説明

運転状態警告システム、運転状態警告方法及びプログラム

【課題】運転者が眠気を催したときに確実に覚醒させることができるようにする。
【解決手段】運転者が立ち寄った立寄施設を検出する立寄施設検出処理手段と、運転者の生理情報を取得する生理情報取得処理手段と、前記生理情報に基づいて、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断するための覚醒状態判定指標を取得する覚醒状態判定指標取得処理手段と、前記立寄施設に応じて前記覚醒状態判定指標の閾値を設定する閾値設定処理手段と、前記覚醒状態判定指標及び閾値に基づいて、運転者が覚醒状態になく、眠気を催していると判断されたときに、警告を行う警告処理手段とを有する。覚醒状態判定指標及び立寄施設に応じて設定された覚醒状態判定指標の閾値に基づいて、運転者が眠気を催しているかどうかが判断されるので、運転者を確実に覚醒させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転状態警告システム、運転状態警告方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、運転者が眠気を催した状態で運転すると、操作状態が不安定になり、車速が変化したり、車間距離が変化したりしてしまう。
【0003】
そこで、運転中の運転者の生理データ、及び走行している道路種別、連続運転時間、運転時間帯等の車両の道路走行データに基づいて、運転者が眠気を催しているかどうかを判断するためのパラメータ、すなわち、眠気判定パラメータを算出し、該眠気判定パラメータが閾(しきい)値より大きいかどうかを判定し、眠気判定パラメータが前記閾値より大きい場合、眠気を催していると判断し、運転者に対して警告を行い、運転者を覚醒させるようにした運転状態警告システムが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−140949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の運転状態警告システムにおいては、連続運転時間が長くなる場合、運転時間帯が深夜であったりする場合等の、運転者が眠気を催しやすい状況で、前記眠気判定パラメータを大きくすることによって警告が行われやすくなっているが、運転者が運転を開始する前に、例えば、スキー場でスキーをしていたり、レストランで食事をしていたりする場合においては、前記連続運転時間、運転時間帯等に関係なく、運転を開始した直後に眠気を催すことがある。
【0005】
その場合、通常と同じ方法で警告を行うと、運転者を確実に覚醒させることができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、前記従来の運転状態警告システムの問題点を解決して、運転者が眠気を催したときに確実に覚醒させることができる運転状態警告システム、運転状態警告方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の運転状態警告システムにおいては、運転者が立ち寄った立寄施設を検出する立寄施設検出処理手段と、運転者の生理情報を取得する生理情報取得処理手段と、前記生理情報に基づいて、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断するための覚醒状態判定指標を取得する覚醒状態判定指標取得処理手段と、前記立寄施設に応じて前記覚醒状態判定指標の閾値を設定する閾値設定処理手段と、前記覚醒状態判定指標及び閾値に基づいて、運転者が覚醒状態になく、眠気を催していると判断されたときに、運転者に対して警告を行う警告処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者の生理情報に基づいて取得された覚醒状態判定指標、及び立寄施設に応じて設定された覚醒状態判定指標の閾値に基づいて、運転者が眠気を催しているかどうかが判断されるので、運転者が眠気を催したときに、確実に覚醒させることができる。また、無用に警告が行われるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、運転状態警告システムとしてのナビゲーションシステムについて説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【0011】
図において、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0012】
前記ナビゲーション装置14は、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、図示されない地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、運転者が音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声出力を行い、各種の情報を運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。また、前記ナビゲーション処理部17には車速を検出する車速検出部としての車速センサ44等が接続される。そして、前記GPSセンサ15は、自車位置及び自車方位のほかに時刻を検出する。なお、GPSセンサ15とは独立させて方位センサを配設することによって自車方位を検出することができる。
【0013】
