説明

薄型スピンドルモータ

【課題】 絶縁部の組立が容易であり、且つ安価なスピンドルモータを提供すること。
【解決手段】 ステータ80の巻線部83の上側に、絶縁シート90を貼り付ける。この絶縁シート90は円環部91の外側突部92とこの外側突部92の半径方向の反対側に内側突部93を有する。そして、この内側突部93を内周縁を折り目として、外側突部92および開口穴95を覆うように折り曲げる。この外側突部92の上面には、粘着剤96が塗布されているので、接触させるのみで固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型のスピンドルモータおよびこのスピンドルモータを搭載した記録ディスク装置に関する。特にインナー型スピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク駆動装置等の信号記録再生装置における携帯化に伴い、パーソナルコンピュータ以外にも使用されるようになり多様化が進んでいる。しかし近年、特に携帯用の小型の信号記録再生装置メーカー数の増加により競争が激化しており、信号記録再生装置の価格競争による低価格化が発生すると予測される。それに伴う信号記録再生装置に搭載されるスピンドルモータ、特に小型の信号記録再生装置に搭載される薄型のスピンドルモータの低価格化への対応は必須となる。
【0003】
スピンドルモータ(以下、モータとする)は記録ディスク載置面を有するロータハブおよびその外周に固定されたロータマグネットを含むロータ部分と回転軸と同軸にありロータハブに固定されるシャフトおよびシャフトを回転自在に支持する軸受装置、ロータマグネットと半径方向に間隙を介して対向配置されるステータおよびこれらを収容するベースから形成される。
【0004】
このステータの上面には、ロータマグネットとステータとの間隙からの磁束漏洩を防ぐシールド板とこのシールド板とステータとの短絡を防ぐ絶縁シートがステータの上面に固定配置されている(このような従来のスピンドルモータの構成として、例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また図11は絶縁シート(図示せず)およびシールド板(図示せず)を配置する前のモータAの上面図である。
【0006】
図11を参照して、モータAの周囲には、ステータBが配置されるようにベースCに収容されている。そしてステータBのコアバック部B1の半径方向外側の一部には、凹部C1が設けられている。その凹部C1からベースCの裏側に外部と電気的接続を行うためのコネクタ(図示せず)とステータBの巻線B2とを接続する回路(図示せず)があり、この回路に巻線B2をもっていくためにはベースCに通すが、そのベースCと巻線B2との接触をなくすために絶縁フィルムDをベースCに固定させる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−282880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の構造では、絶縁シートと絶縁フィルムDが別体であり、更に絶縁フィルムDの部分では、その絶縁フィルムDの上に巻線B2が通るので、この巻線を覆うように別途絶縁フィルム(図示せず)が必要であった。そのため、部材点数の増加および作業工数の増加によるモータの単価向上が問題視されていた。したがって、本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁部の組立が容易であり、かつ安価なスピンドルモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1によれば、固定部材に支持され、放射状に配置された複数個のティース、各前記ティースを連結するコアバックおよび各前記ティースに巻回された巻線を有するステータと、前記固定部材に対して回転自在に支持され、前記ステータの前記ティースに径方向に対向するロータマグネットを有するロータと、前記ステータの軸線方向一面側に配置され、各巻線部分を覆う絶縁性のカバー部材とを備え、前記カバー部材には、前記巻線をカバー部材の軸線方向他面側から軸線方向一面側に案内する案内孔が設けられ、その一部を折り返すことによって少なくとも前記案内孔から前記カバー部材の軸線方向一面側に案内した前記巻線の少なくとも一部を軸線方向一面側から覆う折り返し片が一体に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2によれば、請求項1に係り、前記ステータの前記コアバックは、前記各ティースの径方向外側の端部を連結する円環状に形成され、前記ロータのマグネットは、前記各ティースの径方向内側において対向していることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3によれば、請求項1および請求項2のいずれかに係り、前記ロータには、円盤状記録ディスクの中心孔が挿通されるディスク案内筒部と該ディスクの内周縁部を保持するディスク載置部とを有しており、前記ステータと前記ディスク載置部とに保持された前記ディスクとの間に導電性磁気シールド部材が前記コイルを覆うように配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに係り、前記カバー部材の外縁の一部には、半径方向外側に延びる第一突部が形成され、前記固定部材における前記コアバックの外周縁の半径方向外側には、該第一突部を収容する凹部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5によれば、請求項4に係り、前記カバー部材には、前記固定部材の前記凹部より半径方向内側に位置するように前記案内孔が形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項6によれば、請求項4および請求項5のいずれかに係り、前記カバー部材の前記円環部の内周縁の半径方向内側には、前記第一突部と半径方向に対称となり、前記案内孔および前記案内孔の一面側に案内された前記巻線の少なくとも一部を覆う前記面部となる第二突部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項7によれば、請求項6に係り、前記第二突部は内縁を折り目として半径方向外側に折り曲げることにより前記案内孔および前記第一突部の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項8によれば、請求項4および請求項5のいずれかに係り、前記面部は前記第一突部と隣接して形成され、前記第一突部の外周の一端を折り目として前記案内孔より一面側に案内された前記巻線の少なくとも一部が覆われることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項9によれば、請求項1乃至請求項8のいずれかに係り、前記案内孔は、周方向に沿って延びる楕円形状であることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項10によれば、請求項1乃至請求項9のいずれかに係り、前記カバー部材は、円環形状であり、該円環部の少なくとも一部に半径方向に延びる切れ目が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項11によれば、請求項4乃至請求項10のいずれかに係り、前記固定部材の前記凹部における径方向外側に設けられた貫通孔と、該貫通孔と対応する前記第一突部に設けられた開口穴と、前記凹部の他面側に配置された回路基板とを有し、前記案内孔より案内された前記巻線は、前記開口穴および前記貫通孔を通り、前記回路基板に接続されることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項12によれば、請求項4乃至請求項11のいずれかに係り、前記カバー部材は、ポリエステル樹脂にて形成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項13によれば、請求項3乃至請求項12のいずれかに係り、前記磁気シールド部材は、磁性体の鋼板にて形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項14によれば、請求項1乃至請求項13のいずれかに係り、記録ディスク駆動装置であって、請求項1乃至請求項13のいずれかに記載のスピンドルモータを搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の請求項1によれば、カバー部材にあるステータの巻線を覆う面部が一体的に成形されることにより、巻線を覆うための新たな部材が不必要となり、部品点数の削減となって、モータ単価を低減することができる。
【0024】
本発明の請求項3によれば、ステータの巻線と導電性材料の磁気シールド部材との間に絶縁性のカバー部材を、ステータ全体を覆わせることにより、巻線と磁気シールド部材との短絡を防ぐことができる。
【0025】
本発明の請求項4乃至請求項8によれば、カバー部材の一部に突部を作製して、ベースの対応部に凹部の収容部を作製することにより、この部分に巻線を引き出してもベースと巻線とを短絡することを防ぐことができる。
【0026】
また、このカバー部材の凹部よりも半径方向内側に案内孔を設けることにより、巻線が絶縁シートの下側よりベースと接触することなく、絶縁部材の上側に引き出すことができる。
【0027】
またこの突部と反対側に更に突部を設け、この反対側の突部を折り曲げて、突部に覆わせることにより、この突部は完全に外部から遮断することができるので、高湿の環境においても、信頼性の高いモータを提供することができる。
【0028】
また、突部の一端に隣接するように面部を成形しても同様の効果を得ることができる。
