説明

無端移動部材駆動制御装置及び画像形成装置と無端移動部材の移動速度制御方法

【課題】 無端移動部材をセンサの取付け誤差、およびマークのピッチ誤差や伸縮などの影響を受けずに、その移動速度を高精度に制御できるようにする。
【解決手段】 無端移動部材である中間転写ベルト10の表面に形成した等間隔で連続する多数のマークをマークセンサ6で検出し、その検出信号をマークカウンタ12によってカウントして、その積算値を中間転写ベルト10の移動位置情報とする。一方、中間転写ベルト10の回転軸に取付けたロータリエンコーダ19から出力されるパルス信号をf−V変換回路37によって回転速度信号に変換する。そして、その回転速度信号と移動位置情報とに基づいて、制御コントローラ71が目標位置データを補正しながらモータ7の駆動力を制御して、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルト状又はドラム状の無端移動部材、特に複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられる各種の無端移動部材駆動制御装置、およびそれを備えた画像形成装置と、その無端移動部材の移動速度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を使用した画像形成装置である例えば複写機やプリンタは、市場からの要求に伴い、フルカラーの画像を形成可能なものが多くなってきている。
このようなカラー画像の形成が可能なカラー画像形成装置には、1つの感光体のまわりに各色のトナーで現像を行う複数の現像装置を備え、それらの現像装置により感光体上の潜像にトナーを付着させてフルカラーの合成トナー画像を形成し、そのトナー画像を記録材であるシート上、あるいは転写べルト上に順次重ねて転写してカラー画像を得るいわゆる1ドラム型のものがある。
【0003】
また、感光体と現像装置等からなる各色用の作像ユニットを一直線上に配置し、その各作像ユニットによって形成される各色のトナー画像を、シート搬送ベルト上に担持されて搬送されるシート上に順次重ねて転写して、そのシート(用紙)上に直接フルカラーの画像を形成する直接転写方式と、上記各色用の作像ユニットによって形成される各色のトナー画像を、中間転写ベルト上に順次重ねて転写してフルカラーの画像を形成し、そのカラー画像を2次転写装置によりシート(用紙)上に一括転写する間接転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置もある。
【0004】
このようなカラー画像形成装置では、いずれの場合も複数色(例えばイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色)のトナー画像を作成して、それをシート上あるいは転写ベルト(中間転写ベルトともいう)上に順次重ね合わせて転写してカラー画像を形成するため、その各色のトナー画像の重ね合わせ位置がずれると、色ズレや色合いに変化が生じて画像品質が低下してしまう。したがって、その各色のトナー画像の転写位置のずれ(色ズレ)を防ぐことが重要な課題であった。
【0005】
その色ズレが発生する主な原因は、感光体ドラム(あるいは感光体ベルト)、シート搬送ベルト、転写ベルト(中間転写ベルト)などの移動速度ムラであることが解っている。
そこで、例えば特許文献1に見られるように、1ドラム型のカラー画像形成装置において、転写ベルト等の回転体の移動量を正確に検出できるようにし、それを回転体の移動速度の制御に用いることによって、色ズレなどの画像品質の低下を防ぐことが提案されている。
【0006】
この特許文献1には、感光体ドラムの外周面に1回転ごとにシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの4色のトナー画像を順次作成し、それを無端状の転写ベルトの表面に順次重ね合わせて転写していくことによりフルカラーの画像を形成する1ドラム型のカラー複写機が記載されている。
そして、その転写ベルトの内面にその移動方向に微細な所定間隔で連続するマーク(目盛)からなるスケールを設け、そのスケールを光学型の検出器で読み取って転写ベルトの移動量を直接正確に検知し、その検出した移動量をフィードバック制御系によりフィードバックして、転写ベルトの移動速度を正確に制御する。さらに、感光体ドラムや他の回転体の表面にもスケールを設けて、同様な移動量の検出とその移動速度の制御を行なうことも可能にしている。
【0007】
この方式によれば、転写ベルト等の回転体の表面の移動量を直接検出するので、実際の回転体の表面の移動量を精度よく検出できるはずである。しかし、実際にはスケールのマークの間隔(ピッチ)にランダムなバラツキが存在するため、検出される移動量にはそれが含まれており、必ずしも高精度とはいえない。
そこで、例えば特許文献2には、この点を改善したベルト搬送装置が提案されている。
【特許文献1】特開平11−24507号公報
【特許文献2】特許第3344614号公報
【0008】
この特許文献2に記載されているベルト搬送装置は、用紙またはトナー像を担持する中間転写ベルト等の無端状ベルトからなる担持体に、その搬送方向に所定のピッチで複数のマークを繰り返し設け、そのマークを順次読み取る2個の光電型のセンサを担持体の搬送方向に互いに位置をずらして設け、担持体が駆動手段によって駆動されているときに、上記2個のセンサの出力に基づいて、その2個のセンサが同一のマークを検知する時間差を演算する。さらに、時間差の複数の演算結果について平均値を求め、制御手段がその平均値の算出結果と上記時間差の演算結果とに基づいて、上記駆動手段による担持体の駆動速度を制御する。
【0009】
この場合、同一マークが2個のセンサを通過する時間差の平均値を、担持体を駆動する駆動ロールの整数回転分に亘って求め、それを担持体の平均速度としている。この平均速度は駆動源の回転速度に略等しく、駆動源の回転速度はコンマ数%の変動に抑えられているという認識に基づく。したがって、この平均値は非常に精度の高い基準となり、この基準に基づいて駆動源の回転速度を制御すれば、中間転写ベルト等の担持体の速度を安定した一定の速度に制御できることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ベルト状やドラム状の無端移動部材に上記スケールやマークを高精度に形成するのは難しく、さらに環境の温度や湿度、ベルトの場合にはローラテンションによっても伸縮するため、マークの間隔(ピッチ)が変化する。また、2個のセンサの間隔も取付け誤差や温度による取付け部材の伸縮等の影響を受けるため、絶対位置で管理するのは困難である。
【0011】
そのため、特許文献1に記載の方法では、前述のようにスケールのマークの間隔(ピッチ)のバラツキの影響を直接受けてしまうため、転写ベルト等の高精度な制御は難かしい。また、特許文献2に記載の方法でも、同一マークが2個のセンサを通過する時間差は、やはりマークピッチや2個のセンサの間隔の変動の影響を受けるばかりか、転写ベルト等の移動速度によっても変化する。したがって、その平均値をとっても、正確な基準値とはいえず、それに基づいて転写ベルト等の駆動速度を制御しても高精度に速度又は位置を制御することは困難であり、カラー画像形成装置における色ズレや濃度ムラなどをなくし、常に高品質の画像が得られるようにすることはできなかった。
【0012】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、画像形成装置における転写ベルトや感光体ドラムなどを含む各種のベルト状又はドラム状の無端移動部材の駆動制御装置又は移動速度制御方法において、無端移動部材の移動速度を高精度に制御できるようにすること、およびそれによって画像形成装置による高品質な画像形成(フルカラー画像に限らない)を常に保証できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明による無端移動部材駆動制御装置は、ベルト状又はドラム状の無端移動部材と該無端移動部材を回動させるための駆動手段とを備えた無端移動部材駆動制御装置であって、上記の目的を達成するため、上記無端移動部材の表面又は裏面に、その移動方向にわたり所定間隔で連続するように複数のマークを設け、上記無端移動部材の移動に伴って前記マークを検出するマークセンサと、その無端移動部材の回動に連動して回転する軸部材の回転角度に応じたパルス信号を出力するロータリエンコーダと、該ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を回転速度信号に変換する信号変換手段と、上記マークセンサから出力されるマーク検出信号をカウントして上記無端移動部材の移動位置情報を出力するカウンタとを設けている。さらに、上記信号変換手段から出力される回転速度信号と上記カウンタから出力される移動位置情報とによって、上記駆動手段による上記無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する制御手段とを設けたものである。
