説明

拡散バリアー層及びその製造方法

【課題】表面を有する基材アセンブリを提供し、この表面の少なくとも一部の上にバリアー層を提供することを含む、集積回路の製造で使用する方法を提供する。
【解決手段】バリアー層14は、白金(x):ルテニウム(1−x)合金でできており、ここでxは約0.60〜約0.995、好ましくはxは約0.90〜0.98である。バリアー層14は、化学気相堆積によって作ることができ、バリアー層14を形成する表面の少なくとも一部は、ケイ素含有表面でよい。この方法は、キャパシター、蓄積セル、接触ライニング等の製造で使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、半導体デバイス及びその製造に関する。より特に本発明は、拡散バリアー層に関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
集積回路の製造では、様々な導電性層を使用する。例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、強誘電性(FE)メモリのような半導体デバイスの製造の間には、蓄積セルキャパシターの製造において導電性材料を使用し、また接触ホール、バイア等の導電性層のような相互接続構造においても導電性材料を使用する。多くの用途では、使用する材料が効果的な拡散バリアー性を提供することが好ましい。
【0003】
例えば、効果的な拡散バリアー特性は、DRAMのようなメモリーデバイスの蓄積セルキャパシターの製造において使用される導電性材料で必要とされる。メモリーデバイスはより密になってきているので、そのようなデバイスを形成する回路部品の大きさを小さくすることが必要である。メモリーデバイスの蓄積セルキャパシターの蓄電容量を維持しながら、同時にメモリーデバイスの大きさを小さくする1つの方法は、蓄積セルキャパシターの誘電体層の誘電率を大きくすることである。従ってそのような用途では、誘電率が大きい材料を2つの電極の間で使用する。様々な誘電性材料の1又は複数の層を、電極材料として使用することができる。しかしながら一般に、電極(特にセルキャパシターの底部電極)のために使用する導電性材料の1又は複数の層は、ある種の拡散バリアー性及び耐酸化性を持たなければならない。そのような性質は、蓄積セルキャパシターの誘電体層のために、誘電率が大きい材料を使用する場合に特に必要とされる。これはそのような高誘電率材料の製造のために使用する方法、例えば高誘電率材料の堆積は通常、酸素含有雰囲気において高温(一般的に約500℃を超える温度)で行うことによる。
【0004】
一般に、様々な金属及び金属化合物、典型的に白金のような貴金属及び酸化ルテニウムのような導電性酸化物を、高誘電率の材料と共に使用する電極の少なくとも1つの層又は電極として使用することが提案されている。しかしながら、信頼可能な電気的な接触は一般に、高誘電率材料の有益な性質を減少させないように作るべきである。底部電極として白金をうまく機能させるためには、これが、酸素の拡散に対して効果的なバリアーでなければならない。キャパシターの下にあるシリコンの酸化はキャパシタンスを有意に低下させ、セルキャパシターの蓄積キャパシタンスを減少させるので、このことが必要とされている。電極層として単独で使用する白金は、酸素を透過させすぎるので、蓄積セルキャパシターの底部電極としては使用することができない。
【0005】
白金の酸素透過性のために、典型的に白金は、ケイ素上に直接に作られたキャパシター集合体のための拡散バリアー及び電極として作用する電極積層体中の1つの層として使用する。例えば、文献「Novel High Temperature Multilay
er Electrode−Barrier Structure for High De
nsity Ferroelectric Memories」、H.D.Bhatt等、Appl.Phys.Letter、71(5)、1997年8月4日で示されているように、電極バリアー構造は、白金:ロジウム酸化物層に加えて、白金:ロジウム合金の層を有して、拡散バリアー性を有する電極を形成する。そのような合金層は、物理気相堆積(PVD)プロセス、例えば反応性高周波スパッタリングプロセスを使用して製造する。
【0006】
多くの蓄積セルキャパシターが、高アスペクト比の開口を使用して製造されている。例えば、Fazan等の米国特許第5,392,189号明細書「Capacitor C
ompatible with High Dielectric Constant Ma
terials Having Two Independent Insulative
