説明

磁気抵抗素子構造の製造方法

【課題】本発明は、磁気抵抗材料と集積回路とを巧みに統合することのできる、磁気抵抗素子構造の製造方法を提供する。
【解決手段】基板を提供する工程と、上記基板の上に金属ダマシン構造を形成する工程と、該金属ダマシン構造に電気的に接続するように該金属ダマシン構造の上にパターン化磁気抵抗ユニットを形成する工程とを含む、磁気抵抗素子構造の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気抵抗素子構造の製造方法に関し、特に集積回路の製造工程に応用できる磁気抵抗素子構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗素子において、主な機能は空間の磁場の変化によって電気抵抗値が変化するため、多くの電子製品、例えば、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)や磁力計に広く応用することができる。しかし、磁気抵抗素子は、機能が完全に発揮するように周辺回路と組み合わせる必要がある。このため、磁気抵抗素子を如何に集積回路の製造工程に統合し、これによって周辺回路と一緒に基板上に形成するかが、製造業者が達成しようとする目標となっている。しかし、現在の技術手段ではまだ多くの問題が存在している。このため、従来の手段における欠点を如何に改善するかが、本発明の主な目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、パターン化磁気抵抗ユニットと集積回路とを巧みに統合することのできる、磁気抵抗素子構造の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の磁気抵抗素子構造の製造方法は、基板を提供する工程と、上記基板の上に金属ダマシン構造を形成する工程と、上記金属ダマシン構造に電気的に接続するように、上記金属ダマシン構造の上に磁気抵抗素子を形成する工程と、を含む。
【0005】
好ましくは、上記基板の上に集積回路構造層を形成する。上記集積回路構造層は、金属配線、論理回路素子、記憶素子、静電気保護素子(ESD)又は他の従来の素子構造を含むことができる。また、好ましくは、上記回路構造層の上に平坦化誘電体層及び誘電体層構造を形成する工程と、上記誘電体層構造に少なくとも1つの溝を形成する工程と、上記溝を利用して金属ダマシン構造を形成する、又は上記溝を位置合せマークとして利用する工程と、上記溝を有する上記誘電体層構造の上に磁気抵抗材料層を形成する工程と、上記位置合せマークを利用して上記磁気抵抗材料層に対しパターンを定義することにより磁気抵抗ユニットを形成する工程と、をさらに含む。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、本発明に係る磁気抵抗素子構造の製造方法は、集積回路と磁気抵抗ユニットとを統合することで体積を最小化することができるのみならず、位置合せマークを製造工程に巧みに統合することができるため、フォトマスクの層数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】図1Aは、本発明に係る磁気抵抗素子の製造方法の流れを示す概略図である。
【図1B】図1Bは、本発明に係る磁気抵抗素子の製造方法の流れを示す概略図である。
【図1C】図1Cは、本発明に係る磁気抵抗素子の製造方法の流れを示す概略図である。
【図1D】図1Dは、本発明に係る磁気抵抗素子の製造方法の流れを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1A〜図1Dは、本発明に係る磁気抵抗素子の製造方法の流れを示す概略図である。先ず、基板1を提供し、その上に集積回路構造10を形成する。上記集積回路構造10は、少なくとも1つの金属相互接続構造、論理回路素子、記憶素子、静電気保護素子(ESD)又は他の従来の素子構造(未図示)を含むことができる。そのうち、上記金属相互接続構造は、セット/リセット(set/reset)及びオフセット(offset)などの回路装置(未図示)を含むことが可能である。もちろん、上記金属相互接続構造は、金属配線パッド100を含むことも可能である。上記集積回路構造10の最上方は平坦化誘電体層である。具体的には、上記集積回路構造10上に、もう1つの誘電体層構造11を形成する。上記誘電体層構造11は、例えば、酸化ケイ素110と、窒化ケイ素111と、酸化ケイ素112とからなる三層構造である。また、誘電体層構造11内に、金属ダマシン構造113を形成することができる。言及に値することは、図に示される誘電体層構造11の構造は、1つの実施例に過ぎないため、当業者は、実際のニーズに沿って単層又は多層の誘電体層構造に設計することができる。金属ダマシン構造113は、主に後で完成される磁気抵抗材料構造の間に電気的な接続を与える。その製造方法は、以下のとおりである。すなわち、先ず、誘電体層構造11の表面に金属ダマシンパターンの溝を形成する。次に、金属層で誘電体層構造11の表面を覆い、上記溝を埋め込む。最後は、化学機械研磨工程により、誘電体層構造11の表面にある金属層を除去し、パターンの溝内にある金属層のみを残す。上記金属層の材料として、タングステン又は銅が好ましい。通常、金属ダマシン構造113を形成した後には平坦化工程を行う。このため、平坦化工程の後では誘電体層構造11と金属ダマシン構造113との上面は、結構平坦である。しかし、後で磁気抵抗材料層をパターニングする工程では、過度に平坦すぎる表面が問題となる。本発明は、この問題を改善するため、下記工程を行う。