【0029】
本発明の請求項9によれば、カバー部材の開口穴が周方向に長い楕円形状であることより巻線の引き出しの際に、巻線への応力が小さくなるので、巻線の欠損を防ぐことができる。
【0030】
本発明の請求項10によれば、カバー部材の円環部の一部に半径方向の切れ目を入れることにより、カバー部材をティースとティース間にて高さが異なるステータの上に配置する際に、カバー部材が撓んでシワが発生するが、この切れ目にシワを寄せることにより、カバー部材の浮きを防ぐことができる。
【0031】
本発明の請求項11によれば、固定部材の凹部および第一突部とにそれぞれ貫通孔および開口穴を設け、固定部材の反対側に回路基板を固定することにより、巻線は短絡することなく回路基板と接続することができる。
【0032】
本発明の請求項12によれば、ポリエステル樹脂は絶縁性に優れているので良好な絶縁が可能である。
【0033】
本発明の請求項13によれば、磁性体の鋼板により、ステータとロータ間より発生する磁束漏洩を防ぐことができる。
【0034】
本発明の請求項14によれば、請求項1乃至請求項13のいずれかに記載のモータを使用することにより、信頼性の高いモータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
<スピンドルモータ全体構造>
まず本発明に係るスピンドルモータの実施例の一形態に関して図1を参照して説明する。
【0036】
スリーブ10は略円筒形状であり、その外周面には、円筒状であり、その上部の一部より軸方向上側に向うに従い半径方向外側に広がるハウジング20がスリーブ10に固定されている。そしてハウジング20の下端部21には蓋をするようにプレート30が固定されている。またスリーブ10の内周面には、ロータハブ40の軸体部41が微少間隙を介して挿通し、回転自在に支持されている。この軸体部41は中空状であり、この下端面41aには、キャップ50が固定されている。このキャップ50は中央部51が突形状である円板であり、この円板の外周縁52はハウジング20と半径方向に微少間隙を形成する。そしてこの円板部53はスリーブ10とプレート30との軸方向の間に配置され、それぞれ軸方向に微少間隙を形成する。
【0037】
ロータハブ40は有蓋円筒状であり、ハウジング20の上部を軸方向および半径方向に微少間隙を介する形で覆うように配置されている。また円筒部の一部は半径方向外側に水平に広がり記録ディスクを載置する載置面42が形成されている。その載置面42の軸方向下側にはさらに半径方向外側に延びる突部43が設けられ、その突部43と円筒部44の外周面にて覆われるようにロータマグネット60が固定されている。
【0038】
ハウジング20の下部の外周面には、ベース70が固定されている。そしてそこのベース70には、ロータマグネット60と半径方向に微少間隙を介して配置されるようにステータ80が固定されている。ステータ80は複数のティース81が放射状に配置され、これらティース81を連結するように円環状のコアバック82が形成される。そしてティース81の周囲には、巻線83が巻回される。この巻線83を通電することにより、磁界が発生して、この磁界とロータマグネット60とは相互作用し回転力を発生させる。
【0039】
<軸受について>
本実施例のスピンドルモータの軸受は流体動圧軸受を用いている。この流体動圧軸受とは、軸体とスリーブとの間にオイル等の潤滑流体を介在させ、その潤滑流体に生ずる流体圧力を支持力とする軸受である。
【0040】
スリーブ10とロータハブ40の軸体部41との微少間隙およびロータハブ40とハウジング20の外周面との微少間隙の途中まで潤滑流体が途切れることなく満たされている。そしてハウジング20の外周面とロータハブ40の内周面との半径方向間隙に外気と潤滑流体が接触する気液界面Mが形成される。そしてスリーブ10の内周面には、軸方向に隔てたそれぞれ上下ラジアル軸受部11、12が形成される。それぞれの軸受部には動圧溝11a、12aがそれぞれ形成される。またスリーブ10の下端面13にはスラスト軸受部14が形成され、この軸受部には動圧溝14aが形成される。またハウジング20の上端面にはスラスト軸受部22が形成され、この軸受には動圧溝22aが形成される。これら各軸受の流体圧力により安定した回転が実現される。
【0041】
<ステータより軸方向上側の構造>
図2はステータから記録ディスクまでの軸方向の関係について示した図である。
【0042】
ステータ80の巻線83の軸方向上側には、絶縁シート90が例えば接着により固定されている。そしてこの絶縁シート90の軸方向上側には、シールド板100が例えば接着により固定されている。このシールド板100は、ステータ80とロータマグネット間から漏洩する磁束を防ぐために配置されている。このシールド板100にステンレス鋼やメッキ鋼板等の耐蝕性の優れた鋼板を使用することで、あらゆる環境下において信頼性の高いスピンドルモータを提供することができる。
