電界緩和機能を有するIII族窒化物電力半導体
素子の耐圧性を改善するために、ゲートの周囲の電界を緩和する電界緩和機能を含むIII族窒化物電力半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「超抵抗フィールドプレート」という発明の名称の2004年12月30日に提出の米国仮特許願第60/640378号に関連するものである。
【0002】
本発明は、III族窒化物ヘテロ接合電力半導体素子に関する。
【背景技術】
【0003】
III族窒化物ヘテロ接合電力素子は、よく知られている。典型的なIII族窒化物電力半導体素子は、ドレイン電極と、ソース電極と、ドレイン電極とソース電極との間に配置されているゲート電極とを含んでいる。ゲート電極は、ソース電極とドレイン電極との間の電流を制御する。高電力応用における電流を制御するために、大きい負電圧がゲート電極に印加されて、ゲート電極の電圧を急速に変化させる。大きい電圧がゲート電極に急速に印加される場合に、高電圧はゲート電極とドレイン電極との間に生じる。ゲートとドレイン電極との間の電圧がゲートの耐圧を超える場合には、ゲートは破損する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲートの降伏は、ゲートの周囲の大きい電界の形成によって促進される。従って、素子の耐圧を増大させるために、ゲートの周囲の電界強度を低下させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による電力半導体素子は、III族窒化物をベースとするヘテロ接合と、第2III族窒化物層に電気的に接続されている第1電源電極と、第2III族窒化物層に電気的に接続されている第2電源電極と、第1電源電極と第2電源電極との間に配置されているゲート構造と、ゲート構造に隣接する第2III族窒化物層の上に配置されている電界緩和機能とを含み、ヘテロ接合は、第1バンドギャップを有する第1III族窒化物層と、別のバンドギャップを第1III族窒化物層の上に有する第2III族窒化物層とを含んでいる。
【0006】
本発明の一実施形態では、電界緩和機能は、超抵抗フィールドプレートを含んでいる。
【0007】
別の実施形態では、フィールドプレートは、第2III族窒化物層の上に配置されている。この実施形態の一変形例では、ゲート構造は、フィールドプレートと第2III族窒化物層との間に配置されている。別の変形例では、ゲート構造は、フィールドプレートの上に配置されている。フィールドプレートは、シリコンを多量に含有しているSiN、または補償III族窒化物層半導体で形成されているのがよい。
【0008】
別の実施形態では、複数の浮遊フィールドリングは、ゲート構造の周囲に配置されている。この実施形態の変形例では、浮遊フィールドリングは、フィールドプレートの上に配置されている。ガードリングは、互いに同一平面上にあるか、または同一平面上にはなく、あるいはガードリングは、ゲート構造と同一平面上にあるか、またはなくてもよい。さらに、ガードリングは、独立してフローティングであるか、互いに短絡されているか、ゲート構造に短絡されているか、または電源電極の1つに短絡されているのがよい。
【0009】
本発明の他の特徴および利点について、添付図面に基づく本発明の次の説明により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1および図2に示す、本発明の第1実施形態による電力半導体素子は、支持体12の上に配置されているIII族窒化物をベースとするヘテロ接合10を備えている。ヘテロ接合10は、第1III族窒化物半導体14と、第1III族窒化物半導体14の上に第2III族窒化物半導体16とを含んでいる。第1電源電極18(すなわちソース電極)、および第2電源電極20(すなわちドレイン電極)は、直接オーミック接続、またはその他の適切な手段によって、第2III族窒化物半導体16に電気的に接続されている。ゲート構造22は、第1電源電極18と第2電源電極20との間の第2III族窒化物半導体16の上に配置されている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、ゲート構造22は、ショットキーコンタクトによって、第2III族窒化物半導体層16に接続されているゲート電極を備えている。あるいは、ゲート構造22は、ゲート電極を備えているのがよく、このゲート電極は、ゲート絶縁体によって、第2III族窒化物半導体に容量的に接続される。ゲート構造22は、第1電源電極18の周りに配置され、従って、第2電源電極20、20’間のチャンネルを同時に変化させるように動作し得ることにも留意する必要がある。
【0012】
本発明の一態様によれば、電界緩和機能24は、第2III族窒化物半導体層16の上に、ゲート構造22に隣接して、かつゲート構造22と第2電源電極20との間に配置されている。本発明の好ましい実施形態では、電界緩和機能24は、シリコンを多量に含有しているSiN、補償GaN、または同種の材料のような、電気抵抗が高い材料で形成されている超抵抗フィールドプレート25である。
