説明

部品実装状態の外観検査装置及び検査方法

【課題】イメージスキャナを用いて低コストで上面に印刷された半田付け状態を人手を介さず、連続して検査することができる装置を提供する。
【解決手段】検査装置1は、少なくとも1本のガイド軸21に沿って移動し、画像読取り部54を下側に向けて画像を走査する読取りモジュール5及び該読取りモジュール5を水平状態に支持する水平支持部材を具えたイメージスキャナ2と、該イメージスキャナ2の画像読取り部54の下側に検査対象物であるプリント基板4を搬送するコンベアベルト32と、読取りモジュール5が走査した画像を処理してモニター11に表示する手段を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装における外観検査装置であって、主にクリーム半田印刷されたプリント基板の半田付け状態を検査する装置及び検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプリント基板(4)上にクリーム半田(40)を印刷する方法として、図15に示す手法が行われている。クリーム半田(40)とはペースト状で金属を含む半田である。
複数の孔(90)(90)を開設したメタルマスク(9)の下側に、プリント基板(4)を配備する。該メタルマスク(9)上の一端部に、ペースト状のクリーム半田(40)の塊を載置し、押込み板であるスキージ(91)で該半田(40)を孔(90)に挿入する。孔(90)内の半田(40)は刷り込まれ、プリント基板(4)上に印刷される。
周知の如く、プリント基板(4)上には、銅製のパターン(41)が形成され、半田(40)が正確に印刷されると、図16(a)に示すように、半田(40)がパターン(41)からはみ出すことなく正確に載る。しかし、プリント基板(4)のソリやメタルマスク(9)の下側に異物等があると、隙間ができ、図16(b)に示すように、半田(40)がパターン(41)からはみ出したり、メタルマスク(9)の孔(90)に目詰まりがあると、図16(c)に示すように、半田(40)がパターン(41)上に少ししか載らないことがある。これでは半田付けが正確になされていないから、プリント基板(4)に電子部品が正確に半田付けされない虞れがある。特に、図16(b)に示すように、半田(40)がパターン(41)からはみ出すと、隣接する半田(40)と接触し、所謂ブリッジ不良となる。
そこで、従来からプリント基板(4)上の半田付け状態を検査する装置が提案されている。
【0003】
図17は、従来の検査装置(7)を示すブロック図である(特許文献1参照)。これは複数のパターン上に夫々半田(40)が印刷されたプリント基板(4)をカメラ(70)にて撮像し、該画像を画像記憶手段(71)に送る。次に2値化手段(72)が、画像記憶手段(71)が記憶している画像を2値化し、複数の半田(40)(40)間の検査用窓枠Q(図18(a)参照)内の画像を取り出し、2値化する。その後、投影手段(73)が2値化画像の投影を求め、図18(b)に示す投影像の値がしきい値S以上であれば、半田(40)(40)間が繋がったブリッジ不良としていた。これらの処理、判定は制御部(74)で行っている。
【0004】
また、他の従来例として、市販のイメージスキャナを用いて、プリント基板(4)上の半田付け状態を検査する装置がある(特許文献2参照)。図19は、イメージスキャナ(2)の断面図である。イメージスキャナ(2)は周知の如く、上面のカバー(24)が透明であって、ガイド軸(21)に沿って左右に移動可能な読取りモジュール(5)を内部に設けている。該カバー(24)に治具(28)を載置し、該治具(28)に半田(40)を下向きにしたプリント基板(4)を置く。読取りモジュール(5)をガイド軸(21)に沿って半田(40)の画像を走査する。
図20は、読取りモジュール(5)の内部を示す断面図である。ライト(53)からの光は、検査対象品(図示せず)の下面を照らし、その反射光が開口である画像読取り部(54)から読取りモジュール(5)内に入る。該光はミラー(55)(55a)(55b)(55c)に反射されて、レンズ(56)(56a)を通ってCCDイメージセンサ(57)に達して、検査対象品の画像を読み取る。
読取りモジュール(5)は、一端部が1本のガイド軸(21)に沿って移動し、他端部がガイド(図示せず)に載置されている。
更に他の従来例として、イメージスキャナによって画像を取り込み、2値化画像とマスク画像とをマスク処理手段により、半田面積・半田ズレを判定するものがある。前記2値化画像と前記マスク画像を反転したマスク処理手段により、所定の座標及び面積を計算し、ブリッジの判定をする検査装置がある(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−18237号公報
【特許文献2】実開平5−25871号公報
【特許文献3】特開2005−156381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の検査装置では、以下の解決すべき点がある。先ず、図17に示す検査装置(7)では、カメラ(70)は半田(40)の高い所から撮像する。従って、カメラ(70)と半田(40)の距離が実際は30−80cmと離れている。ところが、高い場所から検査すべき全ての半田(40)(40)の画像を取り込もうとすると、分解能が低すぎて、精密な検査ができない。従って、カメラ(70)又は検査装置を前後左右に移動させて、1回に検査すべき半田(40)(40)の個数を少なくして、検査する手法が一般的である。これでは、検査装置の構造が複雑で、装置全体が高価となる。
また、図19に示す検査装置では、プリント基板(4)を治具(28)上に置くから人手を介する。従って、人手を介する検査工程又は抜き取り検査には適しているが、プリント基板(4)を自動的に搬送して、複数の半田(40)(40)を連続的に検査するには不向きである。その理由は、図19に示す検査装置では、半田(40)を下向きにしてプリント基板(4)を置く必要がある。ところが、半田(40)を印刷した状態では、半田(40)が硬化しておらず、半田(40)を下向きにすると半田(40)が垂れたり落下する虞れがある。また、プリント基板(4)上のゴミがイメージスキャナ(2)又は透明カバー(24)上に落下する虞れもある。これでは画像処理上、阻害要因となり、課題が残る。半田(40)やゴミ等の落下を防止するには、専用の治具が別途必要となり、設備コストの増大に繋がる。
更に、画像処理に於いて、特許文献1では個々に検査範囲を設定する為、時間が掛かり過ぎる。また、特許文献3に於いては、半田の面積にて良否を判定しているが、半田の表面は印刷される毎に変化する凹凸があり、色の変化も大きく、暗い部分も生じる。
