説明

ビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸

本発明は、式(I)[式中、Ar、Ar2、R2、R3、R4、m、p及びsは、明細書及び請求の範囲と同義である]の化合物、及び薬剤学的に許容しうるその塩に関する。本化合物は、糖尿病のような、グリコーゲン合成酵素の活性化に関連する疾患の治療及び/又は予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なビアリールメチルアレーンカルボン酸及びその薬剤学的に許容しうる塩、その製造法及び医薬としてのその使用に関する。本発明は更に、これらの化合物を含む薬剤組成物に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、式(I):
【0003】
【化12】

【0004】
[式中、
Arは、芳香族炭素環又は複素環であり;
Ar2は、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、フラン−2−イル、イソキノリン−5−イル、イソオキサゾール−4−イル、1−ナフチル、ピラゾール−1−イル、ピラゾール−4−イル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル及びフェニルよりなる群から選択される、置換又は非置換の環であり、そして置換されている場合に置換基は、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、低級アルコキシ及びトリフルオロ−メトキシよりなる群から選択され;
2及びR3は、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ及びニトロよりなる群から独立に選択され;
4は、ヒドロキシ又はアミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸であり;
mは、0、1、2、3又は4であり;
pは、0、1又は2であり、そして
sは、0、1又は2である]で示される化合物、又は薬剤学的に許容しうるその塩[ただし、
Ar2が、フェニルであるとき、このフェニル環は、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジルオキシ、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、ピラゾール−1−イル及びトリフルオロメトキシよりなる群から選択される、少なくとも1個の置換基により置換されており、そして
Ar2が、フェニルであるとき、Ar2環の結合点に対してオルト位に2個の低級アルキル置換基は存在しない]に関する。
【0005】
式(I)の化合物は、糖尿病、特に2型糖尿病の治療及び予防において有用であることが見い出された。
【0006】
糖尿病は、米国で10百万人が罹患しており[Harris, M.I. Diabetes Care 1998 21 (3S) Supplement, 11C]、彼らの脳卒中、心疾患、腎障害、失明、及び肢切断のリスクを増大させる、ありふれた重篤な障害である。糖尿病は、インスリン分泌の低下及び/又はインスリンに応答する末梢組織の能力の障害を特徴とし、その結果、血漿グルコースレベルが上昇する。糖尿病の発生率は上昇しており、その上昇は、肥満の増加及び座りがちの生活と関係している。2つの型の糖尿病:インスリン依存型及びインスリン非依存型が存在し、糖尿病患者の大多数は、2型疾患又はインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)として知られている、インスリン非依存型の疾患に罹患している。その重篤な予後のため、糖尿病の制御には差し迫った必要性が存在する。
【0007】
NIDDMの治療は、一般に、減量、健康食及び運動プログラムから始める。しかしこれらの因子は、しばしば疾患を制御することができず、インスリン、メトホルミン、スルホニル尿素、アクラボス(acarbose)、及びチアゾリジンジオン類を含む、幾つかの薬物療法が存在する。これらの治療はそれぞれに不都合な点を持ち、そして糖尿病を治療するための新しい薬物に対する継続するニーズが存在する。
【0008】
メトホルミンは、空腹時血漿グルコースレベルを低下させ、主としてグリコーゲン合成により末梢組織のインスリン感受性を増強する、有効な薬剤である[De Fronzo, R.A., Drugs 1999, 58 Suppl. 1, 29]。メトホルミンはまた、LDLコレステロール及びトリグリセリドのレベルの低下をもたらす[Inzucchi, S.E., JAMA 2002, 287, 360]。しかし、長年のうちには、その有効性を失う[Turner, R.C.ら、JAMA 1999, 281, 2005]。
【0009】
チアゾリジンジオン類は、核内受容体のペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−γの活性化剤である。これらは、血中グルコースレベルを下げるのに有効であり、そしてこれらの効力は、主として骨格筋でのインスリン耐性を低下させることに起因している[Tadayyon, M.とSmith, S.A., Expert Opin. Investig. Drugs 2003, 12, 307]。チアゾリジンジオン類の使用に関連する1つの不都合な点は、体重増加である。
【0010】
スルホニル尿素は、膵臓ベータ細胞上のスルホニル尿素受容体に結合し、インスリン分泌を促進して、その結果、血中グルコースレベルを下げる。体重増加はまた、スルホニル尿素の使用にも関連しており[Inzucchi, S.E., JAMA 2002, 287, 360]、そしてメトホルミン同様に、これらは時間とともに効力を失う[Turner, R.C.ら、JAMA 1999, 281, 2005]。スルホニル尿素で治療される患者でしばしば直面する更に別の問題は、低血糖である[Salas, M.とCaro, J. J., Adv. Drug React. Tox. Rev. 2002, 21, 205-217]。
【0011】
アクラボスは、腸で二糖及び複合糖質を分解する、酵素のα−グルコシダーゼのインヒビターである。これは、メトホルミンやスルホニル尿素よりも効力が低く、腸の不快感や下痢を引き起こし、このため、しばしばその使用が中止される[Inzucchi, S.E., JAMA 2002, 287, 360]。
【0012】
これらの治療のどれもが、重篤な副作用なく長期間にわたり有効ではないため、2型糖尿病の治療用の性質が改善された新しい薬物に対するニーズが存在している。
【0013】
骨格筋及び肝臓では、グルコース利用の2つの主要な経路:解糖、即ち酸化的代謝(グルコースがピルビン酸に酸化される);及びグリコーゲン合成、即ちグルコース貯蔵(グルコースが多量体型のグリコーゲンとして貯蔵される)が存在する。グリコーゲンの合成における重要な工程は、伸長するグリコーゲン鎖へのグルコース誘導体であるUDP−グルコースの付加であり、そしてこの工程は、グリコーゲン合成酵素により触媒される[Cid, E.ら、J. Biol. Chem. 2000, 275, 33614]。グリコーゲン合成酵素には、肝臓[Bai, G.ら、J. Biol. Chem. 1990, 265, 7843]及び筋肉を含む他の末梢組織[Browner, M.F.ら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 1989, 86, 1443]に見い出された、2種のアイソホームが存在する。グリコーゲン合成酵素が2型糖尿病に関係している臨床的及び遺伝学的証拠が存在する。糖尿病被験者からの筋細胞における基礎の及びインスリンで刺激したグリコーゲン合成酵素活性は両方とも、痩せた非糖尿病被験者からの細胞よりも有意に低かった[Henry, R.R.ら、J. Clin. Invest. 1996, 98, 1231-1236;Nikoulina, S.E.ら、J. Clin. Endocrinol. Metab. 2001, 86, 4307-4314]。更には、幾つかの研究では、グリコーゲンのレベルが、対照被験者よりも糖尿病患者において低いことが証明されており[Eriksson, J.ら、N. Engl. J. Med. 1989, 331, 337;Schulman, R.G.ら、N. Engl. J. Med. 1990, 332, 223;Thorburn, A.W.ら、J. Clin. Invest. 1991, 87, 489]、そして更に、遺伝学的研究では、幾つかの集団において、2型糖尿病と、グリコーゲン合成酵素の筋型アイソホームをコードするGYS1遺伝子の突然変異との間に関連性が証明されている[Orhu-Melander, M.ら、Diabetes 1999, 48, 918]。
【0014】
グリコーゲン合成酵素は、少なくとも9個の部位でのリン酸化を伴う、複合調節の支配下にある[Lawrence, J.C., Jr.とRoach, P.J., Diabetes 1997, 46, 541]。この酵素の脱リン酸化型が活性である。グリコーゲン合成酵素は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β(GSK3β)が最もよく理解されている、幾つかの酵素によりリン酸化され[Tadayyon, M.とSmith, S.A., Expert Opin. Investig. Drugs 2003, 12, 307]、そしてグリコーゲン合成酵素は、I型プロテインホスファターゼ(PP1)及び2A型プロテインホスファターゼ(PP2A)により脱リン酸化される。更に、グリコーゲン合成酵素は、内因性リガンドである、グルコース−6−リン酸により調節されるが、このリガンドは、酵素のコンホメーションに変化を引き起こし、そのため酵素が、酵素の活性型へのプロテインホスファターゼによる脱リン酸化を受けやすくなることにより、グリコーゲン合成酵素の活性をアロステリックに促進する[Gomis, R.R.ら、J. Biol. Chem. 2002, 277, 23246]。
【0015】
血中グルコースレベルを下げ、それぞれグリコーゲンとしてのグルコースの貯蔵の増加をもたらす、インスリンの作用には幾つかの機序が提案されている。第1に、グルコーストランスポーターのGLUT4の原形質膜への動員により、グルコース取り込みが増加する[Holman, G.D.とKasuga, M., Diabetologia 1997, 40, 991]。第2に、グリコーゲン合成酵素のアロステリック活性化剤である、グルコース−6−リン酸の濃度の上昇がある[Villar-Palasi, C.とGuinovart, J.J., FASEB J. 1997, 11, 544]。第3に、インスリン受容体のチロシンキナーゼ活性で開始するキナーゼカスケードが、GSK3βのリン酸化及び不活化を引き起こし、そのためグリコーゲン合成酵素の失活を妨げる[Cohen, P., Biochem. Soc. Trans. 1993, 21, 555;Yeaman, S.J., Biochem. Soc. Trans. 2001, 29, 537]。
【0016】
グリコーゲン合成酵素の活性の有意な低下が糖尿病患者において見い出されたため、及びグルコース利用におけるその重要な役割のため、グリコーゲン合成酵素の活性化は、2型糖尿病の治療に見込みがある。この酵素の既知アロステリック活性化剤は、グルコース−6−リン酸[Leloir, L.F.ら、Arch, Biochem. Biophys. 1959, 81, 508]及びグルコサミン−6−リン酸[Virkamaki, A.とYki-Jarvinen, H., Diabetes 1999, 48, 1101]だけである。
【0017】
簡単に述べると、本明細書に記載されるビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸は、グリコーゲン合成酵素活性化剤であることが見い出された。したがって、本発明の化合物は、2型糖尿病、及び/又は耐糖能異常、更にはグリコーゲン合成酵素の活性化が治療的有用性を与える他の症状の治療及び/又は予防のために有用である。
【0018】
幾つかのビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸は、当該分野において既知である。しかし、これらの既知化合物のどれもが、グリコーゲン合成酵素の活性化が介在する疾患の治療にも、又はグリコーゲン合成酵素の活性化が介在する疾患の治療用の薬剤組成物にも関係していなかった。
【0019】
H.S. Andersenら(PCT国際出願WO 9740017)は、SH2インヒビターの合成における中間体としての3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸の構造及び合成経路を開示している。E. Winkelmannら(DE 2842243)は、脂質低下剤として5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸を開示している。
【0020】
M.M. Mjalliら(トランステック・ファーマ社(Transtech Pharma Inc.)、PCT国際出願WO 2004071447)は、糖尿病の治療用のタンパク質チロシンホスファターゼのインヒビターとして375個の化合物を開示している。これらの化合物のうち11個は、以下の一般構造を有する。
【0021】
【化13】

【0022】
S.S. Ghoshら(マイトコア社(Mitokor, Inc.)、PCT国際出願WO 2004058679)は、アルツハイマー病、糖尿病及び肥満を含む種々の疾患の治療用の、アデニンヌクレオチド・トランスロカーゼのリガンドとして、以下の一般構造を持つ化合物を開示している。
【0023】
【化14】

【0024】
スミスクライン・ビーチャム(SmithKline Beecham)及びイリノイ大学(The University of Illinois)からの幾つかの特許及び特許出願は、腎不全、脳血管疾患、うっ血性心不全などの治療用の、又はアルツハイマー病の治療用の、エンドセリン受容体アンタゴニストとして、以下に示される一般構造を持つ化合物を開示している。これらの特許及び特許出願には以下のものがある:PCT国際出願WO 9704773、US 5985886、PCT国際出願WO 9704781、PCT国際出願WO 9704774、PCT国際出願WO 9607653、US 2003004202、PCT国際出願WO 9630358、及びPCT国際出願WO 2004028634。
【0025】
【化15】

【0026】
T. Inabaら(日本たばこ産業(Japan Tobacco, Inc.)、PCT国際出願WO 2003048140)は、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bのインヒビターとして、4−[[4−[4−[(4−カルボキシフェニル)メトキシ]フェニル]−2−チアゾリル]メチル]−安息香酸(CAS番号540734−96−1)を開示している。
【0027】
C. Braistedら(J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 3714-3715)は、炎症の治療に有用なIL−2インヒビターとして以下の一般構造を持つ化合物を開示している。
【0028】
【化16】

【0029】
E.S. Priestleyら(ブリストル−マイヤーズ・スクイブ社(Bristol-Myers Squibb Company)、米国、PCT国際出願WO 2003026587)及びH. Hashimotoら(日本たばこ産業、PCT国際出願WO 2003000254)は、C型肝炎の治療のための以下の一般構造を持つ化合物を開示している。
【0030】
【化17】

【0031】
H. Shinkaiら(日本たばこ産業、PCT国際出願WO 2001027088)は、動脈硬化症の治療用のリポタンパク質リパーゼ増強剤として、2−[[2−クロロ−5−[5−(1,1−ジメチルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]フェノキシ]メチル]−安息香酸(CAS番号335014−96−5)を開示している。
【0032】
P. Lacombeら(メルク・フロスト・カナダ社(Merck Frosst Canada & Co.)、PCT国際出願WO 2001019814)及びT.P. Brotenら(メルク・フロスト・カナダ社、PCT国際出願WO 2002015902)は、尿失禁のようなプロスタグランジン介在性疾患の治療のための、3−[3−[2−[(4−カルボキシフェニル)メトキシ]−5−クロロフェニル]−2−チエニル]−安息香酸(CAS番号330811−34−2)及び4−[3−[2−[(4−カルボキシフェニル)メトキシ]−5−クロロフェニル]−2−チエニル]−安息香酸(CAS番号330811−33−1)を開示している。
【0033】
J. Buteraら(アメリカン・ホーム・プロダクツ社(American Home Products Corporation)、US 6214877及びPCT国際出願WO 9961410)は、糖尿病の治療用のタンパク質チロシンホスファターゼのインヒビターとして、以下の一般構造の化合物を開示している。
【0034】
【化18】