【0014】
上記制御手段は、予め設定された目標位置と上記移動位置情報との差に応じて速度指令を生成する速度指令生成手段と、その生成された速度指令と上記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成するトルク指令生成手段とを備え、そのトルク指令生成手段が生成したトルク指令によって上記駆動手段の駆動力を制御するようにするとよい。
【0015】
あるいは、上記無端移動部材の移動方向に沿って所定の間隔を置いて、それぞれ上記マークを検出するマークセンサを複数個配設し、該複数マークセンサから出力されるマーク検出信号の位相差を上記無端移動部材の移動に伴って順次算出する位相差算出手段と、上記無端移動部材の回動に連動して回転する軸部材の回転角度に応じたパルス信号を出力するロータリエンコーダと、該ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を回転速度信号に変換する信号変換手段とを設け、さらに、その信号変換手段から出力される回転速度信号と上記位相差算出手段によって算出される位相差とによって、上記駆動手段による無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する制御手段を設けるようにしてもよい。
【0016】
その場合の上記制御手段は、予め設定された目標位置を前記位相差算出手段によって算出される位相差によって補正する目標位置補正手段と、該目標位置補正手段によって補正された目標位置に応じて速度指令を生成する速度指令生成手段と、該手段によって生成された速度指令と前記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成するトルク指令生成手段とを備え、該トルク指令生成手段が生成したトルク指令によって上記駆動手段の駆動力を制御するようにするとよい。
【0017】
また、上記複数のマークセンサのいずれかから出力されるマーク検出信号をカウントして前記無端移動部材の移動位置情報を出力するカウンタを設けてもよい。
その場合の上記制御手段は、予め設定された目標位置を前記位相差算出手段によって算出される位相差によって補正する目標位置補正手段と、該目標位置補正手段によって補正された目標位置と前記移動位置情報との差に応じて速度指令を生成する速度指令生成手段と、該手段によって生成された速度指令と前記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成するトルク指令生成手段とを備え、該トルク指令生成手段が生成したトルク指令によって前記駆動手段の駆動力を制御するようにするとよい。
【0018】
上記位相差算出手段は、上記複数のマークセンサから出力されるマーク検出信号の立上りエッジ又は立下りエッジ間の時間差を、上記ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を基準クロックとして計測することによって、上記位相差を算出する手段であるとなおよい。
上記複数個のマークセンサが同一の支持部材によって一体に支持されているとよい。
上記複数個のマークセンサの間隔は、上記駆動手段のモータの1回転による上記無端移動部材の移動距離よりも短くするのが望ましい。
【0019】
さらにまた、上記位相差算出手段によって算出される位相差によって、上記所定間隔で連続する複数のマークの不良又は継ぎ目を検出するマーク不良・継ぎ目検出手段を設けるとよい。
そのマーク不良・継ぎ目検出手段によって、マークの不良又は継ぎ目が上記複数個のマークセンサの間の位置にあることが検出されたときには、上記制御手段が上記無端移動部材の移動速度のフィードバック制御を停止するようにしてもよい。
【0020】
この発明による画像形成装置は、上記無端移動部材駆動制御装置を備え、上記無端移動部材が、転写ベルト、中間転写ベルト、感光体ベルト、用紙搬送ベルト、中間転写ドラム、感光体ドラムのうちの少なくとも一つである。
【0021】
この発明による移動速度制御方法は、ベルト状又はドラム状の無端移動部材を駆動手段によって回動する際の移動速度制御方法であって、前述の目的を達成するため、上記無端移動部材の表面又は裏面に、その移動方向にわたり所定間隔で連続するように複数のマークを設けておき、上記無端移動部材の移動に伴って上記複数のマークをマークセンサによって検出し、そのマーク検出信号から上記無端移動部材の移動位置情報を取得する。
一方、上記無端移動部材の回動に連動して回転する軸部材に取付けたロータリエンコーダによって該軸部材の回転角度に応じたパルス信号を出力させ、そのパルス信号を回転速度信号に変換する。
そして、その回転速度信号と上記移動位置情報とによって、上記駆動手段による上記無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する。
【0022】
この無端移動部材の移動速度制御方法において、上記マークセンサから出力されるマーク検出信号の立上り又は立下りエッジ間で、上記ロータリエンコーダから出力されるパルス信号をカウントし、そのカウント値の積算値によって上記無端移動部材の移動位置情報を取得するようにしてもよい。
そして、予め設定された目標位置と上記移動位置情報との差に応じて速度指令を生成し、その速度指令と上記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成して、そのトルク指令によって上記駆動手段の駆動力を制御することができる。
【0023】
また、上記無端移動部材の移動方向に沿って所定の間隔を置いて配設した複数のマークセンサによって上記複数のマークを検出し、上記無端移動部材の移動に伴って、上記複数のマークセンサから出力されるマーク検出信号の位相差を順次算出し、その位相差と上記回転速度信号とによって、上記駆動手段による上記無端移動部材の移動速度をフィードバック制御するようにしてもよい。
この無端移動部材の移動制御方法において、上記複数のマークセンサから出力されるマーク検出信号の立上りエッジ又は立下りエッジ間の時間差を、上記ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を基準クロックとして計測することによって上記位相差を算出するとよい。
【0024】
さらに、上記複数のマークセンサのいずれか一方から出力されるマーク検出信号をカウントして前記無端移動部材の移動位置情報を取得し、予め設定された目標位置を順次算出される上記位相差によって補正し、その補正した目標位置と上記移動位置情報との差に応じて速度指令を生成し、その速度指令と上記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成し、そのトルク指令によって上記駆動手段の駆動力を制御することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明による無端移動部材駆動制御装置および無端移動部材の移動速度制御方法によれば、ロータリエンコーダによる回転速度の検出によるフィードバック制御と、マークセンサのマーク検出信号による無端移動部材自体の位置情報、あるいは位相差による位置ずれ情報によるフィードバック制御とを組み合わせているので、十分高精度な速度制御を行なうことができる。
【0026】
特に、複数のマークセンサを設けて、その各マーク検出信号の位相差を算出してその位相差によって予め設定された目標位置を補正するようにすれば、マークのピッチ誤差やベルトなどの伸縮の影響も少なくして、一層高精度な速度制御が可能である。
