説明

フェニレンジアミンウロテンシン−II受容体拮抗薬およびCCR−9拮抗薬

本発明は、ウロテンシン−II受容体拮抗薬、CCR−9拮抗薬、これらを含有する医薬組成物およびこれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウロテンシンII受容体拮抗薬、これらを含有する医薬組成物およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
心血管恒常性の統合制御は、直接的ニューロン制御と全身性神経ホルモン活性化、両方の組合せにより達成される。結果として生ずる収縮因子と弛緩因子、両方の放出は、通常、厳重な調節のもとでのことであるが、この現状での異常は、病的結果を伴う心臓血行動態機能障害をもたらすことがある。
【0003】
この神経液の軸を構成する主要な哺乳動物の血管作用因子は、アンギオテンシン−II、エンドセリン−1およびノルエピネフリンであり、これらのすべてが、特異的G蛋白共役受容体(GPCR)との相互作用により機能する。ウロテンシン−IIは、この神経液の軸の重要な構成員の代表である。
【0004】
魚類において、このペプチドは、多種多様な終末器官系および組織における有意な血行動態および内分泌作用を有する:
・ 脈管性のものと、胃腸管および泌尿生殖器管からの平滑筋標本を含む非脈管系のもの(平滑筋収縮)、両方。外因性ペプチドの全身投与に基づく昇圧活性と降圧活性の両方が説明されている。
・ 経上皮イオン(Na、Cl)輸送の調節を含む浸透圧調節作用。
【0005】
利尿効果が説明されているが、そうした効果は、直接的腎血管作用(GFR上昇)の二次的なものであると仮定されている。魚類では、ウロテンシン−IIは、プロラクチンの分泌に影響を与え、脂肪分解効果を示す(トリアシルグリセロールリパーゼの活性化により、非エステル化遊離脂肪酸の動態化が生ずる)(Personら,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)1980,77,5021; Conlonら,J.Exp.Zool.1996,275,226)。ヒトウロテンシン−IIは、極めて強力で効能がある血管収縮薬であることが判明し、ウォッシュアウトに極めて耐性である持続性収縮活性を示し、および心機能に対して有害な効果を有した(心筋収縮性)。ヒトウロテンシン−IIは、ラットから単離された大動脈において、収縮活性について評価され、非常に強力な収縮作用薬であると証明された。ヒトウロテンシン−IIのインビトロ薬理学的プロフィールおよびインビボ血行動態プロフィールに基づき、これは、過剰または異常血管収縮および心筋機能障害を特徴とする心血管疾患において一定の病理学的役割を果たす(Amesら,Nature 1990,401,282)。
【0006】
ウロテンシン−II受容体に拮抗する化合物は、うっ血性心不全、卒中、虚血性心疾患(アンギナ、心筋虚血)、心不整脈、高血圧(本態性および肺)、COPD、線維症(例えば、肺線維症)、再狭窄、アテローム性硬化症、異脂肪血症、喘息、神経性炎症および代謝性血管症の治療に有用であり得、これらのすべてが、異常血管収縮および/または心筋機能障害を特徴とする。ウロテンシン拮抗薬は、血圧を低下させることに加え、過敏症群では終末器官の保護をもたらすことができる。
【0007】
ウロテンシン−IIおよびGPR 14は、両方とも、哺乳動物CNS内で発現される(Amesら,Nature 1999,401,282)ので、嗜癖、統合失調症、認知障害/アルツハイマー病、衝動性、不安、ストレス、うつ病、疼痛、偏頭痛、神経筋機能、パーキンソン病、運動障害、睡眠覚醒周期、および誘因動機付けの治療にも有用であり得る。
【0008】
機能的ウロテンシン−II受容体は、横紋筋肉腫細胞系統において発現され、このため腫瘍学的効能を有することがある。ウロテンシンは、糖尿病などの様々な代謝性疾患に、ならびに様々な胃腸疾患、骨、軟骨および関節の疾患(例えば、関節炎および骨粗しょう症)ならびに泌尿生殖器疾患に関与することもある。従って、これらの化合物は、胃の逆流、胃運動および潰瘍、関節炎、骨粗しょう症ならびに尿失禁の予防(治療)に有用であり得る。
【0009】
CCR−9、7回膜貫通型G蛋白共役ケモカイン受容体が、最近、CCL25/胸腺発現型ケモカイン(TECK)の生理学的受容体として特定された。CCR−9は、胸腺細胞ならびに小腸および結腸からのTリンパ球において主に発現される。CCL25/TECKは、胸腺および小腸において主に発現される。研究により、CCR−9は、CCL25/TECKに応答して走化性を媒介し、胸腺内で発生するT細胞の輸送の調節に重要な役割を果たす、ならびに粘膜Tリンパ球の発生、恒常性および/または機能にきわめて重要である可能性が高いことが示された。
【0010】
CCR−9+リンパ球は、小腸クローンまたはセリアック病の患者の末梢血リンパ球では著しく上昇していることが示された。TECKの発現は、炎症を起こした小腸では変えられ、リンパ球浸潤巣近傍の腺窩上皮細胞において斑状分布で激しく発現される。TECKの中和は、IEL(上皮内リンパ球)区画へのCD8+ T細胞の回帰を抑制する。これは、CCL25およびCCR−9が、消化管関連リンパ系組織(GALT)における活性化後の小腸上皮へのエフェクターリンパ球の補充の際に機能することの直接的証拠となる。
【0011】
CCL25/TECKおよび/またはCCR−9をターゲットにすることは、活性化CCR−9(+)CD8アルファベータ(+)リンパ球が、小腸粘膜に選択的に局在した事実、およびインビボにおいてCCL25/TECK中和が、小腸上皮に場所を占めるこれらの細胞の能力を低下させた事実が示唆するように、小腸免疫反応を選択的に調節する一つの方法を提供し得る。これらの結果は、小腸粘膜へのTリンパ球の局在におけるケモカインの重要な役割を証明している。(Svenssonら,J.Clin.Invest.,2002,110:1113−21)。
【0012】
末梢血および区域抗原負荷後の気管支肺胞洗浄液からのヒト好酸球におけるCCR−9受容体の発現が、最近報告された(Liuら,J Allergy Clin Immunol.2003 Sep;112(3):556−62)。CCR−9は、T−ALL CD4+ T細胞において選択的に発現し、T−CLL CDR+ T細胞において中等度に発現することも判明した。CCL25/TECKは、T−ALL CD4+ T細胞の走化性および接着を選択的に誘導した(Qiupingら,Cancer Res.2003 Oct 1;63(19):6469−77。Annelsら,Blood.2003 Dec 4[プリント版に掲載される前に電子ジャーナル上でいち早く公開されたもの])。最近の研究により、HIV−1感染に罹患している個体の末梢血ガンマデルタT細胞におけるCCR−9の発現増加も立証されている(Polesら,J Virol.2003 Oct;77(19):10456−67)。
【発明の開示】
【0013】
一つの側面において、本発明は、化合物およびこれらを含有する医薬組成物を提供する。
【0014】
第二の側面において、本発明は、ウロテンシン−IIの拮抗薬としての、およびウロテンシン−IIの阻害剤としてのこれらの化合物の使用を提供する。
【0015】
もう一つの側面において、本発明は、ウロテンシン−II不均衡に随伴する状態を治療するためのこれらの化合物の使用を提供する。
【0016】
さらにもう一つの側面において、本発明は、うっ血性心不全;卒中;虚血性心疾患(アンギナ、心筋虚血);心不整脈;高血圧(本態性および肺高血圧);末梢血管疾患(男性勃起機能障害、糖尿病性網膜症、間欠性跛行/虚血性四肢疾患)および虚血性/出血性発作を伴う腎疾患(急性および慢性腎不全/末期腎疾患);COPD;再狭窄;喘息;神経性炎症;偏頭痛;代謝性血管症;骨/軟骨/関節疾患;関節炎および他の炎症性疾患;線維症(例えば、肺線維症);敗血症 アテローム性硬化症;異脂肪血症;嗜癖;統合失調症;認知障害/アルツハイマー病;衝動性;不安;ストレス;うつ病;パーキンソン病;運動障害;睡眠覚醒周期;誘因動機付け;疼痛;神経筋機能;糖尿病;胃の逆流;胃運動障害;潰瘍;ならびに泌尿生殖器疾患を治療するためのこれらの化合物の使用を提供する。
【0017】
本ウロテンシン拮抗薬は、単独で、または一もしくはそれ以上の他の治療薬と併用で投与することができ、この場合、前記治療薬は、エンドセリン受容体拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、A−II受容体拮抗薬、バソペプチダーゼ阻害剤、利尿薬、ジゴキシン、ならびに非選択的β−アドレナリン受容体・α−アドレナリン受容体二重拮抗薬から成る群より選択される。
【0018】
もう一つの側面において、本発明は、CCR−9拮抗薬である化合物、CCR−9拮抗薬としてのこれらの化合物の使用、ならびにクローン病、セリアック病および他の形態の腸炎などのCCR−9に関連した状態の治療を提供する。
【0019】
本発明の他の側面および利点は、以下の本発明の好ましい実施態様の詳細な説明において、さらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I):
【0021】
【化3】