また、前記ナビゲーション処理部17には、車室内の所定の箇所、本実施の形態においては、運転席に着座している運転者の顔と対向する位置に取り付けられ、運転者の顔を撮影する撮像装置としてのカメラ48が接続され、該カメラ48は、CCDセンサ、電子マイクロカメラ、レンズを内蔵したMOSセンサ等から成り、運転者の顔を撮影すると、画像データをナビゲーション装置14に送る。
【0014】
前記データ記録部16には、地図データファイルから成る地図データベースが配設され、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点(分岐点)に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれるほか、道路上の地物に関する地物データが含まれる。
【0015】
さらに、前記データ記録部16には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が配設され、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【0016】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって外部記憶装置が構成される。
【0017】
本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が配設されるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を配設することもできる。
【0018】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。なお、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ等によって、内部記憶装置が構成される。
【0019】
前記操作部34として、表示部35とは独立させて配設された図示されないキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0020】
そして、前記表示部35としてディスプレイが使用され、表示部35に形成された各種の画面に、自車位置、自車方位等を表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができる。
【0021】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、前記探索経路の経路案内を音声による出力、すなわち、音声出力によって行う。
【0022】
前記通信部38は、道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を受信するための図示されないビーコンレシーバ、前記各種の情報をFM放送局を介してFM多重放送として受信するための図示されないFM受信機等を備える。そして、通信部38は、前記情報センタ51から、交通情報、一般情報等の情報のほかに、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータをネットワーク63を介して受信することができる。
【0023】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57、情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータが記録される。
【0024】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、前記データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記憶装置及び記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0025】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0026】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されない初期化処理手段は、初期化処理を行い、GPSセンサ15によって検出された自車位置及び自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。なお、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた自車位置の軌跡、及び自車位置の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、自車位置がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、自車位置を特定する。
【0027】
続いて、前記CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。
【0028】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位を表示する。したがって、運転者は、前記自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0029】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、前記CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として設定することができる。
【0030】
