説明

スプリット路面上での車輪の駆動滑りを抑制する車輌

【課題】スプリット路面上で摩擦係数の高い側の接地荷重を大きくすれば接地荷重と摩擦係数の積の合計は大きくなるが、摩擦係数の低い側では低い摩擦係数と接地荷重の減小とが相俟って摩擦円の半径は一層小さくなり、摩擦係数の低い側で車輪に大きな滑りが生じる虞れがある。これを回避する車輌を提供する。
【解決手段】左輪と右輪に対する路面の摩擦係数に基づいて接地荷重配分手段により左輪と右輪の間で接地荷重を配分すると共に駆動力配分手段により左輪と右輪の間で駆動力を配分し且つそれによって車輌に生じるモーメントを打ち消す方向に操舵手段を操舵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の4輪またはそれ以上の複数輪にて一般の路面を走行する車輌に係る。
【背景技術】
【0002】
路面と車輪の間に伝達可能な路面に沿う方向の力は、車輪を路面に対し押し付ける力(接地荷重)に路面と車輪の間の摩擦係数を乗じた値により制限され、この値を半径として路面と車輪の接触点の回りに描かれたほぼ円形をなす輪郭形状が「摩擦円」と称されており、その半径の大きさは該半径に沿う方向に得られる路面と車輪の間の伝達力の最大値を示す。
【0003】
ところで、自動車等の4輪またはそれ以上の複数輪が左右に分かれて配置され、一般の路面を走行する自動車等の車輌に於いては、路面の状況に応じて左輪と右輪に対する路面の摩擦係数が異なることが起こる。そのように左輪と右輪に対し異なる摩擦係数を呈する路面は、スプリット路面と称されている。車輪に対する路面の摩擦係数が下がれば、同じ接地荷重の下でも摩擦円の半径は小さくなり、車輪の駆動力の最大値が低下する。
【0004】
左右の車輪の接地荷重は、その合計が車体重量に対応し、一方の側に於ける車輪の接地荷重が増大されれば他方の側に於ける車輪の接地荷重はその分減小するが、左右の車輪に於ける接地荷重と摩擦係数の積についてみれば、摩擦係数の高い側の接地荷重を大きくした方が左右輪に於ける接地荷重と摩擦係数の積の合計は大きくなるので、スプリット路面に於いてアクティブサスペンションを作動させて路面の摩擦係数の高い側の接地荷重を増大させることが下記の特許文献1に記載されている。また下記の特許文献2には、前後左右の各車輪の接地荷重を変更する制御手段を有し、何れか一方の組の対角輪の各接地荷重と他方の組の対角輪の各接地荷重とを互いに反対の増減方向に変更し、且つ各対角輪での各接地荷重を同じ増減方向で変更することが可能な車輌に於いて、制動時に左右輪が接地している路面の摩擦係数を推定し、高摩擦係数側前輪と低摩擦係数側後輪の接地荷重を増加させ、低摩擦係数側前輪と高摩擦係数側後輪の接地荷重を減小させることが記載されている。
【特許文献1】特開平3-109115
【特許文献2】特開2004-66996
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通りスプリット路面上では摩擦係数の高い側の接地荷重を大きくした方が左右輪に於ける接地荷重と摩擦係数の積の合計は大きくなるが、このとき路面の摩擦係数の低い側では、低い摩擦係数と接地荷重の減小とが相俟って摩擦円の半径は一層小さくなり、摩擦係数の低い側にて車輪に大きな滑りが生じる虞れがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に着目し、車輪の滑りを抑制しつつ自動車等の車輌のスプリット路面上での駆動能力を高める車輌を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、左輪と右輪に対する路面の摩擦係数を個別に検出する摩擦係数検出手段と、左輪と右輪の間で接地荷重を配分する接地荷重配分手段と、左輪と右輪の間で駆動力を配分する駆動力配分手段と、操舵手段とを備え、前記摩擦係数検出手段により検出された左輪と右輪に対する路面の摩擦係数に基づいて前記接地荷重配分手段により左輪と右輪の間で接地荷重を配分すると共に前記駆動力配分手段により左輪と右輪の間で駆動力を配分し且つそれによって車輌に生じるモーメントを打ち消す方向に前記操舵手段が操舵されるようになっていることを特徴とする車輌を提案するものである。
