説明

被処理体処理装置

【課題】 各種処理における処理時間を短縮しても生産性が頭打ちになる事情を抑制できる被処理体処理装置を提供すること。
【解決手段】 複数の被処理体を搬送する第1の搬送装置34が配置された搬送室31と、搬送室31の周囲に設けられ、複数の被処理体に処理を施す処理室32と、搬送室31と処理室32との間に設けられ、第1の搬送装置34が搬送してきた複数の被処理体を搬送装置34から移載して処理室32に搬送する第2の搬送装置37が配置された移載室33と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被処理体に処理を施す被処理体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の製造には被処理体が用いられ、被処理体に対して成膜やエッチング等の処理が施される。例えば、半導体集積回路装置の製造には、被処理体として半導体ウエハが用いられ、半導体ウエハに対して、成膜やエッチング等の処理が施される。これらの処理は互いに独立した処理装置にて行われるのが一般的である。例えば、成膜処理は成膜処理室を備えた成膜処理装置にて行われ、エッチング処理はエッチング処理室を備えたエッチング処理装置にて行われる。
【0003】
近時、処理の一貫化を図るため、および処理装置の増加に伴うフットプリントの増大を抑えるために、搬送室の周りに複数の処理室を配置したマルチチャンバ(クラスタツール)型の被処理体処理装置が多用されるようになってきている。マルチチャンバ型の被処理体処理装置の典型例は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
また、搬送室と複数の処理室との間での被処理体の搬送には、上記特許文献1、又は特許文献2に記載されるように、多関節ロボットを利用した搬送装置が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−64509号公報
【特許文献2】特開2004−282002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
成膜やエッチング等の各種処理においては、生産性を上げるために、それぞれ処理時間の短縮化が進められている。
【0007】
しかしながら、各種処理における処理時間の短縮化が進んでくると、マルチチャンバ型の被処理体処理装置での処理に要する時間を律速させる要因が、処理律速から搬送律速に変化してしまう。このため、処理時間をいくら短縮しても、生産性は頭打ちになる、という事情がある。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、処理における処理時間を短縮しても生産性が頭打ちになる事情を抑制できる被処理体処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る被処理体処理装置は、複数の被処理体を搬送する第1の搬送装置が配置された搬送室と、前記搬送室の周囲に設けられ、前記複数の被処理体に処理を施す処理室と、前記搬送室と前記処理室との間に設けられ、前記第1の搬送装置が搬送してきた前記複数の被処理体を前記第1の搬送装置が搬送してきた前記複数の被処理体を前記第1の搬送装置から移載して前記処理室に搬送する第2の搬送装置が配置された移載室と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、各処理における処理時間を短縮しても生産性が頭打ちになる事情を抑制できる被処理体処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を概略的に示す平面図
【図2A】図1に示した移載室の平面図
【図2B】図1に示した移載室の平面図
【図2C】図1に示した移載室の平面図
【図3】この発明の第2の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図
【図4A】この発明の第2の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図
【図4B】この発明の第2の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図
【図4C】この発明の第2の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図
【図5A】ウエハ保持部と上側ウエハ保持部との関係を示す平面図
【図5B】ウエハ保持部と上側ウエハ保持部との関係を示す平面図
【図6A】載せ替え動作の一例を示す平面図
【図6B】載せ替え動作の一例を示す平面図
【図6C】載せ替え動作の一例を示す平面図
【図7】この発明の第3の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図
