説明

半導体素子及びそのゲート形成方法

【課題】高誘電定数を有する物質からなるゲート絶縁膜を有する半導体素子及びそのゲート形成方法を提供する。
【解決手段】素子分離膜202によりアクティブ領域が画定されている半導体基板200を提供する段階と、前記アクティブ領域上にゲート絶縁膜204を形成する段階と、前記ゲート絶縁膜204上にキャッピング膜206を形成する段階と、前記キャッピング膜206及び前記ゲート絶縁膜204を有する半導体基板200に対してアニール工程を施す段階と、前記アクティブ領域の一部にフルシリサイドゲート208を形成する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子及びその製造方法に関し、特に、高誘電定数の物質からなるゲート絶縁膜を備えた半導体素子及びそのゲート形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の高集積化やMOSFET(MOS Field Effect Transistor)フィーチャーサイズ(feature size)の減少に伴い、ゲートの長さとその下に形成されるチャネルの長さも短くなっている。そのため、ゲートとチャネルとの間におけるキャパシタンスを増加させ、トランジスタの動作特性を向上させるために、ゲート絶縁膜の厚さも薄く形成する必要がある。
【0003】
しかしながら、これまで代表的に用いられてきたシリコン酸化膜又はシリコン酸化窒化膜で構成されるゲート絶縁膜は、その厚さが縮小されることにより、電気的な性質において物理的な限界に直面するようになり、ゲート絶縁膜の信頼性を確保し難くなる。従って、シリコン酸化膜又はシリコン酸化窒化膜でゲート絶縁膜を構成する場合には、これらの厚さを縮小するのに限界がある。
【0004】
前記のような問題を克服するために、既存のシリコン酸化膜又はシリコン酸化窒化膜に替えて、薄い等価酸化膜厚(thin equivalent oxide thickness(EOT))を維持しながら、ゲート電極とチャネル領域との間の漏れ電流を減少させることができる高誘電定数(high−k)を有する物質からなる高誘電膜についての研究が活発に行われている。しかしながら、MOSFET半導体素子のゲート絶縁膜として高誘電膜を用いる場合、多数のバルクトラップと半導体基板とゲート絶縁膜とのインターフェースにおけるインターフェーストラップにより、ゲート誘電膜下の半導体基板に形成されるチャネル領域で電子移動度が減少する。また、既存のシリコン酸化膜又はシリコン酸化窒化膜で構成されるゲート絶縁膜に比べて限界電圧(threshold voltage、Vt)値が異常に高くなるという問題点がある。
【0005】
このような問題を克服し、ポリシリコンで形成されるゲートが適用された素子で発生する不具合であるポリ空乏効果(poly depletion effect)を低減させるために、完全シリサイド化(FUSI:Fully Silicided)ゲート及びメタルゲートを適用したMOSFET素子の構造が開発された。
【0006】
図1A〜図1Cは、従来技術による半導体素子のゲートの形成過程を示す工程断面図である。
【0007】
図1Aに示すように、アクティブ領域を画定するための素子分離膜100が形成されている半導体基板102を用意する。このとき、半導体基板102はシリコン基板又はSOI基板であり、P型又はN型不純物がドーピングされている。
【0008】
その後、図1Bに示すように、半導体基板102上に高誘電定数を有する物質、例えば、HfOを蒸着して、ゲート絶縁膜104を形成する。ゲート絶縁膜104は、アクティブ領域上にのみ形成される。
【0009】
このように、半導体基板102上に高誘電定数を有する物質、例えば、HfOを用いてゲート絶縁膜104を形成する場合、半導体基板のシリコンSiとHfOが反応して誘電率の低い絶縁膜が発生し、これにより、ゲート絶縁膜の等価酸化膜厚(EOT)が増加し、キャリアの移動速度が減少して半導体素子の特性を低下させるという問題点がある。
【0010】
このような問題を解決するため、ゲートを形成する前にアニール工程を施すことで、半導体基板102のシリコンSiとHfOが反応して誘電率の低い絶縁膜が形成されることを防止できる。
【0011】
その後、図1Cに示すように、結果物上に伝導性物質、例えば、金属又はシリサイドを用いて金属又はシリサイドゲート106を形成する。
【0012】
しかしながら、前記のように、シリサイド又は金属ゲート106を適用したMOSFETにHfO系の高誘電定数を有する物質を用いてゲート絶縁膜104を形成する場合、HfOのような高誘電定数を有する物質とポリシリコンとの界面におけるHf−Si結合によるフェルミ準位ピニング(fermi−level pinning)現象により限界電圧(Vt)が増加して素子の特性を悪化させるという問題点がある。
【0013】
即ち、高誘電定数を有する物質であるHfOの内部トラップサイト(trap site)により金属又はシリサイドゲート106の仕事関数が変化するため、半導体素子の性能が悪化するという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高誘電定数を有する物質からなるゲート絶縁膜を有する半導体素子及びそのゲート形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明による半導体素子のゲート形成方法は、素子分離膜によりアクティブ領域が画定されている半導体基板を提供する段階と、前記アクティブ領域上にゲート絶縁膜を形成する段階と、前記ゲート絶縁膜上にキャッピング膜を形成する段階と、前記キャッピング膜及び前記ゲート絶縁膜を有する半導体基板に対してアニール工程を施す段階と、前記アクティブ領域の一部にゲートを形成する段階とを含む。
【0016】