【0013】
本発明の第1実施形態では、ゲート構造22は、フィールドプレート25および第2III族窒化物半導体16の上に配置されている。すなわち、フィールドプレート25は、ゲート構造22の一部の下に広がっている。
【0014】
図3および図4に示す、本発明の第2実施形態による電力半導体素子では、ゲート構造22は、フィールドプレート25の上にだけ配置されている。本発明の第3実施形態による電力半導体素子は、ゲート構造22と第2電源電極20との間に、間隔を置いて配置された複数のガードリング26を含んでいる。ガードリング26は、ゲート構造22の周囲に配置されていることに留意する必要がある(図3参照)。
【0015】
次に図5に示す、本発明の第3実施形態による電力半導体素子では、ゲート絶縁体28は、第2III族窒化物半導体16と、ゲート構造22および電界緩和機能24との間に置かれている。第3実施形態では、ゲート構造22は、ゲート絶縁体28によって、第2III族窒化物半導体16に容量的に接続されているゲート電極であることに留意する必要がある。
【0016】
図6に示す、本発明の第4実施形態による電力半導体素子では、ゲート絶縁体28は、電界緩和機能24と第2III族窒化物半導体16との間に置かれている。第2実施形態と同様に、ゲート構造22は、フィールドプレート25の上にだけ配置され、ゲート構造22およびフィールドプレート25がゲート絶縁体28上に、両方とも配置されている第3実施形態とは異なっている。第3実施形態と同様に、第4実施形態のゲート構造22は、フィールドプレート24およびゲート絶縁体28によって、第2III族窒化物半導体16に容量的に接続されているゲート電極である。
【0017】
次に図7に示す、第5実施形態による電力半導体素子の電界緩和機能は、間隔を置いて配置されている複数のガードリング26であり、ゲート構造22と第2電源電極20との間の第2III族窒化物半導体16の上に、かつゲート構造22の周囲に配置されている。
【0018】
図9に示す、本発明の第6実施形態では、ゲート絶縁体28は、第2III族窒化物半導体16、ガードリング26、およびゲート構造22の間に置かれている。
【0019】
本発明の第7実施形態では、図10に示すように、ガードリング26がゲート絶縁体28の上に配置されているのに対して、ゲート構造22は、第2III族窒化物半導体16の上に配置されている。従って、第5および第6実施形態と異なり、ガードリング26およびゲート構造22は、同一平面上にはない。ゲート構造22は、ショットキー接続によって、第2III族窒化物半導体16に電気的に接続されたゲート電極を含んでいることが好ましい。
【0020】
図11に示す、第8実施形態による電力半導体素子は、第6実施形態のすべての特徴を含み(図9)、ゲート絶縁体28とガードリング26との間に配置されたフィールド絶縁体30をさらに含んでいる。従って、第7実施形態と同様に(図10)、ガードリング26およびゲート構造22は、同一平面上にはない。
【0021】
図12に示す、本発明の第9実施形態による素子は、ガードリング26の下の第9実施形態のフィールド絶縁体30が、段をつけられて、ガードリング26は同一平面上にないことを除いて、第8実施形態の特徴のすべてを含んでいる。すなわち、第8実施形態のガードリング26とは異なり、第9実施形態のガードリング26は、同一平面上にはない。
【0022】
上記の実施形態では、ガードリング26は、独立してフローティングである。すなわち、ガードリング26は、別の電位に関連せず、それぞれ、フローティングである。
【0023】
図13に示す、第10実施形態による素子では、ガードリング26は互いに短絡され、それによって、すべてのガードリング26は、独立して、フローティングであるよりはむしろ、同じ電位に関連し、フローティングである。
【0024】
図14に示す、本発明の第11実施形態による素子では、ガードリング26は互いに短絡され、第1電源電極18に短絡することができる。従って、ガードリング26は、第1電源電極18の電位に関連し得る。
【0025】
図15に示す、本発明の第12実施形態による素子では、ガードリング26は互いに短絡され、ゲート構造22に短絡されている。従って、ガードリング26は、ゲート構造22と同じ電位に関連する。
【0026】
本発明のいずれの実施形態の素子でも、第1III族窒化物半導体は、InAlGaN系合金、例えばGaNなどであり、第2III族窒化物半導体16は、第1III族窒化物半導体14のバンドギャップとは異なるバンドギャップを有するInAlGaN系の別の合金であり、それによって2次元電子ガスは、当技術分野で周知のように、第1および第2III族窒化物半導体のヘテロ接合によって形成されている。例えば、第2III族窒化物半導体は、AlGaNを用いて形成されるのがよい。
【0027】
