説明

プロテイナーゼ活性化受容体アンタゴニストを含む組成物および方法

プロテイナーゼ活性化受容体アンタゴニストを含む組成物および方法が提供される。特に、本発明は、プロテイナーゼ活性化受容体2に結合し、この受容体の活性化に関連するプロセスを阻害するタンパク質、ペプチドおよび分子の使用に関する。より具体的には、本発明は、異常細胞増殖、血管新生、炎症および癌等に関連する障害および疾患の治療のための新規組成物および方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、両方とも参照により全体として本明細書に組み込まれている2004年8月20日出願の米国特許仮出願第60/603307号および2005年1月18日出願の米国特許仮出願第60/644710号の便益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、プロテイナーゼ活性化受容体アンタゴニストを含む組成物および方法に関する。特に、本発明は、プロテイナーゼ活性化受容体に結合し、この受容体の活性化に関連するプロセスを阻害するタンパク質、ペプチドおよび非ペプチド分子の使用に関する。より具体的には、本発明は、異常細胞増殖、血管新生、炎症および癌等に関連する障害および疾患の治療のための新規組成物および方法を提供する。
【0003】
(発明の背景)
細胞の増殖はすべての生物体において常時起きているプロセスであって、それには多くの因子とシグナルが関わり合っており、それらが微妙にバランスをとりながら正常な細胞のサイクルを維持している。一般的な細胞分裂のプロセスは連続した2つのプロセスからなっており、それらは核の分裂(有糸分裂)と細胞質の分裂(細胞質分裂)である。生物体は絶えず細胞を成長させ、交換しているので、細胞の増殖は、ほとんどすべての生物学的プロセスを正常に機能させるためには欠くことのできない中核的なプロセスである。哺乳類の細胞が成長や分裂をするかどうかを支配しているのは、細胞が成長可能となるスペースの利用を含めた各種のフィードバック調節メカニズム、および隣接する環境における特定の刺激および抑制因子の分泌などである。
【0004】
正常な細胞の増殖に混乱が生じたり、ある程度阻害されたりすると、その結果各種の生体機能の秩序に影響が現れる。増殖が阻害されるのには無数の因子が原因となり得、例えば、各種のシグナル伝達物質の欠乏または過剰、あるいは環境の変化などである。異常な細胞増殖による特徴的な障害としては、癌、胚の異常発育、黄体の不適切な形成、創傷治癒の困難、さらには炎症および免疫反応での機能不全などがある。
【0005】
癌の特徴は異常な細胞増殖にある。癌細胞は宿主にとっては危険となる多くの特性を持っており、しばしば他の組織に浸潤していくことができ、また毛細血管での内部成長を引き起こすことができるので、その結果増殖中の癌細胞に十分な血液の供給がもたらされる。癌細胞の決定的な特徴の1つは、正常な細胞の分裂を制御している調節メカニズムに対して異常に反応し、ほとんど調節不能な状態で分裂を続け、宿主を殺してしまうことにある。
【0006】
血管新生および血管新生関連の疾患は細胞の増殖と密接な関係がある。本明細書において用いる「血管新生」という用語は、組織または器官の内部に新しい血管が形成されることを意味している。正常な生理的条件においては、ヒトまたは動物において血管新生が起こるのは極めて特定の限られた状態の場合だけである。例えば、血管新生が通常認められるのは、創傷治癒、胎児および胚の発育、黄体、子宮内膜および胎盤の形成の場合である。「内皮」という用語は本明細書においては、漿膜腔、リンパ管および血管の表面に並んでいる扁平な細胞の薄い層と定義する。これらの細胞を本明細書においては「内皮細胞」と定義する。「内皮阻害活性」という用語は、一般的に血管新生を阻害するための分子の能力を意味する。内皮細胞増殖の阻害の結果、血管新生も阻害される。
【0007】
血管新生は制御が効く場合も効かない場合も、同様の挙動で進行すると考えられる。内皮細胞および周皮細胞は、基底膜によって包まれ、毛細血管を形成している。血管新生は、内皮細胞および白血球から放出される酵素によって基底膜が浸食されることから始まる。次いで血管の内腔に並んでいる内皮細胞が、基底膜を突き抜ける。血管新生の刺激物が刺激することにより内皮細胞が浸食された基底膜を通過して移動する。この移動した細胞が親の血管から離れて「芽」を形成し、そこで内皮細胞が有糸分裂をして増殖する。内皮細胞の芽が互いに結合して、毛細管状のループを形成し、新しい血管を作る。
【0008】
持続的で無秩序な血管新生は、疾患状態の重複、腫瘍の転移および内皮細胞の異常成長の場合に起こり、これらの状態で観察される病理学的な損傷をもたらす。無秩序な血管新生が生じる場合の多様な病理学的疾患状態は、「血管新生依存性」、「血管新生付随性」または「血管新生関連性」疾患にグループ化され、名づけられている。これらの疾患は、異常あるいは好ましくない細胞増殖、とりわけ内皮細胞増殖の結果である。
【0009】
腫瘍の成長は血管新生依存性であるという仮説は、1971年にJudah Folkmanによって初めて提唱された(N.Engl.Jour.Med.285:1182−1186,1971)。ごく簡単に説明すれば、この仮説では、一旦腫瘍の「獲得」が起こると、腫瘍細胞集団の増大に先だって、必ず、腫瘍の上に集中して新しい毛細血管が増加すると提唱している。この腫瘍の「獲得」は現在では、腫瘍成長における前駆血管の段階を指すと理解されており、そこでは、腫瘍細胞の集団が数立方ミリメートルの体積を占め、細胞の数は数百万を超えることはなく、当の宿主の微小血管の中で生きている。腫瘍の体積がこの段階の後に拡大するためには、新しい毛細血管の誘導が必要である。例えば、初期の前駆血管の段階における肺の微小転移巣は、組織の切片を高倍率の顕微鏡で調べない限り見つけられない。腫瘍の成長が血管新生依存性であるという概念を支持するさらなる間接的な証拠は、すべて参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5639725号、同第5629327号、同第5792845号、同第5733876号および同第5854205号に見出される。
【0010】
したがって、細胞増殖、特に内皮細胞増殖、さらに、とりわけ血管新生が癌の転移において主要な役割を果たしていることは明らかである。この異常あるいは好ましくない増殖活性を制圧し、阻害し、あるいは排除することができれば、腫瘍は、たとえ既に存在していても成長しないであろう。この疾患状態では、異常あるいは好ましくない細胞の増殖および血管新生を妨げることによって、新たな微小血管系の浸入によるダメージを回避することができる。細胞増殖プロセスの制御のための治療法は、これらの疾患を抑制あるいは軽減させることを可能とする。
【0011】
近年、異常なプロテイナーゼ活性化受容体の活性と、ある種の障害および疾患とを関連付ける研究が行われた。特に興味深いのは、炎症、血管新生、および敗血症等の障害に関連することが発見されたプロテイナーゼ活性化受容体2である。いくつかの試みがなされたが、プロテイナーゼ活性化受容体2の効果的なアンタゴニストは同定されなかった。
【0012】
必要なのは、異常または好ましくない細胞機能、特に、好ましくない細胞増殖、血管新生、炎症および癌に関連する機能を阻害することのできる組成物および方法である。この組成物は、内因性プロテイナーゼ活性化受容体のリガンドの活性に打ち勝ち、プロテイナーゼ活性化受容体の活性化を阻害することにより、プロテイナーゼ活性化受容体の不適切な活性化に付随する異常な生理状態の発生を阻害するタンパク質、ペプチドおよび非ペプチド分子を含むべきである。最後に、プロテイナーゼ活性化受容体の活性化を阻害するための組成物および方法は、無毒であり、副作用がほとんどないことが好ましい。
【0013】
(発明の概要)
異常または好ましくない細胞機能、特に、血管新生、新血管新生、炎症、腫瘍成長、敗血症、神経性および炎症性の疼痛、喘息および術後腸閉塞に関する細胞活性および増殖を阻害するのに効果的な、組成物および方法を提供する。この組成物は、プロテイナーゼ活性化受容体に結合するリガンドのすべての作用またはその活性部分を含むか模倣する、天然または合成タンパク質、ペプチド、タンパク質断片または非ペプチド分子を含み、必要に応じて薬学的に許容される担体と組み合わされる。
【0014】
本発明に有用な、代表的なリガンドまたはアンタゴニストとしては、これらに限定されないが、タンパク質、ペプチドおよびプロテイナーゼ活性化受容体1(PAR−1)、プロテイナーゼ活性化受容体2(PAR−2)、プロテイナーゼ活性化受容体3(PAR−3)、またはプロテイナーゼ活性化受容体4(PAR−4)等のプロテイナーゼ活性化受容体に結合する分子が挙げられる。本発明の好ましいリガンド組成物としては、これらに限定されないが、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)、LIGKV(ENMD−1007)(配列番号2)、KGIL(配列番号3)、KGI(配列番号4)、AGI(配列番号5)、IGA(配列番号6)、KGA(配列番号7)、KGA(配列番号8)、KAI(配列番号9)、IAK(配列番号10)、RGI(配列番号11)、IGR(ENMD−1023)(配列番号12)、Dab−GI(Dab=ジアミノブタン酸)(配列番号13)、Dap−GI(Dap=ジアミノプロプリオ酸)(配列番号14)、IG−Dab(ENMD−1024)(配列番号15)、IG−Dap(ENMD−1025)(配列番号16)、LIG−Dab(ENMD−1026)(配列番号17)、Dab−GIL(配列番号18)、LIG−Dap(ENMD−1027)(配列番号19)、Dap−GIL(配列番号20)、LIG−Orn(Orn=オルニチン、ENMD−1028)(配列番号21)、Orn−GIL(配列番号22)、Orn−GI(配列番号23)、IG−Orn(ENMD−1029)(配列番号24)、LIG(4−アミノ−フェニルアラニン)(ENMD−1030)(配列番号25)、LIG(2−アミノ−グリシン)(ENMD−1031)(配列番号26)、dL−dI−dG−dK(d=D−アミノ酸)(ENMD−1032)(配列番号27)、dI−dG−dK(ENMD−1383)(配列番号28)、LIG−dK(ENMD−1384)(配列番号29)、IG−dK(ENMD−1087)(配列番号30)、IGK−アミド(ENMD−1021)(配列番号31)、LIGR(ENMD−1022)(配列番号32)、LIGD(ENMD−1045)(配列番号33)、LIGE(ENMD−1046)(配列番号34)、LIGN(ENMD−1047)(配列番号35)、LIGQ(ENMD−1048)(配列番号36)、LIGS(ENMD−1049)(配列番号37)、LIGT(ENMD−1050)(配列番号38)、LIGY(ENMD−1051)(配列番号39)、LIPK(ENMD−1052)(配列番号40)、LPGK(ENMD−1053)(配列番号41)、LIGH(ENMD−1054)(配列番号42)、L−Statine−K(ENMD−1056)(配列番号43)、L−Statine−GK(ENMD−1057)(配列番号44)、L−ニペコチン酸−K(ENMD−1058)(配列番号45)、L−ニペコチン酸−GK(ENMD−1059)(配列番号46)、L−ヒドロキシピペリジン−K(ENMD−1060)(配列番号47)、L−ヒドロキシピペリジン−GK(ENMD−1061)(配列番号48)、L−イミダゾリジン−K(ENMD−1062)(配列番号49)、L−イミダゾリジン−GK(ENMD−1063)(配列番号50)、およびLIGM(ENMD−1064)(配列番号51)を含むペプチド類、ならびにさまざまな下記の分子が挙げられる。また、機能的および構造的誘導体を含むリガンドおよびアンタゴニスト、ならびに上に列挙された分子の同等物も、本発明の範囲内であると考えられる。
【0015】
タンパク質、ペプチド、タンパク質断片または本発明の分子は、上で特定されたリガンドおよびアンタゴニストのすべてまたはその活性部分を含むか作用を模倣することが好ましい。本明細書で使用する用語「活性部分」とは、プロテイナーゼ活性化受容体の活性化を阻害するタンパク質、ペプチドまたは分子の一部を意味する。プロテイナーゼ活性化受容体の活性を阻害する、相同体、ペプチド、タンパク質断片、または上で特定されたリガンドおよびアンタゴニストの組み合わせも、本発明に含まれる。
【0016】
プロテイナーゼ活性化受容体の活性を阻害することによって、本明細書で記載された方法および組成物は、異常なプロテイナーゼ活性化受容体の活性に関連する疾患および障害を阻害するのに有用であると考えられる。炎症や癌等の、プロテイナーゼ活性化受容体が媒介する疾患およびプロセスを治療するために本明細書で提供する方法は、本明細書で記載された組成物を、プロテイナーゼ活性化受容体の活性、特に、PAR−2の活性を阻害するのに十分な用量で、ヒトまたは動物に投与することを含む。この方法は、特に、血管新生を阻害することによって、腫瘍の成長の処置または抑制と炎症および炎症反応を減少させるために特に有用である。
【0017】
したがって、本発明の目的は、異常または好ましくないプロテイナーゼ活性化受容体の活性によって媒介される疾患およびプロセスを処置するための方法および組成物を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、特に、血管新生、新血管新生、炎症、炎症に関係する状態、腫瘍成長、腫瘍転移、敗血症、神経性および炎症性の疼痛、喘息および術後腸閉塞に関する、異常なまたは好ましくない細胞機能、細胞活性および増殖を阻害するための方法および組成物を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、癌の成長または腫瘍転移を処置あるいは抑制するための方法と組成物を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる別の目的は、副作用を最小限にした癌の治療法のための方法と組成物を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、血管新生が媒介する疾患およびプロセスを処置するための方法と組成物を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、炎症、炎症反応および炎症性疾患を処置あるいは抑制するための方法と組成物を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる別の目的は、副作用が最小限である炎症の治療のための方法と組成物を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、これらには限定されないが、急性炎症、慢性炎症、関節リウマチ、皮膚炎、炎症性腸疾患、炎症性腸症候群、喘息、敗血症、神経痛、および皮膚炎を含む炎症または炎症反応によって媒介される疾患およびプロセスを処置するための方法と組成物を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる別の目的は、プロテイナーゼ活性化受容体の活性を阻害する、タンパク質、ペプチド、分子、活性断片およびそれらの相同体を使用することを含む方法および組成物を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、プロテイナーゼ活性化受容体に結合するリガンドを含む抗血管新生化合物を投与することによって、血管新生によってもたらされる疾患およびプロセスを処置するための方法と組成物を提供することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、異常なプロテイナーゼ活性化受容体の活性によってもたらされる疾患およびプロセスを処置するための方法および組成物を提供することである。
【0028】
本発明の別の目的は、プロテイナーゼ活性化受容体の異常な活性を測定することによって疾患および障害を診断するための方法および組成物を提供することである。
【0029】
本発明のさらなる別の目的は、薬学的に許容される担体をさらに含む、プロテイナーゼ活性化受容体に結合するリガンドを含む組成物を提供することである。
【0030】
本発明のさらなる別の目的は、鼻腔内、筋内、静脈内、経皮、経口、局所、経膣、直腸、または皮下投与することができる薬学的に許容される担体をさらに含むプロテイナーゼ活性化受容体に結合するリガンドを含む方法および組成物を提供することである。
【0031】
本発明のさらなる別の目的は、血管新生が媒介する疾患およびプロセスを処置するための組成物および方法を提供することであり、それら疾患に含まれるのは、これらに限定されないが、血管腫、充実性腫瘍、血液由来腫瘍(blood borne tumor)、白血病、腫瘍転移、毛細血管拡張症、乾癬、強皮症、化膿性肉芽腫、心筋血管新生、粥状動脈硬化、クローン病、プラーク新血管新生、動静脈の奇形、角膜疾患、ルベオーシス、新生血管緑内障、糖尿病性網膜症、水晶体後方線維増殖症、関節炎、糖尿病性新血管新生、黄斑変性症、創傷治癒、消化性潰瘍、ヘリコバクターに関連する疾患、骨折、ケロイド、血管形成、造血、子宮内膜症、排卵、月経、胎盤形成、およびネコ引っ掻き熱などである。
【0032】
本発明の上記およびその他の目的、特徴および優れた点については、以下に開示した実施形態の詳細な説明および添付した特許請求の範囲を参照すれば明らかとなろう。
【0033】
(詳細な説明)
以下には、本発明を実施する場合の、現在考え得る最良の実施形態が記載されている。ここでの記載は、本発明の一般的な原理を説明するためになされたものであり、限定を意味するものと解釈すべきではない。本明細書に挙げられている引用文献の全文は、参照により全体として本明細書に組み込まれるが、それらは、米国仮出願第60/391655号(2002年6月26日出願)、米国仮出願第60/398662号(2002年7月26日出願)、米国仮出願第60/458095号(2003年3月27日出願)および米国仮出願第60/466296号(2003年4月29日出願)ならびに米国出願第10/608886号(2003年6月26日出願)および同第10/833252号(2004年4月27日出願)を含む。
【0034】
プロテイナーゼ活性化受容体2(PAR−2)は、7つの膜貫通Gタンパク質結合受容体(GPCR)であり、トリプシン、トリプターゼ、マトリプターゼ、組織因子(TF)/因子VIIa(fVIIa)複合体および非限定で好中球プロテアーゼ−3を含む他のプロテアーゼのタンパク質分解活性に反応してシグナル伝達する。アミノ末端のタンパク質分解切断により、一連のペプチドリガンドのメカニズムを通して該受容体を活性化する新規アミノ末端が露わとなり、本質的に、該新規末端は受容体のリガンド結合ポケットに挿入するリガンドとなる。短い合成活性化ペプチド(AP2またはP2APまたはP2Pのようにさまざまに知られている)SLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)(ヒト)、SLIGRL−NH(マウス)(配列番号53))は、受容体を活性化する。リガンドが結合すると、受容体の活性化を示す細胞内のカルシウム濃度の増加が起こる。
【0035】
いくつかの研究により、PAR−2は、血管新生、新血管新生および炎症に関与することが示された。PAR−2は、疼痛伝達、組織損傷および心血管機能の調節にも関連していた。例えば、Miliaらは、心血管系におけるPAR−2の幅広い発現、PAR−2によるin vitroでの内皮細胞の有糸分裂誘発の媒介、およびPAR−2によるin vivoでの血管拡張および微小血管浸透性の促進について議論しており、これらのステップのすべては、血管新生における必須のステップと考えられる(Miliaら、Circulation Research Vol.91(4)2002 pp.346−352、これは参照により全体として本明細書に組み込まれる)。Miliaらは、すべて炎症に関与すると考えられる腫瘍壊死因子−a、インターロイキン−b、およびリポ多糖を含むサイトカインによるPAR−2発現のアップレギュレーションについてさらに議論している(同書)。
【0036】
さらに、最近の研究により、PAR−2の活性化は神経性の炎症および侵害受容をもたらすことが示され、場合によってはニューロン上でのPAR−2の活性化は、炎症誘発性のサイトカインの生成、および一連の炎症シグナルをもたらすことが示された。PAR−2は、関節リウマチ等の慢性炎症性疾患の発症において本質的な役割を果たすことも示された。
【0037】
異常な生理的状態におけるPAR活性の現在の知見に基づくと、PAR活性特にPAR−2活性は、これらに限定されないが、血管新生、新血管新生、炎症、腫瘍成長、敗血症、神経性および炎症性の疼痛、喘息および術後腸閉塞等を含む、多数の障害および疾患に関連するものと考えられる。
【0038】
本発明者らは、PAR−2アゴニストTF/fVIIaのタンパク質分解活性は、凝集におけるその役割とは無関係に、腫瘍成長および血管新生を促進させることを以前に示した(Hembroughら、Blood 103:3374−3380)。今までPAR−2の特異的アンタゴニストが同定されなかったため、PAR−2の役割および疾患への関連性のさらなる特徴化および分析は困難であった。本明細書で本発明者らは、PAR−2シグナル伝達の特異的アンタゴニストに関して記載する。in vivoで、これらのPAR−2アンタゴニストは、血管新生、腫瘍成長および炎症性疾患の阻害物質である。本発明者らによる先行研究は、腫瘍成長および血管新生におけるPAR−2に関する潜在的な役割を示唆したため、これらの阻害物質が、腫瘍成長または血管新生を阻害することができるかどうかを決定するためのさらなる評価を行った。in vivoでの、これらのPAR−2阻害物質による処置により、血管新生および腫瘍成長の両方が阻害される。したがって、これらの阻害物質の研究は、PAR−2活性が血管新生および腫瘍成長を制御する役割を演じることを示す。PAR−2シグナル伝達が強力かつ特異的なアンタゴニストであることを表すこれらのデータは、正常および異常プロセスにおけるPAR−2の生理機能の研究およびPAR−2によって媒介される疾患プロセスの改善のための強力な手段であることを約束する。
【0039】
本明細書に記載された研究は、PAR−2アンタゴニストの最初の同定を提供している。PAR−2の重要な生理的機能を示す、多数の報告が出版された。これらの活性としては、侵害受容、急性および慢性炎症、皮膚炎、関節リウマチ、喘息、および神経性疼痛が挙げられる。これらの各研究において、特異的なPAR−2アンタゴニストの必要性、およびこの受容体の将来の特徴化におけるそれらの重要な価値が述べられている。
【0040】
他の研究はPAR−2活性を阻害することを含む方法について記載していると主張しているが、そのいずれもが特異的なアンタゴニストを実際は同定してはいない。例えば、上記研究の1つはむしろ、トリプシン、トリプターゼ、マトリプターゼまたは組織因子(TF)/因子VIIa(fVIIa)複合体による、PAR−2のアミノ末端のタンパク質分解切断を妨げることに焦点をあてている(例えば、国際公開公報第01/52883号A1参照)。該研究は、PAR−2アンタゴニストに対する必要性を認識してはいるが、特異的な阻害物質を定義すること、あるいは上記のペプチド、タンパク質または分子について見込まれる構造に関する手引きを提供することには失敗している。本発明者らは、特異的なPAR−2の阻害物質、ならびにPAR−2アンタゴニストの設計および解明を可能にするいくつかのタンパク質/ペプチド構造を成功裏に同定した。
