説明

車両用走行制御装置

【課題】 追従モードの移行を容易にする。
【解決手段】 先行車追従走行制御を行う全車速領域を低速領域と高速領域の少なくとも2つの車速領域に区分し、低速領域において、先行車が検出されている場合は車間距離を保って先行車に追従走行するとともに、先行車が検出されていない場合は追従走行を解除する低速追従モードと、高速領域において、先行車が検出されている場合は設定車速を上限として車間距離を保って先行車に追従走行する制御を行うとともに、先行車が検出されていない場合は設定車速一定で定速走行する高速追従モードと、全車速領域において、所定の操作部材が操作されている間、設定車速に関わらず車間距離を保って先行車に追従走行する優先追従モードとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
追従走行制御を行う全車速領域において複数の車速領域を互いにオーバーラップさせながら設定し、車速がオーバーラップ領域にあるときに特定の操作部材を操作することによって一方の車速領域の追従走行モードから他方の車速領域の追従走行モードへ移行するようにした車両用追従走行制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】特開2002−234358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の車両用走行制御装置では、隣接する車速領域の追従走行モードへ移行する際には、現在の車速がオーバーラップ領域にあることを確認した上で特定の操作部材を操作しなければならないため、操作性が悪いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
先行車追従走行制御を行う全車速領域を低速領域と高速領域の少なくとも2つの車速領域に区分し、低速領域において、先行車が検出されている場合は車間距離を保って先行車に追従走行するとともに、先行車が検出されていない場合は追従走行を解除する低速追従モードと、高速領域において、先行車が検出されている場合は設定車速を上限として車間距離を保って先行車に追従走行する制御を行うとともに、先行車が検出されていない場合は設定車速一定で定速走行する高速追従モードと、全車速領域において、所定の操作部材が操作されている間、設定車速に関わらず車間距離を保って先行車に追従走行する優先追従モードとを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、低速追従モードと高速追従モードのいずれかの追従モードで走行中に、いったん全車速領域で先行車への追従走行を優先する優先追従モードへ移行することによって、先行車の加減速に応じて低速追従モードから高速追従モードへ、または高速追従モードから低速追従モードへのモード移行が容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1に示すように、走行制御を行う全車速領域を低速領域と高速領域の2つに区分し、低速領域における追従走行モード(以下、低速追従モードという)、高速領域における追従走行モード(以下、高速追従モードという)、および全車速領域における追従走行モード(以下、優先追従モードという)とを設定し、全車速領域において先行車に追従走行する車両用走行制御装置に適用した一実施の形態を説明する。
【0008】
この一実施の形態では、追従走行制御を行う全車速領域を、最下限車速の例えば10km/hから最上限車速の例えば110km/hまでとする。そして、低速追従モードを最下限車速の10km/hから例えば50km/hまでとし、高速追従走行モードを例えば45km/hから最上限車速の110km/hまでとする。低速追従モードと高速追従モードとは、45〜50km/hの間で互いにオーバーラップさせている。低速追従モードでは、先行車がいる場合は予め設定した車間距離を保ちながら先行車に追従走行し、先行車がいない場合は追従走行制御を解除する。一方、高速追従モードでは、先行車がいる場合は予め設定した車速(以下、“設定車速”という)を上限として予め設定した車間距離を保ちながら先行車に追従走行し、先行車がいない場合は上記設定車速一定で定速走行する。
【0009】
また、優先追従モードは、追従走行制御を行う最下限車速(10km/h)から最上限車速(110km/h)までの全車速領域において、所定の操作部材を押している間だけ、予め設定した車間距離を保ちながら先行車に追従走行するモードであり、上述した高速追従モードと異なり追従走行中の車速の制限がなく先行車に追従走行することを優先する。
【0010】
《発明の第1の実施の形態》
