説明

ブレーキ制御装置

【課題】信号機と信号機の停止線との距離に対応して、より適切に補助的な制動力を自車両に付与することが可能なブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】信号機401と信号機401の停止線402との距離Dを取得する通信装置104と、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力を付与するブレーキアクチュエータ131とを備えた運転支援装置100において、自車両が信号機401に接近するときに、ブレーキアクチュエータ131は、通信装置104が取得した信号機401と信号機401の停止線402との距離Dに基づいて、付与する補助的な制動力を変更するため、信号機401と信号機401の停止線402との距離Dに対応して、より適切な大きさの制動力を自車両に付与することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置に関し、特には、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力を付与するブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバーのブレーキ操作による制動力の他にも、自車両に補助的な制動力を付与する装置が提案されている。例えば、特許文献1には、交通管理センターから信号機情報を得て、次の交差点の信号機の色を認識する装置が開示されている。特許文献1の装置は、次の交差点までの距離が車両の停止距離以下であり、かつ、車両が交差点を通過するときにおける信号機の色が「赤」または「黄〜赤」、つまり黄信号から赤信号に移行する前の所定期間中である場合には、車両に制動力を発生させるようにする。これにより、特許文献1の装置は、車両が交差点を安全に通過することができないような場合に、車両が交差点を無理に通過することを規制できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−119413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、信号機と信号機の停止線との距離は必ずしも一定では無い。例えば、交差点の手前に駐停車禁止区域がある場合や、交差道路の道幅が広い場合は、通常よりも信号機と信号機の停止線との距離が長い場合がある。このような場合、上記の技術では、装置が付与する制動力や制動のタイミングが適切ではない場合がある。また、ドライバーが停止線の位置を通常の位置であると誤認すること等が原因でブレーキ操作が遅れたり、ブレーキ操作の量が不足する可能性もある。
【0005】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、信号機と信号機の停止線との距離に対応して、より適切に補助的な制動力を自車両に付与することが可能なブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、信号機と信号機の停止線との距離を取得する距離取得ユニットと、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力を付与するブレーキアシストユニットとを備え、自車両が信号機に接近するときに、ブレーキアシストユニットは、距離取得ユニットが取得した信号機と信号機の停止線との距離に基づいて、付与する補助的な制動力を変更するブレーキ制御装置である。
【0007】
この構成によれば、信号機と信号機の停止線との距離を取得する距離取得ユニットと、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力を付与するブレーキアシストユニットとを備えたブレーキ制御装置において、自車両が信号機に接近するときに、ブレーキアシストユニットは、距離取得ユニットが取得した信号機と信号機の停止線との距離に基づいて、付与する補助的な制動力を変更するため、信号機と信号機の停止線との距離に対応して、より適切な大きさの制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0008】
また、本発明は、信号機と信号機の停止線との距離を取得する距離取得ユニットと、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力が第1閾値以下のときに、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力の付与を開始するブレーキアシストユニットとを備え、自車両が信号機に接近するときに、ブレーキアシストユニットは、距離取得ユニットが取得した信号機と信号機の停止線との距離に基づいて、第1閾値を変更するブレーキ制御装置である。
【0009】
この構成によれば、信号機と信号機の停止線との距離を取得する距離取得ユニットと、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力が第1閾値以下のときに、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力の付与を開始するブレーキアシストユニットとを備えたブレーキ制御装置において、自車両が信号機に接近するときに、ブレーキアシストユニットは、距離取得ユニットが取得した信号機と信号機の停止線との距離に基づいて、第1閾値を変更するため、信号機と信号機の停止線との距離に対応して、より適切なタイミングで制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0010】
