説明

出力回路及びデータドライバ及び表示装置

【課題】出力期間の切替時における出力信号の遅延発生を抑制する出力回路、データドライバと表示装置の提供。
【解決手段】出力回路は差動増幅回路110、105,出力増幅回路120と第1の制御回路160、入力端子101、出力端子104、第1乃至第3の電源端子VDD、VSS、VMLを備える。差動増幅回路は前記入力端子の入力信号と前記出力端子の出力信号を入力する差動入力段110と第1及び第2のカレントミラー130、140を備える。出力増幅回路120は第1の電源端子VDDと出力端子104との間に接続された第1導電型の第1のトランジスタ121と出力端子104と第3の電源端子VMLとの間に接続された第2導電型の第2のトランジスタ122とを備える。第1の制御回路160は、第1導電型の第3のトランジスタ161と第1のスイッチ162を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力回路とそれを用いた表示装置のデータドライバに関する。
【0002】
近時、表示装置は、薄型、軽量、低消費電力を特徴とする液晶表示装置(LCD)が幅広く普及し、携帯電話機(モバイルフォン、セルラフォン)やPDA(パーソナルデジタルアシスタント)、携帯情報端末、ノートPC等のモバイル機器の表示部に多く利用されてきた。しかし、最近では、液晶表示装置の大画面化や動画対応の技術も高まり、モバイル用途だけでなく、据置型の大画面表示装置や大画面液晶テレビも実現可能になってきている。これらの液晶表示装置としては、高精細表示が可能なアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置が利用されている。
【0003】
図17を参照して、アクティブマトリクス駆動方式の薄型表示装置(液晶表示装置及び有機発光ダイオード表示装置)の典型的な構成について概説しておく。なお、図17(A)には、薄型表示装置の要部構成がブロック図にて示され、図17(B)には、液晶表示装置の表示パネルの単位画素の要部構成が示され、図17(C)には、有機発光ダイオード表示装置の表示パネルの単位画素の要部構成が示されている。図17(B)及び図17(C)の単位画素は、模式的な等価回路で示す。
【0004】
図17(A)を参照すると、一般に、アクティブマトリクス駆動方式の薄型表示装置は、電源回路940、表示コントローラー950、表示パネル960、ゲートドライバ970、データドライバ980で構成される。表示パネル960は、画素スイッチ964と表示素子963を含む単位画素がマトリクス状に配置され(例えばカラーSXGA(Super eXtended Graphics Array)パネルの場合、1280×3画素列×1024画素行)、各単位画素にゲートドライバ970から出力される走査信号を送る走査線961と、データドライバ980から出力される階調電圧信号を送るデータ線962とが格子状に配線される。なお、ゲートドライバ970及びデータドライバ980は、表示コントローラー950によって制御され、それぞれ必要なクロックCLK、制御信号等が表示コントローラー950より供給され、映像データは、デジタル信号にてデータドライバ980に供給される。電源回路940は、ゲートドライバ970、データドライバ980に必要な電源を供給する。表示パネル960は、半導体基板で構成され、特に大画面表示装置ではガラス基板やプラスチック基板等の絶縁性基板上に薄膜トランジスタ(TFT)で画素スイッチ等を形成した半導体基板が広く使われている。
【0005】
上記表示装置は、画素スイッチ964のオン・オフを走査信号により制御し、画素スイッチ964がオンとなるときに、映像データに対応した階調電圧信号が表示素子963に印加され、該階調電圧信号に応じて表示素子963の輝度が変化することで画像を表示するものである。
【0006】
1画面分のデータの書き換えは、1フレーム期間(60Hz駆動時は通常、約0.017秒)で行われ、各走査線961で1画素行毎(ライン毎)、順次、選択(画素スイッチ964がオン)され、選択期間内に、各データ線962より階調電圧信号が画素スイッチ964を介して表示素子963に供給される。なお、走査線で複数画素行を同時に選択したり、60Hz以上のフレーム周波数で駆動される場合もある。
【0007】
液晶表示装置の場合、図17(A)及び図17(B)を参照すると、表示パネル960は、単位画素として画素スイッチ964と透明な画素電極973をマトリクス状に配置した半導体基板と、面全体に1つの透明な電極974を形成した対向基板と、これら2枚の基板を対向させて間に液晶を封入した構造からなる。なお単位画素を構成する表示素子963は、画素電極973、対向基板電極974、液晶容量971及び補助容量972を備えている。また表示パネルの背面に光源としてバックライトを備えている。
【0008】
走査線961からの走査信号により画素スイッチ964がオン(導通)となるときに、データ線962からの階調電圧信号が画素電極973に印加され、各画素電極973と対向基板電極974との間の電位差により液晶を透過するバックライトの透過率が変化し、画素スイッチ964がオフ(非導通)とされた後も、該電位差を液晶容量971及び補助容量972で一定期間保持することで表示が行われる。
【0009】
なお、液晶表示装置の駆動では液晶の劣化を防ぐため、対向基板電極974のコモン電圧(COM)に対して、画素ごと通常1フレーム周期で電圧極性(正又は負)を切替える駆動(極性反転駆動)が行われる。代表的な駆動として、隣接画素間で異なる電圧極性となるようなドット反転駆動や隣接データ線間で異なる電圧極性となるようなカラム反転駆動がある。データ線962には、ドット反転駆動では1選択期間(1データ期間)毎に異なる電圧極性の階調電圧信号が出力され、カラム反転駆動では1フレーム期間内の1選択期間(1データ期間)毎に同じ電圧極性の階調電圧信号が出力される。
【0010】
有機発光ダイオード表示装置の場合、図17(A)及び図17(C)を参照すると、表示パネル960は、単位画素として、画素スイッチ964、及び、2つの薄膜電極層に挟まれた有機膜からなる有機発光ダイオード(有機EL)982、有機発光ダイオード982に供給する電流を制御する薄膜トランジスタ(TFT)981をマトリックス状に配置した半導体基板からなる。TFT981と有機発光ダイオード982は、異なる電源電圧が供給される電源端子984、985との間に直列形態で接続されており、TFT981の制御端子電圧を保持する補助容量983を更に備える。なお、1画素に対応した表示素子963は、TFT981、有機発光ダイオード982、電源端子984、985及び補助容量983で構成される。
【0011】
走査線961からの走査信号により画素スイッチ964がオン(導通)となるときに、データ線962からの階調電圧信号がTFT981の制御端子に印加され、該階調電圧信号に対応した電流が、TFT981から有機発光ダイオード982に供給され、電流に応じた輝度で有機発光ダイオード982が発光することで表示が行われる。画素スイッチ964がオフ(非導通)とされた後も、TFT981の制御端子に印加された該階調電圧信号を補助容量983で一定期間保持することで発光が保持される。なお画素スイッチ964、TFT981はnチャネル型トランジスタの例を示すが、pチャネル型トランジスタで構成することも可能である。また有機EL素子は電源端子984側に接続される構成も可能である。また、有機発光ダイオード表示装置の駆動では、液晶表示装置のような極性反転駆動は必要なく、1選択期間(1データ期間)毎に映像データと1対1対応する階調電圧信号が出力される。
【0012】
なお、有機発光ダイオード表示装置は、上記に説明したデータ線962からの階調電圧信号に対応して表示を行う構成とは別に、データドライバから出力された階調電流信号を受けて表示を行う構成もあるが、本明細書ではデータドライバから出力された階調電圧信号を受けて表示を行う構成に限定して説明するが、本発明はかかる構成にのみ限定されるものでないことは勿論である。
【0013】
図17(A)において、ゲートドライバ970は、少なくとも2値の走査信号を供給すればよいのに対し、データドライバ980は、各データ線962を階調数に応じた多値レベルの階調電圧信号で駆動することが必要とされる。このため、データドライバ980は、映像データに対応した階調電圧信号をデータ線962に増幅出力する出力回路を備えている。
【0014】
薄型表示装置を有するハイエンド用途のモバイル機器、ノートPC、モニタ、TV等においては近年高画質化の需要が高まっている。具体的には、RGB各8ビット映像データ(約1680万色)以上の多色化(多階調化)や、動画特性向上や3次元表示対応のためフレーム周波数(1画面を書き換える駆動周波数)を120Hzや更にそれ以上高くする要求も出始めている。フレーム周波数がN倍となると、1データ出力期間はおよそ1/Nとなる。
【0015】
表示装置のデータドライバは、多階調化に対応した高精度な電圧出力とともに、データ線の高速駆動が求められるようになってきている。そのため、データドライバ980における出力回路は、データ線容量を高速に充放電するために高い駆動能力が求められる。また、表示素子への階調電圧信号の書込みの均一化を図るために、充電時及び放電時のデータ線駆動波形のスルーレートの対称性も求められる。しかし、出力回路は、その高駆動能力化により消費電流が増加する。このため、出力回路では、消費電力の増加や発熱の問題も新たに生じている。
【0016】
表示装置のデータ線を高速駆動する出力回路として以下の技術が開示されている。図18は、特許文献1の図5から引用した図である(詳細は特許文献1の記載が参照される)。図18を参照すると、出力回路を構成する演算増幅回路は、差動段14、24、正専用出力段13、負専用出力段23、スイッチ回路3、4、5、6を具備する。
【0017】
スイッチ回路4は、スイッチSW41〜SW44を備え、端子41、42と差動段14、24における入力端子12、22との接続を制御する。端子41には、不図示の正DAC(Digital−to−Analog Converter)から正極性電圧INP(正DAC信号)が入力され、端子42には不図示の負DACから負極性電圧INN(負DAC信号)が入力される。
【0018】
差動段14は、スイッチ回路4を介して入力される入力信号Vin1(正極性電圧INP又は負極性電圧INN)に応じた大きさにレベルシフトされた同相の2つの入力段出力信号Vsi11、Vsi12を入力段出力端子51、52に出力する。差動段24は、スイッチ回路4を介して入力される入力信号Vin2(正極性電圧INP又は負極性電圧INN)に応じた大きさにレベルシフトされた同相の2つの入力段出力信号Vsi21、Vsi22を入力段出力端子53、54に出力する。差動段14、24は、負電源電圧VSS(例えばGND電位)と正電源電圧VDDとの間の電圧範囲(第1電源電圧範囲)で動作する。
【0019】
スイッチ回路5は、スイッチSW51〜SW58を備える。スイッチSW51、SW53は、差動段14の入力段出力端子51、52と、正専用出力段13の出力段入力端子61、62との接続を制御する。スイッチSW52、SW54は、差動段14の入力段出力端子51、52と、負専用出力段23の出力段入力端子63、64との接続を制御する。スイッチSW55、SW57は、差動段24の入力段出力端子53、54と、負専用出力段23の出力段入力端子63、64との接続を制御する。スイッチSW56、SW58は、差動段24の入力段出力端子53、54と、正専用出力段13の出力段入力端子61、62との接続を制御する。
【0020】
正専用出力段13は、出力段入力端子61、62を介してスイッチ回路5に接続され、シングルエンド信号を端子11に出力する。負専用出力段23は、出力段入力端子63、64を介してスイッチ回路5に接続され、シングルエンド信号を端子21に出力する。正専用出力段13は、電源電圧VMLと正電源電圧VDDとの間の電圧範囲(第2電圧範囲)で動作し、負専用出力段23は、負電源電圧VSSと電源電圧VMHとの間の電圧範囲(第3電圧範囲)で動作する。電源電圧VMLは、例えば負電源電圧VSSと正電源電圧VDDの中間電圧VSS+(VDD−VSS)/2以下とされる。電源電圧VMHは、例えば負電源電圧VSSと正電源電圧VDDの中間電圧VSS+(VDD−VSS)/2以上とされる。
【0021】
スイッチ回路6は、スイッチSW61〜SW64を備え、帰還型のアンプ回路として機能するとき反転入力端子として機能する差動段14、24の入力端子(−)と、出力端子11、21との接続を制御する。
【0022】
スイッチ回路3は、スイッチSW31〜SW34を備え、出力段13、23の出力端子11、21と奇数端子31及び偶数端子32との間に接続を制御する。奇数端子31、偶数端子32は、それぞれLCDパネルにおけるドレインライン(データ線)に接続される。
【0023】
スイッチ回路3、4、5、6によって、差動段14、24と出力段13、23はアンプ回路を形成する。この演算増幅回路100(出力回路)は、スイッチ回路3〜6による接続の組み合せを変更することで、奇数端子31及び偶数端子32を駆動するアンプ回路の構成を変更することができる。すなわち、データ線駆動時において、スイッチSW31、SW33、SW41、SW43、SW51、SW53、SW57、SW55、SW61、SW63がオン状態、スイッチSW32、SW34、SW42、SW44、SW52、SW54、SW56、SW58、SW62、SW64がオフ状態となるパタン1(接続形態1)と、オン・オフの状態がその逆のパタン2(接続形態2)とが切り替えられる。パタン1では、正DAC信号は、端子41、差動段14、正専用出力段13、出力端子11、端子31のパスを伝達され、負DAC信号は、端子42、差動段24、負専用出力段23、出力端子21、端子32のパスを伝達される。パタン2では、正DAC信号は、端子41、差動段24、正専用出力段13、出力端子21、端子32のパスを伝達され、負DAC信号は、端子42、差動段14、負専用出力段23、出力端子11、端子31のパスを伝達される。パタン1と、パタン2とは、入力電圧(出力電圧)の極性(Polarity)の反転に同期して切り替えられる。
【0024】
図19は、特許文献1の図6を引用した図である。図19には、図18の構成がトランジスタレベルで示されており、図18のスイッチ回路3、4は省略されている。後述される本発明は、図19の構成に対しても適用可能であるため、以下では、その構成を説明する。なお、詳細は特許文献1の記載が参照される。
【0025】
差動段14は、NMOSトランジスタMN11、MN12、MN13、MN15、MN16、PMOSトランジスタMP11、MP12、MP13、MP15、MP16、定電流源I11、I12、浮遊電流源I13、スイッチSW11、SW12を備える。NMOSトランジスタMN11、MN12は、それぞれのゲートがスイッチ回路6、入力端子12に接続され、Nch差動対を形成する。定電流源I11は、負電源電圧VSSが供給され、Nch差動対トランジスタ(NMOSトランジスタMN11、MN12)にバイアス電流を供給する。PMOSトランジスタMP11、MP12は、それぞれのゲートがスイッチ回路6、入力端子12に接続され、Pch差動対を形成する。定電流源I12は、正電源電圧VDDが供給され、Pch差動対トランジスタ(PMOSトランジスタMP11、MP12)にバイアス電流を供給する。NMOSトランジスタMN11及びPMOSトランジスタのゲートは、スイッチ回路6によって、出力端子11又は出力端子21に接続される。
【0026】
PMOSトランジスタMP15、MP16のソースは電源端子15(正電源電圧VDD)に共通接続され、ドレインはNch差動対トランジスタ(NMOSトランジスタMN11、MN12)のそれぞれのドレインに接続される。またPMOSトランジスタMP15のドレインは、スイッチSW11及びPMOSトランジスタMP13を介して浮遊電流源I13に接続される。更に、PMOSトランジスタMP15、MP16のゲートは、浮遊電流源I13及びPMOSトランジスタMP13のドレインに共通接続される。これにより、PMOSトランジスタMP15、MP16は、フォールデッドカスコード接続の能動負荷として機能する。PMOSトランジスタMP13のゲートにはバイアス電圧BP2が供給される。
【0027】
NMOSトランジスタMN15、MN16のソースは電源端子16(負電源電圧VSS)に共通接続され、ドレインはPch差動対トランジスタ(PMOSトランジスタMP11、MP12)のそれぞれのドレインに接続される。またNMOSトランジスタMN15のドレインは、スイッチSW12及びNMOSトランジスタMN13を介して浮遊電流源I13に接続される。更に、NMOSトランジスタMN15、MN16のゲートは、浮遊電流源I13及びNMOSトランジスタMN13のドレインに共通接続される。これにより、NMOSトランジスタMN15、MN16は、フォールデッドカスコード接続の能動負荷として機能する。NMOSトランジスタMN13のゲートにはバイアス電圧BN2が供給される。スイッチSW11、SW12は常時オン状態である。
【0028】
