説明

前方道路情報送出システム

【課題】 システムが実際に走行制御や警報動作を行わせる実働領域を広げる。
【解決手段】 前方道路情報送出システム1は、自車両の進行方向に分岐点や交差点が存在し、それら分岐点や交差点から先の複数の進行候補道路に対応して複数の前方道路情報を作成した場合であっても、それら作成された複数の前方道路情報が類似しているか否かを判定し、類似している旨を検出すると、複数の前方道路情報のいずれかを走行制御装置8〜11や警報装置12へ送出して走行制御動作や警報動作を行わせる。分岐点や交差点の付近から先の道路に対する走行制御動作や警報動作を行わせることができ、システムが実際に走行制御動作や警報動作を行わせる実働領域を広げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の現在位置と道路地図データとをマップマッチングして自車両が上線していると推定される道路を上線推定道路として算出し、その算出された上線推定道路に関して自車両の進行方向の情報を前方道路情報として作成し、その作成された前方道路情報を走行制御装置や警報装置へ送出して走行制御装置に走行制御動作を行わせたり警報装置に警報動作を行わせたりする前方道路情報送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の現在位置と道路地図データとをマップマッチングして自車両が上線していると推定される道路を上線推定道路として算出し、その算出された上線推定道路に関して自車両の進行方向の情報(例えばカーブの曲率や道路勾配などの道路形状情報及び料金所やインターチェンジやトンネルの有無などの付帯物情報など)を前方道路情報として作成し、その作成された前方道路情報を走行制御装置や警報装置へ送出して走行制御装置に走行制御動作を行わせたり警報装置に警報動作を行わせたりするものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−194896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、自車両の進行方向に分岐点や交差点が存在する場合には、それら分岐点や交差点から先の複数の進行候補道路に対応して複数の前方道路情報を作成することになるが、上記した特許文献1に記載されているものでは、自車両の進路を複数の進行候補道路のうちから特定することが不可能であると、前方道路情報を走行制御装置や警報装置へ送出しない構成となっている。
【0004】
しかしながら、これでは、分岐点や交差点の付近から先の道路に対する走行制御動作や警報動作を行わせることが困難であり、システムが実際に走行制御動作や警報動作を行わせる実働領域を狭めてしまうことになり、システムの機能(パフォーマンス)を十分に発揮させることが困難であり、利便性に劣るという問題がある。また、自車両の進行方向に分岐点や交差点が存在する場合に限らず、自車両の現在位置と道路地図データとをマップマッチングする精度が高くなく、複数の上線推定道路を算出した場合にも、複数の上線推定道路に対応して複数の前方道路情報を作成することになるので、上記したような問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、システムが実際に走行制御や警報動作を行わせる実働領域を広げることができ、システムの機能を十分に発揮させることができ、利便性を高めることができる前方道路情報送出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、上線推定道路算出手段は、現在位置特定手段により特定された自車両の現在位置と道路地図データ記憶手段に記憶されている道路地図データとをマップマッチングして自車両が上線していると推定される上線推定道路を算出し、前方道路情報作成手段は、上線推定道路算出手段により算出された上線推定道路に関して自車両の進行方向の情報を道路地図データ記憶手段に記憶されている道路地図データに基づいて前方道路情報として作成する。そして、制御手段は、前方道路情報作成手段により作成された前方道路情報を走行制御装置や警報装置へ送出して走行制御装置に走行制御動作を行わせたり警報装置に警報動作を行わせたりする。ここで、制御手段は、前方道路情報作成手段により複数の前方道路情報が作成されると、それら作成された複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たすか否かを判定し、複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たす旨を検出すると、複数の前方道路情報を1つの前方道路情報として走行制御装置や警報装置へ送出する。
【0007】