また、ブレーキアシストユニットは、距離取得ユニットが取得した信号機と信号機の停止線との距離が長いほど大きな制動力を付与することが好適である。
【0011】
この構成によれば、ブレーキアシストユニットは、距離取得ユニットが取得した信号機と信号機の停止線との距離が長く、ドライバーのブレーキ操作による制動力が不足しがちな場合ほど大きな制動力を付与するため、より適切な大きさの制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0012】
また、ブレーキアシストユニットは、距離取得ユニットが取得した信号機と信号機の停止線との距離が長いほど大きな第1閾値を設定することが好適である。
【0013】
この構成によれば、ブレーキアシストユニットは、距離取得ユニットが取得した信号機と信号機の停止線との距離が長く、ドライバーのブレーキ操作が遅れがちな場合ほど、補助的な制動力を付与するタイミングを早めることになるため、より適切なタイミングで制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0014】
また、ドライバーの運転により自車両が信号機を通過した回数を記録する走行履歴記録ユニットをさらに備え、ブレーキアシストユニットは、走行履歴記録ユニットが記録したドライバーの運転により自車両が信号機を通過した回数が第2閾値以上であるときは、付与する補助的な制動力を変更しないことが好適である。
【0015】
この構成によれば、ブレーキアシストユニットは、走行履歴記録ユニットが記録したドライバーの運転により自車両が信号機を通過した回数が第2閾値以上であるときは、付与する補助的な制動力を変更しないため、ドライバーが当該信号機を通過した回数が多く、当該信号機と停止線との距離に慣れているときに、不要なほど大きな制動力を付与することを防止できる。
【0016】
また、ドライバーの運転により自車両が信号機を通過した回数を記録する走行履歴記録ユニットをさらに備え、ブレーキアシストユニットは、走行履歴記録ユニットが記録したドライバーの運転により自車両が信号機を通過した回数が第2閾値以上であるときは、第1閾値を変更しないことが好適である。
【0017】
この構成によれば、ブレーキアシストユニットは、走行履歴記録ユニットが記録したドライバーの運転により自車両が信号機を通過した回数が第2閾値以上であるときは、第1閾値を変更しないため、ドライバーが当該信号機を通過した回数が多く、当該信号機と停止線との距離に慣れているときに、不要なほど早いタイミングで制動力を付与することを防止できる。
【0018】
また、自車両から信号機を視認できるか否かを推定する視認性推定ユニットをさらに備え、ブレーキアシストユニットは、視認性推定ユニットが自車両から信号機を視認できないと推定したときは、付与する補助的な制動力を変更しないことが好適である。
【0019】
この構成によれば、ブレーキアシストユニットは、視認性推定ユニットが自車両から信号機を視認できないと推定したときは、付与する補助的な制動力を変更しないため、信号機を視認できず、信号機と停止線との距離について錯覚する可能性が少ない場合に、不要なほど大きな制動力を付与することを防止できる。
【0020】
また、自車両から信号機を視認できるか否かを推定する視認性推定ユニットをさらに備え、ブレーキアシストユニットは、視認性推定ユニットが自車両から信号機を視認できないと推定したときは、第1閾値を変更しないことが好適である。
【0021】
この構成によれば、ブレーキアシストユニットは、視認性推定ユニットが自車両から信号機を視認できないと推定したときは、第1閾値を変更しないため、信号機を視認できず、信号機と停止線との距離について錯覚する可能性が少ない場合に、不要なほど早いタイミングで制動力を付与することを防止できる。
【0022】
さらに、信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する信号機情報取得ユニットを更に備え、ブレーキアシストユニットは、信号機情報取得ユニットが取得した信号機情報に基づいて、補助的な制動力を付与することが好適である。
【0023】
この構成によれば、ブレーキアシストユニットは、信号機情報取得ユニットが取得した信号機情報に基づいて、補助的な制動力を付与するため、信号機の点灯状態に応じて、より適切に補助的な制動力を自車両に付与することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のブレーキ制御装置によれば、信号機と信号機の停止線との距離に対応して、より適切に補助的な制動力を自車両に付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフロー図である。
