説明

画像形成装置

【課題】現像ローラ上のスペーサにより現像ギャップ調整を簡単にかつ高精度に行うとともに、現像ローラの速度ムラの発生を抑制しかつ速度ムラに起因する問題を抑制することのできる非接触現像でタンデム型の画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光ドラム10の周速と現像ローラ17上のスペーサ37,38の周速とが同一または略同一に設定される。これにより、画像形成動作時、感光ドラム10とスペーサ37,38との間の摩擦をなくすことができ、摩擦による現像ローラ17の速度ムラの発生を抑制できる。また、感光ドラム10の周長がスペーサ37,38の周長の整数倍あるいは整数分の1倍に設定される。これにより、現像ローラ17の速度ムラがあっても、感光ドラム10の1回転毎の再現性を向上することができ、色ずれを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等のタンデム型の画像形成装置の技術分野に関し、特に、像担持体と現像ローラとの間に所定の現像ギャップを有する非接触ジャンピング現像方式の現像を行う現像装置を複数色毎にかつタンデムに配置されたタンデム型の画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、非接触ジャンピング現像方式を用いた画像形成装置が多々知られている。この非接触ジャンピング現像方式は、像担持体である感光体と現像ローラとの間に所定の現像ギャップを設けるとともに、現像ローラ上のトナーを感光体にジャンピングさせて感光体上の静電潜像を現像する方式である。この非接触ジャンピング現像方式では、感光体と現像ローラとの間の現像ギャップを高精度に維持することが良好な現像を行う上で求められる。
【0003】
そこで、従来、現像ギャップ調整部材としてシート状部材を用い、このシート状部材を現像ローラの両端部外周面と感光体の両端部外周面との間に介在させることで、現像ローラと感光体との間に適正な現像ギャップを容易に確保できるようにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示の現像ギャップ調整部材によれば、感光体と現像ローラとの間の現像ギャップを高精度に維持することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の現像ギャップ調整部材では、感光体および現像ローラとは別の場所に現像ギャップ調整部材を設けているので、感光体、現像ローラおよび現像ギャップ調整部材の組付けが面倒であるばかりでなく、組付け状態によっては高精度に現像ギャップを設定することが難しい。しかも、現像ギャップ調整部材は固定しているのに対して感光体および現像ローラは回転するため、現像ギャップ調整部材と感光体との間および現像ギャップ調整部材と現像ローラとの間が擦られて、感光体および現像ローラに摩耗が発生し、正確な現像ギャップを維持することが難しい。
【0005】
また、帯電ローラの両端部の外周面にフィルム部材(本発明のテープ状のスペーサに相当)を巻き付けかつ固定し、これらのフィルム部材に像担持体を当接させて、帯電ローラと像担持体との間に所定の帯電ギャップを設けることにより、近接帯電を行うことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この特許文献2に開示の帯電ギャップ調整では、フィルム部材の周方向の両端部をそれぞれ斜めにカットするとともに、斜めにカットした両端縁をそれらの間に隙間を形成するようにして互いに対向させ、帯電ローラの1周すべての位置で帯電ローラの軸方向にフィルム部材を存在させるようにして、一定の帯電ギャップを確保している。
したがって、特許文献2に開示の帯電ギャップ調整によれば、フィルム部材が帯電ローラに固定されるので、感光体、帯電ローラおよびフィルム部材の組付けが容易であるとともに、帯電ギャップを簡単にかつ高精度に設定することができる。
【0007】
一方、従来の画像形成装置には、4色毎に現像を行う現像装置を互いにタンデムに配置して、各色のトナー像を移動する中間転写ベルトに順次転写して色重ねすることによりフルカラーの画像を形成するタンデム型の画像形成装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
このようなタンデム型の画像形成装置においては、各色を順次色重ねすることから各色のトナー像の位置ずれが問題となるが、高品質のフルカラー画像を得るために、このトナー像の位置ずれを低減して色重ねの精度をできるだけ高める必要がある。そこで、特許文献3には、例えば記録紙上での主走査方向および副走査方向の解像度をそれぞれ600dpiとすると、画素ピッチが約42μmとなり、例えば位置ずれを42μm以下に抑える必要があることが提案されている。
【0009】
