説明

フラットパネルディスプレイ半導体の製造方法

【課題】a−Siプロセスと、ポリ−Siプロセスとを組み合わせることが可能なプロセスを提供することである。
【解決手段】プロセス800は、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスを用いて、ディスプレイパネル用のポリ−最終構造を形成する(ブロック810)。ポリ−最終構造は、チャネルシリコン前駆体を有する。次に、プロセス800は、ポリシリコン固有のプロセスを用いて、ポリ−最終構造からディスプレイパネルを形成する(ブロック820)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の分野、特に、半導体プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)は、特に電機機器業界では広く知られている。現在、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ(AMLCD)は、有力な技術である。さらに、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ技術は、確実な成長を遂げている。典型的なAMLCDでは、アクティブ薄膜トランジスタ(TFT)を電気スイッチとして使用して、ディスプレイにおける各ピクセルを制御する。周囲の集積回路、電流駆動背面配線板、例えば、OLED、又はTFT作成を支持するガラス基板上のスイッチを製造するために現在用いられるプロセス方法は、主に、アモルファスシリコン(a−Si)及び多結晶シリコン(ポリ−Si)の2つがある。a−Siに基づくTFTは、典型的に、電子移動がより遅いので、ポリ−SiTFTより物理的に大きい。一方、ポリ−SiTFTは、より小さく速いので、開口率を改良し画素密度を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポリ−Siプロセスは、a−Siプロセスよりもディスプレイの高機能化につながるが、a−Si作成プロセスは、ディスプレイ製造業界ではまだ一般的ではない。これは、a−Siプロセスは、より少ないプロセス工程と比較的安価な装置から構成されるので、比較的低コストであることによる。したがって、低コストのa−Siプロセスと、より高機能なポリ−Siプロセスとを組み合わせることができる作成プロセスを有することが望ましい。
【0004】
本発明の目的は、a−Siプロセスと、ポリ−Siプロセスとを組み合わせることが可能なプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る方法は、アモルファスシリコンプロセス又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスを用いて、チャネルシリコン前駆体を有するディスプレイパネル用のポリ−最終構造を形成する工程と、ポリシリコン固有のプロセス又はポリシリコンに適合可能なプロセスを用いて、前記ポリ−最終構造からディスプレイパネルを形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0006】
ここで、ポリ−最終構造は、ポリ−Si固有のプロセス工程を施された最終的な構造物である。ポリ−Si固有のプロセス工程を分離して、これを最後に置くことによって、新規のプロセス構造は、最初にa−Siプロセス工程を、次にポリ−Si固有のプロセス工程を、行なうことが可能になる。
【0007】
また、本発明に係る方法は、ソース領域、ドレイン領域、及びボトムゲート構成に相当するゲート領域を、アモルファスシリコンプロセス又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスを用いて形成する工程と、前記アモルファスシリコンプロセス又は前記アモルファスシリコンに適合可能なプロセスにおいて、チャネルシリコン前駆体を、前記ゲート領域、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域上に積層する工程と、前記チャネルシリコン前駆体に、多結晶シリコンプロセス又は多結晶シリコンに適合可能なプロセスを用いてレーザ照射する工程と、を含むことができる。
【0008】
また、本発明に係る半導体構造は、基材と、前記基材上に積層されたボトムゲートと、前記ボトムゲート上に積層された誘電体層と、前記基材上に積層されると共に、前記ボトムゲート周囲に形成されたドープソース領域及びドープドレイン領域と、パターニングされたドープアモルファスシリコン層及び前記誘電体層上に積層されたチャネルシリコン前駆体層と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るディスプレイパネルは、ガラス基材と、前記ガラス基材上にピクセル切換え装置として複数のTFTを有する薄膜トランジスタ(TFT)アレイと、を備え、各TFTは、多結晶シリコンのボトムゲート構造及びデータ相互接続ラインを有し、前記ボトムゲート構造及び前記データ相互接続ラインは、シリコン層の下にあることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施の形態は、以下の記載及び各種実施の形態を示すために使用される添付の図面を参照することによって、最適に理解することができる。