【0009】
図1Bに示すように、先ず、誘電体層構造11内の特定の位置に、フォトマスクリソグラフィ工程により、溝114a、114bを定義する。溝構造の主な目的の1つは、後続のリソグラフィ工程で必要となる位置合せパターンを定義するのに用いることである。このため、溝構造を、素子の特性を影響しないような領域に設けることができる。例えば、溝114aを切断線の領域に設けることができる。また、溝114bを金属配線パッド100の上に設けることもできる。溝114bの深さは、以下のように設定することができる。すなわち、一部の誘電体層構造のみをエッチングして除去するか、又は金属配線パッドより上にある誘電体層を全部エッチングして除去する。さらに、金属配線パッドより上にある誘電体層を全部除去してから、さらに下へエッチングすることにより、上記溝の深さを上記誘電体層構造11の厚さより大きくすることもできる。
また、溝構造を磁気抵抗ユニットの配列領域内(未図示)に設け、溝構造により特殊設計の磁気抵抗素子を定義することもできる。
【0010】
再び図1Bを参照すれば、次に、溝114a、114bが完成された誘電体層構造11の表面に、もう1つの磁気抵抗材料層115を形成することができる。上記磁気抵抗材料層は、単層又は多層構造であってよい。但し、通常磁気抵抗材料層が光不透過であるため、パターニングにより定義された位置合せマークが磁気抵抗材料層によって覆われると、機能を効果的に発揮することができない。しかし、本発明の溝114aは、以下の理由により、上記問題を改善することができる。すなわち、溝114aが磁気抵抗材料層により埋め込まれた後、磁気抵抗材料層の表面にはまだでこぼこが残っているため、光の反射角が変化する。従って、露光装置は、でこぼこによる光と影の線を利用してフォトマスクの位置合せを行うことが可能である。これにより、磁気抵抗ユニット115'の形状を定義することができる。
【0011】
図1Cに示すように、磁気抵抗素子の形状を定義する時、溝114の側壁には、製造工程のパラメータ調整のため完全に除去されていない磁気抵抗材料スペーサ115"が残される場合がある。なお、上記磁気抵抗ユニット115'は、金属ダマシン構造113に電気的に接続されている。また、上記磁気抵抗ユニット115'の形状及び位置は、従来のフォトレジスト露光現像工程により定義することができる。或いは、金属層又は誘電体層をハードマスク(hard mask)として利用すると共に、従来のエッチング技術を使うことにより、フォトレジスト又はハードマスクにより覆われていない領域を除去することにより、パターンされた磁気抵抗ユニット115'を形成することもできる。上記磁気抵抗ユニット115'は、その機能設計により、その一部又は全部が誘電体層構造11の上面を覆うことができる。
【0012】
続いて、上記磁気抵抗ユニット115'の表面にさらに保護層116を形成する。上記保護層116は、磁気抵抗ユニット115'が外部からの汚染又は損傷を受けることを防止する。なお、上記保護層116は、低熱予算(low thermal budget)工程により形成された多層構造又は単層の窒化ケイ素であってよい。例えば、図1Dに示すように、窒化ケイ素1160と、酸化ケイ素1161と、窒化ケイ素1162とで構成させる三層構造を例として挙げることができる。この時、金属配線パッド100の上にある溝114bは、もう1つの機能を発揮することができる。即ち、後続の製造工程では金属配線パッド100を完全に窓開けする時、金属配線パッド100の上にある、厚さが減少した誘電体層構造11及び保護層116のみを除去すれば、ワイヤーボンディング開口117を完成し金属配線パッド100を露出させることができる。これにより、エッチング工程の時間を短縮できるため、素子に与える悪影響を減らすことができる。同じように、ここで示した保護層116の構造は1つの実施例に過ぎないため、当業者は、実際のニーズに沿って単層又は多層の保護層構造に設計することができる。
【0013】
なお、上記実施例で言及した基板1は、シリコン基板、又は誘電材料又はシリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、炭化ケイ素などの材料によって覆われているシリコン基板であってよい。また、上記基板1の上には、特定用途向け集積回路(ASIC)、アナログ集積回路、論理集積回路、又は混成集積回路等が形成されていてもよい。また、磁気抵抗ユニット115は、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magnetoresistance、AMR)、巨大磁気抵抗(Giant Magnetoresistance、GMR)、トンネル磁気抵抗(Tunneling Magnetoresistance、TMR)、又は超巨大磁気抵抗(CMR、Colossal Magnetoresistance)などの磁気抵抗メカニズムによる磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)又は磁力計などであってよい。
【0014】
