説明

エンコーダ装置、光学装置、露光装置、露光方法およびデバイス製造方法

【課題】小型であり、かつ構成部材の位置合せが容易なエンコーダ装置を提供する。
【解決手段】エンコーダヘッド20は、光源部からの計測光をスケール5(回折格子)に向けて反射させる第1プリズム21と、第1プリズム21により反射された計測光を二つの直線偏光に分割する偏光ビームスプリッタ膜22と、偏光ビームスプリッタ膜22を透過した直線偏光を円偏光に変換してスケール5上の一方の位置に照射させる第1波長板23と、偏光ビームスプリッタ膜22で反射した直線偏光を円偏光に変換してスケール5上の他方の位置に照射させる第2波長板24と、スケール5で反射回折した±1次回折光を干渉させて光検出器に向けて反射させる第2プリズム25とを有し、偏光ビームスプリッタ膜22が第1プリズム21と第2プリズム25に挟まれて設けられ第1プリズム21、第2プリズム25および偏光ビームスプリッタ膜22が一体に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の移動量を測定するエンコーダ装置、このエンコーダ装置を備えた光学装置および露光装置、並びにこの露光装置を用いた露光方法およびデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回折格子が形成されたスケールを用いて測定対象物の移動量を高精度に計測するエンコーダ装置が種々提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この種のエンコーダ装置では、半導体レーザ等からなる光源からの光をレンズでコリメートまたは集光し、偏光ビームスプリッタに入射させて二つの直線偏光(P偏光、S偏光)に分割し、そのP偏光およびS偏光をそれぞれ二つのミラーを用いてスケール(回折格子)に互いに等しい入射角で入射させるように構成されているものがある。このとき、P偏光の−1次回折光とS偏光の+1次回折光とが検出器に入射して干渉するように、全体の配置構成がなされている。ここで、スケールの位置が変わるとP偏光とS偏光の回折光の位相差が変化し、この位相差の変化により検出器で得られた干渉光の位相が変化するため、この干渉光の位相変化を観察することでスケールの位置の変化を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005‐308592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなエンコーダ装置では、例えば、ステージの移動量を測定することでステージ上に載置された対象物の位置合わせを行う場合、ステージのたわみや熱膨張などが位置合わせに影響を与える虞があるため、対象物の近くにエンコーダ装置を設置しようとすると、必然的にエンコーダの小型化が要求されることになる。このようにエンコーダ装置の小型化は、設置スペースの点だけではなく、精度の点からも求められる。また、上記のようなエンコーダ装置では、二つの光がスケール(回折格子)に等しい入射角で入射して、スケールで反射回折された±1次回折光が検出器に入射して干渉するように、レンズやミラーなどの複数の構成部材において相互間の位置合わせを行わなければならず、このように数の多い単独の構成部材の位置合せは非常に困難であるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、小型であり、かつ構成部材の位置合せが容易なエンコーダ装置、このエンコーダ装置を備えた光学装置および露光装置、並びにこの露光装置を用いた露光方法およびデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明の第1の態様は、ベース部材に対して所定方向に直線移動する測定対象物の移動量を測定するエンコーダ装置であって、前記ベース部材および前記測定対象物のいずれか一方に設けられ、前記所定方向に所定間隔で配列された格子パターンを有する反射型の回折格子と、前記所定方向に平行な計測光を射出する光源部と、前記ベース部材および前記測定対象物の他方に設けられ、前記光源部から射出された前記計測光を偏光方向が直交する二つの直線偏光に分割させて前記格子パターン上の二つの位置にそれぞれ照射させるとともに、当該格子パターン上の一方の位置で反射回折された+1次回折光と他方の位置で反射回折された−1次回折光とを重ね合わせて干渉させ前記所定方向に平行な干渉光として射出するエンコーダヘッドと、前記エンコーダヘッドから射出された前記干渉光を受けて、前記干渉光の強度の変化を光電変換して出力する光検出器と、前記光検出器から出力された光強度信号から前記干渉光の位相値を算出し、算出した前記位相値に基づいて前記測定対象物の移動量を測定する移動量測定部とを備えて構成される。