【0035】
T. Muellerら(DE 4142514)は、防かび剤として2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸及び3−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸を開示している。
【0036】
Marfatら(ファイザー社(Pfizer Inc.)、US 5322847及びPCT国際出願WO 9117163)は、心筋梗塞及び脳卒中を含む病気の治療において有用な、血小板活性化因子ブロッカー及びロイコトリエンD4受容体ブロッカーとして、3−[[4−(2−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェノキシ]メチル]−安息香酸を開示している。
【0037】
F.J. Brownら(J. Med. Chem. 1989, 32, 807-826)は、ロイコトリエンD4アンタゴニスト活性に関するアッセイにおいて試験される化合物として、4−[[3−ヒドロキシ−2−プロピル−4−(2−キノリニル)フェノキシ]メチル]−3−メトキシ−安息香酸(CAS番号118683−37−7)を開示している。
【0038】
M. Isogaiら(日立製作所(Hitachi, Ltd.)、ヨーロッパ特許出願EP 110299)は、液晶組成物の調製において有用な中間体として、4−[[[4′−(オクチルオキシ)[1,1′−ビフェニル]−4−イル]オキシ]メチル]−安息香酸を開示している。
【0039】
G.L. Araldiら(アプライド・リサーチ・システムズ・ARSホールディング社(Applied Research Systems Ars Holding N.V.)、PCT国際出願WO 2004012656)は、喘息、炎症性疾患、不妊症、及び骨粗鬆症のような病気の治療に有用なプロスタグランジンEP2アゴニストとして、5−[[4−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノキシ]メチル]−2−フランカルボン酸(CAS番号654665−86−8)、5−[[4−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェノキシ]メチル]−2−フランカルボン酸(CAS番号654665−84−6)、及び5−[([1,1′−ビフェニル]−4−イルオキシ)メチル]−2−フラン−カルボン酸(CAS番号327990−68−1)を開示している。これらの化合物の1つである5−[([1,1′−ビフェニル]−4−イルオキシ)メチル]−2−フラン−カルボン酸は、ケムディブ社(ChemDiv, Inc.)(サンジエゴ、カリフォルニア州)及びアムビンター・サール(Ambinter SARL)(パリ、フランス)から市販されている。
【0040】
D.E. Clarkら(ファーマジーン・ラボラトリーズ社(Pharmagene Laboratories Ltd.)、PCT国際出願WO 2004067524)は、片頭痛を含む疼痛の治療に有用なプロスタグランジンEP4受容体アンタゴニストとして、以下の一般構造を持つ化合物を開示している。これらの化合物の1つ(4−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−5−メチル−フラン−2−カルボン酸)は、ケムブリッジ社(ChemBridge Corporation)(サンジエゴ、カリフォルニア州)及びティムテック社(TimTec, Inc.)(ニューアーク、デラウェア州)から市販されている。
【0041】
【化19】

【0042】
本発明の1つの態様により、式(I):
【0043】
【化20】

【0044】
[式中、Ar、Ar2、R2、R3、R4、m、p及びsは、後述のものと同義である]で示される化合物が提供される。
【0045】
本発明の別の態様により、式(I)の化合物、又は薬剤学的に許容しうるその塩、並びに薬剤学的に許容しうる担体及び/又は補助剤を含む薬剤組成物が提供される。
【0046】
本発明の更に別の態様により、治療有効量の式(I)の化合物を含む、グリコーゲン合成酵素の活性化に関連する疾患の治療又は予防用の医薬の製造のための使用が提供される。
【0047】
本発明のこれらと他の特色、態様及び利点は、以下の説明及び請求の範囲を参照してより理解が深まるであろう。
【0048】
特に断りない限り、以下の定義は、本明細書において本発明を記述するために使用される種々の用語の意味と範囲を例示及び定義するために示される。
【0049】
本出願において、「低級」という用語は、1〜7個、好ましくは1〜4個の炭素原子よりなる基を意味するために使用される。
【0050】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、好ましくはフッ素及び塩素を指している。
【0051】
「アルキル」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜16個の炭素原子、更に好ましくは1〜10個の炭素原子の、分岐又は直鎖の1価の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指している。
【0052】
アルキル基は、場合により、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシ−カルボニル、NH2、N(H,低級アルキル)及び/又はN(低級アルキル)2で置換されていてもよい。非置換アルキル基が好ましい。
【0053】
「低級アルキル」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子の、分岐又は直鎖の1価のアルキルラジカルを指している。この用語は更に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどのようなラジカルが典型例となる。低級アルキル基は、場合により、「アルキル」という用語に関連して前述された置換パターンであってもよい。非置換低級アルキル基が好ましい。
【0054】
「アルコキシ」という用語は、R′がアルキルである、R′−O−基を指している。「低級アルコキシ」という用語は、R′が低級アルキルである、R′−O−基を指している。低級アルコキシ基の例には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ及びヘキシルオキシがある。アルコキシ及び低級アルコキシ基は、場合により、「アルキル」という用語に関連して前述された置換パターンであってもよい。非置換アルコキシ及び低級アルコキシ基が好ましい。
【0055】
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸、そのエナンチオマー、及び非天然アミノ酸を指している。天然アミノ酸は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リシン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)及びバリン(Val)を含む。非天然アミノ酸は、特に限定されないが、アゼチジンカルボン酸、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、ベータ−アラニン、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−ジアミノイソ酪酸、2,2′−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリシン、アロ−ヒドロキシリシン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、アロ−イソロイシン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン及びピペコリン酸を含む。
【0056】
「アリール」という用語は、好ましくは5〜6個の炭素原子を有する、芳香族の炭素環式又は複素環式の環又は環系に関する。アリール基の例は、フェニル、フラニル、チオフェニル、ピリジニル、チアゾリル及びオキサゾリルを含み、そしてこれらは、場合により、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、CN、CF3、ヒドロキシ、NO2、NH2、N(H、低級アルキル)及び/又はN(低級アルキル)2により単置換又は多置換されていてもよい。好ましい置換基は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、及び/又はNO2である。
【0057】
「炭素環」という用語は、5〜10員、好ましくは5員又は6員の、置換又は非置換の単環式又は二環式の芳香族炭化水素環系を指している。好ましい基は、フェニル、ナフチル、トリル、キシリルなどを含み、特に好ましいのは、フェニル又はナフチルである。
【0058】
「複素環」という用語は、テトラヒドロピリジン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、フリル、ピロリル、ピリジル、1,2−、1,3−及び1,4−ジアジニル、チエニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル又はイミダゾリルのような、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される1、2又は3個の原子を含んでいてもよい、5員又は6員環を指している。この複素環は、場合により、アリール基で置換されていてもよいか、又は「アリール」という用語に関連して前述された置換パターンであってもよい。
【0059】
「薬剤学的に許容しうる塩」という用語は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのような、無機酸又は有機酸との式(I)の化合物の塩を包含し、そしてこれらは生体に対して非毒性である。酸との好ましい塩は、ギ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩及びメタンスルホン酸塩である。
【0060】
この用語はまた、アルカリ及びアルカリ土類金属カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム及びカルシウム);アンモニウム;又は有機カチオン、例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、フェニルエチルベンジルアンモニウムなどのような、有機及び無機カチオンを有するカルボン酸塩を包含する。上記用語に包含される他のカチオンは、プロカイン、キニン及びN−メチルグルコサミンのプロトン化型、並びにグリシン、オルニチン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リシン及びアルギニンのような塩基性アミノ酸のプロトン化型を含む。
【0061】
「脱離基」という用語は、反応中に除去又は置換される基に関する。脱離基の例は、ハロゲン、メシラート及びトシラートである。
【0062】
詳細には、本発明は、式(I):
【0063】
【化21】

【0064】
[式中、
Arは、芳香族炭素環又は複素環であり;
Ar2は、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、フラン−2−イル、イソキノリン−5−イル、イソオキサゾール−4−イル、1−ナフチル、ピラゾール−1−イル、ピラゾール−4−イル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル及びフェニルよりなる群から選択される、置換又は非置換の環であり、そして置換されている場合に置換基は、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、低級アルコキシ及びトリフルオロ−メトキシよりなる群から選択され;
2及びR3は、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ及びニトロよりなる群から独立に選択され;
4は、ヒドロキシ又はアミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸であり;
mは、0、1、2、3又は4であり;
pは、0、1又は2であり、そして
sは、0、1又は2である]で示される化合物、又は薬剤学的に許容しうるその塩[ただし、
Ar2が、フェニルであるとき、このフェニル環は、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジルオキシ、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、ピラゾール−1−イル及びトリフルオロメトキシよりなる群から選択される、少なくとも1個の置換基により置換されており、そして
Ar2が、フェニルであるとき、Ar2環の結合点に対してオルト位に2個の低級アルキル置換基は存在しない]に関する。
【0065】
式(I)の化合物は、本発明の好ましい実施態様を表し、そして式(I)の化合物の薬剤学的に許容しうる塩もまた個々に、本発明の好ましい実施態様を表す。
【0066】
式(I)の幾つかの好ましい化合物は、Ar2が、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、フラン−2−イル、イソキノリン−5−イル、イソオキサゾール−4−イル、1−ナフチル、ピラゾール−1−イル、ピラゾール−4−イル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、及びチオフェン−3−イルよりなる群から選択される、置換又は非置換の環であり、そして置換されている場合に置換基が、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、低級アルコキシ及びトリフルオロ−メトキシよりなる群から選択される化合物である。
【0067】
更に好ましいのは、Ar2が、ピリジン−3−イルである、式(I)の化合物である。
【0068】
この群の中で、Ar2が、ハロゲンにより置換されているピリジン−3−イルである、式(I)の化合物が、特に好ましい。
【0069】
別の群の式(I)の好ましい化合物は、Ar2が、1−ナフチルである化合物である。
【0070】
更に別の式(I)の好ましい化合物は、Ar2が、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルである化合物である。
【0071】
また好ましいのは、Ar2が、チオフェン−3−イルである、式(I)の化合物である。
【0072】
更には、Ar2が、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジルオキシ、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、ピラゾール−1−イル及びトリフルオロメトキシよりなる群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されているフェニルである、本発明の式(I)の化合物が好ましい。
【0073】
特に好ましいのは、Ar2が、アセトアミド、アミノカルボニル又はヒドロキシメチルによりメタ位で置換されているフェニルである、式(I)の化合物である。
【0074】
また特に好ましいのは、Ar2が、トリフルオロメトキシによりオルト位で置換されているフェニルである、式(I)の化合物である。
【0075】
別の群の式(I)の特に好ましい化合物は、Ar2が、メトキシメチル、ベンジルオキシ又はフェノキシによりオルト位で置換されているフェニルである化合物である。
【0076】
更には、Arが、フェニル、チアゾリル及びピリジルよりなる群から選択される、本発明の式(I)の化合物が好ましい。
【0077】
好ましいのはまた、pが、0である、式(I)の化合物である。
【0078】
また好ましいのは、R4が、水素である、本発明の式(I)の化合物である。
【0079】
更に別の式(I)の好ましい化合物は、sが、0である化合物である。
【0080】
好ましい群の式(I)の化合物は、式(IA):
【0081】
【化22】

【0082】
[式中、Ar2、R2及びmは、本明細書に前記と同義である]を有する化合物及び薬剤学的に許容しうるその塩である。
【0083】
別の群の式(I)の好ましい化合物は、式(IB):
【0084】
【化23】

【0085】
[式中、Ar2、R2及びmは、本明細書に前記と同義である]を有する化合物及び薬剤学的に許容しうるその塩である。
【0086】
また好ましいのは、式(IC):
【0087】
【化24】

【0088】
[式中、Ar2、R2及びmは、請求項1と同義である]を有する本発明の式(I)の化合物及び薬剤学的に許容しうるその塩である。
【0089】
更に別の群の式(I)の好ましい化合物は、式(ID):
【0090】
【化25】

【0091】
[式中、Ar2、R2及びmは、請求項1と同義である]を有する化合物及び薬剤学的に許容しうるその塩である。
【0092】
一般式(I)の他の好ましい化合物は、下記:
3−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(3′−カルバモイル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−[4−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−[4−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−(4−フラン−2−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4−イソキノリン−5−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(3′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4−ナフタレン−1−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(2′−フェノキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(3′−ピラゾール−1−イル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4−ピリジン−3−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(4−チオフェン−3−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2′−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−[4−(1−ベンジル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸;
2−([1,1′;3′,1″]テルフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(3′−カルバモイル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸;
2−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4−イソキノリン−5−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(3′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4−ナフタレン−1−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2′−フェノキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4−チオフェン−3−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
6−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
6−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
6−(4−チオフェン−2−イル−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
[3−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸;
[3−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸;
[3−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸;
{3−[4−(2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−酢酸;
[3−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸;
よりなる群から選択される化合物、及び薬剤学的に許容しうるその塩である。
【0093】
1個以上の不斉炭素原子を有する式(I)の化合物は、光学的に純粋なエナンチオマーの形で、又はラセミ体として存在することができる。本発明は、これら全ての形を包含する。
【0094】
当然のことながら、本発明における一般式(I)の化合物は、官能基で誘導体化することにより、インビボで親化合物に変換して戻すことのできる誘導体を提供することができる。
【0095】
本発明は更に、式(I)の化合物の製造方法に関し、そしてこの製造法は、
a)式(II):
【0096】
【化26】