NMOSトランジスタMN12及びPMOSトランジスタMP16のドレインは、入力段出力端子51に接続され、スイッチSW51、SW52を介して正専用出力段13(PMOSトランジスタMP14のソース)及び負専用出力段23(PMOSトランジスタMP24のソース)に接続される。PMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN16のドレインは、入力段出力端子52に接続され、スイッチSW53、SW54を介して正専用出力段13(NMOSトランジスタMN14のソース)及び負専用出力段23(NMOSトランジスタMN24のソース)に接続される。以上のような構成により、NMOSトランジスタMN12及びPMOSトランジスタMP16のドレイン(入力段出力端子51)と、PMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN16のドレイン(入力段出力端子52)とから、入力端子12に入力された入力信号Vin1に応じた2つの入力段出力信号Vsi11、Vsi12が出力される。
【0029】
差動段24も同様な構成である。ただし、NMOSトランジスタMN11〜MN16、PMOSトランジスタMP11〜MP16、定電流源I11、I12、浮遊電流源I13、スイッチSW11、SW12、SW51〜SW54、バイアス電圧BP12、BN12、入力段出力端子51、52、入力段出力信号Vsi11、Vsi12はそれぞれ、NMOSトランジスタMN21〜MN26、PMOSトランジスタMP21〜MP26、定電流源I21、I22、浮遊電流源I23、スイッチSW21、SW22、SW55〜SW58、バイアス電圧BP22、BN22、入力段出力端子53、54、入力段出力信号Vsi21、Vsi22に読み替える。
【0030】
差動段14(24)は、入力信号Vin1(Vin2)が入力される2つの差動対を有し、差動対のそれぞれにフォールデッドカスコード接続された能動負荷を有している。2つの差動対及び能動負荷は、それぞれ導電型が異なるトランジスタで構成されている。このため、差動段14(24)から出力段13又は23に入力される2つの入力段出力信号Vi11、Vi12(Vi21、Vi22)は、入力レベルが異なる同相信号となる。
【0031】
差動段14(24)では、入力信号Vin1(Vin2)の電圧範囲がVSS〜VDS(sat)+VGSである場合、Pch差動対(PMOSトランジスタMP11、MP12(MP21、MP22))のみで動作し、VDS(sat)+VGS〜VDD−(VDS(sat)+VGS)である場合、Pch差動対(PMOSトランジスタMP11、MP12(MP21、MP22))とNch差動対(NMOSトランジスタMN11、MN12(MN21、MN22))の両方が動作し、VDD−(VDS(sat)+VGS)〜VDDの場合、Nch差動対(NMOSトランジスタMN11、MN12(MN21、MN22))のみが動作する。ここで、VDS(sat)は定電流源I11、I12(I21、I22)に含まれるMOSトランジスタの三極管領域と五極管領域の切り替わり目のソース、ドレイン間電圧、VGSは差動対を形成するトランジスタ(NMOSトランジスタMN11、MN12(MN21、MN22)、PMOSトランジスタMP11、MP12(MP21、MP22))のゲート・ソース間電圧である。結果として、差動段14、24は、入力電圧のVSS〜VDD全ての電圧範囲でRail−to−Rail動作する。
【0032】
正専用出力段13は、NMOSトランジスタMN14、MN17、MN18、PMOSトランジスタMP14、MP17、MP18、位相補償容量C1、C2を備える。PMOSトランジスタMP17とNMOSトランジスタMN17のドレイン及びソースは相互に接続され、それぞれゲートにバイアス電圧BP11、BN11が供給されることで浮遊電流源として機能する。PMOSトランジスタMP14のゲートはバイアス定電圧源(バイアス電圧BP12)に接続され、ドレインは浮遊電流源(PMOSトランジスタMP17とNMOSトランジスタMN17)の一端に接続される。NMOSトランジスタMN14のゲートはバイアス定電圧源(バイアス電圧BN12)に接続され、ドレインは浮遊電流源(PMOSトランジスタMP17とNMOSトランジスタMN17)の他端に接続される。又、PMOSトランジスタMP14のソースは位相補償用容量C11を介して出力端子11に接続され、NMOSトランジスタMN14のソースは位相補償用容量C12を介して出力端子11に接続される。
【0033】
PMOSトランジスタMP18のドレインとNMOSトランジスタMN18のドレインは出力端子11を介して接続される。PMOSトランジスタMP18のゲートは浮遊電流源の一端(及びPMOSトランジスタMP14のドレイン)に接続され、ソースは電源端子15(正電源電圧VDD)に接続される。NMOSトランジスタMN18のゲートは浮遊電流源の他端(及びNMOSトランジスタMN14のドレイン)に接続され、ソースは電源電圧VMLが供給される電源端子17に接続される。
【0034】
負専用出力段23も同様な構成である。ただし、NMOSトランジスタMN14、MN17、MN18、PMOSトランジスタMP14、MP17、MP18、位相補償用容量C11、12、電源端子15(正電源電圧VDD)、電源端子17(電源電圧VML)、バイアス電圧BP11、BP12、BN11、BN12はそれぞれ、NMOSトランジスタMN24、MN27、MN28、PMOSトランジスタMP24、MP27、MP28、位相補償用容量C21、C22、電源端子16(負電源電圧VSS)、電源端子18(電源電圧VMH)、バイアス電圧BP21、BP22、BN21、BN22に読み替える。
【0035】
スイッチ回路6のスイッチSW61は、出力端子11と差動段14(NMOSトランジスタMN11、PMOSトランジスタMP11)と間の接続を制御する。スイッチSW62は、出力端子11と差動段24(NMOSトランジスタMN21、PMOSトランジスタMP21)と間の接続を制御する。スイッチSW63は、出力端子21と差動段24(NMOSトランジスタMN21、PMOSトランジスタMP21)と間の接続を制御する。スイッチSW64は、出力端子21と差動段14(NMOSトランジスタMN11、PMOSトランジスタMP11)と間の接続を制御する。
【0036】
出力段13(23)のPMOSトランジスタMP14(MP24)及びNMOSトランジスタMN14(MN24)、PMOSトランジスタMP18(MP28)及びNMOSトランジスタMN18(MN28)は、それぞれ出力端子11(21)に対して対称的に形成される。出力段13(23)は、入力レベルが異なる同相の2つの入力段出力信号Vsi11、Vsi12(Vsi21、Vsi22)に基づくシングルエンド信号を、出力信号Vout1(Vout2)として出力端子11(21)に出力する。この際、PMOSトランジスタMP18(MP28)、NMOSトランジスタMN18(MN28)のアイドリング電流は、バイアス電圧BP11、BN11(BP21、BN21)によって決定する。
【0037】
図18、図19を参照して説明した演算増幅回路では、駆動用電源を正極、負極性のダイナミックレンジに応じて設けることができ、差動段14、24の電源電圧範囲VDD〜VSSに対して、正専用出力段13の電源電圧範囲を、VDD〜VMLと小さくすることができる(例えばVML=VDD/2)。これにより、正専用出力段13での消費電力が低減される。同様に、負専用出力段23の電源電圧範囲をVMH〜VSSと小さくすることができる(例えばVMH=VDD/2)。これにより、負専用出力段23での消費電力が低減される。
【0038】
図20は、出力段トランジスタのゲートと電源間にダイオード接続されたMOSトランジスタとスイッチを備えた出力回路の一例として、特許文献2(特開2008−271224号公報)の図3を引用した図である。図20を参照すると、入力信号を受ける入力端子と、電源Vddと出力端子との間に接続される出力トランジスタMPoutと、入力端子及び出力トランジスタMPoutのゲートに接続され、入力信号に基づいて出力トランジスタMPoutのゲートに対する電流の吐き出し又は引き込みを制御する電流制御回路10と、電源Vddに接続される電圧生成回路12(ダイオード接続された2段のPMOSトランジスタで構成される)と、出力トランジスタMPoutのゲートと電圧生成回路12との間に接続され、入力信号により開閉状態が制御されるスイッチ(PMOSトランジスタ)S2と、出力トランジスタMPoutのゲートと電源gnd間に接続された容量C1と、を備える。出力端子と電源gnd間に負荷が接続される。
【0039】
出力トランジスタMPoutのゲートと電源Vddとの電位差が所定の値以下になると、入力信号の電圧レベルにかかわらず、スイッチS2はオフ状態となる。また、出力トランジスタMPoutのゲートと電源Vdd間にダイオード接続されたPMOSトランジスタD3、D4とスイッチ(PMOSトランジスタ)S2が直列形態で設けられる。スイッチS2のゲートには入力端子から入力信号(ステップ信号)が入力され、入力信号に応じてスイッチS2のオン・オフが制御される。
【0040】
具体的には、入力信号がHighレベルに変化するとき、電流制御回路10のトランジスタS11、S12がそれぞれオン、オフとなり、スイッチS2はオフとされる。電流制御回路10の電流源Is11により容量C1から電荷が放電されることにより、出力トランジスタMPoutのゲート電圧は、電源Vddから電源gndまで緩やかに低下する。このとき、出力端子の電圧は、出力トランジスタMPoutのゲート電圧が電源VDDから閾値電圧(絶対値)分低下したところで、出力トランジスタMPoutがオンとなり、Highレベルへ変化する。
【0041】
一方、入力信号がLowレベルに変化するとき、電流制御回路10のトランジスタS11、S12がそれぞれオフ、オンとなり、スイッチS2はオンとされる。スイッチS2がオンとされたことにより、出力トランジスタMPoutのゲート電圧は、電源gndから電圧生成回路12により定まる所定の電圧レベルまで瞬時に引き上げられ、その後、電流制御回路10の電流源Is12により容量C1へ電荷が充電されることにより、出力トランジスタMPoutのゲート電圧は電源Vddまで緩やかに上昇する。このとき、出力トランジスタMPoutのゲート電圧が電源VDDから閾値電圧(絶対値)分低い電圧まで上昇すると、出力トランジスタMPoutがオフとなり、出力端子の電圧は、負荷によりLowレベルへ変化する。なお、電圧生成回路12は、出力トランジスタMPoutのゲート電圧が所定の電圧レベルまで引き上げられた後更に上昇すると、非活性(ダイオード接続された2段のPMOSトランジスタD3、D4がオフ)となり、スイッチS2も非活性となる。すなわち、スイッチ(PMOSトランジスタ)S2は、ゲートに入力される入力信号がLowレベルとなる期間のみ活性化される。また、スイッチ(PMOSトランジスタ)S2は、入力信号がLowレベルとなる期間であっても、電圧生成回路12の非活性化に伴って非活性とされる。入力信号がHighレベルとなる期間ではスイッチS2は常にオフとされる。また、スイッチS2の活性化時の動作は、出力端子の充電動作を行う出力トランジスタMPoutのゲート電圧の制御に対してのみ作用し、出力端子の放電動作を行う負荷に対しては作用を及ぼさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2009−244830号公報(図5、図6)
【特許文献2】特開2008−271224号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
以下に、本発明者によって為された関連技術の分析を与える。
【0044】
図18、図19に示した関連技術の出力回路において、正専用出力段13の電源電圧VML、及び負専用出力段23の電源電圧VMHを正極性、負極性のそれぞれの出力電圧範囲に応じて差動段14、24の電源電圧範囲より小さくすることで(例えばVML=VMH=VDD/2)、正専用出力段13及び負専用出力段23での消費電力が低減可能である。しかしながら、図18、図19に示した関連技術の出力回路において、大画面液晶表示装置のデータ線等の重負荷(大容量負荷)を高速駆動(例えばカラム反転駆動)する場合、正極性電圧出力動作において、正極入力電圧Vin1(Vin2)が電源電圧VDD付近から電源電圧VML付近へ変化するときに、端子11から出力される正極性の出力電圧信号Vout1の立ち下がり波形に遅延が生じる場合がある。また、負極性電圧出力動作において、負極入力電圧Vin1(Vin2)が電源電圧VSS付近から電源電圧VMH付近へ変化するときに、端子21から出力される負極性の出力電圧信号Vout2の立ち上がり波形に遅延が生じる場合がある。このような出力信号遅延の発生は、液晶表示装置の表示品質の低下を招く可能性がある。
【0045】
図18、図19に示した関連技術におけるこの問題点を知見した本発明者は、実際に検証するために、回路シミュレーションを行って検討した。図21は、シミュレーション結果(過渡解析結果)を示す図であり、図19に示した関連技術において、大画面液晶表示装置のデータ線等の重負荷、高駆動周波数でカラム反転駆動を行う場合の正極側出力回路(差動段14及び正専用出力段13)の負荷駆動時の電圧波形を示す図である。なお、特に制限されるものでないが、VDDを16V、VSSを0V、VMLを8Vとしている。負荷は合計容量200pF(ピコファラッド)、合計抵抗10kΩ(キロオーム)のデータ線負荷(抵抗と容量を多段で構成した配線等価回路)とし、データ線負荷の近端に出力回路の出力電圧信号が供給される。
【0046】
図21において、
(A)は、図18の入力スイッチSW41のオン・オフを表しており、入力スイッチSW41のオン・オフを制御する入力スイッチ制御信号(デジタル信号)に対応する(振幅は電源VDD−VSS)。入力スイッチ制御信号のHigh/Lowで入力スイッチSW41はオン/オフされる。1出力期間は2us(マイクロ秒)とされ、1出力期間毎に入力スイッチSW41のオン、オフが制御される。入力スイッチSW41(SW42、SW43、SW44も同様)は、DACの選択電圧が変化する出力期間の切替直後の所定期間オフとされ(入力スイッチ制御信号=Low)、DAC選択電圧の遷移ノイズの出力回路への入力を防止する。その後、入力スイッチSW41がオンとされ(入力スイッチ制御信号=High)、正DACの選択電圧(正極の入力電圧)が差動段14に入力される。なお、図21では入力信号は図示していないが、入力スイッチ制御信号がLowからHighに遷移し入力スイッチSW41のオンした直後に、ステップ波形で差動段14に入力される。なお、入力スイッチSW41は、CMOS(NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの並列接続)構成又はPMOSトランジスタで構成でき、(A)はCMOS構成のNMOSトランジスタのゲート入力信号を示している。入力スイッチSW41をPMOSトランジスタで構成したスイッチのゲート入力信号(したがって入力スイッチ制御信号)は(A)の逆相信号となる。
【0047】
(B)は、図19の差動段14と接続された正専用出力段13の出力信号Vout1の電圧波形である。(B)には、負荷(端子11に接続されるデータ線負荷)を、(a)1出力期間(2us)毎に交流駆動したときと、(b)3出力期間(6us)毎に交流駆動したときの出力信号Vout1の電圧波形が示されている。
【0048】
(C)は、図19の正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18のゲート電圧波形である。(C)には、負荷(端子11に接続されるデータ線負荷)を、(a)1出力期間(2us)毎に交流駆動したときと、(b)3出力期間(6us)毎に交流駆動したときのPMOSトランジスタMP18のゲート電圧波形が示されている。
【0049】
(D)は、図19の正専用出力段13のNMOSトランジスタMN18のゲート電圧波形である。(D)には、負荷(端子11に接続されるデータ線負荷)を、(a)1出力期間(2us)毎に交流駆動したときと、(b)3出力期間(6us)毎に交流駆動したときのNMOSトランジスタMN18のゲート電圧波形が示されている。
【0050】
図18、図19の関連技術では、差動段14(24)は電源VDD(16V)〜VSS(0V)で動作し、負荷(端子11に接続されるデータ線負荷)を、電源VDD(16V)付近と電源VML(8V)付近に交流駆動した場合、正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18とNMOSトランジスタMN18のゲート電圧は、負荷充電時(Vout1がVDD付近へ駆動時)には、NMOSトランジスタMN18のソース側の電源VML(8V)以下にまで低下する(図21の(C)、(D))。
【0051】
