半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法
【課題】半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、第1半導体層と、発光部と、第2半導体層と、In含有中間層と、を備えた半導体発光素子が提供される。第1半導体層は、シリコン基板の上に下地層を介して形成され、窒化物半導体を含み第1導電形である。発光部は、第1半導体層の上に設けられ、複数の障壁層と、複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1Nを含む井戸層と、を含む。第2半導体層は、発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み第2導電形である。In含有中間層は、第1半導体層と発光部との間、及び、第2半導体層と発光部との間の少なくともいずれかに設けられ、上記z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10nm以上1000nm以下の厚さを有する。
【解決手段】実施形態によれば、第1半導体層と、発光部と、第2半導体層と、In含有中間層と、を備えた半導体発光素子が提供される。第1半導体層は、シリコン基板の上に下地層を介して形成され、窒化物半導体を含み第1導電形である。発光部は、第1半導体層の上に設けられ、複数の障壁層と、複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1Nを含む井戸層と、を含む。第2半導体層は、発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み第2導電形である。In含有中間層は、第1半導体層と発光部との間、及び、第2半導体層と発光部との間の少なくともいずれかに設けられ、上記z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10nm以上1000nm以下の厚さを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)、HEMT(High electron mobility transistor)などの窒化物半導体を用いた半導体発光素子において、結晶成長から実装にわたる工程のなかでおこる窒化物半導体層の劣化、破壊の抑制が求められている。
【0003】
例えば、窒化物半導体層をシリコン基板上に成長させる場合に、組成が連続的に傾斜する構造や組成の異なる2層を交互に積層した超格子構造など種々の構成が提案されている。しかしながら、従来の手法は、窒化物半導体層の劣化、破壊の抑制の点で不十分であり、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−158804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、第1半導体層と、発光部と、第2半導体層と、In含有中間層と、を備えた半導体発光素子が提供される。前記第1半導体層は、シリコン基板の上に下地層を介して形成され、窒化物半導体を含み、第1導電形である。前記発光部は、前記第1半導体層の上に設けられ、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む。前記第2半導体層は、前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み、前記第1導電形とは異なる第2導電形である。前記In含有中間層は、前記第1半導体層と前記発光部との間、及び、前記第2半導体層と前記発光部との間の少なくともいずれかに設けられ、前記井戸層に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10ナノメートル以上1000ナノメートル以下の厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、半導体発光素子の特性を示すノマルスキ顕微鏡像である。
【図6】第1の実施形態に係る半導体発光素子の特性を示す電子顕微鏡写真像である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図10】第2の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、半導体発光素子の特性を示すノマルスキ顕微鏡像である。
【図12】図12(a)及び図12(b)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図13】図13(a)及び図13(b)は、第3の実施形態に係る窒化物半導体ウェーハを示す模式的断面図である。
【図14】図14は、第3の実施形態に係る別の窒化物半導体ウェーハを示す模式的断面図である。
【図15】図15(a)及び図15(b)は、第4の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法を示すフローチャート図である。
【図16】図16は、第4の実施形態に係る別の窒化物半導体層の製造方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態は、例えば、発光ダイオード(LED)及びレーザダイオード(LD)などの半導体発光素子に係る。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 図1に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、第1半導体層10と、発光部30と、第2半導体層20と、In含有中間層60と、を備える。
【0011】
第1半導体層10は、シリコン基板40の上に下地層50を介して形成される。第1半導体層10は、窒化物半導体を含み第1導電形である。
【0012】
発光部30は、第1半導体層10の上に設けられる。発光部30は、例えば、第1半導体層10の[0001]方向の側に設けられる。発光部30の例については後述する。
【0013】
第2半導体層20は、発光部30の上に設けられる。第2半導体層20は、窒化物半導体を含み、第2導電形である。第2導電形は、第1導電形とは異なる導電形である。
【0014】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。または、第1導電形がp形で、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形である場合として説明する。
【0015】
In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の少なくともいずれかに設けられる。この例では、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間に設けられている。
【0016】
ここで、第1半導体層10から発光部30に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸とする。Z軸とX軸とに対して垂直な方向をY軸とする。
【0017】
半導体発光素子110の機能部10sに含まれる第1半導体層10、発光部30、第2半導体層20及びIn含有中間層60が、Z軸に沿って積層される。
【0018】
本願明細書において、「積層」とは、互いに接して重ねられる場合の他に、間に他の層が挿入されて重ねられる場合も含む。また、「上に設けられる」とは、直接接して設けられる場合の他に、間に他の層が挿入されて設けられる場合も含む。
【0019】
シリコン基板40は、例えば、Si(111)基板である。ただし、実施形態において、シリコン基板40の面方位は、(111)面でなくても良い。シリコン基板40の主面(下地層50が形成される面)の面方位は、(111)、(110)及び(100)と、それらの面方位から傾斜した面など、種々の面方位とすることができる。
【0020】
シリコン基板40は、シリコン基板40上に機能部10sを形成した後に、任意の手法によって除去(剥離)されても良い。シリコン基板40を剥離する位置は、例えば、下地層50内、または、機能部10s内である。また、シリコン基板40の少なくとも一部が、残っても良い。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図2に表したように、発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられた井戸層32と、を含む。複数の井戸層32のそれぞれは、Ga1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む。障壁層31は、例えばGaNを含む。すなわち、井戸層32はInを含み、障壁層31はInを実質的に含まない。または、障壁層31は、井戸層32に含まれるIn組成比よりも低い組成比でInを含む。障壁層31におけるバンドギャップエネルギーは、井戸層32におけるバンドギャップエネルギーよりも大きい。
【0022】
例えば、複数の障壁層31と、複数の井戸層32と、がZ軸に沿って交互に積層される。
【0023】
発光部30は、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構成を有することができる。このとき、発光部30は、2つの障壁層31と、その障壁層31の間に設けられた井戸層32と、を含む。または、発光部30は、多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構成を有することができる。このとき、発光部30は、3つ以上の障壁層31と、障壁層31どうしのそれぞれの間に設けられた井戸層32と、を含む。
【0024】
すなわち、発光部30は、(n+1)個の障壁層31と、n個の井戸層32と、を含む(nは、2以上の整数)。第(i+1)障壁層BL(i+1)は、第i障壁層BLiと第2半導体層20との間に配置される(iは、1以上(n−1)以下の整数)。第(i+1)井戸層WL(i+1)は、第i井戸層WLiと第2半導体層20との間に配置される。第1障壁層BL1は、第1半導体層10と第1井戸層WL1との間に設けられる。第n井戸層WLnは、第n障壁層BLnと第(n+1)障壁層BL(n+1)との間に設けられる。第(n+1)障壁層BL(n+1)は、第n井戸層WLnと第2半導体層20との間に設けられる。
【0025】
発光部30から放出される光のエネルギーは、例えば、0.4エレクトロンボルト(eV)以上6.5eV以下の範囲を含む。発光部30から放出される光(発光光)のピーク波長は、例えば380ナノメートル(nm)以上650nm以下である。ただし、実施形態において、ピーク波長は任意である。
【0026】