なお、支持体12は、基板材料と、必要に応じて、基板と第1III族窒化物半導体14との間の格子、および熱的な不整合を補償するために、基板上のバッファ層との組み合わせである。経済的理由から、基板用の好ましい材料は、シリコンである。他の基板材料、例えばサファイアおよびSiCなども、また本発明の範囲および精神から逸脱することなく使用し得る。
【0028】
AlNは、バッファ層用の好ましい材料である。しかし、多層または傾斜遷移III族窒化物半導体もまた、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、バッファ層として使用し得る。
【0029】
基板を、第1III族窒化物半導体と同じ材料からなるものとすることにより、バッファ層の必要をなくすことも可能である。例えば、第1III族窒化物半導体14がGaNを用いて形成される場合に、GaN基板を使用するとよい。
【0030】
ゲート電極は、n型またはp型シリコン、あるいは任意の所望導電率のポリシリコンから構成されるのがよく、さらにその上面に、アルミニウム、Ti/Al、または他の金属層を有しているのがよい。オーミック電極は、Ti/Alで構成されるとよく、その上面に、他の金属体、例えばTi/TiW、Ni/Au、Mo/Auなどをさらに有しているとよい。ゲート絶縁体28はSiN、Al2O3、SiO2、HfO、MgO、Sc2O3などからなっているのがよい。
【0031】
ガードリング26は、ゲート電極およびガードリング26の単一段階製造を可能にするために、ゲート電極に用いる材料と同じ材料から作られることが好ましい。
【0032】
以上本発明を、その特定の実施形態に即して説明したが、多くの他の変形例と変更態様、および他の用途があることは、当業者には明らかであると思う。従って本発明は、本明細書の特定の開示によってではなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態による素子2つを、隣接させて配置した能動セルの平面図である。
【図2】図1の線A―Aにおける断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による2つの素子を隣接して配置した能動セルの平面図である。
【図4】図3の線B―Bにおける断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による素子の断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態による素子の断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態による素子2つを、隣接させて配置した能動セルの平面図である。
【図8】図7の線C―Cにおける断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態による素子の断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態による素子の断面図である。
【図11】本発明の第8実施形態による素子の断面図である。
【図12】本発明の第9実施形態による素子の断面図である。
【図13】本発明の第10実施形態による素子の断面図である。
【図14】本発明の第11実施形態による素子の断面図である。
【図15】本発明の第12実施形態による素子の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 ヘテロ接合
12 支持体
14 第1III族窒化物半導体
16 第2III族窒化物半導体
18 第1電源電極
20 第2電源電極
20’ 第2電源電極
22 ゲート構造
24 電界緩和機能
25 超抵抗フィールドプレート
26 ガードリング
28 ゲート絶縁体
30 フィールド絶縁体
【技術分野】
【0001】
本出願は、「超抵抗フィールドプレート」という発明の名称の2004年12月30日に提出の米国仮特許願第60/640378号に関連するものである。
【0002】
本発明は、III族窒化物ヘテロ接合電力半導体素子に関する。
【背景技術】
【0003】
III族窒化物ヘテロ接合電力素子は、よく知られている。典型的なIII族窒化物電力半導体素子は、ドレイン電極と、ソース電極と、ドレイン電極とソース電極との間に配置されているゲート電極とを含んでいる。ゲート電極は、ソース電極とドレイン電極との間の電流を制御する。高電力応用における電流を制御するために、大きい負電圧がゲート電極に印加されて、ゲート電極の電圧を急速に変化させる。大きい電圧がゲート電極に急速に印加される場合に、高電圧はゲート電極とドレイン電極との間に生じる。ゲートとドレイン電極との間の電圧がゲートの耐圧を超える場合には、ゲートは破損する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲートの降伏は、ゲートの周囲の大きい電界の形成によって促進される。従って、素子の耐圧を増大させるために、ゲートの周囲の電界強度を低下させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による電力半導体素子は、III族窒化物をベースとするヘテロ接合と、第2III族窒化物層に電気的に接続されている第1電源電極と、第2III族窒化物層に電気的に接続されている第2電源電極と、第1電源電極と第2電源電極との間に配置されているゲート構造と、ゲート構造に隣接する第2III族窒化物層の上に配置されている電界緩和機能とを含み、ヘテロ接合は、第1バンドギャップを有する第1III族窒化物層と、別のバンドギャップを第1III族窒化物層の上に有する第2III族窒化物層とを含んでいる。