【図8A】この発明の第3の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図
【図8B】この発明の第3の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図
【図8C】この発明の第3の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図
【図9A】は第4の実施形態に係る被処理体処理装置の第1例を示す平面図
【図9B】は第4の実施形態に係る被処理体処理装置の第2例を示す平面図
【図9C】は第4の実施形態に係る被処理体処理装置の第3例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態のいくつかを、図面を参照して説明する。なお、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を概略的に示す平面図である。本例では、被処理体処理装置の一例として、被処理体として半導体ウエハを取り扱うマルチチャンバ(クラスタツール)型の半導体製造装置を例示する。
【0014】
図1に示すように、半導体製造装置1は、半導体製造装置1の外部との間で被処理体である半導体ウエハ(以下ウエハ)Wを搬入出する搬入出部2と、ウエハWに処理を施す処理部3と、搬入出部2と処理部3との間で搬入出するロードロック部4と、半導体製造装置1を制御する制御部5とを備えている。
【0015】
搬入出部2は、搬入出室21を備えている。搬入出室21は、内部を大気圧、又はほぼ大気圧、例えば、外部の大気圧に対してわずかに陽圧に調圧可能である。搬入出室21の平面形状は、本例では、長辺と、この長辺に直交する短辺とを有した矩形である。矩形の長辺の一辺は上記処理部3に上記ロードロック部4を介して相対する。長辺の他の一辺には、ウエハWが収容された、又は空のキャリアCが取り付けられるロードポート22が備えられている。本例では、三つのロードポート22a〜22cが備えられている。ロードポート22の数は三つに限られるものではなく、数は任意である。ロードポート22a〜22cには各々、図示せぬシャッターが設けられている。キャリアCがロードポート22a〜22cのいずれかに取り付けられると、シャッターが外れる。これにより、外気の侵入を防止しつつ、キャリアCの内部と搬入出室21の内部とが連通される。矩形の短辺の位置には、キャリアCから取り出されたウエハWの向きを合わせるオリエンタ23が備えられている。
【0016】
処理部3は、搬送室31と、ウエハWに処理を施す複数の処理室32(32a〜32d)と、搬送室31と複数の処理室32それぞれとの間に設けられた複数の移載室33(33a〜33d)とを備えている。本例では、一つの搬送室31、四つの処理室32a〜32d、及び四つの移載室33a〜33dを備えている。
【0017】
処理室32a〜32dはそれぞれ、内部を所定の真空度に減圧可能な真空容器として構成され、内部では、成膜又はエッチングといった処理が行われる。本例では、処理室32a〜32dの各々を、ウエハWを複数同時に処理可能に構成している。本例では、複数のウエハWを回転可能なターンテーブル上に平面展開して載置することで、一度に6枚のウエハを同時に処理可能に構成されている。処理室32a〜32dの各々は、ゲートバルブG1〜G4を介して移載室33a〜33dの各々に接続される。
【0018】
移載室33a〜33dもそれぞれ、内部を所定の真空度に減圧可能な真空容器として構成されている。移載室33a〜33dはそれぞれ、ゲートバルブG5〜G8を介して搬送室31に接続される。
【0019】
ロードロック部4は、複数のロードロック室41を備えている。本例では、一つの搬送室31の周囲に設けられた三つのロードロック室41a〜41cを備えている。ロードロック室41a〜41cはそれぞれ、内部を所定の真空度に減圧可能な真空容器として構成されるとともに、上記所定の真空度と、大気圧又はほぼ大気圧との間で圧力変換可能に構成されている。これにより、ウエハWの周囲の環境が搬送室31の内部の環境に変換される。ロードロック室41a〜41cはそれぞれゲートバルブG9〜G11を介して搬送室31に接続されるとともに、ゲートバルブG12〜G14を介して搬入出室21に接続される。
【0020】
