説明

セラミック多層基板及びその製造方法

【課題】耐衝撃性に優れ、且つ、平坦性及び耐めっき性に優れたセラミック多層基板を提供する。
【解決手段】本発明のセラミック多層基板10は、複数のセラミック層11Aを積層してなるセラミック積層体11の内部に内部導体パターン12を有し、セラミック積層体11の下面に第1の端子電極13Aを有し、第1の端子電極13Aの表面と、第1の端子電極13Aとセラミック積層体11との境界部との双方を覆うように、セラミック積層体11の下面に対して凸状の導電性樹脂部14が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック多層基板及びその製造方法に関し、更に詳しくは、耐衝撃性を高め、信頼性を向上させることができるセラミック多層基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック多層基板は、複数のセラミック層を積層してなるセラミック積層体と、セラミック積層体の内部に形成された内部導体パターンと、セラミック積層体の表面に形成された外部導体パターンと、を備えて構成されている。内部導体パターンは、セラミック層間に形成された複数の面内導体及び上下の面内導体等を接続するビアホール導体によって構成されている。また、外部導体パターンは、セラミック積層体の上下両面等の表面に形成された端子電極によって構成されている。
【0003】
このようなセラミック多層基板及びその製造方法としては、例えば特許文献1に記載の多層セラミック基板及びその作製方法が知られている。この多層セラミック基板の作製方法では、低温焼成用のセラミックグリーンシートに、電気・電子部品との接続のための第1の接続端子部、外部回路との接続のための第2の接続端子部、及び第1の接続端子部と第2の接続端子部を電気的に接続する導体回路部をそれぞれ金属ペーストを用いて形成した後、複数のセラミックグリーンシートを積層し、セラミックグリーンシート及び金属ペーストを同時に低温焼成して、基板部材を作製する。
【0004】
上記基板部材の導体回路部は、パンチング等の手法によりセラミックグリーンシートに形成されたビアホールやスルーホールに金属ペーストを充填し、乾燥させることによって形成する。また、第1、第2の接続端子部は、セラミックグリーンシートに金属ペーストをスクリーン印刷によって形成する。そして、これらのセラミックグリーンシートを積層し、圧着した後、セラミックグリーンシートと金属ペーストとを所定の焼成温度で同時焼成して基板部材を作製している。つまり、特許文献1に記載の多層セラミック基板の作製方法では、複数積層されたセラミックグリーンシートと金属ペーストとを同時に焼成する従来公知の技術が採用されている。
【0005】
【特許文献1】特開平06−275956
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の多層セラミック基板等の従来のセラミック多層基板の場合には、セラミックグリーンシートと金属ペーストは、それぞれを構成する材料が異なるため、焼成時にそれぞれ異なった収縮挙動を示すことになる。この収縮挙動差によってセラミック層と焼結金属との間に隙間ができたり、セラミック多層基板に反りやうねりを生じる。そこで、金属ペーストの収縮挙動をセラミックグリーンシートの収縮挙動に合わせて両者間の収縮挙動差を極力抑制するために、金属ペーストの金属材料粉末の種類や粒径、粒度分布などを調整したり、焼成時の温度管理等を厳密にコントロールしなくてはならない。しかし、このような対策を講じたとしてもセラミックグリーンシートと金属ペーストとの収縮挙動差を完全に解消することができず、セラミック多層基板を構成するセラミック層と内部導体パターンとの間の収縮挙動差に基づく隙間や外部導体パターン周辺の反りやうねりを生じることが多々ある。その結果、セラミック多層基板の平坦性や耐めっき性が損なわれることがある。
【0007】
一方、セラミック多層基板は、高密度に導体パターンを形成することができ、しかもコンデンサやインダクタ等の受動素子を基板内に内蔵させることができるため、小型で高密度配線を要求される移動体通信端末等のように携帯可能な電子機器に多用されている。ところが、これらの電子機器は、携帯されるために落下等の衝撃を免れず、落下等の衝撃に対する耐衝撃性の向上が強く要求される。
【0008】
しかしながら、従来のセラミック多層基板の場合には、セラミック積層体の内部導体パターン及び端子電極のような外部導体パターンが焼結金属によって形成されているため、落下時等による衝撃がマザー基板に作用すると、その衝撃が端子電極等の外部導体パターンからセラミック積層体に直接伝播するため、セラミック積層体内の上述の収縮挙動差で生じた隙間等においてクラックを発生しやすく、信頼性を低下させる虞があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、耐衝撃性に優れ、且つ、平坦性及び耐めっき性に優れたセラミック多層基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載のセラミック多層基板は、複数のセラミック層を積層してなるセラミック積層体の内部に内部導体パターンを有し、上記セラミック積層体の主面に端子電極を有するセラミック多層基板であって、上記端子電極の表面及び上記端子電極と上記セラミック積層体との境界部を覆うように、且つ、上記主面に対して凸となるように導電性樹脂部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載のセラミック多層基板は、請求項1に記載の発明において、上記内部導体パターン及び上記端子電極は、上記セラミック積層体との同時焼成によって得られる焼結金属であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載のセラミック多層基板は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