【0008】
前記接地荷重配分手段はアクティブサスペンションまたはアクティブスタビライザの少なくとも一つを含むものであってよい。
【0009】
前記駆動力配分手段は左輪と右輪の間に作用する差動手段と該差動手段の差動作用を制限する差動制限手段とを含んでいてよい。
【0010】
左輪と右輪に対する路面の摩擦係数に基づく前記接地荷重配分手段による左輪と右輪の間の接地荷重の配分と前記駆動力配分手段による左輪と右輪の間の駆動力の配分とは、車輪に対する路面の摩擦係数が低い側にて車輪駆動力が接地荷重と摩擦係数の積を越えなくなるまで行われてよい。
【発明の効果】
【0011】
車輌が、左輪と右輪に対する路面の摩擦係数を個別に検出する摩擦係数検出手段と、左輪と右輪の間で接地荷重を配分する接地荷重配分手段と、左輪と右輪の間で駆動力を配分する駆動力配分手段と、操舵手段とを備え、前記摩擦係数検出手段により検出された左輪と右輪に対する路面の摩擦係数に基づいて前記接地荷重配分手段により左輪と右輪の間で接地荷重を配分すると共に前記駆動力配分手段により左輪と右輪の間で駆動力を配分し且つそれによって車輌に生じるモーメントを打ち消す方向に前記操舵手段が操舵されるようになっていれば、スプリット路面上に於いて摩擦係数の高い側の車輪に接地荷重をより多く配分することにより摩擦係数が高い側に於ける摩擦円の半径と摩擦係数が低い側に於ける摩擦円の半径との間に大きな差が生じても、それに対応して車輪駆動力にも摩擦円が大きい側にて摩擦円が小さい側より駆動力が大きくなるよう差をつけられるので、摩擦円が小さくなった側にても車輪に滑りが生ずることを抑制することができ、またそれによって車輌にモーメントが生じても操舵手段の操舵によりこれを打ち消すことができる。
【0012】
前記接地荷重配分手段がアクティブサスペンションまたはアクティブスタビライザの少なくとも一つを含むものとされれば、左右輪間の接地荷重の配分を迅速に変化させることができ、車輌のスプリット路面への進入およびスプリット路面からの脱出並びにスプリット路面に沿った摩擦係数の変化に遅れ無く追従して左右輪間の接地荷重の配分を制御することができる。
【0013】
前記駆動力配分手段が左輪と右輪の間に作用する差動手段と該差動手段の差動作用を制限する差動制限手段とを含んでいれば、接地荷重配分手段による左右輪間の接地荷重の配分に応じて左右輪間の駆動力配分を的確に行うことができる。
【0014】
左輪と右輪に対する路面の摩擦係数に基づく接地荷重配分手段による左輪と右輪の間の接地荷重の配分と駆動力配分手段による左輪と右輪の間の駆動力の配分とを、車輪に対する路面の摩擦係数が低い側にて車輪駆動力が接地荷重と摩擦係数の積を越えなくなるまで行うことにより、上記の如きスプリット路面対応制御の中止時期を的確に定めることができる、
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
添付の図1は、本発明による車輌の本発明に係る機能的構成を解図的に示す概略図である。図に於いて、10FL,10FR,10RL,10RRは4輪車の左前輪、右前輪、左後輪、右後輪であり、それぞれ図には示されていない車体よりアクティブサスペンション12FL,12FR,12RL,12RRにより懸架されている。左前輪10FLと右前輪10FRの間には前輪側アクティブスタビライザ14Fが装備されており、また左後輪10RLと右後輪10RRの間には後輪側アクティブスタビライザ14Rが装備されている。左前輪10FLおよび右前輪10FRは、左右のキングピン16L,16R、左右のナックルアーム18L,18R、操舵用タイロッド20、ステアリングギア22、ステアリングホイール24等よりなる操舵装置26により操舵されるようになっている。
【0016】
図示の車輌は4輪駆動車であり、前輪10FLおよび10FRは前輪用差動歯車装置28を経て、また後輪10RLおよび10RRは後輪用差動歯車装置30を経て、図には示されていない内燃機関より図には示されていない変速装置を経て駆動されるようになっている。
【0017】
32はマイクロコンピュータを組み込んだ車輌の電気式制御装置(ECU)であり、図には電気式制御装置により機能的に提供される本発明に係る演算手段や制御手段が解図的に示されている。