図21の(C)、(D)に示すように、正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18のゲート電圧波形とNMOSトランジスタMN18のゲート電圧波形は、1出力期間(2us)毎に交流駆動した場合(波形(a))、時刻6〜7us付近、10〜11us付近、14〜15us付近(時間軸の1目盛りは0.3us)で、電源電圧VML(8V)以下に低下する。また、3出力期間(6us)毎に交流駆動した場合(波形(b))では、時刻14〜16us付近で電源VML(8V)以下に低下する。特に、それぞれの出力期間が電源VDD(16V)付近への負荷充電動作から電源VML(8V)付近への負荷放電動作に切り替わる時刻7us付近(タイミングtx−tx’)に注目すると、1出力期間(2us)毎に交流駆動した場合(波形(a))、時刻7us(タイミングtx)時点では、データ線負荷の遠端の充電が完了していないため、正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18とNMOSトランジスタMN18のゲート電圧は大きく低下している状態(MP18のゲート電圧はMP18をオン状態とするレベル、MN18のゲート電圧はMN18をオフ状態とするレベル)となっている。
【0052】
このため、負荷放電動作となる次の出力期間では、この状態から、PMOSトランジスタMP18とNMOSトランジスタMN18のそれぞれのゲート電圧が上昇し、PMOSトランジスタMP18がオフとなる電圧レベル、NMOSトランジスタMN18がオンとなる電圧レベルに到達する(タイミングtx’)まで、NMOSトランジスタMN18による負荷放電動作は開始されず、出力信号Vout1の電圧波形((B)の波形(a))の立ち下りに遅延が生じる。
【0053】
一方、図21の(C)、(D)において、3出力期間(6us)毎に交流駆動した場合(波形(b))では、3出力期間(6us)を通して負荷の充電動作となるため、時刻7us(タイミングtx)時点では、データ線負荷の遠端まで充電が完了しており、正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18とNMOSトランジスタMN18のゲート電圧((C)、(D))は、それぞれ出力安定状態の電圧レベル(例えばVDDからPMOSトランジスタMP18の閾値電圧の絶対値を差し引いた電圧レベル付近、VMLにNMOSトランジスタMN18の閾値電圧を加えた電圧レベル付近)となっている。このため、負荷放電動作となる次の出力期間では、時刻7us(タイミングtx)直後から速やかにNMOSトランジスタMN18がオンとなり、負荷放電動作が開始され、出力信号Vout1の電圧波形((B)の波形(b))の立ち下りに、1出力期間(2us)毎に交流駆動時のような遅延は生じない。
【0054】
図18、図19の関連技術において、負荷を、電源VDD(16V)付近と電源VML(8V)付近の電圧範囲で交流駆動した場合、正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18とNMOSトランジスタMN18のゲート電圧は、負荷放電時には、PMOSトランジスタMP18のソース側電源VDD(16V)まで上昇する(図21の(C)、(D))。
【0055】
図21の(C)、(D)において、出力期間が電源VML(8V)付近への放電動作から電源VDD(16V)付近への充電動作に切り替わる時刻13us(タイミングty)に注目すると、1出力期間(2us)毎に交流駆動した場合(波形(a))では、時刻13us(タイミングty)時点で負荷放電動作が完了していないため、正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18とNMOSトランジスタMN18のゲート電圧((C)、(D))は、ともに大きく上昇している状態となっている(PMOSトランジスタMP18をオフ、NMOSトランジスタMN18をオンとするレベル)。しかし、負荷充電動作となる次の出力期間では、時刻13us(タイミングty)直後から、比較的速やかに、PMOSトランジスタMP18がオンし、NMOSトランジスタMN18がオフして負荷充電動作が開始され、出力信号Vout1の電圧波形((B)の波形(a))の立ち上りの遅延は十分小さい。
【0056】
一方、3出力期間(6us)毎に交流駆動した場合(波形(b))では、3出力期間(6us)を通して負荷放電動作が行われているため、時刻13us(タイミングty)時点で負荷の放電が完了しており、正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18とNMOSトランジスタMN18のゲート電圧((C)、(D))は、それぞれ出力安定状態の電圧レベルとなっている。このため、負荷充電動作となる次の出力期間では、時刻13us(タイミングty)直後から速やかに負荷充電動作が開始され、出力信号Vout1の電圧波形((B)の波形(b))はタイミングtyから、目立った遅延なく立ち上がる。
【0057】
すなわち、図21の(B)において、1出力期間(2us)毎に交流駆動した場合の出力信号Vout1の電圧波形(波形(a))の立ち下りには、Δt(=tx’−tx)の遅延が生じているが、3出力期間(6us)毎に交流駆動した場合の出力信号Vout1の電圧波形(波形(b))の立ち下りには遅延が生じない。
【0058】
また、1出力期間(2us)毎に交流駆動した場合の出力信号Vout1の電圧波形(波形(a))の立ち上りの遅延は十分小さく、3出力期間(6us)毎に交流駆動した場合の出力信号Vout1の電圧波形(波形(b))の立ち上りには遅延が生じない。
【0059】
この原因としては、高位電源VDD付近の入力信号(正DAC信号電圧)が入力されるとき(出力端子11に接続される負荷の充電動作時)、正専用出力段13の出力トランジスタMP18とMN18のゲート電圧が、過渡的に、正極出力電圧範囲の下限である中位電源VMLよりも低い電圧まで低下することが主たる要因である。
【0060】
大画面液晶表示装置のデータ線等の重負荷での高速駆動では、負荷近端の電圧変化は速いが、負荷遠端の電圧変化は遅く、負荷遠端の充電が完了する前に、次の入力信号(正DAC信号電圧)の駆動に切り替わる場合がある。このとき(次の入力信号の切替時)、正専用出力段13の出力トランジスタMP18とMN18のゲート電圧は、出力トランジスタMP18をオンとして高位電源VDD側から負荷遠端に電流(充電電流)を供給するために、大きく低下している途中である。このとき、該切替前の入力信号である高位電源電圧VDD付近の正DAC信号電圧と出力端子11の電圧を等しくさせるフィードバック制御(ボルテージフォロワの動作)により、出力トランジスタMP18からの充電電流を増加させるために、出力トランジスタMP18のゲート電圧がVSS側に近づき(VMLよりも低くなる)、浮遊電流源(PMOSトランジスタMP17とNMOSトランジスタMN17)を介して、出力トランジスタMN18のゲート電圧もVSS側に近づく(VMLよりも低くなる)。このため、次の入力信号への切替前の入力信号(高位電源VDD付近)から、次の入力信号が低い電圧に切り替わっても、当該切替時点では、出力トランジスタMP18とMN18のゲート電圧は、ともに中位電源電圧VMLよりも低電位にあり、該切替後、この低電位から、次の入力信号(低い電圧)に応じて、出力トランジスタMP18とMN18のゲート電圧が上昇して、出力トランジスタMP18とMN18がそれぞれターンオフ、ターンオンするまでに、遅延が発生し(図21のtx’−tx)、直ちに、出力端子11の放電動作に移ることはできない。この結果、高速駆動における出力端子(負荷)の充電動作から放電動作への切替りで、出力信号に遅延が発生する。
【0061】
一方、中位電源電圧VML付近の正DAC信号電圧が入力されるとき(出力端子11の放電動作)は、正専用出力段13の出力トランジスタMP18とMN18のゲート電圧は、図21の(C)、(D)に示すように、高位電源VDDまで上がるが、それ以上は上昇せず、正極出力電圧範囲内にある。このため、この段階で、入力信号(正DAC信号電圧)が高位電源電圧VDD付近へ変化しても、大きな出力信号遅延は起きにくい。
【0062】
シミュレーション結果には図示されていないが、低位電源VSS付近の負DAC信号電圧と中位電源VMH付近の負DAC信号電圧が交互に入力される場合も、1出力期間(2us)毎に交流駆動した場合の出力信号には、負荷放電動作から負荷充電動作に切り替わるときの立ち上がり波形に遅延が発生する。これは、図19の負専用出力段23の出力段トランジスタMP28とMN28のゲート電圧が負荷の放電動作時、高位電源電圧VDD側に近づき、中位電源電圧VMHよりも上昇し、この状態で、負DAC信号電圧の切替により、負荷放電動作から負荷充電動作へ切替ると、切替時点では、出力トランジスタMP28とMN28のゲート電圧はともにVMHよりも高い電位にあるため、出力トランジスタMP28とMN28のゲート電圧が低下して、出力トランジスタMP28とMN28がそれぞれターンオン、ターンオフするまでに遅延が発生し、直ちに、出力端子21の充電動作に移ることができないためである。
【0063】
大画面液晶表示装置のデータ線等の重負荷の高速駆動(カラム反転駆動)において、図18、図19に示した関連技術の出力回路では、高位電源電圧VDD付近の正DAC信号電圧から中位電源電圧VML付近の正DAC信号電圧への切り替え時、図21の(B)に示すように、複数の出力期間(例えば3出力期間(6us))毎に切り替わる場合には、出力信号の立ち下り波形に遅延は生じないが(図21の(B)の(b))、1出力期間(2us)で切り替わる場合には、出力信号の立ち下り波形に遅延が生じる(図21の(B)の(a))。
【0064】
このため、出力回路がデータ線を同じ階調電圧で駆動する場合でも、切替前の出力期間の階調電圧レベルに応じて、出力信号の遅延が発生する場合と、発生しない場合とがあることになり、該出力回路からのデータ線に接続され走査線で選択された画素に印加される信号(データ信号)にも遅延が発生する場合と発生しない場合がある。このように、出力回路の出力信号の遅延の有無により、同一階調電圧に対する画素への書き込み率が異なり、表示ムラを引き起こす可能性がある。すなわち、出力回路からの出力信号が例えば中位電源電圧VML側から高位電源電圧VDD側の階調電圧へ立ち上がる場合には、出力信号に遅延はなく画素への書き込みが正常に行われるが、VDD側からVML側への階調電圧へ立ち下る場合には、出力信号の遅延による波形なまり等により、正常時に比べて画素への書き込みが不足するという事態が発生する。また、低位電源電圧VSS付近の負DAC信号電圧から、中位電源電圧VMH付近の負DAC信号電圧へ切り替わる場合についても、出力信号の立ち上がり波形に遅延が生じ、出力回路の出力信号の遅延の有無により、同一階調電圧に対する画素への書き込み率が異なり、表示ムラを引き起こす可能性がある。
【0065】
なお、図18、図19に示した関連技術の出力回路(演算増幅回路)において、図21のシミュレーションでは、正極性電圧出力動作において、差動段14(24)の電源電圧範囲(VDD〜VSS)と正専用出力段13の電源電圧範囲(VDD〜VML)とが互いに異なる構成であるため、出力端子11の放電動作から充電動作への切替り時の出力信号と比較して、出力端子11の充電動作から放電動作への切替り時の出力信号に遅延が特に発生しやすい。同様に、負極性電圧出力動作において、差動段14(24)の電源電圧範囲(VDD〜VSS)と負専用出力段23の電源電圧範囲(VMH〜VSS)とが互いに異なる構成であるため、出力端子21の充電動作から放電動作への切替り時の出力信号と比較して、出力端子21の放電動作から充電動作への切替り時の出力信号に遅延が特に発生しやすい。
【0066】
更に、本発明者の分析から、より高速な駆動(1出力期間の更なる短縮化)、及び/又は、データ線の負荷容量の増大等により、図18、図19に示した関連技術の出力回路において、正極性電圧出力動作における出力端子11の放電動作から充電動作への切替り、及び、負極性電圧出力動作における出力端子21の充電動作から放電動作への切替りでも、出力信号の遅延が顕在化する場合が十分にあり得る。
【0067】
また、差動段と出力段の電源電圧範囲が同一(VML=VSS又はVMH=VDD)の出力回路であっても、同様に、出力信号の遅延が顕在化する場合が十分にあり得る。
【0068】
出力回路の出力信号の上記遅延は、いずれも、データドライバ等のさらなる高速駆動の律速要因となり、画質劣化の原因ともなり得る。
【0069】
さらに、差動段と出力段の電源電圧範囲が同一(例えばVDD/VSS)とされる出力回路によるデータ線負荷の駆動は、液晶表示装置のドット反転駆動や、有機発光ダイオード表示装置の駆動に対応しており、これらにおいても、出力回路の出力信号の充放電切替時の遅延により、画素への書込み不足が生じる可能性がある。
【0070】
したがって、本発明の主たる目的は、表示装置のデータ線等の負荷の駆動において、充放電切替時における出力信号の遅延を抑制する出力回路、及び該出力回路を備えたデータドライバと表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0071】
上記課題の少なくとも1つを解決する本発明は、特にこれらに制限されるものではないが、概略以下の構成とされる。
【0072】
本発明によれば、差動増幅回路と、出力増幅回路と、第1の制御回路と、入力端子と、出力端子と、第1乃至第3の電源電圧がそれぞれ供給される第1乃至第3の電源端子と、を備え、前記第3の電源電圧は、前記第1の電源電圧と前記第2の電源電圧の間の電圧、又は前記第2の電源電圧とされ、
前記差動増幅回路は、
前記入力端子の入力信号と前記出力端子の出力信号が第1入力と第2入力にそれぞれ入力される差動入力対を有する差動入力段と、
前記第1及び第2の電源端子にそれぞれ接続された第1及び第2導電型のトランジスタ対をそれぞれ含む第1及び第2のカレントミラーと、
を備え、前記第1及び第2のカレントミラーの少なくとも一方が前記差動入力段の出力電流を受け、
前記第1のカレントミラーの入力と前記第2のカレントミラーの入力間を連絡する第1の連絡回路と、
前記第1のカレントミラーの出力と前記第2のカレントミラーの出力間を連絡する第2の連絡回路と、
を備え、
前記出力増幅回路は、
前記第1の電源端子と前記出力端子との間に接続され、制御端子が前記第1のカレントミラーの出力ノードと前記第2の連絡回路の一端との接続点に接続された第1導電型の第1のトランジスタと、
前記出力端子と前記第3の電源端子との間に接続され、制御端子が前記第2の連絡回路の他端に接続された第2導電型の第2のトランジスタと、
を備え、
前記第1の制御回路は、
前記第1の電源端子と前記出力増幅回路の前記第1のトランジスタの制御端子との間に直列に接続された、第3のトランジスタと、第1のスイッチと、を備え、
前記第1のスイッチは、前記入力信号に応じた出力信号が前記出力端子から出力される出力期間の開始から予め定められた所定期間オンとされ、前記出力期間の残りの期間オフとされ、
前記第1のスイッチがオンとされる前記所定期間では、前記第1のトランジスタの制御端子は、制御端子と第1端子が接続されたダイオード接続形態の前記第3のトランジスタを介して、前記第1の電源端子と通電し、
前記第1のスイッチがオフとされる前記出力期間の残りの期間では、前記第1の電源端子と前記第1のトランジスタの制御端子間の前記第3のトランジスタの電流パスが切断される出力回路が提供される。
【0073】
本発明によれば、該出力回路を複数備えたデータドライバが提供される。本発明によれば、該データドライバを備えた表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0074】
本発明によれば、負荷の充放電切替時における出力信号の遅延の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のスイッチ制御を説明するためのタイミング図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。
【図6】本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。
【図7】本発明の第6の実施形態の構成を示す図である。
【図8】本発明の第7の実施形態の構成を示す図である。
【図9】本発明の第7の実施形態のスイッチ制御を説明するタイミング図である。
【図10】本発明の第1の実施形態のシミュレーション波形を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態と比較例のシミュレーション波形を示す図である。
【図12】(A)乃至(C)は制御回路の例を示す図である。
【図13】制御回路の例を示す図である。
【図14】本発明の第8の実施形態の構成を示す図である。
【図15】本発明の第9の実施形態の構成を示す図である。
【図16】本発明の第10の実施形態のデータドライバの構成を示す図である。
【図17】(A)、(B)は液晶表示装置と、画素の構成を示す図である。
【図18】関連技術1の構成を示す図(特許文献1の図5)である。
【図19】関連技術1の構成を示す図(特許文献1の図6)である。
【図20】関連技術2の構成を示す図(特許文献2の図3)である。