Layers and the Method for Forming Same」(1995年2月21日発行)では、蓄積セルキャパシターが、小さい高アスペクト比の開口内への導電性材料の堆積によって作られた下側電極を有する。典型的にスパッタリングは、そのような小さい高アスペクト比の開口内の電極の形成のために十分に適合した(コンフォーマルな)層を提供しない。
【0007】
キャパシター電極の製造に加えて、相互接続の用途のような他の用途で使用するバリアー層の製造も望まれている。例えば、接触口での望ましくない反応を防ぐために、拡散バリアーが一般に使用されている。
【発明の概要】
【0008】
[発明の概略]
電極材料としての単独の白金の使用に関する上述の問題及び以下の説明から明らかになる他の問題を解決するために、白金:ルテニウム拡散バリアー層、そのような層を有する構造体、及びそれらに関連する方法を開示する。
【0009】
本発明の集積回路の製造で使用する方法は、表面を有する集積回路基板を提供すること、及びこの表面の少なくとも1部の上にバリアー層を形成することを含む。このバリアー層は、白金(x):ルテニウム(1−x)合金でできており、ここでxは約0.60〜約0.995である。
【0010】
本発明の方法の他の態様では、xが約0.90〜約0.98、より好ましくはxは約0.95である。本発明の方法のもう1つの態様では、化学気相堆積によってバリアー層を作る。本発明の方法の更に他の態様では、バリアー層を提供される前記表面の少なくとも一部がケイ素含有表面である。
【0011】
本発明のキャパシターの製造で使用するもう1つの方法は、集積回路基板の一部の上に第1の電極を作ることを含む。高誘電率材料を、この第1の電極の少なくとも1部の上に提供し、第2の電極をこの高誘電率材料上に提供する。ここで、第1と第2の電極のうちの少なくとも一方は、白金:ルテニウム合金の層を含む。
【0012】
この方法の1つの態様では、第1と第2の電極のうちの少なくとも一方は、白金(x):ルテニウム(1−x)合金の層、及び1又は複数の追加の導電性層を含む。
【0013】
本発明のキャパシターを含む蓄積セルの製造で使用するもう1つの方法を説明する。この方法は、少なくとも1つの能動素子(active device)を有する集積回路基板を提供す
ること、及び前記少なくとも1つの能動素子に関してキャパシターを製造することを含む。前記キャパシターは、白金(x):ルテニウム(1−x)合金のバリアー層を含む少なくとも1つの電極を有する。
【0014】
本発明の半導体デバイス構造体は、表面を有する集積回路基板及びこの表面の少なくとも一部の上のバリアー層を含む。このバリアー層は、白金(x):ルテニウム(1−x)合金でできており、xは約0.60〜約0.995である。
【0015】
本発明のキャパシター構造体は、第1の電極、この第1の電極の少なくとも1部の上の
誘電体材料、及びこの誘電体材料上の第2の電極を含む。ここで、第1と第2の電極の少なくとも一方が、白金(x):ルテニウム(1−x)合金のバリアー層を含む。
【0016】
本発明のメモリーセル構造体は、少なくとも1つの能動素子を有する集積回路基板;及び前記少なくとも1つの活性デバイスに関して形成されたキャパシターを含む。ここで前記キャパシターは、白金(x):ルテニウム(1−x)合金でできたバリアー層を含む少なくとも1つの電極を有する。
【0017】
もう1つの集積回路構造体は、少なくとも1つの能動素子を有する集積回路基板と、この少なくとも1つの能動素子に関して作られた相互接続を含む。ここでこの相互接続は、白金(x):ルテニウム(1−x)合金でできたバリアー層を有する。
【0018】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の例示の態様を読むことによってより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の白金:ルテニウム合金拡散バリアー層を含むデバイス構造体を示している。
【図2】図2は、複数導電性層積層体の一部として、本発明の白金:ルテニウム合金層を有する構造体を示している。
【図3】図3は本発明の白金:ルテニウム合金層を含む電極を有する高誘電率キャパシターを含む構造体を示している。
【図4】図4は、蓄積セルキャパシターの用途での、白金:ルテニウム合金層の使用を示している。
【図5】図5は、相互接続の用途での白金:ルテニウム合金層の使用を示している。
【図6A】図6Aは、酸素焼きなまし処理を行う前の、堆積させた白金:ルテニウムの層の深さでの分布を示す図である。
【図6B】図6Bは、酸素焼きなまし処理の後の、堆積させた白金:ルテニウムの層の深さでの分布を示す図である。