(式中、
、RおよびRは、水素、ハロゲン、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、CN、CFアレーンスルホニル、C1〜6アルカンスルホニル、C1〜6アルカンカルボニル、CONRおよびCOから成る群より、独立して選択され;
Xは、N、CHまたはOであり;
Yは、SO、CO、CHSO、CHCO、NHCO、OCOおよびNHSOから成る群より選択され;
は、C1〜6アルキル、アリール、アラルキルおよびヘテロアリールから成る群より選択され;
は、Rと同じまたはZ−NRであるか、RおよびRは、Nを伴って5または6員環を形成することができ;
Zは、(CHであり、この場合のnは、0から6であり;
は、アリール、ヘテロアリールおよびZNRから成る群より選択され;
およびRは、水素、低級アルキル、アリールおよびアラルキルから成る群より、独立して選択されるか、Nと一緒になってピロリジン、ピペリヂン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成し;ならびに
は、水素、C1〜6アルキル、アリール、アラルキルから成る群より選択される)
の化合物およびそれらの医薬適合性の塩を提供する。
【0022】
好ましくは、R、RおよびRは、各々メチルであるか、RおよびRが、メチルであり、Rが水素であり;Xが、Nであり、Yが、SOであり、Rが、3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンである。
【0023】
もう一つの実施態様において、本発明のCCR−9拮抗薬化合物およびそれらの医薬適合性の塩は、一般式:
【0024】
【化4】

(式中、
Eは、NR11、O、S、CR11=CR12またはCR11=Nであり、この場合のR11およびR12は、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシまたはCONR11であり;
Dは、NR10、OまたはSであり、この場合のR10は、H、低級アルキルまたはアリールであるか、R10は、R16またはR13と一緒になって環を形成することもあり;
Zは、NR13またはCR13であり、この場合の各R13は、独立して、H、低級アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Aは、NR17C=OまたはSOであり、この場合のR17は、H、アルキルまたはアリールであり、およびR14と一緒になって環を形成することがあり;
Aが、NR17であるときには、Bは、SO、COまたはCR18であり、この場合の各R18は、独立して、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Aが、C=OまたはSOであるときには、Bは、NR19であり、この場合のR19は、H、アルキルまたはアリールであり、およびR12と一緒になって環を形成することがあり;
13およびR14は、独立して、H,アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;ならびに
15およびR16は、独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシまたはNR21であり、この場合、R21は、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を有する。
【0025】
現在好ましい化合物は、次のものである:
N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−チオフェン−2−カルボキサミド
3−メチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
2−クロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド
1−(2−メトキシフェニル)−3−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−尿素
4−クロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3−フェニルアミノスルホニル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−チオフェン−2−カルボキサミド
3−ベンゼンスルホニルアミノ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−チオフェン−2−カルボキサミド
1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−3−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−尿素
N−(4−メチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド
N−(2−メチル−5−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド
N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド
2−ブロモ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
2−ブロモ−5−メトキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
2−ブロモ−5−メチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
2,5−ジクロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニルアミノスルホニル)−チオフェン−2−カルボン酸
4−クロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−モルホリン−4−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
4−メトキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド
4−メチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド
4’−メトキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド
2,3−ジメトキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
3−クロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
2−トリフルオロメチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
2−ヒドロキシ−4−メチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
4−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3’−メチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−(4−フェニル−ピペリジン−1−イル)−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−(ピペリジン−1−イル)−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2−メチル−5−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2−メチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−モルホリン−4−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−(4−メチルピペリジン−1−イル)−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
2−アミノ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−(4−メチルピペリジン−1−イル)−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
2,3−ジメチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
3,5−ジクロロ−N−(3−ジエチルアミノ−2,4,6−トリメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−メタンスルホニルアミノ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イルアミノ)−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(4−メチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(3,4−ジメチル−2−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(4,5−ジメチル−2−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(3,5−ジメチル−2−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
N−(3−ベンジルアミノ−2,4,6−トリメチル−フェニル)−3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド
N−(2,4−ジクロロ−6−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニルアミノスルホニル)フェニル)−アセトアミド
3,5−ジクロロ−N−(2−シアノ−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド
2−メトキシ−3,5−ジメチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
N−ベンジル−N−(3−ベンジルアミノ−2,4,6−トリメチル−フェニル)−3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド
3,5−ジクロロ−N−(3−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−2,4,6−トリメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド
2−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
(2−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホニルアミノ)−6−ピペリジン−1−イル−ベンジル)−カルバミン酸t−ブチル
3,5−ジクロロ−N−(2−(ジメチルアミノ)−エチル)−2−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
N−(2−アミノメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド
1−(2−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−エチル)−3−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−尿素
1−(2,4,6−トリメチル−3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル)−3−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−尿素。
【0026】
ここで用いる、単独または複合語の中での用語「アルキル」は、この用語アルキルの前にC〜C指定がある場合を除き、飽和炭化水素から水素原子1個を除去することによって誘導されるC〜C線状または分枝状の、置換されたまたは置換されていない飽和鎖ラジカルを指す。アルキル基の代表例には、数ある中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソ−ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0027】
ここで用いる、単独または複合語の中での用語「アリール」、「アレーン」または「芳香族」は、炭素原子数約6から12の置換されたもしくは未置換の炭素環式芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニルおよびアントラセニル;または少なくとも1個の環内N、OもしくはS原子を含有する芳香族環である複素環式芳香族基、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフトリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルおよびピラゾロ[1,5−c]トリアジニルなどを指す。「アラルキル」および「アルキルアリール」は、上で定義した用語「アルキル」を利用する。環は、多重置換されていることがある。
【0028】
ここで用いる、単独または複合語の中での用語「アラルキル」は、アリール置換アルキル基を指し、この場合の用語「アルキル」および「アリール」は、上で定義したとおりである。適するアラルキル基の例には、フェニルメチル、フェネチル、フェニルヘキシル、ジフェニルメチル、ピリジルメチル、テトラゾリルメチル、フリルメチル、イミダゾリルメチル、インドリルメチルおよびチエニルプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
ここで用いる、単独または複合語の中での用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の環内N、OまたはS原子を含有する非芳香族性の3から10員環を指す。この複素環は、場合によりアリール融合していることがある。この複素環は、数ある中でも、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキシアルキル、オキソ、アリールスルホニルおよびアラルキルアミノカルボニルから成る群より、独立して選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されていることもある。
【0030】
ここで用いる用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、またはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをそれぞれ指す。
【0031】
ここで用いる用語「光学異性体」は、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ体を含む、少なくとも1個の原子の立体化学においてだけが異なる化合物を指す。
【0032】
上の用語の使用は、置換および非置換部分を包含することを意図する。置換は、アルコール、エーテル、エステル、アミド、スルホン、スルフィド、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミン、ヘテロ原子、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、アシルオキシ、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、複素環、アルキルヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、オキソ、アリールスルホニルおよびアラルキルアミノカルボニル、または前の段落のいずれかの置換基、または直接結合しているか、適するリンカーにより結合しているいずれかの置換基などの基1個またはそれ以上によるものであってもよい。典型的に、前記リンカーは、−C−、−C(O)−、−N−H−、−S−、−S(O)−、−O−、C(O)O−または−S(O)O−のあらゆる組合せを含む原子数1から3の短い鎖である。環は、複数回置換されていることがある。
【0033】
用語「電子求引性」または「電子供与性」は、水素が分子の同じ位置を占有している場合、水素を基準として、ある置換基が電子を求引または供与する能力を指す。これらの用語は、当業者には充分理解されており、J.MarchによりAdvanced Organic Chemistry,1985の16から18頁において論じられている。前記論文は、本明細書に参考として援用されている。電子求引基には、数ある中でも、ハロ、ニトロ、カルボキシ、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボキシアルデヒド、カルボキシアミド、アリール、第四級アンモニウム、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアリール低級アルカノイルが挙げられる。電子供与基には、数ある中でも、ヒドロキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アリールオキシ、メルカプト、低級アルキルチオ、低級アルキルメルカプトおよびジスルフィドなどの基が挙げられる。当業者には、前記置換基が、異なる化学条件下で電子供与特性を有することもあるし、電子求引特性を有することもあることは、理解されるだろう。さらに、本発明は、上で特定した基から選択される置換基のあらゆる組合せについて考慮している。
【0034】
最も好ましい電子供与性または電子求引性置換基は、ハロ、ニトロ、アルカノイル、カルボキシアルデヒド、アリールアルカノイル、アリールオキシ、カルボキシ、カルボキサミド、シアノ、スルファニル、スルホキシド、ヘテロシクリル、グアニジン、第四級アンモニウム、低級アルケニル、低級アルキニル、スルホニウム塩、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アミノ低級アルキルメルカプト、メルカプトアルキル、アルキルチオ、カルボキシ低級アルキル、アリールアルコキシ、アルカノイルアミノ、アルカノイル(低級アルキル)アミノ、低級アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニル(低級アルキル)アミノ、アリールスルホニル(低級アルキル)アミノ、低級アルキルカルボキサミド、ジ(低級アルキル)カルボキサミド、スルホンアミド、低級アルキルスルホンアミド、ジ(低級アルキル)スルホンアミド、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニルおよびアルキルジチオである。
【0035】
ここで用いる用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量での特定の成分の組合せから直接または間接的に生じるあらゆる生成物を包含する。
【0036】
ここで用いる用語「哺乳動物」は、人間および他の動物を包含する。
【0037】
本発明の化合物は、以下の図式に従って合成することができる。
【0038】
【化5】

