説明

移動体ナビゲーション装置及び地図画像表示方法

【課題】 地域や季節や時間帯にかかわらず、移動体から観察される実際の光景に対応した写実的な地図画像を容易に表示することができる視認性に優れた移動体ナビゲーション装置及び地図画像表示方法を得る。
【解決手段】 移動体ナビゲーション装置が、移動体の現在位置及び現在方位を検出する位置検出手段10と、記憶媒体または外部から地図情報を取得する地図情報取得手段20と、地図情報に基づき現在位置周辺または任意位置周辺の地図画像を表示する出力手段50と、現在位置における現在の年月日時刻を検出する時刻検出手段70と、現在位置及び現在の年月日時刻における天体の天空位置に対応する仰角または方位角を算出する天体位置算出手段80と、現在位置と現在方位と現在の年月日時刻と仰角または方位角とに基づき地図画像の表示形態を変更する表示形態変更手段90とを備え、表示形態変更手段90は地図画像の表示形態を段階的に変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体ナビゲーションの分野に属し、特に視認性に優れた地図画像を表示する移動体ナビゲーション装置及び地図画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体ナビゲーション装置では、GPS( Global Positioning System 、全地球的測位システム)等を利用して移動体の現在位置を検出するとともに、現在位置周辺の地図画像を表示して、目的地までの経路を案内することにより、移動体による快適な移動を実現しようとしている。
【0003】
このような地図画像を表示して案内する移動体ナビゲーション装置においては、表示する地図画像の視認性を向上するための表示方法が種々提案されている。例えば、移動体を運転する利用者の視点で立体的に地図を表示する方法があり、道路、建造物、標識等を立体図法により擬似的に3次元表示することにより、移動体から観察される実際の光景を表示画像上に再現しようとしているものがある。さらに、予め設定された昼夜の時間帯に連動して、地図画像の表示色を変えることにより昼夜の雰囲気を表現し、視認性を向上しようとしているものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のナビゲーション装置においては、例えば時差の異なる地域へ移動した場合等に、実際の光景の変化とは異なるタイミングで地図画像の表示色が変化して視認性が悪化し、利用者に不快感や違和感を感じさせてしまう等の問題があった。また、予め設定された時間帯を修正したり、地域や季節毎の時間帯の設定が必要になる等の手間が発生するという問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、地域や季節や時間帯にかかわらず、移動体から観察される実際の光景に対応した写実的な地図画像を表示することができる視認性に優れた移動体ナビゲーション装置及び地図画像表示方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る移動体ナビゲーション装置においては、移動体の現在位置及び現在方位を検出する位置検出手段と、記憶媒体または外部から地図情報を取得する地図情報取得手段と、前記地図情報に基づき前記現在位置周辺の地図画像を表示する出力手段と、前記現在位置における現在の年月日時刻を検出する時刻検出手段と、前記現在位置及び前記現在の年月日時刻における天体の天空位置に対応する仰角または方位角を算出する天体位置算出手段と、前記現在位置と前記現在方位と前記現在の年月日時刻と前記天体の天空位置に対応する仰角または方位角とに基づき前記地図画像の表示形態を変更する表示形態変更手段とを備えた移動体ナビゲーション装置であって、前記表示形態変更手段は、前記現在の年月日時刻を区分された時間範囲と比較判定し、かつ、前記天体の天空位置に対応する仰角または方位角を区分された仰角または方位角の範囲と比較判定することにより、前記地図画像の表示形態を段階的に変更するようにしたものである。
【0007】
また、この発明に係る地図画像表示方法においては、現在位置及び現在方位を検出する位置検出過程と、記憶媒体または外部から地図情報を取得する地図情報取得過程と、前記地図情報に基づき前記現在位置周辺の地図画像を表示する出力過程と、前記現在位置における現在の年月日時刻を検出する時刻検出過程と、前記現在位置及び前記現在の年月日時刻における天体の天空位置に対応する仰角または方位角を算出する天体位置算出過程と、前記現在位置と前記現在方位と前記現在の年月日時刻と前記天体の天空位置に対応する仰角または方位角とに基づき前記地図画像の表示形態を変更する表示形態変更過程とを備えた地図画像表示方法であって、前記表示形態変更過程は、前記現在の年月日時刻を区分された時間範囲と比較判定し、かつ、前記天体の天空位置に対応する仰角または方位角を区分された仰角または方位角の範囲と比較判定することにより、前記地図画像の表示形態を段階的に変更するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果がある。