【0097】
[式中、Ar2、R1、R2、m及びnは、本明細書に前記と同義である]で示される化合物を、塩基の存在下で、式(III):
【0098】
【化27】

【0099】
[式中、Ar、R3、p及びsは、本明細書に前記と同義であり、LGは、クロロ、ブロモ又はヨードのような脱離基を表し、そしてR1は、保護基を表す]で示される化合物と反応させること、続いて保護基を開裂することにより、式(I):
【0100】
【化28】

【0101】
[式中、R4は、ヒドロキシを意味し、そしてAr、Ar2、R2、R3、m、n、p及びsは、本明細書に前記と同義である]で示される化合物を得ること、そして場合により、この化合物をアミノ酸のエステルと、EDC及びDMAPの存在下で反応させること、続いてエステル基を開裂することにより、R4が、アミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸である、式(I)の化合物を得ること、あるいは
b)式(IV):
【0102】
【化29】

【0103】
[式中、Ar2は、本明細書に前記と同義であり、そしてYは、B(OH)2を表す]で示される化合物を、触媒量のパラジウム(0)錯体の存在下で、式(V):
【0104】
【化30】

【0105】
[式中、Ar、R2、R3、m、p及びsは、本明細書に前記と同義であり、Xは、ブロモ、ヨード又はトリフラートのような脱離基を表し、そしてR1は、保護基を表す]で示される化合物と反応させること、続いて保護基を開裂することにより、式(I):
【0106】
【化31】

【0107】
[式中、R4は、ヒドロキシを意味し、そしてAr、Ar2、R2、R3、m、n、p及びsは、本明細書に前記と同義である]で示される化合物を得ること、そして場合により、この化合物をアミノ酸のエステルと、EDC及びDMAPの存在下で反応させること、続いてエステル基を開裂することにより、R4が、アミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸である、式(I)の化合物を得ることを特徴とする。
【0108】
上述のように、本発明の式(I)の化合物は、グリコーゲン合成酵素の活性化が介在する疾患の治療及び/又は予防用の医薬として使用することができる。好ましくは、本発明の化合物は、2型糖尿病又は耐糖能異常を治療するために使用することができる。
【0109】
よって本発明はまた、上記と同義の化合物と薬剤学的に許容しうる担体及び/又は補助剤とを含む薬剤組成物に関する。
【0110】
式(I)の化合物及び/又はその薬剤学的に許容しうる塩は、例えば、経腸、非経口又は局所投与用の製剤の形で、医薬として使用することができる。これらは、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、例えば、経口的に、例えば、坐剤の剤形で直腸内に、例えば、注射液又は点滴液の剤形で非経口的に、あるいは例えば、軟膏剤、クリーム剤又は油剤の剤形で局所的に投与することができる。経口投与が好ましい。
【0111】
製剤の製造は、前述の式(I)の化合物及び/又はその薬剤学的に許容しうる塩を、場合により他の治療有用物質と組合せて、適切な非毒性で不活性な治療適合性の固体又は液体の担体物質、及び必要ならば通常の製剤補助剤と一緒に、ガレヌス製剤の投与剤形にすることにより、当業者が精通しているやり方で達成することができる。
【0112】
適切な担体物質は、無機担体物質だけでなく、有機担体物質もある。即ち、例えば、乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用の担体物質として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤に適切な担体物質は、例えば、植物油、ロウ、脂肪並びに半固体及び液体ポリオール類である(しかし、活性成分の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合には担体は必要とされないこともある)。液剤及びシロップ剤の製造に適した担体物質は、例えば、水、ポリオール類、ショ糖、転化糖などである。注射液に適した担体物質は、例えば、水、アルコール類、ポリオール類、グリセロール及び植物油である。坐剤に適した担体物質は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪及び半液体又は液体ポリオール類である。局所製剤に適した担体物質は、グリセリド類、半合成及び合成グリセリド類、水素化油、液体ロウ、流動パラフィン類、液体脂肪アルコール類、ステロール類、ポリエチレングリコール類及びセルロース誘導体である。
【0113】
通常の安定化剤、保存料、湿潤剤及び乳化剤、粘稠度改善剤、香味改善剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、可溶化剤、着色料及びマスキング剤並びに酸化防止剤が製剤補助剤として考慮される。
【0114】
式(I)の化合物の用量は、制御すべき疾患、患者の年齢と個々の症状及び投与の様式に応じて広い限界内で変化させることができ、そして当然ながら各特定の症例における個々の要求に適合させられよう。成人患者には、約1〜1000mg、特に約1〜100mgの1日用量が考慮される。疾患の重篤度及び正確な薬物動態プロフィールに応じて、本化合物は、1日に1〜数回の用量単位で、例えば、1〜4回の用量単位にして投与することができる。
【0115】
本製剤は、好都合には約1〜500mg、好ましくは1〜100mgの式(I)の化合物を含む。
【0116】
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明する。しかしこれらは、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0117】
一般法
式(I)の化合物は、後述される方法により、実施例に与えられる方法により、又は類似の方法により、製造することができる。個々の反応工程に適切な反応条件は、当業者には知られている。出発物質は、市販されているか、あるいは後述されるか若しくは実施例にある方法と類似の方法によるか、又は当該分野において既知の方法により調製することができる。
【0118】
本発明において使用される化合物は、任意の従来法により調製することができる。これらの化合物を合成するのに適したプロセスは、実施例に提供される。一般には、式(I)の化合物は、後述の合成経路の1つにより調製することができる:求核置換又は鈴木カップリング。これらの反応用の出発物質の供給源は、後で記述される。
【0119】
求核置換
スキーム1に示されるように、本発明の化合物は、式(4)のヒドロキシビアリールによる、式(5)の化合物からの脱離基LGの求核置換により、式(6)[ここで、R1は、カルボン酸の保護に通常使用される保護基を表す]の化合物が生成することによって調製することができる。次に保護基を開裂することにより、式(1)の本発明の化合物が得られる。
【0120】
多くの保護基R1が、有機合成の分野における当業者には知られている。例えば、幾つかの適切な保護基が「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」[T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 第2版, John Wiley & Sons, N.Y. 1991]に列挙されている。好ましい保護基は、本発明の化合物を調製するのに使用される反応条件と適合性のものである。このような保護基の例は、低級アルキル直鎖若しくは分岐のエステル類(例えば、メチル(R1=CH3)、エチル(R1=CH2CH3)、又はtert−ブチル(R1=C(CH33)エステル類)、又はベンジルエステル(R1=CH265)である。
【0121】
【化32】

【0122】
化合物(5)における脱離基LGの求核置換は、任意の従来法により達成することができる。例えば、LGが、脱離基:塩素、臭素、又はヨウ素を表す場合には、この反応は、好都合には化合物(5)を化合物(4)で、アルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)のような塩基の存在下で不活性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中で、又はアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム)の存在下で不活性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドのような極性非プロトン性溶媒又はアセトン若しくはメチルエチルケトンのようなケトン)中で、大体室温と約100℃の間の温度で処理することにより行うことができる。
【0123】
カルボン酸保護基の脱保護による、化合物(1)への化合物(6)[ここで、R1は、カルボン酸の保護に通常使用される保護基を表す]の変換は、有機合成の分野において周知の反応条件を用いて行われるが、その多くは「有機合成における保護基」[T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 第2版, John Wiley & Sons, N.Y. 1991]に略述されている。例えば、R1がメチル又はエチルである場合には、この反応は、好都合にはこの化合物を1当量のアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化リチウムなど、好ましくは水酸化リチウム)で、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、メタノール、及び水の混合物など)中で処理することにより達成することができる。この反応は、約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは大体室温で行うことができる。別の例として、R1が酸性条件下で開裂することができる基(tert−ブチル基など)である場合には、このエステルは、無機強酸(例えば、塩化水素又は臭化水素のようなハロゲン化水素酸)、又は有機強酸(例えば、トリフルオロ酢酸などのようなハロゲン化アルカンカルボン酸)で処理してもよい。この反応は、好都合には不活性有機溶媒(ジクロロメタンなど)の存在下で、約0℃と大体室温の間の温度で(好ましくは大体室温で)行われる。(特に限定されないが)最後の例として、R1が接触水素化により開裂することができる基である場合には、そして分子の残りの部分はこのような条件に対して安定であるような更なる条件では、この反応は、パラジウム担持炭素のような貴金属触媒の存在下で、不活性溶媒(例えば、エタノールのようなアルコール)の存在下で大体室温でかつ大気圧下での水素化により行うことができる。
【0124】
鈴木カップリング
スキーム2に示されるように、本発明の化合物は、式(7)[ここで、Xは、鈴木反応又はスティル(Stille)反応のような貴金属触媒カップリング反応において脱離基として作用することができる基を表す]の化合物による、式(5)の化合物からの脱離基LGの求核置換から出発して、式(9)[ここで、R1は、カルボン酸の保護に通常使用される保護基を表す]の化合物が生成する、反応順序により調製することができる。次に式(9)の化合物は、式(10)の有機金属試薬(例えば、ボロン酸又は有機スズ試薬)と反応させることにより、式(11)のビアリール化合物を得ることができる。次にこの保護基を開裂することにより、式(1)の本発明の化合物が得られる。
【0125】
【化33】

【0126】
多くの保護基R1が、有機合成の分野における当業者には知られている。例えば、幾つかの適切な保護基が「有機合成における保護基」[T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 第2版, John Wiley & Sons, N.Y. 1991]に列挙されている。好ましい保護基は、本発明の化合物を調製するのに使用される反応条件と適合性のものである。このような保護基の例は、低級アルキル直鎖若しくは分岐のエステル類(例えば、メチル(R1=CH3)、エチル(R1=CH2CH3)、又はtert−ブチル(R1=C(CH33)エステル類)、又はベンジルエステル(R1=CH265)である。
【0127】
化合物(5)における脱離基LGの求核置換は、任意の従来法により達成することができる。例えば、LGが、脱離基:塩素、臭素、又はヨウ素を表す場合には、この反応は、好都合には化合物(5)を化合物(7)で、アルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)のような塩基の存在下で不活性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中で、又はアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム)の存在下で不活性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドのような極性非プロトン性溶媒又はアセトン若しくはメチルエチルケトンのようなケトン)中で、大体室温と約100℃の間の温度で処理することにより行うことができる。
【0128】
式(9)[ここで、Xは、ヨウ素、臭素、又はトリフラートのような脱離基を表す]の化合物と、式(10)[ここで、Yは、ボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズ又はトリ−n−ブチル−スズを表す]の化合物との、式(11)の化合物が得られる反応は、平均的な当業者ならば周知である、鈴木又はスティルのカップリング条件を用いることにより達成することができる。例えば、この反応は、好都合には式(9)[ここで、Xは、ヨウ素を表す]の化合物を式(10)[ここで、Yは、B(OH)2を表す]の化合物と、便利な不活性溶媒[極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)又はエーテル(例えば、ジオキサン)又は水など]中で、触媒量のパラジウム(0)錯体(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))又はその場で還元されてパラジウム(0)を与えることができる化合物(例えば、パラジウム(II)酢酸塩又はビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物)の存在下で、場合により更に触媒量のホスフィン配位子、例えば、トリ−o−トリルホスフィン又はトリ−tert−ブチルホスフィンの存在下で、あるいはパラジウム(0)とホスフィン配位子との前もって生成した錯体[ビス(トリ−シクロヘキシルホスフィン)パラジウムなど]の存在下で、更にまた無機塩基[例えば、アルカリ金属炭酸塩、重炭酸塩又はリン酸塩(例えば、リン酸カリウム又は炭酸ナトリウム)]の存在下で、大体室温と約100℃の間の温度で、そして好ましくは大体室温と約50℃の間で反応させることにより行うことができる。また、この反応において塩基として水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物を使用することができるが、平均的な当業者には明らかなとおり、これは、分子内の加水分解に不安定な残基(例えば、カルボン酸エステル)の加水分解のような、他の副反応を引き起こすこともあり、そしてこの作用は、実験者には望まれるかもしれないし、望まれないかもしれない。その結果、塩基の選択は、加水分解反応を回避することが望まれるかどうかに依存する。回避が望まれるならば、アルカリ金属水酸化物は、塩基として選択すべきでなく、上に略述された他の塩基の1つを選択すべきである。
【0129】
カルボン酸保護基の脱保護による、化合物(1)への化合物(11)[ここで、R1は、カルボン酸の保護に通常使用される保護基を表す]の変換は、有機合成の分野において周知の反応条件を用いて行われるが、その多くは「有機合成における保護基」[T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 第2版, John Wiley & Sons, N.Y. 1991]に略述されている。例えば、R1がメチル又はエチルである場合には、この反応は、好都合にはこの化合物を1当量のアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化リチウムなど、好ましくは水酸化リチウム)で、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、メタノール、及び水の混合物など)中で処理することにより達成することができる。この反応は、約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは大体室温で行うことができる。別の例として、R1が酸性条件下で開裂することができる基(tert−ブチル基など)である場合には、このエステルは、無機強酸(例えば、塩化水素又は臭化水素のようなハロゲン化水素酸)、又は有機強酸(例えば、トリフルオロ酢酸などのようなハロゲン化アルカンカルボン酸)で処理してもよい。この反応は、好都合には不活性有機溶媒(ジクロロメタンなど)の存在下で、約0℃と大体室温の間の温度で(好ましくは大体室温で)行われる。(特に限定されないが)最後の例として、R1が接触水素化により開裂することができる基である場合には、そして分子の残りの部分はこのような条件に対して安定であるような更なる条件では、この反応は、パラジウム担持炭素のような貴金属触媒の存在下で、不活性溶媒(例えば、エタノールのようなアルコール)の存在下で大体室温でかつ大気圧下での水素化により行うことができる。
【0130】
反応条件及び使用される基質に応じて、時には、式(9)[ここで、Xは、ヨウ素、臭素、又はトリフラートのような脱離基を表す]の化合物と、式(10)[ここで、Yは、B(OH)2を表す]のボロン酸との鈴木反応から、別個の加水分解工程なしに、式(1)のカルボン酸を直接調製することができる。例えば、式(9)[ここで、Xは、ヨウ化物を表す]の化合物は、式(10)[ここで、Yは、B(OH)2を表す]のボロン酸で、パラジウム(0)とトリアルキルホスフィンとの錯体[ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムなど]の存在下で、炭酸カリウムの存在下で、水とジオキサンとの混合物のような水性溶媒中で、約170℃のような高温で処理することができる。この反応は、密閉チューブ内で行われ、そして加熱は好都合にはマイクロ波照射を用いて行われる。あるいは、文献で知られている反応条件を利用することができる。このような条件の例は、W. Jiangら、J. Med. Chem. 2003, 46, 441-444の論文の補足資料に、またS.C. Tuckerら、Tetrahedron 2001, 57, 2545-2554にも見られる。
【0131】
出発物質:式(4)の化合物
式(4)の多くの化合物が既知化合物であり、文献の手順により合成することができる。幾つかの例が表に含まれる。
【0132】
【表1】