【図21】関連技術1の分析のために行った回路シミュレーションの実行結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明の好ましい態様の1つにおいて、出力回路は、差動増幅回路(110、105)と、出力増幅回路(120)と、第1の制御回路(160)と、入力端子(101)と、出力端子(104)、第1乃至第3の電源端子(VDD、VSS、VML)とを備える。
【0077】
差動増幅回路は、入力端子(101)の入力信号(VI)と出力端子(104)の出力信号(VO)を第1入力(102)と第2入力(103)にそれぞれ入力する差動入力対を有する差動入力段(110)と、
第1及び第2の電源(VDD、VSS)にそれぞれ接続された第1及び第2のカレントミラー(130、140)と、
第1及び第2のカレントミラー(130、140)の入力同士間(ノードN2、N4間)に接続される第1の連絡回路(150L)と、第1及び第2のカレントミラー(130、140)の出力同士間(ノードN1、N3間)に接続される第2の連絡回路(150R)と、を備え、第1及び第2のカレントミラー(130、140)の少なくとも一方が、差動入力段(110)の出力電流を受ける。なお、第1及び第2のカレントミラー(130、140)と、第1及び第2の連絡回路(150L、150R)は、差動入力段(110)と出力増幅回路(120)を結合する中間段(105)を構成している。
【0078】
出力増幅回路(120)は、第1の電源端子(VDD)と出力端子(104)との間に接続され、制御端子が第1のカレントミラー(130)の出力と第2の連絡回路(150R)の一端との接続点(ノードN1)に接続された第1導電型の第1のトランジスタ(121)と、第3の電源端子(中位電源VML)と出力端子(104)との間に接続され、制御端子が第2の連絡回路(150R)の他端(ノードN3)に接続された第2導電型の第2のトランジスタ(122)とを備えている。
【0079】
第1の制御回路(160)は、第1の電源端子(VDD)と第1のトランジスタ(121)の制御端子(ノードN1)との間に直列に接続された、第1導電型の第3のトランジスタ(161)とスイッチ(162)を備え、第3のトランジスタ(161)の制御端子(ゲート)は、第1のトランジスタ(121)の制御端子(ノードN1)に接続されている。スイッチ(162)が、入力端子(101)に入力される入力信号(VI)の切替り毎に(例えば出力期間の開始時点に)、予め定められた所定期間オンとされると、第3のトランジスタ(161)は、第1の電源端子(VDD)と第1のトランジスタ(121)の制御端子(ノードN1)の間でダイオード接続形態で活性化され、出力増幅回路(120)の第1及び第2のトランジスタ(121、122)の制御端子(ノードN1、N2)の電位が、出力安定状態時の電位よりも、第2の電源端子(VSS)側へ変動している場合に、出力安定状態時の電位付近に速やかに戻される。スイッチ(162)が、前記所定期間後にオフとされると、第1の電源端子(VDD)と第1のトランジスタ(121)の制御端子(ノードN1)の間の第3のトランジスタ(161)の電流パスは切断され、第3のトランジスタ(161)は非活性となる。そして、出力増幅回路(120)により、入力信号(VI)の電圧に応じて出力端子(104)の充電動作又は放電動作が遅延なく開始され、出力端子(104)には、入力信号(VI)の電圧に応じた電圧が出力される。
【0080】
第3電源電圧(VML)は、第1及び第2の電源(VDD、VSS)の間の電位、又は第2の電源(VSS)に設定されている。
【0081】
このように、本発明の好ましい態様の1つにおいて、出力増幅回路(120)の第1のトランジスタ(121)の制御端子(ノードN1)と、第1の電源端子(VDD)間に直列接続された、第3のトランジスタ(161)とスイッチ(162)とを含む制御回路(160)を備え、スイッチ(161)は、出力回路の入力信号の切替のタイミングで一時的にオンとなるように制御される。スイッチ(161)がオンとなると、第3のトランジスタ(161)は、第1端子(ドレイン)と制御端子(ゲート)が接続されたダイオード接続形態にて活性化される。出力増幅回路(120)の第1のトランジスタ(121)の制御端子(ゲート)が、出力回路の入力信号の切替のタイミングで出力安定状態の電位よりも第2の電源端子(VSS)側へ変動(低下)している場合であっても、活性化されたダイオード接続形態の第3のトランジスタ(161)を介して、第1のトランジスタ(121)の制御端子(ゲート)は、出力安定状態の電位に速やかに戻される。このとき、第2の連絡回路(150R)を介して、出力安定状態の電位よりも低下している第2のトランジスタ(122)の制御端子(ゲート)の電圧も、出力安定状態の電位に速やかに戻される。これにより、高速駆動時における、出力信号の遅延(例えば関連技術1において出力端子の充電動作から放電動作への切替り時に発生した出力信号の遅延)を抑止することができる。以下、実施形態に即して説明する。
【0082】
<実施形態1>
図1は、本発明の第1の実施形態の出力回路の構成を示す図である。図1を参照すると、本実施形態の出力回路100Aは、差動増幅回路(110、105)と、出力増幅回路120と、制御回路160と、入力端子101と、出力端子104、第1乃至第3の電源VDD、VSS、VMLの各電源端子と、を備えている。VML電源端子には、VDD、VSSの電源電圧の間の電圧が供給される。なお、電源電圧はVSS≦VML<VDDである。
【0083】
本実施形態において、差動増幅回路は、差動入力段(入力差動段)110と中間段105とを備えている。
【0084】
差動入力段110は、VSS電源端子に一端が接続された定電流源113と、定電流源113の他端に共通ソースが接続され、入力端子101と出力端子104にそれぞれゲートが接続されたNMOSトランジスタ112、111を含むNch差動対と、VDD電源端子に一端が接続された定電流源116と、定電流源116の他端に共通ソースが接続され、入力端子101と出力端子104にそれぞれゲートが接続されたPMOSトランジスタ115、114を含むPch差動対とを備えている。NMOSトランジスタ112のゲートとPMOSトランジスタ115のゲートは共通接続され、差動入力段110の差動入力対の第1の入力(非反転入力)102をなし、第1の入力(非反転入力)102に入力端子101からの入力信号VIを受け、NMOSトランジスタ111のゲートとPMOSトランジスタ114のゲートは共通接続され、差動入力段110の差動入力対の第2の入力(反転入力)103をなし、第2の入力(反転入力)103に出力端子104からの出力信号VOを受ける。入力端子101には、出力回路の前段に配置される不図示のデジタルアナログ変換器(DAC)からのアナログ信号電圧が供給される。
【0085】
中間段105は、第1のカレントミラー130と、第2のカレントミラー140と、第1の連絡回路150Lと、第2の連絡回路150Rとを備えている。
【0086】
第1のカレントミラー130は、VDD電源端子にソースが接続され、ゲートが共通接続されたPMOSトランジスタ131、132と、PMOSトランジスタ131、132のドレインにソースがそれぞれ接続され、ゲートが共通接続され第1のバイアス電圧BP1を受けるPMOSトランジスタ133、134からなり、PMOSトランジスタ133のドレインがPMOSトランジスタ131と132の共通ゲートに接続されている。
【0087】
第2のカレントミラー140は、VSS電源端子にソースが接続され、ゲートが共通接続されたNMOSトランジスタ141、142と、NMOSトランジスタ141、142のドレインにソースがそれぞれ接続され、ゲートが共通接続され第2のバイアス電圧BN1を受けるNMOSトランジスタ143、144からなり、NMOSトランジスタ143のドレインがNMOSトランジスタ141と142の共通ゲートに接続されている。
【0088】
Nch差動対の出力をなすNMOSトランジスタ111、112のドレインは、PMOSトランジスタ131と133の接続ノードN6と、PMOSトランジスタ132と134の接続ノードN5にそれぞれ接続されている。
【0089】
Pch差動対の出力をなすPMOSトランジスタ114、115のドレインは、NMOSトランジスタ141と143の接続ノードN8と、NMOSトランジスタ142と144の接続ノードN7にそれぞれ接続されている。
【0090】
第1の連絡回路150Lは、第1のカレントミラー130の入力ノードN2をなすPMOSトランジスタ133のドレインノードと、第2のカレントミラー140の入力ノードN4をなすNMOSトランジスタ143のドレインノードとの間に接続された電流源151からなる。
【0091】
第2の連絡回路150Rは、第1のカレントミラー130の出力ノードN1をなすPMOSトランジスタ134のドレインノードにソースとドレインが接続され、第2のカレントミラー140の出力ノードN3をなすNMOSトランジスタ144のドレインノードにドレインとソースが接続され、ゲートに第3、第4のバイアス電圧BP2、BN2をそれぞれ受けるPMOSトランジスタ152とNMOSトランジスタ153を備えている。第1及び第2の連絡回路150L、150Rは浮遊電流源回路をなす。
【0092】
出力増幅回路120は、VDD電源端子と出力端子104との間に接続され、ゲートが第1のカレントミラー130の出力と第2の連絡回路150Rの一端との接続点(ノードN1)に接続されたPMOSトランジスタ121と、VML電源端子と出力端子104との間に接続され、ゲートが第2の連絡回路150Rの他端(ノードN3)に接続されたNMOSトランジスタ122とを備えている。
【0093】
制御回路160は、VDD電源端子にソースが接続され、ゲートがPMOSトランジスタ121のゲート(ノードN1)に接続されたPMOSトランジスタ161と、PMOSトランジスタ161のドレインと、PMOSトランジスタ121のゲート間に接続されたスイッチ162を備えている。
【0094】
スイッチ162がオンのとき、PMOSトランジスタ121はそのゲートとドレインが接続され、ダイオード接続形態とされる。すなわち、PMOSトランジスタ121のゲート(ノードN1)の電圧が電源電圧VDD−|Vtp|以下のとき(ただし、VtpはPMOSトランジスタ161の閾値電圧)、スイッチ162がオンになると、PMOSトランジスタ161がオンし、出力増幅回路120のPMOSトランジスタ121のゲート(ノードN1)は、ダイオード接続されたPMOSトランジスタ161を介して電源VDD側にプルアップされる。このとき、電圧(VDD−|Vtp|)は、出力端子104の出力電圧VOが安定状態(電圧変動がない状態)のPOSトランジスタ121のゲート電圧に近い値とされており、制御回路160は、スイッチ162がオンになると、PMOSトランジスタ121のゲート電圧を出力安定時の電圧付近に戻す作用(リセット作用)を生じる。スイッチ162がオフのときは、制御回路160の電源VDDへのパスはオフとされ、PMOSトランジスタ121のゲート(ノードN1)は、制御回路160の作用を受けない。
【0095】
差動増幅回路(110、105)の電源電圧範囲[VDD〜VSS]に対して出力増幅回路120の電源電圧範囲は[VDD〜VML]に設定される。
【0096】
なお、図1では、差動入力段110は、Nch差動対とPch差動対の両方を備えた構成とされているが、一方の導電型のみ備えた差動対(例えばNch差動対のみ、あるいは、Pch差動対のみ)で構成してもよい。一方の導電型のみ備えた差動対の構成は別の実施形態(図14)として後述される。また、図1では、第1、第2のカレントミラー130、140は、低電圧カスコードカレントミラー構成とされているが、1段のカレントミラー構成としてもよい。1段のカレントミラーの構成は、更に別の実施形態(図15)として後述される。
【0097】
図2は、図1のスイッチ制御動作の一例を示す図である。図2には、図1の入力端子101に入力される入力信号VI(ステップ入力波形)の4出力期間の入力タイミング(t0、t1、t2、t3、t4)と、スイッチ162をオンとするタイミング(t0からt0a、t1からt1a、t2からt2a、t3からt3a)が示されている。スイッチ162は、入力信号VIの各出力期間の開始時点(例えばt0)から所定期間(t0からt0a)にオンとなるように制御される。
【0098】
スイッチ162のオンとオフを制御するスイッチ制御信号は、図1には、図示されないスイッチ制御信号発生回路(図16の807)から供給される(他の実施形態についても同様)。スイッチ162は、例えばゲートにスイッチ制御信号を受けるPMOSトランジスタで構成してもよい。また、図1の入力端子101に入力信号VIを出力するデジタルアナログ変換器(DAC)の選択信号の遷移ノイズの出力回路への入力を防止するためにDACの出力と入力端子101間に配設される入力スイッチを有する場合、制御回路160のスイッチ162をオンする所定期間は、出力期間の切り替わり時に、該入力スイッチがオフとされる期間と同一にしてもよい。あるいは出力期間の切替り時に、出力回路の出力信号VOの遷移ノイズのデータ線負荷への伝達を防止するために、出力回路とデータ線負荷間に配設される出力スイッチを有する場合、スイッチ162をオンする所定期間は、出力期間の切替り時に、該出力スイッチがオフとされる期間と同一にしてもよい。
【0099】
表示装置のデータ線等の重負荷(大容量負荷)を、高速駆動(例えばカラム反転駆動)する場合において、一例としてVML=VDD/2とした場合、図1の出力回路の入力電圧VIが高位電源VDD付近(例えば図2の期間t0−t1の出力端子104の充電動作)から中位電源電圧VML付近(例えば図2の期間t1−t2の出力端子104の放電動作)に切り替わるとき、出力期間の切替時点で、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が、中位電源電圧VMLを下回って大幅に低下していたとしても、出力期間の切替直後に、制御回路160において、スイッチ162が一時的(図2の期間t1−t1a)にオンとされ、PMOSトランジスタ161がダイオード接続形態にて活性化(オン)される。このため、PMOSトランジスタ121のゲート(ノードN1)は、電源電圧VDDからPMOSトランジスタ161の閾値電圧|Vtp|(絶対値)程度低い電位、すなわち、出力安定時(入力電圧≒出力電圧)のゲート電圧付近まで瞬時に引き上げられる。
【0100】
また、NMOSトランジスタ122のゲート(ノードN3)も、PMOSトランジスタ121のゲート(ノードN1)の電圧の引き上げに伴い、浮遊電流源をなす第2の連絡回路150Rを介して、出力安定時のゲート電圧付近まで引き上げられる。すなわち、制御回路160は、スイッチ162のオン期間に、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート電圧を、一旦、出力安定状態におけるトランジスタ121、122のそれぞれのゲート電圧に近い電圧に戻す作用(リセット作用)を有する。
【0101】
このため、制御回路160のスイッチ162がオフとされ次第、入力電圧VIに応じた駆動が速やかに開始され、図19の関連技術の出力信号の電圧波形を示す図21の(B)のような、出力信号の遅延は生じない。
【0102】
このように、本実施形態によれば、出力期間の切替時点において(該切替前の入力信号は高位電源電圧VDD付近、該切替後の入力信号は例えば中位電源電位VML付近)、出力増幅回路120のPMOSトランジスタ121、NMOSトランジスタ122のゲート電圧が中位電源電圧VMLより低下していても、出力期間の切替直後に一時的に制御回路160を活性化させ、PMOSトランジスタ121、NMOSトランジスタ122のゲート電圧を出力安定状態の電圧に近い電圧に設定することにより、該切替時点から開始する次の出力期間の出力信号の立ち下り波形の遅延は回避される。
【0103】
なお、出力期間の切替前後で、入力信号(VI)の電位が変化しない場合でも、制御回路160を動作させてよい。
【0104】
一方、本発明の構成をとらない構成、すなわち、制御回路160を欠いている場合、図1の出力回路の入力電圧VIが高位電源VDD付近(図2の期間t0−t1)から中位電源VML付近(図2の期間t1−t2)に切り替わるとき、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が中位電源VMLを下回って大幅に低下していると、PMOSトランジスタ121はオン状態、NMOSトランジスタ122はオフ状態である。このため、出力端子104の放電動作の開始には、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート(ノードN1、N3)の電圧が一旦出力安定時の電位までそれぞれ上昇し、さらにPMOSトランジスタ121がオフ状態、NMOSトランジスタ122がオン状態となる電位へそれぞれ上昇するまでの時間を要する。したがって、入力電圧VIが高位電源VDD付近から中位電源VML付近に切り替わる出力期間の切替り時点(図2の期間t1)からNMOSトランジスタ122による出力端子104の放電動作開始時間まで出力信号の立ち下がりに遅延が生じる。なお、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート(ノードN1、N3)の電圧の上昇に要する時間は、出力回路のアイドリング電流値に依存し、アイドリング電流値を大きくすれば出力信号の遅延時間は多少短縮されるが、消費電力は大幅に増大する。