複数のマークセンサから出力されるマーク検出信号の立上りエッジ又は立下りエッジ間の位相差を、ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を基準クロックとして計測することによって算出すると、無端移動部材の回動速度が変動してもその移動量に応じた位相差を常に同じ精度で得ることができる。
【0027】
また、複数のマークセンサを同じ支持部材、好ましくは線膨張係数の低い材料からなる部材によって一体に支持するようにすれば、センサ間隔の絶対位置を管理し、無端移動部材の伸縮による位相差をより正確に算出することもできる。
マークの不良や継ぎ目で、移動速度のフィードバック制御が乱れるのを防止することもできる。
【0028】
この発明による画像形成装置によれば、転写ベルトや中間転写ベルト又はドラム、あるいは感光体ドラム又はベルト、用紙搬送ベルトなどの画像形成にかかわる無端移動部材の移動速度を精度良く制御できるので、色ずれや歪みのない高品質な画像形成を常に保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、それぞれこの発明による無端移動部材駆動制御装置および無端移動部材の速度制御方法の第1,第2実施例の構成を示すブロック図である。そして図3は、この発明による無端移動部材駆動制御装置を備え、無端移動部材の速度制御方法を実施したカラーの画像形成装置の一例の内部構造を模式的に示している。
まず、この画像形成装置について説明する。
【0030】
このカラー画像形成装置は、図3に示すように給紙テーブル2上に装置本体1を載置している。その装置本体1の上にはスキャナ3を取り付けると共に、その上に自動原稿給送装置(ADF)4を取り付けている。
装置本体1内には、その略中央にベルト状の無端移動部材である中間転写ベルト10を有する転写装置20を設けており、中間転写ベルト10は駆動ローラ9と2つの従動ローラ15,16の間に張架されて図3で時計回り方向に回動するようになっている。
【0031】
また、この中間転写ベルト10は、従動ローラ15の左方に設けられているクリーニング装置17により、その表面に画像転写後に残留する残留トナーが除去されるようになっている。その中間転写ベルト10の駆動ローラ9と従動ローラ15の間に架け渡された直線部分の上方には、その中間転写ベルト10の移動方向に沿って、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(K)の4つのドラム状の感光体40Y,40C,40M,40K(以下、特定しない場合には単に感光体40と呼ぶ)が所定の間隔を置いて配設されている。そして、中間転写ベルト10の内側に各感光体40に対向して中間転写ベルト10を挟むように、4個の1次転写ローラ62が設けられている。
【0032】
4個の各感光体40は、それぞれ図3で反時計回り方向に回転可能であり、その各感光体40の回りには、それぞれ帯電装置60、現像装置61、上述した1次転写ローラ62、感光体クリーニング装置63、除電装置64を設けており、それぞれ作像ユニット18を構成している。そして、その4個の作像ユニット18の上方に、共用の露光装置21を設けている。
そして、その各感光体上に形成された各画像(トナー画像)が、中間転写ベルト10上に直接重ね合わせて順次転写されていくようになっている。
【0033】
一方、中間転写ベルト10の下側には、その中間転写ベルト10上の画像を記録紙であるシートPに転写する転写部となる2次転写装置22を設けている。その2次転写装置22は、2つのローラ23,23間に無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡したものであり、その2次転写ベルト24が中間転写ベルト10を介して従動ローラ16に押し当たるようになっている。
【0034】
この2次転写装置22は、2次転写ベルト24と中間転写ベルト10との間に送り込まれるシートPに、中間転写ベルト10上のトナー画像を一括転写する。
そして、2次転写装置22のシート搬送方向下流側には、シートP上のトナー画像を定着する定着装置25があり、そこでは無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられている。
【0035】
なお、2次転写装置22は、画像転写後のシートを定着装置25へ搬送する機能も果たす。また、この2次転写装置22は、転写ローラや非接触のチャージャを使用した転写装置であってもよい。その2次転写装置22の下側には、シートの両面に画像を形成する際にシートを反転させるシート反転装置28を設けている。
このように、この装置本体1は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を構成している。
【0036】
このカラー画像形成装置によってカラーコピーをとるときは、自動原稿給送装置4の原稿台30上に原稿をセットする。また、手動で原稿をセットする場合には、自動原稿給送装置4を開いてスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿給送装置4を閉じてそれを押える。
【0037】
そして、図示していないスタートキーを押すと、自動原稿給送装置4に原稿をセットしたときは、その原稿がコンタクトガラス32上に給送される。また、手動で原稿をコンタクトガラス32上にセットしたときは、直ちにスキャナ3が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行を開始する。そして、第1走行体33の光源から光が原稿に向けて照射され、その原稿面からの反射光が第2走行体34に向かうと共に、その光が第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入射して、原稿の内容が読み取られる。
【0038】
また、上述したスタートキーの押下により、中間転写ベルト10が回動を開始する。さらに、それと同時に各感光体40Y,40C,40M,40Kが回転を開始して、その各感光体上にイエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(K)の各単色トナー画像を形成する動作を開始する。そして、その各感光体上に形成された各色のトナー画像は、図2で時計回り方向に回動する中間転写ベルト10上に重ね合わせて順次転写されていき、そこにフルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0039】
一方、上述したスタートキーの押下により、給紙テーブル2内の選択された給紙段の給紙ローラ42が回転し、ペーパーバンク43の中の選択された1つの給紙カセット44からシートPが繰り出され、それが分離ローラ45により1枚に分離されて給紙路46に搬送される。そのシートPは、搬送ローラ47により装置本体1内の給紙路48に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止する。
【0040】
また、手差し給紙の場合には、手差しトレイ51上にセットされたシートPが給紙ローラ50の回転により繰り出され、それが分離ローラ52により1枚に分離されて手差し給紙路53に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止状態になる。
そのレジストローラ49は、中間転写ベルト10上の合成カラー画像に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、一旦停止状態にあったシートPを中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に送り込む。そして、そのシートP上に2次転写装置22でカラー画像が転写される。
【0041】
そのカラー画像が転写されたシートPは、搬送装置としての機能も有する2次転写装置22により定着装置25へ搬送され、そこで熱と加圧力が加えられることにより転写されたカラー画像が定着される。その後、そのシートPは、切換爪55により排出側に案内され、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出されて、そこにスタックされる。