特に暗い部分が、半田か、隣接するレジストか判別し難く、まして上記のように変化するため、半田の色としては特定することができない。従って、半田面積を正確に積算し難く、半田不足による誤判定、ブリッジの誤判定を招来する虞れがある。
出願人は、市販のイメージスキャナ(2)を上下逆さにして、イメージスキャナ(2)の下側にプリント基板(4)を搬送し、半田(40)を上向きにしてプリント基板(4)を連続的に検査する装置を着想した。
本発明の目的は、イメージスキャナ(2)を用いて低コストでスムーズに半田付け状態を検査することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検査装置は、少なくとも1本のガイド軸(21)に沿って移動し、画像読取り部(54)を下側に向けて画像を走査する読取りモジュール(5)及び該読取りモジュール(5)を水平状態に支持する水平支持部材を具えたイメージスキャナ(2)と、該イメージスキャナ(2)の画像読取り部(54)の下側に検査対象物を搬送する搬送手段と、読取りモジュール(5)が走査した画像を処理してモニター(11)に表示する手段を設けている。
イメージスキャナ(2)の下面には、検査対象物に対向して透明カバー(24)が設けられ、イメージスキャナ(2)には、画像読取り部(54)と検査対象物との焦点距離を合わせる為に上下間隔及び傾きを微調整する第1の手段と、検査画像を読みとる為の平面位置及び角度θの微調整をする第2の手段を設けている。
また、検査装置は、半田印刷前基板のパターンを認識する手段と、半田印刷後基板のパターンを認識する手段と、前記半田印刷前基板のパターンと半田印刷後パターンの画像とを重ね合わせ、半田が印刷されていない検査対象外のパターンを一括削除し、削除されなかった半田印刷後のパターン全体をマスターとして面積積算する手段と、該マスターに基づいて検査対象であるパターンの良否判定基準となる面積比率を設定する手段を具え、
判定基準となる面積比率を設定した後に、イメージスキャナ(2)の下側に搬送されてきた検査対象である半田印刷後のパターンの残り面積を求め、該パターンの残り面積のマスターに対する割合が、判定基準面積比率以上か否かにより、半田不足を判定する。
更に検査装置は、前記半田印刷後のパターン画像をノイズ処理する手段と、該ノイズ処理されたパターン画像とマスターの画像とを重ね合わせ、隣接する検査対象パターンどうしが半田(40)により連結又は接近しているか否か、又は半田(40)どうしが連結又は接近しているか否かの判断をする手段を具え、ブリッジ又はブリッジ仕掛かりを判定している。
【発明の効果】
【0008】
1.読取りモジュール(5)は、1本のガイド軸(21)及び水平支持部材に支持されているから、画像読取り部(54)を下側に向けても、画像を走査することができる。更に、透明カバー(24)と検査対象物との距離が確保されているから、スムーズに画像が走査できる。
検査対象物の上側から、画像を走査するから、検査対象物から画像読取り部(54)又は透明カバー(24)上にゴミ等が落下することはなく、正確に検査画像を走査することができる。
イメージスキャナ(2)は上下間隔及び傾きを微調整して焦点を合わせているから、精度良く検査することができる。
2.イメージスキャナ(2)は市販品又は市販品を一部改造したものを用いるから、低コストで上面に印刷された半田付け状態を人手を介せず、自動的に連続して検査することができる。
3.更に、画像処理に於いて、該検査装置では一括で検査範囲が指定でき、プログラム作成時間も短縮される。また、半田が印刷されていないパターンの残り面積を積算して、該残り面積のマスターに対する割合が判定基準となる面積比率以上か否かにより、良否を判定するから、半田不足の判定も容易である。この判定は半田(40)の面積に関係なく、隣接したパターン又は印刷された半田どうしが半田により連結されているか、又は半田が接近しているかを単に判定するため、ブリッジ又はブリッジ仕掛かりの判定も誤りが少ない。誤った判定が少ないことにより、生産ストップが少なく、生産効率も良い。不良の判定に於いても、モニターに拡大して表示されるから、基板の不良個所も判り易い。従って、良否の判定が確実であり、リアルタイムでフィードバックもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1実施例
以下、本発明の一実施例を図を用いて詳述する。先に検査装置の構成について詳述する。
図1は、検査装置(1)の概略を示す正面図であり、図2は、該検査装置(1)の斜視図である。
検査装置(1)は、左右に延びて間欠駆動されるコンベアベルト(32)上に配備され、該コンベアベルト(32)上には半田付けされるべき複数のプリント基板(4)(4)が互いに離れて載置される。検査装置(1)よりもコンベアベルト(32)上流側には、印刷機(8)が配備される。検査装置(1)よりもコンベアベルト(32)下流側には、プリント基板(4)への電子部品搭載機及び半田を熱硬化するリフロー炉(図示せず)がある。印刷機(8)のコンベアベルト(32)と、検査装置(1)のコンベアベルト(32)は僅かに離れている。
印刷機(8)内では、メタルマスク(9)にプリント基板(4)を密着させ、スキージ(91)にてクリーム半田(40)がプリント基板(4)のパターン上に印刷される。この工程は従来と同様である。
【0010】
検査装置(1)は、コンベアベルト(32)によって搬送された半田印刷済みのプリント基板(4)の上方に位置するイメージスキャナ(2)、該イメージスキャナ(2)の画像をデジタル処理するパーソナルコンピュータ(10)「以下、PC(10)と言う」、該PC(10)にて処理された画像を映すモニター(11)、作業者がモニター(11)の画像を見て半田付けの良否を手入力するキーボード(12)を具える。PC(10)のデジタル画像処理は、後述する。また、イメージスキャナ(2)は市販品、又は市販品を一部改造したものであり、安価に入手することができる。
コンベアベルト(32)上には、プリント基板(4)の下流側端面に当接するストッパ(33)が出没可能に設けられ、プリント基板(4)がイメージスキャナ(2)によって画像走査される際には、ストッパ(33)によって移動を規制される。画像操作後は、ストッパ(33)がプリント基板(4)から離れて下流への移動が許される。
【0011】
図2に示すように、イメージスキャナ(2)の側部にはナット(35)が設けられ、該ナット(35)はコンベアのフレーム(3)に立設された第1ネジ軸(30)に螺合する。第1ネジ軸(30)を回転させれば、イメージスキャナ(2)が昇降して、画像走査するプリント基板(4)との間隔を調節することができる。即ち、ナット(35)と第1ネジ軸(30)とで、イメージスキャナ(2)とプリント基板(4)との間隔をミリ単位で調節する調節手段を構成する。
イメージスキャナ(2)とプリント基板(4)との間隔を調節することにより、プリント基板(4)の半田(40)付け状態のみならず、プリント基板(4)に電子部品を載置して半田付けした状態も検査することができる。
