装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の情報送受信システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の情報配信機関による情報配信処理を示すフロー図である。
【図4】本発明の移動体用装置による経路案内処理を示すフロー図である。
【図5】災害道路情報の構成を示すテーブル図である。
【図6】災害道路情報の構成を示すテーブル図である。
【図7】災害道路情報の構成を示すテーブル図である。
【図8】地図描画画面の一例を示す画面図である。
【図9】地図描画画面の一例を示す画面図である。
【図10】地図描画画面の一例を示す画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
【0028】
〈1.情報送受信システムの構成について〉
図2は、本発明の一実施形態に係る情報送受信システムの構成を示すブロック図である。本システムは少なくとも、車両1、ホストセンター2(=情報配信機関)、及び災害情報センター3を含むように構成されている。
【0029】
車両1は、後述するナビゲーション装置100(=移動体用装置)が搭載された移動体である。ホストセンター2は、サーバ200を備える情報配信施設である。サーバ200は、災害情報センター3より後述する災害情報を受信し、災害情報の内容に基づいて災害道路情報を生成する。そして生成した災害道路情報を、車両1のナビゲーション装置100へ配信する。なお、災害道路情報の詳細については後述する。
【0030】
またサーバ200は、車両1から無線電波により送信されてくる、一般道路の走行履歴を示す通過情報や、高速道路(=有料道路)の走行履歴を示す高速道路通過情報(=有料道路通過情報)を受信し、配信する災害道路情報の内容更新を行う機能を備える。なお車両1とホストセンター2との無線通信は、例えばW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式等の無線電波を使用した携帯電話通信網を利用することにより実施される。
【0031】
災害情報センター3は、災害発生時において災害発生地域や災害発生状況等を示す災害情報を、広域通信網を介して配信する公的機関である。GPS衛星4は、衛星軌道上に配置され、特定の電波(例えば1.575GHzのL1電波等)を地上のGPS受信機に対して送信する。
〈2.内部構成について〉
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置100の内部構成示すブロック図である。なお本実施形態のナビゲーション装置100は、例えば車両1に搭載されて、情報送受信システムの一部を構成する電子機器である。また、車両に対して容易に着脱可能である、いわゆるポータブルナビゲーション装置としての機能を備える形態でもよい。この場合、ユーザは降車時にナビゲーション装置100を車両から取り外すことにより、車外でその機能の一部である道路情報受信機能等を利用することができる。
【0033】
図1のブロック図に示すように、本発明のナビゲーション装置100は少なくとも、制御部11、地図描画部12、記録部13、入力部14、LCD(Liquid Crystal Display)15(=表示部)、表示制御部16、スピーカ17、GPSアンテナ18(=位置検出部)、測位航法装置19(=位置検出部)、アンテナ20(=無線通信部)、及び通信制御部21(=無線通信部)を含むように構成されている。
【0034】
制御部11は、ナビゲーション装置100の各部材の駆動を有機的に制御して、経路案内処理等を統括制御するものである。また制御部11は、各装置(例えば測位航法装置19)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、災害道路情報取得部11a〜通過情報送信部11dを備えている。なお、各機能部が実施する処理の詳細については後述する。
【0035】
地図描画部12は、ナビゲーション用の地図や案内情報を描画する描画部である。地図描画部12により描画された画像は表示制御部16に与えられ、LCD15に表示される。なお、地図描画部12が描画に用いるための各種画像データや文字データは、記録部13に予め記録されている。
【0036】