【0018】
その一つである目標ヨーレート算出手段34には、操舵センサ36より操舵角を示す信号、図には示されていない車速センサより車速を示す信号、図には示されていない横加速度センサより車輌に作用する横加速度を示す信号が供給されており、目標ヨーレート算出手段34は、これらの信号に基づいて目標ヨーレートγtを算出するようになっている。算出された目標ヨーレートγtは図には示されていないヨーレートセンサにより検出された実ヨーレートγと比較され、目標ヨーレートγtと実ヨーレートγの差がヨーレート偏差として左右の車輪に対する路面の摩擦係数μを算出する左右μ推定手段38へ供給されるようになっている。
【0019】
左右μ推定手段38には、その他に車速を示す信号、横加速度を示す信号、実ヨーレートを示す信号、左右の前輪および後輪の加速度を示す信号が供給されている。尚、車輌が後輪または前輪の2輪駆動であるときには、駆動されない前輪または後輪に対する加速度の検出は省略されてよい。左右μ推定手段38はこれらの信号に基づいて左輪に対する路面の摩擦係数μlおよび右輪に対する路面の摩擦係数μrを推定算出するようになっている。算出された左輪および右輪に対する路面の摩擦係数μlおよびμrは横滑り角推定手段40に供給されと共に、アクティブサスペンション制御手段42、アクティブスタビライザ制御手段44、操舵装置制御手段46、差動装置制御手段48へ供給される。
【0020】
横滑り角推定手段40には、その他に操舵角を示す信号、車速を示す信号、横加速度を示す信号、ヨーレート偏差を示す信号、実ヨーレートを示す信号、各車輪の加速度を示す信号が供給されている。横滑り角推定手段40はこれらの信号に基づいて横滑り角を推定算出し、算出された横滑り角を示す信号はアクティブサスペンション制御手段42、アクティブスタビライザ制御手段44、操舵装置制御手段46、差動装置制御手段48へ供給される。
【0021】
アクティブサスペンション制御手段42、アクティブスタビライザ制御手段44、操舵装置制御手段46、差動装置制御手段48は、それぞれ供給された左輪および右輪に対する路面の摩擦係数μlおよびμr、横滑り角を示す信号、各車輪の加速度を示す信号に基づいてアクティブサスペンション12FL,12FR,12RL,12RR、前輪側アクティブスタビライザ14Fおよび後輪側アクティブスタビライザ14R、操舵装置26、差動装置28および30を制御する。
【0022】
図2は、車輌のスプリット路面走行に対し本発明の車輌に於いて行われる車輪の駆動滑り抑制制御をその一つの実施の形態について示すフローチャートである。このフローチャートは駆動輪である一対の前輪または後輪に対する制御として示されている。前輪および後輪が共に駆動される4輪駆動の場合には、図示の如き一連の制御を一対の前輪と一対の後輪に対し交互に実施すればよい。かかるフローチャートに沿う制御は数10〜数100ミリセカンドの周期にて繰り返されるようになっていてよい。
【0023】
制御が開始されると、ステップ10に於いて、図1に於ける左右μ推定手段38の如き手段により左輪および右輪に対する路面の摩擦係数μlおよびμrが推定算出される。次いで制御はステップ20へ進み、左輪に対する摩擦係数μlが右輪に対する摩擦係数μrより或る適当な偏差Δμ以上大きいか否かが判断される。答がイエス(Y)であることは、路面が本発明による制御の対象となる程度以上のスプリット路面であって、右輪に対する路面の摩擦係数が左輪に対するそれより低い状態にあることを示す。このとき制御はステップ30へ進み、右側駆動輪の駆動力Fdrが右輪に対する摩擦係数μrと右側駆動輪の接地荷重Wrの積より大きいか否か、即ち、右側駆動輪の駆動力Fdrが右側駆動輪に対する摩擦円を越えているか否かが判断される。答がノー(N)であれば、路面の摩擦係数が低い右輪側に於いても、車輪駆動による滑りが生ずることはないので、この回の制御はこれにて終了する。
【0024】
ステップ30の答がイエスであれば、制御はステップ40へ進む。ステップ40に於いては、車輪の接地荷重を右輪側から左輪側へ移すための1サイクル当りの接地荷重変分ΔWが、一例として、左右の車輪に対する路面の摩擦係数μlとμrの差の関数fw(μl−μr)として算出され、それに基づいて左輪の接地荷重目標値WlはΔWだけ増大され、右輪の接地荷重目標値WrはΔWだけ低減される。関数ΔW=fw(μl−μr)は,μl−μrとΔWの関係を示す適当なマップの形にて電気式制御装置32のマイクロコンピュータに記憶されていてよい。