【図3】実施形態に係る運転支援装置が適用される状況を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態では、本発明のブレーキ制御装置を運転支援装置に適用する。図1に示すように、本発明の第1実施形態の運転支援装置100は、インフラ協調ECU110に、GPS101、前方カメラ102、ミリ波レーダ103、通信装置104、車速センサ105、ディスプレイ106、ACCスイッチ107、PCSスイッチ108、ドライバー認証ユニット109、記憶装置(HDD)120、ブレーキアクチュエータ131、アクセルアクチュエータ132及びスピーカ140を備えている。本実施形態の運転支援装置100は、通信装置104が光ビーコン等の路側施設から受信した信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報と、GPS101及び記憶装置120によるナビゲーションの情報とを協調させて、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力を付与するブレーキアシストを行うための装置である。
【0028】
GPS(Global Positioning System)101は、複数のGPS衛生からの信号をGPS受信機で受信し、各々の信号の相違から自車両の位置を測位するためのものである。
【0029】
前方カメラ102は、信号機、停止線及び自車両前方の先行車両を撮像することにより、信号機の点灯状態、信号機及び停止線の位置、先行車両の速度(相対速度を含む)、減速度、自車両との車間距離、及び自車両との車間時間を得るために用いられる。
【0030】
ミリ波レーダ103は、自車両前方の先行車両の速度(相対速度を含む)、加速度、自車両との車間距離、及び自車両との車間時間を得るために用いられる。レーダ103は、前方にミリ波を照射し、物体に反射して戻ってくる反射波を受信し、先行車両の車速、減速度、車間距離及び車間時間を検出するセンサである。
【0031】
通信装置104は、具体的には光ビーコン受信機や車車間通信機であり、路側施設の光ビーコン送信機や他車両から送信された信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や信号機の位置や停止線の位置に関する情報を取得するためのものである。信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報には、信号機の表示する信号の変遷に関する情報である信号サイクルや、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等が含まれる。車速センサ105は、車軸の回転数から自車両の車速を検出するセンサである。
【0032】
ディスプレイ106は、画面表示により信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報や、赤信号で交差点に侵入する旨の警告である赤信号警告等を運転者に表示するためのものである。
【0033】
ACCスイッチ107は、所望の設定車速で自車両を先行車両に対して追従走行させるACC(Adaptive Cruise Control)を実行するためのスイッチである。PCSスイッチ108は、自車両が障害物に接触することを防止し、自車両が障害物に接触したときの被害を軽減するPCS(Pri-Crush Safety)を実行するためのスイッチである。
【0034】
ドライバー認証ユニット109は、IDカードの挿入、暗証番号及びパスワードの入力及び指紋又は虹彩等の生体認証等により、自車両を運転するドライバーそれぞれの認証を行うためのものである。
【0035】
ブレーキ量センサ150は、ブレーキペダルの踏み込み量や、ホイールシリンダの油圧を検出するためのセンサである。
【0036】
記憶装置(HDD:hard disk drive)120は、地図情報が記録された地図情報DB121を有しており、インフラ協調ECU110及びナビECU130が、GPS101によって得られた自車両の測位情報と併せて自車両が走行している経路、走行距離等に関する情報を取得するためのものである。あるいは、記憶装置120には、各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報が記録される。また、記憶装置120は、走行履歴DB122を有している。走行履歴DB122には、自車両を運転したドライバーごとの走行履歴が記録される。
【0037】
インフラ協調ECU110は、通信装置104が光ビーコン送信機から受信した信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報と、GPS101の測位情報及び地図情報DB121から得られた自車両が走行している経路、走行距離等に関する情報と、車速センサ105によって取得した自車両の車速と、ミリ波103及びカメラ102によって取得した前方車両及び信号機に関する情報と、記憶装置120に記録された各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報とに基づいて、ディスプレイ106及びスピーカ107により、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等を運転者に提供したり、ブレーキアクチュエータ131やアクセルアクチュエータ132を駆動して、自車両の走行を自動的に制御するためのものである。
【0038】
ブレーキアクチュエータ131は、ホイールシリンダの油圧を制御するアクチュエータである。ブレーキアクチュエータ131は、インフラ協調ECU110からの制御信号に応じてアクチュエータを作動させてホイールシリンダに所定の油圧を発生させる。
【0039】