【0012】
図3は、イメージスキャナ(2)の下面図であり、図4は、図2をA−A線を含む面にて破断した断面図である。イメージスキャナ(2)は2本の互いに離間したガイド軸(21)(21)に沿って左右に移動可能な読取りモジュール(5)をキャビネット(20)内部に設けており、ステッピングモータ(22)に連結した駆動ベルト(23)によって読取りモジュール(5)は駆動される。読取りモジュール(5)は、2本のガイド軸(21)(21)によって水平に支持されており、一方のガイド軸(21)に余裕の少ない状態で嵌まり、他方のガイド軸(21)に余裕がある状態で嵌まる。イメージスキャナ(2)の下面には、透明なカバー(24)が被さる。又は、透明カバー(24)がなく、読取り部にホコリ防止用透明カバー(図示せず)を配置しても良い。
本例にあっては、通常のイメージスキャナ(2)の使用とは異なり、画像読取り部(54)を下側に向けている。読取りモジュール(5)の走査動作は、制御回路(29)によって制御され、読取りモジュール(5)が2本のガイド軸(21)(21)に嵌まっているから、イメージスキャナ(2)を上下を反転させても使用することができる。
コンベアベルト(32)(32)は、プリント基板(4)の幅長さに合わせて、互いに離間して2本設けられている。各コンベアベルト(32)はベルト受け(34)に受けられて、各ベルト受け(34)はフレーム(3)(3)間に設けられた第2ネジ軸(31)に螺合する。第2ネジ軸(31)を回転させることにより、コンベアベルト(32)(32)間の間隔を調節することができる。
【0013】
(検査手順)
以下、検査手順を説明する。印刷機(8)にてクリーム半田(40)が印刷されたプリント基板(4)はベルト(32)に載置されて、ストッパ(33)にて止められて、イメージスキャナ(2)の下方に位置する。イメージスキャナ(2)の画像読取り部(54)及び透明カバー(24)と、プリント基板(4)の上下間隔は、予め第1ネジ軸(30)を回転させて調節され、本例では1cm以下の数ミリ程度である。この寸法に限定されない。
画像読取り部(54)又は透明カバー(24)とプリント基板(4)の間に数ミリの隙間を空けているのは、以下(i)−(iv)の理由による。
(i)クリーム半田(40)が未だ硬化していないので、画像読取り部(54)又は透明カバー(24)とプリント基板(4)が接すると、クリーム半田(40)が画像読取り部(54)又は透明カバー(24)に付着する虞れがある。
(ii)隙間がないとプリント基板(4)をベルト(32)にて正しく搬送できない。
(iii)イメージスキャナ(2)では検査対象物であるプリント基板(4)との間に数ミリの隙間がないと、正確に画像を走査できない。
(iv)画像読取り部(54)の焦点距離が8mm程度であり、その隙間がないと、正確に画像を走査できない。
イメージスキャナ(2)の読取りモジュール(5)を左右に移動させて、プリント基板(4)の半田(40)の画像を取り込み、PC(10)にて画像処理して、不良と判定した場合、モニター(11)に表示する。作業者はモニター(11)の画像を見て半田印刷の真の良否を判断し、「良」と判断すれば、ベルト(32)を移動させて、次のプリント基板(4)をイメージスキャナ(2)の下方に移動させる。「否」即ち不良品と判断すれば、プリント基板(4)を取り出す。この場合、プリント基板(4)を取り出すまで、ストッパ(33)は解除されず、モニター(11)の画像も更新されない。
【0014】
PC(10)で画像処理し、良否を判定したデータ及びプリント基板(4)の顧客名、検査対象品名、日付、検査方式等は全て情報として、PC(10)内に保存される。この情報を再生産に活用するのが好ましい。また、モニター(11)への表示に於いて、判定すべき箇所を自動的に拡大表示して、判定を容易にしてもよい。更に、「否」との判定を前工程にフィードバックすべく、プリント基板(4)上の「否」位置を縮小表示して該位置を確認しやすくしてもよい。これらの設定は、PC(10)内のソフトウエアにより対応可能である。
【0015】
読取りモジュール(5)を水平に支持する構成は、上記の2本のガイド軸(21)(21)に限定されない。例えば、図5に示すように、1本のガイド軸(21)にて、読取りモジュール(5)の一端部を支持し、読取りモジュール(5)の他端部から突片(58)を突出する。イメージスキャナ(2)のキャビネット(20)内部から受け片(25)を突出し、該受け片(25)にて突片(58)の下面を受けてもよい。また、図6に示すように、2つの突片(58)(58a)を上下に離間して設け、上側の突片(58)の下面を受け片(25)の上面に当接させてもよい。この場合、下側の突片(58a)と受け片(25)の下面との間には隙間があっても良い。即ち、突片(58)(58a)間の間隔は正確な精度が要求されず、これによりコスト上昇を抑えることもできる。図7に示すように、上側の突片(58)をガイド軸(21)で受けてもよい。
更に、図8に示すように、受け部材(26)を透明カバー(24)上に設け、該受け部材(26)にて読取りモジュール(5)の他端部から突出した突片(58)の下面を受けてもよい。図5乃至図8では、駆動ベルト(23)を図示しない。
【0016】
また、前記の如く、透明カバー(24)とプリント基板(4)の間に数ミリの隙間を空ける必要がある。上記では、ナット(35)と第1ネジ軸(30)から構成される調節手段にて、透明カバー(24)とプリント基板(4)の間に隙間を設けていたが、これに代えて、図9に示す構成でもよい。
図9は、他の実施例を示すイメージスキャナ(2)の側面断面図であって、コンベアのフレーム(3)とイメージスキャナ(2)の透明カバー(24)との間にスペーサ(6)を設けている。これによって、透明カバー(24)とプリント基板(4)の間に隙間を設けてもよい。スペーサ(6)は図9に一点鎖線で示すように、フレーム(3)を貫通して床面(69)に載置されてもよい。
また、図10は、他の実施例を示すイメージスキャナ(2)の正面断面図である。図9と同様に、コンベアのフレーム(3)とイメージスキャナ(2)の透明カバー(24)との間にスペーサ(6)を設けている。しかし、図9と異なり、図10では左側のスペーサ(6)には、イメージスキャナ(2)の下端部が枢支(60)されている。図10に示す構成により、検査終了後に、イメージスキャナ(2)を枢支(60)を中心として上向きに回動させて、検査済みのプリント基板(4)を上から取り出すことができる。但し、これに限定されない。これにより、下流のコンベア及びストッパ(33)が不要になり、設備コストを低減することができる。
又は、イメージスキャナ(2)の両側にスライドガイドを取り付け(図示せず)、検査終了後に、イメージスキャナ(2)を奥側にスライドさせて、プリント基板(4)を取り出すことも好ましい。