したがって、自車両の進行方向に分岐点や交差点が存在し、それら分岐点や交差点から先の複数の進行候補道路に対応して複数の前方道路情報を作成した場合であっても、それら作成された複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たすと、つまり、複数の前方道路情報の内容が類似していると、複数の前方道路情報を1つの前方道路情報として走行制御装置や警報装置へ送出して走行制御動作や警報動作を行わせることになるので、分岐点や交差点の付近から先の道路に対する走行制御動作や警報動作を適切に行わせることができる。これにより、システムが実際に走行制御動作や警報動作を行わせる実働領域を広げることができ、システムの機能を十分に発揮させることができ、利便性を高めることができる。尚、この場合、複数の前方道路情報を1つの前方道路情報として走行制御装置や警報装置へ送出する方法としては、複数の前方道路情報のいずれかを送出する方法、または、複数の前方道路情報を平均化して送出する方法などがある。
【0008】
また、自車両の現在位置と道路地図データとをマップマッチングする精度が高くなく、複数の上線推定道路に対応して複数の前方道路情報を作成した場合であっても、それら作成された複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たすと、複数の前方道路情報を1つの前方道路情報として走行制御装置や警報装置へ送出して走行制御動作や警報動作を行わせることになるので、これ以後でも走行制御動作や警報動作を適切に行わせることができ、システムが実際に走行制御動作や警報動作を行わせる実働領域を広げることができ、システムの機能を十分に発揮させることができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、複数の前方道路情報の類似度を考慮して前方道路情報の確からしさの度合いを表す確からしさ情報を算出し、複数の前方道路情報を1つの前方道路情報として走行制御装置や警報装置へ送出すると共に、確からしさ情報をも走行制御装置や警報装置へ送出する。これにより、送出する前方道路情報の確からしさを走行制御装置や警報装置へ通知することができ、個々の走行制御装置や警報装置において確からしさを考慮して走行制御動作や警報動作を行うか否かを判断することができる。尚、ここでいう確からしさとは、例えば推測航法の精度やマップマッチングする精度や、GPS電波を利用して現在位置を特定する場合にはGPS衛星の観測数などから決定される指標などの現在位置を特定するための精度も考慮に入れたものである。
【0010】
請求項3に記載した発明によれば、制御手段は、複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たすか否かの判定として、カーブの曲率の差や交差点での交差角度の差が閾値未満であるか否かを判定する。これにより、複数の進行候補道路や複数の上線推定道路のカーブの曲率の差や交差点での交差角度の差が閾値未満であると、つまり、カーブの形状や交差点の形状が進行方向から見て略左右対称であるような場合や近接して同じ方向へカーブするような場合には、複数の前方道路情報を1つの前方道路情報として走行制御装置や警報装置へ送出して走行制御動作や警報動作を行わせることになり、システムが実際に走行制御動作や警報動作を行わせる実働領域を広げてシステムの機能を十分に発揮させることができる。
【0011】
請求項4に記載した発明によれば、制御手段は、複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たさない旨を検出すると、複数の前方道路情報のいずれをも走行制御装置や警報装置へ送出しない。これにより、複数の進行候補道路や複数の上線推定道路に対応して複数の前方道路情報を作成した場合に、それら作成された複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たさないと、つまり、複数の前方道路情報の内容が類似していないと、複数の前方道路情報のいずれをも送出しないことになり、不適切な走行制御動作や警報動作を行ってしまうことを未然に回避することができる。
【0012】