【0039】
【化6】

【0040】
【化7】

【0041】
【化8】

【0042】
本発明の化合物は、無機または有機酸から誘導される医薬適合性の塩の形態で使用することができる。用語「医薬適合性の塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わず人間および下等動物の組織と接触させて使用することに適する、妥当な損益比に見合っている塩を意味する。医薬適合性の塩は、当該技術分野では公知である。例えば、S.M.Bergeらが、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66:1以降に医薬適合性の塩を詳細に記載している。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製中にインサイチュで、または別途、遊離塩基官能基と適する有機酸を反応させることにより、調製することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチアン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。また、前記塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化されたメチル、エチル、プロピルおよびブチルのようなハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミルのような硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化されたデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよび臭化フェネチルのようなハロゲン化アリールアルキルなどのような物質で四級化することができる。これによって水溶性もしくは油溶性または水もしくは油分散性生成物が得られる。医薬適合性の酸付加塩を形成するために利用することができる酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸が挙げられる。
【0043】
塩基付加塩は、カルボン酸含有部分を、適する塩基、例えば医薬適合性金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩と、またアンモニアまたは有機第一、第二もしくは第三アミンと反応させることにより、本発明の化合物の最終的な単離および精製中にインサイチュで調製することができる。医薬適合性の塩には、数ある中でも、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属に基づくカチオン;ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウムおよびエチルアンモニウムを含む非毒性第四級アンモニアおよびアミンカチオンが挙げられるが、これらに限定されない。塩基付加塩の生成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0044】
本発明の化合物を局所投与するための剤形には、粉末、スプレー剤、軟膏および吸入剤が挙げられる。活性化合物を、無菌条件下で、医薬適合性担体および要求され得るあらゆる必要保存薬、バッファまたは噴射剤と混合する。眼科用調合物、眼用の軟膏、粉末および溶液も本発明の範囲内であると考えられる。
【0045】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、個々の患者、組成物および投与方式にとっての望ましい治療応答を達成するために有効である活性化合物の量を得るように変化させることができる。選択される投薬レベルは、個々の化合物の活性、投与経路、治療する状態の重症度、および治療する患者の状態および以前の医療歴に依存するであろう。しかし、化合物の用量を、望ましい治療効果を達成するために必要なものより低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで徐々にこの投薬量を増やしていることは、当業者の技術の範囲内である。
【0046】
上記または他の治療において使用されるときの本発明の化合物の治療有効量は、純粋な形態で、またはそうした形態が存在する場合には医薬適合性の塩、エステルもしくはプロドラッグ形態で利用することができる。また、本化合物は、一またはそれ以上の医薬適合性賦形剤と併せて対象化合物を含有する医薬組成物として投与することもできる。本発明の化合物の「治療有効量」という言い回しは、あらゆる薬物治療に適用可能な妥当な損益比で疾患を治療するために充分な本化合物の量を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の一日の合計使用量は、掛かりつけの医師が健全な医学的判断の範囲内で決定するであろうと理解されよう。個々のいずれの患者にとってもこの具体的な治療有効用量レベルは、治療する疾患およびこの疾患の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与回数、投与経路および排泄率;治療期間;利用される具体的な化合物と併用または同時使用される薬物;ならびに医療技術分野では公知のこれらに類する因子を含む様々な因子に依存するであろう。例えば、化合物の用量を、望ましい治療効果を達成するために必要なものより低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで徐々にこの投薬量を増やしていることは、充分に当業者の技術の範囲内である。
【0047】
本発明は、一またはそれ以上の非毒性医薬適合性担体と一緒に調合された本発明の化合物を含む医薬組成物も提供する。この医薬組成物は、経口投与のために固体もしくは液体形態で、非経口的注射のために、または直腸内適用のために特別に調合することができる。
【0048】
本発明の医薬組成物は、人間および他の哺乳動物に、経口的に、直腸内的に、非経口的に、大槽内に、経膣的に、腹膜内的に、局所的に(粉末、軟膏または滴剤によるなど)、口腔内的に、または経口または経鼻スプレーとして投与することができる。ここで用いる用語「非経口的」は、静脈内、筋肉内、腹腔内、幹内、皮下および関節内注射および注入を含む投与方式を指す。
【0049】
もう一つの側面において、本発明は、本発明の成分および生理学的に耐性の希釈剤を含む医薬組成物を提供する。本発明は、一またはそれ以上の非毒性で生理学的に耐性または許容できる希釈剤、担体、アジュバントまたはビヒクル(ここではこれらを総称して希釈剤と呼ぶ)と共に調合して、数ある中でも、非経口的注射のため、鼻腔内送達のため、固体または液体形態での経口投与のため、または直腸内もしくは局所適用のための組成物にされる、上に記載したような化合物を一またはそれ以上含む。
【0050】
本組成物は、ターゲット部位において局所送達するためのカテーテルによって、歯冠内ステント(細い金網から成る管状装置)より、または生体分解性ポリマーにより送達することもできる。本化合物は、ターゲットを定めた送達のために抗体などのリガンドに複合させることもできる。
【0051】
非経口的注射に適する組成物は、生理学的に許容できる無菌水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液または乳液、および無菌注射用溶液または懸濁液に再構成するための無菌粉末を含むことができる。適する水性および非水系担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物油(オリーブ油など)、注射用有機エーテル、例えばオレイン酸エチル、およびこれらの適切な混合物が挙げられる。
【0052】
これらの組成物は、保存薬、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含有することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含むことも望ましい。注射用製剤形の持続吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によりもたらすことができる。
【0053】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカントゴム、またはこれらの物質の混合物などのような懸濁化剤を含有することができる。
【0054】
場合によっては、薬物の作用を延期するために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅速させることが望ましい。これは、水溶性が劣る結晶質または非晶質材料の懸濁液の使用により達成することができる。薬物の吸収速度は、この溶解速度に依存し、およびまたこれは、結晶のサイズおよび結晶の形態に依存し得る。また、非経口投与薬形の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解または分散させることにより達成される。
【0055】
注射用デポー剤形は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生体分解性ポリマー中の薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって製造される。薬物のポリマーに対する比率および利用する個々のポリマーの性質次第で、薬物の放出速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用調合物は、体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を捕捉することによっても調製される。
【0056】
注射用調合物は、例えば、細菌保留フィルタによる濾過によって、または使用直前に滅菌水または他の無菌注射用媒体に溶解するか分散させることができる無菌固体組成物の形態で滅菌剤を配合することにより、滅菌することができる。
【0057】
経口投与用の固体剤形には、カプセル、錠剤、ピル、粉末および顆粒が挙げられる。そうした固体剤形では、活性化合物を、少なくとも一つの不活性医薬適合性賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/またはa)充填剤もしくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸;b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴム;c)保湿剤、例えばグリセロール;d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯もしくはタピオカデンプン、アルギン酸、一定のケイ酸塩および炭酸ナトリウム;e)溶液遅延剤、例えばパラフィン;f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物;g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト;およびi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物と混合してもよい。カプセル、錠剤およびピルの場合、この剤形は、緩衝剤も含むことがある。
【0058】
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟質および硬質ゼラチンカプセル内の充填剤として利用することもできる。
【0059】
錠剤、糖衣丸、カプセル、ピルおよび顆粒の固体剤形は、コーティングおよび外皮、例えば腸溶コーティングおよび医薬調合技術分野では公知の他のコーティングを用いて調製することができる。これらは、場合により乳白剤を含有してもよく、または活性成分(複数を含む)のみを、または優先的に、腸管の一定の部位に、場合により遅延方式で放出するような組成物のものであってもよい。使用することができる包埋組成物の例には、高分子物質および蝋が挙げられる。
【0060】
本活性化合物は、一またはそれ以上の上述の賦形剤を用いて、適する場合にはマイクロカプセル化形態であることもできる。
【0061】
経口投与のための液体剤形には、医薬適合性の乳剤、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。本活性化合物に加えて、前記液体剤形は、例えば水または他の溶媒などの当該技術分野において通常使用される不活性希釈剤や、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物などの可溶化剤および乳化剤を含有することができる。
【0062】
不活性希釈剤に加えて、本経口組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、着香剤ならびに香料などのアジュバントも含むことができる。
【0063】
