説明

電子機器および半導体基板

【課題】有機半導体層の電気的特性を確保することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、光源と、有機半導体層を含む薄膜トランジスタと、光源から生じた光が有機半導体層に至る経路に配置され、その有機半導体層の光吸収波長域のうちの少なくとも一部を含む波長域の光を吸収すると共にそれ以外の波長域の光を透過する光吸収透過層とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、有機半導体層を含む薄膜トランジスタを備えた半導体基板およびそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多様な電子機器に、スイッチング用の素子などとして薄膜トランジスタ(TFT)が用いられており、そのTFTは、半導体基板の一部として電子機器に搭載されている。このTFTとしては、最近では、半導体層(チャネル層)の形成材料として無機半導体材料を用いた無機TFTに代えて、有機半導体材料を用いた有機TFTが有望視されている。塗布法を用いて半導体層を形成可能であるため、低コスト化を実現できるからである。また、蒸着法などよりも低い温度で半導体層を形成可能であるため、支持基体として低耐熱性でフレキシブルなプラスチックフィルムなどを使用できるからである。
【0003】
この有機TFTが搭載される電子機器の中には、表示装置などのように光源を用いるものがある。この表示装置の代表例は、発光層を備えた有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置や、バックライトを備えた液晶表示装置などである。
【0004】
ところが、光源から生じた光が有機TFTの有機半導体層に到達すると、その波長域によっては意図せずに光が有機半導体層に吸収されてしまう。これにより、有機半導体層では予期せぬドーピングなどが生じるため、有機TFTにおいて閾電圧などの電気的特性が低下しやすくなる。
【0005】
この光源から生じる光の影響を抑制する方法に関しては、既にいくつかの関連技術が提案されている。具体的には、無機TFTを用いた有機EL表示装置において、アモルファスシリコンなどの無機半導体層の電気的特性が低下することを防止するために、発光層と無機TFTとの間に黒色の遮光層を設けている(例えば、特許文献1参照。)。また、有機TFTを用いた液晶表示装置において、ペンタセンなどの有機半導体層の電気的特性が低下することを防止するために、バックライトと有機半導体層との間に配置されたゲート電極を遮光膜として用いている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−108250号公報
【特許文献2】特開2006−114862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
有機TFTを用いた電子機器の普及を図るためには、上記したように有機半導体層の電気的特性の低下を抑制する対策が必要であるにもかかわらず、その対策は未だ十分であるとは言えない。
【0008】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、有機半導体層の電気的特性を確保することが可能な半導体基板および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の電子機器は、光源と、有機半導体層を含む薄膜トランジスタと、その光源から生じた光が有機半導体層に至る経路に配置され、その有機半導体層の光吸収波長域のうちの少なくとも一部を含む波長域の光を吸収すると共にそれ以外の波長域の光を透過する光吸収透過層とを備えたものである。また、本技術の半導体基板は、有機半導体層を含む薄膜トランジスタと、外部からの光が有機半導体層に至る経路に配置され、その有機半導体層の光吸収波長域のうちの少なくとも一部を含む波長域の光を吸収すると共にそれ以外の波長域の光を透過する光吸収透過層とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本技術の半導体基板または電子機器によれば、有機半導体層に光が至る経路に、その有機半導体層の光吸収波長域のうちの少なくとも一部を含む波長域の光を吸収すると共に残りの波長域の光を透過する光吸収透過層が配置されている。よって、有機半導体層の電気的特性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本技術の第1実施形態における電子機器(有機EL表示装置)の構成を表す断面図である。
【図2】有機半導体層の形成材料の吸収スペクトルの一例を表す図である。
【図3】電子機器(有機EL表示装置)の構成に関する変形例を表す断面図である。
【図4】本技術の第2実施形態における電子機器(液晶表示装置)の構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、以下の通りである。

1.第1実施形態の電子機器(有機EL表示装置)
2.第2実施形態の電子機器(液晶表示装置)
【0013】
<1.第1実施形態の電子機器(有機EL表示装置)>
[有機EL表示装置の構成]