【0025】
次いで制御はステップ50へ進み、車輪駆動力の配分を右輪側から左輪側へ移すための1サイクル当りの車輪駆動力変分ΔFdが、一例として、左右の車輪の接地加重WlとWrの差の関数fd(Wl−Wr)として算出され、それに基づいて左輪の駆動力目標値FdlはΔFdだけ増大され、右輪の駆動力目標値FdrはΔFdだけ低減される。関数ΔFd=fd(Wl−Wr)もまた,Wl−WrとΔFdの関係を示す適当なマップの形にて電気式制御装置32のマイクロコンピュータに記憶されていてよい。
【0026】
次いで制御はステップ60へ進み、車輪駆動力の配分が右輪から左輪へ移されたことにより車輌に作用するモーメント(主としてヨーモーメント)を打ち消すための操舵制御の操舵角変化の1サイクル当りの変分Δαが、一例として、左右の車輪に対する車輪駆動力FdlとFdrの差の関数fs(Fdl−Fdr)として算出される。関数Δα=fs(Fdl−Fdr)もまた、Fdl−FdrとΔαの関係を示す適当なマップの形にて電気式制御装置32のマイクロコンピュータに記憶されていてよい。
【0027】
以上の制御目標値の算出に続き、ステップ70に於いて、上に算出されたWl,ΔWに基づき、左輪の接地荷重Wlのうち左輪アクティブサスペンションにより達成すべき分を左輪アクティブサスペンションにより達成するよう、左輪アクティブサスペンションがアクティブサスペンション制御手段42により制御され、またステップ80に於いて、上に算出されたWr,ΔWに基づき、右輪の接地荷重Wrのうち右輪アクティブサスペンションにより達成すべき分を右輪アクティブサスペンションにより達成するよう、右輪のアクティブサスペンションがアクティブサスペンション制御手段42により制御される。
【0028】
更に、ステップ90に於いて、上に算出されたWl,Wr、ΔWに基づき、左輪の接地荷重Wlおよび右輪の接地荷重Wrのうちアクティブスタビライザにより達成すべき分をアクティブスタビライザにより達成するよう、アクティブスタビライザがアクティブスタビライザ制御手段44により制御される。
【0029】
次いで、ステップ100に於いて、上に算出されたFdl,Fdr,ΔFdに基づき左右の車輪の車輪駆動力をそれぞれFdlおよびFdrとするよう差動装置制御手段48により差動装置28または30が制御される。これは、差動装置28または30に設けられている図には示されていない差動制限装置を作動させて差動装置の差動作用を適宜制限することにより達成される。尚、図示の実施の形態に於いては、左右輪間に於ける車輪駆動力の配分或は移転は左右輪間に設けられた差動装置とその差動を制限する差動制限装置により行われるようになっているが、左右輪間に於ける車輪駆動力の配分或は移転はトラクション制御装置を利用して行われてもよく、また各車輪を各電動機により個別に直接駆動するインホイールモータ式の車輌では、各車輪に対する電動機の出力制御によって行われてよい。
【0030】
更に、ステップ110に於いて、上に算出されたΔαに基づき操舵装置36が操舵装置制御手段46により1フローサイクル当り操舵角変分Δαだけ操舵される。
【0031】
以上の如きステップ40〜110によるスプリット路面対応制御により路面の摩擦係数が低い側より高い側への車輪接地荷重の移転と車輪駆動力の移転とが微小サイクルタイムにて微小制御量ずつ繰り返し行われるに当たって、後者の移転割合が前者の移転割合に対比して適当に大きくされていれば、やがてステップ30の答はイエスからノーに転じるので、ここでスプリット路面に対応した車輪接地荷重の移転と車輪駆動力の移転が中止されればよい。その後、車輌の走行に伴って車輌がスプリット路面外へ出れば、ステップ20の答はノーとなり、制御はステップ120へ進む。ステップ120に於いては、右輪に対する摩擦係数μrが左輪に対する摩擦係数μlより或る適当な偏差Δμ以上大きいか否かが判断される。車輌がスプリット路面外へ出たときには、ステップ120の答はノーであり、このとき制御はステップ130へ進み、スプリット対応制御は解除され、左輪のアクティブサスペンション、右輪のアクティブサスペンション、アクティブスタビライザ、差動装置、操舵装置の作動状態はスプリット対応制御開始前の元の状態にリセットされる。尚、始からステップ20の答もステップ120の答もノーであるときにも制御はステップ130へ進み、各装置はスプリット対応制御に関する限りリセットされた状態に留まる。