図2は第1の実施の形態の構成を示す。車間距離レーダー1は車両前方へレーザービームを走査して先行車を検出するとともに、先行車までの車間距離を検出する。なお、レーザービームの代わりにミリ波を用いたミリ波車間距離レーダーとしてもよい。車速センサー2は車両の走行速度を検出する。メインスイッチ3は先行車追従走行制御装置を作動させるための操作部材であり、メインスイッチ3がオンされると先行車追従走行制御装置へ電源が投入されて作動状態になる。キャンセルスイッチ4は車両用走行制御を解除するための操作部材である。
【0011】
設定車間スイッチ5は、追従走行制御における目標車間距離の設定と変更を行うとともに、押し続けることにより上述した優先追従モードの追従走行へ移行し、押し続けている間、優先追従モードを実行する操作部材である。設定車速スイッチ6は上述した設定車速の設定と変更を行うための操作部材である。ブレーキスイッチ7はブレーキペダル(不図示)が踏み込まれるとオンするスイッチである。
【0012】
走行制御コントローラー10はCPU10a、ROM10b、RAM10cなどを備え、車両の走行制御を行う。エンジン制御装置11はエンジン(不図示)の吸入空気量制御、燃料噴射制御、点火時期制御などを行ってエンジンの出力トルクと回転速度を調節し、車両の駆動力を制御する。変速機制御装置12は自動変速機(不図示)の変速比、すなわちシフト位置を制御する。ブレーキ制御装置13はブレーキ液圧を調節して車両の制動力を制御する。表示器14およびスピーカー15は走行制御状態や車両の走行状態などを運転者に報知する。
【0013】
この第1の実施の形態では、低速追従モードと高速追従モードの切り換えは予め定められた操作部材(不図示)を操作することによって行われるものとし、上述した“設定車速”が設定されている場合は高速追従モードの追従走行が許可され、設定車速が設定されていない場合は高速追従モードの追従走行が許可されないものとする。
【0014】
図3は第1の実施の形態の追従制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、第1の実施の形態の動作を説明する。走行制御コントローラー10のCPU10aはメインスイッチ3がオンされている間、一定の時間間隔(例えば100msec)ごとに図3に示す追従制御プログラムを繰り返し実行する。
【0015】
ステップ1において追従走行制御中か否かを確認し、追従走行制御中の場合はステップ2へ進み、RAM10cの所定のアドレスに“設定車速”が記憶されているか否かを確認する。設定車速が設定されて記憶されている場合はステップ3へ進んで高速追従モードでの追従走行制御を許可し、設定車速が設定されていない場合はステップ4へ進んで高速追従モードでの追従走行制御を不許可とする。
【0016】
ステップ5において設定車間スイッチ5が所定時間以上長押しされ、オンしたままか否かを確認し、設定車間スイッチ5がオンしたままのときはステップ6へ進み、そうでなければ処理を終了する。ステップ6では図4に示すサブルーチンを実行して優先追従モード処理を行う。
【0017】
図4のステップ11において優先追従モードによる追従走行制御を開始する。すなわち、追従走行中の車速を設定車速に制限せずに、予め設定された車間距離を保ちながら先行車に追従走行する。続くステップ12で優先追従モードが解除されたときの追従モードを決定し、報知する。
【0018】
ここで、優先追従モードが解除されたときの追従モードの決定方法を説明する。図5は高速追従モードで追従走行中に優先追従モードへ移行した場合の解除時の追従モードの決定方法を示す図であり、図6は低速追従モードで追従走行中に優先追従モードへ移行した場合の解除時の追従モードの決定方法を示す図である。高速追従モードまたは低速追従モードで追従走行中に優先追従モードへ移行した場合には、基本的には優先追従モードが解除されたときの車速領域に応じた追従モードへ移行する。ただし、高速追従モードの追従走行制御が不許可になっている場合は、図7に示すように、優先追従モード解除時に高速領域にあっても低速追従モードを選択する。
また、高速追従モードの車速域と低速追従モードの車速域とのオーバーラップ領域で設定車間スイッチ5が離された場合、優先追従モードへ移行したときの追従モードの車速領域から一度でも外れた場合は、元の追従モードに戻らずに他方の追従モードへ移行する。