In含有中間層60は、井戸層32に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含む。In含有中間層60は、10nm以上1000nm以下の厚さを有する。
【0027】
図3は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図は、In含有中間層60の構成を例示している。
図3に表したように、In含有中間層60は、交互に積層された複数の第1層61と、複数の第2層62と、を含む。第1層61は、例えば、Ga1−X2InX2N(0<x2≦1)を含む。第2層62は、Ga1−X3InX3N(0≦x3≦1、x3<x2)を含む。
【0028】
例えば、第1層61及び第2層62の数(例えばペア数)は、例えば20である。例えば、第1層61には、厚さが1nmのIn0.08Ga0.92N層が用いられる。第2層62には、例えば、厚さが3nmのGaN層が用いられる。第2層62は、n形不純物を含むことができる。
なお、In含有中間層60は、上記のような複数の層が交互に積層された多層構造体でなくても良い。In含有中間層60は、後述するように、場合によっては単層でも良い。
【0029】
図4は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 図4に表したように、本実施形態に係る具体例の半導体発光素子111においては、下地層50は、シリコン基板40の上に形成されたAlNバッファ層55と、AlNバッファ層55の上に形成されたAlGaNバッファ層54と、AlGaNバッファ層54の上に設けられた多層バッファ層53と、を含む。
【0030】
多層バッファ層53は、Z軸に沿って交互に積層された複数のGaN層51と、複数のAlN層52と、を含む。
このような下地層50の上に、機能部10sが積層される。この例では、In含有層60は、図3に例示した、第1層61と第2層62との多層構造を有する。
【0031】
このような構成を有する実施形態に係る半導体発光素子110及び111により、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子が提供できる。
【0032】
以下、半導体発光素子111を作製し、その特性について評価した結果を、参考例と共に説明する。半導体発光素子111は、以下のようにして作製された。
【0033】
以下の半導体層の結晶成長には、MOVPE(有機金属気相成長)法を用いた。
【0034】
まず、Si(111)のシリコン基板40をH2O2とH2SO4との1:1の混合液で13分間洗浄した。次に、2%のHFを用いて10分間、シリコン基板40を洗浄した。洗浄後、シリコン基板40をMOVPE反応炉内に導入した。
【0035】
サセプタを水素雰囲気下で720℃に昇温し、TMAを8秒間供給した。その後、NH3を更に供給することで、AlNバッファ層55となる、厚さが40nmのAlN層を形成した。
【0036】
続いて、サセプタを1030℃に昇温し、AlGaNバッファ層54となる、厚さが40nmのAl0.25Ga0.75N層を形成した。
【0037】
次に、サセプタを1080℃に昇温し、GaN層51となる、厚さが300nmのGaN層を形成した。
【0038】
次に、サセプタを800℃に降温し、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ20%、80%、0%にて、AlN層52となる、厚さ12nmのAlN層を形成した。
【0039】
さらに、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ63%、19%、18%に変更した後、サセプタを1080℃に昇温し、GaN層51となる、厚さが300nmのGaN層の形成と、上記のAlN層52の形成と、を交互に3回繰り返した。
【0040】
次に、サセプタを800℃に降温し、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ20%、80%、0%にて、AlN層52となる、12nmのAlN層を形成した。
これにより、複数のGaN層51と、複数のAlN層52と、が交互に積層された下地層50が形成される。
【0041】
次に、サセプタを1120℃に昇温し、第1半導体層10となる、厚さが1.2μmのn形GaN層を形成した。
【0042】
次に、サセプタを810℃に降温し、第1層61となる、厚さが1nmのIn0.08Ga0.92N層の形成と、第2層62となる、厚さが3nmのn形GaN層の形成と、を交互に20回繰り返した。これにより、In含有中間層60が形成される。
【0043】
次に、LEDの発光部30を形成した。さらに、第2半導体層20となるp形GaN層を形成した。これにより、半導体発光素子111が形成される。
【0044】
一方、第1比較例の半導体発光素子191(図示しない)においては、In含有中間層60が設けられない。すなわち、第1半導体層10に接して発光部30が形成される。これ以外は、半導体発光素子111と同様である。
【0045】
このようにして作製された、実施形態に係る半導体発光素子111及び第1参考例の半導体発光素子191をノマルスキ顕微鏡で観察した。
図5(a)及び図5(b)は、半導体発光素子の特性を例示するノマルスキ顕微鏡像である。
図5(a)に示したように、実施形態に係る半導体発光素子111においては、クラックが観察されなかった。
図5(b)に示したように、第1参考例においては、多数のクラックCRが観察された。
【0046】
このように、本実施形態においては、In含有中間層60を設けることで、クラックCRが実質的に発生せず、半導体層の劣化及び破壊を抑制される。
【0047】
例えば、基板の上に半導体層(GaN層など)を形成した際に、熱膨張係数の差異によって半導体層に引っ張り応力が働き、基板が下に凸状に反ることがある。このように、半導体層に応力がはたらくと、クラックCRが発生する。これに対して、応力を調整する層を設け、半導体層の成長の過程では基板が上に凸状にそり、室温に戻したときに、基板がフラットになるようにする構成がある。しかしながら、シリコン基板40上に、窒化物半導体層を形成する構成においては、このような応力を調整する層の導入だけでは、クラックCRの発生を十分に抑制することができないことが分かった。
【0048】
すなわち、応力を調整する層においては、格子緩和層などが用いられるが、このため、転位が発生し易くなる。
【0049】
これに対して、実施形態に係る構成によれば、クラックCRの発生を抑制しつつ、転位の発生も抑制できる。
【0050】
図6は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の特性を例示する電子顕微鏡写真像である。
同図は、半導体発光素子111の機能部10sの断面の透過型電子顕微鏡写真像である。図6から分かるように、第1半導体層10内の下面から第1半導体層10内の上面に向けて、転位が次第に少なくなっている。このように、本実施形態に係る構成により、クラックCRの発生を抑制しつつ、転位の発生も抑制できる。
【0051】
図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図7(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子121においては、In含有中間層60は、第2半導体層20と発光部30との間に設けられる。
【0052】
図7(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子122においては、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の両方に設けられる。
【0053】
例えば、半導体発光素子110、121及び122において、In含有中間層60には、Ga1−x1Inx1N層(0<x1≦1)を用いることができる。すなわち、In含有中間層60は、単層でも良い。
【0054】
また、図3に例示したように、In含有中間層60が、交互に積層された複数の第1層61と、複数の第2層62と、を含む場合において、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の少なくともいずれかに設けることができる。
【0055】
図8(a)及び図8(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図8(a)及び図8(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子131及び132においては、下地層50は、Al含有中間層56を含む。Al含有中間層56は、Alを含む窒化物半導体を含む。なお、Al含有中間層56は、B及びInの少なくともいずれかをさらに含んでも良い。Al含有中間層56は、例えば、Ga1−y1Aly1N(0<y1≦1)を含む。Al含有中間層56は、2nm以上100nm以下の厚さを有する。
【0056】
半導体発光素子131及び132のように、Al含有中間層56が設けられる場合において、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の少なくともいずれかに設けることができる。
【0057】
また、In含有中間層60が、交互に積層された複数の第1層61と、複数の第2層62と、を含む場合において、Al含有中間層56を設けても良い。
【0058】
なお、半導体発光素子に含まれる各層の厚さは、断面の電子顕微鏡写真などから求めることができる。また、各層に含まれる例えばIn及びAlなどの元素の濃度は、例えば、TEM−EDX(透過電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法)SIMS(2次イオン質量分析法)などによる分析結果から求めることができる。
【0059】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図9に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子140は、シリコン基板40の上に形成された下地層50と、下地層50の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10と、第1半導体層10の上に設けられた発光部30と、発光部30の上に設けられ、窒化物半導体を含み第2導電形の第2半導体層20と、を備える。この場合も、発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む。
【0060】