まず、本技術の第1実施形態の電子機器について説明する。ここで説明する電子機器は、例えば、表示装置の一例である有機EL表示装置であり、スイッチング用の素子として有機TFTを用いている。なお、本技術の半導体基板はここで説明する電子機器に適用されるため、その半導体基板については以下で併せて説明する。
【0014】
図1は、有機EL表示装置の断面構成を表している。この有機EL表示装置は、例えば、支持基体11の上に、平坦化絶縁層12と、有機TFT20と、下部層間絶縁層13、上部層間絶縁層14および画素電極15と、画素分離絶縁層16および有機EL層17と、対向電極18と、対向基体19とを備えている。
【0015】
図1では、1画素(例えば1つの有機EL層17)に対応する領域を示しており、その1画素内に含まれる有機TFT20の数は、任意である。図1では、1画素内に2つの有機TFT20(駆動用および選択用)が配置されている場合を示しているが、その有機TFT20の数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。有機TFT20、画素電極15および有機EL層17は、例えば、画素配置に応じてマトリクス状に配列されている。
【0016】
なお、図1に示した上向きの矢印は、有機EL層17から生じる画像形成用の光Lの主要な放出方向を表している。すなわち、図1に示した有機EL表示装置は、対向基体19を経由して上向きに光Lを放出することで画像を表示するトップエミッション型である。
【0017】
支持基体11は、例えば、プラスチック材料、金属材料または無機材料などのいずれか1種類または2種類以上により形成されている。
【0018】
プラスチック材料は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチルエーテルケトン(PEEK)、ポリアクリレート(PAR)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)またはトリアセチルセルロース(TAC)などである。金属材料は、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、ステンレスまたはこれらの合金などである。無機材料は、例えば、ケイ素(Si)、酸化ケイ素(SiOx )、窒化ケイ素(SiNx )、酸化アルミニウム(AlOx )または他の金属酸化物などである。ただし、酸化ケイ素には、ガラス、石英またはスピンオングラス(SOG)なども含まれる。
【0019】
この支持基体1は、ウェハなどの剛性を有する基板でもよいし、可撓性を有するフィルムまたは箔などでもよい。また、支持基体1の表面には、所定の機能を有する被覆層が設けられていてもよい。この被覆層は、例えば、密着性を確保するためのバッファ層またはガス放出を防止するためのガスバリア層などである。
【0020】
なお、支持基体1は、単層でもよいし、多層でもよい。多層の場合には、上記した各種材料の層が2層以上積層されている。このように単層でも多層でもよいことは、以降で説明する他の構成要素についても同様である。
【0021】
平坦化絶縁層12は、例えば、ポリイミドなどの絶縁性樹脂材料を含んでいる。
【0022】
有機TFT20は、有機半導体層23を含む薄膜トランジスタである。この有機TFT20は、例えば、ゲート電極21と、ゲート絶縁層22と、有機半導体層23、ソース電極24およびドレイン電極25とを備えている。すなわち、ここで説明する有機TFT20は、ゲート電極21が有機半導体層23の下側に配置されていると共にソース電極24およびドレイン電極25が有機半導体層23の上側に重なっているボトムゲート・トップコンタクト型である。「下側」および「上側」とは、それぞれ支持基体11に近い側および遠い側を意味する。ただし、ゲート電極21が有機半導体層23の上側に配置されているトップゲート型でもよいし、ソース電極24およびドレイン電極25が有機半導体層23の下側に重なっているボトムコンタクト型でもよい。
【0023】
ゲート電極21は、平坦化絶縁層12の上に形成されており、例えば、金属材料、無機導電性材料、有機導電性材料または炭素材料などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0024】
金属材料は、例えば、アルミニウム、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、タングステン(W)、タンタル(Ta)またはそれらを含む合金などである。無機導電性材料は、例えば、酸化インジウム(In2 3 )、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)または酸化亜鉛(ZnO)などである。有機導電性材料は、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)またはポリアニリン(PANI)などである。炭素材料は、例えば、グラファイトなどである。なお、ゲート電極2は、例えば、PEDOT/PSSなどの多層でもよい。
【0025】
ゲート絶縁層22は、少なくともゲート電極21を覆うように形成されており、例えば、無機絶縁性材料または有機絶縁性材料などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。無機絶縁性材料は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン(TiO2 )、酸化ハフニウム(HfOx )またはチタン酸バリウム(BaTiO3 )などである。有機絶縁性材料は、例えば、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸アクリレート、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB)、フッ素樹脂、感光性ポリイミド、感光性ノボラック樹脂またはポリパラキシリレンなどである。