制御部5は、プロセスコントローラ51、ユーザーインターフェース52、及び記憶部53を含んで構成される。プロセスコントローラ51は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなる。ユーザーインターフェース52は、オペレータが半導体製造装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、半導体製造装置1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を含む。記憶部53は、半導体製造装置1において実施される処理を、プロセスコントローラ51の制御にて実現するための制御プログラム、各種データ、及び処理条件に応じて半導体製造装置1に処理を実行させるためのレシピが格納される。レシピは、記憶部53の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体はコンピュータ読み取り可能なもので、例えば、ハードディスクであっても良いし、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば、専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。任意のレシピはユーザーインターフェース52からの指示等にて記憶部53から呼び出され、プロセスコントローラ51において実行されることで、プロセスコントローラ51の制御のもと、半導体製造装置1においてウエハWに対する処理が実施される。
【0021】
搬入出室21の内部には、搬入出装置24が配置されている。搬入出装置24は、キャリアCと搬入出室21との相互間でのウエハWの搬入出、搬入出室21とオリエンタ23との相互間でのウエハWの搬入出、及び搬入出室21とロードロック室41a〜41cとの相互間でのウエハWの搬入出を行う。搬入出装置24は、搬入出室21の長辺方向に沿って延びるレール25上を走行可能に構成される。本例の搬入出装置24は、先端にハンド27が取り付けられた多関節アーム26を複数本有する。本例では、二本の多関節アーム26a、26bを有し、それぞれの先端にハンド27a、27bが取り付けられている。
【0022】
搬送室31の内部には、搬送装置34が配置されている。搬送装置34は、複数のロードロック室41a〜41cと搬送室31との相互間でのウエハWの搬入出、搬送室31と複数の移載室33a〜33dとの相互間での搬入出を行う。搬送装置34は、本例では、搬送室31のほぼ中央に配置される。本例の搬送装置34は、伸縮及び回転可能なトランスファアーム35を複数本有する。本例では、伸縮、回転、及び上下動可能な二本のトランスファアーム35a、35bを有する。トランスファアーム35a、35bそれぞれの先端には、複数段式ウエハ保持部36a、36bが取り付けられ、複数のウエハWを高さ方向に積層保持するように構成されている。複数段式ウエハ保持部36a、36bの段数は、本例では二段である。
【0023】
移載室33a〜33dの内部には、移載装置37a〜37dが配置されている。移載装置37aは搬送室31と処理室32aとの間、移載装置37bは搬送室31と処理室32bとの間、移載装置37cは搬送室31と処理室32cとの間、及び移載装置37dは搬送室31と処理室32dとの間でのウエハWの搬入出をそれぞれ行う。移載装置37a〜37dは、本例では、先端にウエハ保持部39が取り付けられ、回転及び上下動可能なトランスファアーム38を複数本有して構成される。本例では、トランスファアーム38a、38bの二本を有し、トランスファアーム38aの先端には一つのウエハ保持部39aが、トランスファアーム38bの先端には一つのウエハ保持部39bが取り付けられている。
【0024】
また、本例では、ロードロック室41a〜41cの各々が、ウエハWを複数収容可能に構成されている。ウエハWを複数収容可能に構成するためには、複数のロードロック室41a〜41cの各々の構造を、例えば、ウエハWを上下に複数枚に収容するような構造とすれば良い。ロードロック室41a〜41cに収容されるウエハWの枚数は、例えば、搬送装置34の複数段式ウエハ保持部36a、36bが保持するウエハWと枚数と同じである。又は、ロードロック室41a〜41cと搬送室31との間で処理済ウエハの搬入、及び処理前ウエハの搬出を続けて行う場合には、ロードロック室41a〜41cに収容されるウエハWの枚数は、複数段式ウエハ保持部36a、36bが保持するウエハWと枚数の2倍とされる。
【0025】
図2A〜図2Cに、図1に示した移載室33(図1中では33a〜33d)の平面図を示す。
【0026】
図2A〜図2Cに示すように、本例の移載室33は、複数のウエハWを高さ方向に積層保持するバッファ部60を備えている。本例のバッファ部60は、二枚のウエハWを高さ方向に積層保持する。複数のウエハWを高さ方向に積層保持するには、例えば、バッファ部60に棚状に複数の溝を形成した支柱を設け、この支柱の溝それぞれにウエハWの縁を支持させるようにすれば良い。複数のウエハWの縁を支柱の溝に支持させることで、複数のウエハWは棚状にバッファ部60に積層保持される。このように複数のウエハWをバッファ部60に積層保持させることで、複数のウエハWは、搬送装置34と移載装置37(図1中では37a〜37d)との間でバッファ部60を介して受け渡しすることができる。