そして、特許文献3では、複数の感光ドラムの回転位置を検出し、検出した感光ドラムの回転位置を基準とした感光ドラム周面の中間転写ベルトに対する転写位置が同じになるように、各感光ドラムの回転位相を所定の位相に揃える補正を行い、また、感光ドラムおよび中間転写ベルトを含む駆動系の速度ムラに起因した記録紙への転写像の位置ずれを検出し、検出した位置ずれに基づき速度ムラに起因した記録紙に対する転写画像の位置ずれを補正することで、高精度のカラー画像を形成することを提案している。
【特許文献1】特開平5−27571号公報。
【特許文献2】特開2001−296723号公報。
【特許文献3】特許第3499715号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献2に開示の帯電ギャップ調整を現像ギャップ調整に適用して、この現像ギャップ調整を簡単にかつ高精度に行うとともに、このように現像ギャップ調整を行う現像装置を前述の特許文献3に開示のタンデム型の画像形成装置の各色毎の現像装置に適用することで、感光ドラムと現像ローラとの間に所定の現像ギャップを有する非接触ジャンピング現像方式の現像を行うタンデム型の画像形成装置を構成することが考えられる。
【0011】
しかしながら、現像ローラに固定されたフィルム部材による現像ギャップ調整の場合、現像ローラのフィルム部材が感光ドラムに当接することから、フィルム部材と感光ドラムとの間の摩擦により、現像ローラの速度ムラが発生する。このような現像ローラの速度ムラが発生すると、タンデム型の画像形成装置においては、色ずれやバンディングの発生のおそれがあるという問題がある。そこで、現像ローラの速度ムラの発生をできるだけ抑制するとともに、仮に現像ローラの速度ムラがあってもこの速度ムラに起因する問題をできるだけ抑制することが求められる。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、現像ローラに固定されたテープ状のスペーサにより現像ギャップ調整を簡単にかつ高精度に行うができるようにしても、現像ローラの速度ムラの発生をできるだけ抑制するとともに、仮に現像ローラの速度ムラがあっても、この速度ムラに起因する前述の問題をできるだけ抑制することのできる非接触現像でタンデム型の画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明の画像形成装置は、複数の色毎に設けられかつタンデムに配置された複数の感光ドラムと、トナー搬送面が前記複数の感光ドラム毎にそれぞれ所定の現像ギャップを置いて対向するように設けられて前記複数の感光ドラムにそれぞれ対応する色のトナーを搬送する複数の現像ローラと、前記複数の現像ローラ毎に設けられかつ各現像ローラの両端部にそれぞれ設けられて対応する前記感光ドラムに当接することで前記現像ギャップを各現像ローラ毎にそれぞれ設定するギャップ調整部材とを少なくとも備え、非接触ジャンピング現像を行うタンデム型の画像形成装置において、各現像ローラ毎の前記ギャップ調整部材がいずれも対応する現像ローラの両端に巻かれて固定されたテープ状のスペーサで構成されており、いずれの前記感光ドラムと対応する前記スペーサにおいても、前記感光ドラムの周速と対応する前記スペーサの周速とが同一または略同一に設定されているとともに、前記感光ドラムの周長はいずれも対応する前記スペーサの周長の整数倍あるいは整数分の1倍に設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、現像ローラの両端部に固定されたテープ状のスペーサにより現像ギャップを設定しているので、現像ギャップ調整を簡単にかつ高精度に行うことができるようになる。
【0015】
また、感光ドラムの周速と現像ローラ上のテープ状のスペーサの周速とを同一または略同一に設定しているので、画像形成動作時、感光ドラムとスペーサとの間の摩擦をほとんどなくすことができ、摩擦による現像ローラの速度ムラの発生を抑制できる。これにより、色ずれやバンディングの発生を抑制することができる。
【0016】
更に、感光ドラムの周長をスペーサの周長の整数倍あるいは整数分の1倍に設定しているので、仮に現像ローラの速度ムラがあっても、感光ドラムの1回転毎の再現性を向上することができる。これにより、各感光ドラムの各転写位置における速度変動を各色毎に合わせて色ずれを抑制することができる。
【0017】
このように、感光ドラムの周速とスペーサの周速とを制御することと、感光ドラムの周長とスペーサの周長とを所定の関係に設定することに相俟って、各色の現像ローラの速度ムラに起因する前述の問題を効果的に抑制することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す横断面図である。