【0009】
この発明に係る移動体ナビゲーション装置によれば、表示形態変更手段が、現在の年月日時刻を区分された時間範囲と比較判定し、かつ、天体の天空位置に対応する仰角または方位角を区分された仰角または方位角の範囲と比較判定することにより、地図画像の表示形態を段階的に変更するようにしたので、地域や季節や時間帯にかかわらず、移動体から観察される実際の光景に対応した写実的な地図画像を容易に表示することができる視認性に優れた移動体ナビゲーション装置が得られるという効果がある。
【0010】
また、この発明に係る地図画像表示方法によれば、表示形態変更手段が、現在の年月日時刻を区分された時間範囲と比較判定し、かつ、天体の天空位置に対応する仰角または方位角を区分された仰角または方位角の範囲と比較判定することにより、地図画像の表示形態を段階的に変更するようにしたので、地域や季節や時間帯にかかわらず、観察される実際の光景に対応した写実的な地図画像を容易に表示することができ、視認性が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図である。10は装置が搭載されている移動体の現在位置及び現在方位を検出する位置検出手段、20は記憶媒体または外部から地図情報を取得する地図情報取得手段、30は利用者が目的地等の指示入力や各種操作・設定入力をする入力手段である。
【0013】
40は装置全体の制御を行う制御手段であり、各種演算処理を行う処理手段41、地図情報に基づき現在位置から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段42、処理データ等を記憶する記憶手段43を備える。
【0014】
50は案内経路を利用者に示して案内する出力手段である。出力手段50は、地図情報に基づく地図画像上に現在位置や案内経路を表示して案内する表示出力手段51、音声案内メッセージを出力して案内する音声出力手段52を備える。音声案内メッセージの内容は、制御手段40が備える音声メッセージ生成手段60により生成される。音声メッセージ生成手段60は、音声案内に必要な単語あるいはフレーズ等を音声波形データによって格納しており、音声案内する際に、それに対応した案内メッセージを表わす単語やフレーズ等の音声波形データを選択し、組み合わせて音声案内メッセージを生成する。
【0015】
70は現在位置における現在の年月日時刻を検出する時刻検出手段である。時刻検出手段70は、年月日を含む世界標準時刻を基に、世界中の時差を考慮した現在位置の属する地域の標準時刻を検出する。例えば、GPSを利用することにより、現在位置、現在方位と同時に、GPS衛星の搭載する原子時計情報に基づく精密な現在の年月日時刻を容易に検出することができる。
【0016】
また、制御手段40は、位置検出手段10の検出した現在位置と時刻検出手段70の検出した現在の年月日時刻とに基づき現在位置及び現在の年月日時刻における天体の天空位置を算出する天体位置算出手段80、現在位置と現在方位と現在の年月日時刻と天体の天空位置とに基づき表示出力手段51に表示する地図画像の表示形態を変更する表示形態変更手段90を備えている。
【0017】
天体位置算出手段80は、現在位置及び現在の年月日時刻における天体の天空位置として、ここでは特に現在位置を基準とした太陽の仰角(地平線方向を0°、天頂方向を+90°とする仰ぎ角度で、0°〜±90°で表わされる)及び方位角(真北方向を0°として時計回りで0°〜360°で表わされる)を算出する。この仰角、方位角により容易に太陽の天空位置を特定することができる。
【0018】
表示形態変更手段90は、地図画像に表示される表示対象の表示色、表示形状、表示陰影等の表示形態を変更する。表示陰影については、立体的に3次元化して表示する建造物等の表示対象に対し、天体位置算出手段80が算出した太陽の天空位置を光源とした陰影描画を行う。
【0019】
図2は、実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の機器構成を示すブロック図である。
【0020】