【0026】
有機半導体層23は、ゲート絶縁層22の上に形成されており、例えば、以下の有機半導体材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。(1)ポリピロール、(2)ポリチオフェン、(3)ポリイソチアナフテンなどのイソチアナフテン、(4)ポリチェニレンビニレンなどのチェニレンビニレン、(5)ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)、(6)ポリアニリン、(7)ポリアセチレン、(8)ポリジアセチレン、(9)ポリアズレン、または(10)ポリピレンである。(11)ポリカルバゾール、(12)ポリセレノフェン、(13)ポリフラン、(14)ポリ(p−フェニレン)、(15)ポリインドール、(16)ポリピリダジン、(17)ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレンまたはサーカムアントラセンなどのアセン、(18)アセン類のうちの炭素の一部が窒素(N)、硫黄(S)または酸素(O)などの原子、あるいはカルボニル基などの官能基により置換された誘導体、例えば、トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジンまたはヘキサセン−6,15−キノンなど、(19)ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンスルフィドまたはポリビニレンスルフィドなどの高分子材料および多環縮合体、または(20)上記した高分子材料と同じ繰り返し単位を有するオリゴマーである。(21)銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン、(22)テトラチアフルバレン、(23)テトラチアペンタレン、(24)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドと共に、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)またはN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、(25)ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、(26)アントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類に代表される縮合環テトラカルボン酸ジイミド、(27)C60、C70、C76、C78またはC84などのフラーレン、(28)単層ナノチューブ(SWNT)などのカーボンナノチューブ、(29)メロシアニン色素またはヘミシアニン色素などの色素、または(30)2,9−ジナフチル−ペリキサンテノキサンテンなどのペリキサンテノキサンテン化合物である。
【0027】
この他、有機半導体材料は、上記した一連の材料の誘導体でもよい。誘導体とは、上記した材料に1または2以上の置換基が導入された材料であり、その置換基の種類および導入位置などは、任意である。
【0028】
ソース電極24およびドレイン電極25は、ゲート絶縁層22の上において互いに離間されると共に有機半導体層23と部分的に重なるように形成されており、例えば、いずれもゲート電極21と同様の材料を含んでいる。
【0029】
下部層間絶縁層13は、少なくとも有機TFT20を覆うように形成されており、例えば、ゲート絶縁層22と同様の材料を含んでいる。
【0030】
この有機EL表示装置では、後述する光源である有機EL層17から生じた光Lが有機半導体層23に至る経路に、所定の光吸収透過特性を有する光吸収透過層が配置されている。ここで、電子機器の一例である有機EL表示装置に適用される半導体基板は、有機TFT20および光吸収透過層と共に任意の構成要素(例えば支持基体11など)を備えた基板である。この半導体基板では、外部からの光(光源から生じた光Lを含む)が有機半導体層23に至る経路に光吸収透過層が配置されている。「光Lが有機半導体層23に至る経路」とは、有機EL層17と有機半導体層23とを直線的に結ぶ経路(最短経路)に限らず、光Lが最終的に有機半導体層23に到達し得る経路であれば、その最短経路を迂回するいかなる経路でもよい。有機EL表示装置の内部には1または2以上の光反射性の構成要素が存在するため、光Lは1回または2回以上の反射過程を経ることで最短経路を迂回しながら最終的に有機半導体層23に到達し得るからである。
【0031】
詳細には、有機EL表示装置の構成要素の中には、一般的に金属材料などの光反射性材料により形成される構成要素が存在する。例えば、ゲート電極21、ソース電極24、ドレイン電極25または画素電極15などである。この場合には、光反射性の構成要素における光Lの反射角度によっては、その光Lが意図せずに有機半導体層23まで到達する可能性がある。なお、支持基体11の材質によっては、外光が意図せずに支持基体11を透過して有機半導体層23まで到達する可能性もある。