【0027】
さらに、本例では、搬送装置34がバッファ部60にアクセスしている間、移載装置37は、搬送装置34と干渉しないように、バッファ部60の位置とは異なる位置に退避するように構成されている。本例では、移載装置37のウエハ保持部39a、39bが、バッファ部60と処理室32(図1中では32a〜32d)との間に設定された退避位置61に退避する(図2A)。
【0028】
搬送装置34がバッファ部60にアクセスし、搬送装置34が本例では二枚のウエハWをバッファ部60に積層保持させた後、搬送装置34はバッファ部60から搬送室31に退避する。次いで、移載装置37のトランスファアーム38a、38bを退避位置61からバッファ部60に向けて回動させ、ウエハ保持部39a、39bをバッファ部60に積層保持されたウエハWの下方に移動させる。本例ではウエハ保持部39aを上部のウエハWの下方に、ウエハ保持部39bを下部のウエハWの下方に移動させる。次いで、トランスファアーム38a、38bを上昇させ、バッファ部60に積層保持されたウエハWをウエハ保持部39a、39bに載せ替える(図2B)。
【0029】
ウエハWがウエハ保持部39a、39bに乗せ替えられたら、トランスファアーム38a、38bをバッファ部60から処理室32のウエハ受け渡し位置62に向けて回動させ、ウエハ保持部39a、39bをウエハ受け渡し位置62の上方に移動させる。次いで、ウエハ受け渡し位置62から図示せぬリフトピンを上昇させ、ウエハWをウエハ保持部39a、39bからリフトピンに載せ替える(図2C)。
【0030】
この後、特に、図示しないが、トランスファアーム38a、38bをウエハ受け渡し位置62から退避位置61に向けて回動させる。この際、移載装置37のウエハ保持状態は、複数のウエハWを高さ方向に積層保持する状態から、複数のウエハWを平面方向に展開保持する状態に変わる。次いで、リフトピンを下降させ、図示せぬターンテーブル上のウエハ載置部にウエハWを載置する。次いで、ターンテーブルを回転させ、次の空又は交換すべき処理済ウエハが載置されたウエハ載置部を、ウエハ受け渡し位置62に移動させる。次いで、図2A〜図2Cに示す動作を繰り返す。
【0031】
このようにして、例えば、処理室32で処理すべきウエハWが全て、ターンテーブル上のウエハ載置部に載置されたら、処理室32と移載室33との間のゲートバルブ(図1中のG1〜G4に相当するゲートバルブ)を閉じ、ウエハWに対する処理を開始する。
【0032】
このような第1の実施形態に係る被処理体処理装置によれば、ロードロック室41(図1中では41a〜41c)と処理室32(図1中では32a〜32d)との搬送室31を介してウエハWの搬送、及びある処理室32と別の処理室32との搬送室31を介してウエハWの搬送を複数枚ずつ行う。このため、ウエハWの搬送を一枚ずつ行う被処理体処理装置に比較して、より早くウエハを交換することが可能となる。
【0033】
このように、第1の実施形態によれば、ウエハWの搬送を複数枚ずつ行うので、より早くウエハを交換することが可能となり、各処理における処理時間を短縮しても生産性が頭打ちになる事情を抑制できる被処理体処理装置を提供できる。
【0034】
また、ウエハWの搬送を複数枚ずつ行うに際して、搬送室31と処理室32との間に、移載室33(図1中では33a〜33d)を設ける。そして、搬送室31に配置された搬送装置34は、複数のウエハWを高さ方向に積層保持するように構成し、移載室33に配置された移載装置37(図1中では37a〜37d)は、複数のウエハWを高さ方向に積層保持する状態と、複数のウエハWを平面方向に展開保持する状態との双方をとるように構成する。このような構成とすることで、処理室32が、複数のウエハWを平面方向に展開した状態で処理するもの、例えば、複数のウエハWをターンテーブル上に平面展開した状態で処理するものであっても、処理室32へのウエハWの搬入、及び処理室32からのウエハWの搬出を、複数枚ずつ行うことが可能となる。
【0035】
また、複数のウエハWを高さ方向に積層保持する状態と、複数のウエハWを平面方向に展開保持する状態との双方をとる移載装置37としては、回転、及び上下動可能な複数本のトランスファアーム38、例えば、図2A〜図2Cに示したように、回転、及び上下動可能な二本のトランスファアーム38a、38bを互いに離間させ、かつ、互いに干渉しないように高さを変えて設けると良い。このような構成とすると、トランスファアーム38aの先端に取り付けられたウエハ保持部39aとトランスファアーム38aの先端に取り付けられたウエハ保持部39bとの交点を複数のウエハWを高さ方向に積層保持する状態にできる。そして、ウエハ保持部39a、及びウエハ保持部39bを左右に拡げるだけで、複数のウエハWを平面方向に展開保持する状態にでき、上記移載装置37を簡易な構成で得られる、という利点を得ることができる。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態のように移載室33にバッファ部60を設けずに、複数のウエハWを、搬送装置34と移載装置237との間で直接に受け渡しするようにしたものである。これ以外は、第1の実施形態と同様である。