【0017】
第2実施例
図11は、別の実施例に於けるイメージスキャナ(2)を示す平面図である。一般的な市販スキャナは、最大読取りがA4サイズ(縦21cm×横30cm)であり、プリント基板(4)のサイズは、A4サイズで分解能を上げると走査時間が長くなる。本例にあっては、イメージスキャナ(2)内に3つの読取りモジュール、即ち、第1読取りモジュール(5)、第2読取りモジュール(50)、第3読取りモジュール(51)が設けられている。図示の便宜上、ガイド軸(21)(21)を図示しない。プリント基板(4)の上流側、即ち右側から1/3の領域は、第1読取りモジュール(5)にて画像走査され、プリント基板(4)の下流側、即ち左側から1/3の領域は、第2読取りモジュール(50)にて画像走査される。即ち、図12にて、領域Xが第1読取りモジュール(5)にて画像走査され、領域Yが第2読取りモジュール(50)にて画像走査される。即ち、第1、第2読取りモジュール(5)(50)では、プリント基板(4)の長手方向中央部の領域Zが画像走査されない。このとき、該プリント基板(4)の下流側に位置するプリント基板(4)は、第3読取りモジュール(51)にて残り1/3の領域Zが画像走査される。この方法により、前記第1と第2モジュール(5)(50)の接触は避けられる。
次に、プリント基板(4)はストッパ(33)が解除されて、第3読取りモジュール(51)に送られる。第3読取りモジュール(51)にて、領域Zが画像走査される。本例にあっては、3つの読取りモジュール(5)(50)(51)にて半田(40)の画像を走査するので、走査する時間を短縮することができる。即ち、検査対象面を分割して、各読取りモジュール(5)(50)(51)にて分割した検査対象面を読み取るので、画像走査する時間を短縮することができる。
【0018】
図13(a)は、別のサイズのプリント基板(4)を走査する第1乃至第3読取りモジュール(5)(50)(51)の位置関係を示す平面図である。プリント基板(4)のサイズは、上記長手方向の2/3程度であり、この場合は、図13にVで示すプリント基板(4)の右端部と第1読取りモジュール(5)の間は画像が走査されない。しかし、第2読取りモジュール(50)にてプリント基板(4)の左端部が走査され、第3読取りモジュール(51)にて、プリント基板(4)の長手方向中央部が画像走査される点は、上記と同様である。
また、プリント基板(4)の縦横サイズは、上記のA4サイズに限定されず、A4サイズよりも縦横が長いサイズであってもよい。例えば、横がA4よりも長い場合は、上記図11が応用できる。又、縦が長い場合は、図13(b)に示すように、コンベアベルト(32)に対し、直交して走査する複数の読取りモジュール(5)(5)を配置すれば良い。
【0019】
第3実施例
図14は、他の実施例に於けるイメージスキャナ(2)を示す平面図である。本例にあっては、複数、図14では10個の縦型読取りモジュール(52)(52)が配備され、該縦型読取りモジュール(52)(52)は移動しない。その代わりに、コンベアベルト(32)上のプリント基板(4)が移動する。これは、プリント基板(4)の傷や汚れ、ゴミやパターンの検査に於いては、5−10ミクロン程度の高い分解能で検査する必要があり、相当の時間が掛かる。従って、横型に比べ、平面積が小さく、縦型の読取りモジュール(52)(52)を数多く配備して、検査面を分割し、プリント基板(4)の移動距離も短く、走査時間を少なくした。尚、縦型読取りモジュール(52)(52)の個数は、図14で示す個数に限定されない。
【0020】
第4実施例
図26(a)は、他の実施例のイメージスキャナの側面断面図であり、(b)はその平面図である。イメージスキャナ(2)の外側には保護カバー(200)が取り付けられ、該保護カバー(200)の下面は透明カバー(24)にて覆われる。イメージスキャナ(2)の外側にはステー(300)が被さり、該ステー(300)の下端部はネジ(310)にて、コンベアのフレーム(3)(3)に取り付けられている。ステー(300)の天面と保護カバー(200)の上面は、イメージスキャナ(2)の幅方向に沿って離れた2本の第1調整ネジ(210)(210)にて連結され、イメージスキャナ(2)内の読取りモジュール(5)と検査対象物であるプリント基板(4)との上下間隔及び傾きθ1は、第1調整ネジ(210)(210)を回転させることにより調整される。即ち、第1調整ネジ(210)(210)は、読取りモジュール(5)の画像読取り部(54)と検査対象物との焦点距離を合わせる為に、上下間隔及び傾きθ1を微調整する第1の手段を構成する。
但し、第1調整ネジ(210)はステー(300)の天面に余裕を持って螺合し、僅かな平面方向のガタ付きを許す。ステー(300)の側面と、保護カバー(200)の側面には、第2調整ネジ(220)(220)が螺合し、該第2調整ネジ(220)(220)を回転させることにより、読取りモジュール(5)の平面位置及び角度θ2が調整される。即ち、第2調整ネジ(220)(220)は読取りモジュール(5)の画像読取り部(54)の平面位置及び角度θ2を調整する第2の手段を構成する。
【0021】
読取りモジュール(5)はコンベアベルト(32)の移動方向に沿って略平行に走査することができる。プリント基板(4)の長さがA4サイズ(縦21cm×横30cm)以下であれば、1回の走査で画像を読みとるが、A4サイズを超えれば2回に分けて走査する。フレーム(3)上には、コンベアベルト(32)の搬送方向に沿って、第1ストッパ(320)と第2ストッパ(330)とが設けられている。第1ストッパ(320)と第2ストッパ(330)は、プリント基板(4)に向かって昇降可能であり、プリント基板(4)が読取りモジュール(5)に対向していないときは、上昇している。
プリント基板(4)の長さがA4サイズを超えるときは、図26(c)に示す如く、先ず第1ストッパ(320)をプリント基板(4)の側面に当てて、プリント基板(4)の搬送方向に沿う前半部A1を走査する。その後、第1ストッパ(320)とプリント基板(4)の当接を解除し、図26(d)に示す如く、プリント基板(4)がプリント基板(4)の搬送側に位置する第2ストッパ(330)にまで搬送される。その後、残りの後部分B1領域が走査される。
一般に、市販のイメージスキャナ(2)の読取りモジュール(5)では、A4サイズまでしか走査できない。しかし、本例ではプリント基板(4)の横長さが、A4サイズを超えても、2回に分けて走査することにより、最大約60cmまで読みとり可能である。
【0022】
第5実施例
図27(a)は、他の実施例のイメージスキャナの側面断面図であり、(b)はその平面図、(c)、(d)は読取りモジュール(5)の走査動作を示す平面図である。本例にあっては、プリント基板(4)の搬送方向に対し、読取りモジュール(5)の走査方向は略直交する。第1調整ネジ(210)(210)及び第2調整ネジ(220)(220)を設けた構成は、図26に示す実施例と同様である。