下地層50は、2nm以上100nm以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層56を含む。Al含有中間層56は、第1半導体層10の側の面に設けられた凹凸部56dを有する。凹凸部56dの表面粗さRaは、1nm以上10nm以下である。例えば、表面粗さRaは、約3nmである。
【0061】
このような構成により、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子が得られる。
【0062】
図10は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図10に表したように、本実施形態に係る具体例の半導体発光素子141においては、図4に関して説明したAlNバッファ層55及びAlGaNバッファ層54が設けられ、その上に、多層バッファ層53が設けられる。そして、多層バッファ層53は、Z軸に沿って交互に積層された複数のGaN層51と、複数のAlN層52と、を含む。
【0063】
この例では、AlN層52は、第1半導体層10の側の面に設けられた凹凸部56dを有する。すなわち、AlN層52が、凹凸部56dを有するAl含有中間層56に相当する。
【0064】
また、半導体発光素子141においては、In含有中間層60が設けられていない。これ以外は、半導体発光素子111と同様なので説明を省略する。
【0065】
以下、半導体発光素子141を作製し、その特性について評価した結果を、参考例と共に説明する。半導体発光素子141は、以下のようにして作製された。
【0066】
以下の半導体層の結晶成長には、MOVPE(有機金属気相成長)法を用いた。
【0067】
まず、Si(111)のシリコン基板40をH2O2とH2SO4との1:1の混合液で13分間洗浄した。次に、2%のHFを用いて10分間、シリコン基板40を洗浄した。洗浄後、シリコン基板40をMOVPE反応炉内に導入した。
【0068】
サセプタを水素雰囲気下で720℃に昇温し、TMAを8秒間供給した。その後、NH3を更に供給することで、AlNバッファ層55となる、厚さが40nmのAlN層を形成した。
【0069】
続いて、サセプタを1030℃に昇温し、AlGaNバッファ層54となる、厚さが40nmのAl0.25Ga0.75N層を形成した。
【0070】
次に、サセプタを1080℃に昇温し、GaN層51となる、厚さが300nmのGaN層を形成した。
【0071】
次に、サセプタを800℃に降温し、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ20%、80%、0%にて、AlN層52となる、厚さが2nmのAlN層を形成した。
【0072】
さらに、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ32%、52%、16%に変更したのち、サセプタを1120℃に昇温し、GaN層51となる、厚さが300nmのGaN層を形成した。この、AlN層52の形成とGaN層51の形成とを交互に3回繰り返した。
【0073】
次に、サセプタを800℃に降温し、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ20%、80%、0%にて、AlN層52となる、厚さが12nmのAlN層を形成した。これにより、多層バッファ層53が形成される。
【0074】
上記の条件により、AlN層52に凹凸部56dが形成される。すなわち、AlN層52は、ドット状に形成される。凹凸部56dの表面粗さRaは、約3nmであった。
【0075】
この後、第1半導体層10を形成し、In含有中間層60を形成せずに発光部30を形成し、第2半導体層20を形成した。これにより、半導体発光素子141が形成された。
【0076】
一方、第2比較例の半導体発光素子192(図示しない)においては、多層バッファ層53の形成条件を半導体発光素子111と同様に設定した。この場合には、AlN層52には、凹凸部56dは形成されず、AlN層52の上面は実質的に平坦である。そして、In含有中間層60を形成しないで、第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20を形成した。
【0077】
このようにして作製された、実施形態に係る半導体発光素子141及び第2参考例の半導体発光素子192をノマルスキ顕微鏡で観察した。
図11(a)及び図11(b)は、半導体発光素子の特性を例示するノマルスキ顕微鏡像である。
図11(a)に示したように、実施形態に係る半導体発光素子141においては、クラックが観察されなかった。
図11(b)に示したように、第2参考例においては、多数のクラックCRが観察された。
【0078】
このように、本実施形態においては、凹凸部56dを有するAl含有中間層56(AlN層52)を下地層50中に設けることで、クラックCRの発生が非常に効果的に抑制される。この例のように、凹凸部56dを有するAl含有中間層56を用いる場合には、第1の実施形態に関して説明したIn含有中間層60を設けなくても、クラックCRの発生が抑制できる。ただし、In含有中間層60を設けつつ、さらに、Al含有中間層56を設けても良い。これにより、さらに、クラックCRが発生し難くなる。
【0079】
図12(a)及び図12(b)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図12(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子151においては、In含有中間層60が、第1半導体層10と発光部30との間に設けられ、さらに、凹凸部56dを有するAl含有中間層56が設けられる。
【0080】
図12(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子152においては、In含有中間層60が、第2半導体層20と発光部30との間に設けられ、さらに、凹凸部56dを有するAl含有中間層56が設けられる。
【0081】
さらに、凹凸部56dを有するAl含有中間層56を設けつつ、In含有中間層60を、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の両方に設けても良い。
【0082】
凹凸部56dを有するAl含有中間層56(この例では、多層バッファ層53内のAlN層52)の下側に、GaNを含む層(この例では、多層バッファ層53内のGaN層51)を設けることは、半導体層の劣化及び破壊の抑制に効果的である。
【0083】
凹凸部56dを有するAl含有中間層56は、下地層50内だけでなく、下地層50から上の任意の位置に設けても良い。また、半導体発光素子141においては、凹凸部56dを有するAl含有中間層56(AlN層52)と、GaNを含む層(GaN層51)と、が交互に積層されているが、凹凸部56dを有するAl含有中間層56が1層(例えば1ペア)でも良い。
【0084】
(第3の実施形態)
図13(a)及び図13(b)は、第3の実施形態に係る窒化物半導体ウェーハの構成を例示する模式的断面図である。
図13(a)及び図13(b)に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体ウェーハ210及び211は、シリコン基板40と、シリコン基板40の上に設けられた下地層50と、下地層50の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10と、第1半導体層10の上に設けられた発光部30と、発光部30の上に設けられ、窒化物半導体を含み第2導電形の第2半導体層20と、In含有中間層60と、を備える。
【0085】
発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む。
【0086】
窒化物半導体ウェーハ210においては、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間に設けられている。窒化物半導体ウェーハ211においては、In含有中間層60は、第2半導体層20と発光部30との間に設けられている。In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間に設けられても良い。
【0087】
In含有中間層60は、井戸層32に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含む。In含有中間層60は、10nm以上1000nm以下の厚さを有する。
【0088】
図14は、第3の実施形態に係る別の窒化物半導体ウェーハの構成を例示する模式的断面図である。
図14に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体ウェーハ240は、シリコン基板40と、シリコン基板40の上に設けられた下地層50と、下地層50の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10と、第1半導体層10の上に設けられた発光部30と、発光部30の上に設けられ、窒化物半導体を含み第2導電形の第2半導体層20と、を備える。発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む。
【0089】
下地層50は、2nm以上100nm以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層56を含む。Al含有中間層56は、第1半導体層10の側の面に設けられた凹凸部56dを有する。凹凸部56dの表面粗さRaは1nm以上10nm以下である。
【0090】
窒化物半導体ウェーハ210、211及び240によれば、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子のための窒化物半導体ウェーハを提供できる。
【0091】
(第4の実施形態)
図15(a)及び図15(b)は、第4の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法を例示するフローチャート図である。
図15(a)及び図15(b)に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法は、シリコン基板40の上に設けられた下地層50の上に、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10を形成する工程(ステップS110)を含む。
【0092】
さらに、本製造方法は、第1半導体層10の上に、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に配置されるGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む発光部30を形成する工程(ステップS120)を含む。
【0093】