記端子電極の表面と上記セラミック積層体の主面とは同一平面をなしていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載のセラミック多層基板は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記導電性樹脂部の表面にはめっき膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項5に記載のセラミック多層基板は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記導電性樹脂部の高さは、上記主面に対して5〜1000μmであることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項6に記載のセラミック多層基板は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、上記端子電極は、上記セラミック積層体に設けられたビアホール導体の端面によって形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項7に記載のセラミック多層基板は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発明において、上記端子電極は、少なくとも一部が上記導電性樹脂部内に突出していることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項8に記載のセラミック多層基板は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の発明において、上記セラミック積層体の上記主面には、その周縁部に複数の端子電極が配列されており、これらの端子電極のうち、少なくとも四隅の端子電極が上記導電性樹脂部によって被覆されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項9に記載のセラミック多層基板の製造方法は、複数のセラミック層を積層してなるセラミック積層体の内部に内部導体パターンを有し、上記セラミック積層体の主面に端子電極を有するセラミック多層基板を作製する際に、上記端子電極の表面及び上記端子電極と上記セラミック積層体との境界部を覆うように、且つ、上記主面に対して凸となるように導電性樹脂部を形成することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項10に記載のセラミック多層基板の製造方法は、請求項9に記載の発明において、上記内部導体パターン及び上記端子電極を、上記セラミック積層体と同時焼成することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項11に記載のセラミック多層基板の製造方法は、請求項9または請求項10に記載の発明において、上記導電性樹脂部を形成する際に、上記主面に導電性樹脂層を形成した後、平滑面を有する平滑部材を、上記平滑面が上記導電性樹脂層の表面に接触するように上記導電性樹脂層上に載置することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項12に記載のセラミック多層基板の製造方法は、請求項11に記載の発明において、上記平滑部材の平滑面を複数の上記導電性樹脂層の表面に同時に接触させて、上記各導電性樹脂層それぞれの表面を同一高さに形成することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の請求項13に記載のセラミック多層基板の製造方法は、請求項11または請求項12に記載の発明において、上記平滑部材として、上記導電性樹脂層に対応する凹部を有し且つこの凹部内に上記平滑面が形成された板状部材を用いることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の請求項14に記載のセラミック多層基板の製造方法は、請求項9〜請求項13のいずれか1項に記載の発明において、上記導電性樹脂部の表面にめっき膜を形成することを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の請求項15に記載のセラミック多層基板の製造方法は、請求項9〜請求項14のいずれか1項に記載の発明において、上記内部導体パターンを有するセラミックグリーンシート及び上記端子電極を有するセラミックグリーンシートを積層して未焼成のセラミック積層体を作製し、これをその両主面が平坦化するように加圧することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1〜請求項15に記載の発明によれば、耐衝撃性に優れ、且つ、平坦性及び耐めっき性に優れたセラミック多層基板及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図1〜図12に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
【0027】
第1の実施形態
本実施形態のセラミック多層基板10は、例えば図1の(a)に示すように、複数のセラミック層11Aが積層されたセラミック積層体11と、セラミック積層体11の内部に所定のパターンで形成された内部導体パターン12と、セラミック積層体11の表面に形成された外部導体パターン13と、を備えている。そして、セラミック多層基板10は、セラミック積層体11の第1の主面(下面)のキャビティC内に半導体素子20が実装され、セラミック積層体11の第2の主面(上面)には第1、第2の表面実装部品30A、30Bが実装されて、電子部品として構成されている。そして、セラミック多層基板10の上面側には金属製ケース40が装着され、金属製ケース40によって半導体素子20及び第1、第2の表面実装部品30A、30Bを外部の電磁波等から保護している。また、金属製ケース40をセラミック多層基板10に装着することで電子部品としての面実装を容易にしている。