本例では、読取りモジュール(5)はコンベアベルト(32)の移動方向に略直交して走査することができる。ステー(300)上に、保護カバー(200)を被せ、イメージスキャナ(2)をステー(300)から吊り下げている。読取りモジュール(5)の1回の走査では、長さが約21cm程度のプリント基板(4)しか読みとることができない。しかし、プリント基板(4)を搬送して再度読みとる、即ち2回走査することにより、長さが縦約30cm、横約40cm程度のプリント基板(4)まで読みとることができる。
【0023】
(検査画像処理の第1例)
イメージスキャナ(2)により読み取った後に於ける、PC(10)のデジタル画像処理と判定手段の一例について詳述する。また、他の例については後記する。
図21は、プリント基板(4)の半田印刷されるべきパターン(41)と半田印刷されないパターン(41a)を示す、半田印刷前基板の概略平面図である。尚、A、Bは半導体、Cはチップで、後に搭載される電子部品である。Dは、半田付着防止レジスト塗膜である。該レジストは一般的に緑色で、パターン(41)(41a)を除き全面的に薄く塗布されている。また、半田印刷されないパターン(41a)とは、例えば後工程にて人手で半田を付着するパターンである。
図22は、前記図21のプリント基板(4)上の半田印刷されるべきパターン(41)上に、半田(40)が印刷されたパターンの状態を示す。図22は、半田(40)がパターン(41)上に被さり、パターン(41)が隠れている。一方、半田印刷されていないパターン(41a)のみ存在している状態を示す。
【0024】
前記PC(10)に於いて、図21に示す前記半田印刷前基板のパターン(41)(41a)を抽出し、その後、2値化及びノイズ処理したパターン画像を認識する。次に、図22に示す前記半田印刷後基板の半田の色を抽出し、2値化・ノイズ処理した半田(40)印刷後のパターン画像を認識する。但し、この場合は正確に印刷されているかをモニター(11)で拡大し確認した後に実行する。当然に不具合であればやり直す。正確な印刷の場合、上記画像認識後に下流に搬送する。次に、前記図21のパターン(41)(41a)画像と前記半田(40)印刷後のパターン画像を重ね合わせ、半田(40)が印刷されていない検査対象外のパターン(41a)を一括削除する。
これにより、半田が印刷されるべきパターン(41)のみが存在する。夫々のパターン(41)の全体面積を積算して、これをマスターとする。次に、該マスターに基づいて、検査対象であるパターン(41)の良否判定の基準となる面積比率を設定する。この面積比率とは、パターン(41)の全体面積に対して、半田が印刷されずに残ったパターン(41)の面積の許容範囲を指す。該積算面積及び面積比率はPC(10)内に格納され、該面積比率を設定した後に、イメージスキャナ(2)の下側に搬送されてきた検査対象であるパターン(41)の面積を求める。
【0025】
図23(a)、(b)、(c)、(d)は、半田印刷後の検査基板に於いて、パターン(41)上の一部分に半田(40)が印刷された状態を示す。残っているパターン(41)の面積をマスターで除して、パターン(41)が残っている割合を求める。良否判定の基準となる面積比率を超えて、パターン(41)が残っている場合、半田不足と判定する。
即ち、半田印刷後のパターン(41)の残り面積が、判定基準である面積比率以上か否かにより、半田不足を判定する。
例えば、図23(a)に示す如く、半田(40)がパターン(41)の全面に印刷されていないときは、パターン(41)が残っている。該パターン(41)の良否判定基準となる基準面積を20%以下と設定している場合、図23(a)のパターン(41)上には、半田(40)が80%以下しか印刷されておらず、パターン(41)の残り面積は、パターン(41)全体面積の20%以上であるから、半田不足と認定する。
図23(b)は、パターン(41)全面に半田(40)が正確に印刷されており、パターン(41)の残り面積は0%であり、20%以下であるから良品と判定する。
半田(40)の凹凸で、影が仮に存在しても、影の下のパターン(41)が隠れて見えないから、半田不足の判定には影響がない。即ち、図23(c)のように、レジストと半田(40)との境界線が曖昧なエリア(40D)があっても、その下のパターン(41)が隠れており、パターン(41)が露出している部分が20%以上あれば、半田不足と判定できる。これとは逆に、図23(d)では、パターン(41)が曖昧なエリア(40D)に隠れて全く見えないから、半田印刷が良好と判る。
【0026】
尚、一般に画像処理は検査対象物の色を抽出し、光の三原色に当たる赤緑青(RGB)に於いて、検査対象物の色分布と明るさとで特定する。その後、一般に行う2値化処理・ノイズ処理をして認識する。ところが、半田(40)は印刷毎に色の変化があり、また光が乱反射してRGBがまだらに映り、半田(40)の色として特定しがたい虞れがある。本例では、色変化が無いパターン(41)の面積を計算する。この手段により、半田不足の誤判定が少なくて済む。
印刷された半田(40)の表面は、半田粒子の大きさ及び印刷むら等により、銅製のパターン(41)に比べて凹凸が大きく、色の変化も大きい。半田の色を抽出する際、前記レジストの色と一部混ざり合って該レジストと半田(40)の境界線が不正確となる虞れがある。イメージスキャナ(2)での画像読込みに於いて、特にこの傾向がある。従って、半田面積の判定が正確に欠ける虞れがある。本発明はこのことに鑑みて、比較的凹凸が少ないパターン(41)の面積を積算することにした。この手段により、半田不足の誤判定が少なくて済む。
【0027】
図24(a)は、2値化処理後にノイズ処理をした前記半田(40)印刷後のパターン画像とマスターであるパターン(41)の画像を重ね合わせ、隣接するパターン(41)(41)どうしが半田(40)によって連結されているブリッジ状態を示す。該連結状態を認識して、ブリッジ状態か否かを判定する。本例では、図24(b)に示す如く、前記レジストと半田(40)との境界線が不正確で曖昧なエリア(40D)があったとしても、図示の如く、隣接するパターン(41)(41)どうしが半田(40)により連結又は接近しているか否か、又は半田(40)どうしが半田(40)により連結又は接近しているか否かを認識するだけであり、シンプルに判定することができる。従って、ブリッジの誤判定が少なくて済む。
マスターには、後記するように、半田印刷前基板のパターンとフィルム(96)の画像(95)とを重ね合わせて形成したものを使用してもよい。
【0028】