【0006】
本発明の一実施形態では、電界緩和機能は、超抵抗フィールドプレートを含んでいる。
【0007】
別の実施形態では、フィールドプレートは、第2III族窒化物層の上に配置されている。この実施形態の一変形例では、ゲート構造は、フィールドプレートと第2III族窒化物層との間に配置されている。別の変形例では、ゲート構造は、フィールドプレートの上に配置されている。フィールドプレートは、シリコンを多量に含有しているSiN、または補償III族窒化物層半導体で形成されているのがよい。
【0008】
別の実施形態では、複数の浮遊フィールドリングは、ゲート構造の周囲に配置されている。この実施形態の変形例では、浮遊フィールドリングは、フィールドプレートの上に配置されている。ガードリングは、互いに同一平面上にあるか、または同一平面上にはなく、あるいはガードリングは、ゲート構造と同一平面上にあるか、またはなくてもよい。さらに、ガードリングは、独立してフローティングであるか、互いに短絡されているか、ゲート構造に短絡されているか、または電源電極の1つに短絡されているのがよい。
【0009】
本発明の他の特徴および利点について、添付図面に基づく本発明の次の説明により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1および図2に示す、本発明の第1実施形態による電力半導体素子は、支持体12の上に配置されているIII族窒化物をベースとするヘテロ接合10を備えている。ヘテロ接合10は、第1III族窒化物半導体14と、第1III族窒化物半導体14の上に第2III族窒化物半導体16とを含んでいる。第1電源電極18(すなわちソース電極)、および第2電源電極20(すなわちドレイン電極)は、直接オーミック接続、またはその他の適切な手段によって、第2III族窒化物半導体16に電気的に接続されている。ゲート構造22は、第1電源電極18と第2電源電極20との間の第2III族窒化物半導体16の上に配置されている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、ゲート構造22は、ショットキーコンタクトによって、第2III族窒化物半導体層16に接続されているゲート電極を備えている。あるいは、ゲート構造22は、ゲート電極を備えているのがよく、このゲート電極は、ゲート絶縁体によって、第2III族窒化物半導体に容量的に接続される。ゲート構造22は、第1電源電極18の周りに配置され、従って、第2電源電極20、20’間のチャンネルを同時に変化させるように動作し得ることにも留意する必要がある。
【0012】
本発明の一態様によれば、電界緩和機能24は、第2III族窒化物半導体層16の上に、ゲート構造22に隣接して、かつゲート構造22と第2電源電極20との間に配置されている。本発明の好ましい実施形態では、電界緩和機能24は、シリコンを多量に含有しているSiN、補償GaN、または同種の材料のような、電気抵抗が高い材料で形成されている超抵抗フィールドプレート25である。
【0013】
本発明の第1実施形態では、ゲート構造22は、フィールドプレート25および第2III族窒化物半導体16の上に配置されている。すなわち、フィールドプレート25は、ゲート構造22の一部の下に広がっている。
【0014】
図3および図4に示す、本発明の第2実施形態による電力半導体素子では、ゲート構造22は、フィールドプレート25の上にだけ配置されている。本発明の第3実施形態による電力半導体素子は、ゲート構造22と第2電源電極20との間に、間隔を置いて配置された複数のガードリング26を含んでいる。ガードリング26は、ゲート構造22の周囲に配置されていることに留意する必要がある(図3参照)。
【0015】
次に図5に示す、本発明の第3実施形態による電力半導体素子では、ゲート絶縁体28は、第2III族窒化物半導体16と、ゲート構造22および電界緩和機能24との間に置かれている。第3実施形態では、ゲート構造22は、ゲート絶縁体28によって、第2III族窒化物半導体16に容量的に接続されているゲート電極であることに留意する必要がある。
【0016】
図6に示す、本発明の第4実施形態による電力半導体素子では、ゲート絶縁体28は、電界緩和機能24と第2III族窒化物半導体16との間に置かれている。第2実施形態と同様に、ゲート構造22は、フィールドプレート25の上にだけ配置され、ゲート構造22およびフィールドプレート25がゲート絶縁体28上に、両方とも配置されている第3実施形態とは異なっている。第3実施形態と同様に、第4実施形態のゲート構造22は、フィールドプレート24およびゲート絶縁体28によって、第2III族窒化物半導体16に容量的に接続されているゲート電極である。