【0032】
ここでは、例えば、光吸収透過層は上部層間絶縁層14である。この上部層間絶縁層14は、少なくとも下部層間絶縁層13を覆うように形成されており、有機半導体層23と有機EL層17との間に位置している。この上部層間絶縁層14は、上記した所定の光吸収透過特性として、有機半導体層23の光吸収波長域のうちの少なくとも一部を含む波長域の光を吸収すると共にそれ以外の波長域の光を透過する特性を有している。
【0033】
上部層間絶縁層14により吸収される光(吸収波長域光)の波長域は、有機半導体層23の光吸収波長域のうちの少なくとも一部の波長域を含んでいれば、特に限定されない。すなわち、有機半導体層23の光吸収波長域のうちの全部の波長域でもよいし、その一部の波長域だけでもよいし、その全部または一部の波長域と光吸収波長域以外の波長域との混合波長域でもよい。
【0034】
上部層間絶縁層14が光吸収透過特性を有しているのは、以下の理由による。
【0035】
第1に、上部層間絶縁層14により有機半導体層23の吸収波長域光のうちの少なくとも一部が吸収されるため、その吸収波長域光が有機半導体層23に吸収されにくくなる。これにより、有機半導体層23の電気的特性の低下が抑制される。この場合には、特に、上部層間絶縁層14が有機EL層17と有機半導体層23との間に配置されているため、その有機半導体層23が吸収波長域光をより吸収しにくくなる。
【0036】
第2に、光吸収透過特性を得るために、一般的な黒色レジスト材料を用いた場合のように上部層間絶縁層14を高温で焼成する必要がないため、その高温焼成に起因する有機半導体層23の電気的特性の低下も抑制される。
【0037】
第3に、上部層間絶縁層14において吸収波長域光が吸収される一方で光学的処理に必要な波長域を含む光が透過されるようにすれば、光吸収性の上部層間絶縁層14を用いていながら、その透過光を利用して所望の光学的処理を行うことが可能になる。この「光学的処理」とは、有機EL表示装置の製造工程において所望の目的達成のために光を用いて行われる処理であり、例えば、フォトリソグラフィ法による光学的パターニング、光硬化反応またはブリーチング(光反応部位の透明化)などである。ただし、光学的処理は、上部層間絶縁層14自体を処理するものでもよいし、その上部層間絶縁層14を透過した光を用いて他の構成要素を処理するものでもよいし、双方を処理するものでもよい。例えば、上部層間絶縁層14の光透過波長域がその上部層間絶縁層14を光学的にパターニングするために用いられる光の波長域を含むようにすれば、上部層間絶縁層14を所望の形状となるように高精細にパターニングして、所望のテーパ形状を形成できる。これにより、有機EL表示装置の製造工程において、上部層間絶縁層14の形成が容易になると共にその形成精度が向上する。
【0038】
この上部層間絶縁層14において吸収される光の波長域および透過される光の波長域は、上記した光学的処理の種類などの条件に応じて任意に設定可能である。
【0039】
上部層間絶縁層14の形成材料は、光吸収透過特性を有する絶縁性材料であれば、特に限定されず、無機材料でもよいし、有機材料でもよいし、双方でもよい。この有機材料は、有機半導体層23の形成材料の主骨格(有機半導体骨格)と同じ骨格を含む材料でもよいし、その有機半導体骨格とは異なる他の骨格を含む材料でもよい。前者の有機材料は、例えば、有機半導体としての性質を発揮する部分(有機半導体骨格)と、絶縁体としての性質を発揮する部分とを含んでいる。この絶縁体としての性質を発揮する部分は、一般的な層間絶縁層の形成材料であり、例えば、ポリビニルフェノール、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂、シンナメート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ポリパラキシリレンまたはポリ尿酸などの高分子材料である。有機半導体骨格は、高分子材料のうちの主鎖中に含まれていてもよいし、側鎖中に含まれていてもよいし、双方に含まれていてもよい。この他、上部層間絶縁層14の形成材料は、例えば、有機材料(有機半導体骨格を含む材料)と絶縁性の高分子材料との混合物でもよい。
【0040】
中でも、上部層間絶縁層14は、有機半導体層23の形成材料が所定の有機半導体骨格を含む有機半導体材料である場合、その有機半導体骨格と同じ骨格を含む材料(有機絶縁性材料)を含んでいることが好ましい。有機半導体層23の吸収波長域は主に有機半導体骨格の種類に応じて決定されるため、上部層間絶縁層14が有機半導体層23の有機半導体骨格と同じ骨格を含んでいると、その上部層間絶縁層14が吸収波長域光を的確に吸収しやすくなるからである。
【0041】
有機半導体層23の有機半導体骨格と同じ骨格を含む上部層間絶縁層14の形成材料の具体例は、以下の通りである。
【0042】
有機半導体層23の形成材料が下記の式(1)で表されるペリキサンテノキサンテン誘導体である場合には、上部層間絶縁層14の形成材料は下記の式(2)で表されるポリビニルフェノール誘導体である。このポリビニルフェノール誘導体は、ポリビニルフェノールのうちの一部がペリキサンテノキサンテン誘導体により置換された化合物である。このポリビニルフェノール誘導体では、主に、ペリキサンテノキサンテン誘導体の部分において吸収波長域光を吸収すると共に、ポリビニルフェノールの部分において絶縁性を発揮する。なお、式(1)および式(2)に示したRは炭化水素基(炭素数は特に限定されない)であり、その炭化水素基は、例えば、メチル基またはエチル基などである。ただし、2つのRは、同じ種類の基でもよいし、異なる種類の基でもよい。また、繰り返し単位の数を表すmおよびnの値は、いずれも1以上の整数であれば任意でよい。ただし、mおよびnの値は、同じ値でよいし、異なる値でもよい。