なお、図5〜7および後述する図11〜13において、黒丸印は運転者が設定車間スイッチ5を所定時間以上長押ししたことを示し、黒丸印から延びる矢印のうち、横方向は追従モードの移行状態を示すものであり、縦方向は自車両の車速の履歴を示すものである。例えば、図5における4つの黒丸印のうち、上から2番目の黒丸印から出た矢印は、高速追従モードで設定車間スイッチ5を所定時間以上長押しして優先追従モードへ移り、優先追従モードにおいて一度車速が高速追従モードの車速域から外れて低速追従モードの車速域に入った後、高速追従モードの車速域と低速追従モードの車速域とのオーバーラップ領域で設定車間スイッチ5が離された場合、低速追従モードに移ることを示している。
【0019】
優先追従モード解除時の追従モードを決定した後、図8に示すように表示器14に決定した解除時の追従モードを表示するとともに、スピーカー15により音声案内を行う。これにより、運転者は設定車間スイッチ5を解放して優先追従モードを解除したときに移行する追従モードを常に把握することができる。
【0020】
ステップ13において今回決定した優先追従モード解除時の追従モードが前回決定した追従モードから変更されたか否かを確認し、変更されているときはステップ17へ進み、優先追従モード解除時の追従モードの変更を報知する。追従モードの変更がない場合はステップ14へ進み、設定車速を超えたか否かを確認する。設定車速を超えていたらステップ17へ進み、表示器14とスピーカー15により報知してステップ18へ進む。これにより、運転者に予め設定した車速を超えたことを認識させることができる。設定車速を超えていない場合はステップ15へ進み、追従走行制御を行う全車速領域の最上限車速を超えたか否かを確認する。
【0021】
最上限車速を超えたときはステップ16へ進み、最上限車速を超えないように自車速を制限した後、ステップ17で最上限車速に制限したことを表示器14とスピーカー15により報知してステップ18へ進む。これにより、運転者にこれ以上の車速で先行車に追従できないことを認識させることができる。
【0022】
ステップ18では車間距離センサー1で先行車を見失ったか否かを確認する。先行車を見失ったときはステップ20へ進み、優先追従モードを解除するとともに、先に決定した解除時の追従モードによる追従走行制御を開始する。その後、ステップ21へ進み、優先追従モードを解除して解除時の追従モードでの走行を開始した旨を報知する。一方、先行車の見失いがない場合はステップ19へ進み、設定車間スイッチ5がオフされたか否かを確認する。優先追従モードは設定車間スイッチ5が押されている間だけ実行されるので、設定車間スイッチ5がオフしたらステップ20へ進み、優先追従モードを解除するとともに、先に決定した解除時の追従モードによる追従走行制御を開始する。その後、ステップ21へ進み、優先追従モードを解除して解除時の追従モードでの走行を開始した旨を報知する。
【0023】
先行車の見失いがなく、かつまた設定車間スイッチ5がオンしたままのときはステップ22へ進み、現在の車速が最下限車速(10km/h)を下回るか否かを確認する。最下限車速を下回るときはステップ24へ進んで追従走行制御を解除し、続くステップ21で追従走行制御の解除を報知して図3のステップ7へリターンする。最下限車速を下回っていないときはステップ23へ進み、ブレーキスイッチ7がオンしているか、またはキャンセルスイッチ4がオンしているかを確認する。ブレーキスイッチ7またはキャンセルスイッチ4の操作があればステップ24へ進んで追従走行制御を解除し、続くステップ21で追従走行制御の解除を報知して図3のステップ7へリターンする。なお、ブレーキスイッチ7およびキャンセルスイッチ4の操作がない場合はステップ12へ戻り、優先追従モードでの追従走行を継続して上述した処理を繰り返す。
【0024】
優先追従モード解除後の図3のステップ7において設定車速スイッチ6がオンしているか否かを確認し、オンしているときはステップ8へ進み、設定車速の設定または変更を行う。優先追従モード解除後に現在の車速を設定車速にして高速追従モードの追従走行制御を開始したい場合がある。そのような場合に、従来は、設定車速スイッチ6が2秒間、長押しされると自車速を設定車速に変更して高速追従モードでの追従走行を開始していた。この一実施の形態では、優先追従モード解除後、5秒以内に設定車速スイッチ6が操作された場合は、従来の長押し時間(2秒)よりも短い1秒で現在の車速を設定車速に設定して高速追従モードの追従走行を開始する。なお、ステップ7で設定車速スイッチ6がオンしていないときは追従制御を終了する。
【0025】
なお、設定車速スイッチ6が増速用のアクセルスイッチ(不図示)と減速用のコーストスイッチとを備えている場合には、アクセルスイッチとコーストスイッチにそれぞれLEDランプを設け、現在の車速から設定車速を増加させる場合には増速用アクセルスイッチのLEDランプを点滅させ、現在の車速から設定車速を低減する場合にはコーストスイッチのLEDランプを点滅させて、操作性を改善してもよい。