【0028】
内部導体パターン12は、図1の(a)に示すように、上下のセラミック層11A、11Aの界面に所定のパターンで形成された複数の面内導体12Aと、所望のセラミック層11Aを貫通するように所定のパターンで形成れたビアホール導体12Bとから構成されている。外部導体パターン13は、セラミック積層体11の下面に所定のパターンで形成された第1の端子電極13Aと、キャビティC内の大きな開口部と小さな開口部を繋ぐ水平面内に所定のパターンで形成された第2の接続端子13Bと、セラミック積層体11の上面に所定のパターンで形成された第3の端子電極13Cとから構成されている。
【0029】
また、第1の端子電極13Aは、例えば半田ボールや導電性樹脂等を用いてセラミック多層基板10をマザー基板50の表面電極50Aに電気的に接続するために用いられる。第2の接続端子13Bは、例えば金等からなるボンディングワイヤー20Aを用いて半導体素子20の端子電極(図示せず)に電気的に接続するために用いられる。第3の端子電極13Cは、例えば半田ボール等を用いて第1、第2の表面実装部品30A、30Bそれぞれの端子電極に電気的に接続するために用いられる。尚、第1の表面実装部品30Aとしては、例えばシリコン半導体素子、ガリウム砒素半導体素子等の能動素子があり、第2の表面実装部品30Bとしては、例えばコンデンサ、インダクタ、抵抗等の受動素子等がある。
【0030】
セラミック積層体11を形成するセラミック材料は特に制限されないが、セラミック材料としては、例えば低温焼結セラミック(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramic)材料を使用することができる。低温焼結セラミック材料とは、1050℃以下の温度で焼結可能であって、比抵抗の小さなAu、AgやCu等と同時焼成が可能なセラミック材料である。低温焼結セラミック材料としては、具体的には、アルミナやジルコニア、マグネシア、フォルステライト等のセラミック粉末にホウ珪酸系ガラスを混合してなるガラス複合系LTCC材料、ZnO−MgO−Al−SiO系の結晶化ガラスを用いた結晶化ガラス系LTCC材料、BaO−Al−SiO系セラミック粉末やAl−CaO−SiO−MgO−B系セラミック粉末等を用いた非ガラス系LTCC材料等が挙げられる。低温焼結セラミック材料を用いることにより、セラミック焼結体を素体とするコンデンサやインダクタ等の受動素子をセラミック積層体11内に組み込むことができる。
【0031】
また、セラミック積層体11を形成するセラミック材料としては、低温焼結セラミックに限らず、高温焼結セラミック(HTCC:High Temperature Co-fired Ceramic)材料を使用することもできる。高温焼結セラミック材料としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト、その他の材料にガラスなどの焼結助材を加え、1100℃以上で焼結可能なセラミック材料がある。この場合、内部導体パターン12及び外部導体パターン13としては、Mo、Pt、Pd、W、Ni及びこれらの合金から選択される金属を使用する。
【0032】
セラミック積層体11に形成された内部導体パターン12及び外部導体パターン13は、いずれも導電性金属材料によって形成することができる。導電性金属材料としては、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金、Cu、Ni、Pt、Pd、W、Mo及びAuの少なくとも一種を主成分とする金属を用いることができる。これらの導電性金属材料のうち、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金及びCuは、比抵抗が小さいため、特に高周波向けの導体パターンにおいてより好ましく用いることができる。また、セラミック積層体11の材料として低温焼結セラミック材料を用いる場合には、AgまたはCu等の低抵抗で1050℃以下の融点をもつ金属を用いることができ、セラミック積層体11と内部導体パターン12及び外部導体パターン13は1050℃以下の低温で同時焼成することができる。従って、内部導体パターン12及び外部導体パターン13は、いずれも焼結金属として形成されている。
【0033】
而して、本実施形態では、第1の端子電極13Aは、例えば図1の(a)〜(c)に示すように、下端の表面がセラミック積層体11の下面と段差なく面一に形成されている。この第1の端子電極13Aの表面には同図に示すように導電性樹脂部14が被覆され、この導電性樹脂部14の平面積は同図の(b)、(c)で拡大して示すように、第1の端子電極13Aの平面積より広く、しかもセラミック積層体11の下面から突出する凸状の導電性樹脂部として形成されている。従って、導電性樹脂部14は、同図の(b)、(c)に示すように第1の端子電極13Aの表面及び第1の端子電極13Aとセラミック積層体11の境界部(図1の(c)では破線で示してある)を覆い、第1の端子電極13A及びセラミック積層体11との境界部を含む大きさに形成されている。導電性樹脂部14のセラミック積層体11の下面からの突出量、つまり導電性樹脂部14の厚みが5〜1000μmになるように形成されていることが好ましく、5〜100μmがより好ましく、20〜100μmが更に好ましい。導電性樹脂部14の厚みが5μm未満では耐衝撃性が十分でなく、その厚みが1000μmを超えると導体としての抵抗値が大きくなる。
【0034】