その上で、前記エンコーダヘッドは、前記計測光を前記格子パターンに向けて反射させる第1プリズムと、前記第1プリズムにより反射された前記計測光を前記二つの直線偏光に分割する偏光ビームスプリッタ膜と、前記偏光ビームスプリッタ膜を透過した直線偏光を円偏光に変換して前記格子パターンの前記他方の位置に照射させる第1波長板と、前記偏光ビームスプリッタ膜で反射した直線偏光を円偏光に変換して前記格子パターンの前記一方の位置に照射させる第2波長板と、前記干渉光を前記光検出器に向けて反射させる第2プリズムとを有し、前記偏光ビームスプリッタ膜が前記第1プリズムと前記第2プリズムに挟まれて設けられ前記第1プリズム、前記第2プリズムおよび前記偏光ビームスプリッタ膜が一体に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様は、検査装置、測定装置等の光学装置であって、上記エンコーダ装置を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様は、被露光体を所定の露光領域に対応する露光位置に移動させながら、レチクルに形成された所定のパターンを前記被露光体に投影して露光を行う露光装置であって、前記被露光体を支持するとともに所定方向に直線移動可能なステージと、前記所定方向への前記ステージの移動量を測定する上記エンコーダ装置と、前記ステージに支持された前記被露光体を前記露光位置に移動させるように、前記エンコーダ装置により測定された前記移動量に基づいて前記ステージの前記所定方向への移動を制御するステージ移動制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の態様は、露光方法であって、被露光体を支持するステージの所定方向への直線移動量を測定する上記エンコーダ装置の測定結果に基づいて前記ステージの前記所定方向への移動を制御して、前記ステージに支持された前記被露光体を所定の露光領域に対応する露光位置に移動させながら、レチクルに形成された所定のパターンを前記被露光体に投影して露光を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の様態は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、上記露光装置を用いてレチクルに形成された所定のパターンを被露光体に投影して露光を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型であり、かつ構成部材の位置合せが容易なエンコーダ装置、このエンコーダ装置を備えた光学装置および露光装置、並びにこの露光装置を用いた露光方法およびデバイス製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る露光装置の構成図である。
【図2】上記露光装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るエンコーダ装置の構成図である。
【図4】上記エンコーダ装置を構成するエンコーダヘッドを示す構成図である。
【図5】上記エンコーダヘッドが図4に示す状態からチルトした場合について説明するための説明図である。
【図6】上記エンコーダ装置を構成する補正光学系の機能を説明するための説明図である。
【図7】(a)〜(c)は上記エンコーダヘッドとスケールとの相対位置の変化と干渉光の位相値との関係について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1には、本実施形態に係るエンコーダ装置1を備えた露光装置100の構成を概略的に示している。露光装置100は、照明系110、レチクルステージ120、投影ユニット130、局所液浸装置140、ステージ装置150、および主制御装置200(図2を参照)を有して構成される。なお、以下においては、図1に記載した矢印X,Y,Zの方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する。
【0014】
照明系110は、光源、オプティカルインテグレータ等を備える照度均一化光学系、およびレチクルブラインド等を備える照明光学系(いずれも図示せず)を有し、レチクルブラインドで規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域を照明光(露光光)により略均一な照度で照明するように構成されている。照明光としては、例えば、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられる。
【0015】
レチクルステージ120上には、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定保持されている。レチクルステージ120は、例えばリニアモータ等を備えるレチクルステージ駆動装置121(図2を参照)によってXY平面内で移動可能であるとともに、走査方向(ここではY軸方向とする)に所定の走査速度で移動可能に構成されている。
【0016】
レチクルステージ120のXY平面内の位置情報(Z軸回りの回転方向の回転情報を含む)は、レチクルステージ120に設けられたY軸に直交する反射面を有する第1反射鏡123およびX軸に直交する反射面を有する第2反射鏡(図示せず)を介して、レチクル干渉計125によって検出される。レチクル干渉計125により検出された当該位置情報は主制御装置200に送られ、主制御装置200は、その位置情報に基づいてレチクルステージ駆動装置121を介してレチクルステージ120の位置(および移動速度)を制御する。
【0017】
投影ユニット130は、レチクルステージ120の下方に配置され、鏡筒131、および鏡筒131内に保持された投影光学系135を有して構成される。投影光学系135は、照明光の光軸AXに沿って配列された複数の光学素子(レンズエレメント)を有し、両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍または1/8倍など)を有するように構成されている。このため、照明系110から射出された照明光によってレチクルR上の照明領域が照明されると、投影光学系135の物体面とパターン面が略一致して配置されるレチクルRを透過した照明光により、投影光学系135を介してその照明領域内のレチクルRのパターンの縮小像が、投影光学系135の像面側に配置されたウェハW上の露光領域(レチクルR上の照明領域に共役な領域)に形成される。そして、レチクルステージ120とウェハWを保持するステージ装置150との同期駆動によって、照明領域に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に移動させるとともに、露光領域に対してウェハWを走査方向(Y軸方向)に移動させることで、ウェハW上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。