【0043】
【化1】

【0044】
また、有機半導体層23の形成材料が下記の式(3)で表されるペンタセンである場合には、上部層間絶縁層14の形成材料は下記の式(4)で表されるポリビニルシンナメート誘導体である。このポリビニルシンナメート誘導体は、ポリビニルシンナメートのうちの一部がペンタセンにより置換された化合物である。このポリビニルシンナメート誘導体では、主に、ペンタセンの部分において吸収波長域光を吸収すると共に、ポリビニルシンナメートの部分において絶縁性を発揮する。なお、式(4)に示したmおよびnの値は、式(2)について説明した場合と同様である。
【0045】
【化2】

【0046】
この他、上部層間絶縁層14の形成材料は、上記したゲート絶縁層22の形成材料と同様の材料(絶縁性材料)と有機半導体層23の形成材料と同様の材料(有機半導体材料)との混合物でもよい。この場合には、有機半導体材料の含有量を適量に調整することで、上部層間絶縁層14では、有機半導体材料により吸収波長域光が吸収されると共に、絶縁性材料により絶縁性が発揮される。
【0047】
ここで、図2は、有機半導体層23の吸収スペクトルの一例を表している。この有機半導体層23の形成材料は、式(1)に示したペリキサンテノキサンテン誘導体であり、より具体的には下記の式(5)で表される化合物である。
【0048】
【化3】

【0049】
式(5)に示した化合物は、図2に示したように、主に、3つの吸収ピークP1〜P3を有している。吸収ピークP1のピーク波長は約410nm、吸収ピークP2のピーク波長は約430nm、吸収ピークP3のピーク波長は約460nmである。このため、式(2)に示したポリビニルフェノール誘導体が式(5)に示した化合物を有機半導体骨格として含む場合には、そのポリビニルフェノール誘導体は上記した3つのピーク波長に対応する吸収波長域を有することになる。
【0050】
ただし、上部層間絶縁層14は、上記したように、有機半導体層23の光吸収波長域のうちの少なくとも一部を含む波長域の光を吸収すればよい。上部層間絶縁層14が有機半導体層23の光吸収波長域のうちの一部の波長域の光だけを吸収しても、その有機半導体層23の電気的特性の低下が抑制されるからである。よって、有機半導体層23の吸収スペクトルに1または2以上の吸収ピークが現れる場合には、上部層間絶縁層14の光吸収波長域は、その1または2以上の吸収ピークのうちの少なくとも1つに対応する波長域を含んでいればよい。より具体的には、例えば、図2に示したように、有機半導体層23の吸収スペクトルに3つの吸収ピークP1〜P3が現れる場合には、上部層間絶縁層14は、吸収ピークP1〜P3のうちの少なくとも1つのピークに対応する波長域の光を吸収すればよい。
【0051】
なお、有機EL表示装置では、有機EL層17から生じた光Lが有機半導体層23に至る経路に、その光Lを遮蔽する光遮蔽層が配置されていることが好ましい。この光遮蔽層の配置場所を経由して光Lが有機半導体層23に到達することが防止されるからである。この光遮蔽層は光反射性でも光吸収性でもよいが、光反射性である場合には光遮蔽層に到達した光Lを反射させて光吸収透過層(ここでは上部層間絶縁層14)に導くことができる。ここでは、光遮蔽層は、例えば、非光透過性の電極であり、より具体的には、ゲート電極21、ソース電極24、ドレイン電極25および画素電極15などのうちの少なくとも1つである。
【0052】
画素電極15は、上部層間絶縁層14の上において画素ごとに分離されており、例えば、アルミニウム、銀、チタンまたはクロムなどの反射性材料を含んでいる。この画素電極15は、例えば、下部層間絶縁層13および上部層間絶縁層14にそれぞれ設けられた開口部(コンタクトホール)13K,14Kを通じて有機TFT20のドレイン電極25に接続されている。
【0053】
画素分離絶縁層16は、少なくとも上部層間絶縁層14の上に形成されており、画素ごとに開口部16Kを有している。この画素分離絶縁層16は、例えば、平坦化絶縁層12と同様の材料を含んでおり、形成工程を簡略化すると共に所望の形状に形成可能とするために、光パターニングまたはリフローなどにより成形可能な感光性樹脂材料を含んでいることが好ましい。
【0054】
有機EL層17は、画素分離絶縁層16に設けられた開口部16Kに形成されており、画素電極15に接続されている。この有機EL層17は、画像形成用の光Lを発生させる光源であり、例えば、有機EL現象を利用して任意の色の光を発生可能な発光層を含んでいる。この発光層の形成材料は、発生させる光の色に応じて任意に選択可能である。なお、有機EL層17は、例えば、発光層と共に電子輸送層または正孔輸送層などを含む多層構造を有していてもよい。
【0055】
対向電極18は、画素分離絶縁層16および有機EL層17の上に形成されており、その有機EL層17に接続されている。この対向電極18は、例えば、有機EL層17において発生した光Lを透過させるために、ITOまたはIZOなどの透過性導電性材料を含んでいる。ただし、対向電極18は、例えば、カルシウム(Ca)などの透過性の金属材料またはその合金や、PEDOTなどの透過性の有機導電性材料を含んでいてもよい。画素電極15および有機EL層17は、上記したように、画素ごとに分離形成されているのに対して、対向電極18は、例えば、画素間をつなぐように連続的に形成されている。