好ましくは、直腸内または経膣適用のための組成物は、本発明の化合物を、室温で固体であるが、体温では液体であり、このため直腸内または膣腔内で溶融して活性化化合物を放出する適する無刺激賦形剤または担体、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコールまたは座薬用ワックスと混合することによって調製することができる座薬である。
【0064】
本発明の化合物は、リポソームの形態で投与することもできる。当該技術分野において公知であるように、リポソームは、リン脂質または他の脂質物質から一般に誘導される。リポソームは、水性媒体に分散されている単層または多層のラメラ水和液晶によって形成されている。リポソームを形成することができるあらゆる非毒性で生理学的に許容できる代謝可能な脂質を使用することができる。リポソーム形態での本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存薬、賦形剤などを含有することができる。好ましい脂質は、別々にまたは一緒に使用される、天然および合成リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。
【0065】
リポソームを形成する方法は、当該技術分野では公知である。例えば、Prescott,Ed., Methods in Cell Biology.Volume XIV,Academic Press,New York,N.Y.(1976),p.33以降参照。
【0066】
ここで用いる用語「医薬適合性のプロドラッグ」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴うことなく人間および下等動物の組織と接触させて使用することに適し、妥当な損益比に見合っており、所期の用途のために有効である本発明の化合物のプロドラッグ、ならびに可能な場合には本発明の化合物の両性イオン形態を表す。本発明のプロドラッグは、例えば血液中での加水分解により、上の式の親化合物にインビボで素早く変換され得る。詳細な考察は、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,V.14 of the A.C.S.Symposium Series、およびEdward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press(1987)に提供され、これにより参考として援用されている。
【0067】
哺乳動物に投与することができる別の化合物のインビボでの転化によって形成される本発明の化合物は、本発明の範囲に包含されると考える。
【0068】
本発明の化合物は、不斉またはキラル中心が存在する場合には立体異性体として存在し得る。これらの立体異性体は、キラル炭素原子の周りの置換基の立体配置に依存して「R」または「S」である。本発明は、様々な立体異性体およびこれらの混合物を考慮している。立体異性体は、エナンチオマーおよびジアステレオマーならびにエナンチオマーとジアステレオマーの混合物を包含する。本発明の化合物の個々の立体異性体は、不斉もしくはキラル中心を含有する市販の出発原料からの合成により、または当業者には周知であるラセミ混合物の調製および続く分割により、調製することができる。これらの分割方法の例は、(1)キラル助剤へのエナンチオマー混合物の結合、得られたジアステレオマー混合物の再結晶もしくはクロマトグラフィーによる分離、および前記助剤からの光学的に純粋な生成物の単体分離、または(2)キラルクロマトグラフカラムでの光学エナンチオマー混合物の直接分離である。
【0069】
本発明の化合物は、非溶媒和形および溶媒和形(半水和物などの水和形を含む)で存在することができる。一般に、数ある中でも水およびエタノールなどの医薬適合性の溶媒との溶媒和形は、本発明の目的には非溶媒和形と等価である。
【0070】
好ましくは、本組成物は、患者が自分たち自身に1回量を投与することができるように、単位剤形、例えば錠剤、カプセルまたは定量エーロゾルである。
【0071】
経口投与用の各投薬単位は、遊離酸として計算した式(I)の化合物またはこの医薬適合性の塩を、適切には0.0001mgから500mg/kg、好ましくは1mgから100mg/kg含有し、非経口投与用の各投薬単位は、適切には0.1mgから100mg含有する。鼻腔内用の各投薬単位は、一人あたり適切には1から400mg、好ましくは10から200mgを含有する。局所調合物は、式(I)の化合物を適切には0.01から1.0%含有する。
【0072】
経口投与のための一日の薬剤投与計画は、遊離酸として計算した式(I)の化合物またはこの医薬適合性の塩の適切には約0.01mg/kgから40mg/kgである。非経口投与のための一日の薬剤投与計画は、遊離酸として計算した式(I)の化合物またはこの医薬適合性の塩の適切には0.01mg/kgから40mg/kgである。鼻腔内適用および経口吸入のための一日の薬剤投与計画は、適切には約10から500mg/人である。活性成分は、望ましい活性を示すために充分な1日1から6回、投与することができる。
【0073】
これらの化合物は、うっ血性心不全;卒中;虚血性心疾患(アンギナ、心筋虚血);心不整脈;高血圧(本態性および肺);末梢血管疾患(男性勃起機能障害、糖尿病性網膜症、間欠性跛行/虚血性四肢疾患)および虚血性/出血性発作を伴う腎疾患(急性および慢性腎不全/末期腎疾患);COPD;再狭窄;喘息;神経性炎症;偏頭痛;代謝性血管症;骨/軟骨/関節疾患;関節炎および他の炎症性疾患;線維症(例えば、肺線維症);敗血症;アテローム性硬化症;異脂肪血症;嗜癖;統合失調症;認知障害/アルツハイマー病;衝動性;不安;ストレス;うつ病;疼痛;神経筋機能;糖尿病;胃の逆流;胃運動障害;潰瘍;ならびに泌尿生殖器疾患の治療に使用することができる。
【0074】
本ウロテンシン拮抗薬は、単独で、または一もしくはそれ以上の他の治療薬と併用で投与することができ、この場合、前記治療薬は、エンドセリン受容体拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、A−II受容体拮抗薬、バソペプチダーゼ阻害剤、利尿薬、ジゴキシン、ならびに非選択的β−アドレナリン受容体・α−アドレナリン受容体二重拮抗薬から成る群より選択される。
【0075】
式(I)の化合物のウロテンシン関連生物活性は、次の試験によって証明される。
【0076】
1)ウロテンシン−II受容体へのヒト[125I]−ウロテンシン−II結合の阻害
ホモジニアスシンチレーション近接アッセイ(SPA)において、組み換えUTRを安定して発現するTE−671横紋筋肉腫細胞またはCHO細胞のいずれかからの細胞膜を使用して、ヒトウロテンシン−II受容体(UTR)へのヒト[125I]−ウロテンシン−IIの結合を行う。
【0077】
UTR細胞膜を4℃で一晩、WGA−PVTビーズ(Amersham RPNQ0001)に、1アッセイあたり膜5から25μg対ビーズ0.5mgの比率で事前結合させた。アッセイは、合計量100μLの20mM HEPES、5mM MgCl、pH7.4の中で結合ビーズと0.1nM[125I]U−II(2200Ci/mmol、NEN NEX379)を混合することにより、96ウエル・マイクロタイター・Optiplate(Packard 6005290)において行った。試験化合物をDMSOで希釈し、1% DMSOの最終濃度で前記アッセイに付した。3時間37℃でインキュベーションを行い、続いて、TopCountシンチレーション・マイクロプレート・リーダーで読み取った。100nM 非標識ヒトU−II(Phoenix Pharmaceuticals,071−05)をこのアッセイ混合物に添加することにより、非特異的結合を決定した。アッセイの分析は、非線形最小二乗フィッティングを使用して行った。
【0078】
1)UTR細胞におけるヒトウロテンシン−II誘発Ca2+動員の阻害。
【0079】
ウロテンシン−IIの機能を、FlexStation走査蛍光測定器(Molecular Device)でリガンド誘発細胞内Ca2+動員を測定することにより判定した。UTR細胞を96ウエルの黒色/透明プレート(Costarブランド、Fisher 07−200−588)に細胞数50,000/ウエルで一晩プレーティングした。細胞を、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、20mM HEPES、25mM プロベネシド、pH7.4中、Fluo−4AM 色素(Molecular Probes、F−14201)で標識し、続いて、バッファで洗浄した。アッセイの間、細胞をFlexStationで継続的にモニターし、最終濃度0.1%DMSOで試験化合物に暴露し、次いで、1nM ヒトU−IIを添加した。2分間、2秒ごとに蛍光を読み取った。使用した励起および発光波長は、485nmおよび525nmであった。ウロテンシン−II誘導シグナル阻害は、非線形最小二乗フィッティングプログラムを使用して計算した。本発明の化合物の活性は、IC50>0.5mm(実施例30 IC50=10μM)である。
【0080】
本発明の化合物のCCR−9拮抗活性は、以下のアッセイによって証明される。
【0081】
CCR9 FLIPR/FlexStationアッセイプロトコル
FLIPR/FlexStationでのカルシウムアッセイにより、ヒトCCR−9受容体を安定して過発現するCCR9−Flp−CHO細胞におけるTECK誘発カルシウム動員の阻害剤を判定する。アッセイの前日、CCR9−Flp−CHO細胞を透明底、黒壁の96ウエルプレート(Greiner)に細胞数20,000/ウエルで接種する。5% COで37℃の組織培養インキュベータ内で、細胞を18から24時間増殖させる。
【0082】
洗浄バッファおよび色素負荷バッファは、アッセイを行うたびに新しく調製する。洗浄バッファは、次のプロトコル:20mL 10X HBSS、4mL 1M HEPES、176mL 滅菌水、に従って調製する。それから、142mgのプロベネシドを溶液に添加し、pHを7.4にする。この洗浄バッファは、1X HBSS、20mM HEPESおよび2.5mM プロベネシドを含有する。1つの96ウエルプレート用の染料負荷バッファは、次のとおり調製する。11mL 洗浄バッファ、44μL Fluo−4/プルオロン酸(pluoronic acid)混合物(22μLアリコート 2mM Fluo−4(Molecular Probes #F−14201、50μg/試験管)+22μL 20% プルロニックF−127(pluronic F−127)(Molecular Device、P−3000)。
【0083】
下記プロトコルに従って、細胞に色素を負荷させた。
【0084】
1.1X HBSS/HEPESを用い、室温で洗浄バッファを調製する
2.負荷バッファを調製する(暗い状態に保つ)
3.培地を吸引する
4.各ウエルに100μLの染料負荷バッファを添加する
5.1時間37℃でインキュベーションを行う
6.負荷バッファを吸引する
7.1ウエルあたり200μLで2回洗浄する
8.1ウエルあたり100μLの洗浄バッファを添加する
9.FLIPRまたはFlexStationでプレートをアッセイする準備をする
DMSO中、10mMの保存化合物を調製する。化合物を洗浄バッファで希釈して、同じ濃度のDMSO(0.3%未満)を含有する8点系列希釈液を作る。化合物を各点ごとに2つ組のウエルで試験する。リガンドrhTECKを、0.5% BSAを含有する洗浄バッファでこのEC50の5倍に希釈する。適切な量の5倍リガンドを各ウエルに添加する。GraphPad Prism ソフトウエアを使用してデータを分析し、各化合物の拮抗活性のIC50値を計算する。
【0085】
以下の実施例は、本発明を説明するものであり、限定するものではない。
【0086】
(実施例1)
N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−チオフェン−2−カルボキサミド。
【0087】
1)2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニルアミン(2)。無水DMF(300mL)中の2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン(15.0g、99.8mmol)の溶液に、炭酸カリウム(30.4g、219.7mmol)および1,4−ジブロモブタン(11.9mL、99.8mmol)を順次添加した。この反応混合物を一晩攪拌し、続いて、水と酢酸エチルとで分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、濃縮した。残留物を、ヘキサン:酢酸エチル(20:1)で溶離するクロマトグラフィーに付して、所望の生成物を得た(10.8g、53%)。
【0088】
2を使用して、図式2に示したとおり表題化合物を合成して、白色の固体を得た(ESI[M+H])=315.21)。
【0089】
実施例2から97を同様のやり方で合成した(表1)。
【0090】
【表1】