図1に示すように、この例の画像形成装置1はタンデム型の画像形成装置であり、ハウジング本体2を有している。このハウジング本体2内には、画像形成ユニット3、中間転写ユニット(以下、一次転写ユニットともいう)4、給紙ユニット5、二次転写ユニット6、定着ユニット7、および記録媒体搬送手段8がそれぞれ配設されている。画像形成ユニット3および給紙ユニット5内の消耗品はハウジング本体2に対して着脱可能に構成されており、これらは一次転写ユニット4を含めて取り外して修理あるいは交換可能とされている。
【0019】
画像形成ユニット3は、複数個の異なる色(この例では4色であるが、例えば、4色のうち、2色または3色でもよい:以下、4色として説明する)、つまりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の画像をそれぞれ形成するイエロー用画像形成ステーション9Y、マゼンタ用画像形成ステーション9M、シアン用画像形成ステーション9C、ブラック用画像形成ステーション9Kを備えている。その場合、この例では、各色Y、M、C、Kの画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの配置順序は図1において斜め右下方向に向かってこれらの順に直線状に配列されている。なお、各色の画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの配置順序はこれに限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0020】
また、これらの画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kは、それぞれ、感光ドラムからなる像担持体である感光ドラム10Y,10M,10C,10Kと、これらの感光ドラム10Y,10M,10C,10Kの周囲にそれぞれ配設されて各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kを帯電する帯電装置11Y,11M,11C,11K、各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kに露光により静電潜像を書き込む露光装置12Y,12M,12C,12K、各感光ドラム10Y,10M,10C,10K上の潜像を現像する現像装置13Y,13M,13C,13Kを備えている。なお、図示しないが、画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kは、それぞれ、感光ドラムを除電する公知の除電手段および感光ドラムをクリーニングする公知のクリーナも各色毎に備えている。
【0021】
各色の画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの感光ドラム10Y,10M,10C,10K、帯電装置11Y,11M,11C,11K、露光装置12Y,12M,12C,12K、および現像装置13Y,13M,13C,13Kの各構成はいずれも各色Y,M,C,Kについて同一に構成されている。
【0022】
各帯電装置11Y,11M,11C,11Kは、高電圧発生源に接続された導電ブラシで構成され、これらの導電ブラシによりそれぞれ各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面を一様に帯電させる。このような帯電装置11Y,11M,11C,11Kを用いることで、きわめて少ない電流によって感光ドラム表面を帯電させることができるので、コロナ帯電方式のように装置内外が多量のオゾンによって汚染されることはない。
【0023】
各露光装置12Y,12M,12C,12Kには、LEDランプを感光ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸方向に列状に配列したLEDラインヘッドが用いられている。LEDラインヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトであるため、感光ドラム10Y,10M,10C,10Kに対して近接配置が可能であり、装置本体を小型化できるという利点を有している。
【0024】
各現像装置13Y,13M,13C,13Kは、それぞれ、現像器ケース14Y,14M,14C,14Kと、各現像器ケース14Y,14M,14C,14K内にそれぞれ形成されたトナー貯留部15Y,15M,15C,15Kと、現像器ケース14Y,14M,14C,14Kにそれぞれ設けられたトナー供給ローラ16Y,16M,16C,16Kと、現像器ケース14Y,14M,14C,14Kにそれぞれ設けられ、トナー供給ローラ16Y,16M,16C,16Kおよび感光ドラム10Y,10M,10C,10Kにそれぞれ当接するように配設された現像ローラ17Y,17M,17C,17Kと、各トナー貯留部15Y,15M,15C,15Kに設けられたトナー撹拌搬送部材18Y,18M,18C,18Kと、各現像ローラ17Y,17M,17C,17K上のトナー層厚を規制する規制ブレード19Y,19M,19C,19Kとを備えている。
【0025】