【0041】
上記のように、PAR類は、血栓または炎症性のプロテイナーゼ活性のセンサーとして機能するGPCRのファミリーである。PAR−2受容体を欠くノックアウトマウスは、慢性炎症のアジュバント単関節炎モデルにおいて関節腫張または組織損傷をほとんど示さず、それにより炎症におけるPAR−2の役割が再確認された。別の実験において、本発明者らは、初期および転移性の腫瘍の両方の成長にとって、組織因子の凝集経路が必要であることを示した。これは、TF/fVIIa活性の通常の生理的な標的であるfXaではなくTF/fVIIa複合体の活性を必要とした。したがって、以下の理論に拘束されることは望まないが、異常な生理的状態において、TF/fVIIa複合体はfXa以外のものを標的としていると考えられ、本明細書における研究に基づき、本発明者らはその標的がPAR−2であると考える。
【0042】
PAR−2に対するペプチドアンタゴニストを設計するために、本発明者らはまず、アゴニストペプチドであって、切断型であるかまたはアラニンで単置換されているかのいずれかのSLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)(このシグナル伝達ペプチドは、また、科学文献においてはP2APまたは2APまたはAP2としてさまざまに知られている)のシグナル伝達活性を精密に調査した。これは、シグナル伝達活性を保持するペプチドを排除するために行われ、阻害研究において細胞を脱感作する。図2Aは、2つの切断型分子、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)およびLIGKV(ENMD−1007)(配列番号2)と比較した、PAR−2アゴニストSLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)のカルシウム動員曲線を示す。いずれの切断型分子も、SLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)と対比して、カルシウム動員を誘発できず、これによって、カルシウム放出の典型的な急上昇が示され、続いてシグナルが衰退した。類似の研究を、アラニンで置換したSLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)ペプチドについて行った(図2Bおよび図2C)。SLIGKV(配列番号52)のS、L、I、またはKにおける置換は、シグナル伝達活性を抑制もしくは有意に減少させ、一方、2つの置換ペプチド、SLIAKV(ENMD−1011)(配列番号54)およびSLIGKA(ENMD−1013)(配列番号55)は、強いシグナル伝達活性を示すことがわかった。
【0043】
本発明者らは、PAR−2シグナル伝達活性を欠如するこれらのペプチドの1つが、シグナル伝達する能力を欠如する一方でPAR−2受容体に結合する能力を保持することができるため、むしろPAR−2アンタゴニストとして機能し得ると仮定した。このように、該ペプチドは、内因性のアゴニストペプチドの結合およびシグナル伝達を阻害または置換することができるため、競合阻害物質として機能する。PAR−2シグナル伝達を阻害するこれらのペプチドの潜在力を評価するために、細胞を潜在的アンタゴニストペプチドで所定時間前処理し、次いでP2APで処理した。SLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)から誘導された2つのペプチド、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)およびLIGKV(ENMD−1007)(配列番号2)は、アンタゴニスト活性を示した。図3は、AP2シグナル伝達を阻害するためにLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)を使用した、代表的なアンタゴニストの研究を示す。この研究において、濃度1mMのLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)は、100uMのSLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)のシグナル伝達を完全に阻害した。LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)とLIGKV(ENMD−1007)(配列番号2)との活性を比較する類似の研究では、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)ペプチドは、LIGKV(ENMD−1007)(配列番号2)と比較して、PAR−2シグナル伝達のより強力な阻害剤であること(IC50<0.5mM)がわかった(図4)。
【0044】
PARアンタゴニスト活性を有するさらなるペプチドとしては、非限定で、次のものが挙げられる:KGIL(配列番号3)、KGI(配列番号4)、AGI(配列番号5)、IGA(配列番号6)、KGA(配列番号7)、KGA(配列番号8)、KAI(配列番号9)、IAK(配列番号10)、RGI(配列番号11)、IGR(ENMD−1023)(配列番号12)、Dab−GI(Dab=ジアミノブタン酸)(配列番号13)、Dap−GI(Dap=ジアミノプロプリオ酸)(配列番号14)、IG−Dab(配列番号15)、IG−Dap(ENMD−1025)(配列番号16)、LIG−Dab(ENMD−1026)(配列番号17)、Dab−GIL(配列番号18)、LIG−Dap(ENMD−1027)(配列番号19)、Dap−GIL(配列番号20)、LIG−Orn(Orn=オルニチン、ENMD−1028)(配列番号21)、Orn−GIL(配列番号22)、Orn−GI(配列番号23)、IG−Orn(ENMD−1029)(配列番号24)、LIG(4−アミノ−フェニルアラニン)(ENMD−1030)(配列番号25)、LIG(2−アミノ−グリシン)(ENMD−1031)(配列番号26)、dL−dI−G−dK(d=D−アミノ酸)(ENMD−1032)(配列番号27)、dI−G−dK(ENMD−1383)(配列番号28)、LIG−dK(ENMD−1384)(配列番号29)、IG−dK(ENMD−1087)(配列番号30)、IGK−アミド(ENMD−1021)(配列番号31)、LIGR(ENMD−1022)(配列番号32)、LIGD(ENMD−1045)(配列番号33)、LIGE(ENMD−1046)(配列番号34)、LIGN(ENMD−1047)(配列番号35)、LIGQ(ENMD−1048)(配列番号36)、LIGS(ENMD−1049)(配列番号37)、LIGT(ENMD−1050)(配列番号38)、LIGY(ENMD−1051)(配列番号39)、LIPK(ENMD−1052)(配列番号40)、LPGK(ENMD−1053)(配列番号41)、LIGH(ENMD−1054)(配列番号42)、L−Statine−K(ENMD−1056)(配列番号43)、L−Statine−GK(ENMD−1057)(配列番号44)、L−ニペコチン酸−K(ENMD−1058)(配列番号45)、L−ニペコチン酸−GK(ENMD−1059)(配列番号46)、L−ヒドロキシピペリジン−K(ENMD−1060)(配列番号47)、L−ヒドロキシピペリジン−GK(ENMD−1061)(配列番号48)、L−イミダゾリジン−K(ENMD−1062)(配列番号49)、L−イミダゾリジン−GK(ENMD−1063)(配列番号50)、およびLIGM(ENMD−1064)(配列番号51)が挙げられる。
【0045】
PARアンタゴニスト活性を示すさらなる分子としては、非限定で、次のものが挙げられる:ENMD−1033、ENMD−1034、ENMD−1035、ENMD−1036、ENMD−1037、ENMD−1038、ENMD−1039、ENMD−1040、ENMD−1041、ENMD−1065、ENMD−1070、ENMD−1075、ENMD−1066、ENMD−1071、ENMD−1076、ENMD−1067、ENMD−1072、ENMD−1077、ENMD−1068、ENMD−1073、ENMD−1078、ENMD−1069、ENMD−1074およびENMD−1079。
【0046】
LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)がPAR−2シグナル伝達の特異的阻害剤であることを示すために、ATPおよびPAR−1活性化ペプチドであるSFLLRN(ENMD−1014)(配列番号56)を用いて、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)で前処理した細胞上で活性化研究を行った。これらの両方の分子は、GPCRを通してシグナル伝達し、PAR−1は、PAR−1アゴニストペプチドが高濃度のPAR−2を通してシグナル伝達できる程度まで、PAR−2に対して高度に相同である。両方の場合において、PAR−2アンタゴニストであるLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)は、PAR−1またはATPシグナル伝達のいずれに対しても阻害効果を有さなかった(図5)。
【0047】
本発明者らは、次に、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)ペプチドがin vivoでPAR−2アンタゴニスト活性を有するかどうかを評価した。これは、血管透過性がPAR−2アゴニストペプチドによって誘発される水腫モデルのマウスを使用して研究した。このモデルにおいて、PAR−2活性化ペプチドは既に報告されている重篤な水腫を誘発する(図6)。この血管応答は、PAR−2アンタゴニストLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)による共処理で阻害された(図6)。したがって、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)は、in vivoでPAR−2シグナル伝達を阻害するように機能する。
【0048】
腫瘍の血管新生および炎症の生理機能におけるPAR−2の役割を確認し、PAR−2およびその他のPAR類を阻害するための新たな薬剤を開発するために、本発明者らは、分子の1領域(例えば、リシンを模倣する化学部分)に塩基性またはその他の極性もしくは水素結合部分と、その部分を分子の別の部分の疎水性部分(例えば、ロイシンを模倣する化学部分)に結合しているリンカーを有する構造とを一般に含むLIGKアンタゴニストペプチドの構造に基づく新規なアンタゴニストを設計し、合成した。各成分に対する基準は次の通りである。疎水性部分は、置換されているか非置換のいずれかであって直線状または分枝状の脂肪族であることができ、以下に記載されているような炭素環またはヘテロ原子含有環であってよく、飽和または不飽和であり得る。極性または親水性部分は、好ましくは、親水性または極性残基として、これらに限定されないが、アルコール、アミン、酸、グアニン、エステルまたはアミド官能基を含む部分を有しており、線状または分枝状、飽和または不飽和の炭素環または複素環を含むことができる。
【0049】
リンカーは、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)中のIleおよびGly残基によって提供されるスペーシングを、構造的に、空間的に、化学的に、および/または電子的に一般に模倣する任意の化学部分を含むことができる。可能性のあるリンカーの例としては、これらには限定されないが、飽和、不飽和または芳香環系、線状または分枝状不飽和または飽和炭化水素鎖、糖、ヌクレオチドもしくはヌクレオシド、単環式または多環式不飽和または飽和炭素環または複素環が挙げられる。リンカーは、1つまたは複数のヘテロ原子(これらには限定されないが、ハロゲン化物、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、セレン、またはリンを含む)を含むことができ、リンカーは、非環式であり、末端R基がリンカーの任意の位置に結合しており、リンカーはヘテロ原子を含有する置換基(これらに限定されないが、イミダゾール、アミノ、アルギニル、アミノフェニル、ピリジル、チオール、アルコール、酸、エステル、ハロゲン化物またはアミドを含む)を有することができ、リンカーは単純な線状もしくは分枝状炭化水素鎖以外の脂肪族基を有することができる。可能なリンカーの部分的なリストには、これらに限定されないが、置換もしくは非置換フェニル、ビアリール(ビフェニルなど)、アゼチジン、ベンジル、飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは線状炭化水素(アルカン、アルケン、またはアルキンを含む)、糖類(グルクロン酸、グルコサミン、およびグルコースを含む)、ポリオール、ポリアミン、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホルアミド、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、フラン、チオフェン、2H−ピロール、ピロール、2−ピロリン、3−ピロリン、ピロリジン、1,3−ジオキサン、オキサゾール、オキサゾリン、イミダゾール、1−イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピラゾリジン、イソオキサゾール、イソチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾール、2H−ピラン、チアゾリジン、4H−ピラン、ピリジン、ピペリジン、1,2−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−モルホリン、1,3−モルホリン、1,4−モルホリン、1,2−ジチアン、1,3−ジチアン、1,4−ジチアン、1,2−チオモルホリン、1,3−チオモルホリン、1,4−チオモルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−ピペラジン、1,3−ピペラジン、1,4−ピペラジン、スルタム、チアゾール、1,3,5−トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、1,3,5−トリチアン、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,3−ジアジン、インドリジン、インドール、イソインドール、3H−インドール、インドリン、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズチオキソール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8−ナフチリジン、プテリジン、キヌクリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、インデン、ナフタレン、アズレン、フルオレン、アントラセン、ノルボラン、アダマンタン、b−カルボリン、ペリミジン、フラザン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナルサジン、クロマン、およびイソクロマンが含まれる。疎水性および極性部分は、リンカー上のヘテロ原子または化学的に可能な炭素原子のいずれかを介してリンカーに結合することができる。
【0050】
疎水性および極性部分ならびにリンカー部分は、さらに置換することができる。かかる置換がなされる理由としては、PARアゴニストもしくはアンタゴニスト結合領域に対する結合または親和性を高めるため、他の受容体または他の結合タンパク質と比較した個々のPARに対する特異性を高めるもしくは修正するため、代謝特性を修正するため、薬理学的特性を修正するため、物理化学的性質(これらに限定されないが、水溶性、分配係数、膜透過性、極性表面積、および領域の極性または電子もしくは疎水性もしくは表面積パラメータを含む)を修正するため、代謝作用を修正するため(例えば、ハロゲン原子による代謝的に不安定なプロトンの置換)、選択された投与経路(これらに限定されないが、経口、全身、経鼻、吸入、口中、直腸、膣、局所、および経皮を含む)に対する吸収特性を修正するため、化学的および生物学的安定性を改良するため、望ましい投与経路に合うように製剤化することができる分子に改良するため、薬物代謝および排出と関連している酵素(これらに限定されないが、CYP類を含むチトクロム、UDPGT類およびGST類を含むトランスフェラーゼ、ならびにMDRを含むトランスポーターを含む)の基質として作用することができる分子に修正するため、分子の体内分布、クリアランスまたは半減期を修正するため、毒性を修正するため、および所望される作用部位への分子のターゲティングを修正するため、を挙げることができる。
【0051】
目的とする分子にこれらの変化を与えるプロセスは、医薬品化学、創薬、および薬剤開発の分野の熟練者にはよく知られており、コンビナトリアルおよびパラレルケミストリー、医薬品化学、インシリコモデリング、コンピューター支援薬剤設計、吸収、分配、代謝、除去または毒性のインシリコモデリング、および非限定でインシリコファーマコフォア、QSARおよびCoMFAを含む予測技術を用いるモデリングが含まれるがこれらには限定されない。
【0052】
分子の特性の改良または修正を評価または試験する方法は、医薬品化学、ドラッグデザイン、薬剤開発、毒物学、生理学および薬理学の分野の熟練者にはよく知られている。これらの方法の例としては、浸透性のPAMPAまたはCaCo2アセスメント;受容体活性化および/またはシグナル伝達、血管新生、腫瘍成長、腫瘍転移、または炎症の減少を含むがこれらには限定されない薬理学のin vivo、in vitro、およびex vivoでの試験;結合のin vivo、in vitro、またはex vivoでの試験;毒物学のin vivo、in vitro、およびex vivoでの試験;細胞、細胞抽出物、または単離した薬物代謝酵素を用いるin vitroでの代謝アッセイ;吸収、分配、代謝、除去、または毒物のin vivoでの判定;hERGイオンチャネルアッセイを用いる心毒性試験;処方研究;およびヒトまたはその他の動物の種における臨床前評価および臨床評価が挙げられるがこれらに限定はされない。
【0053】
PARアンタゴニストの部分または成分は、適切な保護基を用いる多数の合成手法を用いて組み立てることができる。部分または成分を連結する手法としては、非限定で、アミド、アミン、C−C結合、エーテル、およびエステルが挙げられる。これらの手法は例としてのみ示したものであって限定するものではない。これらおよびその他の手法は、有機化学、医薬品化学またはドラッグデザインの技術分野の熟練者にはよく知られている。例えば、成分がアミド官能性により連結される場合は、ペプチドまたはアミドカップリング反応を使用することができる。上記カップリング試薬としては、これらに限定されないが、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボ−ジイミド、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはカルボニルジイミジゾールが挙げられる。炭素環または複素環への結合は、エノラートを用いるかまたは適当なカルボニル前駆物質を用いるウィッティヒ型化学反応により達成することができる。ピラゾールを含む複素環は、参照により全体として本明細書に組み込まれているBioorganic and Medicinal Chemistry,volume 9,pages 141−150(2001)中でStaufferらにより記載されているような環化反応を介した適当な位置への所望の置換によって形成することができる。複素環のいくつかは、適当に置換されている前駆物質を結合して複素環を発生させることにより合成することができる(MarchおよびSmith,Advanced Organic Chemistry,Wiley Interscience,New York,NY,2001;Sainsbury,Malcom,Heterocyclic Chemistry,Royal Society of Chemistry,Cambridge,UK,2001;Davies,D,Aromatic Heterocyclic Chemistry,Oxford University Press,Oxford,UK,2004;Jie Jack Lie,Ed.,Name Reactions in Heterocyclic Chemistry,Wiley,New York,NY,2004)。これらはすべて、参照により全体として本明細書に組み込まれる。これらおよびその他のテキストおよび化学文献は、また、既存の炭素環または複素環を官能化する助けとなるように使用することもできる。グリニャールまたはリチウム試薬を調製して、成分を、ハロゲン置換部分を介して共に結合することができる。芳香族ハロゲンにより、同様に、フリーデルクラフツのアシル化またはアルキル化反応を受けて結合複素環を生じさせることができる。個々の成分を結合するために使用することができる多くの著名な反応が当業者には知られており、すべて参照により全体として本明細書に組み込まれているMarchおよびSmithのAdvanced Organic Chemistry,Wiley Interscience,New York,NY,2001;CareyおよびSundburgのAdvanced Organic Chemistry,Part B:Reactions and Synthesis,Fourth Ed.,Kluwer Academic/Plenum Publishing,New York,NY 2001;Jie Jack LiのName Reactions,Springer,New York,NY,2002;HassnerおよびStumerのOrganic Synthesis Based on Name Reactions,Second Ed.,Pergamon Press,New York,NY,2002;ならびにMundyおよびEllerdのName Reactions and Reagents in Organic Synthesis,Wiley Interscience,New York,NY,1988等のテキストに記載されている。当業者であれば、所望の生成物の合成を確実にするためにさまざまな保護基を使用することができることを理解している。普通に使用される保護基としては、これらに限定はされないが、エステル、アミド、カルバメート、ベンジル、t−Boc、トリチル、およびCbz基が挙げられ、すべて参照により全体として本明細書に組み込まれている、GreeneおよびWutsのProtective Groups in Organic Synthesis;3rd Ed.Wiley Interscience,New York,NY,1999,ならびにKocienskiのProtective Groups,3rd Ed.Verlag,NY,NY 2003を含むテキストに記載されている。酸および塩基を塩またはイオン化していない形(共役酸または共役塩基)のいずれかで調製することができることは当業者にはよく理解されている。薬理学的および薬学的に知られており許容されているさまざまな塩を調製することができ、本発明により想定される。
【0054】
好ましい組成物は、一般にリンカーを含有する分子を含み、その分子は、
【化1】