続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記自車位置、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、自車位置、目的地及び探索データに基づいて、自車位置で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。この場合、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【0031】
なお、前記情報センタ51において経路探索処理を行うことができる。その場合、CPU31は自車位置、自車方位、目的地、探索条件等をネットワーク63を介して情報センタ51に送信する。該情報センタ51が前記自車位置、自車方位、目的地、探索条件等を受信すると、CPU54の図示されない経路探索処理手段は、CPU31と同様の経路探索処理を行い、データベース58から探索データ等を読み出し、自車位置、自車方位、目的地、探索条件等に基づいて、出発地から目的地までの経路を探索し、探索経路を表す経路データを出力する。次に、CPU54の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをネットワーク63を介してナビゲーション装置14に送信する。
【0032】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。この場合、必要に応じて、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、音声出力部37から探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【0033】
また、前記案内処理手段の案内点拡大図形成処理手段は、案内点拡大図形成処理を行い、車両が案内交差点に到達する前に、地図画面の所定の領域に案内交差点の拡大図、すなわち、案内点拡大図としての交差点拡大図を表示し、該交差点拡大図による経路案内を行う。そのために、探索経路上の前記案内交差点より手前(自車位置側)の、設定された距離だけ離れた箇所に、案内点拡大図表示地点が設定され、車両が案内点拡大図表示地点に到達すると、表示部35に前記交差点拡大図が表示される。
【0034】
この場合、該交差点拡大図に、前記案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標が表示される。
【0035】
また、前記表示処理手段は、通信部38を介して交通情報を受信すると、交通情報を交通状況指標としての渋滞帯に変換し、該渋滞帯を前記地図画面上の道路に沿って表示する。この場合、渋滞帯は、渋滞の始点から終点にかけて表示され、かつ、渋滞の度合いに応じて、赤、橙(だいだい)、緑等の色で表示される。このようにして、運転者は、車両を走行させる予定の経路、探索経路等における道路の渋滞状況を知ることができる。
【0036】
ところで、運転者が眠気を催した状態で車両を運転すると、操作状態が不安定になり、車速が変化したり、車間距離が変化したりしてしまう。
【0037】
そこで、本実施の形態においては、運転中の運転者の眼の瞬きに基づいて、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断し、運転者が覚醒状態になく、眠気を催していると判断された場合、運転者に対して警告を行い、運転者を覚醒させるようにしている。
【0038】
図2は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャート、図3は本発明の実施の形態における閾値設定処理のサブルーチンを示す図、図4は本発明の実施の形態における瞬き信号の例を示す図、図5は本発明の実施の形態における設定時間マップを示す図、図6は本発明の実施の形態における第1の覚醒状態判定マップを示す図、図7は本発明の実施の形態における第2の覚醒状態判定マップを示す図、図8は本発明の実施の形態における第2の覚醒状態判定マップを示す図である。
【0039】
本実施の形態において、前記CPU31の図示されない覚醒状態判定処理手段は、覚醒状態判定処理を行い、運転者が覚醒状態にあるかどうかを運転者の眼の瞬きに基づいて判断するようになっている。
【0040】
そのために、前記覚醒状態判定処理手段の画像処理手段は、画像処理を行い、カメラ48から画像データを受けると、画像データのうちの運転者の顔を表すデータ、すなわち、顔データを抽出し、抽出された顔データと、あらかじめROM33に記録された運転者の顔データとを比較し、画像認識を行い、運転者が瞬きをしたかどうかを判断し、画像認識情報としての、かつ、画像認識信号としての瞬き信号を発生させる。
【0041】
なお、前記画像処理手段によって生理情報取得処理手段が構成される。該生理情報取得処理手段は、生理情報取得処理を行い、運転者の生理情報を瞬き信号として取得する。該瞬き信号は、例えば、図4に示されるようなパルス信号によって構成され、瞬きによって眼が閉じられている間、パルスがハイレベルにされ、眼が開かれている間、パルスがローレベルにされる。なお、眼が閉じられている間、パルスをローレベルにし、眼が開かれている間、パルスをハイレベルにすることもできる。
【0042】
続いて、前記覚醒状態判定処理手段の覚醒状態判定指標取得処理手段は、覚醒状態判定指標取得処理を行い、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断するための指標である覚醒状態判定指標として、運転者の眼が第1の状態に置かれる時間、本実施の形態においては、眼が閉じられている時間を表す閉眼時間を取得する。そこで、前記覚醒状態判定指標取得処理手段は、前記瞬き信号を読み込み、瞬きがあるごとの、パルスがハイレベルである時間を読み込み、該時間を前記閉眼時間とする。