【0056】
対向基体19は、画像形成用の光Lを透過させるために、例えば、ガラスまたはブラスチック材料などの透過性材料により形成されている。
【0057】
なお、有機EL表示装置は、上記以外の構成要素を備えていてもよい。
【0058】
[有機EL表示装置の動作]
この有機EL表示装置では、例えば、選択用の有機TFT20により画素が選択されると、その画素が駆動用の有機TFT20により駆動される。これにより、画素電極15と対向電極18との間に電界が印加されると、有機EL層17から画像形成用の光Lが発生する。この光Lが対向基体19を経由して外部へ放出されるため、画像が表示される。
【0059】
[有機EL表示装置の作用および効果]
この有機EL表示装置によれば、光源である有機EL層17から生じた光Lが有機半導体層23に至る経路に、上記した光吸収透過特性を有する光吸収透過層(上部層間絶縁層14)が配置されている。これにより、上記したように、吸収波長域光の吸収および上部層間絶縁層14の高温焼成に起因する有機半導体層23の電気的特性の低下が抑制される。よって、有機半導体層23の電気的特性を確保することができる。
【0060】
特に、上部層間絶縁層14の光透過波長域が光学的パターニングなどの光学的処理に用いられる光の波長域を含むようにすれば、その透過光を利用して光学的処理を行うことができる。また、上部層間絶縁層14が有機EL層17と有機半導体層23との間に配置されていれば、その有機半導体層23における吸収波長域光の吸収をより抑制できる。
【0061】
この他、上部層間絶縁層14が有機半導体層23と同じ有機半導体骨格を含んでいれば、その上部層間絶縁層14において有機半導体層23の吸収波長域光をより的確に吸収しやすくなるため、有機半導体層23の電気的特性の低下をより抑制できる。また、有機EL層17から生じた光Lが有機半導体層23に至る経路に光遮蔽層(画素電極15など)が配置されていれば、より高い効果を得ることができる。
【0062】
[変形例]
上部層間絶縁層14が光吸収透過特性を有するようにしたが、有機EL層17から生じた光Lが有機半導体層23に至る経路に配置されている他の絶縁層が光吸収透過特性を有してもよい。この「他の絶縁層」とは、例えば、図1に示したように、下部層間絶縁層13、画素分離絶縁層16、ゲート絶縁層22または平坦化絶縁層12などである。この場合には、上部層間絶縁層14、下部層間絶縁層13、画素分離絶縁層16、ゲート絶縁層22および平坦化絶縁層12などのうちの少なくとも1つが光吸収透過特性を有していればよい。
【0063】
また、上部層間絶縁層14などの絶縁層が光吸収透過特性を有するようにしたが、導電層が光吸収透過特性を有してもよい。この導電層は、例えば、ゲート電極21、ソース電極24、ドレイン電極25および画素電極15などの電極のうちの少なくとも1つであり、その光吸収透過特性を有する導電層は、有機半導体材料または有機導電性材料などを含んでいる。具体的には、例えば、PEDOT−PSS、ポリアニリン、カーボンナノチューブまたはグラフェンなどである。これらの材料は、一般的に広い吸収波長域を有しており、導電層の厚さを調整することで単体でも光吸収透過特性を発揮できる。
【0064】
また、有機EL表示装置は、対向基体19を経由して画像形成用の光Lを上向きに放出するトップエミッション型に代えて、支持基体11を経由して光Lを下向きに放出するボトムエミッション型でもよい。
【0065】
図3は、有機EL表示装置の構成に関する変形例を表しており、図1に対応する断面構成を示している。なお、図3では、図1に示した構成要素に同一の符号を付している。図3に示した有機EL表示装置は、例えば、以下で説明する点を除き、図1に示した有機EL表示装置と同様の構成を有している。
【0066】
支持基体11は、光Lを透過させるために、トップエミッション型における対向基体19と同様の透過性材料により形成されている。画素分離絶縁層16の開口部16Kに形成された有機EL層17の位置は、有機TFT20と重ならないように横方向にシフトされており、それに応じて画素電極15の形成範囲も拡張されている。対向基体19は、トップエミッション型における支持基体11と同様の材料により形成されている。なお、平坦化絶縁層12と画素電極15との間の空間は、例えば、上部層間絶縁層14により埋設されている。
【0067】
この場合でも、有機半導体層23と有機EL層17との間に位置する上部層間絶縁層14が光吸収透過特性を有しているため、トップエミッション型と同様の効果を得ることができる。これ以外の効果は、トップエミッション型と同様である。
【0068】
なお、図3に示したボトムエミッション型においても、トップエミッション型について説明した一連の変形例を適用可能である。すなわち、下部層間絶縁層13などが光吸収透過特性を有していてもよいし、画素分離絶縁層16、ゲート絶縁層22または平坦化絶縁層12などが光吸収透過特性を有していてもよい。また、画素電極15などの導電層が光吸収透過特性を有していてもよい。
【0069】
<2.第2実施形態の電子機器(液晶表示装置)>
[液晶表示装置の構成]