【0133】
更に、下記のものを含む式(4)の幾つかの化合物が市販されている:
【0134】
【表2】

【0135】
文献において知られていない式(4)の化合物は、それ自体既知の反応を利用して調製することができる。例えば、これらは、好都合にはスキーム3により調製することができる。
【0136】
【化34】

【0137】
式(4)の化合物を与える式(15)の化合物の反応は、有機合成の分野において周知の幾つかの異なる方法により行うことができる。これらの方法の幾つかは、「有機合成における保護基」(T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 第2版, John Wiley & Sons, N.Y. 1991)に略述されている。式(4)の化合物の合成に至るこのアプローチが、式(4)の化合物中の任意の置換基が、式(15)の化合物を式(4)の化合物に変換するために利用される条件に対して安定である場合に、そして特に式(4)の化合物が低級アルコキシ置換基を持たない場合に、最も適していることは当業者には明らかとなろう。
【0138】
例えば、式(15)の化合物は、ヨウ化トリメチルシリルで、ハロゲン化炭化水素(例えば、クロロホルム)のような不活性溶媒中で、およそ室温と溶媒の沸点との間の温度で、好都合には約60℃で処理することができる。ヨウ化トリメチルシリルは、試薬として添加することができるか、又は塩化トリメチルシリルと無機ヨウ化物(ヨウ化カリウムなど)からその場で調製することができる。
【0139】
別の例として、式(15)の化合物は、三臭化ホウ素で、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン)のような不活性溶媒中で、低温(−78℃など)で処理することにより、式(4)の化合物を得ることができる。このプロセスを用いる式(4)の化合物への式(15)の化合物の変換の例は、L.I. Kruseら、J. Med. Chem. 1987, 30, 486-494に、D.J. Cramら、J. Am. Chem. Soc. 1985, 107, 3645-3657に、A. Kendeら、J. Am. Chem. Soc. 1988, 110, 2210-2218に、及びA.G. Myersら、J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 6072-6094に見られる。
【0140】
更に別の例として、式(15)の化合物は、低級アルキルチオラート(例えば、ナトリウム エタンチオラート)で、N,N−ジメチルホルムアミド中で、約100℃と約153℃の間の温度で処理することにより、式(4)の化合物を得ることができる。この反応に適した条件は、G.I. Feutrillら、Tetrahedron Lett. 1970, 11, 1327に、及びまたJ.A. Dodgeら、J. Org. Chem. 1995, 60, 739-741に見られる。
【0141】
また別の例として、式(15)の化合物は、ピリジン塩酸塩で、高温(例えば、約160℃と約220℃の間)で処理することにより、式(4)の化合物を得ることができる。このプロセスを用いる式(4)の化合物への式(15)の化合物の変換の例は、L.J. Baldwinら、J. Heterocycl. Chem. 1985, 22, 1667-1669に、S. Gauthierら、Tetrahedron 2000, 56, 703-709に、J. Gilbertら、J. Med. Chem. 1983, 26, 693-699に、M. Konnoら、Synlett 1997, 1472-1474に、及びP.C. Astlesら、J. Med. Chem. 1998, 41, 2732-2744に見られる。
【0142】
式(15)の幾つかの化合物は、市販されており、そしてこれらの幾つかは、以下の表に示される。式(15)の他の化合物は、文献において既知であるか、又は当該分野において周知の方法により製造することができる。具体的には、式(15)の化合物は、式(7)のフェノール性化合物の代わりにアニソールを使用することを除いて、式(4)の化合物の合成のために後述される反応と同様のスティル又は鈴木の反応を用いて製造することができる(スキーム4を参照のこと)。
【0143】
【表3】

【0144】
式(4)の化合物の合成への代替アプローチは、スキーム4に示される。
【0145】
【化35】

【0146】
式(7)[ここで、Xは、ヨウ素、臭素、塩素、又はトリフラートのような脱離基を表す]の化合物と式(10)[ここで、Yは、ボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズ又はトリ−n−ブチル−スズを表す]の化合物との、式(4)の化合物が得られる反応は、平均的な当業者ならば周知である、鈴木又はスティルのカップリング条件を用いて達成することができる。例えば、この反応は、好都合には式(7)[ここで、Xは、ヨウ素を表す]の化合物を式(10)[ここで、Yは、B(OH)2を表す]の化合物と、極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)又はエーテル(例えば、ジオキサン)又は水のような好都合な不活性溶媒中で、触媒量のパラジウム(0)錯体(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))又はその場で還元されてパラジウム(0)を与えることができる化合物(例えば、パラジウム(II)酢酸塩又はビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物)の存在下で、場合により更に触媒量のホスフィン配位子、例えば、トリ−o−トリルホスフィン又はトリ−tert−ブチルホスフィンの存在下で、更にまた無機塩基[例えば、アルカリ金属炭酸塩、重炭酸塩又はリン酸塩(例えば、リン酸カリウム又は炭酸ナトリウム)]の存在下で、大体室温と約100℃の間の温度で、そして好ましくは大体室温と約50℃の間で反応させることにより行うことができる。更に別の例として、この反応は、H. Sakuraiら、J. Org. Chem. 2002, 67, 2721の条件により実行することができるか、又はこの反応は、J.D. RevellとA. Ganesan, Org. Lett. 2002, 4, 3071の条件を用いて固相で実行することができる。
【0147】
Ar2が、ピラゾール−1−イルである場合には、式(4)の化合物は、スキーム5により調製することができるが、ここで、Zは、ヒドロキシ基に変換することができる基である。適切なZ基の例は、当業者には明白になろうが、メトキシ、ニトロ、及びメタンスルホニルオキシを含む。
【0148】
【化36】

【0149】
式(17)の化合物は、式(18)のジケトンで、アルコール(例えば、エタノール)のような不活性溶媒中で還流温度で処理することにより、式(19)のピラゾールが得られ、そして次にZ基をヒドロキシ基に変換することにより、式(4)の化合物が得られる。Zがメトキシである場合には、この反応は、好都合には、スキーム3に関連して上述のものと類似の反応を利用して行われる。Zがニトロである場合には、この変換は、2工程で行われる:アニリンへの水素化と、これに続くジアゾ化反応により、フェノールが得られる。この変換に適した条件は、A. Michaelisら、Chem. Ber. 1900, 33, 2595-2607に見られる。Rがメタンスルホニルオキシである場合には、ヒドロキシ基へのZ基の変換は、式(19)の化合物が、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)のような水性塩基で、場合により更に反応混合物が溶液であることを保証するための共溶媒の存在下で処理される、加水分解反応により達成される。適切な共溶媒の例は、エタノール及びジオキサンである。この反応は、好都合には約50℃とおよそ溶媒又は溶媒の混合物の還流温度との間で行われる。この反応に適した条件は、H. Ohyamaら、US 4752326に見られる。
【0150】
出発物質:式(5)の化合物
式(5)[ここで、R1は、カルボン酸の保護に通常使用される保護基を表す]の多くの化合物は、既知化合物であり、文献の手順により合成することができる。幾つかの例が表に含まれる。
【0151】
【表4】



【0152】
更に、下記のものを含む式(5)の幾つかの化合物が市販されている:
【0153】
【表5】

【0154】
文献上も知られず市販もされていない式(5)の化合物は、好都合には有機合成の分野において周知の反応により調製することができ、そしてこれらの反応は、スキーム6のように一般的に表すことができる。
【0155】
【化37】

【0156】
スキーム6により表される反応の3つの例が後述される。平均的な当業者ならば明らかになるように、式(5)の全ての化合物を調製するために全ての反応を利用できるわけではないが、式(5)の特定の化合物の調製に適した反応が、有機合成の化学者には明白となろう。
【0157】
例えば、式(5)[ここで、LGは、塩素を表す]の化合物は、式(12)[ここで、Bは、水素を表す]の化合物から、求電子芳香族置換反応により、式(12)[ここで、Bは、水素を表す]の化合物をホルムアミドと塩化水素で、ルイス酸触媒、好ましくは塩化亜鉛の存在下で、適切な不活性溶媒、例えば、ハロゲン化アルカン(塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)中で、大体室温と溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは約35℃で処理することにより調製することができる。明らかにこの反応は、式(12)の化合物が、所望の結合点で求電子芳香族置換を受けやすい場合、更には、式(5)の化合物が、鉱酸及びルイス酸に対して安定である場合に限定される。これらの基準を満たす式(5)の化合物の例は、平均的な当業者には知られるところとなろう。このような反応の一例は、O. Moldenhauerら、Justus Liebigs Ann. Chem. 1953, 580, 176に見い出すことができる。
【0158】
式(5)[ここで、LGは、臭素を表す]の化合物は、式(12)[ここで、Bは、CH3を表す]の化合物を、N−ブロモスクシンイミド又は3,3−ジメチル−N,N′−ジブロモヒダントインで、ハロゲン化アルカン(例えば、四塩化炭素)又はアセトニトリルのような不活性溶媒中で、場合により更にアゾビス(イソブチロニトリル)又は過酸化ベンゾイルのような触媒の存在下で、適温で、好都合には溶媒の沸点で、そして場合により更に光源の存在下で処理することにより;あるいは式(12)[ここで、Bは、CH3を表す]の化合物を、臭素で、水と芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン)との又はハロゲン化アルカン(例えば、クロロホルム)との混合物のような不活性溶媒中で、白熱灯での照射下で処理することにより調製することができる。
【0159】
式(5)[ここで、LGは、塩素を表す]の化合物は、式(12)[ここで、Bは、CH3を表す]の化合物を、N−クロロスクシンイミド又は塩化スルフリルで、ハロゲン化アルカン(例えば、四塩化炭素)又はアセトニトリルのような不活性溶媒中で、場合により更にアゾビス(イソブチロニトリル)又は過酸化ベンゾイルのような触媒の存在下で、適温で、好都合には溶媒の沸点で、そして場合により更に光源の存在下で処理することにより;あるいは式(12)[ここで、Bは、CH3を表す]の化合物を、塩素で、水と芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン)との又はハロゲン化アルカン(例えば、クロロホルム又は四塩化炭素)との混合物のような不活性溶媒中で、白熱灯での照射下で処理することにより調製することができる。
【0160】
式(5)[ここで、LGは、臭素を表す]の化合物は、式(12)[ここで、Bは、CH2OHを表す]の化合物を、三臭化リン又はN−ブロモスクシンイミドとトリフェニルホスフィンとの混合物で、ハロゲン化アルカン(例えば、塩化メチレン又は四塩化炭素)のような不活性溶媒中で、約0℃と溶媒の沸点の間の温度で、好都合には約0℃で処理することにより調製することができる。式(5)[ここで、LGは、塩素を表す]の化合物は、式(12)[ここで、Bは、CH2OHを表す]の化合物を、塩化チオニル又はN−クロロスクシンイミドとトリフェニルホスフィンとの混合物で、ハロゲン化アルカン(例えば、塩化メチレン又は四塩化炭素)のような不活性溶媒中で、約0℃と溶媒の沸点の間の温度で、好都合には約0℃で処理することにより調製することができる。式(5)[ここで、LGは、OSO2E(ここで、Eは、低級アルキル又はアリールを表す)を表す]の化合物は、式(12)[ここで、Bは、CH2OHを表す]の化合物を、スルホニルクロリドESO2Cl(例えば、メタンスルホニルクロリド又はp−トルエンスルホニルクロリド)で、第3級アミン(例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン)のような塩基の存在下で、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン)のような不活性溶媒中で、約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは約0℃で処理することにより調製することができる。式(5)[ここで、LGは、ヨウ素を表す]の化合物は、式(5)[ここで、LGは、塩素、臭素、又はOSO2E(ここで、Eは、低級アルキル又はアリールを表す)を表す]の化合物を、アルカリ金属ヨウ化物(例えば、ヨウ化ナトリウム)で、ケトン(例えば、アセトン又はメチルエチルケトン)のような不活性溶媒中で、約50℃と約80℃の間の温度で、好都合には大体溶媒の沸点で処理することにより調製することができる。
【0161】
出発物質:式(7)の化合物
式(7)[ここで、Xは、塩素、ヨウ素、臭素、又はトリフラートのような脱離基を表す]の多くの化合物は、既知化合物であり、文献の手順により合成することができる。幾つかの例が表に含まれる。
【0162】
【表6】



【0163】
更に、下記のものを含む式(7)の多くの化合物が市販されている:
【0164】
【表7】

【0165】
文献上も知られず市販もされていない式(7)の化合物は、好都合にはスキーム7に示されるように、有機合成の分野において周知の反応により調製することができる。
【0166】
【化38】