【図6C】図6Cは、酸素中での焼きなまし処理の後の、白金:ルテニウム層にわたる分布についてのSiシグナルを示すXPSモンタージュである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[本発明の態様の詳細な説明]
図1を参照して、本発明を以下で一般的に説明する。その後で、図2〜5を参照して本発明の態様及び用途を説明する。
【0021】
図1は、構造体10を示しており、この構造体10は、集積回路基板12と、この集積回路基板12の表面13、例えばケイ素含有表面上に作られた本発明の白金:ルテニウム合金層14とを含む。構造体10は、効果的なバリアー層を必要とする任意の用途のための白金:ルテニウム合金層の使用を例示している。言い換えると、1つの材料が隣接する他の材料に拡散するのを防ぐことが必要なときは常に、白金:ルテニウム合金層14を半導体デバイスの製造で使用することができる。例えば、集積回路基板12は、ケイ素含有表面に向かって延びる開口を有する接触構造を示すものでよい。そのような構造では、拡散バリアーを一般にそのような開口内において使用して、望ましくない反応、例えばアルミニウムのような接触材料とケイ素含有表面との反応を防ぐ。
【0022】
更に例えば、白金:ルテニウム合金バリアー層14を、メモリーデバイスのような半導体デバイスに使用する蓄積セルキャパシターの製造で使用することができる。ここで更に説明するように、白金:ルテニウム合金バリアー層14は、キャパシターの電極を作る積
層体で、又はそのような蓄積セルキャパシターの電極において単独で使用することができる。CMOSデバイス、メモリーデバイス等のような様々なデバイスのための様々な半導体プロセス及び構造体が、本発明のバリアー層のバリアー特性で利益を受け、また本発明はここで説明される態様に制限されないことを、当業者は理解する。
【0023】
ここで使用する場合、「集積回路基板(substrate assembly)」という用語は、ベース半導体層のような半導体基材、例えばウェハーのケイ素材料の最も下側の層、又はシリコンオンサファイアのような他の材料に堆積したケイ素層、又は半導体基材上に作られた1若しくは複数の層若しくは構造又は半導体基材に作られた領域を有する半導体基材に言及している。以下の説明の集積回路基板に関しては、領域、接合、様々な構造又は特徴、及び開口、例えばバイア、接触口、高アスペクト比開口等を作る又は定めるために、様々な処理工程が先に使用されていてもよい。
【0024】
本発明の白金:ルテニウム合金層14は好ましくは、原子組成が白金(x):ルテニウム(1−x)(xは約0.6〜約0.995)である。言い換えると、半導体デバイスのためのバリアー特性を達成するのに必要な白金層中のルテニウムの量は最少量、すなわち約40%〜0.5%である。より好ましくはxは、約0.90〜約0.98、更により好ましくはxは約0.95、すなわち層中のルテニウムが約5%であることが、バリアー特性を提供するのに適当である。言い換えると、好ましくは白金:ルテニウム合金層14の原子組成は、おおよそ95%の白金と5%のルテニウムである。
【0025】
白金:ルテニウム合金層14の厚さは、使用する用途に依存している。好ましくはこの厚さは、約10Å〜約10,000Åである。より好ましくは白金:ルテニウム合金層14の厚さは、約100Å〜約500Åである。例えば、約100Å〜約500Åのこの好ましい厚さは、キャパシターの電極を作るための単一の白金:ルテニウム合金層に適用可能である。
【0026】
集積回路基板12の表面13上に作られた白金:ルテニウム合金層14は、1又は複数の様々なプロセスによって製造することができる。例えば、白金:ルテニウム合金層14の製造は、それぞれの供給源からの金属の同時の蒸発、すなわち同時蒸発によって行うこと、白金:ルテニウム合金の単一の堆積ターゲットからのスパッタリングによって堆積させること、2つのターゲットからの同時スパッタリングによって堆積させること(すなわち、1つのターゲットが白金を含み、他方のターゲットがルテニウムを含む);又は化学気相堆積(CVD)、例えば大気圧化学気相堆積、低圧化学気相堆積(LPCVD)、プラズマ促進化学気相堆積(PECVD)、若しくは任意の他の化学気相堆積技術による堆積によって行うことができる。好ましくは、白金:ルテニウム合金層14の形成は、CVDによって達成する。
【0027】
そのようなプロセスは、化学気相堆積反応器、例えばGenus社(カリフォルニア州サニーバレー)から商品名7000で入手可能な反応容器、Applied Mater
ials社(カリフォルニア州サンタカレラ)から商品名5000で入手可能な反応容器、又はNovelus社(カリフォルニア州サンジョーズ)から商品名Prismで入手可能な反応容器で行うことができる。しかしながら、CVDを行うのに適当な任意の反応容器を使用することができる。