本技術の第2実施形態の電子機器は、例えば、表示装置の他の一例である液晶表示装置であり、有機EL表示装置と同様にスイッチング用の素子として有機TFTを用いている。なお、以下の説明では、必要に応じて第1実施形態の構成要素を引用している。また、第1実施形態と同様に、本技術の半導体基板については以下で併せて説明する。
【0070】
図4は、液晶表示装置の断面構成を表している。この液晶表示装置は、例えば、支持基体であるバックライト31の上に、平坦化絶縁層32と、有機TFT40および画素電極33と、層間絶縁層34と、液晶層35と、対向電極36と、対向基体37とを備えている。
【0071】
図4では、1画素に対応する領域を示しており、その1画素内に含まれる有機TFT40の数は、任意である。図4では、1画素内に1つの有機TFT40が配置されている場合を示しているが、その有機TFT40の数は2つ以上でもよい。有機TFT40および画素電極33は、例えば、画素配置に応じてマトリクス状に配列されている。
【0072】
なお、図4に示した上向きの矢印は、バックライト31から発生する画像形成用の光Lの主要な放出方向を表している。すなわち、図4に示した液晶表示装置は、光源であるバックライト31を備えた自発光型(バックライト型)の液晶表示装置である。
【0073】
バックライト31は、例えば、発光ダイオード(LED:light emitting diode)などである。ただし、バックライト31は、他の光源でもよい。
【0074】
この液晶表示装置でも、光源であるバックライト31から生じた光Lが後述する有機半導体層43に至る経路に、光吸収透過特性を有する光吸収透過層が配置されている。
【0075】
平坦化絶縁層32は、バックライト31の上に形成されており、そのバックライト31と有機半導体層43との間に配置されている。この平坦化絶縁層32は、例えば、光吸収透過特性を有しており、その光吸収透過特性を有する上部層間絶縁層14と同様の材料を含んでいる。第1実施形態で説明したように、吸収波長域光の吸収および高温焼成に起因する有機半導体層43の電気的特性の低下が抑制されると共に、透過光を利用して光学的処理を行うことが可能になるからである。
【0076】
有機TFT40は、平坦化絶縁層32の上に形成されており、ゲート電極41、ゲート絶縁層42、有機半導体層43,ソース電極44およびドレイン電極45を含むことを除き、有機TFT20と同様の構成を有している。画素電極33は、平坦化絶縁層32の上に形成されており、例えば、画素電極15と同様の材料を含んでいる。この画素電極33は、例えば、画素ごとに分離されていると共に、有機TFT40のドレイン電極45に接続されている。
【0077】
層間絶縁層34は、少なくとも有機TFT40を覆うように形成されている。この層間絶縁層34は、例えば、平坦化絶縁層32と同様に、光吸収透過特性を有する材料を含んでいることが好ましい。有機半導体層43の電気的特性の低下がより抑制されるからである。
【0078】
液晶層35は、画素電極33と対向電極36との間に配置されており、電界に応じて配向状態(光Lの進行方向に対する長軸方向の傾き)が変化する複数の液晶分子を含んでいる。この液晶分子の種類は、任意である。ここでは、例えば、1画素内において、実質的に画像表示に関わる液晶層41の主要部分が有機TFT40の横に並ぶように配置されている。
【0079】
対向電極36は、画素電極33と共に液晶層35を挟むように形成されており、例えば、対向電極18と同様の材料を含んでいる。この対向電極36は、例えば、画素間をつなぐように連続的に形成されている。
【0080】
対向基体37は、画像形成用の光Lを透過させるために、例えば、トップエミッション型における対向基体19と同様の材料により形成されている。
【0081】
なお、液晶表示装置は、上記以外の他の構成要素を備えていてもよい。このような他の構成要素は、例えば、位相差板、偏光板、配向膜およびバックライトユニットなどである。
【0082】
[液晶表示装置の動作]
この液晶表示装置では、有機TFT40により画素が選択され、その画素における画素電極33と対向電極36との間に電界が印加されると、その電界強度に応じて液晶層35における液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶分子の配向状態に応じて光Lの透過量(透過率)が制御されるため、画像が表示される。
【0083】
[液晶表示装置の作用および効果]
この液晶表示装置によれば、光源であるバックライト31から生じた光Lが有機半導体層43に至る経路に、光吸収透過特性を有する光吸収透過層(平坦化絶縁層32)が配置されている。よって、第1実施形態と同様の作用が得られるため、有機半導体層43の電気的特性を確保することができる。
【0084】
特に、層間絶縁層34も光吸収透過特性を有していれば、有機半導体層43の電気的特性の低下がより抑制される。よって、より高い効果を得ることができる。
【0085】
液晶表示装置に関する上記以外の作用および効果は、有機EL表示装置と同様である。
【0086】
[変形例]
平坦化絶縁層32および層間絶縁層34が光吸収透過特性を有するようにしたが、バックライト31から生じた光Lが有機半導体層43に至る経路に配置されている他の絶縁層が光吸収透過特性を有していてもよい。この「他の絶縁層」とは、例えば、図4に示したように、ゲート絶縁層42などである。この場合には、平坦化絶縁層32、層間絶縁層34およびゲート絶縁層42などのうちの少なくとも1つが光吸収透過特性を有していればよい。