尚、図24(c)は、半田(40)のにじみ状態を示す。該にじみ半田(40)は半田溶解時に半田の表面張力により、パターン中央部に引き寄せられて、図24(d)に示す如く、にじみが小さくなる、又は無くなる場合が多い。この現象は、隣接するパターン間には前記レジスト塗膜があるために、上記半田が引き寄せられ易い。但し、隣接するパターン(41)(41)が半田(40)により連結している場合、両パターン(41)(41)の半田(40)が互いに引っ張られブリッジが存在したまま半田付けされる。
従来では、にじみ半田(40)が所定の座標範囲よりはみ出していても、前記連結していない場合があり、ブリッジと誤判定する虞れがある。本例では隣接するパターン(41)(41)どうしが半田(40)により連結又は接近しているか否かを認識するだけであり、誤判定の虞れはない。
【0029】
また、図25(a)、(b)に示す如く、半田印刷ズレの場合であっても、該パターン(41)の残り面積が、判定基準である面積比率の範囲内であれば良品、範囲外は不良品と判定する。上記範囲内であっても、前記半田(40)により連結している場合、ブリッジと判定するから心配はない。
更に、隣り合う半田(40)(40)間の距離が一定長さ以下で有れば、ブリッジの虞れがあるとして、不良品と判定する。換言すれば、クリーム状の半田(40)(40)に部品が搭載されたときに、半田(40)(40)がパターン(41)(41)からはみ出ることがある。隣り合うパターン(41)(41)又は半田(40)(40)が非常に接近していれば、半田(40)(40)が連結する虞れがある。従って、隣り合うパターン(41)(41)又は半田(40)(40)が極端に接近していれば、ブリッジの虞れがある(ブリッジ仕掛かりと言う)として、不良品と判定する。
【0030】
検査基板の検査が全て終了し、良品と判定した場合、該基板を下流に搬送させる。具体的には、ストッパ(33)を解除し、コンベアベルト(32)を駆動させ搬送する指令の信号をPC(10)から制御装置に送る。
不良があった場合は、搬送指令の信号は送らず、ストッパ(33)は解除されない。モニター(11)に不良箇所が赤枠で囲まれて拡大表示され、更にモニター(11)の隅部に縮小された基板全体と不良箇所の位置が画像表示される。作業者は該画像を見て良否の判断をする。良品と判断した場合は、キーボード(12)のOKボタンを操作して、基板を下流に搬送させる。又、不良と判断した場合は、基板を取り出す。尚、不良の箇所が判っているので、フィードバックをする。即ち、印刷機(8)の修正又はメタルマスク(9)の清掃を行い、不良原因を取り除く。
【0031】
(検査画像処理の第2例)
図15を用いて説明した如く、プリント基板(4)上にクリーム半田(40)を印刷する際には、複数の孔(90)(90)を開設したメタルマスク(9)を用意する必要がある。このメタルマスク(9)の孔(90)(90)の位置や大きさのデータは、フォトデータとしてPC(10)内に取り込むことができる。該フォトデータには、半田印刷されないパターン(41a)のデータは入っていない。本例ではこのフォトデータを利用して、半田(40)が被さらない検査対象外のパターン(41a)を一括削除する。即ち、前記検査画像処理の第1例では、半田印刷前基板のパターン(41)(41a)に半田印刷後基板のパターン画像(41)を重ね合わせて、検査対象外のパターン(41a)を削除していたが、本例では半田印刷後基板のパターン画像(41)の代わりに、フォトデータを半田印刷前基板のパターン(41)(41a)に被せる。
【0032】
図28(a)に示すように、フォトデータに基づいて孔(90)の画像(95)が生成され、該画像は透明なフィルム(96)の上面に焼き付けられる。フィルム(96)上には基準マーク(99)が設けられ、半田印刷前基板(4)の四隅にも同様の基準マークが設けられている。このフィルム(96)の画像(95)をフィルム(96)の上からイメージスキャナ(2)にて取り込んだ後に、半田印刷前基板(4)に被せ、基準マーク(99)どうしを合わせる。
これにより、フィルム(96)の画像(95)は、半田印刷前基板のパターン(41)(41a)に正しく被さり、半田印刷されるパターン(41)が隠れる。半田(40)が被さらない検査対象外のパターン(41a)を一括削除する。
これにより、半田印刷されるべき検査対象パターン(41)のみが存在する画像が製作される。夫々のパターン(41)の全体面積を積算して、これをマスターとする。次に、該マスターに基づいて、パターン(41)の良否判定の基準となる面積比率を例えば20%と設定する。
次に、検査すべき半田印刷後のプリント基板(4)のパターン(41)画像をイメージスキャナ(2)にて取り込んで、半田が印刷されていないパターン(41)の面積を求める。このパターン(41)の面積をマスターで除して、パターン(41)が残っている割合を求める。良否判定の基準となる面積比率を超えて、パターン(41)が残っている場合、半田不足と判定する。具体的には、面積比率である20%を超えて、パターン(41)が残っている場合、半田不足と判定する。パターン(41)が残っている面積が面積比率である20%以下で有れば、良品と判定する。
【0033】
図28(b)に示す如く、フィルム(96)の画像(95)を読取りモジュール(5)にて取り込む際には、フィルム(96)上に光を当てるから、該画像(95)の陰影(97)を取り込む虞れがある。フィルム(96)に厚みがあるから、陰影(97)は画像(95)に対して平面位置がずれている。パターン(41)の検査は20−40ミクロン程度のズレを検査するから、この平面位置のズレの影響は大きい。
従って、先ずPC(10)内の前記フォトデータの画像をミラー反転させて、フィルム(96)に焼き付ける。図28(c)に示すように、焼き付けた画像(95)をフィルム(96)の下面になるように上下反転し、陰影を取り込まないようにして、画像(95)を取り込めば、精度の高い検査を行うことができる。尚、上下反転したフィルム(96)の画像(95)を取り込む際には、該フィルム(96)の下に白色板(98)を敷いておけば、不必要な画像又はノイズ等を取り込むことが防止できる。
【0034】
(検査画像処理の第3例)
従来と同様に、パターン(41)(41a)は一般的には銅製であるが、近年、抵抗値が少ない、半田が付きやすい等に鑑みて、金製のパターン(41)(41a)が用いられることがある。この金製のパターン(41)(41a)の上から光を照射して、パターン(41)(41a)の画像を読取りモジュール(5)にて取り込むと、半田(40)自体に含まれている色もあり、半田(40)とパターン(41)(41a)を識別することができない虞れがある。
更に、半田(40)は周辺の色や影等で曖昧なところがある。出願人はこの点に鑑みて、半田(40)の特定色に着目した。即ち、半田(40)に隣接するレジストやパターン(40)(40a)の色等を含まない半田特定色であるRGBを抽出し、半田(40)内に点在する該半田特定色を繋いで、半田(40)が印刷された領域を特定する。