導電性樹脂部14は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂と、Ag、Cu、Ni、Au、Al、Ag−Pd合金等の導電性に優れた金属材料粉末とを主体成分とするものが好ましい。金属材料粉末は、球形状、フレーク状、不定形状等のものが挙げられ、例えば低抵抗で適度な流動性を確保する上で球形状の粉末とフレーク状の粉末との混合物が好ましい。金属材料粉末の平均粒径は、1〜30μm程度が好ましい。金属材料粉末の平均粒径が1μm未満では金属材料粉末の形成が難しく高コスト化し、また、その平均粒径が30μmを超えると樹脂による衝撃吸収効果が阻害され、耐衝撃性が十分発揮されないことがある。金属材料粉末の含有量は、60〜95重量%が好ましい。金属材料粉末の含有量が60重量%未満では抵抗値が大きくなり、その含有量が90重量%を超えると導電性樹脂部としての弾性が低下する傾向にある。
【0035】
更に、導電性樹脂部14の表面にはめっき膜15が形成されている。めっき膜15は、例えば、Ni/SnまたはNi/Au等を湿式めっきによって形成することが好ましい。本実施形態では、第1の端子電極13Aを被覆する導電性樹脂部14の表面にめっき膜15を形成するため、セラミック積層体11と第1の端子電極13Aとの収縮挙動差によってこれら両者間に隙間が形成されることがあってもめっき液が隙間に侵入し、あるいは焼結金属からなる第1の端子電極13Aの表面にめっき液が残留するなどの問題はなく、その結果、半田付け後のリフロー時の熱で残留めっき液が爆ぜて溶融半田を飛散させるなどの問題を生じることがない。また、めっき膜15によって第1の端子電極13Aにおける半田に対する濡れ性が高まり、マザー基板50の表面電極50Aとの電気的な接続性を高めることができる。
【0036】
次いで、本発明のセラミック多層基板の製造方法の一実施形態について図2、図3をも参照しながら説明する。
【0037】
まず、低温焼結セラミック粉末として例えばアルミナ粉末及びホウ珪酸ガラスからなる混合粉末を調製する。この混合粉末を有機ビヒクル中に分散させてスラリーを調製し、これをキャスティング法によってPET等の樹脂フィルム上に塗布し、厚み10〜200μm程度のセラミックグリーンシートを所定枚数作製する。次いで、例えばレーザ光や金型を用いて所定のセラミックグリーンシートに直径0.1mm程度のビアホールを所定のパターンで形成する。
【0038】
その後、図2の(a)に示すよう、セラミックグリーンシート111Aのビアホール内に導電性ペーストを充填してビアホール導体部112Bを形成する。導電性ペーストとしては、例えばAgまたはCuを主成分とする金属材料粉末、樹脂、有機溶剤を混練して調整されたものを用いる。その後、例えばスクリーン印刷法によって同一の導電性ペーストを複数のセラミックグリーンシート111A上にそれぞれ所定のパターンで印刷、乾燥して面内導体部112A及び第1、第2の端子電極部113A、113Bを同図の(a)に示すように形成する。また、PET等の樹脂フィルム100上に導電性ペーストを所定のパターンで塗布、乾燥し、第3の端子電極部113Cを形成する。次いで、例えばレーザ光や金型を用いて所定のセラミックグリーンシート111Aに所定の大きさのキャビティ用の開口部を開ける。図1の(a)に示すキャビティCは段部があるため、図2の(a)に示すようにキャビティ用の開口部として大小二種類の孔C’、C”を設ける。
【0039】
次いで、キャビティ用の大小の開口部C’、C”を有する複数のセラミックグリーンシート111A、その他の複数のセラミックグリーンシート111A及び第3の端子電極部113Cを下向きにして樹脂フィルム100を積層した後、40〜100℃の温度、10〜150MPaの圧力で等方圧プレスにより圧着してセラミックグリーン積層体111を得る。これによりセラミックグリーン積層体111の主面を平坦化することができる。
【0040】
然る後、セラミックグリーン積層体111を例えば所定温度で焼成して、図2の(b)に示すセラミック積層体11を得る。導電性ペーストの金属材料粉末がAg系の場合には例えば空気中850℃前後の温度で焼成し、その金属材料粉末がCu系の場合には例えばNガス中950℃前後の温度で焼成する。
【0041】
更に、図2の(c)に示すように、セラミック積層体11のキャビティCを上向きにした後、第1の端子電極13Aのうち、導電性樹脂部14を設ける部分が開口されたマスク200を用いて導電性ペーストをスクリーン印刷すると、所望の第1の端子電極13Aの表面及びセラミック積層体11との境界を覆う導電性樹脂層114が形成される。その後、導電性樹脂層114を150〜200℃程度で熱処理し、導電性樹脂層114の熱硬化性樹脂を硬化させて、導電性樹脂部14を形成することで、図1の(a)に示すセラミック多層基板10を得ることができる。この導電性樹脂部14は、前述したように5〜1000μmの厚みをもって形成されている。
【0042】
また、セラミックグリーン積層体を焼成する時には、焼成前後で平面方向の収縮がなく面方向の寸法が実質的に変化しない無収縮工法を用いることもできる。この場合には、例えば、図3の(a)に示すように拘束層300上に、キャビティ用の孔C’、 C”を有する複数のセラミックグリーンシート111A及びその他の複数のセラミックグリーンシート111Aを積層した後、上面に拘束層300Aを配置し、上下の拘束層300、300Aを介してセラミックグリーンシート111Aの積層体を40〜100℃の温度、10〜150MPaの圧力で圧着して圧着体111’を得る。ここで、拘束層300、300Aとしては、セラミックグリーンシート111Aの焼結温度では焼結しない難焼結性粉末として例えばAlを主成分として含み、有機バインダを副成分として含むスラリーから同図に示すようにシート状に形成されたものを用いる。そして、キャビティC側の拘束層300Aにはキャビティの大きな開口部C’に即した開口部と導電性樹脂部14に相当する開口部300Bがそれぞれ形成されている。この圧着体111’を前述の場合と同様に焼成する、その後、同図の(b)に示すように拘束層300Aの開口部300B内に導電性樹脂材料を充填し、硬化させて導電性樹脂層114を形成した後、導電性樹脂層114を熱処理して硬化させる。その後、拘束層300、300Aを除去する。これによって導電性樹脂部14を有する図1の(a)に示すセラミック多層基板10を得ることができる。