アクセルアクチュエータ132は、スロットルバルブの開度を調整するアクチュエータである。アクセルアクチュエータ132は、インフラ協調ECU110からの目標スロットル開度信号に応じて作動し、スロットルバルブの開度を調整する。
【0040】
スピーカ140は、音声により信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等や赤信号警告等を運転者に報知するためのものである。なお、本実施形態において、前方カメラ102、ミリ波レーダ103及び通信装置104及びナビECU130は、必ずしも全て装備されていなくとも良い。
【0041】
以下、本実施形態の運転支援装置100の動作について説明する。図2に示すように、インフラ協調ECU110は、通信装置104によって、路側インフラクチャーの光ビーコン送信機や車車間通信機からの信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や、信号機や停止線の位置情報を受信しているか、記憶装置120に記録された各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や、信号機や停止線の位置情報を取得しているものとする。
【0042】
インフラ協調ECU110は、前提として、取得した信号機情報により、信号機情報を利用したブレーキアシストが可能であるか否かを判断する(S101)。例えば、車速センサにより検出された自車両の車速が一定値以下である場合、信号機情報が十分にある場合及び停止線までの距離が一定値以上であるときは、インフラ協調ECU110は、信号機情報を利用したブレーキアシストが可能であると判定する。
【0043】
インフラ協調ECU110は、通信装置104等により取得した信号機の位置と停止線の位置とから、図3に示すような信号機401と停止線402との間の距離Dを算出する(S102)。信号機401と停止線402との間の距離Dは、駐停車禁止区域403等が存在する場合や、交差道路の幅が広い場合には、通常よりも大きくなる。
【0044】
信号機401と停止線402との間の距離Dは、通信装置104による路車間通信により路側インフラストラクチャーから取得した信号機401及び停止線402の位置に関する情報から算出される。また、信号機401と停止線402との間の距離Dは、前方カメラ102の撮像画像を用いて信号機401及び停止線402と自車両との距離を測定することにより算出される。また、信号機401と停止線402との間の距離Dは、信号機401が設置された交差点の交差道路の幅や、交差道路の車線数より推定される。さらに、信号機401と停止線402との間の距離Dは、図3に示す停止線402と交差道路との距離D’がある閾値L’よりも大きい場合、信号機401と停止線402との間の距離Dも、閾値Lよりも長いと判定できる。
【0045】
インフラ協調ECU110は、信号機401と停止線402との間の距離Dが閾値Lよりも大きいか否かを判定する(S103)。閾値Lは、信号機と停止線との間の距離の全国的な平均値とすることができる。また、インフラ協調ECU110は、走行履歴DBに記録された走行履歴により、自車両を現在運転しているドライバーの運転により自車両が信号機401を通過した回数が所定の閾値であるN回以上か否かを判定する(S104)。さらに、インフラ協調ECU110は、前方カメラ102、ミリ波レーダ103及び地図情報DB121に記録された地形に関する情報により、自車両から信号機401を視認できるか否かについて判定する。
【0046】
信号機401と停止線402との間の距離Dが閾値Lよりも大きく(S103)、自車両が信号機401を通過した回数が所定の閾値であるN回以上であり(S104)、且つ自車両から信号機401を視認できるときは(S105)、インフラ協調ECU110は、ブレーキアシスト(BA)量を規定よりも大きい値である(規定値+α)に設定し、ブレーキアシスト実施閾値を距離Dに比例する距離D×γに設定する(S106)。γは任意の定数である。ブレーキアシスト量は、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して付与される補助的な制動力である。また、ブレーキアシスト実施閾値は、ブレーキアシストが開始されるための閾値であり、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力が、ブレーキアシスト実施閾値以下のときに、ブレーキアシストが開始される。ブレーキアシスト実施閾値は、ブレーキペダル踏量や、ホイールシリンダの油圧により規定することができる。
【0047】
一方、信号機401と停止線402との間の距離Dが閾値Lよりも大きいこと(S103)、自車両が信号機401を通過した回数が所定の閾値であるN回以上であること(S104)、且つ自車両から信号機401を視認できること(S105)のいずれかを満たさないときは、インフラ協調ECU110は、ブレーキアシスト量及びブレーキアシスト実施閾値を一般的な規定値に設定する(S107)。
【0048】
ブレーキ量センサ150によりドライバーのブレーキ操作が検出され(S108)、且つブレーキ量がブレーキアシスト閾値以下であるときは(S109)、インフラ協調ECU110は、S106又はS107で設定したブレーキアシスト量でブレーキアクチュエータ131を駆動してブレーキアシストを実施する(S110)。インフラ協調ECU110は、自車両が信号機401が設置された交差点に進入した場合や、ドライバーがアクセルペダルを踏んだ場合等のサービス終了条件をときや、自車両が停止した場合には(S111)、ブレーキアシストの処理を終了する。