【0167】
式(7)の化合物は、式(13)[ここで、G及びXは、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される同じ置換基を表し、そしてYは、メチルを表す]の化合物から、有機合成の分野において周知の反応を用いて調製することができる。これらの方法の幾つかは、「有機合成における保護基」(T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 第2版, John Wiley & Sons, N.Y. 1991)に略述されている。例えば、式(7)の化合物は、ヨウ化トリメチルシリルで、式(13)[ここで、G及びXは、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される同じ置換基を表し、そしてYは、メチルを表す]の化合物を処理することにより生成することができる。この反応は、好都合には、ハロゲン化アルカン(例えば、クロロホルム)又はアセトニトリルのような不活性溶媒中で、大体室温と溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは約50℃で行われる。あるいは、式(7)の化合物は、式(13)[ここで、G及びXは、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される同じ置換基を表し、そしてYは、メチルを表す]の化合物を、臭化水素と一緒に、酢酸又は水中で、還流させながら加熱することにより生成することができる。第3の代替法としては、式(7)の化合物は、式(13)[ここで、G及びXは、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される同じ置換基を表し、そしてYは、メチルを表す]の化合物を、三臭化ホウ素で、ハロゲン化アルカン(例えば、クロロホルム又は塩化メチレン)のような不活性溶媒中で、約0℃と約40℃の間の温度で、好都合には大体室温で処理することにより生成することができる。
【0168】
式(7)[ここで、Xは、塩素を表し、そしてXの結合位置は、ヒドロキシ基に対してパラ位である]の化合物は、式(13)[ここで、Gは、水素を表し、そしてYは、水素を表す]の化合物を、塩化スルフリルで、エーテル又はハロゲン化炭化水素(例えば、クロロホルム)のような不活性溶媒中で、約0℃と約35℃の間の温度で、好ましくは大体室温で処理することにより調製することができる。式(7)[ここで、Xは、臭素を表し、そしてXの結合位置は、ヒドロキシ基に対してパラ位である]の化合物は、式(13)[ここで、Gは、水素を表し、そしてYは、水素を表す]の化合物を、臭素で、水、又は四塩化炭素、又は酢酸のような不活性溶媒中で、約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは大体室温で処理することにより調製することができる。あるいは、同化合物(7)[ここで、Xは、臭素を表し、そしてXの結合位置は、ヒドロキシ基に対してパラ位である]は、式(13)[ここで、Gは、水素を表し、そしてYは、水素を表す]の化合物を、三臭化物塩(例えば、三臭化テトラブチルアンモニウム又は三臭化ベンジルトリメチルアンモニウム)で、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン又はクロロホルム)のような不活性溶媒中で、約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは大体室温で処理することにより調製することができる。式(7)[ここで、Xは、ヨウ素を表し、そしてXの結合位置は、ヒドロキシ基に対してパラ位である]の化合物は、式(13)[ここで、Gは、水素を表し、そしてYは、水素を表す]の化合物を、ヨウ素、又は一塩化ヨウ素で、水のような不活性溶媒中で、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)又はアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)のような無機塩基の存在下で、約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは大体室温で処理することにより調製することができる。式(7)[ここで、Xは、ヨウ素を表し、そしてXの結合位置は、ヒドロキシ基に対してパラ位である]の同化合物は、式(13)[ここで、Gは、水素を表し、そしてYは、水素を表す]の化合物を、ヨウ化ナトリウム及び次亜塩素酸ナトリウムで、水とアルコール(例えば、メタノール)との混合物のような不活性溶媒中で、0℃に近い温度で処理することにより調製することができる。この最後の反応及び幾つかの代替法は、K.J. EdgarとS.N. Falling, J. Org. Chem. 1990, 55, 5287-5291に記述されている。
【0169】
式(7)[ここで、Xは、塩素、臭素、又はヨウ素を表す]の化合物は、式(13)[ここで、Gは、NH2を表し、そしてYは、水素を表す]の化合物を、有機合成の分野において周知のザントマイヤー(Sandmeyer)反応を用いて処理することにより調製することができる。この反応の詳細は、H.H. Hodgson, Chem. Rev. 1947, 40, 251-277に、またD.C. Nonhebel, 銅触媒単一電子酸化及び還元(Copper-catalyzed Single-electron Oxidations and Reductions), 特殊出版(Special Publication), Chemical Society (London) 1970, 24, 409-437 ISSN: 0577-618Xにも見い出すことができる。例えば、式(13)[ここで、Gは、NH2を表し、そしてYは、水素を表す]の化合物は、式(13)[ここで、Gは、N2+を表し、そしてYは、水素を表す]のジアゾニウム中間体に、亜硝酸ナトリウムでの、鉱酸(例えば、塩酸又は硫酸)の存在下での、水中での、約−10℃と約10℃の間の温度での、好ましくは約0℃での処理により変換することができる。単離することなく、このジアゾニウム中間体は次に、塩化銅(I)での処理により式(7)[ここで、Xは、塩素を表す]の化合物に、臭化銅(I)での処理により式(7)[ここで、Xは、臭素を表す]の化合物に、又はヨウ化カリウムでの処理により式(7)[ここで、Xは、ヨウ素を表す]の化合物に変換することができる。
【0170】
出発物質:式(10)の化合物
式(10)[ここで、Yは、ボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズ又はトリ−n−ブチル−スズを表す]の多くの化合物は、既知化合物であり、文献の手順により合成することができる。幾つかの例が表に含まれる。
【0171】
【表8】





【0172】
更に、下記のものを含む式(10)[ここで、Yは、ボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズ又はトリ−n−ブチル−スズを表す]の多くの化合物が市販されている:
【0173】
【表9】









【0174】
文献上も知られず市販もされていない式(10)[ここで、Yは、ボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズ又はトリ−n−ブチル−スズを表す]の化合物は、有機合成の当業者には周知の手順により合成することができる。例えば、このタイプの化合物は、好都合にはスキーム8により、式(14)[ここで、Xは、臭素又はヨウ素を表す]の化合物から、アルキルリチウム(例えば、n−ブチルリチウム)又はマグネシウム(グリニャール試薬が生成する)での、エーテル(テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルなど)のような適切な不活性溶媒中での、この反応に適した温度(例えば、アルキルリチウムとの反応にはおよそ−78℃、又はマグネシウムとの反応にはおよそ室温)での処理と、これに続く、ホウ酸トリアルキル又は塩化トリアルキルスズでの処理により、式(10)[ここで、Yは、それぞれ、B(OH)2又はトリアルキルスズを表す]の化合物が生成することによって、合成することができる。
【0175】
【化39】

【0176】
更に、この反応は、貴金属触媒作用下で行うことができる。この経路では、式(14)の化合物は、好都合にはヘキサ−アルキル−ジスタンナン(ヘキサメチル−ジスタンナン又はヘキサ−n−ブチル−ジ−スタンナンなど)又は4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン若しくは4,4,5,5,4′,4′,5′,5′−オクタメチル−[2,2′]ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル]と、貴金属触媒(好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)又は塩化パラジウム(II)又は酢酸パラジウム(II)のようなパラジウム触媒)の存在下で、そして場合により更に触媒量のホスフィン配位子、例えば、トリ−o−トリルホスフィン又はトリ−tert−ブチルホスフィンの存在下で反応させる。ヘキサ−アルキル−ジスタンナンとの反応の場合には、この反応は、場合により、有機塩基、例えば、第3級アミン(例えば、トリエチルアミン)の存在下で行われ、一方ジオキサボロランとの反応の場合には、この反応は、無機塩基(例えば、フッ化セシウム、又は酢酸カリウム、好ましくは酢酸カリウム)の存在下で行われる。この反応は、好都合には、極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、又はアセトニトリル)又は芳香族炭化水素(例えば、トルエン)のような適切な不活性溶媒中で、大体室温と約100℃の間の温度で、そして好ましくは大体室温と約50℃の間で行われる。更なる例として、以下の刊行物において利用される特定の反応条件にしたがうことができる:O. Baudoinら、J. Org. Chem. Soc. 2000, 65, 9268-9271;T. Ishiyamaら、Tetrahedron Lett. 1997, 38, 3447-3450;M.D. Hylarides, J. Organomet. Chem. 1989, 367, 259-265;M.W. Readら、Org. Lett. 2000, 2, 3201-3204;T. Ishiyamaら、Tetrahedron 1997, 57, 9813-9816;A. Fuersterら、Org. Lett. 2002, 4, 541-544。
【0177】
アシル化アミノ酸
スキーム9に示されるように、式(1)[ここで、R4は、ヒドロキシ基を表す]の本発明の化合物は、式(1)[ここで、R4は、アミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸を表す]の化合物に変換することができる。この反応は、有機合成の分野で周知の、そして特にペプチド合成の分野で周知の種々の手順を用いて行うことができる。この反応は、典型的には2工程で行われる。第1に、式(1)[ここで、R4は、ヒドロキシ基を表す]の化合物を適切に保護されたアミノ酸と反応させることにより、式(1)[ここで、R4は、保護アミノ酸を表す]の中間体を得て、続いて保護基を除去することにより、式(1)[ここで、R4は、アミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸を表す]の化合物が得られる。アミノ酸に適切な保護基の多くの例が、有機合成の当業者には知られている。例えば、幾つかの適切な保護基は、「有機合成における保護基」[T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 第2版, John Wiley & Sons, N.Y. 1991]に列挙されている。好ましい保護基は、本発明の化合物を調製するのに使用される反応条件と適合性であるものである。このような保護基の例は、低級アルキル直鎖若しくは分岐のエステル類(例えば、メチル、エチル、又はtert−ブチルエステル)、又はベンジルエステルである。
【0178】
【化40】

【0179】
例えば、第1の反応は、式(1)[ここで、R4は、ヒドロキシ基を表す]の化合物を、保護アミノ酸で、カップリング剤(その多くの例が、ペプチド化学においてそれ自体周知である)の存在下で、そして場合によりこの反応の速度を上昇させる物質(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール又は1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールなど)の存在下で処理することにより;あるいは保護アミノ酸と、式(1)[ここで、R4は、ヒドロキシ基を表す]化合物の反応性誘導体[対応する酸ハロゲン化物(例えば、酸塩化物)、酸無水物、混合無水物、活性化エステルなど]との反応により行うことができる。この反応は、好都合には、保護アミノ酸を式(1)[ここで、R4は、ヒドロキシ基を表す]の化合物で、ジイソプロピルカルボジイミドのようなカルボジイミド試薬及び1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールの存在下で、N,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリジノンのような不活性溶媒中で、約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは大体室温で処理することにより行われる。
【0180】
式(1)[ここで、R4は、アミノ酸の窒素原子により結合している保護アミノ酸を表す]の化合物からの保護基の除去は、反応条件の幾つかの選択の1つを利用して達成することができるが、この選択は、保護基の性質、及び式(1)の化合物中に存在する他の官能基に依存するであろう。多くの適切な反応条件は、「有機合成における保護基」[T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 第2版, John Wiley & Sons, N.Y. 1991]に略述されている。例えば、保護基がメチル又はエチルである場合には、この反応は、好都合にはこの化合物を1当量のアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化リチウムなど、好ましくは水酸化リチウム)で、テトラヒドロフラン、メタノール、及び水の混合物のような適切な溶媒中で処理することにより達成することができる。この反応は、約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは大体室温で行うことができる。別の例として、保護基が、tert−ブチル基のような酸性条件下で開裂することができる基である場合に、このエステルは、無機強酸、例えばハロゲン化水素酸(塩化水素又は臭化水素など)、又は有機強酸、例えば、ハロゲン化アルカンカルボン酸(トリフルオロ酢酸など)で処理することができる。この反応は、好都合には不活性有機溶媒(ジクロロメタンなど)の存在下で、そして約0℃と大体室温の間の温度で、好ましくは大体室温で行われる。(特に限定されないが)最後の例として、保護基が接触水素化により開裂することができる基である場合には、そして分子の残りの部分はこのような条件に対して安定であるような更なる条件では、この反応は、パラジウム担持炭素のような貴金属触媒の存在下で、不活性溶媒(例えば、エタノールのようなアルコール)の存在下で、大体室温でかつ大気圧下での水素化により行うことができる。
【実施例】
【0181】
以下の実施例は、本発明の化合物及び製剤を合成するための好ましい方法を例証する。
【0182】
例示化合物の純度は、分析HPLCにより決定した。化合物の純度が214nmでのUV吸収により判定して85パーセントを超えなかった場合は、この化合物は分取HPLCにより精製した。分析及び分取HPLCの条件は後述される。
【0183】
分析HPLC
分析HPLCは、ウォーターズ(Waters)600LCポンプ及びスペルコ・ディスカバリー(Supelco Discovery)C18カラム(5μm、50mm×4.6mm)で行った。移動相A(水中0.1%ギ酸)及びB(アセトニトリル中0.1%ギ酸)を、5% Bから5分後に98% Bまで上昇する勾配で使用し、2mL/分の流量で4分間保持した。フォトダイオード・アレイ(PDA)検出は、ウォーターズ996フォトダイオード・アレイ検出器(範囲:210〜400nmUV)により、そしてELS検出は、ポリマー・ラボラトリーズ(Polymer Laboratories)PL−ELS1000(窒素流量:1.3L/分、ネブライザー温度:80℃、蒸発温度:110℃)で行った。質量分析機は、電子スプレーイオン化モードで作動するマイクロマス(Micromass)ZQとした。
【0184】
分取HPLC
精製を必要とする試料は、ウォーターズ600LCポンプ、ウォーターズ・エクステラ(Xterra)C18カラム(5μm、19mm×50mm)及びマイクロマスZQ質量分析機を利用する、陽性イオン電子スプレーイオン化モードで作動する、ウォーターズの質量指向精製システムで精製した。移動相A(水中0.1%ギ酸)及びB(アセトニトリル中0.1%ギ酸)を勾配(7分間で5% Bから30% B)で使用して、20mL/分の流量で1分間保持した。
【0185】
中間体1: 3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル
【0186】
【化41】