請求項5に記載した発明によれば、制御手段は、複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たさない旨を検出すると、複数の前方道路情報の全てを走行制御装置や警報装置へ送出する。これにより、複数の進行候補道路や複数の上線推定道路に対応して複数の前方道路情報を作成した場合に、それら作成された複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たさないと、つまり、複数の前方道路情報の内容が類似していないと、複数の前方道路情報の全てを送出することになり、複数の前方道路情報の全てを走行制御装置や警報装置へ通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、前方道路情報送出システムの全体構成を機能ブロック図として示している。車両に搭載されている前方道路情報送出システム1は、GPS受信機2、現在位置特定装置3(本発明でいう現在位置特定手段)、道路地図データベース4(本発明でいう道路地図データ記憶手段)、上線推定道路算出装置5(本発明でいう上線推定道路算出手段)、前方道路情報作成装置6(本発明でいう前方道路情報作成手段)及び制御装置7(本発明でいう制御手段)を備えて構成されている。
【0014】
GPS受信機2は、GPS衛星から送信されたGPS電波が受信されると、その受信されたGPS電波からパラメータを抽出して現在位置特定装置3へ出力する。現在位置特定装置3は、GPS受信機2からパラメータが入力されると、その入力されたパラメータを演算して自車両の現在位置を特定して上線推定道路算出装置5へ出力する。
【0015】
道路地図データベース4は、地図道路データを記憶している。この場合、地図道路データは、配信センターからダウンロードされたものであっても良いし、例えばDVDやメモリカードなどの記録媒体に記録されているものであっても良い。上線推定道路算出装置5は、現在位置特定装置3から自車両の現在位置が入力されると、道路地図データベース4に記憶されている道路地図データから自車両の現在位置に対応する箇所を読出し、自車両の現在位置と道路地図データとをマップマッチングして自車両が上線していると推定される道路を上線推定道路として算出して前方道路情報作成装置6へ出力する。
【0016】
前方道路情報作成装置6は、上線推定道路算出装置5から上線推定道路が入力されると、道路地図データベース4に記憶されている道路地図データから上線推定道路に関して自車両の進行方向の情報を読出して前方道路情報を作成する。この場合、前方道路情報とは、例えばカーブの曲率や道路勾配などの道路形状情報及び料金所やインターチェンジやトンネルの有無などの付帯物情報などである。
【0017】
制御装置7は、アクセル制御を行うアクセル制御装置8、ブレーキ制御を行うブレーキ制御装置9、ステアリング制御を行うステアリング制御装置10、シフト制御を行うシフト制御装置11及び警報動作を行う警報装置12に車載LAN(図示せず)を介して接続されており、前方道路情報を各装置8〜12へ送出することにより、これら各装置8〜12に走行制御動作や警報動作を行わせる。
【0018】
尚、上記した構成では、GPS受信機2、現在位置特定装置3、道路地図データベース4、上線推定道路算出装置5及び前方道路情報作成装置6は、カーナビゲーション装置の機能により実現される構成であっても良い。また、本実施形態では、現在位置特定装置3がGPS電波を利用して自車両の現在位置を特定する場合を説明しているが、ジャイロスコープや距離センサなどをも併用し、それらの検出結果を相互補完して自車両の現在位置を特定する構成であっても良い。
【0019】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図5をも参照して説明する。ここで、図2は、前方道路情報送出システム1の全体が行う処理をフローチャートとして示している。
【0020】
最初に、前方道路情報送出システム1は、初期処理として各装置2〜7を起動させる(ステップS1)。次いで、前方道路情報送出システム1は、自車両の現在位置を現在位置特定装置3により特定し(ステップS2)、その特定された自車両の現在位置と道路地図データベース4に記憶されている道路地図データとをマップマッチングして自車両が上線していると推定される上線推定道路を上線推定道路算出装置5により算出する(ステップS3)。
【0021】
次いで、前方道路情報送出システム1は、上線推定道路を少なくとも1本以上算出することに成功したか否かを判定し(ステップS4)、上線推定道路を少なくとも1本以上算出することに成功した旨を検出すると(ステップS4にて「YES」)、その上線推定道路が複数本であるか否かを判定する(ステップS5)。そして、前方道路情報送出システム1は、自車両の上線推定道路が1本である旨を検出すると(ステップS5にて「NO」)、その1本の上線推定道路に関して自車両の進行方向の情報を前方道路情報として前方道路情報作成装置6により作成する(ステップS6)。
【0022】