【0026】
このように、全車速領域において、所定の操作部材が操作されている間、設定車速に関わらず車間距離を保って先行車に追従走行する優先追従モードを設け、所定の操作部材が解放されて優先追従モードが解除されたときに、車速が低速領域にある場合は低速追従モードへ移行し、車速が高速領域にあって設定車速が設定されている場合は高速追従モードへ移行するようにしたので、先行車の加減速に応じて低速追従モードから高速追従モードへ、または高速追従モードから低速追従モードへのモード移行が容易に行える。
【0027】
《発明の第2の実施の形態》
優先追従モード解除後、高速追従モードを優先的に選択する第2の実施の形態を説明する。なお、この第2の実施の形態の構成は図2に示す第1の実施の形態の構成と同様であり、説明を省略する。
【0028】
この第2の実施の形態における各種追従モードの設定は基本的に図1に示す設定と同様であるが、この第2の実施の形態では高速追従モードの下限車速を30km/hとし、30から50km/hを低速追従モードと高速追従モードのオーバーラップ領域とする。そして、オーバーラップ領域において移行ボタン(不図示)を操作すると高速追従モードから低速追従モードへ、あるいは低速追従モードから高速追従モードへ自動的に移行する。また、高速追従モードにおいて車速が高速領域の下限車速(30km/h)より低くなると自動的に低速追従モードへ移行する。
【0029】
図9は第2の実施の形態の追従制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、第2の実施の形態の動作を説明する。走行制御コントローラー10のCPU10aはメインスイッチ3がオンされている間、一定の時間間隔(例えば100msec)ごとに図9に示す追従制御プログラムを繰り返し実行する。
【0030】
ステップ31において追従走行制御中か否かを確認し、追従走行制御中の場合はステップ32へ進み、設定車間スイッチ5が所定時間以上長押しされ、オンしたままか否かを確認する。設定車間スイッチ5がオンしたままのときはステップ33へ進み、そうでなければ処理を終了する。ステップ33は図10に示すサブルーチンを実行して優先追従モード処理を行う。
【0031】
図10のステップ41において優先追従モードによる追従走行制御を開始する。すなわち、追従走行中の車速を設定車速に制限せずに、予め設定された車間距離を保ちながら先行車に追従走行する。続くステップ42で優先追従モードが解除されたときの追従モードを決定し、報知する。
【0032】
ここで、優先追従モードが解除されたときの追従モードの決定方法を説明する。図11は低速追従モードで追従走行中に優先追従モードへ移行した場合の解除時の追従モードの決定方法を示す図であり、図12はオーバーラップ領域において低速追従モードで追従走行中に優先追従モードへ移行した場合の解除時の追従モードの決定方法を示す図である。また、図13は高速追従モードで追従走行中に優先追従モードへ移行した場合の解除時の追従モードの決定方法を示す図である。この第2の実施の形態では、図11〜図13に示すように、優先追従モード解除後、車速が高速追従モードの下限車速(30km/h)以上の場合は高速追従モードへ移行し、下限車速より低い場合は定速追従モードへ移行する。
【0033】
ステップ43において今回決定した優先追従モード解除時の追従モードが前回決定した追従モードから変更されたか否かを確認し、変更されているときはステップ55へ進み、RAM10cの所定のアドレスに設定車速が記憶されているか否かを確認する。設定車速が記憶されている場合はステップ47へ進み、設定車速がすでに設定されていることを報知する。設定車速が記憶されていないときは、ステップ56で現在の車速を設定車速に設定してRAM10cに記憶する。その後、ステップ47へ進み、設定車速を設定したことを報知する。
【0034】
優先追従モード解除後の追従モードが変更されていない場合はステップ44へ進み、設定車速を超えたか否かを確認する。設定車速を超えていたらステップ47へ進み、設定車速を超えたことを報知する。一方、設定車速を超えていない場合はステップ45へ進み、追従走行制御を行う全車速領域の最上限車速(110km/h)を超えたか否かを確認する。最上限車速を超えたときはステップ46へ進み、最上限車速を超えないように自車速を制限した後、ステップ47で最上限車速に制限したことを報知してステップ48へ進む。
【0035】