さらに、本製造方法は、発光部30の上に、窒化物半導体を含み第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層20を形成する工程(ステップS130)を含む。
【0094】
さらに、本製造方法は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層と発光部30との間の少なくともいずれかにIn含有中間層60を形成する工程(ステップS140)を含む。In含有中間層60は、井戸層32に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含む。In含有中間層60は、10nm以上1000nm以下の厚さを有する。
【0095】
図16は、第4の実施形態に係る別の窒化物半導体層の製造方法を例示するフローチャート図である。
図16に表したように、本実施形態係る窒化物半導体層の製造方法は、シリコン基板40の上に、Al含有中間層56を含む下地層50を形成する工程(ステップS150)を含む。Al含有中間層56は、2nm以上100nm以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含む。
【0096】
さらに、本製造方法は、下地層50の上に、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10を形成する工程(ステップS110)を含む。
【0097】
さらに、本製造方法は、第1半導体層10の上に、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に配置されるGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む発光部30を形成する工程(ステップS120)を含む。
【0098】
さらに、本製造方法は、発光部30の上に、窒化物半導体を含み第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層20を形成する工程(ステップS130)を含む。
【0099】
Al含有中間層56は、第1半導体層10の側の面(上面)に設けられた凹凸部56dを有し、凹凸部56dの表面粗さRaは1nm以上10nm以下である。
【0100】
図15(a)、図15(b)及び図16に関して説明した製造方法により、半導体層の劣化及び破壊を抑制した窒化物半導体層が製造できる。
【0101】
実施形態において、半導体層の成長には、例えば、有機金属気相堆積(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)法、有機金属気相成長(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy:MBE)法、及び、ハライド気相エピタキシー法(HVPE)法などを用いることができる。
【0102】
例えば、MOCVD法またはMOVPE法を用いた場合では、各半導体層の形成の際の原料には、以下を用いることができる。Gaの原料として、例えばTMGa(トリメチルガリウム)及びTEGa(トリエチルガリウム)を用いることができる。Inの原料として、例えば、TMIn(トリメチルインジウム)及びTEIn(トリエチルインジウム)などを用いることができる。Alの原料として、例えば、TMAl(トリメチルアルミニウム)などを用いることができる。Nの原料として、例えば、NH3(アンモニア)、MMHy(モノメチルヒドラジン)及びDMHy(ジメチルヒドラジン)などを用いることができる。Siの原料としては、SiH4(モノシラン)、Si2H6(ジシラン)などを用いることができる。
【0103】
実施形態によれば、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法が提供できる。
【0104】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BxInyAlzGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0105】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0106】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子及び窒化物半導体ウェーハに含まれる基板、AlNバッファ層、AlGaNバッファ層、下地層、多層バッファ層、AlN層、GaN層、In含有中間層、Al含有中間層、半導体層、発光部、及び機能部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0107】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0108】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
10…第1半導体層、 10s…機能部、 20…第2半導体層、 30…発光部、 31…障壁層、 32…井戸層、 40…シリコン基板、 50…下地層、 51…GaN層、 52…AlN層、 53…多層バッファ層、 54…AlGaNバッファ層、 55…AlNバッファ層、 56…Al含有中間層、 56d…凹凸部、 60…In含有中間層、 61…第1層、 62…第2層、 110、111、121、122、131、132、140、141、151、152、191、192…半導体発光素子、 210、211、240…窒化物半導体ウェーハ、 BL…障壁層、 WL…井戸層
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)、HEMT(High electron mobility transistor)などの窒化物半導体を用いた半導体発光素子において、結晶成長から実装にわたる工程のなかでおこる窒化物半導体層の劣化、破壊の抑制が求められている。
【0003】
例えば、窒化物半導体層をシリコン基板上に成長させる場合に、組成が連続的に傾斜する構造や組成の異なる2層を交互に積層した超格子構造など種々の構成が提案されている。しかしながら、従来の手法は、窒化物半導体層の劣化、破壊の抑制の点で不十分であり、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−158804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、第1半導体層と、発光部と、第2半導体層と、In含有中間層と、を備えた半導体発光素子が提供される。前記第1半導体層は、シリコン基板の上に下地層を介して形成され、窒化物半導体を含み、第1導電形である。前記発光部は、前記第1半導体層の上に設けられ、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む。前記第2半導体層は、前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み、前記第1導電形とは異なる第2導電形である。前記In含有中間層は、前記第1半導体層と前記発光部との間、及び、前記第2半導体層と前記発光部との間の少なくともいずれかに設けられ、前記井戸層に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10ナノメートル以上1000ナノメートル以下の厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、半導体発光素子の特性を示すノマルスキ顕微鏡像である。
【図6】第1の実施形態に係る半導体発光素子の特性を示す電子顕微鏡写真像である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図10】第2の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、半導体発光素子の特性を示すノマルスキ顕微鏡像である。
【図12】図12(a)及び図12(b)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図13】図13(a)及び図13(b)は、第3の実施形態に係る窒化物半導体ウェーハを示す模式的断面図である。
【図14】図14は、第3の実施形態に係る別の窒化物半導体ウェーハを示す模式的断面図である。
【図15】図15(a)及び図15(b)は、第4の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法を示すフローチャート図である。
【図16】図16は、第4の実施形態に係る別の窒化物半導体層の製造方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態は、例えば、発光ダイオード(LED)及びレーザダイオード(LD)などの半導体発光素子に係る。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 図1に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、第1半導体層10と、発光部30と、第2半導体層20と、In含有中間層60と、を備える。
【0011】
第1半導体層10は、シリコン基板40の上に下地層50を介して形成される。第1半導体層10は、窒化物半導体を含み第1導電形である。
【0012】
発光部30は、第1半導体層10の上に設けられる。発光部30は、例えば、第1半導体層10の[0001]方向の側に設けられる。発光部30の例については後述する。
【0013】
第2半導体層20は、発光部30の上に設けられる。第2半導体層20は、窒化物半導体を含み、第2導電形である。第2導電形は、第1導電形とは異なる導電形である。
【0014】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。または、第1導電形がp形で、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形である場合として説明する。
【0015】
In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の少なくともいずれかに設けられる。この例では、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間に設けられている。
【0016】
ここで、第1半導体層10から発光部30に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸とする。Z軸とX軸とに対して垂直な方向をY軸とする。
【0017】
半導体発光素子110の機能部10sに含まれる第1半導体層10、発光部30、第2半導体層20及びIn含有中間層60が、Z軸に沿って積層される。