【0043】
また絶縁シート80は、シールド板100が導電性であるため、巻線83とシールド板100との短絡を防止するために配置されている。そのため、シールド板100のステータ80を覆う部分全てに配置する必要がある。
【0044】
そしてシールド板100の軸方向上側には、ロータハブ40の載置面42には記録ディスク110が載置される。この記録ディスク110を両側より挟むようにして磁気ヘッド120が摺動可能に配置される。
【0045】
<絶縁シートについて>
図3は絶縁シート90の上面図および断面図を示している。図3a)は上面図であり、b)はX−X断面図である。c)はb)の絶縁シート90を折り曲げた際の断面図である。またa)における点線は折り返し線を示している。c)の矢印は折り曲げ方向を示している。
【0046】
図3のa)を参照して、絶縁シート90は略円環形状の可撓性を有する部材である。絶縁シート90の円環部91の外周縁一部には半径方向外側に延びる外側突部92が形成される。そしてこれと対向するように内周縁には半径方向内側に延びる内側突部93が形成されている。この内側突部93の側面から円環部91の内周縁までの距離と外側突部92から円環部91の内周縁までの距離はほぼ同等である。
【0047】
円環部91の内周縁と内側突部93との交差部94は内周縁が半径方向外側に凹形状となっている。これにより内側突部93を点線の折り返し線に沿って半径方向外側に折り曲げても凹形状によって円環部91の内周縁と内側突部93とは途切れているので、円環部91が撓み等の影響を受けることがなくなる。したがって、円環部91の撓み等による高さ増加を生じることがなく、薄型モータでは好適である。
【0048】
外側突部92と内側突部93を結ぶ面上であり、円環部91の外周縁に位置する部分には、ステータ80の巻線83を引き出すための略楕円状の開口穴95が形成されている。そして外側突部92には巻線83をベース60側に向わせる孔96が形成されている。
【0049】
これら開口穴95と孔96とにより巻線83は絶縁シート80の開口穴95の下側より引き出され、外側突部92の上面を通り、孔96に挿入されていくので巻線83とベース70との接触がなく、巻線83とベース70との絶縁を図ることができる。
【0050】
図3のb)を参照して、外側突部92の上面には粘着剤97が塗布されている。そして図3のc)を参照して、内側突部93を半径方向外側に折り曲げることにより、開口穴95および孔96は内側突部93によって覆われるので、巻線83は絶縁シート90の軸方向上側に配置されるシールド板100からも絶縁を図ることができる。
【0051】
また内側突部93によって外側突部92を覆うことによって外気から遮断されるので、あらゆる使用環境下に対して高い信頼性を保持することができる。
【0052】
この絶縁シート90の素材は、難燃性ポリエステルである。この素材は他の素材と比較して安価であり、絶縁性も優れている。
【0053】
絶縁シート90の外側突部92を覆う形状において、内側突部93のみに限定することなく、外側突部92に引かれる巻線83を完全に覆うことができる形状であればよい。例えば、図4a)のように外側突部92の横側に覆うための面98が形成されてもよい。同様に図4b)のように外側突部92の更に半径方向外側に覆うための面99が形成されてもよい。ここで図中の矢印は各面部98、99の折り曲げ方向を示し、そしてa)、b)ともに有する点線は折り目を示している。
【0054】
しかしながら、図4a)およびb)のような形状は、ベース60と外側突部92との固定の際にこれらの面96および97が邪魔をしてしまい作業性がよくない。また半径方向外側に形成してしまうと全体的な絶縁シート90の面積が大きくなってしまい、取り数が確保できず、単価が高くなってしまう。内側突部93は絶縁シート90の面積を大きくさせないために取り数が確保でき、単価を安くすることができる。
【0055】
また図5のように絶縁シート90の円環部91の一部に完全な切れ目91aを設けることにより、この切れ目91aが絶縁シート90をステータ80に取付ける際に発生する可能性のあるシワおよび撓みを吸収することができる。これにより、この絶縁シート90の軸方向上側に固定されるシールド板100の高さ変動がなくなるので、シールド板100が磁気ヘッド120と接触する可能性がなくなり、信頼性の高いスピンドルモータを提供することができる。
【0056】
<ステータ80、絶縁シート90、シールド板100の組立工程>
図6乃至図9はステータ80に絶縁シート90とシールド板100とを張りつける工程を示した図である。図6はベース70にモータおよびステータ80を取付けた状態を示す図であり、図7はステータ80の上に絶縁シート90を固定した図であり、図8は絶縁シート90の内側突部93を折り曲げた図であり、図9は絶縁シート90の上にシールド板100を固定した図である。
【0057】