【0043】
なお、前記覚醒状態判定指標として、運転者の眼が第2の状態に置かれる時間、本実施の形態においては、眼が開かれている時間を表す開眼時間を使用することもでき、その場合、前記覚醒状態判定指標取得処理手段は、前記瞬き信号を読み込み、瞬きがあるごとの、パルスがローレベルである時間を読み込み、該時間を開眼時間として取得する。
【0044】
続いて、前記覚醒状態判定処理手段の眠気判定処理手段は、眠気判定処理を行い、前記閉眼時間及び閾値に基づいて、運転者が覚醒状態になく、眠気を催しているかどうかを判断する。本実施の形態において、前記眠気判定処理手段は、前記閉眼時間と閾値とを比較し、閉眼時間が閾値以上である場合に、運転者が眠気を催していると判断する。例えば、図4に示されるように、閉眼時間tが閾値(例えば、2〔秒〕。)より長くなり、2.5〔秒〕になると、運転者が眠気を催していると判断される。なお、前記眠気判定処理手段は比較処理手段を構成する。
【0045】
また、本実施の形態において、眠気判定処理手段は、前記閉眼時間と閾値とを比較し、比較結果に基づいて運転者が眠気を催しているかどうかを判断するようになっているが、前記閉眼時間及び閾値に基づいて算出される変数、例えば、閉眼時間を閾値で除算して得られる値と所定の値とを比較し、比較結果に基づいて運転者が眠気を催しているかどうかを判断することができる。さらに、本実施の形態において、眠気判定処理手段は、閉眼時間及び閾値に基づいて眠気判定処理を行うようになっているが、前記閉眼時間に基づいて算出された眠気判定値、例えば、所定の時間ごとに閉眼時間を加算することによって得られる値、及び閾値に基づいて眠気判定処理を行うことができる。
【0046】
ところで、例えば、スキー場でスキーをしたり、プールでスイミングをしたり、ゴルフ場でゴルフをしたり、アスレチッククラブでアスレチックをしたりして、運転者が運動施設で運動をした後に運転を開始すると、運転を開始した直後に疲れで眠気を催すことがある。また、レストラン等の食事施設で食事をした後に運転を開始すると、運転を開始した直後に満腹感で眠気を催すことがある。
【0047】
これに対して、サービスエリア、パーキングエリア等(SA/PA)で休憩をしたり、道の駅で休憩をしたりして、運転者が休憩施設で休憩をした後に運転を開始すると、疲れが取れていたり、食後の休憩で満腹感がなくなっていたりして、運転者は眠気が解消され、覚醒状態に置かれることが多い。
【0048】
そこで、本実施の形態においては、所定の施設に立ち寄った場合に、立ち寄った施設、すなわち、立寄施設に応じて前記閾値を設定し、設定された閾値に基づいて眠気判定処理を行うようにしている。
【0049】
そのために、前記覚醒状態判定処理が開始される前に、CPU31の図示されない閾値設定処理手段は、閾値設定処理を行い、前記眠気判定処理において閉眼時間と共に使用される閾値を設定する。そのために、前記閾値設定処理手段の閾値設定条件取得処理手段は、閾値設定条件取得処理を行い、常時、自車位置及び時刻を読み込み、RAM33に記録するとともに、車両がイグニッションオフになるのを待機する。例えば、所定の施設に到達して、運転者が車両を駐車場において駐車させ、イグニッションスイッチをオフにすると、車両がイグニッションオフになる。続いて、前記閾値設定条件取得処理手段は、車両がイグニッションオンになるのを待機する。例えば、イグニッションオフになった後、所定の時間が経過して、運転者がイグニッションスイッチをオンにすると、車両がイグニッションオンになる。
【0050】
そして、前記閾値設定条件取得処理手段の立寄施設検出処理手段は、立寄施設検出処理を行い、車両がイグニッションオフになったときの自車位置をRAM33から読み出し、データ記録部16を参照し、データ記録部16の施設データに基づいて、前記自車位置(座標で表される位置)に対応する施設を、前記立寄施設として検出する(読み出す)。
【0051】
また、前記設定条件取得処理手段の駐車時間算出処理手段は、駐車時間算出処理を行い、車両がイグニッションオフになったときの時刻を読み出し、車両がイグニッションオンになったときの時刻、すなわち、現在の時刻を読み込み、イグニッションオフになったときの時刻から現在の時刻までの時間を、前記立寄施設において車両を駐車させていた駐車時間として算出する。なお、該駐車時間は立寄施設における立寄時間を表す。
【0052】
なお、本実施の形態において、立寄施設検出処理手段は、イグニッションオフになったときの自車位置に基づいて立寄施設を検出するようになっているが、自動変速機のパーキングレンジが選択されたときの自車位置に基づいて立寄施設を検出したり、車両が駐車場において駐車させられたときの自車位置に基づいて立寄施設を検出したりすることができる。
【0053】
その場合、前記駐車時間算出処理手段は、イグニッションオフになったときの時刻に代えて、自動変速機のパーキングレンジが選択されたときの時刻に基づいて駐車時間を算出したり、車両が駐車場において駐車させられたときの時刻に基づいて駐車時間を算出したりする。
【0054】
次に、前記閾値設定処理手段の施設別閾値設定処理手段は、施設別閾値設定処理を行い、検出された立寄施設及び算出された駐車時間を読み込み、立寄施設が前記運動施設、食事施設等である特定の施設、すなわち、第1の特定施設であるか、又は休憩施設等である特定の施設、すなわち、第2の特定施設であるかどうかを判断し、駐車時間が、立寄施設ごとに、本実施の形態においては、前記各第1、第2の特定施設ごとに設定された時間、すなわち、設定時間より長いかどうかを判断し、各判断結果に基づいて、閾値を選択的に設定する。
【0055】