【0017】
次に図7に示す、第5実施形態による電力半導体素子の電界緩和機能は、間隔を置いて配置されている複数のガードリング26であり、ゲート構造22と第2電源電極20との間の第2III族窒化物半導体16の上に、かつゲート構造22の周囲に配置されている。
【0018】
図9に示す、本発明の第6実施形態では、ゲート絶縁体28は、第2III族窒化物半導体16、ガードリング26、およびゲート構造22の間に置かれている。
【0019】
本発明の第7実施形態では、図10に示すように、ガードリング26がゲート絶縁体28の上に配置されているのに対して、ゲート構造22は、第2III族窒化物半導体16の上に配置されている。従って、第5および第6実施形態と異なり、ガードリング26およびゲート構造22は、同一平面上にはない。ゲート構造22は、ショットキー接続によって、第2III族窒化物半導体16に電気的に接続されたゲート電極を含んでいることが好ましい。
【0020】
図11に示す、第8実施形態による電力半導体素子は、第6実施形態のすべての特徴を含み(図9)、ゲート絶縁体28とガードリング26との間に配置されたフィールド絶縁体30をさらに含んでいる。従って、第7実施形態と同様に(図10)、ガードリング26およびゲート構造22は、同一平面上にはない。
【0021】
図12に示す、本発明の第9実施形態による素子は、ガードリング26の下の第9実施形態のフィールド絶縁体30が、段をつけられて、ガードリング26は同一平面上にないことを除いて、第8実施形態の特徴のすべてを含んでいる。すなわち、第8実施形態のガードリング26とは異なり、第9実施形態のガードリング26は、同一平面上にはない。
【0022】
上記の実施形態では、ガードリング26は、独立してフローティングである。すなわち、ガードリング26は、別の電位に関連せず、それぞれ、フローティングである。
【0023】
図13に示す、第10実施形態による素子では、ガードリング26は互いに短絡され、それによって、すべてのガードリング26は、独立して、フローティングであるよりはむしろ、同じ電位に関連し、フローティングである。
【0024】
図14に示す、本発明の第11実施形態による素子では、ガードリング26は互いに短絡され、第1電源電極18に短絡することができる。従って、ガードリング26は、第1電源電極18の電位に関連し得る。
【0025】
図15に示す、本発明の第12実施形態による素子では、ガードリング26は互いに短絡され、ゲート構造22に短絡されている。従って、ガードリング26は、ゲート構造22と同じ電位に関連する。
【0026】
本発明のいずれの実施形態の素子でも、第1III族窒化物半導体は、InAlGaN系合金、例えばGaNなどであり、第2III族窒化物半導体16は、第1III族窒化物半導体14のバンドギャップとは異なるバンドギャップを有するInAlGaN系の別の合金であり、それによって2次元電子ガスは、当技術分野で周知のように、第1および第2III族窒化物半導体のヘテロ接合によって形成されている。例えば、第2III族窒化物半導体は、AlGaNを用いて形成されるのがよい。
【0027】
なお、支持体12は、基板材料と、必要に応じて、基板と第1III族窒化物半導体14との間の格子、および熱的な不整合を補償するために、基板上のバッファ層との組み合わせである。経済的理由から、基板用の好ましい材料は、シリコンである。他の基板材料、例えばサファイアおよびSiCなども、また本発明の範囲および精神から逸脱することなく使用し得る。
【0028】
AlNは、バッファ層用の好ましい材料である。しかし、多層または傾斜遷移III族窒化物半導体もまた、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、バッファ層として使用し得る。
【0029】
基板を、第1III族窒化物半導体と同じ材料からなるものとすることにより、バッファ層の必要をなくすことも可能である。例えば、第1III族窒化物半導体14がGaNを用いて形成される場合に、GaN基板を使用するとよい。
【0030】
ゲート電極は、n型またはp型シリコン、あるいは任意の所望導電率のポリシリコンから構成されるのがよく、さらにその上面に、アルミニウム、Ti/Al、または他の金属層を有しているのがよい。オーミック電極は、Ti/Alで構成されるとよく、その上面に、他の金属体、例えばTi/TiW、Ni/Au、Mo/Auなどをさらに有しているとよい。ゲート絶縁体28はSiN、Al2O3、SiO2、HfO、MgO、Sc2O3などからなっているのがよい。
【0031】
ガードリング26は、ゲート電極およびガードリング26の単一段階製造を可能にするために、ゲート電極に用いる材料と同じ材料から作られることが好ましい。