【0018】
露光装置100には、液浸方式の露光を行うために局所液浸装置140が設けられている。局所液浸装置140は、図1および図2に示すように、液体供給装置141、液体回収装置142、液体供給管143A、液体回収管143B、およびノズルユニット145を有して構成される。ノズルユニット145は、投影光学系135を構成する最も像面側(ウェハ側)の光学素子、ここでは先端レンズ136を保持する鏡筒131の下端部周囲を取り囲むように、投影ユニット130を保持する不図示のフレーム部材(露光装置100を構成するフレーム部材)に支持されている。本実施形態では、ノズルユニット145は、図1に示されるように、その下端面が先端レンズ136の下端面と略同一面に設定されている。
【0019】
液体供給装置141は、液体を貯蔵するタンク、加圧ポンプ、温度制御装置、および液体の流量を制御するためのバルブを有して構成され、液体供給管143Aを介してノズルユニット145に接続されている。液体回収装置142は、回収した液体を貯蔵するタンク、吸引ポンプ、および液体の流量を制御するためのバルブを有して構成され、液体回収管143Bを介してノズルユニット145に接続されている。
【0020】
主制御装置200は、液体供給装置141を制御して液体供給管143Aを介して先端レンズ136とウェハWとの間に液体(例えば、純水)を供給するとともに、液体回収装置142を制御して液体回収管143Bを介して先端レンズ136とウェハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置200は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置141および液体回収装置142を制御する。したがって、先端レンズ136とウェハWとの間には、一定量の液体が常に入れ替わって保持され、これにより液浸領域(液浸空間)が形成される。露光装置100では、照明光を、液浸領域を形成する液体を介してウェハWに照射することによって、ウェハWに対する露光が行われる。
【0021】
ステージ装置150は、投影ユニット130の下方に配置されたウェハステージ151、ウェハステージ151を駆動するステージ駆動装置155を有して構成される。ウェハステージ151は、不図示のエアスライダにより数μm程度のクリアランスを有してベース部材105の上方に浮上支持され、ウェハステージ151の上面においてウェハWを真空吸着によって保持するように構成されている。そして、ウェハステージ151は、ステージ駆動装置155を構成するモータにより、ベース部材105の上面に沿ってXY平面内で移動可能になっている。
【0022】
ウェハステージ151のXY平面内の位置情報は後述するエンコーダ装置1によって検出される。エンコーダ装置1により検出された当該位置情報は主制御装置200に送られ、主制御装置200は、その位置情報に基づいてステージ駆動装置155を介してウェハステージ151の位置(および移動速度)を制御する。
【0023】
露光装置100では、照明系110から射出された照明光によってレチクルR上の照明領域が照明されると、投影光学系135の物体面とパターン面が略一致して配置されるレチクルRを透過した照明光により、投影光学系135を介してその照明領域内のレチクルRのパターンの縮小像が、ウェハステージ151上に支持されて投影光学系135の像面側に配置されたウェハW上の露光領域(レチクルR上の照明領域に共役な領域)に形成される。そして、レチクルステージ120とウェハWを支持するウェハステージ151との同期駆動によって、照明領域に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に移動させるとともに、露光領域に対してウェハWを走査方向(Y軸方向)に移動させることで、ウェハW上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。
【0024】
次に、ウェハステージ151のXY平面内の位置情報を検出するためのエンコーダ装置1について説明する。なお、露光装置100では、ウェハステージ151のY軸方向の移動量を測定するエンコーダ装置1と、ウェハステージ151のX軸方向の移動量を測定するエンコーダ装置1の二つのエンコーダ装置を備えているが、これらは同一の構成であるため、以下ではY軸方向の移動量を測定するエンコーダ装置1について説明する。
【0025】
エンコーダ装置1は、図1および図3に示すように、ウェハステージ151の上面に設けられたエンコーダヘッド20と、投影ユニット130の下部にエンコーダヘッド20(ウェハステージ151)と対向するように設けられたスケール5と、エンコーダヘッド20に向けて計測光(照明光)を射出する光源部10と、エンコーダヘッド20により計測光が照射されたスケール5からの反射光(回折光)を検出する光検出部50と、光検出部50からの検出信号に基づいてウェハステージ151のY軸方向の移動量を求める演算処理部210とを有して構成される。
【0026】