【化2】

【化3】


【化4】


【化5】

【化6】

【0055】
の一般構造を有しており;
ここで、これらリンカーのそれぞれは、特定位置の置換基で描かれ、別の位置の異性体も可能であることが認められ(例えば、フェニル環の1,2または1,3または1,4置換);
ここで、リンカーのCに対する結合基XまたはYは、独立に、−C2n(n=1〜4)−、−O−、−NH−、−CH2NH−、−CH=CH−、−CHCH=CH−、−C≡C−、−CHC≡C−、−C(=O)−、CH−C(=O)−、−C(=O)O−、−CHC(=O)O、−O−C(=O)、−C(=O)NH−、−CHC(=O)NH−、−NH−C(=O)−、−CH2NH−C(=O)−、−NH−C(=O)−NH−、−CH2NH−C(O)−NH−、−O−C(=O)−NH−、−CH2O−C(=O)−NH−、−CH2NH−C(=O)−O−、または−NH−C(=O)−O−であることができ;
ここで、リンカーのNに対する結合基XまたはYは、独立に、−C2n(n=1〜4)、−CH=CH−、−CHCH=CH−、−C≡C−、−CH−C≡C−、−C(=O)−、CH−C(=O)−、−C(=O)O−、−CHC(=O)O− −C(=O)NH−、または−CHC(=O)NH−であることができ;そして
ここで、RまたはRは、独立に、疎水性または親水性置換基のいずれかであることができ、ここで、該疎水性置換基は、1〜10個の炭素の直線、分枝状または環状の脂肪族鎖であることができ、かつ飽和または不飽和または芳香族であってもよく;そして該親水性置換基は、−2−モルホリン、−3−モルホリン、−4−モルホリン、−2−チオモルホリン、−3−チオモルホリン、−4−チオモルホリン、−2−ピリジン、−3−ピリジン、−4−ピリジン、−2−シクロヘキシルアミン、−3−シクロヘキシルアミン、−4−シクロヘキシルアミン、−2−シクロペンチルアミン、−3−シクロペンチルアミン、−2−シクロブチルアミン、−3−シクロブチルアミン、−2−ピペリジン、−3−ピペリジン、−4−ピペリジン、−2−ピペラジン、−3−ピペラジン、−2−ピロリジン、−3−ピロリジン、−2−ピロール、−3−ピロール、−3−ピラゾール、−4−ピラゾール、−5−ピラゾール、−2−イミダゾール、−4−イミダゾール、−5−イミダゾール、−2−アゼチジン、もしくは−3−アゼチジン;または
−C2n−NR(但し、n=2〜8、RおよびRは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである);または
−C2n−NHC(=NH)NH(但し、n=2〜8);または
−C−NR(但し、RおよびRは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである);または
−C2n−OH(但し、n=2〜8);または
−C2n−COOR(但し、n=2〜8、Rは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである);または
−C2n−CONR(但し、n=2〜8、RおよびRは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルである)
であり得る。
【0056】
特に目的とするLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)アンタゴニストペプチドの1つの模倣体は、ENMD−1068である。ENMD−1068の構造は、極性の6−アミノヘキサン酸部分がリンカーのヘテロ原子を介して結合しており、疎水性のイソ吉草酸部分が他のリンカーのヘテロ原子に結合している(スキーム1)ピペラジンリンカーを含む。ENMD−1068は、in vitroでのPAR−2シグナル伝達の阻害物質であることが発見された(図9)。ENMD−1068は、ATPによるシグナル伝達については阻害効果を持たない(図9)。この分子は、その高められた活性のために、他のPAR−2アンタゴニスト分子の設計および合成への洞察を提供することができる。
【0057】
これらの研究は、総合すると、PAR−2が、血管新生の促進および炎症の制御で非常に重要な役割を演じることを示す。その上、本発明者らは、凝固関連経路の活性化により凝固とは関係ないプロセスによって腫瘍成長または血管新生を促進し得る道を示す。理論に拘束されることを望むものではないが、TF/fVIIa錯体が、血管新生および腫瘍モデルにおいてPAR−2を活性化することに関与し得る可能性がある。しかしながら、いくつかの他のプロテイナーゼも、PAR−2を活性化することができ、これらPAR−2の活性を促進し得る。本阻害物質は、PAR−2を活性化するプロテイナーゼとは関係なくその活性化を阻害する。これらのプロセスに対して最も関係のある酵素は、肥満細胞トリプターゼ、トリプシンおよびマトリプターゼである。したがって、TF/fVIIa−PAR−2経路は、本明細書および本発明者らの先願に記載されているプロ血管新生およびプロ腫瘍活性のための非常に有力な候補である。TF/fVIIaシグナル伝達錯体の特定の阻害物質ならびにシグナル伝達受容体の特定の阻害物質は、同様に、抗腫瘍および抗血管新生活性を有する。TFについての最近の研究により、この分子は血管新生内皮細胞に発現する即時型の初期遺伝子であることが示されている。したがって、このPAR−2活性化因子は、血管新生の部位でアップレギュレートされて存在する。LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)についての抗血管新生活性およびこの抗血管新生活性が誘発するであろうと予測される抗腫瘍活性を示す本研究は、直接の抗腫瘍活性を排除しない。
【0058】
本発明の方法によれば、本明細書で説明される、タンパク質、ペプチドまたはタンパク質断片、またはPAR類を阻害するリガンドのすべてまたは活性部分を含む分子を含む組成物は、適宜薬学的に許容される担体に入れて、ヒトまたは動物に対して、好ましくない細胞増殖、特に内皮細胞増殖、血管新生または血管新生関連の疾患、例えば、癌、炎症、炎症プロセスもしくは炎症性疾患を阻害するのに十分な量で投与する。
【0059】
定義
「a」、「an」および「the」という用語は、本明細書で使用する場合、1あるいはそれより大きいことを意味し、前後関係で不適切でない限り、複数形を含むと定義する。
【0060】
本明細書で使用する場合、「プロテイナーゼ活性化受容体」という語句は、すべてのプロテイナーゼ質活性化受容体(PAR類)を包含すると定義し、PAR−1、PAR−2、PAR−3およびPAR−4を含むが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書において用いられる「アンタゴニスト」という用語は、タンパク質、ペプチド
またはプロテイナーゼ活性化受容体活性を阻害する分子と定義する。
【0062】
用語「活性部分」とは、本明細書ではプロテイナーゼ活性化受容体の活性を阻害するために必要なリガンドまたは分子の部分と定義する。その活性部分は、in vivoまたはin vitroアッセイまたはその他の既知技術で決定されたプロテイナーゼ活性化受容体を阻害する能力を有する。
【0063】
用語「模倣体」とは、生体物質のその構造または機能を模倣する化合物として一般に定義される。
【0064】
用語「ペプチド模倣体」とは、天然の親ペプチドの生物学的作用(1つまたは複数)を模倣またはそれと拮抗することができる非ペプチド構造要素を含有する化合物として一般に定義される。
【0065】
用語「ペプチド」とは、アミノ酸(典型的にはL−アミノ酸)の連鎖を表し、そのα炭素は、1つのアミノ酸のα炭素についたカルボキシル基と他のアミノ酸のα炭素についたアミノ基との間の縮合反応により形成されたペプチド結合によって連なっている。自然発生するペプチドにおいては、ほとんどの場合、連鎖の一方の端にある末端アミノ酸(すなわち、アミノ末端)は遊離のアミノ基を有しており、連鎖のもう一方の端にある末端アミノ酸(すなわち、カルボキシ末端)は遊離のカルボキシル基を有する。このように、用語「アミノ端末」(N−端末と略す)とは、ペプチドのアミノ末端にあるアミノ酸の遊離のαアミノ基を指すか、または、ペプチド内部の任意の場所のアミノ酸のαアミノ基(ペプチド結合に加わっているならアミド基)を指す。同様に、「カルボキシ端末」(C−端末と略す)という用語は、ペプチドのカルボキシ端末にあるアミノ酸にある遊離のカルボキシル基を指すか、または、ペプチド内部の任意の場所のアミノ酸のカルボキシル基を指している。
【0066】
一般的に、ペプチドを構成しているアミノ酸は順に番号が付され、アミノ端末側から始まり、ペプチドのカルボキシ端末の方向に向かって番号が増加する。したがって、1つのアミノ酸が他に「続く」という場合、そのアミノ酸は先のアミノ酸よりもペプチドのカルボキシ端末に近い位置にあることになる。ここで、自然発生するアミノ酸は、テキスト中では共通して使用される一文字のコード(例えば、G=グリシン)によって表される。
【0067】
本明細書で使用される用語「残基」とは、アミド結合によってペプチドに組み込まれているアミノ酸(DまたはL光学異性体)を指す。このように、そのアミノ酸は天然起源のアミノ酸であってもよいし、あるいは、他に制約がなければ、天然のアミノ酸と類似した機能を示すような既知の天然起源アミノ酸模倣体(すなわちアミノ酸模倣体)をも包含していてもよい。さらにアミド結合模倣体では、当業者には周知のような、ペプチド骨格の修飾を含む。
【0068】
その上、当技術分野の熟練者には理解される所であるが、上述のように、配列中の1つのアミノ酸、またはいくつかのアミノ酸を変更、付加または抹消する、個々の置換、抹消または付加は、その変化によってアミノ酸を化学的に類似したアミノ酸に置換する結果をもたらす点で、保存的に修正した変化である。保存的な置換のための表は機能的に類似するアミノ酸を示しており、当業者にはよく知られている。以下の6つの各グループは、互いに保存的に置換するとしばしば考えられているアミノ酸の例を含む。
【0069】
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);グルタミン(Q);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0070】
一般的に、本明細書に記載の単離された抗増殖性のペプチドは、HPLCにより測定して少なくとも約80%、通常で少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%の純度である。
【0071】
ペプチドの長さが比較的短い(すなわち、アミノ酸が約50未満)場合には、それらは化学的ペプチド合成技術を用いてしばしば合成される。固相合成は、配列のC末端アミノ酸を不溶性の支持体に結合させ、次いで配列の残りのアミノ酸を順次付加させていく方法である。これは、本明細書に記載したペプチドの化学合成の好ましい方法である。固相合成についての技術は、当業者には既知である。
【0072】
短鎖ペプチドおよび同類のアミドもまた、溶液相の結合化学反応によって効率よく合成することができる。適当な保護基を有するアミノ酸および同類の分子は、溶液中で結合してアミドおよびペプチドを生成する。アミド結合を形成するためのカップリング試薬としては、これらに限定されないが、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよびN,N,−ジイソプロピルエチルアミンまたはカルボニルジイミジゾールが挙げられる。
【0073】
本明細書で採用する語句の「生物学的活性」とは、生物学的システムから得られた化合物、またはそれらと反応する化合物、またはそれらの化合物の官能性、反応性および特異性を模倣する化合物の、官能性、反応性および特異性を指している。生物学的に活性な化合物の適当な例としては、これらに限定されないが酵素、抗体、抗原およびタンパク質が挙げられる。
【0074】
本明細書で使用される用語「体液」とは、これらに限定されないが、唾液、歯肉分泌物、脳脊髄液、胃腸液、粘液、尿生殖器分泌物、滑液、血液、血清、血漿、尿、嚢胞液、リンパ液、腹水、胸水、間質液、細胞内液、眼液、精液、乳腺分泌物、硝子体液、および鼻腔分泌物を含む。
【0075】
本発明のプロテイナーゼ活性化受容体の阻害タンパク質およびペプチドは、非限定で血清、尿、および腹水を含む体液から単離可能であり、または細胞培養、組換え遺伝子発現、およびペプチド合成等の化学的または生物学的方法によって合成され得る。組換え技術としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用するDNA源からの遺伝子増幅、および逆転写酵素/PCRを使用するRNA源からの遺伝子増幅が挙げられる。目的のリガンドは、既知のタンパク質抽出方法、特に、Novotny,W.F.ら(J.Biol.Chem.264:18832−18837(1989))によって記載された方法により、体液から抽出することができる。
【0076】
ペプチドまたはタンパク質断片
PARアンタゴニストを含むペプチドまたはタンパク質断片は、当業者には既知の技術および方法を使用して、上記のように産生し、阻害活性に関する試験を行うことができる。完全長タンパク質を、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるEnjyojiら(Biochemistry 34:5725−5735(1995))によって記載された方法等の各種方法を使用して、個々のドメインに切断するかまたは消化することができる。
【0077】
別法として、完全なタンパク質、または抗増殖活性を示すその大きな断片を消化し、一度にアミノ酸を一つずつ除去して断片が得られる。連続的に短くする断片のそれぞれについて、坑増殖活性の試験を行う。同様にして、長さを変化させた断片を合成して、抗阻害活性の試験を行う方法も可能である。当業者は、当業者には既知の消化、合成、スクリーニングの常法を用いて、断片の長さを増加あるいは減少させることにより、阻害活性に必要なタンパク質内のアミノ酸の正確な数、属性および配列を決定することができる。
【0078】
阻害活性は、PARの活性を阻害するタンパク質、分子およびペプチドの能力を試験することによって、in situで評価される。好適なアッセイは当業者にはよく知られており、このいくつかの例は以下の実施例で提供される。抗血管新生活性は、参照により全体として本明細書に組み込まれるKibbey,M.C.らによりJ.Natl.Cancer Inst.84,1633−8(1992)に記載されているマウスのマトリゲルプラグアッセイを用いて評価することができる。このマトリゲルアッセイを以下に概略的に説明する。10体の動物のグループに、FGF−2(最終濃度2ug/ml)を加えた0.5mlのマトリゲル(共同研究)を注射した。この混合物は、そのとき、剣状突起の後方にある腹側正中線の皮下に注射した。動物は、毎日、化合物または対照緩衝液を腹腔内注射して処置した。6日後、動物は、COで安楽死させた。マトリゲルプラグを取り出して計量し、次いでそのプラグに1mlの水を加え、凍結させた。そのプラグ中のヘモグロビンを測定して血管新生を定量した。最初にプラグをホモジナイズし、20,000gで20分間遠心分離した。上澄み液を採取し、シグマヘモグロビンキット(527−A)を用いてヘモグロビンの量を定量した。対照動物は、マトリゲルを含まないbFGFを注射した。別の適当なアッセイは、HUVEC増殖アッセイである。
【0079】
ペプチドの活性が特許請求されたペプチドに対して有意な差がないならば、特許請求されたペプチドと比較して保存的に修正された異形のペプチドもまた本発明に含まれる。
【0080】
製剤
プロテイナーゼ活性化受容体と結合し得るタンパク質、ペプチドまたは分子のすべてまたはその活性部分を含む、天然起源または合成のタンパク質、分子、ペプチドまたはタンパク質断片は、既知の技術を用いて、例えば薬学的に許容される担体中の生理学的に許容される製剤として調製することができる。例えば、タンパク質、ペプチド、タンパク質断片、または非ペプチド分子を、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて治療用の組成物の形態とすることができる。
【0081】
別法では、望ましいリガンドのすべてまたはその活性部分を含む、タンパク質、ペプチドまたはタンパク質断片の遺伝子を、遺伝子治療技術を用いる連続投与のためのベクター中に導入することができる。このベクターは、例えば腫瘍などの目標部位に対して特異性を有する媒体に入れて投与してもよい。
【0082】
これらの組成物は固体、液体またはエアロゾルの形態であり得る。固体組成物の例としては、丸剤、クリームおよび埋込み型投与単位がある。ピルは経口投与することができる。治療用クリームは局所的に投与することができる。埋込み型投与単位は局部的に、例えば腫瘍部位に投与することも、あるいは治療用組成物が規則的に放出されるように例えば皮下に埋め込むこともできる。液体組成物の例としては、皮下、静脈内、動脈内への注射に適用される製剤や、局所および眼内投与のための製剤などがある。エアロゾル製剤の例として、肺に投与するための吸入器用の製剤がある。また、非限定で、坐薬、経皮、経口中、および眼球投与を含む投与を対象としたその他の組成物も想定される。
【0083】
組成物は標準的な投与経路を用いて投与することができる。一般に、組成物は局所、経口、経腸、経鼻あるいは非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉間)経路によって投与することができる。さらに、この組成物を生分解性ポリマーのような徐放性基質中に含ませることも可能で、このポリマーを送達が所望される近傍、例えば腫瘍部位または炎症部位に埋め込む。この方法は、単回投与、あらかじめ定めた時間間隔での反覆投与、およびあらかじめ定めた期間の徐放性投与を含む。生分解性ポリマーおよびそれらを使用した例は、参照により全体として本明細書に組み込む2005年1月発行のMolecules,volume 10,pages 1−180に詳細に記載されている。
【0084】
本明細書で用いられる徐放用基質は、通常ポリマー材料から得られる基質であって、これは酵素または酸/塩基による加水分解または溶解により分解可能なものである。体内に導入すると、この基質は酵素および体液のそばで作用する。徐放用基質は、望ましくは、非限定で、リポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール酸の重合体)、ポリラクチド−コ−グリコリド(乳酸とグリコール酸の共重合体)、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖、核酸、ポリアミノ酸、アミノ酸例えばフェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンおよびシリコーンを含む生体適合性材料から選択される。
【0085】
組成物の用量は、治療すべき症状、使用する所定の組成物、および、例えば患者の体重および容態のような他の臨床的な因子および投与経路などに依存する。
【0086】
さらに、用語「有効量」とは、ヒトまたは動物に投与したときにプロテイナーゼ活性化受容体活性、特に好ましくない細胞の増殖を阻害し、癌の減退または癌の拡大および増殖の阻害または炎症状態の低減を引き起こす組成物の量を指す。有効な量は、当業者が常法にしたがって容易に決定することができる。
【0087】
例えば、本発明の組成物は、非経口的にあるいは経口的に1回の投与量当り約1.0μgから1.0gの範囲で投与してもよいが、但し、この範囲は限定的なものではない。適切な反応を発現するのに必要な組成物の実際の量は、それぞれの患者によって変化し、投与する組成物の効力、および個々の患者の反応に依存する。このようなことから、個々の患者に投与すべき具体的な量は、定常的な試験と当業者の訓練および経験に基づいて定められる。
【0088】
この組成物は、疾患の治療のための他の組成物や手順と組み合わせて投与してもよい。例えば、望ましくない細胞増殖は、この組成物の投与と組み合わせて外科手術、放射線療法または化学療法により従来通り治療し、この組成物の付加的な投与量をその後患者に投与して安定化させ、残存する望ましくない細胞増殖の成長を阻害することができる。
【0089】
プロテイナーゼ活性化受容体に対する抗体
本発明は、診断さらには治療の目的で使用することができるPARアンタゴニストの抗体をさらに含む。本明細書において提供される抗体は、所望のリガンドに対して結合特異性を有するモノクローナルまたはポリクローナル抗体である。好ましい抗体はリガンドに対する特異性が高いためにモノクローナル抗体である。この好ましい抗体は、他のタンパク質またはペプチドとの交差反応性をほとんど示さない。好ましくは、この抗体は、AP2等のプロテイナーゼ活性化受容体リガンド、またはPARタンパク質のアゴニスト配列または非限定で任意のPARの細胞外ループを含むPARタンパク質のリガンド結合ドメインに対して特異的である。
【0090】
モノクローナル抗体は、SLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)または非限定で細胞外ループを含むPARリガンドのリガンド結合部位からの配列等の所望のペプチドの全体部分または免疫原性部分で、マウスやウサギ等の動物を免疫化することによって調製される。脾臓細胞を免疫化した動物から回収し、感作脾臓細胞をマウスSP2/O骨髄腫細胞(ATCC、バージニア州マナサス)等の骨髄腫細胞株と融合することによってハイブリドーマを産生する。ポリエチレングリコールの添加により、細胞融合を誘導する。ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT)を含む選択培地中で細胞を平板培養することにより、ハイブリドーマを化学的に選択する。
【0091】
次いで、リガンドに対するモノクローナル抗体を産生する能力に関して、ハイブリドーマをスクリーニングする。リガンドに結合する抗体を産生するハイブリドーマをクローン化し、増幅させ、以後の産生のために凍結保存する。好ましいハイブリドーマは、IgGアイソタイプ、より好ましくはIgG1アイソタイプを有するモノクローナル抗体を産生する。
【0092】
ポリクローナル抗体は、上記のようにアンチトロンビン等のリガンドで、マウスやウサギ等の動物を免疫化することによって調製される。次いで、血清を動物から回収し、リガンド、好ましくは上記のモノクローナル抗体と反応する抗原に対する結合反応性に関して、血清中の抗体をスクリーニングする。
【0093】
モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれか、あるいは両方は、以下に記載されるような生物学的なリガンドの同定および定量のために、検出可能なラベルで直接標識化し得る。イムノアッセイにおける使用のための標識化は、当業者には一般に知られており、酵素、放射性同位体、および蛍光、発光および色素生成物質(金コロイドやラテックスビーズ等の着色粒子を含む)がある。抗体は、また、イムノアッセイにおいて、抗体−抗原複合体の未反応成分からの分離を促進するために固相に結合してもよい。典型的な固相物質としては、マイクロタイタープレート、試験管、磁石、プラスチックまたはガラスビーズおよびスライドが挙げられるが、これらに限定されない。抗体を固相に結合するための方法は、当業者にはよく知られている。
【0094】
別法では、抗体は、タンパク質AまたはGあるいは二次抗体等の、免疫グロブリンに対して親和性を有する標識化物質との反応によって、間接的に標識化することができる。抗体は、二次物質と結合させ、抗体と結合する二次物質に対して親和性を有する標識化した三次物質で検出される。例えば、抗体をビオチンに結合させ、標識化したアビジンまたはストレプトアビジンを使用して、抗体−ビオチン複合体を検出する。同様に、抗体をハプテンに結合させ、標識化した抗ハプテン抗体を使用して、抗体−ハプテン複合体を検出することができる。抗体を標識化し、複合体をアッセイするこれらの方法および他の方法は、当業者にはよく知られている。
【0095】
上記の抗体の1つまたは複数を用いる高感度イムノアッセイを、本発明は提供する。このイムノアッセイは、さまざまなサンプル、特にヒトまたは動物の生体液等の生体サンプル中のリガンドの存在または量を検知するのに有用である。サンプルは、リガンドが存在し得る任意の発生源から獲得できる。例えば、サンプルとして血液、唾液、精液、涙、および尿があるが、これらに限定されない。
【0096】
本発明のイムノアッセイで形成される抗体−抗原複合体は、サンドイッチイムノアッセイや競合イムノアッセイ等の、当業者に既知のイムノアッセイ方法を使用して検出される。抗体−抗原複合体は、抗原を捕捉するために使用される抗体に類似する抗体に暴露されるが、これは、検出可能なラベルで標識化されたものである。適当な標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼのような化学発光標識、ルテニウムおよびエクオリンのような電気化学発光標識、ルシフェラーゼのような生物発光標識、FITCのような蛍光標識、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼのような酵素的な標識が挙げられるがこれらに限定されない。
【0097】
次いで標識化された複合体を、用いた標識を検出するのに特化した検出法や装置を用いて検出する。同じアッセイフォーマットで、非特異性の抗体をコーティングした磁性ビーズと共に、可溶性の抗原を1種または複数培養すると、アッセイで分析する試料のバックグラウンド値が求められる。
【0098】
治療する疾患と状態
本明細書に記述された方法および組成物は、異常なまたは好ましくない細胞増殖が媒介するヒトおよび動物の疾患およびプロセスを処置するのに有用であるが、特に異常なまたは好ましくない内皮細胞増殖としては、これらに限定されるわけではないが、血管腫、充実性腫瘍、白血病、腫瘍転移、毛細血管拡張症、乾癬、強皮症、化膿性肉芽腫、心筋血管新生、プラーク新血管新生、冠状側枝、アテローム性動脈硬化症、虚血性の四肢血管新生、角膜疾患、ルベオーシス、新生血管緑内障、糖尿病性網膜症、水晶体後方線維増殖症、関節炎、糖尿病性新血管新生、黄斑変性症、創傷治癒、消化性潰瘍、骨折、ケロイド、血管形成、造血、子宮内膜症、排卵、月経、胎盤形成等が含まれる。この方法および組成物は、血管新生および炎症を阻害することにより、血管新生に関わる障害や疾患の治療に特に役立つ。
【0099】
本明細書に記述した方法および組成物は癌、関節炎、黄斑変性症、および糖尿病性網膜症の治療には特に有用である。血管新生誘導による転移のある腫瘍を有するヒトまたは動物に対して本組成物を投与することは、そのような腫瘍および腫瘍転移の成長、拡大を防止する点で有用である。
【0100】
本発明の方法および組成物は、以下の疾患および状態および以下の疾患および状態と関連する症状を治療するために有用である:内皮細胞による異常成長、酒さ性ざ瘡、聴神経腫、癒着、血管線維腫、動静脈奇形、動脈閉塞、関節炎、喘息、プラーク内の毛細管増殖、アテローム性動脈硬化型プラーク、アトピー性角膜炎、細菌性の潰瘍、バルトネラ症、良性腫瘍(例えば:血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、化膿性肉芽腫)、良性、前悪性および悪性の外陰部の損傷、ベスト病、膀胱癌、胞胚の着床阻害、月経阻害(無月経誘発)、排卵阻害、血液由来腫瘍(白血病、および骨髄の腫瘍性疾患を含む)、多発性骨髄腫を含む白血球の無制限増殖が起こる骨髄の急性または慢性の各種任意の腫瘍性疾患を含む骨髄異常、骨の成長および修復、乳癌、熱傷、癌の後の肥大(充実性腫瘍:横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、血液由来腫瘍、白血病、骨髄の腫瘍性疾患、多発性骨髄腫疾患および血管腫を含む)、頚動脈閉塞性疾患、中枢神経系悪性腫瘍、ある種の免疫反応(例えば免疫障害/反応)、子宮頸癌、化学熱傷、コレステリン腫(特に中耳の)、脈絡膜新血管新生、脈絡膜炎、慢性または急性の炎症、慢性的運動筋肉(chronically exercised muscle)、肝硬変、コンタクトレンズの過剰装着、角膜疾患、角膜移植片の新血管新生、角膜移植片の拒絶、角膜の新血管新生疾患(流行性の角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズ過剰装着、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、および翼状片の乾燥角膜炎を含むが、これらに限定されない)、黄体形成、クローン病、創傷治癒の遅延、糖尿病、糖尿病性(増殖性)網膜症、血管結合性または線維性組織の異常増殖により引き起こされる疾患(多産硝子体網膜症(PVR)のすべての形態を含む)、イールズ病、膿胸、子宮内膜症、子宮内膜、流行性の角結膜炎、内皮細胞の過剰または異常刺激(アテローム性動脈硬化症等)、眼関連疾患(ルベオーシス(隅角の新血管新生)、女性の生殖系の状態(卵胞、黄体、および母性脱落膜(maternal decidua)の新血管新生、子宮内膜血管の修復、胚移植部位における血管新生(卵巣過剰刺激症候群)、胚発生、濾胞形成、黄体形成、正常な月経時の子宮内膜を含む)、線維素溶解、線維増殖(創傷治癒における水晶体後方および過剰修復)、線維化肺胞炎、真菌性潰瘍、胃腸感染症、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、炎症性ポリープ、腸の移植片対宿主反応、新生物性腫瘍、肥満細胞症、腸の虚血、血管新生緑内障、痛風または痛風性関節炎、移植片対宿主拒絶(また慢性および急性拒絶)、創傷治癒の肉芽組織、熱傷部肉芽形成、血管腫症(血管腫の全身形)、手足口病、毛髪成長、血管腫、血友病性関節、遺伝性疾患(オースラー・ウェーバー・ランデュ病を含む)、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、HHT(遺伝性出血性毛細管拡張症)、肥厚性瘢痕、手術、熱傷および外傷の後の肥大、過粘稠度症候群、免疫障害、免疫反応、胚の着床(2〜8週間)、網膜炎を引き起こす感染症、微生物により引き起こされる感染性疾患、炎症、炎症障害、免疫および非免疫炎症反応、関節炎症、カポジ肉腫、ハンセン病、白血病、脂質変性(脂肪性角膜症)、脂肪腫、肺癌、狼瘡(紅斑性狼瘡、全身性紅斑性狼瘡)、ライム病、年齢関連性黄斑変性(網膜下新血管新生)、辺縁角膜炎、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、腫瘍の転移、モーレン潰瘍、マイコバクテリア疾患、骨髄腫、多発性骨髄腫疾患、近視、新生組織形成、骨髄の腫瘍性疾患(白血球の無制限の増殖が起こるさまざまな急性または慢性疾患のいずれかで白血病を含む血液由来の腫瘍)、血管新生緑内障、隅角の新血管新生、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経線維腫症、神経線維肉腫、癒合不全骨折、眼内血管新生疾患(糖尿病性網膜症、未熟網膜症および水晶体後方線維増殖症、黄斑変性、角膜移植辺拒絶、新生血管緑内障、およびオースラー・ウェーバー症候群(オースラー・ウェーバー・ランデュ病)、眼ヒストプラスマ症、眼新生血管疾患、眼腫瘍、視窩、口腔癌、変形性関節症、骨髄炎、骨肉腫、パジェット病(変形性骨炎)、寄生虫症、扁平部炎、類天疱瘡、フリクテン症、多発性動脈炎、レーザー術後の合併症、白血球の増殖(白血球の無制限増殖が起こる骨髄の各種任意の急性または慢性の腫瘍性疾患など)、前立腺癌、原虫感染症、弾性線維性仮性黄色腫、乾癬、翼状片(乾燥角膜炎)、肺線維症、化膿性肉芽腫、放射状角膜切開、慢性および急性拒絶、網膜剥離、網膜炎、網膜芽細胞腫、未熟網膜炎、水晶体後方線維増殖症、横紋筋肉腫、関節リウマチ、滑膜肥大性のリウマチ(関節炎)、酒さ(酒さ性ざ瘡)、ルベオーシス、サルコイドーシス、強膜炎、強皮症、乾性(翼状片(乾性角膜炎)およびシェーグレン(乾性)症候群を含む)、鎌形赤血球貧血、皮膚疾患(黒色腫、化膿性肉芽腫、乾癬、血管腫、皮膚疣贅、およびHPV2型(ヒトパピローマウイルス)を含む)、充実性腫瘍(横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、骨肉腫を含む)、シュタルガルト病、スティーブンス・ジョンソン病、上輪部角膜炎(上輪部角膜炎、SLK)、肥厚性瘢痕、創傷肉芽形成および血管癒着、梅毒、全身性ループス、全身性エリテマトーデス、テリエン周辺変性、トキソプラズマ症、トラコーマ、トラウマ、結核症、潰瘍性大腸炎、潰瘍(真菌性、モーレン、消化性および細菌性を含む)、正常なプロセスにおける望ましくない血管新生(創傷治癒、女性の生殖機能、骨修復、毛髪成長、慢性ブドウ膜炎、および血管機能不全を含む)、血管腫瘍、静脈閉塞、ビタミンA欠乏症、慢性硝子体炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、白血球疾患(白血球の無制限増殖が起こる骨髄の任意の急性または慢性の腫瘍性疾患を含む)、創傷治癒および不適切な創傷治癒、創傷治癒の遅延(例えば、血管線維腫、動静脈奇形、関節炎、アテローム動脈硬化性プラーク、角膜移植片の新血管新生、糖尿病性網膜症、血管腫、血友病性関節、肥厚性瘢痕、新生血管緑内障、癒合不全骨折、化膿性肉芽腫、水晶体後線維増殖症、強皮症、充実性腫瘍、トラコーマ、黄体形成、慢性的運動筋肉、関節リウマチ、充実性腫瘍、および慢性炎症疾患、関節炎症、滑膜肥大性のリウマチ(関節炎)、転移、口腔癌、子宮頸癌、膀胱癌および乳癌、黒色腫、化膿性肉芽腫、血管腫症、カポジ肉腫、癒着、急性および/または慢性炎症および炎症反応、ならびに慢性および急性の拒絶における)。
【0101】
さらに、本発明の方法および組成物は、また、以下のものと関連する疾患および症状を治療するために有用である:喘息、気管支原生癌、サルコイドーシス、強直性脊椎症、慢性閉塞性肺疾患、甲状腺炎(準急性、急性および慢性甲状腺炎、肉芽腫性(またはド・ケルヴァンの甲状腺炎)リンパ球性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、侵襲的線維性(リーデル)甲状腺炎、発熱性または化膿性甲状腺炎を含む)、皮膚炎(乾癬、湿疹、皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、慢性皮膚炎、慢性単純性苔癬、鬱血性皮膚炎、全身剥脱性皮膚炎およびベーチェット症候群を含む)、大腸腺腫様ポリポーシス、アラジール症候群、虫垂炎、バレット食道、胆道閉鎖症、胆道系疾患、カロリ病、セリアック病、胆管炎、胆嚢炎、胆石症、潰瘍性大腸炎、クローン病、消化器疾患、十二指腸潰瘍、赤痢、偽膜性腸炎、食道無弛緩症、食道閉鎖症、食道炎、脂肪肝、胃炎、肥厚性胃炎、胃腸炎、胃食道逆流、胃不全麻痺、肝炎、慢性肝炎、ヒルシュスプルング病、炎症性大腸炎、腸腫瘍、腸神経細胞異形成、肝硬変、メッケル憩室、膵臓病(膵機能不全、膵腫瘍、および膵炎を含む)、消化性潰瘍、ポイツ・ジェガース症候群、直腸炎、ホイップル病、ゾリンジャー・エリソン症候群、多発性硬化症、神経炎、アルツハイマー病およびその他の神経疾患、器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎、気管支拡張症、肺線維症、慢性閉塞性肺症候群、全身性硬化症、胸膜炎症、血清反応陰性脊髄関節症、敗血症性関節炎、遷延性肺好酸球増多症、単純性肺好酸球増多症、レフラー症候群、喘息を伴う肺好酸球増多症、結節性多発性動脈炎、慢性好酸球性肺炎、急性好酸球性肺炎、突発性好酸球増多症候群、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、気管支中心性肉芽腫症、アレルギー性血管炎および肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群)、多発性肺線維症、ランゲルハンス細胞肉芽腫症(好酸球性肉芽腫)、慢性気管支炎、肺気腫、間質性肺炎、皮膚マスト細胞腫、色素性じん麻疹、恒存発疹性斑状血管拡張症(TMEP)、全身性マスト細胞疾患、マスト細胞白血病、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、好酸球増多筋痛症候群、全身性肥満細胞症、肥満細胞症、反応性肥満細胞症、神経炎、前庭神経炎、視神経炎、ループス腎炎、腎炎、およびパーキンソン病。
【0102】
以下の非限定的な実施例によって本発明の組成物や方法をさらに説明するが、これらは本発明の範囲に限定を課すものと解釈すべきではない。反対に、本明細書の説明を読んだ後で、本発明の精神および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆され得る種々の他の実施例、これらの変更形態および等価物に対して方策が持たれ得ることを明確に理解すべきである。
【0103】
以下の実験は、当業者によく知られた方法およびプロトコルを使用して行われた。使用された手順に関する詳細は科学文献および、例えば、米国特許にも見られる。
【0104】
実施例
(実施例1)
PARシグナル伝達活性
集密なHUVEC、ルイス肺癌細胞、U87−MG神経膠腫細胞、またはHT29大腸癌細胞に、蛍光染料Fluo−4を30〜60分間加えた。最終濃度は、生理緩衝液中0.02%プルロニック酸でFluo−4が4μMであった。次いで、細胞をアッセイ緩衝液(1mMのCaCl、1mMのMgSO、および2.5mMのプロベネシドを含有するHBSS)で洗浄した。細胞を、各種用量のPAR−2活性化ペプチド、PAR−1活性化ペプチドまたはATPで刺激した。Wallac1470蛍光プレートリーダーを用いて、蛍光をモニターした(Al−aniらの、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、290巻、2号、753〜760頁を参照)。
【0105】
2つの切断型分子、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)およびLIGKV(ENMD−1007)(配列番号2)と、PAR−2アゴニストSLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)とを比較したカルシウム動員曲線を図2Aに提供する。いずれの切断型分子も、SLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)に対比して、カルシウム動員を誘導できず、このことはカルシウム放出の典型的なスパイクに続くシグナルの衰退を示した。類似の試験を、アラニンで置換したSLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)ペプチド(図2Bおよび図2C)に関して行った。SLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)のS、L、I、またはKにおける置換は、シグナル伝達活性を抑制または有意に減少させ、一方、2つの置換ペプチド、SLIAKV(ENMD−1011)(配列番号54)およびSLIGKA(ENMD−1013)(配列番号55)は、強いシグナル伝達活性を示すことがわかった。
【表1】