【0105】
また、表示装置のデータ線等重負荷を、高速駆動する場合において、例えば中位電源電圧VMLを低位電源電圧VSSとした場合、図1の出力回路の入力電圧VIが高位電源VDD付近(図2の期間t0−t1)から電源VML(=VSS)付近(図2の期間t1−t2)に切り替わるとき、出力期間の切替時点で、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が低位電源VSS付近まで大幅に低下している場合がある。このとき、PMOSトランジスタ121はオン状態、NMOSトランジスタ122はオフ状態である。本実施形態の制御回路160を備えていない場合には、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート(ノードN1、N3)の電圧が出力安定時の電位まで上昇し、NMOSトランジスタ122による出力端子104の放電動作が開始されるまで、出力信号の立ち下りに遅延が生じる場合がある。これに対して、本実施形態においては、制御回路160を備え、出力期間の切替直後に、制御回路160を一時的に活性化(スイッチ162を導通させ、トランジスタ161を活性化)させることにより、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート電圧を、出力安定時における電位に瞬時に戻し(リセット作用)、遅延なく出力端子104への放電動作を開始させることができる。
【0106】
出力期間の切替時における出力信号の立ち下りの遅延を回避するには、出力期間の切替直後に出力増幅回路120のトランジスタ121、122のそれぞれのゲート電圧を出力安定時の電位に瞬時に戻すこと(リセット作用)が最も重要である。本実施形態の制御回路160は、このリセット作用を有する回路を簡単な構成で実現している。
【0107】
ここで、比較例(参考例)として、制御回路160の代わりに、PMOSトランジスタ121のゲート(ノードN1)と高位電源端子VDD間にスイッチを設ける構成について説明しておく。この比較例(参考例)は、図1の制御回路160において、PMOSトランジスタ161を除き、ノードN1と高位電源端子VDD間にスイッチ162のみの構成とした場合である。ノードN1と高位電源端子VDD間のスイッチを出力期間の切替直後に一時的にオンとした場合、低位電源VSS側へ大幅に低下しているトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧を引き上げる作用を生じる。しかし、このとき、PMOSトランジスタ121のゲート(ノードN1)は、高位電源電圧VDDまで引き上げられ、NMOSトランジスタ122のゲート(ノードN3)も、第2の連絡回路150Rを介して高位電源電圧VDD付近まで引き上げられる。これは、ノードN1が電源電圧VDDまで引き上げられると、第2の連絡回路150RのPMOSトランジスタ152のゲート・ソース間電圧が拡大し、ノードN1、N3間に流れる電流が増加するためである。これにより、PMOSトランジスタ121とNMOSトランジスタ122のゲート(ノードN1、N3)は高位電源VDD付近まで上昇し、今度は、出力端子104の放電動作から充電動作への切替時に、出力信号の立ち上がりに遅延が発生する。
【0108】
以上より、出力増幅回路120のPMOSトランジスタ121のゲート(N1)とNMOSトランジスタ122のゲート(N3)間に浮遊電流源をなす第2の連絡回路150Rを備えた出力回路においては、出力増幅回路120のPMOSトランジスタ121とNMOSトランジスタ122のそれぞれのゲート電圧を、出力安定時の電位に瞬時に戻すこと(リセット作用)が必要である。
【0109】
本実施形態によれば、スイッチ162は、各出力期間の開始直後の十分短い所定期間(t0−t0a)にオンとされ、後続期間(t0a−t1)ではオフとされ、制御回路160は、該所定期間(t0−t0a)に、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧を、出力安定時の電圧付近に戻す電流を供給する。制御回路160が供給する電流は、出力回路100Aの動作を妨げる作用ではなく、入力信号VIの変化に伴って、出力回路100Aが、負荷の充電動作から放電動作に切り替わることを補助する作用をなすものであることから、その電流値は、トランジスタ121、122のゲート容量の充電に必要な程度での小電流でよく、消費電力の増加という問題は生じない。
【0110】
本実施形態の構成は、図18、図19の正極性電圧出力動作を行う出力回路(正DAC信号が入力される差動段14又は24と正専用出力段13)への応用が可能である。あるいは、VML=VSSとし、階調電圧出力動作を行う出力回路への応用が可能である。
【0111】
本実施形態によれば、制御回路160を備えたことにより、出力端子104の充電動作から放電動作への出力期間の切替時の出力信号の遅延を回避することが可能となる。なお、上記実施形態の説明では、入力信号が電源電圧VDD又はVML付近で変化する場合の最も顕著な例について説明したが、本発明は、この例に限定されるものでないことは勿論である。以下の実施形態の説明についても同様である。
【0112】
<実施形態2>
次に本発明の第2の実施形態を説明する。図3は、本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。図3を参照すると、本実施形態の出力回路100Bにおいては、差動入力段110、第1、第2のカレントミラー130、140、第1、第2の連絡回路150L、150Rは前記第1の実施形態(図1)と同一である。出力増幅回路120は、中位電源電圧VMHが供給されるVMH電源端子にソースが接続され、ゲートが第2の連絡回路150Rの一端に接続され、ドレインが出力端子104に接続されたPMOSトランジスタ121と、VSS電源端子にソースが接続され、ゲートが、第2の連絡回路150Rの他端に接続され、ドレインが出力端子104に接続されたNMOSトランジスタ122とを備えている。ここで、電源端子電圧は、VSS<VMH≦VDDである。
【0113】
本実施形態の出力回路100Bは、前記第1の実施形態の制御回路160の代わりに、制御回路170を備えている。すなわち、前記第1の実施形態において、制御回路160は、スイッチ162とPMOSトランジスタ161で構成されていたが、本実施形態において、制御回路170は、VSS電源端子にソースが接続され、ゲートがNMOSトランジスタ122のゲート(ノードN3)に接続されたNMOSトランジスタ171と、NMOSトランジスタ171のドレインと、NMOSトランジスタ122のゲート間に接続されたスイッチ172を備えている。スイッチ172がオンのとき、NMOSトランジスタ122のゲートは、NMOSトランジスタ171のゲート及びドレインに接続され、ダイオード接続として活性化される。すなわち、NMOSトランジスタ122のゲート電圧が、電源電圧VSS+Vtn以上のとき(ただし、VtnはNMOSトランジスタ171の閾値電圧)、スイッチ172がオンすると、NMOSトランジスタ171がオンし、NMOSトランジスタ122のゲート電圧は、電源VSS側にプルダウンされる。このとき、電圧(VSS+Vtn)は、出力端子104の出力電圧VOが安定状態のNMOSトランジスタ122のゲート電圧に近い値に設定されており、制御回路170は、スイッチ172がオンになると、NMOSトランジスタ122のゲート電圧を出力安定時の電圧付近に戻す作用(リセット作用)を生じる。スイッチ172がオフのときは、制御回路170の電源VSSへのパスはオフとされ、NMOSトランジスタ122のゲートノードN3は、制御回路170の作用は受けない。なお、スイッチ172は、図2のスイッチ162と同様、各出力期間の開始直後の十分短い所定期間(図2のt0−t0a、t1−t1a・・・)にオンとされ、1出力期間内の後続期間(t0a−t1、t1a−t2、t2a−t3・・・)ではオフとされる。
【0114】
表示装置のデータ線等重負荷を高速に駆動(カラム反転駆動)する場合において、例えばVMH=VDD/2とした場合、図3の出力回路の入力電圧VIが低位電源VSS付近(出力端子104の放電動作)から中位電源VMH付近(出力端子104の充電動作)に切り替わるとき、出力期間の切替り時点で、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が中位電源VMHを上回って大幅に上昇していても、出力期間の切替り直後に、制御回路170において、スイッチ172が一時的にオンとされ、NMOSトランジスタ171がダイオード接続形態として活性化(オン)されるため、NMOSトランジスタ122のゲートノードN3は、電源電圧VSSからNMOSトランジスタ171の閾値電圧Vtn程度高い電位、すなわち出力安定時のNMOSトランジスタ122のゲート電圧付近まで瞬時に引き下げられる。
【0115】
また、PMOSトランジスタ121のゲートノードN1も、NMOSトランジスタ122のゲートノードN3の電圧引き下げ作用に伴い、浮遊電流源をなす第2の連絡回路50Rを介して出力安定時のゲート電圧付近まで引き下げられる。すなわち、制御回路170は、スイッチ172のオン期間に、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート電圧を出力安定状態におけるトランジスタ121、122のそれぞれのゲート電圧に近い電圧に戻す作用(リセット作用)を有する。このため、制御回路170のスイッチ172がオフとされ次第、入力信号電圧VIに応じた駆動が速やかに開始され、出力信号の遅延は生じない。
【0116】
このように、本実施形態によれば、出力期間の切替時点において、出力増幅回路120のNMOSトランジスタ122のゲート電圧がVMHより上昇していても、出力期間の切替直後に、一時的に制御回路170を活性化させることにより、次の出力期間の出力信号の遅延は回避される。なお、出力期間の前後で入力信号(VI)の電圧が変化しない場合であっても、制御回路170を動作させてよい。
【0117】
一方、本実施形態の構成をとらず、制御回路170を欠いている場合、図3の出力回路の入力信号電圧VIが低位電源VSS付近から中位電源VMH付近に切り替わるとき、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が中位電源VMHを上回って大幅に上昇していると、PMOSトランジスタ121はオフ状態、NMOSトランジスタ122はオン状態である。このため、出力端子104への充電動作の開始には、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート(ノードN1、N3)の電圧が、一旦、出力安定時の電位までそれぞれ低下し、さらに、PMOSトランジスタ121がオン状態、且つ、NMOSトランジスタ122がオフ状態となる電位へそれぞれ低下するまでの時間を要する。したがって、入力電圧VIが低位電源VSS付近から中位電源VMH付近に切り替わる出力期間の切替時点から、PMOSトランジスタ121による出力端子104への充電動作開始時間まで、出力信号の立ち上がりに遅延が生じる。なお、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート(ノードN1、N3)の電圧の低下に要する時間は、出力回路のアイドリング電流値に依存し、アイドリング電流値を大きくすれば出力遅延時間は多少短縮されるが、消費電力が大幅に増加する。
【0118】
また、表示装置のデータ線等重負荷を高速駆動する場合において、例えばVMH=VDDとした場合、図3の出力回路の入力電圧VIが低位電源VSS付近から電源VMH(=VDD)付近に切り替わるとき、出力期間の切替時点で、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が高位電源VDD付近まで大幅に上昇している場合がある。このとき、PMOSトランジスタ121はオフ状態、NMOSトランジスタ122はオン状態である。
【0119】
図3の制御回路170を備えていない場合には、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート(ノードN1、N3)の電圧が、高位電源VDD付近から、出力安定時の電位まで低下し、ターンオンしたPMOSトランジスタ121による出力端子104の充電動作が開始されるまで、出力信号の立ち上がりに遅延が生じる場合がある。これに対して、本実施形態によれば、制御回路170を備えたことで、出力期間の切替直後に制御回路170を一時的に活性化させることにより、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート電圧を、出力安定時の電位に瞬時に戻し(リセット作用)、遅延なく出力端子104の充電動作を開始させることができる。
【0120】
本実施形態は、図18、図19の負極性電圧出力動作を行う出力回路(負DAC信号が入力される差動段14又は24と負専用出力段23)への応用が可能である。あるいは、VMH=VDDとし、階調電圧出力動作を行う出力回路への応用が可能である。制御回路170を備えた図3の構成とすることで、出力端子104の放電動作から充電動作への出力期間の切替時の出力遅延を回避することが可能となる。
【0121】
<実施形態3>
次に本発明の第3の実施形態を説明する。図4は、本発明の第3の実施形態の構成を示す図である。図4に示すように、本実施形態の出力回路100Cにおいては、差動入力段110、第1、第2のカレントミラー130、140、第1、第2の連絡回路150L、150Rは前記第1の実施形態と同一である。出力増幅回路120は、前記第1の実施形態と同様、VDD電源端子にソースが接続され、ゲートが第2の連絡回路150Rの一端に接続され、ドレインが出力端子104に接続されたPMOSトランジスタ121と、VML電源端子にソースが接続され、ゲートが、第2の連絡回路150Rの他端に接続され、ドレインが出力端子104に接続されたNMOSトランジスタ122と、を備えている。電源端子電圧はVSS≦VML<VDDである。
【0122】
本実施形態の出力回路100Cでは、VDD電源端子とPMOSトランジスタ121のゲート間に接続された制御回路160と、VML電源端子とNMOSトランジスタ122のゲート間に接続された制御回路170を備えている。制御回路160の回路構成は、図1に示した制御回路160と同一である。
【0123】
制御回路160による出力端子104の充電動作から放電動作への切替時の出力信号の遅延回避動作は、前記第1の実施形態と同一であるため説明は省略する。
【0124】
制御回路170は、図3に示した制御回路170と同一構成とされ、NMOSトランジスタ171とスイッチ172を備えているが、NMOSトランジスタ171のソースの接続先がVSS電源端子ではなく、VML電源端子である点が、図3に示した制御回路170と相違している。なお、制御回路170のNMOSトランジスタ171の閾値電圧Vtnは、電圧(VML+Vtn)が、出力安定時の出力増幅回路120のNMOSトランジスタ122のゲート電圧付近となる値に設定される。
【0125】
制御回路170の作用について説明する。表示装置のデータ線等重負荷を高速に駆動(例えばカラム反転駆動)する場合において、例えばVML=VDD/2とした場合、図4の出力回路の入力電圧VIが中位電源VML付近(出力端子104の放電動作)から高位電源VDD付近(出力端子104の充電動作)に切り替わるとき、出力期間の切り替り時点で、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が高位電源VDD付近まで上昇している場合があり得る。このとき、PMOSトランジスタ121はオフ状態、NMOSトランジスタ122はオン状態であるため、制御回路170を備えていない場合には、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート(ノードN1、N3)の電圧が出力安定時の電位まで低下し、PMOSトランジスタ121がターンオンして出力端子104の充電動作が開始されるまで、出力信号の立ち上がりに遅延が生じる場合がある。
【0126】
本実施形態によれば、制御回路170を備えており、出力期間の切替時点で、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が高位電源VDD付近まで上昇していても、出力期間の切替時点の直後に、制御回路170において、スイッチ172が一時的にオンとされ、NMOSトランジスタ171がダイオード接続形態として活性化(オン)されるため、NMOSトランジスタ122のゲートノードN3は、電源電圧VMLからNMOSトランジスタ171の閾値電圧Vtn程度高い電位、すなわち、出力安定時のNMOSトランジスタ122のゲート電圧付近まで、瞬時に引き下げられる。
【0127】