【0043】
上述のようにしてセラミック多層基板10を作製した後、キャビティCの底面に接着剤で半導体素子20を固定した後、ボンディングワイヤー20Aによって半導体素子20の端子電極(図示せず)とキャビティC内の水平面に形成された第2の端子電極13Bを接続する。また、セラミック多層基板10の上面には第1、第2の表面実装部品30A、30Bそれぞれの端子電極(図示せず)を、半田ボールまたは導電性樹脂を用いて第3の端子電極13Cに接続する。更に、金属製ケース40を取り付けると、セラミック多層基板10に半導体素子20及び第1、第2の表面実装部品30A、30Bがそれぞれ実装された図1の(a)に示す電子部品を得ることができる。
【0044】
以上説明したように本実施形態によれば、セラミック多層基板10をマザー基板50に接続する場合に使用される第1の端子電極13Aの表面に導電性樹脂部14を設け、この導電性樹脂部14が第1の端子電極13A及び第1の端子電極13Aとセラミック積層体11との境界部とを覆うように形成され、しかもセラミック積層体11の下面に対して凸状に突出して形成されているため、セラミック多層基板10が実装されたマザー基板50が落下するなどして、マザー基板50に衝撃力が作用しても、マザー基板50からの衝撃力を導電性樹脂部14によって吸収し、セラミック積層体11への衝撃力を緩和することができる。その結果、セラミック多層基板10におけるセラミック積層体11と内部導体パターン12及び外部導体パターン13との収縮挙動差に起因する隙間等においてクラックが発生することを防止することができ、セラミック多層基板10としての信頼性を向上させることができる。また、マザー基板50に撓み等の変形があっても、導電性樹脂部14がその変形に追随し、マザー基板50からの集中応力を緩和して、セラミック積層体11でのクラックの発生を防止することができる。また、凸状の導電性樹脂部14の高さは、セラミック積層体11の下面から5〜100μmに設定されているため、セラミック多層基板10とマザー基板50との間の導通性を阻害することなく、マザー基板50からセラミック多層基板10への衝撃をより確実に緩和することができ、信頼性を更に高めることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、等方圧プレスによりセラミックグリーン積層体111の上下両面を平坦化するため、スクリーン印刷により第1の端子電極13A上に導電性樹脂部14を形成することができる。また、本実施形態によれば、第1の端子電極13Aは、セラミック積層体11と同時に焼成されているため、焼結金属によって形成されていて、導通性に優れているが、表面が粗く、セラミック積層体11との間に僅かな隙間が発生しているため、めっき膜15を形成する時にめっき液が第1の端子電極13Aの表面に残留すると共に、めっき液が隙間から侵入しやすくなっている。ところが、本実施形態では第1の端子電極13Aの表面及び第1端子電極13Aとセラミック積層体11との隙間を導電性樹脂部14によって覆っているため、第1の端子電極13Aの表面にめっき液が残留したり、隙間からめっき液が侵入することがない。従って、従来であれば、端子電極の表面に残留しためっき液や隙間に侵入しためっき液がセラミック多層基板10の半田付けに行われるリフロー工程における熱でめっき液が膨張し、破裂するなどして半田を周囲に飛散させる不具合を生じていたが、本実施形態ではこのような不具合を生じることがない。
【0046】
また、本実施形態によれば、導電性樹脂部14の表面にめっき膜15が形成されているため、マザー基板50の表面電極50Aと電気的に確実に接続することができる。更に、導電性樹脂部14とセラミック積層体11との間の接合力は、導電性樹脂部14と第1の端子電極13Aとの接合力より大きいことから、本実施形態では導電性樹脂部14が第1の端子電極13Aとセラミック積層体11の双方に接合されているため、導電性樹脂部14の接合力が強化され、導電性樹脂部14のセラミック積層体11からの脱落を確実に防止することができる。
【0047】
第2の実施形態
本実施形態のセラミック多層基板10Aは、例えば図4の(a)、(b)に示すように、第1の実施形態における第1の端子電極13Aを省略し、ビアホール導体12Bの下面が第3の端子電極を兼用する点に特徴がある。その他は、第1の実施形態に準じて構成さているため、第1の実施形態と同一または相当部分には同一符号を附して本実施形態を説明する。
【0048】
本実施形態では、図4の(a)に示すようにキャビティCを囲むビアホール導体12Bの下面がセラミック積層体11の下面において露呈し、その下面とセラミック積層体11の下面とが面一に形成されており、第1の端子電極が省略されている。ビアホール導体12Bが第1の端子電極を兼ねるため、第1の端子電極を省略できる反面、ビアホール導体はその体積が大きいため、金属材料とセラミック材料の収縮挙動の差によりスクリーン印刷による第1の端子電極13Aよりもセラミック積層体11との間に隙間が生じやすくなる。しかし、本実施形態では、同図の(b)に拡大して示すように導電性樹脂部14がビアホール導体12Bの下面及びビアホール導体12Bとセラミック積層体11との境界を覆うように凸状に形成され、その表面にめっき膜15が形成されている。従って、ビアホール導体12Bが第1の端子電極を兼用しても、第1の実施形態と同様の作用効果を期することができる他、第1の端子電極の形成工程を省略することができる。
【0049】
第3の実施形態
本実施形態のセラミック多層基板10Bは、図5に示すようにビアホール導体12Bがセラミック積層体11の下面から導電性樹脂部14内へ突出して形成されたものであり、その他は第2の実施形態に準じて構成されている。従って、第2の実施形態と同一または相当部分には同一符号を附して本実施形態について説明する。
【0050】