スケール5は、エンコーダヘッド20(ウェハステージ151)に対向してウェハステージ151の移動方向(Y軸方向)に延びるスケール面5aを備える薄板状の形状を有しており、このスケール面5aに、X軸方向を長手方向とする格子線がY軸方向に所定のピッチ(間隔)で配列された反射型の回折格子が形成されている。なお、スケール面5aに形成される回折格子の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、溝(凹凸)等により光路差を生じさせるタイプや、屈折率の違いにより光路差を生じさせるタイプの回折格子が用いられる。
【0027】
光源部10は、計測光として直線偏光を射出する光源11と、光源11から射出された計測光を平行光に変換するコリメータレンズ12とを有して構成される。なお、光源部10は、図1に示されるようにウェハステージ151上に設けられるのではなく、露光装置100を構成するフレーム部材(図示せず)もしくはベース部材105に支持されている。光源11から射出された計測光(直線偏光)は、コリメータレンズ12を透過して平行光となり、ウェハステージ151の移動方向(Y軸方向)に平行な光としてエンコーダヘッド20に入射する。
【0028】
エンコーダヘッド20は、光源部10から射出されて計測光(ウェハステージ151の移動方向に平行な光)を二つの光に分割してスケール5のスケール面5aに照射するとともに、スケール面5aからの二つの回折光を重ね合わせて干渉させ光検出部50に向けて射出する光学系である。具体的には、エンコーダヘッド20は、図3および図4を示すように、光源部10から射出された計測光をスケール5に向けて反射させる第1プリズム21と、第1プリズム21で反射した計測光が入射する位置に設けられた偏光ビームスプリッタ膜22と、偏光ビームスプリッタ膜22を透過した計測光が入射する位置に設けられた第1波長板(1/4波長板)23と、偏光ビームスプリッタ膜22で反射した計測光が入射する位置に設けられた第2波長板(1/4波長板)24と、第1波長板23または第2波長板24を透過した計測光が照射されたスケール面5aからの回折光(反射光)を光検出部50に向けて反射させる第2プリズム25とを有して構成される。
【0029】
第1プリズム21は、光源部10から射出された計測光(ウェハステージ151の移動方向に平行な光)が垂直に入射する入射面21aと、入射面21aを透過して入射した計測光をスケール5のスケール面5aに向けて反射させる反射面21bと、反射面21bで反射された計測光が到達する面であって偏光ビームスプリッタ膜22が設けられた膜配設面21cと、偏光ビームスプリッタ膜22(膜配設面21c)で反射された計測光が垂直に透過する透過面21dとを有して構成されている。第1プリズム21は、入射面21aおよび膜配設面21cが平行であり、かつ、反射面21bおよび透過面21dが平行であり、全体形状として平行四辺形の形状を有している。
【0030】
第1プリズム21の反射面21bは、上述したように計測光をスケール5のスケール面5aに向けて反射させる面であるが、このとき、膜配設面21cおよび偏光ビームスプリッタ22を透過してスケール面5aに入射した計測光の入射角とスケール面5aで反射回折した−1次回折光の回折角(反射角)とが等しくなるように、すなわち−1次回折光の光路が入射光路と同一光路となるように、計測光を反射させる構成となっている。また、膜配設面21cは、この膜配設面21cに設けられた偏光ビームスプリッタ膜22で反射された計測光が透過面21dを透過してスケール面5aに入射する入射角とスケール面5aで反射回折した+1次回折光の回折角(反射角)とが等しくなるように、すなわち+1次回折光の光路が入射光路と同一光路となるように、偏光ビームスプリッタ膜22を用いて計測光を反射させる構成となっている。
【0031】
偏光ビームスプリッタ膜22は、光源部10から射出された計測光のうちP偏光(振動方向が入射面内に含まれる直線偏光)を透過させ、P偏光と振動方向が直交するS編光を反射させる光学膜であり、第1プリズム21の膜配設面21cと後述する第2プリズム25の膜配設面25aとの間に挟まれて設けられている。
【0032】
第2プリズム25は、第1プリズム21の膜配設面21cと合致する面であって偏光ビームスプリッタ膜22が設けられた膜配設面25aと、第1プリズム21の反射面21bで反射され偏光ビームスプリッタ膜22を透過した計測光(P編光)が垂直に透過する透過面25bと、このP偏光が照射されスケール5のスケール面5aで反射回折された−1次回折光を偏光ビームスプリッタ膜22で反射された後に光検出部50に向けて反射させる反射面25cと、反射面25cで反射された光が垂直に射出する射出面25dとを有して構成されている。第2プリズム25は、膜配設面25aおよび射出面25dが平行であり、かつ、透過面25bおよび反射面25cが平行であり、全体形状として平行四辺形の形状を有しており、第1プリズム21と膜配設面21cに関して面対称の形状である。
【0033】
第2プリズム25の反射面25cは、上述したように−1次回折光を光検出部50に向けて反射させる面であるが、このとき、−1次回折光だけではなく、第1プリズム21の反射面21bで反射され偏光ビームスプリッタ膜22で反射された計測光(S編光)が照射されスケール5のスケール面5aで反射回折された+1次回折光を、膜配設面21cおよび偏光ビームスプリッタ膜22を透過して第2プリズム25内に入射した後に、上記−1次回折光と重ね合わせて干渉させた状態で、ウェハステージ151の移動方向(Y軸方向)に平行な光として光検出部50に向けて射出させるようになっている。
【0034】