そして、この例の画像形成装置1では、各感光体10Y,10M,10C,10Kと各現像装置13Y,13M,13C,13Kとがそれぞれ一体にされた各色毎の現像カートリッジとして構成されている。これらの現像カートリッジについては、後でより詳細に説明する。
【0026】
各現像ローラ17Y,17M,17C,17Kおよび各トナー供給ローラ16Y,16M,16C,16Kは、感光ドラム10Y,10M,10C,10Kの回転方向と逆方向の反時計回りに回転駆動される。トナー貯留部15Y,15M,15C,15Kにおいてそれぞれ撹拌部材により撹拌された各色のトナーは、それぞれトナー供給ローラ16Y,16M,16C,16Kに供給され、更に、これらのトナーはトナー供給ローラ16Y,16M,16C,16Kに当接されるブレードと摺擦した摩擦帯電力による付着力とトナー供給ローラ16Y,16M,16C,16Kの表面凹凸部での機械的付着力とによって、現像ローラ17Y,17M,17C,17Kの表面に供給される。現像ローラ17Y,17M,17C,17Kに供給されたトナーは各規制ブレード19Y,19M,19C,19Kにより所定の厚さの層厚に規制され、この規制により薄層化されたトナー層は、各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kへ搬送される。そして、各現像ローラ17Y,17M,17C,17Kによって搬送される各色のトナーによってそれぞれ各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kの潜像部が各色毎に非接触で現像される。
【0027】
一次転写ユニット4は、ハウジング本体2の下方に配設された図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラ20と、従動ローラ21と、これらの駆動ローラ20と従動ローラ21との間に張架されて図1に矢印で示す反時計方向に回転駆動される中間転写ベルト22とを備えている。その場合、従動ローラ21および中間転写ベルト22が駆動ローラ20に対して図1で斜め左上方へ傾斜する方向に配設されている。これにより、中間転写ベルト22の画像形成ユニット3側のベルト部分22aがこのベルト部分22aと反対側つまり画像形成ユニット3側と反対側のベルト部分22bに対して下方に位置し、かつベルト部分22aの移動方向が図1において斜め右下方となるようにされている。
【0028】
そして、画像形成ユニット3における各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kがそれぞれベルト部分22aに接触して各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kからそれぞれ各色のトナー像が一次転写部で一次転写される。その場合、各色の一次転写部では、各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kにそれぞれ対向して配設された転写ローラからなる一次転写ローラ23Y,23M,23C,23Kが中間転写ベルト22のベルト部分22aを感光ドラム10Y,10M,10C,10Kに弾性的に圧接させる。そして、各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kは、図1に矢印で示す時計回りに、つまり感光ドラム10Y,10M,10C,10Kのベルト部分22aとの接触部分がこのベルト部分22aの搬送方向と同じ方向に回転駆動されるとともに、一次転写ローラ23Y,23M,23C,23Kにそれぞれ転写バイアスを印加することで、感光ドラム10Y,10M,10C,10K上のトナー像のベルト部分22aへの一次転写が行われるようになっている。
【0029】
従動ローラ21の近傍に、中間転写ベルト22をクリーニングするクリーニング手段24が設けられており、このクリーニング手段24により、中間転写ベルト22上の二次転写の転写残りトナーが回収されるようになっている。また、駆動ローラ20の近傍に、レジストセンサ25が設置されており、このレジストセンサ25は、中間転写ベルト22上の各色トナー像の位置決めを行うとともに、各色トナー像の濃度を検出し、各色画像の色ずれや画像濃度を補正するためのセンサである。
【0030】
給紙ユニット5は、図1に示すように紙等のシート状の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット26と、この給紙カセット26から記録媒体Pを1枚ずつ給送するピックアップローラ27とからなる給紙部とを備えている。更に、ハウジング本体2には、二次転写部への記録媒体Pの給紙タイミングを規定するレジストローラ対28が配設されている。
【0031】
二次転写ユニット6は二次転写部において中間転写ベルト22を駆動ローラ20に圧接させる二次転写ローラ29を備えている。このとき、一次転写ユニット4の駆動ローラ20は二次転写ローラ29のバックアップローラを兼ねている。