【0091】
(実施例97)
3,5−ジクロロ−N−(3−ジエチルアミノ−2,4,6−トリメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド。
【0092】
1)ジエチルアミノ−2,4,6−トリメチル−フェニルアミン(5)。化合物5は、文献手順(Wuら,J.Med.Chem.1999,42,4485−4499)を使用して、図式1に示したとおり合成した。
【0093】
2)5と塩化3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホニルを21について図式2に示したとおりカップリングすることにより表題化合物を合成して、黄色の固体を得た(ESI[M+H])=431.2)。
【0094】
(実施例98)
3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−N−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
1)1−(4−ニトロフェニル)−ピロリジン(7)。DMF(20mL)中の4−ニトロアニリン(1g、7.2mmol)の溶液に水素化ナトリウム(鉱物油中60%、0.579g、14.4mmol)を添加した。この混合物を窒素雰囲気下に置き、5分間攪拌した後、1,4−ジブロモブタン(0.86mL、7.2mmol)を添加した。得られた混合物をさらに15分間攪拌し、酢酸エチル(30mL、20mL)で抽出して、水およびブライン(各15mL)で洗浄した。これらの酢酸エチル抽出液を併せ、乾燥させて(MgSO)、固体を濾過し、濾液を濃縮して、粗製の7を黄色の固体として得た。
【0095】
2)4−(ピロリジン−1−イル)−フェニルアミン(8)。エタノール(20mL)中の7の溶液に、10重量%Pd/炭素(Degussa)(25mg、23μmol)を添加した。氷酢酸(2から3滴)をこの反応混合物に添加した。この反応混合物をH雰囲気下に置き、16時間攪拌した後、反応混合物をセライトのパッドに通して濾過した。濾液を蒸発させおよび残留物を酢酸エチル(20mL)に溶解し、2N HCl(水溶液、15mL)で洗浄した。水性相を単離し、続いて、2N NaOH(水溶液、20mL)の添加により塩基性化した。この水性層を酢酸エチル(20mLx2)で抽出した。これらの酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて、濾過し、蒸発させて、粗製の8を黄色の油として得た(642mg、段階2について55%)。
【0096】
3)8および塩化3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホニルを使用し、21についてのもの(図式2)と同じやり方で、表題化合物を黄色の固体として合成した(ESI M+H=387.18)。
【0097】
(実施例119)
4−クロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−(4−メチル−ピペリジン−1−イル)−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド。
【0098】
1)2,4,6−トリメチル−3−(4−メチル−ピペリジン−1−イル)−フェニルアミン(11)。無水DMF(20mL)中の1(1.5g、10mmol)の溶液に、塩酸メクロレタミン(1.93g、10mmol)および炭酸セシウム(10.4g、32mmol)を順次添加した。得られた混合物を窒素下で、6時間、120℃で加熱し、通常どおり処理した。EtOAc:メタノール(10:1)、続いて100%メタノールで溶離するカラムクロマトグラフィーによって、900mgの11を得た。
【0099】
2)11および塩化4−クロロシベンゼンスルホニルを使用し、図式2において示したプロトコルに従って、表題化合物を黄色の固体として合成した(ESI M+H=408.21)。実施例99から118および120から128の化合物は、実施例98および119の手順によって調製する。
【0100】
【表2】