【0018】
本願明細書において、「積層」とは、互いに接して重ねられる場合の他に、間に他の層が挿入されて重ねられる場合も含む。また、「上に設けられる」とは、直接接して設けられる場合の他に、間に他の層が挿入されて設けられる場合も含む。
【0019】
シリコン基板40は、例えば、Si(111)基板である。ただし、実施形態において、シリコン基板40の面方位は、(111)面でなくても良い。シリコン基板40の主面(下地層50が形成される面)の面方位は、(111)、(110)及び(100)と、それらの面方位から傾斜した面など、種々の面方位とすることができる。
【0020】
シリコン基板40は、シリコン基板40上に機能部10sを形成した後に、任意の手法によって除去(剥離)されても良い。シリコン基板40を剥離する位置は、例えば、下地層50内、または、機能部10s内である。また、シリコン基板40の少なくとも一部が、残っても良い。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図2に表したように、発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられた井戸層32と、を含む。複数の井戸層32のそれぞれは、Ga1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む。障壁層31は、例えばGaNを含む。すなわち、井戸層32はInを含み、障壁層31はInを実質的に含まない。または、障壁層31は、井戸層32に含まれるIn組成比よりも低い組成比でInを含む。障壁層31におけるバンドギャップエネルギーは、井戸層32におけるバンドギャップエネルギーよりも大きい。
【0022】
例えば、複数の障壁層31と、複数の井戸層32と、がZ軸に沿って交互に積層される。
【0023】
発光部30は、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構成を有することができる。このとき、発光部30は、2つの障壁層31と、その障壁層31の間に設けられた井戸層32と、を含む。または、発光部30は、多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構成を有することができる。このとき、発光部30は、3つ以上の障壁層31と、障壁層31どうしのそれぞれの間に設けられた井戸層32と、を含む。
【0024】
すなわち、発光部30は、(n+1)個の障壁層31と、n個の井戸層32と、を含む(nは、2以上の整数)。第(i+1)障壁層BL(i+1)は、第i障壁層BLiと第2半導体層20との間に配置される(iは、1以上(n−1)以下の整数)。第(i+1)井戸層WL(i+1)は、第i井戸層WLiと第2半導体層20との間に配置される。第1障壁層BL1は、第1半導体層10と第1井戸層WL1との間に設けられる。第n井戸層WLnは、第n障壁層BLnと第(n+1)障壁層BL(n+1)との間に設けられる。第(n+1)障壁層BL(n+1)は、第n井戸層WLnと第2半導体層20との間に設けられる。
【0025】
発光部30から放出される光のエネルギーは、例えば、0.4エレクトロンボルト(eV)以上6.5eV以下の範囲を含む。発光部30から放出される光(発光光)のピーク波長は、例えば380ナノメートル(nm)以上650nm以下である。ただし、実施形態において、ピーク波長は任意である。
【0026】
In含有中間層60は、井戸層32に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含む。In含有中間層60は、10nm以上1000nm以下の厚さを有する。
【0027】
図3は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図は、In含有中間層60の構成を例示している。
図3に表したように、In含有中間層60は、交互に積層された複数の第1層61と、複数の第2層62と、を含む。第1層61は、例えば、Ga1−X2InX2N(0<x2≦1)を含む。第2層62は、Ga1−X3InX3N(0≦x3≦1、x3<x2)を含む。
【0028】
例えば、第1層61及び第2層62の数(例えばペア数)は、例えば20である。例えば、第1層61には、厚さが1nmのIn0.08Ga0.92N層が用いられる。第2層62には、例えば、厚さが3nmのGaN層が用いられる。第2層62は、n形不純物を含むことができる。
なお、In含有中間層60は、上記のような複数の層が交互に積層された多層構造体でなくても良い。In含有中間層60は、後述するように、場合によっては単層でも良い。
【0029】
図4は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 図4に表したように、本実施形態に係る具体例の半導体発光素子111においては、下地層50は、シリコン基板40の上に形成されたAlNバッファ層55と、AlNバッファ層55の上に形成されたAlGaNバッファ層54と、AlGaNバッファ層54の上に設けられた多層バッファ層53と、を含む。
【0030】
多層バッファ層53は、Z軸に沿って交互に積層された複数のGaN層51と、複数のAlN層52と、を含む。
このような下地層50の上に、機能部10sが積層される。この例では、In含有層60は、図3に例示した、第1層61と第2層62との多層構造を有する。
【0031】
このような構成を有する実施形態に係る半導体発光素子110及び111により、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子が提供できる。
【0032】
以下、半導体発光素子111を作製し、その特性について評価した結果を、参考例と共に説明する。半導体発光素子111は、以下のようにして作製された。
【0033】
以下の半導体層の結晶成長には、MOVPE(有機金属気相成長)法を用いた。
【0034】
まず、Si(111)のシリコン基板40をH2O2とH2SO4との1:1の混合液で13分間洗浄した。次に、2%のHFを用いて10分間、シリコン基板40を洗浄した。洗浄後、シリコン基板40をMOVPE反応炉内に導入した。
【0035】
サセプタを水素雰囲気下で720℃に昇温し、TMAを8秒間供給した。その後、NH3を更に供給することで、AlNバッファ層55となる、厚さが40nmのAlN層を形成した。
【0036】
続いて、サセプタを1030℃に昇温し、AlGaNバッファ層54となる、厚さが40nmのAl0.25Ga0.75N層を形成した。
【0037】
次に、サセプタを1080℃に昇温し、GaN層51となる、厚さが300nmのGaN層を形成した。
【0038】
次に、サセプタを800℃に降温し、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ20%、80%、0%にて、AlN層52となる、厚さ12nmのAlN層を形成した。
【0039】
さらに、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ63%、19%、18%に変更した後、サセプタを1080℃に昇温し、GaN層51となる、厚さが300nmのGaN層の形成と、上記のAlN層52の形成と、を交互に3回繰り返した。
【0040】
次に、サセプタを800℃に降温し、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ20%、80%、0%にて、AlN層52となる、12nmのAlN層を形成した。
これにより、複数のGaN層51と、複数のAlN層52と、が交互に積層された下地層50が形成される。
【0041】
次に、サセプタを1120℃に昇温し、第1半導体層10となる、厚さが1.2μmのn形GaN層を形成した。
【0042】
次に、サセプタを810℃に降温し、第1層61となる、厚さが1nmのIn0.08Ga0.92N層の形成と、第2層62となる、厚さが3nmのn形GaN層の形成と、を交互に20回繰り返した。これにより、In含有中間層60が形成される。
【0043】
次に、LEDの発光部30を形成した。さらに、第2半導体層20となるp形GaN層を形成した。これにより、半導体発光素子111が形成される。
【0044】
一方、第1比較例の半導体発光素子191(図示しない)においては、In含有中間層60が設けられない。すなわち、第1半導体層10に接して発光部30が形成される。これ以外は、半導体発光素子111と同様である。
【0045】
このようにして作製された、実施形態に係る半導体発光素子111及び第1参考例の半導体発光素子191をノマルスキ顕微鏡で観察した。
図5(a)及び図5(b)は、半導体発光素子の特性を例示するノマルスキ顕微鏡像である。
図5(a)に示したように、実施形態に係る半導体発光素子111においては、クラックが観察されなかった。
図5(b)に示したように、第1参考例においては、多数のクラックCRが観察された。
【0046】
このように、本実施形態においては、In含有中間層60を設けることで、クラックCRが実質的に発生せず、半導体層の劣化及び破壊を抑制される。
【0047】
例えば、基板の上に半導体層(GaN層など)を形成した際に、熱膨張係数の差異によって半導体層に引っ張り応力が働き、基板が下に凸状に反ることがある。このように、半導体層に応力がはたらくと、クラックCRが発生する。これに対して、応力を調整する層を設け、半導体層の成長の過程では基板が上に凸状にそり、室温に戻したときに、基板がフラットになるようにする構成がある。しかしながら、シリコン基板40上に、窒化物半導体層を形成する構成においては、このような応力を調整する層の導入だけでは、クラックCRの発生を十分に抑制することができないことが分かった。
【0048】
すなわち、応力を調整する層においては、格子緩和層などが用いられるが、このため、転位が発生し易くなる。
【0049】
これに対して、実施形態に係る構成によれば、クラックCRの発生を抑制しつつ、転位の発生も抑制できる。
【0050】
図6は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の特性を例示する電子顕微鏡写真像である。
同図は、半導体発光素子111の機能部10sの断面の透過型電子顕微鏡写真像である。図6から分かるように、第1半導体層10内の下面から第1半導体層10内の上面に向けて、転位が次第に少なくなっている。このように、本実施形態に係る構成により、クラックCRの発生を抑制しつつ、転位の発生も抑制できる。
【0051】
図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図7(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子121においては、In含有中間層60は、第2半導体層20と発光部30との間に設けられる。