【0037】
図3、図4A〜図4Cは、この発明の第2の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図である。
【0038】
図3に示すように、本例の移載装置237は、複数のウエハWを搬送装置34と移載装置237との間で直接に受け渡しするために、移載室33の内部に設定された待機位置63で待機する。本例の待機位置63は、移載装置237のウエハ保持部239a、239bとの交点に設定されている。
【0039】
搬送装置34が待機位置63にアクセスする場合には、搬送装置34の多段式ウエハ保持部36(図1中では36a、36b)が、ウエハ保持部239a、239bと干渉しないように、互いに高さをずらした状態でアクセスされる(図4A)。
【0040】
次いで、搬送装置237のトランスファアーム238a、238bを上昇させ、多段式ウエハ保持部36に積層保持されたウエハWを、ウエハ保持部239a、239bに載せ替える(図4B)。本例では、ウエハ保持部239a、239bを上昇させる際に、ウエハ保持部239a、239bが、多段式ウエハ保持部36に衝突しないように、次のような工夫をしている。
【0041】
図5Aはウエハ保持部239aと上側ウエハ保持部36との関係を示す平面図、図5Bはウエハ保持部239bと下側ウエハ保持部36との関係を示す平面図である。
【0042】
図5A及び図5Bに示すように、本例では、搬送装置34の多段式ウエハ保持部36の形状と、移載装置237のウエハ保持部239a、239bの形状とが、互いに干渉しない形状とされている。例えば、搬送装置34のウエハ保持部36が複数のピック64a、64bを、同じく移載装置237のウエハ保持部239a、239bがそれぞれ複数のピック65a〜65cを備えている、とする。このような場合、ピック64a、64bがピック65a〜65c間の間隙内に収まり、ピック65a〜65cがピック64a、64b間の間隙内に収まるような形状とする。このような形状とすることで、ウエハ保持部どうしの衝突が防止される。
【0043】
本例の載せ替え動作の一例を、図6A〜図6Cに示す。なお、図6A〜図6Cにおいては、移載装置237のウエハ保持部239aの動きのみを示すが、ウエハ保持部239bの動きも図6A〜図6Cと同様である。
【0044】
まず、図6Aに示すように、待機位置63で待機しているウエハ保持部239aの上方に、ウエハWを保持した多段式ウエハ保持部36が移動してくる。
【0045】
次に、図6Bに示すように、ウエハ保持部239aを、ピック64a、64bが、ピック65a〜65c間の間隙を通過するように上昇させる。
【0046】
次に、図6Cに示すように、ウエハ保持部239aを、多段式ウエハ保持部36の上方まで上昇させ、ウエハWを多段式ウエハ保持部36からウエハ保持部239aに載せ替える。
【0047】
第2の実施形態においては、このようにして複数のウエハWを、多段式ウエハ保持部36からウエハ保持部239a、239bに直接に載せ替える。
【0048】
載せ替えが終了したら、図4Cに示すように、トランスファアーム238a、238bを待機位置63から処理室32のウエハ受け渡し位置62に向けて回動させ、ウエハ保持部239a、239bをウエハ受け渡し位置62の上方に移動させる。次いで、第1の実施形態と同様に、ウエハ受け渡し位置62から図示せぬリフトピンを上昇させ、ウエハWをウエハ保持部239a、239bからリフトピンに載せ替える。以後は、第1の実施形態で説明した動作と同様である。
【0049】
このような第2の実施形態に係る被処理体処理装置によれば、第1の実施形態に係る被処理体処理装置と同様の利点を得ることができる。
【0050】
さらに、第2の実施形態によれば、複数のウエハWを多段式ウエハ保持部36からウエハ保持部239a、239bに直接に載せ替えるので、移載室33にバッファ部60を設ける必要がなくなり、移載室33の面積を小さくできる、及びウエハの交換時間をさらに短縮できる、という利点を得ることができる。
【0051】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、移載室33に、ダミーウエハを格納するダミーウエハ格納部を設けた例である。これ以外は、第1、第2の実施形態と同様である。
【0052】
図7、図8A〜図8Cは、この発明の第3の実施形態に係る被処理体処理装置の一例を示す平面図である。
【0053】