【0032】
以上本発明を、その特定の実施形態に即して説明したが、多くの他の変形例と変更態様、および他の用途があることは、当業者には明らかであると思う。従って本発明は、本明細書の特定の開示によってではなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態による素子2つを、隣接させて配置した能動セルの平面図である。
【図2】図1の線A―Aにおける断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による2つの素子を隣接して配置した能動セルの平面図である。
【図4】図3の線B―Bにおける断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による素子の断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態による素子の断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態による素子2つを、隣接させて配置した能動セルの平面図である。
【図8】図7の線C―Cにおける断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態による素子の断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態による素子の断面図である。
【図11】本発明の第8実施形態による素子の断面図である。
【図12】本発明の第9実施形態による素子の断面図である。
【図13】本発明の第10実施形態による素子の断面図である。
【図14】本発明の第11実施形態による素子の断面図である。
【図15】本発明の第12実施形態による素子の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 ヘテロ接合
12 支持体
14 第1III族窒化物半導体
16 第2III族窒化物半導体
18 第1電源電極
20 第2電源電極
20’ 第2電源電極
22 ゲート構造
24 電界緩和機能
25 超抵抗フィールドプレート
26 ガードリング
28 ゲート絶縁体
30 フィールド絶縁体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドギャップを有する第1III族窒化物層と、前記第1III族窒化物層の上に別のバンドギャップを有する第2III族窒化物層とを含むIII族窒化物をベースとするヘテロ接合と、
前記第2III族窒化物層に電気的に接続される第1電源電極と、
前記第2III族窒化物層に電気的に接続される第2電源電極と、
前記第1電源電極と前記第2電源電極との間に配置されるゲート構造と、
前記ゲート構造に隣接して前記第2III族窒化物層の上に配置される電界緩和機能
とを備える電力半導体素子。
【請求項2】
前記電界緩和機能は、超抵抗フィールドプレートを含む請求項1に記載の電力半導体素子。
【請求項3】
前記フィールドプレートは、前記第2III族窒化物層の上に配置されている請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項4】
前記ゲート構造は、前記フィールドプレート、および前記第2III族窒化物層の上に配置されている請求項3に記載の電力半導体素子。
【請求項5】
前記ゲート構造は、前記フィールドプレート上に配置される請求項3に記載の電力半導体素子。
【請求項6】
前記フィールドプレートは、シリコンを多量に含有しているSiNから成る請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項7】
前記フィールドプレートは、補償III族窒化物半導体から成る請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項8】
前記フィールドプレートの上に配置されている複数の浮遊フィールドリングを、さらに備えている請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項9】
前記第1III族窒化物層はGaNから構成され、前記第2III族窒化物層はAlGaNから構成されている請求項1に記載の電力半導体素子。
【請求項10】
基板を含む基部と、前記基板の上に、かつ前記第1III族窒化物層の下に配置されているバッファ層とを、さらに備える請求項1に記載の電力半導体素子。
【請求項11】
前記ゲート構造は、ゲート絶縁体を含んでいる請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項12】
前記ゲート絶縁体は、前記フィールドプレートと前記第2III族窒化物層との間に配置されている請求項11に記載の電力半導体素子。
【請求項13】
前記フィールドプレートの上に配置された複数の浮遊フィールドリングを、さらに備える請求項12に記載の電力半導体素子。
【請求項14】