【0032】
更に、定着ユニット7は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵した回転自在な加熱ローラ30と、この加熱ローラ30を押圧付勢する加圧ローラ31とを備えている。そして、二次転写部で記録媒体Pに二次転写されたカラー画像が、この定着ユニット7の加熱ローラ30と加圧ローラ31とで形成するニップ部において所定の温度で記録媒体Pに定着される。
【0033】
更に、ハウジング本体2には、定着後の記録媒体Pを排紙トレイ32に排出する排紙ローラ対33が配設されている。なお、図示しないが、記録媒体Pの両面に画像を形成するためにこの記録媒体Pを搬送する両面プリント用搬送路を設けることもできる。
【0034】
図2は、図1に示すタンデム型の画像形成装置に用いられる、現像装置と感光ドラムとが一体に形成された現像カートリッジを模式的に示し、(a)は横断面図、(b)はこの例の現像カートリッジの部分図である。なお、現像カートリッジは各色Y,M,C,K毎に同じ構成であるので、以下の説明では、符号Y,M,C,Kを付さないで説明する。
【0035】
図2(a)に示すように、この例の画像形成装置1では、感光ドラム10と現像装置13とが一体にされた感光ドラム−現像装置一体カートリッジ34が用いられている。
現像装置13は、感光ドラム10にトナーTを搬送する現像ローラ17、現像ローラ17に圧接されてトナーTを供給する供給ローラ16、現像ローラ17に圧接されて感光ドラム10に搬送するトナーTを規制する規制ブレード19、トナーTを攪拌して搬送するトナー攪拌搬送部材18、トナー攪拌搬送部材18によって搬送されたトナーTを受けて供給ローラ16の方へ案内するトナー受け部材35、および現像ローラ17に現像後残ったトナーTを回収する方向に当接しながらトナー漏れを防止するための上シール36を備えている。そして、感光ドラム10、現像ローラ17、供給ローラ16、規制ブレード19、トナー攪拌搬送部材18およびトナー受け部材9はいずれも感光ドラム−現像装置一体ケース2内に配設されている。
【0036】
図3に示すように、感光ドラム10は、その中央部に像担持面10aが形成されているとともに、その両端部に像非担持面10b,10cが形成されている。また、現像ローラ17は、その中央部にトナー非搬送面17aが形成されているとともに、その両端部にトナー非搬送面17b,17cが形成されている。
【0037】
現像ローラ17のトナー非搬送面17b,17cには、それぞれテープ状のスペーサ37,38がトナー非搬送面17b,17cの1周にわたって固定されている。これらのスペーサ37,38が感光ドラム10の像非担持面10b,10cに圧接されることで、現像ローラ17のトナー搬送面17aとこのトナー搬送面17aに対向する感光ドラム10の像担持面10aとの間に、現像ギャップgが形成されている。
【0038】
そして、この現像ギャップgは、スペーサ37,38の厚みを適宜選択することで所望の大きさに正確に設定される。これにより、この現像装置13は非磁性一成分現像剤であるトナーTを用いた非磁性一成分現像剤非接触ジャンピング現像を行うようになっている。その場合、この例の感光ドラム−現像装置一体カートリッジ34では、図2(b)に示すように感光ドラム10が時計回りに回転するとともに、現像ローラ17および供給ローラ16がともに反時計回りに回転するように設定されている。そして、感光ドラム10の周速と現像ローラ17上のスペーサ37,38の周速とが同一または略同一に設定されている。
【0039】
現像ローラ17には、応力収縮や熱収縮の極めて小さい例えば鉄等の金属ローラあるいはウレタン等の樹脂が用いられる。また、この現像ローラ17上に固定されるスペーサ37,38は弾性体が好ましい。このスペーサ37,38には、ポリアミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、エポキシ、アセテート、シリコーン、アクリル、ゴム等のようなプラスチックやゴムが用いられる。その場合、スペーサ37,38の材料は絶縁体であることが好ましい。また、スペーサ37,38としては、粘着テープでもよいし、シームレスの熱収縮チューブでもよい。
そして、感光ドラム10とスペーサ37,38との間には、感光ドラム10の周長がスペーサ37,38の周長の整数倍あるいは整数分の1倍に設定されている。
【0040】
このように構成された画像形成装置1の画像形成動作について、簡単に説明する。