【0106】
(実施例2)
PAR−2アンタゴニストの同定および試験
PAR−2シグナル伝達を阻害する、上で選択されたペプチドおよび分子の潜在力を評価するために、細胞を潜在的アンタゴニストペプチドで所定時間前処理し、続いて各種GPCRアゴニストで処理した。集密なルイス肺癌(LLC)細胞に、蛍光染料Fluo−4を30〜60分間加えた。最終濃度は、生理緩衝液中0.02%プルロニック酸でFlo−4が4μMであった。次いで、細胞をアッセイ緩衝液(1mMのCaCl、1mMのMgSO、および2.5mMのプロベネシドを含有するHBSS)で洗浄した。細胞を、各種用量のPAR−2活性化ペプチド、PAR−1活性化ペプチドまたはATPで刺激した。Wallac1470蛍光プレートリーダーを用いて、蛍光をモニターした(Al−aniらの、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、290巻、2号、753〜760頁を参照)。U87−MGヒト神経膠腫細胞を使用して、さらに化合物スクリーニングを行った。このアッセイにおいて、細胞をFLIPRカルシウム3染料(成分A)で標識し、プロベネシドを含まないアッセイ緩衝液10mlにこれを溶解させた。プロベネシドを含まないアッセイ緩衝液90mlでさらに成分Aを希釈し、全容量を100mlにすることにより、ロードする緩衝液を調製した。プレートロードにおいて、11mlのFLIPRカルシウム3染料(成分A)を、最終のウェル内使用容量が2.5mMとなるように15mlのコニカルチューブに250mMプロベネシド110μlと共に仕込む。最後に、カルシウム3染料50μlを、培地100μlを含むウェルに加え、1時間37℃で5%CO2下にインキュベートした。次いで、製造者の使用説明書に従い、FlexstationII(Molecular Devices)を用いて、カルシウムシグナル伝達を測定した。
【0107】
可能性があるアンタゴニスト化合物を、1mMの化合物濃度で最初にスクリーニングした。次いで活性を有するこれらの化合物を、更なる確認試験に供した。阻害の程度を生み出すため、処理済みウェル中のカルシウム流動化プロットの曲線下面積(AUC)を対照ウェル中のカルシウム流動化プロットの曲線下面積(AUC)で割った、処理済み/対照(T/C)として活性を報告する。
【表2】

【0108】

【表3】

【0109】

【0110】
(実施例3)
ATPおよびSFLLRN(ENMD−1014)(配列番号56)を使用する、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の阻害活性を評価するための活性化試験
LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)がPAR−2シグナル伝達の特異的阻害剤であることを示すために、ATPおよびPAR−1活性化ペプチドであるSFLLRN(ENMD−1014)(配列番号56)を用いて、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)で前処理した細胞に対する活性化試験を行った。これらの両方の分子は、GPCRを通してシグナル伝達し、PAR−1アゴニストペプチドがPAR−2を通して高濃度でシグナル伝達できるほど、PAR−1はPAR−2に対して非常に高く相同する。両方の場合において、PAR−2アンタゴニストであるLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)は、シグナル伝達に対する阻害効果を有さなかった(図5)。
【0111】
(実施例4)
PAR−2に対するLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)阻害効果のインビボ分析
C57BL6マウスの足蹠に、増加量の各種PAR−2アンタゴニストの存在下または非存在下で、5〜25μgのSLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)を注射した。1時間後、足蹠(足根)の厚さを測定して、炎症(水腫)を定量化した。
【0112】
次に本発明者らは、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)ペプチドがインビボでPAR−2アンタゴニスト活性を有するかどうかを評価した。これは、血管透過性がPAR−2アゴニストペプチドによって誘導される水腫モデルを使用して試験した。このモデルにおいて、PAR−2ペプチドは既に報告されているように重篤な水腫を誘導する(図6)。この血管応答は、PAR−2アンタゴニストLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)を用いる共処理により阻害された(図6)。それゆえ、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)は、インビボでPAR−2シグナル伝達を阻害するように機能する。
【0113】
(実施例5)
インビボでのマトリゲル血管形成アッセイにおけるLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の阻害活性
C57/BL6マウスに、0.5μgのFGF−2を含有するマトリゲルを皮下注射した。1日目にLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)での処理を開始し、6日間毎日皮下投与した。
【0114】
LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)で処理した動物由来のマトリゲルプラグは、プラグ中のヘモグロビン含量に基づいて、血管形成は用量に依存して阻害されることが示された(図7)。LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の最も高い投与量では、血管形成は80%を超えて阻害された。これらのデータは、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)が有力な抗血管形成活性を有することを示しており、さらに、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)が腫瘍成長を阻害できるとするメカニズムを示唆している。
【0115】
(実施例6)
マウスにおける関節炎に対するLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の効果
0日目において、BALB/cマウスに1〜2mgの1B11モノクローナル抗コラーゲンII抗体を静脈内注射した。1日目において、動物に20μgのLPSを腹腔内注射し、7日間PAR−2アンタゴニスト(200mg/kg/日、腹腔内)で処理した。処理終了後、マウスの両方の後ろ足の厚さ(腫大)を測定することによって疾患を定量化した。これを未処理のマウスと比較した(ビヒクル対照に対してp<.05)。
【0116】
ENMD−1068およびLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の両方は、炎症を阻害した。図11は、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)およびENMD−1068の存在下で、関節炎の緩和を示す。
【0117】
(実施例7)
マウスにおける関節CIAが誘導する体重損失の防止
0日目において、BALB/cマウスに1〜2mgの1B11モノクローナル抗コラーゲンII抗体を静脈内注射した。1日目において、動物に20μgのLPSを腹腔内注射し、7日間PAR−2アンタゴニスト(200mg/kg/日、腹腔内)で処理した。処理終了後、マウスの両方の後ろ足の厚さ(腫大)を測定することによって疾患を定量化した。これを未処理のマウスと比較した。このモデルは、LPSの投与に付随する有意の体重損失をもたらした。これらのマウスのLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)による処理は、このLPSが誘導する体重損失を抑制した。
【0118】
図12は、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の存在下における体重損失の防止を示す。
【0119】
(実施例8)
ENMD−1068のインビボおよびインビトロでの活性
ENMD−1068は、インビトロでPAR−2シグナル伝達の阻害剤であることが発見された(図9)。LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)ペプチドのように、ENMD−1068はATP(図9)またはPAR−1(図示せず)によるシグナル伝達に対して阻害効果を有さない。総合すると、第2の特異的なPAR−2阻害剤の同定は、その増強された活性のために、他のPAR−2アンタゴニスト分子の設計および合成に関する見通しを提供する。
【0120】
(実施例9)
ピペラジン類を合成するための一般的スキーム
DCC/HOBTなどのアミドカップリング反応を用いて、ピペラジンをそれぞれの側鎖とカップリングさせることにより、これらの生成物が得られた。t−BocまたはCbzのいずれかでアミン側鎖を保護し、標準条件を用いるカップリング反応後に除去した。
【化7】

【0121】
スキーム2:4−イミダゾールアセトアミド類の合成
【化8】

【0122】
スキーム3:アミノフェニル類の合成
【化9】

【0123】
スキーム4:ピリジン類の合成
【化10】

【0124】
ENMD−1033の合成:N−[S−2−メチルブタノイル]−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジン(ピペラジンとBoc−AhaとをジイソプロピルカルボジイミドとHOBtを用いて反応させることにより得られた)をS−2−メチルブタン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、水溶液を凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化11】

【0125】
ENMD−1034の合成:N−[R−2−メチルブタノイル]−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジンをR−2−メチルブタン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化12】

【0126】
ENMD−1035の合成:N−[2’−メチルプロパノイル]−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジンを2−メチルプロパン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化13】

【0127】
ENMD−1036の合成:N−ブタノイル−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジンをブタン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化14】

【0128】
ENMD−1037の合成:N−プロパノイル−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジンをプロパン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化15】

【0129】
ENMD−1038の合成:N−[5’−メチルヘキサノイル]−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジンを5−メチルヘキサン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化16】

【0130】
ENMD−1039の合成:N−ヘキサノイル−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジンをヘキサン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化17】

【0131】
ENMD−1040の合成:N−ペンタノイル−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジンをペンタン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化18】

【0132】
ENMD−1041の合成:N−[4’−メチルペンタノイル]−N−[6’−アミノヘキサノイル]−ピペラジン
Boc−6−アミノヘキサノイル−ピペラジンを4−メチルペンタン酸クロリドと反応させた。TFAを用いてBoc基を開裂させ、生成物をHCl/THFで処理することにより塩酸塩に変換し、凍結乾燥させると、所望の化合物が得られた。
【化19】

【0133】
ENMD−1065の合成:N−3−メチルブチリル−N−[2−(4−アミノフェニル)−エタノイル]−ピペラジン
CHCl中DCC/HOBTを用いて、ピペラジンをt−Bocで保護した4−アミノフェニル酢酸とカップリングさせ、次いでCHCl中DCC/HOBTを用いて、イソ吉草酸と再度カップリングさせた。次いでEtOAc/MeOH中3MのHClを用いて、Boc保護基を除去すると、生成物が得られた。
【化20】

【0134】
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.04(d,J=8.29Hz,2H)、6.66(d,J=8.29Hz,2H)、3.69〜3.53(m,6H)、3.52〜3.48(br s,1H)、3.47〜3.39(m,4H)、3.28〜3.19(br s,1H)、2.26〜2.03(m,3H)、0.97(d,J=6.4Hz,6H)。
【0135】
ENMD−1066の合成:1−(4−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)アセチル)ピペラジン−1−イル)−3−メチルブタン−1−アミド塩酸塩
一般的なスキーム2に従い、3−メチルブタン酸を用いて合成すると、収率68%で得られた。
【化21】

【0136】
H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ14.05(s,2H,広幅(アミダゾール−NH.HCl)、9.02(s,1H)、7.48(s,1H)3.95(s,2H)、3.53(m,8H)、2.25(m,2H)、1.99(m,1H)、0.99〜0.85(d,6H,J=6.6Hz)。
【0137】
ENMD−1067の合成:4−(3−メチルブタノイル)ピペラジン−1−(5’−カルバモイル−ペンチルグアニジン)
一般的なスキーム1に従い、3−メチル酪酸、6−cbz−アミノ−ヘキサン酸、およびboc−チオ尿素を用いて合成すると、収率65%で得られた。
【化22】

【0138】
H NMR(300MHz,メタノール−d4)δ3.70〜3.53(m,8H)、3.18(t,2H,J=9Hz)、2.49(t,2H,J=7.5Hz)、2.35(d,2H,J=9Hz)、2.15(s,4H)、2.05(m,1H)、1.70〜1.55(m,4H)、1.50〜1.34(m,2H)、1.00(d,6H,J=6.6Hz)。
【0139】
ENMD−1068の合成:1−(4−(3−メチルブタノイル)ピペラジン−1−イル)−(6’−アミノヘキサン−1−アミド)臭化水素酸塩
一般的なスキーム1に従い、cbz−アミノカプロン酸および3−メチルブタン酸を用いて合成すると、収率60%で得られた。
【化23】

【0140】
H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ7.63(br s,3H,−NH2.HBr)、3.52〜3.36(m,8H)、2.85〜2.69(m,2H)、2.32(t,2H,J=7.2Hz)、2.21(d,2H,J=6.92Hz)、1.98(m,1H)、1.160〜1.44(m,4H)、1.38〜1.25(m,2H)、0.90(d,6H,J=6.6Hz)。
【0141】
ENMD−1069の合成:1−(4−(2−シクロヘキシルアセチル)ピペラジン−1−イル)−2−(ピリジン−2−イル)−アセトアルデヒド
一般的なスキーム4に従い、ピリド−2−イル酢酸を用いて合成した。
【化24】

【0142】
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.44(dq,J=5.1,1.0Hz,1H)、7.58(t,J=7Hz,1H)、7.32〜7.22(m,1H)、7.11(t,J=6Hz,1H)、3.87(s,2H)、3.63〜3.25(m,8H)、2.18〜2.06(m,2H)、1.81〜1.48(m,5H)、1.30〜0.73(m,6H)。
【0143】
ENMD−1070の合成:N−2−シクロヘキシルエタノイル−N−[2−(4−アミノフェニル)−エタノイル]−ピペラジン
CHCl中DCC/HOBTを用いて、ピペラジンをt−Bocで保護した4−アミノフェニル酢酸とカップリングさせ、次いでCHCl中DCC/HOBTを用いて、2−シクロヘキシル酢酸と再度カップリングさせた。次いでEtOAc/MeOH中3MのHClを用いて、Boc保護基を除去すると、生成物が得られた。
【化25】

【0144】
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.03(d,J=8.29Hz,2H)、6.65(d,J=8.29Hz,2H)、3.69〜3.54(m,7H)、3.47〜3.38(m,4H)、3.28〜3.19(m,1H)、2.25〜2.12(m,2H)、1.85〜1.59(m,6H)、1.37〜0.83(m,5H)。
【0145】
ENMD−1071の合成:1−(4−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)アセチル)ピペラジン−1−イル)−1−シクロヘキシル−アセトアミド塩酸塩
一般的なスキーム2に従い、シクロヘキシル酢酸を用いて合成すると、収率68%で得られた。
【化26】

【0146】
H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ14.06(s,2H,広幅−(イミダゾール−NH.HCl)、9.05(s,1H)、7.49(s,1H)3.95(d,2H,J=3.2Hz)、3.53(m,8H)、2.25(m,2H)、1.75〜1.50(m,6H)、1.32〜1.01(m,2H)、0.95〜0.85(t,2H,J=6.2Hz)。
【0147】
ENMD−1072の合成:4−(1−シクロヘキシルアセチル)ピペラジン−1−(5’−カルバモイル−ペンチルグアニジン)
一般的なスキーム1に従い、シクロヘキシル酢酸、cbz−アミノヘキサン酸、およびboc−チオ尿素を用いて合成すると、収率55%で得られた。
【化27】

【0148】
H NMR(300MHz,メタノール−d4)δ3.68〜3.53(m,8H)、3.36(s,4H)、3.19(t,2H,J=7Hz)、2.47(t,2H,J=7Hz)、2.32(d,2H,J=7Hz)、1.82〜1.56(m,6H)、1.50〜0.94(m,5H)。
【0149】
ENMD−1073の合成:N−(2−シクロヘキシルエタノイル)−N−(6−アミノヘキサノイル)ピペラジン
CHCl中DCC/HOBTを用いて、ピペラジンをcbz−6−アミノカプロン酸とカップリングさせ、次いでCHCl中DCC/HOBTを用いて、2−シクロヘキシル酢酸と再度カップリングさせた。次いでEtOAc中Hガスの50psi下Pd−C(10%)を用いて、Cbz保護基を除去すると、収率63%でENMD−1073が得られた。
【化28】

【0150】
H NMR(300MHz,CDCl)δ3.71〜3.59(m,4H)、3.55〜3.42(m,4H)、2.74(t,J=6.59Hz,2H)、2.37(t,J=7.35Hz,2H)、2.25(d,J=6.79Hz,2H)、1.88〜0.88(m,17H)。
【0151】
ENMD−1074の合成:1−(4−(2−シクロヘキシルアセチル)ピペラジン−1−イル)−2−(ピリジン−3−イル)−アセトアルデヒド
一般的なスキーム4に従い、ピリド−3−イル酢酸を用いて合成した。
【化29】

【0152】
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.58〜8.49(m,2H)、7.69〜7.60(m,1H)、7.35〜7.24(m,1H)、3.76(m,2H)、3.72〜3.35(m,8H)、2.29〜2.16(m,2H)、1.90〜1.59(m,5H)、1.40〜0.86(m,6H)。
【0153】
ENMD−1075の合成:N−2−フェニルエタノイル−N−[2−(4−アミノフェニル)−エタノイル]−ピペラジン
CHCl中DCC/HOBTを用いて、ピペラジンをt−Bocで保護した4−アミノフェニル酢酸とカップリングさせ、次いでCHCl中DCC/HOBTを用いて、2−フェニル酢酸と再度カップリングさせた。次いでEtOAc/MeOH中3MのHClを用いて、Boc保護基を除去すると、生成物が得られた。
【化30】

【0154】
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.38〜7.19(m,5H)、7.02(d,J=7.73Hz,2H)、6.65(d,J=8.48Hz,2H)、3.78〜3.69(m,2H)、3.65〜3.57(m,2H)、3.49〜3.36(m,6H)、3.24〜3.15(s,2H)、1.69(br s,2H)。
【0155】
ENMD−1076の合成:1−(4−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)アセチル)ピペラジン−1−イル)−1−ベンジル−アミド
一般的なスキーム2に従い、フェニル酢酸を用いて合成すると、収率75%で得られた。
【化31】

【0156】
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.065(s,1H)、7.35〜7.15(m,5H)、6.95(s,1H)、3.82〜3.68(m,4H)、3.58(s,4H)、3.35(s,4H)。
【0157】
ENMD−1077の合成:4−フェニルアセトイル−ピペラジン−1−(5’−カルバモイル−ペンチルグアニジン)
一般的なスキーム1に従い、フェニル酢酸、cbz−アミノカプロン酸、およびboc−チオ尿素を用いて合成すると、収率68%で得られた。
【化32】

【0158】
H NMR(300MHz,メタノール−d4)δ7.38〜7.23(m,5H)、3.83(s,2H)、3.70〜3.50(m,5H)、3.50〜3.38(m,2H)、3.36(s,2H)、3.18(t,2H,J=7Hz)、1.70〜1.50(m,6H)、1.48〜1.29(m,2H)。
【0159】
ENMD−1078の合成:N−(2−フェニルエタノイル)−N−(6−アミノヘキサノイル)ピペラジン
CHCl中DCC/HOBTを用いて、ピペラジンをcbz−6−アミノカプロン酸とカップリングさせ、次いでCHCl中DCC/HOBTを用いて、2−フェニル酢酸と再度カップリングさせた。次いでEtOAc中Hガスの50psi下Pd−C(10%)を用いて、Cbz保護基を除去すると、収率50%でENMD−1078が得られた。
【化33】

【0160】
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.40〜7.22(m,5H)、3.78(s,2H)、3.72〜3.54(m,4H)、3.48〜3.38(m,5H)、3.28〜3.17(m,1H)、2.74(br s,2H)、2.39〜2.22(m,2H)、1.71〜1.57(m,2H)、1.57〜1.45(m,2H)、1.45〜1.30(m,2H)。
【0161】
ENMD−1079の合成:1−(4−(2−シクロヘキシルアセチル)ピペラジン−1−イル)−2−(ピリジン−4−イル)−アセトアルデヒド
一般的なスキーム4に従い、ピリド−4−イル酢酸を用いて合成した。
【化34】

【0162】
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.59(d,J=5.7Hz,2H)、7.21(d,J=5.8Hz,2H)、3.76(s,2H)、3.72〜3.33(m,8H)、2.28〜2.14(m,2H)、1.88〜1.58(m,5H)、1.38〜0.86(m,6H)。
【0163】
ENMD−1402の合成:メチル6−(4−(3−メチルブタノイル)ピペラジン−1−イル)−6−オキソヘキサノエート
DCCとHOBtを用いて5−(メトキシカルボニル)ペンタン酸をピペラジンとカップリングさせた。得られたアミドを、DCCとHOBtを用いてイソ吉草酸とカップリングさせた。
【化35】