本実施形態におけるビアホール導体12Bの突出量は、5μm以上あることが好ましい。ビアホール導体12Bをセラミック積層体11の下面から導電性樹脂部14内へ5μm以上突出させることで、ビアホール導体12Bと導電性樹脂部14との接合面積が大きくなる。これにより、ビアホール導体12Bと導電性樹脂部14との導通面積が大きくなって導通性が高くなることで、セラミック多層基板10Bの信頼性が向上する。また、導電性樹脂部14とビアホール導体12Bとの接合面積が大きくなって接合力が強くなる。しかも、ビアホール導体12Bが焼結金属であり、その表面粗さが最大数10μmに達することから、導電性樹脂部14に対するビアホール導体12Bによるアンカー効果を期することができる。その他は第2の実施形態と同様の作用効果を期することができる。
【0051】
第4の実施形態
本実施形態のセラミック多層基板10Cは、図6に示すように第1の端子電極13Aの表面の中央部がセラミック積層体11の下面から導電性樹脂部14内へ突出して形成されたものであり、その他は第1の実施形態に準じて構成されている。従って、第1の実施形態と同一または相当部分には同一符号を附して本実施形態について説明する。
【0052】
本実施形態における第1の端子電極13Aは、その下面中央部が突出し、これに接続されたビアホール導体12Bと同一径に形成されている。第1の端子電極13Aの中央部の突出量は、第3の実施形態のセラミック多層基板10Bの場合と同様に5μm以上あることが好ましい。この場合には、ビアホール導体12Bを第1の端子電極として突出させた場合よりも導電性樹脂部14との接合面積が大きく、第1の端子電極13Aと導電性樹脂部14との電気的接合及び機械的接合を高めることができ、信頼性を更に高めることができる。その他は第1の実施形態と同様の作用効果を期することができる。
【0053】
第5の実施形態
本実施形態のセラミック多層基板10Dは、図7に示すように第1の端子電極13Aがセラミック積層体11の下面の外周縁部に沿って配列されている。そして、導電性樹脂部14は、セラミック積層体11の四隅に配置された4箇所の第1の端子電極13Aにそれぞれ形成されている。セラミック積層体11の四隅に配置された各第1の端子電極13Aにはマザー基板からの衝撃による応力が集中しやすい。これらの部分に導電性樹脂部14を設けることによって、マザー基板からの衝撃による集中応力を4箇所の導電性樹脂部14によって吸収し、セラミック多層基板10Dに対する衝撃を緩和して、セラミック多層基板10Dで発生するクラックを効果的に防止することができる。本実施形態では第1の端子電極13Aに導電性樹脂部14を設けているが、第1の端子電極13Aを省略し、ビアホール導体がセラミック積層体11の下面に露呈している場合には、四隅のビアホール導体に導電性樹脂部を設ければ良い。勿論、これらの導電性樹脂部14の表面にはめっき膜が施されている。
【0054】
第6の実施形態
本実施形態のセラミック多層基板10Eの場合には、図8に示すようにセラミック積層体11の下面の外周縁部に沿って配列された第1の端子電極13Aのうち、例えば短辺側に沿って配列された第1の端子電極13Aの全てに導電性樹脂部14が形成されている以外は、第5の実施形態に準じて構成されている。本実施形態によれば、マザー基板から衝撃が集中しやすい四隅の第1の端子電極13Aの他、短辺側の四隅の間にある第1の端子電極13Aにも導電性樹脂部14が形成されているため、マザー基板からの衝撃による集中応力を四隅以外の第1の端子電極13Aにも分散できるため、四隅の導電性樹脂部14における負荷が軽減され、耐衝撃性が向上すると共に長寿命化する。
【0055】
第1〜第6の実施形態では、セラミック積層体11の下面に導電性樹脂層114を印刷により形成し、そのまま硬化させて導電性樹脂部14を形成している。しかしながら、導電性樹脂層114を印刷したまま硬化させた場合には、その表面が必ずしも平滑になっているとは限らない。また、複数の導電性樹脂間の表面が同一高さであるとも限らない。そこで、第7の実施形態では導電性樹脂部14の表面を平滑に調整することができ、また、複数の導電性樹脂部14の表面を同一高さに調整することができるセラミック多層基板の製造方法について説明する。
【0056】
第7の実施形態
本実施形態のセラミック多層基板の製造方法では、例えば図9に示すようにセラミック積層体11の下面に形成された導電性樹脂部14の表面をそれぞれ平滑にすると共にそれぞれの表面を同一の高さに揃えることができる製造方法である。本実施形態ではセラミック積層体11の下面に導電性樹脂層114を形成するまでの工程は、第1の実施形態に準じて行われる。
【0057】
本実施形態では、図9の(a)に示すようにセラミック積層体11の下面に形成された導電性樹脂層114を例えばオーブン内で熱処理する際に、導電性樹脂層114が完全に硬化する前にオーブンからセラミック積層体11を取り出す。導電性樹脂層114の硬化度は一概に規定できないが、その表面を指で押して指紋が残る程度の硬さが好ましい。この状態の導電性樹脂層を以下では半硬化状態と称する。導電性樹脂層が紫外線硬化樹脂を含む場合には、紫外線照射により熱硬化処理と同程度まで導電性樹脂層を硬化させる。その後、同図の(a)に示すようにセラミック積層体11の導電性樹脂層114の上方に、片面に平滑面を有する平滑部材200を平滑面が下向きになるように配置する。
【0058】
平滑部材200は、例えば重さが5〜10gで、平滑面の表面粗さが3μm以下(セラミック積層体11の表面粗さ以下であることが好ましい)の平滑性を有し、全体の反りが10μm以下のガラス板が好ましい。そして、ガラス板の平滑面にはフッ素等による離型処理が施されていることが好ましい。
【0059】