図7に示すように、移載室33の内部には、ダミーウエハを格納するダミーウエハ格納部66が設けられている。本例では、ウエハ保持部239aがアクセスされるダミーウエハ格納部66aと、ウエハ保持部239bがアクセスされるダミーウエハ格納部66bとの二つを備える。ダミーウエハ格納部66a、66bは、本例では、例えば、待機位置63と搬送室31との間に配置される。ダミーウエハ格納部66a、66bは、例えば、バッファ部60と同様に、複数枚のダミーウエハDWを高さ方向に積層保持する構造を持つ。このような構造の例としては、例えば、ダミーウエハ格納部66a、66bそれぞれに、棚状に複数の溝を形成した支柱を設け、この支柱の溝それぞれにダミーウエハDWの縁を支持させるようにすれば良い。
【0054】
ダミーウエハDWは、処理室32で処理するべきウエハWの枚数が、処理室32で処理可能なウエハWの枚数に足らないとき、移載装置237を用いて処理室32内に搬送され、ターンテーブル上のウエハ載置部に載置されるものである。ダミーウエハDWを、ウエハWの代わりにウエハ載置部に載置しておくことで、処理の間、ターンテーブル上のウエハ載置部が保護される。
【0055】
このように、ダミーウエハDWは、ターンテーブル上のウエハ載置部を保護する、という役目を持つことから、ダミーウエハDWは、処理室32で処理可能なウエハWの枚数と同数用意し、ダミーウエハ格納部66a、66bそれぞれに振り分けて格納しておく。例えば、処理可能なウエハWの枚数が6枚ならば、6枚のダミーウエハDWを用意し、ダミーウエハ格納部66a、66bそれぞれに3枚ずつ振り分けて格納しておけば良い。
【0056】
本例の動作の一例を、図8A〜図8Cを参照して説明する。
【0057】
図8Aに示すように、例えば、搬送装置34の多段式ウエハ保持部36の上側保持部にウエハWが無い、とする。この場合、移載装置237の、上側のウエハを受け取るウエハ保持部239aにダミーウエハDWを保持させる。このため、トランスファアーム238aを待機位置63からダミーウエハ格納部66aに向けて回転させ、ウエハ保持部239aをダミーウエハ格納部66aに積層保持されたダミーウエハDWの一枚の下方に移動させる。次いで、トランスファアーム238aを上昇させ、ダミーウエハ格納部66aに積層保持されたダミーウエハDWをウエハ保持部239aに載せる。
【0058】
ダミーウエハDWがウエハ保持部239aに載せられたら、図8Bに示すように、搬送装置34の多段式ウエハ保持部36を待機位置63に進める。これとともに、トランスファアーム238aをダミーウエハ格納部66aから待機位置63に向けて回転させ、ウエハ保持部239aを待機位置63に移動させる。この際、ウエハ保持部239aが、多段式ウエハ保持部36の上側の保持部と干渉しないよう、互いに高さをずらしておく。多段式ウエハ保持部36及びウエハ保持部239aがともに、待機位置63に来たら、トランスファアーム238bを上昇させ、多段式ウエハ保持部36の下側保持部に保持されたウエハWを、ウエハ保持部239bに載せ替える。
【0059】
載せ替えが終了したら、図8Cに示すように、トランスファアーム238a、238bを待機位置63から処理室32のウエハ受け渡し位置62に向けて回動させ、ウエハ保持部239a、239bをウエハ受け渡し位置62の上方に移動させる。次いで、第1の実施形態と同様に、ウエハ受け渡し位置62から図示せぬリフトピンを上昇させ、ダミーウエハDWをウエハ保持部239aから、同様にウエハWをウエハ保持部239bからそれぞれリフトピンに載せ替える。以後は、第1の実施形態で説明した動作と同様である。
【0060】
このような第3の実施形態に係る被処理体処理装置によれば、第1、第2の実施形態に係る被処理体処理装置と同様の利点を得ることができる。
【0061】
さらに、第3の実施形態によれば、ダミーウエハ格納部66a、66bを移載室33の内部に設けるので、例えば、ダミーウエハ格納部を搬入出室21の内部や、搬送室31の内部に設ける場合に比較して、搬送装置34にダミーウエハDWを保持しに行く動作が不要となる。このため、ダミーウエハDWを使用する被処理体処理装置のウエハの交換時間をさらに短縮できる、という利点を得ることができる。
【0062】
また、第3の実施形態は、第2の実施形態で説明した移載装置237を備えた被処理体処理装置に従って説明したが、第1の実施形態で説明した移載装置37を備えた被処理体処理装置においても適用することができる。この場合には、退避位置61として、ダミーウエハ格納部66a、66bを利用することができる。退避位置61として、ダミーウエハ格納部66a、66bを利用すれば、移載室33の内部にダミーウエハ格納部66a、66bを設けることによる面積の増加分を、最小限に抑え込むことができる、という利点を得ることができる。
【0063】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、移載室33の周囲に設けられるゲートバルブの例に関する。