ステップ48では車間距離センサー1で先行車を見失ったか否かを確認する。先行車を見失ったときはステップ50へ進み、優先追従モードを解除するとともに、先に決定した解除時の追従モードによる追従走行制御を開始する。その後、ステップ51へ進み、優先追従モードを解除して解除時の追従モードでの走行を開始した旨を報知する。一方、先行車の見失いがない場合はステップ49へ進み、設定車間スイッチ5がオフされたか否かを確認する。優先追従モードは設定車間スイッチ5が押されている間だけ選択されるので、設定車間スイッチ5がオフしたらステップ50へ進み、優先追従モードを解除するとともに、先に決定した解除時の追従モードによる追従走行制御を開始する。その後、ステップ51へ進み、優先追従モードを解除して解除時の追従モードでの走行を開始した旨を報知する。
【0036】
先行車の見失いがなく、かつまた設定車間スイッチ5がオンしたままのときはステップ52へ進み、現在の車速が最下限車速(10km/h)を下回るか否かを確認する。最下限車速を下回るときはステップ54へ進んで追従走行制御を解除し、続くステップ51で追従走行制御の解除を報知して図9のステップ34へリターンする。最下限車速を下回っていないときはステップ53へ進み、ブレーキスイッチ7がオンしているか、またはキャンセルスイッチ4がオンしているかを確認する。ブレーキスイッチ7またはキャンセルスイッチ4の操作があればステップ54へ進んで追従走行制御を解除し、続くステップ51で追従走行制御の解除を報知して図9のステップ34へリターンする。なお、ブレーキスイッチ7およびキャンセルスイッチ4の操作がない場合はステップ42へ戻り、優先追従モードでの追従走行を継続して上述した処理を繰り返す。
【0037】
優先追従モード解除後の図9のステップ34において設定車速スイッチ6がオンしているか否かを確認し、オンしているときはステップ35へ進み、設定車速の設定または変更を行う。優先追従モード解除後に現在の車速を設定車速にして高速追従モードの追従走行制御を開始したい場合がある。そのような場合に、従来は、設定車速スイッチ6が2秒間、長押しされると自車速を設定車速に変更して高速追従モードでの追従走行を開始していた。この一実施の形態では、優先追従モード解除後、5秒以内に設定車速スイッチ6が操作された場合は、従来の長押し時間(2秒)よりも短い1秒間で現在の車速を設定車速に設定して高速追従モードの追従走行を開始する。なお、ステップ34で設定車速スイッチ6がオンしていないときは追従制御を終了する。
【0038】
なお、設定車速スイッチ6が増速用のアクセルスイッチ(不図示)と減速用のコーストスイッチとを備えている場合には、アクセルスイッチとコーストスイッチにそれぞれLEDランプを設け、現在の車速から設定車速を増加させる場合には増速用アクセルスイッチのLEDランプを点滅させ、現在の車速から設定車速を低減する場合にはコーストスイッチのLEDランプを点滅させて、操作性を改善してもよい。
【0039】
このように、低速追従モードの低速領域と高速追従モードの高速領域とを互いにオーバーラップして設定するとともに、全車速領域において、所定の操作部材が操作されている間、設定車速に関わらず車間距離を保って先行車に追従走行する優先追従モードを設け、所定の操作部材が解放されて優先追従モードが解除されたときに、車速がオーバーラップ領域にある場合は高速追従モードへ移行するようにしたので、先行車の加減速に応じて低速追従モードから高速追従モードへ、または高速追従モードから低速追従モードへのモード移行が容易に行える。
【0040】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、車間距離センサー1が先行車検出手段を、車速センサー2が車速検出手段を、コントローラー10が定速走行制御手段および追従走行制御手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0041】
なお、上述した一実施の形態では追従走行制御を行う全車速領域を低速領域と高速領域の2つの領域に区分する例を示したが、車速領域の区分数は上述した一実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】追従走行モードの設定を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態の追従制御プログラムを示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態の優先追従モード処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態の優先追従モード解除後の追従モードの決定方法を説明する図である。
【図6】第1の実施の形態の優先追従モード解除後の追従モードの決定方法を説明する図である。
【図7】第1の実施の形態の優先追従モード解除後の追従モードの決定方法を説明する図である。