11は移動体の方位を検出するジャイロや地磁気センサーなどの方位センサー、12は移動体の速度や移動距離を検出する距離センサー、13はGPS衛星から受信した情報をもとに移動体の現在位置を算出するGPS受信機であり、これらは図1の位置検出手段10に対応している。尚、ここではGPS受信機13が、図1の時刻検出手段70としても機能している。
【0021】
21は例えばCD−ROM( Compact Disc - Read Only Memory )やDVD−ROM( Digital Versatile Disk - Read Only Memory )等の記憶媒体に記憶された道路ネットワークデータやポリゴンデータを含む地図情報を読取る地図情報読取装置であり、図1の地図情報取得手段20に対応している。
【0022】
31は利用者が目的地等の指示入力や各種操作・設定入力をする操作スイッチ等の入力装置であり、図1の入力手段30に対応している。
【0023】
44は装置全体の制御を行うナビECU( Electronic Control Unit 、電子制御装置)であり、主に各種演算処理を行うCPU( Central Processing Unit )45、図1の記憶手段43に対応し、処理プログラム等を記憶するROM( Read Only Memory )46、処理データ等を記憶するRAM( Random Access Memory )47、地図情報や案内経路を画像・音声処理する表示・音声制御部48、入出力情報の制御を行う入出力制御部49から構成され、これらは図1の制御手段40に対応している。
【0024】
尚、図1における経路探索手段42、音声メッセージ生成手段60、天体位置算出手段80、表示形態変更手段90は、このナビECU44による処理によって実現される。
【0025】
53は案内経路を地図画像により表示するモニターディスプレイ等の表示装置、54は案内経路を音声により案内するスピーカー等の音声出力装置であり、これらは図1の出力手段50の備える表示出力手段51、音声出力手段52に対応している。
【0026】
次に、実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の動作について説明する。図3は、実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の概略動作を示すフローチャートである。
【0027】
まず、位置検出手段10により移動体の現在位置の緯度経度と現在方位を検出する(ステップST1)。次に、時刻検出手段70により現在の年月日時刻を検出する(ステップST2)。
【0028】
次に、天体位置算出手段80は、現在位置の緯度経度と現在の年月日時刻に基づき、式(1)〜(6)により現在位置の現在の年月日時刻における太陽の仰角θ、方位角Aを算出する(ステップST3)。
【0029】
θ=sin-1(sinφsinδ+cosφcosδcosh) ・・・式(1)
A=cot-1(sinφcoth−tanδcosφcosech) ・・・式(2)
(式(2)で、sinhcotA>0の場合は、A=A+180°)
δ=sin-1(0.398×sin(4.841+η+0.033×sinη))
・・・式(3)
η=(2π/365)×T ・・・式(4)
h=(To−12)×15 ・・・式(5)
To=TGMT+Lo/15 ・・・式(6)
【0030】
上記の式(1)〜(6)における各文字変数の内容を以下に示す。
【0031】
θ:太陽の仰角(地平線方向を0°、天頂方向を+90°、その反対方向を−90°とし、0°〜±90°で表わす。)
A:太陽の方位角(真北方向を0°とし、時計回りに0°〜+360°で表わす。)
φ:位置検出手段10により検出した現在位置の緯度(北緯をプラス,南緯をマイナスで表わす。)
δ:太陽の赤緯
h:太陽の南中からの時角
T:時刻検出手段70により検出した現在の年月日時刻(1月1日を第1日とする通日)
To:現在時刻(地方時)
GMT:時刻検出手段70により検出した現在時刻(世界標準時)
Lo:位置検出手段10により検出した現在位置の経度(東経をプラス,西経をマイナスで表わす。)
【0032】
以降のステップST4〜ST11は、表示形態変更手段90により処理が行われる。
表示形態変更手段90は算出した太陽の仰角θが12°より大きいか否かを判定する(ステップST4)。ここで太陽の仰角θが12°より大きければ、画像モードを昼モードに設定する(ステップST8)。
【0033】
ステップST4で太陽の仰角θが12°以下であれば、太陽の仰角θが0°以上12°以下であるか否かを判定する(ステップST5)。ここで太陽の仰角θが0°未満であれば、画像モードを夜モードに設定する(ステップST6)。
【0034】