また、両面コピーモードが選択されているときには、片面に画像を形成したシートPを切換爪55によりシート反転装置28側に搬送し、そこで反転させて再び転写位置へ導き、今度は裏面に画像を形成した後に、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出する。
【0042】
この画像形成装置におけるこの発明による無端移動部材駆動制御装置に相当する部分を図4及び図6によって説明する。図4は第1実施例、図6は第2実施例の概略構成を示す斜視図である。
無端移動部材である中間転写ベルト10は、駆動ローラ9と従動ローラ15との間に張架され、従動ローラ16によってテンションを与えられている。そして、モータ7によって減速機8を介して駆動ローラ9が回転されることによって、矢示F方向に回動する。
この中間転写ベルト10は、例えば弗素系樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリイミド樹脂等で形成されたベルトであり、そのベルトの全層やその一部を弾性部材で形成した弾性ベルトが使用されることが多い。
【0043】
そして、この中間転写ベルト10の外周面の一方の側縁部に沿って、その移動方向にわたり所定間隔(ピッチ)で連続するように複数のマーク5を設けている。この例では、多数のマーク5を極めて小さいビッチ(等間隔)でスケール250を形成するように、中間転写ベルト10の全周に亘って設けている。図ではマーク5を黒い目盛状に示しているが、実際には中間転写ベルト10の表面より反射率の高いインキ等によって印刷されるか、地の反射率と異なる反射率のマーク5を印刷したテープが中間転写ベルト10の全周に亘って貼り着けられている。
【0044】
そして、この中間転写ベルト10のマーク5を設けている側縁部の上方には、図4の第1実施例では1個のマークセンサ6を設けており、図6の第2実施例では中間転写ベルト10の移動方向(矢示Fで示す方向)に沿って所定の間隔を置いて複数(この例では2個)のマークセンサ6A,6Bを配設している。
このマーク5と2個のマークセンサ6A,6Bの配置関係の例を図7に拡大して示す。
スケール250を形成するマーク5の間隔(ピッチ)の設計値をP0とすると、マークセンサ6A,6Bの検出点の間隔Dを、そのマーク5のピッチP0の整数倍、すなわちD=N・P0(Nは1,2,3,…)とするのが望ましい。そして、この実施例では中間転写ベルト10の移動方向(矢示Fで示す方向)の下流側にマークセンサ6Aを、上流側にマークセンサ6Bを配設している。
【0045】
図4に示した第1実施例は、この図7に示す2個のマークセンサ6A,6Bのうちの一方だけが設けられているのと同じである。
そして、その第1実施例では、1個のマークセンサ6によるマーク検出信号を制御装置70に入力させる。また、図6に示す第2実施例では、2個のマークセンサ6A,6Bによるマーク検出信号を、それぞれ制御装置70に入力させる。
なお、マーク5によるスケール250は中間転写ベルト10の内周面に設けてもよい。その場合は、当然ながらマークセンサ6あるいは6A,6Bも中間転写ベルト10の内側に配設されることになる。
【0046】
そして、いずれの実施例においても、制御装置70によってモータ7を駆動し、そのモータ7が減速機8を介して駆動ローラ9を回転させることによって、中間転写ベルト10を矢示F方向に回動させる。その中間転写ベルト10の移動によって、1個のマークセンサ6あるいは2個のマークセンサ6A,6Bが、それぞれスケール250のマーク5を検出してその信号を制御装置70に入力させる。また、モータ7の回転軸に、その回転角度に応じたパルス信号を出力するロータリエンコーダ19を取付けている。そして、そのロータリエンコーダ19からのパルス信号も制御装置70に入力させる。
【0047】
このロータリエンコーダ19は、中間転写ベルト10の回動に連動して回転する軸部材に取付ければよいので、駆動ローラ9あるいは従動ローラ15,16のいずれかの軸に取付けてもよい。
制御装置70は、これらのマークセンサ6又は6A,6Bからのマーク検出信号と、ロータリエンコーダ19からのモータ7の回転軸の回転角度に応じたパルス信号とを入力して、モータ7への駆動信号(電圧)を制御し、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。その詳細は後述する。
【0048】
図5は、図4に示したマークセンサ6による中間転写ベルト10上のマーク5の検出信号(図では「マークセンサ信号」としている)と、その周期を計測するための基準クロックの波形を示している。基準クロックは、周波数がfcで周期がtcであるものとする。 その周波数がfcは、fc>{ベルト搬送速度}/{目標計測制度}
とする。ベルトは、この実施例では中間転写ベルト10である。
ベルト搬送速度をV、マーク5のピッチをPとすると、マーク間隔T(n)は、
T(n)=P/V(n) である。
tc=1/fc であるから、このときの分解能をdとすると、
d=P/(T(n)/tc)=V/fc
となる。マーク5のピッチもさることながら、マーク間を分割する基準クロックの周波数も、計測精度を決める要素となる。
【0049】
図8は、中間転写ベルトの外周面に設けた多数のマーク5からなるスケール250とマークセンサ6(6Aと6Bは同じものなので、ここでは6とする)の一例を示す構成図であり、(a)はスケール250の一部を上方から見た平面図、(b)はマークセンサ6の光学系の構成と光路を示す側面透視図で、図示の都合上下を反転して示している。(c)はマークセンサ6の検出面の平面図である。
【0050】
スケール250は、反射型スケールであり、中間転写ベルト10の外周面(内周面でもよい)にその回動方向に沿ってマーク(反射部)5と遮光部58とを交互に形成したものである。
マークセンサ6は、LED等の発光素子111、コリメートレンズ112、図8の(c)に明示されるようなスリットマスク113とガラス又は透明樹脂フィルムなどの透明カバーを設けた受光窓114、およびフォトトランジスタ等の受光素子115等を、筐体110に固定して設けている。
【0051】
このマークセンサ6において、光源である発光素子111で発光した光がコリメートレンズ112を通過して平行光束になり、スケール250と平行に配置される複数のスリット113aを形成したスリットマスク113を通って複数の光ビームLBに分割され、中間転写ベルト上のスケール250に照射される。そして、その一部がマーク5によって反射されて、その反射光が受光窓114を通して受光素子115によって受光され、受光素子115がその反射光の明暗の変化を電気信号に変換する。
【0052】
よって、マークセンサの筐体110の受光素子115は、スケール250のマーク5を反射光の受光によって検出して、中間転写ベルトの回動による反射部251の有無により連続的に変調されたアナログ交番信号を出力する。その信号を波形整形すると、図9に示すような矩形波のパルス信号となる。
図9は、2個のマークセンサ6A,6Bの出力信号を整形した波形とその位相差との関係を示す図(タイミングチャート)である。
【0053】
この図において、(a)はマークセンサ6Aによる検出信号の波形を示し、Ca(1),Ca(2),Ca(n) はその各周期であり、(b)はマークセンサ6Bによる検出信号の波形を示し、Cb(1),Cb(2),Cb(n) はその各周期を示している。(c)はマークセンサ6Aと6Bによる検出信号の位相差の波形を示しており、Cab(1),Cab(2),Cab(n) はその位相差である。
ここで、図8の(c)に示したマークセンサ6の検出面におけるスリットマスク113と受光窓114からなる領域をマーク検出領域SAとし、2個のマークセンサ6Aと6Bのマーク検出領域SAと、それによって検出されるマーク5との位置関係について、図10によって説明する。
【0054】
図7に示したように、マーク5のピッチP0が設計値(初期値)のままで、2個のマークセンサ6Aと6Bの間隔Dが正確にN・P0になっていれば、図10の右側に示すマークセンサ6Aのマーク検出領域SAの中心線CLaが検出中のマーク5の幅の中心と一致したとき、左側に示すマークセンサ6Bのマーク検出領域SAに対応するマーク5も破線で示す位置にあり、その幅の中心がマーク検出領域SAの中心線CLbと一致する。