以上のように、本発明は、技術の改良を行った後、従来技術での問題を効果的に改善することができた。本発明を好適な実施例に沿って以上のように開示したが、本発明は上記内容に制限されない。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び置換を行うことが可能である。したがって、本発明の保護範囲は、添付されている以下の特許請求の範囲により定義される。
【符号の説明】
【0015】
1 基板
10 集積回路構造
100 金属配線パッド
11 誘電体層構造
110 酸化ケイ素
111 窒化ケイ素
112 酸化ケイ素
113 金属ダマシン構造
114a、114b 溝
115 磁気抵抗材料層
115' 磁気抵抗ユニット
115" 磁気抵抗材料スペーサ
116 保護層
1160 窒化ケイ素
1161 酸化ケイ素
1162 窒化ケイ素
117 ワイヤーボンディング開口
101 平坦化誘電体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を提供する工程と、
該基板の上に金属ダマシン構造を形成する工程と、
該金属ダマシン構造に電気的に接続するように、該金属ダマシン構造の上にパターン化磁気抵抗ユニットを形成する工程と、を含むことを特徴とする磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項2】
該金属ダマシン構造を形成する工程は、
該基板の上に集積回路構造を形成する工程と、
該集積回路構造の上に少なくとも1つの平坦化誘電体層を形成する工程と、
該平坦化誘電体層の上に該金属ダマシン構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項3】
該平坦化誘電体層の上に誘電体層構造を形成する工程と、
該誘電体層構造に少なくとも1つの溝を形成する工程と、
該溝を覆うように該誘電体層構造の表面に磁気抵抗材料層を形成する工程と、
該磁気抵抗材料層を定義し、磁気抵抗ユニットを形成する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項4】
該溝を位置合せマークとして利用し、該磁気抵抗材料層に対しパターンを定義することを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項5】
該誘電体層構造を形成する工程は、
酸化ケイ素層を形成する工程と、
該酸化ケイ素層の表面に窒化ケイ素層を形成する工程と、
該窒化ケイ素層の表面にさらにもう1つの酸化ケイ素層を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項6】
該溝を該基板内の1つの切断線の領域に形成することを含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項7】
該溝を該金属配線パッドの上に形成することを含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項8】
該溝を該基板の1つの磁気抵抗素子の配列領域内に形成することを含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項9】
該磁気抵抗ユニットの一部を該誘電体層構造の上面に形成することを含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項10】
該磁気抵抗ユニットの全部を該誘電体層構造の上面に形成することを含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項11】
該磁気抵抗材料層を該溝の側壁に残すことをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項12】
少なくとも1つの金属相互接続構造を該集積回路構造内に形成することを含み、
さらに少なくとも1つの金属配線パッドを該金属相互接続構造内に形成することを含むことを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。
【請求項13】
該磁気抵抗ユニットの表面に保護層を形成する工程と、
該保護層の一部を除去することにより、該金属配線パッドを露出させるように、ワイヤーボンディング開口を形成する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の磁気抵抗素子構造の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【公開番号】特開2013−102161(P2013−102161A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244695(P2012−244695)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【出願人】(512287632)宇能電科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】Voltafield Technology Corporation
【住所又は居所原語表記】6F.−1, No. 1, Taiyuan 1st Street, Jhubei City, Hsinchu County 30265, Taiwan, R.O.C.
【Fターム(参考)】