【0101】
(実施例129)
4−t−ブチル−N−(3−(3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル−プロピルアミノ)−2,4,6−トリメチル−フェニル)ベンゼンスルホンアミド
1)N−(3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル−プロピル)−2,4,6−トリメチル−ベンゼン−1,3−ジアミン(15)。ナトリウムt−ブトキシド(288.33mg、3mmol)、Pd(dba)(104mg、0.1mmol)およびBINAP(125mg、0.2mmol)を封管内で混合し、この管をNでパージした。次に、3−ブロモ−2,4,6−トリメチル−アニリン(428.22mg、2mmol)および2,2−N,N−テトラメチル−プロパン−1,3−ジアミン(0.413mL、2.6mmol)およびトルエン(5mL)をこの管に順次添加した。この混合物を三回脱気して、Nで満たし、封止して、36時間、100℃で加熱した。この管を室温に冷却し、通常どおり処理した。この粗製生成物を、ヘキサン:EtOAc(比率3:1から1:2)で溶離するカラムクロマトグラフィー(フロリジル)によって精製して、329mgの15を得た。
【0102】
2)15および塩化t−ブチルベンゼンスルホニルを使用し、図式2に示したようにして、表題化合物を黄色の固体として合成した(ESI[M+H]=460.11)。
【0103】
実施例130から132の化合物は、実施例129の手順によって調製する。
【0104】
【表3】

【0105】
(実施例133および134)
N−(3−ベンジルアミノ−2,4,6−トリメチル−フェニル)−3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミドおよびN−ベンジル−N−(3−ベンジルアミノ−2,4,6−トリメチル−フェニル)−3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド。
【0106】
1)N−ベンジル−2,4,6−トリメチル−ベンゼン−1,3−ジアミン(16)およびN,N’−ジベンジル−2,4,6−トリメチル−ベンゼン−1,3−ジアミン(17)。無水DMF(40mL)中の2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン(2.0g、13.3mmol)の溶液に、炭酸カリウム(2.8g、20.0mmol)および臭化ベンジル(1.6mL、13.3mmol)を順次添加した。この反応混合物を一晩攪拌し、水と酢酸エチルとで分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、固体を濾過して取り出し、濾液を濃縮した。残留物を、ヘキサン:酢酸エチル(80:1から40:1から20:1)で溶離するクロマトグラフィーに付して、16と17の1:1混合物を得た。
【0107】
2)塩化3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホニルおよび16、17をそれぞれ使用し、図式2に示したようにして、表題化合物を白色の泡沫として合成した。ESI[M+H]=465.04(実施例133);M−H=553.075(実施例134)。
【0108】
(実施例135)
(2−クロロ−ベンジル)−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−アミン 18。DMF(4.9mL)中のアニリン 1(121mg、0.59mmol)の溶液にトリエチルアミン(0.14mL、1.00mmol)を添加した。次に、塩化2−クロロベンジル(0.08mL、0.63mmol)を添加し、この反応混合物を80℃で22時間加熱した。反応混合物を室温に冷却後、この混合物を酢酸エチル(20mLx2)で抽出し、水およびブライン(各10mL)で洗浄した。酢酸エチル抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて、濾過し、蒸発させて、粗製生成物を得た。シリカでのカラムクロマトグラフィー(15:1から7:1のヘキサン/酢酸エチル)によって、生成物(10/1のヘキサン/酢酸エチル中、R ≒ 0.6)を黄色の油として得た(14mg、7%)。ESI[M+H]=329.1。
【0109】
(実施例136)
ビフェニル−2−イルメチル−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−アミン(19)。表題化合物は、実施例135についてのものと同じやり方で、黄色の油として合成した。ESI[M+H]=371.19。
【0110】
(実施例137)
4−メトキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ビフェニル−2−カルボキサミド。トルエン(2.4mL)中の臭化アリール 22(実施例22)(106mg、0.25mmol)の溶液に重炭酸ナトリウム飽和水溶液(1.0mL)を添加した。この混合物を窒素雰囲気下に置き、次いで、EtOH(1.8mL)中のフェニルボロン酸(43mg、0.35mmol)の溶液を添加した。Pd(PhP)(19mg、0.02mmol)を添加し、次いで、この反応混合物を70時間、80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、この混合物を酢酸エチル(30mL、20mL)で抽出し、水およびブライン(各15mL)で洗浄した。これらの酢酸エチル抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて、濾過し、蒸発させて、粗製生成物を得た。シリカでのカラムクロマトグラフィー(5:1から4:1のヘキサン/酢酸エチル)によって、生成物(3/1のヘキサン/酢酸エチル中、R=0.4)を白色の固体として得た(46mg、44%)。ESI[M+H]=415.21。
【0111】
実施例138から148の化合物は、実施例137の手順によって調製する。
【0112】
【表4】


【0113】
(実施例149)
2−フェニル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−エタンスルホンアミド。EtOH(8mL)中の実施例68(0.20g、0.55mmol)の溶液にPd(炭素上10%、Degussa、0.20g)および10滴のAcOHを添加した。次に、この混合物をセプタムで封止し、1分間、真空下に置いた後、室温で一晩、H雰囲気に付した。TLCは、反応が完了していないことを示した。濾過して触媒を除去した後、濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中、10%から25%のEtOAc)によって所望の生成物を分離して、0.070gの表題化合物を黄色の固体として得た。ESI[M+H]=373.16。
【0114】
(実施例150)
2−メトキシ−3,5−ジメチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(32)。
【0115】
1)塩化2−メトキシ−3,5−ジメチル−ベンゼンスルホニル(29)。N下、0℃で無水1,2−ジクロロエタン(45mL)中の2,4−ジメチルアニソール(4.18g、30mmol)の溶液に、ClSOH(2.55mL、38mmol)を一滴ずつ、およびPCl(6.7g、31.5mmol)を少しずつ添加した。この混合物を一晩、室温で攪拌し、激しく攪拌しながら氷水に注入した。この水性混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層をブラインで二回洗浄して、NaSOで乾燥させた。固体を濾過して取り出し、濾液を回転蒸発器で濃縮して、29を得た(4.5g)。
【0116】
2)表題化合物は、29およびフェニレンジアミン 30を使用し、通常どおり(図式2)、白色の固体として合成した。ESI[M+H]=417.22。
【0117】
(実施例151)
(TBC6274)。3,5−ジクロロ−2−メトキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(31)。表題化合物は、実施例150と同じ手法で、淡黄色の泡沫として合成した。
【0118】
(実施例152)
N−(2−ジメチルアミノ)−エチル)−2−メトキシ−3,5−ジメチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(34)。無水DMF(5mL)中の32(103mg、0.25mmol)の溶液に、NaH(鉱物油中の60%分散物、22mg、0.54mmol)を添加した。この混合物を10分間、室温で攪拌し、続いて、2−(ジメチルアミノ)−エチルクロリド塩酸塩(39.2mg、0.27mmol)を添加した。得られた混合物を一晩、85℃で加熱した。通常の処理の後、残留物をカラム(フロリジル)に充填し、このカラムをEtOAc/CHOH(10:1)で溶離して、80mgの表題化合物をオフホワイトの固体として得た。ESI[M+H]=488.27。
【0119】
(実施例153)
3,5−ジクロロ−N−(2−(ジメチルアミノ)−エチル)−2−メトキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(33)。表題化合物は、実施例152と同じ手法で、淡黄色の泡沫として合成した。ESI[M+H]=528.28。
【0120】
(実施例154)
2−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(35)。窒素雰囲気下で、32(88mg、0.21mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、次いで、BBr(0.2mL、2.1mmol)を添加した。この反応混合物を一晩、室温で攪拌し、続いて、氷で反応を停止させた。この混合物をEtOAcと水とで分配し、有機層を分離して、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。固体を濾過して取り出し、濾液を回転蒸発器で濃縮して、70mgの表題化合物を帯褐色の固体として得た。ESI[M+H]=402.24。
【0121】
実施例155から160の化合物は、実施例154の手順によって調製する。
【0122】
【表5】