そのために、前記施設別閾値設定処理手段は、RAM33に設定された設定時間マップを参照し、図5に示されるように、立寄施設が第1の特定施設のスキー場である場合、設定時間として3時間を読み出し、立寄施設が第1の特定施設のゴルフ場である場合、設定時間として5時間を読み出し、立寄施設が第1の特定施設のレストランである場合、設定時間として40分を読み出し、立寄施設が第2の特定施設のサービスエリア、パーキングエリア等である場合、設定時間として15分を読み出し、立寄施設が第2の特定施設の道の駅である場合、設定時間として10分を読み出す。
【0056】
そして、前記施設別閾値設定処理手段は、駐車時間を読み込み、駐車時間が立寄施設ごとに読み出した設定時間以上であるかどうかを判断する。
【0057】
前記立寄施設が第2の特定施設であり、駐車時間が設定時間以上である場合、運転者は疲れが取れていると推測することができるので、前記施設別閾値設定処理手段は、最も短い第1の閾値を選択し、該第1の閾値を設定する。前記立寄施設が第2の特定施設であり、駐車時間が設定時間より短い場合、運転者は多少疲れていると推測することができるので、前記施設別閾値設定処理手段は、中間の第2の閾値を選択し、該第2の閾値を設定する。
【0058】
また、前記立寄施設が第1の特定施設であり、駐車時間が設定時間以上である場合、運転者は疲れていると推測することができるので、前記施設別閾値設定処理手段は、最も長い第3の閾値を選択し、該第3の閾値を設定する。前記立寄施設が第3の特定施設であり、駐車時間が設定時間より短い場合、運転者は多少疲れていると推測することができるので、前記施設別閾値設定処理手段は、中間の第2の閾値を選択し、該第2の閾値を設定する。なお、この場合、第2の閾値は、立寄施設が第1、第2の特定施設以外の施設である場合に、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断する基準になる標準の値とされる。また、前記第1〜第3の閾値は、それぞれRAM33に設定された第1〜第3の覚醒状態判定マップに、運転者の状態(覚醒状態にあるかどうか)に対応させて記録される。
【0059】
このようにして、第1〜第3の閾値が設定されると、前記眠気判定処理手段は、第1〜第3の閾値のうちのいずれの閾値が設定されているか判定し、第1の閾値が設定されている場合、RAM33に設定された図6の第1の覚醒状態判定マップを参照し、閉眼時間tと第1の閾値、本実施の形態においては、4〔秒〕とを比較し、閉眼時間tが4〔秒〕より短い場合、運転者が覚醒状態にあると判断し、閉眼時間tが4〔秒〕以上である場合、運転者が眠気を催していると判断する。また、第2の閾値が設定されている場合、前記眠気判定処理手段は、RAM33に設定された図7の第2の覚醒状態判定マップを参照し、閉眼時間tと第2の閾値、本実施の形態においては、3〔秒〕とを比較し、閉眼時間tが3〔秒〕より短い場合、運転者が覚醒状態にあると判断し、閉眼時間tが3〔秒〕以上である場合、運転者が眠気を催していると判断する。そして、第3の閾値が設定されている場合、前記眠気判定処理手段は、RAM33に設定された図8の第3の覚醒状態判定マップを参照し、閉眼時間tと第3の閾値、本実施の形態においては、2〔秒〕とを比較し、閉眼時間tが2〔秒〕より短い場合、運転者が覚醒状態にあると判断し、閉眼時間tが2〔秒〕以上である場合、運転者が眠気を催していると判断する。
【0060】
続いて、前記CPU31の図示されない警告処理手段は、警告処理を行い、眠気を催していると判断された場合、運転者に対して警告を行い、その旨を通知する。なお、運転者に対する警告は、音声出力部37における音声出力、図示されない振動装置による座席の振動等によって行われる。
【0061】
このように、本実施の形態においては、立寄施設に基づいて、運転者が運転を開始する前の行動が判定され、眠気を催しているかどうかを判断するための閾値が設定されるようになっているので、運転者が運転を開始する前に眠気を催す原因となる行動を取っていた場合は、警告が行われやすくなり、運転者が運転を開始する前に眠気が解消される行動を取っていた場合は、警告が行われにくくなる。
【0062】
したがって、運転者が眠気を催したときに、確実に覚醒させることができ、また、無用に警告が行われるのを防止することができる。
【0063】
次に、図2のフローチャートについて説明する。
ステップS1 閾値設定処理を行う。
ステップS2 閉眼時間を検出する。
ステップS3 第1の閾値が設定されているかどうかを判断する。第1の閾値が設定されている場合はステップS4に、設定されていない場合はステップ5に進む。
ステップS4 閉眼時間と第1の閾値とを比較する。
ステップS5 第2の閾値が設定されているかどうかを判断する。第2の閾値が設定されている場合はステップS6に、設定されていない場合はステップ7に進む。
ステップS6 閉眼時間と第2の閾値とを比較する。
ステップS7 閉眼時間と第3の閾値とを比較する。
ステップS8 閉眼時間が閾値以上であるかどうかを判断する。閉眼時間が閾値以上である場合はステップS9に、閾値より短い場合はステップS2に戻る。
ステップS9 警告処理を行い、処理を終了する。
【0064】
次に、図3のフローチャートについて説明する。
ステップS1−1 自車位置及び時刻を読み込む。
ステップS1−2 イグニッションオフになるのを待機する。イグニッションオフになった場合はステップS1−3に進む。
ステップS1−3 イグニッションオンになるのを待機する。イグニッションオンになった場合はステップS1−4に進む。
ステップS1−4 イグニッションオフになったときの自車位置に基づいて立寄駐車させた施設を検出する。
ステップS1−5 駐車時間を算出する。