さて、ここで、上線推定道路に分岐点や交差点が存在すると仮定する。前方道路情報送出システム1は、上線推定道路に分岐点や交差点が存在すると、それら分岐点や交差点から先の複数の進行候補道路に対応して複数の前方道路情報を前方道路情報作成装置6により作成することになるので、前方道路情報が複数である旨を検出すると(ステップS7にて「YES」)、それら複数の前方道路情報が類似しているか否か(本発明でいう類似度が所定条件を満たしているか否か)を制御装置7により判定する(ステップS8)。
【0023】
この場合、制御装置7は、以下のようにして複数の前方道路情報が類似しているか否かを判定する。すなわち、制御装置7は、図3に示すように上線推定道路に分岐点が存在する場合であれば、例えば分岐点から先の2本の進行候補道路について所定区間のカーブの曲率を算出し、それらカーブの曲率が略同等であるか否か(カーブの曲率の差が閾値未満であるか否か)を判定することにより、それら2本の進行候補道路に対応する2つの前方道路情報が類似しているか否かを判定する。また、制御装置7は、図4に示すように自車両の上線推定道路に交差点が存在する場合であれば、例えば交差点から先の2本の進行候補道路の交差角度が略同等であるか否か(交差点の交差角度の差が閾値未満であるか否か)を判定することにより、それら2本の進行候補道路に対応する2つの前方道路情報が類似しているか否かを判定する。
【0024】
そして、制御装置7は、図3(a)に示すように分岐点から先の2本の進行候補道路のカーブの曲率が略同等である(カーブの曲率の差が閾値未満である)場合や、図4(a)に示すように交差点から先の2本の進行候補道路の交差角度が略同等である(交差点の交差角度の差が閾値未満である)場合には、それら2本の進行候補道路に対応する2つの前方道路情報が類似している旨を検出し(ステップS8にて「YES」)、2つの前方道路情報のいずれかを走行制御装置8〜11や警報装置12へ送出し(ステップS9)、上記したステップS2へ戻る。
【0025】
これを受けて、走行制御装置8〜11や警報装置12は、制御装置7から前方道路情報が入力されると、その入力された前方道路情報の内容に応じて走行制御動作や警報動作を行う。つまり、本実施形態では、自車両が分岐点や交差点に接近することに応じて、例えばブレーキ制御装置9がブレーキ制御(減速制御)を行ったり、警報装置12が分岐点に接近中であることを運転手に知らせるための警報メッセージの音声出力を行ったりする。
【0026】
これに対して、制御装置7は、図3(b)に示すように分岐点から先の2本の進行候補道路のカーブの曲率が同等でない(カーブの曲率の差が閾値以上である)場合や、図4(b)に示すように交差点から先の2本の進行候補道路の交差角度が同等でない(交差点の交差角度の差が閾値以上である)場合には、それら2本の進行候補道路に対応する2つの前方道路情報が類似していない旨を検出し(ステップS8にて「NO」)、2つの前方道路情報のうちのいずれをも走行制御装置8〜11や警報装置12へ送出することなく、上記したステップS2へ戻る。この場合、走行制御装置8〜11や警報装置12は、走行制御動作や警報動作を行うことはない。
【0027】
また、前方道路情報送出システム1は、自車両の上線推定道路に分岐点や交差点が存在することがなく、前方道路情報が1つである旨を検出すると(ステップS7にて「NO」)、前方道路情報を走行制御装置8〜11や警報装置12へ送出し(ステップS10)、上記したステップS2へ戻る。この場合、走行制御装置8〜11や警報装置12は、制御装置7から前方道路情報が入力されると、その入力された前方道路情報の内容に応じて走行制御動作や警報動作を行う。
【0028】
また、前方道路情報送出システム1は、例えば自車両の現在位置と道路地図データとをマップマッチングする精度が高くないことが原因となって上線推定道路が複数本である旨を検出すると(ステップS5にて「YES」)、それら複数本の上線推定道路に関して自車両の進行方向の情報を複数の前方道路情報として前方道路情報作成装置6により作成し(ステップS11)、この場合も、それら複数の前方道路情報が類似しているか否かを制御装置7により判定する(ステップS12)。
【0029】
すなわち、制御装置7は、図5(a)に示すように自車両の2本の上線推定道路のカーブの曲率が略同等である(カーブの曲率の差が閾値未満である)場合には、それら2本の上線推定道路に対応する2つの前方道路情報が類似している旨を検出し(ステップS12にて「YES」)、この場合も、2つの前方道路情報のいずれかを走行制御装置8〜11や警報装置12へ送出し(ステップS9)、上記したステップS2へ戻る。この場合、走行制御装置8〜11や警報装置12は、制御装置7から前方道路情報が入力されると、その入力された前方道路情報の内容に応じて走行制御動作や警報動作を行う。
【0030】