また、PMOSトランジスタ121のゲートノードN1も、NMOSトランジスタ122のゲートノードN3の電圧引き下げ作用に伴い、浮遊電流源をなす第2の連絡回路50Rを介して、出力安定時のPMOSトランジスタ121のゲート電圧付近まで引き下げられる。すなわち、制御回路170は、スイッチ172のオン期間に、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート電圧を、出力安定状態におけるトランジスタ121、122のそれぞれのゲート電圧に近い電圧に戻す作用(リセット作用)を有する。このため、制御回路170のスイッチ172がオフとされ次第、入力電圧VIに応じた駆動が速やかに開始され、出力信号の遅延は生じない。このように、本実施形態によれば、出力期間の切替り直前において、出力増幅回路120のNMOSトランジスタ122のゲート電圧が高位電源VDD付近まで上昇していても、出力期間の切替直後に一時的に制御回路170を活性化させることにより、次の出力期間の出力信号の立ち上がりの遅延は回避される。
【0128】
表示装置のデータ線等重負荷を高速に駆動する場合において、例えばVML=VSSとした場合、前記第2の実施形態(VMH=VDDとした場合)と同様に、制御回路170によるNMOSトランジスタ122のゲートノードN3に対するリセット作用により、放電動作から充電動作への切替時の出力信号の遅延が回避される。
【0129】
<実施形態4>
次に本発明の第4の実施形態を説明する。図5は、本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。図5を参照すると、本実施形態の出力回路100Dは、図4の前記第3の実施形態の出力回路100Cにおける制御回路170を、制御回路175で置き換えたものである。ここで、電源端子電圧は、VSS≦VML<VDDである。
【0130】
制御回路160は、図4の前記第3の実施形態の出力回路100Cの制御回路160と同一である。制御回路160による、出力端子104の充電動作から放電動作への切替時の出力信号の遅延回避動作は、前記第1の実施形態と同一であるため説明は省略する。
【0131】
制御回路175は、ソースがNMOSトランジスタ122のゲートに接続され、ゲートがVML電源端子に接続されたPMOSトランジスタ173と、PMOSトランジスタ173のドレインとVML電源端子間に接続されたスイッチ174を備えている。スイッチ174がオンのとき、PMOSトランジスタ173はダイオード接続形態として活性化(オン)される。なお、制御回路175のPMOSトランジスタ173の閾値電圧|Vtp|(絶対値)は、電圧(VML+|Vtp|)が、出力安定時の出力増幅回路120のNMOSトランジスタ122のゲート電圧付近となるような値に設定される。
【0132】
本実施形態では、前記第3の実施形態の出力回路100Cの制御回路170と同様に、制御回路175によるNMOSトランジスタ122のゲートノードN3に対するリセット作用により、負荷の放電動作から充電動作への切替時の出力信号の立ち上がりの遅延が回避される。また、前記第1、第3の実施形態と同様、制御回路160によるPMOSトランジスタ121のゲートノードN1に対するリセット作用により、負荷の充電動作から放電動作への切替時の出力信号の立ち下りの遅延が回避される。
【0133】
<実施形態5>
次に本発明の第5の実施形態を説明する。図6は、本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。図6を参照すると、本実施形態の出力回路100Eは、図3の前記第2の実施形態の出力回路100Bに、制御回路165をさらに追加したものである。ここで、電源端子電圧は、VSS<VMH≦VDDである。
【0134】
制御回路170は、図3の前記第2の実施形態の制御回路170と同一である。制御回路170による、出力端子104の放電動作から充電動作への切替時の出力信号の遅延回避動作は、前記第2の実施形態と同一であるため説明は省略する。
【0135】
制御回路165は、ソースがPMOSトランジスタ121のゲートノードN1に接続され、ゲートがVMH電源端子に接続されたNMOSトランジスタ163と、NMOSトランジスタ163のドレインとVMH電源端子間に接続されたスイッチ164を備えている。スイッチ164がオンのとき、NMOSトランジスタ163はダイオード接続形態として活性化(オン)される。また、制御回路165のNMOSトランジスタ163の閾値電圧Vtnは、電圧(VMH−Vtn)が、出力安定時の出力増幅回路120のPMOSトランジスタ121のゲート電圧付近となるような値に設定される。
【0136】
本実施形態では、前記第2の実施形態の制御回路170と同様に、制御回路170によるNMOSトランジスタ122のゲートノードN3に対するリセット作用により、出力端子104の充電動作から放電動作への切替時の出力信号の遅延が回避される。
【0137】
制御回路165の作用について説明する。表示装置のデータ線等重負荷の高速駆動(例えばカラム反転駆動)において、例えば中位電源電圧VMH=VDD/2とした場合、図6の出力回路の入力電圧VIが中位電源VMH付近(出力端子104の充電動作)から低位電源VSS付近(出力端子104の放電動作)に切り替わるとき、出力期間の切替時点で、出力トランジスタ121、122のゲート電圧が低位電源VSS付近まで低下している場合がありうる。このとき、PMOSトランジスタ121はオン状態、NMOSトランジスタ122はオフ状態であるため、制御回路165を備えていない場合には、トランジスタ121、122のそれぞれのゲート(ノードN1、N3)の電圧が出力安定時の電位まで上昇し、NMOSトランジスタ122がオンして出力端子104の放電動作が開始されるまで、出力信号の立ち下がりに遅延が生じる場合がある。
【0138】
これに対して、本実施形態によれば、制御回路165を備えており、出力期間の切替時点で、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート(ノードN1、N3)の電圧が低位電源VSS付近まで低下していても、出力期間の切替時点直後に、制御回路165において、スイッチ164が一時的にオンとされ、ダイオード接続形態のNMOSトランジスタ163が活性化(オン)されるため、PMOSトランジスタ121のゲートノードN1は、出力安定時のPMOSトランジスタ121のゲート電圧付近まで、瞬時に引き上げられる。
【0139】
また、出力増幅回路120のNMOSトランジスタ122のゲートノードN3も、PMOSトランジスタ121のゲートノードN1の電圧引き上げ作用に伴い、浮遊電流源をなす第2の連絡回路50Rを介して出力安定時のNMOSトランジスタ122のゲート電圧付近まで引き上げられる。
【0140】
すなわち、制御回路165は、スイッチ164のオン期間に、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート電圧を出力安定状態におけるトランジスタ121、122のそれぞれのゲート電圧に近い電圧に戻す作用(リセット作用)を有する。このため、制御回路165のスイッチ164がオフとされ次第、入力電圧VIに応じた駆動(放電駆動)が速やかに開始され、出力信号の立ち下りに遅延は生じない。
【0141】
<実施形態6>
次に本発明の第6の実施形態を説明する。図7は、本発明の第6の実施形態の構成を示す図である。図7を参照すると、本実施形態は、図18、図19に示した関連技術の正専用出力段13、負専用出力段23に、前記第1、第2の実施形態の制御回路160、170をそれぞれ適用した構成(出力回路100F)である。なお、図18、図19に示した関連技術の構成、動作等は、背景技術で説明済みであることから、以下では、その説明は省略する。
【0142】
液晶表示装置の駆動においては、正DAC/負DAC信号の出力回路100Fへの入力制御を行うスイッチ回路4(SW41〜SW44)は、正DACと負DAC間で信号ショートが起きないようにするため、またDAC選択信号の遷移ノイズの出力回路への入力を防ぐため、各出力期間ごとに、正DAC/負DAC信号の出力回路への入力を一時的に遮断するように制御されている。その入力遮断期間に、制御回路160、170のスイッチ162、172をオンするように制御してもよい。
【0143】
また、液晶表示装置の駆動において、出力回路の正専用出力段13と負専用出力段23の出力ノード(11、21)から出力される正極出力信号/負極出力信号を、極性反転信号に応じて、奇数番目のデータ線と偶数番目のデータ線に切替えて出力する出力制御を行うスイッチ回路3(SW31〜SW34)は、正専用出力段13と負専用出力段23の出力ノード(11、21)間で信号ショートが起きないようにするため、また出力回路の正極/負極出力信号の遷移ノイズのデータ線への伝達を防止するため、各出力期間毎に、出力ノード(11、21)からデータ線への出力を一時的に遮断するように制御されている。その出力遮断期間に、制御回路160、170のスイッチ162、172をオンするように制御してもよい。
【0144】
スイッチ162、172は、スイッチSW41〜SW44が各出力期間で共にオフ期間になるときに、オンとしてもよい。
【0145】
あるいは、スイッチ162は、スイッチSW31、SW32が各出力期間で共にオフ期間になるときにオンとし、スイッチ172は、スイッチSW33、SW34が各出力期間で共にオフ期間になるときにオンとしてもよい。
【0146】
本実施形態によれば、正専用出力段13における正極出力信号(端子11の信号)のVDD側からVML側への立ち下り波形の遅延と、負専用出力段23における負極出力信号(端子21の信号)のVSS側からVMH側への立ち上がり波形の遅延を回避することができる。
【0147】
<実施形態7>
次に本発明の第7の実施形態を説明する。図8は、本発明の第7の実施形態の構成を示す図である。本実施形態では、スイッチ回路4(SW41〜SW44)のオン/オフ制御に対応して制御回路160、170のスイッチ162、172のオン/オフ制御を行う構成(出力回路100G)である。図9は、図8の構成における各スイッチのオン/オフ制御を示すタイミング図である。図8は、図18、図19に示した関連技術の正専用出力段13、負専用出力段23に、前記第1、第2の実施形態の制御回路160、170をそれぞれ適用した構成(160A、170A)である。
【0148】
正DAC信号と負DAC信号の出力回路への入力を切替制御するスイッチ回路4(SW41〜SW44)による各出力期間開始直後の入力遮断期間に、制御回路160、170のスイッチ162、172をオンさせる場合、スイッチ162、172がそれぞれ1個のスイッチトランジスタである場合、スイッチ回路4(SW41〜SW44)の制御信号S1〜S4をそのまま利用することができない。したがって、スイッチ162、172用に追加の制御信号が必要となる。
【0149】
正DAC信号と差動段14、24の入力端子12、22間の接続を制御するスイッチSW41、SW42はCMOS構成又はPMOSトランジスタで構成することができ、制御信号S1、S2によりそれぞれオン・オフ制御され(スイッチSW41、SW42は制御信号S1、S2がLowのときオン)、負DAC信号と差動段14、24の入力端子12、22間の接続を制御するスイッチSW43、SW44は、CMOS構成又はNMOSトランジスタで構成することができ、制御信号S3、S4により、オン・オフが制御される(スイッチSW43、SW44は制御信号S3、S4がHighのときオン)。図8には、スイッチSW41、SW42はPMOSトランジスタで構成し、スイッチSW43、SW44はNMOSトランジスタで構成した例を示す。
【0150】
また、スイッチSW41、SW43は、極性反転信号POLがHighのとき、各出力期間の入力遮断期間にオフ、1出力期間内の後続期間にオンとされ、極性反転信号POLがLowのとき、1出力期間を通してオフとされる。
【0151】
スイッチSW42、SW44は、極性反転信号POLがLowのとき、各出力期間の入力遮断期間にオフ、1出力期間内の後続期間にオンとされ、極性反転信号POLがHighのとき、1出力期間を通してオフとされる。
【0152】
このため、本実施形態では、制御回路160Aにおいて、図7の制御回路160のスイッチ162を、直列形態のPMOSトランジスタ162A、162Bで構成し、図7の制御回路170のスイッチ172を、直列形態のNMOSトランジスタ172A、172Bで構成している。NMOSトランジスタ172A、172Bのゲートに、スイッチSW41、SW42を制御する制御信号S1、S2をそれぞれ入力し、PMOSトランジスタ162A、162Bのゲートに、スイッチSW43、SW44のオン・オフを制御する制御信号S3、S4をそれぞれ入力している。なお、NMOSトランジスタ172A、172Bの接続順は入替えてもよい。同様に、PMOSトランジスタ162A、162Bの接続順も入替えてよい。
【0153】
これにより、制御回路160A、170Aにおいて、スイッチ回路4(SW41〜SW44)のオン、オフを制御する制御信号S1〜S4を、そのまま利用することができ、追加の制御信号は不要となる。
【0154】
図9では、スイッチ回路5(SW51〜SW58)、スイッチ回路6(SW61〜SW64)の制御信号は、スイッチ回路4(SW41〜SW44)の制御信号S1〜S4を共用する例を示している。
【0155】
入力遮断期間及び出力遮断期間を除いた負荷駆動期間において、スイッチSW31、SW33、SW41、SW43、SW51、SW53、SW57、SW55、SW61、SW63がオン状態、スイッチSW32、SW34、SW42、SW44、SW52、SW54、SW56、SW58、SW62、SW64がオフ状態となるパタン1(接続形態1)と、オン・オフの状態がその逆のパタン2(接続形態2)とが、極性反転信号(POL)の反転に同期して切り替えられる。
【0156】
極性反転信号(POL)がLowのとき、パタン2、
極性反転信号(POL)がHighのとき、パタン1
とされる。
【0157】
スイッチトランジスタ162A、162B、172A、172Bは、スイッチSW41、SW42、SW43、SW44とオン/オフが逆になる。
【0158】
極性反転信号(POL)がLowのとき、1出力期間の開始直後の入力遮断期間(期間t0−t0a)では、制御信号S2、S4はそれぞれHigh、Lowとされ、スイッチSW42、SW44はオフとされ、スイッチ172B、162Bはオンとされる。1出力期間内の後続期間(期間t0a−t1)では、制御信号S2、S4のLow、Highにより、スイッチSW42、SW44はオンとされ、スイッチ172B、162Bはオフとされる。一方、制御信号S1、S3は、1出力期間を通して、それぞれHigh、Lowとされ、スイッチSW41、SW43はオフとされ、スイッチ172A、162Aはオンとされる。
【0159】
極性反転信号(POL)がHighのとき、1出力期間の開始直後の入力遮断期間(期間t1−t1a、t2−t2a、t3−t3a)では、制御信号S1、S3はHigh、Lowとされ、スイッチSW41、SW43はオフとされ、スイッチ172A、162Aはオンとされる。1出力期間内の後続期間(期間t1a−t2、t2a−t3、t3a−t4)では、制御信号S1、S3のLow、Highにより、スイッチSW41、SW43はオンとされ、スイッチ172A、162Aはオフとされる。一方、制御信号S2、S4は、1出力期間を通して、それぞれHigh、Lowとされ、スイッチSW42、SW44はオフとされ、スイッチ172B、162Bはオンとされる。
【0160】
極性反転信号(POL)がLowのときの入力遮断期間(期間t0−t0a)では、制御信号S1、S2により、スイッチ172A、172Bが共にオンとされ、制御信号S3、S4により、スイッチ162A、162Bが共にオンとされる。
【0161】
これにより、制御回路160のPMOSトランジスタ161がダイオード接続形態として活性化(オン)され、正専用出力段13の出力端子11の充電動作から放電動作への切替時の出力信号の立ち下りの遅延が回避される。また、制御回路170のNMOSトランジスタ171がダイオード接続形態として活性化(オン)され、負専用出力段23の出力端子21の放電動作から充電動作への切替時の出力信号に立ち上がりの遅延が回避される。
【0162】
図9において、図8の出力回路100Gの出力端子11、21とデータ線(奇数、偶数)間との接続を切替えるスイッチ回路3(SW31〜SW34)のオフ期間は、好ましくは、スイッチ回路4(SW41〜SW44)のオフ期間を含むように設定する。
【0163】
図9の例では、極性反転信号POLがLowのとき、スイッチSW32、SW34のオフの期間は、スイッチSW42、SW44のオフ期間の時間幅(制御信号S2、S4のHighパルス、Lowパルスのパルス幅)を含む。極性反転信号POLがHighのとき、スイッチSW31、SW33のオフの期間は、SW41、SW43のオフ期間の時間幅(制御信号S1、S3のHighパルス、Lowパルスのパルス幅)を含む。
【0164】