具体的には、図29に示すように、読取りモジュール(5)が取り込んだ半田(40)の画像を2値化処理・ノイズ処理をすることにより、半田特定色の要素(46)が周囲に比して黒く映し出される。この周囲に比して黒く映し出された半田特定色の要素全てを、一点鎖線で示す仮想枠(45)にて囲むことにより、半田(40)が印刷されている領域が推定される。この仮想枠(45)内の面積をマスターで除して、半田(40)が印刷されている割合を求める。PC(10)には、予め半田(40)印刷の良否判定の基準となる面積比率が設定されている。
仮想枠(45)内の面積の割合が面積比率以下で有れば、半田不足と判定する。仮想枠(45)内の面積の割合が面積比率を超えれていれば、良品と判定する。
【0035】
上記例では、プリント基板(4)の半田(40)印刷状態を確認する検査装置を開示したが、プリント基板(4)に電子部品を実装した状態、又は更にリフロー炉にて硬化した半田(40)付けの状態を検査してもよい。ここで、検査する半田(40)付けの状態には、半田(40)の有無、過小、過多、ブリッジ等が含まれる。また、検査する電子部品の実装状態には、電子部品の有無、位置ズレ、電子部品自体の間違い、極性の間違いが含まれる。
電子部品、具体的には携帯電話、デジタルカメラ等に用いる薄型の電子部品を実装したプリント基板(4)を検査するのに適しており、プリント基板(4)と画像読取り部(54)の上下間隔は、画像読取り部(54)の焦点距離である7−9mm程度に調節される。上下間隔及び傾きθ1を微調整する第1の手段、及び画像読取り部(54)の平面位置及び角度θ2を調整する第2の手段は、焦点距離を調節して、画像を正確に読み込むには、不可欠である。
又、イメージスキャナ(2)の読取り部(54)へ照明と対向する面に画像を明るくする為に、反射板(図示せず)を置いても良い。
また、本例の検査装置を、メタルマスク(9)の孔(90)の形状、位置精度、及び孔(90)周辺の半田屑の付着の有無の検査に使用してもよい。また、印刷前基板の精度を検査してもよい。
【0036】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。例えば、本発明に適した外観検査対象物であれば、電子部品実装関連でなくとも良い。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】検査装置の概略を示す正面図である。
【図2】検査装置の斜視図である。
【図3】イメージスキャナの下面図である。
【図4】図2をA−A線を含む面にて破断した断面図である。
【図5】読取りモジュールを水平に支持する他の構成を示す側面断面図である。
【図6】読取りモジュールを水平に支持する他の構成を示す側面断面図である。
【図7】読取りモジュールを水平に支持する他の構成を示す側面断面図である。
【図8】読取りモジュールを水平に支持する他の構成を示す側面断面図である。
【図9】他の実施例のイメージスキャナの側面断面図である。
【図10】他の実施例を示すイメージスキャナの正面断面図である。
【図11】別の実施例に於けるイメージスキャナを示す平面図である。
【図12】分割された検査対象面を示す平面図である。
【図13】他の実施例に於けるイメージスキャナを示す平面図である。
【図14】他の実施例に於けるイメージスキャナを示す平面図である。
【図15】プリント基板上にクリーム半田を印刷する手法を示す平面図である。
【図16】(a)、(b)、(c)は、パターン上に印刷されたクリーム半田を示す図である。
【図17】従来の検査装置を示すブロック図である。
【図18】(a)、(b)は、図17の検査装置の検査原理を示す図である。
【図19】イメージスキャナの断面図である。
【図20】読取りモジュールの内部を示す断面図である。
【図21】半田印刷前のプリント基板を示す平面図である。
【図22】半田印刷後のプリント基板を示す平面図である。
【図23】半田印刷後のプリント基板上にて、パターンの一部に半田が印刷された状態を示す。
【図24】(a)、(b)はブリッジ状態を示す平面図であり、(c)、(d)は半田のにじみ状態を示す平面図である。
【図25】(a)、(b)は、半田印刷ズレ状態を示す平面図である。
【図26】(a)は、他の実施例のイメージスキャナの側面断面図であり、(b)はその平面図、(c)、(d)はイメージスキャナの走査状態を示す平面図である。
【図27】(a)は、他の実施例のイメージスキャナの側面断面図であり、(b)はその平面図、(c)、(d)はイメージスキャナの走査状態を示す平面図である。
【図28】(a)、(b)、(c)は、検査画像処理の例を示す説明図である。
【図29】半田特定色の要素全てを囲む仮想枠を示す平面図である。
【符号の説明】
【0038】
(1) 検査装置
(2) イメージスキャナ
(4) プリント基板
(5) 読取りモジュール
(11) モニター
(21) ガイド軸
(40) 半田
(54) 画像読取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本のガイド軸(21)に沿って移動し、画像読取り部(54)を下側に向けて画像を走査する読取りモジュール(5)及び該読取りモジュール(5)を水平状態に支持する水平支持部材を具えたイメージスキャナ(2)と、該イメージスキャナ(2)の画像読取り部(54)の下側に検査対象物を搬送する搬送手段と、読取りモジュール(5)が走査した画像を処理してモニター(11)に表示する手段を設け、
イメージスキャナ(2)の下面には、検査対象物に対向して透明カバー(24)が設けられ、イメージスキャナ(2)には、画像読取り部(54)と検査対象物との焦点距離を合わせる為に上下間隔及び傾きθ1を微調整する第1の手段と、検査画像を読みとる為の平面位置及び角度θ2の微調整をする第2の手段を設けたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
第1及び第2の手段は、ステー(300)を介して設けられた、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
イメージスキャナ(2)は枢支(60)を中心として上向きに回動可能、又は奥向きにスライド可能に設けられて、検査終了後に、上向きに回動又は奥向きスライドされて、プリント基板(4)を取り出し可能に開放する、請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
検査対象物を停止させる第1ストッパ(320)と第2ストッパ(330)を、検査対象物の搬送方向に沿って設け、1つの読取りモジュール(5)にて第1ストッパ(320)に停止された検査対象物の前端部と、第2ストッパ(330)に停止された検査対象物の後端部を走査する、請求項1乃至3の何れかに記載の検査装置。