したがって、マークセンサ6Aと6Bの出力信号を整形した波形の立上りと立下りのタイミングがいずれも一致し、その位相差Cab=0になる。
【0055】
しかし、実際には機内の温湿度や中間転写ベルト10にかかるテンションなどによって中間転写ベルト10が伸縮し、それによってスケール250のマーク5の位置もずれる。
そのため、図10の右側に示すマークセンサ6Aのマーク検出領域SAの中心線CLaが検出中のマーク5の幅の中心と一致したとき、左側に示すマークセンサ6Bのマーク検出領域SAに対応するマーク5の位置が実線で示すようにずれ、その幅の中心がマーク検出領域SAの中心線CLbからずれる(マーク5のピッチが伸びると、矢示Fで示す中間転写ベルト10の移動方向に対して遅れた位置になる)。それによって、図9に示すようにマークセンサ6Aと6Bの出力信号を整形した波形の立上りと立下りのタイミングがそれぞれずれ、位相差Cabが生じる。
【0056】
この時のマーク5のピッチの伸び量ΔLは、それによる遅れ時間をδt、中間転写ベルト10の線速度をVとすると、δt=ΔL/Vであり、マークセンサ6A,6Bによる検出信号の周期を Ca=Cb=T とすると、位相差Cabは次式によって算出される。
Cab=δt/T=ΔL/V・T ・・・(1)
したがって、位相差Cabはピッチの伸び量(変化量)ΔLに比例して変化する。
【0057】
伸びの変化率Rは、マークセンサ6Aと6Bの間隔をLとして、次式で求められる。
R=ΔL/L=δt・V/L ・・・(2)
マーク5のピッチ(スケールピッチ)Pを使って、P/Tで求められる実際のベルト線速Vrealは、スケールの伸びを考慮すると、次式で計算される。
Vreal=P(1+R)/T ・・・(3)
【0058】
累積移動距離Lrealは、マークセンサ6A又は6Bによる検出信号のカウント値「N」にスケールピッチ「P」を乗じて算出するので、
Lreal=N・P+Σ{ ΔL(k) }=N・P+Σ{P・R(k) }
=N・P{1+Σ(P(k) } ・・・(4)
となり、伸び量の積分値を足した分が実際の累積移動距離として計算できる。
【0059】
スケールピッチ誤差を考えない制御では、1個のマークセンサ6の検出信号のパルス間隔Ca(n)又はCb(n)と標準パルス間隔C0との差をフィードバック制御している。フィードバックされる目標速度Vrefと実速度Vrealの差ΔVは次式で算出される。
ΔV=Vref−Vreal
=fc・P0/C0−fc・Pa(n)/Ca(n)・・・(5)
fc:カウンタクロック P0:標準スケールピッチ
C0:マークセンサの検出信号の1周期の標準クロックカウント数、
Pa(n):誤差を加えたスケールピッチ
Ca(n):マークセンサの検出信号の1周期の実クロックカウント数
【0060】
次に、上述した説明を基礎にして、この発明による無端移動部材駆動制御装置および無端移動部材の速度制御方法の第1,第2実施例について、図1および図2と、前述した図4および図6等によって説明する。
〔第1実施例〕
図1はその第1実施例の構成を示すブロック図であり、請求項1,2及び12〜14に係る発明の実施例に相当する。この図1において先に説明した図4等と対応する部分には同一の符号を付してある。
【0061】
この図1において、マークセンサ6、マークカウンタ12、f−V変換回路37、および制御手段である制御コントローラ71によって、図4に示した制御装置70を構成している。また、モータ7と図4に示した減速機8と駆動ローラとによって、無端移動部材である中間転写ベルト10を回動させるための駆動手段を構成している。
中間転写ベルト10の外周面には、図4に示したように矢示Fで示す移動方向に亘り、所定の初期ピッチP0で連続するように多数のマーク5が設けられてスケール250を形成している。その中間転写ベルト10のスケール形成部に近接して、図8の(b)(c)に示したようなマークセンサ6が画像形成装置の固定部に不動に固設されている。
【0062】
そして、モータ7によって駆動ローラ9が回転されて、中間転写ベルト10が矢示Fで示す方向に回動すると、その中間転写ベルト10の移動に伴ってマークセンサ6がスケール250のマーク5を検出して図5の上側に示したようなマークセンサ信号(パルス信号)を出力する。そして、マークカウンタ12がそのマークセンサ信号のパルス数(検出したマーク数)をカウントしてそのカウント値をベルト表面位置、すなわち中間転写ベルト10の移動位置(距離)情報として制御コントローラ71に与える。
【0063】
あるいは、ロータリエンコーダ19から出力されるモータ7の回転角度すなわち回転量に応じたパルス信号Peを基準クロックとして、それをマークカウンタ12によってマークセンサ信号のパルスの立上がり(又は立下り)エッジ間でカウントし、そのカウント値の積算値を中間転写ベルト10の移動位置情報として、制御コントローラ71に与えるようにしてもよい。
一方、f−V変換回路37は信号変換手段であり、ロータリエンコーダ19から出力されるモータ7の回転量に応じたパルス信号Peを入力して、その周波数(単位時間当りのパルス数)をモータ7の軸回転速度の信号に変換して制御コントローラ71へ出力する。
【0064】
そして、制御手段である制御コントローラ71は、f−V変換回路37から出力される回転速度信号とマークカウンタ12から出力されるベルト表面の移動位置情報とによって、駆動手段のモータの駆動力を制御し、無端移動部材である中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。
そのため、この実施例の制御コントローラ71は、予め設定された目標位置とマークカウンタ12からの移動位置情報との差をとる差動回路74、およびその差に応じて速度指令を生成する速度指令生成部72とからなる速度指令生成手段と、それによって生成された速度指令とf−V変換回路37からの回転速度信号との差をとる差動回路75、およびその差に応じてトルク指令(駆動電圧)を生成するトルク指令生成部73とからなるトルク指令生成手段とを備え、それによって生成したトルク指令によってモータ7の駆動力を制御する。
【0065】
したがって、モータ7の回転速度とそれに応じて中間転写ベルト10の移動速度が制御されて、その結果がロータリエンコーダ19とf−V変換回路37とによって回転速度としてフィードバックされ、マークセンサ6とマークカウンタ12とによってベルト表面の移動位置情報としてフィードバックされる。それによって、中間転写ベルト10の画像転写位置が常に予め設定された目標位置へ移動するように、その回動速度が高精度に制御される。
【0066】
この制御コントローラ71を含む制御装置7(図4)は、図示していないマイクロコンピュータによって全体を統括制御される。
なお、ロータリエンコーダ19から出力されるパルス信号Peによってをモータ7の軸回転速度を検出する手段として、f−V変換回路37を使用する例について説明したが、これに限るものではなく、例えば1パルスごとにパルスエッジの時間間隔を計測することによって速度を得る方が時間分解能が高い速度検出を行うことができる。
【0067】
〔第2実施例〕
図2は、この発明による無端移動部材駆動制御装置および無端移動部材の速度制御方法の第2実施例の構成を示すブロック図であり、請求項3〜8及び15〜17に係る発明の実施例に相当する。この図2において先に説明した図1及び図6等と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0068】
この第2実施例において、前述の図1に示した第1実施例と相違する点は、図6及び図7によっても説明したように、中間転写ベルト10上のスケール250を構成する多数のマークを検出するマークセンサとして、2個のマークセンサ6A,6Bを中間転写ベルト10の移動方向(矢示F方向)に沿って所定の間隔を置いて配設し、さらに2個の位相カウンタ11A,11Bと、位相差算出部13を設けた点、および制御手段である制御コントローラ76に、前述の第1実施例における制御コントローラ71と同じ構成に加えて、目標位置補正部77を追加し、その出力を差動回路74に入力させるようにした点である。なお、マークカウンタ12は、いずれか一方のマークセンサ(図2に示す例ではマークセンサ6A)の検出信号であるマークセンサ信号(パルス信号)をカウントして、そのカウント値をベルト表面位置、すなわち中間転写ベルト10の移動位置情報として制御コントローラ71に与える。