エンコーダヘッド20では、上述したように偏光ビームスプリッタ膜22が第1プリズム21と第2プリズム25に挟まれて設けられており、第1プリズム21、第2プリズム25および偏光ビームスプリッタ膜22が一体に形成されている。
【0035】
光源部10から射出された計測光(ウェハステージ151の移動方向に平行な光)は、第1プリズム21の入射面21aを透過して第1プリズム21内に入射する。第1プリズム21内に入射した計測光は、反射面21bで反射されて、膜配設面21cに設けられた偏光ビームスプリッタ膜22に入射する。偏光ビームスプリッタ膜22を透過した計測光(P偏光)は、第2プリズム25の膜配設面25aを透過して第2プリズム25内に入射し透過面25bから外部に射出されて、第1波長板(1/4波長板)23を透過してP編光から円編光となり、スケール5のスケール面5aに照射される。そして、スケール面5aにおいて反射された回折光のうち−1次回折光(円偏光)が、入射光路と同一の光路を通って再び第1波長板23を透過して円偏光からS偏光となり、第2プリズム25の透過面25aから第2プリズム25内に入射して、膜配設面25aに設けられた偏光ビームスプリッタ膜22に入射する。そして、この−1次回折光(S偏光)は、偏光ビームスプリッタ膜22で反射され、さらに反射面25cで反射されて、ウェハステージ151の移動方向(Y軸方向)に平行な光として光検出部50に入射する。
【0036】
一方、偏光ビームスプリッタ膜22で反射した計測光(S偏光)は、透過面21dから第1プリズム21の外部に射出されて、第2波長板(1/4波長板)24を透過してS偏光から円偏光となり、スケール5のスケール面5aにおける上記P偏光が照射される位置とは別の位置に照射される。そして、スケール面5aにおいて反射された回折光のうち+1次回折光(円偏光)が、入射光路と同一の光路を通って再び第2波長板24を透過して円偏光からP偏光となり、第1プリズム21の透過面21dから第1プリズム21内に入射して、膜配設面21cに設けられた偏光ビームスプリッタ膜22に入射する。そして、この+1次回折光(P偏光)は、偏光ビームスプリッタ膜22および第2プリズム25の膜配設面25aを透過して第2プリズム25内に入射し、ここで上記−1次回折光と重ね合わさって干渉状態となり、反射面25cで反射されて、ウェハステージ151の移動方向(Y軸方向)に平行な干渉光として光検出部50に入射する。
【0037】
光検出部50は、図3に示すように、エンコーダヘッド20がスケール5のスケール面5aに対して基準状態(図3および図4に示す状態)からチルト(傾斜)し、該エンコーダヘッド20から二つの回折光(±1次回折光)が重なり合わずに射出された場合に、二つの回折光を重ね合わせて干渉させた状態に補正する補正光学系30と、干渉した二つの回折光(以下、干渉光という)を互いに初期位相が異なり且つ略同一の光強度を有する四つの干渉光に分割する分割光学系40と、分割光学系40によって分割された四つの干渉光の強度変化をそれぞれ光電変換して出力する第1〜第4フォトディテクタ51〜54とを有して構成される。
【0038】
補正光学系30は、エンコーダヘッド20から射出された二つの回折光(±1次回折光)が入射する位置に設けられた偏光ビームスプリッタ31と、偏光ビームスプリッタ31を透過した回折光が入射する位置に設けられた第3波長板(1/4波長板)32と、第3波長板32を透過した回折光が入射する位置に設けられた直角プリズム33と、偏光ビームスプリッタ31で反射した回折光が入射する位置に設けられた第4波長板(1/4波長板)34と、第4波長板34を透過した回折光が入射する位置に設けられた反射ミラー35とを有して構成される。偏光ビームスプリッタ31は、エンコーダヘッド20から射出されたP偏光である+1次回折光を透過させ、S偏光である−1次回折光を反射させる光学素子である。
【0039】
直角プリズム33は、第3波長板32を透過した回折光が入射する透過面33aと、透過面33aを透過して入射した回折光を反射させる二つ反射面33b,33cとを有し、互いに直交した反射面33b,33cを用いて入射した光を180度回転させて入射光軸に対して平行に反射させる光学素子である。直角プリズム33は、エンコーダヘッド20から二つの回折光が重ね合わさって干渉した状態で射出される場合(すなわちエンコーダヘッド20が基準状態にあってチルトしていない場合)において、その回折光の光軸上に、二つの反射面33b,33cが交わってなす線(稜線)が位置するように配置されている(図3を参照)。
【0040】
反射ミラー35は、第4波長板32を透過した回折光が入射する平面状の反射面35aを有し、エンコーダヘッド20から二つの回折光が重ね合わさって干渉した状態で射出される場合(すなわちエンコーダヘッド20が基準状態にあってチルトしていない場合)において、その回折光が反射面35aに垂直に入射するように配置されている。
【0041】
エンコーダヘッド20から射出された±1次回折光(上述したように、+1次回折光はP偏光であり、−1次回折光はS偏光である)は、偏光ビームスプリッタ31に入射する。ここで、エンコーダヘッド20が基準状態にあってチルトしておらず、エンコーダヘッド20から±1次回折光が重ね合わさって干渉した状態で射出される場合、偏光ビームスプリッタ31を透過した+1次回折光(P偏光)は、第3波長板(1/4波長板)32を透過してP偏光から円偏光となり、直角プリズム33の透過面33aを透過して直角プリズム33内に入射する。直角プリズム33内に入射した+1次回折光(円偏光)は、二つの反射面33b,33cが交わった部分で入射光路と同一の光路となるように反射され、再び第3波長板32を透過して円偏光からS偏光となり偏光ビームスプリッタ31に入射する。そして、この+1次回折光(S偏光)は、偏光ビームスプリッタ31で反射されて分割光学系40に入射する。