【0164】
ENMD−1403の合成:6−(4−(3−メチルブタノイル)ピペラジン−1−イル)−6−オキソヘキサン酸
メタノール性KOH中でENMD−1402を加水分解することにより、ENMD−1403を調製した。
【化36】

【0165】
(実施例10)
モルホリン類を合成するための一般的スキーム
EDCカップリングのための一般的手順
【化37】

【0166】
アミン(1当量)、酸(1当量)、EDC.HCl(1.2当量)およびHOAt(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、1.2当量)を無水DMF(20体積)に溶解し、室温でN下撹拌した。TLCおよびLC−MSの両方により反応をモニターした。反応が完了した時点で、水(25体積)および酢酸エチル(15体積)を加え、両層を分離した。水層を酢酸エチル(3×15体積)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過した。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘプタン混合物)により粗生成物を精製すると、80%から定量的の範囲の収率で純粋なアミド類が得られた。
【0167】
t−Boc脱保護のための一般的手順
【化38】

【0168】
N−Bocモルホリンカルボキサミドを、ジオキサン中無水HCl(4.0M)10体積に溶解し、室温で数時間撹拌した。反応が完了した時点で、溶媒を真空下に除去すると、定量的収率でモルホリン塩が粉末状固体として得られた。粗生成物をさらには精製せずに次のステップに通常使用した。
【0169】
酸塩化物でキャップするための一般的手順
【化39】

【0170】
酸塩化物(1.1当量)を、THF−EtN中出発物である塩の懸濁液(20体積、20:1)に加え、N下0℃で撹拌した。氷浴を室温にし、反応物をTLC(酢酸エチル−ヘプタン混合物)および/またはLC−MSによりモニターした。
【0171】
完了後、反応混合物をNHClの飽和水溶液に注ぎ入れ、両層を分離し、水溶液をDCM(3回)でさらに抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(2回)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、溶媒を真空下に除去した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘプタン混合物および最後にMeOH−酢酸エチルでフラッシュした)により粗生成物を精製すると、所望のアミドが典型的には〜50%の収率で得られた。
【0172】
TBTUカップリングのための一般的手順
【化40】

【0173】
出発物の酸、TBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’N’−テトラメチルウラニウムテトラフルオロボレート、1.0当量)、Dipea(1.0当量)およびアミン(1.0当量)を無水DMF(20体積)に溶解し、N下室温で撹拌した。
【0174】
反応をLC−MSによりモニターし、反応が完了した時点で、酢酸エチル−水を加え(1:1、30体積)、両層を分離した。水層を酢酸エチル(3回)でさらに抽出し、合わせた有機層をブライン(2回)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を真空下に除去した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘプタン混合物、最後に酢酸エチル−MeOHでフラッシュ)により粗生成物を精製すると、80%から定量的の範囲の収率でアミド類が得られた。
【0175】
ENMD−1521の合成:4−(2−シクロヘキシル−アセチル)−モルホリン−2−カルボン酸(6−アミノ−ヘキシル)−アミド
モルホリンカルボン酸アミン塩を最初に2−シクロヘキシルアセチルクロリドとカップリングさせた。次いでTBTUを用いて酸をモノ−t−Boc−ジアミノヘキサンとカップリングさせ、脱保護すると、ENMD−1521が得られた。
【化41】

【0176】
LCMS m/z 354(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 4.68〜4.76(0.5H,m)、4.19〜4.29(0.5H,m)、3.95〜4.17(2H,m)、3.84〜3.94(1H,m)、3.54〜3.66(1H,m)、3.19〜3.36(3H,m)、2.90〜3.04(2.5H,m)、2.63〜2.74(0.5H,m)、2.27〜2.42(2H,m)、1.14〜1.86(17H,m)、0.95〜1.12(2H,m)。
【0177】
ENMD−1522の合成:4−(3−メチル−ブチリル)−モルホリン−2−カルボン酸(6−アミノ−ヘキシル)−アミド
モルホリンカルボン酸アミン塩を最初にイソブチル酸クロリドとカップリングさせた。次いでTBTUを用いて酸をモノ−t−Boc−ジアミノヘキサンとカップリングさせ、脱保護すると、ENMD−1522が得られた。
【化42】

【0178】
LCMS m/z 314(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 4.69〜4.77(1/2H,m)、4.20〜4.29(1/2H,m)、3.95〜4.16(2H,m)、3.84〜3.94(1H,m)、3.54〜3.67(1H,m)、3.19〜3.31(4H,m)、2.89〜3.03(2H,m)、2.27〜2.42(2H,m)、2.03〜2.16(1H,m)、1.62〜1.73(2H,m)、1.52〜1.61(2H,m)、1.32〜1.49(4H,m)、0.94〜1.05(6H,m)。
【0179】
ENMD−1523の合成:4−(6−アミノ−ヘキサノイル)−モルホリン−2−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド
記載した一般的スキームを用いて、N−boc−モルホリンカルボン酸を2−シクロヘキシルアミノエタン(シクロヘキシルメチルアミン)とカップリングさせ、脱保護し、次いでN−boc−アミノヘキサン酸とカップリングさせた。最後に脱保護すると、ENMD−1523が得られた。
【化43】

【0180】
LCMS m/z 340(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 4.66〜4.76(1/2H,m)、4.17〜4.26(1/2H,m)、3.97〜4.12(2H,m)、3.80〜3.94(1H,m)、3.55〜3.69(1H,m)、3.21〜3.36(2H,m)、2.92〜3.16(4H,m)、2.40〜2.58(2H,m)、1.61〜1.81(9H,m)、1.40〜1.59 3H,m)、1.16〜1.36(3H,m)、0.88〜1.03(2H,m)。
【0181】
ENMD−1524の合成:4−(6−アミノ−ヘキサノイル)−モルホリン−2−カルボン酸イソブチル−アミド
記載した一般的スキームを用いて、N−boc−モルホリンカルボン酸を2−メチルアミノプロパン(イソブチルアミン)とカップリングさせ、脱保護し、次いでN−boc−アミノヘキサン酸とカップリングさせた。最後に脱保護すると、ENMD−1524が得られた。
【化44】

【0182】
LCMS m/z 300(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 4.51〜4.59(1/2H,m)、4.01〜4.08(1/2H,m)、3.82〜3.97(2H,m)、3.64〜3.78(1H,m)、3.39〜3.53(1H,m)、3.05〜3.23(2H,m)、2.75〜2.94(4H,m)、2.49〜2.56(1H,m)、2.24〜2.41(2H,m)、1.45〜1.78(5H,m)、1.24〜1.36(2H,m)、0.72〜0.79(6H,m)。
【0183】
(実施例11)
ベンズイミダゾール類を合成するための一般的スキーム
チオイソシアネート類でキャップするための一般的手順
【化45】

【0184】
チオイソシアネート(1.1当量)を、出発物であるジアミノベンゼンとDipea(ジイソプロピルエチルアミン、1.5当量)の乾燥THF(10体積)溶液に加え、N下40℃で撹拌した。反応をLC−MSによりモニターした。反応が完了した時点で、混合物を室温に冷却し、過剰のチオイソシアネートをPAM−樹脂で除去した。濾過し、真空下に溶媒を除去すると、粗製のチオ尿素類が定量的収率で得られた。
【0185】
環化のための一般的方法
【化46】

【0186】
チオ尿素とPOCl(3.0当量)を無水ジクロロエタン(DCE、20体積)に溶解し、混合物を封管中室温で5分間撹拌した。次いで反応物を65℃に加熱し、その経過をLC−MSによりモニターした。反応が完了した時点で、混合物を氷−水(7:3)に注ぎ入れ、激しく撹拌した。酸性の水層(pH〜3)をジクロロメタン(DCM、3回)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空下に溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー[酢酸エチル−ヘプタンを3:7から無溶媒の酢酸エチルへの濃度勾配、酢酸エチル−iPrOHおよび最終的に無溶媒のiPrOHフラッシュ]により粗生成物を精製すると、所望の生成物が通常約50%の収率で得られた。
【0187】
鹸化のための一般的方法
【化47】

【0188】
メチルエステルをMeOH(4体積)に溶解し、次いでNaOH水溶液(2.0M)1体積を加え、混合物を50℃に加熱した。加水分解が完了した時点で、反応混合物を室温に冷却し、HCl(0.5N)でpHを6〜7に合わせ、真空下にMeOHを除去した。水層をDCM(3回)で抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過した。溶媒を除去した後、粗製の酸類が適度から良好な収率で得られ、UVによる平均純度は95%であった。
【0189】
TBTUカップリング
モルホリンのスキームからの一般的手順を参照のこと。
【0190】
Boc脱保護
モルホリンのスキームからの一般的手順を参照のこと。
【0191】
ENMD−1525の合成:2−イソブチルアミノ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(6−アミノ−ヘキシル)−アミド
提供した一般的スキームを用いて、1,2−ジアミノベンゼン−4−カルボン酸メチルエステルを2−メチルプロパンチオイソシアネートとカップリングさせ、POClで環化し、鹸化した。次いでこの中間体をモノ−N−Boc−ジアミノヘキサンとカップリングさせ、脱保護すると、ENMD−1525が得られた。
【化48】

【0192】
LCMS m/z 332(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 7.56(1H,s)、7.39(1H,d,J=8.3Hz)、7.09(1H,d,J=8.3Hz)、3.44〜3.69(3H,m)、3.23〜3.31(3H,m)、3.09(2H,d,J=7.0Hz)、2.60(1H,t,J=7.3Hz)、1.74〜1.94(1H,m)、1.15〜1.63(9H,m)、0.90(6H,d,J=6.7Hz)。
【0193】
ENMD−1526の合成:2−(シクロヘキシルメチル−アミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(6−アミノ−ヘキシル)−アミド
提供した一般的スキームを用いて、1,2−ジアミノベンゼン−4−カルボン酸メチルエステルをシクロヘキシルメチルチオイソシアネートとカップリングさせ、POClで環化し、鹸化した。次いでこの中間体をモノ−N−Boc−アミノヘキサンとカップリングさせ、脱保護すると、ENMD−1526が得られた。
【化49】

【0194】
LCMS m/z 372(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 7.56(1H,d,J=1.6Hz)、7.39(1H,dd,J=8.3,1.6Hz)、7.09(1H,d,J=8.3Hz)、3.41〜3.70(4H,m)、3.23〜3.34(4H,m)、3.11(2H,d,J=7.0Hz)、2.51〜2.65(1H,m)、1.75(2H,d,J=13.0Hz)、1.63〜1.71(2H,m)、1.48〜1.63(4H,m)、1.04〜1.48(9H,m)、0.77〜0.98(2H,m)。
【0195】
ENMD−1553の合成:2−(6−アミノ−ヘキシルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド
提供した一般的スキームを用いて、1,2−ジアミノベンゼン−4−カルボン酸メチルエステルをBoc−N−アミノヘキサンチオイソシアネートとカップリングさせ、POClで環化し、鹸化した。次いでこの中間体をシクロヘキシルメチルアミンとカップリングさせ、脱保護すると、ENMD−1553が得られた。
【化50】

【0196】
LCMS m/z 372(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 6.63〜8.12(3H,m)、3.39(2H,t,J=7.09Hz)、3.21(2H,d,J=7.34Hz)、2.78〜2.96(2H,m)、1.55〜1.89(8H,m)、1.19〜1.53(9H,m)、0.76〜1.12(3H,m)。
【0197】
(実施例12)
ビアリール類を合成するための一般的スキーム
ビフェニルアルキルクロリド類の合成
【化51】

【0198】
4’−アミノ−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル(200mg、0.88mmol)およびDIPEA(0.30ml、1.76mmol、2当量)のDCM(3ml)溶液に、クロロ−酸クロリド(156mg、0.92mmol、1.05当量)のDCM(1ml)溶液を滴下添加した。反応物を撹拌下6時間置いた。LCMS分析は出発物が完全に消費されたことを示し、生成物が主のピークとして観測された。水を加え、1NのHClで溶液を酸性化し、DCM抽出(2回)した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。DCM次いでDCM中1から2%のMeOH/7NのNHで溶離するシリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製すると、生成物がベージュ色固体として得られた(312mg、収率98%)。LCMS m/z 360(MH)。
【0199】
HOAtおよびEDCを用いてビアリールをキャップするための一般的手順
【化52】

【0200】
N−Bocアミノヘキサン酸(370mg、1.58mmol、1.2当量)、HOAt(220mg、1.58mmol、1.2当量)、EDC.HCl(300mg、1.58mmol、1.2当量)のDMF(3ml)溶液に、4’−アミノ−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル(300mg、1.32mmol)のDMF(2ml)溶液を加えた。反応物を室温で終夜放置した。水を加え、EtOAc抽出(2回)した。合わせた有機層を水(2回)、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。DCM−MeOH/7NのNHの濃度勾配、DCM中1から3%のMeOH/7NのNHで溶離するシリカ上で精製すると、生成物がベージュ色固体として得られた(437mg、収率75%)。
【0201】
LCMS m/z 341(MH〜Boc基)。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 8.02(2H,d,J=8.6Hz)、7.50〜7.60(6H,m)、7.30〜7.40(1H,br)、4.45〜4.60(1H,br)、3.87(3H,s,CH)、3.07(2H,q,J=6.5Hz)、2.32(2H,t,J=7.6Hz)、1.71(2H,五重線,J=7.5Hz)、1.47(2H,五重線,J=7.3Hz)、1.30〜1.42(11H,m)。
【0202】
LiOH.HOを用いるメチルエステル類の加水分解のための一般的手順
【化53】

【0203】
4’−(6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサノイルアミノ)−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル(400mg、0.91mmol)のTHF(20ml)溶液に、LiOH.HO(230mg、5.45mmol、6当量)の水溶液(20ml)を加えた。反応物を4〜6時間置いた。LCMSは完全な加水分解を示している(1.39分でMH+=427)。反応混合物を1NのHClで酸性のpHに僅かに酸性化した。TBME抽出(tert−ブチルメチルエーテル、2回)した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、生成物が黄色がかった固体として良好な純度で得られた(355mg、収率92%)。
【0204】
LCMS m/z 427(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 7.97(2H,d,J=8.3Hz)、7.62(2H,d,J=8.6Hz)、7.59(2H,J=9.0Hz)、7.55(2H,d,J=9.0Hz)、2.95(2H,t,J=6.8Hz)、2.30(2H,t,J=7.4Hz)、1.63(2H,五重線,J=7.5Hz)、1.42(2H,五重線,J=7.3Hz)、1.27〜1.37(11H,m)。
【0205】
アルキルクロリドのアミンへの変換のための一般的手順
【化54】

【0206】
THF中ジメチルアミン(2.0M、10ml)中の4’−(6−クロロ−ヘキサノイルアミノ)−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル(199mg、0.55mmol)、KI(370mg、2.21mmol、4当量)、KCO(306mg、2.21mmol、4当量)溶液を封止し、90℃で終夜加熱した。溶液を除去し、残渣をTBMEおよび水に溶解させた。TBME抽出(2回)した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、生成物が白色固体として精製せずとも良好な純度で得られた(196mg、収率96%)。
【0207】
LCMS m/z 369(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 7.97(2H,d,J=8.6Hz)、7.64(2H,d,J=8.6Hz)、7.60(2H,d,J=9.0Hz)、7.56(2H,d,J=9.0Hz)、3.82(3H,s,CH)、2.31(2H,t,J=7.5Hz)、2.25(2H,t,J=7.8Hz)、2.16(6H,s,NMe)、1.65(2H,五重線,J=7.5Hz)、1.47(2H,五重線,J=7.8Hz)、1.27〜1.37(2H,m)。
【0208】
アリールカルボン酸のアミドへの変換のための一般的手順
【化55】

【0209】
HOAtおよびEDCを用いてキャップするための一般的手順を参照のこと。原料として、DMF(3ml)中4’−(6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサノイルアミノ)−ビフェニル−4−カルボン酸(150mg、0.35mmol)、HOAt(57.5mg、0.42mmol、1.2当量)、EDC.HCl(81mg、0.42mmol、1.2当量)、イソブチルアミン(35μl、0.35mmol、1.0当量)を用いた。DCM次いでDCM中4から15%MeOHで溶離するシリカ上でのカラムクロマトグラフィー後に生成物159mg(94%)を単離した。LCMS m/z 482(MH)。
【0210】
Boc脱保護のための一般的スキーム
[5−(4’−イソブチル−カルバモイル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ペンチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(159mg、0.33mmol)のジオキサン(5.0ml)懸濁液に、ジオキサン中の塩化水素(4N、5.0ml)を加えた。反応物を撹拌しながら3〜4時間置いた。溶媒を除去し、残渣をメタノールに溶解し、カーボネート樹脂(〜10倍)を加え、混合物を3〜4時間撹拌した。濾過し、濃縮すると、生成物69.1mg(55%)が固体として得られた。
【0211】
ENMD−1527の合成:4’−(6−アミノ−ヘキサノイルアミノ)−ビフェニル−4−カルボン酸イソブチル−アミド
4’−アミノ−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルをN−Boc−アミノヘキサン酸とカップリングさせた。エステルを鹸化し、EDCを用いて得られた酸をイソブチルアミンとカップリングさせた。Bocを脱保護すると、ENMD−1527が得られた。
【化56】

【0212】
LCMS m/z 382(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 7.87(2H,d,J=8.8Hz)、7.58〜7.76(6H,m)、3.21(2H,d,J=7.3Hz)、2.64(2H,t,J=7.1Hz)、2.40(2H,t,J=7.3Hz)、1.85〜2.04(1H,m)、1.63〜1.80(2H,m)、1.35〜1.61(4H,m)、0.97(6H,d,J=6.8Hz)。
【0213】
ENMD−1528の合成:4’−(6−アミノ−ヘキサノイルアミノ)−ビフェニル−4−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド
4’−アミノ−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルをN−Boc−アミノヘキサン酸とカップリングさせた。エステルを鹸化し、EDCを用いて得られた酸をシクロヘキシルメチルアミンとカップリングさせた。脱保護すると、ENMD−1528が得られた。
【化57】

【0214】
LCMS m/z 422(MH)。H NMR(400MHz,MeOD)δppm 7.87(2H,d,J=8.5Hz)、7.58〜7.74(6H,m)、3.22(2H,d,J=7.3Hz)、2.59〜2.72(2H,t,J=7.1Hz)、2.41(2H,t,J=7.3Hz)、1.60〜1.87(7H,m)、1.48〜1.58(2H,m)、1.37〜1.47(2H,m)、1.17〜1.36(4H,m)、1.02(2H,m)。
【0215】
ENMD−1529の合成:4’−(6−ジメチルアミノ−ヘキサノイルアミノ)−ビフェニル−4−カルボン酸イソブチル−アミド
4’−アミノ−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルを6−クロロ−ヘキサン酸クロリドとカップリングさせた。アルキルクロリドを3級アミンに変換し、エステルを鹸化させた。得られた酸をイソブチルアミンとカップリングし、脱保護すると、ENMD−1529が得られた。
【化58】

【0216】
LCMS m/z 410(MH)。H NMR(400MHz,MeOD)δppm 7.87(2H,d,J=8.5Hz)、7.54〜7.75(6H,m)、3.21(2H,d,J=6.8Hz)、2.30〜2.44(4H,m)、2.25(6H,s)、1.92(1H,七重線,J=6.8Hz)、1.75(2H,五重線,J=7.5Hz)、1.50〜1.62(2H,m)、1.32〜1.46(2H,m)、0.98(6H,d,J=6.8Hz)。
【0217】
ENMD−1530の合成:4’−(6−ジメチルアミノ−ヘキサノイルアミノ)−ビフェニル−4−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド
4’−アミノ−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルを6−クロロ−ヘキサン酸クロリドとカップリングさせた。アルキルクロリドを3級アミンに変換し、エステルを鹸化させた。得られた酸をシクロヘキシルメチルアミンとカップリングし、脱保護した。
【化59】

【0218】
LCMS m/z 450(MH)。H NMR(400MHz,MeOD)δppm 7.87(2H,d,J=8.8Hz)、7.56〜7.77(6H,m)、3.22(2H,d,J=7.3Hz)、2.28〜2.47(4H,m)、2.24(6H,s)、1.60〜1.87(8H,m)、1.50〜1.61(2H,m)、1.12〜1.48(5H,m)、0.90〜1.11(2H,m)。
【0219】
(実施例13)
ピラゾール類を合成するための一般的スキーム
酸クロリドを経由する一般的なアミド形成
【化60】

【0220】
出発物のニトロピラジンカルボン酸をDMFに溶解し、N下0℃で保持した。塩化オキサリル((COCl)、1.05当量)を加え、次いで気体の発生が終わり、反応混合物が透明になったときに、アミン(1.5当量)を最後に加えた。反応が完了した時点で、混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ入れ、DCM(3回)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(2回)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下に溶媒を除去した。粗製のアミド類(通常70%を超える収率)をさらに精製せずに使用した。
【0221】
TBTUカップリングのための一般的手順
モルホリン類のための実験手順を参照のこと。
【0222】
ニトロ還元のための一般的手順
【化61】

【0223】
ニトロピラゾールをEtOH−水(5:1、40体積)に溶解し、次いでFe(2.0当量)および塩化アンモニウム(1.0当量)を加えた。得られた懸濁液をN下40℃に加熱し、反応の進行をLC−MSによりモニターした。反応が完了した時点(通常2〜3時間)で、まだ暖かいうちにセライトを通して混合物を濾過し、ケーキをEtOH(30体積)で十分洗浄した。真空下に溶媒を除去し、粗製の残渣を酢酸エチル(30〜50体積)に溶解し、水(15体積で3回)およびブライン(2回)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を除去すると、アミノピラゾールが50から94%の収率で得られ、さらには精製せずに使用した。
【0224】
脱保護のための一般的手順(すなわち、Boc−基開裂)
モルホリン類のための実験手順を参照のこと。
【0225】
1533の合成:5−(6−アミノ−ヘキサノイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸イソブチル−アミド
塩化オキサリルとイソブチルアミンを用いて、ニトロピラジンカルボン酸をアミドに変換した。ニトロを還元し、N−Boc−アミノヘキサン酸(N−t−Boc−6アミノカプロン酸)でキャップし、脱保護すると、ENMD−1533が得られた。
【化62】

【0226】
LCMS m/z 296(MH)。H NMR(400MHz,DMSO d6)ppm 8.36〜8.45(1H,m)、7.04(1H,s)、2.97〜3.08(2H,m)、2.47〜2.56(2H,m)、2.24〜2.34(2H,m)、1.74〜1.87(1H,m)、1.50〜1.63(2H,m)、1.18〜1.42(4H,m)、0.87(6H,d,J=6.7Hz)。
【0227】
ENMD−1534の合成:5−(6−アミノ−ヘキサノイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド
塩化オキサリルとシクロヘキシルメチルアミンを用いて、ニトロピラジンカルボン酸をアミドに変換した。ニトロを還元し、N−Boc−アミノヘキサン酸でキャップし、脱保護すると、ENMD−1534が得られた。
【化63】

【0228】
LCMS m/z 336(MH)。H NMR(400MHz,DMSO d6)δppm 8.33〜8.43(1H,m)、7.04(1H,s)、3.01〜3.09(2H,m)、2.46〜2.57(2H,m)、2.23〜2.32(2H,m)、1.43〜1.73(8H,m)、1.09〜1.1.42(7H,m)、0.82〜0.97(2H,m)。
【0229】
ENMD−1550の合成:5−(3−メチル−ブチリルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6−アミノ−ヘキシル)−アミド
塩化オキサリルとN−Boc−ジアアミノヘキサンを用いて、ニトロピラジンカルボン酸をアミドに変換した。ニトロを還元し、TBTUを経由してイソ酪酸でキャップし、脱保護すると、ENMD−1550が得られた。
【化64】