【0052】
図7(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子122においては、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の両方に設けられる。
【0053】
例えば、半導体発光素子110、121及び122において、In含有中間層60には、Ga1−x1Inx1N層(0<x1≦1)を用いることができる。すなわち、In含有中間層60は、単層でも良い。
【0054】
また、図3に例示したように、In含有中間層60が、交互に積層された複数の第1層61と、複数の第2層62と、を含む場合において、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の少なくともいずれかに設けることができる。
【0055】
図8(a)及び図8(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図8(a)及び図8(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子131及び132においては、下地層50は、Al含有中間層56を含む。Al含有中間層56は、Alを含む窒化物半導体を含む。なお、Al含有中間層56は、B及びInの少なくともいずれかをさらに含んでも良い。Al含有中間層56は、例えば、Ga1−y1Aly1N(0<y1≦1)を含む。Al含有中間層56は、2nm以上100nm以下の厚さを有する。
【0056】
半導体発光素子131及び132のように、Al含有中間層56が設けられる場合において、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の少なくともいずれかに設けることができる。
【0057】
また、In含有中間層60が、交互に積層された複数の第1層61と、複数の第2層62と、を含む場合において、Al含有中間層56を設けても良い。
【0058】
なお、半導体発光素子に含まれる各層の厚さは、断面の電子顕微鏡写真などから求めることができる。また、各層に含まれる例えばIn及びAlなどの元素の濃度は、例えば、TEM−EDX(透過電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法)SIMS(2次イオン質量分析法)などによる分析結果から求めることができる。
【0059】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図9に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子140は、シリコン基板40の上に形成された下地層50と、下地層50の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10と、第1半導体層10の上に設けられた発光部30と、発光部30の上に設けられ、窒化物半導体を含み第2導電形の第2半導体層20と、を備える。この場合も、発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む。
【0060】
下地層50は、2nm以上100nm以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層56を含む。Al含有中間層56は、第1半導体層10の側の面に設けられた凹凸部56dを有する。凹凸部56dの表面粗さRaは、1nm以上10nm以下である。例えば、表面粗さRaは、約3nmである。
【0061】
このような構成により、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子が得られる。
【0062】
図10は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図10に表したように、本実施形態に係る具体例の半導体発光素子141においては、図4に関して説明したAlNバッファ層55及びAlGaNバッファ層54が設けられ、その上に、多層バッファ層53が設けられる。そして、多層バッファ層53は、Z軸に沿って交互に積層された複数のGaN層51と、複数のAlN層52と、を含む。
【0063】
この例では、AlN層52は、第1半導体層10の側の面に設けられた凹凸部56dを有する。すなわち、AlN層52が、凹凸部56dを有するAl含有中間層56に相当する。
【0064】
また、半導体発光素子141においては、In含有中間層60が設けられていない。これ以外は、半導体発光素子111と同様なので説明を省略する。
【0065】
以下、半導体発光素子141を作製し、その特性について評価した結果を、参考例と共に説明する。半導体発光素子141は、以下のようにして作製された。
【0066】
以下の半導体層の結晶成長には、MOVPE(有機金属気相成長)法を用いた。
【0067】
まず、Si(111)のシリコン基板40をH2O2とH2SO4との1:1の混合液で13分間洗浄した。次に、2%のHFを用いて10分間、シリコン基板40を洗浄した。洗浄後、シリコン基板40をMOVPE反応炉内に導入した。
【0068】
サセプタを水素雰囲気下で720℃に昇温し、TMAを8秒間供給した。その後、NH3を更に供給することで、AlNバッファ層55となる、厚さが40nmのAlN層を形成した。
【0069】
続いて、サセプタを1030℃に昇温し、AlGaNバッファ層54となる、厚さが40nmのAl0.25Ga0.75N層を形成した。
【0070】
次に、サセプタを1080℃に昇温し、GaN層51となる、厚さが300nmのGaN層を形成した。
【0071】
次に、サセプタを800℃に降温し、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ20%、80%、0%にて、AlN層52となる、厚さが2nmのAlN層を形成した。
【0072】
さらに、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ32%、52%、16%に変更したのち、サセプタを1120℃に昇温し、GaN層51となる、厚さが300nmのGaN層を形成した。この、AlN層52の形成とGaN層51の形成とを交互に3回繰り返した。
【0073】
次に、サセプタを800℃に降温し、総流量に占めるNH3、H2、N2の割合をそれぞれ20%、80%、0%にて、AlN層52となる、厚さが12nmのAlN層を形成した。これにより、多層バッファ層53が形成される。
【0074】
上記の条件により、AlN層52に凹凸部56dが形成される。すなわち、AlN層52は、ドット状に形成される。凹凸部56dの表面粗さRaは、約3nmであった。
【0075】
この後、第1半導体層10を形成し、In含有中間層60を形成せずに発光部30を形成し、第2半導体層20を形成した。これにより、半導体発光素子141が形成された。
【0076】
一方、第2比較例の半導体発光素子192(図示しない)においては、多層バッファ層53の形成条件を半導体発光素子111と同様に設定した。この場合には、AlN層52には、凹凸部56dは形成されず、AlN層52の上面は実質的に平坦である。そして、In含有中間層60を形成しないで、第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20を形成した。
【0077】
このようにして作製された、実施形態に係る半導体発光素子141及び第2参考例の半導体発光素子192をノマルスキ顕微鏡で観察した。
図11(a)及び図11(b)は、半導体発光素子の特性を例示するノマルスキ顕微鏡像である。
図11(a)に示したように、実施形態に係る半導体発光素子141においては、クラックが観察されなかった。
図11(b)に示したように、第2参考例においては、多数のクラックCRが観察された。
【0078】
このように、本実施形態においては、凹凸部56dを有するAl含有中間層56(AlN層52)を下地層50中に設けることで、クラックCRの発生が非常に効果的に抑制される。この例のように、凹凸部56dを有するAl含有中間層56を用いる場合には、第1の実施形態に関して説明したIn含有中間層60を設けなくても、クラックCRの発生が抑制できる。ただし、In含有中間層60を設けつつ、さらに、Al含有中間層56を設けても良い。これにより、さらに、クラックCRが発生し難くなる。
【0079】
図12(a)及び図12(b)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図12(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子151においては、In含有中間層60が、第1半導体層10と発光部30との間に設けられ、さらに、凹凸部56dを有するAl含有中間層56が設けられる。
【0080】
図12(b)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子152においては、In含有中間層60が、第2半導体層20と発光部30との間に設けられ、さらに、凹凸部56dを有するAl含有中間層56が設けられる。
【0081】
さらに、凹凸部56dを有するAl含有中間層56を設けつつ、In含有中間層60を、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間の両方に設けても良い。
【0082】
凹凸部56dを有するAl含有中間層56(この例では、多層バッファ層53内のAlN層52)の下側に、GaNを含む層(この例では、多層バッファ層53内のGaN層51)を設けることは、半導体層の劣化及び破壊の抑制に効果的である。
【0083】
凹凸部56dを有するAl含有中間層56は、下地層50内だけでなく、下地層50から上の任意の位置に設けても良い。また、半導体発光素子141においては、凹凸部56dを有するAl含有中間層56(AlN層52)と、GaNを含む層(GaN層51)と、が交互に積層されているが、凹凸部56dを有するAl含有中間層56が1層(例えば1ペア)でも良い。
【0084】
(第3の実施形態)
図13(a)及び図13(b)は、第3の実施形態に係る窒化物半導体ウェーハの構成を例示する模式的断面図である。
図13(a)及び図13(b)に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体ウェーハ210及び211は、シリコン基板40と、シリコン基板40の上に設けられた下地層50と、下地層50の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10と、第1半導体層10の上に設けられた発光部30と、発光部30の上に設けられ、窒化物半導体を含み第2導電形の第2半導体層20と、In含有中間層60と、を備える。