これに対して、制御装置7は、図5(b)に示すように自車両の2本の上線推定道路のカーブの曲率が略同等でない(カーブの曲率の差が閾値以上である)場合には、それら2本の上線推定道路に対応する2つの前方道路情報が類似していない旨を検出し(ステップS12にて「NO」)、2つの前方道路情報のうちのいずれをも走行制御装置8〜11や警報装置12へ送出することなく、上記したステップS2へ戻る。この場合、走行制御装置8〜11や警報装置12は、走行制御動作や警報動作を行うことはない。
【0031】
ところで、このように複数の前方道路情報が類似していることに応じて走行制御動作を行う場合には、その時点での自車両や道路の状況に応じて、上記したアクセル制御、ブレーキ制御、ステアリング制御及びシフト制御のうち必要なものを選択して行えば良い。すなわち、上記した図3及び図4に示した例では、分岐点や交差点から先ではカーブの曲がり方向が異なるので、分岐点や交差点へ到達するまではブレーキ制御を行うものの、その先からのステアリング制御(旋回制御)を行わないものであるが、これに対して、上記した図5に示した例では、カーブの曲がり方向が略同等であるので、ブレーキ制御を行うと共にステアリング制御をも行うことになる。尚、図3〜図5は、あくまでも道路形状を概略的に示すものであり、自車両と当該自車両から分岐点や交差点やカーブの進入地点まで距離との縮尺の比率は必ずしも一致していない。
【0032】
以上に説明したように本実施形態によれば、前方道路情報送出システム1において、自車両の進行方向に分岐点や交差点が存在し、それら分岐点や交差点から先の複数の進行候補道路に対応して複数の前方道路情報を作成した場合であっても、それら作成された複数の前方道路情報が類似していると、複数の前方道路情報のいずれかを走行制御装置8〜11や警報装置12へ送出して走行制御動作や警報動作を行わせるように構成したので、分岐点や交差点の付近から先の道路に対する走行制御動作や警報動作を行わせることができ、これにより、システムが実際に走行制御動作や警報動作を行わせる実働領域を広げることができ、システムの機能を十分に発揮させることができ、利便性を高めることができる。
【0033】
また、自車両の現在位置と道路地図データとをマップマッチングする精度が高くなく、複数の上線推定道路に対応して複数の前方道路情報を作成した場合であっても、それら作成された複数の前方道路情報が類似していると、複数の前方道路情報のいずれかを走行制御装置8〜11や警報装置12へ送出して走行制御動作や警報動作を行わせることになるので、この場合も、走行制御動作や警報動作を行わせることができ、システムが実際に走行制御動作や警報動作を行わせる実働領域を広げることができ、システムの機能を十分に発揮させることができる。
【0034】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、未満のように変形または拡張することができる。
システム全体の機能ブロックは、他の構成により実現されていても良い。
複数の前方道路情報が類似している旨を検出した場合に、複数の前方道路情報のいずれかを走行制御装置や警報装置へ送出する構成に限らず、複数の前方道路情報を平均化して走行制御装置や警報装置へ送出する構成であっても良い。
複数の前方道路情報が類似していない旨を検出した場合に、複数の前方道路情報のいずれをも走行制御装置や警報装置へ送出しない構成に限らず、複数の前方道路情報の全てを走行制御装置や警報装置へ送出する構成であっても良い。
【0035】
走行制御として、アクセル制御、ブレーキ制御、ステアリング制御及びシフト制御を行う構成に限らず、それらいずれかを選択して行う構成であっても良いし、また、ライトの点灯制御やウインドウの開閉制御などを行う構成であっても良い。前方道路情報が類似しているか否かを判定する場合に、車速や車両重量に応じて閾値を変更する構成であっても良い。
走行制御動作や警報動作のいずれか一方のみを行う構成であっても良い。
複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たすか否かの判定として、カーブの曲率の差や交差点での交差角度の差が閾値未満であるか否かを判定する構成に限らず、道路勾配の差や、料金所やインターチェンジやトンネルの有無などの付帯物情報を判定する構成であっても良い。カーブの曲率が略同等であるか否かの判断は、進行方向から見て略左右対称にカーブする場合、近接して同じ方向へカーブする場合、または、そのどちらをも含む場合のいずれの条件で行っても良い。
【0036】