感光ドラム10Y,10M,10C,10Kの外周面がそれぞれ帯電装置11Y,11M,11C,11Kによって一様に帯電される。一様に帯電した感光ドラム10Y,10M,10C,10Kの外周面に、それぞれ露光装置12Y,12M,12C,12Kによる露光で像の書込が行われて各色の静電潜像が形成される。各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成された各色の静電潜像は、それぞれ現像装置13Y,13M,13C,13Kによりが現像されてトナー像が形成される。各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成された各色のトナー像は、それぞれ一次転写部において一次転写ローラ23Y,23M,23C,23Kにより一次転写されてY、M、C、Kの色の順に中間転写ベルト22上に色重ねさされ、フルカラーのトナー像が形成される。
【0041】
更に、中間転写ベルト22上のフルカラーのトナー像は、二次転写ユニット6において、給紙ユニット5の給紙カセット26からピックアップローラ27によって1枚ずつ抽出されかつレジストローラ対28によって給紙タイミングをとって給送されてきた記録媒体Pに二次転写ローラ29によって二次転写される。記録媒体Pに二次転写されたフルカラーのトナー像は定着装置7の加熱ローラ30と加圧ローラ31とによって加熱加圧されて記録媒体Pに定着される。その後、定着画像が形成された記録媒体Pが記録媒体搬送手段8によって搬送されかつ排紙ローラ対33によって排紙トレイ32に排出される。二次転写後に中間転写媒体22に残った転写残りのトナーは、従動ローラ21の方へ搬送されてクリーニング手段24によって除去され、中間転写ベルト22がクリーニングされる。
【0042】
ところで、この例の画像形成装置1においては、感光ドラム10の周速と現像ローラ17上のスペーサ37,38の周速とが同一または略同一に設定されていることから、画像形成動作時、感光ドラム10とスペーサ37,38との間の摩擦がほとんどなく、摩擦による現像ローラ17の速度ムラの発生が抑制される。また、感光ドラム10の周長がスペーサ37,38の周長の整数倍あるいは整数分の1倍に設定されていることから、現像ローラ17の速度ムラがあっても、感光ドラム10の1回転毎の再現性が向上する。
【0043】
このように構成されたこの例の画像形成装置1によれば、現像ローラ17の両端部17b,17cに固定されたテープ状のスペーサ37,38により現像ギャップgを設定しているので、現像ギャップ調整を簡単にかつ高精度に行うことができるようになる。
【0044】
更に、感光ドラム10の周速と現像ローラ17上のスペーサ37,38の周速とを同一または略同一に設定しているので、画像形成動作時、感光ドラム10とスペーサ37,38との間の摩擦をほとんどなくすことができ、摩擦による現像ローラ17の速度ムラの発生を抑制できる。これにより、色ずれやバンディングの発生を抑制することができる。
【0045】
また、感光ドラム10の周長をスペーサ37,38の周長の整数倍あるいは整数分の1倍に設定しているので、仮に現像ローラ17の速度ムラがあっても、感光ドラム10の1回転毎の再現性を向上することができる。これにより、各感光ドラム10Y,10M,10C,10Kの各転写位置における速度変動を各色毎に合わせて色ずれを抑制することができる。
【0046】
このように、感光ドラム10の周速とスペーサ37,38の周速とを制御することと、感光ドラム10の周長とスペーサ37,38の周長とを所定の関係に設定することを組み合わせることで、各現像ローラ17Y,17M,17C,17Kの速度ムラに起因する前述の問題を効果的に抑制することができるようになる。
【0047】
次に、本発明の具体的な実施例および比較例について説明する。
実施例1および2と比較例1について、画像形成の実験をした。
(実施例1)
図1に示すタンデム型の画像形成装置を用いるとともに、この画像形成装置1の各色の現像ローラ17に直径φ19.9mmの鉄の金属ローラを用いた。この現像ローラ17のトナー非搬送面17b,17cに、スペーサ37,38として厚み50μmのPFA熱収縮チューブを固定した。また、感光ドラム10の直径をφ40mmに設定した。したがって、感光ドラム10の周長はスペーサ37,38の周長の2倍である。
【0048】
そして、平均体積粒径4μmの4色の各トナーを用いるとともに、感光ドラム10の周速とスペーサ37,38の周速とをともに212mm/secの等速に設定し、更に、現像バイアス電源からー300Vの直流電圧に700Vで周波数3000Hzの交流電圧を重畳させた現像バイアスを現像ローラ17に印加して現像を行った。
転写紙100枚に画像を形成(印字)した時の位置ずれを、そのときの位置ずれ分布の最大幅として測定した結果、位置ずれは35μmであった。
【0049】
(実施例2)
図1に示すタンデム型の画像形成装置を用いるとともに、この画像形成装置の各色の現像ローラ17に直径φ39.9mmの鉄の金属ローラを用いた。この現像ローラ17のトナー非搬送面17b,17cに、スペーサ37,38として厚み50μmのPFA熱収縮チューブを固定した。また、感光ドラム10の直径をφ40mmに設定した。したがって、感光ドラム10の周長はスペーサ37,38の周長と等倍(1倍)である。