図6を参照して、ベース70には、絶縁シート90の外側突部92を収納する凹部61が設けられている。この凹部71には、外側突部92の孔96と対応した位置に、貫通穴72が設けられている。そしてこの貫通穴72を通ったベース70の裏側には、FPC(図示せず)が固定されており、外部との電気的接続を可能にしている。
【0058】
図7を参照して、絶縁シート90の外側突部92がベース70の凹部71に収容されるようにしてステータ80の軸方向上側に例えば接着剤にて固定される。そして開口穴95よりステータ80の巻線83を引き出す。この開口穴95は、周方向に長く形成されているので、周方向に配置されるステータ80の異なるティース91から引き出される巻線83を絶縁シート90の上に引き出す作業を容易に行うことができ、巻線83の引き出しによる巻線83のコーティングのはがれ等の欠損を防ぐことができる。よって、特に通電の相が多い場合に好適である。そしてこの巻線83を絶縁シート90の外側突部92の上を通らせ孔96に挿通し、FPC側に引き出す。
【0059】
図8を参照して、内側円筒部93を半径方向外側に折り曲げて開口穴95、孔96および外側突部92を覆う。外側突部92の全体に粘着剤96が塗布されているので、内側突部93を折り曲げて、抑えるのみで完全に固着させることができる。
【0060】
図9を参照して、絶縁シート90の軸方向上側にシールド板100を例えば接着により固定する。そして、FPCと巻線83とを例えば半田にて接続する。
【0061】
<記録ディスク駆動装置>
本発明に係る記録ディスク駆動装置1の実施例の一形態に関して図10を参照して説明する。図10は記録ディスク駆動装置1の断面図である。
【0062】
記録ディスク駆動装置1は、矩形状をした筐体2からなり、筐体2の内部は、塵・埃等が極度に少ないクリーンな空間を形成しており、その内部には、情報を記録する円板状のハードディスク3が装着されたスピンドルモータ4が配設されている。
【0063】
また、筐体2の内部には、ハードディスク3に対して情報を読み書きするヘッド移動機構5が配置され、このヘッド移動機構5は、ハードディスク3上の情報を読み書きする磁気ヘッド5a、この磁気ヘッド5aを支えるアーム5bおよび磁気ヘッド5aおよびアーム5bをハードディスク3上の所要の位置に移動させるアクチュエータ部5cにより構成される。
【0064】
このような記録ディスク駆動装置1のスピンドルモータ4として、本願発明のスピンドルモータを適用することで、十分な機能を確保した上で記録ディスク駆動装置1の小型且つ薄型化を実現できると共に、信頼性並びに耐久性の高い記録ディスク駆動装置を提供することができる。
【0065】
以上、本発明に係る実施例について記述したが、本発明はこれに限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本発明の図5の絶縁シート90には円環部91に円環部91を完全に離間した切れ目91aがあるが、これに限定することなく、シワを取ることができる程度の切れ目があればよい。また切れ目91aの位置は円環部91にあればよく、特定の位置には限定されない。また本発明の実施例では、軸受構造が流体軸受であったがこれに限定することなく、ボールベアリング等の各種軸受でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施例に係るスピンドルモータの一形態を示した模式断面図である
【図2】図1のステータ付近の拡大図である
【図3】a)は本発明の絶縁シートの上面図であり、b)はa)のX−X断面図であり、c)はb)を折り曲げた際の図である
【図4】本発明の絶縁シートの他の実施例である
【図5】本発明の絶縁シートの他の実施例である
【図6】本発明のスピンドルモータの絶縁シートを固定する前の上面図である
【図7】本発明のスピンドルモータの絶縁シートを固定した後の上面図である
【図8】本発明のスピンドルモータの絶縁シートを折り曲げた際の上面図である
【図9】本発明のスピンドルモータのシールド板を固定した後の上面図である
【図10】本発明に係る記録ディスク駆動装置の模式断面図である
【図11】従来例に係るスピンドルモータの上面図である
【符号の説明】
【0067】
10 スリーブ
20 ハウジング
30 スラストプレート
40 ロータハブ
50 キャップ
60 ロータマグネット
70 ベース
80 ステータ
81 ティース
82 コアバック
83 巻線
90 絶縁シート
91 円環部
91a 切れ目
92 外側突部
93 内側突部
94 交差部
95 開口穴
96 孔
97 粘着部
100 シールド板
110 記録ディスク
120 磁気ヘッド




























【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に支持され、放射状に配置された複数個のティース、各前記ティースを連結するコアバックおよび各前記ティースに巻回された巻線を有するステータと、