ステップST5で太陽の仰角θが0°以上12°以下の値であれば、現在時刻Toが夜の0時から昼の12時の間であるか否かを判定する(ステップST9)。ここで、現在時刻Toが昼の12時から夜の0時までの間であれば、画像モードを夕モードに設定する(ステップST10)。
【0035】
ステップST9で現在時刻Toが夜の0時から昼の12時の間であれば、画像モードを朝モードに設定する(ステップST10)。
【0036】
最後に、上記ステップST6、ST8、ST10、ST11で設定された朝、昼、夕、夜の各画像モードに応じて、地図画像の表示形態を変更し、表示出力手段51により地図画像を表示する(ステップST7)。
【0037】
図4は、実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の地図画像の表示例を示す図である。図4(a)は画像モードが朝モード時の画像、図4(b)は画像モードが昼モード時の画像、図4(c)は画像モードが夕モード時の画像、図4(d)は画像モードが夜モード時の画像を示している。
【0038】
図5は、実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の地図画像の表示色及び表示形状のデータ例を示す図である。ここでは、ROM46に記憶されている朝、昼、夕、夜の各画像モードにおける空の表示色のRGB値データと太陽の表示形状のビットパターンデータを示している。
【0039】
表示形態変更手段90は、図5に示されたROM46に記憶されている空の表示色のRGB値データと太陽の表示形状のビットパターンデータを読込み、そのデータに応じた空の表示色、太陽の表示形状で、図4に示されるように、朝、昼、夕、夜の各画像モードの地図画像における空、太陽を表示している。
【0040】
また、表示形態変更手段90は、太陽の仰角及び方位角と、移動体の現在位置及び現在方位との相対位置・方位の関係から、例えば図4の101、111、121、131で示される標識のポール表面に太陽光による陰影を描画している。
【0041】
尚、ここでは表示色のRGB値データをROM46に記憶しているが、太陽の仰角、方位角を変数とした計算式により求めることも可能である。
【0042】
また、ここでは移動体の現在位置周辺の地図画像の表示を行っているが、任意の地点周辺の地図画像についても同様に表示することが可能である。
【0043】
また、ここでは天体として太陽の天空位置を算出する場合の例を示したが、他の天体の天空位置を同様にして算出し、その天体を考慮して地図画像の表示形態を変更するようにしてもよい。例えば、太陽に加えて月の天空位置を算出し、月光の影響による薄明かりや陰影を表現した地図画像を表示するようにしたり、月の満ち欠けや月食、日食等を空に表示するようにしてもよい。
【0044】
以上のように、実施の形態1によれば、移動体の現在位置及び現在方位を検出する位置検出手段10と、記憶媒体または外部から地図情報を取得する地図情報取得手段20と、地図情報に基づき現在位置周辺または任意位置周辺の地図画像を表示する出力手段50とを備えた移動体ナビゲーション装置において、現在位置における現在の年月日時刻を検出する時刻検出手段70と、現在位置及び現在の年月日時刻における天体の天空位置を算出する天体位置算出手段80と、現在位置と現在方位と現在の年月日時刻と天体の天空位置とに基づき地図画像の表示形態を変更する表示形態変更手段90を備えるようにしたので、地域や季節や時間帯にかかわらず、移動体から観察される実際の光景に対応した写実的な地図画像を表示することができ、視認性に優れた移動体ナビゲーション装置及び地図画像表示方法が得られる。
【0045】
また、実施の形態1によれば、天体位置算出手段80は、天体として太陽の天空位置を算出するようにしたので、太陽光による影響を考慮した写実的な地図画像を表示することができる。
【0046】
また、実施の形態1によれば、移動体がいつ、世界のどの地域で、どの方向に移動している場合でも、太陽光による影響を正確に表現した写実的な地図画像を表示することができる。
【0047】
また、実施の形態1によれば、表示形態変更手段90による地図画像の表示形態の変更は、移動体の現在位置情報と現在時刻情報に基づき自動的に実施されるので、移動体が移動する地域や季節・時間帯等により表示形態を変更するタイミングを修正したり予め設定する手間が不要となり、また予め設定情報を記憶するメモリーも削減できる。
【0048】
また、実施の形態1によれば、天体位置算出手段80は、太陽の天空位置として現在位置を基準とする仰角及び方位角を算出するようにしたので、容易に太陽の天空位置を特定することができる。