【0069】
一方、2個のマークセンサ6A,6Bによる図9の(a),(b)に示した各検出信号Sa,Sbを、それぞれ位相カウンタ11A,11BのゲートGの入力とするとともに、ロータリエンコーダ19から出力されるモータ7の回転量に応じたパルス信号Peを基準パルスとしてそのソースSに入力させる。
そして、位相カウンタ11Aは、検出信号Saの立上りエッジでカウント値をリセットして0に戻し、再びパルス信号Peのカウントを開始して、そのカウント値Naを位相差算出部13に出力する。位相カウンタ11Bも、検出信号Sbの立上りエッジでカウント値をリセットして0に戻し、再びパルス信号Peのカウントを開始して、そのカウント値Nbを位相差算出部13に出力する。
【0070】
位相差算出部13は、位相カウンタ11A,11Bのうち早くリセットされた方の位相差カウンタのカウント値Na又はNbをウオッチングして、その後他方の位相カウンタがリセットされた時のカウント値を記憶する。そのカウント値が前述の式(1)における遅れ時間δtに相当する。
【0071】
その後、早くリセットされた方の位相カウンタのカウント値が再びリセットされた時の直前のカウント値を記憶する。この時のカウント値が検出信号Sa又はSbの周期Tに相当する。したがって、図9によって説明した検出信号SaとSbの位相差Cabを、前述した(1)のCab=δt/T の演算によって簡単に算出することができる。
この位相差Cabをマークセンサ6Bの検出信号Sbに対するマークセンサ6Aの検出信号Saの進み遅れとして算出する場合には、マーク5のピッチが伸びた場合には、位相カウンタ11Aの方が早くリセットされて進み位相差となり、マーク5のピッチが縮んだ場合には、位相カウンタ11Bの方が早くリセットされて遅れ位相差になる。
【0072】
なお、位相差算出部13によって、検出信号Sa,Sbの立下りエッジ間の位相差を算出するようにしてもよい。
この位相差Cabは、主に図6,図7に示したスケール250を構成するマーク5を形成したときのピッチ(間隔)誤差、及び環境の温湿度等の変化による中間転写ベルト10の伸縮に起因して発生する。
【0073】
この実施例では、位相カウンタ11A,11Bの基準パルスとして、ロータリエンコーダ19から出力されるパルス信号Peを使用しているので、位相差算出部13によってモータ7の回転量すなわち位置基準で位相差を検出することができる。したがって、中間転写ベルト10の移動速度の影響を受けずに、マーク5のピッチ変動率を示す位相差を検出できる。そのため、中間転写ベルト10の移動速度を複数段階の異なる速度に制御するような場合にも、常に同じ精度で位相差すなわちマークのピッチ変動率を検出できる。
しかし、これはこの発明に必須の要件ではなく、例えばこの制御装置70を統括制御するマイクロコンピュータの動作の基準となるクロックパルスを、位相カウンタ11A,11Bの基準パルスとして使用するようにしてもよい。
【0074】
制御コントローラ76は、目標位置補正部77によって、予め設定されている直線状に増加する目標位置を、位相差算出部13によって算出された位相差Cabによって補正して、その補正した目標位置を差動回路74に入力させる。それ以後の制御コントローラ76における処理は前述の第1実施例の制御コントローラ71の場合と同様である。
すなわち、目標位置補正部77によって補正された目標位置とマークカウンタ12からの移動位置情報との差を差動回路74によってとる。そして、その差に応じて速度指令生成部72が速度指令を生成し、その速度指令とf−V変換回路37からの回転速度信号との差を差動回路75によってとり、その差に応じてトルク指令生成部73がトルク指令(駆動電圧)を生成して、その生成したトルク指令によってモータ7の駆動力を制御する。
【0075】
したがって、モータ7の回転速度とそれに応じて中間転写ベルト10の移動速度が制御されて、その結果がロータリエンコーダ19とf−V変換回路37とによって回転速度としてフィードバックされ、マークセンサ6Aとマークカウンタ12とによってベルト表面の移動位置情報としてフィードバックされ、マークセンサ6A,6Bと位相カウンタ11A,11Bと位相差算出部13とによって位相差(マークのピッチ変動率)としてフィードバックされる。それによって、中間転写ベルト10の画像転写位置が常に予め設定された目標位置へ移動するように、その回動速度が高精度に制御される。
この制御コントローラ76を含む制御装置70(図6)も、図示していないマイクロコンピュータによって統括制御される。
【0076】
この実施例における2個のマークセンサ6A,6Bは、その間隔が変動しないように固定する必要があるので、同一の支持部材によって一体に支持するのが望ましく、その支持部材にはガラス基板のような熱膨張係数の小さい材料を使用するとよい。
また、2個のマークセンサ6A,6Bの間隔は、モータ7の回転軸1回転による中間転写ベルト10の移動距離よりも短くするのが望ましい。
この実施例においても、前述した図1に示した実施例の場合と同様に、f−V変換回路37に代えて他の速度検出手段を使用してもよい。
【0077】
〔その他の実施例〕
ここで、上述した第1,第2実施例の無端移動部材駆動制御装置に共通の請求項9,10に相当する実施例について説明する。
【0078】
第2実施例において、マークセンサ6A,6Bの一方に、マーク5が欠落している部分やスケールの継ぎ目などのマーク不連続部分が対応する位置になると、図11のマーク検出信号Sbに示すように間隔が空いてしまい、位相差パルスが異常に大きくなり、位相比較出力が急増する。これを検出する手段を設けて、マーク5の不良又はつなぎ目を検出することができる。
図11に示す例では、マークセンサ6Aと6Bの検出信号SaとSbの立下りエッジの時間差で位相差を算出するが、位相差パルスはPWM信号としてデューティが変化する信号としてみれば、アナログ入力でモニタすることができる。そして、2個のマークセンサ6A,6Bの検出信号Sa,Sbの位相差をマイクロコンピュータでモニタすれば、マーク不連続部分が検出できる。その場合、そのマイクロコンピュータがマーク不良・継ぎ目検出手段の機能も果たすことになる。
【0079】
また、マーク5の不良や継ぎ目が2個のマークセンサ6Aと6Bの間の位置にあるときには、図12に示すように、マークセンサ6Aと6Bの検出信号が順次欠落し、位相差パルスが異常に大きくなるか出力されなくなる。そこで、この状態を検出している間は、図2に示した制御コントローラ76が、位相差による中間転写ベルト10の移動速度のフィードバック制御を停止する(図12に「位相差制御停止区間」として示す)ようにする。それによって、異常な位相差による制御を防いで、その直前の制御状態を継続することによって、制御の安定性を保つことができる。
【0080】
なお、マークセンサを3個以上設け、マーク5の不良や継ぎ目が2個のマークセンサの間の位置になっても、他のマークセンサとの間の位置にはならないようにすることができ、それによって、マーク不連続部分では、使用するマークセンサを切り換えて、正確な位相差を検出し続けて、中間転写ベルト10の移動速度のフィードバック制御を停止しないで済むようにすることもできる。
【0081】
さらに、前述した第1実施例においも、マークセンサ6にマーク5が欠落している部分やスケールの継ぎ目などのマーク不連続部分が対応する位置になると、マーク検出信号に間隔が空いてしまい、マークカウンタ12のカウントパルスが抜けてしまい、正確なベルト表面位置(移動量)の情報が得られなくなる。そこで、例えば図1に示したマークカウンタ12が、マークセンサ6による検出信号のパルス周期をロータリエンコーダ19が出力するパルス信号のカウント、あるいは図5に示した基準クロックのカウントによって計測する場合には、その周期T(n)を図示しないマイクロコンピュータによってモニタし、それが予め設定した値以上になったときは、マーク不良か継ぎ目であると判断して制御コントローラ71によるフィードバック制御を停止させ、その直前の制御状態を継続させるようにすれば、制御の安定性を保つことができる。
【0082】
〔応用例〕
ここで、この発明の実施例ではないが応用例として、図7に示したように2個のマークセンサ6A,6Bを配設した場合、この2個のマークセンサ6A,6Bが同一のマーク5の通過を検出する時間差を計測することによって、中間転写ベルト10の速度を高精度に算出することができる。