【図1】実施形態の1つにおけるディスプレイパネルを示す図である。
【図2】実施形態の1つにおけるゲート領域を有するプロセス構造を示す図である。
【図3】実施形態の1つにおけるソース接続及びドレイン接続を有するプロセス構造を示す図である。
【図4】実施形態の1つにおけるドープアモルファスシリコン層を有するプロセス構造を示す図である。
【図5】実施形態の1つにおけるパターニングされたソース領域及びドレイン領域を有するプロセス構造を示す図である。
【図6】実施形態の1つにおけるチャネルシリコン前駆体を有するプロセス構造を示す図である。
【図7】実施形態の1つにおける多結晶シリコン領域を有するプロセス構造を示す図である。
【図8】実施形態の1つにおけるディスプレイパネルを作成するプロセスを示すフローチャートである。
【図9】実施形態の1つにおけるポリ−最終構造を形成するプロセスを示すフローチャートである。
【図10】実施形態の1つにおけるポリシリコン固有のプロセスを用いてディスプレイパネルを形成するプロセスを示す図である。
【図11】実施形態の1つにおけるゲート領域、ソース領域及びドレイン領域を形成するプロセスを示すフローチャートである。
【図12】実施形態の1つにおけるディスプレイパネルを作成するための製造設備を示す図である。
【図13】実施形態の1つにおけるディスプレイパネルを作成するための製造設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態の開示する特徴の1つは、フラットパネルディスプレイを作成する技術(方法及び装置)である。ポリ−最終構造は、アモルファスシリコンプロセス又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスを用いて、ディスプレイパネル用に形成される。ポリ−最終構造は、チャネルシリコン前駆体を備える。ディスプレイパネルは、ポリシリコン固有のプロセスを用いて、ポリ−最終構造から形成される。
【0012】
実施の形態の開示する特徴の1つは、フラットパネルディスプレイの効率的な製造を提供する方法及び装置である。新規のプロセス構造は、重要なシリコン結晶化段階を別にし、これを最終段階に置く。これによって、プロセス手順がa−Siに適合可能なプロセスとなり、次いで、a−SiTFTをポリ−SiTFTに転移させる転移段階を行なう。転移段階は、高精細リトグラフツールや装置を要さない。例えば、レーザと水素化処理ツール又は装置のみを備えればよい。新規のプロセス構造を用いれば、存在する全てのa−Si製造工場又は製造設備は、a−Siとポリ−Siディスプレイの両方を、レーザと水素化処理ツールといった小さな投資で製造することができる。したがって、TFT FPDを製造するために、高価なポリ−Si設備を建設する必要がない。場合によっては、新規のプロセス構造は、a−Si製造設備においてTFT FPDの一部の製造を可能にし、残りのプロセス工程は別のポリ−Si製造設備で行ってもよい。この技術は、ポリ−Si製造設備を建設するといった大規模投資が不要で、a−Si製造設備に資本投資すればよい。これによって、ポリ−Si駆動OLEDディスプレイを非常に低コストで製造することが可能になる。
【0013】
一般的なポリ−SiTFTは、トップゲートデバイスである。作成プロセスは、重要なSi薄膜の積層から始まって、この薄膜を結晶化させて多結晶層を形成する。その後のプロセス工程には、ゲート誘電体(例えば、SiO2)、Siゲート、イオン注入、アクティベーション、パッシベーション層(例えば、SiO2)、及び金属相互接続の層の積層、パターニング、及びエッチングがあり、ポリ−SiTFTの形成が完了する。ポリ−Si固有のプロセス工程には、レーザ結晶化又は固体相結晶化、及び水素化処理を含む。
【0014】
実施の形態の開示する特徴の1つは、ボトムゲートデバイスである。ディスプレイの背面配線板において、TFTは、金属相互接続とピクセル電極の全ての上に設けられる。最後に積層される層は、チャネルSi層であり、ポリ−Si固有のプロセス工程を行なう前に、絶縁されたアイランドにパターニングして得ることができる。この新規のプロセス構造は、ポリ−Si固有のプロセス工程の最後に行なわれるので、ポリ−最終構造と称される。ポリ−Si固有のプロセス工程を分離して、これを最後に置くことによって、新規のプロセス構造は、最初にa−Siプロセス工程を、次にポリ−Si固有のプロセス工程を、行なうことが可能になる。このポリ−最終構造を用いて、a−Si及びポリ−Si背面配線板を同じ設備で製造することができる。
【0015】