【0230】
LCMS m/z 310(MH)。H NMR(400MHz,MeOD)δppm 3.32〜3.40(4H,m)、2.86〜2.95(2H,m)、2.23〜2.28(2H,m)、2.07〜2.22(1H,m)、1.56〜1.73(4H,m)、1.36〜1.50(4H,m)、1.00(6H,d,J=6.6Hz)。
【0231】
ENMD−1551の合成:5−(2−シクロヘキシル−アセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6−アミノ−ヘキシル)−アミド
塩化オキサリルとN−Boc−ジアミノヘキサンを用いて、ニトロピラジンカルボン酸をアミドに変換した。ニトロを還元し、TBTUを経由してシクロヘキシル酢酸でキャップし、脱保護すると、ENMD−1551が得られた。
【化65】

【0232】
LCMS m/z 350(MH)。H NMR(400MHz,MeOD)δppm 3.32〜3.39(3H,m)、2.88〜2.94(2H,m)、2.25(2H,d,J=7.3Hz)、1.79〜1.90(1H,m)、1.56〜1.79(9H,m)、1.39〜1.49(4H,m)、1.13〜1.37(3H,m)、0.93〜1.12(2H,m)。
【0233】
(実施例14)
イソキサゾール類を合成するための一般的スキーム
アジド類を合成するための一般的手順
【化66】

【0234】
5−ブロモメチル−イソキサゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.10g、5.0mmol)のトルエン(20ml)溶液に、TBAF(テトラブチルアミノフルオリド、1.0M、0.5ml、10mol%)およびアジ化ナトリウム(0.65g、10.0mmol、2当量)を加えた。反応混合物を封止し、70℃に6時間加熱した。TBMEおよび水を冷却した反応混合物に加えた。TBME抽出(2回)した。合わせた有機層を水(3回)、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、透明な生成物0.840g(92%)が得られた。LCMS m/z 183(MH)。
【0235】
鹸化のための一般的手順
【化67】

【0236】
モルホリン類に関して記載したLiOH.HOでのメチルエステルの加水分解のための一般的手順を参照のこと。原料として、5−アジドメチル−イソキサゾール−3−カルボン酸メチルエステル(0.84g、4.62mmol)、LiOH.HO(1.16g、27.7mmol、6当量)、THF(10ml)、水(10ml)を使用すると、生成物0.775g(100%)が得られた。LCMS m/z 214(M+2Na)。
【0237】
アミドカップリングのための一般的スキーム
【化68】

【0238】
モルホリン類に関して記載したHOAtとEDCを用いるキャップ条件のための一般的手順を参照のこと。原料として、DMF(5ml)中5−アジドメチル−イソキサゾール−3−カルボン酸(150mg、0.89mmol)、HOAt(146mg、1.07mmol、1.2当量)、EDC.HCl(205mg、1.07mmol、1.2当量)、イソブチルアミン(98μl、0.98mmol、1.1当量)を使用すると、DCM、次いで1:50から5:45のMeOH:DCMで溶離するシリカ上でのカラムクロマトグラフィー後に、生成物199mg(100%)が単離された。LCMS m/z 224(MH)。
【0239】
アジド基の接触水素化のための一般的手順
【化69】

【0240】
5−アジドメチル−イソキサゾール−3−カルボン酸イソブチル−アミドおよびPd/C(10重量/重量%、アジドの等量)のEtOH溶液を室温で6時間水素化した。Pd/Cを濾過し、EtOHで洗浄した。溶液を濃縮すると、生成物が固体として得られた。LCMS m/z 239(MH+MeCN)。
【0241】
ENMD−1555の合成:5−[(5−アミノ−ペンタノイルアミノ)−メチル]−イソキサゾール−3−カルボン酸イソブチル−アミド
提供した一般的スキームに従い、5−ブロモメチル−イソキサゾール−3−カルボン酸をアジドに変換し、鹸化し、イソブチルアミンにカップリングさせ、アミンに還元し、N−Boc−アミノペンタン酸にカップリングさせ、脱保護した。
【化70】

【0242】
LCMS m/z 297(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 6.57(1H,s)、4.53(2H,s)、3.17(2H,d,J=6.8Hz)、2.67(2H,t,J=7.3Hz)、2.28(2H,t,J=7.3Hz)、1.79〜2.00(1H,m)、1.43〜1.75(4H,m)、0.95(6H,d,J=6.8Hz)。
【0243】
ENMD−1556の合成:5−[(3−メチル−ブチリルアミノ)−メチル]−イソキサゾール−3−カルボン酸(6−アミノ−ヘキシル)−アミド
提供した一般的スキームに従い、5−ブロモメチル−イソキサゾール−3−カルボン酸をアジドに変換し、鹸化し、モノ−N−Boc−ジアミノヘキサンにカップリングさせ、アミンに還元し、3−メチルブタン酸にカップリングさせ、脱保護した。
【化71】

【0244】
LCMS m/z 325(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 6.58(1H,s)、4.53(2H,s)、3.37(2H,t,J=7.1Hz)、2.93(2H,t,J=7.5Hz)、1.98〜2.17(3H,m)、1.59〜1.77(4H,m)、1.35〜1.52(4H,m)、0.95(6H,d,J=6.2Hz)。
【0245】
ENMD−1557の合成:5−[(2−シクロヘキシル−アセチルアミノ)−メチル]−イソキサゾール−3−カルボン酸(6−アミノ−ヘキシル)−アミド
提供した一般的スキームに従い、5−ブロモメチル−イソキサゾール−3−カルボン酸をアジドに変換し、鹸化し、モノ−N−Boc−ジアミノヘキサンにカップリングさせ、アミンに還元し、シクロヘキシル酢酸にカップリングさせ、脱保護した。
【化72】

【0246】
LCMS m/z 365(MH)。H NMR(400MHz,MeOD)δppm 6.56(1H,s)、4.53(2H,s)、3.37(2H,t,J=7.1Hz)、2.85〜2.99(2H,m)、2.12(2H,d,J=7.3Hz)、1.56〜1.85(10H,m)、1.37〜1.54(4H,m)、1.10〜1.36(3H,m)、0.85〜1.07(2H,m)。
【0247】
ENMD−1558の合成:5−[(5−アミノ−ペンタノイルアミノ)−メチル]−イソキサゾール−3−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド
提供した一般的スキームに従い、5−ブロモメチル−イソキサゾール−3−カルボン酸をアジドに変換し、鹸化し、シクロヘキシルメチルアミンにカップリングさせ、アミンに還元し、N−Boc−アミノペンタン酸にカップリングさせ、脱保護した。
【化73】

【0248】
LCMS m/z 337(MH)。H NMR(400MHz,MeOD)δppm 6.56(1H,s)、4.53(2H,s)、3.19(2H,d,J=6.8Hz)、2.70(2H,t,J=7.1Hz)、2.28(2H,t,J=7.3Hz)、1.46〜1.84(9H,m)、1.11〜1.42(4H,m)、0.86〜1.08(2H,m)。
【0249】
(実施例15)
チアゾール類を合成するための一般的手順
アミン類をキャップするための一般的手順
【化74】

【0250】
モルホリン類に関して記載した通りに、HOAtとEDCを用いてキャップする条件のためと同様の一般的手順
原料として、DMF(5ml)中(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−酢酸エチルエステル(160mg、0.86mmol)、HOAt(131mg、0.95mmol、1.1当量)、EDC.HCl(185mg、0.95mmol、1.1当量)、イソ吉草酸(88mg、0.86mmol、1.0当量)を使用すると、DCM、次いで1:50から5:45のMeOH:DCMで溶離するシリカ上でのカラムクロマトグラフィー後に、生成物149mg(64%)が単離された。LCMS m/z 271(MH)。
【0251】
鹸化のための一般的手順
ジアリール類に関して記載した通りに、LiOH.HOでメチルエステルを加水分解するための一般的手順を参照のこと。
【化75】

【0252】
原料として、[2−(3−メチル−ブチリルアミノ)−チアゾール−4−イル]−酢酸エチルエステル(1.077g、2.70mmol)、LiOH.HO(0.68g、16.2mmol、6当量)、THF(10ml)、水(10ml)を使用すると、生成物0.893g(89%)が得られた。LCMS m/z 372(MH)。
【0253】
ENMD−1561の合成:N−{4−[(5−アミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]−チアゾール−2−イル}−3−メチル−ブチルアミド塩酸塩
提供した一般的スキームを用い、EDCを用いて(2−アミノ−チアゾール−4−イル)酢酸エチルエステルを最初に3−メチルブタン酸にカップリングさせ、鹸化し、次にモノ−N−boc−ジアミノペンタンにカップリングさせ、脱保護し、HCl塩として沈殿した。
【化76】

【0254】
LCMS m/z 327.36(MH)。H−NMR 400 mHz d ppm 7.19(1H,s)、3.78(2H,s)、3.24(2H,t,J=6.8Hz)、2.93(2H,t,J=7.7Hz)、2.50(2H,d,J=7.1Hz)、2.14〜2.28(1H,m)、1.64〜1.74(2H,m)、1.52〜1.64(2H,m)、1.38〜1.49(2H,m)、1.02(6H,d,J=6.6Hz)
ENMD−1549の合成:N−{4−[(5−アミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]−チアゾール−2−イル}−3−メチル−ブチルアミド
ENMD−1561と同様に合成したが、遊離塩基として調製した。
【化77】

【0255】
ENMD−1554の合成:6−アミノ−ヘキサン酸[4−(イソブチルカルバモイル−メチル)−チアゾール−2−イル]−アミド
提供した一般的スキームを用いて、EDCを用いて(2−アミノ−チアゾール−4−イル)酢酸エチルエステルを最初にN−Boc−アミノヘキサン酸にカップリングさせ、鹸化し、次にイソブチルアミンにカップリングさせ、脱保護した。
【化78】

【0256】
LCMS m/z 327(MH)。H NMR(400MHz,MeOD)δppm 7.18(1H,s)、3.78(2H,s)、3.04(2H,d,J=6.9Hz)、2.87〜3.00(2H,m)、2.68(2H,t,J=7.1Hz)、1.64〜1.89(5H,m)、1.39〜1.58(2H,m)、0.92(6H,d,J=6.9Hz)。
【0257】
ENMD−1559の合成:N−(5−アミノ−ペンチル)−2−[2−(2−シクロヘキシル−アセチル−アミノ)−チアゾール−4−イル]−アセトアミド
提供した一般的スキームを用いて、EDCを用いて(2−アミノ−チアゾール−4−イル)酢酸エチルエステルを最初に2−シクロヘキシル酢酸にカップリングさせ、鹸化し、次にモノ−N−boc−ジアミノペンタンにカップリングさせ、脱保護した。
【化79】

【0258】
LCMS m/z 367(MH)。H NMR(400MHz,メタノール−d4)δppm 7.14(1H,s)、3.75(2H,s)、3.24(2H,t,J=6.8Hz)、2.93(2H,t,J=7.3Hz)、2.47(2H,d,J=6.8Hz)、1.82〜1.96(1H,m)、1.63〜1.82(7H,m)、1.51〜1.63(2H,m)、1.39〜1.49(2H,m)、1.17〜1.38(3H,m)、0.98〜1.14(2H,m)。
【0259】
ENMD−1560の合成:6−アミノ−ヘキサン酸{4−[(シクロヘキシルメチル−カルバモイル)−メチル]−チアゾール−2−イル}−アミド
提供した一般的スキームを用いて、EDCを用いて(2−アミノ−チアゾール−4−イル)酢酸エチルエステルを最初にN−Boc−アミノヘキサン酸にカップリングさせ、鹸化し、次にシクロヘキシルメチルアミンにカップリングさせ、脱保護した。
【化80】

【0260】
LCMS m/z 367(MH)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δppm 7.87(1H,t,J=5.6Hz)、6.82(1H,s)、3.00〜3.71(4H,m)、2.76〜3.02(2H,m)、1.91〜2.46(1H,m)、1.01〜1.81(15H,m)、0.61〜0.97(2H,m)。
【0261】
例証した合成スキームを用いて、ベンズイミダゾロン類、アゼチジン類、スルタム類、二環式アミド類、トリアゾール類、ピラジン類、ピロール類、ピリジン類、フェニル類(ジアミノフェニル類、ヒドロキノン類またはp−ヒドロキシフェノール類、フェニルジカルボン酸類、ヒドロキシベンゾエート類、アルキルベンゾエート類、カルボキシアニリン類)、アルカン類、およびアルキン類を調製した。カップリング条件ならびに合成および精製方針は、上記を基にし、CDI、EDC、およびDCCを含む、当業者によく知られているカップリング試薬を用いた。側鎖のアミン類または他の反応性基は通常、t−BocもしくはCbzまたは他の適切な保護基で保護し、参照に示されまたは記載されている通りの標準条件を用いて除去した。
【0262】
(実施例16)
アゼチジン類を合成するための一般的スキーム
t−Boc保護アゼチジンを用いて、適切な酸クロリドでのアミンカップリングにより、最初の側鎖を導入した。アミドをTFAで脱保護し、続いて2番目の酸クロリドで最終のカップリングを行った。
【化81】

【0263】
ENMD−1513の合成:N−[1−(2−シクロヘキシルアセチル)アゼチジン−3−イル]−6−アミノヘキサンアミド
6−Cbz−アミノカプロン酸クロリドとBOC保護アゼチジンとをカップリングさせ、TFAでBocを除去し、2−シクロヘキシルアセチルクロリドを用いて第2のカップリングをさせることにより、目標物を調製した。接触水素化を用いるCBz脱保護化により目標物が得られた。
【化82】

【0264】
ENMD−1514の合成:2−シクロヘキシルアセトアミド−N−(6−アミノ−1−ヘキサノイルアゼチジン−3−イル)
2−シクロヘキシルアセチルクロリドをBOC保護アゼチジンとカップリングさせ、6−CBz−アミノ−カプロン酸クロリドを用いて第2のカップリングを行った以外は、ENMD−1513と同様に目標物を調製した。
【化83】

【0265】
ENMD−1515の合成:N−[1−(3−メチルブタノイル)アゼチジン−3−イル]−6−アミノヘキサンアミド
イソ吉草酸クロリドを2番目のカップリング試薬として使用した以外は、ENMD−1513と同様のスキームを用いて目標物を調製した。
【化84】

【0266】
ENMD−1516の合成:N−(6−アミノ−1−ヘキサノイルアゼチジン3−イル)−3−メチルブタンアミド
イソ吉草酸クロリドが最初のカップリング試薬であり、6−CBz−アミノ−カプロン酸クロリドが2番目のカップリング試薬である以外は、ENMD−1513と同様に目標物を調製した。
【化85】

【0267】
(実施例17)
ベンズイミダゾロン類を合成するための一般的スキーム
炭酸カリウムと適切なハロゲン化アルキルを用いて側鎖を導入し、続いて水素化ナトリウムと適切なハロゲン化アルキルで第2のカップリングを行った。
【化86】

【0268】
ENMD−1517の合成:1−(6−アミノヘキシル)−3−[(3−メチル)ブチル]ベンズイミダゾール(2)−オン
N−Boc−ベンズイミダゾロンを臭化イソペンチルおよび炭酸カリウムとカップリングさせ、TFAでBoc保護基を除去し、6−CBz−アミノヘキシルブロミドとカップリングさせることにより、目標物を調製した。最後に接触水素化によりCBzを脱保護すると、ENMD−1517が得られた。
【化87】

【0269】
ENMD−1518の合成:1−(6−アミノヘキシル)−3−[(2−シクロヘキシル)エチル]ベンズイミダゾール−(2)−オン
臭化イソペンチルの代わりに1−ブロモ−2−シクロヘキシルエタンを用いた以外は、ENMD−1517と同様の条件を用いて目標物を調製した。
【化88】

【0270】
ENMD−1563の合成:1−[4−(イソプロピルアミン)−フェネチル]−3−イソペンチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン
アセトン中でENMD−1573のニトロ前駆体をPd/C還元する間に、目標物を調製した。
【化89】

【0271】
ENMD−1564の合成:1−[4−(イソプロピルアミン)−フェネチル]−3−(2−シクロ−ヘキシルエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン
アセトン中でENMD−1574のニトロ前駆体をPd/C還元する間に、目標物を調製した。
【化90】

【0272】
ENMD−1573の合成:1−(4−アミノフェネチル)−3−イソペンチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン
炭酸カリウムの存在下にベンズイミダゾロンを2−(4−ニトロフェニルエチル)−ブロミドとカップリングすることにより、目標物を調製した。水素化ナトリウムと臭化イソペンチルを用いて第2のカップリングを行い、EtOH中Pd/Cを用いてニトロ基を還元すると、ENMD−1573が得られた。
【化91】

【0273】
ENMD−1574の合成:1−(4−アミノフェネチル)−3−(2−シクロヘキシルエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン
1−ブロモ−2−シクロヘキシルエタンを第2のカップリングに使用した以外は、ENMD−1573と同様の条件を用いて目標物を調製した。
【化92】

【0274】
(実施例18)
トリアゾール類を合成するための一般的スキーム
Cu粉末を触媒として用いて[3+2]環化付加反応を行い、続いて記載した通りに接触水素化によって脱保護化することにより、トリアゾール類を調製した。
【化93】

【0275】
ENMD−1519の合成:1−(6−アミノヘキシル)−4−(3−メチルブチル)−1,2,3−トリアゾール
イソヘプト−1−インと1−アジド−6−(Cbz−アミノ)ヘキサンとの間のCu触媒(10mol%触媒)[3+2]環化付加により、続いてCBzの脱保護により、目標物を調製した。
【化94】

【0276】
ENMD−1520の合成:1−(6−アミノヘキシル)−4−(2−シクロヘキシルエチル)−1,2,3−トリアゾール
4−シクロヘキシルブト−1−インと1−アジド−6−(Cbz−アミノ)ヘキサンとの間のCu触媒(10mol%触媒)[3+2]環化付加により、続いてCBzの脱保護により、目標物を調製した。
【化95】

【0277】
ENMD−1542の合成:1−シクロヘキシルメチル−4−(6−アミノヘキシル)1,2,3−トリアゾール
8−(N−Cbz−アミノ)オクト−1−インとアジド−メチレン−シクロヘキサンとの間のCu触媒(10mol%触媒)[3+2]環化付加により、続いてCBzの脱保護により、目標物を調製した。
【化96】

【0278】
ENMD−1544の合成:1−(2−メチルプロピル)4−(6−アミノヘキシル)−1,2,3−トリアゾール
8−(N−Cbz−アミノ)オクト−1−インとアジド−イソブタンとの間のCu触媒(10mol%触媒)[3+2]環化付加により、続いてCBzの脱保護により、目標物を調製した。
【化97】

【0279】
(実施例19)
スルタム類を合成するための一般的スキーム
J.Chem.Soc.Perkin Trans.1、(2001年)2022〜2034頁およびJ.Med.Chem.、(2004年)47巻、2981〜2983頁に記載されている方法に従い、Clでの分子内環化反応によってスルタム類を調製した。
【化98】

【0280】
ENMD−1539の合成:N−(イソアミル)イソチアソリジン−1,1−ジオキシド−3−カルボン酸−6−アミノヘキシルアミド
ジスルフィドのエステル化により、続いてClでのスルタムへの環化により、目標物を調製した。臭化イソペンチルで窒素をアルキル化し、エステルを加水分解し、最後にクロロギ酸イソブチルの存在下に6−CBz−アミノ−1−アミノヘキサンとカップリングさせた。記載した通りに接触水素化を行うことにより、CBz基を除去した。
【化99】

【0281】
ENMD−1545の合成:N−(6−アミノヘキシル)イソチアゾリジン−1,1−ジオキシド−3−カルボン酸(2−シクロヘキシル)エチルアミド
6−CBz−アミノ−1−ブロモヘキサンが最初のカップリング試薬であり、第2のカップリングを2−シクロヘキシル−1−アミノエタンで行った以外は、ENMD−1539と同様に目標物を調製した。接触水素化によりCBzを除去した。
【化100】

【0282】
ENMD−1546の合成:N−(6−アミノヘキシル)イソチアゾリジン−1,1−ジオキシド−3−カルボン酸イソアミルアミド
イソペンチルアミンが第2のカップリング試薬であった以外は、ENMD−1545と同様に目標物を調製した。接触水素化によりCBzを除去した。
【化101】

【0283】
ENMD−1547の合成:N−(2−シクロヘキシル)エチルイソチアソリジン−1,1−ジオキシド−3−カルボン酸−6−アミノヘキシルアミド
2−シクロヘキシルエチルブロミドが最初のカップリング試薬であった以外は、ENMD−1539と同様に目標物を調製した。接触水素化によりCBzを除去した。
【化102】

【0284】
(実施例20)
ピラジン類を合成するための一般的スキーム
塩基性条件下、市販されているクロロピラジンを適切なアルキルアミンとカップリングさせることにより、ピラジン類を調製した。得られたエステルをLiOHで加水分解し、EDCI活性化を用いて酸をアミドに変換した。
【化103】

【0285】
ENMD−1571の合成:4−アミノブチル−6−シクロヘキサンメチルアミノ−2−ピラジンアミド
シクロヘキシルメチルアミンを最初にカップリングさせ、続いてエステルを加水分解し、N−Boc−1,4−ジアミノブタンでアミドを形成させることにより、目標物を調製した。TFAで脱保護を行った。
【化104】

【0286】
ENMD−1572の合成:4−(ピベリジンエチル)−6−シクロヘキサンメチルアミノ−2−ピラジンアミド
1−Boc−ピペリジン−4−エチルアミンをアミドカップリングに使用した以外は、ENMD−1571と同様に目標物を調製した。
【化105】

【0287】
ENMD−1775の合成:シクロヘキシルメチル−6−(5−アミノペンタンアミノ)−2−ピラジンアミド
最初にN−Boc−1,5−ジアミノペンタンをカップリングすることにより、続いてエステルを加水分解することにより、目標物を調製した。EDCIでシクロヘキシルメチルアミンを酸にカップリングすることによりアミドを調製した。TFAでBocを除去した。
【化106】

【0288】
ENMD−1778の合成:シクロヘキシルエチル−6−(4−アミノエチルピペルジン)−2−ピラジンアミド
4−N−Boc−ピペリジンエチルアミンをカップリングし、エステルを加水分解し、次いでシクロヘキシルメチルアミンでアミドを形成させることにより、目標物を調製した。
【化107】

【0289】
(実施例21)
ピロール類を合成するための一般的スキーム
市販されている2−カルボキシピロールを酸性条件下にエステル化すると、メチルエステルが得られた。炭酸カリウムを用いてピロールをアルキル化し、続いてエステルを加水分解すると、酸が得られた。塩化オキサリルと適切なアミンを用いて酸をアミドに変換した。
【化108】

【0290】
ENMD−1537の合成:N−(6−アミノヘキシル)−1−(2−メチルプロピル)−2−ピロールカルボキサミド
2−カルボキシ酸ピロールをメチルエステルに変換し、臭化イソブチルでNをアルキル化することにより、目標物を調製した。エステルを加水分解し、塩化オキサリルとN−Boc−1,6−ジアミノヘキサンを用いて、得られた酸をアミドに変換した。Bocを脱保護すると目標物が得られた。
【化109】

【0291】
ENMD−1540の合成:N−(6−アミノヘキシル)−1−(2−シクロヘキシルメチル)−2−ピロールカルボキサミド
最初のカップリング反応にシクロヘキシルメチルアミンを使用した以外は、ENMD−1537と同様に目標物を調製した。
【化110】

【0292】
ENMD−1569の合成:1−(6−アミノヘキシル)−2−[N’−イソブチル]−ピロールカルボキサミド
最初のカップリング反応に6−トシル−1−N−Boc−アミノヘキサンを用いて最初のカップリングを行い、アミド形成においてイソブチルアミンを用いた以外は、ENMD−1537と同様に目標物を調製した。
【化111】

【0293】
ENMD−1570の合成:1−(6−アミノヘキシル)−2−[N’−シクロヘキシルメチル)]−ピロールカルボキサミド
最初のカップリング反応に6−トシル−1−N−Boc−アミノヘキサンを用い、第2のカップリング反応にシクロヘキシルメチルアミンを用いた以外は、ENMD−1537と同様に目標物を調製した。
【化112】