【0028】
化学気相堆積(CVD)は、蒸気相反応体の反応、すなわち所望の成分を含有する反応体ガスの反応によって、基材上に不揮発性固体のフィルムを形成するものとして定義される。反応体ガスは、反応容器に導入する。ガスは、加熱されたウェハー表面において分解及び反応して、所望の層を形成する。化学気相堆積は、半導体ウェハー上の薄い層、例えば白金:ルテニウム合金層のような元素の金属又は化合物のフィルムを提供するための1
つの方法である。化学気相堆積プロセスは多くの点で好ましい。これは、このプロセスが、深い接触又は他の開口内にさえ、高度に適合した層を提供する能力を有することによる。従って、図4及び5に関して以下で更に説明するように、好ましくはCVD処理を使用して、例えば蓄積セルキャパシターの下側電極のために、深い接触及び他の開口内に高度に適合した層を提供する。CVDは好ましいプロセスであるが、プラズマ促進、光促進、レーザー促進、及び他の技術のような関連する様々な技術によって、CVDプロセスを促進できることは、当業者に明らかである。
【0029】
本発明では好ましくは、化学気相堆積プロセスを使用して、白金及びルテニウムの同時堆積を行わせる。このCVDプロセスでは、白金先駆物質と共に、ルテニウム先駆物質を反応容器に供給する。好ましくはこの方法は、O2、NO、NO2、O3、過酸化水素、t
−ブチルペルオキシドのような有機ペルオキシド、又は任意の他の酸化剤等の酸化性反応体ガスの存在下で行う。
【0030】
一般に、液体先駆物質は、バブラー(bubbler)貯蔵容器に保持されており、このバブラー貯蔵容器に、ヘリウム又は他の不活性ガスのようなキャリアーガス、すなわち非反応性のガス(例えば窒素、アルゴン、ネオン、及びキセノン)を通して、先駆物質を反応容器に送る。例えば、流量が約1sccm〜約100sccmの不活性ガス、すなわちプロセスの他のガスと反応しないガスであるキャリアーガス流れを、約30℃〜約70℃の温度及び約0.5〜約50Torrの圧力のバブラーにおいて使用して、白金先駆物質を反応容器に供給することができる。同様に、流量が約1sccm〜約10sccmのキャリアーガス、すなわち不活性ガスを、約20℃〜約50℃の温度及び約0.5Torr〜約100Torrの条件のルテニウム先駆物質保持バブラーにおいて使用して、ルテニウム先駆物質を反応容器に供給することができる。好ましくは、反応性酸化ガスを、約0sccm〜約500sccmの流量で反応容器に供給する。
【0031】
当業者は、反応容器に気体を導入する様式が様々な技術のいずれかを含めることを認識する。例えば、バブラー技術の提供に加えて、室温において気体である化合物の使用によって、又は揮発性の化合物を加熱して気化させ、そしてキャリアーガスを使用してこの揮発性の化合物を反応容器に供給することによって、導入を達成することができる。更に、固体先駆物質及びそのような固体先駆物質を気化させる様々な方法を使用して、反応性化合物を容器に導入することができる。このように、本発明は任意の特定の技術に限定されない。更に典型的に、反応体ガスは別々の入口から導入する。反応体ガスに加えて、希釈ガス(すなわち、反応体ガスに対して非反応性のガス)を、容器に導入することもできる。例えば、様々な流量でアルゴンガスを容器に導入することができる。
【0032】
従って本発明では、反応容器中の反応体ガス混合物は少なくとも、ルテニウム先駆物質ガス、白金先駆物質ガス、及び随意に酸素反応体ガス及び/又は希釈ガスを含む。好ましくは反応容器内において、ルテニウム先駆物質ガスの分圧を十分に低く維持して、ルテニウムの堆積が、上述の合金層14の好ましい白金:ルテニウム組成を提供するようにする。この分圧は、ルテニウム先駆物質を保持するバブラーに通すヘリウムのような不活性ガスの流量を制御することによって、又はバブラーの温度及び圧力のようなプロセスの他のパラメータを制御することによって調節できる。
【0033】
好ましいCVDプロセスでは、堆積圧力が約0.5torr〜約5torrになるように、反応容器圧力を維持する。白金:ルテニウム合金層14を堆積させるウェハー表面の温度は、約200℃〜約400℃の温度に維持する。
【0034】
任意のルテニウム含有先駆物質及び白金含有先駆物質を、本発明で使用することができる。好ましくは白金含有先駆物質としては、MeCpPtMe3(Cp=シクロペンタジ
エニル)、白金ヘキサフルオロアセチルアセトネート、CpPtMe3、Pt(アセチル
アセトネート)2、Pt(PF34、Pt(CO)2Cl2、シス−PtMe2[MeNC]2、(COD)Pt(CH32、(COD)Pt(CH3)Cl、(C35)Pt(CH3