また、本発明による半導体素子は、素子分離膜によりアクティブ領域が画定されている半導体基板と、前記アクティブ領域上に形成されているアニールされたゲート絶縁膜と、前記アニールされたゲート絶縁膜上に形成されているアニールされたキャッピング膜と、前記アクティブ領域で前記アニールされたキャッピング膜上に形成されているゲートとを備える。
【0017】
更に、本発明による半導体素子製造の形成方法は、半導体基板上にゲート絶縁膜及び非晶質シリコン膜を順次形成する段階、前記ゲート絶縁膜は前記半導体基板のアクティブ領域で形成され、高誘電定数の物質で形成され、前記非晶質シリコン膜及び前記ゲート絶縁膜を含む前記半導体基板に対してアニール工程を施す段階と、前記アクティブ領域で前記非晶質シリコン膜上にゲートを形成する段階とを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高誘電定数を有する物質であるゲート絶縁膜を形成した後、非結晶シリコンを用いてキャッピング膜を形成することで、ゲート絶縁膜と後で形成されるゲート物質の間の反応を抑止させてゲートの仕事関数が変わる現象を抑えられるだけでなく、低誘電定数を有する絶縁体が生成されることを防止でき、半導体素子の性能を向上させることができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明は、高誘電定数を有するゲート絶縁膜とキャッピング膜を形成した後、フッ素ガス雰囲気でアニール工程を施すことで、ゲート絶縁膜内部のトラップサイトを防げるという効果がある。
【0020】
更に、本発明は、金属又はフルシリサイドゲートを形成することで、等価酸化膜厚(EOT)を効果的に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態による半導体素子におけるゲートの形成過程について詳細に説明する。
【0022】
図2A〜図2Eは、本発明の実施形態による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【0023】
図2Aに示すように、素子分離膜202によりアクティブ領域が画定されている半導体基板200を用意する。このとき、半導体基板200はシリコン基板又はSOI基板であり、P型又はN型不純物がドーピングされているか、P型及びN型ウェルが形成されている。
【0024】
その後、図2Bに示すように、金属酸化物のような高誘電定数を有する物質を用いてゲート絶縁膜204を半導体基板200のアクティブ領域上に形成する。金属酸化物を含むゲート絶縁膜204は、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)工程により形成される。高誘電定数を有する金属酸化物の例としては、タンタル酸化物(Ta)、チタン酸化物(TiO)、ハフニウム酸化物(HfO)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、アルミニウム酸化物(Al)、窒化アルミニウム酸化物(AlOyN)、ハフニウムアルミニウム酸化物(HfAl)、イットリウム酸化物(Y)、ニオビウム酸化物(Nb)、セシウム酸化物(CeO)、インジウム酸化物(InO)又はランタン酸化物(LaO)などが挙げられる。これらの金属酸化物は単一或いは2つ以上を組み合わせせて用いることもできる。
【0025】
その後、図2Cに示すように、ゲート絶縁膜204の上部に薄膜のキャッピング膜206を形成する。前記キャッピング膜206は、非結晶シリコンを用いて2nm〜5nmの厚さで形成され、化学気相成長(CVD)工程、物理気相成長(PVD)又はスパッタ工程などの方法で形成される。
【0026】
このように、高誘電定数を有する物質であるゲート絶縁膜204を形成した後、非結晶シリコンを用いてキャッピング膜206を形成することで、ゲート絶縁膜204と後で形成されるゲート物質の間の反応が抑止されてゲートの仕事関数が変わる現象を防止できる。
【0027】
その後、図2Dに示すように、図2Cの結果物上にアニール工程を施す。このとき、アニール工程は、フッ素(フローリン、F)ガス又はフッ素ガスが含有された混合ガスの雰囲気で、350℃〜750℃の温度で行われる。
【0028】
前述したようなアニール工程を施すことで、ゲート絶縁膜204である高誘電定数を有する物質の内部で発生するトラップサイトを防ぐことができる。
【0029】
その後、図2Eに示すように、アクティブ領域上に金属又はフルシリサイドゲート208を形成する。前記ゲート208は、TaN、TiN、HfN又はLa金属のいずれか1つを用いて形成される。
【0030】
このように、金属又はフルシリサイドゲート208を形成することで、等価酸化膜厚(EOT)を低減できる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、高誘電定数を有する物質を用いてゲート絶縁膜204を形成し、非結晶シリコンを用いてキャッピング膜206をゲート絶縁膜204上に形成した後、アニール工程を施す。従って、低誘電定数を有する絶縁物質が生成される現象を防止できるだけでなく、フェルミ準位ピニング現象が引き起こされることを防止できる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想の範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】従来技術による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【図1B】従来技術による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【図1C】従来技術による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【図2A】本発明の実施形態による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【図2B】本発明の実施形態による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【図2C】本発明の実施形態による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【図2D】本発明の実施形態による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【図2E】本発明の実施形態による半導体素子のゲートの形成過程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