【0042】
一方、偏光ビームスプリッタ31で反射した−1次回折光(S偏光)は、第4波長板(1/4波長板)34を透過してS偏光から円編光となり、反射ミラー35の反射面35aに入射する。反射面35aで反射した−1次回折光(円偏光)は、入射光路と同一の光路を通って再び第4波長板34を透過して円偏光からP偏光となり偏光ビームスプリッタ31に入射する。そして、この−1次回折光(P偏光)は、偏光ビームスプリッタ31を透過して、ここで上記+1次回折光と重ね合わさって干渉状態となり、分割光学系40に入射する。
【0043】
ところで、エンコーダヘッド20がスケール5のスケール面5aに対して基準状態からチルト(傾斜)した場合、図5に示すように、エンコーダヘッド20から射出される±1次回折光は重ね合わさって干渉した状態とならない。図5に示すようにエンコーダヘッド20がスケール面5aに対してチルトした場合に、偏光ビームスプリッタ膜22を透過した計測光(P偏光)は、第1波長板23を透過した後にスケール面5aに入射されるが、このとき、スケール面5aに入射した計測光の入射角とスケール面5aで反射回折した−1次回折光の回折角とが等しくならず、−1次回折光の光路が入射光路と同一光路とならない。そのため、この−1次回折光は、偏光ビームスプリッタ膜22および第2プリズム25の反射面25cで反射されて、ウェハステージ151の移動方向(Y軸方向)に対して平行ではない光として補正光学系30(光検出部50)に入射する。
【0044】
また、偏光ビームスプリッタ膜22で反射した計測光(S偏光)においても、スケール面5aに入射した計測光の入射角とスケール面5aで反射回折した+1次回折光の回折角とが等しくならず、+1次回折光の光路が入射光路と同一光路とならない。そのため、この+1次回折光は、偏光ビームスプリッタ膜22を透過した後に第2プリズム25の反射面25cで反射されて、ウェハステージ151の移動方向(Y軸方向)に対して平行ではなく、かつ上記−1次回折光とY軸に関して対称な光として補正光学系30(光検出部50)に入射する。
【0045】
このようにエンコーダヘッド20がチルトした状態であり、エンコーダヘッド20から±1次回折光が重なり合わずに干渉しない状態で射出される場合、図6に示すように、補正光学系30において、偏光ビームスプリッタ31を透過した+1次回折光(P偏光)は、第3波長板(1/4波長板)32を透過してP偏光から円偏光となり、直角プリズム33の透過面33aを透過して直角プリズム33内に入射する。直角プリズム33内に入射した+1次回折光(円偏光)は、二つの反射面33b,33cで180度回転されて入射光軸に対して平行に反射され、再び第3波長板32を透過して円偏光からS偏光となり偏光ビームスプリッタ31に入射する。そして、この+1次回折光(S偏光)は、偏光ビームスプリッタ31で反射されて分割光学系40に入射する。
【0046】
一方、偏光ビームスプリッタ31で反射した−1次回折光(S偏光)は、第4波長板(1/4波長板)34を透過してS偏光から円編光となり、反射ミラー35の反射面35aに入射する。反射面35aで反射した−1次回折光(円偏光)は、入射光路とは異なる光路を通って再び第4波長板34を透過して円偏光からP偏光となり偏光ビームスプリッタ31に入射する。ここで、上述したように直角プリズム33および反射ミラー31が配置されているため、偏光ビームスプリッタ31を透過した−1次回折光は、上記+1次回折光と重ね合わさって干渉状態となり、分割光学系40に入射する。
【0047】
このように補正光学系30によれば、エンコーダヘッド20がチルトした状態であり、エンコーダヘッド20から±1次回折光が重なり合わずに干渉しない状態で射出される場合であっても、エンコーダヘッド20から射出された±1次回折光を重ね合わせて干渉させた状態に補正することができる。
【0048】
分割光学系40は、図3に示すように、補正光学系30から射出された干渉状態の±1次回折光(干渉光)が入射する位置に設けられた第5波長板(1/4波長板)41と、第5波長板41を透過した干渉光が入射する位置に設けられた第1ビームスプリッタ42と、第1ビームスプリッタ42を透過した干渉光が入射する位置に設けられた第2ビームスプリッタ43と、第1ビームスプリッタ42で反射した干渉光が入射する位置に設けられた第3ビームスプリッタ44と、第2および第3ビームスプリッタ43,44において透過もしくは反射した干渉光が入射する位置にそれぞれ設けられた第1〜第4波長板45〜48とを有して構成される。
【0049】
第1〜第3ビームスプリッタ42〜44はそれぞれ入射光の略半分を透過させ、残りの略半分を反射させる光学素子であり、これら三つのビームスプリッタ42〜44を組み合わせることで補正光学系30から射出された干渉光(干渉状態の±1次回折光)を略同一の光強度を有する四つの干渉光に分割させる構成となっている。
【0050】
第1〜第4偏光板45〜48はそれぞれ入射光のうち特定方向に偏光した光だけを透過させる光学素子である。第1〜第4偏光板45〜48は、その主軸が第1〜第3ビームスプリッタ42〜44で分割された干渉光の光軸回りに互いに異なるように配置され、これにより、第1〜第4偏光板45〜48をそれぞれ透過した干渉光が互いにπ/2ずつ初期位相の異なる干渉光となるように構成されている。
【0051】