【0085】
発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む。
【0086】
窒化物半導体ウェーハ210においては、In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間に設けられている。窒化物半導体ウェーハ211においては、In含有中間層60は、第2半導体層20と発光部30との間に設けられている。In含有中間層60は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層20と発光部30との間に設けられても良い。
【0087】
In含有中間層60は、井戸層32に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含む。In含有中間層60は、10nm以上1000nm以下の厚さを有する。
【0088】
図14は、第3の実施形態に係る別の窒化物半導体ウェーハの構成を例示する模式的断面図である。
図14に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体ウェーハ240は、シリコン基板40と、シリコン基板40の上に設けられた下地層50と、下地層50の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10と、第1半導体層10の上に設けられた発光部30と、発光部30の上に設けられ、窒化物半導体を含み第2導電形の第2半導体層20と、を備える。発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む。
【0089】
下地層50は、2nm以上100nm以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層56を含む。Al含有中間層56は、第1半導体層10の側の面に設けられた凹凸部56dを有する。凹凸部56dの表面粗さRaは1nm以上10nm以下である。
【0090】
窒化物半導体ウェーハ210、211及び240によれば、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子のための窒化物半導体ウェーハを提供できる。
【0091】
(第4の実施形態)
図15(a)及び図15(b)は、第4の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法を例示するフローチャート図である。
図15(a)及び図15(b)に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法は、シリコン基板40の上に設けられた下地層50の上に、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10を形成する工程(ステップS110)を含む。
【0092】
さらに、本製造方法は、第1半導体層10の上に、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に配置されるGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む発光部30を形成する工程(ステップS120)を含む。
【0093】
さらに、本製造方法は、発光部30の上に、窒化物半導体を含み第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層20を形成する工程(ステップS130)を含む。
【0094】
さらに、本製造方法は、第1半導体層10と発光部30との間、及び、第2半導体層と発光部30との間の少なくともいずれかにIn含有中間層60を形成する工程(ステップS140)を含む。In含有中間層60は、井戸層32に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含む。In含有中間層60は、10nm以上1000nm以下の厚さを有する。
【0095】
図16は、第4の実施形態に係る別の窒化物半導体層の製造方法を例示するフローチャート図である。
図16に表したように、本実施形態係る窒化物半導体層の製造方法は、シリコン基板40の上に、Al含有中間層56を含む下地層50を形成する工程(ステップS150)を含む。Al含有中間層56は、2nm以上100nm以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含む。
【0096】
さらに、本製造方法は、下地層50の上に、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層10を形成する工程(ステップS110)を含む。
【0097】
さらに、本製造方法は、第1半導体層10の上に、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に配置されるGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層32と、を含む発光部30を形成する工程(ステップS120)を含む。
【0098】
さらに、本製造方法は、発光部30の上に、窒化物半導体を含み第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層20を形成する工程(ステップS130)を含む。
【0099】
Al含有中間層56は、第1半導体層10の側の面(上面)に設けられた凹凸部56dを有し、凹凸部56dの表面粗さRaは1nm以上10nm以下である。
【0100】
図15(a)、図15(b)及び図16に関して説明した製造方法により、半導体層の劣化及び破壊を抑制した窒化物半導体層が製造できる。
【0101】
実施形態において、半導体層の成長には、例えば、有機金属気相堆積(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)法、有機金属気相成長(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy:MBE)法、及び、ハライド気相エピタキシー法(HVPE)法などを用いることができる。
【0102】
例えば、MOCVD法またはMOVPE法を用いた場合では、各半導体層の形成の際の原料には、以下を用いることができる。Gaの原料として、例えばTMGa(トリメチルガリウム)及びTEGa(トリエチルガリウム)を用いることができる。Inの原料として、例えば、TMIn(トリメチルインジウム)及びTEIn(トリエチルインジウム)などを用いることができる。Alの原料として、例えば、TMAl(トリメチルアルミニウム)などを用いることができる。Nの原料として、例えば、NH3(アンモニア)、MMHy(モノメチルヒドラジン)及びDMHy(ジメチルヒドラジン)などを用いることができる。Siの原料としては、SiH4(モノシラン)、Si2H6(ジシラン)などを用いることができる。
【0103】
実施形態によれば、半導体層の劣化及び破壊を抑制した半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法が提供できる。
【0104】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BxInyAlzGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0105】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0106】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子及び窒化物半導体ウェーハに含まれる基板、AlNバッファ層、AlGaNバッファ層、下地層、多層バッファ層、AlN層、GaN層、In含有中間層、Al含有中間層、半導体層、発光部、及び機能部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0107】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0108】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
10…第1半導体層、 10s…機能部、 20…第2半導体層、 30…発光部、 31…障壁層、 32…井戸層、 40…シリコン基板、 50…下地層、 51…GaN層、 52…AlN層、 53…多層バッファ層、 54…AlGaNバッファ層、 55…AlNバッファ層、 56…Al含有中間層、 56d…凹凸部、 60…In含有中間層、 61…第1層、 62…第2層、 110、111、121、122、131、132、140、141、151、152、191、192…半導体発光素子、 210、211、240…窒化物半導体ウェーハ、 BL…障壁層、 WL…井戸層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板の上に下地層を介して形成され、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部であって、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記発光部との間、及び、前記第2半導体層と前記発光部との間の少なくともいずれかに設けられ、前記井戸層に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10ナノメートル以上1000ナノメートル以下の厚さを有するIn含有中間層と、
を備えたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記In含有中間層は、交互に積層された、Ga1−X2InX2N(0<x2≦1)を含む複数の第1層と、Ga1−X3InX3N(0≦x3≦1、x3<x2)を含む複数の第2層と、を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記下地層は、2ナノメートル以上100ナノメートル以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記Al含有中間層は、前記第1半導体層の側の面に設けられた凹凸部を有し、前記凹凸部の表面粗さRaは1ナノメートル以上10ナノメートル以下であることを特徴とする請求項3記載の半導体発光素子。
【請求項5】
シリコン基板の上に形成された下地層と、