【0187】
新たに粉砕した炭酸カリウム(8.3g、60mmol)を、アセトン(600ml)中のメチル3−ブロモメチル−ベンゾアート(12.83g、56mmol; Lancaster Synthesis Ltd., Lancashire, UKから入手可能)及び4−ヨードフェノール(13.2g、60mmol;Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)の溶液に加えた。反応混合物を一晩加熱還流し、次にそれを濾過し、水を加えた。得られた白色の固体を濾別し、真空オーブン中で一晩乾燥して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(18.63g、90%)を、白色の固体として得た。
【0188】
中間体2: 2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル
【0189】
【化42】

【0190】
工程1: 2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル
2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステルを、N.Kindonら(US 6,162,808)に従って調製した: 四塩化炭素(250ml)中の2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸(Maybridge plc, Tintagel, UKから入手可能; 9.8g、57.2mmol)、過酸化ベンゾイル(40mg、0.165mmol)及びNBS(10.6g、60.0mmol)との混合物を、週末にかけて加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で蒸発した。粗物質を酢酸エチルと水に分配した。有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発し、20%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(4.4g、31%)を、橙色の油状物として得た。 1HNMR (CDCl3): δ 9.23 (s, 1H), 4.77 (s, 2H), 4.44 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.41 (t, J = 7.0 Hz, 3H). MS (APCI+): 252 (100), 250 (90).
【0191】
工程2: 2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル
粉砕した炭酸カリウム(3.4g、24.6mmol)を、アセトン(440ml)中の2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(12.83g、56mmol;上記工程1から)及び4−ヨードフェノール(5.5g、25mmol;Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)の溶液に加えた。反応混合物を15時間加熱還流し、次にそれを濾過し、それが濁るまで、濾液に水を加えた。濾液を氷の上に放置し、次に得られた白色の固体を濾別し、アセトン/ヘキサン類(2:1)で洗浄し、乾燥して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(5.6g、65%)を、白色の固体として得た。 1HNMR (CDCl3): δ 1.4 (t, 3H, J = 7 Hz), 4.46 (q, 2 H, J = 7 Hz), 5.4 (s, 2 H), 6.1 (d, 2 H, J = 9 Hz), 7.6 (d, 2 H, J = 9 Hz), 8.2 (s, 1 H).
【0192】
中間体3: 6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
【0193】
【化43】

【0194】
工程1: 6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
微粉砕したN−ブロモ−スクシンイミド(29.4g、165.2mmol)を、四塩化炭素(500ml)中の6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(24.7g、150.0mmol;Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)の溶液にいくつかの部分に分けて加え、次に過酸化ベンゾイル(100mg、0.4mmol)を加えた。混合物を84℃で窒素下、約40時間加熱した。N−ブロモ−スクシンイミド(14.8g、83.2mmol)の更なる部分を加え、次に過酸化ベンゾイル(100mg、0.4mmol)を加え、加熱を一晩続けた。反応混合物を室温まで冷却し、濾過し、蒸発し、1:1 ジクロロメタン/ヘキサン及びジクロロメタンで溶離するバイオタージ・システム(Biotage system)を使用するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(11.8g、32%)を、淡黄色の油状物として得た。MS(MH):244/246。HPLCから、純度は85〜90%と推定し、該物質を次の工程に、更に精製しないで使用した。
【0195】
工程2: 6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(11.72g、48mmol;上記工程1から)を、アセトン(250ml)に溶解し、4−ヨードフェノール(11.61g、52.8mmol; Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)を加え、続いて炭酸カリウム(7.55g、54.6mmol)を加えた。混合物を65℃で一晩加熱し、次にそれを冷却し、濾過した。固体を少量のアセトンで洗浄し、濾液を蒸発により約100mlまで濃縮した。溶液を温め、次に水(約70ml)で希釈した。得られた褐色の溶液は濁っており、油状固体を沈殿し始めた。混合物をへらで引っ掻き、室温まで冷却した。オフホワイトの沈殿物を濾別し、アセトン/水(1:1)のいくつかの部分で洗浄し、次に減圧下、五酸化リンで乾燥して、6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(13.72g、75%)を、オフホワイトの結晶質固体として得た。MS(MH)384。 1HNMR (CDCl3): δ 1.47 (t, 3H, J = 7 Hz), 4.52 (q, 2 H, J = 7 Hz), 5.33 (s, 2 H), 6.78 (d, 2 H, J = 9 Hz), 7.58 (d, 2 HJ = 9 Hz), 7.74 (d, 1 H, J = 7.8 Hz), 7.91 (dd, 1 H, J = 7.8, 7.8 Hz), 8.09 (d, 1 H, J = 7.8 Hz).
【0196】
中間体4: [3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
【0197】
【化44】

【0198】
工程1: (3−ブロモメチル−フェニル)−酢酸エチルエステル
四塩化炭素(250ml)中のN−ブロモ−スクシンイミド(10.68g、60.0mmol)、m−トリル−酢酸エチルエステル(10.0g、56.1mmol; Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)及び過酸化ベンゾイル(40mg、0.17mmol)との混合物を、窒素下、36時間加熱還流した。反応混合物を濾過し、蒸発し、0〜100%のヘキサン中のジクロロメタンで溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(3−ブロモメチル−フェニル)−酢酸エチルエステル(4.79g、33%)を得た。MS m/z 257。 1HNMR (DMSO-d6): δ 7.2-7.35 (m, 4H), 4.50 (s, 2 H), 4.18 (q, 2 H), 3.62 (s, 2 H), 1.28 (t, 3 H).
【0199】
工程2: [3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
(3−ブロモメチル−フェニル)−酢酸エチルエステル(4.37g、17.0mmol;上記工程1から)を、アセトン(100ml)に溶解し、4−ヨードフェノール(4.11g、18.7mmol;Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)を加え、続いて炭酸カリウム(2.66g、19.3mmol)を加えた。混合物を一晩加熱還流し、次にそれを、2mmolスケール以外は同じ条件を使用した以前の実施からの物質と合わせた。合わせた物質を冷却し、濾過した。固体をアセトンで洗浄し、濾液を蒸発して、油状物(8g)を得た。溶液を、0〜50%のヘキサン中のジクロロメタンで溶離する、S90カートリジを用いるBiotage systemを使用するクロマトグラフィーにより精製して、[3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(4.3g、57%)を得た。 1HNMR (CDCl3): δ 1.26 (t, 3H, J = 7 Hz), 3.65 (s, 2 H), 4.16 (q, 2 H, J = 7 Hz), 5.04 (s, 2 H), 6.76 (d, 2 H, J = 9 Hz), 7.26-7.37 (m, 4 H + 溶媒), 7.57 (d, 2 H, J = 9 Hz).
【0200】
中間体5: 6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
【0201】
【化45】

【0202】
工程1: 6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
濃硫酸(5ml)を、メタノール(約250ml)中の6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能;7.00g、51mmol)の懸濁液に撹拌しながら注意深く加えた。混合物を一晩加熱還流し(塩化カルシウム乾燥管を用いて)、次に溶液を大部分乾固するまで濃縮した。少しの水を加え、次に重炭酸ナトリウム水溶液を加えてpHを8にした。溶液を酢酸エチル(2×100ml)で抽出し、抽出物をブラインで洗浄し、次に乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発して、6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(3.53g、46%)を、淡黄色の油状物として得た。質量スペクトルm/z 152。
【0203】
工程2: 6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
N−ブロモスクシンイミド(4.9g、27.3mmol)を、四塩化炭素(100ml)中の6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(3.90g、25.8mmol)の撹拌した溶液に少しずつ加えた。過酸化ジベンゾイル(20mg)を加え、混合物を油浴中で85℃にて2日間加熱した。TLC(ジクロロメタンで溶離)が、2つの新しい斑点に加え未反応出発物質があることを示したので、N−ブロモスクシンイミド(1.1.g,6.1mmol)及び過酸化ジベンゾイル(20mg)の更なる量を加え、反応混合物を24時間加熱還流し、次に濾過して、スクシンイミドを除去した。濾液を蒸発して、油状物を得、それを0〜100%ジクロロメタン/ヘキサン類で溶離するシリカゲル(Biotage 90)のクロマトグラフィーに付して、6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(2.27g、38%)を、結晶質固体として得た。質量スペクトルm/z 230/232。
【0204】
工程3: 6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(2.27g、9.9mmol;上記工程2から)を、アセトン(50ml)に溶解し、4−ヨードフェノール(2.37g、10.8mmol; Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)を加え、続いて微粉砕した炭酸カリウム(1.54g、11.2mmol)を加えた。混合物を60℃で一晩加熱し、次にそれを冷却し、濾過した。固体をアセトンで洗浄し、濾液を濃縮乾固した。酢酸エチル(100ml)を加え、溶液を2M NaOH、水およびブラインで2回洗浄した。溶液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発して、粗生成物を得た。これを温めながらアセトン(約25ml)に溶解し、水(約20ml)を加えた。油状物が溶液から出てきて、それを結晶化した。混合物を加熱して、固体を再溶解し、溶液を生成物の1個の結晶で種結晶化させて、生成物の結晶を得た。再結晶化を繰り返して、6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(2.24g、62%)を、白色の結晶質固体として得た。質量スペクトルm/z 370。
【0205】
3−ビアリールオキシメチル−安息香酸の調製のための一般手順
ストック溶液を、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より;962mg、2.6mmol)、炭酸カリウム(1079mg、7.8mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシルホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;91mg、0.14mmol)、水(約5.8ml)及びジオキサン(約58ml)で構成して調製した。溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。この溶液(4.5ml)の一部を、アリール−ボロン酸を含む多くの管それぞれに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間それぞれ加熱した。混合物をシリカカートリッジで並行して濾過し、ジオキサン(1ml)及びジメチルアセトアミド(1ml)で洗浄した。濾液をバイアルに置き、2M水酸化カリウム溶液(0.4ml)を各バイアルに加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(0.8ml)を各バイアルに加え、溶媒をGenevac systemを使用して蒸発した。メタノール水溶液(50%;約2ml)を各バイアルに加え、バイアルを遠心分離し、溶媒を除去した。この方法を繰り返し、次に試料をオーブンで一晩乾燥した。
【0206】
2−ビアリールオキシメチル−チアゾール−4−カルボン酸の調製のための一般手順
第一ストック溶液を、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より;1.87g、4.8mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;168mg、0.25mmol)及びジオキサン(約100ml)で構成して調製した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.99g、14.4mmol)及び水(約10ml)で構成して調製した。溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。第一のストック溶液4ml及び第二のストック溶液0.4mlを、アリール−ボロン酸を含有する多数の管のそれぞれに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間それぞれ加熱した。1M HCl(0.1ml)を各バイアルに加え、溶液をシリカゲルカラム(シリカ1g)に通し、ジメチルアセトアミド(2×1ml)で洗浄した。溶液を蒸発乾固し、メタノール水溶液(2×2ml)で粉砕して、生成物を得た。
【0207】
6−ビアリールオキシメチル−ピリジン−2−カルボン酸の調製のための一般手順3
第一ストック溶液を、6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(中間体3より;1.85g、4.8mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;168mg、0.25mmol)及びジオキサン(約96ml)で構成して調製した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.99g、14.4mmol)及び水(約9.6ml)で構成して調製した。溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。第一ストック溶液4ml及び第二ストック溶液0.4mlを、アリール−ボロン酸を含有する多数の管のそれぞれに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間それぞれ加熱し、次に20ミクロンのポリエチレンフィルターで濾過し、ジメチルアセトアミド(2×1ml)で洗浄した。粗生成物を、分取HPLC(上記条件を参照)により精製した。精製した生成物を含有する画分を、Genevac systemを使用して蒸発乾固した。
【0208】
3−ビアリールオキシメチル−フェニル酢酸の調製のための一般手順4
第一ストック溶液を、[3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体4より;1.89g、4.8mmol)ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;168mg、0.25mmol)及びジオキサン(約96ml)で構成して調製した。この溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.99g、14.4mmol)及び水(約9.6ml)で構成して調製した。第一ストック溶液4ml及び第二ストック溶液0.4mlを、アリール−ボロン酸を含有する多数の管のそれぞれに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間それぞれ加熱した。各反応混合物に、1M KOH溶液(0.8ml、0.8mmol)を加え、溶液を60℃で一晩加熱した。1M HCl(0.8ml、0.8mmol)を各溶液に加え、次に反応物をシリカ(1g)で濾過し、ジメチルアセトアミドで洗浄した。溶液をGenevac systemを使用して蒸発乾固し、真空オーブンで50℃にて更に乾燥した。
【0209】
3−ビアリールオキシメチル−フェニル酢酸の調製のための一般手順5
第一ストック溶液を、[3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体4より;1.89g、4.8mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;168mg、0.25mmol)及びジオキサン(約96ml)で構成して調製した。この溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.99g、14.4mmol)及び水(約9.6ml)で構成して調製した。第一ストック溶液4ml及び第二ストック溶液0.4mlを、アリール−ボロン酸を含有する多数の管のそれぞれに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間それぞれ加熱した。各反応混合物に、2M KOH溶液(0.4ml、0.8mmol)を加え、溶液を65℃で一晩加熱した。2M HCl(0.4ml、0.8mmol)を各溶液に加え、次に反応物をシリカ(3g)で濾過した。溶液をGenevac systemを使用して蒸発乾固し、得られた固体を、50%メタノール水溶液(2×2ml)で粉砕して、生成物を得た。
【0210】
実施例1: 3−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0211】
【化46】

【0212】
3−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を、一般手順1を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び3−アセトアミドベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=362。
【0213】
実施例2: 3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−安息香酸
【0214】
【化47】

【0215】
3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−安息香酸を、一般手順1を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び3,4−メチレンジオキシベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=349。
【0216】
実施例3: 3−(3′−カルバモイル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0217】
【化48】