【0049】
また、実施の形態1によれば、表示形態変更手段90は、地図画像に表示される太陽の表示形態を変更するようにしたので、太陽を含むより写実的な地図画像を表示することができる。
【0050】
また、実施の形態1によれば、表示形態変更手段90は、太陽の天空位置の変動に応じて地図画像の表示形態を段階的に変更するようにしたので、写実的な地図画像を容易に表示することができる。
【0051】
また、実施の形態1によれば、表示形態変更手段90は、太陽の天空位置の変動に応じて地図画像の表示形態を朝、昼、夕方、夜の4段階に変更するようにしたので、写実的な地図画像をさらに容易に表示することができる。
【0052】
また、実施の形態1によれば、位置検出手段10及び時刻検出手段70は、GPSを利用するようにしたので、現在位置、現在方位、年月日時刻を同時に容易に検出することができる。
【0053】
以下、図示はしないが、図1、図2の構成に基づくその他の実施の形態について述べる。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態2として、天体位置算出手段80は、太陽の仰角または方位角のどちらか一方を算出するようにしてもよい。例えば、太陽の仰角のみを算出して、仰角に応じて地図画像の表示色を変更するようにしてもよい。また、太陽の方位角のみを算出して、方位角に応じて地図画像の表示陰影を変更するようにしてもよい。
【0055】
これによれば、さらに容易に太陽の天空位置を算出することができる。
【0056】
尚、太陽の仰角、方位角の算出においては、実施の形態1における式(1)〜(6)の計算式の利用に限定されず、他の計算式を利用したり、予め計算された数値テーブル等を利用して算出してもよい。
【0057】
実施の形態3.
実施の形態3として、表示形態変更手段90は、地図画像に表示される表示対象の種類、表示色、表示濃度、表示形状、表示陰影の何れかまたは何れかの組み合わせで表示形態を変更するようにしてもよい。
【0058】
すなわち、実施の形態1では、太陽の仰角、方位角に応じて空の表示色と太陽の表示形状と標識のポールの表示陰影だけを変更しているが、例えば表示する対象の種類を変えたり、表示濃度によるグラデーションを付加したり、表示対象の種類、表示色、表示濃度、表示形状、表示陰影の組み合わせにより表示形態を変更するようにしてもよい。
【0059】
これによれば、地図画像の表示形態の自由度が向上し、さらに視認性を向上することができる。
【0060】
実施の形態4.
実施の形態4として、表示形態変更手段90は、地図画像に表示される表示対象の全ての表示形態を変更するようにしてもよい。
【0061】
すなわち、実施の形態1では、太陽の仰角、方位角に応じて、空の表示色だけを変更しているが、例えば道路、地面、建造物、海、湖、山等の地図画像に表示される全ての表示対象についてその表示色を変更するようにしてもよい。また、実施の形態1では、太陽の仰角、方位角に応じて、太陽の表示形状だけを変更しているが、上記のような地図画像に表示される全ての表示対象についてその表示形状を変更するようにしてもよい。
【0062】
これによれば、地図画像の表示形態を変更する表示対象の自由度が向上し、さらに視認性を向上することができる。
【0063】
実施の形態5.
実施の形態5として、表示形態変更手段90は、太陽の天空位置の変動に応じて地図画像の表示形態を連続的に変更するようにしてもよい。
【0064】
すなわち、実施の形態1では、太陽の仰角、方位角の情報により表示対象の表示色や表示形状の変更を朝、昼、夕方、夜の4段階に分けて行っているが、無段階に表示色や表示形状の変更を行ってもよい。
【0065】
これによれば、写実的な地図画像をさらに正確に表示することができる。
【0066】
実施の形態6.
実施の形態6として、位置検出手段10及び時刻検出手段70として、GPS以外の他の衛星測位システムを利用するようにしてもよい。例えば、ロシアが運用しているGLONASS( Global Navigation Satellite System )等の他の衛星測位システムを利用してもよい。
【0067】
これによれば、現在位置、現在方位、年月日時刻を同時に容易に検出することができる。
【0068】
実施の形態7.
実施の形態7として、時刻検出手段70は、外部から受信した現在位置における現在の年月日時刻に関する情報を利用するようにしてもよい。例えば、電波時計のように、無線により放送されているその地域の正確な現在の年月日時刻情報を受信して利用するようにしてもよい。
【0069】
これによれば、年月日時刻をさらに容易に検出することができる。
【0070】
実施の形態8.