【0294】
(実施例22)
ピリジン類を合成するための一般的スキーム
酸クロリドをアミドに変換し、続いて適切なアミンと無溶媒下120℃で加熱してクロリドを置換することにより、ピリジン類を調製した。
【化113】

【0295】
ENMD−1538の合成:5−(シクロヘキシルメチルアミノ)−3−(4−アミノブチル)−ニコチノイルアミド
提供した一般的スキームに従い、6−クロロピリジン−3−カルボニルクロリドをTEAおよびCHCl中N−Boc−1,4−ジアミノブタンと反応させた。シクロヘキシルメチルアミン(無溶媒)と120℃で加熱することにより第2のカップリングを行い、Boc基を除去すると、ENMD−1538が得られた。
【化114】

【0296】
ENMD−1541の合成:5−(イソブチルアミノ)−3−(4’−アミノブチル)−ニコチノイルアミド
提供した一般的スキームに従い、6−クロロピリジン−3−カルボニルクロリドをTEAおよびCHCl中N−Boc−1,4−ジアミノブタンと反応させた。イソブチルアミン(無溶媒)と120℃で加熱することにより第2のカップリングを行い、Boc基を除去すると、ENMD−1541が得られた。
【化115】

【0297】
ENMD−1543の合成:5−(4−アミノブチルアミン)−3−(シクロヘキシルメチル)−ニコチノイルアミド
提供した一般的スキームに従い、6−クロロピリジン−3−カルボニルクロリドをTEAおよびCHCl中シクロヘキシルメチルアミンと反応させた。N−Boc−1,4−ジアミノブタン(無溶媒)と120℃で加熱することにより第2のカップリングを行い、Boc基を除去すると、ENMD−1543が得られた。
【化116】

【0298】
ENMD−1562の合成:6−(4−アミノブチルアミン)−3−(イソブチル)−ニコチノイルアミド
提供した一般的スキームに従い、6−クロロピリジン−3−カルボニルクロリドをTEAおよびCHCl中イソブチルアミンと反応させた。N−Boc−1,4−ジアミノブタン(無溶媒)と120℃で加熱することにより第2のカップリングを行い、Boc基を除去すると、ENMD−1562が得られた。
【化117】

【0299】
(実施例23)
アミド類を調製するための一般的スキーム
適切なアミン類と酸類とをカップリングさせることによりアミド模倣体を調製した。多くの場合、DCC、CDI、またはEDCIを含むカップリング試薬を使用し、一方多くの場合、酸類は酸塩化物類として活性化した。アミン側鎖および他の反応性基をCbzもしくはtBocでまたはエステル類として保護し、当業者に知られている標準条件を用いて、保護基をカップリング反応後に除去した。以下のスキームに示した1組の実施例において、適切な酸側鎖を有する4−アミノ安息香酸メチルと、DCC/HOBTまたはCDIのいずれかとをカップリングし、塩基でエステルを加水分解し、第2の側鎖をDCC/HOBTでカップリングすることにより、目標化合物を合成した。
【化118】

【0300】
ENMD−1511の合成:N−(4−アミノブチル)−4−(シクロヘキサンカルボキサミド)−ベンズアミド塩酸塩
CHCl中DCC/HOBTを用いて、4−アミノ安息香酸メチルをシクロヘキサンカルボン酸とカップリングさせ、MeOH中20%KOHで加水分解し、次いでCHCl中DCC/HOBTを用いてN−Cbz−1,4−ジアミノブタン塩酸塩とカップリングさせた。50psiのH(気体)でPd−C(10%)を用いてCbzを除去し、次いでMeOH中HCl(気体)を用いて塩酸塩に変換した。
【化119】

【0301】
ENMD−1568の合成:4−(5−アミノペンタンアミド)−N−(シクロヘキシルメチル)−ベンズアミド
THF中CDIを用いて4−アミノ安息香酸メチルを5−(Cbz−アミノ)ペンタン酸とカップリングさせ、MeOH中20%KOHで加水分解し、次いでTHF中CDIを用いてシクロヘキシルメチルアミンとカップリングさせた。次いで50psiのH(気体)でPd−C(10%)を用いてCbz保護基を除去した。
【化120】

【0302】
ENMD−1391の合成:N−(4−(3−メチルブタンアミド)フェニル)−6−アミノヘキサンアミド
アミドカップリングにて示した一般的方法により合成した。ジクロロメタン中DCC/HOBTを用いてCbz−6−アミノカプロン酸をp−フェニレンジアミン(1,4ジアミノベンゼン)とカップリングさせた。ピリジン中でイソ吉草酸クロライドとの第2のカップリングを行うと収率70%で得られた。50psiのH気体でメタノール中Pd−C10%を用いてCbzを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化121】

【0303】
ENMD−1397の合成:N−(4−(3−メチルブタンアミド)フェニル)−4−アミノブチル−アミド臭化水素酸塩
ジクロロメタン中DCC/HOBTを用いてCbz−4−アミノ酪酸をp−フェニレンジアミンとカップリングさせた。ジクロロメタン中DCC/HOBTを用いてイソ吉草酸との第2のカップリングを行うと収率70%で得られた。HBr/HOAcを用いてCbzを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化122】

【0304】
ENMD−1393の合成:N−(2−(3−メチルブタンアミド)エチル)−6−アミノヘキサン−アミド臭化水素酸塩
ピリジン中でイソ吉草酸クロライドをモノ−Cbz−1,2−ジアミノエタン塩酸塩とカップリングさせた。HBr/HOAcを用いてCbzを脱保護し、次いでTHF中CDIを用いてCbz−6−アミノヘキサン酸との第2のカップリングを行うと収率70%で得られた。HBr/HOAcを用いてCbzを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化123】

【0305】
ENMD−1416の合成:N−(2−(2−(4−アミノフェニル)アセトアミド)エチル)−3−メチルブタン−アミド塩酸塩
THF中CDIを用いてイソ吉草酸をモノ−Cbz−1,2−ジアミノエタン塩酸塩とカップリングさせた。HBr/HOAcを用いてCbz保護基を脱保護し、次いでTHF中CDIを用いてt−Boc−4−アミノフェニル酢酸との第2のカップリングを行うと、収率60%で得られた。ジクロロメタン中TFAを用いてt−Bocを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化124】

【0306】
ENMD−1417の合成:N−(2−(2−シクロヘキシルアセトアミド)エチル)−6−アミノヘキサン−アミド
THF中CDIを用いてシクロヘキシル酢酸をCbz−保護−1,2−ジアミノエタン塩酸塩とカップリングさせた。HBr/HOAcを用いてCbz基を脱保護し、次いでTHF中CDIを用いてCBZ−6−アミノカプロン酸との第2のカップリングを行うと、収率60%で得られた。50psiのH2でメタノール中Pd−C10%を用いてCbzを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化125】

【0307】
ENMD−1418の合成:N−(2−(2−シクロヘキシルアセトアミド)エチル)−6−アミノヘキサン−アミド
THF中CDIを用いてシクロヘキシル酢酸をCbz−保護−1,2−ジアミノエタン塩酸塩とカップリングさせた。HBr/HOAcを用いてCbz基を脱保護し、次いでTHF中CDIを用いてt−BOC−4−アミノフェニル酢酸との第2のカップリングを行うと、収率60%で得られた。ジクロロメタン中TFAを用いてt−Bocを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化126】

【0308】
ENMD−1504の合成:N−イソブチル−3R−(6−アミノヘキサンアミド)−シクロペンタン−1R−カルボキサミド
アミドカップリングにて示した一般的方法により合成した。THF中カルボニルジイミダゾール(CDI)を用いて(1R,3R)−N−Boc−1−アミノシクロペンタン−3−カルボン酸をイソブチルアミンとカップリングさせた。THF中CDIを用いてCbz−6−アミノカプロン酸との第2のカップリングを行うと収率50%で得られた。メタノール中Pd−C10%を用いてCbzを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化127】

【0309】
ENMD−1505の合成:N−シクロヘキシルメチル−3S−(6−アミノヘキサンアミド)−シクロペンタン−1R−カルボキサミド
THF中CDIを用いて(1R,3S)−N−Boc−1−アミノシクロペンタン−3−カルボン酸をシクロヘキサンメチルアミンとカップリングさせた。THF中CDIを用いてCbz−6−アミノカプロン酸との第2のカップリングを行うと収率50%で得られた。メタノール中Pd−C10%を用いてCbzを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化128】

【0310】
ENMD−1536の合成:N−イソブチル−3S−(6−アミノヘキサンアミド)−シクロペンタン−1R−カルボキサミド
THF中CDIを用いて(1R,3S)−N−Boc−1−アミノシクロペンタン−3−カルボン酸をイソブチルアミンとカップリングさせた。THF中CDIを用いて(1R,3S)−1−アミノシクロペンタン−3−イソブチルカルボキシアミドおよびCbz−6−アミノカプロン酸との第2のカップリングを行うと、収率50%で得られた。メタノール中Pd−C10%を用いてCbzを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化129】

【0311】
ENMD−1766の合成:N1−(5−アミノペンチル)−N4−(シクロヘキシルメチル)−テレフタルアミド
THF中CDIを用いてモノ−メチル−テレフタル酸をシクロヘキシルメチルアミンとカップリングさせた。MeOH中クライゼンアルカリでメチルエステルを脱メチル化し、次いでTHF中CDIを用いてN−Cbz−1,5−ジアミノペンタン−HClとの第2のカップリングを行うと、収率50%で得られた。MeOH中H2/Pd−C10%を用いてCbzを脱保護すると、最終生成物が得られた。
【化130】

【0312】
H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ8.64(t,1H,J=5.5 アミド)、8.54(t,1H,J=5.5,アミド)、7.9(s,4H,芳香族)、7.85(s,2H,広幅)、3.34(s,2H)、3.30(t,2H,J=6.27)、3.13(t,2H,J=6.1)、2.78(s,2H)、1.78〜1.48(m,10H)、1.4(q,2H,J=7.0)1.25〜1.10(m,3H)、0.95(2H,t J=7.57Hz)。
【0313】
(実施例24)
複素環および炭素環アミン置換基を用いる合成のための一般的スキーム
アミド類の合成に関して他に記載した方法を使用した。芳香族、飽和、炭素環、および/または複素環リンカーを用いて、実施例を調製した。例えば、飽和複素環核を有する目標物の一例において、最初のカップリングは、THF中CDIを用いて1−Boc−ピペラジンと2−シクロヘキシル酢酸とをリンクさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、MeOH中でHCl(気体)を用いてHCl塩に変換した。次いでCHCl中DCC/HOBTを用いて、得られたアミンを適切な側鎖とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、続いてMeOH中でHCl(気体)を用いてHCl塩に変換すると、所望の生成物が得られた。
【化131】

【0314】
ENMD−1768の合成:(1R,3S)−N−(4−(2−シクロヘキシルアセトアミド)フェニル)−3−アミノシクロペンタンカルボキサミド塩酸塩
THF中カルボニルジイミダゾール(CDI)を用いてシクロヘキシル酢酸をp−フェニレンジアミンとカップリングさせた。DMF中DCC/HOBTを用いて(1R,3S)−N−Boc−1−アミノシクロペンタン−3−カルボン酸との第2のカップリングを行うと、収率50%で得られた。ジクロロメタン中TFAを用いてt−Bocを脱保護し、イソプロピルアルコール中HClを用いて塩酸塩に変換すると、最終生成物が得られた。
【化132】

【0315】
H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ8.64(t,1H,J=5.5 アミド)、8.54(t,1H,J=5.5,アミド)、7.9(s,4H,芳香族)、7.85(s,2H,広幅)、3.34(s,2H)、3.30(t,2H,J=6.27)、3.13(t,2H,J=6.1)、2.78(s,2H)、1.78〜1.48(m,10H)、1.4(q,2H,J=7.0)1.25〜1.10(m,3H)、0.95(2H,t J=7.57Hz)。
【0316】
ENMD−1770の合成:N1−2−シクロヘキシルエタノイル−N4−ピペリジン−4−カルボニル−ピペラジン塩酸塩
THF中CDIを用いて1−Boc−ピペラジンを2−シクロヘキシル酢酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、MeOH中HClを用いてHCl塩に変換した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られたアミンを1−Boc−イソニペコ酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、続いてMeOH中HClを用いてHCl塩に変換した。
【化133】

【0317】
ENMD−1771の合成:N−(4−(2−シクロヘキシルアセトアミド)フェニル)ピペリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
THF中CDIを用いてシクロヘキシル酢酸をp−フェニレンジアミンとカップリングさせた。DMF中DCC/HOBTを用いてN−Boc−DL−ニペコ酸との第2のカップリングを行うと、収率54%で得られた。ジクロロメタン中TFAを用いてt−Bocを脱保護し、イソプロピルアルコール中HClを用いて塩酸塩に変換すると、最終生成物が得られた。
【化134】

【0318】
ENMD−1772の合成:N−(4−(2−シクロヘキシルアセトアミド)フェニル)ピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩
THF中CDIを用いてシクロヘキシル酢酸をp−フェニレンジアミンとカップリングさせた。DMF中DCC/HOBTを用いてN−Boc−イソニペコ酸との第2のカップリングを行うと、収率58%で得られた。ジクロロメタン中TFAを用いてt−Bocを脱保護し、イソプロピルアルコール中HClを用いて塩酸塩に変換すると、最終生成物が得られた。
【化135】

【0319】
ENMD−1773の合成:N1−2−シクロヘキシルエタノイル−N4−ピペリジン−3−カルボニル−ピペラジン塩酸塩
THF中CDIを用いて1−Boc−ピペラジンを2−シクロヘキシル酢酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、MeOH中HClを用いてHCl塩に変換した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られたアミンをN−Boc−DL−ニペコ酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、続いてMeOH中HClを用いてHCl塩に変換した。
【化136】

【0320】
ENMD−1774の合成:N1−2−シクロヘキシルエタノイル−N4−シス−3−アミノ−シクロヘキサン−カルボニルピペラジン塩酸塩
THF中CDIを用いて1−Boc−ピペラジンを2−シクロヘキシル酢酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、MeOH中HClを用いてHCl塩に変換した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られたアミンをシス−3−(Boc−アミノ)シクロヘキサンカルボン酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、続いてMeOH中HClを用いてHCl塩に変換した。
【化137】

【0321】
ENMD−1779の合成:N1−2−シクロヘキシルエタノイル−N4−(1R,3R)−1−アミノ−シクロペンタン−3−カルボニルピペラジン塩酸塩
THF中CDIを用いて1−Boc−ピペラジンを2−シクロヘキシル酢酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、i−PrOH中HClを用いてHCl塩に変換した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られたアミンを(1R,3R)−N−Boc−1−アミノシクロペンタン−3−カルボン酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、続いてMeOH中でHClを用いてHCl塩に変換した。
【化138】

【0322】
ENMD−1780の合成:N1−2−シクロヘキシルエタノイル−N4−モルホリン−2−カルボニル−ピペラジン塩酸塩
THF中CDIを用いて1−Boc−ピペラジンを2−シクロヘキシル酢酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、MeOH中HCl(気体)を用いてHCl塩に変換した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られたアミンを(R,S)−Boc−2−カルボキシモルホリンとカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、続いてMeOH中HCl(気体)を用いてHCl塩に変換した。
【化139】

【0323】
ENMD−1781の合成:N1−2−シクロヘキシルエタノイル−N4−シス−4−アミノ−シクロヘキサン−カルボニルピペラジン塩酸塩
THF中CDIを用いて1−Boc−ピペラジンを2−シクロヘキシル酢酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、MeOH中HClを用いてHCl塩に変換した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られたアミンをシス−4−(Boc−アミノ)シクロヘキサンカルボン酸とカップリングさせた。CHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、続いてMeOH中HClを用いてHCl塩に変換した。
【化140】

【0324】
(実施例25)
ヒドロキシフェニル類を合成するための一般的スキーム
当業者に知られている標準方法を用いて、アルコール類とフェノール類とのエーテル類が調製できる。エーテル類を調製するためおよびアミド類を調製するために示したスキームを組み合わせることにより、エーテル類とアミド類の両方を含有する目標物を調製した。例えば、アセトン中還流下KCOを用いて4−ヒドロキシ安息香酸メチルを適切なハロゲン化アルキルでアルキル化し、酸または塩基のいずれかを用いてエステルを加水分解し、CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られた酸を第2の側鎖とカップリングさせると、アミドが得られ、ENMD−1405を調製した。t−BocまたはCbzのいずれかでアミン側鎖を保護し、カップリング反応後、標準条件を用いてこれを除去した。
【化141】

【0325】
ENMD−1405の合成:N−(4−アミノブチル)−4−イソブトキシ−ベンズアミド
4−ヒドロキシ安息香酸メチルを1−ヨード−2−メチルプロパンでアルキル化し、氷酢酸中還流下で濃HClを用いてエステルを加水分解した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られた酸をN−Cbz−1,4−ジアミノブタン塩酸塩とカップリングさせた。50psiのH(気体)で2:1のCHCl:MeOH中Pd−C(10%)を用いてCbzを除去すると、ENMD−1405が得られた。
【化142】

【0326】
ENMD−1406の合成:N−(4−アミノブチル)−4−(シクロヘキシルメトキシ)−ベンズアミド
アセトン中還流下KCOを用いて、4−ヒドロキシ安息香酸メチルを(ブロモメチル)シクロヘキサンでアルキル化し、氷酢酸中還流下で濃HClを用いてエステルを加水分解した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られた酸をN−Cbz−1,4−ジアミノブタン塩酸塩とカップリングさせることにより、第2の側鎖を導入した。50psiのH(気体)で2:1のCHCl:MeOH中Pd−C(10%)を用いてCbzを除去すると、ENMD−1406が得られた。
【化143】

【0327】
ENMD−1408の合成:N−(3−アミノプロピル)−4−イソブトキシ−ベンズアミド
アセトン中還流下KCOを用いて、4−ヒドロキシ安息香酸メチルを1−ヨード−2−メチルプロパンでアルキル化し、氷酢酸中還流下で濃HClを用いてエステルを加水分解した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られた酸をN−Cbz−1,3−ジアミノプロパン塩酸塩とカップリングさせることにより、第2の側鎖を導入した。50psiのHでCHCl中Pd−C(10%)を用いてCbzを除去すると、ENMD−1408が得られた。
【化144】

【0328】
ENMD−1409の合成:N−(3−アミノプロピル)−4−(シクロヘキシルメトキシ)−ベンズアミド
最初のアルキル化をブロモメチル−シクロヘキサンで行った以外は、ENMD−1408と同様に合成した。50psiのHで4:1のCHCl:MeOH中Pd−C(10%)を用いてCbzを除去すると、ENMD−1409が得られた。
【化145】

【0329】
ENMD−1410の合成:4−(3−アミノプロポキシ)−N−イソブチル−ベンズアミド
アセトン中還流下KCOを用いて、4−ヒドロキシ安息香酸メチルをBoc保護3−ブロモプロピルアミンでアルキル化し、MeOH中20%KOHを用いてエステルを加水分解した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られた酸を2−メチルプロピルアミンとカップリングさせることにより、第2の側鎖を導入した。次いでCHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去すると、ENMD−1410が得られた。
【化146】

【0330】
ENMD−1411の合成:4−(3−アミノプロポキシ)−N−(シクロヘキシルメチル)−ベンズアミド
CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られた酸をシクロヘキシル−メチルアミンとカップリングさせることにより第2の側鎖を導入した以外は、ENMD−1410と同様に合成した。
【化147】

【0331】
ENMD−1485の合成:N−(4−アミノベンジル)−4−(シクロヘキシルメトキシ)−ベンズアミド塩酸塩
アセトン中還流下KCOを用いて、4−ヒドロキシ安息香酸メチルを(ブロモメチル)シクロヘキサンでアルキル化し、氷酢酸中還流下で濃HClを用いてエステルを加水分解した。CHCl中DCC/HOBTを用いて、得られた酸を4−(アミノメチル)−N−Boc−ベンゼンアミンとカップリングさせることにより、第2の側鎖を導入した。次いでCHCl中TFAを用いてBoc保護基を除去し、MeOH中HClを用いてHCl塩に変換すると、ENMD−1485が得られた。
【化148】

【0332】
ENMD−1566の合成:4−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)ブタン−1−アミン塩酸塩
アセトン中KCOを用いて還流させることにより、ヒドロキノン(p−ヒドロキシフェノール)を臭化ベンジルと反応させた。同じ手順を用いて、3−ブロモブチル−(カルバミン酸t−ブチルエステル)で第2のカップリングを行うと、収率60%で得られた。CHCl中TFAを用いてt−Bocを脱保護すると、目標物が得られた。
【化149】

【0333】
ENMD−1567の合成:3−(4−(シクロヘキシルメトキシ)フェノキシ)プロパン−1−アミン塩酸塩
アセトン中KCOを用いて還流させることにより、ヒドロキノンを1−ブロモメチルシクロヘキサンと反応させた。同じ手順を用いて、3−ブロモプロピル−(カルバミン酸t−ブチルエステル)で第2のカップリングを行うと、収率54%で得られた。CHCl中TFAを用いてt−Bocを脱保護すると、目標物が得られた。
【化150】

【0334】
(実施例26)
ENMD−1509の合成:N−(4−アミノブチル)−4−(2−シクロヘキシルエチル)−ベンズアミド
CHCl中DCC/HOBTを用いて、4−ホルミル安息香酸をN−Cbz−1,4−ジアミノブタン塩酸塩とカップリングさせた。アルデヒドとシクロヘキシル−メチルトリフェニルホスホニウムブロミドとをウィッティヒ反応させ、続いてアルケンを還元し、Cbzを除去すると、ENMD−1509が得られた。
【化151】

【0335】
(実施例27)
ENMD−1535の合成:N−シクロヘキシル−2−(1−(4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ブチル)−1H−イミダゾール−4−イル)アセトアミド
4−イミダゾール酢酸−HClを、ピリジン中70℃で3時間、塩化トリチルを用いて保護化し、THF中CDIを用いてシクロヘキシルメチルアミンとカップリングさせた。接触水素化によりトリチル保護基を除去し、次いで3:1のTHF:DMF中NaHとN−(4−ブロモブチル)−フタルアミドを用いて反応させると、生成物が得られた。
【化152】

【0336】
(実施例28)
ENMD−1552の合成:N−(4−アミノブチル)−4−イソペンチル−ベンズアミド
市販されている4−(3−メチルブト−3−エニル)安息香酸をN−Cbz−1,4−ジアミノブタン塩酸塩にカップリングさせ、次いでPd−C(10%)H(50psi)で還元すると、ENMD−1552が得られた。
【化153】

【0337】
(実施例29)
縮合2環式アミド類を合成するための一般的スキーム
例示した市販されているt−Boc保護2環式アミンを用いて、混合アルデヒドを調製し、遊離アミンにカップリングさせた。TFAを用いてt−Bocを除去し、混合無水物を用いて第2のカップリング反応を行った。
【化154】

【0338】
ENMD−1763の合成:1−(2−(4−アミノ)フェニル)アセチル)ヘキサヒドロピロロ−[3,4−c]−ピロール−5(1H)−イル)−(3−メチル)ブタン−1−オン
トリエチルアミンを用いて、Boc−保護2環式アミンをイソ吉草酸クロリドにカップリングさせた。TFAを用いてBoc基を除去し、クロロギ酸イソブチルを用いて4−(Boc)アニリン酢酸をカップリングさせた。TFAで脱保護化すると、目標物が得られた。
【化155】

【0339】
ENMD−1764の合成:1−(2−(6−アミノ)ヘキサノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]−ピロール−5(1H)−イル)−(3−メチル)ブタン−1−オン
第2のカップリングに6−CBz−アミノカプロン酸を用いた以外は、ENMD−1763と同様に目標物を調製した。
【化156】

【0340】
ENMD−1776の合成:1−(2−(6−アミノヘキサノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−(1H)−イル)−2−シクロヘキシル)エタン−1−オン
最初のカップリングに2−シクロヘキシル酢酸とクロロギ酸イソブチルとを用いた以外は、ENMD−1763と同様に目標物を調製した。クロロギ酸イソブチルの存在下に、6−CBz−アミノカプロン酸を用いて第2のカップリングを行った。上記と同様の条件下で保護基を除去した。
【化157】