【0123】
(実施例161)
2−アミノ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(39)。表題化合物は、実施例149と同じ手法で、38から淡黄色の泡沫として合成した。ESI[M+H]=360.08。
【0124】
実施例162から165の化合物は、実施例161の手順によって調製する。
【0125】
【表6】

【0126】
(実施例166)
4−ヒドロキシ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド。表題化合物である黄色の固体は、水素化触媒用の基質として実施例111を使用し、実施例149についてのものと同じ手法で合成した。
【0127】
(実施例167)
2−アミノ−3,5−ジクロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(40)。0℃で酢酸(4.0mL)中の39(0.12g、0.32mmol)の溶液に、塩化スルフリル(0.092g、0.68mmol)を一滴ずつ添加した。室温で2時間攪拌した後、この反応混合物を冷NaHCO飽和水溶液で反応停止させ、EtOAc(70mL)で抽出した。有機層を飽和NaHCO、HOおよびブラインで洗浄した後、乾燥させて(MgSO)、蒸発乾固させた。得られた粗製生成物を、ヘキサン中10%から25%のEtOAcで溶離するクロマトグラフィーに付して、表題化合物を淡黄色の固体として得た(0.11g、79%、ESI[M+H]=428.13)。
【0128】
(実施例168)
4−アミノ−3,5−ジクロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド。表題化合物は、塩素化反応用の基質として実施例163を使用し、実施例167についてのものと同じ手法で合成した。黄褐色の固体であった。ESI[M+H]=428.11。
【0129】
(実施例169)
3,5−ジクロロ−2−メタンスルホニルアミノ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(42)。0℃でDMF中の40(69mg、0.16mmol)の溶液に、NaH(鉱物油中60%、14mg、0.35mmol)を添加した。この混合物を10分間、0℃で攪拌した後、塩化メタンスルホニル(22mg、0.19mmol)を添加した。続いて、得られた混合物を室温で一晩攪拌した。数滴の希HClで反応を停止させ、次に、EtOAc(60mL)で希釈した。有機層を水(2x30mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、回転蒸発器での蒸発により揮発成分を除去した。残留物をシリカゲルカラム(ヘキサン中15%から30%のEtOAc)で精製して、表題化合物をオフホワイトの固体として得た(10mg、ESI[M+H]=506.12)。
【0130】
(実施例170)
N−(2,4−ジクロロ−6−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニルアミノスルホニル)フェニル)−アセトアミド(41)。表題化合物は、塩化メタンスルホニルの代わりに塩化アセチルを使用して、実施例169についてのものと同じ手法で合成した。オフホワイトの固体として得た(ESI[M−H]=468.22)。
【0131】
(実施例171)
(2−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼン−スルホニルアミノ)−6−ピペリジン−1−イル−ベンジル)−カルバミン酸t−ブチル(47)。
【0132】
1)2−アミノ−6−ピペリジン−1−イル−ベンゾニトリル(44)。ピペリジン(5mL)中の2−アミノ−6−フルオロ−ベンゾニトリル(844mg、6.2mmol)の溶液を80℃で一晩加熱した。通常の処理後、残留物をカラム(シリカゲル)に充填し、ヘキサン:EtOAc(5:1)で溶離して、450mgの44を得た。
【0133】
2)2−アミノ−6−ピペリジン−1−イル−ベンジルアミン(44a)。無水THF(6mL)中の44(260mg、1.29mmol)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(THF中1M、6mL、6mmol)を添加した。この混合物を75℃で一晩加熱した。反応を放置して室温に冷却し、NaSO・10HOで反応を停止させ、30分間攪拌した。固体を濾過して除去し、濾液を回転蒸発器で濃縮して、44aを得た(270mg)。
【0134】
3)(2−アミノ−6−ピペリジン−1−イル−ベンジル)−カルバミン酸t−ブチル(45)。無水THF(8mL)中の44a(300mg、1.46mmol)の溶液に、BocO(351mg、1.61mmol)を添加し、この混合物を一晩、室温で攪拌した。通常の処理後、残留物をカラム(シリカゲル)に充填し、ヘキサン:EtOAc(7:1)で溶離して、45を得た(160mg)。
【0135】
4)45および塩化3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホニル(46)を使用し、図式2に示したプロトコルに従って、表題化合物を合成した。オフホワイトの固体であった(ESI[M+H]=530.11)。
【0136】
(実施例172)
N−(2−アミノメチル−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド(48)。ジクロロメタン(5mL)中の47(75mg)の溶液にTFA(0.5mL)を添加した。この溶液を一晩攪拌した。次に、通常の処理を行った。オフホワイトの固体として表題化合物を得た(35mg)。
【0137】
(実施例173)
2−アミノメチル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド。表題化合物は、44aについて示した手順を使用して、対応するニトリル(実施例103)から合成した。
【0138】
実施例174から175の化合物は、実施例173の手順によって調製する。
【0139】
【表7】

【0140】
(実施例176)
3−フェニルアミノスルホニル−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−チオフェン−2−カルボキサミド(53)。表題化合物は、スルホンアミドカップリング/MOM保護/アミドカップリング/MOM脱保護(図式4)の文献手順(Wuら,J.Med.Chem.1999,42,4485−4499)に従って、帯黄色の固体として合成した。ESI[M+H]=470.2。
【0141】
(実施例177)
3−ベンゼンスルホニルアミノ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−チオフェン−2−カルボキサミド(58)。表題化合物は、カップリングパートナーが3−アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチル(54)および塩化ベンゼンスルホニルであったことを除き、実施例176についてのものと同じ反応順序(図式4)に従って合成した。コハク色の固体であった。ESI[M+H]=470.15。
【0142】
(実施例178)
1−(2−メトキシフェニル)−3−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−尿素。トルエン(5mL)中の2(0.25g、1.22mmol)およびイソシアン酸2−メトキシフェニル(0.18g、1.22mmol)の溶液を80℃で一晩加熱した。この混合物を放置して室温に冷却し、続いて、EtOAcで希釈した。有機層を水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、回転蒸発器で濃縮した。残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィーに付して、表題化合物(0.11g)を固体として得た。ESI[M+H]=354.22。
【0143】
実施例179から184の化合物は、実施例178の手順によって調製する。
【0144】
【表8】

【0145】
(実施例182)
1−(2−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−エチル)−3−(2,4,6−トリメチル−3−ピぺリジン−1−イル−フェニル)−尿素。0℃で無水1,2−ジクロロエタン(3mL)中の2,4,6−トリメチル−3−ピペラジン−1−イル−フェニルアミン(0.2g、0.92mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.7mL、4.0mmol)の溶液にトリホスゲン(0.1g、0.35mmol)を添加した。この混合物を0℃で30分間攪拌した後、1,2−ジクロロエタン(2mL)中の2−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミン(0.2g、0.92mmol)の溶液を添加した。この反応混合物を一晩攪拌し、水と塩化メチレンとで分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、濃縮した。残留物を、比率2:1でのヘキサンと酢酸エチルの混合物から100%酢酸エチル、次に酢酸エチルとMeOHの混合物(30:1)で溶離するフロリジルでのクロマトグラフィーに付して、表題化合物を白色の泡沫として得た(0.27g、収率64%)。
【0146】
(実施例185)
N−ベンジル−2−ベンジルオキシ−3,5−ジクロロ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド。無水DMF(3mL)中の実施例69(0.10g、0.23mmol)の溶液に、臭化ベンジル(0.039g、0.23mmol)およびKCO(0.032g、0.23mmol)を順次添加した。この混合物を室温で一晩攪拌し、続いて、EtOAc(70mL)で希釈した。有機層を希HCl(30mL)、水(30mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させた。固体を濾過して取り出し、濾液を回転蒸発器で濃縮した。残留物をシリカゲル(ヘキサン中5%から15%のEtOAc)で精製して、生成物(0.050g)を白色の固体として得た。ESI[M+H]=609.2。
【0147】
(実施例186)
N−ベンジル−1−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホニル)−N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−ピロリジン−2−カルボキサミド。無水DMF(15mL)中のN−t−Boc−L−プロリン(2.0g、9.29mmol)の溶液に、N’−ベンジル−N,N−ジメチルエチレンジアミン(1.65g、9.29mmol)、EDC(2.31g、12.0mmol)およびHOBT(1.62g、12.0mmol)を順次添加した。この反応混合物を室温で3時間攪拌した後、水(75.0mL)に注入した。得られた溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出し、有機層を分離して、10%重炭酸ナトリウム(水溶液、15mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残留物をダイオキシン(10mL)中4NのHClで処理し、この混合物を室温で攪拌した。反応は、20分後に完了した。この粗製反応混合物を飽和重炭酸塩(水溶液、145mL)(pH=9)で洗浄し、次いで、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、続いて、濃縮して、黄色の油を得た(1.5g)。無水THF(4mL)中のこの油(100.0mg)の溶液に、トリエチルアミン(0.5mL)および塩化3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホニル(91.0mg、0.36mmol)を一度に添加した。この反応混合物を室温で攪拌し、TLCにより反応をモニターした。反応は、15分後に完了した。この混合物に水を添加した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を5%NaHCO(10mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、続いて、濃縮して、粗製生成物を得、これを、溶離剤として酢酸エチル中3%のメタノールを使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。表題化合物をオフホワイトの固体として得た(135mg)。ESI[M+H]=500.16。
【0148】
実施例187から190の化合物は、実施例186の手順によって調製した。
【0149】
【表9】