補正光学系30から射出された干渉光(干渉状態の±1次回折光)は、第5波長板(1/4波長板)41を透過して直線偏光から円偏光となり、第1ビームスプリッタ42に入射する。第1ビームスプリッタ42を透過した干渉光(円偏光)は、第2ビームスプリッタ43に入射し、第2ビームスプリッタ43を透過した干渉光が、第1偏光板45を透過して所定の初期位相を有する直線偏光として第1フォトディテクタ51の撮像面51aに入射し、第2ビームスプリッタ43で反射した干渉光が、第2偏光板46を透過して第1偏光板45を透過した干渉光と初期位相がπ/2ずれた直線偏光として第2フォトディテクタ52の撮像面52aに入射する。
【0052】
また、第1ビームスプリッタ42で反射した干渉光(円偏光)は、第3ビームスプリッタ44に入射し、第3ビームスプリッタ44を透過した干渉光が、第3偏光板47を透過して第1偏光板45を透過した干渉光と初期位相がπずれた直線偏光として第3フォトディテクタ53の撮像面53aに入射し、第3ビームスプリッタ44で反射した干渉光が、第4偏光板48を透過して第1偏光板45を透過して干渉光と初期位相が3π/2ずれた直線偏光として第4フォトディテクタ54の撮像面54aに入射する。
【0053】
このように分割光学系40によれば、補正光学系30から射出された干渉光(干渉状態の±1次回折光)を光強度の略等しい四つの干渉光に分割し、さらにその四つの干渉光を互いにπ/2ずつ初期位相の異なる干渉光に変換し、第1〜第4フォトディテクタ51〜54においてその四つの干渉光を同時に検出することができる。
【0054】
第1〜第4フォトディテクタ51〜54は、各々の受光面51a〜54aに受光した干渉光(分割光学系40によって互いにπ/2ずつ初期位相の異なる四つの干渉光)の変化をそれぞれ光電変換して光強度信号を生成し、それらの光強度信号を演算処理部210に出力する。
【0055】
演算処理部210は、第1〜第4フォトディテクタ51〜54から出力された四つの光強度信号から干渉光の位相値を算出する。ここで、互いにπ/2ずつ初期位相の異なる四つの干渉光の強度をI,I,I,Iとすると、干渉光の位相値Ψは、Ψ=arctan{(I−I)/(I−I)}として算出することができる。そして、演算処理部210は、算出した干渉光の位相値に基づいてスケール5とエンコーダヘッド20との相対位置の変化(スケール5に対するエンコーダヘッド20の移動量)を測定し、これによりウェハステージ151のY軸方向の位置情報を求める。なお、演算処理部210は、上記主制御装置200の一部として設けられている(図2を参照)。
【0056】
ここで、スケール5とエンコーダヘッド20との相対位置の変化と干渉光の位相値との関係について図7を参照して説明する。まず、計測光がスケール5のスケール面5a(回折格子)に入射して反射回折する様子について考える。図7(a)に示すように、計測光が入射角θで入射し、回折角(反射角)θで反射回折する場合、回折格子において隣り合う凸部に入射する計測光の光路長差Lは、L=d・sinθ…(1)であり、回折光の光路長差L2は、L=d・sinθ…(2)である(ここでdは回折格子の格子間隔である)。そして、計測光が回折して行くためには光路長差が波長の整数倍でなければならないので、L−L=λ・n(λは波長、nは整数)…(3)の関係が成り立たなければならない。
【0057】
そして、スケール5に対してエンコーダヘッド20がY軸方向にδyだけ移動すると、図7(b)に示すように計測光が回折格子に入射するまでの光路長がδだけ長くなり、図7(c)に示すように回折光の光路長はδだけ短くなる。そのため、計測光が入射して回折していくまでの光路長の変化δは、上記(1)〜(3)式を用いることにより、δ=δ−δ=δy(sinθ−sinθ)=δy・λ・n/d…(4)となる。
【0058】
本実施形態の場合、±1次回折光が干渉するので上記(4)式においてn=2となる。したがって、±1次回折光の位相差は4π・δy/dとなる。このように、スケール5に対してエンコーダヘッド20が移動すると、スケール5のスケール面5aで反射回折した±1次回折光の位相差が変化するので、演算処理部210において算出される干渉光の位相値が変化する。そのため、この干渉光の位相値に基づいてスケール5とエンコーダヘッド20との相対位置の変化(スケール5に対するエンコーダヘッド20の移動量)を測定し、これによりウェハステージ151のY軸方向の位置情報を求めることができる。
【0059】
このようなエンコーダ装置1によれば、エンコーダヘッド20において、偏光ビームスプリッタ膜22が第1プリズム21と第2プリズム25に挟まれて設けられており、第1プリズム21、第2プリズム25および偏光ビームスプリッタ膜22が一体に形成されている。そのため、これらのプリズムを目的に合うように設計加工して組み立てることにより、偏光ビームスプリッタ膜22および光路の位置合せができ、装置全体の位置合わせ箇所を大幅に減少させることができる。また、エンコーダヘッド20を小型化することができ、これによりエンコーダヘッド20をウェハステージ151上のウェハWの近くに設置することができるので、ウェハWの位置合わせを行う場合にウェハステージ151のたわみや熱膨張などの影響を軽減させて、精度よくウェハWの位置合せを行うことができる。
【0060】
本発明の一様態であるデバイス製造方法では、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行う工程、シリコン材料からウェハを形成する工程、露光装置100によりレチクルRを介してウェハWを露光する工程を含むリソグラフィ工程、エッチング等の回路パターンを形成する工程、デバイス組立工程(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、および検査工程等を経て製造される。なお、