また、カラム反転駆動におけるスイッチ回路3(SW31〜SW34)は、DAC選択信号の遷移ノイズの影響が小さい場合において、極性反転信号POLの値が変わらないとき、1出力期間の切替ごとに一時的にオフとしないように制御することも可能である。スイッチ回路5(SW51〜SW58)及びスイッチ回路6(SW61〜SW64)についても同様である。
【0165】
<実施形態1のシミュレーション結果>
図10は、図1に示した前記第1の実施形態の動作を説明する図であり、カラム反転駆動の正極性出力動作を行う出力回路のデータ線負荷近端波形(回路シミュレーション結果)を示す図である。図10は、図18、図19に示した関連技術1の出力回路のシミュレーション(図21)と同じ条件で行っている。図1の差動増幅回路(100、105)は、電源VDD(16V)〜VSS(0V)で動作し、出力増幅回路120により、負荷を電源VDD(16V)付近と電源VML(8V)付近に交流駆動する。
【0166】
図10において、
(A)は、図19の入力スイッチSW41の制御と同様に、図1のスイッチ162のオン・オフを制御する制御信号、
(B)は、図19の出力信号Vout1に対応する図1の出力電圧VO(正極出力電圧波形)、
(C)は、図19の正専用出力段13のPMOSトランジスタMP18に対応する図1の出力増幅回路120のPMOSトランジスタ121のゲート電圧波形、
(D)は、図19の負専用出力段23のNMOSトランジスタMN18に対応する図1の出力増幅回路120のNMOSトランジスタ122のゲート電圧波形である。なお、(B)、(C)、(D)には、図21と同様に、負荷を、(a)1出力期間(2us)毎に交流駆動したときの電圧波形と、(b)3出力期間(6us)毎に交流駆動したときの電圧波形を示している。
【0167】
図10(C)、(D)において、
出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート電圧は、1出力期間(2us)毎に交流駆動した場合(波形(a))、電源VDD(16V)付近への充電動作から電源VML(8V)付近への放電動作に切り替わる時点((C)、(D)の時刻7us、11us、15us)で、電源VML(8V)以下にまで低下しているが、出力期間の開始直後に、スイッチ162が一時的にオンとされ、制御回路160のPMOSトランジスタ161がダイオード接続形態で活性化されることにより、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート電圧は出力安定時の電圧付近まで瞬時に戻っている。
【0168】
図10(B)の出力電圧VOの波形において、特に、充電動作から放電動作に切り替わる時刻7usに注目すると、1出力期間(2us)毎に交流駆動した場合(波形(a))、3出力期間(6us)毎に交流駆動した場合(波形(b))と同様に、出力期間の切替り後の放電動作の立下り波形に、遅延は生じていない。これより、図1の前記第1の実施形態により、出力端子の充電動作から放電動作への切替において、出力信号遅延が回避されることが確認できた。また、図3〜図8の各実施形態(電源VMH(8V)とした負極性出力動作を行う出力回路を含む)においても、同様に出力遅延の回避効果が確認できる。
【0169】
<実施形態3のシミュレーション結果>
図11は、図4に示した前記第3の実施形態の動作を説明する図である。図11には、電源端子電圧VML=VDDとし、ドット反転駆動の出力回路のデータ線負荷近端波形(回路シミュレーション結果)が示されている。なお、図11は、有機発光ダイオード表示装置の駆動における最高階調と最低階調の交流駆動にも対応する。また、駆動条件は、特に制限されるものでないが、VDDを16V、VSSを0V、VML(=VSS)を0Vとしている。データ線負荷は、容量200pF(ピコファラッド)、抵抗10kΩ(キロオーム)としている。出力信号の振幅は、カラム反転駆動(図10)の約2倍となるため、1出力期間は3.5us(マイクロ秒)としている。制御回路160、170の効果を確認するため、図4の制御回路160、170有り(波形(d))、図4の制御回路160、170無し(波形(c))の比較結果を示す。
【0170】
図11において、(A)は図4のスイッチ162、172のオン・オフを制御する制御信号、(B)は図4の出力回路の出力波形(図4の制御回路160、170の有り/無しの出力電圧VO(波形(d)/(c)))、(C)は、図4のPMOSトランジスタ121のゲート電圧波形(図4の制御回路160、170の有り/無しのゲート電圧波形(波形(d)/(c)))、(D)は、図4のNMOSトランジスタ122のゲート電圧波形(図4の制御回路160、170の有り/無しのゲート電圧波形(波形(d)/(c)))である。
【0171】
図4の制御回路160、170が設けられない場合、重負荷、高駆動周波数のドット反転駆動において、出力増幅回路120のPMOSトランジスタ121、NMOSトランジスタ122のゲート電位が1出力期間内に出力安定状態時の電位に戻っていないと、次の出力期間で、出力信号に遅延が発生する(図11の(B)の(c))。
【0172】
例えば、図11の(C)において、出力期間の切替時点である時刻4.5usで出力端子104の充電動作から放電動作に切り替わるが、出力期間の切替時点(時刻4.5us)で、PMOSトランジスタ121のゲート電圧はVSS付近であり、出力安定状態時の電位に戻っていないため(図11の(C)の(c))、出力電圧VOの立下りに遅延が生じている(図11の(B)の波形(c))。
【0173】
また図11の(D)の出力期間の切替時点である時刻8usでは、出力端子104の放電動作から充電動作に切り替わるが、出力期間の切替時点(時刻8us)でNMOSトランジスタ122のゲート電圧が出力安定状態時の電位に戻っていない(波形(c))。このため、図11の(B)の出力電圧VO(波形(c))の立ち上がりに遅延が生じている。すなわち、差動増幅回路(110、105)と出力増幅回路(120)の電源電圧範囲が同じ場合でも、重負荷、高駆動周波数の駆動においては、出力期間の切替りで出力遅延が発生する場合があることが示されている。
【0174】
一方、図4に示した前記第3の実施形態においては、制御回路160、170を有する場合(図11の(B)、(C)、(D)の波形(d))、1出力期間(1H)ごとに出力期間の開始直後にスイッチ162、172が一時的にオンとされ、制御回路160のPMOSトランジスタ161及び制御回路170のNMOSトランジスタ171が活性化されることにより、出力増幅回路120のトランジスタ121、122のゲート電圧は出力安定時の電圧付近まで瞬時に戻される。このため、出力期間が短い場合でも、出力信号遅延は発生しない。例えば、図11の(C)の時刻4.5usでは、出力端子104の充電動作から放電動作に切り替わるが、出力期間の切替時(時刻4.5us)の直後に、PMOSトランジスタ121のゲート電圧が出力安定状態時の電位に戻されるため(波形(d))、図11の(B)の出力電圧VO(波形(d))の立下りに遅延は生じない。また図11の(D)の時刻8usでは、出力端子104の放電動作から充電動作に切り替わるが、出力期間の切替時(時刻8us)の直後にNMOSトランジスタ122のゲート電圧が出力安定状態時の電位に戻されるため(波形(d))、図11の(B)の出力電圧VO(波形(d))の立ち上がりに遅延は生じない。
【0175】
<制御回路の変形例>
図12は、制御回路160の構成例を示す図である。図12(A)は、図1の制御回路160である。ノードN1は、図1のPMOSトランジスタ121のゲートノードである。スイッチ162がオンとされ、PMOSトランジスタ161がダイオード接続となるとき、ゲート・ソース間電圧Vgs=V(N1)−VDDに対応するドレイン電流(電流駆動能力)で、低電位にあるノードN1を、VDD−|Vtp|まで引き上げる。ただし、VtpはPMOSトランジスタ161の閾値電圧である。スイッチ162はトランジスタで構成される。
【0176】
制御回路160は、スイッチ162がオンとされた後、できるだけ短時間でノードN1の電位をVDD−|Vtp|まで引き上げることが望ましい。図12(A)では、PMOSトランジスタ161のソースはVDD電源端子に接続され、ゲートはノードN1に接続され、ドレインがスイッチ162を介してノードN1に接続される。ノードN1の電位を引き上げる電流は、PMOSトランジスタ161のゲート・ソース間電圧に依存する。スイッチ(トランジスタ)162に電流が流れると、トランジスタのオン抵抗によりスイッチの両端に電位差が発生するが、この構成では、ノードN1の電位引き上げ作用に与える影響は小さい。このため、高速にノードN1を電位VDD−|Vtp|まで引き上げることができる。
【0177】
図12(B)の制御回路160_1は、ダイオード接続されたPMOSトランジスタ161のドレイン(ゲート)がスイッチ162を介してノードN1に接続されている。スイッチ162はトランジスタで構成される。制御回路160_1は、制御回路160との置換が可能であるが、スイッチトランジスタ162がオンとされ、スイッチトランジスタ162に電流が流れてスイッチの両端に電位差が生じると、PMOSトランジスタ161のゲート・ソース間電圧(|Vgs|)が低下し、その分、電流駆動能力が落ちるので、ノードN1を電位VDD−|Vtp|まで引き上げる速度は、図12(A)の構成に比べて、多少低下する。ノードN1を電位VDD−|Vtp|まで引き上げる速度の遅れを回避するには、PMOSトランジスタ161のゲート幅Wサイズを増加させる必要がある。
【0178】
図12(C)では、ダイオード接続されたPMOSトランジスタ161のドレインとゲートがノードN1に接続され、ソースがスイッチ162を介してVDD電源端子に接続されている。制御回路160_2は、制御回路160との置換が可能であるが、(B)と同様に、スイッチトランジスタ162がオンとされ、スイッチトランジスタ162に電流が流れてスイッチの両端に電位差が生じると、PMOSトランジスタ161のゲート・ソース間電圧|Vgs|が低下し、その分電流駆動能力が落ちるので、ノードN1を電位VDD−|Vtp|まで引き上げる速度が多少低下する。このため、PMOSトランジスタ161のゲート幅Wサイズを増加させる必要がある。
【0179】
以上から、制御回路160は、図12(A)乃至図12(C)のうち、図12(A)の構成が最も好ましい。なお、前記第2実施形態の御回路170のNMOSトランジスタ171とスイッチ172についても、図12(B)、図12(C)の準じた変形が可能である。制御回路165、175についても同様のことがいえる。
【0180】
<制御回路1の変形例、その2>
図13は、図1の制御回路160のさらに別の例を示す図である。制御回路160_3においては、スイッチ162を構成するPMOSトランジスタ162のゲートに入力される制御信号SXの変化時において、スイッチ(PMOSトランジスタ)162のドレイン・ゲート間の寄生容量の容量性カップリングによる、ノードN1(PMOSトランジスタ121のゲートノード)の変動で、出力信号波形(PMOSトランジスタ121のドレインの信号波形)にノイズが発生することを抑制するため、SXの相補信号SXBをゲートに受け、ドレインとソースがノードN1に接続されたPMOSトランジスタ169(MOSキャパシタ:ノイズキャンセラトランジスタ)を備えている。
【0181】
制御信号SXがHighのとき、スイッチ(PMOSトランジスタ)162はオフし、制御信号SXBはLowとなり、MOSキャパシタ(PMOSトランジスタ169)において、例えば|VGS−V|>VDS=0(VGSはゲート・ソース間電圧、VはPMOSトランジスタ169の閾値、VDSはドレイン・ソース間電圧)の場合、非飽和領域(三極管領域)で動作し、容量は、ゲート・チャネル間容量(並列接続されたゲート・ソース間容量Cgsとゲート・ドレイン間容量Cgd)で規定され、Cgs+Cgdとなる(Cgs=Cgd=εA/(2×tox)から、Cgs+Cgd=εA/toxとなる)。一方、制御信号SXがLowのとき、スイッチ162はオンし、制御回路160_3は活性化し、ノードN1を電源電位VDDから|Vtp|(Vtp:PMOSトランジスタ161の閾値)を差し引いた電圧とする。このとき、制御信号SXBはHighであるため、PMOSトランジスタ169はオフし、チャネルは形成されず(Cgs=Cgd=0)、容量はゲート・基板間容量Cgb(=εA/tox)となる。
【0182】
ノードN1にPMOSトランジスタ169を接続したことにより、スイッチトランジスタ162の容量性カップリング起因のノードN1のノイズが抑制される。特に、出力期間の切替りの前後で出力回路の入力信号が同一であるときの出力波形のノイズを抑制できる。制御回路165、170、175についても同様にノイズキャンセラ素子を備えても良い。
【0183】
<実施形態8>
次に本発明の第8の実施形態を説明する。図14は、本発明の第8の実施形態の構成を示す図である。図14を参照すると、本実施形態の出力回路100Hは、図1の出力回路100Aにおける差動入力段110を、差動入力段110_1で置き換えたものである。差動入力段110_1は、図1の差動入力段110からPch差動対(115、114)と電流源116を削除した構成である。これにより、差動入力段110_1の入力動作電圧範囲が、VSS電源端子電圧からNch差動対(112、111)のNMOSトランジスタ111、112の閾値電圧Vtnの範囲まで狭まり、VSS+Vtn〜VDDとなる。ただし、NMOSトランジスタ111、112の閾値電圧Vtnがほぼゼロ又はデプレッション型(Vtnが負値)のNMOSトランジスタで構成する場合は、この限りではない。
【0184】
差動入力段110_1を備えた出力回路100Hは、図1と同様に、制御回路160を備えることで、重負荷、高駆動周波数の駆動において、出力信号遅延を回避することができる。なお、図16の差動入力段110_1では、Nch差動対(112、111)と電流源113のみの構成を示したが、Pch差動対(115、114)と電流源116のみの構成としてもよい。また、図3〜図8においても、Nch差動対とPch差動対のうち、一方の導電型の差動対のみを備えた構成としてもよい。
【0185】
<実施形態9>
次に本発明の第9の実施形態を説明する。図15は、本発明の第9の実施形態の構成を示す図である。図15を参照すると、本実施形態の出力回路100Iは、図1の出力回路100Aにおける低電圧カスコードカレントミラー構成の第1、第2のカレントミラー130、140をそれぞれ1段構成のカレントミラー130_1、140_1で置き換えたものである。カレントミラー130_1は、VDD電源端子にソースが接続され、ゲートが共通接続されたPMOSトランジスタ131、132で構成される。PMOSトランジスタ131のドレインとゲートは共通接続され、カレントミラー130_1の入力ノード(N2)をなし、PMOSトランジスタ132のドレインはカレントミラー130_1の出力ノード(N1)をなす。カレントミラー140_1は、VSS電源端子にソースが接続され、ゲートが共通接続されたNMOSトランジスタ141、142で構成される。NMOSトランジスタ141のドレインとゲートは共通接続され、カレントミラー140_1の入力ノード(N4)をなし、NMOSトランジスタ142のドレインはカレントミラー140_1の出力ノード(N3)をなす。Nch差動対の出力をなすNMOSトランジスタ111、112のドレインは、ノードN2、N1にそれぞれ接続され、Pch差動対の出力をなすPMOSトランジスタ114、115のドレインは、ノードN4、N3にそれぞれ接続されている。出力回路100Iは、図1と同様に、制御回路160を備えることで、重負荷、高駆動周波数の駆動において、出力信号遅延を回避することができる。図3〜図8においても、低電圧カスコードカレントミラー構成の第1、第2のカレントミラー130、140をそれぞれ1段構成のカレントミラー130_1、140_1で置き換えてもよい。
【0186】
<実施形態10>
次に本発明の第10の実施形態を説明する。図16は、本発明の第8の実施形態をなす表示装置のデータドライバの要部構成を示す図である。このデータドライバは、例えば図17(A)のデータドライバ980に対応している。図16を参照すると、このデータドライバは、シフトレジスタ801と、データレジスタ/ラッチ802と、レベルシフタ群803と、参照電圧発生回路804と、デコーダ回路群805と、出力回路群806と、スイッチ制御信号発生回路807を含んで構成される。
【0187】
出力回路群806の各出力回路は、図1、図3乃至図8、図14、図15を参照して説明した各実施形態の出力回路100A〜100Iを用いることができる。出力数に対応して、出力回路を複数個備えている。スイッチ制御信号発生回路807は、スイッチ162、172、又は173、あるいは、スイッチSW31、SW33、SW41、SW43、SW51、SW53、SW57、SW55、SW61、SW63、スイッチSW32、SW34、SW42、SW44、SW52、SW54、SW56、SW58、SW62、SW64のオン、オフを制御する信号を生成する。
【0188】