図1は、実施形態の1つにおけるディスプレイパネル100を示す図である。ディスプレイパネル100は、パネル110及び駆動回路120を有する。なお、ディスプレイパネル100は、上記より多い又は少ない構成要素を有してもよい。
【0016】
パネル110は、ガラス基材と、N個のピクセル130i〜130Nを有するディスプレイスクリーンとを備える。パネルサイズは、好適なサイズ、例えば、2.2”〜50”以上でもよい。パネル110は、多くのTFTがピクセル切換えデバイスとしてガラス基材上に存在するTFTアレイを有する。各ピクセル130jは、TFT140j(j=1,・・・,N)によってオン又はオフに切換えられる。ピクセル130i〜130N及び関連するTFT140i〜140Nは、2次元のアレイK×Lに配列することができる。ここで、K及びLは好適な整数である。ディメンジョンK×Lは、好適なディメンジョン、例えば、320×240、640×480、1024×768等でもよい。各TFT140j(j=1,・・・,N)は、ポリ−最終プロセス構造を用いて作成することができる。各TFT140jは、多結晶シリコンのボトムゲート構造を有する。各TFT140jは、データ相互接続ラインを有してもよい。ボトムゲート構造及びデータ相互接続ラインは、シリコン層の下にあってもよい。
【0017】
駆動回路120は、パネル110内のピクセル130i〜130Nを駆動するための周囲の駆動回路を備えることができる。周囲の駆動回路は、ポリ−最終構造を含むことができる。駆動回路120は、シェルフ市販デバイス(shelf commercial devices)でなくてもよく、パネル電子部品の一部として作成されてもよい。駆動回路は、ガラスの行/列ドライバ、グレースケールジェネレータ、駆動電圧ジェネレータ、及びコントローラを含むことができる。ガラスの行/列ドライバは、高電圧駆動機能を有するソース及びゲートドライバ、データラッチ、シフトレジスタ、デジタルからアナログへのコンバータ(DAC)等を含むことができる。コントローラは、ガラスの行/列ドライバに対して、コマンド信号及びタイミング又はクロック信号を発生させることができる。グレースケールジェネレータは、ピクセル130i〜130Nの輝度及び明度を制御することができる。駆動電圧ジェネレータは、必要なTFT駆動電圧を発生させることができる。
【0018】
パネル110及びTFTは、a−Siプロセスと、その後のポリ−Si固有のプロセス工程とを用いて製造することができる。プロセスは、図2〜図7に示されるような一連の工程を含むことができる。a−Siプロセス工程を、図2〜6に、ポリ−Si工程を、図7に、それぞれ示す。図2〜7において、示されないプロセス工程は、当業者に公知である。
【0019】
図2は、実施形態の1つにおけるゲート領域を有するプロセス構造200を示す図である。プロセス構造200は、基材210、絶縁層220、ゲート領域230、及びゲートジオキサイド層240を有する。
【0020】
基材210は、ガラス基材、柔軟性のある金属、又はプラスチック基材であってもよい。基材210は、好適なガラス材料、例えば、コーニング1737(Corning1737)ガラスにより形成することができる。一般的に、基材210は、洗浄手順によって、TFT作成用に調製され、表面に絶縁層220が積層される。次に、ゲート金属層が絶縁層220上に積層される。ゲート金属層は、好適な金属層、例えば、モリブデン(Mo)を用いることができ、Moを室温でスパッタリングすることによって積層することができる。次に、ゲート領域230を生成するために、ゲート金属層がパターニングされる。パターニングは、一般的なパターニング技術、例えば、ウエットエッチングを用いたリトグラフパターニングによって行なうことができる。ゲート領域230は、TFTのゲートを規定する。次いで、ゲートジオキサイド層240がゲート領域上に積層される。
【0021】
図3は、実施形態の1つにおけるソース接続及びドレイン接続を有するプロセス構造300を示す図である。プロセス構造300は、プロセス構造200の要素に加えて、ソース接続310及びドレイン接続320を有する。ソース310及びドレイン接続320は、ゲートジオキサイド層240と、絶縁層220とをエッチングすることにより形成される。
【0022】
図4は、実施形態の1つにおけるドープアモルファスシリコン層を有するプロセス構造400を示す図である。プロセス構造400は、プロセス構造300の要素に加えて、ドープアモルファスシリコン層410を有する。ドープアモルファスシリコン層410は、ゲートジオキサイド層240、ゲート領域230、ソース接続310、及びドレイン接続320の上に、スパッタリング又は低圧化学蒸着(LPCVD)のような物理蒸着(PVC)、PECVDを用いて積層される。
【0023】
図5は、実施形態の1つにおけるパターニングされたソース領域及びドレイン領域を有するプロセス構造500を示す図である。プロセス構造500は、プロセス構造300又は400の要素に加えて、パターニングされたドープソース領域510及びドープドレイン領域520を有する。ドープソース領域510及びドープドレイン領域520は、ドープアモルファスシリコン層410をパターニングすることによって形成される。これらは、ゲート領域230の周囲に形成される。