【0050】
そして、平均体積粒径4μmの4色の各トナーを用いるとともに、感光ドラム10の周速とスペーサ37,38の周速とをともに212mm/secの等速に設定し、更に、現像バイアス電源からー300Vの直流電圧に700Vで周波数3000Hzの交流電圧を重畳させた現像バイアスを現像ローラ17に印加して現像を行った。
転写紙100枚に画像を形成(印字)した時の位置ずれを、そのときの位置ずれ分布の最大幅として測定した結果、位置ずれは30μmであった。
【0051】
(比較例1)
図1に示すタンデム型の画像形成装置を用いるとともに、この画像形成装置の各色の現像ローラ17に直径φ17mmの鉄の金属ローラを用いた。この現像ローラ17のトナー非搬送面17b,17cに、スペーサ37,38として厚み50μmのPFA熱収縮チューブを固定した。また、感光ドラム10の直径をφ40mmに設定した。したがって、感光ドラム10の周長はスペーサ37,38の周長の2.34倍である。
【0052】
そして、平均体積粒径4μmの4色の各トナーを用いるとともに、感光ドラム10の周速とスペーサ37,38の周速とをともに212mm/secの等速に設定し、更に、現像バイアス電源からー300Vの直流電圧に700Vで周波数3000Hzの交流電圧を重畳させた現像バイアスを現像ローラ17に印加して現像を行った。
転写紙100枚に画像を形成(印字)した時の位置ずれを、そのときの位置ずれ分布の最大幅として測定した結果、位置ずれは56μmであった。
【0053】
以上の実験結果から、感光ドラム10の周長をスペーサ37,38の周長の整数倍に設定することで、100枚印字したときの位置ずれは、前述の特許文献3に開示されている解像度600dpiの画素ピッチ42μm以下の位置ずれ範囲内であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の現像装置は、電子写真、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の感光ドラムに静電潜像を形成するタンデム型の画像形成装置において、感光ドラムと現像ローラとの間に所定の現像ギャップを有する非接触ジャンピング現像方式の現像装置を複数色毎にそれぞれ備えるタンデム型の画像形成装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す横断面図である。
【図2】図1に示す例のタンデム型の画像形成装置に用いられ、現像装置と感光ドラムとが一体に形成された現像カートリッジを模式的に示し、(a)は横断面図、(b)はこの例の現像カートリッジの部分図である。
【図3】図2に示す例の現像装置において、スペーサによる現像ギャップを模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…画像形成装置、2…ハウジング本体、3…画像形成ユニット、4…中間転写ユニット(一次転写ユニット)、9Y,9M,9C,9K…画像形成ステーション、10,10Y,10M,10C,10K…感光ドラム、11Y,11M,11C,11K…帯電装置、12Y,12M,12C,12K…露光装置、13,13Y,13M,13C,13K…現像装置、16,16Y,16M,16C,16K…トナー供給ローラ、17,17Y,17M,17C,17K…現像ローラ、22…中間転写ベルト、37,38…スペーサ、g…現像ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色毎に設けられかつタンデムに配置された複数の感光ドラムと、トナー搬送面が前記複数の感光ドラム毎にそれぞれ所定の現像ギャップを置いて対向するように設けられて前記複数の感光ドラムにそれぞれ対応する色のトナーを搬送する複数の現像ローラと、前記複数の現像ローラ毎に設けられかつ各現像ローラの両端部にそれぞれ設けられて対応する前記感光ドラムに当接することで前記現像ギャップを各現像ローラ毎にそれぞれ設定するギャップ調整部材とを少なくとも備え、非接触ジャンピング現像を行うタンデム型の画像形成装置において、
各現像ローラ毎の前記ギャップ調整部材がいずれも対応する現像ローラの両端に巻かれて固定されたテープ状のスペーサで構成されており、
いずれの前記感光ドラムと対応する前記スペーサにおいても、前記感光ドラムの周速と対応する前記スペーサの周速とが同一または略同一に設定されているとともに、
前記感光ドラムの周長はいずれも対応する前記スペーサの周長の整数倍あるいは整数分の1倍に設定されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−201229(P2006−201229A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10010(P2005−10010)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】