実施の形態8として、現在位置における現在の気象を検出する気象検出手段(図示せず)を備え、表示形態変更手段90は、現在位置と現在方位と現在の年月日時刻と太陽の天空位置と現在の気象とに基づいて地図画像の表示形態を変更するようにしてもよい。
【0071】
すなわち、実施の形態1では、気象が晴れの場合を想定して、空の表示色、太陽の表示形状を変更する場合の例について述べたが、その時の実際の気象を検出し、例えばその気象に応じて空の表示色を変更したり、雨、霧、雪、雷、雲、風(風で動きの速い雲や、はためいた旗を表示する等)等の表示対象の種類を追加表示するようにしてもよい。
【0072】
これによれば、気象による影響を考慮したさらに写実的な地図画像を表示することができる。
【0073】
実施の形態9.
実施の形態9として、気象検出手段は、以下の何れかまたは何れかの組み合わせを利用して気象を検出するようにしてもよい。
(1)気温計、湿度計、気圧計、風力・風速計、雨・霧・雪センサー、路面センサー、雨音・風音・雷音センサー等の移動体装備センサーからの情報
(2)ワイパー駆動速度、フォグランプ点灯強弱、ウィンドウデフォッガー点灯等の移動体装備装置の駆動に関する情報
(3)外部から受信した現在位置周辺の現在の気象に関する情報
(4)入力手段30からの利用者による現在の気象に関する入力情報
【0074】
上記(1)項は、気象に関連する上記各種センサーを移動体に装備しておき、それらのセンサーからの情報をもとに気象を検出するものである。上記(2)項は、ワイパー、フォグランプ、ウィンドウデフォッガー等の移動体装備装置の駆動状況から、雨天や濃霧や寒冷等の気象を検出するものである。上記(3)項は、VICS( Vehicle Information and Communication System 、道路交通情報通信システム)やインターネット等を利用して外部から受信した気象情報に基づいて気象を検出するものである。上記(4)項は、入力手段30を介して利用者が入力した現在の気象に関する入力情報に基づいて気象を検出するものである。
【0075】
また、例えば上記(4)項を応用して、入力手段30を介して利用者が実際の現在の気象とは異なる気象情報を入力し、入力された気象による影響が考慮された写実的な地図画像を表示することも可能である。例えば、実際の気象は晴れであるが、利用者が入力手段30を介して雪の気象を指示入力することにより、雪景色の地図画像を表示する等が可能になる。
【0076】
これによれば、気象を容易に検出することができる。
【0077】
実施の形態10.
実施の形態10として、入力手段30により利用者が現在位置及び現在方位及び現在の年月日時刻を入力できるようにしてもよい。
【0078】
すなわち、利用者が入力手段30を介して任意の現在位置や現在方位や現在の年月日時刻を入力できるようにすることで、実際とは異なる任意の地点、方位、年月日時刻における写実的な光景をいつでも表示することができる。
【0079】
また、例えば入力手段30を介して任意の現在位置や現在方位や現在の年月日時刻のデータ列を、PC(パーソナル・コンピュータ)等の外部装置から連続的に高速に入力することにより、任意の地点、方位、年月日時刻における写実的な光景の変動を高速に表示するように構成することもできる。
【0080】
さらに、例えば入力手段30による利用者の記憶指示により、移動中の任意の現在位置や現在方位や現在の年月日時刻のデータ履歴を記憶手段43に記憶し、入力手段30による利用者の再生指示にしたがって、記憶手段43に記憶された上記データ列により高速に過去の移動時の写実的な光景を再現表示するように構成することもできる。
【0081】
これによれば、任意の位置、現在方位、年月日時刻における実際の光景に対応した写実的な地図画像をいつでも表示することができる。
【0082】
実施の形態11.