)(CO)、(acac)(Pt)(CH33(ここで、COD=1,5シクロオクタジエンであり、acac=アセチルアセトネート)を挙げることができる。更に、好ましくはルテニウム先駆物質は、(ジエン)Ru(CO)3の式(式I)の液体ルテニウム錯体
である。ここで、「ジエン」とは、直鎖の、枝分かれした又は環状ジエン、二環式ジエン、三環式ジエン、それらのフッ素化誘導体、それらの組み合わせ、及びハロゲン化物、Si、S、Se、P、As又はNのようなヘテロ原子を更に有するそれらの誘導体に言及している。これらの先駆物質錯体及び他のものは、本出願人の「Precursor Ch
emistries for Chemical Vapor Deposition of Ruthenium and Ruthenium Oxide」、米国特許出願第 号明細書(Micron社参照番号No.97−0675)、及び本出願人の「Methods
for Preparing Ruthenium and Osmium Compounds」、米国特許出願第 号明細書(Micron社参照番号No.97−0861)で
説明されている。更に例えば、更なる先駆物質がMcCormick等の米国特許第5,372,849号明細書で開示されている。より好ましくは、本発明で使用するルテニウム先駆物質は、C68Ru(CO)3、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(II
)、トリルテニウムドデカカルボニル、及びシクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム(II)二量体のうちの1つを含む。
【0035】
同時堆積白金:ルテニウム合金層14を製造する方法は、本出願人の「Method
for Producing Low Carbon/Oxygen Conductive
Layers」(参照番号150.00730101(Micron社参照番号97−
0996))で説明されている。当業者は、これらの方法及び様々な他の方法を使用して、本発明の白金:ルテニウム合金層14を形成できることを認識する。
【0036】
図2は、集積回路基板22及び積層体24を含む構造体20を示している。この積層体24は、導電性層31〜34を含む。これらの導電性層31〜34のうちの1又は複数は、本発明の白金:ルテニウム合金層である。
【0037】
この1又は複数の導電性層は、1又は複数の白金:ルテニウム合金層を含むのに加えて、様々な導電性材料でできた導電性層を含むことができる。例えばこの導電性層としては、当然に限定するわけではないが、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、及びイリジウムのような金属、白金:ロジウム、白金:ルテニウム、及び白金:イリジウムのような金属合金、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、及び酸化イリジウムのような金属酸化物、白金:ロジウム酸化物、白金:ルテニウム酸化物、及び白金:イリジウム酸化物のような金属合金酸化物、窒素化チタン、窒素化タングステン、及び窒素化タンタルのような金属窒素化物、ケイ素化チタン、ケイ素化ルテニウム、ケイ素化ロジウム、及びケイ素化イリジウムのような金属ケイ素化物を挙げることができる。
【0038】
積層体24は、1又は多数の用途、例えば相互接続の用途、キャパシターの用途等で使用することができる。例えば積層体24は、ケイ素含有表面23を有する集積回路基板22で、貯蔵セルキャパシターのための電極として使用することができる。そのような場合には、積層体24のバリアー性質は、ケイ素含有表面23からのケイ素の拡散を防がなければならない。本発明では、層31を白金:ルテニウム合金層として作って、ケイ素含有表面23からケイ素が、積層体24を通って隣接する1又は複数の層29に達するのを防ぐことができる。更に例えば、層29が高誘電率材料であり、積層体24を通る酸素の拡散を防ぐ拡散バリアー性を必要とする場合、層34又は他の層のうちの1つも本発明の白金:ルテニウム合金バリアー層として作ることができる。当業者は、本発明の白金:ルテ
ニウム合金層を様々な用途のための積層体で使用できること、及び積層体が1又は複数の白金:ルテニウム合金層を含めることを認識する。更に、同じ積層体で使用するそのような白金:ルテニウム合金層の組成は異なっていてもよい。
【0039】
図3は、集積回路基板52とキャパシター構造体54とを含む構造体50を示している。キャパシター構造体54は、第1の電極56、第2の電極60、及びこれらの電極の間の高誘電率層58を含む。例えば誘電体層は、所望の誘電率の任意の適当な材料でよい。この誘電体材料としては、Ta25、BaxSr(1-x)TiO3[BST]、BaTiO3、SrTiO3、PbTiO3、Pb(Zr,Ti)O3[PZT]、(Pb,La)(Zr