200 半導体基板、 202 素子分離膜、 204 ゲート絶縁膜、 206 キャッピング膜、 208 フルシリサイドゲート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子分離膜によりアクティブ領域が画定されている半導体基板を提供する段階と、
前記アクティブ領域上にゲート絶縁膜を形成する段階と、
前記ゲート絶縁膜上にキャッピング膜を形成する段階と、
前記キャッピング膜及び前記ゲート絶縁膜を有する半導体基板に対してアニール工程を施す段階と、
前記アクティブ領域の一部にゲートを形成する段階と、
を含む半導体素子のゲート形成方法。
【請求項2】
前記ゲート絶縁膜は、高誘電定数を有する金属酸化物で形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項3】
前記ゲート絶縁膜は、原子層堆積(ALD)方法で形成されることを特徴とする請求項2に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項4】
前記キャッピング膜は、非晶質シリコンで形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項5】
前記キャッピング膜は、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)又はスパッタ方式のうちの少なくとも1つを用いて形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項6】
前記キャッピング膜は、2nm〜5nmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項7】
前記アニール工程は、フッ素ガス及びフッ素ガスを含有する混合ガスのうちの少なくとも1つを用いて施すことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項8】
前記アニール工程は、350℃〜750℃の温度で行われることを特徴とする請求項7に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項9】
前記ゲートは、フルシリサイドゲートであることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項10】
前記ゲートは、TaN、TiN、HfN及びLaで構成されるグループの中から選択された金属ゲートを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のゲート形成方法。
【請求項11】
素子分離膜によりアクティブ領域が画定されている半導体基板と、
前記アクティブ領域上に形成されているアニールされたゲート絶縁膜と、
前記アニールされたゲート絶縁膜上に形成されているアニールされたキャッピング膜と、
前記アクティブ領域で前記アニールされたキャッピング膜上に形成されているゲートと、
を備える半導体素子。
【請求項12】
前記ゲート絶縁膜は、高誘電定数を有する金属酸化物で形成されることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子。
【請求項13】
前記キャッピング膜は、
非結晶シリコンで形成されることを特徴とする請求項12に記載の半導体素子。
【請求項14】
前記キャッピング膜は、2nm〜5nmの厚さを有することを特徴とする請求項11に記載の半導体素子。
【請求項15】
前記ゲートは、フルシリサイドゲートであることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子。
【請求項16】
前記ゲートは、TaN、TiN、HfN及びLaで構成されるグループの中から選択された金属ゲートを含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体素子。
【請求項17】
半導体基板上にゲート絶縁膜及び非晶質シリコン膜を順次形成する段階、前記ゲート絶縁膜は前記半導体基板のアクティブ領域で形成され、高誘電定数の物質で形成され、
前記非晶質シリコン膜及び前記ゲート絶縁膜を含む前記半導体基板に対してアニール工程を施す段階と、
前記アクティブ領域で前記非晶質シリコン膜上にゲートを形成する段階と
を含む半導体素子の形成方法。
【請求項18】
前記ゲートは、フルシリサイドゲートであることを特徴とする請求項17に記載の半導体素子の形成方法。
【請求項19】
前記ゲートは、TaN、TiN、HfN及びLaで構成されるグループの中から選択された金属ゲートを含むことを特徴とする請求項17に記載の半導体素子の形成方法。
【請求項20】
前記高誘電定数物質は、金属酸化物を含むことを特徴とする請求項17に記載の半導体素子の形成方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【公開番号】特開2008−311661(P2008−311661A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155174(P2008−155174)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(507246796)ドンブ ハイテック カンパニー リミテッド (189)
【Fターム(参考)】