【0341】
ENMD−1777の合成:1−(2−(2−(4−アミノフェニル)アセチル−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−5−(1H)−イル)−2−シクロヘキシル)エタン−1−オン
第2のアミドカップリング工程において、酸として4−(BOC)アニリン酢酸を用いた以外は、ENMD−1776においてと同様に目標物を調製した。
【化158】

【0342】
前述は本発明の好適な実施態様にのみ関連するものであり、添付した特許請求の範囲に示した本発明の精神や範囲から逸脱せずに、多くの修飾または変形が可能であることは理解されるべきである。
【0343】
特定のエナンチオマーを示し、または化学的に可能である場合、RとSまたはDとLのエナンチオマー両方、またはラセミ体、またはどのような比であれエナンチオマーの混合物は、本発明によって認識される。
【図面の簡単な説明】
【0344】
【図1】図1は、アンタゴニストと活性化PARレセプターとの提案された相互作用を示す図を提供する。
【図2A】図2Aは、2つの切断型分子、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)およびLIGKV(ENMD−1007)(配列番号2)と比較した、PAR−2アゴニストペプチド(AP2、またはP2AP、またはP2Pとも言われる)SLIGKV(ENMD−1003)(配列番号52)のカルシウム動員曲線を示す。
【図2B】図2Bは、PAR−2活性化ペプチドおよびそのアラニン置換した模倣体に応じてPAR−2Ca2+シグナル伝達を示すインビトロアッセイの結果を示す。
【図2C】図2Cは、AP2ならびにその切断型およびアラニン置換模倣体に応じてPAR−2シグナル伝達を示すインビトロCa2+アッセイの結果を示す。
【図3】図3は、PAR−2アゴニストペプチド(AP2)シグナル伝達を阻害するために増加濃度のLIGK(ENMD−1005)(配列番号1)を使用した、代表的な投薬試験を示す。
【図4】図4は、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)またはLIGKV(ENMD−1007)(配列番号2)の存在下における、AP2刺激HT29細胞のインビトロでのCa2+シグナル伝達阻害試験の結果を示すグラフを提供する。
【図5】図5は、PAR−2(AP2)、PAR−1(AP1)およびATPシグナル伝達に対する、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の効果を示すグラフを提供する。
【図6】図6は、PAR−2ネズミ足蹠水腫モデルに対する、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の効果を提供する。
【図7】図7は、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の阻害効果を示す、インビボマトリゲル血管形成アッセイの結果を示す。
【図8】図8は、インビトロでENMD−1068の存在下における、AP2刺激Ca2+シグナル伝達の減少を示すグラフを提供する。
【図9】図9は、インビトロでATPおよびAP2Ca2+シグナル伝達に対するENMD−1068の効果を示す。
【図10】図10は、ペプチド模倣型設計アプローチの例を示すフローチャートを提供する。
【図11】図11は、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)、およびENMD−1068の存在下、マウスモデルにおける関節炎の緩和を示す。
【図12】図12は、LIGK(ENMD−1005)(配列番号1)の存在下、同じ関節炎モデルにおけるマウスの体重損失の防止を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子を含む組成物であって、
前記分子が、第一成分、リンカーおよび第二成分を含み、
前記第一成分が、塩基性部分、極性部分または水素結合部分を含み、
前記第二成分が疎水性部分を含む
組成物。
【請求項2】
第一成分が、アルコール、アミン、酸、グアニン、エステルまたはアミド官能基を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第一成分が、線状もしくは分枝状、飽和もしくは不飽和炭素環をさらに含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
第一成分が、線状もしくは分枝状、飽和もしくは不飽和複素環をさらに含む請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
第一成分が、構造的に、空間的に、化学的に、または電子的にリシンを模倣する化学部分を含む請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
第二成分が、置換または非置換の直鎖または分枝状脂肪族を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
第二成分が、飽和炭素環、不飽和炭素環、飽和へテロ原子含有環または不飽和へテロ原子含有環をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
第二成分が、ロイシンを立体化学的に模倣する化学部分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
リンカーが、LIGK中のIleおよびGly残基によって提供されるスペーシングを構造的に、空間的に、化学的に、または電子的に模倣する化学部分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
リンカーが、飽和芳香環系、不飽和芳香環系、芳香環系、線状不飽和炭化水素鎖、分枝状不飽和炭化水素鎖、線状飽和炭化水素鎖、分枝状飽和炭化水素鎖、糖、ヌクレオチドもしくはヌクレオシド、単環式不飽和炭素環、単環式飽和炭素環、多環式不飽和炭素環、多環式飽和炭素環、単環式不飽和複素環、単環式飽和複素環、多環式不飽和複素環、多環式飽和複素環、ヘテロ原子、ハロゲン化物、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、セレン、またはリンを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
リンカーが非環式であり、末端R基がリンカーの任意の位置に結合しており、リンカーがヘテロ原子を含有する置換基を有しており、またはリンカーが単純な線状もしくは分枝状炭化水素鎖以外の脂肪族基を有することができる請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ヘテロ原子含有置換基が、イミダゾール、アミノ、アルギニル、アミノフェニル、ピリジル、チオール、アルコール、酸、エステル、ハロゲン化物またはアミドを含む請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
リンカーが、置換もしくは非置換フェニル、ベンジル、飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは線状炭化水素(アルカン、アルケン、またはアルキレンを含む)、糖類(グルクロン酸、グルコサミン、およびグルコースを含む)、ポリオール、ポリアミン、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホルアミド、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、フラン、チオフェン、2H−ピロール、ピロール、2−ピロリン、3−ピロリン、ピロリジン、1,3−ジオキサン、オキサゾール、オキサゾリン、チアゾール、イミダゾール、1−イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピラゾリジン、イソキサゾール、イソチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾール、2H−ピラン、チアゾリジン、4H−ピラン、ピリジン、ピペリジン、1,2−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−モルホリン、1,3−モルホリン、1,4−モルホリン、1,2−ジチアン、1,3−ジチアン、1,4−ジチアン、1,2−チオモルホリン、1,3−チオモルホリン、1,4−チオモルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−ピペラジン、1,3−ピペラジン、1,4−ピペラジン、1,3,5−トリアジン、テトラゾール、1,3,5−トリチアン、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,3−ジアジン、インドリジン、インドール、イソインドール、3H−インドール、インドリン、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ベンズチオキソール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8−ナフチリジン、プテリジン、キヌクリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、インデン、ナフタレン、アズレン、フルオレン、アントラセン、ノルボラン、アダマンタン、b−カルボリン、ペリミジン、フラザン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナルサジン、クロマン、およびイソクロマンを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
分子が、
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
薬学的に許容される担体をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
固体、液体、エアロゾル、丸剤、クリーム、移植可能な用量単位または生分解性ポリマー中の移植可能な用量単位の形である請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
ENMD−1068を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
分子を含む組成物をヒトまたは動物に投与することを含む、望ましくない細胞増殖、癌または炎症を有するヒトまたは動物を治療する方法であって、
前記分子は、第一成分、リンカーおよび第二成分を含み、
前記第一成分が、塩基性部分、極性部分または水素結合部分を含み、
前記第二成分が疎水性部分を含む
組成物。
【請求項19】
第一成分が、アルコール、アミン、酸、グアニン、エステルまたはアミド官能基を含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第一成分が、線状または分枝状、飽和または不飽和炭素環をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第一成分が、線状または分枝状、飽和または不飽和複素環をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
第一成分が、構造的に、空間的に、化学的に、または電子的にリシンを模倣する化学部分を含む請求項19に記載の方法。
【請求項23】
第二成分が、置換または非置換の直鎖または分枝状脂肪族を含む請求項18に記載の方法。
【請求項24】
第二成分が、飽和炭素環、不飽和炭素環、飽和へテロ原子含有環または不飽和へテロ原子含有環をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項25】
第二成分が、立体化学的にロイシンを模倣する化学部分を含む請求項18に記載の方法。
【請求項26】
リンカーが、LIGK中のIleおよびGly残基によって提供されたスペーシングを構造的に、空間的に、化学的に、または電子的に模倣する化学部分を含む請求項18に記載の方法。
【請求項27】
リンカーが、飽和芳香環系、不飽和芳香環系、芳香環系、線状不飽和炭化水素鎖、分枝状不飽和炭化水素鎖、線状飽和炭化水素鎖、分枝状飽和炭化水素鎖、糖、ヌクレオチドもしくはヌクレオシド、単環式不飽和炭素環、単環式飽和炭素環、多環式不飽和炭素環、多環式飽和炭素環、単環式不飽和複素環、単環式飽和複素環、多環式不飽和複素環、多環式飽和複素環、ヘテロ原子、ハロゲン化物、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、セレン、またはリンをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項28】
リンカーが非環式であり、末端R基がリンカーの任意の位置に結合しており、リンカーがヘテロ原子を含有する置換基を有しており、またはリンカーが単純な線状もしくは分枝状炭化水素鎖以外の脂肪族基を有することができる請求項18に記載の方法。
【請求項29】
ヘテロ原子含有置換基が、イミダゾール、アミノ、アルギニル、アミノフェニル、ピリジル、チオール、アルコール、酸、エステル、ハロゲン化物またはアミドを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
リンカーが、置換もしくは非置換フェニル、ベンジル、飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは線状炭化水素(アルカン、アルケン、またはアルキレンを含む)、糖類(グルクロン酸、グルコサミン、およびグルコースを含む)、ポリオール、ポリアミン、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホルアミド、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、フラン、チオフェン、2H−ピロール、ピロール、2−ピロリン、3−ピロリン、ピロリジン、1,3−ジオキサン、オキサゾール、オキサゾリン、チアゾール、イミダゾール、1−イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピラゾリジン、イソオキサゾール、イソチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾール、2H−ピラン、チアゾリジン、4H−ピラン、ピリジン、ピペリジン、1,2−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−モルホリン、1,3−モルホリン、1,4−モルホリン、1,2−ジチアン、1,3−ジチアン、1,4−ジチアン、1,2−チオモルホリン、1,3−チオモルホリン、1,4−チオモルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−ピペラジン、1,3−ピペラジン、1,4−ピペラジン、1,3,5−トリアジン、テトラゾール、1,3,5−トリチアン、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,3−ジアジン、インドリジン、インドール、イソインドール、3H−インドール、インドリン、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ベンズチオキソール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8−ナフチリジン、プテリジン、キヌクリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、インデン、ナフタレン、アズレン、フルオレン、アントラセン、ノルボラン、アダマンタン、b−カルボリン、ペリミジン、フラザン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナルサジン、クロマン、およびイソクロマンを含む請求項18に記載の方法。
【請求項31】
組成物が、
【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

を含む請求項18に記載の方法。
【請求項32】
状態、疾患または障害が、内皮細胞による異常成長、酒さ性ざ瘡、聴神経腫、癒着、血管線維腫、動静脈奇形、動脈閉塞、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、プラーク内の毛細管増殖、アテローム性動脈硬化型プラーク、アトピー性角膜炎、細菌性の潰瘍、バルトネラ症、ベーチェット病、良性腫瘍(例えば:神経線維腫、トラコーマ、化膿性肉芽腫)、良性、前悪性および悪性の外陰部の損傷、ベスト病、膀胱癌、胞胚の着床阻害、月経阻害(無月経誘発)、排卵阻害、血液由来腫瘍(白血病、および骨髄の腫瘍性疾患を含む)、多発性骨髄腫を含む白血球の無制限増殖が起こる骨髄の急性または慢性の各種任意の腫瘍性疾患を含む骨髄異常、骨の成長および修復、乳癌、熱傷、癌の後の肥大(充実性腫瘍:横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、血液由来腫瘍、白血病、骨髄の腫瘍性疾患、多発性骨髄腫疾患および血管腫を含む)、頚動脈閉塞性疾患、中枢神経系悪性腫瘍、ある種の免疫反応(例えば免疫障害/反応)、子宮頸癌、化学熱傷、コレステリン腫(特に中耳の)、脈絡膜新血管新生、脈絡膜炎、慢性または急性の炎症、慢性的運動筋肉(chronically exercised muscle)、肝硬変、コンタクトレンズの過剰装着、角膜疾患、角膜移植片の新血管新生、角膜移植片の拒絶、角膜の新血管新生疾患(流行性の角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズ過剰装着、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、および翼状片の乾燥角膜炎を含むが、これらに限定されない)、黄体形成、クローン病、創傷治癒の遅延、糖尿病、糖尿病性(増殖性)網膜症、血管結合性または線維性組織の異常増殖により引き起こされる疾患(多産硝子体網膜症のすべての形態を含む)、イールズ病、胚発生、膿胸、子宮内膜症、子宮内膜、流行性の角結膜炎、ユーイング肉腫、内皮細胞の過剰または異常刺激(アテローム性動脈硬化症等)、眼関連疾患(ルベオーシス(隅角の新血管新生)、血管結合組織または線維性組織の異常増殖(多産硝子体網膜症のすべての形態を含む)を含む)、女性の生殖系の状態(卵胞、黄体、および母性脱落膜の新血管新生、子宮内膜血管の修復、胚移植部位における血管新生(卵巣過剰刺激症候群)、胚発生、濾胞形成、黄体形成、正常な月経時の子宮内膜症を含む)、線維素溶解、線維増殖(創傷治癒における水晶体後方および過剰修復)、線維化肺胞炎、真菌性潰瘍、胃腸感染症、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、炎症性ポリープ、腸の移植片対宿主反応、新生物性腫瘍、肥満細胞症、腸の虚血、血管新生緑内障、痛風または痛風性関節炎、移植片対宿主拒絶(また慢性および急性拒絶)、創傷治癒の肉芽組織、熱傷部肉芽形成、血管腫症(血管腫の全身形)、手足口病、毛髪成長、血管腫、血友病性関節、遺伝性疾患(遺伝性の出血性毛細血管拡張症を含む)、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、HHT(遺伝性出血性毛細管拡張症)、肥厚性瘢痕、手術、熱傷および外傷の後の肥大、過粘稠度症候群、免疫障害、免疫反応、胚の着床(2〜8週間)、網膜炎を引き起こす感染症、微生物により引き起こされる感染性疾患、炎症、炎症障害、免疫および非免疫炎症反応、関節炎症、カポジ肉腫、ハンセン病、白血病、脂質変性(脂肪性角膜症)、脂肪腫、肺癌、狼瘡(紅斑性狼瘡、全身性紅斑性狼瘡)、ライム病、年齢関連性黄斑変性(網膜下新血管新生)、辺縁角膜炎、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、腫瘍の転移、モーレン潰瘍、マイコバクテリア疾患、骨髄腫、多発性骨髄腫疾患、近視、新生組織形成、骨髄の腫瘍性疾患、血管新生緑内障、神経線維腫、神経線維腫症、神経線維肉腫、癒合不全骨折、眼内血管新生疾患(糖尿病性網膜症、未熟網膜症および水晶体後方線維増殖症、黄斑変性、角膜移植辺拒絶、新生血管緑内障を含む)、眼ヒストプラスマ症、眼新生血管疾患、眼腫瘍、視窩、口腔癌、オースラー・ウェーバー症候群(オースラー・ウェーバー・ランデュ病)、変形性関節症、骨髄炎、骨肉腫、パジェット病(変形性骨炎)、寄生虫症、扁平部炎、類天疱瘡、フリクテン症、多発性動脈炎、レーザー術後の合併症、白血球の増殖(白血球の無制限増殖が起こる骨髄の各種任意の急性または慢性の腫瘍性疾患など)、多産硝子体網膜症(PVR)、前立腺癌、原虫感染症、弾性線維性仮性黄色腫、乾癬、翼状片(乾燥角膜炎)、肺線維症、放射状角膜切開、慢性および急性拒絶、網膜剥離、網膜炎、網膜芽細胞腫、未熟網膜炎、水晶体後方線維増殖症、横紋筋肉腫、関節リウマチ、滑膜肥大性のリウマチ(関節炎)、酒さ、ルベオーシス、サルコイドーシス、強膜炎、強皮症、乾性(翼状片(乾性角膜炎)およびシェーグレン(乾性)症候群を含む)、鎌形赤血球貧血、シェーグレン(乾性)症候群、皮膚疾患(黒色腫を含む)、化膿性肉芽腫、乾癬、血管腫、皮膚疣贅、およびHPV2型(ヒトパピローマウイルス))、充実性腫瘍、シュタルガルト病、スティーブンス・ジョンソン病、上輪部角膜炎(上輪部角膜炎、SLK)、肥厚性瘢痕、創傷肉芽形成および血管癒着、梅毒、テリエン周辺変性、トキソプラズマ症、トラコーマ、トラウマ、結核症、腫瘍、腫瘍関連血管新生、腫瘍成長、潰瘍性大腸炎、潰瘍(真菌性、モーレン、消化性および細菌性を含む)、正常なプロセスにおける望ましくない血管新生(創傷治癒、女性の生殖機能、骨修復、毛髪成長、慢性ブドウ膜炎、および血管機能不全を含む)、血管腫瘍、静脈閉塞、ビタミンA欠乏症、慢性硝子体炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、白血球疾患(白血球の無制限増殖が起こる骨髄の任意の急性または慢性の腫瘍性疾患を含む)、創傷治癒および不適切な創傷治癒、創傷治癒の遅延(例えば、血管線維腫、動静脈奇形、関節炎、アテローム動脈硬化性プラーク、角膜移植片の新血管新生、糖尿病性網膜症、血管腫、血友病性関節、肥厚性瘢痕、新生血管緑内障、癒合不全骨折、オースラー・ウェーバー症候群、乾癬、化膿性肉芽腫、水晶体後線維増殖症、強皮症、充実性腫瘍、トラコーマ、黄体形成、慢性的運動筋肉、乾癬、糖尿病性網膜症、腫瘍血管新生、関節リウマチ、乾癬、充実性腫瘍、および慢性炎症疾患、関節炎症、滑膜肥大性のリウマチ(関節炎)、アテローム動脈硬化症、増殖性(糖尿病性)網膜症、腫瘍成長、転移、口腔癌、子宮頸癌、膀胱癌および乳癌、黒色腫、化膿性肉芽腫、腫瘍、糖尿病性網膜症、乾癬、関節リウマチ、血管腫症、カポジ肉腫、癒着、急性および/または慢性炎症および炎症反応、ならびに慢性および急性の拒絶における)、喘息、気管支原生癌、サルコイドーシス、強直性脊椎症、慢性閉塞性肺疾患、甲状腺炎(準急性、急性および慢性甲状腺炎、肉芽腫性(またはド・ケルヴァンの甲状腺炎)リンパ球性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、侵襲的線維性(リーデル)甲状腺炎、発熱性または化膿性甲状腺炎を含む)、皮膚炎(乾癬、湿疹、皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、慢性皮膚炎、慢性単純性苔癬、鬱血性皮膚炎、全身剥脱性皮膚炎およびベーチェット症候群を含む)、大腸腺腫様ポリポーシス、アラジール症候群、虫垂炎、バレット食道、胆道閉鎖症、胆道系疾患、カロリ病、セリアック病、胆管炎、胆嚢炎、胆石症、潰瘍性大腸炎、クローン病、消化器疾患、十二指腸潰瘍、赤痢、偽膜性腸炎、食道無弛緩症、食道閉鎖症、食道炎、脂肪肝、胃炎、肥厚性胃炎、胃腸炎、胃食道逆流、胃不全麻痺、肝炎、慢性肝炎、ヒルシュスプルング病、炎症性大腸炎、腸腫瘍、腸神経細胞異形成、肝硬変、メッケル憩室、膵臓病(膵機能不全、膵腫瘍、および膵炎を含む)、消化性潰瘍、ポイツ・ジェガース症候群、直腸炎、ホイップル病、ゾリンジャー・エリソン症候群、多発性硬化症、神経炎、アルツハイマー病およびその他の神経疾患、器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎、気管支拡張症、肺線維症、慢性閉塞性肺症候群、全身性硬化症、胸膜炎症、血清反応陰性脊髄関節症、敗血症性関節炎、遷延性肺好酸球増多症、単純性肺好酸球増多症、レフラー症候群、喘息を伴う肺好酸球増多症、結節性多発性動脈炎、慢性好酸球性肺炎、急性好酸球性肺炎、突発性好酸球増多症候群、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、気管支中心性肉芽腫症、アレルギー性血管炎および肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群)、多発性肺線維症、ランゲルハンス細胞肉芽腫症(好酸球性肉芽腫)、慢性気管支炎、肺気腫、間質性肺炎、皮膚マスト細胞腫、色素性じん麻疹、恒存発疹性斑状血管拡張症(TMEP)、全身性マスト細胞疾患、マスト細胞白血病、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、好酸球増多筋痛症候群、全身性肥満細胞症、肥満細胞症、反応性肥満細胞症、神経炎、前庭神経炎、視神経炎、ループス腎炎、腎炎、およびパーキンソン病を含む請求項23に記載の方法。
【請求項33】
組成物を、経口で、局所に、移植した局所に、系統的放出のため移植して、持続放出のため移植して、生体分解性粒子中に移植して、皮下に、皮下に、静脈内に、動脈内に、眼球内に、経皮的に、または経口中で投与する請求項25に記載の方法。
【請求項34】
リンカーを含有する分子を含む組成物であって、前記分子が、
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

[ここで、リンカーのCに対する結合基XまたはYは、独立に、−C2n(n=1〜4)−、−O−、−NH−、−CHNH−、−CH=CH−、−CHCH=CH−、−C≡C−、−CHC≡C−、−C(=O)−、CH−C(=O)−、−C(=O)O−、−CHC(=O)O、−O−C(=O)、−C(=O)NH−、−CHC(=O)NH−、−NH−C(=O)−、−CH2NH−C(=O)−、−NH−C(=O)−NH−、−CHNH−C(O)−NH−、−O−C(=O)−NH−、−CHO−C(=O)−NH−、−CH2NH−C(=O)−O−、または−NH−C(=O)−O−であることができ;
ここで、リンカーのNに対する結合基XまたはYは、独立に、−C2n(n=1〜4)、−CH=CH−、−CHCH=CH−、−C≡C−、−CH−C≡C−、−C(=O)−、CH−C(=O)−、−C(=O)O−、−CHC(=O)O− −C(=O)NH−、または−CHC(=O)NH−であることができ;
ここで、RまたはRは、独立に、疎水性または親水性置換基のいずれかであることができ、ここで、該疎水性置換基は、1〜10個の炭素の線状、分枝状または環状の直線状または分枝状脂肪族鎖であることができ、かつ飽和または不飽和または芳香族であってもよく;
ここで該親水性置換基は、−2−モルホリン、−3−モルホリン、−4−モルホリン、−2−チオモルホリン、−3−チオモルホリン、−4−チオモルホリン、−2−ピリジン、−3−ピリジン、−4−ピリジン、−2−シクロヘキシルアミン、−3−シクロヘキシルアミン、−4−シクロヘキシルアミン、−2−シクロペンチルアミン、−3−シクロペンチルアミン、−2−シクロブチルアミン、−3−シクロブチルアミン、−2−ピペリジン、−3−ピペリジン、−4−ピペリジン、−2−ピペラジン、−3−ピペラジン、−2−ピロリジン、−3−ピロリジン、−2−ピロール、−3−ピロール、−3−ピラゾール、−4−ピラゾール、−5−ピラゾール、−2−イミダゾール、−4−イミダゾール、−5−イミダゾール、−2−アゼチジン、−3−アゼチジン、
−C2n−NR(但し、n=2〜8、RおよびRは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである)、
−C2n−NHC(=NH)NH(但し、n=2〜8)、
−C−NR(但し、RおよびRは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである)、
−C2n−OH(但し、n=2〜8)
−C2n−COOR(但し、n=2〜8、Rは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである)、または
−C2n−CONR(但し、n=2〜8、RおよびRは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである)]
の一般構造を有する組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−510726(P2008−510726A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528086(P2007−528086)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/029765
【国際公開番号】WO2006/023844
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(500523928)エントレメッド インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】