【0049】
本実施形態によれば、信号機401と信号機401の停止線402との距離Dを取得する通信装置104と、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力を付与するブレーキアクチュエータ131とを備えた運転支援装置100において、自車両が信号機401に接近するときに、ブレーキアクチュエータ131は、通信装置104が取得した信号機401と信号機401の停止線402との距離Dに基づいて、付与する補助的な制動力を変更するため、信号機401と信号機401の停止線402との距離Dに対応して、より適切な大きさの制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態によれば、信号機401と信号機401の停止線402との距離Dを取得する通信装置104と、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力がブレーキアシスト実施閾値以下のときに、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力の付与を開始するブレーキアクチュエータ131とを備えた運転支援装置100において、自車両が信号機401に接近するときに、ブレーキアクチュエータ131は、通信装置104が取得した信号機401と信号機401の停止線402との距離Dに基づいて、ブレーキアシスト実施閾値を変更するため、信号機401と信号機401の停止線402との距離Dに対応して、より適切なタイミングで制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ131は、通信装置104が取得した信号機401と信号機401の停止線402との距離Dが長く、ドライバーのブレーキ操作による制動力が不足しがちな場合ほど大きな制動力を付与するため、より適切な大きさの制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ131は、通信装置104が取得した信号機401と信号機401の停止線402との距離Dが長く、ドライバーのブレーキ操作が遅れがちな場合ほど、補助的な制動力を付与するタイミングを早めることになるため、より適切なタイミングで制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ131は、走行履歴DB122が記録したドライバーの運転により自車両が信号機401を通過した回数がN回以上であるときは、付与する補助的な制動力を変更しないため、ドライバーが当該信号機401を通過した回数が多く、当該信号機401と停止線402との距離Dに慣れているときに、不要なほど大きな制動力を付与することを防止できる。
【0054】
また、本実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ131は、走行履歴DB122が記録したドライバーの運転により自車両が信号機401を通過した回数がN回以上であるときは、ブレーキアシスト実施閾値を変更しないため、ドライバーが当該信号機401を通過した回数が多く、当該信号機401と停止線402との距離Dに慣れているときに、不要なほど早いタイミングで制動力を付与することを防止できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ131は、前方カメラ102等より自車両から信号機401を視認できないと推定されるときは、付与する補助的な制動力を変更しないため、信号機401を視認できず、信号機401と停止線402との距離Dについて錯覚する可能性が少ない場合に、不要なほど大きな制動力を付与することを防止できる。
【0056】
また、本実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ131は、前方カメラ102等より自車両から信号機401を視認できないと推定されるときは、ブレーキアシスト実施閾値を変更しないため、信号機401を視認できず、信号機401と停止線402との距離Dについて錯覚する可能性が少ない場合に、不要なほど早いタイミングで制動力を付与することを防止できる。
【0057】
さらに、本実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ131は、通信装置104が取得した信号機情報に基づいて、補助的な制動力を付与するため、信号機の点灯状態に応じて、より適切に補助的な制動力を自車両に付与することが可能となる。
【0058】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、通信装置104による路車間通信により信号機401に関する情報を取得する態様について中心に説明したが、前方カメラ102等の信号機401の映像に基づいて信号機401に関する情報を取得することも可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、ブレーキアシスト量やブレーキアシストを実施するタイミングを変更する態様について中心に説明したが、信号機401と停止線402との間の距離Dに基づいて、ディスプレイ106やスピーカ140による警告のタイミングを変更することも可能である。さらに、上記実施形態では、信号機401が設置された交差点で運転支援装置100が適用される態様について中心に説明したが、例えば、一時停止の標識と停止線との距離に基づいて、ブレーキアシスト量やブレーキアシストを実施するタイミングを変更することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