,Ti)O3[PLZT]、(Pb,La)TiO3[PLT]、KNO3、及びLiNb
3を挙げることができる。高誘電率層58を使用する場合、電極の拡散バリアー性は特
に重要である。例えば、キャパシター構造体の底部電極をうまく機能させるためには、電極層又は電極積層体は、酸素の拡散に対する効果的なバリアーとして機能しなければならない。これは特に、高誘電率材料を作るために使用する処理のためである。集積回路基板52が、ケイ素含有表面53、例えばポリシリコン、ケイ素基材材料、Nでドープしたケイ素、Pでドープしたケイ素等の表面を有し、この表面上にキャパシターを形成する場合に、そのよう拡散バリアー性が特に必要とされる。これは、拡散したケイ素の酸化が、キャパシタンスの低下、例えばメモリーデバイスのためのキャパシタンスの低下をもたらすことがあるためである。ルテニウムと白金の同時堆積は、作られる層のバリアー性を促進させ、従って電極の用途のための純粋な白金を超える有意の利点を提供する。
【0040】
当業者は、電極56,60のいずれかが、白金:ルテニウム合金材料の単一の層として作られていてよいことを認識する。更にそのような電極56,60は、1又は複数の白金:ルテニウム合金材料の層及び1又は複数の追加の導電性の層を含む図2を参照して説明されるような積層体として作ることもできる。
【0041】
図4及び5に関連して、上述の白金:ルテニウム合金の1又は複数の層を使用する2つの例を示し以下で説明する。本発明の1又は複数の白金:ルテニウム層の使用を、図4に関して説明する。この図4においては、蓄積セルの高誘電率キャパシターの底部電極が、上述のような白金:ルテニウム合金材料の1又は複数の層を含む。更に本発明の1又は複数の白金:ルテニウム合金層の使用を図5に関して説明する。この図5では、拡散バリアー特性を必要とする接触ライニングが示されている。簡単にするために、例示の説明は、これら2つの例示の構造で説明される白金:ルテニウム合金材料の使用に限定する。本発明の利益を受けるCMOSデバイス、メモリーデバイス、ロジックデバイス等のような様々なデバイスのための他の半導体プロセス及び構造が存在し、本発明は、接触ライニング及び電極構造のようなここで説明する例示の態様に限定されない。白金:ルテニウム合金バリアー層は、拡散バリアー性を必要とする任意の用途、特に隣接する層へのケイ素及び酸素の拡散を妨げる用途のために使用することができる。
【0042】
図4で示すように、開口184を作る表面185,186上に底部電極構造体を堆積させる前に、開口184を形成することによって、従来の処理技術でデバイス構造体100を作る。そして白金:ルテニウム合金底部電極を開口184内につくる。このように、及びFazan等の米国特許第5,392,189号明細書で示されているように、デバイス構造体100は、電界酸化物(field oxide)領域105及び活性領域、す
なわち電界酸化物に覆われていない基材107の領域を含む。ワードライン121及び能動素子、すなわち電界効果トランジスタ(FET)122は、電界酸化物領域105に関して作られる。適当なソース/ドレイン領域125,130をシリコン基材107に作る。酸化物材料140の絶縁層は、FET122及びワードライン121の領域上に作る。ポリシリコンプラグ165を作って、基材107と基材上に作られる貯蔵セルキャパシターとの間の電気的接触を提供する。ポリシリコンプラグ165上に様々な層、例えば層1
67及び175を作る。そのような層は例えば、窒素化チタン、窒素化タングステン、又はバリアーとして機能する任意の他の金属窒素化物でよく、これは上述のような1又は複数の白金:ルテニウム合金バリアー層を含むこともできる。その後で、もう1つの絶縁層183を作って、開口184を与えるようにする。
【0043】
開口184は、小さい高アスペクト比の開口である。上述のように、小さい高アスペクト比の開口は、特徴寸法又は臨界寸法が約1μm未満(例えば、開口の直径又は幅が約1μm未満)で、アスペクト比が約1よりも大きい。そのようなアスペクト比は、接触ホール、バイア、トレンチ、及び任意の他の設計開口に適用可能である。例えば、開口が1μmで深さが3μmのトレンチは、アスペクト比が3である。本発明は小さいアスペクト比の構造物に拡散バリアー層を作るのに特に有益である。これは、ステップ構造上の適合した白金:ルテニウム合金材料の層を製造するために、CVDプロセスを使用することによる。
【0044】