前記下地層の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部であって、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
を備え、
前記下地層は、2ナノメートル以上100ナノメートル以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層を含み、
前記Al含有中間層は、前記第1半導体層の側の面に設けられた凹凸部を有し、前記凹凸部の表面粗さRaは1ナノメートル以上10ナノメートル以下であることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項6】
シリコン基板と、
前記シリコン基板の上に設けられた下地層と、
前記下地層の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部であって、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記発光部との間、及び、前記第2半導体層と前記発光部との間の少なくともいずれかに設けられ、前記井戸層に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10ナノメートル以上1000ナノメートル以下の厚さを有するIn含有中間層と、
を備えたことを特徴とする窒化物半導体ウェーハ。
【請求項7】
シリコン基板と、
前記シリコン基板の上に設けられた下地層と、
前記下地層の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部であって、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
を備え、
前記下地層は、2ナノメートル以上100ナノメートル以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層を含み、
前記Al含有中間層は、前記第1半導体層の側の面に設けられた凹凸部を有し、前記凹凸部の表面粗さRaは1ナノメートル以上10ナノメートル以下であることを特徴とする窒化物半導体ウェーハ。
【請求項8】
シリコン基板の上に設けられた下地層の上に、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層の上に、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に配置されるGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部を形成する工程と、
前記発光部の上に、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層と前記発光部との間、及び、前記第2半導体層と前記発光部との間の少なくともいずれかに、前記井戸層に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10ナノメートル以上1000ナノメートル以下の厚さを有するIn含有中間層を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする窒化物半導体層の製造方法。
【請求項9】
シリコン基板の上に、2ナノメートル以上100ナノメートル以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層を含む下地層を形成する工程と、
前記下地層の上に、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層の上に、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に配置されるGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部を形成する工程と、
前記発光部の上に、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層を形成する工程と、
を備え、
前記Al含有中間層は、前記第1半導体層の側の面に設けられた凹凸部を有し、前記凹凸部の表面粗さRaは1ナノメートル以上10ナノメートル以下であることを特徴とする窒化物半導体層の製造方法。
【請求項1】
シリコン基板の上に下地層を介して形成され、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部であって、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記発光部との間、及び、前記第2半導体層と前記発光部との間の少なくともいずれかに設けられ、前記井戸層に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10ナノメートル以上1000ナノメートル以下の厚さを有するIn含有中間層と、
を備えたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記In含有中間層は、交互に積層された、Ga1−X2InX2N(0<x2≦1)を含む複数の第1層と、Ga1−X3InX3N(0≦x3≦1、x3<x2)を含む複数の第2層と、を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記下地層は、2ナノメートル以上100ナノメートル以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記Al含有中間層は、前記第1半導体層の側の面に設けられた凹凸部を有し、前記凹凸部の表面粗さRaは1ナノメートル以上10ナノメートル以下であることを特徴とする請求項3記載の半導体発光素子。
【請求項5】
シリコン基板の上に形成された下地層と、
前記下地層の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部であって、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
を備え、
前記下地層は、2ナノメートル以上100ナノメートル以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層を含み、
前記Al含有中間層は、前記第1半導体層の側の面に設けられた凹凸部を有し、前記凹凸部の表面粗さRaは1ナノメートル以上10ナノメートル以下であることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項6】
シリコン基板と、
前記シリコン基板の上に設けられた下地層と、
前記下地層の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部であって、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記発光部との間、及び、前記第2半導体層と前記発光部との間の少なくともいずれかに設けられ、前記井戸層に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10ナノメートル以上1000ナノメートル以下の厚さを有するIn含有中間層と、
を備えたことを特徴とする窒化物半導体ウェーハ。
【請求項7】
シリコン基板と、
前記シリコン基板の上に設けられた下地層と、
前記下地層の上に設けられ、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部であって、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
を備え、
前記下地層は、2ナノメートル以上100ナノメートル以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層を含み、
前記Al含有中間層は、前記第1半導体層の側の面に設けられた凹凸部を有し、前記凹凸部の表面粗さRaは1ナノメートル以上10ナノメートル以下であることを特徴とする窒化物半導体ウェーハ。
【請求項8】
シリコン基板の上に設けられた下地層の上に、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層の上に、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に配置されるGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部を形成する工程と、
前記発光部の上に、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層と前記発光部との間、及び、前記第2半導体層と前記発光部との間の少なくともいずれかに、前記井戸層に含まれるIn組成比z1とは異なる組成比でInを含む窒化物半導体を含み、10ナノメートル以上1000ナノメートル以下の厚さを有するIn含有中間層を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする窒化物半導体層の製造方法。
【請求項9】
シリコン基板の上に、2ナノメートル以上100ナノメートル以下の厚さを有し、Alを含む窒化物半導体を含むAl含有中間層を含む下地層を形成する工程と、
前記下地層の上に、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層の上に、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に配置されるGa1−z1Inz1N(0<z1≦1)を含む井戸層と、を含む発光部を形成する工程と、
前記発光部の上に、窒化物半導体を含み前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層を形成する工程と、
を備え、
前記Al含有中間層は、前記第1半導体層の側の面に設けられた凹凸部を有し、前記凹凸部の表面粗さRaは1ナノメートル以上10ナノメートル以下であることを特徴とする窒化物半導体層の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図5】
【図6】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図5】
【図6】
【図11】
【公開番号】特開2012−243814(P2012−243814A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109783(P2011−109783)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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