【0218】
第一ストック溶液を、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より;1.11g、3mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;105mg、0.16mmol)及びジオキサン(約62ml)で構成して調製した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.245g、9mmol)及び水(約6.2ml)で構成して調製した。溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。第一ストック溶液4ml及び第二ストック溶液0.4mlを、(3−アミノカルボニルフェニル)ボロン酸(Apollo Scientific Ltd., Stockport, UKから入手可能;99mg、0.6mmol)を含有する反応バイアルに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間加熱し、次にシリカゲルカラム(シリカ1g)に通し、ジオキサン(1ml)及びジメチルアセトアミド(1ml)で洗浄した。2M水酸化カリウム溶液(0.4ml)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(0.8ml)を加え、溶媒をGenevacで除去した。メタノール水溶液(50%;約2ml)を加え、次にバイアルを遠心分離し、溶媒を除去した。この方法を繰り返して、3−(3′−カルバモイル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を得た。質量スペクトルMH=348。
【0219】
実施例4: 3−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸
【0220】
【化49】

【0221】
第一ストック溶液を、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より;1.77g、4.8mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;168mg、0.25mmol)及びジオキサン(約100ml)で構成して調製した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.99g、14.4mmol)及び水(約10ml)で構成して調製した。溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。第一ストック溶液4ml及び第二ストック溶液0.4mlを、2−クロロピリジン−3−ボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE;94mg、0.6mmol)を含有する反応バイアルに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間加熱し、次にシリカゲルカラム(シリカ1g)に通し、ジオキサン(1ml)及びジメチルアセトアミド(1ml)で洗浄した。2M 水酸化カリウム溶液(0.4ml)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(0.8ml)を加え、溶媒をGenevacで除去した。メタノール水溶液(50%;約2ml)を加え、次にバイアルを遠心分離し、溶媒を除去した。この方法を繰り返し、次に試料をオーブンで一晩乾燥して、3−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸を得た。質量スペクトルMH=340。
【0222】
実施例5: 3−[4−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸
【0223】
【化50】

【0224】
3−[4−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸を、実施例4の合成に関する上記の手順を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び2−クロロピリジン−5−ボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=340。
【0225】
実施例6: 3−[4−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸
【0226】
【化51】

【0227】
3−[4−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸を、一般手順1を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−ボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=324。
【0228】
実施例7: 3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸
【0229】
【化52】

【0230】
3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸を、実施例4の合成に関する上記の手順を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び2−フルオロピリジン−3−ボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=324。
【0231】
実施例8: 3−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸
【0232】
【化53】

【0233】
3−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸を、実施例4の合成に関する上記の手順を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び2−フルオロピリジン−5−ボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=324。
【0234】
実施例9: 3−(4−フラン−2−イル−フェノキシメチル)−安息香酸
【0235】
【化54】

【0236】
ジオキサン/水(10:1、4.4ml)中の3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より;74mg、0.2mmol)の溶液を、20分間脱気し、次に炭酸カリウム(82mg、0.6mmol)及びフラン−2−ボロン酸(0.6mmol; Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)を含有する反応バイアルに加えた。溶液を更に2分間脱気し、次にビス(トリ−シクロヘキシルホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;14mg、0.02mmol)を加えた。混合物を30秒間脱気し、次に高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。反応混合物をシリカで濾過し、シリカを、ジクロロメタン(1ml)中のジオキサン(1ml)、ジメチルアセトアミド(1ml)及び20%メタノールで洗浄した。濾液をバイアルに置き、2M水酸化カリウム溶液(0.4ml)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に固体が形成(約2ml)されるまで、1M HClを加えた。バイアルを遠心分離し、溶媒を除去した。生成物を一晩オーブンで乾燥した。質量スペクトルMH=295。
【0237】
実施例10: 3−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0238】
【化55】

【0239】
3−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を、一般手順1を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び3−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=335。
【0240】
実施例11: 3−(4−イソキノリン−5−イル−フェノキシメチル)−安息香酸
【0241】
【化56】

【0242】
3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より;740mg、2mmol)、炭酸カリウム(830mg、6mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシルホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;70mg、0.1mmol)、ジオキサン(41ml)及び水(4.1ml)の超音波処理しかつ脱気した溶液の4.5mlを、5−イソキノリンボロン酸(Frontier Scientific, Inc, Logan, UTから入手可能;104mg、0.6mmol)を含有する反応バイアルに加えた。溶液を超音波処理し、脱気した。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。反応混合物をシリカで濾過し、ジオキサン(1ml)及びジメチルアセトアミド(1ml)で洗浄した。2M水酸化カリウム溶液(0.4ml)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(0.8ml)を加えた。溶媒をGenevacで除去し、次に50%メタノール水溶液(2ml)を加えた。バイアルを遠心分離し、溶媒を除去した。この方法を繰り返し、次に同一物をオーブンで一晩乾燥して、3−(4−イソキノリン−5−イル−フェノキシメチル)−安息香酸を得た。質量スペクトルMH=356。
【0243】
実施例12: 3−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0244】
【化57】

【0245】
ジオキサン(2ml)中の3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より;37mg、0.1mmol)の溶液を、窒素で脱気し、次に2−メトキシメチルフェニルボロン酸(Apollo Scientific Ltd., Stockport, UKから入手可能)を含有する反応バイアに加えた。溶液を超音波処理し、脱気した。水酸化ナトリウム溶液(4M、0.2ml)を加え、続いてビス(トリ−シクロ−ヘキシルホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;0.005mmol)を加えた。混合物を脱気し、次に高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。反応混合物をシリカで濾過し、シリカを、ジオキサン(1ml)及びジメチルアセトアミド(1ml)で洗浄した。固体が形成されるまで1M HClを加えた。バイアルを遠心分離し、溶媒を除去した。粗生成物を水で洗浄し、5分間再び遠心分離した。水をデカントし、固体を真空オーブンで50℃にて乾燥して、3−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を得た。質量スペクトルMH=349。
【0246】
実施例13: 3−(3′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0247】
【化58】

【0248】
3−(3′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を、実施例12の調製に関する上記の手順を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び3−メトキシメチルフェニルボロン酸(Digital Specially Chemicals, Inc., Dublin, NHから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=349。
【0249】
実施例14: 3−(4−ナフタレン−1−イル−フェノキシメチル)−安息香酸
【0250】
【化59】

【0251】
ジオキサン/水(10:1、4.4ml)中の3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より;74mg、0.2mmol)の溶液を、20分間脱気し、次に炭酸カリウム(82mg、0.6mmol)及び1−ナフタレンボロン酸(0.6mmol; Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)を含有する反応バイアルに加えた。溶液を更に2分間脱気し、次にビス(トリ−シクロヘキシルホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能; 14mg、0.02mmol)を加えた。混合物を30秒間脱気し、次に高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。反応混合物をシリカで濾過し、シリカをジクロロメタン(1ml)中のジオキサン(1ml)、ジメチルアセトアミド(1ml)及び20%メタノールで洗浄した。濾液をバイアルに置き、2M水酸化カリウム溶液(0.4ml)加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に固体(約2ml)が形成されるまで、1M HClを加えた。バイアルを遠心分離し、溶媒を除去した。生成物をオーブンで一晩乾燥して、3−(4−ナフタレン−1−イル−フェノキシメチル)−安息香酸を得た。質量スペクトルMH=355。
【0252】
実施例15: 3−(2′−フェノキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0253】
【化60】

【0254】
ジオキサン(4ml)中の3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より;74mg、0.2mmol)の脱気した溶液及び水(0.4ml)中の炭酸カリウム(83mg)の脱気した溶液を、(2−フェノキシ)フェニルボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能;128mg、0.6mmol)を含有する反応バイアルに加えた。溶液を脱気し、ビス(トリ−シクロヘキシルホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;7mg、0.01mmol)を加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。反応混合物をシリカで濾過し、ジオキサン(1ml)及びジメチルアセトアミド(1ml)で洗浄した。2M水酸化カリウム溶液(0.4ml)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(0.8ml)を加えた。溶媒を蒸発し、残渣を50%メタノール水溶液で粉砕して、3−(2′−フェノキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を得た。質量スペクトルMH=397。
【0255】
実施例16: 3−(3′−ピラゾール−1−イル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0256】
【化61】

【0257】
3−(3′−ピラゾール−1−イル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を、実施例4の合成に関する上記の手順を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び3−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸(ASDI Inc., Newark, DEから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=371。
【0258】
実施例17: 3−(4−ピリジン−3−イル−フェノキシメチル)−安息香酸
【0259】
【化62】

【0260】
3−(4−ピリジン−3−イル−フェノキシメチル)−安息香酸を、実施例3の合成に関する上記の手順を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及びピリジン−3−ボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=306。
【0261】
実施例18: 3−(4−チオフェン−3−イル−フェノキシメチル)−安息香酸
【0262】
【化63】

【0263】
3−(4−チオフェン−3−イル−フェノキシメチル)−安息香酸を、実施例15の調製に関する上記の手順を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及びチオフェン−3−ボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=311。
【0264】
実施例19: 3−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0265】
【化64】

【0266】
3−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を、一般手順1を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び2−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=389。
【0267】
実施例20: 3−(4′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0268】
【化65】

【0269】
3−(4′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を、一般手順1を使用して、3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−安息香酸メチルエステル(中間体1より)及び4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=389。
【0270】
実施例21: 2−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0271】
【化66】


第一ストック溶液を、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より;1.56g、4mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;140mg、0.21mmol)及びジオキサン(約82ml)で構成して調製した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.66g、12mmol)及び水(約8.2ml)で構成して調製した。溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。第一ストック溶液4ml及び第二ストック溶液0.4mlを、3−アセトアミドベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE;107mg、0.6mmol)を含有する反応バイアルに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。1M HCl(0.1ml)を各バイアルに加え、溶液をシリカゲルカラム(シリカ1g)に通し、ジメチルアセトアミド(2×1ml)で洗浄した。溶液を蒸発乾固して、2−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を得た。質量スペクトルMH=369。
【0272】
実施例22: 2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0273】
【化67】

【0274】
ジオキサン(4ml)中の2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より;75mg、0.2mmol)の溶液を、3,4−メチレンジオキシベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE;100mg、0.6mmol)を含有する反応管に加えた。水(0.4ml)中の炭酸カリウム(80mg、0.6mmol)の溶液を加え、混合物を脱気した。ジオキサン(0.5ml)中のビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;7mg、0.01mmol)の溶液を加え、管を高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。溶液を酸性化し、シリカゲルで濾過し、蒸発し、メタノール水溶液で粉砕して、2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を得た。質量スペクトルMH=356。
【0275】
実施例23: 2−(2′−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0276】
【化68】

【0277】
第一ストック溶液を、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より;1.72g、4.4mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;154mg、0.23mmol)及びジオキサン(約90ml)で構成して調製した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.826g、13.2mmol)及び水(約9ml)で構成して調製した。溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。第一ストック溶液4ml及び第二ストック溶液0.4mlを、(2−ベンジルオキシフェニル)ボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能;260mg、0.4mmol)を含有する反応バイアルに加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間加熱し、次にシリカゲルカラム(シリカ1g)に通し、ジメチルアセトアミド(2×1ml)で洗浄した。溶媒をGenevacで除去して、2−(2′−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を得た。質量スペクトルMH=418。
【0278】
実施例24: 2−[4−(1−ベンジル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸
【0279】
【化69】

【0280】
2−[4−(1−ベンジル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸を、一般手順2を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び1−ベンジル−1H−ピラゾール−4−ボロン酸(Frontier Scientific, Inc., Logan, UTから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=392。
【0281】
実施例25: 2−([1,1′;3′,1″]テルフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0282】
【化70】

【0283】
ジオキサン(3.5ml)中の2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より;71mg、0.2mmol)の溶液を、ビフェニル−3−ボロン酸(Lancaster Synthesis Ltd., Morecambe, UKから入手可能;119mg、0.6mmol)を含有する反応管に加えた。水(0.4ml)中の炭酸カリウム(74mg、0.5mmol)の溶液を加え、混合物を脱気した。ジオキサン(0.5ml)中のビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;7mg、0.01mmol)の溶液を加え、管を高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。濃塩酸(0.1ml)を加え、混合物をシリカゲルカラム(シリカ1g)に通し、ジメチルアセトアミド(2×1ml)で洗浄した。濾液を蒸発乾固し、得られたガム状物を50%メタノール水溶液で2回粉砕して、2−([1,1′;3′,1″]テルフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を得た。質量スペクトルMH=388。
【0284】
実施例26: 2−(3′−カルバモイル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0285】
【化71】

【0286】
2−(3′−カルバモイル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を、一般手順2を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び(3−アミノカルボニルフェニル)ボロン酸(Apollo Scientific Ltd., Stockport, UKから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=355。
【0287】
実施例27: 2−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸
【0288】
【化72】

【0289】
2−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸を、実施例23の調製に関する上記の手順を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び2−クロロピリジン−3−ボロン酸(Lancaster Synthesis Ltd., Morecambe, UKから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=347。
【0290】
実施例28: 2−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸
【0291】
【化73】

【0292】
2−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸を、実施例23の調製に関する上記の手順を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び2−フルオロピリジン−5−ボロン酸(Frontier Scientific, Inc., Logan, UTから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=331。
【0293】
実施例29: 2−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0294】
【化74】

【0295】
2−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を、実施例22の調製に関する上記の手順を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び3−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=342。
【0296】
実施例30: 2−(4−イソキノリン−5−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0297】
【化75】

【0298】
2−(4−イソキノリン−5−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を、一般手順2を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び5−イソキノリンボロン酸(Frontier Scientific, Inc., Logan, UTから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=363。
【0299】
実施例31: 2−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0300】
【化76】

【0301】
2−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を、一般手順2を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び2−メトキシメチルフェニルボロン酸(Apollo Scientific Ltd., Stockport, UKから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=356。
【0302】
実施例32: 2−(3′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0303】
【化77】

【0304】
2−(3′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を、一般手順2を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び3−メトキシメチルフェニルボロン酸(Digital Specialty Chemicals, Inc., Dublin, NH)から調製した。質量スペクトルMH=356。
【0305】
実施例33: 2−(4−ナフタレン−1−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0306】
【化78】