記録部13は、各種データを記録するための媒体であり、記録するデータの種別毎に複数の記録部を有する。本実施形態では図1に示すように、記録部13は地図情報記録部13a、及び災害道路情報記録部13bを含むように構成されている。
【0037】
地図情報記録部13aは、GPS機能を用いた現在地域の表示処理等を行う際に、LCD15に表示する地図画像等を含む地図情報を記録するための記録部である。災害道路情報記録部13bは、ホストセンター2より受信した災害道路情報を記録するための記録部である。災害道路情報は、例えば図5〜図7に示すように、道路ポイント番号、災害レベル、更新日時を含む情報である。
【0038】
道路ポイント番号とは、地図上に示される道路を予め所定の区間(=道路ポイント)毎に区切り、区間毎に付与した管理番号である。なお、道路ポイント番号の付与方法は、予めサーバ200とナビゲーション装置100との間で取り決めが行われており、道路ポイント番号が特定されれば対応する区間も特定できるものとする。
【0039】
災害レベルは、道路ポイント番号が示す区間における道路の破損度を示しており、数字が大きい程、破損度が大きい。本実施形態では、非災害発生時は0、災害発生直後は10となるように規定している。その後、後述する通過情報送信部11dからサーバ200に通過情報が送信されると、通過情報に基づいた災害レベルの変更がサーバ200において行われる。
【0040】
更新日時は、道路ポイント毎の災害レベルが更新された最新の日時を示す欄である。例えば図5に示すように「2010 0131 1201」となっている場合、2001年1月31日12時1分に最新の更新がなされたことを意味する。
【0041】
入力部14は、ユーザがナビゲーション装置100に対する経路案内指示や、災害道路情報の表示指示等を行うための入力インタフェースである。入力部14は、例えば複数のプッシュボタンやタッチセンサ等を含むように構成されている。或いは、LCD15と一体型となったタッチパネル形式でもよい。
【0042】
LCD15は、ナビゲーション装置100が保持する各種情報、例えば地図画像や災害情報画像等を表示する表示装置である。表示制御部16は、画像データをLCD15の信号フォーマットにあわせた信号にエンコードした後、D/A変換を行い、画像信号を出力する。表示制御部16から出力された画像信号はLCD15に送られ、画像として表示される。
【0043】
スピーカ17は、音声処理部(不図示)が音声データをデコードしてD/A変換することにより得られたアナログ音声信号により、音声を出力するための拡声器である。なお使用する音声データとしては、例えば記録部13に予め記録されている経路案内用の音声データ等を用いる。
【0044】
GPSアンテナ18は、GPS衛星4から発せられる特定の電波を受信するための受信機である。測位航法装置19は、複数のGPSアンテナ18より受信した信号をデコードして演算を行うことにより、緯度経度情報を生成する。また、ジャイロ等を利用した航法装置を備えている。
【0045】
アンテナ20は、ホストセンター2との間で無線電波の送受信を行うためのアンテナであり、例えば複数のダイバーシティアンテナ等が用いられる。通信制御部21は、アンテナ20により受信した無線電波の復調を行う。また、通過情報送信部11dから通過情報等の各種情報の送信指示を受け付けた際に、各種情報を含むデジタル信号の変調を行い、アンテナ20による無線電波の発信を行う。
〈3.経路案内処理について〉
【0046】
ここで、本発明の第一の実施形態に係るナビゲーション装置100及びサーバ200が実施する経路案内処理の概要を、図3及び図4のフロー図を用いながら説明する。なお図3がサーバ200における処理フロー、図4がナビゲーション装置100における処理フローを示している。
【0047】
まず図3について説明する。図3に示すフローは、サーバ200の電源が起動され、災害情報センター3との通信が可能となった時点で開始される。本処理の開始後、サーバ200はステップS110において、災害情報センター3より災害情報を受信したか否かの判定を行う。なお災害情報は所定の災害発生時、例えば地震発生時等に、災害情報センター3からホストセンター2へ配信される。
【0048】