実施の形態11として、記憶手段43に地図画像の表示形態を記憶するようにし、入力手段30により利用者が記憶された表示形態を選択できるようにしてもよい。
【0083】
すなわち、利用者が入力手段30を介して好みの表示形態を選択指示できるようにすることで、実際とは異なる太陽の仰角、方位角による影響が考慮された好みの写実的な光景を継続的に表示することができる。例えば、実際は朝であるが、夕暮れ時の夕日に彩られた光景を継続して表示する等が可能になる。
【0084】
これによれば、利用者の嗜好に合った表示形態で地図画像を表示することができる。
【0085】
尚、実施の形態では、位置検出手段10として、方位センサー11、距離センサー12、GPS受信機13を利用した場合の例を示したが、光ファイバジャイロ、振動ジャイロ、加速度センサー等の他のセンサーや、マップマッチングや、D−GPS( Differential GPS )や、PHS( Personal Handyphone System )や携帯電話における位置情報サービス等の無線ネットワーク網を利用したものであってもよく、この場合でも同様の効果が得られる。
【0086】
また、実施の形態では、地図情報取得手段20として、例えばCD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体に記憶された地図情報を読取る地図情報読取装置21を利用し、処理プログラムを記憶する記憶手段としてROM46、処理データを記憶する記憶手段としてRAM47を利用した場合の例を示したが、これらに限定されるものではなく、フラッシュメモリー( Flash Memory )等の他のメモリーIC( Integrated Circuit )や、CD−R( Recordable )、CD−RW( Rewritable )、DVD−RAM、DVD−RW、MD( Mini Disk )等の他の光ディスクや、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスクや、ICメモリーカード、磁気メモリーカード、光メモリーカード等のメモリーカードや、カセットテープ等の磁気テープや、他の読み書き可能な不揮発性の記憶媒体を利用してもよく、この場合でも同様の効果が得られる。
【0087】
また、地図情報読取装置21とROM46、RAM47がこれらの何れかの記憶媒体を共用するようにしてもよく、これにより装置を簡略化することができる。
【0088】
また、無線により外部の情報サーバ等とデータ通信を行えるように構成して、インターネット等を利用して外部から地図情報や現在時刻を取得したり、外部へ現在位置や目的地や現在時刻等を送信し、外部で天体位置算出処理や表示形態変更処理や経路探索処理や音声メッセージ生成処理を行い、処理結果を受信して利用するようにしてもよく、これによりさらに装置を簡略化することが可能である。
【0089】
また、実施の形態では、入力手段30として操作スイッチ等の入力装置31を利用した例を示したが、タッチパネル、タッチペン、マウス、トラックボール、操作パッド、リモコン、音声認識装置等の他の入力機器を用いてもよい。
【0090】
また、実施の形態では、出力手段50としてディスプレイモニター等の表示装置53やスピーカー等の音声出力装置54を利用した例を示したが、CRT( Cathode Ray Tube 、陰極線管)モニター、液晶モニター、ヘッドアップディスプレイ、携帯表示端末等の種々のディスプレイモニターの他、ヘッドホン、イヤホン、音声合成装置等の音声出力機器や、プリンター等の他の出力機器を用いてもよい。
【0091】
また、実施の形態では、主に車両に搭載されるナビゲーション装置を想定した場合の例を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、列車、船舶、飛行機等の他の移動体に搭載されるナビゲーションシステムや、PDA( Personal Digital Assistant )等の人の持ち歩く携帯情報端末機器等に適用してもよい。さらに、移動体に搭載される機器に限らず、事務所等に固定設置された地図表示装置等に応用してもよく、このような場合でも同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】この発明の実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の機器構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の地図画像の表示例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1における移動体ナビゲーション装置の地図画像の表示色及び表示形状のデータ例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
10 位置検出手段、11 方位センサー、12 距離センサー、13 GPS受信機、20 地図情報取得手段、21 地図情報読取装置、30 入力手段、31 入力装置、40 制御手段、41 処理手段、42 経路探索手段、43 記憶手段、44 ナビECU、45 CPU、46 ROM、47 RAM、48 表示・音声制御部、49 入出力制御部、50 出力手段、51 表示出力手段、52 音声出力手段、53 表示装置、54 音声出力装置、60 音声メッセージ生成手段、70 時刻検出手段、80 天体位置算出手段、90 表示形態変更手段、100 画像モードが朝モード時の太陽、101 画像モードが朝モード時の標識、102 画像モードが朝モード時の空、103 画像モードが朝モード時の道路、104 画像モードが朝モード時の地面、110 画像モードが昼モード時の太陽、111 画像モードが昼モード時の標識、112 画像モードが昼モード時の空、113 画像モードが昼モード時の道路、114 画像モードが昼モード時の地面、120 画像モードが夕モード時の太陽、121 画像モードが夕モード時の標識、122 画像モードが夕モード時の空、123 画像モードが夕モード時の道路、124 画像モードが夕モード時の地面、131 画像モードが夜モード時の標識、132 画像モードが夜モード時の空、133 画像モードが夜モード時の道路、134 画像モードが夜モード時の地面、201 各画像モード、202 各画像モードの空の表示色のRGB値データ、203 各画像モードの太陽の表示形状のビットマップデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の現在位置及び現在方位を検出する位置検出手段と、