前記固定部材に対して回転自在に支持され、前記ステータの前記ティースに径方向に対向するロータマグネットを有するロータと、
前記ステータの軸線方向一面側に配置され、各巻線部分を覆う絶縁性のカバー部材と、を備え、
前記カバー部材には、前記巻線をカバー部材の軸線方向他面側から軸線方向一面側に案内する案内孔が設けられ、その一部を折り返すことによって少なくとも前記案内孔から前記カバー部材の軸線方向一面側に案内した前記巻線の少なくとも一部を軸線方向一面側から覆う折り返し片が一体に設けられていることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記ステータの前記コアバックは、前記各ティースの径方向外側の端部を連結する円環状に形成され、前記ロータのマグネットは、前記各ティースの径方向内側において対向していることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記ロータには、円盤状記録ディスクの中心孔が挿通されるディスク案内筒部と該ディスクの内周縁部を保持するディスク載置部とを有しており、前記ステータと前記ディスク載置部とに保持された前記ディスクとの間に導電性磁気シールド部材が前記コイルを覆うように配置されていることを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
前記カバー部材の外縁の一部には、半径方向外側に延びる第一突部が形成され、
前記固定部材における前記コアバックの外周縁の半径方向外側には、該第一突部を収容する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記カバー部材には、前記固定部材の前記凹部より半径方向内側に位置するように前記案内孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記カバー部材の内周縁の半径方向内側には、前記第一突部と半径方向に対称となり、前記案内孔および前記案内孔の一面側に案内された前記巻線の少なくとも一部を覆う前記面部となる第二突部が形成されていることを特徴とする請求項4および請求項5のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記第二突部は内縁を折り目として半径方向外側に折り曲げることにより前記案内孔および前記第一突部の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項6に記載のスピンドルモータ。
【請求項8】
前記面部は前記第一突部と隣接して形成され、前記第一突部の外周の一端を折り目として前記案内孔より一面側に案内された前記巻線の少なくとも一部が覆われることを特徴とする請求項4および請求項5のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項9】
前記案内孔は、周方向に沿って延びる楕円形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項10】
前記カバー部材は、円環形状であり、該円環部の少なくとも一部に半径方向に延びる切れ目が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項11】
前記固定部材の前記凹部における径方向外側に設けられた貫通孔と、
該貫通孔と対応する前記第一突部に設けられた開口穴と、
前記凹部の他面側に配置された回路基板とを有し、
前記案内孔より案内された前記巻線は、前記開口穴および前記貫通孔を通り、前記回路基板に接続されることを特徴とする請求項4乃至請求項10のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項12】
前記カバー部材は、ポリエステル樹脂にて形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項13】
前記磁気シールド部材は、磁性体の鋼板にて形成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項12のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれかに記載のスピンドルモータを搭載したことを特徴とする記録ディスク駆動装置。





















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−223041(P2006−223041A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33198(P2005−33198)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】