受信が検知されていない場合、後述するステップS140に移行する。災害情報を受信した場合、サーバ200はステップS120において、受信した災害情報に基づいて、図6に示す災害道路情報を生成する。なお災害発生直後は、災害情報に示されている災害発生地域の全道路ポイントを災害レベル10とする。そしてステップS130において、災害道路情報を車両1に送信する。
【0049】
次にサーバ200はステップS140において、車両1より通過情報または高速道路通過情報を受信したか否かの判定を行う。受信が検知されていない場合、後述するステップS170に移行する。通過情報または高速道路通過情報を受信した場合、サーバ200はステップS150において、受信した通過情報または高速道路通過情報に基づいて、災害道路情報の更新を行う。これにより例えば、図7に示す状態に災害道路情報が更新される。なお、具体的な更新方法の詳細については後述する。
【0050】
次にサーバ200はステップS160において、更新した災害道路情報を複数の車両1に送信する。ただしステップS150において更新処理を行う必要がなかった場合、つまり受信した内容と現在の災害道路情報の内容とに差異がなかった場合、送信を行う必要はない。
【0051】
次にサーバ200はステップS170において、地域毎の災害復旧状況を示す復旧情報を、災害情報センター3より受信したか否かの判定を行う。受信が検知されていない場合、再びステップS110に移行する。復旧情報を受信した場合、ステップS180において、復旧情報に示されている復旧地域に存在する道路ポイントの災害レベルを初期化する。この結果、道路災害情報が例えば図5に示す状態、すなわち各道路ポイントの災害レベルが0である状態となる。
【0052】
次にサーバ200はステップS190において、更新した災害道路情報を複数の車両1に送信する。送信が完了すると再びステップS110に移行する。
【0053】
次に図4について説明する。図4に示すフローは、ナビゲーション装置100の電源が起動され、ホストセンター2及びGPS衛星4との通信が可能となった時点で開始される。本処理の開始後、経路案内部11bはステップS210において、GPS衛星4より得られる位置情報に基づき、車両1の近辺の地図をLCD15に表示するよう、地図描画部12を制御する。
【0054】
なおステップS210の時点では、災害道路情報を受信していないため、災害道路情報記録部13bに記録されている災害道路情報は図5に示す状態(=災害レベル0)となっている。このため、平常時用の地図描画を行うよう、地図描画部12を制御する。なお、目的地指定による経路案内指示を受けている場合、経路案内部11bは地図画像上に経路案内のための各種情報を表示する。例えば進行方向を示す矢印を表示したり、進行経路の色を変更することにより強調表示する。
【0055】
次に災害道路情報取得部11aはステップS220において、ホストセンター2のサーバ200より災害道路情報を受信したか否かの判定を行う。災害道路情報を受信していない場合、後述するステップS240において必要に応じて地図描画内容を更新した後、ステップS250に移行する。災害道路情報を受信した場合、災害道路情報取得部11aはステップS230において、受信した災害道路情報に基づいて、災害道路情報記録部13bに記録している災害道路情報の更新を行う。この結果、記録している災害道路情報が、例えば図6に示す状態、すなわち各道路ポイントの災害レベルが10である状態となる。
【0056】
次に経路案内制御部11cはステップS240において、更新された災害道路情報に基づき、災害時用の地図描画を行うよう、地図描画部12を制御する。具体的には、各道路ポイント番号の災害レベルとナビゲーション装置100が搭載されている車両1のサイズを示すサイズ情報とに基づき、通行不可道路を判別して強調表示する。なお、災害道路情報を受信していない場合でも、必要に応じて地図描画内容を更新する。例えば車両1が移動するのに応じて、地図描画内容を更新する。
【0057】
車両1はそのサイズ毎に、走行できる災害レベルが予め定められている。例えば、小型車であれば災害レベル0〜6の道路を走行可能、中型車であれば災害レベル0〜4の道路を走行可能とする。この場合、車両1が小型車であれば、災害レベル7〜10の道路ポイント番号に対応する道路が、通行不可道路となる。
【0058】