100…運転支援装置、101…GPS、102…前方カメラ、103…ミリ波レーダ、104…通信装置、105…車速センサ、106…ディスプレイ、107…ACCスイッチ、108…PCSスイッチ、109…ドライバー認証ユニット、110…インフラ協調ECU、120…記憶装置(HDD)、121…地図情報DB、122…ブレーキECU、131…ブレーキアクチュエータ、132…アクセルアクチュエータ、140…スピーカ、150…ブレーキ量センサ、401…信号機、402…停止線、403…駐停車禁止区域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機と前記信号機の停止線との距離を取得する距離取得ユニットと、
自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力を付与するブレーキアシストユニットと、
を備え、
前記自車両が前記信号機に接近するときに、前記ブレーキアシストユニットは、前記距離取得ユニットが取得した信号機と前記信号機の停止線との距離に基づいて、付与する補助的な制動力を変更する、ブレーキ制御装置。
【請求項2】
信号機と前記信号機の停止線との距離を取得する距離取得ユニットと、
自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力が第1閾値以下のときに、前記自車両の前記ドライバーのブレーキ操作による制動力に対して、補助的な制動力の付与を開始するブレーキアシストユニットと、
を備え、
前記自車両が前記信号機に接近するときに、前記ブレーキアシストユニットは、前記距離取得ユニットが取得した信号機と前記信号機の停止線との距離に基づいて、前記第1閾値を変更する、ブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記ブレーキアシストユニットは、前記距離取得ユニットが取得した信号機と前記信号機の停止線との距離が長いほど大きな制動力を付与する、請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記ブレーキアシストユニットは、前記距離取得ユニットが取得した信号機と前記信号機の停止線との距離が長いほど大きな前記第1閾値を設定する、請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記ドライバーの運転により前記自車両が前記信号機を通過した回数を記録する走行履歴記録ユニットをさらに備え、
前記ブレーキアシストユニットは、前記走行履歴記録ユニットが記録した前記ドライバーの運転により前記自車両が前記信号機を通過した回数が第2閾値以上であるときは、付与する補助的な制動力を変更しない、請求項1又は3に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記ドライバーの運転により前記自車両が前記信号機を通過した回数を記録する走行履歴記録ユニットをさらに備え、
前記ブレーキアシストユニットは、前記走行履歴記録ユニットが記録した前記ドライバーの運転により前記自車両が前記信号機を通過した回数が第2閾値以上であるときは、前記第1閾値を変更しない、請求項2又は4に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記自車両から前記信号機を視認できるか否かを推定する視認性推定ユニットをさらに備え、
前記ブレーキアシストユニットは、前記視認性推定ユニットが前記自車両から前記信号機を視認できないと推定したときは、付与する補助的な制動力を変更しない、請求項1、3及び5のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
前記自車両から前記信号機を視認できるか否かを推定する視認性推定ユニットをさらに備え、
前記ブレーキアシストユニットは、前記視認性推定ユニットが前記自車両から前記信号機を視認できないと推定したときは、前記第1閾値を変更しない、請求項2、4及び6のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項9】
信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する信号機情報取得ユニットを更に備え、
前記ブレーキアシストユニットは、前記信号機情報取得ユニットが取得した前記信号機情報に基づいて、補助的な制動力を付与する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−280271(P2010−280271A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134027(P2009−134027)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】