【0032】
車輌が本発明による制御の対象となる程度以上に左輪に対する路面の摩擦係数が右輪に対するそれより低い状態にあるスプリット路面上にさしかかると、制御がステップ120に至ったとき答がイエスとなる。このときには、左輪と右輪を反対にして、ステップ30〜110について上に説明した制御と同様の制御がステップ140〜220として行われる。その制御態様は、ステップ30〜110についての上の説明より明らかであると思われるので、ステップ140〜220についての同様の詳細な説明は、明細書の冗長化を避けるため省略する。
【0033】
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による車輌の本発明に係る機能的構成を解図的に示す概略図。
【図2】車輌のスプリット路面走行に対し本発明の車輌に於いて行われる車輪の駆動滑り抑制制御をその一つの実施の形態について示すフローチャート。
【符号の説明】
【0035】
10FL,10FR,10RL,10RR…左前輪、右前輪、左後輪、右後輪、12FL,12FR,12RL,12RR…アクティブサスペンション、14F,14R…アクティブスタビライザ、16L,16R…キングピン、18L,18R…ナックルアーム、20…操舵用タイロッド、22…ステアリングギア、24…ステアリングホイール、26…操舵装置、28…前輪用差動歯車装置、30…後輪用作動歯車装置、32…電気式制御装置(ECU)、34…目標ヨーレート算出手段、36…操舵センサ、38…左右μ推定手段、40…横滑り角推定手段、42…アクティブサスペンション制御手段、44…アクティブスタビライザ制御手段、46…操舵装置制御手段、46…差動装置制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左輪と右輪に対する路面の摩擦係数を個別に検出する摩擦係数検出手段と、左輪と右輪の間で車輪の接地荷重を配分する接地荷重配分手段と、左輪と右輪の間で駆動力を配分する駆動力配分手段と、操舵手段とを備え、前記摩擦係数検出手段により検出された左輪と右輪に対する路面の摩擦係数に基づいて前記接地荷重配分手段により左輪と右輪の間で接地荷重を配分すると共に前記駆動力配分手段により左輪と右輪の間で駆動力を配分し且つそれによって車輌に生じるモーメントを打ち消す方向に前記操舵手段が操舵されるようになっていることを特徴とする車輌。
【請求項2】
前記接地荷重配分手段はアクティブサスペンションまたはアクティブスタビライザの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の車輌。
【請求項3】
前記駆動力配分手段は左輪と右輪の間に作用する差動手段と該差動手段の差動作用を制限する差動制限手段とを含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の車輌。
【請求項4】
左輪と右輪に対する路面の摩擦係数に基づく前記接地荷重配分手段による左輪と右輪の間の接地荷重の配分と前記駆動力配分手段による左輪と右輪の間の駆動力の配分とは、車輪に対する路面の摩擦係数が低い側にて車輪駆動力が接地荷重と摩擦係数の積を越えなくなるまで行われるようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車輌。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−335229(P2006−335229A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162826(P2005−162826)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】