【0307】
2−(4−ナフタレン−1−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を、実施例22の調製に関する上記の手順を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び1−ナフタレンボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=362。
【0308】
実施例34: 2−(2′−フェノキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0309】
【化79】

【0310】
2−(2′−フェノキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を、実施例25の調製に関する上記の手順を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び(2−フェノキシ)フェニルボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=404。
【0311】
実施例35: 2−(4−チオフェン−3−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0312】
【化80】

【0313】
ジオキサン(2ml)中の2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より;78mg、0.2mmol)の溶液を、窒素で脱気し、次にチオフェン−3−ボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)を含有する反応バイアルに加えた。溶液を超音波処理し、脱気し、炭酸カリウム(1.5M、0.4ml)の溶液を加え、続いてビス(トリ−シクロ−ヘキシルホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;7mg、0.01mmol)を加えた。混合物を脱気し、次に高周波レンジで170℃にて25分間加熱した。反応混合物をGenevacで蒸発して、2−(4−チオフェン−3−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を得た。質量スペクトルMH=318。
【0314】
実施例36: 2−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0315】
【化81】

【0316】
2−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を、実施例21の調製に関する上記の手順を使用して、2−(4−ヨード−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体2より)及び2−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンボロン酸(Apin Chemicals Ltd., Abingdon, UKから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=396。
【0317】
実施例37: 6−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸
【0318】
【化82】

【0319】
6−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸を、一般手順3を使用して、6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(中間体3より)及び3,4−メチレンジオキシベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=350。
【0320】
実施例38: 6−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸
【0321】
【化83】

【0322】
第一ストック溶液を、6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(中間体5より;1.77g、4.8mmol)、ビス(トリ−シクロヘキシル−ホスフィン)パラジウム(Strem Chemicals, Inc., Newburyport, MAから入手可能;168mg、0.25mmol)及びジオキサン(約100ml)で構成して調製した。第二ストック溶液を、炭酸カリウム(1.99g、14.4mmol)及び水(約10ml)で構成して調製した。溶液を超音波処理し、それに窒素ガスを泡立て入れて脱気した。窒素ガスをそれに通した。第一ストック溶液4ml及び第二ストック溶液0.4mlを、2−メトキシメチル−フェニルボロン酸(Apollo Scientific Ltd., Stockport, UKから入手可能;100mg、0.6mmol)含有する反応管に加えた。混合物を高周波レンジで170℃にて25分間加熱し、次に1M KOH溶液(1当量)を加え、反応混合物を高周波レンジで、120℃にて10分間、130℃にて10分間、170℃にて1時間加熱した。次に反応混合物をシリカカラム(1g)で濾過し、ジメチルアセトアミド(2×1ml)で洗浄した。溶媒を蒸発して、6−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸を得た。質量スペクトルMH=350。
【0323】
実施例39: 6−(4−チオフェン−2−イル−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸
【0324】
【化84】

【0325】
6−(4−チオフェン−2−イル−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸を、実施例38の調製に関する上記の手順を使用して、6−(4−ヨード−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(中間体5より)及び2−メトキシメチルフェニルボロン酸(available from Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=312。
【0326】
実施例40: [3−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸
【0327】
【化85】

【0328】
[3−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸を、一般手順5を使用して、[3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体4より)及び3−アセトアミドベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=376。
【0329】
実施例41: [3−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸
【0330】
【化86】

【0331】
[3−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸を、一般手順5を使用して、[3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体4より)及び3−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, WIから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=349。
【0332】
実施例42: [3−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸
【0333】
【化87】

【0334】
[3−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸を、一般手順4を使用して、[3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体4より)及び2−メトキシメチルフェニルボロン酸(Apollo Scientific Ltd., Stockport, UKから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=363。
【0335】
実施例43: [3−[4−(2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−酢酸
【0336】
【化88】

【0337】
{3−[4−(2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−酢酸を、一般手順4を使用して、[3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体4より)及び2−メトキシ−ピリジン−3−ボロン酸(Lancaster Synthesis Ltd., Lancashire, UKから入手可能)から調製した。質量スペクトルMH=350。
【0338】
実施例44: [3−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸
【0339】
【化89】

【0340】
[3−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸を、一般手順5を使用して、[3−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体4より)及び2−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンボロン酸(ASDI Incorporated, Newark, DE)から調製した。質量スペクトルMH=403。
【0341】
グリコーゲン合成酵素(GS)アッセイ
式(I)の化合物の活性を測定するために、以下の試験を行った。
【0342】
30mMグリシル−グリシン(pH7.3)緩衝液中に、グリコーゲン(4.32mg/mL)、21.6mM UDP−グルコース、21.6mMホスホ(エノール)ピルビン酸及び2.7mM NADHを含む、12μL/ウェルの基質溶液を、ポリスチレンの384ウェルのアッセイプレート(BDバイオサイエンシーズ(BD Biosciences))に加えた。30mMグリシルグリシン(pH7.3)中の種々の濃度(0〜57μM)の化合物溶液(8μL/ウェル)、40mM KCl、20mM MgCl2+9.2% DMSOをアッセイプレートに加えた(カラム5〜24)。50mMトリス−HCl(pH8.0)中に、グリコーゲン合成酵素(16.88μg/ml)、ピルビン酸キナーゼ(0.27mg/mL)、乳酸脱水素酵素(0.27mg/mL)を含む酵素溶液(12μL/ウェル)、27mM DTT及びウシ血清アルブミン(BSA、0.2mg/mL)をアッセイプレートに加えた(カラム3〜24)。ブランク対照として、グリコーゲン合成酵素を含まない酵素溶液をカラム1〜2の上半分のウェルに加えた。カラム1〜2の下半分のウェルには、酵素溶液の他に既知の活性化剤のグルコース−6−リン酸(18.9mM)を加えた。この反応混合物を37℃でインキュベートした。次にアッセイプレートを、3分毎に全部で30分までテカン・ウルトラ(Tecan Ultra)リーダーで340nmでの吸光度を読みとった。
【0343】
酵素活性(化合物あり又はなし)は、反応速度により算出して、1分当たりの光学密度変化(ΔOD)により表した。種々の濃度での化合物によるグリコーゲン合成酵素活性の促進パーセントは、下記式:
促進%=100×Rs/Rt
[式中、Rsは、化合物の存在下での酵素の反応速度であり、そしてRtは、化合物の非存在下での酵素の反応速度である]により算出した。
【0344】
SC2.0は、酵素活性を200%促進するのに要する化合物濃度として定義される。
【0345】
実施例の化合物は、30μM未満のSC2.0活性を示す。幾つかの具体的なSC2.0活性を以下の表に示す:
【0346】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
Arは、芳香族炭素環又は複素環であり;
Ar2は、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、フラン−2−イル、イソキノリン−5−イル、イソオキサゾール−4−イル、1−ナフチル、ピラゾール−1−イル、ピラゾール−4−イル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル及びフェニルよりなる群から選択される、置換又は非置換の環であり、そして置換されている場合に置換基は、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、低級アルコキシ及びトリフルオロ−メトキシよりなる群から選択され;
2及びR3は、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ及びニトロよりなる群から独立に選択され;
4は、ヒドロキシ又はアミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸であり;
mは、0、1、2、3又は4であり;
pは、0、1又は2であり、そして
sは、0、1又は2である]で示される化合物、又は薬剤学的に許容しうるその塩[ただし、
Ar2が、フェニルであるとき、このフェニル環は、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジルオキシ、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、ピラゾール−1−イル及びトリフルオロメトキシよりなる群から選択される、少なくとも1個の置換基により置換されており、そして
Ar2が、フェニルであるとき、Ar2環の結合点に対してオルト位に2個の低級アルキル置換基は存在しない]。
【請求項2】
Ar2が、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、フラン−2−イル、イソキノリン−5−イル、イソオキサゾール−4−イル、1−ナフチル、ピラゾール−1−イル、ピラゾール−4−イル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、及びチオフェン−3−イルよりなる群から選択される、置換又は非置換の環であり、そして置換されている場合に置換基が、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、低級アルコキシ及びトリフルオロ−メトキシよりなる群から選択される、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Ar2が、ピリジン−3−イルである、請求項1又は2記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Ar2が、ハロゲンにより置換されているピリジン−3−イルである、請求項1〜3のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Ar2が、1−ナフチルである、請求項1又は2記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
Ar2が、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルである、請求項1又は2記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
Ar2が、チオフェン−3−イルである、請求項1又は2記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
Ar2が、アセトアミド、アミノカルボニル、ベンジルオキシ、ヒドロキシル−低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、フェノキシ、フェニル、ピラゾール−1−イル及びトリフルオロメトキシよりなる群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されている、フェニルである、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
Ar2が、アセトアミド、アミノカルボニル又はヒドロキシメチルによりメタ位で置換されている、フェニルである、請求項1又は請求項8記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
Ar2が、トリフルオロメトキシによりオルト位で置換されているフェニルである、請求項1又は請求項8記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
Ar2が、メトキシメチル、ベンジルオキシ又はフェノキシによりオルト位で置換されているフェニルである、請求項1又は請求項8記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
Arが、フェニル、チアゾリル及びピリジルよりなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
pが、0である、請求項1〜12のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
4が、水素である、請求項1〜13のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
sが、0である、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項16】
式(IA):
【化2】


[式中、Ar2、R2及びmは、請求項1と同義である]を有する、請求項1記載の式(I)の化合物、及び薬剤学的に許容しうるその塩。
【請求項17】
式(IB):
【化3】


[式中、Ar2、R2及びmは、請求項1と同義である]を有する、請求項1記載の式(I)の化合物、及び薬剤学的に許容しうるその塩。
【請求項18】
式(IC):
【化4】


[式中、Ar2、R2及びmは、請求項1と同義である]を有する、請求項1記載の式(I)の化合物、及び薬剤学的に許容しうるその塩。
【請求項19】
式(ID):
【化5】


[式中、Ar2、R2及びmは、請求項1と同義である]を有する、請求項1記載の式(I)の化合物、及び薬剤学的に許容しうるその塩。
【請求項20】
3−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(3′−カルバモイル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−[4−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−[4−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−安息香酸;
3−(4−フラン−2−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4−イソキノリン−5−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(3′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4−ナフタレン−1−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(2′−フェノキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(3′−ピラゾール−1−イル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4−ピリジン−3−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(4−チオフェン−3−イル−フェノキシメチル)−安息香酸;
3−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2′−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−[4−(1−ベンジル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸;
2−([1,1′;3′,1″]テルフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(3′−カルバモイル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸;
2−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4−イソキノリン−5−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(3′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4−ナフタレン−1−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2′−フェノキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4−チオフェン−3−イル−フェノキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
6−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
6−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
6−(4−チオフェン−2−イル−フェノキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
[3−(3′−アセチルアミノ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸;
[3−(3′−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸;
[3−(2′−メトキシメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸;
{3−[4−(2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−酢酸;
[3−(2′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−酢酸;
よりなる群から選択される、請求項1記載の式(I)の化合物、及び薬剤学的に許容しうるその塩。
【請求項21】
請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
a)式(II):
【化6】


[式中、Ar2、R1、R2、m及びnは、請求項1と同義である]で示される化合物を、塩基の存在下で、式(III):
【化7】


[式中、Ar、R3、p及びsは、請求項1と同義であり、LGは、クロロ、ブロモ又はヨードのような脱離基を表し、そしてR1は、保護基を表す]で示される化合物と反応させること、続いて保護基を開裂することにより、式(I):
【化8】


[式中、R4は、ヒドロキシを意味し、そしてAr、Ar2、R2、R3、m、n、p及びsは、請求項1と同義である]で示される化合物を得ること、そして場合により、この化合物をアミノ酸のエステルと、EDC及びDMAPの存在下で反応させること、続いてエステル基を開裂することにより、R4が、アミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸である、式(I)の化合物を得ること、あるいは
b)式(IV):
【化9】


[式中、Ar2は、請求項1と同義であり、そしてYは、B(OH)2を表す]で示される化合物を、触媒量のパラジウム(0)錯体の存在下で、式(V):
【化10】


[式中、Ar、R2、R3、m、p及びsは、請求項1と同義であり、Xは、ブロモ、ヨード又はトリフラートのような脱離基を表し、そしてR1は、保護基を表す]で示される化合物と反応させること、続いて保護基を開裂することにより、式(I):
【化11】


[式中、R4は、ヒドロキシを意味し、そしてAr、Ar2、R2、R3、m、n、p及びsは、請求項1と同義である]で示される化合物を得ること、そして場合により、この化合物をアミノ酸のエステルと、EDC及びDMAPの存在下で反応させること、続いてエステル基を開裂することにより、R4が、アミノ酸の窒素原子により結合しているアミノ酸である、式(I)の化合物を得ることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法により製造される、請求項1〜20のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれか1項記載の式(I)の化合物を、薬剤学的に許容しうる担体及び/又は補助剤と一緒に含む、薬剤組成物。
【請求項24】
2型糖尿病又は耐糖能異常の処置用の、請求項23記載の薬剤組成物。
【請求項25】
グリコーゲン合成酵素の活性化が介在する疾患の処置方法であって、これを必要とする患者に治療有効量の請求項1〜20のいずれか1項記載の式(I)の化合物を投与することを特徴とする方法。
【請求項26】
治療活性物質として使用するための、請求項1〜20のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項27】
グリコーゲン合成酵素の活性化が介在する疾患の治療及び/又は予防用の医薬の製造のための、請求項1〜20のいずれか1項記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項28】
2型糖尿病又は耐糖能異常の処置用医薬の製造のための、請求項27記載の使用。
【請求項29】
本明細書に実質的に前述されている、新規な化合物、製造法及び方法並びにこのような化合物の使用。

【公表番号】特表2008−521846(P2008−521846A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543737(P2007−543737)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012555
【国際公開番号】WO2006/058648
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】