更に、図9の(b)に示すように平滑部材200をセラミック積層体11の半硬化状態の導電性樹脂層114上に載置し、平滑部材200の平滑面を複数箇所の導電性樹脂層114の表面に接触させた状態で導電性樹脂層114の熱処理を行うと、平滑部材200の重みで各導電性樹脂層114がやや圧縮されてそれぞれの表面が平滑部材200の平滑面に倣って同時に平滑化すると共にそれぞれの表面が同一の高さに揃って、導電性樹脂層114が完全に熱硬化して導電性樹脂部14として形成されることになる。導電性樹脂層114が硬化する時に、平滑部材200に所定の押圧力を付与することにより、導電性樹脂層114の表面をより確実に平滑化することができる。押圧力としては、例えば1〜5g/cmの範囲が好ましい。平滑部材200による平滑化処理と並行して導電性樹脂層114を完全に硬化させた後、同図の(c)に示すように平滑部材200を除去すると、表面が平滑で同一の高さに揃った導電性樹脂部14が形成される。
【0060】
引き続き、第1の実施形態と同様に、導電性樹脂部14に表面にめっき処理を施して第1の端子電極を形成した後、セラミック積層体11のキャビティC内に半導体素子を実装すると共にその反対側の面に第1、第2の表面実装部品を実装し、更に、第1、第2の表面実装部品を樹脂封止することによって第1の接続端子の一部が突出したセラミック多層基板を得ることができる。
【0061】
本実施形態によれば、第1の端子電極13Aの表面が平滑でしかもその表面が同一高さであるため、導通性等の電気的特性を確認する際に、テストピンとの接触不良が起こりにくく、電気的特性の誤判断を改善することができる。また、例えば図10に示すように本実施形態のセラミック多層基板10Fを製品として出荷する時には、セラミック多層基板10Fをテープ300に所定間隔おきに多数配列して形成された凹陥部300Aに固定してユーザーに出荷する。この際、セラミック多層基板10Fの導電性樹脂部14の表面が同一高さに揃っているため、セラミック多層基板10Fをテープ300の凹陥部300A内で水平に配置することができる。そのため、ユーザーでは、セラミック多層基板10Fをマザー基板に実装する際に、マウンターによりセラミック多層基板10Fを確実にピックアップすることができる。
【0062】
更に、導電性樹脂部14の表面が平滑で同一高さになっているため、マザー基板の表面電極との接続信頼性が向上する。また、マザー基板と半田等の接続材料の厚みが均一になるため、実装後のセラミック多層基板10Fに傾きかがなく実装高さを低くすることができ、更に落下等による衝撃による応力が複数の第1の端子電極に均等にかかり、耐衝撃性が向上する。
【0063】
第7の実施形態の変形例
この変形例では平滑部材201として、例えば図11、図12に示すようにセラミック積層体11の複数の導電性樹脂部14に対応する凹部201Aが片面に形成されたガラス板を用いること以外は、第7の実施形態の場合と同一要領で導電性樹脂部を形成する。この平滑部材201は、各図に示すように、セラミック積層体11の下面の凸状の導電性樹脂層114に対応する凹部201Aが形成され、凹部201Aの底面が平滑面として形成されていると共に平滑面が同一深さに形成されている。そして、凹部201Aの平滑面及び内周面には離型処理が施されている。凹部201Aは導電性樹脂114の突出高さよりも浅く、導電性樹脂114の凸部と嵌合するようにやや広く形成されている。
【0064】
この平滑部材201の凹部201Aを下向きにして、図12の(a)に示すようにセラミック積層体11の導電性樹脂層114側の上方に平滑部材201を配置する。この際、平滑部材201の凹部201Aと半硬化状態の導電性樹脂層114との位置合わせを行っておく。次いで、同図の(b)に示すように平滑部材201をセラミック積層体11の半硬化状態の導電性樹脂層114上に載置して熱処理すると、平滑部材201の凹部201Aが複数箇所の導電性樹脂層114のセラミック積層体11からの突出部と嵌合した状態で平滑部材201の重みにより各導電性樹脂層114がやや圧縮されてそれぞれの表面が凹部201Aの平滑面に倣って同時に平滑化すると共にそれぞれの導電性樹脂層114の表面が同一高さになる。その後、同図の(c)に示すように平滑部材201を除去すると、表面が平滑で同一の高さに揃った複数の導電性樹脂部14が形成される。尚、平滑部材201の凹部201A内に予め半硬化状態の導電性樹脂を充填しておき、セラミック積層体11の第1の端子電極13Aに導電性樹脂層114を転写して硬化させても良い。この変形例においても第7の実施形態と同様の作用効果を期することができる。
【0065】
本発明は、上記各実施形態に何等制限されるものではない。例えば、上記各実施形態ではキャビティ付きのセラミック多層基板を例に挙げて説明したが、キャビティのないセラミック多層基板についても本発明を適用することができる。また、上記各実施形態ではキャビティ内の半導体素子が露呈している場合について説明したが、キャビティ内の半導体素子を熱伝導性に優れた樹脂等によって封止し、半導体素子からの放熱性を高めたものについても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、例えば移動体通信端末等の携帯用の電子機器に用いられるセラミック多層基板及びその製造方法に対して広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のセラミック多層基板の一実施形態を示す図で、(a)はその断面図、(b)は(a)の要部を拡大して示す断面図、(c)は(b)の下方からの平面図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ図1に示すセラミック多層基板の製造工程の要部を工程順に示す断面図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれセラミック多層基板の他の製造工程の要部を工程順に示す断面図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ本発明のセラミック多層基板の他の実施形態を示す図で、(a)はその断面図、(b)は(a)の要部を拡大して示す断面図ある。
【図5】本発明のセラミック多層基板の更に他の実施形態の要部を拡大して示す断面図ある。