【請求項5】
イメージスキャナ(2)内には、読取りモジュール(5)が複数個設けられ、検査対象物の検査面を分割して読取る、請求項1乃至4の何れかに記載の検査装置。
【請求項6】
検査対象物は、プリント基板(4)上に印刷された半田(40)又はパターン(41)である、請求項1乃至5の何れかに記載の検査装置。
【請求項7】
半田印刷前基板のパターンを認識する手段と、半田印刷後基板のパターンを認識する手段と、前記半田印刷前基板のパターンと半田印刷後パターンの画像とを重ね合わせ、半田が印刷されていない検査対象外のパターンを一括削除し、削除されなかった半田印刷後のパターン全体をマスターとして面積積算する手段と、該マスターに基づいて検査対象であるパターンの良否判定基準となる面積比率を設定する手段を具え、
判定基準となる面積比率を設定した後に、イメージスキャナ(2)の下側に搬送されてきた検査対象である半田印刷後のパターンの残り面積を求め、該パターンの残り面積のマスターに対する割合が、判定基準となる面積比率以上か否かにより、半田不足を判定する、請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
半田印刷前基板のパターンを認識する手段と、半田印刷すべき領域が設定されたフォトデータを用いて作成されたフィルム(96)の画像(95)を認識する手段と、半田印刷前基板のパターンとフィルム(96)の画像(95)とを重ね合わせ、フィルム(96)の画像(95)が被さっていない検査対象外のパターンを一括削除し、削除されなかったパターン全体をマスターとして面積積算する手段と、該マスターに基づいて検査対象パターンの良否判定基準となる面積比率を設定する手段を具え、
判定基準となる面積比率を設定した後に、イメージスキャナ(2)の下側に搬送されてきた検査対象である半田印刷後のパターンの残り面積を求め、該パターンの残り面積のマスターに対する割合が、判定基準となる面積比率以上か否かにより、半田不足を判定する、請求項6に記載の検査装置。
【請求項9】
前記フォトデータをミラー反転して、画像(95)はフィルム(96)の下面に形成される、請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
半田印刷前基板のパターンを認識する手段と、半田印刷後基板のパターンを認識する手段と、前記半田印刷前基板のパターンと半田印刷後パターンの画像とを重ね合わせ、半田が被さっていない検査対象外のパターンを一括削除し、削除されなかったパターン画像をマスターとして面積積算する手段を具え、
面積積算後に、イメージスキャナ(2)の下側に搬送されてきた検査対象であるパターン上の半田印刷領域から、半田特定色を抽出し、該半田特定色の箇所を囲む仮想枠(45)から半田印刷領域の面積を推定し、該推定した半田印刷領域の面積と、マスターの面積との比率から、半田不足を判定する、請求項6に記載の検査装置。
【請求項11】
半田印刷前基板のパターンを認識する手段と、半田印刷すべき領域が設定されたフォトデータを用いて作成されたフィルム(96)の画像(95)を認識する手段と、半田印刷前基板のパターンとフィルム(96)の画像(95)とを重ね合わせ、フィルム(96)の画像(95)が被さっていない検査対象外のパターンを一括削除し、削除されなかったパターン全体をマスターとして面積積算する手段を具え、
面積積算後に、イメージスキャナ(2)の下側に搬送されてきた検査対象であるパターン上の半田印刷領域から、半田特定色を抽出し、該半田特定色の箇所を囲む仮想枠(45)から半田印刷領域の面積を推定し、該推定した半田印刷領域の面積と、マスターの面積との比率から、半田不足を判定する、請求項6に記載の検査装置。
【請求項12】
前記半田(40)印刷後のパターン画像をノイズ処理する手段と、ノイズ処理されたパターン画像と、マスターの画像とを重ね合わせ、隣接する検査対象パターン(41)(41)又は半田(40)(40)どうしが半田により連結しているか、又は接近しているか否かの判断をする手段を具え、ブリッジ又はブリッジ仕掛かりを判定している、請求項7又は10に記載の検査装置。
【請求項13】
半田印刷前基板のパターンとフィルム(96)の画像(95)とで形成されたマスターの画像と、半田(40)印刷後のパターンとを重ね合わせ、隣接する検査対象パターン(41)(41)又は半田(40)(40)どうしが半田により連結しているか、又は接近しているか否かの判断をする手段を具え、ブリッジ又はブリッジ仕掛かりを判定している、請求項8、9又は11の何れかに記載の検査装置。
【請求項14】
少なくとも1本のガイド軸(21)に沿って移動し、画像読取り部(54)を下側に向けて画像を走査する読取りモジュール(5)及び該読取りモジュール(5)を水平状態に支持する水平支持部材を具えたイメージスキャナ(2)と、該イメージスキャナ(2)の画像読取り部(54)の下側に、半田(40)が印刷されるパターンを設けた基板(4)を搬送する搬送手段と、読取りモジュール(5)が走査した画像を処理してモニター(11)に表示する手段を設けた検査装置を用いた検査方法であって、
搬送手段によって、基板(4)をイメージスキャナ(2)の画像読取り部(54)の下側に搬送する工程と、
読取りモジュール(5)が基板(4)の上から画像を走査する工程と、
半田印刷前基板のパターンを認識し、半田印刷後基板のパターンを認識し、前記半田印刷前基板のパターンと半田印刷後基板パターンの画像とを重ね合わせ、半田が印刷されていない検査対象外のパターンを一括削除し、削除されなかった半田印刷後のパターン画像をマスターとして面積積算する工程と、
該マスターに基づいて検査対象であるパターンの良否判定基準となる面積比率を設定する工程と、
面積比率を設定した後に、イメージスキャナ(2)の下に搬送されてきた検査対象である半田印刷後のパターンの残り面積を求め、該パターンの残り面積のマスターに対する割合が、判定基準となる面積比率以上か否かにより、半田不足を判定する工程と、
半田印刷後のパターン画像とマスターの画像とを重ね合わせ、隣接する検査対象パターン(41)(41)又は半田(40)(40)どうしが半田により連結しているか、又は接近しているか否かの判断をする工程と、
走査した画像を処理してモニター(11)に表示する工程を有する検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2009−198494(P2009−198494A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323167(P2008−323167)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(591131567)
【出願人】(506396504)
【Fターム(参考)】