【図8】優先追従モード解除後の選択追従モードの表示例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の追従制御プログラムを示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態の優先追従モード処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態の優先追従モード解除後の追従モードの決定方法を説明する図である。
【図12】第2の実施の形態の優先追従モード解除後の追従モードの決定方法を説明する図である。
【図13】第2の実施の形態の優先追従モード解除後の追従モードの決定方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
1 車間距離センサー
2 車速センサー
3 メインスイッチ
4 キャンセルスイッチ
5 設定車間スイッチ
6 設定車速スイッチ
7 ブレーキスイッチ
10 走行制御コントローラー
10a CPU
10b ROM
10c RAM
11 エンジン制御装置
12 変速機制御装置
13 ブレーキ制御装置
14 表示器
15 スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行車を検出する先行車検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
予め設定された車速(以下、設定車速という)を保って定速走行する定速走行制御手段と、
車間距離を保って先行車に追従走行する追従走行制御手段とを備え、
先行車追従走行制御を行う全車速領域を低速領域と高速領域の少なくとも2つの車速領域に区分し、低速領域において、先行車が検出されている場合は前記追従走行制御手段による追従走行を行うとともに、先行車が検出されていない場合は前記追従走行制御手段による追従走行を解除する低速追従モードと、高速領域において、先行車が検出されている場合は前記設定車速を上限として前記追従走行制御手段による追従走行を行うとともに、先行車が検出されていない場合は前記定速走行制御手段による定速走行を行う高速追従モードと、全車速領域において、所定の操作部材が操作されている間、前記設定車速に関わらず前記追従走行制御手段による追従走行を行う優先追従モードとを有することを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用走行制御装置において、
前記所定の操作部材が解放されて前記優先追従モードが解除されたときに、車速が低速領域にある場合は前記低速追従モードへ移行し、車速が高速領域にあって前記設定車速が設定されている場合は前記高速追従モードへ移行することを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用走行制御装置において、
前記低速追従モードの低速領域と前記高速追従モードの高速領域とは互いにオーバーラップして設定され、前記所定の操作部材が解放されて前記優先追従モードが解除されたときに、車速がオーバーラップ領域にある場合は前記高速追従モードへ移行することを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の車両用走行制御装置において、
前記優先追従モードを解除したときに移行する追従モードを報知することを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用走行制御装置において、
前記優先追従モードでは車速が全車速領域の上限車速を超えないように制限することを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用走行制御装置において、
前記優先追従モードでは車速が前記設定車速を超えたときに報知することを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用走行制御装置において、
前記優先追従モードで走行中に車速が全車速領域の下限車速を下回った場合は、前記優先追従モードを解除するとともに、他の追従モードへ移行しないことを特徴とする車両用走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−36056(P2006−36056A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219718(P2004−219718)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】