【図6】本発明のセラミック多層基板の更に他の実施形態の要部を拡大して示す断面図ある。
【図7】本発明のセラミック多層基板の更に他の実施形態の全体を下面側からの斜視である。
【図8】本発明のセラミック多層基板の更に他の実施形態の全体を下面側からの斜視である。
【図9】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のセラミック多層基板の製造方法の他の実施形態の製造工程の要部を工程順に示す断面図である。
【図10】図9に示す製造方法で製造されたセラミック多層基板を製品としてテープ上に配置した状態の一部を示す斜視図である。
【図11】本発明のセラミック多層基板の製造方法の更に他の実施形態に用いられる平滑部材を示す斜視図である。
【図12】(a)〜(c)はそれぞれ図11に示す平滑部材を用い製造工程の要部を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F セラミック多層基板
11 セラミック積層体
11A セラミック層
12 内部導体パターン
12B ビアホール導体
13 外部導体パターン
13A 第1の端子電極(端子電極)
14 導電性樹脂部
15 めっき膜
114 導電性樹脂層
200、201 平滑部材
201A 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回路パターンを有する回路基板と、上記回路基板の第1主面の周縁部に配列された、
上記端子電極の表面及び上記端子電極と上記セラミック積層体との境界部を覆うように、且つ、上記主面に対して凸となるように導電性樹脂部が設けられている
ことを特徴とする突起電極付き回路基板の製造方法。
【請求項2】
上記内部導体パターン及び上記端子電極は、上記セラミック積層体との同時焼成によって得られる焼結金属であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック多層基板。
【請求項3】
上記端子電極の表面と上記セラミック積層体の主面とは同一平面をなしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミック多層基板。
【請求項4】
上記導電性樹脂部の表面にはめっき膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセラミック多層基板。
【請求項5】
上記導電性樹脂部の高さは、上記主面に対して5〜1000μmであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のセラミック多層基板。
【請求項6】
上記端子電極は、上記セラミック積層体に設けられたビアホール導体の端面によって形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のセラミック多層基板。
【請求項7】
上記端子電極は、少なくとも一部が上記導電性樹脂部内に突出していることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のセラミック多層基板。
【請求項8】
上記セラミック積層体の上記主面には、その周縁部に複数の端子電極が配列されており、これらの端子電極のうち、少なくとも四隅の端子電極が上記導電性樹脂部によって被覆されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のセラミック多層基板。
【請求項9】
複数のセラミック層を積層してなるセラミック積層体の内部に内部導体パターンを有し、上記セラミック積層体の主面に端子電極を有するセラミック多層基板を作製する際に、
上記端子電極の表面及び上記端子電極と上記セラミック積層体との境界部を覆うように、且つ、上記主面に対して凸となるように導電性樹脂部を形成する
ことを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
【請求項10】
上記内部導体パターン及び上記端子電極を、上記セラミック積層体と同時焼成することを特徴とする請求項9に記載のセラミック多層基板の製造方法。
【請求項11】
上記導電性樹脂部を形成する際に、上記主面に導電性樹脂層を形成した後、平滑面を有する平滑部材を、上記平滑面が上記導電性樹脂層の表面に接触するように上記導電性樹脂層上に載置することを特徴とする請求項9または請求項10に記載のセラミック多層基板の製造方法。
【請求項12】
上記平滑部材の平滑面を複数の上記導電性樹脂層の表面に同時に接触させて、上記各導電性樹脂層それぞれの表面を同一高さに形成することを特徴とする請求項11に記載のセラミック多層基板の製造方法。
【請求項13】
上記平滑部材として、上記導電性樹脂層に対応する凹部を有し且つこの凹部内に上記平滑面が形成された板状部材を用いることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のセラミック多層基板の製造方法。
【請求項14】
上記導電性樹脂部の表面にめっき膜を形成することを特徴とする請求項9または請求項13のいずれか1項に記載のセラミック多層基板の製造方法。
【請求項15】
上記内部導体パターンを有するセラミックグリーンシート及び上記端子電極を有するセラミックグリーンシートを積層して未焼成のセラミック積層体を作製し、これをその両主面が平坦化するように加圧することを特徴とする請求項9〜請求項14のいずれか1項に記載のセラミック多層基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−305741(P2007−305741A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131637(P2006−131637)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】