図4に示されるように、白金:ルテニウム合金バリアー層187は、開口184を作る底部表面185及び1又は複数の側壁186上に作る。初めに白金:ルテニウム合金材料の層を、底部表面185及び側壁186を含む構造体全体の上に同時堆積させ、そして下側電極187を層を作る。例えば層は、エッチング又は平滑化して、底部電極187を作るために所望の領域を除去することができる。その後で誘電体層191を、白金:ルテニウム合金拡散バリアー層187に関して製造する。更にその後で、第2の電極192を、誘電体材料191に関して製造する。例えばそのような電極は、ここで説明されるような白金:ルテニウム合金バリアー材料、窒素化タングステン、窒素化チタン、窒素化タンタル、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、任意のそれらの組み合わせ、又は蓄積セルキャパシターの電極として典型的に使用される他の導電性材料のような任意の導電性材料であってよい。本発明を使用する場合、白金:ルテニウム合金材料でできた底部電極は、CVDを使用して、開口184内に均一な厚さで適合して作られており、これは所望の抵抗性及びバリアー性を提供する。
【0045】
拡散バリアー層を必要とする及び/又は適合して作られた導電性層を必要とするケイ素含有表面のような表面に関して作られる任意のキャパシターが、本発明の利益を受けることを当業者は認識する。例えば、コンテナ(container)キャパシターは典型的に表面上に作られた電極を含み、これは底部電極を適合させて作ることを必要とする。そのようなコンテナキャパシター蓄積セルは、Dennison等の米国特許第5,270,241号明細書「Optimized Container Stack Capaci
tor DRAM Cell Utilizing Sacrificial Oxide Deposition and Chemical Mechanicl Polishing」(1993年12月14日)で説明されている。当業者は、底部電極187が、ここで説明されたような白金:ルテニウム合金バリアーの1又は複数の層を伴う積層体を含めることを認識する。
【0046】
図5で示されているように、デバイス構造体200は、接触開口部259の製造、そして基材207の接触領域255の金属化によって、従来の処理技術で作られている。そのように、金属化の前では、デバイス構造体200は、電界酸化物領域205、及び活性領域、すなわち電界酸化物によって覆われていない基材207の領域を含む。活性領域の電界酸化物領域205に関して作られているものは、ワードライン(ワード線)221とFET222である。適当にドープされたソース/ドレイン領域225,230は、当業者に既知のようにして作られている。その上に酸化物材料の適合層240を作り、接触開口部259を提供して、ケイ素基材207のドープされた領域230に接触領域255を与える。その後で、1又は複数の金属化又は導電性層を、接触開口部259に作り、基材領域230に電気的な接触を提供する。例えば、窒素化チタン又は他の拡散バリアー材料の
ような様々な材料を、接触開口部259に提供することができる。好ましくは、本発明の白金:ルテニウム合金材料でできた接触ライニング285を、開口部259を作る底部表面260及び1又は複数の側壁261に提供する。白金:ルテニウム合金層は一般に、集積回路基板全体に堆積させ、平滑化して、接触ライニング285を作る。その後、導電性材料276を接触開口部内に提供して、基材207のドープされた領域230への接触を与える。
【0047】
[例1]
図6A及び6Bはそれぞれ、酸素焼きなまし処理の前後での、同時堆積させた白金:ルテニウム層の深さでの分布を示している。小さい研究室規模の反応性CVD容器は、MDC Vaccuum Products社(カリフォルニア州ハイワード)が製造するものであり、ガラス製研究用バブラー(bubbler)は、Technical Glas
s Service(アイダホ州、ボイズ)から入手した。白金:ルテニウム層を得るた
めに使用した同時堆積条件は、以下の条件を含む。
白金先駆物質:MeCpPt(Me)3 ルテニウム先駆物質:C68Ru(CO)3 バブラーに通して使用する白金キャリアーガス:ヘリウム5sccm バブラーに通して使
用するルテニウムキャリアーガス:ヘリウム10sccm 白金バブラー条件:圧力10
Torr、温度33℃ ルテニウムバブラー条件:圧力40Torr、温度25℃ 反応容器条件:圧力5Torr、ウェハー表面での堆積温度300℃ 堆積時間:4分間 酸素反応ガス:10sccm
【0048】
深さ分布は、Physical Electronics(ミネソタ州、エデンプレー