【0064】
図9Aは第4の実施形態に係る被処理体処理装置の第1例を示す平面図である。
【0065】
図9Aに示すように、第1例は、移載室33と搬送室31との間、及び移載室33と処理室32との間の双方に、ゲートバルブを設けた例である。具体的には、移載室33と搬送室31との間にゲートバルブ室101を、移載室33と処理室32との間にゲートバルブ室102を配置する。本例では、ゲートバルブ室101の内部に収容されたゲートバルブ弁体103が移載室33の壁面に設けられた搬送室側搬入出口105を塞ぐように構成され、ゲートバルブ室102の内部に収容されたゲートバルブ弁体104が処理室32の壁面に設けられた搬入出口106を塞ぐように構成されている。
【0066】
このように、ゲートバルブは、移載室33と搬送室31との間、及び移載室33と処理室32との間の双方に設けることが可能である。
【0067】
このような第1例は、処理室32で行われる処理がCVD処理のように、処理室32に残留した処理ガスの逆拡散により、移載室33あるいは移載装置37に付着物が形成され、パーティクルの発生あるいは移載装置37の動作に影響が大きい場合に好適に用いることができる。
【0068】
図9Bは第4の実施形態に係る被処理体処理装置の第2例を示す平面図である。
【0069】
図9Bに示すように、第2例は、移載室33と処理室32との間のみに、ゲートバルブを設けた例である。具体的には、移載室33と処理室32との間のみに、ゲートバルブ室102を配置する。本例では、ゲートバルブ室102の内部に収容されたゲートバルブ弁体104が処理室32の壁面に設けられた搬入出口106を塞ぐように構成されている。
【0070】
また、移載室33は、搬送室31に、例えば、互いの壁面を接触させるように配置され、移載室33の搬送室側搬入出口105は、搬送室31の壁面に設けられた搬入出口107に互いに連通される。
【0071】
このように、ゲートバルブは、移載室33と処理室32との間のみに設けることも可能である。
【0072】
このような第2例は、処理室32で行われる処理が、酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、改質処理、及びエッチング処理のように、処理室32に残留した処理ガスの逆拡散により、移載室33あるいは移載装置37に付着物が形成され、パーティクルの発生あるいは移載装置37の動作に影響が、CVD処理に比較して少ない場合に好適に用いることができる。
【0073】
図9Cは第4の実施形態に係る被処理体処理装置の第3例を示す平面図である。
【0074】
図9Cに示すように、第3例は、移載室33と搬送室31との間のみに、ゲートバルブを設けた例である。具体的には、移載室33と搬送室31との間にのみに、ゲートバルブ室101を配置する。本例では、ゲートバルブ室101の内部に収容されたゲートバルブ弁体103が移載室33の壁面に設けられた搬送室側搬入出口105を塞ぐように構成されている。
【0075】
また、移載室33は、処理室32に、例えば、互いの壁面を接触させるように配置され、移載室33の処理室側搬入出口108は、処理室32の搬入出口106に互いに連通される。
【0076】
このように、ゲートバルブは、移載室33と搬送室31との間のみに設けることも可能である。
【0077】
このような第3例は、処理室32で行われる処理が、PVD処理、又はクリーニング処理のように、処理室32に残留した処理ガスの逆拡散により、移載室33あるいは移載装置37に付着物が形成され、パーティクルの発生あるいは移載装置37の動作に影響が、酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、改質処理、及びエッチング処理に比較して少ない場合に好適に用いることができる。
【0078】
以上、この発明をいくつかの実施形態にしたがって説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。
【0079】
例えば、上記実施形態においては処理室32の数を4つ、ロードロック室41の数を3つとしたが、処理室32及びロードロック室41の数は、上記実施形態に示した数に限られるものではない。
【0080】
また、上記一実施形態においては処理室32で同時処理可能なウエハWの数を6枚としたが、処理室32で同時処理可能なウエハWの数は6枚に限られるものではない。
【0081】
その他、この発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0082】