前記電界緩和機能は、間隔を置いて配置されている複数のガードリングを含む請求項1に記載の電力半導体素子。
【請求項15】
前記ガードリングは、前記第2III族窒化物層の上に配置されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項16】
前記ゲート構造は、ゲート絶縁体を含み、前記ガードリングは、前記ゲート絶縁体の上に配置されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項17】
前記ガードリングは、絶縁体上に配置されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項18】
前記ゲート構造は、ゲート絶縁体を含み、前記絶縁体は、前記ゲート絶縁体の上に配置されている請求項17に記載の電力半導体素子。
【請求項19】
前記ガードリングは、同一平面上にある請求項18に記載の電力半導体素子。
【請求項20】
前記ガードリングは、同一平面上にない請求項18に記載の電力半導体素子。
【請求項21】
前記ガードリングは、互いに短絡されている請求項20に記載の電力半導体素子。
【請求項22】
前記ガードリングは、フローティングである請求項20に記載の電力半導体素子。
【請求項23】
前記ガードリングは、前記電源電極の1つに短絡されている請求項20に記載の電力半導体素子。
【請求項24】
前記ゲート構造は、ゲート電極を含み、前記ガードリングは、前記ゲート電極に短絡されている請求項20に記載の電力半導体素子。
【請求項25】
前記ガードリングは、同一平面上にある請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項26】
前記ガードリングは、同一平面上にない請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項27】
前記ガードリングは、互いに短絡されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項28】
前記ガードリングは、フローティングである請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項29】
前記ガードリングは、前記電源電極の1つに短絡されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項30】
前記ゲート構造は、ゲート電極を含み、前記ガードリングは、前記ゲート電極に短絡されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項31】
前記第1III族窒化物層は、GaNから構成され、前記第2III族窒化物層は、AlGaNから構成されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項32】
基板を含む基部と、前記基板の上に、かつ前記第1III族窒化物層の下に配置されているバッファ層とを、さらに備える請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項1】
バンドギャップを有する第1III族窒化物層と、前記第1III族窒化物層の上に別のバンドギャップを有する第2III族窒化物層とを含むIII族窒化物をベースとするヘテロ接合と、
前記第2III族窒化物層に電気的に接続される第1電源電極と、
前記第2III族窒化物層に電気的に接続される第2電源電極と、
前記第1電源電極と前記第2電源電極との間に配置されるゲート構造と、
前記ゲート構造に隣接して前記第2III族窒化物層の上に配置される電界緩和機能
とを備える電力半導体素子。
【請求項2】
前記電界緩和機能は、超抵抗フィールドプレートを含む請求項1に記載の電力半導体素子。
【請求項3】
前記フィールドプレートは、前記第2III族窒化物層の上に配置されている請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項4】
前記ゲート構造は、前記フィールドプレート、および前記第2III族窒化物層の上に配置されている請求項3に記載の電力半導体素子。
【請求項5】
前記ゲート構造は、前記フィールドプレート上に配置される請求項3に記載の電力半導体素子。
【請求項6】
前記フィールドプレートは、シリコンを多量に含有しているSiNから成る請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項7】
前記フィールドプレートは、補償III族窒化物半導体から成る請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項8】
前記フィールドプレートの上に配置されている複数の浮遊フィールドリングを、さらに備えている請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項9】