【0061】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらの構成形態に限定されるものではない。例えば、エンコーダ装置1では、スケール5が投影ユニット130側に設けられ、エンコーダヘッド20がウェハステージ151上に設けられているが、これとは逆に、エンコーダヘッドを投影ユニット側に設け、スケール(回折格子)をウェハステージ上に設ける構成でもよい。また、本実施形態では、エンコーダ装置1を、半導体デバイス製造用の露光装置100に設けた場合について説明したが、本発明に係るエンコーダ装置は、他の種々のデバイスを製造するための露光装置や、露光装置以外の検査装置、測定装置等の光学装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 エンコーダ装置
5 スケール(回折格子)
10 光源部
20 エンコーダヘッド
21 第1プリズム
22 偏光ビームスプリッタ膜
23 第1波長板
24 第2波長板
25 第2プリズム
30 補正光学系
40 分割光学系
51〜54 第1〜第4フォトディテクタ(光検出器)
210 演算処理部(移動量測定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に対して所定方向に直線移動する測定対象物の移動量を測定するエンコーダ装置であって、
前記ベース部材および前記測定対象物のいずれか一方に設けられ、前記所定方向に所定間隔で配列された格子パターンを有する反射型の回折格子と、
前記所定方向に平行な計測光を射出する光源部と、
前記ベース部材および前記測定対象物の他方に設けられ、前記光源部から射出された前記計測光を偏光方向が直交する二つの直線偏光に分割させて前記格子パターン上の二つの位置にそれぞれ照射させるとともに、当該格子パターン上の一方の位置で反射回折された+1次回折光と他方の位置で反射回折された−1次回折光とを重ね合わせて干渉させ前記所定方向に平行な干渉光として射出するエンコーダヘッドと、
前記エンコーダヘッドから射出された前記干渉光を受けて、前記干渉光の強度の変化を光電変換して出力する光検出器と、
前記光検出器から出力された光強度信号から前記干渉光の位相値を算出し、算出した前記位相値に基づいて前記測定対象物の移動量を測定する移動量測定部とを備え、
前記エンコーダヘッドは、前記計測光を前記格子パターンに向けて反射させる第1プリズムと、前記第1プリズムにより反射された前記計測光を前記二つの直線偏光に分割する偏光ビームスプリッタ膜と、前記偏光ビームスプリッタ膜を透過した直線偏光を円偏光に変換して前記格子パターンの前記他方の位置に照射させる第1波長板と、前記偏光ビームスプリッタ膜で反射した直線偏光を円偏光に変換して前記格子パターンの前記一方の位置に照射させる第2波長板と、前記干渉光を前記光検出器に向けて反射させる第2プリズムとを有し、前記偏光ビームスプリッタ膜が前記第1プリズムと前記第2プリズムに挟まれて設けられ前記第1プリズム、前記第2プリズムおよび前記偏光ビームスプリッタ膜が一体に形成されていることを特徴とするエンコーダ装置。
【請求項2】
前記エンコーダヘッドと前記光検出部の間の光路上に設けられ、前記エンコーダヘッドから前記+1次回折光と前記−1次回折光とが重なり合わずに射出された場合に、前記+1次回折光と前記−1次回折光とを重ね合わせて干渉させた状態に補正する補正光学系を備えることを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記干渉光を互いに位相が異なり且つ略同一の光強度を有する四つの光に分割し、それらの光を四つの前記光検出器にそれぞれ入射させる分割光学系を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のエンコーダ装置を備えることを特徴とする光学装置。
【請求項5】
被露光体を所定の露光領域に対応する露光位置に移動させながら、レチクルに形成された所定のパターンを前記被露光体に投影して露光を行う露光装置であって、
前記被露光体を支持するとともに所定方向に直線移動可能なステージと、
前記所定方向への前記ステージの移動量を測定する請求項1〜3のいずれかに記載のエンコーダ装置と、
前記ステージに支持された前記被露光体を前記露光位置に移動させるように、前記エンコーダ装置により測定された前記移動量に基づいて前記ステージの前記所定方向への移動を制御するステージ移動制御部とを備えることを特徴とする露光装置。
【請求項6】
被露光体を支持するステージの所定方向への直線移動量を測定する請求項1〜3のいずれかに記載のエンコーダ装置の測定結果に基づいて前記ステージの前記所定方向への移動を制御して、前記ステージに支持された前記被露光体を所定の露光領域に対応する露光位置に移動させながら、レチクルに形成された所定のパターンを前記被露光体に投影して露光を行うことを特徴とする露光方法。
【請求項7】
リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程では、請求項5に記載の露光装置を用いてレチクルに形成された所定のパターンを被露光体に投影して露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−8004(P2012−8004A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144188(P2010−144188)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】