複数の前方道路情報の類似度を考慮し前方道路情報の確からしさの度合いを表す確からしさ情報を算出し、複数の前方道路情報のいずれかを走行制御装置や警報装置へ送出すると共に、確からしさ情報をも走行制御装置や警報装置へ送出する構成であっても良く、このように構成すれば、送出する前方道路情報の確からしさを走行制御装置や警報装置へ通知することができ、個々の走行制御装置や警報装置において確からしさをも考慮して走行制御動作や警報動作を行わせることができる。尚、ここでいう確からしさとは、例えば推測航法の精度やマップマッチングする精度や、GPS電波を利用して現在位置を特定する場合にはGPS衛星の観測数などから決定される指標などの現在位置を特定するための精度も考慮に入れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【図3】前方道路情報が類似する場合と類似しない場合との例を示す図
【図4】図3相当図
【図5】図3相当図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1は前方道路情報送出システム、3は現在位置特定装置(現在位置特定手段)、4は道路地図データベース(道路地図データ記憶手段)、5は上線推定道路算出装置(上線推定道路算出手段)、6は前方道路情報作成装置(前方道路情報作成手段)、7は制御装置(制御手段)である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、
前記現在位置特定手段により特定された自車両の現在位置と前記道路地図データ記憶手段に記憶されている道路地図データとをマップマッチングして自車両が上線していると推定される道路を上線推定道路として算出する上線推定道路算出手段と、
前記上線推定道路算出手段により算出された上線推定道路に関して自車両の進行方向の情報を前記道路地図データ記憶手段に記憶されている道路地図データに基づいて前方道路情報として作成する前方道路情報作成手段と、
前記前方道路情報作成手段により作成された前方道路情報を走行制御装置や警報装置へ送出して前記走行制御装置に走行制御動作を行わせたり前記警報装置に警報動作を行わせたりする制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記前方道路情報作成手段により複数の前方道路情報が作成された場合には、それら作成された複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たすか否かを判定し、複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たす旨を検出した場合には、複数の前方道路情報を1つの前方道路情報として前記走行制御装置や前記警報装置へ送出することを特徴とする前方道路情報送出システム。
【請求項2】
請求項1に記載した前方道路情報送出システムにおいて、
前記制御手段は、複数の前方道路情報の類似度を考慮して前方道路情報の確からしさの度合いを表す確からしさ情報を算出し、複数の前方道路情報を1つの前方道路情報として
前記走行制御装置や前記警報装置へ送出すると共に、確からしさ情報をも前記走行制御装置や前記警報装置へ送出することを特徴とする前方道路情報送出システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載した前方道路情報送出システムにおいて、
前記制御手段は、複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たすか否かの判定として、カーブの曲率の差や交差点での交差角度の差などの送出する道路情報の差が閾値未満であるか否かを判定することを特徴とする前方道路情報送出システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載した前方道路情報送出システムにおいて、
前記制御手段は、複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たさない旨を検出した場合には、複数の前方道路情報のいずれをも前記走行制御装置や前記警報装置へ送出しないことを特徴とする前方道路情報送出システム。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載した前方道路情報送出システムにおいて、
前記制御手段は、複数の前方道路情報の類似度が所定条件を満たさない旨を検出した場合には、複数の前方道路情報の全てを前記走行制御装置や前記警報装置へ送出することを特徴とする前方道路情報送出システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−123690(P2006−123690A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314011(P2004−314011)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】