記憶媒体または外部から地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記地図情報に基づき前記現在位置周辺の地図画像を表示する出力手段と、
前記現在位置における現在の年月日時刻を検出する時刻検出手段と、
前記現在位置及び前記現在の年月日時刻における天体の天空位置に対応する仰角または方位角を算出する天体位置算出手段と、
前記現在位置と前記現在方位と前記現在の年月日時刻と前記天体の天空位置に対応する仰角または方位角とに基づき前記地図画像の表示形態を変更する表示形態変更手段と
を備えた移動体ナビゲーション装置であって、
前記表示形態変更手段は、
前記現在の年月日時刻を区分された時間範囲と比較判定し、かつ、前記天体の天空位置に対応する仰角または方位角を区分された仰角または方位角の範囲と比較判定することにより、前記地図画像の表示形態を段階的に変更すること
を特徴とする移動体ナビゲーション装置。
【請求項2】
表示形態変更手段は、地図画像の表示形態を朝、昼、夕方、夜の4段階に変更することを特徴とする請求項1記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項3】
天体は、太陽であることを特徴とする請求項1記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項4】
表示形態変更手段は、地図画像に表示される天体の表示形態を変更することを特徴とする請求項1記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項5】
位置検出手段及び時刻検出手段は、衛星測位システムを利用したことを特徴とする請求項1記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項6】
衛星測位システムは、GPSであることを特徴とする請求項5記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項7】
時刻検出手段は、外部から受信した現在位置における現在の年月日時刻に関する情報を利用することを特徴とする請求項1記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項8】
現在位置における現在の気象を検出する気象検出手段を備え、
表示形態変更手段は、現在位置と現在方位と現在の年月日時刻と天体の天空位置に対応する仰角または方位角と前記現在の気象に基づいて地図画像の表示形態を変更すること
を特徴とする請求項1記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項9】
気象検出手段は、以下の何れかまたは何れかの組み合わせを利用して気象を検出することを特徴とする請求項8記載の移動体ナビゲーション装置。
(1)気温計、湿度計、気圧計、風力・風速計、雨・霧・雪センサー、路面センサー、雨音・風音・雷音センサー等の移動体装備センサーからの情報
(2)ワイパー駆動速度、フォグランプ点灯強弱、ウィンドウデフォッガー点灯等の移動体装備装置の駆動に関する情報
(3)外部から受信した現在位置周辺の現在の気象に関する情報
(4)利用者による現在の気象に関する入力情報
【請求項10】
現在位置及び現在方位及び現在の年月日時刻を入力する入力手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項11】
地図画像の表示形態を記憶する記憶手段と、記憶された前記表示形態を選択する入力手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の移動体ナビゲーション装置。
【請求項12】
現在位置及び現在方位を検出する位置検出過程と、
記憶媒体または外部から地図情報を取得する地図情報取得過程と、
前記地図情報に基づき前記現在位置周辺の地図画像を表示する出力過程と、
前記現在位置における現在の年月日時刻を検出する時刻検出過程と、
前記現在位置及び前記現在の年月日時刻における天体の天空位置に対応する仰角または方位角を算出する天体位置算出過程と、
前記現在位置と前記現在方位と前記現在の年月日時刻と前記天体の天空位置に対応する仰角または方位角とに基づき前記地図画像の表示形態を変更する表示形態変更過程と
を備えた地図画像表示方法であって、
前記表示形態変更過程は、
前記現在の年月日時刻を区分された時間範囲と比較判定し、かつ、前記天体の天空位置に対応する仰角または方位角を区分された仰角または方位角の範囲と比較判定することにより、前記地図画像の表示形態を段階的に変更すること
を特徴とする地図画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−53206(P2009−53206A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278139(P2008−278139)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【分割の表示】特願2001−121013(P2001−121013)の分割
【原出願日】平成13年4月19日(2001.4.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】