その構成例としては、マークセンサ6Bが中間転写ベルト10の移動方向(矢示F方向)の上流側にある場合、マークセンサ6Bのマーク検出信号の図2に示した位相カウンタ11Bによるカウント値を、多段レジスタをディレイメモリとして用いて、2個のマークセンサ6A,6B間のマーク数が通過する時間をカウントする。
【0083】
マークセンサ6A,6B間にN個のマークが有る場合、N段のレジスタを用い、マークセンサ6Bからの検出信号のカウント値をN個分積算した時間Tによって、
V=(センサ間距離)/T
の演算によって速度Vを算出することができる。
【0084】
その場合の2個のマークセンサの間隔の最適値について検討する。
(1)検出振幅と再現性
マークセンサの間隔を小さくすると、観測される位相差は小さくなるが、間隔を離すと位相差の平均化により計測出来る周波数が低下すると共に、位相回転による発振が生じる可能性が生じる。ベルト周期の3次成分を補正しようとすると、マークセンサの間隔は50mm以下であることが望ましい。
【0085】
(2)検出感度
スケール誤差分がベルト1回転で数十μmあっても、マークの1ピッチ内に生じる変動は、マークの個数(約7000)分の1になるため、高感度の検出が必要であり、マークセンサの間隔を広げると感度は高くなる。
検出感度xは次式で算出できる。
x=7.85/Nab(Nab:マークセンサの間隔の間のマーク数)
間隔が20mmの時は Nab=118 となり、
x=0.067μm
となるから、20mmの間隔が有れば感度は十分である。したがって、2個のマークセンサの間隔をDとすると、次の範囲にするのが適当である。
10mm<D<50mm
【0086】
以上、この発明を図3に示したタンデム型のカラー画像形成装置の中間転写ベルト10の速度制御に適用した実施例について説明したが、2次転写ベルト24や、感光体40Y,40C,40M,40Kなどの、他のベルト状又はドラム状の無端移動部材の速度制御にも同様に適用できる。
また、他の電子写真方式のカラーあるいはモノクロの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置における転写ベルト、中間転写ベルト、感光体ベルト、用紙搬送ベルト、中間転写ドラム、感光体ドラムなどの画像形成に係わるベルト状又はドラム状の無端移動部材の速度制御にも同様に適用できる。
さらに、インクジェット方式のカラープリンタや、その他各種の機器における高精度な速度制御が必要なベルト状又はドラム状の無端移動部材の速度制御にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
この発明は、各種の機器における高精度な速度制御が必要なベルト状又はドラム状の無端移動部材の速度制御に利用できる。特に、各種の画像形成装置の画像形成に係わるベルト状又はドラム状の転写ベルトや感光体などの無端移動部材を高精度に速度又は位置制御するのに適している。そして、カラー画像形成装置に適用すれば、色ずれ等を防いで、常に高品質なフルカラー画像を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】この発明による無端移動部材駆動制御装置および無端移動部材の速度制御方法の第1実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】同じくその第2実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明を適用した画像形成装置の一例を示す機構部の全体構成図である。
【図4】図3に示した画像形成装置におけるこの発明による無端移動部材駆動制御装置の第1実施例に相当する部分の概略構成図である。
【図5】図4に示したマークセンサによるマーク検出信号(マークセンサ信号)とその周期を計測するための基準クロックの波形を示すタイムチャートである。
【図6】図3に示した画像形成装置におけるこの発明による無端移動部材駆動制御装置の第2実施例に相当する部分の概略構成図である。
【0089】
【図7】図5に示したマーク5と2個のマークセンサ6A,6Bの配置関係の例を拡大して示す説明図である。
【図8】同じく中間転写ベルトの外周面に設けた多数のマークからなるスケールとマークセンサの構成例を示す図である。
【図9】2個のマークセンサ6A,6Bの出力信号を整形した波形とその位相差との関係を示す図である。
【図10】2個のマークセンサ6A,6Bのマーク検出領域とそれによって検出されるマークとの位置関係を説明するための図である。
【図11】位相差パルスからマーク不連続部分を検出する手段を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】マーク不良部分で制御を停止する場合を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1:装置本体 2:給紙テーブル 3:スキャナ 4:自動原稿給送装置(ADF)
5:マーク(スケールを構成する) 6,6A,6B:マークセンサ 7:モータ
8:減速機 9:駆動ローラ 10:中間転写ベルト(無端移動部材)
11A,11B:位相カウンタ 12:マークカウンタ 13:位相差算出部
15,16:従動ローラ 18:作像ユニット 19:ロータリエンコーダ
20:転写装置 21:露光装置 22:2次転写装置 24:2次転写ベルト
【0091】
40Y,40M,40C,40K:感光体 58:遮光部 60:帯電装置
61:現像装置 62:1次転写ローラ 63:感光体クリーニング装置
64:除電装置 70:制御装置 71,76:制御コントローラ
72:速度指令生成部 73:トルク指令生成部 74,75:差動回路
77:目標位置補正部
110:マークセンサの筐体 111:発光素子 112:コリメートレンズ
113スリットマスク 114:受光窓 115:受光素子 250:スケール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト状又はドラム状の無端移動部材と該無端移動部材を回動させるための駆動手段とを備えた無端移動部材駆動制御装置であって、
前記無端移動部材の表面又は裏面に、その移動方向にわたり所定間隔で連続するように複数のマークを設け、
前記無端移動部材の移動に伴って前記マークを検出するマークセンサと、
前記無端移動部材の回動に連動して回転する軸部材の回転角度に応じたパルス信号を出力するロータリエンコーダと、
該ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を回転速度信号に変換する信号変換手段と、
前記マークセンサから出力されるマーク検出信号をカウントして前記無端移動部材の移動位置情報を出力するカウンタと、
前記信号変換手段から出力される回転速度信号と前記カウンタから出力される移動位置情報とによって、前記駆動手段による前記無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する制御手段と
を設けたことを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の無端移動部材駆動制御装置において、
前記制御手段が、予め設定された目標位置と前記移動位置情報との差に応じて速度指令を生成する速度指令生成手段と、該手段によって生成された速度指令と前記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成するトルク指令生成手段とを備え、該トルク指令生成手段が生成したトルク指令によって前記駆動手段の駆動力を制御することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項3】
ベルト状又はドラム状の無端移動部材と該無端移動部材を回動させるための駆動手段とを備えた無端移動部材駆動制御装置であって、
前記無端移動部材の表面又は裏面に、その移動方向にわたり所定間隔で連続するように複数のマークを設け、
前記無端移動部材の移動方向に沿って所定の間隔を置いて、それぞれ前記マークを検出するマークセンサを複数個配設し、
該複数マークセンサから出力されるマーク検出信号の位相差を前記無端移動部材の移動に伴って順次算出する位相差算出手段と、