【0087】
また、平坦化絶縁層32などの絶縁層が光吸収透過特性を有するようにしたが、導電層が光吸収透過特性を有してもよい。この導電層は、例えば、ゲート電極41、ソース電極44およびドレイン電極45などの電極のうちの少なくとも1つであり、その形成材料は、例えば、第1実施形態で説明した場合と同様である。
【0088】
以上、いくつかの実施形態を挙げて本技術を説明したが、本技術は実施形態で説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、光吸収透過特性を有する絶縁層は、必ずしも上記した絶縁層(有機EL表示装置の上部層間絶縁層14など、または液晶表示装置の層間絶縁層34など)に限られない。光吸収透過特性を有する絶縁層は、光源から生じた光が有機半導体層に至る経路に配置されていれば、上記以外の絶縁層でもよい。このように光の経路に配置されている任意の構成要素が光吸収透過特性を有していればよいことは、導電層が光吸収透過特性を有する場合においても同様である。
【0089】
また、例えば、本技術の電子機器または半導体基板は、有機EL表示装置および液晶表示装置に限らず、他の表示装置でもよい。このような他の表示装置としては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)表示部(MEMS型ディスプレイ)などが挙げられる。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、例えば、本技術の電子機器または半導体基板は、表示装置以外の他の装置に適用されてもよい。この他の装置としては、例えば、センサマトリクス、メモリセンサ、RFIDタグ(Radio Frequency Identification)またはセンサアレイなどが挙げられる。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0091】
13…下部層間絶縁層、14…上部層間絶縁層、15,33…画素電極、17…有機EL層、18,36…対向電極、20,40…有機TFT、23,43…有機半導体層、31…バックライト、32…平坦化絶縁層、34…層間絶縁層、35…液晶層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
有機半導体層を含む薄膜トランジスタと、
前記光源から生じた光が前記有機半導体層に至る経路に配置され、その有機半導体層の光吸収波長域のうちの少なくとも一部を含む波長域の光を吸収すると共にそれ以外の波長域の光を透過する光吸収透過層とを備えた、
電子機器。
【請求項2】
前記光吸収透過層の光吸収波長域は、前記有機半導体層の吸収スペクトルに現れる1または2以上の吸収ピークのうちの少なくとも1つに対応する波長域を含む、請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記光吸収透過層の光透過波長域は、光学的処理に用いられる光の波長域を含む、請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記光吸収透過層の光透過波長域は、その光吸収透過層を光学的にパターニングするために用いられる光の波長域を含む、請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記光吸収透過層は絶縁層である、請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記光吸収透過層は前記光源と前記有機半導体層との間に配置されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
前記光源から生じた光が前記有機半導体層に至る経路に配置され、その光源から生じる光を遮蔽する光遮蔽層を備えた、請求項1記載の電子機器。
【請求項8】
前記光遮蔽層は非光透過性の電極である、請求項7記載の電子機器。
【請求項9】
光源と、
有機半導体層を含む薄膜トランジスタと、
前記光源から生じた光が前記有機半導体層に至る経路に配置され、その有機半導体層と同じ有機半導体骨格を含む光吸収透過層とを備えた、
電子機器。
【請求項10】
前記光吸収透過層は、有機エレクトロルミネセンス表示装置における層間絶縁層、画素分離絶縁層、ゲート絶縁層および平坦化絶縁層のうちの少なくとも1つである、請求項1記載の電子機器。
【請求項11】
前記光吸収透過層は、液晶表示装置における層間絶縁層、ゲート絶縁層および平坦化絶縁層のうちの少なくとも1つである、請求項1記載の電子機器。
【請求項12】
有機半導体層を含む薄膜トランジスタと、
外部からの光が前記有機半導体層に至る経路に配置され、その有機半導体層の光吸収波長域のうちの少なくとも一部を含む波長域の光を吸収すると共にそれ以外の波長域の光を透過する光吸収透過層とを備えた、
半導体基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−45970(P2013−45970A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183985(P2011−183985)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】