なお、小型車、中型車等のサイズ区分は、例えば車両の横幅に基づいて行う。例えば車両の横幅が1.7m未満であれば小型車、横幅が1.7m〜2.5mであれば中型車というように、予め本システム内で取り決めが行われているものとする。またサイズ情報は、車載用装置100が車両1に搭載された時点でユーザより指定を受け付け、記録部13に記録しているものとする。
【0059】
通行不可道路は、例えば地図上で半透明表示されたり、或いは点滅表示されたりすることにより強調表示される。この結果、LCD15に表示される地図描画画面が、例えば図8の状態から図9に示す状態に変化する。
【0060】
図8は、車両1が小型車であり、且つ災害道路情報の内容が図5に示す状態である場合の地図描画画面である。なお、図中の破線及び破線矢印は道路を道路ポイント毎に分けて説明するためのものであり、実際の地図描画画面には表示されない。図5では、全ての道路ポイントの災害レベルが0、つまり無条件に通行可能となっているため、図8に示す全ての道路ポイント(10001〜10005)が実線表示されている。図9及び図10は、図7に示す災害道路情報に対応する地図描画画面である。
【0061】
図7では、道路ポイント10004の災害レベルが5、道路ポイント10005の災害レベルが8となっている。ここで、車両1が小型車であり、通行可能な災害レベルが0〜6であったとする。この場合、図9に示すように、道路ポイント10005が半透明表示(=強調表示)され、通行不可を示すようになっている。
【0062】
また、車両1が中型車であり、通行可能な災害レベルが0〜4であったとする。この場合、図10に示すように、道路ポイント10004及び道路ポイント10005が半透明表示され、通行不可を示すようになっている。なお、災害発生直後は災害地域の全ての道路が災害レベル10となるため、災害地域の道路は全て半透明表示される。
【0063】
次に通過情報送信部11dはステップS250において、車両1が走行中であるか否かを判定する。走行中ではない場合、再びステップS220に移行する。走行中である場合、通過情報送信部11dはステップS260において、車両1が走行した道路を示す通過情報、及び車両1のサイズを示すサイズ情報を生成し、アンテナ20及び通信制御部21を用いてホストセンター2へ送信する。なお走行した道路は、GPSアンテナ18及び測位航法装置19により得られる経度緯度情報に基づき、道路ポイント単位で判別する。そして判別した道路ポイントの道路ポイント番号を用いて通過情報を生成する。
【0064】
次に通過情報送信部11dはステップS270において、車両1が高速道路の出入口を通過したか否かを判定する。なお高速道路の出入口を通過したか否かの判定は、図1には図示していないが、制御部11に接続されたETC車載器等を用いて行う。
【0065】
高速道路の出入口を通過していない場合、再びステップS220に移行する。出入口を通過した場合、通過情報送信部11dはステップS280において、通過した出入口を示す高速道路通過情報を生成し、アンテナ20及び通信制御部21を用いてホストセンター2へ送信した後、ステップS220に移行する。
【0066】
以上の処理により送信された通過情報、または高速道路通過情報を受信したホストセンター2のサーバ200は、取得した情報から、災害道路情報に含まれる災害レベル等の更新を行う(図3のステップS150)。そして更新した災害道路情報の配信を行う(図3のステップS160)。
【0067】
例えば車両1が、災害レベル0〜6の道路を走行可能な小型車であったとする。そしてこの車両1が、災害レベルが8である道路ポイント番号10005を走行したとする。この通過情報を受けたサーバ200は、図7に示す道路ポイント番号10005の災害レベルを6(=小型車が通行できる最大の災害レベル)に更新する。
【0068】
或いは車両1が、災害レベル0〜4の道路を走行可能な中型車であり、道路ポイント番号10005を走行したとする。この場合、通過情報を受けたホストセンター2は、図7に示す道路ポイント番号10005の災害レベルを4(=中型車が通行できる最大の災害レベル)に更新する。
【0069】
或いは車両1が、災害レベル0〜2の道路を走行可能な大型車であり、道路ポイント番号10005を走行したとする。この場合、通過情報を受けたホストセンター2は、図7に示す道路ポイント番号10005の災害レベルを2(=大型車が通行できる最大の災害レベル)に更新する。なお更新時には、「更新日時」欄に含まれる日付情報もあわせて更新される。