31…搬送室、32(32a〜32d)…処理室、33(33a〜33d)…移載室、34…搬送装置、35(35a、35b)…トランスファアーム、36(36a、36b)…ウエハ保持部、37…移載装置、38(38a、38b)…トランスファアーム、39(39a、39b)…ウエハ保持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被処理体を搬送する第1の搬送装置が配置された搬送室と、
前記搬送室の周囲に設けられ、前記複数の被処理体に処理を施す処理室と、
前記搬送室と前記処理室との間に設けられ、前記第1の搬送装置が搬送してきた前記複数の被処理体を前記第1の搬送装置が搬送してきた前記複数の被処理体を前記第1の搬送装置から移載して前記処理室に搬送する第2の搬送装置が配置された移載室と、
を備えることを特徴とする被処理体処理装置。
【請求項2】
前記処理室は、前記複数の被処理体を平面方向に展開した状態で処理するように構成され、
前記第1の搬送装置は、前記複数の被処理体を高さ方向に積層保持するように構成され、
前記第2の搬送装置は、前記複数の被処理体を高さ方向に積層保持する状態と、前記複数の被処理体を平面方向に展開保持する状態との双方をとるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の被処理体処理装置。
【請求項3】
前記移載室に、前記複数の被処理体を高さ方向に積層保持するバッファ部を、さらに備え、
前記複数の被処理体が、前記第1の搬送装置と前記第2の搬送装置との間で前記バッファ部を介して受け渡しされることを特徴とする請求項2に記載の被処理体処理装置。
【請求項4】
前記第1の搬送装置が前記バッファ部にアクセスしている間、前記第2の搬送装置が前記バッファ部の位置とは異なる位置に退避するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の被処理体処理装置。
【請求項5】
前記複数の被処理体が、前記第1の搬送装置と前記第2の搬送装置との間で直接に受け渡しされることを特徴とする請求項2に記載の被処理体処理装置。
【請求項6】
前記第1の搬送装置の被処理体保持部の形状と、前記第2の搬送装置の被処理体保持部の形状とが、互いに干渉しない形状とされていることを特徴とする請求項5に記載の被処理体処理装置。
【請求項7】
前記第1の搬送装置の被処理体保持部及び前記第2の搬送装置の被処理体保持部がそれぞれ、複数のピックを備え、
前記第1の搬送装置の被処理体保持部のピックが、前記第2の搬送装置の被処理体保持部のピック間の間隙内に収まり、
前記第2の搬送装置の被処理体保持部のピックが、前記第1の搬送装置の被処理体保持部のピック間の間隙内に収まることを特徴とする請求項6に記載に被処理体処理装置。
【請求項8】
前記移載室に、ダミー被処理体を格納するダミー被処理体格納部を、さらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の被処理体処理装置。
【請求項9】
前記ダミー被処理体は、前記処理室で処理される被処理体の枚数が、前記処理室で処理可能な被処理体の枚数に足らないとき、前記第2の搬送装置を用いて前記処理室内に搬送されることを特徴とする請求項8に記載の被処理体処理装置。
【請求項10】
前記移載室と前記搬送室との間、及び前記移載室と前記処理室との間の双方に、ゲートバルブが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の被処理体処理装置。
【請求項11】
前記移載室と前記処理室との間のみに、ゲートバルブが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の被処理体処理装置。
【請求項12】
前記移載室と前記搬送室との間のみに、ゲートバルブが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の被処理体処理装置。
【請求項13】
前記処理室で行われる処理が、CVD処理であることを特徴とする請求項10に記載の被処理体処理装置。
【請求項14】
前記処理室で行われる処理が、酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、改質処理、及びエッチング処理のいずれか一つの処理を含むことを特徴とする請求項11に記載の被処理体処理装置。
【請求項15】
前記処理室で行われる処理が、PVD処理、又はクリーニング処理であることを特徴とする請求項12に記載の被処理体処理装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公開番号】特開2011−222825(P2011−222825A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91510(P2010−91510)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】