【0150】
(実施例191)
3−ベンゼンスルホニルアミノ−N−(2,4,6−トリメチル−3−ピロリジン−1−イル−フェニル)−ベンズアミド。表題化合物は、出発原料として実施例165および塩化ベンゼンスルホニルを使用し、図式2に示したプロトコルに従って合成した。黄色の固体として得た。ESI[M+H]=464.25。
【0151】
(実施例192)
3,5−ジクロロ−N−(2−シアノ−3−ピペリジン−1−イル−フェニル)−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド。表題化合物は、出発原料として44および塩化3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホニルを使用し、図式2に示したプロトコルに従って合成した。オフホワイトの固体を得た。ESI[M+H]=423.97。
【0152】
本発明のCCR−9拮抗薬化合物は、以下の一般手順によって調製することができる。
【0153】
【化9】

【0154】
【化10】

【0155】
【化11】

【0156】
標準的略語には、以下のものが挙げられる。
【0157】
DMF、N,N−ジメチルホルムアミド
THF、テトラヒドロフラン
TEA、トリエチルアミン
DIPEA、N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP、4−N,N−ジメチルアミノピリジン
Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
BINAP、(+/−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
【0158】
(実施例193)
図式1の化合物の調製
段階1.
3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル(3.14g、20mmol)を室温でピリジン(10mL)に溶解した。フラスコをセプタムおよび窒素吸気口で封止した。この溶液を塩化ベンゼンスルホニル(2.5mL、19.5mmol)でゆっくりと処理した。薄層クロマトグラフィーによってこの反応を追跡した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、2NのHClで洗浄した。有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液をデカントし、減圧下で蒸発させて、3−ベンゼンスルホニルアミノチオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(5.36g、90%)を得、これをさらに精製せずに使用した。
【0159】
段階2.
3−ベンゼンスルホニルアミノチオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1.5g、5.0mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、室温で、水酸化ナトリウム水溶液(2N、7.5mL、3当量)で処理した。この溶液を50℃に温めて、薄層クロマトグラフィーによってモニターした。反応が完了し次第、この混合物を冷却し、ジエチルエーテルで一回抽出した。エーテル層を除去した。次に、水性層をHCl水溶液(2N、過剰)で酸性化し、次いで、再び酢酸エチルで2回抽出した。併せた有機層をブライン溶液で一回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この酢酸エチルをデカントし、減圧下で蒸発させて、3−ベンゼンスルホニルアミノチオフェン−2−カルボン酸(1.34g、95%)を白色の粉末として得た。
【0160】
段階3.
3−ベンゼンスルホニルアミノチオフェン−2−カルボン酸(0.61g、2.15mmol)をジクロロメタン(8.6mL)に懸濁させた。得られた混合物を、N,N−ジメチルホルムアミド(1滴)および2回分の塩化オキサリル(0.42mL、4.8mmol)で順次処理した。室温で簡単に攪拌した後、泡立ちが収まった。この溶液を、反応が完了するまで還流させた。この混合物を濃縮乾固し、ジクロロメタンに再び溶解して、ジクロロメタンで溶離しながら目の粗いシリカゲルの非常に小さなパッドに通して濾過した。この溶離物の濃縮によって、所望の3−ベンゼンスルホニルアミノチオフェン−2−カルボン酸塩化物が黄色の固体として得られ(0.32g、49%)、これをさらに精製せずに使用した。
【0161】
段階4.
ジクロロメタン(0.20mL)およびトリエチルアミン(72μL、0.52mmol)中の2,4,6−トリメチルアニリン(70mg、0.518mmol)の溶液に、3−ベンゼンスルホニルアミノチオフェン−2−カルボン酸塩化物(134mg、0.444mmol)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下、室温で、一晩攪拌させておいた。この反応混合物をシリカゲル(9:1のヘキサン/酢酸エチルから4:1のヘキサン/酢酸エチルへの勾配)に直接適用した。次に、化合物をヘキサンおよびジクロロメタンから沈殿させて、3−ベンゼンスルフォニルアミノ−チオフェン−2−カルボン酸(2,4,6−トリメチルフェニル)アミドを白色の固体として得た(0.028g、16%)。
【0162】
段階1の塩化ベンゼンスルホニルの代わりに以下の塩化スルホニルを使用することができる。
【0163】
塩化4−アセトアミドベンゼンスルホニル
塩化4−アセチルベンゼンスルホニル
塩化3−アセチルベンゼンスルホニル
塩化2−アセチルベンゼンスルホニル
塩化2−ビフェニルスルホニル−
塩化3−ビフェニルスルホニル−
塩化4−ビフェニルスルホニル−
塩化3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル
塩化4−t−ブチルベンゼンスルホニル
塩化ブタンスルホニル
塩化2−クロロベンゼンスルホニル
塩化3−クロロベンゼンスルホニル
塩化4−クロロベンゼンスルホニル
塩化2−シアノベンゼンスルホニル
3−(クロロスルホニル)安息香酸
塩化5−クロロ−2−フルオロベンゼンスルホニル
塩化4−クロロ−2,5−ジメチルベンゼンスルホニル
塩化2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル
塩化2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニル
塩化3−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニル
塩化3−クロロ−2−フルオロベンゼンスルホニル
塩化2−クロロ−6−メチルベンゼンスルホニル
塩化5−クロロチオフェン−2−スルホニル
塩化シクロペンタンスルホニル
塩化シクロヘキサンスルホニル
塩化2,3−ジクロロベンゼンスルホニル
塩化2,4−ジクロロベンゼンスルホニル
塩化2,5−ジクロロベンゼンスルホニル
塩化2,5−ジクロロチオフェン−3−スルホニル
塩化2,5−ジメトキシベンゼンスルホニル
塩化3,4−ジメトキシベンゼンスルホニル
塩化2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル
塩化2,6−ジクロロベンゼンスルホニル
塩化2,6−ジフルオロベンゼンスルホニル
塩化3,4−ジクロロベンゼンスルホニル
塩化3,4−ジフルオロベンゼンスルホニル
塩化3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホニル
塩化3,5−ジクロロベンゼンスルホニル
塩化3,5−ジフルオロベンゼンスルホニル
塩化4−エチルベンゼンスルホニル
塩化エタンスルホニル
塩化2−フルオロベンゼンスルホニル
塩化3−フルオロベンゼンスルホニル
塩化4−フルオロベンゼンスルホニル
塩化4−フルオロ−2−メチルベンゼンスルホニル
塩化3−フルオロ−4−メチルベンゼンスルホニル
塩化3−フルオロ−4−メチルベンゼンスルホニル
塩化5−フルオロ−2−メチルベンゼンスルホニル
塩化メタンスルホニル
塩化2−メトキシベンゼンスルホニル
塩化3−メトキシベンゼンスルホニル
塩化4−メトキシベンゼンスルホニル
塩化メシチレンスルホニル
塩化2−メトキシ−4−メチルベンゼンスルホニル
塩化4−フェノキシベンゼンスルホニル
塩化プロパンスルホニル
塩化キノリン−8−スルホニル
塩化2−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル
塩化3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル
塩化4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル
塩化2−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホニル
塩化3−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホニル
塩化4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホニル
塩化m−トルエンスルホニル
塩化p−トルエンスルホニル
塩化o−トルエンスルホニル
塩化2,4,5−トリクロロベンゼンスルホニル
塩化2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル
塩化2,3,4−トリフルオロベンゼンスルホニル。
【0164】
段階4の2,4,6−トリメチルアニリンの代わりに以下のアニリンおよびアミンを使用できることも想定している。
【0165】
2,4,6−トリメチル−3−ピペリジノアニリン
2,6−ジメチル−3−ピペリジノアニリン
2,4−ジメチル−3−ピペリジノアニリン
4,6−ジメチル−3−ピペリジノアニリン
2,6−ジメチル−3−ピロリジノアニリン
2,4−ジメチル−3−ピロリジノアニリン
4,6−ジメチル−3−ピロジノアニリン
2,4,6−トリメチル−3−(1−イミダゾリル)アニリン
2,4,6−トリメチル−3−(1−ピロリジル)アニリン
2,6−ジメチル−3−(1−ピロリジル)アニリン
2,4−ジメチル−3−(1−ピロリジル)アニリン
4,6−ジメチル−3−(1−ピロリジル)アニリン
2,4,6−トリメチル−3−シクロペンチルアニリン
2,6−ジメチル−3−シクロペンチルアニリン
2,4−ジメチル−3−シクロペンチルアニリン
4,6−ジメチル−3−シクロペンチルアニリン
2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキシルアニリン
2,6−ジメチル−3−シクロヘキシルアニリン
2,4−ジメチル−3−シクロヘキシルアニリン
4,6−ジメチル−3−シクロヘキシルアニリン
2,4,6−トリメチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)アニリン
2,6−ジメチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)アニリン
2,4−ジメチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)アニリン
4,6−ジメチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)アニリン
モルホリン
ピペラジン
ピペリジン
ピロリジン。
【0166】
(実施例194)
図式2の化合物の調製
段階1.
トルエン(33mL)およびピロリジン(1.0mL、12mmol)中の3−ブロモニトロベンゼン(2.02g、10mmol)の溶液に、ナトリウムt−ブトキシド(1.92g、20mmol)を添加し、室温でこの溶液に15分間窒素を通すことによってこの溶液を脱酸素化した。次に、BINAPおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)錯体を固体として添加し、さらに5分間、窒素バブリングを継続した。この混合物を100℃で一晩加熱した。続いて、この反応混合物を冷却し、水と酢酸エチルとで分配した。有機層をブライン溶液で一回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この酢酸エチルをデカントし、減圧下で蒸発させて、所望の1−(3−ニトロフェニル)ピロリジンを赤色の油として得た(1.5g、79%)。
【0167】
また、これらの条件下で3−ブロモ−2,4,6−トリメチルアニリンを3−ブロモトルエンの代わりに使用して、対応する3−ピロリジノ−2,4,6−トリメチルアニリンを調製することができるが、前記ピロリジンは、5当量に増加させる。
【0168】
段階2:
メタノール(25mL)中の1−(3−ニトロフェニル)ピロリジン(1.5g、7.8mmol)の溶液に、Pd/C(10%、Degusa E101型、50%水、1g)およびギ酸アンモニウム(0.96g、15mmol)を添加した。得られた懸濁液を、反応が完了するまで、還流させながら加熱した。この混合物をセライトに通して濾過し、減圧下で濃縮し、酢酸エチルで目の粗いシリカゲルに通して濾過して、所望の生成物3−(1−ピロリジノ)アニリンを得た(0.65g、79%)。
【0169】
(実施例195)
図式3の化合物の調製
段階1.
セプタムおよび窒素吸気口で封止した、室温で乾燥THF(35mL)およびトリエチルアミン(1.53mL、1.1当量)に溶解したアニリン(1.02g、10.9mmol、1.1当量)の溶液に、塩化2−カルボメトキシチオフェン−3−スルホニル(2.5g、9.9mmol、純度95%)を添加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。完了したら、酢酸エチルでの希釈およびHCl水溶液(2N)、水および塩化ナトリウム飽和水溶液での洗浄により、この反応混合物を抽出することになる。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液をデカントし、減圧下で蒸発させて、所望の3−フェニルスルファモイルチオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(2.6g、88%)を得ることとなる。
【0170】
段階2.
段階1のスルホンアミド、3−フェニルスルファモイルチオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを乾燥ジクロロメタンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンに溶解した。得られた混合物を0℃に冷却した後、ブロモメチルメチルエーテルを添加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。この混合物をジクロロメタンとHCl水溶液(2N)とで分配した。次に、有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液で一回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、続いて、減圧下で濃縮乾固させて、所望の生成物、3−(N−メトキシメチル−N−フェニルスルファモイル)チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(3g、定量的)を得た。
【0171】
段階3.
メタノールおよび水中の3−(N−メトキシメチル−N−フェニルスルファモイル)チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(3g、8.75mmol)の均質混合物に室温で水酸化ナトリウム水溶液(2N、過剰)を添加した。反応が完了し次第、この混合物を冷却し、ジエチルエーテルで一回抽出した。次に、水性層はHCl水溶液(2N、過剰)で酸性化して、再び酢酸エチルで二回抽出することとなる。有機層をブライン溶液で一回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この酢酸エチル溶液をデカントし、減圧下で蒸発させて、所望の3−(N−メトキシメチル−N−フェニルスルファモイル)チオフェン−2−カルボン酸(2.2g、79%)を得た。
【0172】
段階4.段階3の3−(N−メトキシメチル−N−フェニルスルファモイル)チオフェン−2−カルボン酸(0.722、2.2mmol)をジクロロメタン(5mL)に懸濁させ、続いて、ピリジン(1滴)での処理および0℃への冷却を順次行った。次いで、この溶液を塩化オキサリル(2.43mL、ジクロロメタン中2M)で処理した後、1時間還流させた。この混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮乾固させた。残留物を再びテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、テトラヒドロフラン(4mL)、トリエチルアミン(0.36mL、2.6mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.027g、10mol%)中の3−ピロリジノ−2,4,6−トリメチルアニリン(0.250g、1.2mmol)の冷却(0℃)溶液に添加した。この反応混合物を一晩、室温で攪拌させておいた。この材料を、3:1のヘキサン:酢酸エチルで溶離することによる順層(SiO)クロマトグラフィーによって精製して、3−(N−メトキシメチル−N−フェニルスルファモイル)チオフェン−2−カルボン酸(107mg、15%)を得た。
【0173】
段階5.
前段階の3−(N−メトキシメチル−N−フェニルスルファモイル)チオフェン−2−カルボン酸(107mg、0.331mmol)をメタノールに溶解し、濃HCl(9mL)で処理した。この反応混合物を2.5時間、70℃に加熱し、冷却して、氷水に注入した。pHを3から4にし、この水性混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮乾固させて、3−フェニルスルファモイルチオフェン−カルボン酸(2,4,6−トリメチルフェニル)アミド(40mg、26%)などの所望の生成物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、
、RおよびRは、水素、ハロゲン、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、CN、CFアレーンスルホニル、C1〜6アルカンスルホニル、C1〜6アルカンカルボニル、CONRおよびCOから成る群より、独立して選択され;
Xは、N、CHまたはOであり;
Yは、SO、CO、CHSO、CHCO、NHCO、OCOおよびNHSOから成る群より選択され;
は、C1〜6アルキル、アリール、アラルキルおよびヘテロアリールから成る群より選択され;
は、Rと同じまたはZ−NRであるか、RおよびRは、Nを伴って5または6員環を形成することができ;
Zは、(CHであり、この場合のnは、0から6であり;
は、アリール、ヘテロアリールおよびZNRから成る群より選択され;
およびRは、水素、低級アルキル、アリールおよびアラルキルから成る群より、独立して選択されるか、Nと一緒になってピロリジン、ピペリヂン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成し;ならびに
は、水素、C1〜6アルキル、アリール、アラルキルから成る群より選択される)
の化合物およびその医薬適合性の塩。
【請求項2】
、RおよびRが、各々メチルであるか、RおよびRが、メチルであり、Rが水素であり;Xが、Nであり、Yが、SOであり、Rが、3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物および医薬適合性担体または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の式Iの化合物をウロテンシン−II不均衡に伴う状態を治療する必要がある患者に投与することを含む、ウロテンシン−II受容体に拮抗することによりその状態を治療する方法。
【請求項5】
前記疾病が、うっ血性心不全、卒中、虚血性心疾患、アンギナ、心筋虚血、心不整脈、本態性および肺高血圧、腎疾患、急性および慢性腎不全、末期腎疾患、末梢血管疾患、男性勃起機能障害、糖尿病性網膜症、間欠性跛行/虚血性四肢疾患、虚血性/出血性発作、COPD、再狭窄、喘息、神経性炎症、偏頭痛、代謝性血管症、骨/軟骨/関節疾患、関節炎および他の炎症性疾患、線維症、肺線維症、敗血症、アテローム性硬化症、異脂肪血症、嗜癖、統合失調症、認知障害、アルツハイマー病、衝動性、不安、ストレス、うつ病、パーキンソン病、運動障害、睡眠覚醒周期、創意に富む動機付け、疼痛、神経筋機能、糖尿病、胃の逆流、胃運動障害、潰瘍ならびに泌尿生殖器疾患である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式:
【化2】

(式中、
Eは、NR11、O、S、CR11=CR12またはCR11=Nであり、この場合のR11およびR12は、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシまたはCONRであり;
Dは、NR10、OまたはSであり、この場合のR10は、H、低級アルキルまたはアリールであるか、R10は、R16またはR13と一緒になって環を形成することもあり;
Zは、NR13またはCR13であり、この場合の各R13は、独立して、H、低級アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Aは、NR17C=OまたはSOであり、この場合のR17は、H、アルキルまたはアリールであり、およびR14と一緒になって環を形成することがあり;
Aが、NR17であるときには、Bは、SO、COまたはCR18であり、この場合の各R18は、独立して、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
Aが、C=OまたはSOであるときには、Bは、NR19であり、この場合のR19は、H、アルキルまたはアリールであり、およびR12と一緒になって環を形成することがあり;
13およびR14は、独立して、H,アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;ならびに
15およびR16は、独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシまたはNR21であり、この場合、R21は、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
の化合物およびその医薬適合性の塩。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物をCCR−9不均衡に伴う状態を治療する必要がある患者に投与することを含む、CCR−9受容体に拮抗することによりその状態を治療する方法。
【請求項8】
請求項6に記載の化合物および医薬適合性の担体または賦形剤を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2006−519785(P2006−519785A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503636(P2006−503636)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/004645
【国際公開番号】WO2004/073634
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(501178651)エンサイシブ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】ENCYSIVE PHARMACEUTICALS INC.
【Fターム(参考)】