ステップS1−6 立寄駐車させた施設は第1の特定施設であるかどうかを判断する。立寄駐車させた施設は第1の特定施設である場合はステップS1−7に、第1の特定施設でない場合はステップS1−8に進む。
ステップS1−7 駐車時間が設定時間以上であるかどうかを判断する。駐車時間が設定時間以上である場合はステップS1−9に、設定時間より短い場合はステップS1−11に進む。
ステップS1−8 立寄駐車させた施設は第2の特定施設であるかどうかを判断する。立寄駐車させた施設は第2の特定施設である場合はステップS1−10に、第2の特定施設でない場合はステップS1−11に進む。
ステップS1−9 第3の閾値を設定する。
ステップS1−10 駐車時間は設定時間以上であるかどうかを判断する。駐車時間は設定時間以上である場合はステップS1−12に、設定時間より短い場合はステップS1−11に進む。
ステップS1−11 第2の閾値を設定する。
ステップS1−12 第1の閾値を設定し、リターンする。
【0065】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における閾値設定処理のサブルーチンを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における瞬き信号の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における設定時間マップを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における第1の覚醒状態判定マップを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における第2の覚醒状態判定マップを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における第2の覚醒状態判定マップを示す図である。
【符号の説明】
【0067】
14 ナビゲーション装置
51 情報センタ
63 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が立ち寄った立寄施設を検出する立寄施設検出処理手段と、運転者の生理情報を取得する生理情報取得処理手段と、前記生理情報に基づいて、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断するための覚醒状態判定指標を取得する覚醒状態判定指標取得処理手段と、前記立寄施設に応じて前記覚醒状態判定指標の閾値を設定する閾値設定処理手段と、前記覚醒状態判定指標及び閾値に基づいて、運転者が覚醒状態になく、眠気を催していると判断されたときに、運転者に対して警告を行う警告処理手段とを有することを特徴とする運転状態警告システム。
【請求項2】
運転者の顔を撮影し、画像データを生成する撮像装置を有するとともに、前記生理情報取得処理手段は、前記撮像装置から送られた画像データに基づいて画像処理を行い、前記生理情報として画像認識信号を発生させ、前記覚醒状態判定指標取得処理手段は、前記画像認識信号に基づいて覚醒状態判定指標を取得する請求項1に記載の運転状態警告システム。
【請求項3】
前記覚醒状態判定指標は、運転者が瞬きをしたときに眼が所定の状態に置かれる時間である請求項1に記載の運転状態警告システム。
【請求項4】
運転者が瞬きをしたときに眼が所定の状態に置かれる時間は閉眼時間である請求項3に記載の運転状態警告システム。
【請求項5】
前記立寄施設が運動施設又は食事施設である場合、前記閾値は標準の閾値より短く設定される請求項1に記載の運転状態警告システム。
【請求項6】
前記立寄施設が休憩施設である場合、前記閾値は標準の閾値より長く設定される請求項1に記載の運転状態警告システム。
【請求項7】
前記立寄施設において車両を駐車させていた駐車時間を算出する駐車時間算出処理手段を有するとともに、前記閾値設定処理手段は、駐車時間が立寄施設ごとに設定された設定時間以上であるかどうかに応じて、前記閾値を設定する請求項1に記載の運転状態警告システム。
【請求項8】
運転者が立ち寄った立寄施設を検出し、運転者の生理情報を取得し、該生理情報に基づいて、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断するための覚醒状態判定指標を取得し、前記立寄施設に応じて前記覚醒状態判定指標の閾値を設定し、前記覚醒状態判定指標及び閾値に基づいて、運転者が覚醒状態になく、眠気を催していると判断されたときに、運転者に対して警告を行うことを特徴とする運転状態警告方法。
【請求項9】
コンピュータを、運転者が立ち寄った立寄施設を検出する立寄施設検出処理手段、運転者の生理情報を取得する生理情報取得処理手段、前記生理情報に基づいて、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断するための覚醒状態判定指標を取得する覚醒状態判定指標取得処理手段、前記立寄施設に応じて前記覚醒状態判定指標の閾値を設定する閾値設定処理手段、並びに前記覚醒状態判定指標及び閾値に基づいて、運転者が覚醒状態になく、眠気を催していると判断されたときに、運転者に対して警告を行う警告処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−230246(P2009−230246A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72145(P2008−72145)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】