リー)から商標名PhI(Φ)5600で入手可能なXPS装置を使用して得た。分布を得るための操作条件は、350Wで単色のAlkα(hV=1486.6eV)のx線源、45°での抽出、800μmの抽出開口を含む。スパッタリングは、3mmの領域にされた4keVのアルゴンイオンビームによって行った。図6Aの深さ分布のためのスパッタリング時間は13分間、図6Bの深さ分布のためのスパッタリング時間は14.3分間であった。
【0049】
図6Aに示されているように、上述の条件で同時堆積させた白金:ルテニウム層は、200Åの深さで、白金が約70%でルテニウムが約15%である。図6Bは、750℃で30秒間の迅速な熱酸化焼きなまし処理を行った後の、同時堆積させた白金:ルテニウム層を示している。図6Cは、XPSモンタージュを示しており、これは、酸素中での焼きなまし処理を行った後の白金:ルテニウム層を通る分布での、Siシグナルを示している。このピークの形状は、界面においてSiがないこと、及び表面においてわずかなSiのみが存在することを示している。バリアー層を通るケイ素及び酸素の拡散がないこと、従って二酸化ケイ素が形成されないことが分かる。
【0050】
ここで挙げられた全ての特許明細書及び参考文献は、それぞれが独立に本明細書の記載に含まれているようにして、その全体を本明細書の記載に含める。本発明を例示の態様に関して説明してきたが、これらの態様に限定されることを意味していない。上述のように当業者は、様々な他の用途で、ここで説明された白金:ルテニウム合金層を使用して、その有益なバリアー特性の利益を得られることを認識する。例示の態様の様々な変更及び本発明の追加の態様が、この説明を参照して当業者に明らかである。従って、特許請求の範囲の記載は、特許請求の範囲に示される本発明の範囲に含まれる全てのそのような変更及び態様を包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学気相堆積による白金ルテニウム合金層の形成方法であって、
白金を含む先駆物質として、MeCpPtMe3 {Cp=シクロペンタジエニル}、白金ヘキサフルオロアセチルアセトネート、CpPtMe3、Pt(acac)2 {acac
=アセチルアセトネート}、Pt(PF34、Pt(CO)2Cl2、cis−PtMe2
[MeNC]2、(COD)Pt(CH32 {COD=1,5−シクロオクタジエン}、(COD)Pt(CH3)Cl、(C35)Pt(CH3)(CO)、及び(acac)(Pt)(CH33からなる群より選ばれる少なくとも1種を、並びに
ルテニウムを含む先駆物質として、C68Ru(CO)3、ビス(シクロペンタジエニル
)ルテニウム(II)、トリルテニウムドデカカルボニル、及びシクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム(II)二量体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする、白金ルテニウム合金層の形成方法。
【請求項2】
酸素を含む成分の存在下で行われるものである、請求項1に記載の白金ルテニウム合金層の形成方法。
【請求項3】
前記白金ルテニウム合金層(白金(x):ルテニウム(1−x))のxが、0.60〜0.995である、請求項1又は2に記載の白金ルテニウム合金層の形成方法。
【請求項4】
ケイ素含有表面上に形成させるものである、請求項1〜3の何れか1項に記載の白金ルテニウム合金層の形成方法。
【請求項5】
開口の直径又は幅が1μm未満であり、アスペクト比(深さ/開口の直径又は幅)が1よりも大きい開口内に形成させるものである、請求項1〜4の何れか1項に記載の白金ルテニウム合金層の形成方法。
【請求項6】
前記白金ルテニウム合金層が、前記ケイ素含有表面への酸素の拡散を抑制するバリアー層である、請求項4又は5に記載の白金ルテニウム合金層の形成方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の白金ルテニウム合金層の形成方法によって白金ルテニウム合金層を形成する工程を含むことを特徴とする集積回路の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2012−134508(P2012−134508A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3619(P2012−3619)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2000−569428(P2000−569428)の分割
【原出願日】平成11年8月31日(1999.8.31)
【出願人】(508034325)モサイド・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (106)
【Fターム(参考)】