【0070】
以上に説明した本実施形態によれば、ホストセンター2から車両1に対する一方向通信の情報配信だけではなく、車両1から通過情報や高速道路通過情報を送信することによる双方向の情報通信により、災害道路情報の更新を行う。従って、公的機関が配信する地域単位の道路復旧情報と比較して、より詳細な復旧状況をリアルタイムに通知することができる。また、災害道路情報を用いることにより、復旧状況に応じた経路案内を実施することができる。
[その他の実施の形態]
【0071】
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0072】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)上記実施形態では、予め登録されている車両1のサイズ情報に基づき、通行可能な災害レベルを判定しているが、経路として利用可能な道路の災害レベルを、予めユーザより指定を受け付ける形態でもよい。例えばユーザが、利用可能な道路の災害レベルを6に指定した場合、車両のサイズにかかわらず、災害レベルが6以下の道路を通常表示し、経路案内の対象とする。
【0073】
(B)上記実施形態では、災害道路情報取得部11aが災害道路情報を更新するタイミングとして、災害道路情報を受信した時点としているが、更新タイミングをユーザにより設定変更可能とした形態でもよい。またナビゲーション装置100からサーバ200へ通過情報を送信するタイミングも、ユーザにより設定変更可能とした形態でもよい。ただし災害復旧時は、ホストセンター2から災害復旧通知が一斉通知されるため、災害道路情報の更新が強制的に行われるものとする。
【0074】
(C)上記実施形態では、本発明の緊急経路案内処理を実施する移動体用装置として、車載用のナビゲーション装置100を例に説明しているが、これ以外の移動体用装置において実施する形態でもよい。例えば、携帯電話、携帯用GPS装置、PDA、またはノートパソコン等で実施する形態でもよい。
【0075】
(D)上記実施形態では、本発明の各種処理に関わるナビゲーション装置100の各種機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0076】
(E)上記実施形態では、移動体用装置と位置検出部であるGPS装置が収容されている形態を例に説明したが、必ずしも同一筐体である必要はない。例えば相互に通信部を備え、通信部を介してデータ転送を行うことにより、上記と同様の動作をさせる形態であってもよい。また位置検出部はGPS装置に限定されるものではなく、位置検出部としてジャイロセンサーや車速センサー等を用いる形態でもよい。
【0077】
(F)上記実施形態では、通行不可の道路を半透明表示しているが、これ以外の強調表示方法を用いて通行不可道路を表示する形態でもよい。例えば小型車のみ通過できる道路(上記の例では災害レベル5〜6の道路)を赤色、小型車と中型車が通過できる道路(上記の例では災害レベル3〜4の道路)を黄色というように、災害レベルにあわせて色分け表示する形態でもよい。これによりユーザは、各道路への進入できる車両のサイズを表示色により直感的に認識することができる。なおこの場合、経路案内制御部11cは、車両1のサイズに応じて、各色の道路を経路案内に使用するか否かを判断する。
【符号の説明】
【0078】
1 車両
2 ホストセンター(情報配信機関)
3 災害情報センター
4 GPS衛星
100 ナビゲーション装置(移動体用装置)
11 制御部
11a 災害道路情報取得部
11b 経路案内部
11c 経路案内制御部
11d 通過情報送信部
12 地図描画部
13 記録部
14 入力部
15 LCD(表示部)
18 GPSアンテナ(位置検出部)
19 測位航法装置(位置検出部)
20 アンテナ(無線通信部)
21 通信制御部(無線通信部)
200 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被災した道路を示す災害道路情報の配信を行う情報配信機関と、