【0024】
図6は、実施形態の1つにおけるチャネルシリコン前駆体を有するプロセス構造600を示す図である。プロセス構造600は、プロセス構造500の要素に加えて、チャネルシリコン前駆体層610及びパッシベーション層620を有する。チャネルシリコン前駆体層610は、ゲート領域230、ドープソース領域510及びドープドレイン領域520の上に、PECVD、PVC(例えば、スパッタリング)又はLPCVDを用いて積層される。パッシベーション層620は、シリコン前駆体層610上に積層される。パッシベーション層620は、酸化ケイ素(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiON)又はパッシベーションに好適な他の材料であってもよい。パッシベーション層620は、シリコン前駆体層610の汚染を防ぐ役割を果たす。次いで、パッシベーション層620がパターニング及びエッチングされて、金属接着パッドが露出し、パッドが駆動回路と結合できるようになる。
【0025】
プロセス構造600は、最終a−Si作成工程の結果である。この時点でポリ−Si化が可能となり、多結晶シリコンプロセス又は多結晶シリコンに適合可能なプロセスの準備が完了したことを意味する。プロセス構造600は、さらに処理されて、ポリ−Si固有の工程の要求をさらに減らすことができる。例えば、プロセス構造600のパネルを予め定められた大きさに切断しておくことで、大規模チャンバーが不要になる。
【0026】
図7は、実施形態の1つにおける多結晶シリコン領域を有するプロセス構造700を示す図である。プロセス構造700は、チャネルシリコン前駆体層610をレーザ705で光照射することによって、ソース接続310及びドレイン接続320上に、結晶化した内在するシリコンチャネル領域715及び結晶化したドープシリコン領域710、720を形成する。結晶化した内在シリコンチャネル領域715は、チャネルパッシベーション層725の下にある。結晶化したドープシリコン領域710、720は、それぞれパッシベーション層730、740の下にある。
光照射は、パッシベーション層下のシリコン層を結晶化することができる。一般的に、パッシベーション層は、シリコンチャネル領域715と、ソースシリコン領域710及びドレインシリコン領域720をカバーする。接着パッドは、典型的に、ディスプレイ周辺部にあり、ディスプレイよりも大きい。したがって、パッシベーション層においてパターニングされエッチングされる領域は、主に露出した接着パッド750に示されるように縁部にある。シリコンアイランドには、シリコンチャネル領域715、ソースシリコン領域710、及びドレインシリコン領域720が含まれる。レーザ705としては、エキシマレーザのような好適なレーザが適用できる。レーザ705は、アモルファスシリコン前駆体610を熱的に焼成して、多結晶領域710及び720を形成し、当該領域710及び720を接続するチャネル領域715を形成する。レーザ露光時間は、減らすことができる。TFTアイランドは、ピクセル領域の僅かな割合しか占めない(例えば、10%未満)。したがって、TFTを含むアイランド領域のみをスキャンするようにレーザをプログラムすれば、少なくとも10倍の時間節約につながる。
【0027】
光照射の前又は後に、さらなる層を積層することができる。例えば、薄いモリブデン層を前駆体610上に積層し、アモルファスシリコンにはない800nmの吸収を提供する。次に、800nmの光を有するレーザダイオードアレイを用いて、モリブデン層をスキャンしてもよい。モリブデンに吸収されたレーザエネルギーは、シリコン前駆体610に移動し、シリコン前駆体をミクロ結晶化状態へと焼きなます。次に、モリブデン層をエッチング除去してもよい。
【0028】
プロセス構造700は、ポリ−Siプロセス工程を用いて形成される。プロセス構造700は、図2〜6に示されるプロセス構造を形成した設備と同じa−Si設備で処理することができる。このa−Si設備は、レーザ、及び水素化処理装置のみを有すればよい。場合によっては、プロセス構造700はポリ−Si設備で形成されてもよい。
【0029】
図8は、実施形態の1つにおけるディスプレイパネルを作成するプロセス800を示すフローチャートである。
【0030】
スタート時、プロセス800は、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスを用いて、ディスプレイパネル用のポリ−最終構造を形成する(ブロック810)。ポリ−最終構造は、チャネルシリコン前駆体を有する。次に、プロセス800は、ポリシリコン固有のプロセスを用いて、ポリ−最終構造からディスプレイパネルを形成する(ブロック820)。そして、プロセス800を終了する。
【0031】
図9は、実施形態の1つにおけるポリ−最終構造を形成する図8のプロセス810を示すフローチャートである。
【0032】