前記第1III族窒化物層はGaNから構成され、前記第2III族窒化物層はAlGaNから構成されている請求項1に記載の電力半導体素子。
【請求項10】
基板を含む基部と、前記基板の上に、かつ前記第1III族窒化物層の下に配置されているバッファ層とを、さらに備える請求項1に記載の電力半導体素子。
【請求項11】
前記ゲート構造は、ゲート絶縁体を含んでいる請求項2に記載の電力半導体素子。
【請求項12】
前記ゲート絶縁体は、前記フィールドプレートと前記第2III族窒化物層との間に配置されている請求項11に記載の電力半導体素子。
【請求項13】
前記フィールドプレートの上に配置された複数の浮遊フィールドリングを、さらに備える請求項12に記載の電力半導体素子。
【請求項14】
前記電界緩和機能は、間隔を置いて配置されている複数のガードリングを含む請求項1に記載の電力半導体素子。
【請求項15】
前記ガードリングは、前記第2III族窒化物層の上に配置されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項16】
前記ゲート構造は、ゲート絶縁体を含み、前記ガードリングは、前記ゲート絶縁体の上に配置されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項17】
前記ガードリングは、絶縁体上に配置されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項18】
前記ゲート構造は、ゲート絶縁体を含み、前記絶縁体は、前記ゲート絶縁体の上に配置されている請求項17に記載の電力半導体素子。
【請求項19】
前記ガードリングは、同一平面上にある請求項18に記載の電力半導体素子。
【請求項20】
前記ガードリングは、同一平面上にない請求項18に記載の電力半導体素子。
【請求項21】
前記ガードリングは、互いに短絡されている請求項20に記載の電力半導体素子。
【請求項22】
前記ガードリングは、フローティングである請求項20に記載の電力半導体素子。
【請求項23】
前記ガードリングは、前記電源電極の1つに短絡されている請求項20に記載の電力半導体素子。
【請求項24】
前記ゲート構造は、ゲート電極を含み、前記ガードリングは、前記ゲート電極に短絡されている請求項20に記載の電力半導体素子。
【請求項25】
前記ガードリングは、同一平面上にある請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項26】
前記ガードリングは、同一平面上にない請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項27】
前記ガードリングは、互いに短絡されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項28】
前記ガードリングは、フローティングである請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項29】
前記ガードリングは、前記電源電極の1つに短絡されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項30】
前記ゲート構造は、ゲート電極を含み、前記ガードリングは、前記ゲート電極に短絡されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項31】
前記第1III族窒化物層は、GaNから構成され、前記第2III族窒化物層は、AlGaNから構成されている請求項14に記載の電力半導体素子。
【請求項32】
基板を含む基部と、前記基板の上に、かつ前記第1III族窒化物層の下に配置されているバッファ層とを、さらに備える請求項14に記載の電力半導体素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−522812(P2009−522812A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549577(P2008−549577)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/000283
【国際公開番号】WO2007/081807
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(504392083)インターナショナル レクティファイアー コーポレイション (107)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/000283
【国際公開番号】WO2007/081807
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(504392083)インターナショナル レクティファイアー コーポレイション (107)
【Fターム(参考)】
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