シフトレジスタ801は、スタートパルスとクロック信号CLKに基づき、データラッチのタイミングを決定する。データレジスタ/ラッチ802は、シフトレジスタ801で決定されたタイミングに基づいて、入力された映像デジタルデータを各出力単位のデジタルデータ信号に展開し、所定の出力数毎ラッチし、制御信号に応じて、レベルシフタ回路群803に出力する。レベルシフタ群803は、データレジスタ/ラッチ802から出力される各出力単位のデジタルデータ信号を低振幅信号から高振幅信号にレベル変換して、デコーダ回路群805に出力する。デコーダ回路群805は、各出力毎に、参照電圧発生回路804で生成された参照電圧群から、入力されたデジタルデータ信号に応じた参照電圧を選択する。出力回路群806は、各出力毎に、デコーダ回路群805の対応するデコーダで選択された一つ又は複数の参照電圧を入力し、該入力した参照電圧に対応した階調信号を増幅出力する。出力回路群806の出力端子群は表示装置のデータ線に接続されている。シフトレジスタ801及びデータレジスタ/ラッチ802はロジック回路で、一般に低電圧(例えば0V〜3.3V)で構成され、対応する電源電圧が供給されている。レベルシフタ群803、デコーダ回路群805及び出力回路群806は、一般に表示素子を駆動するのに必要な高電圧(例えば0V〜18V)で構成され、対応する電源電圧が供給されている。なお、液晶表示装置を駆動するデータドライバには、極性反転信号が更に入力され、出力回路群806は極性反転信号に応じて正極性又は負極性の階調電圧信号が出力される。また、有機発光ダイオード表示装置を駆動するデータドライバには、極性反転信号は必要なく、出力回路群806から階調電圧信号が出力される。
【0189】
図1、図3乃至図8、図14、図15を参照して説明した各実施形態の出力回路100A〜100Iは、出力回路の出力端子に接続するデータ線の駆動における出力期間の切替り後の出力遅延を抑制しており、表示装置のデータドライバの出力回路群806の各出力回路として好適な構成とされている。すなわち、本実施形態によれば、出力遅延がなく高速駆動が可能なデータドライバ、表示特性に優れた高品質の表示装置を実現可能としている。
【0190】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0191】
3、4、5、6 スイッチ回路
11、21 出力端子
12、22 入力端子
13 正専用出力段
14、24 入力差動段回路
15、16、17、18 電源端子
23 負専用出力段
31 奇数端子
32 偶数端子
41、42 端子
51〜54 入力段出力端子
61〜64 出力段入力端子
100A〜100I 出力回路
101 入力端子
102 第1の入力
103 第2の入力
104 出力端子
105、105_1 中間段
110、110_1 差動入力段(入力差動段)
111、112 NMOSトランジスタ
113、116 定電流源
114、115 PMOSトランジスタ
120 出力増幅回路
121 PMOSトランジスタ
122 NMOSトランジスタ
131〜134 NMOSトランジスタ
130、130_1 第1のカレントミラー
140、140_1 第2のカレントミラー
131〜134 PMOSトランジスタ
141〜144 NMOSトランジスタ
150L 第1の連絡回路
150R 第2の連絡回路
151 電流源
152 PMOSトランジスタ
153 NMOSトランジスタ
160、160A、165、170、170A、175 制御回路
161、163 PMOSトランジスタ
162、164 スイッチ
162A、162B PMOSスイッチトランジスタ
169 ノイズキャンセラトランジスタ
171、173 NMOSトランジスタ
172、174 スイッチ
172A、172B NMOSスイッチトランジスタ
801 シフトレジスタ
802 データレジスタ/ラッチ
803 レベルシフタ群
804 参照電圧発生回路
805 デコーダ回路群
806 出力回路群
807 スイッチ制御信号発生回路
940 電源回路
950 表示コントローラー
960 表示パネル
961 走査線
962 データ線
963 表示素子
964 画素スイッチ
970 ゲートドライバ
971 液晶容量
972 補助容量
973 画素電極
974 対向基板電極
980 データドライバ
981 薄膜トランジスタ
982 有機発光ダイオード
983、補助容量
984、985 電源端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動増幅回路と、出力増幅回路と、第1の制御回路と、入力端子と、出力端子と、第1乃至第3の電源電圧がそれぞれ供給される第1乃至第3の電源端子と、を備え、前記第3の電源電圧は、前記第1の電源電圧と前記第2の電源電圧の間の電圧、又は前記第2の電源電圧とされ、
前記差動増幅回路は、
前記入力端子の入力信号と前記出力端子の出力信号が第1入力と第2入力にそれぞれ入力される差動入力対を有する差動入力段と、
前記第1及び第2の電源端子にそれぞれ接続された第1及び第2導電型のトランジスタ対をそれぞれ含む第1及び第2のカレントミラーと、
を備え、前記第1及び第2のカレントミラーの少なくとも一方が前記差動入力段の出力電流を受け、
前記第1のカレントミラーの入力と前記第2のカレントミラーの入力間を連絡する第1の連絡回路と、
前記第1のカレントミラーの出力と前記第2のカレントミラーの出力間を連絡する第2の連絡回路と、
を備え、
前記出力増幅回路は、
前記第1の電源端子と前記出力端子との間に接続され、制御端子が前記第1のカレントミラーの出力ノードと前記第2の連絡回路の一端との接続点に接続された第1導電型の第1のトランジスタと、
前記出力端子と前記第3の電源端子との間に接続され、制御端子が前記第2の連絡回路の他端に接続された第2導電型の第2のトランジスタと、
を備え、
前記第1の制御回路は、
前記第1の電源端子と前記出力増幅回路の前記第1のトランジスタの制御端子との間に直列に接続された、第3のトランジスタと、第1のスイッチと、を備え、
前記第1のスイッチは、前記入力信号に応じた出力信号が前記出力端子から出力される出力期間の開始から予め定められた所定期間オンとされ、前記出力期間の残りの期間オフとされ、
前記第1のスイッチがオンとされる前記所定期間では、前記第1のトランジスタの制御端子は、制御端子と第1端子とが接続されたダイオード接続形態の前記第3のトランジスタを介して、前記第1の電源端子と通電し、
前記第1のスイッチがオフとされる前記出力期間の残りの期間では、前記第1の電源端子と前記第1のトランジスタの制御端子間の前記第3のトランジスタの電流パスが切断される、出力回路。
【請求項2】
前記第1の制御回路において、前記第3のトランジスタが第1導電型とされ、前記第1のスイッチがオンとされる前記所定期間では、前記第3のトランジスタの第1端子と制御端子は、前記第1のトランジスタの制御端子に接続され、前記第3のトランジスタの第2端子は、前記第1の電源端子に接続される、請求項1記載の出力回路。
【請求項3】
前記第3の電源端子と前記出力増幅回路の前記第2のトランジスタの制御端子との間に直列に接続された、第4のトランジスタと、第2のスイッチと、を備えた第2の制御回路をさらに備え、
前記第2のスイッチは出力期間の開始から予め定められた前記所定期間オンとされ、前記出力期間の残りの期間オフとされ、
前記第2のスイッチがオンとされる前記所定期間では、前記第2のトランジスタの制御端子は、制御端子と第1端子が接続されたダイオード接続形態の前記第4のトランジスタを介して前記第3の電源端子と通電し、
前記第2のスイッチがオフとされる前記出力期間の残りの期間では、前記第3の電源端子と前記第2のトランジスタの制御端子間の前記第4のトランジスタの電流パスが切断される、請求項1又は2に記載の出力回路。
【請求項4】
前記第2の制御回路において、前記第4のトランジスタは第2導電型とされ、前記第2のスイッチがオンとされる前記所定期間では、前記第4のトランジスタの第1端子と制御端子は前記第2のトランジスタの制御端子に接続され、前記第4のトランジスタの第2端子は前記第3の電源端子に接続される、請求項3記載の出力回路。
【請求項5】
前記第2の制御回路において、前記第4のトランジスタは第1導電型とされ、前記第2のスイッチがオンとされる前記所定期間では、前記第4のトランジスタの第2端子は前記第2のトランジスタの制御端子に接続され、前記第4のトランジスタの第1端子と制御端子は前記第3の電源端子に共通接続される、請求項3記載の出力回路。
【請求項6】
前記差動入力段が、
前記第2の電源端子に一端が接続された第1の電流源と、
共通接続された第2端子が前記第1の電流源の他端に接続され、制御端子が前記入力端子と前記出力端子にそれぞれ接続され、第1端子が前記第1のカレントミラーの前記第1導電型のトランジスタ対にそれぞれ接続された第2導電型の差動トランジスタ対と、
前記第1の電源端子に一端が接続された第2の電流源と、
共通接続された第2端子が前記第2の電流源の他端に接続され、制御端子が前記入力端子と前記出力端子にそれぞれ接続され、第1端子が前記第2のカレントミラーの前記第2導電型のトランジスタ対にそれぞれ接続される第1導電型の差動トランジスタ対と、
を備えた請求項1乃至5のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項7】
前記第1のカレントミラーは、第2端子が前記第1の電源端子に共通に接続され、制御端子同士が接続された前記第1導電型の第1のトランジスタ対と、
第2端子が前記第1導電型の第1のトランジスタ対の第1端子にそれぞれ接続され、共通接続された制御端子に第2のバイアス電圧が印加される前記第1導電型の第2のトランジスタ対と、
を備え、前記第1導電型の第2のトランジスタ対の一方のトランジスタの第1端子は、前記第1導電型の第1のトランジスタ対の共通接続された制御端子に接続され前記第1のカレントミラーの入力ノードをなし、他方のトランジスタの第1端子が前記第1のカレントミラーの出力ノードをなし、前記第2導電型の前記差動トランジスタ対の第1端子が前記第1のカレントミラーの前記第1導電型の前記第1のトランジスタ対の第1端子にそれぞれ接続され、
前記第2のカレントミラーは、第2端子が前記第2の電源端子に共通に接続され、制御端子同士が接続された前記第2導電型の第1のトランジスタ対と、
第2端子が前記第2導電型の第1のトランジスタ対の第1端子にそれぞれ接続され、共通接続された制御端子に第3のバイアス電圧が印加される前記第2導電型の第2のトランジスタ対と、
を備え、前記第2導電型の第2のトランジスタ対の一方のトランジスタの第1端子は、前記第2導電型の前記第1のトランジスタ対の共通接続された制御端子に接続され前記第2のカレントミラーの入力ノードをなし、他方のトランジスタの第1端子が前記第2のカレントミラーの出力ノードをなし、前記第1導電型の前記差動トランジスタ対の第1端子が前記第2のカレントミラーの前記第2導電型の前記第1のトランジスタ対の第1端子にそれぞれ接続される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項8】
前記第1の連絡回路が、電流源を備え、
前記第2の連絡回路が、前記第2の連絡回路の一端と他端間に並列に接続され、ゲートにそれぞれ第4、第5のバイアス電圧を受ける第1及び第2導電型のトランジスタを備えている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項9】
前記第1の制御回路において、前記第1導電型の第3のトランジスタは、第2端子が前記第1の電源端子に接続され、第1端子が前記第1のスイッチの一端に接続され、制御端子が、前記第1のスイッチの他端と共通に前記出力増幅回路の前記第1のトランジスタの制御端子に接続される、請求項1又は2記載の出力回路。
【請求項10】
前記第1の制御回路において、前記第1のスイッチは、前記第3のトランジスタと前記出力増幅回路の前記第1のトランジスタの制御端子との間に接続され、制御端子に第1の制御信号が入力される第1のスイッチトランジスタで構成され、
前記出力増幅回路の前記第1のトランジスタと前記第1のスイッチトランジスタとの接続点に第1端子と第2端子が共通接続され制御端子に前記第1の制御信号と逆相の信号が入力される第1のノイズキャンセルトランジスタを備えた請求項1、2、9のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項11】
前記第2の制御回路において、前記第4のトランジスタは、第2端子が前記第3の電源端子に接続され、第1端子が前記第2のスイッチの一端に接続され、制御端子が、前記第2のスイッチの他端と共通に前記出力増幅回路の前記第2のトランジスタの制御端子に接続される、請求項3又は4記載の出力回路。
【請求項12】
前記第2の制御回路において、前記第2のスイッチは、前記第4のトランジスタと前記出力増幅回路の前記第2のトランジスタの制御端子との間に接続され、制御端子に第2の制御信号が入力される第2のスイッチトランジスタで構成され、
前記出力増幅回路の前記第2のトランジスタと前記第2のスイッチトランジスタとの接続点に第1端子と第2端子が共通接続され制御端子に前記第2の制御信号と逆相の信号が入力される第2のノイズキャンセルトランジスタを備えた請求項3、4、11のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の前記出力回路における、前記第1、第2導電型をそれぞれP型、N型とし、第1乃至第3の電源電圧をそれぞれ高電位電源電圧、低電位電源電圧、第1中間電源電圧とした正極出力回路と、
前記出力回路における、前記第1、第2導電型をそれぞれN型、P型とし、第1乃至第3の電源電圧をそれぞれ前記低電位電源電圧、前記高電位電源電圧、第2中間電源電圧とした負極出力回路と、
を備えた出力回路。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の前記出力回路における、前記第1、第2導電型をそれぞれP型、N型とし、第1乃至第3の電源電圧をそれぞれ高電位電源電圧、低電位電源電圧、第1中間電源電圧とした正極出力回路と、
前記出力回路における、前記第1、第2導電型をそれぞれN型、P型とし、第1乃至第3の電源電圧をそれぞれ前記低電位電源電圧、前記高電位電源電圧、第2中間電源電圧とした負極出力回路と、
を備え、
第1、第2のアナログ信号をそれぞれ受ける第1、第2の端子と、前記正極及び負極出力回路の前記入力端子とのストレート接続又は交差接続の切替を行う第1の切替回路と、
前記正極及び負極出力回路の前記第1及び第2のカレントミラーの出力側ノードと、前記正極及び負極出力回路の前記第2の連絡回路とのストレート接続又は交差接続の切替を行う第2の切替回路と、
前記正極及び負極出力回路の前記出力端子と、前記正極及び負極出力回路の前記差動入力対の前記第2入力とのストレート接続又は交差接続の切替を行う第3の切替回路と、
前記正極及び負極出力回路の前記出力端子と、第1及び第2のデータ線とのストレート接続又は交差接続の切替を行う第4の切替回路と、
を備え、
前記正極出力回路の前記第1の制御回路は、高電位電源の電源端子と前記出力増幅回路の前記第1のトランジスタの制御端子との間に接続され、
前記負極出力回路の前記第1の制御回路は、低電位電源と電源端子との前記出力増幅回路の前記第1のトランジスタの制御端子との間に接続される、出力回路。
【請求項15】
前記正極出力回路の前記第1の制御回路の前記第1のスイッチが、第1、第2の制御信号を制御端子に受ける2段縦積みされた第1導電型のトランジスタを含み、
前記負極出力回路の前記第1の制御回路の前記第1のスイッチが、第3、第4の制御信号を制御端子に受ける2段縦積みされた第2導電型のトランジスタを含み、
前記第1、第2、第3、第4の制御信号は、前記第1の切替回路内のスイッチの切替を行う制御信号をそれぞれ共通に用いる、又は、前記第4の切替回路内のスイッチの切替を行う制御信号をそれぞれ共通に用いる、請求項14記載の出力回路。
【請求項16】
映像デジタルデータをデコードし対応する参照信号を生成するデコーダ回路群と、
デコーダ回路群の出力信号を受ける出力回路群であって、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の出力回路を複数備えた出力回路群と、
を備えたデータドライバ。
【請求項17】
前記出力回路群の各出力回路の前記制御回路のスイッチのオン、オフを制御する信号を生成するスイッチ信号生成回路を備えた請求項16記載のデータドライバ。
【請求項18】
請求項16又は17記載のデータドライバと、
走査線を駆動するゲートドライバと、
前記データドライバで駆動されるデータ線と前記ゲートドライバで駆動される走査線の交差部に配置される画素群を備えた表示パネルと、
を備えた表示装置。
【請求項19】
前記画素が液晶素子又は有機EL素子を含む、請求項18記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−114628(P2012−114628A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261082(P2010−261082)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】