スタート時、プロセス810は、アモルファスシリコンプロセス又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスを用いて、ディスプレイパネル用の基材上に、ゲート領域、ソース領域、及びドレイン領域を形成する(ブロック910)。ゲート領域は、ボトムゲート構造に対応する。ゲート領域、ソース領域、及びドレイン領域は、ディスプレイパネル内のピクセルを切換えるためのTFTに相当する。
【0033】
次に、プロセス810は、アモルファスシリコンプロセス又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスにおいて、ゲート領域、ソース領域、及びドレイン領域上にチャネルシリコン前駆体を積層する(ブロック920)。次に、プロセス810は、チャネルシリコン前駆体上にパッシベーション層を積層する(ブロック930)。パッシベーション層は、パターニング及びエッチングされ、他の回路、例えば、駆動回路と結合するために、金属接着パッドを露出させる。その結果、ポリ−Si固有のプロセス工程によって処理されるポリ−最終プロセス構造の準備が完了する。次に、プロセス810は、スクライブするか否かを決定する(ブロック940)。スクライブしない場合、プロセス810は、終了する。スクライブする場合、プロセス810は、ディスプレイパネルを、予め定められた大きさにスクライブし(ブロック950)、終了する。
【0034】
図10は、実施形態の1つにおけるポリシリコン固有のプロセスを用いてディスプレイパネルを形成する図8のプロセス820を示すフローチャートである。
【0035】
スタート時、プロセス820は、多結晶シリコンプロセス又は多結晶シリコンに適合可能なプロセスを用いて、チャネルシリコン前駆体をレーザ照射する(ブロック1010)。チャネルシリコン前駆体の光照射により、エッチングされたパッシベーション層下のシリコンを結晶化させることができる。さらに、ポリ−Siプロセス工程を行って、最終TFTディスプレイパネルを製造することができる。そして、プロセス800を終了する。
【0036】
図11は、実施形態の1つにおけるゲート領域、ソース領域、及びドレイン領域を形成する図9のプロセス910を示すフローチャートである。
【0037】
スタート時、プロセス910は、ディスプレイパネル用の基材上にゲート領域を形成する(ブロック1110)。基材は、ガラス基材でもよい。次に、プロセス910は、ゲート領域の周囲に、ソース接続及びドレイン接続を形成する(ブロック1120)。そして、プロセス910は、ゲート領域、ソース接続及びドレイン接続上に、ドープアモルファスシリコン層を積層する(ブロック1130)。次に、プロセス910は、ソース接続及びドレイン接続上のソース領域及びドレイン領域をパターニングする(ブロック1140)。
【0038】
次に、プロセス910は、脱水素化が必要か否かを決定する(ブロック1150)。低温PECVDによるa−Siの積層時に、Siフィルム中に存在する水素原子を取り除くために、脱水素化が必要な場合がある。脱水素化が不要であれば、プロセス910は終了する。一方、脱水素化が必要であれば、プロセス910は、ドープアモルファスシリコン層を脱水素化する(ブロック1160)。そして、プロセス910を終了する。
【0039】
図12は、実施形態の1つにおけるディスプレイパネルを作成するための製造設備1200を示す図である。製造設備1200は、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能な製造設備1210、レーザ1220、及び水素化装置/脱水素化装置1230を備える。製造設備1200は、より多い又は少ない構成要素を備えてもよい。
【0040】
アモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能な製造設備1210は、a−SiTFTディスプレイパネルを製造するのに好適な装置、ツール、プロセス機械、及び付属品を備える。当該製造設備1210には、ガラス調製、パターニング又はリトグラフ装置、積層及び/又はスパッタリング装置(例えば、PECVD)、封入、テスト、分類、包装、及び輸送装置を含むことができる。当該製造設備1210は、さらにポリ−Siのプロセス工程が施されるすポリ−最終プロセス構造1240を製造する。
【0041】
レーザ1220は、ポリ−最終プロセス構造1240に対してポリ−Si結晶化を行なうために、例えば、エキシマレーザ、ダイオード励起される固体状態レーザ、高出力ダイオードアレイ等の好適なレーザ装置を備えてもよい。
【0042】
水素化装置/脱水素化装置1230は、Siダングリングボンドを不活性化するためにアモルファスシリコンに水素を導入し、処理後に残留水素を取り除くためのツール又は装置を備えることができる。水素化装置は、典型的に、水素含有のプロセスガスを用いるプラズマチャンバーを備える。
【0043】
アモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能な製造設備1210、レーザ1220、及び水素化装置/脱水素化装置1230は、ポリ−最終構造1240からTFTフラットディスプレイパネル(FDP)を製造する。
【0044】
図13は、実施形態の1つにおけるディスプレイパネルを作成するための製造設備1300を示す図である。製造設備1300は、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能な製造設備1210と、多結晶シリコン又は多結晶シリコンに適合可能な製造設備1310とを備える。
【0045】
アモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能な製造設備1210は、図12に示されるアモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能な製造設備1210と同様である。なお、いずれのアモルファスシリコン又はアモルファスシリコンに適合可能な製造設備が存在してもよい。このプロセス工程は、上記のようなポリ−最終プロセス構造1240を提供する上記プロセス工程の続きである。
【0046】
そして、ポリ−最終プロセス構造1240は、多結晶シリコン又は多結晶シリコンに適合可能な製造設備1310に輸送され、ポリ−Si固有の工程を完了してTFT FDPを製造することができる。シリコン製造設備1210で既に主要なプロセス工程は行われているので、多結晶シリコン又は多結晶シリコンに適合可能な製造設備1310は、残りのポリ−Si固有の工程、例えば、結晶化を行なうだけでよい。したがって、処理時間を短縮することができる。多結晶シリコン又は多結晶シリコンに適合可能な製造設備1310は、別途設けられ、顧客サービスモデルとして異なるものにより操作されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
100 ディスプレイパネル、110 パネル、120 駆動回路、130i〜130N ピクセル、140i〜140N TFT、200、300、400、500、600、700、800 プロセス構造、210 基材、220 絶縁層、230 ゲート領域、240 ゲートジオキサイド層、310 ソース接続、320 ドレイン接続、410 ドープアモルファスシリコン層、510 ドープソース領域、520 ドープドレイン領域、610 チャネルシリコン前駆体層、620、730、740 パッシベーション層、710、720 結晶化したドープシリコン領域、715 結晶化した内在シリコンチャネル領域、750 露出した接着パッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファスシリコンプロセス又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスを用いて、チャネルシリコン前駆体を有するディスプレイパネル用のポリ−最終構造を形成することと、
ポリシリコン固有のプロセス又はポリシリコンに適合可能なプロセスを用いて、前記ポリ−最終構造からディスプレイパネルを形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
ソース領域、ドレイン領域、及びボトムゲート構成に相当するゲート領域を、アモルファスシリコンプロセス又はアモルファスシリコンに適合可能なプロセスを用いて形成することと、
前記アモルファスシリコンプロセス又は前記アモルファスシリコンに適合可能なプロセスにおいて、チャネルシリコン前駆体を、前記ゲート領域、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域上に積層することと、
前記チャネルシリコン前駆体に、多結晶シリコンプロセス又は多結晶シリコンに適合可能なプロセスを用いてレーザ照射することと、
を含む方法。
【請求項3】
基材と、
前記基材上に積層されたボトムゲートと、
前記ボトムゲート上に積層された誘電体層と、
前記基材上に積層されると共に、前記ボトムゲート周囲に形成されたドープソース領域及びドープドレイン領域と、
パターニングされたドープアモルファスシリコン層及び前記誘電体層上に積層されたチャネルシリコン前駆体層と、
を備える構造。
【請求項4】
ガラス基材と、
前記ガラス基材上にピクセル切換え装置として複数のTFTを有する薄膜トランジスタ(TFT)アレイと、
を備え、
各TFTは、多結晶シリコンのボトムゲート構造及びデータ相互接続ラインを有し、
前記ボトムゲート構造及び前記データ相互接続ラインは、シリコン層の下にあるディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−141328(P2010−141328A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278837(P2009−278837)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】