前記災害道路情報を取得する災害道路情報取得部と、画像の表示を行う表示部と、位置検出部と、前記位置検出部により位置情報を取得して前記表示部による経路案内を行う経路案内部と、前記災害道路情報に基づいて通行不可である道路を前記表示部に示すとともに通行不可である道路を除外して経路案内を行うように前記経路案内部を制御する経路案内制御部とを備えた移動体用装置とを含むこと
を特徴とする情報送受信システム。
【請求項2】
前記移動体用装置が、無線通信部と、前記移動体用装置の搭載されている車両が通過した道路を示す通過情報を前記情報配信機関に送信するように前記無線通信部を制御する通過情報送信部とを備え、
前記情報配信機関が、前記移動体用装置より受信した前記通過情報に基づいて前記災害道路情報の内容を更新する、
請求項1に記載の情報送受信システム。
【請求項3】
前記通過情報送信部が、前記車両のサイズを示すサイズ情報を前記通過情報とともに前記情報配信機関へ送信し、
前記情報配信機関が、被災した道路毎の破損度を示す災害レベルを、受信した前記通過情報及び前記サイズ情報に基づいて判定し、前記災害レベルを前記災害道路情報に含めて配信し、
前記経路案内制御部が、受信した前記災害道路情報に含まれる前記災害レベル及び前記車両のサイズに基づいて、前記車両が通行可能である道路と通行不可である道路とを判別する、
請求項2に記載の情報送受信システム。
【請求項4】
前記経路案内制御部が、前記表示部に表示する経路案内画像に含まれる道路画像の表示色を、前記災害レベルに基づいて変更する、
請求項3に記載の情報送受信システム。
【請求項5】
前記経路案内制御部が、前記車両の通行を許可する災害レベルの指定を受け付け、受け付けた前記災害レベルを超える道路を除外して経路案内を行うように前記経路案内部を制御する
請求項3に記載の情報送受信システム。
【請求項6】
前記通過情報送信部が、前記車両が有料道路を通過したことを示す有料道路通過情報を前記通過情報とともに前記情報配信機関へ送信し、
前記情報配信機関が、前記移動体用装置より受信した前記有料道路通過情報が示す有料道路が通行可能であることを示すように前記災害道路情報の内容を更新する、
請求項2に記載の情報送受信システム。
【請求項7】
被災した道路を示す災害道路情報を取得する災害道路情報取得部と、画像の表示を行う表示部と、位置検出部と、前記位置検出部により位置情報を取得して前記表示部による経路案内を行う経路案内部と、前記災害道路情報に基づいて通行不可である道路を前記表示部に示すとともに通行不可である道路を除外して経路案内を行うように前記経路案内部を制御する経路案内制御部とを備えること
を特徴とする移動体用装置。
【請求項8】
無線通信部と、前記移動体用装置の搭載されている車両が通過した道路を示す通過情報及び前記車両のサイズを示すサイズ情報を、前記災害道路情報を配信する情報配信機関に送信するように前記無線通信部を制御する通過情報送信部とを備え、
前記経路案内制御部が、前記通過情報及び前記サイズ情報に基づいて前記情報配信機関が更新した前記災害道路情報を、前記無線通信部により受信し、受信した該災害道路情報及び前記車両のサイズとに基づいて、前記車両が通行可能である道路と通行不可である道路とを判別する、
請求項7に記載の移動体用装置。
【請求項9】
車両が通過した道路を示す通過情報、及び前記車両のサイズを示すサイズ情報を送信する情報送信ステップと、
前記通過情報及び前記サイズ情報を受信し、前記両情報に基づいて、被災した道路毎の破損度を示す災害レベルを判定し、前記災害レベルを示す災害道路情報を配信する情報配信ステップと、
前記災害道路情報を受信する災害道路情報受信ステップと、
受信した前記災害道路情報に含まれる前記災害レベルと前記災害道路情報を受信した車両のサイズとに基づいて、前記車両が通行可能である道路と通行不可である道路とを判別し、前記判別の結果に基づいて通行不可である道路を表示部に示すとともに通行不可である道路を除外して経路案内を行う経路案内制御ステップと
を含むことを特徴とする情報送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−176506(P2010−176506A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19906(P2009−19906)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】