前記無端移動部材の回動に連動して回転する軸部材の回転角度に応じたパルス信号を出力するロータリエンコーダと、
該ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を回転速度信号に変換する信号変換手段と、
前記信号変換手段から出力される回転速度信号と前記位相差算出手段によって算出される位相差とによって、前記駆動手段による前記無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する制御手段と
を設けたことを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の無端移動部材駆動制御装置において、
前記制御手段が、予め設定された目標位置を前記位相差算出手段によって算出される位相差によって補正する目標位置補正手段と、該目標位置補正手段によって補正された目標位置に応じて速度指令を生成する速度指令生成手段と、該手段によって生成された速度指令と前記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成するトルク指令生成手段とを備え、該トルク指令生成手段が生成したトルク指令によって前記駆動手段の駆動力を制御することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項5】
請求項3記載の無端移動部材駆動制御装置において、
複数のマークセンサのいずれかから出力されるマーク検出信号をカウントして前記無端移動部材の移動位置情報を出力するカウンタを設け、
前記制御手段が、予め設定された目標位置を前記位相差算出手段によって算出される位相差によって補正する目標位置補正手段と、該目標位置補正手段によって補正された目標位置と前記移動位置情報との差に応じて速度指令を生成する速度指令生成手段と、該手段によって生成された速度指令と前記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成するトルク指令生成手段とを備え、該トルク指令生成手段が生成したトルク指令によって前記駆動手段の駆動力を制御することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の無端移動部材駆動制御装置において、
前記位相差算出手段は、前記複数のマークセンサから出力されるマーク検出信号の立上りエッジ又は立下りエッジ間の時間差を、前記ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を基準クロックとして計測することによって位相差を算出する手段であることを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか一項に記載の無端移動部材駆動制御装置において、
前記複数個のマークセンサが同一の支持部材によって一体に支持されていることを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか一項に記載の無端移動部材駆動制御装置において、
前記複数個のマークセンサの間隔は、前記駆動手段のモータの1回転による前記無端移動部材の移動距離よりも短いことを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれか一項に記載の無端移動部材駆動制御装置において、
前記位相差算出手段によって算出される位相差によって、前記所定間隔で連続する複数のマークの不良又は継ぎ目を検出するマーク不良・継ぎ目検出手段を設けたことを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の無端移動部材駆動制御装置において、
前記マーク不良・継ぎ目検出手段によって、前記マークの不良又は継ぎ目が前記複数個のマークセンサの間の位置にあることが検出されたときには、前記制御手段が前記無端移動部材の移動速度のフィードバック制御を停止するようにしたことを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の無端移動部材駆動制御装置を備え、前記無端移動部材が、転写ベルト、中間転写ベルト、感光体ベルト、用紙搬送ベルト、中間転写ドラム、感光体ドラムのうちの少なくとも一つであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
ベルト状又はドラム状の無端移動部材を駆動手段によって回動する際の移動速度制御方法であって、
前記無端移動部材の表面又は裏面に、その移動方向にわたり所定間隔で連続するように複数のマークを設けておき、
前記無端移動部材の移動に伴って前記複数のマークをマークセンサによって検出し、
該マークセンサから出力されるマーク検出信号から前記無端移動部材の移動位置情報を取得し、
前記無端移動部材の回動に連動して回転する軸部材に取付けたロータリエンコーダによって該軸部材の回転角度に応じたパルス信号を出力させ、
そのパルス信号を回転速度信号に変換し、
前記回転速度信号と前記移動位置情報とによって、前記駆動手段による前記無端移動部材の移動速度をフィードバック制御することを特徴とする無端移動部材の移動速度制御方法。
【請求項13】
請求項12記載の無端移動部材の移動速度制御方法において、
前記マークセンサから出力されるマーク検出信号の立上り又は立下りエッジ間で、前記ロータリエンコーダから出力されるパルス信号をカウントし、そのカウント値の積算値によって前記無端移動部材の移動位置情報を取得することを特徴とする無端移動部材の移動速度制御方法。
【請求項14】
請求項12又は13記載の無端移動部材の移動速度制御方法において、
予め設定された目標位置と前記移動位置情報との差に応じて速度指令を生成し、その速度指令と前記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成して、そのトルク指令によって前記駆動手段の駆動力を制御することを特徴とする無端移動部材の移動速度制御方法。
【請求項15】
ベルト状又はドラム状の無端移動部材を駆動手段によって回動する際の移動速度制御方法であって、
前記無端移動部材の表面又は裏面に、その移動方向にわたり所定間隔で連続するように複数のマークを設けておき、
前記無端移動部材の移動方向に沿って所定の間隔を置いて配設した複数のマークセンサによって前記複数のマークを検出し、
前記無端移動部材の移動に伴って、前記複数のマークセンサから出力されるマーク検出信号の位相差を順次算出し、
前記無端移動部材の回動に連動して回転する軸部材に取付けたロータリエンコーダによって該軸部材の回転角度に応じたパルス信号を出力させ、
そのパルス信号を回転速度信号に変換し、
該回転速度信号と順次算出される前記位相差とによって、前記駆動手段による前記無端移動部材の移動速度をフィードバック制御することを特徴とする無端移動部材の移動速度制御方法。
【請求項16】
請求項15記載の無端移動部材の移動速度制御方法において、
前記複数のマークセンサから出力されるマーク検出信号の立上りエッジ又は立下りエッジ間の時間差を、前記ロータリエンコーダから出力されるパルス信号を基準クロックとして計測することによって前記位相差を算出することを特徴とする無端移動部材の移動速度制御方法。
【請求項17】
請求項15又は16記載の無端移動部材の移動速度制御方法において、
前記複数のマークセンサのいずれか一方から出力されるマーク検出信号をカウントして前記無端移動部材の移動位置情報を取得し、
予め設定された目標位置を順次算出される前記位相差によって補正し、その補正した目標位置と前記移動位置情報との差に応じて速度指令を生成し、その速度指令と前記回転速度信号との差に応じてトルク指令を生成し、そのトルク指令によって前記駆動手段の駆動力を制御することを特徴とする無端移動部材の移動速度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−160512(P2006−160512A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381096(P2004−381096)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】